説明

芳香性組成物

【課題】本発明の目的は、ラクトン系香料および/またはケトン系香料を含む水性芳香性組成物であって、菌類および真菌類の増殖が十分に抑制された当該組成物を提供することである。
【解決手段】本発明により、ラクトン系香料および/またはケトン系香料、ならびに有機ヨード系防腐剤を含む水性芳香性組成物であって、香料に含まれるラクトン系香料の重量の1/500およびケトン系香料の重量の1/50の合計の重量以上の有機ヨード系防腐剤を含む、前記組成物が提供される。さらに、本発明により、ラクトン系香料および/またはケトン系香料を含む水性芳香性組成物における菌類および/または真菌類の繁殖防止のために使用する、有機ヨード系防腐剤が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菌または真菌類(カビなど)の繁殖を防ぐための成分として防腐剤を含む水性芳香剤組成物に関する。本発明はまた、水性芳香性組成物における細菌または真菌類(カビなど)の繁殖を防ぐために当該水性芳香性組成物の成分として使用する防腐剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、香りに対する嗜好性は多様化し、種々の天然香料および合成香料が芳香性組成物成分として使用されており、例えば、芳香剤、消臭剤、洗浄剤、昆虫忌避剤などの、付香成分を含む芳香性組成物が、日常生活において広く利用されている。水性の芳香性組成物は、油性芳香性組成物と比較して、健康への影響が懸念される有機溶媒を大量に含むことはなく、また不燃性であるという長所を有している。
【0003】
一方、水性芳香性組成物は、水溶液であるため、組成物中に菌類や真菌類が増殖する場合がある。芳香剤、消臭剤および昆虫忌避剤などの水性芳香性組成物は、トイレや水回りなどのカビが発生しやすい場所で、長期間にわたり外気と接触する状態で使用されるために、菌類および真菌類の増殖防止が特に問題となる。また、これらの製品は、開放系で製造されてから使用開始まで倉庫や店頭で長期間にわたり保存されることが想定される。したがって、使用開始前の保存期間および使用開始後から使用終了までの長期間にわたり、芳香性組成物の菌類および真菌類の増殖による変質を防止することは、その商品としての価値を損なわないために極めて重要である。
【0004】
また、工業用の防腐防かび剤として、有機ヨード系化合物を含む組成物が知られている(特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本特許第2736998号
【特許文献2】日本特許第3489981号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
製造から使用終了時までの期間が長期にわたる水性芳香性組成物において、菌類および真菌類の増殖防止のために添加剤を使用する場合に、期待した効果が得られない場合があった。本発明者の研究により、ラクトン系香料および/またはケトン系香料を香料成分として含む水性芳香性組成物において、一般的に広く使用されている防腐剤を通常の使用量で添加しても、菌類および真菌類の増殖を十分に抑制できないことが明らかとなり問題となっていた。すなわち、本発明の目的は、ラクトン系香料およびケトン系香料から選択される1以上の香料を含む水性芳香性組成物であって、菌類および真菌類の増殖が十分に抑制された当該組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題解決のために鋭意研究を進めたところ、ラクトン系香料および/またはケトン系香料を含む芳香性組成物に有機ヨード系防腐剤を添加することにより、良好な防菌防かび効果を得られることを見出し、本発明を完成させた。本発明の1つの側面によれば、以下のA1)〜A12)に記載される組成物が提供される。
【0008】
A1)ラクトン系香料およびケトン系香料から選択される1以上の香料、ならびに有機ヨード系防腐剤を含む水性芳香性組成物であって、香料に含まれるラクトン系香料の重量の1/500およびケトン系香料の重量の1/50の合計の重量以上の有機ヨード系防腐剤を含む、前記組成物。
【0009】
A2)有機ヨード系防腐剤が、4−クロルフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、1−[(ジヨードメチル)スルホニル〕−4−メチルベンゼン、2,4,5−トリクロロフェニルヨードプロパルギルエーテル、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、1−ブロム−3−エトキシカルボニルオキシ−1,2−ジヨード−1−プロペン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、フェニル−11−ヨード−10−ウンデセノエート、ジヨードメチル p−トリルスルホン、および3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロピニルエチルカーバメートから選択される、上記A1)に記載の組成物。
【0010】
A3)有機ヨード系防腐剤を0.001〜8重量%の含有量で含む、上記A1)またはA2)に記載の組成物。
A4)C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜16である単環式または多環式ラクトンであるラクトン系香料;および脂肪族ケトン、テルペン系ケトン、セスキテルペン系ケトン、環状ケトン、または芳香族ケトンであるケトン系香料から選択される少なくとも一種の香料を含む、上記A1)〜A3)のいずれかに記載の組成物。
【0011】
A5)C1−10アルキルで置換されていてもよいクマリンおよびジヒドロクマリン;C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5である分子量が180以上のラクトン;およびC1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が14〜16の大員環構造のラクトンからなる群より選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含む、上記A1)〜A4)のいずれかに記載の組成物。
【0012】
A6)C1−10アルキルで置換されていてもよいクマリンおよびジヒドロクマリンから選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含む、上記A1)〜A5)のいずれか記載の組成物。
【0013】
A7)C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5である分子量が180以上のラクトンから選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含む、上記A1)〜A5)のいずれかに記載の組成物。
【0014】
A8)C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が14〜16の大員環構造のラクトンから選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含む、上記A1)〜A5)のいずれかに記載の組成物。
【0015】
A9)クマリン、ジヒドロクマリン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、シスジャスモラクトン、メチル−γ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、α−ヘプチル−γ−バレロラクトン、γ−ヘキサデカラクトン、シクロペンタデカノリド、12−ケトシクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、シクロヘキサデセノリド、12−オキサ−16−ヘキサデカノリド、11−オキサ−16−ヘキサデカノリド、10−オキサ−16−ヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、およびエチレンドデカンジオエートからなる群より選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含有する、上記A1)〜A5)のいずれかに記載の組成物。
【0016】
A10)分子内にカルボニル基を1つ有するケトンから選択される少なくとも一種のケトン系香料を含む、上記A1)〜A9)のいずれかに記載の組成物。
