説明

茹で麺装置用バケット

【課題】蝶番の構成を簡易にして耐久性を向上させ、かつ汚れが固着しにくい茹で麺装置用バケットを提供する。
【解決手段】麺装置用バケット1の蝶番4は、第1補強板5が折り返されて筒状に形成された第1回転軸保持部11と、第2補強板6が折り返されて筒状に形成された第2回転軸保持部12と、第1回転軸保持部11と第2回転軸保持部12とを交互に貫通する棒状の回転軸10と、から構成され、第1補強板5は、第1回転軸保持部11の近傍で折り返した板により第1金網7を挟み込み、スポット溶接により折り返された双方の補強板が結合され、第2補強板6は、第2回転軸保持部12の近傍で折り返した板により第2金網8を挟み込み、スポット溶接により折り返された双方の補強板が結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茹で麺装置用バケットに係り、特に、茹で麺を自動的に製造する際に用いられ、金網と補強板とから構成されて蝶番を介して連結される筒状のバケット本体とバケット蓋とを備え、バケット蓋は引張りバネによりバケット本体の開口を塞ぐ機構を有する茹で麺装置用バケットに関する。
【背景技術】
【0002】
茹で麺装置用バケットは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売される茹で麺を自動的に製造する際に用いられる機器である。この茹で麺装置用バケットは、長手方向の上面に開口を有し、金網とその金網の端部を補強する補強板とからなる筒状のバケット本体と、バケット本体と蝶番を介して連結され、金網とその金網の端部を補強する補強板とからなる板状のバケット蓋とから構成される。これらの金網と補強板とは、一般的にステンレス製である。そして、バケット蓋は、バケット本体の側面とバケット蓋の側面とを結合した引張りバネによりバケット本体の開口を塞ぐ機構を有する。この茹で麺装置用バケットの内部は、仕切板により複数の室に分割されている。
【0003】
茹で麺装置用バケットは、茹で麺装置内において平行に走行する2本のコンベアチェーン間に横方向に設置され、さらにコンベアチェーンの移動方向にも多数並置される。茹で麺装置用バケットは、茹で麺装置のコンベアチェーンの移動に伴って移動し、所定の位置において外部からの機構により自動的にバケット蓋が開けられる。そして、生麺の投入位置にて塊状の生麺が麺装置用バケット内に分割された室にそれぞれ投入される。その後、自動的にバケット蓋が閉じられ、熱湯内に送られそのまま熱湯中を通過して麺が茹で上げられる。
【0004】
特許文献1には、断面略U字状に湾曲させたステンレス製金網の両端面をステンレス板で閉塞し、内部の長手方向にステンレス製の仕切板を隔設して複数の分割室を形成してバケット本体を構成する茹で麺装置用バケットが開示されている。ここでは、このバケット本体の一方の長尺側面の上端縁にステンレス製蝶番を溶接固定し、該蝶番に長尺開閉蓋を溶接固定することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、仕切体によって複数の分割室を設けたバケット本体の長手方向の上面に開口を形成し、当該バケット本体の側面と開閉蓋の側面に結合した引っ張りバネによって閉じる開閉自在の長尺開閉蓋を設けた金網製筒状横型バケットが開示されている。ここでは、バケット本体の一方の長手側面における上端の長手縁辺と、長尺開閉蓋の一方の長手縁辺に沿って蝶番を設けて結合し、且つ当該バケット本体に対して引っ張りバネに抗して開閉蓋を開けたときに蝶番の結合部位の端縁との間に隙間を形成しないようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3026470号公報
【特許文献2】実用新案登録第3087600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
茹で麺装置用バケットの蝶番の部分は、バケット蓋が繰り返し開閉されるために、回転軸保持部とバケット本体及び開閉蓋の溶接箇所が繰り返し疲労により破断する虞がある。
【0008】
また、従来の茹で麺装置用バケットのように溶接によりバケット本体や開閉蓋に固定すると、茹で麺装置用バケットの使用により溶接の凹凸面に麺の一部が固着して汚れるという問題がある。また、第1の回転軸保持部と第2の回転軸保持部との相互の間隙に麺の一部が固着して汚れるという問題がある。
【0009】
