説明

芳香成分としての1−オキサスピロ(4,5)デセ−3−エン誘導体

本発明は有用な芳香成分であるスピロ複素環誘導体に関する。さらには、本発明は前記化合物を含有する組成物あるいは物品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は香料の分野に関する。より詳細には、それは下記に定義される化学式(I)の化合物、および香料におけるその使用に関する。本発明は前記化合物を含有する組成物あるいは物品にも関する。
【0002】
先行技術
我々の知る限り、本発明の化合物で公知のものはない。
【0003】
本発明の記載
驚くべきことに我々は現在、化学式
【化1】

[式中、
RおよびR’はそれぞれ独立に、且つ同時に、水素原子あるいはメチル基を表し、且つそれらの立体異性体あるいは混合物のいずれか1つの形態である]
の化合物が芳香成分として使用でき、例えばアロマティック(香草調)タイプの香気ノートを付与することを見出した。
【0004】
本発明の実施態様によれば、化学式(I)で示され、R’基は水素原子である化合物が特に好ましい。
【0005】
本発明の実施態様によれば、化学式(I)で示され、R基が水素原子である化合物が特に好ましい。
【0006】
本発明の他の実施態様によれば、化学式(I)で示され、7および10の位置の2つの置換基が相対配置トランスにある化合物が特に好ましい。
【0007】
本発明の実施例として、(7RS,10RS)−2,6,6,7,10−ペンタメチル−1−オキサスピロ[4,5]デセ−3−エンを挙げてもよく、それは月桂樹−マジョラムタイプのアロマティックノート、並びに干しスモモ、カシス果汁タイプの果物風ノートで特徴付けられる香気を有している。ユーカリ、ダマスク風および硫黄風のノートもまた存在し、従ってこの化合物は非常に複雑で上品な嗅覚分布を提供する。
【0008】
先行技術において、興味深い香気を有する、公知の少数の構造的類似物があり、即ちエータあるいはイソスピレン(それぞれEP33959号およびUS4179448号に開示)あるいは2,6,9,10,10−ペンタメチル−1−オキサスピロ[4,5]デカ−3,6,−ジエン(EP33959号あるいはCH599758号内にも記載)である。
【0009】
本発明の化合物の香気をエータあるいはイソスピレンのものと比較すると、それ自身がアロマティックノートを有していること、並びにユーカリおよび硫黄風のノートを有していることで区別され、先行技術の化合物では、後者は単に漠然としたニュアンスか、あるいは感知できない。
【0010】
本発明の化合物の香気を2,6,9,10,10−ペンタメチル−1−オキサスピロ[4,5]デカ−3,6,−ジエンのものと比較すると、そこでもまたそれ自身がアロマティックノートを有していること、並びにユーカリのノートを有していることで区別され、先行技術の化合物では、後者は、単にかすかなニュアンスである。さらには、本発明の化合物は、先行技術の化合物に特徴的な顕著なミント風および/またはグレープフルーツノートの欠如あるいは保有していないことによって、それ自身を前記の先行技術の化合物から区別する。前記の違いは、本発明の化合物および先行技術の化合物に、それぞれ適した種々の用途を与える、即ち、異なる感覚刺激性の印象を付与する。
【0011】
前記のように、本発明は芳香成分としての化学式(I)の化合物の使用に関する。言い換えれば、本発明は芳香組成物あるいは着香物品の香気特性の付与、強化、改善あるいは修正のための方法において、化学式(I)の少なくとも1つの化合物の有効量を前記の組成物あるいは物品に添加することを含む方法に関する。"化学式(I)の化合物の使用"は、本願では化合物(I)を含有する任意の組成物の使用としても理解されるべきであり、且つそれは活性成分として香料産業で好ましく用いることができる。
【0012】
前記組成物、それは実際に芳香成分として好ましく用いることができ、本発明の対象でもある。
【0013】
それゆえに、本発明の他の対象は、以下の(i)〜(iii)
i)芳香成分として、上記で定義された少なくとも1つの本発明の化合物と、
ii)香料キャリアおよび香料ベースから成る群から選択される少なくとも1つの成分と、
iii)随意に少なくとも1つの香料補助剤と
を含む芳香組成物である。
【0014】
"香料キャリア"は、本願では香料の観点から実質的に中性、即ち芳香成分の感覚刺激性特性を著しく変えない材料を意味する。前記のキャリアは液体あるいは固体であってよい。
【0015】
液体キャリアとして、限定されない実施例として、乳化性の系、即ち溶剤および界面活性剤の系、あるいは香料で一般的に使用される溶剤を挙げることができる。一般に香料で用いられる溶剤の性質及びタイプの詳細な記載は出し尽くせない。しかしながら、限定されない溶剤の実施例として、例えばジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノールあるいはエチルシトレートを挙げることができ、それらは最も一般的に用いられている。
