説明

蒸気発生システム

【課題】エネルギー効率の高い蒸気発生システムを提供する。
【解決手段】蒸気発生システムは、エンジン(100)と、エンジン(100)に機能的につながった圧縮部(12)を有するヒートポンプ(10)と、ヒートポンプ(10)からの熱伝達によって蒸気を発生させる第1蒸気発生装置(ST1)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気発生システムとしては、ボイラで燃料を燃焼させて被加熱媒体を加熱する構成が一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−249450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ボイラのエネルギー効率は一般に約0.7〜0.8(70〜80%)である。環境問題に対する意識の高まりとともに、蒸気発生システムに関して、より一層のエネルギー効率の向上が望まれている。
【0004】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたものであり、エネルギー効率の高い蒸気発生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の蒸気発生システムは、エンジンと、前記エンジンに機能的につながった圧縮部を有するヒートポンプと、前記ヒートポンプからの熱伝達によって蒸気を発生させる第1蒸気発生装置と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この蒸気発生システムによれば、ヒートポンプを用いることにより、ボイラに比べて高いエネルギー効率が得られる。また、エンジンとヒートポンプとのコンバインドにより、熱効率の向上が図られる。
【0007】
蒸気発生システムは、前記エンジンからの排熱を用いて蒸気を発生させる第2蒸気発生装置をさらに備えることができる。また、蒸気発生システムは、エンジンの排熱を用いて加熱された水や蒸気を、給湯及び/又は空調管理に利用することもできる。
【0008】
蒸気発生システムにおいて、前記エンジンに取り込まれる空気の少なくとも一部が前記ヒートポンプによって冷却される構成とすることができる。
【0009】
蒸気発生システムにおいて、前記第1蒸気発生装置又は前記第2蒸気発生装置からの前記蒸気の一部を前記エンジンに導く蒸気注入装置をさらに備える構成とすることができる。
【0010】
蒸気発生システムにおいて、前記エンジンからの前記排熱の一部が前記ヒートポンプの作動媒体に伝わる熱交換器をさらに備える構成とすることができる。
【0011】
蒸気発生システムにおいて、前記エンジンは、発電機を有する構成とすることができる。
【0012】
蒸気発生システムにおいて、前記第1蒸気発生装置は、前記ヒートポンプからの熱伝達によって前記蒸気が発生する蒸発部と、前記蒸発部からの前記蒸気を圧縮する圧縮機とを有する構成とすることができる。
【0013】
蒸気発生システムにおいて、前記エンジンは、ガスタービン、ガスエンジン、又はディーゼルエンジンである構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態にかかる蒸気発生システムを示す概略図である。図1に示すように、蒸気発生システムS1は、ヒートポンプ10と、第1蒸気発生装置ST1と、ガスタービン装置100と、第2蒸気発生装置ST2とを備える。第1蒸気発生装置ST1は、ヒートポンプ10からの熱伝達によって蒸気を発生させる。第2蒸気発生装置ST2は、ガスタービン装置100からの排熱を用いて蒸気を発生させる。本実施形態において、被加熱媒体は水である。蒸気発生システムS1からの蒸気は、外部の所定施設、例えば製造プラント、調理施設、空調設備、発電プラントなどに供給される。蒸気発生システムS1の構成は、蒸気発生システムS1の設計要求に応じて様々に変更可能である。
【0016】