A11)マルトール、メチルアミルケトン、コアボン、カンファー、メントン、β−イオノン、セドリルメチルケトン、アミルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、4−シクロヘキシル−4−メチル−2−ペンタノン、ジヒドロペンタメチルインダノン、トリモフィクス、アセトフェノン、4−フェニル−4−メチル−2−ペンタノン、およびメチルナフチルケトンから選択される少なくとも一種のケトン系香料を含む、上記A1)〜A9)のいずれかに記載の組成物。
【0017】
A12)香料がラクトン系香料またはケトン系香料のいずれかを含まない、上記A1)〜A11)のいずれかに記載の組成物。
本発明の別の側面によれば、以下のB1)〜B13)に記載される有機ヨード系防腐剤が提供される。
【0018】
B1)ラクトン系香料およびケトン系香料から選択される1以上の香料を含む水性芳香性組成物における菌類および/または真菌類の増殖防止のために使用する、有機ヨード系防腐剤。
【0019】
B2)4−クロルフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、1−[(ジヨードメチル)スルホニル〕−4−メチルベンゼン、2,4,5−トリクロロフェニルヨードプロパルギルエーテル、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、1−ブロム−3−エトキシカルボニルオキシ−1,2−ジヨード−1−プロペン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、フェニル−11−ヨード−10−ウンデセノエート、ジヨードメチル p−トリルスルホン、および3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロピニルエチルカーバメートから選択される、上記B1)に記載の有機ヨード系防腐剤。
【0020】
B3)C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜16である単環式または多環式ラクトンであるラクトン系香料;および脂肪族ケトン、テルペン系ケトン、セスキテルペン系ケトン、環状ケトン、または芳香族ケトンであるケトン系香料から選択される少なくとも一種の香料を含む水性芳香性組成物において使用される、上記B1)またはB2)に記載の有機ヨード系防腐剤。
【0021】
B4)C1−10アルキルで置換されていてもよいクマリンおよびジヒドロクマリン;C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5である分子量が180以上のラクトン;およびC1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が14〜16の大員環構造のラクトンからなる群より選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含む水性芳香性組成物において使用される、上記B1)〜B3)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
【0022】
B5)C1−10アルキルで置換されていてもよいクマリンおよびジヒドロクマリンから選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含む水性芳香性組成物において使用される、上記B1)〜B4)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
【0023】
B6)C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5である分子量が180以上のラクトンから選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含む水性芳香性組成物において使用される、上記B1)〜B4)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
【0024】
B7)C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が14〜16の大員環構造のラクトンから選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含む水性芳香性組成物において使用される、上記B1)〜B4)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
【0025】
B8)クマリン、ジヒドロクマリン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、シスジャスモラクトン、メチル−γ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、α−ヘプチル−γ−バレロラクトン、γ−ヘキサデカラクトン、シクロペンタデカノリド、12−ケトシクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、シクロヘキサデセノリド、12−オキサ−16−ヘキサデカノリド、11−オキサ−16−ヘキサデカノリド、10−オキサ−16−ヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、およびエチレンドデカンジオエートからなる群より選択される少なくとも一種のラクトン系香料を含む水性芳香性組成物において使用される、上記B1)〜B4)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
【0026】
B9)分子内にカルボニル基を1つ有するケトンから選択される少なくとも一種のケトン系香料を含む水性芳香性組成物において使用される、上記B1)〜B8)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
【0027】
B10)マルトール、メチルアミルケトン、コアボン、カンファー、メントン、β−イオノン、セドリルメチルケトン、アミルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、4−シクロヘキシル−4−メチル−2−ペンタノン、ジヒドロペンタメチルインダノン、トリモフィクス、アセトフェノン、4−フェニル−4−メチル−2−ペンタノン、メチルナフチルケトンからなる群より選択される少なくとも一種のケトン系香料を含む水性芳香性組成物において使用される、上記B1)〜B8)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
【0028】
B11)ラクトン系香料またはケトン系香料のいずれかを含まない水性芳香性組成物において使用される、上記B1)〜B10)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
B12)水性芳香性組成物全体に対して0.001〜8重量%の量で使用される、上記B1)〜B11)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
【0029】
B13)前記水性芳香性組成物において、香料に含まれるラクトン系香料の重量の1/500、およびケトン系香料の重量の1/50の合計の重量以上で使用される、上記B1)〜B12)のいずれかに記載の有機ヨード系防腐剤。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の1つの側面によれば、ラクトン系香料およびケトン系香料から選択される1以上の香料、ならびに有機ヨード系防腐剤を含む水性芳香性組成物であって、有機ヨード系防腐剤の重量(X)が、X≧(Y/500)+(Z/50)であって、ここでYは香料に含まれるラクトン系香料の重量であり、Zは香料に含まれるケトン系香料の重量である、前記組成物が提供される。したがって、上記香料がケトン系香料を含まない場合は、有機ヨード系防腐剤の含有量は、ラクトン系香料:有機ヨード系防腐剤の重量比で500:1以上の量であればよく、上記香料がラクトン系香料を含まない場合は、有機ヨード系防腐剤の含有量は、ケトン系香料:有機ヨード系防腐剤の重量比で50:1以上の量であればよい。
【0031】
本発明の別の側面によれば、ラクトン系香料およびケトン系香料から選択される少なくとも一種の香料を含む水性芳香性組成物における菌類および/または真菌類の繁殖防止のために使用する、有機ヨード系防腐剤が提供される。ラクトン系香料およびケトン系香料から選択される少なくとも一種の香料は、ラクトン系香料のみ、ケトン系香料のみを含んでいてもよく、またはラクトン系香料およびケトン系香料を同時に含んでいてもよい。また、本発明の組成物は、ラクトン系香料およびケトン系香料以外の香料を含んでいてもよい。