【0016】
固体キャリアとして、限定されない実施例として、吸収性ゴムあるいはポリマーあるいはさらにカプセル化材料を挙げることができる。前記材料の実施例は、壁形成および可塑化材料、例えば単糖類、二糖類あるいは三糖類、天然あるいは化工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、蛋白質あるいはペクチン、あるいはさらに参考文献、例えばH.Shertz、Hydrokolloids:Stabilisatoren,Dickungs−und Gehermittel in Lebensmittel,Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie,Lebensmittelqualitaut,Behr’s VerlagGmbH&Co,Hanburg,1996内に挙げられる材料を含んでよい。カプセル化は、当業者にはよく知られた方法であり、例えば噴霧乾燥、凝集、あるいはさらに押出などの技術を用いて実施されてよく、あるいはコアセルベーションおよび複合コアセルベーション技術を含む被覆、カプセル化で成る。
【0017】
一般的に言って、"香料ベース"は、本願では少なくとも1つの芳香補助成分を含む組成物を意味する。
【0018】
前記の芳香補助成分は、化学式(I)のものではない。さらには、"芳香補助成分"は、本願では芳香の製造において感情的効果を付与するために用いられる化合物を意味する。言い換えれば、前記の芳香補助成分は芳香物であるとみなされ、組成物の香気を、良い方向であるいは快く、付与あるいは修正することができ、且つ単に香気を有しているだけではないものとして、当業者によって認識されるはずである。
【0019】
前記ベース中に存在する芳香補助成分の性質およびタイプは、ここでより詳細な記載を保証せず、それはいずれにせよ出し尽くせず、当業者はその一般的な知見に基づいて、および意図している使用あるいは用途、および所望の感覚刺激性効果によってそれらを選択できる。一般的な用語において、それらの芳香補助成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン炭化水素、窒素あるいは硫黄の複素環式化合物およびエッセンシャルオイルにわたる化学種に属し、前記の芳香補助成分は天然あるいは合成由来であり得る。いずれにせよそれらの補助成分の多くが、参考文献、例えばS.Arctanderによる本、Perfume and Flavor Chemicals,1969, Montclair,New Jersey,USA、あるいはそのより最近のバージョン、あるいは同種の他の著作、並びに香料分野の豊富な特許文献内に示される。前記の相互材料は、制御された方法において様々なタイプの芳香化合物を放出するとして知られる化合物であり得ると理解される。
【0020】
香料キャリアおよび香料ベースの両方を含む組成物については、先に規定したものとは別の、適した香料キャリアは、エタノール、水/エタノールの混合物、リモネンあるいは他のテルペン、イソパラフィン、例えば商標Isopar(登録商標)(Exxon Chemical製)として知られるもの、あるいはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル例えば商標Dowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)として知られるものであってもよい。
【0021】
一般的に言って、"香料補助剤"は、ここで追加的に加えられた利益、例えば色、特に光耐性、化学的安定性などを付与することのできる成分を意味する。芳香ベースにおいて一般に用いられる補助剤の性質およびタイプの詳細な記載は出し尽くせないが、しかし前記成分が当業者にはよく知られていることは言及されるべきである。
【0022】
少なくとも1つの化学式(I)の化合物および少なくとも1つの香料キャリアからなる本発明の組成物は、化学式(I)の少なくとも1つの化合物、少なくとも1つの香料キャリア、少なくとも1つの香料ベース、および随意に少なくとも1つの香料補助剤を含む芳香組成物と同様に、本発明の特定の実施態様を表す。
【0023】
上述の組成物において、化学式(I)の1種より多くの化合物を有する可能性が重要であることをここで言及するのは有用であり、なぜなら、調香師が調和物、本発明の様々な化合物の香気の調性を加工した香料を製造するのを可能にし、従って彼らの業務に新規のツールをもたらすからである。
【0024】