ヒートポンプ10は、蒸発、圧縮、凝縮、及び膨張の各工程からなるサイクルにより、低温の物体から熱を汲み上げ、高温の物体に熱を与える装置である。ヒートポンプは一般に、エネルギー効率が比較的高く、結果として、二酸化炭素等の排出量が比較的少なく、環境に優しいという利点を有する。
【0017】
具体的に、ヒートポンプ10は、吸熱部11、圧縮部12、放熱部13、及び膨張部14を有し、これらは配管を介して順次接続されている。吸熱部11では、経路15内を流れる作動媒体がサイクル外の熱源(例えば大気)の熱を吸収する。圧縮部12は、圧縮機等によって作動媒体を圧縮する。この際、通常、作動媒体の温度が上がる。圧縮部12は、軸流圧縮機、遠心圧縮機、レシプロ式圧縮機、ロータリー式圧縮機などの様々な圧縮機のうち、作動媒体の圧縮に適する圧縮機を有する。本実施形態において、後述するように、圧縮部12は、ガスタービン装置100によって駆動される。
【0018】
放熱部13は、圧縮された作動媒体が流れる配管を有し、経路15内を流れる作動媒体の熱をサイクル外の熱源に与える。膨張部14は、減圧弁またはタービン等によって作動媒体を膨張させる。この際、通常、作動媒体の温度が下がる。タービンを使用した場合には膨張部14から動力を取り出すことができる。その動力を例えば圧縮部12に供給してもよい。ヒートポンプ10に使用される作動媒体としては、フロン系媒体(HFC 245faなど)、アンモニア、水、二酸化炭素、空気などの公知の様々な作動媒体が、蒸気発生システムS1の仕様及び熱バランスなどに応じて用いられる。
【0019】
第1蒸気発生装置ST1は、供給経路20と、蒸発部22と、圧縮機30とを有する。供給経路20は、蒸発部22と圧縮機30とを流体的に接続するダクト23を有する。
【0020】
蒸発部22は、少なくとも液状の被加熱媒体(水)を貯溜するタンク47と、タンク47に流体的に接続された循環配管48とを有する。タンク47には、水の供給口と蒸気の排出口とが設けられる。タンク47は、必要に応じて液面を計測するレベルセンサ50と、気液分離器(不図示)とを有する。循環配管48は、ヒートポンプ10の放熱部13に隣接して配置される蒸発管51と、必要に応じてポンプ52とを有する。被加熱媒体(水)の熱対流及び/又は外部との差圧などを利用してポンプ52を省いてもよい。
【0021】
蒸発管51と放熱部13とを含んで熱交換器40が構成される。熱交換器40は、低温の流体(蒸発管51内の水)と高温の流体(ヒートポンプ10内の作動流体)とが対向して流れる向流型の熱交換方式を有することができる。熱交換器40は、高温流体と低温流体とが並行して流れる並行流型の熱交換方式を有してもよい。熱交換器40の熱交換構造として、公知の様々なものを採用することができる。例えば、ヒートポンプ10の放熱部13の配管を、蒸発管51の外周面及び/又は内部に配設することができる。
【0022】
蒸発部22において、供給口を介してタンク47に水が供給され、タンク47及び循環配管48内に水が貯溜される。タンク47内の液面が所定範囲内になるように、タンク47への水の供給量が制御される。例えば、レベルセンサ50の計測結果に基づいて、タンク47への水の供給量が制御される。ヒートポンプ10の放熱部13からの熱伝達によって蒸発管51内の水が加熱され、その水の少なくとも一部が蒸発する。タンク47の内部空間は、タンク47の排出口及びダクト23を介して圧縮機30によって吸引される。タンク47内の蒸気は、ダクト23内を圧縮機30に向けて流れる。
【0023】
圧縮機30は、供給経路20上に配設され、その配設位置はタンク47に対して下流である。圧縮機30としては、軸流圧縮機、遠心圧縮機、レシプロ式圧縮機、ロータリー式圧縮機などの様々な圧縮機が適用され、蒸気圧縮に適するのが用いられる。圧縮機30は、タンク47からの蒸気を圧縮し、昇圧した蒸気を下流に流す。
【0024】
