説明

菌類細胞壁分解酵素

リゾチーム活性を有する新規菌類酵素が単離された。本発明はさらに、リゾチーム活性を有し、そしてGH25ファミリーに属する菌類ポリペプチドに関し、ここで前記酵素は、(a)配列番号2のアミノ酸1〜233と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド:(b)DSM16084株に存在するプラスミド中に挿入されるヌクレオチド配列の一部をコードするリゾチームによりコードされるポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;(c)配列番号1のヌクレオチド84〜782の相補的鎖から成るポリヌクレオチドプローブに、高い緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド;又は(d)リゾチーム活性を有する、(a)、(b)又は(c)のフラグメントから成る群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、リゾチーム活性を有する菌類酵素、リゾチームをコードするヌクレオチド配列、前記ヌクレオチド配列を含んで成る核酸構造体、リゾチームの生成方法、及びリゾチームの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
リゾチームは、多くの生成物により細菌に対する防御機構として生成されるO−グルコシルヒドロラーゼである。前記酵素は、ペプチドグリカン、すなわち細菌における重要な構造分子のグリコシル結合を分解することにより細菌細胞壁の加水分解を引き起こす。それらの細菌壁をリゾチーム作用により弱くした後、細菌細胞は、浸透圧に起因して溶解する。
【0003】
リゾチームは、多くの生物、例えばウィルス、植物、昆虫、鳥、爬虫類及び哺乳類に存在する。リゾチームは、鼻の分泌物、唾液、涙、腸、尿及び乳汁から単離されて来た。酵素は、N−アセチルムラミン酸の炭素番号1とN−アセチル−D−グルコサミンの炭素番号4との間のグリコシド結合を分解する。インビボで、それらの2種の炭水化物は、細胞壁多糖を形成するために重合される。
【0004】
リゾチームの有効性が示されている細菌は、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)、クロストリジウム・チロブチリカム(Clostridium tyrobutyricum)、リステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)を包含する。
卵白リゾチームタンパク質の溶解作用は、現在、2つの市場において開発されている。
【0005】
チーズ製造においては、リゾチームは、クロストリジア(Clostridia)細菌及び特にクロストリジウム・チロブチリカムの成長形に対して効果的に破壊することが見出されている。それらの細菌は、チーズの製造において使用される乳汁の通常の熱処理を生存し、そして後に、後期ブローイングを引起すために増殖することが見出されている。後期ブローイングは、チーズ成熟の間に生じる酪酸発酵の間、ガスの形成である。所望しないガス形成の影響は、不規則形状の眼の進行を通してのテキスチャーの欠点;又は明らかな所望しない味覚及び悪臭であり;そして最終的には、チーズブロックは完全に破壊する。
【0006】
乳汁培養へのリゾチームの使用により、チーズの製造及び硬化が、後期ブローイング効果を引起す酪酸発酵も伴わないで行われ得る。これは、ヨーロッパチーズ製造、特に中期及び長期熟成チーズの製造へのリゾチームの広範囲の使用を導いて来た。推薦される用量は、0.2ポンド/1000ガロンの乳汁である。リゾチームは、熱不安定性のために、最後の熱処理の後、及びプロテアーゼ感受性のためにレンネットが添加される前、できるだけ早く添加されるべきである。
【0007】
薬理学的においては、生物学的流体におけるリゾチームの天然の機能は、身体に対して外来性の細菌を攻撃することである。いずれかの典型的な眼、口、鼻及び傷口を通して身体に侵入する多くの細菌は、ヒト免疫系により攻撃され、その免疫系の中でリゾチームが決定的な部分である。この抗−感染活性は、この卵白由来のタンパク質を含む医薬錠剤及びカプセルを製造することにより、医薬産業において開発されて来た。それはまた、目薬、歯磨き、及び喉用ロゼンジにおける重要な成分でもある。リゾチームについての可能性ある使用は種々である。好結果が、癌研究及び獣医学的適用において決定されている。食品保存剤として、リゾチームは、多くの可能性ある発癌物質に代わる天然の有機物である。ベビーフード及び動物飼料へのリゾチームの使用は、陽性の結果を示している。この卵白由来の酵素についての可能性は、多様であり、そしてこれからの用途に基づく開発は進行中である。
【0008】
GH25リゾチームは、Chalaropsis (Felsch JW, T, and Hash JH. (1975) The N, O-Diacetylmuramidase of Chalaropsis species; V The complete amino acid sequence. JBC. 250: 10 pp 3713-3720)から報告されている。
市販の主要製品である卵白リゾチームは、例えばストレプトコーカス・アウレウス(Streptoroccus aureus)細胞壁におけるN, 6-O−ジアセチルムラミナーゼを分解せず、そして従って、他の中でも、この重要なヒト病原体を溶解できない。
従って、リゾチーム活性を有する新規ポリペプチドが所望される。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約:
本発明者は、リゾチーム活性を有する酵素をコードする菌類遺伝子/cDNAを単離した。前記酵素コードするそのような遺伝子/cDNAは、これまで記載されていない知識である。
従って第1の観点においては、本発明はリゾチーム活性を有し、そしてGH25 ファミリーに属する菌類ポリペプチドに関する。
【0010】
第2の観点においては、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに関する。
【0011】
定義:
本発明の詳細な態様の論議の前、本発明の主要観点に関連する特定の用語の定義が提供される。
【0012】
略語:GlcNAc, N−アセチルグルコサミン;MurNAc, N−アセチルムラミン酸。
実質的に純粋なポリペプチド:本明細書においては、用語“実質的に純粋なポリペプチド”とは、多くても10重量%の天然に関連する他のポリペプチド材料を含むポリペプチド調製物(低い%、例えば多くても8重量%、多くても6重量%、多くても5重量%、多くても4重量%、多くても3重量%、多くても2重量%、多くても1重量%及び多くても0.5重量%の他のポリペプチド材料が好ましい)を意味する。従って、実質的に純粋なポリペプチドは少なくとも92%純粋であり、すなわちポリペプチドは、調製物に存在する合計のポリペプチド材料の少なくとも92重要%を構成し、そしてより高い%、例えば少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%及び多くても99.5%の純度が好ましい。
【0013】
本明細書に開示されるポリペプチドは、好ましくは、実質的に純粋な形で存在する。特に、好ましくは、本明細書に開示されるポリペプチドは“実質的に純粋な形”で存在し、すなわちポリペプチド調製物は、それが天然において関連する他のポリペプチド材料を実質的に有さない。これは、例えば、良く知られている組換え方法により前記ポリペプチドを調製することにより達成され得る。ここで、用語“実質的に純粋なポリペプチド”は、用語“単離されたポリペプチド”及び“単離された形のポリペプチド”と類似語である。
【0014】
リゾチーム活性:用語リゾチーム活性は、複数の炭水化物間の、又は炭水化物と非炭水化物との間のグリコシド結合の加水分解を触媒するO−グリコシルヒドロラーゼとして本明細書において定義される。リゾチームは、細菌細胞壁のムコ多糖類及びムコペプチドにおける一定の残基間のグリコシド結合を分解し、細菌分解をもたらす。リゾチームは、酵素クラスEC3.2.1.17に属する。
【0015】
同一性:本明細書において、2種のアミノ酸配列間の、又は2種のヌクレオチド配列間の相同性は、パラメーター“同一性”により記載される。
【0016】
本発明のためには、2種のアミノ酸配列間の同一性の程度は、タンパク質及びDNAアライメントのために有用なNeedleman-Wunschアライメントにより決定される。タンパク質アライメントに関しては、使用されるデフォルト評点マトリックスは、BLOSUM50であり、そしてギャップにおける第1残基についてのペナルティーは−12であり、そしてギャップにおける追加の残基についてのペナルティーは−2である。前記アラインメントは、FASTA パッケージバージョン (W. R. Pearson and D. J. Lipman (1988),"Improved Tools for Biological Sequence Analysis", PNAS 85: 2444-2448; and W. R. Pearson (1990) "Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA", Methods in Enzymology, 183: 63-98)からのAlignソフトウェアにより製造され得る。
【0017】
2種のヌクレオチド配列間の同一性の程度は、デフォールト評点マトリックスとして同一性マトリックスを用いて、上記と同じアルゴリズム及びソフトウェアパッケージを用いて決定され得る。ギャップにおける第1の残基についてのペナルティーは-16であり、そしてギャップにおける追加の残基についてのペナルティーは−4である。
【0018】
フラグメント:本明細書において使用される場合、配列番号2の“フラグメント”は、リゾチーム活性を保持するが、しかしこのアミノ酸配列のアミノ及び/又はカルボキシル末端から欠失された1又は複数のアミノ酸を有するポリペプチドである。好ましくは、フラグメントは、多くとも208個のアミノ酸残基、例えば配列番号2のアミノ酸20〜228を含む。
【0019】
実質的に純粋なポリヌクレオチド:用語“実質的に純粋なポリヌクレオチド”とは、本明細書において使用される場合、ポリヌクレオチド調製物を言及し、ここで前記ポリヌクレオチドはその天然の遺伝子環境から除去され、そして従って、他の外来の又は所望しないコード配列を有さず、そして遺伝子的に構築されたタンパク質生成システム内での使用のために適切な形で存在する。従って、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、多くても10重量%の天然に関連する他のポリヌクレオチド材料を含む(低い%、例えば多くても8重量%、多くても6重量%、多くても5重量%、多くても4重量%、多くても3重量%、多くても2重量%、多くても1重量%及び多くても0.5重量%の他のポリヌクレオチド材料が好ましい)。しかしながら、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、天然に存在する5’及び3’末翻訳領域、例えばプロモーター及びターミネーターを含むことができる。
【0020】
実質的に純粋なポリヌクレオチドは少なくとも92%純粋であり、すなわちポリヌクレオチドは、調製物に存在する合計のポリヌクレオチド材料の少なくとも92重要%を構成し、そしてより高い%、例えば少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%及び多くても99.5%の純度が好ましい。本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、好ましくは、実質的に純粋な形で存在する。特に、好ましくは、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは“実質的に純粋な形”で存在し、すなわちポリヌクレオチド調製物は、それが天然において関連する他のポリヌクレオチド材料を実質的に有さない。ここで、用語“実質的に純粋なポリヌクレオチド”は、用語“単離されたポリヌクレオチド”及び“単離された形のポリヌクレオチド”と類似語である。
【0021】
修飾:本明細書においては、用語“修飾”とは、配列番号2のアミノ酸1〜233として示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドのいずれかの化学的修飾、及び前記ポリペプチドコードするDNAの遺伝子操作を意味する。修飾は、アミノ酸側鎖の置換、興味あるアミノ酸におけるか又は興味あるアミノ酸での置換、欠失及び/又は挿入であり得る。
【0022】
人工変異体:本明細書において使用される場合、用語“人工変異体”とは、配列番号1に比較して、修飾された遺伝子を発現する生物により生成された、リゾチーム活性を有するポリペプチドを意味する。発現が適切な宿主において発現される場合、前記変異体が生成される、修飾された遺伝子は、配列番号1に開示されるヌクレオチド配列の修飾によるヒト介在性を通して得られる。
【0023】
cDNA:用語“cDNA”とは、本明細書において使用される場合、真核細胞に由来する、成熟した、スプライシングされたmRNA分子から逆転写により調製され得るDNA分子を包含する。cDNAは、その対応するゲノムDNAに通常存在するイントロン配列を欠いている。初期一次RNA転写体は、mRNAに対する前駆体であり、そしてそれは、成熟した、スプライシングされたmRNAとして出現する前、一連のプロセッシング現象を通して進行する。それらの現象は、スプライシングと呼ばれる工程によるイントロン配列の除去を包含する。cDNAがmRNAに由来する場合、それは、従ってイントロン配列を欠いている。
【0024】
核酸構造体:本明細書において使用される場合、用語“核酸構造体”とは、天然に存在する遺伝子から単離されるか、又はさもなければ、天然において存在しない態様で核酸のセグメントを含むよう修飾された、一本鎖又は二本鎖核酸分子を意味する。用語、核酸構造体は、核酸構造体が本発明のコード配列の発現のために必要とされる制御配列を含む場合、用語“発現カセット”と類似語である。
【0025】
