説明

蒸し器

【課題】蒸し容器の容積の減少を抑え、蒸気の排出を水滴により抑制されることなく行い、調理性能を向上することができる。
【解決手段】本発明の蒸し器1は、蒸し容器下2と、底面に複数の蒸気通過孔を有し、蒸し容器下2の上部に積み上げられ載置される蒸し容器上4と、蒸し容器上4に載置される蒸し容器上用蓋とを備え、蒸し容器上4は、側壁内面に設けられ、上下線状に延び、側壁内面から突出する凸部15を有し、凸部の上面で蓋の周縁部を保持する構成としたことにより、蒸し容器の容積が減少することを抑制することができ、さらに、蓋に付着した水滴が蓋の周縁部から落下した際に、蒸し容器の側壁内面に落下し、蒸し容器の底面まで流れ落ちるため、水滴により、蒸気の排出を抑制することがなくなり調理性能と使い勝手が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などを蒸す際に使用する蒸し器に関し、特に、下側の鍋や容器で発生した蒸気が、鍋や容器の上に設けられた上側の容器に供給される蒸し器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の蒸し器は、蒸し容器内の内圧があがると自然かつスムーズに蒸気が排出される構造となっており、蒸し容器の上部に段差部を設け、その上に突起部を設けた構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9は、特許文献1に記された従来の蒸気調理器を示すものである。
【0004】
図9に示すように、鍋本体の上部開口部の内周面全周に段差部を設け、この段差部の上面に鍋蓋体載置用突起部を複数設けた構成となっている。
【0005】
この構成により、段差部と突起部の空間から蒸気を排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−254692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成は、突起部を設けるために、段差部を設けなければならず、蒸し容器の内側に段差部を設けるため、蒸し容器の容積が小さくなるとともに、段差部を加工するためコストが高くなってしまう。
【0008】
さらに、蓋に付着した水滴が蓋の周縁部から落下した際に、段差部にたまり、蒸気の排出を妨げてしまう。蒸気の排出が抑制されてしまうと、蒸し容器内の対流が悪くなり、効率よく蒸気が調理物にあたらなくなり偏りができてしまう。また、蒸し容器内に蒸気がたまっていくため、蓋に水滴が付着しやすくなり、従来の構成においては、蒸気の排出の抑制が促進されるとともに、水滴が落下し、調理物に付着する可能性も高くなるという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、蒸し容器の容積の減少を抑え、蒸気の排出を水滴により抑制されることなく行い、調理性能を向上することができる蒸し器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の蒸し器は、蒸し容器下と、底面に複数の蒸気通過孔を有し、蒸し容器下の上部に積み上げられ載置される蒸し容器上と、蒸し容器上に載置される蓋とを備え、蒸し容器上は、側壁内面に設けられ、上下線状に延び、側壁内面から突出する凸部を有し、凸部の上面で蓋の周縁部を保持する構成としたものである。
【0011】
これによって、蒸し容器の内側に凸部を設けたため、蒸し容器の容積が減少することを抑制することができ、さらに、蓋に付着した水滴が蓋の周縁部から落下した際に、蒸し容器の側壁内面に落下し、蒸し容器の底面まで流れ落ちるため、蒸気の排出を水滴により抑制されることがなくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蒸し器は、蒸し容器の容積の減少を抑え、蒸気の排出を水滴により抑制されることなく行い、調理性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における蒸し器の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における蒸し器の断面図
【図3】本発明の実施の形態2における蒸し器の斜視図
【図4】本発明の実施の形態2における蒸し器の断面図
【図5】本発明の実施の形態2における蒸し器の上蒸し板をはずしたときの断面図
【図6】本発明の実施の形態3における蒸し器の断面図
【図7】本発明の実施の形態3における蒸し容器下と蒸し容器上の斜視図
【図8】本発明の実施の形態4における蒸し容器上の斜視図
【図9】従来の蒸気調理器の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、蒸し容器下と、底面に複数の蒸気通過孔を有し、蒸し容器下の上部に積み上げられ載置される蒸し容器上と、蒸し容器上に載置される蓋とを備え、蒸し容器上は、側壁内面に設けられ、上下線状に延び、側壁内面から突出する凸部を有し、凸部の上面で蓋の周縁部を保持する構成としたものである。