圧縮機30(または供給経路20)には、蒸気に対して水を供給するノズル35が、必要に応じて配設される。ノズル35の配設位置は、例えば、圧縮機30の入口及び/又は出口である。圧縮機30が多段式である場合には、ノズル35を圧縮機30の段間に配設することもできる。ノズル35とタンク47の液相位置とが配管36を介して流体的に接続された配管を構成することができる。この配管構成では、比較的高温であるタンク47内の液体がノズル35への供給に有効利用される。ノズル35からの液体の排出(スプレイ)には、ポンプ37などの動力源を用いてもよく、配管36の入口と出口との圧力差を利用してもよい。
【0025】
圧縮機30による吸引作用により、供給経路20におけるヒートポンプ10による加熱部位での内部空間、すなわちタンク47の内部空間が減圧される。タンク47の内部圧力が大気圧に比べて低い負圧(陰圧)となるように、供給経路20上の制御弁(流量制御弁など。不図示)や圧縮機30が制御される。この制御は、例えば、タンク47の内部圧力を計測するセンサ(不図示)の計測結果に基づいて行われる。
【0026】
また、タンク47及びヒートポンプ10は、タンク47の内部空間が負圧状態において、水が蒸発するように設計(容量設計、能力設計など)されている。なお、ヒートポンプ10の成績係数は、被加熱媒体(水)の入力温度と出力温度との差に応じて変化し、その温度差が過度に大きいと成績係数(COP:coefficient of performance)が低下する場合がある。タンク47の内部空間が負圧状態であるという条件により、加熱温度領域(入出力温度差)を比較的狭く設定し、高いCOPでのヒートポンプ10の使用が可能である。例えば、水の入力温度は約20℃であり、蒸発部22からの水の出力温度は約90℃である。
【0027】
ガスタービン装置100は、圧縮機103、燃焼器104、ガスタービン105、及び不図示の制御装置を有する。ガスタービン装置100は、必要に応じて発電機106を有する。本実施形態において、圧縮機103、ガスタービン105、及び発電機106の各回転部が一軸にまとめられている。
【0028】
ガスタービン装置100において、吸気口110を介して圧縮機103に空気が入る。燃焼器104において、燃料が投入された圧縮空気が燃焼する。ガスタービン105において、燃焼ガスがタービンを回転させる。タービンの回転に伴い、発電機106が発電することができる。
【0029】
本実施形態において、ヒートポンプ10の圧縮部12に、ガスタービン装置100が機能的及び機械的につながっている。ガスタービン装置100の回転軸は、ヒートポンプ10の圧縮部12の回転軸と同軸でもよく非同軸でもよい。ガスタービン装置100とヒートポンプ10の圧縮部12との間に、必要に応じて、シャフト、ギアなどが配設される。ガスタービン装置100の動力によって、ヒートポンプ10の圧縮部12(圧縮機)が駆動される。ヒートポンプ10とガスタービン装置100とのコンバインドにより、圧縮部12の外部電源を不要にできる。
【0030】
第2蒸気発生装置ST2は、ガスタービン装置100からの排ガスが流れる排ガス経路120と、水の供給経路125と、排ガスの熱が水に伝達される熱交換器(排熱回収ボイラ)130と、必要に応じて不図示の排気塔とを有する。
【0031】
排熱回収ボイラ130は、排ガス経路120の配管の一部と、水の供給経路125の配管の一部とが、互いに隣接して配置された構成を有する。排熱回収ボイラ130において、排ガス経路120を流れる排ガスと、供給経路125を流れる水とが熱交換する。この熱交換により、供給経路125内の水が蒸発する。排熱回収ボイラ130は、低温の流体(水)と高温の流体(排ガス)とが対向して流れる向流型の熱交換方式を有することができる。排熱回収ボイラ130は、高温流体と低温流体とが並行して流れる並行流型の熱交換方式を有してもよい。
【0032】
ここで試算例を示す。ガスタービン装置100の効率を30%、排熱回収ボイラ130の効率を70%、ヒートポンプ10のCOPを2.5とする。このとき、以下の式で概算できる蒸気発生システムS1の効率ηは、124%である。
η=30%・2.5+(100%−30%)・0.7 ……(1)
【0033】