制御配列:用語“制御配列”とは、本発明のポリペプチドの発現のために必要であるか、又はそのために好都合であるすべての成分を包含するよう定義される。個々の制御配列は、変異体をコードするヌクレオチド配列に対して生来であっても又は外来性であっても良い。そのような制御配列は、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターを包含するが、但しそれらだけには限定されない。最少で、制御配列は、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを包含する。制御配列は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード領域と制御配列との連結を促進する特定の制限部位を導入するためにリンカーを提供され得る。
作用可能に連結された:用語“作用可能に連結される”とは、本明細書においては、制御配列が、本発明のポリペプチドの発現を方向づけるよう、ヌクレオチド配列のコード配列に対する位置に適切に配置される形状として定義される。
【0026】
コード配列:本明細書において使用される場合、用語“コード配列”とは、そのタンパク質生成物のアミノ酸配列を直接的に特定するヌクレオチド配列を包含する。コード配列の境界は一般的に、ATG開始コドンにより通常、開始する読み取り枠により決定される。コード配列は典型的には、DNA、cDNA及び組換えヌクレオチドを包含する。
【0027】
発現:本発明においては、用語“発現”とは、ポリペプチドの生成に包含されるいずれかの段階、例えば転写、後−転写修飾、翻訳、後−翻訳修飾、及び分泌を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0028】
発現ベクター:本発明においては、用語“発現ベクター”とは、本発明のポリペプチドをコードするセグメントを含んで成り、そしてその転写を提供する追加のセグメントに作用可能に連結される、線状又は環状のDNA分子を包含する。
【0029】
宿主細胞:用語“宿主細胞”とは、本明細書において使用される場合、核酸構造体による形質転換に対して敏感であるいずれかの細胞系を包含する。細菌細胞が宿主細胞として使用される場合、それは本発明の菌類ポリペプチドの発現のためには適切でないが、しかしながら、細菌宿主細胞はクローニング目的のために使用され得る。
用語“ポリヌクレオチドプローブ”、“ハイブリダイゼーション”、及び種々の緊縮条件とは、“リゾチーム活性を有するポリペプチド”の標題セクションにおける定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の特定の記載:
リゾチーム活性を有するポリペプチド:
本発明のポリペプチドは、菌類、より正確にはピクノポラス・シンナバリナス(Pycnoporus cinnabarinus)から単離された。別名は、高く分泌されたポリペプチド及び決定されるポリペプチドの機能についてのスクリーニングにおいて、トラメテス・シンナバリナ(Trametes cinnabarina)である。
【0031】
第1の態様においては、本発明は、リゾチーム活性を有し、そしてGH25ファミリーに属する菌類ポリペプチドに関する。EC3.2.1.17酵素活性分類は、原核細胞壁のペプチドグリカンへテロポリマーにおけるN−アセチル−D−グルコサミンとN−アセチルムラミン酸との間の1,4−β−連鎖の加水分解を行う酵素を包含する。酵素は、1つの基質特異性を有し(例えば、N−アセチルムラミン酸)、他に対しては有さない(この場合、N−アセチル−D−グルコサミン)。
【0032】
GH25ファミリーは、Henrissatグルコシルヒドロラーゼファミリー分類(Henrissat B. , A classification of glycosyl hydrolases based on amino- acid sequence similarities. Biochem. J. 280 : 309-316 (1991); Henrissat B. , Bairoch A. New families in the classification of glycosyl hydrolases based on amino-acid sequence similarities. Biochem. J. 293: (1993); Henrissat B. , Bairoch A. Updating the sequence-based classification of glycosyl hydrolases. Biochem. J. 316: 695-696 (1996); Davies G. , Henrissat B. Structures and mechanisms of glycosyl hydrolases. Structure 3: 853- 859 (1995))に従っての酵素の分類である。
【0033】
GH25の他に、リゾチーム(EC3.2.1.17)活性を有する他の酵素ヒドロラーゼファミリーは、GH22, GH23及びGH24である。ファミリーGH22又はリゾチームCは、雌鶏卵白リゾチーム、及び反芻動物の胃リゾチームを包含する。このファミリーは、4種のファミリーのうち最も集中的に研究されている。リゾチームGとして通常知られているGH23は、Goose、及びゲノム配列決定プロジェクトから多くの十分には研究されていないファージ及び細菌配列により表される。
【0034】
GH24は、特に、ファージT4、及び他のファージ及び細菌リゾチームを包含する。Seoなど. 2003(Seo HJ; M; Ohmiya K; Hayashi K. , (2003) Substrate specificity of the N, diacetylmuramidase from Streptomyces globisporus. Journal of Bioscience and Bioengineering, Vol. 95 (3) pp. 313-316)による研究は、ストレプトミセス・グロビスプラス(Streptomyces globisporus)GH25酵素の場合、異なった活性範囲が、雌鶏卵白リゾチームGH22に比較して観察されたことを示している。
【0035】
そのストレプトミセス酵素は、N−アセチルラミラーゼ及びN, 6−O−ジアセチルムラミダーゼ活性を有する。これは、高くアセチル化されるスタフィロコーカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)細胞壁のストレプトミセス・グロビスポラス酵素による分解を可能にした。この活性は、このファミリーにおける他のリゾチーム酵素、例えば本発明のリゾチームGH25に推定され得る。
【0036】
さらなる態様においては、本発明は、配列番号2のアミノ酸1〜233に対して、少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、例えば75%、より好ましくは少なくとも80%、例えば少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、及びさらに最も好ましくは少なくとも98%、例えば少なくとも99%の程度の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成り、好ましくはそれから成るポリペプチド(この後、“相同ポリペプチド”と称する)に関する。
【0037】
興味ある態様においては、アミノ酸配列は、多くとも10個のアミノ酸(例えば、10個のアミノ酸)、特に多くとも5個のアミノ酸(例えば、5個のアミノ酸)、例えば多くとも4個のアミノ酸(例えば、4個のアミノ酸)、例えば多くとも3個のアミノ酸(例えば、3個のアミノ酸)により、配列番号2のアミノ酸1〜233とは異なる。
好ましくは、本発明のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列;その対立遺伝子変異体;又はリゾチーム活性を有するそのフラグメントを含んで成る。もう1つの好ましい態様においては、本発明のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜233を含んで成る。さらに好ましい態様においては、前記ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜233から成る。
【0038】
本発明のポリペプチドは、天然源から同定され、そして単離された野生型リゾチームであり得る。そのような野生型ポリペプチドは、例えばリゾチーム候補体を同定するために使用され得る1つの方法である生物情報アプローチにより特異的に同定され得る。手短には、GH25リゾチーム候補体は、研究配列としてファミリーGH25の既知リゾチームを用いることにより、ゲノム又はcDNA配列決定プロジェクトにおいて直接的に同定され得る。もう1つの方法は、すべてのユニークDNAフラグメント(コンチグ)と、標準の相同研究プログラム、例えばWU-BlastX(2.0a19MP_WashU)とを比較することである。
【0039】
さらに、本発明のポリペプチドは、例えばJ. E. Ness など. Nature Biotechnology 17,893-896 (1999)に記載されるDNAシャフリング技法により調製され得る。さらに、本発明のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜233に比較して、アミノ酸の少なくとも1つの置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含んで成り、好ましくはその配列から成る人工的変異体であり得る。そのような人工的変異体は、当業界において知られている標準技法、例えば配列番号2のアミノ酸1〜233として知られているアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドの特定部位/ランダム突然変異により構成され得る。
【0040】
本発明の1つの態様においては、アミノ酸変更(人工的変異体及び野生型ポリペプチドにおける)は、マイナーな性質のもの、すなわちタンパク質の折りたたみ及び/又は活性に有意に影響を及ぼさない保存性アミノ酸置換;典型的には1〜約30個のアミノ酸の小さな欠失;小さなアミノ−又はカルボキシ−末端−、たとえばアミノ−末端のメチオニン残基の延長;約20〜25個までの残基の小さなリンカーペプチドの延長;又は実効電荷又は他の機能、たとえばポリ−ヒスチジン系、抗原性エピトープ又は結合ドメインを変更することにより精製を促進する小さな延長のものである。
【0041】
保存性置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン及びメチオニン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小さなアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、及びトレオニン)のグループ内である。一般的に、非活性を変更しないアミノ酸置換は当業界において知られており、そしてたとえば、H. Neurath and R.L. Hill, 1979, The Proteins, Academic Press, New York により記載されている。最も通常生じる交換は次のものである: Ala/Ser, Val/Ile, Asp/Glu, Thr/Ser, Ala/Gly, Ala/Thr, Ser/Asn, Ala/Val, Ser/Gly, Tyr/Phe, Ala/ Pro, Lys/Arg, Asp/Asn, Leu/Ile, Leu/Val, Ala/Glu及びAsp/Gly並びにそれらの逆。
【0042】
本発明の興味ある態様においては、アミノ酸変更は、ポリペプチドの生理化学性質が変更されるそのような性質のものである。例えば、ポリペプチドの熱安定性を改良し、基質特異性を変更し、pH最適性を変更し、そして同様のものであるアミノ酸変更が行われ得る。
【0043】
好ましくは、配列番号2のアミノ酸1〜233に比較して、そのような置換、欠失、及び/又は挿入の数は、多くとも10、例えば多くとも9、例えば多くとも8、より多くとも7、例えば多くとも6、例えば多くとも5、最も好ましくは多くとも4、例えば多くとも3、例えば多くとも2、特に多くとも1である。
【0044】
もう1つの態様においては、本発明は、配列番号1のヌクレオチド84〜782の相補的鎖から成るポリヌクレオチドプローブに、非常に低い緊縮条件、好ましくは低い緊縮条件、より好ましくは中位の緊縮条件、より好ましくは中位の高い緊縮条件、さらにより好ましくは高い緊縮条件、及び最も好ましくは非常に高い緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる、リゾチーム活性を有するポリペプチドに関する(J.Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatus, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d edition, Cold Spring Harbor, New York)。
【0045】
配列番号1のヌクレオチド配列又はその副配列、及び配列番号2のそのアミノ酸配列又はそのフラグメントは、当業者において良く知られている方法に従って、異なった属又は種の株からのリゾチーム活性を有するポリペプチドをコードするDNAを同定し、そしてクローン化するようポリヌクレオチドプローブを企画するために使用され得る。特に、そのようなプローブは、そこにおける対応する遺伝子を同定し、そして単離するために、標準のサザンブロット方法に従って、興味ある属又は種のゲノム又はcDNAとのハイブリダイゼーションのために使用され得る。そのようなプローブは、完全な配列よりも相当に短いが、しかし少なくとも15、好ましくは少なくとも25、より好ましくは少なくとも35個、例えば少なくとも70個の長さのヌクレオチドであるべきである。
【0046】