【0032】
本発明で使用される有機ヨード系防腐剤として、例えば、4−クロルフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、1−[(ジヨードメチル)スルホニル〕−4−メチルベンゼン、2,4,5−トリクロロフェニルヨードプロパルギルエーテル、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、1−ブロム−3−エトキシカルボニルオキシ−1,2−ジヨード−1−プロペン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、フェニル−11−ヨード−10−ウンデセノエート、ジヨードメチル p−トリルスルホン、および3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロピニルエチルカーバメートなどが挙げられ、特に、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、およびジヨードメチル p−トリルスルホンから選択される1種、または2種以上の防腐剤を使用することができる。好ましい有機ヨード系防腐剤としては、例えば、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、ジヨードメチル p−トリルスルホンなどが挙げられる。
【0033】
本発明で使用されるラクトン系香料としては、通常香料として使用される揮発性のラクトン化合物であれば特に限定されず、脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、環状脂肪族ラクトン、芳香族ラクトンなどが例示され、多環式であってもよくC1−10アルキルで置換されていてもよいラクトンを形成する環炭素原子数が3〜16のラクトン化合物が例示される。ラクトン系香料の例としては、C1−10アルキルで置換されていてもよい多環性のラクトン類としてクマリン、ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリン、スクラレオリド、プロピリデンフタリド、6−メチルクマリン、シクロヘキシルラクトン、ラクトスカトン、メンタラクトン、n−ブチルフタリド、ブチリデンフタリドなど;C1−10アルキルで置換されていてもよいラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5のラクトン類としてγ−ブチロラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、ウイスキーラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、メチルγ−デカラクトン、δ−ヘキサラクトン、4,6,6−トリメチルテトラヒドロピラン−2−オン、δ−オクタラクトン、δ−デカラクトン、δ−ノナラクトン、δ−2−デセノラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、6−ペンチル−α−ピロン、γ−ブチロラクトン、アンゲリカラクトン、δ−バレロラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、3,3−ジメチル−2−ヒドロキシ−4−ブタノリド、δ−ヘキサラクトン、α−ヘプチル−γ−バレロラクトン、γ−ヘキサデカラクトン、ジャスモラクトン、ジャスミンラクトン、およびシスジャスモンラクトンなど;C1−10アルキルで置換されていてもよいラクトンを形成する環炭素原子数が6〜16のラクトンからなる大員環構造のラクトン類としてε−デカラクトン、ε−ドデカラクトン、シクロペンタデカノリド、12−ケトシクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、シクロヘキサデセノリド、12−オキサ−16−ヘキサデカノリド、11−ヘキサ−16−ヘキサデカノリド、10−オキサ−16−ヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、およびエチレンドデカンジオエートなどが挙げられる。
【0034】
好ましいラクトン系香料の例としては、C1−10アルキルで置換されていてもよいクマリンまたはジヒドロクマリン;C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5である分子量が180以上のラクトン類(例えば、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、シスジャスモラクトン、メチル−γ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、α−ヘプチル−γ−バレロラクトン、およびγ−ヘキサデカラクトンなど);C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が14〜16の大員環構造のラクトン類(例えば、シクロペンタデカノリド、12−ケトシクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、シクロヘキサデセノリド、12−オキサ−16−ヘキサデカノリド、11−ヘキサ−16−ヘキサデカノリド、10−オキサ−16−ヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエートなど)が挙げられる。
【0035】
より好ましいラクトン系香料の例としては、C1−10アルキルで置換されていてもよいクマリン;C1−10アルキルで置換されていてもよいラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5であり分子量が180以上のラクトン類(例えば、γ−ウンデカラクトンなど);C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が14〜16の大員環構造のラクトン(例えば、エチレンブラシレートなど)が挙げられる。
【0036】
本発明の1つの態様において、ラクトン系香料として、C1−10アルキルで置換されていてもよいクマリンおよびジヒドロクマリン;C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5である分子量が180以上のラクトン;およびC1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が14〜16の大員環構造のラクトンが使用される。なお、ラクトン化合物が「置換されていてもよい」と表記される場合、当該ラクトン化合物は無置換であっても、置換基を有していてもよい。また、ラクトン化合物がアルキル基で置換される場合、当該置換基は、置換基を有することが可能な炭素原子上に存在する。
【0037】
ラクトン系香料の例としては、クマリン、ジヒドロクマリン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、シスジャスモラクトン、メチル−γ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、α−ヘプチル−γ−バレロラクトン、γ−ヘキサデカラクトン、シクロペンタデカノリド、12−ケトシクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、シクロヘキサデセノリド、12−オキサ−16−ヘキサデカノリド、11−オキサ−16−ヘキサデカノリド、10−オキサ−16−ヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエートなどが挙げられる。特に、クマリン、γ−ウンデカラクトン、エチレンブラシレートなどが好ましい。
【0038】
ラクトン系香料の本願発明における含有量は、例えば、組成物全量に対して0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜8重量%、より好ましくは0.05〜5重量%である。
【0039】
本発明で使用されるケトン系香料としては、通常香料として使用される揮発性のケトン化合物であれば特に限定されず、脂肪族ケトン、テルペン系ケトン、セスキテルペン系ケトン、環状ケトン、または芳香族ケトンなどが例示される。
【0040】