本実施形態において、必要に応じて、ヒートポンプ10によって冷却された空気が吸気口110に供給される。ヒートポンプ10の配管に隣接して、ガスタービン装置100の吸気配管の一部の配管111が配置されている。ガスタービン装置100に供給される空気の少なくとも一部がこの配管111を通る。例えば、吸気口110における空気温度を計測した結果に基づいて、配管111を通る空気の割合が制御される。空気温度の制御により、例えば夏季など、吸気温度の上昇に伴うガスタービン装置100の出力低下が回避される。その結果、ガスタービン装置100の出力が長期的に安定する。
【0034】
本実施形態において、第1及び/又は第2蒸気発生装置ST1,ST2からの蒸気をガスタービン装置100に導く蒸気注入装置112を設けることができる。蒸気注入装置112は、蒸気を噴射するノズルと、蒸気が流れる配管と、必要に応じて蒸気を加圧するポンプ(いずれも不図示)とを有する。蒸気注入装置112は、必要に応じて、燃焼器104(燃焼器104の入口及び/又は出口)に蒸気を注入する。ガスタービン装置100の稼動状態に応じて、蒸気の注入量及びタイミングが制御される。蒸気注入は、ガスタービン装置100の出力向上に有利である。
【0035】
本実施形態において、ガスタービン105からの排熱を用いて圧縮機103からの圧縮空気を加熱する不図示の熱再生器を設けることができる。熱再生器による排熱利用により、ガスタービン装置100の熱効率の向上が図られる。
【0036】
本実施形態において、ガスタービン装置100の排ガス経路120の一部の配管122と、ヒートポンプ10の吸熱部11の配管とが、互いに隣接して配設された構成とすることができる。ヒートポンプ10の吸熱部11において、ヒートポンプ10を流れる作動媒体と、配管122を流れる排ガスとが熱交換する。すなわち、ガスタービン105からの排熱の一部が、ヒートポンプ10の作動媒体に与えられる。この熱交換により、例えば冬季など、外気温の低下に伴うヒートポンプ10の吸熱機能低下が回避される。その結果、ヒートポンプ10の出力が長期的に安定する。また、この熱交換により、ヒートポンプ10の圧縮前の作動媒体の温度が上昇する。圧縮部12に対する作動媒体の入力温度の上昇により、圧縮部12の動力の低減化が図られる。
【0037】
本実施形態において、蒸気発生のための加熱温度領域の一部を圧縮機30が補うことができる。すなわち、第1蒸気発生装置ST1において、供給経路20内の水が、ヒートポンプ10(放熱部13)からの熱伝達によって比較的低圧力かつ低温度の蒸気となり、圧縮機30による圧縮で比較的高圧力かつ高温度の蒸気となる。ヒートポンプ10で加熱された水が、圧縮機30による圧縮によってさらに加熱され、これにより、100℃以上の高温蒸気が発生する。
【0038】
図2は、第1蒸気発生装置ST1による水の状態変化の一例を示す T-s 線図である。図2に示すように、水は、熱交換器40(図1参照)において沸点近くまで温度上昇した後、相変化する。このとき、大気圧(P1=1atm=約0.1MPa)に比べて低い負圧P0の状態において、飽和蒸気d0が発生する。飽和蒸気d0の温度は標準沸点よりも低い、例えば約90℃である。
【0039】
次に、その飽和蒸気d0は、圧縮機30(図1参照)による圧縮で比較的高圧力かつ高温の蒸気(過熱蒸気e2)になる。すなわち、上記圧縮に伴って、蒸気が温度上昇する。過熱蒸気e2の圧力P2は大気圧よりも高い、例えば0.8MPaである。
【0040】
0.8MPaの過熱蒸気e2を定圧下で冷却することにより、約160℃の飽和蒸気を得ることができる(図2の破線a)。同様に、大気圧(約0.1MPa)の過熱蒸気を定圧下で冷却することにより、約100℃の飽和蒸気d1を得ることができる。
【0041】
過熱蒸気から飽和蒸気への冷却に、液状の水または温水を直接混入することにより、蒸気のボリュームが増加する。この場合、例えば、圧縮機30の出口において蒸気に対して水または温水が供給される。
【0042】