しかしながら、好ましくは、ヌクレオチドプローブは、少なくとも100個の長さのヌクレオチドである。例えば、ポリヌクレオチドプローブは、少なくとも200個の長さのヌクレオチド、少なくとも300個の長さのヌクレオチド、少なくとも400個の長さのヌクレオチド、又は少なくとも500個の長さのヌクレオチドであり得る。さらに長いプローブ、例えば少なくとも600個の長さのヌクレオチド、少なくとも700個の長さのヌクレオチド、少なくとも800個の長さのヌクレオチド又は少なくとも900個の長さのヌクレオチドであるポリヌクレオチドプローブが使用され得る。DNA及びRNAの両プローブが使用され得る。プローブは典型的には、その対応する遺伝子を検出するために、例えば32P, 3H, 35S, ビオチン又はアビジンによりラベルされる。
【0047】
従って、そのような他の生物から調製されるゲノムDNA又はcDNAライブラリーは、上記プローブとハイブリダイズし、そしてリゾチーム活性を有するポリペプチドをコードするDNAについてスクリーンされ得る。そのような生物からのゲノム又は他のDNAは、アガロース又はポリアクリルゲル電気泳動又は他の分離技法により分離され得る。ライブラリーからのDNA又は分離されたDNAは、ニトロセルロース又は他の適切なキャリヤー材料にトランスファーされるか、又は固定され得る。配列番号1と相同であるクローン又はDNAを同定するために、固定されたDNAを有するキャリヤー材料がサザンブロットに使用される。
【0048】
本発明のためには、ハイブリダイゼーションは、ヌクレオチド配列が、非常に低い〜非常に高い緊縮条件下で、配列番号1で示されるヌクレオチド配列にハイブリダイズする、ラベルされたポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズすることを示す。ポリヌクレオチドプローブがそれらの条件下でハイブリダイズする分子は、X−線フィルムを用いて、又は当業界において知られているいずれか他の方法により検出され得る。用語“ポリヌクレオチドプローブ”が本明細書において使用される場合、そのようなプローブは、少なくとも15個のヌクレオチドを含むことが理解されるべきである。
興味ある態様においては、ポリヌクレオチドプローブは、配列番号1のヌクレオチド84〜782の相補的鎖である。
【0049】
もう1つの興味ある態様においては、ポリヌクレオチドプローブは、配列番号2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の相補的鎖である。さらに興味ある態様においては、ポリヌクレオチドプローブは、配列番号1の相補的鎖である。さらに興味ある態様においては、ポリヌクレオチドプローブは、配列番号1の成熟ポリペプチドコード領域の相補的鎖である。
【0050】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長さのプローブに関して、非常に低い〜非常に高い緊縮条件は、標準のサザンブロット方法に従っての、5×SSPE, 1.0%SDS, 5X Denhardt 溶液、100μg/ml の剪断され、そして変性されたサケ精子DNAにおける42℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションとして定義される。好ましくは、少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長いプローブは、1000個よりも多くのヌクレオチドを含まない。
【0051】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長さプローブに関しては、キャリヤー材料は最終的に、2×SSC, 0.1%SDS溶液を用いて、42℃でそれぞれ15分間、3度(非常に低い緊縮)、好ましくは0.5×SSC, 0.1%SDS溶液を用いて、42℃でそれぞれ15分間、3度(低い緊縮)、より好ましくは0.2×SSC, 0.1%SDS溶液を用いて、42℃でそれぞれ15分間、3度(中位の緊縮)、さらにより好ましくは0.2×SSC, 0.1%SDS溶液を用いて、55℃でそれぞれ15分間、3度(中位の高い緊縮)、最も好ましくは0.1×SSC, 0.1%SDS溶液を用いて、60℃でそれぞれ15分間、3度(高い緊縮)、特に0.1×SSC, 0.1%SDS溶液を用いて、68℃でそれぞれ15分間、3度(非常に高い緊縮)、洗浄される。
【0052】
特別には好ましいものではないが、短いプローブ、例えば約15〜99個の長さのヌクレオチド、例えば約15〜約70個の長さのヌクレオチドであるプローブがまた使用され得る。そのような短いプローブに関しては、緊縮条件は、0.9MのNaCl、0.09Mのトリス−HCl, pH7.6、 6mM のEDTA、 0.5%のNP-40, 1×Denhardt’s溶液、1mMのピロリン酸ナトリウム、1mMの一塩基性リン酸ナトリウム、0.1mMのATP及び0.2mgの酵母RNA(ml当たり)における、Bolton and McCarthy(1962、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 48: 1390)に従って計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度での標準のサザンブロット方法に従ってのプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、及び後−ハイブリダイゼーション洗浄として定義される。
【0053】
約15個〜約99個の長さのヌクレオチドである短いプローブに関しては、キャリヤー材料は、6×SSC及び0.1%SDSにより15分間、1度、及び6×SSCを用いて、計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度でそれぞれ15分間、2度、洗浄される。
【0054】
リゾチーム活性:
いくつかのアッセイが、リゾチーム活性の測定のために記載されている。J. Biochem. (H. Maeda, 1980, vol. 88 (4): 1185-1191)に記載される1つのアッセイは、ミクロコーカス・リソデイキチカス(Micrococcus lysodeikticus)から得られる、基質としてのフルオレセイン−ラベルされたペプチドグリカンを用いての蛍光極性化又は蛍光強度のいずれかに基づかれている。
【0055】
もう1つのアッセイは、リゾチームにより引起され、そして450nmでモニターされるミクロコーカス・ルテウス(Micrococcus luteus)懸濁液のクリアランスに基づかれ、そして既知活性のリゾチーム標準に比較される。このアッセイは、FIP Center for Standards, International Commission on Pharmaceutical Enzymes, 72, B-9000 gent, Belgiumで開発された。このアッセイは、凍結乾燥された生存性M. ルテウスATCC4698細胞の使用を必要とする。この基質は、the Center of Standards及び詳細なプロトコールから入手できる。
【0056】
もう1つのアッセイ、すなわちEnzChek(商標) Lysozyme Assay Kit (E-22013)は、Molecular Probesから入手でき、そしてフルオレセインによりラベルされるミクロコーカス・リソデイキチカス細胞壁に対するリゾチームの活性の測定に基づかれる。
【0057】
リゾチーム活性を有するポリペプチドのための源:
本発明のポリペプチドは、菌類ポリペプチドである。“菌類”とは、本明細書において使用される場合、門アスコミコタ(Ascomycota)、バシジオミコタ(Basidiomycota)、キトリジオミコタ(Chytridiomycota)及びヅイゴミコタ(Zygomycota)(Hawksworth など., Ainsworth and Bisby’s Dictionary of the Fungi, 8th edition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge, UKにより定義される)、及びオーミコタ(Oomycota)(Hawksworth など., 1995, 前記、171ページに引用される)、並びに栄養胞子菌(Hawksworh など., 1995, 前記)を包含する。
【0058】
特定の態様においては、菌類宿主細胞は酵母細胞である“酵母”とは、本明細書において使用される場合、子嚢胞子酵母(Endomycetals)、担子胞子酵母、及び不完全菌類(Blastomycetes)に属する酵母を包含する。酵母の分類は未来において変化し得るので、本発明のためには、酵母は、Biology and Activities of Yeast (Skinner, F.A., Passmore, S.M., and Davenport, R.R., eds. Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980) に記載のようにして定義されるであろう。
【0059】
特定の態様においては、酵母ポロペプチドは、カンジダ(Candida)、クレベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)又はヤロウィア(Yarrowia)ポロペプチドである。興味ある態様においては、前記ポリペプチドは、サッカロミセス・カルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyses cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイビリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensisi)、又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)ポリペプチドである。
【0060】
もう1つの特定の態様においては、本発明の菌類ポリペプチドは、糸状菌ポリペプチド、例えばアクレモニウム(Acremonium)、アスペルギラス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、クリプトコーカス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フサリウム(Fusarium)、ヒューミコラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコル(Mucor)、ミセリオプソラ(Myceliophthora)、ネオカリマスチックス(Neocallimastix)、ネウロスポラ(Neurospora)、パエシリオミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicilium)、ピロミセス(Piromyces)、シゾフィラム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスクス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)又はトリコダーマ(Trichoderma)ポリペプチドである。
【0061】
もう1つの興味ある態様においては、前記ポリペプチドは、アスペルギラス・アチュレアタス、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・ホエチダス、アスペルギラス・ジャポニカ、アスペルギラス・ニジュランス、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・オリザエ、フサリウム・バクトリジオイデス、フサリウム・クロックウェレンズ 、フサリウム・セレアリス、フサリウム・クルモラム、フサリウム・グラミネアラム、フサリウム・グラミナム、フサリウム・ヘテロスポラム、フサリウム・ネグンジ、フサリウム・オキシスポラム、フサリウム・レチキュラタム、フサリウム・ロゼウム、フサリウム・サムブシウム、フサリウム・サルコクロウム、フサリウム・ソラニ、フサリウム・スポロトリキオイデス、フサリウム・スルフレウム、フサリウム・トルロサム、フサリウム・トリコセシオイデス又はフサリウム・ベネナタム、ヒューミコラ・インソレンス、ヒューミコラ・ラヌギノサ、ムコル・ミエヘイ、ミセリオプソラ・サーモフィリア、ネウロスポラ・クラサ、ペニシリウム・プルプロゲナム、チエラビア・テレストリス、トリコダーマ・ハルジアナム、トリコダーマ・コニンギ、トリコダーマ・ロンジブラキアタム、トリコダーマ・レセイ又はトリコダーマ・ビリデポリペプチドである。
【0062】
前述の種に関しては、本発明は完全及び不完全状態の両者、及び他の分類学的同等物、例えばアナモルフを、それらが知られている種の名称にかかわらず、包含することが理解されるであろう。当業者は適切な同等物の正体を容易に理解するであろう。
それらの種の株は、次の多くの培養物寄託所から容易に入手できる:American Type Culture Collection (ATCC), Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSM), Centraalbureau Voor Schimmelcaltures (CBS), 及びAgricultural Research Service Patent Culture Collection, Northern Regional Research Center (NRRL)。
【0063】
さらに、そのようなポリペプチドは、他の源、例えば天然源(例えば、土壌、培養土、水、等)から単離された微生物から、上記プローブを用いて同定され、そして得られる。天然の生息地から微生物を単離する技法は当業界において良く知られている。次に、核酸配列は、もう1つの微生物のゲノム又はcDNAライブラリーを同様にスクリーニングすることによって誘導され得る。ポリペプチドをコードする核酸配列がプローブにより検出されると、配列は当業者に知られている技法を用いることによって同定され、又はクローン化され得る(例えば、J. Sambrook, 前記 を参照のこと)。
【0064】