脂肪族ケトンの例として、アセトイン、ジアセチル、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メチルヘプテノン、コアボン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、2−ウンデカノン、メチルイソプロピルケトン、エチルイソアミルケトン、2−トリデカノン、メシチルオキサイド、ブチリデンアセトン、メチルヘプタジエノン、ジメチルオクテノン、5−ヒドロキシ−4−オクタノン、3−ヒドロキシメチル−2−ノナノン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、およびアセチルイソバレリルなどが挙げられる。テルペン系ケトンおよびセスキテルペン系ケトンの例としては、カンファー、カルボン、メントン、d−プレゴン、ピペリトン、フェンチョン、ゲラニルアセトン、セドリルメチルケトン、ヌーカトン、イオノン、メチルイオノン、アリルイオノン、イロン、ダマスコン、ダマセノン、ダイナスコン、ジヒドロカルボン、ピペリテノン、ジオスフェノール、ベルベノン、アセチルセドレン、オキソセドラン、アセチルカリオフィレン、イソロンギホラノン(イソロンギホランケトン)、イソダマスコン、トリメチルシクロヘキセニルブテノン(イリトン)、プソイドヨノン、3−メチル−4−(2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセニル)−3−ブテン−2−オン(メチルイリトン)、およびファルネシルアセトンなどが挙げられる。環状ケトンの例としては、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフラノン、シュガーラクトン、p−t−ブチルシクロヘキサノン、アミルシクロペンタノン、へプチルシクロペンタノン、ジヒドロジャスモン、シス−ジャスモン、フロレックス、プリカトン、4−シクロヘキシル−4−メチル−2−ペンタノン、p−メンテン−6−イルプロパノン、2,2,5−トリメチルー5−ペンチルシクロペンタノン、エトキシビニルテトラメチルシクロヘキサノン、ジヒドロペンタメチルインダノン、イソ・イー・スーパー、トリモフィクス、アミルシクロペンテノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、イソジャスモン、2−ブチリデン−3,5,5(3,3,5)−トリメチルシクロペンタノン、トリメチルペンチルシクロペンタノン、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−ペンテン−2−オン(サンデックス)、シクロテン、3,5−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン、3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン、ネクタリル、o−tert−ブチルシクロヘキサノン、3,3−ジメチルシクロヘキシルメチルケトン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、1−アセチル−3,3−ジメチル−1−シクロヘキセノン、クリプトン、p−tert−ペンチルシクロヘキサノン、ケファリス、2,3,5−トリメチル−4−シクロヘキセニル−1−メチルケトン(メチルシクロシトロン)、ネロン、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、2,4−ジ−tert−ブチルシクロヘキサノン(シクロウッド)、2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1,4−ジオン、2−アセチル−3,3−ジメチルノルボルナン、カシュメラン、4(5)−アセチル−7,7,9−トリメルビシクロ[4.3.0]−1−ノネン(アトリノン)、アセチルイソプロピルメチルビシクロオクテン、アセチルジメチルテトラヒドロベンツインダン(ビタライド)、メチルテトラヒドロフラノン、アセチルフラン、2−アセチル−5−メチルフラン、フルフラールアセトン、アセチルジメチルフラン、ソトロン、ホモフロノール、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2[5H]−フラノン、およびアセトニルメチルテトラヒドロピランなどが挙げられる。芳香族ケトンの例としては、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、ベンジルアセトン、カローン、ラズベリーケトン、アニシルアセトン、4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−ブタノン、メチルナフチルケトン、4−フェニル−4−メチル−2−ペンタノン、ベンゾフェノン、プロピオフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、3−メチル−4−フェニル−3−ブテン−2−オン、p−メトキシフェニルアセトン(アニスケトン)、アニシリデンアセトン、ジンゲロン、ヘリオトロピルアセトン、α−メチルアニサルアセトン、4−メチル−4−フェニル−2−ペンタノン、5−フェニル−5−メチル−3−ヘキサノン、およびジベンジルケトンなどが挙げられる。
【0041】
本発明で使用されるケトン系香料として、好ましくは、カルボニル基を1つ含むケトンを使用することができ、その例として以下の化合物が挙げられる。
例えば、カルボニル基を1つ含む脂肪族ケトンとして、アセトイン、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メチルヘプテノン、コアボン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、2−ウンデカノン、メチルイソプロピルケトン、エチルイソアミルケトン、2−トリデカノン、メシチルオキサイド、ブチリデンアセトン、メチルヘプタジエノン、ジメチルオクテノン、5−ヒドロキシ−4−オクタノン(ブチロイン)、および3−ヒドロキシメチル−2−ノナノンが挙げられる。
【0042】
例えば、カルボニル基を1つ含むテルペン系ケトンおよびセスキテルペン系ケトンとして、カンファー、カルボン、メントン、d−プレゴン、ピペリトン、フェンチョン、ゲラニルアセトン、セドリルメチルケトン、ヌーカトン、イオノン、メチルイオノン、アリルイオノン、イロン、ダマスコン、ダマセノン、ダイナスコン、ジヒドロカルボン、ピペリテノン、アセチルセドレン、オキソセドラン、アセチルカリオフィレン、イソロンギホラノン(イソロンギホランケトン)、イソダマスコン、トリメチルシクロヘキセニルブテノン(イリトン)、プソイドヨノン、3−メチル−4−(2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセニル)−3−ブテン−2−オン(メチルイリトン)、およびファルネシルアセトンが挙げられる。
【0043】
例えば、カルボニル基を1つ含む環状ケトンとして、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフラノン、シュガーラクトン、p−t−ブチルシクロヘキサノン、アミルシクロペンタノン、へプチルシクロペンタノン、ジヒドロジャスモン、シス−ジャスモン、フロレックス、プリカトン、4−シクロヘキシル−4−メチル−2−ペンタノン、p−メンテン−6−イルプロパノン、2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン、エトキシビニルテトラメチルシクロヘキサノン、ジヒドロペンタメチルインダノン、イソ・イー・スーパー、トリモフィクス、アミルシクロペンテノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、イソジャスモン、2−ブチリデン−3,5,5(3,3,5)−トリメチルシクロペンタノン、トリメチルペンチルシクロペンタノン、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−ペンテン−2−オン(サンデックス)、シクロテン、3,5−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン、3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン、ネクタリル、o−tert−ブチルシクロヘキサノン、3,3−ジメチルシクロヘキシルメチルケトン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、1−アセチル−3,3−ジメチル−1−シクロヘキセノン、クリプトン、p−tert−ペンチルシクロヘキサノン、ケファリス、2,3,5−トリメチル−4−シクロヘキセニル−1−メチルケトン(メチルシクロシトロン)、ネロン、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、2,4−ジ−tert−ブチルシクロヘキサノン(シクロウッド)、2−アセチル−3,3−ジメチルノルボルナン、カシュメラン、4(5)−アセチル−7,7,9−トリメルビシクロ[4.3.0]−1−ノネン(アトリノン)、アセチルイソプロピルメチルビシクロオクテン、アセチルジメチルテトラヒドロベンツインダン(ビタライド)、メチルテトラヒドロフラノン、アセチルフラン、2−アセチル−5−メチルフラン、フルフラールアセトン、アセチルジメチルフラン、ソトロン、ホモフロノール、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2[5H]−フラノン、およびアセトニルメチルテトラヒドロピランが挙げられる。