また、水または温水の供給量及びタイミングの最適化により、比較的低圧力かつ低温度の飽和蒸気d0から比較的高圧力かつ高温度の飽和蒸気d2への変化を、より直接的にできる。例えば、圧縮機30の入口で適量の水または温水が蒸気に供給されることにより、圧縮機30の入口での飽和蒸気d0が、圧縮機30の出口で飽和蒸気d2に変化する(図2の破線c1(スプレー)及びc2(圧縮))。または、圧縮機30の中間で圧縮機30の段落ごとに適量の水または温水が蒸気に供給されることにより、圧縮機30の入口での飽和蒸気d0が、圧縮機30の出口で飽和蒸気d2に変化する(図2の破線b)。すなわち、圧縮機30による圧縮と水または温水による冷却との組み合わせの最適化により、効率良く圧縮機30から飽和状態に近い蒸気を排出することができる。
【0043】
このように、第1蒸気発生装置ST1において、図1に示すヒートポンプ10による加熱と圧縮機30による加熱とを含む順次加熱により、飽和蒸気及び過熱蒸気のいずれも容易に発生させることができる。すなわち、ヒートポンプ10による加熱で大気圧に比べて低い負圧での飽和蒸気を発生させた後、圧縮機30による圧縮で大気圧または大気圧よりも高い圧力での過熱蒸気または飽和蒸気を発生させることができる。つまり、蒸気発生システムS1は、蒸気仕様に対する柔軟性が高い。
【0044】
また、本実施形態において、蒸気発生のための加熱過程の一部を圧縮機30が補うから、高いCOPでヒートポンプ10が使用され、したがって、第1蒸気発生装置ST1は、全体としての一次エネルギーの節減が期待される。すなわち、被加熱媒体(水)に対する比較的高温域の加熱に圧縮機30を利用することは、熱伝達のみを利用した加熱と比較して、温度上昇の短時間化及び熱損失の抑制に有利である。
【0045】
なお、本実施形態において、圧縮機30、ポンプ52、及び/又はポンプ37の動力をガスタービン装置100から得ることもできる。これにより、これらの外部電源を不要にできる。
【0046】
また、本実施形態において、ガスタービン装置100の発電機106を省く構成とすることもできる。
【0047】
また、他の実施形態において、第2蒸気発生装置ST2に代えてまたは加えて、ガスタービン装置100の排熱を用いて加熱された水や蒸気を、給湯及び/又は空調管理に利用する装置を備える構成とすることもできる。
【0048】
また、別の実施形態において、ガスタービン装置100に代えてまたは加えて、ガスエンジン、又はディーゼルエンジンなど、他のエンジンを備える構成とすることができる。
【0049】
図3は、第2実施形態を示す概略図である。以下の説明では、蒸気発生システムS2について、図1に示す蒸気発生システムS1と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0050】
図3に示すように、蒸気発生システムS2は、複数の放熱部を有するヒートポンプ10と、複数の蒸発部を有する第1蒸気発生装置ST1とを備える。蒸気発生システムS2において、ガスタービン装置100及び第2蒸気発生装置ST2は、図1の蒸気発生システムS1とほぼ同じである。
【0051】
本実施形態のヒートポンプ10は、吸熱部11、圧縮部12、放熱部13A,13B,13C,13D,13E、及び膨張部14を有し、これらは配管を介して接続されている。
【0052】
圧縮部12は、作動媒体を多段に圧縮する構造を有する。図3に示す圧縮部12は、第1圧縮部12A、第2圧縮部12B、第3圧縮部12C、及び第4圧縮部12Dを含む4段圧縮構造を有する。圧縮の段数は、蒸気発生システムS1の仕様に応じて設定され、2、3、4、5、6、7、8、9、あるいは10以上である。圧縮部12は、軸流圧縮機、遠心圧縮機、レシプロ式圧縮機、ロータリー式圧縮機などの様々な圧縮機のうち、作動媒体の圧縮に適する圧縮機を有する。
【0053】
本実施形態において、各圧縮部12A,12B,12C,12Dが、ガスタービン装置100によって駆動される。ガスタービン装置100と圧縮部12A,12B,12C,12Dとの間に必要に応じて、シャフト、ギアなどが配設される。また、圧縮部同士の間に、必要に応じて、シャフト、ギアなどが配設される。各圧縮部12A,12B,12C,12Dの圧縮比(圧力比)は、蒸気発生システムS1の仕様に応じて設定される。
【0054】