本発明のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドはまた、もう1つのポリペプチドが前記ポリペプチド又はフラグメントのN−末端又はC−末端で融合されている、融合された又は切断可能な融合ポリペプチドも包含することができる。融合されたポリペプチドは、1つのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(又はその一部)を、本発明のヌクレオチド配列(又はその一部)に融合することによって生成される。融合ポリペプチドを生成するための技法は、当業界において知られており、そしてポリペプチドをコードするコード配列を、それらが整合して存在し、そして融合されたポリペプチドの発現が同じプロモーター及びターミネーターの制御下にあるよう、連結することを包含する。
【0065】
ポリヌクレオチド及びヌクレオチド配列:
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにも関する。特に、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列から成るポリヌクレオチドに関する。特定の態様においては、ヌクレオチド配列は、配列番号1で示される。さらに特定の態様においては、ヌクレオチド配列139−724は、配列番号1の成熟ポリペプチドコード領域である。
本発明はまた、遺伝子コードの宿重により配列番号1とは異なる、配列番号2のアミノ酸配列から成るポリペプチド、又はその成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有し、好ましくはそれらから成るポリヌクレオチドを包含する。
【0066】
本発明はまた、リゾチーム活性を有する、配列番号2のフラグメントをコードする配列番号1の副配列を有し、好ましくはそれから成るポリヌクレオチドに関する。配列番号1の副配列は、配列番号1により包含されるヌクレオチド配列であり、但しその5’及び/又は3’末端から1又は複数のヌクレオチドが欠失されている。
本発明はまた、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列に少なくとも1つの修飾を含んで成る修飾されたヌクレオチド配列を有し、好ましくはそれらか成るポリヌクレオチドに関し、ここで前記修飾されたヌクレオチド配列は、配列番号2のアミノ酸19〜233から成るポリペプチドをコードする。
【0067】
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を単離し、又はクローン化するために使用される技法は、当業界において知られており、そしてゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、又はそれらの組み合わせを包含する。そのようなゲノムDNAからの本発明のヌクレオチド配列のクローニングは、例えば良く知られているポリメラーゼ鎖反応(PCR)、又は共有する構造特徴を有するクローン化されたDNAフラグメントを検出するために発現ライブラリーの抗体スクリーニングを用いることによってもたらされ得る。例えば、Innisなど., 1990, PCR: A Guide to Methods and Application; Academic Press, New York を参照のこと。他の増幅方法、例えばリガーゼ鎖反応(LCR)、連結された活性化転写(LAT)及びヌクレオチド配列に基づく増幅(NASBA)が使用され得る。ヌクレオチド配列は、ストレプトコーカス株、又は他の又は関連する生物からクローン化され得、そして従って、ヌクレオチド配列のポリペプチドコード領域の対立遺伝子又は種変異体であり得る。
【0068】
ヌクレオチド配列は、それが再生されるであろう異なった部位にその天然の位置からヌクレオチド配列を移動するために、遺伝子工学において使用される標準のクローニング方法により得られる。クローニング方法は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る所望するフラグメントの切除及び単離、そのフラグメントのベクター分子中への挿入、及びその組換えベクターの宿主細胞への組込みを包含し、ここで前記ヌクレオチド配列の複数のコピー又はクローンが複製され得る。そのヌクレオチド配列は、半合成、合成起源のゲノム、cDNA、RNA、又はそのいずれかの組合せであり得る。
【0069】
本発明はまた、配列番号1のヌクレオチド84〜782と少なくとも65%の同一性を有するヌクレオチドを有し、好ましくはそれから成るポリヌクレオチドに関する。好ましくは、ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド84〜782と少なくとも70%の同一性、例えば少なくとも80%の同一性、例えば少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性、例えば少なくとも96%の同一性、例えば少なくとも97%同一性、さらにより好ましくは少なくとも98%の同一性、例えば少なくとも99%の同一性を有する。特に、ヌクレオチド配列は、リゾチーム活性を有するポリペプチドをコードする。2種のヌクレオチド配列間の同一性の程度は、前記のようにして決定される(“定義”セクションを参照のこと)。
【0070】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の修飾は、配列番号2のアミノ酸1〜233に比較して、少なくとも1つの置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドの合成のために必要である。それらの人工変異体は、その天然源から単離されたポリペプチド、すなわち比活性、熱安定性、pH最適性又は同様のものにおいて異なる変異体とは、いくらかの構築手段において異なる。
【0071】
そのような置換は、分子の機能に対して決定的である領域外で行われ、そしてさらに活性ポリペプチドをもたらすことは、当業者に明らかであろう。本発明の単離されたヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの活性に必須であり、そして従って、好ましくは修飾、例えば置換を受けやすくないアミノ酸残基は、当業界において知られている方法、たとえば特定部位の突然変異誘発又はアラニン−走査突然変異誘発に従って同定され得る(たとえば、Cunningham and Wells, 1989, Science 244: 1081-1085を参照のこと)。
【0072】
後者の技法においては、突然変異は分子における正に荷電された残基ごとに導入され、そしてその得られる変異体分子は、分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定するためにリゾチーム活性(例に記載されるような)について試験される。基質−酵素相互作用の部位はまた、核磁気共鳴分析、クリスタログラフィー又は光親和性ラベリングのような技法により決定されるように、立体構造体の分析により決定され得る(たとえば、de Vos など., 1992, Science 255: 306-312; Smith など., 1992, Journal of Molecular Biology 224: 899-904; Wlodaver など., 1992, FEBS Letters 309: 59-64を参照のこと)。
【0073】
さらに、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドのもう1つのアミノ酸配列を生ぜしめないが、しかし酵素の生成のために意図された宿主生物のコドン使用法に対応するヌクレオチド置換の導入により修飾され得る。
【0074】
1つのヌクレオチドをもう1つのヌクレオチドにより交換するためへのヌクレオチド配列中への突然変異の導入は、当業界において知られているいずれかの方法を用いて、特定部位の突然変異誘発により達成され得る。興味ある挿入体を有する、超らせん二本鎖DNAベクター及び所望する突然変異を含む2種の合成プライマーを用いる方法が特に有用である。ベクターの反対鎖に対してそれぞれ相補的なオリゴヌクレオチドプライマーは、Pfu DNAポリメラーゼによる温度サイクリングの間、延長する。
【0075】
プライマーの組み込みに基づいて、付着されたニッケルを含む突然変異誘発されたプラスミドが生成される。温度サイクリングに続いて、生成物は、親DNA鋳型を消化し、そして突然変異−含有の合成されたDNAについて選択するために、メチル化され、そしてヘミメチル化されたDNAに対して特異的であるDpnIにより処理される。当業界において知られている他の方法もまた使用され得る。ヌクレオチド置換の一般的な記載については、Ford など., 1991, Protein Expression and Purification 2: 95-107を参照のこと。
【0076】
本発明はまた、リゾチーム活性を有するポリペプチドをコードし、そして配列番号1のヌクレオチド84〜782の相補的鎖から成るポリヌクレオチドプローブに、非常に低い緊縮条件、好ましくは低い緊縮条件、より好ましくは中位の緊縮条件、より好ましくは中位の高い緊縮条件、さらにより好ましくは高い緊縮条件、及び最も好ましくは非常に高い緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有し、好ましくはそれから成るポリヌクレオチドに関する。
【0077】
理解されるように、ヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションに関する詳細及び特徴は、本明細書における標題“リゾチーム活性を有するポリペプチド”のセクションに論じられるハイブリダイゼーションと同じか又は類似するであろう。
【0078】
核酸構造体:
本発明はまた、適切な宿主細胞におけるコード配列の発現を、制御配列と適合できる条件下で指図する、1又は複数の制御配列に作用可能に結合される本発明のヌクレオチド配列を含んで成る核酸構造体に関する。
【0079】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、ポリペプチドの発現を提供するために種々の手段で操作され得る。ベクター中へのヌクレオチド配列の挿入の前、そのヌクレオチド配列の操作は、発現ベクターに依存して、所望されるか又は必要とされ得る。組換えDNA方法を用いてヌクレオチド配列を修飾するための技法は、当業界において良く知られている。
【0080】
制御配列は、適切なプロモーター配列、すなわちヌクレオチド配列の発現のために宿主細胞により認識されるヌクレオチド配列であり得る。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含む。プロモーターは、宿主細胞において転写活性を示すいずれかのヌクレオチド配列、たとえば変異体の、切断された、及びハイブリッドのプロモーターであり得、そして宿主細胞に対して相同であるか又は異種である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。
【0081】
糸状菌宿主細胞における本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモーターの例は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・アワモリグルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコル・ミエヘイリパーゼ、アスペルギラス・オリザエ アルカリプロテアーゼ、アスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスアセトアミダーゼ、及びフサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼ(WO96/00787号)をコードする遺伝子から得られるプロモーター、並びにアスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ及びアスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼをコードする遺伝子からのプロモーターのハイブリッド、及びそれらの変異体の切断され、及びハイブリッドのプロモーターである。
【0082】
酵母宿主においては、有用なプロモーターは、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビシアエガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)、及びサッカロミセス・セレビシアエ3−ホスホグリセレートキナーゼから得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、Romunosなど., 1992, Yeast8:423−488により記載される。
【0083】
制御配列はまた、適切な転写ターミネーター配列、すなわち転写を終結するために宿主細胞により認識される配列でもあり得る。ターミネーター配列は、前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’側末端に作用可能に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのターミネーターが本発明において使用され得る。
【0084】
糸状菌宿主細胞のための好ましいターミネーターは、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスアントラニル酸シンターゼ、アスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼ及びフサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼについての遺伝子から得られる。
【0085】
酵母宿主細胞のための好ましいターミネーターは、サッカロミセス・セレビシアエエノラーゼ、サッカロミセス・セレビシアエチトクロムC(CYC1)、及びサッカロミセス・セレビシアエグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼについての遺伝子から得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターは、Romanosなど., 1992, 前記により記載される。