【0044】
例えば、カルボニル基を1つ含む芳香族ケトンとして、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、ベンジルアセトン、カローン、ラズベリーケトン、アニシルアセトン、4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−ブタノン、メチルナフチルケトン、4−フェニル−4−メチル−2−ペンタノン、ベンゾフェノン、プロピオフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、3−メチル−4−フェニル−3−ブテン−2−オン、p−メトキシフェニルアセトン(アニスケトン)、アニシリデンアセトン、ジンゲロン、ヘリオトロピルアセトン、α−メチルアニサルアセトン、4−メチル−4−フェニル−2−ペンタノン、5−フェニル−5−メチル−3−ヘキサノン、およびジベンジルケトンが挙げられる。
【0045】
ケトン系香料の本願発明における含有量は、例えば、組成物全量に対して0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜8重量%、より好ましくは0.05〜5重量%である。
【0046】
本発明で使用される有機ヨード系防腐剤の含有量は、本願発明の防腐効果が発揮される限り特に限定されないが、例えば、組成物全量に対して0.0001重量%以上であり、好ましくは0.001重量%以上であり、より好ましくは0.01重量%以上である。
【0047】
また、水性芳香性組成物の処方安定性の観点から、有機ヨード系防腐剤の含有量は、例えば8重量%以下であり、好ましくは5重量%以下である。また透明の水性組成物を製造する場合には、当該含有量は1重量%以下であるのが好ましい。本発明で使用される有機ヨード系防腐剤の含有量の範囲は、例えば0.0001〜8重量%であり、好ましくは、0.001〜5重量%であり、さらに好ましくは0.001〜1重量%であり、最も好ましくは、0.01〜1重量%である。
【0048】
本発明の1つの側面によれば、ラクトン系香料およびケトン系香料から選択される1以上の香料、ならびに有機ヨード系防腐剤を含む水性芳香性組成物であって、有機ヨード系防腐剤の重量(X)が、X≧(Y/500)+(Z/50)であって、ここでYは香料に含まれるラクトン系香料の重量であり、Zは香料に含まれるケトン系香料の重量である、前記組成物が提供される。したがって、上記香料がケトン系香料を含まない場合は、有機ヨード系防腐剤の含有量は、ラクトン系香料:有機ヨード系防腐剤の重量比で500:1以上の量であればよく、上記香料がラクトン系香料を含まない場合は、有機ヨード系防腐剤の含有量は、ケトン系香料:有機ヨード系防腐剤の重量比で50:1以上の量であればよい。
【0049】
本発明で使用される香料について、特に良好な効果を得るためには、ラクトン系香料の含有量は重量比で有機ヨード系防腐剤の500倍以下、好ましくは100倍以下、さらに好ましくは50倍以下であり、ケトン系香料の含有量が重量比で有機ヨード系防腐剤の50倍以下、好ましくは30倍以下、さらに好ましくは10倍以下である。
【0050】
本発明で使用される有機ヨード系防腐剤の重量をX、香料に含まれるラクトン系香料の重量をY、香料に含まれるケトン系香料の重量をZとした場合、本発明の良好な効果を得るためには、X≧(Y/α)+(Z/β)であって、ここでαは、500、好ましくは100、さらに好ましくは50であり、βは、50、好ましくは30、さらに好ましくは、10である。
【0051】
本発明の1つの態様において、有機ヨード系防腐剤の使用量は、香料に含まれるラクトン系香料の重量の1/500およびケトン系香料の重量の1/50の合計の重量以上の量であり、好ましくは、香料に含まれるラクトン系香料の重量の1/100およびケトン系香料の重量の1/30の合計の重量以上の量であり、さらに好ましくは、香料に含まれるラクトン系香料の重量の1/50およびケトン系香料の重量の1/10の合計の重量以上の量である。
【0052】
ラクトン系香料およびケトン系香料の使用量としては、例えば、水性芳香性組成物全量に対して0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜8重量%であってもよく、特に好ましくは、0.05〜5重量%である。
【0053】
本発明の水性芳香性組成物は、追加の香料を含んでいてもよい。追加の香料の例として以下のものが挙げられる。
炭化水素系香料:d−リモネン、カリオフィレン、α−ピネン、β−ピネン、ミルセン、ターピノレン、オシメン、γ−ターピネン、α−フェランドレン、p−サイメン、β−カリオフィレン、β−ファルネセン、1,3,5−ウンデカトリエン、ジフェニルメタンなど。
【0054】
アルコール系香料:シス−3−ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、トランス−2−ヘキセノール、シス−3−ヘキセノール、3−オクタノール、1−オクテン−3−オール、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール、9−デセノール、4−メチル−3−デセン−5−オール、10−ウンデセノール、トランス−2−シス−6−ノナジエタノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ミルセノール、ラバンジュロール、テオラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、アロオキシメノール、ターピネオール、α−ターピネオール、ターピネン−4−オール、l−メントール、ボルネオール、イソプレゴール、ノポール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、パチュリアルコール、ベチベロール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキサンメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)−エタノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、o−t−ブチルシクロヘキサノール、アンブリノール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、ペンタメチルシクロヘキシルプロパノール、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、スチラリルアルコール、アニスアルコール、シンナミックアルコール、フェニルプロピルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、チモール、カルバクロール、オルシノールモノメチルエーテル、オイゲノール、イソオイゲノール、プロペニルグアエトール、サンタロール、イソボルニルシクロヘキサノール、サンダロア、バグダノール、サンダルマイソルコア、ブラマノール、エバノール、ポリサントール、3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オールなど。
【0055】