【0015】
これにより、蒸し容器の内側に凸部を設けたため、蒸し容器の容積が減少することを抑制することができ、さらに、蓋に付着した水滴が蓋の周縁部から落下した際に、蒸し容器の側壁内面に落下し、蒸し容器の底面まで流れ落ちるため、蒸気の排出を水滴により抑制されることなく行い、調理性能を向上することができる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明において、蒸し容器上に載置され複数の蒸気通過孔を有する上蒸し板を備え、蒸し容器上は底面に開口部と、開口部の周縁部を形成するフランジ部を有し、フランジ部上面で上蒸し板の下面周縁部を保持し、凸部により上蒸し板の位置決めを行う構成としたものである。
【0017】
これにより、着脱自在な上蒸し板を備えた蒸し器において、凸部により上蒸し板の位置決めをすることにより、上蒸し板の着脱をより容易に行うことができるため、さらなる使い勝手の向上を図ることができる。
【0018】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、蒸し容器下は、側壁内面に設けられ、上下線状に延び、側壁内面から突出する凸部を有し、蒸し容器下の上部の径および形状と蒸し容器上の上部の径および形状を同一の構成としたものである。
【0019】
これにより、蒸し容器下の上部に載置した蒸し容器上の上部に、さらに蒸し容器上を重ねて載置することができ、用途に合わせて何段でも重ねることができる構造であるため、一度に調理できる量が増加し、使い勝手を向上することができる。
【0020】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、蒸し容器上の材質をガラスとしたものである。
【0021】
これにより、蒸し容器上は透明であるため内部を確認することができ、調理中も蒸し具合を目視できるため、使い勝手を向上することができる。
【0022】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明において、凸部の上面の高さが、蒸し容器上の上面の高さよりも低い構成としたものである。
【0023】
これにより、蒸し容器上の蒸気は排出される際、蒸し容器上の側面内側にあたり、蒸気は蒸し器の鉛直方向へと排出されるため、蒸気が水平方向へと排出され、蒸気により取っ手の温度が高くなることおよび使用者が取っ手を持つ際に蒸気がかかることを抑制することができ、蒸し器の使い勝手を向上することができる。
【0024】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明において、蒸し容器上の側壁内面に、凸部の上面の高さよりも低く、凸部の内径よりも外側に肉盛り部を設けた構成としたものである。
【0025】
これにより、蒸し容器上から排出される蒸気の量を抑制することができるため、排出される蒸気の量を調節することにより、蒸し器の調理性能を向上させることができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明における第1の実施の形態における蒸し器の斜視図、図2は本発明における第1の実施の形態における蒸し器の断面図を示す。
【0028】
図1、図2において、蒸し器1は蒸し容器下2と、蒸し容器下2の上部に積み上げられ載置される蒸し容器上4と、蒸し容器上4に載置され複数の蒸気通過孔を有する上蒸し板5と、蒸し容器上4に載置される蓋7とで構成されている。
【0029】
蒸し容器上4は、底面に開口部8と、開口部8の周縁部を形成するフランジ部9を有し、フランジ部9上面で上蒸し板5の下面周縁部を保持している。また上蒸し板5はフランジ部9の上面に載置して保持しているので着脱自在である。
【0030】
蒸し容器上4は、側壁内面に設けられ、上下線状に延び、側壁内面から突出する凸部15を有し、凸部15の上面で蓋7の周縁部を保持する構成となっている。
【0031】
また、蒸し容器上4に取っ手部13を設け、凸部15の上面の高さが、蒸し容器上4の上面の高さよりも低い構成としている。
【0032】
以上のように構成された蒸し器について、以下その動作、作用を説明する。
【0033】
なお、本実施の形態では、例として、蒸し容器上4は底面に開口部8と、開口部8の周縁部を形成するフランジ部9を有し、フランジ部9上面で上蒸し板5の下面周縁部を保持している構成としたが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、蒸し容器上4は上蒸し板5を用いず、底面に複数の蒸気通過孔を有した構造であってもよい。
【0034】