【0086】
制御配列はまた、適切なリーダー配列、すなわち宿主細胞による翻訳のために重要であるmRNAの非翻訳領域でもあり得る。リーダー配列は、前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の5’末端に作用可能に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのリーダー配列が、本発明において使用され得る。
糸状菌宿主細胞のための好ましいリーダーは、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランストリオースリン酸イソメラーゼについての遺伝子から得られる。
【0087】
酵母宿主細胞のための適切なリーダーは、サッカロミセス・セレビシアエエノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセル・セレビシアエ3−ホスホグリセレートキナーゼ、サッカロミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)についての遺伝子から得られる。
【0088】
制御配列はまた、ポリアデニル化配列、すなわちヌクレオチド配列の3’末端に操作可能に連結され、そして転写される場合、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するためにシグナルとして宿主細胞により認識される配列でもあり得る。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのポリアデニル化配列が,本発明において使用される。
糸状菌宿主細胞のための好ましいポリアデニル化配列は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、アスペルギキラス・ニジュランスアントラニル酸シンターゼ、フサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼ及びアスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼについての遺伝子から得られる。
【0089】
酵母宿主細胞のための有用なポリアデニル化配列は、Guo and Sherman, 1995, Molecular Cellular Biology 15: 5983-5990により記載されている。
【0090】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に連結されるアミノ酸配列をコードし、そしてそのコードされたポリペプチドを細胞の分泌路中に方向づけるシグナルペプチドコード領域でもあり得る。ヌクレオチド配列のコード配列の5’側末端は、本来、分泌されたポロペプチドをコードするコード領域のセグメントと翻訳読み取り枠を整合して、天然において連結されるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。他方では、コード配列の5’側末端は、そのコード配列に対して外来性であるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。そのコード配列が天然において、シグナルペプチドコード領域を含まない外来性シグナルペプチドコード領域が必要とされる。他方では、外来性シグナルペプチドコード領域は、ポリペプチドの増強された分泌を得るために、天然のシグナルペプチドコード領域を単純に置換することができる。しかしながら、分泌路中に発現されたポリペプチドを方向づけるいずれかのシグナルペプチドコード領域が、本発明に使用され得る。
【0091】
シグナルペプチドコード領域は、配列番号2のアミノ酸1〜18をコードする、配列番号1のヌクレオチド84〜138である。
【0092】
糸状菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガー中性アミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイアスペラギン酸プロテイナーゼ、ヒューミコラ・インソレンスセルラーゼ及びヒューミコラ・ラヌギノサリパーゼについての遺伝子から得られたシグナルペプチドコート領域である。
【0093】
酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセル・セレビシアエインバーターゼについての遺伝子から得られる。他の有用なシグナルペプチドコード領域は、Romanos など., 1992, 前記により記載される。
【0094】
制御配列はまた、前記ポリペプチドのアミノ末端で位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域であり得る。得られるポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチド(又は多くの場合、チモーゲン)として知られている。プロポリペプチドは一般的に不活性であり、そしてプロポリペプチドからプロペプチドの触媒又は自己触媒分解により成熟した活性ポリペプチドに転換され得る。
【0095】
シグナルペプチド及びプロペプチド領域の両者がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、そのプロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そしてシグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の次に位置する。
【0096】
宿主細胞の増殖に関して、ポリペプチドの発現の調節を可能にする調節配列を付加することがまた所望される。調節システムの例は、調節化合物の存在を包含する、化学的又は物理的刺激に応答して、遺伝子の発現の開始又は停止を引き起こすそれらのシステムである。酵母における調節システムは、ADH2システム又はGAL1システムを包含する。糸状菌においては、TAKAα−アミラーゼプロモーター、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼプロモーター及びアスペルギラス・オリザエグルコアミラーゼプロモーターが、調節配列として使用さえ得る。調節配列の他の列は、遺伝子増幅を可能にするそれらの配列である。真核システムにおいては、それらはメトトレキセートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、及び重金属と共に増幅されるメタロチオネイン遺伝子を包含する。それらの場合、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、調節配列により作用可能に連結される。
【0097】
発現ベクター:
本発明はまた、本発明の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクターにも関する。上記の種々のヌクレオチド及び制御配列は、1又は複数の便利な制限部位でポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入又は置換を可能にするためにそれらの部位を含むことができる組換え発現ベクターを生成するために一緒に連結され得る。他方では、本発明のヌクレオチド配列は、前記配列又は前記配列を含んで成る核酸構造体を、発現のための適切なベクター中に挿入することによって発現され得る。発現ベクターを創造する場合、そのコード配列はベクターに位置し、その結果、コード配列は発現のための適切な制御配列により作用可能に連結される。
【0098】
組換え発現ベクターは、組換えDNA方法に便利にゆだねられ得、そしてヌクレオチド配列の発現をもたらすことができるいずれかのベクター(例えば、プラスミド又はウィルス)であり得る。ベクターの選択は典型的には、ベクターが導入される予定である宿主細胞とベクターとの適合性に依存するであろう。ベクターは、線状又は閉環された環状プラスミドであり得る。
【0099】
ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち染色体存在物として存在するベクター(その複製は染色体複製には無関係である)、たとえばプラスミド、染色体外要素、ミニクロモソーム又は人工染色体であり得る。
【0100】
ベクターは自己複製を確かめるためのいずれかの手段を含むことができる。他方では、ベクターは、糸状菌細胞中に導入される場合、ゲノム中に組み込まれ、そしてそれが組み込まれている染色体と一緒に複製されるベクターであり得る。さらに、宿主細胞のゲノム中に導入される全DNA又はトランスポゾンを一緒に含む、単一のベクター又はプラスミド、又は複数のベクター又はプラスミドが使用され得る。
【0101】
本発明のベクターは好ましくは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1又は複数の選択マーカーを含む。選択マーカーは、1つの遺伝子であり、その生成物は、殺生物剤又はウィルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求性に対する原栄養要求性、及び同様のものを提供する。
【0102】
酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1及びURA3である。糸状菌宿主細胞に使用するための選択マーカーは、次の群から選択されるが、但しそれらだけには限定されない;amdS (アセトアミダーゼ)、argB (オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar (ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hygB (ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD (硝酸レダクターゼ)、pyrG (オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC (硫酸アデニルトランスフェラーゼ) 及びtrpC (アントラニル酸シンターゼ)、並びにそれらの同等物。
【0103】
アスペルギラス・ニジュランス又はアスペルギラス・オリザエのamdS及びpyrG遺伝子及びストレプトミセス・ヒグロスコピカスのbar遺伝子が、アスペルギラス細胞への使用のために好ましい。
本発明のベクターは好ましくは、宿主細胞ゲノム中へのベクターの安定した組み込み、又は細胞のゲノムに無関係に細胞におけるベクターの自律的複製を可能にする要素を含む。
【0104】
宿主細胞のゲノム中への組み込みのためには、ベクターは、相同又は非相同組換えによるゲノム中へのベクターの組み込みのためのベクター中の変異体、又はいずれか他の要素をコードするヌクレオチド配列に依存する。他方では、ベクターは、宿主細胞のゲノム中への相同組換えによる組み込みを方向づけるための追加のヌクレオチド配列を含むことができる。その追加のヌクレオチド配列は、染色体における正確な位置での宿主細胞ゲノム中へのベクターの組み込みを可能にする。正確な位置での組み込みの可能性を高めるために、組み込み要素は好ましくは、相同組換えの可能性を高めるために対応する標的配列と高い相同性を示す十分な数の核酸、たとえば100〜1,500個の塩基対、好ましくは400〜1,500個の塩基対、及び最も好ましくは800〜1,500個の塩基対を含むべきである。組み込み要素は、宿主細胞のゲノムにおける標的配合と相同であるいずれかの配列であり得る。さらに、組み込み要素は、非コード又はコードヌクレオチド配列であり得る。他方では、ベクターは非相同組換えにより宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得る。
【0105】
自律複製のためには、ベクターはさらに、問題の宿主細胞においてのベクターの自律的な複製を可能にする複製の起点を含んで成る。酵母宿主細胞への使用のための複製の起点の例は、複製の2ミクロン起点、すなわちARS1, ARS4, ARS1及びCEN3の組み合わせ、及びARS4及びCEN6の組み合わせである。複製の起点は、宿主細胞においてその機能を感温性にする突然変異を有する起点である(例えば、Ehrlich, 1978, Procedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1433を参照のこと)。
【0106】
本発明のヌクレオチド配列の1以上のコピーが、遺伝子生成物の生成を高めるために宿主細胞中に挿入され得る。ヌクレオチド配列のコピー数の上昇は、宿主細胞ゲノム中に配列の少なくとも1つの追加のコピーを組み込むことによって、又はヌクレオチド配列と共に増幅可能な選択マーカー遺伝子を含むことによって得られ、ここで細胞は選択マーカー遺伝子の増幅されたコピーを含み、そしてそれにより、ヌクレオチド配列の追加のコピーが、適切な選択剤の存在下で前記細胞を培養することによって選択され得る。
本発明の組換え発現ベクターを構成するために上記要素を連結するために使用される方法は、当業者に良く知られている(例えば、Sambrookなど., 1989, 前記を参照のこと)。
【0107】
宿主細胞:
本発明はまた、ポリペプチドの組換え生成において都合良く使用される、本発明の核酸配列を含んで成る組換え宿主にも関する。本発明のヌクレオチド配列を含んで成るベクターは、そのベクターが染色体組み込み体として、又は前記のような自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入される。
宿主細胞は、真核細胞、例えば哺乳類、昆虫、植物又は菌類細胞であり得る。クローニング目的のためには、宿主細胞は細菌細胞、例えばE. コリ細胞であり得る。
【0108】