エーテル系香料:ジフェニルオキシド、p−クレジルエチルエーテル、dl−ローズオキシド、ネロールオキサイド、ミロキサイド、1,8−シネオール、ローズオキサイド、リメトール、メントフラン、リナロールオキサイド、ブチルジメチルジヒドロキシピラン、アセトキシアミルテトラヒドロピラン、セドリルメチルエーテル、メトキシシクロドデカン、1−メチル−1−メトキシシクロドデカン、エトキシメチルシクロドデシルエーテル、トリクロデセニルメチルエーテル、ルボフィックス、セドロキサイド、アンブロキサン、グリサルバ、ボワジリス、アニソール、パラクレジルメチルエーテル、アセトアニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、エストラゴール、ジフェニルオキサイド、メチルオイゲノール、フェニルエチルイソアミルエーテル、β−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルイソブチルエーテルなど。
【0056】
アルデヒド系香料:ヘキサナール、シトラール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、トリデシルアルデヒド、トリメチルヘキシルアルデヒド、メチルオクチルアセチルアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、トランス−2−ヘキセナール、シス−4−ヘプテナール、2,6−ノナジエナール、シス−4−デセナール、トランス−4−デセナール、ウンデシレンアルデヒド、トランス−2−ドデセナール、トリメチルウンデセナール、2,6,10−トリメチル−5,9−ウンデカジエナール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ペリラルデヒド、メトキシジヒドロシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、イソシクロシトラール、センテナール、マイラックアルデヒド、リラール、ベルンアルデヒド、デュピカール、マセアール、ボロナール、セトナール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヒドロトロピックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェニルアセトアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、3−(p−t−ブチルフェニル)−プロピルアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、2−メチル−3−(p−メトキシフェニル)−プロピルアルデヒド、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリンなど。
【0057】
アセタール系香料:オクチルアルデヒドグリコールアセタール、アセトアルデヒドエチルシス−3−ヘキセニルアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、ヒドラトロピックアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドヒドグリセリルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルアセタール、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセタール、フェニルプロピルアルデヒドプロピレングリコールアセタール、4,4,6−トリメチル−2−ベンジル−1,3−ジオキサン、2,4,6−トリメチル−2−フェニル−1,3−ジオキサン、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、テトラヒドロインデノ−m−ジオキシン、ジメチルテトラヒドロインデノ−m−ジオキシン、カラナールなど。
【0058】
エステル系香料:エチルブチレート、スチラリルアセテート、o−t−ブチルシクロヒキシルアセテート、蟻酸エチル、蟻酸シス−3−ヘキセニル、蟻酸リナリル、蟻酸シトロネリル、蟻酸ゲラニル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、シクロペンチリデン酢酸メチル、酢酸ヘキシル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−3−ヘキセニル、酢酸イソノニル、酢酸シトロネリル、酢酸ラバンジュリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ミルセニル、酢酸ターピニル、酢酸メンチル、酢酸メンタニル、酢酸ノピル、酢酸n−ボルニル、酢酸イソボルニル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸トリシクロデセニル、酢酸 2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸スチラリル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、酢酸パラクレジル、酢酸ヘリオトロピル、アセチルオイゲノール、アセチルイソオイゲノール、酢酸グアイル、酢酸セドリル、酢酸ベチベリル、酢酸デカヒドロβナフチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ターピニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸シンアミル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸トリシクロデセニル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソアミル、酪酸ヘキシル、酪酸リナリル、酪酸ゲラニル、酪酸シトロネリル、酪酸ベンジル、イソ酪酸シス−3−ヘキセニル、イソ酪酸シトロネリル、イソ酪酸ゲラニル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ベンジル、イソ酪酸フェニルエチル、イソ酪酸フェノキシエチル、イソ酪酸トリシクロデセニル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸シトロネリル、イソ吉草酸ゲラニル、イソ吉草酸シンアミル、イソ吉草酸ベンジル、イソ吉草酸フェニルエチル、カプロン酸エチル、カプロン酸アリル、エナント酸エチル、エナント酸アリル、カプリン酸エチル、チグリン酸シトロネリル、オクチンカルンボン酸メチル、2−ペンチロキシグリコール酸アリル、シス−3−ヘキセニルメチルカーボネート、ケト酸エチル、ピルビン酸イソアミル、アセト酸エチル、レブリン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、安息香酸ベンジル、安息香酸フェニルエチル、ジヒドロキシメチル安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、フェニル酢酸p−クレジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸シンアミル、桂皮酸フェニルエチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルエチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、アンスラニル酸エチル、メチルアンスラニル酸メチル、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルフェミルグリシド酸エチル、フェニルグリシド酸エチル、グリコメル、フラクトン、フレイストン、フルテート、ジベスコン、エチル2−メチル−6−ペンチル−4−オキサ−2−シクロヘキセンカーボネートなど。
【0059】
カルボン酸系香料:ゲラニル酸、シトロネリル酸、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、桂皮酸、2−メチル−2−ペンテノ酸など。
ムスク系香料:ムスクキシロール、ムスクアンブレット、ムスクチベテン、ムスクモスケン、6−アセチルヘキサメチルインダン、4−アセチルジメチル−t−ブチルインダン、5−アセチルテトラメチルイソプロプルインダン、6−アセチルヘキサテトラリン、ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタンベンゾピランなど。
【0060】
窒素含有香料:アセチルピロール、インドール、スカトール、インドレン、2−アセチルピリジン、マリティマ、6−メチルキノリン、6−イソプロピルキノリン、イソブチルキノリン、2−アセチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2−イソプロピル−3−メトキシピラジン、2−イソブチル−3−メトキシピラジン、2−セカンダリーブチル−3−メトキシピラジン、トリメチルピラジン、5−メチル−3−ヘプタンオキシムなど。
