説明

茶葉の成分を含む茶梅漬とその製造方法及び副産物

【課題】従来の梅漬は、梅、塩、紫蘇の材料で漬けられ製造されるが、酸味が強く多くは食べられなかったが、茶葉の成分の渋みと梅の成分の酸味を中和させ食べやすく美味しい、茶葉の成分を含ませた茶梅漬、またはアルコール度の高い酒類を用いた酒茶梅漬の製造方法、ならびに製造過程において梅と茶葉の成分を含んだ、茶梅調味補助液、茶梅漬酒、茶葉ふりかけを提供する。
【解決手段】茶葉の成分を加えることにより、渋みと酸味が中和され、食べやすく美味しくなるが、従来は茶葉と梅の実は、組み合わせて漬けることはできなかった。そこで茶葉を入れ、製造過程で浸出成分溶液の沸騰などの工夫をすることにより、茶葉の成分を梅に含ませたことを特徴とする茶梅漬、またはアルコール度の高い酒類を用いた酒茶梅漬の製造方法ならびに製造過程において梅と茶葉の成分を含んだ茶梅調味補助液、茶梅漬酒、茶葉ふりかけを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
茶葉8を用いた梅14の加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルや缶などの容器に、加工された梅の果実を入れ、茶飲料に梅干しの風味を添加した茶飲料水はある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
梅の成分を含むお茶の飲料水はある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
梅干または梅漬にカラシ油などの辛味成分を含有する調味液を浸透させ、さらに表面にトウガラシ粉、黒芥子の混合物などからなる芥子粉を付着させる梅漬はある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
無着色の梅干を用い、梅の浸出液の量と茶の浸出液の量の割合とを一定にした梅茶はある(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
従来は、梅14を茶葉8で漬けることは、梅14が茶葉8の浸出成分溶液11を吸収することが不可能だったため、今日まで梅14を茶葉8で漬けた種類はなかった。
【0007】
従来より梅干は梅14、塩4、紫蘇を用いてできている、また、梅酒は梅14と焼酎、氷砂糖、蜂蜜などを用いてできているが、茶葉8と梅14と酒で製造されたものは現在ない。
【0008】
従来は、一般に市販されている調理みりん、味みりん、調理酒等では、調理した食品の防腐効果、食中毒の防止になるような物はなく、また茶の持つ渋みの成分と、梅14の持つ酸味の成分の中和による味の深みや、まろやかな味が出せる、請求項2記載の茶梅漬や請求項3記載の酒茶梅漬の製造過程でできる請求項4の記載の茶梅調味補助液はなかった。
【0009】
従来は、梅14の実にアルコール度の高い酒類3、糖類13および茶葉8を加え、請求項3記載の酒茶梅漬を造る製造過程においてできる浸出成分溶液11は、請求項5記載の茶梅漬酒と同類の物はなかった。
【0010】
茶梅漬を造る最終課程における残りかすである、浸出成分を含んだ茶葉8を乾燥させ粉砕した、請求項6記載のふりかけはなかった。
【0011】
【特許文献1】特願14−125390号公報
【特許文献2】特願15−313803号公報
【特許文献3】平成5年特許願第327211号公報
【特許文献4】特願17−080527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の梅14は、主に塩4、酒、蜂蜜、酢等で漬けられ、さらに化学調味料、防腐剤、香料や着色剤等も加えられていたが、茶梅漬は、健康によいとされる茶葉8の成分であるカテキン類、ビタミン類、フッソ類、アミノ酸類、フラボノイド、ミネラル類、カフェイン等に加え、茶葉8の色も梅14が吸収し、不可能とされていた梅14、茶葉8、酒の組み合わせを提供することを目的としている。
【0013】
茶梅漬、酒茶梅漬は、長期保存できる、特に食の安全性に優れた体に良いものとして、広く提供することを目的としている。特に宇治市は、高名な宇治茶の産地であり、梅14の生産も多いので、特産品として地場産業の振興に寄与し、ひいては町おこしに貢献していきたい。
【0014】
従来の料理の隠し味として使用されている調理みりん、味みりん、調理酒等多く出回っている物は天然素材で造られているものもあるが、多くは化学調味料、防腐剤、香料、着色剤等が用いられている製品で、煮炊きに使用しても、請求項2記載の茶梅漬、請求項3記載の酒茶梅漬の浸出成分溶液11を使用したときよりも傷みが早く、深みのある、まろやかな味ではない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