好ましい態様においては、宿主細胞は菌類細胞である“菌類”とは、本明細書において使用される場合、門アスコミコタ(Ascomycota)、バシジオミコタ(Basidiomycota)、キトリジオミコタ(Chytridiomycota)及びヅイゴミコタ(Zygomycota)(Hawksworth など., Ainsworth and Bisby’s Dictionary of the Fungi, 8th edition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge, UKにより定義される)、及びオーミコタ(Oomycota)(Hawksworth など., 1995, 前記、171ページに引用される)、並びに栄養胞子菌(Hawksworh など., 1995, 前記)を包含する。
【0109】
より好ましい態様においては、菌類宿主細胞は酵母細胞である“酵母”とは、本明細書において使用される場合、子嚢胞子酵母(Endomycetals)、担子胞子酵母、及び不完全菌類(Blastomycetes)に属する酵母を包含する。酵母の分類は未来において変化し得るので、本発明のためには、酵母は、Biology and Activities of Yeast (Skinner, F.A., Passmore, S.M., and Davenport, R.R., eds. Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980) に記載のようにして定義されるであろう。
【0110】
さらにより好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hunsenula)、クレベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)又はヤロウィア(Yarrowia)である。
【0111】
最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、サッカロミセス・カルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyses cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイビリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensisi)、又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)である。もう1つの最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。
【0112】
もう1つのより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は糸状菌細胞である。“糸状菌”とは、ユーミコタ(Eumycota)及びオーミコタ(Oomycota)のすべての糸状形を包含する(Hawksworthなど., 1995, 前記により定義されるような)。糸状菌は一般的に、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン及び他の複合多糖類から構成される菌子体壁により特徴づけられる。成長増殖は、菌子拡張によってであり、そして炭素代謝は絶対好気性である。対照的に、酵母、たとえばサッカロミセス・セレビシアエによる成長増殖は、単細胞葉状体の発芽によってであり、そして炭素代謝は発酵性である。
【0113】
さらにより好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギラス(Aspergillus)、フサリウム(Fusarium)、ヒューミコラ(Humicola)、ムコル(Mucor)、ミセリオプソラ(Myceliophthora)、ネウロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicilium)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)又はトリコダーマ(Trichoderma)の種の細胞であるが、但しそれらだけには限定されない。
【0114】
最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・ホエチダス、アスペルギラス・ジャポニカ、アスペルギラス・ニジュランス、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・オリザエ細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、フサリウム・バクトリジオイデス、フサリウム・クロックウェレンズ 、フサリウム・セレアリス、フサリウム・クルモラム、フサリウム・グラミネアラム、フサリウム・グラミナム、フサリウム・ヘテロスポラム、フサリウム・ネグンジ、フサリウム・オキシスポラム、フサリウム・レチキュラタム、フサリウム・ロゼウム、フサリウム・サムブシウム、フサリウム・サルコクロウム、フサリウム・ソラニ、フサリウム・スポロトリキオイデス、フサリウム・スルフレウム、フサリウム・トルロサム、フサリウム・トリコセシオイデス又はフサリウム・ベネナタム細胞である。
【0115】
さらに最も好ましい態様においては、糸状菌親細胞は、フサリウム・ベネナタム(Nirenberg sp. nov.)細胞である。さらに最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、ヒューミコラ・インソレンス、ヒューミコラ・ラヌギノサ、ムコル・ミエヘイ、ミセリオプソラ・サーモフィリア、ネウロスポラ・クラサ、ペニシリウム・プルプロゲナム、チエラビア・テレストリス、トリコダーマ・ハルジアナム、トリコダーマ・コニンギ、トリコダーマ・ロンジブラキアタム、トリコダーマ・レセイ又はトリコダーマ・ビリデ細胞である。
【0116】
菌類細胞は、プロトプラスト形質転換、プロトプラストの形質転換、及びそれ自体知られている態様での細胞壁の再生を包含する工程により形質転換され得る。アスペルギラス宿主細胞の形質転換のための適切な方法は、ヨーロッパ特許第238023号及びYeltonなど., 1984, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81; 1474-1874に記載される。フラリウム種を形質転換するための適切な方法は、Malardierなど., 1989, Gene78: 147-156, 及びWO96/00787号により記載される。酵母は、Becker and Guarente. In Abelson, J.N. and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, Volume 194, pp 182-187, Academic Press, Inc., New York; Ito など, 1983, Journal of Bacteriology 153: 163; 及びHinnen など, 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75; 1920により記載される方法を用いて形質転換され得る。
【0117】
生成方法:
本発明はまた、(a)ポリペプチドを生成できる菌株を培養し;そして(b)ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関する。好ましくは、前記菌株は、アスペルギラス属の株、及び好ましくは、アスペルギラス・オリザエである。
【0118】
本発明はまた、(a)ポリペプチドの生成を助ける条件下で宿主細胞を培養し;そして(b)ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関する。
【0119】
本発明の生成方法においては、細胞は、当業界において知られている方法を用いて、ポリペプチドの生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、ポリペプチドの発現及び/又は単離を可能にする、適切な培地において、及び条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは培地から直接的に回収され得る。ポリペプチドが分泌されない場合、それは細胞溶解物から回収され得る。
【0120】
ポリペプチドは、そのポリペプチドに対して特異的である、当業界において知られている方法を用いて検出され得る。それらの検出方法は、特定の抗体、酵素生成物の形成、又は酵素基質の消出の使用を包含する。例えば、酵素アッセイは、本明細書に記載されるようなポリペプチドの活性を決定するために使用され得る。
得られるポリペプチドは、当業界において知られている方法により回収され得る。例えば、ポリペプチドは、従来の方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧−乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から回収され得る。
【0121】
本発明のポリペプチドは、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS−PAGE又は抽出(但し、それらだけには限定されない)により精製され得る(例えば、Protein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publlishers, New York, 1989を参照のこと)。
【0122】
組成物:
更なる追加の観点においては、本発明は、本発明のポリペプチドを含んでなる組成物に関する。
【0123】
組成物は、主要酵素成分、例えば単一成分組成として本発明のポリペプチドを含んで成る。他方では、組成物は、複数の酵素活性、例えばアミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インバーターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ又はキシラナーゼを含んで成る。
【0124】
組成物は、当業界において知られている方法に従って調製され得、そして液体又は乾燥組成物の形で存在することができる。例えば、ポリペプチド組成物は、顆粒又は微粒子の形で存在することができる。組成物に包含されるべきポリペプチドは、当業界において知られている方法に従って安定化され得る。
本発明のポリペプチド組成物の好ましい使用の例は下記に与えられる。本発明のポリペプチド組成物の用量、及び組成物が使用される他の条件は、当業界において知られている方法に基づいて決定され得る。
【0125】
生物フィルム:
生物フィルムにおいて増殖する微生物は、従来の懸濁培養において増殖する同じ微生物よりも、すべてのタイプの抗微生物剤に対して低い感受性である。飢餓細菌が種々の抗微生物攻撃に対して低い感受性であることは良く知られている。例えば、多くの種類の抗生物質、例えばペニシリンは、遅いか又は非分裂性の細菌においては良好には遂行しない。リゾチームは、細菌の増殖状態にもかかわらず、ペプチドグリカン層を攻撃し、そして破壊するので、それは有効のまま存続する。
【0126】
生物フィルム制御;歯科用水系:
歯科用水素系内に構築する生物フィルムは、列挙するには、少数であるが、シュードモナス・アエロギノサ、プロテウス・ミラピリス、レイブネラsp.から成る生物フィルムを含むことができる。システム内の抗収縮弁の故障の結果として口内に一般的に見出される種のコロニー化の可能性がまた存在する。クロス感染の危険性は、免疫無防備状態の患者が関与し、そしてこの日及びこの年齢において、このカテゴリー内の患者の数が定常的に上昇し続ける場合、もちろん、より可能性ある危険性になる。歯科用水系における細菌生物フィルム蓄積の効果的な制御のための必要性がある。生物フィルムの再考は次の文献に見出され得る:Watnick P and Kolter R. (2000) Biofilm, city of microbes. J ; 182 (10): 2675-9。
【0127】
市販の喉用ロゼンジ製品の典型的な例は、BOEHRINGER INGELHEIM FRANCEにより製造されるLysopaincである。
【0128】
活性成分:
バシトラシン200U.I. (65iu/mgまで)
パパイン2mg〜30NK/mg
リゾチームクロロヒドレート5mg〜26000U FIP/mg:ユニットは緩衝液に懸濁された細菌の溶解のOD動力学を測定することにより決定された。ユニット決定は、緩衝液に懸濁された細菌培養物の濁り度の溶解誘発性変化により測定された。
【0129】
非活性成分:
サッカリン賦形剤
ステアリン酸マグネシウム賦形剤
メンソール芳香剤
ソルビトール賦形剤
ポイント感染の局部処理に関しては、咽頭部の頬側膜に制限される。一般的な細菌感染の臨床学的徴候が明白な場合、抗生物質療法が推薦されることを注意すること。
【0130】
歯磨き:
リゾチームは、単独で、又は他の酵素又はさらに抗菌ペプチドと組合して使用され得る。他の酵素の例:グルコースオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ。
リゾチームを含む典型的な歯磨き組成物は、Laclede Inc. 2030 East University Drive, Rancho Domiguez, CA 90220, USAによる“Biotene”である。
【0131】
成分:
活性成分:
ラクトペルオキシダーゼ(100mg)。
不活性成分:
グルコースオキシダーゼ、リゾチーム、一フルオロリン酸ナトリウム、ソルビトール、グリセリン、ピロリン酸カルシウム、水和化されたシリカ、ジリトール(Zylitol)、セルロースガム、風味剤、安息香酸ナトリウム、β−d−グルコース、チオシアン酸カリウム。
【0132】
洗剤組成物:
本発明のリゾチームは、洗剤組成物、特に7又はそれ以下のpHを有する液体洗剤に添加され得、そして従って、洗剤組成物の成分になることができる。
本発明の洗剤組成物は、手動又は機械洗濯用洗剤組成物、例えば染色された布の前処理のために適切な洗濯用添加剤組成物及びすすぎ用布ソフトナー組成物として配合され得、又は一般的な家庭用硬質表面洗浄操作における使用のための洗剤組成物として配合され得、又は手動又は機械皿洗い操作のために配合され得る。
【0133】