本願の目的は、かかる課題を解決し、蝶番の構成を簡易にして耐久性を向上させ、かつ汚れが固着しにくい茹で麺装置用バケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る茹で麺装置用バケットは、長手方向の上面に開口を有し、第1の金網と、第1の金網の端部を補強する第1の補強板とから構成される筒状バケット本体と、バケット本体と蝶番を介して連結され、第2の金網と、第2の金網の端部を補強する第2の補強板とから構成される板状のバケット蓋とを備え、バケット蓋は、バケット本体の側面とバケット蓋の端部とを連結した引張りバネによりバケット本体の開口を塞ぐ茹で麺装置用バケットにおいて、蝶番は、第1の補強板が折り返されて筒状に形成された第1の回転軸保持部と、第2の補強板が折り返されて筒状に形成された第2の回転軸保持部と、第1の回転軸保持部と第2の回転軸保持部とを交互に貫通する棒状の回転軸と、から構成されることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、茹で麺装置用バケットは、回転軸を保持する第1の回転軸保持部及び第2の回転軸保持部がそれぞれ第1の補強板及び第2の補強板の一部として連続するため、蝶番の構成を簡易にして耐久性を向上させ、かつ汚れを固着しにくくすることができる。
【0012】
また、茹で麺装置用バケットは、第1の回転軸保持部と第2の回転軸保持部とが、第1の金網及び第2の金網のメッシュ幅よりも狭い間隔を有して回転軸に対して相互に並列されることが好ましい。これにより、第1の回転軸保持部と第2の回転軸保持部との間隔を最小限とし、汚れを固着しにくくすることができる。
【0013】
さらに、茹で麺装置用バケットは、第1の補強板が、第1の回転軸保持部の近傍で折り返した板により第1の金網を挟み込み、スポット溶接により折り返された双方の補強板が結合され、第2の補強板が、第2の回転軸保持部の近傍で折り返した板により第2の金網を挟み込み、スポット溶接により折り返された双方の補強板が結合されることが好ましい。これにより、第1の補強板及び第2の補強板との板端部が露出せず、蝶番の構成を簡易にして耐久性を向上させ、汚れを固着し難くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る茹で麺装置用バケットによれば、蝶番の構成を簡易にして耐久性を向上させ、かつ汚れが固着しにくい茹で麺装置用バケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る茹で麺装置用バケットの1つの実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の茹で麺装置用バケットの側面図である。
【図3】蝶番の部分の詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を用いて本発明に係る茹で麺装置用バケットの実施形態につき、詳細に説明する。図1に、本発明に係る茹で麺装置用バケット1の1つの実施形態の概略構成を示す。茹で麺装置用バケット1は、長手方向の上面に開口9を有し、第1金網7と、第1金網7の端部を補強する第1補強板5とからなる筒状のバケット本体2、及び、バケット本体2と蝶番4を介して連結され、第2金網8と、第2金網8の端部を補強する第2補強板6とからなる板状のバケット蓋3から構成される。このバケット蓋3は、バケット本体2の側面17とバケット蓋3の蓋端部23とを結合した引張りバネ21(図2(b)参照)によりバケット本体2の開口9を塞ぐ。本実施形態では、第1金網7及び第2金網8を含むバケット本体2及びバケット蓋3を構成する部品はステンレス製であるが、それに限らない。
【0017】
バケット本体2の内部は、仕切り板15により複数の室16に分割され、それぞれの室16には塊状の生麺がひと玉ずつ投入される。この仕切り板15は、上部がV字状に2つの板に分かれ、全体としてY字型となってバケット本体2に接続される。この形状とすることで、茹で麺が各室16に分離され易くなる。本実施形態では、室16は4室であるが、この数に限らない。
【0018】
図2に、図1の茹で麺装置用バケット1を側面図で示す。図2(a)には、バケット蓋3が開いた場合を示し、図2(b)には、バケット蓋3が閉じた場合を示す。バケット本体2には、ステンレス製の板であり不等辺八角形に成形された側面17が取り付けられる。バケット蓋3の両端の上部には、ステンレス製の丸鋼からなるバネ取付け金物14aが取り付けられる。また、バケット本体2の側面17はステンレス製の板からなり、接続金物19が溶接により側面17に取り付けられる。さらに、接続金物19には、ステンレス製の丸鋼からなるバネ取付け金物14bが取り付けられる。これらのバネ取付け金物14a、14bには、それぞれ丸鋼の中間部の径が減少した括れ部18a,18bが設けられる。そして、この括れ部18a及び括れ部18bには金属保護パイプ13により囲われた引張りバネ21の端部が連結される。
【0019】
この引張りバネ21は、バケット蓋3が閉じた場合には、その状態を保持し、バケット蓋3を開けた場合にもその状態を保持するような位置に掛け渡して取付けられている。この引張りバネ21は、バケット本体2及びバケット蓋3の両端に設けても良い。また本実施形態では、この引張りバネ21コイル巻きされたバネであるが他の弾性体であっても良い。