放熱部13A〜13Eは、圧縮部12で圧縮された作動媒体が流れる配管を有し、経路15内を流れる作動媒体の熱をサイクル外の熱源に与える。本実施形態において、作動媒体の流れ方向に沿って、5つの放熱部13A〜13Eが直列に配置されている。放熱部の数は、蒸気発生システムS1の仕様に応じて設定され、3、4、5、6、7、8、9、10、あるいは11以上である。放熱部13Aは圧縮部12Aと12Bとの段間に配置され、放熱部13Bは圧縮部12Bと12Cとの段間に配置され、放熱部13Cは圧縮部12Cと12Dとの段間に配置され、放熱部13Dは圧縮部12Dの下流位置に配置され、放熱部13Eは、放熱部13Dの下流位置に配置される。
【0055】
本実施形態において、ヒートポンプ10はさらに、バイパス経路17と、再生器18とを有する。バイパス経路17の入口端がヒートポンプ10の経路15における放熱部13Dと13Eとの間の配管に接続される。バイパス経路17の出口端が経路15における放熱部13Eと膨張部14との間の配管に接続される。バイパス経路17の入口に、作動媒体のバイパス流量を制御する流量制御弁を設けることができる。バイパス経路17において、放熱部13Dからの作動媒体の一部が、放熱部13Eを迂回し、膨張部14の手前で放熱部13Eからの作動媒体と合流する。放熱部13Dからの残りの作動媒体は、放熱部13Eを流れ、熱交換器41においてその作動媒体と供給経路20内の水とが熱交換する。
【0056】
再生器18は、バイパス経路17の配管の一部と、ヒートポンプ10の経路15の配管(吸熱部11と圧縮部12との間の配管)の一部とが、互いに隣接して配置された構成を有する。ヒートポンプ10において、吸熱部11からの作動媒体に比べて、放熱部13Dからの作動媒体は高温である。再生器18において、バイパス経路17を流れる放熱部13Dからの作動媒体と、ヒートポンプ10の経路15を流れる吸熱部11からの作動媒体とが熱交換する。この熱交換により、バイパス経路17内の作動媒体の温度が降下し、経路15内の作動媒体の温度が上昇する。再生器18は、低温の流体(経路15内の作動媒体)と高温の流体(バイパス経路17内の作動媒体)とが対向して流れる向流型の熱交換方式を有することができる。再生器18は、高温流体と低温流体とが並行して流れる並行流型の熱交換方式を有してもよい。
【0057】
本実施形態の第1蒸気発生装置ST1は、供給経路20、蒸発部22、及び圧縮機30に加え、加温部21を有する。供給経路20は、蒸発部22と圧縮機30とを流体的に接続するダクト23とを有する。
【0058】
加温部21は、ヒートポンプ10の放熱部13Eに隣接して配置されかつ供給源(不図示)からの水が流れる配管を含む。加温部21と放熱部13Eとを含んで熱交換器41が構成される。熱交換器41は、低温の流体(供給経路20内の水)と高温の流体(ヒートポンプ10内の作動流体)とが対向して流れる向流型の熱交換方式を有することができる。熱交換器41は、高温流体と低温流体とが並行して流れる並行流型の熱交換方式を有してもよい。熱交換器41の熱交換構造として、公知の様々なものを採用することができる。例えば、ヒートポンプ10の放熱部13Eの配管を、加温部21の配管の外周面や内部に配設することができる。加温部21において、ヒートポンプ10の放熱部13Eからの熱伝達によって、供給経路20内の水が温度上昇する。
【0059】
蒸発部22は、少なくとも液状の被加熱媒体(水)を貯溜するタンク47と、タンク47に流体的に接続された循環配管48A,48B,48C,48Dとを有する。タンク47には、加温部21からの水の供給口と、蒸気の排出口とが設けられる。タンク47は、必要に応じて、液面を計測するレベルセンサ50と、気液分離器(不図示)とを有する。
【0060】