特定の観点においては、本発明は、本発明のリゾチームを含んで成る洗剤添加剤を提供する。前記洗剤添加剤及び洗剤組成物は、1又は複数の他の酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カーボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、例えばラッカーゼ及び/又はポロキシダーゼを含んで成ることができる。
一般的に、選択された酵素の性質は、選択された洗剤と適合できるべきであり(すなわち、他の酵素及び非酵素の成分、等とのpH−最適適合性)、そして酵素は効果的な量で存在すべきである。
【0134】
DNA組換え(シャフリング):
配列番号1のヌクレオチド配列は、DNAの組換え(又はシャフリング)工程において使用され得る。そのような工程において得られる新規ポリヌクレオチド配列は、改良された性質、例えば改良された安定性(貯蔵安定性、熱安定性)、改良された比活性、改良されたpH最適性及び/又は特定の化合物に対する改良された耐性と共にセロビアーゼ活性を有する新規ポリペプチドをコードすることができる。
【0135】
複数の相同入力ポリヌクレオチド(開始点ポリヌクレオチド)間のシャフリングは、多くのヌクレオチドフラグメントが入力ポリヌクレオチドに比較して交換される出力ポリヌクレオチド(すなわち、シャフリングサイクルにゆだねられたポリヌクレオチド)を得るために、ポリヌクレオチドのフラグメント化及びそのフラグメントの組換えを包含する。
DNA組換え又はシャフリングは、キメラ遺伝子のライブラリーが複数の出発遺伝子から生成される(部分的に)ランダム工程であり得る。多くの既知形式が、このシャフリング又は組換え工程を行うために使用され得る。
【0136】
前記工程は、アメリカ特許第5,605,793号、第5,811,238号、第5,830,721号、第6,117,679号に示されるように、親DNAのランダムフラグメンテーション、続く新規の十分な長さの遺伝子へのPCRによる再アセンブリーを包含することができる。遺伝子のインビトロ組換えは、例えばアメリカ特許第6,159,687号、WO98/41623号、アメリカ特許第6,159,688号、第5,965,408号、第6,153,510号に記載のようにして行われ得る。組換え工程は、WO97/07205号及びWO98/28416号に記載のようにして、生存細胞においてインビボで行われ得る。
【0137】
親DNAは、Kikuchiなど. (2000a, Gene236: 159-167) により記載のようにして、DNアーゼI処理により、又は制限エンドヌクレア−ゼ消化によりフラグメント化され得る。2種の親のシャフリングは、Kikuchiなど. (2000b, Gene243 : 133-137) に記載のようにして、2種の親の一本鎖親DNAをシャフリングすることにより行われ得る。
特定のシャフリング方法は、Crameriなど, 1998, Nature, 391: 288-291及びNassなど、Nature Biotechnology 17:893-896に記載される方法に従う。もう1つの型式は、アメリカ特許第6,159,687号:例1及び2に記載される方法である。
本発明は、次の例によりさらに説明されるが、但しそれらの例は本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0138】
例1
トラメテス・シンナバリナ(Trametes cinnabarina)、すなわちトラメテス・シンナバリナ(=ピクノポラス・シンナバリナス(Pycnoporus cinnabarinus))CBS114004、ポリポラセアエ(Polyporaceae)、ポリポラレス(Polyporales)、アグリコミセチダエ(Agricomycetidae)、バシジオミセテス(Basidiomycetes)、バシジオミコタ(Basidiomycota)からのGH25リゾチームのクローニング
前記株は、2002年9月、Wen Ping WuによりHuairou群、ペキン、中国から集められたカスタンナ・モリシマ(Castannna mollissima)の枯れ枝から単離された。株は、Wenping Wuにより2002年10月11日、トラメテス・シンナブラリナ(ピクノポラス・シンナバリナス)として最終的に同定された。その菌株は、Centraal Bureau voor Schimmelcultures, 8, P. O. Box 85167, 3508 AD Utrecht, The Netherlands, under the accession number CBS114004で、11月17日に寄託された。
【0139】
発酵及び酵素フィンガープリント
菌株CBS114004を、次の2種の培地において25℃で160rpmで6日間、発酵した:FG4及びMEX−1培地。培養流体を、標準の酵素フィンガープリントアッセイにより酵素活性アッセイについて試験した:培養流体の酵素フィンガープリント。酵素フィンガープリント:酵素活性プロフィールを、広い範囲の酵素アッセイに基づいて培養ブイヨンをアッセイすることにより得た。96ウェルマイクロタイター(MT)プレートを、基質により調製し、そして使用まで、+10℃で貯蔵された。2種の異なった次のpH変化を調製した:pH3及びpH7。
【0140】
次の基質を使用する:0.05%のAZCL(Mozurine染色され、そして架橋された基質、Megazyme)−アミロース、アラビナン、βグルカン(大麦)、カゼイン、コラーゲン、カードラン、デキストラン、ガラクタン(ジャガイモ)、ガラクトマンナン(イナゴマメ)、He−セルロース、プルラン、キシラン(オート麦)及びキシログルカン(AZCL−カゼインはpH3で使用されず、そして従って、それらのプレートから除外される)。基質の調製:pH3プレート:0.1gの個々のAZCL基質を、100mlの0.2M琥珀酸pH3+10μlのTriton X-100(0.01%)に溶解し、0.1%AZCLの最終濃度を得る。pH7プレート:0.1gの個々のAZCL基質を50mlの無菌H2O+10μlのTritonx-100(0.01%)に溶解する。50mlの0.4MのMOPS(pH7)を、個々の50mlのAZCLを得る。
【0141】
ラッカーゼ及びリパーゼ活性アッセイが包含され、そして次の通りに調製される:ラッカーゼ:0.2Mのリン酸/硼酸−緩衝液中、35mlの0.08mg/mlのChicago Sky Blue, pH9リパーゼ:ポリビニルアルコール(PVA)/大豆油エマルジョンを、2%PVA溶液と大豆油とを3:1の比で混合することにより調製する。ULTRA−TURRAXを用いて、前記油状物を乳化し、そして前記エマルジョン12mlを、10mMのCaCl2(pH5.5)及び5mlの0.2%クリスタルバイオレット溶液を含む0.2Mの酢酸ナトリウム緩衝液500mlと共に混合する。MTプレートを、Multidrop S20 Stacker, Titertek Instruments, Alabama, and USを用いて調製する。
【0142】
無菌の96ウェルMTプレートを使用する。200μlの個々のAZCL−基質及びリパーゼ基質、及び150μlのラッカーゼ基質を、MTウェルに分配し、そして30〜50μlの培養ブイヨンを個々の基質に添加し、そして26℃で一晩インキュベートする。結果の評点を、次の通りにアッセイにおいて用いる:0:活性なし、1:弱い活性、2:強い活性。菌糸体を、サンプルが多くの異なった酵素活性を示す場合、6日目に収穫し、そしてcDNAライブラリー構成のために使用されるまで、−80℃で貯蔵する。
【0143】
全RNAの単離
改良されたFenozol全RNA抽出方法(Active Motif, Inc,)を使用した。
材料:
Actve Motifカタログ番号2100からのFenozol
RNアーゼフリーのエペンドーフ管、先端
RNアーゼフリーのクロロホルム
RNアーゼフリーのイソプロパノール
RNアーゼフリーの96%及び70%エタノール
RNアーゼフリーの3MのNAOAc、pH5.2
フェノール−クロロホルムミックス
CIA(クロロホルム:イソアミルアルコール、24:1)
【0144】
次の材料を、250℃で12時間、焼いた。
石英砂
金属スプーン
乳鉢及び乳棒
150mlのガラスビーカー
【0145】
150mlの焼かれたガラスビーカー中、20mlのFenozol。保存された菌糸体(−80℃)を、前もって急冷された乳鉢及び乳棒を用いて、液体窒素下で、焼かれた石英砂により粉砕した。粉砕された材料を、スプーンによりビーカーに移し、そして急速に混合し、凍結された材料を、濃懸濁液に溶解した。材料を含むビーカーを、50℃の水浴に15分間、移した。次に、材料を、Oakridge管に移し、そして5mlの“RNアゼフリー”のクロロホルムを添加した。次に、サンプルを激しく、掻き混ぜ、そして次に、室温で10分間、放置した。管を、12,000gで室温で20分間、遠心分離し、そして次に、上部相を、新しいOakridge管に移した。等体積のフェノール−クロロホルム混合物を添加し、そして次に、サンプルを、同じ条件下で激しく掻き混ぜ、そして遠心分離した。
【0146】
サンプル(上部相)を、新しい管に移し、そして等体積のCIAを添加し、そして掻き混ぜ及び遠心分離段階を反復し、但しわずか10分間の遠心分離を行った。水性相を、新しい管に移し、そして6.25mlのイソプロパノールを添加し、混合し、そして次に、材料を室温で15分間インキュベートした。次に、管を、12,000gで4℃で30分間、遠心分離した。上清液を注意して除き、そして18mlの70%エタノールを注意して添加した。管を、12,000gで4℃で5分間、遠心分離し、そして次に、上清液を除き、そしてペレットを空気乾燥した。RNAペレットを、500μlのDEPC(ジメチルピロカーボネート)処理された水に再懸濁した。再懸濁を助けるために、65℃で10分間、加熱する。全RNAを、さらなる使用まで、−80℃で貯蔵した。
【0147】
ポリA富化されたRNA生成
Active MotifからのmTrap Midi mRNA単離キットを使用した(Active Motif, Europe)。ポリA富化されたRNAを、次の変性を用いて、製造業者の説明書に従って精製した:上記のようにして単離された全RNA懸濁液を、出発材料として使用した。プロテアーゼを含まない、溶解緩衝液15mlを、約20μgの全RNAに添加した。mRNA画分を、前記プロトコールに記載のようにしてカラムクロマトグラフィーにより溶出し、そして0.5kb及びそれ以上を表すプールをcDNA合成のために選択した。
【0148】
cDNAライブラリーの創造
Smart cDNA構成キット(K1051-1, BD Biosciences)を、次の変性を伴って使用した:第2鎖cDNA合成段階の後、材料を、製造業者の説明書(AP Pharma)に従ってGFX回転クロマトグラフィーにより精製し、そして材料85μlの脱イオン水に溶出した。Sfil消化の後、処理されたcDNAを、下記方法に従って、EtBrゲル精製によりサイズ分別した:
【0149】
1)1×TBE(オートクレーブされたLiChroSolv/HPLC +H2Oにおける)中、0.8% Sea Plaque LMPアガロースゲル+ゲル及び緩衝液中、ETBrを調製する。段階DからのSfil消化物100μlに充填様緩衝液を添加し、そしてサンプルを端に有するDNAマーカーにより、きれいな電気泳動セルにおいて一晩、15Vで実施する。
【0150】
2)UVボックス及び長い波長のUV(360nm)上で、cDNA及びDNAマーカーを可視化する。外科用メスにより、500bp以下のゲルのすべてを除き、そしてサンプルウェルの上部を除く。残るゲルをセル上に流し、そしてサンプルウェル上に1.5% Seaplaque EtBrアガロースゲルを注ぐ。
3)電気泳動ユニットの極性を逆にし、そして1.5%アガロースゲル中に短い距離、DNAを走行する。
【0151】
4)長い波長のUV下で標準のゲル切除及びゲルフラグメントのGFX精製を実施する。
サンプルを、製造業者の説明書に従って、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs, Inc.)を用いて、標準の連結反応においてベクターpMHas5中に連結した。pMhas5 プラスミド、及びそのプラスミドにおいて生成される菌類cDNAライブラリーの使用は、特許出願WO2003/044049号に記載されている。同じ方法を用いて、WO2003/044049号に記載のようにして、SigA4トランスポゾン処理されたライブラリーからトラメテスGH25リゾチームを同定した。
【0152】
配列番号1を、GENESEQP:AAW85696 ストレプトミセス・ルトゲルセンシス(Streptomyces rutgersensis)グリコシルヒドロラーゼGH25及び菌類配列SWISSPROT :P00721カラロプシスsp. (Chalaropsis sp.) GH25ペプチド配列の両者、及びゲノム配列決定生成物からの多くの他の十分には注釈されていないストレプトミセス読取枠(ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor), Q9FBR0)に対して強い類似性を有するものとして、オリジナル BLASTヒットにおいて同定した(相同性マトリックス表1を参照のこと)。この上方に基づいて、アスペルギラス・オリザエにおいてトラメテスGH25候補体を発現することが決定された。
【0153】
【表1】

【0154】
例2
本発明のトラメテスからのGH25酵素の発明
配列番号1を、発現ベクターへのクローニングを促進する制限酵素部位を端に有する、本発明の酵素をコードする挿入体を生成するためにPCR反応への使用のための特注オリゴヌクレオチドプライマーを企画するために使用した。
【0155】
プライマー:
プライマー1(配列番号3)、NP1276 EcoRI:
5’-GCGGAATTCAACATGAAGCTCTCTACCACAGCTC-3’
プライマー2(配列番号4)、NP1276 NotI:
5’-ATATGCGGCCGCAAAGTTACGAAGCTGCGAATTGTC-3’
下線部分は、クローニングに使用される制限される制限酵素部位を組込むためにプライマーに付加される追加のDNA配列である。