本発明の蒸し器により蒸し調理を行う際、蒸し器1を加熱調理器に載置する。そして、調理物を上蒸し板5の上に載置する。蒸し容器下2に水を入れ、蒸し容器下2を加熱することにより、蒸し容器下2内に蒸気が発生する。
【0035】
発生した蒸気は、上方に上昇し、蒸し容器上4の底面の開口部8を通過し、蒸し容器上4へ供給される。さらに、蒸気は上蒸し板5に設けられた上蒸し板蒸気通過孔12を通過し、上蒸し板5の上方に供給される。これにより上蒸し板5に載置した調理物を蒸すことができる。
【0036】
図2において、左側は凸部15の断面図を、右側は凸部15がない部分の断面図を示している。左側のように凸部15の上面で蓋7を保持しているため、この部分に隙間はないが、右側のように、凸部15がない部分では蓋7の周縁部が他の部分と接触していないため、隙間が存在し、この蒸気排出隙間16から蒸気を排出することができる。
【0037】
時間が経過するにつれて、蒸し容器上4内部は蒸気により内圧が上昇する。すると蒸気は自然に圧力の低い蒸し器1の外側へ流れ出ようとする。このとき、蒸し容器上4と蓋7の間には蒸気排出隙間16が存在するため、蒸気排出隙間16から自然と排出することができる。
【0038】
従来の構成では、蒸し容器上内部の蒸気が、蓋によって冷やされ、蓋の内側に付着し、蓋を伝い、周縁部にたまり、そこから落下した際に、段差部に落下するため、蒸気が排出される段差部と蓋との間の隙間が水滴によってふさがれてしまい、蒸気の排出が抑制されてしまうことがあった。
【0039】
しかし、本実施の形態においては、蒸し容器上4内部の蒸気が、蓋7によって冷やされ、蓋7の内側に付着し、蓋7を伝い、周縁部にたまり、そこから落下した際、蒸し容器上4の側壁内面に落下し、側壁内面を伝い、水滴は蒸し容器上4の底面へと流れる。
【0040】
さらに、一部は開口部8を通じ、蒸し容器下2へと流れる。このため、蓋7に付着した水滴により、蒸気の排出が抑制されることがない。
【0041】
また、従来の構成では、突起部を設けるために段差部を設ける必要があり、蒸し容器上の上部の開口の径は、蓋を載置する径よりも段差分だけ小さい径となってしまい、蓋の径よりも小さくなってしまうため、容器内部の容積が小さくなっていた。
【0042】
本実施の形態においては、蒸し容器上4の側壁内面に、凸部15を設けただけなので、蒸し容器上4の上部の開口の径は、蓋7を載置するために、蓋7の径よりも大きくなる。容器内部の容積は、凸部15を設けた分が減少するだけなので、段差部を設けるよりも減少分を抑制することができる。また段差部の加工の必要がないので、コストを抑えることができる。
【0043】
さらに、凸部15を3ヶ所にすれば、蓋7を3点で保持する構成となり、蓋7は3ヶ所の凸部15すべてに接するため、蓋7を載置する際のガタつきを抑制することができる。
【0044】
3点で保持する構成は、蓋7の周縁部に3ヶ所凸部15を設けることにより、類似した構成を実現することができるが、この構成では、例えば蓋7をガラス製にした場合、周縁部の強度を確保するため、ステンレスなどで周縁部を覆う構成を実現したくても、凸部15があるため実現できないというデメリットがある。
【0045】
また、本実施の形態の蒸し器は、蒸し容器上4に取っ手部13を設け、凸部15の上面の高さが、蒸し容器上4の上面の高さよりも低い構成としている。これにより、蒸し容器上4の蒸気は排出される際、蒸し容器上4の側面内側にあたり、蒸気は蒸し器1の鉛直方向へと排出されるため、蒸気が水平方向へと排出され、蒸気により取っ手部13の温度が高くなることおよび使用者が取っ手を持つ際に蒸気がかかることを抑制することができ、蒸し器の使い勝手を向上することができる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、取っ手部13の取り付け位置を、蒸し容器上の上面より下にしており、蒸気により取っ手部13の温度が高くなることおよび使用者が取っ手を持つ際に蒸気がかかることを抑制する構成としている。
【0047】
蒸し容器上4の材質をガラスとすることにより、蒸し容器上4は透明であるため内部を確認することができ、調理中も蒸し具合を目視できるため、使い勝手を向上することができる。
【0048】
凸部15は上下線状に延び、側壁内面から突出する形状であり、材質がガラスの場合においても、上面で蓋7の周縁部を保持しても充分な強度を確保することができる。なお、本実施の形態では、例として、材質をガラスとしたが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、材質は金属や有機物、セラミックなどであってもよい。
【0049】
蒸し容器下2の底面に磁性体、例えば磁性ステンレス製の板などを組み込むことにより、本発明の蒸し器は、誘導加熱調理器において使用することができる。
【0050】