本実施形態において、1つのタンク47に対して各循環配管48A,48B,48C,48Dが流体的に接続されている。すなわち、循環配管48A〜48Dの各入口端と各出口端とがタンク47に流体的に接続される。循環配管の数は、蒸気発生システムS1の仕様に応じて設定され、2、3、4、5、6、7、8、9、あるいは10以上である。循環配管48Aは、ヒートポンプ10の放熱部13Aに隣接して配置される蒸発管51Aと、必要に応じてポンプ52Aとを有する。同様に、循環配管48Bは、ヒートポンプ10の放熱部13Bに隣接して配置される蒸発管51Bと、必要に応じてポンプ52Bとを有する。循環配管48Cは、ヒートポンプ10の放熱部13Cに隣接して配置される蒸発管51Cと、必要に応じてポンプ52Cとを有し、循環配管48Dは、ヒートポンプ10の放熱部13Dに隣接して配置される蒸発管51Dと、必要に応じてポンプ52Dとを有する。本実施形態において、蒸発管51A〜51Dは、個々に独立してタンク47に流体的に接続される。蒸発管51A〜51Dは、タンク47及び供給経路20に対して並列に配置される。被加熱媒体(水)の熱対流及び/又は外部との差圧などを利用してポンプ52A〜52Dの少なくとも1つを省いてもよい。
【0061】
蒸発管51Aと放熱部13Aとを含んで熱交換器42が構成される。同様に、蒸発管51Bと放熱部13Bとを含んで熱交換器43が構成される。蒸発管51Cと放熱部13Cとを含んで熱交換器44が構成され、蒸発管51Dと放熱部13Dとを含んで熱交換器45が構成される。熱交換器42〜45は、低温の流体(蒸発管51A〜51D内の水)と高温の流体(ヒートポンプ10内の作動流体)とが対向して流れる向流型の熱交換方式を有することができる。熱交換器42〜45は、高温流体と低温流体とが並行して流れる並行流型の熱交換方式を有してもよい。熱交換器42〜45の熱交換構造として、公知の様々なものを採用することができる。例えば、ヒートポンプ10の各放熱部13A,13B,13C,13Dの配管を、蒸発管51A,51B,51C,51Dの外周面や内部に配設することができる。
【0062】
蒸発部22において、加温部21で温度上昇した水が供給口を介してタンク47に供給され、タンク47及び循環配管48A〜48D内に水が貯溜される。タンク47内の液面が所定範囲内になるように、タンク47への水の供給量が制御される。例えば、レベルセンサ50の計測結果に基づいて、タンク47への水の供給量が制御される。ヒートポンプ10の放熱部13A〜13Dからの熱伝達によって蒸発管51A〜51D内の水が加熱され、その水の少なくとも一部が蒸発する。タンク47は、ダクト23を介して圧縮機30に流体的に接続されている。タンク47の内部空間は、タンク47の排出口及びダクト23を介して圧縮機30によって吸引される。タンク47内の蒸気は、ダクト23内を圧縮機30に向けて流れる。
【0063】
このように、本実施形態においては、供給経路20内の水が、ヒートポンプ10からの熱伝達によって蒸気になる。まず、熱交換器41において、供給経路20内の水がヒートポンプ10の放熱部13Eからの熱伝達によって沸点近くまで温度上昇する。その後、熱交換器42〜45において、放熱部13A〜13Dからの熱伝達によってその水が相変化して蒸発する。つまり、水の顕熱加熱が熱交換器41において行われ、水の潜熱加熱が熱交換器42〜45において行われる。その結果、熱交換器41が顕熱交換に適した形態であり、熱交換器42〜45が潜熱交換に適した形態であるといった、装置構成の最適化が図られ、これに応じて、好ましい加熱プロセスを経て蒸気が発生する。
【0064】
ボイラのエネルギー効率が一般に約0.7〜0.8(70〜80%)であるのに対して、ヒートポンプのエネルギー効率としての成績係数(COP:coefficient of performance)は一般に2.5〜5.0である。ヒートポンプの成績係数は、被加熱媒体(水)の入出力温度差に応じて変化し、比較的高い入出力温度差においてその成績係数が低下する傾向がある。本実施形態において、顕熱交換及び潜熱交換に対応してヒートポンプが個別の加熱部を有することにより、ボイラに比べて高いエネルギー効率で蒸気を発生させることができる。
【0065】
本実施形態において、バイパス経路17を介して作動媒体の一部が熱交換器41を迂回するから、熱交換器41に入る作動媒体の流量の最適化が図られる。これは、作動媒体の保有熱を有効に使う上で有利である。