好ましくは、化学合成から直接、例えば適切な浄化なしで、得られる任意の混合物において、本発明の化合物は、出発、中間あるいは最終生成物として必要とされ、該混合物は、本発明による芳香組成物としてみなされない。
【0025】
さらには、本発明の化合物は、現代の香料の全ての分野において、前記の化合物(I)が添加される消費者製品の香気を良い方向で付与あるいは修正するために好ましく使用することができる。その結果、以下の(i)と(ii)
i)芳香成分として、前記に定義された、化学式(I)の少なくとも1つの化合物あるいは本発明の芳香組成物、および
ii)消費者製品ベース
を含む着香物品も、本発明の対象である。
【0026】
明確化のために、"消費者製品ベース"は、ここで消費者製品を意味し、それは芳香成分と適合性があることに言及しなければならない。言い換えれば、本発明による着香物品は、機能的な調合物、並びに随意に追加の効果剤(benefit agent)を含み、消費者製品、例えば洗浄剤あるいは空気清浄剤、および嗅覚的に効果のある量の少なくとも1つの本発明の化合物に相当する。
【0027】
消費者製品の成分の性質およびタイプは、ここでより詳細な記載を保証せず、それはいずれにせよ出し尽くせず、当業者はその一般的な知見に基づき、且つ前記生成物の性質及び所望の効果によってそれらを選択できる。
【0028】
適した消費者製品ベースの実施例は、固体または液体洗浄剤および繊維柔軟剤、並びに香料おいて一般的な他の物品、特に香水、コロンあるいはアフターシェーブローション、香り付き石けん、シャワーあるいはバスソルト、ムース、オイルあるいはジェル、衛生用品あるいはヘアケア用品、例えばシャンプー、ボディケア用品、消臭剤あるいは制汗剤、空気清浄剤および化粧品も含む。洗浄剤として意図されている用途があり、例えば、様々な表面の洗浄あるいは洗濯のための洗浄剤組成物あるいは洗濯用品であり、例えばテキスタイル、皿、あるいは硬質表面の処理が意図されており、それらは家庭用あるいは業務用途が意図されている。他の着香物品は、繊維除菌消臭剤(fabric refreshers)、アイロン掛け用の水、紙、ワイプあるいは漂白剤である。
【0029】
いくつかの上述の消費者製品ベースは、本発明の化合物のための活性媒体を表してもよく、そのため後者を尚早な分解から、例えばカプセル化などによって保護する必要がある。
【0030】
本発明による化合物は様々な前述の物品あるいは組成物内に組み込むことができ、その比率は広範囲の値にわたる。それらの値は、着香されるべき物品の性質、および所望の感覚刺激効果、並びに、本発明による化合物が芳香補助成分、当該技術分野で一般に用いられる溶剤あるいは添加剤と混合される場合、所定のベースにおける補助成分の性質に依存する。
【0031】
例えば、芳香組成物の場合、典型的な濃度は、それらが組み込まれる組成物の質量に対して、本発明の化合物の0.001質量%〜5質量%あるいはそれ以上のオーダーである。それらより低い濃度、例えば0.1質量%〜3質量%が、それらの化合物が着香物品に組み込まれるときに使われ、パーセンテージは物品の質量に対するものである。
【0032】
実施例
本発明をここで以下の実施例によってさらに詳細に記載し、ここで省略形は当分野での通常の意味を有し、温度は摂氏度(℃)で示し、NMRスペクトルのデータはCDCl3中(もし他に述べられていなければ)1Hあるいは13Cに対して360あるいは400MHz機で記録し、ケミカルシフトδは標準としてのTMSに対してppmで示し、結合定数JはHzで表現する。
【0033】
実施例1
本発明の化合物の製造
A)1−(3−ヒドロキシ−1−ブチニル)−2,2,c−3,t−6−テトラメチル−R−1−シクロヘキサノールと1−(3−ヒドロキシ−1−ブチニル)−2,2,t−3,c−6−テトラメチル−R−1−シクロヘキサノールとの混合物の合成
600mLのジエチルエーテル中の52.2g(0.78モル)の3−ブチン−2−オールの混合物にエチルマグネシウム臭化物溶液(Et2O中で3M)を90分間添加した。添加の間、発熱反応およびガスの放出が見られた。室温で1時間の攪拌の後、120mLのジエチルエーテル中の120g(0.78モル)のトランス−2,2,3,6−テトラメチル−1−シクロヘキサノンを50分間添加した。前記の混合物を室温で2時間撹拌し、300gの氷の上に小分けにして注いだ。800mLの飽和NH4Cl水溶液の添加、および2×500mLでジエチルエーテルの抽出の後、化合した有機相を200mLのH2Oで3回洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、そして真空の下で濃縮した。蒸留(沸点99℃/0.051mbar)によって、4種のジアステレオマーの混合物として118.4g(67%)のジオールが得られた。
【0034】