茶葉の成分を含む請求項2の茶梅漬の製造方法は、梅14の実を水洗いし、水1につけ、あくを抜き、取り出し、梅14を水切り2し、アルコール度の高い酒3をふりかけ、その上に塩4をふりかけ、遮光性に優れた容器5に入れ、煎茶等の茶葉8を入れて密封6し、3日から4日おき、それに塩水9を作り沸騰15し、その沸騰15させた塩水9を、茶の成分が浸出しやすい約70℃まで放冷させてから茶葉8を追加し、十分冷やしてから容器5の中に移す、そのまま土用までおき、土用に入ると容器5から梅14を取り出し、日陰で3日3晩土用干し10し、容器5の中の浸出成分溶液11を沸騰15させた後冷却し、また、保存力を高めるため、アルコール度の高い酒3を少量加え、保存力を高めた梅14を入れ、茶葉8に含まれている成分であるカテキン類、ビタミン類、フッソ類、アミノ酸類、フラボノイド、ミネラル類、カフェイン等を梅14が吸収されるまで静置する。
【0016】
梅14の実を水洗いし、土等の汚れを落とし、梅14に含まれているあくを抜くために水1につけ、取り出し、梅14を水切り2し、梅14に茶葉8の浸出成分溶液11を吸収しやすくするため小さい切れ目を入れると、請求項2記載の茶梅漬は梅14の果肉が緑色になり、香り、浸出成分溶液11が早く吸収され、早く食べられるようになる。
【0017】
茶葉の成分を含む請求項3の酒茶梅漬の製造方法は、梅14の実を水洗いし、水1につけ、あくを抜き、取り出し、梅14についた水分を布12で拭き取り、アルコール度の高い酒3と、糖類13、煎茶等の茶葉8を容器5に入れ密封し、そのまま土用までおき、土用に入ると容器5から梅14を取り出し、日陰で3日3晩土用干し10し、容器5の中に戻して、茶葉8、糖類13、アルコール度の高い酒3の浸出成分溶液11を梅14に吸収されるまで静置する。
【0018】
浸出成分を含む請求項4記載の茶梅調味補助液は、請求項2の茶梅漬、請求項3の酒茶梅漬の製造過程における、いずれかの時点で取り出す。この場合、必要に応じ、新たに茶葉8を追加する。
【発明の効果】
【0019】
請求項2記載の茶梅漬、請求項3記載の酒茶梅漬を平成17年8月から18年4月にわたり延べ人数92人で試食した結果、評判も良く、時間が経つにつれ、食味が良くなり、茶の色を吸収して果肉の色が緑になり、茶の風味がはっきりと分かり、梅14の酸味と、茶の渋みが中和されるため、梅14の酸味がおさえられ軟らかい味となり、今までの食にない風味のある食品となる。
【0020】
請求項3記載の酒茶梅漬は一度アルコール度の高い酒3に漬けた後、土用干し10することにより、梅14は軟らかくなり、また茶葉8の浸出成分溶液11は、土用干し10することで吸収しやすくなるとともに、茶と梅14との浸出成分溶液11を梅14がしっかり保持させることができるため、軟らかく美味で、長期保存ができ特産品として重宝である。
【0021】
請求項4記載の茶梅調味補助液を、肉、魚、野菜の煮物や炊き物に使用すると、煮た物は煮くずれせず、まろやかな深みのある味となり、煮物の中まで味が浸透しやすく、肉や魚の炊き物の隠し味に使うと、とても味を引き立てて美味しい味付けになる。人参、芋類等の試食を12人にしてもらった結果、しっかりと食材の味を保持したまま、はるかにみりん、調味酒では出ない、まろやかな味であるという評価が出た。また、従来のみりんで料理したものより傷みにくいという特徴がある。茶梅調味補助液を用い、真夏にカボチャ等を煮た結果、4日から5日程度は傷むことがなく、5日を過ぎた頃、少し傷んでいる臭いはしたが青カビも出ず、からからに乾いた状態となった。また、各殺菌作用のある梅14に茶葉の成分を加えることで、相乗効果が期待できる。請求項4記載の茶梅漬酒は、従来の梅酒にはない、茶の香りのするひと味異なった風味のアルコール飲料を提供することができる。
【0022】
請求項5記載の茶梅漬酒は、従来の梅酒にはない、茶の香りのするひと味異なった風味のアルコール飲料を提供することができる。
【0023】
請求項2記載の茶梅漬、請求項3記載の酒茶梅漬の土用干し10する時に茶葉8を引き上げ乾燥させ、ミキサーにかけ小さくし、ごまと少量の塩等を加えると健康に良い、請求項6記載の茶葉ふりかけができる。なお、茶梅漬の製造課程で茶葉8を取り出す場合は、茶葉8の追加量を適宜増量する。
【0024】
請求項6の茶葉ふりかけは、らっきよう漬に添加すると、緑の色彩と茶の風味が加わり、独特の食味のあるらっきよう漬ができる。
【発明を実施するするための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
【0026】
図1においては茶梅漬の製造過程で、梅14の汚れを落とし、1時間程水1につけ、あくを抜く。
【0027】
図2においては茶梅漬の製造過程で、水切り2し、消毒と腐敗防止のためアルコール度の高い酒3をふりかける。
【0028】
図3においては茶梅漬の製造過程で、塩4をふりかけることで、梅14の浸出成分溶液11を抽出しやすくし、長期保存できるようにする。
【0029】