【0020】
図3に、蝶番4の部分の詳細を示す。蝶番4は、第1補強板5が折り返されてリング状に形成された第1回転軸保持部11と、第2補強板6が折り返されてリング状に形成された第2回転軸保持部12と、第1回転軸保持部11と第2回転軸保持部12とを交互に貫通する棒状の回転軸10とから構成される。
【0021】
この第1補強板5は、2枚に重ねられてその間に第1金網7を挟み込む。そして、第1回転軸保持部11では、折り返された部分が筒状に拡げられて回転軸10が貫通し、第2回転軸保持部12がある位置では、折り返された第1補強板5の先端部が切断される。同様に、第2補強板6は、2枚に重ねられてその間に第2金網8を挟み込む。そして、第2回転軸保持部12では、折り返された部分が筒状に拡げられて回転軸10が貫通し、第1回転軸保持部11がある位置では、折り返された第2補強板6の先端部が切断される。
【0022】
このように、第1回転軸保持部11と第2回転軸保持部12とが回転軸10に交互に貫通する。この2枚に重ねられた第1金網7を挟み込んだ第1補強板5、及び第2金網8を挟み込んだ第2補強板6は、スポット溶接20により固着される。これにより、第1の補強板及び第2の補強板との板端部が露出せず、蝶番4の構成を簡易にして耐久性を向上させ、汚れを固着し難くすることができる。
【0023】
第1回転軸保持部11と第2回転軸保持部12とは、第1金網7及び第2金網8のメッシュ幅よりも狭い間隔22を有して回転軸10に対して相互に並列される。すなわち、第1回転軸保持部11と第2回転軸保持部12とは相互に隣接するが、その間隔はクリアランス程度に狭くすることができる。これにより、第1回転軸保持部11と第2回転軸保持部12との間隔を最小限とし、汚れを固着しにくくすることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 茹で麺装置用バケット、2 バケット本体、3 バケット蓋、4 蝶番、5 第1補強板、6 第2補強板、7 第1金網、8 第2金網、9 開口、10 回転軸、11 第1回転軸保持部、12 第2回転軸保持部、13 金属保護パイプ、14a,14b バネ取付け金物、15 仕切り板、16 室、17 側面、18a,18b 括れ部、19 接続金物、20 スポット溶接、21 引張りバネ、22 間隙、23 蓋端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の上面に開口を有し、第1の金網と、第1の金網の端部を補強する第1の補強板とから構成される筒状のバケット本体と、バケット本体と蝶番を介して連結され、第2の金網と、第2の金網の端部を補強する第2の補強板とから構成される板状のバケット蓋とを備え、バケット蓋は、バケット本体の側面とバケット蓋の端部とを連結した引張りバネによりバケット本体の開口を塞ぐ茹で麺装置用バケットにおいて、
蝶番は、第1の補強板が折り返されて筒状に形成された第1の回転軸保持部と、第2の補強板が折り返されて筒状に形成された第2の回転軸保持部と、第1の回転軸保持部と第2の回転軸保持部とを交互に貫通する棒状の回転軸と、から構成されることを特徴とする茹で麺装置用バケット。
【請求項2】
請求項1に記載の茹で麺装置用バケットであって、第1の補強板は、第1の回転軸保持部の近傍で折り返した板により第1の金網を挟み込み、スポット溶接により折り返された双方の補強板が結合され、第2の補強板は、第2の回転軸保持部の近傍で折り返した板により第2の金網を挟み込み、スポット溶接により折り返された双方の補強板が結合されることを特徴とする茹で麺装置用バケット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の茹で麺装置用バケットであって、第1の回転軸保持部と第2の回転軸保持部とは、第1の金網及び第2の金網のメッシュ幅よりも狭い間隔を有して回転軸に対して相互に並列されることを特徴とする茹で麺装置用バケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−83443(P2011−83443A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238822(P2009−238822)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【特許番号】特許第4615060号(P4615060)
【特許公報発行日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(399065338)株式会社アース工業 (3)
【Fターム(参考)】