このように、本実施の形態の蒸し器は、蒸し容器の容積の減少を抑え、蒸気の排出を水滴により抑制されることなく行い、調理性能を向上することができる蒸し器を提供することができる。
【0051】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における蒸し器の斜視図、図4は本発明の第2の実施の形態における蒸し器の断面図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0052】
図3、図4に示すように、本実施の形態において、蒸し容器上4は、載置され複数の蒸気通過孔を有する上蒸し板5を備えており、蒸し容器上4は底面に開口部8と、開口部8の周縁部を形成するフランジ部9を有し、フランジ部9上面で上蒸し板5の下面周縁部を保持し、凸部15により上蒸し板の位置決めを行う構成としたものである。
【0053】
図3、図4のように、凸部15を3ヶ所設け、凸部15が上蒸し板5と接するように凸部15の大きさを調整すれば、上蒸し板5は3ヶ所の凸部15と接する位置で位置決めすることができる。また、接しないように少しのクリアランスを設ければ、多少位置決めの遊びを設けることができるとともに、凸部15がない場合に対しては、自由度を制限し位置決めをすることができる。
【0054】
本発明の蒸し器において、着脱自在な上蒸し板5を備え、蒸し容器下2の上部に載置され複数の蒸気通過孔を有する下蒸し板3を用いる場合について以下に説明する。
【0055】
下蒸し板3は、下蒸し板3に載置した調理物が、蒸気を発生させるために蒸し容器下2に入れる水に浸らないよう充分な高さを確保するための脚10を備えており、下蒸し板3は、蒸し容器下2の底面に載置する構成であるため着脱自在である。なお、例として、図においては、3つの脚10で下蒸し板3を保持している。
【0056】
本発明の蒸し器により蒸し調理を行う際、蒸し器1を加熱調理器に載置する。下蒸し板3および上蒸し板5の両方を用いて調理を行う場合、まず調理物を下蒸し板3および上蒸し板5の上にそれぞれ載置する。
【0057】
蒸し容器下2に水を入れ、蒸し容器下2を加熱することにより、蒸し容器下2内に蒸気が発生する。発生した蒸気は、下蒸し板3に設けられた下蒸し板蒸気通過孔11を通過し、下蒸し板3の上方に供給される。これにより下蒸し板3に載置した調理物を蒸すことができる。
【0058】
また、下蒸し板3と蒸し容器下2の内側との隙間からも蒸気が漏れ、下蒸し板3の上方に供給される。このとき、蒸し容器下2に入れる水の量を、下蒸し板3の脚10の高さより低くすることにより、下蒸し板3に載置した調理物が、水に浸ってしまうことを防ぐ。
【0059】
そして、下蒸し板3の上方に上昇した蒸気は、蒸し容器上4の底面の開口部8を通過し、蒸し容器上4へ供給される。さらに、蒸気は上蒸し板5に設けられた上蒸し板蒸気通過孔12を通過し、上蒸し板5の上方に供給される。これにより上蒸し板5に載置した調理物を蒸すことができる。
【0060】
図5は、本発明の第2の実施の形態における蒸し器の上蒸し板5をはずしたときの断面図である。
【0061】
図5に示すように、調理物の高さを高さa21、蒸し容器上4の底面から蓋7までの高さを高さb22、下蒸し板3から蓋7までの高さを高さc23、蒸し器1の加熱調理器への載置面から蒸し容器上4の上部までの高さを高さd24とする。
【0062】
例えば茶碗蒸しのように、調理物の高さa21が高く、蒸し容器上4の底面から蓋7までの高さb22よりも高い場合、従来の上蒸し板が着脱自在ではない構成では、蒸し容器上4に調理物を入れることができないため、この調理物を調理することができなかった。
【0063】
図5のように、本実施の形態において、上蒸し板5が着脱可能であるため、調理物の高さa21が高く、蒸し容器上4の底面から蓋7までの高さb22よりも高い場合でも、下蒸し板3から蒸し容器上用蓋7までの高さc23は調理物の高さa21よりも高いため、蒸し器1の加熱調理器への載置面から蒸し容器上4の上部までの高さd24を高くすることなく、調理物を調理することができる。
【0064】
よって、蒸し容器上の底面において、上蒸し板を用いて、着脱自在な構成とすることにより、調理物の載置および取出しを容易に行えて、調理物の高さa21が高く、蒸し容器上4の底面から蓋7までの高さb22よりも高い場合でも調理可能な蒸し器を提供でき、蒸し器の使い勝手を向上することができる。
【0065】
このように、使い勝手を向上することができる着脱自在な上蒸し板5を備えた蒸し器1において、凸部15により上蒸し板5の位置決めをすることにより、上蒸し板5の着脱をより容易に行うことができるため、さらなる使い勝手の向上を図ることができる。
【0066】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態における蒸し器の断面図を示す。図7は、本発明の第3の実施の形態における蒸し容器下と蒸し容器上の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0067】