【0156】
GH25リゾチームコード配列を、次の態様において上記cDNAライブラリー(上記例1を参照のこと)から増幅した:1μlのcDNA(約10ngのDNA)を、2種のプライマーNP1276EcoRI及びNP1276NotIと共にPCR反応において鋳型として使用した:
NP1276EcoRI: 5’-GCGGAATTCAACATGAAGCTCTCTACCACAGCTC-3’(配列番号3)
NP1276NotI:5’-ATATGCGGCCGCAAAGTTACGAAGCTGCGAATTGTC-3’(配列番号4)
【0157】
10pモルの個々のプライマーを、100μlの反応体積において使用した。ProofStartポリメラーゼ(Qiagen GMBH)を、その供給者により推薦される条件下で使用した。94℃で最初の10分間の加熱処理の後、条件は次の通りであった:変性温度:94℃−30秒、アニーリング温度:55℃−30秒、及び72℃での1分間の延長。合計35サイクルを行った。
【0158】
PCR反応のアリコートを、1%アガロースゲル上で分離した。予測される820塩基対での単一の明白なバンドが見られた。そのフラグメントを、GFX回転クロマトグラフィー(AB Phama)によりゲルから単離し、そしてEcoRI及びNotIにより消化し、PCRプライマーにより導入されるオーバーハングを切断した。消化されたフラグメントを単離し、そしてpXYG1051、すなわちプラスミドpMStr46に基づいてのアスペルギラス発現プラスミド中にクローン化した(国際特許出願WO2003/070956号の例を参照のこと)。
【0159】
特に、AMA自律複製領域を、HindIII 消化により除去し、そして再連結し、インテグレイティブベクターをもたらした。標準の連結、DH10B E. コリの形質転換の後、LBプレート上でアンピシリン選択下で増殖するコロニーを同定した。10のコロニーを、プラスミドDNAを調製するために選択した。得られるプラスミドDNAを、特許出願WO2003/070956号に示されるpXYG1051のベクタープライマーを用いて配列決定した。PCR誤差を有さない1つのクローン(NP001276-4)を、Qiagen midi scale plasmid prep (Qiagen GMBH)のために選択した。
【0160】
選択されたクローン(NP001276-4)を、アスペルギラスにおける酵素の発現のために使用し(下記参照のこと)、そして本発明の遺伝子を含んで成るEcoRI及びNotI挿入体を、そのフラグメントを標準の細菌ベクター、すなわちpBlueScript KS+(Stratagene Inc.)中へのサブクローニング、及びE. コリ株DH10B (Clontechからの)形質転換のために使用した。この株は、2003年12月8日、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Mascheroder Weg 1b, D-38124 Braunschweig, Germanyに、受託番号DSM 16084として寄託された。
【0161】
アスペルギラスにおけるクローンNP001276の発現
cDNAクローン、すなわちNP001276-4を用いて、アスペルギラス・オリザエ株Jal355(国際特許出願WO2003/070956号に開示される)を形質転換した。30の形質転換体を、炭素源としてスクロースを含むCove硝酸塩最少プレート上で、選択的及び非誘発性条件下で2度、再単離した。NP1276の発現を試験するために、形質転換体を、10mlのYPM(2%のペプトン、1%の酵母抽出物、2%のマルトース)を含む管において30℃で4日間、増殖した。上清液を、NuPage 10% Bis-Tris SDSゲル(Invitrogen)上で、その製造業者により推薦されるようにして実施した。
【0162】
アスペルギラス株は、マルトースを含むPlectasinの発現のために誘発される場合でさえ、十分に増殖した。GH25リゾチーム(23kDa)に関して予測されるサイズの明白なバンドがほとんどの形質転換体に見られたが、ところがこのバンドは、形質転換されていない宿主株A. オリザエBECh2に見られなかった。単一の強く発現するアスペルギラス形質転換体(EXP00787)を、連続した研究のために選択した。
【0163】
大規模振盪フラスコ実験を、3枚のそらせ板を有する20×1000mlの三角振盪フラスコにより行った。個々のフラスコは、100mlのFG4P培地(FG4P:3%大豆ミール(SFK102-2458)、1.5%マルトデキストリン(Roquette)、0.5% Pep-tonc bacto(Difco 0118)、1.5% KH2PO4(Merck 4873)、0.2ml/l Pluronic PE6100(BSAF))を含んだ。使用される条件:30℃、150RPM、3日間の増殖。培養流体を、2層のミラクロスを通しての濾過により収穫し、そして使用されるまで、凍結した。
【0164】
例3本発明のGH25酵素の精製
精製の記載:
1.7Lの酵素ブイヨンを、細菌濾過し、そして50mMのNaAc、pH5/50mMのNaAc、1MのNaCl、pH5の溶液を用いてSP-セファロースカラム上で精製した。プールされた画分を、10kDaをカットオフするAmiconセル(Millipore)上で濃縮した。N−末端アミノ酸配列(EKRANPKGID)は、精製されたタンパク質が成熟GH25酵素であることを確めた。
【0165】
例4細胞壁アッセイによるリゾチーム酵素の検出
ミクロコーカス・リソデイキチカス(Micrococcus lysodeikticus)の凍結乾燥された細胞(Sigma)を、基質として使用した。その基質を、Britton & Robinson緩衝液(0.08Mのリン酸、0.08Mの硼酸及び0.08Mの酢酸;1MのNaOHにより2〜12に調節されたpH)に、適切なpHで、0.3mg/mlの最終濃度に懸濁した。96ウェルマクロタイタープレートにおける個々のウェルに、100μlの基質懸濁液及び約1mg/mlの濃度での30μlの酵素溶液を添加した。濁り度の変化を、酵素の添加の後、5分間、450nmでマイクロプレートリーダーにより測定した。曲線の傾斜を計算し、そして酵素活性の相対的測定として使用した。
【0166】
温度曲線:精製された酵素を、40, 50, 60及び70℃で15分間インキュベートした。サンプルをRTに冷却し、そしてpH5での相対的残留活性を、上記に言及されたアッセイ測定した。酵素は50℃まで安定性であった。
【0167】
【表2】

【0168】
pH曲線:pH4, 5, 6, 7及び8での基質懸濁液を調製し、そして酵素の相対的活性を上記のようにして測定した。酵素は、pH5で最適なpHを有する。
【0169】
【表3】

【0170】
生物学的材料の寄託:
次の生物学的材料を、Deutsche Sammlung von Microorganismen und Zellkulturen GmbH, Mascheroder Weg lb, D-38124 Braunschweig, Germanyに、ブダペスト条件に基づいて寄託し、そして次に受託番号が付与された:
寄託物 E.coli DH10B
受託番号 DSM16084
寄託日 2003年12月5日
【0171】
次の生物学的材料を、Centraal Bureau voor Schimmelcultures, Uppsalalaan 8, P. O. Box 85167, 3508 AD Utrecht, The Netherlandsに、ブダペスト条件に基づいて寄託し、そして次に受託番号が付与された:
寄託物 Trametes cinnabarina
受託番号 CBS114004
寄託日 2003年11月17日

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リゾチーム活性を有し、そしてGH25ファミリーに属する菌類ポリペプチド。
【請求項2】
(a)配列番号2のアミノ酸1〜233と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド:
(b)DSM16084株に存在するプラスミド中に挿入されるヌクレオチド配列の一部をコードするリゾチームによりコードされるポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;
(c)配列番号1のヌクレオチド84〜782の相補的鎖から成るポリヌクレオチドプローブに、高い緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド;又は
(d)リゾチーム活性を有する、(a)、(b)又は(c)のフラグメント、
から成る群から選択される請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
配列番号2のアミノ酸1〜233と少なくとも85%の同一性、特に配列番号2のアミノ酸1〜233と少なくとも90%の同一性、より特定には少なくとも95%の同一性、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る請求項2記載のポリペプチド。
【請求項4】
配列番号2のアミノ酸1〜233を含んで成る請求項3記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号2のアミノ酸1〜233から成る請求項2〜4のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項6】
配列番号1のヌクレオチド84〜782の相補的鎖から成るポリヌクレオチドプローブに非常に高い緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる請求項2記載のポリペプチド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド。
【請求項8】
適切な宿主におけるポリペプチドの生成を方向づける1又は複数の制御配列に作用可能に連結される請求項7記載のヌクレオチド配列を含んで成る核酸構造体。
【請求項9】
請求項8記載の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクター。
【請求項10】
請求項8記載の核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドの生成方法であって、
(a)前記ポリペプチドを生成するために、その野生型において、前記ポリペプチドを生成できる株を培養し;そして
(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドの生成方法であって、
(a)前記ポリペプチドの生成の助けになる条件下で、請求項10記載の組換え宿主細胞を培養し;そして
(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項13】
配列番号1のヌクレオチド84〜782と少なくとも85%の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド。
【請求項14】
配列番号1のヌクレオチド84〜782に対して、少なくとも90%の同一性、特に少なくとも95%の同一性、より特定には少なくとも99%の同一性を有する請求項13記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
配列番号1を含んで成るポリヌクレオチド。
【請求項16】
配列番号1から成るポリヌクレオチド。
【請求項17】
DSM16084株に存在するプラスミド中に挿入されるヌクレオチド配列の一部をコードするリゾチームによりコードされるポリペプチドと少なくとも85%の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド。
【請求項18】
リゾチーム活性を有するポリペプチドをコードし、そして配列番号1のヌクレオチド84〜782の相補的鎖から成るポリヌクレオチドプローブに、高い緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列に少なくとも1つの修飾を含んで成り、そして配列番号2のアミノ酸1〜233から成るポリペプチドをコードする修飾されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド。
【請求項20】
請求項7及び13〜19のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを用いることを含んで成るDNAシャフリング方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法により得られるリゾチーム活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項22】
請求項21記載のポリヌクレオチドによりコードされるリゾチーム活性を有するポリペプチド。
【請求項23】
バイオ−フィルム形成のインヒビターとしての請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドの使用。
【請求項24】
歯科用組成物への請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドの使用。
【請求項25】
洗剤組成物への請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドの使用。
【請求項26】
動物飼料への請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドの使用。

【公表番号】特表2007−527715(P2007−527715A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500047(P2007−500047)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000099
【国際公開番号】WO2005/080559
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】