【0061】
ニトリル系香料:ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、5−フェニル−2,6−ノナジエンニトリル、シナモンニトリル、クミンニトリル、ドデカンニトリル、トリデセン−2−ニトリルなど。
【0062】
硫黄含有香料:ジメチルスルフィド、2−メチル−4−プロピル−1,3−オキサチアン、イソオシアン酸アリル、p−メンタン−8−チオール−3−オン、p−メンテン−8−チオール、p−メンチルチオプロピオン酸メチルなど。
【0063】
天然香料:チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、アニス油、ベイ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ベチバー油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油など。
【0064】
さらに、調合香料を使用する場合はその成分として溶剤(例えば、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、低級アルコール(エタノールなど)、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリコールエーテル類など)を含んでいてもよい。これらの香料は全て購入により入手することができる。
【0065】
ラクトン系香料および/またはケトン系香料を含む香料全体の使用量としては、例えば、水性芳香性組成物全量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.01〜8重量%であってもよく、特に好ましくは、0.05〜5重量%である。
【0066】
本発明の水性芳香性組成物は、その他の成分として、例えば、界面活性剤、UV吸収剤、消泡剤、脱塩素剤、pH調整剤および酸化防止剤を含んでいてもよい。
界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;および陰イオン性界面活性剤(例えば、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、カリウムせっけん用素地、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸が挙げられる。
【0067】
本発明において使用されうるUV吸収剤の例としては、ベンゾトリアゾールアルキルフェノール類、メトキシベンゾフェノン硫酸塩、ヒドロキシアルコキシベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、酸化チタン、二酸化チタンなどが挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系消泡剤(例えば、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコンなど)、有機系消泡剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、1,2,3−プロパントリオールなど)などを使用することができる。脱塩素剤としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、ビタミン類、亜硫酸カルシウムなどを使用することができる。pH調整剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;クエン酸三ナトリウム、クエン酸カリウム等のクエン酸のアルカリ金属塩;エチレンジアミン四酢酸、水酸化ナトリウム、塩基性アミノ酸(アルギニン)、炭酸カルシウムなどのカルシウム塩等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸塩、α−トコフェロール等が挙げられる。
【0068】
本発明の水性芳香性組成物は、芳香剤として、特に剤形が液体、ゲルまたはビーズの置き型の芳香剤として使用することができる。上記置き型芳香剤の場合、使用時に長期間外気に晒されるため、特に十分な防腐効力が求められる。さらに本発明の水性芳香性組成物は、成分としてラクトン系香料を含む消臭剤、昆虫忌避剤、洗浄剤などとして使用することができる。使用される剤型としては、液体、ゲル、ビーズ、ミストスプレー、エアゾールなどが挙げられる。
【0069】
本発明における水性芳香性組成物は、消臭剤成分を追加して使用することもできる。使用可能な消臭成分としては、従来公知の物から適宜選択して用いることができ、例えばイネ、松、ヒノキ、笹、緑茶等の植物の抽出物;アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩;セチルピリジニウム塩、ベンゾイソチアゾリンなどの複素環化合物;酸化銀、銀含有の水溶性ガラス、銀を担持させたゼオライト、銀ナノ粒子、銀イオン、硝酸銀、硫化銀等の銀化合物;酸化亜鉛、酸化銅、亜鉛イオン、銅イオン、金ナノ粒子等の金属化合物;シクロデキストリンやシクロファンなどの包接化合物;両性界面活性剤系消臭剤、アミノ酸系消臭剤などの両性化合物;シリカゲル、アルミナ、活性炭、ゼオライト等の吸着物質の微細粉末等が挙げられる。
【0070】
本発明における水性芳香性組成物は、昆虫忌避成分を追加して使用することもできる。使用可能な昆虫忌避成分としては、例えば、DEET、ビサボロール、イソピンピネリン、ベルガプテン、ザントトキシン、コクサギン、ジハイドロコクサギン、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、p−メンタン−3,8−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、p−ジクロロベンゼン、ジ−n−ブチルサクシネート、カラン−3,4−ジオール、1−メチルプロピル−2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシレート、イソチオシアン酸アリル等が挙げられる。さらに、テルペン炭化水素類香料、テルペンアルコール類香料、フェノール類香料、芳香族アルコール類香料、アルデビド類香料、カラシ、ワサビなどの植物抽出物や木酢液などが挙げられる。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を示し、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において示されるパーセンテージは特に言及がなければ重量%を意味する。
【0072】
試料の調製および試験には以下の試薬を使用した。
【0073】
【表1−1】

【0074】
【表1−2】

【0075】
【表1−3】

【0076】
以下の表2〜13に示す組成の試料(実施例1〜15、比較例1〜37)を調製した。滅菌した容器に、滅菌したスポイドで香料をとりわけ、そこに界面活性剤を添加し、よく混合した。その後、滅菌注射用水を加え、半透明から透明になるまでよく混ぜ合わせた。防腐剤、消泡剤、安定化剤を加え、再度よく混合した。なお、ホクサイドIBPおよびホクサイドAM−48は、アルコール系溶媒に溶解させた希釈溶液を用いて香料添加後に加えた。
【0077】
調製した試料について、以下の手順で抗かび効果試験を行った。調製した試料を培養管(50ml)に10mlずつ分注し、A.nigerの胞子液(濃度は1〜2×10CFU/ml、100μl)を添加した。胞子液の濃度から希釈後の1ml当たり胞子の数を算出し、カビの初期菌数とした。試験管ミキサーでよく撹拌し、25℃の恒温槽に保存した。
【0078】
保存後の培養液について、1日後に菌数測定を以下の方法で行った。培養管(50ml)を25℃恒温槽から取り出し、試験管ミキサーで十分に撹拌した。レシチンポリソルベート(900μl)が分注されている培養管(5ml)に撹拌後の試料(100μl)を加えた。当該混合物を試験管ミキサーでよく撹拌し、その後100μlをとって、900μlのPBSが分注されている培養管(5ml)に加えた。この操作を繰り返し、培養液の希釈液(10−1〜10−7)を作成した。希釈液をそれぞれGDLPプレート2枚に100μlずつまき、ラップをして25℃の恒温槽に保存し、2日後、コロニー数が10〜100個になっている希釈倍率のプレートを探しだし、そのプレートに生えたコロニー数をカウントした。試験は二連で行い、各プレートの希釈倍率とコロニー数(平均値)から、1mlあたりの菌数を算出した。
【0079】