図6、図7に示すように、蒸し容器下2は、側壁内面に設けられ、上下線状に延び、側壁内面から突出する凸部15を有しており、本実施の形態の蒸し器は、蒸し容器下2の上部の径および形状と蒸し容器上4の上部の径および形状を同一の構成としたものである。
【0068】
これにより、蒸し容器下2の上部に載置した蒸し容器上4の上部に、さらに蒸し容器上4を重ねて載置することができ、用途に合わせて何段でも重ねることができる構造であるため、一度に調理できる量が増加し、使い勝手を向上することができる。
【0069】
さらに、2段重ねた蒸し容器上4の両方の上蒸し板5をはずすことにより、蒸し容器上4が1段のときよりさらに高い調理物を蒸すことができる。
【0070】
(実施の形態4)
図8は、本発明の第4の実施の形態における蒸し容器上の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
図8に示すように、蒸し容器上4の側壁内面に、凸部15の上面の高さよりも低く、凸部15の内径よりも外側に肉盛り部17を設けた構成としたものである。
【0072】
蒸し容器上4から排出される蒸気は、肉盛り部17により邪魔され、蒸気排出隙間16へと流れるため、蒸気排出隙間16から排出される蒸気は抑制される。
【0073】
蒸し容器上4の側壁内面に凸部15を設けた際に、蒸気の排出量が多すぎる場合には、肉盛り部17を設けることにより、蒸気を抑制することができる。さらに、凸部15の上面と、肉盛り部17の上面の高さの差により、蒸気の排出量を調整することができるため、最適な蒸気の排出量の位置に、肉盛り部17の上面の位置を調節することにより、効率よく蒸し料理を行うことができ、蒸し器の調理性能を向上させることができる。
【0074】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、蒸し容器下2の底面に磁性ステンレス製の板などを組み込むことにより、本発明の蒸し器は、誘導加熱調理器において使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる蒸し器は、蒸し容器の容積の減少を抑え、蒸気の排出を水滴により抑制されることなく行い、調理性能を向上することができるので、蒸し器の用途に有効である。
【符号の説明】
【0076】
1 蒸し器
2 蒸し容器下
3 下蒸し板
4 蒸し容器上
5 上蒸し板
7 蒸し容器上用蓋(蓋)
8 開口部
9 フランジ部
11 下蒸し板蒸気通過孔(蒸気通過孔)
12 上蒸し板蒸気通過孔(蒸気通過孔)
15 凸部
17 肉盛り部
20 調理物X
21 高さa
22 高さb
23 高さc
24 高さd

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸し容器下と、底面に複数の蒸気通過孔を有し、前記蒸し容器下の上部に積み上げられ載置される蒸し容器上と、前記蒸し容器上に載置される蓋とを備え、前記蒸し容器上は、側壁内面に設けられ、上下線状に延び、前記側壁内面から突出する凸部を有し、前記凸部の上面で前記蓋の周縁部を保持する蒸し器。
【請求項2】
蒸し容器上に載置され複数の蒸気通過孔を有する上蒸し板を備え、前記蒸し容器上は底面に開口部と、前記開口部の周縁部を形成するフランジ部を有し、前記フランジ部上面で前記上蒸し板の下面周縁部を保持し、凸部により前記上蒸し板の位置決めを行う請求項1に記載の蒸し器。
【請求項3】
蒸し容器下は、側壁内面に設けられ、上下線状に延び、前記側壁内面から突出する凸部を有し、蒸し容器下の上部の径および形状と蒸し容器上の上部の径および形状を同一の構成とした請求項1または2に記載の蒸し器。
【請求項4】
蒸し容器上の材質をガラスとした請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸し器。
【請求項5】
凸部の上面の高さが、蒸し容器上の上面の高さよりも低い構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸し器。
【請求項6】
蒸し容器上の側壁内面に、凸部の上面の高さよりも低く、凸部の内径よりも外側に肉盛り部を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸し器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−206361(P2011−206361A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78369(P2010−78369)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】