図4においては茶梅漬の製造過程で、茶の色を保持するために日光の入らない容器5に入れ密封6する。
【0030】
図5においては茶梅漬の製造過程で、容器5の底に梅14の浸出成分溶液11が少量出たときに、追加で塩水9を作り沸騰15させた後冷却し、茶葉8を入れ、容器5に戻す。
【0031】
図6においては茶梅漬の製造過程で、土用になると3日3晩、梅14の色を変えないようにするために日陰で土用干し10する。
【0032】
図7においては茶梅漬の製造過程で、梅14を取り出した液を鍋に入れ沸騰15させた後茶葉8を入れて冷やす。
【0033】
図8においては茶梅漬の製造過程で、土用干し10した梅14と沸騰15させ冷却した浸出成分溶液11を容器5に入れ密封6して保管する。
【0034】
図9においては酒茶梅漬の製造過程で、あく抜きのため水1につけた梅14を取り出し、布14で水分を拭き取る。
【0035】
図10においては酒茶梅漬の製造過程で、茶葉8の色をよりよく保持させるために遮光性に優れた容器5に、アルコール度の高い酒3,梅14、糖類13、茶葉8を入れ密封する。
【0036】
図11においては酒茶梅漬の製造過程で、土用入りすると梅14を取り出し、3日3晩梅14の色が変わらないように日陰で土用干し10をする。
【0037】
図12においては酒茶梅漬の製造過程で、梅14を漬けていたアルコール度の高い酒3、糖類13、茶葉8を入れた酒茶梅漬の容器5に土用干し10した梅14を戻し、アルコール度の高い酒3と茶葉8を追加し密封6する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】 本発明の梅を水に漬け、あくを抜いている斜視図
【図2】 本発明の梅を水切りしアルコール度の高い酒をふりかけている斜視図
【図3】 本発明の梅にアルコール度の高い酒をふりかけた後、塩をふりかけている斜視図
【図4】 本発明の梅に塩をふりかけた後、容器に入れている斜視図
【図5】 本発明の梅をいれた容器に追加する塩水を沸騰させている斜視図
【図6】 本発明の梅を土用干ししている斜視図
【図8】 本発明の梅の残り汁を沸騰させた後冷却し、土用干しした梅を一緒に入れ密封して保管する斜視図
【図9】 本発明の梅を水に漬け、あくを抜いた後、布で水を拭き取る斜視図
【図10】 本発明の梅とアルコール度の高い酒と糖類を光の入らない容器に入れ密封している斜視図
【図11】 本発明のアルコール度の高い酒に漬けた梅を土用干ししている斜視図
【図12】 本発明の梅を漬けていたアルコール度の高い酒、糖類の浸出成分溶液の中に土用干しした梅を戻し、茶葉とアルコール度の高い酒を少し追加し密封して保管する斜視図
【符号の説明】
【0039】
1 水
2 水切り
3 アルコール度の高い酒
4 塩
5 容器
6 密封
8 茶葉
9 塩水
10 土用干し
11 浸出成分溶液
12 布
13 糖類
14 梅
15 沸騰

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風味が良く、長期保存のできる、茶葉の成分を含むことを特徴とする茶梅漬。
【請求項2】
梅の実と茶葉と塩を容器に入れ、3日から4日おき、食塩水を沸騰させて冷ましたものを追加し静置する、その後、梅の実を取り出し土用干しし、容器に戻し、浸出成分溶液を沸騰させて、茶の成分が浸出しやすい約70℃まで放冷させてから茶葉を追加し、さらに十分冷してから容器に戻し、茶葉の成分が梅に吸収されるまで漬け置くことにより、茶葉の成分を含むことを特徴とする茶梅漬の製造方法。
【請求項3】
梅の実にアルコール度の高い酒類、糖類および茶葉を容器に入れ静置し、その後、梅の実を取り出し土用干しし、容器に戻し、アルコール度の高い酒類及び茶葉を追加し、茶葉の成分が梅に吸収されるまで漬け置くことにより、茶葉の成分を含むことを特徴とする酒茶梅漬の製造方法。
【請求項4】
茶梅漬及び酒茶梅漬の製造過程においてできる余剰の浸出成分溶液からなる、茶葉と梅の成分からなることを特徴とする茶梅調味補助液。
【請求項5】
酒茶梅漬の製造過程においてできる余剰の浸出成分溶液からなる、茶葉と梅の成分からなることを特徴とする茶梅漬酒。
【請求項6】
茶梅漬の製造課程においてできる、浸出成分を含んだ茶葉を乾燥させ、粉砕することよりなる、茶葉と梅の成分からなることを特徴とする茶葉ふりかけ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−5829(P2008−5829A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322559(P2006−322559)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(506221170)
【出願人】(596041881)
【出願人】(505019275)
【Fターム(参考)】