1H−NMR(前記混合物から導出):0.81〜1.13(m,12H)、1.20〜2.43(m,11H)、4.53〜4.61(m,1H)。
【0035】
13C−NMR(混合物からのメイン信号を選択):13.6、16.2、16.5、16.7、16.8、17.0、17.4、17.5、17.2、22.9、23.5、23.6、24.5、24.6、24.6、24.7、27.3、28.1、29.0、29.9、30.0、31.9、34.0、35.9、36.0、36.5、36.6、36.9、36.9、38.2、38.3、40.4、41.4、42.2、58.3、77.2、77.6、79.0、84.3、86.6、86.6、86.7、86.8、87.2、87.2、87.3、87.3、89.4。
【0036】
MS(主要な立体異性体):224(1.3,M+)、206(1.9)、191(39)、188(6)、173(13)、163(26)、149(16)、135(27)、121(61)、111(47)、96(54)、93(40)、83(28)、80(27)、77(38)、69(41)、55(66)、43(100)、41(83)。
【0037】
B)1−[(1Z)−3−ヒドロキシ−1−ブテニル]−2,2,R−3,T−6−テトラメチルシクロヘキサノールの合成
600mLのEtOH中の、118.4g(0.52mol)の上記のA)で得られた生成物の溶液を、触媒としてCaCO3(5%)上の2.34gのPdの存在下で、常圧で水素化した。24時間後、前記の混合物を、Celite(登録商標)を通して濾過し、溶剤を気化した。蒸留(沸点103℃/0.093mbar)することで、4種のジアステレオマーの混合物として112.0g(95%)の収率の無色の油状物が得られた。
【0038】
1H−NMR(前記混合物から導出):0.81〜1.03(m,12H)、1.19〜1.94(m,9H)、3.05(br,2H)、4.77〜4.92(m,1H)、5.25〜5.63(m,2H)。
【0039】
13C−NMR(混合物からのメイン信号を選択):14.2、16.4、16.5、16.5、16.6、16.6、16.7、16.7、17.5、22.7、23.2、23.7、23.8、29.6、29.8、30.2、30.3、30.3、31.5、31.7、34.7、35.0、35.2、35.4、37.8、37.9、42.2、42.4、64.1、64.1、64.4、82.1、82.4、130.4、130.7、134.3、134.6、134.7、135.8、136.5。
【0040】
MS(主要な立体異性体):226(0.7,M+)、208(27)、192(3)、175(3)、165(9)、141(6)、137(9)、135(6)、123(100)、111(41)、109(45)、95(44)、82(46)、69(27)、55(46)、43(44)、41(31)。
【0041】
C)(7RS,10RS)−2,6,6,7,10−ペンタメチル−1−オキサスピロ[4,5]デセ−3−エンの製造
DMSO(10ml)中の、1−[(1Z)−3−ヒドロキシ−1−ブテニル]−2,2,R−3,T−6−テトラメチルシクロヘキサノール(1.00g、4.4ミリモル)の溶液をN2の下で、還流で18時間加熱した。冷たい反応混合物をH2O(20ml)で希釈し、Et2O(3×20ml)で抽出した。その有機相をH2Oで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、バルブ−トゥ−バルブ(bulb−to−bulb)蒸留によって精製することで、73%の収率で29:21:19:17のジアステレオマーの混合物が得られた。沸点:100゜/0.27mbar。
【0042】
前記混合物から導出した1H−NMR:0.7〜0.9(2s+2d,J=7,12H);1.2〜1.3(d,J=7,3H);1.0〜2.0(m,6H);4.87(m,1H);5.5〜5.8(m,2H)。
【0043】
混合物からのメイン信号を選択した13C−NMR:16.2;16.3;16.8;17.7;22.3;24.4;30.7;32.9;36.3;39.7;82.4;83.0;130.4;131.3。
【0044】
実施例2
芳香組成物の製造
芳香ベースを以下の成分を混合することにより製造した:
【表1】

【0045】
【表2】

1)ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン;製造元:Firmenich SA、スイス
2)1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−yl)−2−ブテン−1−オン;製造元:Firmenich SA、スイス