抗かび効果試験の結果も以下の表に示す。なお、初期菌数に対する残菌率が10%未満の場合は◎、10%以上50%未満の場合は○、50%以上100%以下の場合は△、100%を超える場合は×を示す。
【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
表2の結果から、ラクトン系香料の存在下、トリクロサンおよび1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(プロペニルオキシ)エチル−1H−イミダゾールを含む比較例1および2では残菌率が100%以上であったのに対し、有機ヨード系化合物(3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、またはジヨードメチルp−トリルスルホン)を含む実施例1および2では残存する菌は確認されなかった。また表3の結果において、当該化合物は0.001重量%以上の濃度で良好な効果を示した。
【0083】
【表4】

【0084】
【表5】

【0085】
表4および表5の結果から、セッケン調調合香料(9.8%のケトン系香料、3.0%のラクトン系香料を含む)、およびクマリンなどのラクトン系香料を含む試料においては、イソチアゾリン系化合物では十分な抗菌抗かび活性が得られなかった。一方、比較例5のセッケン香料の処方において、レバナックスをホクサイドIBP(0.01重量%)に置き換えた処方(実施例4)では、1日後の残菌率が0%であったことが確認された。
【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
表6の結果から、ケトン系香料(マルトール)の存在下、トリクロサンおよび1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(プロペニルオキシ)エチル−1H−イミダゾールを含む比較例13および14では残菌率が100%以上であったのに対し、有機ヨード系化合物(3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、またはジヨードメチルp−トリルスルホン)を含む実施例4および5では残存する菌は確認されなかった。また表7の結果において、当該化合物は0.01重量%以上の濃度で良好な効果を示した。
【0089】
【表8】

【0090】
【表9】

【0091】
【表10】

【0092】
【表11】

【0093】
【表12】

【0094】
【表13】

【0095】
以上の結果から、種々のケトン系香料を含む試料においては、イソチアゾリン系防腐剤(レバナックスBS−3)では十分な抗菌抗かび活性が得られなかったのに対し(表8〜表11)、有機ヨード系防腐剤を使用することにより極めて良好な抗菌抗かび活性が得られることが確認された(表12)。さらに、ケトン香料およびラクトン香料を含む組成物においても有機ヨード系防腐剤は極めて良好な抗菌抗かび活性を示すのに対し、他の防腐剤では十分な活性が認められなかった(表13)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトン系香料およびケトン系香料から選択される1以上の香料、ならびに有機ヨード系防腐剤を含む水性芳香性組成物であって、香料に含まれるラクトン系香料の重量の1/500およびケトン系香料の重量の1/50の合計の重量以上の有機ヨード系防腐剤を含む、前記組成物。
【請求項2】
有機ヨード系防腐剤が、4−クロルフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、1−[(ジヨードメチル)スルホニル〕−4−メチルベンゼン、2,4,5−トリクロロフェニルヨードプロパルギルエーテル、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、1−ブロム−3−エトキシカルボニルオキシ−1,2−ジヨード−1−プロペン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、フェニル−11−ヨード−10−ウンデセノエート、ジヨードメチル p−トリルスルホン、および3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロピニルエチルカーバメートから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
有機ヨード系防腐剤を0.001〜8重量%の含有量で含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜16である単環式または多環式ラクトンであるラクトン系香料;および脂肪族ケトン、テルペン系ケトン、セスキテルペン系ケトン、環状ケトン、または芳香族ケトンであるケトン系香料から選択される少なくとも一種の香料を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
ラクトン系香料として、C1−10アルキルで置換されていてもよいクマリンおよびジヒドロクマリン;C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5である分子量が180以上のラクトン;およびC1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が14〜16の大員環構造のラクトンからなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ラクトン系香料が、C1−10アルキルで置換されていてもよいクマリンおよびジヒドロクマリンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
ラクトン系香料が、C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が3〜5である分子量が180以上のラクトンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
ラクトン系香料が、C1−10アルキルで置換されていてもよく、ラクトンを形成する環炭素原子数が14〜16の大員環構造のラクトンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
ラクトン系香料として、クマリン、ジヒドロクマリン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、シスジャスモラクトン、メチル−γ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、α−ヘプチル−γ−バレロラクトン、γ−ヘキサデカラクトン、シクロペンタデカノリド、12−ケトシクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、シクロヘキサデセノリド、12−オキサ−16−ヘキサデカノリド、11−オキサ−16−ヘキサデカノリド、10−オキサ−16−ヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエートからなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
分子内にカルボニル基を1つ有するケトンから選択される少なくとも一種のケトン系香料を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ケトン系香料として、マルトール、メチルアミルケトン、コアボン、カンファー、メントン、β−イオノン、セドリルメチルケトン、アミルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、4−シクロヘキシル−4−メチル−2−ペンタノン、ジヒドロペンタメチルインダノン、トリモフィクス、アセトフェノン、4−フェニル−4−メチル−2−ペンタノン、およびメチルナフチルケトンからなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
香料がラクトン系香料またはケトン系香料のいずれかを含まない、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。

【公開番号】特開2010−104765(P2010−104765A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87340(P2009−87340)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】