3)2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール;製造元:Symrise AG、ドイツ
4)ペンタデセノリド;製造元:Firmenich SA、スイス
5)メチルジヒドロジャスモネート;製造元:Firmenich SA、スイス
6)1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン;製造元:International Flavors&Fragrances、USA
7)3−(4−Tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール;製造元:Givaudan−Roure SA、Venier、スイス
8)4−(1,1−ジメチルエチル)−1−シクロヘキシルアセテート;製造元:Firmenich SA、スイス
9)メチル2,2−ジメチル−6−メチレン−1−シクロヘキサンカルボキシレート;製造元:Firmenich SA、スイス
10)1−(3,3−ジメチル−1−シクロヘキシル)−1−エタノンと2,6,6−トリメチル−1−シクロヘプタノンとの混合物;製造元:Firmenich SA、スイス
11)2−Tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセテート;製造元:IFF、USA
40質量部の(7RS,10RS)−2,6,6,7,10−ペンタメチル−1−オキサスピロ[4,5]デセ−3−エンの上述の香料への添加は、後者に非常に独特なアロマティック(月桂樹)、ユーカリノート、わずかなブッコ、少し硫黄風(8−メルカプト−3−p−メンタノンの類のもの)を提供した。同量のエータあるいはイソスピレンの添加は、いくぶん新芽−カシスノートで、且つ全くアロマティックではないノートを付与した。
【0046】
実施例3
芳香組成物の製造
下記の成分を混合することにより、芳香ベースを製造した。
【0047】
【表3】

1)ペンタデセノリド;製造元:Firmenich SA、スイス
2)メチルジヒドロジャスモネート;製造元:Firmenich SA、スイス
3)1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−yl)−4−ペンテン−1−オン;製造元:Firmenich SA、スイス
20質量部の(7RS,10RS)−2,6,6,7,10−ペンタメチル−1−オキサスピロ[4,5]デセ−3−エンの上述の香料への添加は、素晴らしいブッコ−月桂樹ノートを提供し、この香料を上品な月桂樹の葉の香調に変換した。ここでもまた、同量のエータあるいはイソスピレンの添加は、いくぶん新芽−カシスノートで、且つ全くアロマティックではないノートを付与した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式
【化1】

[式中、
RおよびR’はそれぞれ独立に、且つ同時に、水素原子あるいはメチル基を表し、且つそれらの立体異性体あるいは混合物のいずれか1つの形態である]
の化合物。
【請求項2】
(7RS,10RS)−2,6,6,7,10−ペンタメチル−1−オキサスピロ[4,5]デセ−3−エンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1で定義された化学式(I)の化合物の、芳香成分としての使用。
【請求項4】
i)芳香成分として、請求項1で定義された少なくとも1つの本発明の化合物
ii)香料キャリアおよび香料ベースから成る群から選択される少なくとも1つの成分、および
iii)随意に少なくとも1つの香料補助剤
を含む、芳香組成物。
【請求項5】
i)芳香成分として、請求項1に定義された化学式(I)の少なくとも1つの化合物、および
ii)消費者製品ベース
を含む着香物品。
【請求項6】
消費者製品ベースが固体あるいは液体洗浄剤、繊維柔軟剤、香水、コロンあるいはアフターシェーブローション、香り付き石けん、シャワーあるいはバスソルト、ムース、オイルあるいはジェル、衛生用品、ヘアケア用品、シャンプー、ボディケア用品、消臭剤あるいは制汗剤、空気清浄剤、化粧品、繊維除菌消臭剤、アイロン掛け用の水、紙、ワイプあるいは漂白剤であることを特徴とする、請求項5に記載の着香物品。

【公表番号】特表2009−535396(P2009−535396A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508556(P2009−508556)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051369
【国際公開番号】WO2007/129236
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】