【0066】
また、本実施形態において、バイパス経路17を介して作動媒体の一部が熱交換器41を迂回することにより、熱交換器41への作動媒体の流入量が制御され、その結果、熱交換器41及び熱交換器42(熱交換器43〜45)のそれぞれに対して、必要に応じた熱量を有する作動媒体が供給される。
【0067】
バイパス経路17を流れる作動媒体は、再生器18において、ヒートポンプ10の経路15を流れる吸熱部11からの作動媒体と熱交換する。この熱交換により、バイパス経路17内の作動媒体の温度が降下し(例えば約20℃)、ヒートポンプ10の経路15内の作動媒体の温度が上昇する(例えば約95℃)。圧縮部12に対する作動媒体の入力温度の上昇により、圧縮部12の動力の低減化が図られる。
【0068】
なお、作動媒体のバイパス量は、被加熱媒体及び作動媒体の各物性値(比熱など)に応じて定められる。被加熱媒体が水でありかつ、作動媒体がフロン系媒体又はアンモニアである場合には、熱交換器42〜45における作動媒体の単位時間あたりの流量に対して、バイパス量がモル比で50%程度であるのが好ましい。この場合、顕熱及び潜熱のそれぞれにおいて水と作動媒体との間の熱バランスが良い。さらに、再生器18における作動媒体同士の熱バランスも良い。
【0069】
また、本実施形態において、再生器18で温度降下したバイパス経路17内の作動媒体(例えば約20℃)は、膨張部14の手前で、ヒートポンプ10の経路15を流れる熱交換器41(放熱部13E)からの作動媒体と合流する。前述したように、熱交換器41からの作動媒体の出力温度は比較的低く設定される(例えば約30℃)。膨張部14に対する作動媒体の入力温度の降下により、作動媒体の液ガス比の最適化が図られ、その結果、吸熱部11においてサイクル外の熱源(例えば大気)から有効に熱が吸収される。
【0070】
このように、本実施形態において、水の蒸発に用いた後の作動媒体が水の加温と作動媒体の再生とに用いられることにより、熱の有効利用が図られる。
【0071】
また、本実施形態において、圧縮部12が多段式である点からも、エネルギー効率の向上が図られる。すなわち、多段式の圧縮部12の段間の放熱部13A,13B,13Cの熱が奪われることとによって、作動媒体の圧縮過程における作動媒体の温度上昇が抑制され、その結果、圧縮部12の圧縮効率の向上及び圧縮機の動力の低減化が図られる。圧縮に伴う作動媒体の温度上昇と、段間の放熱部(13A,13B,13C)における作動媒体の温度降下との繰り返しの数(再熱の段数)は、2、3、4、5、6、7、8、9、あるいは10以上である。再熱の段数が装置構成上の制約の範囲内で多いのが、エネルギー効率の向上に有利である。
【0072】
また、本実施形態において、多段式の圧縮部12に対する作動媒体の入力温度が再生器18によって高められている点も、圧縮部12の動力低減に有利である。また、段間の放熱部13A,13B,13Cの冷却を利用して、被加熱媒体である水を加熱する点からも、熱の有効利用が図られる。
【0073】
また、本実施形態において、供給経路20が複数の蒸発管51A〜51Dを有することからも、エネルギー効率の向上が図られる。蒸発管では、水の流れの方向に沿って、液体に対する気体(蒸気)の比率が高くなり、蒸気発生の進行に伴って、熱伝達率が低下する。蒸発管内では、質量及びボリュームとして水が支配的であるのが好ましい。供給経路20が複数の蒸発管51A〜51Dを有することにより、気体の比率が高い水に対する加熱が回避され、その結果、蒸気発生に伴う熱伝達率の低下が抑制される。また、熱交換面積の拡大のために蒸発管の長さを長くすると、蒸発管の入口部と出口部との圧力差が大きくなり、蒸発管に水を流すための必要動力が増える可能性がある。複数の蒸発管51A〜51Dが個々に独立していると差圧が小さくて済み、熱交換面積の拡大に伴う水輸送動力の増加が抑制される。蒸発管51A〜51Dが並列配置されていることは、複数の蒸発管51A〜51Dが個々に独立した構成を実現しやすく、装置の簡素化に有利である。
【0074】
また、本実施形態において、独立した複数の蒸発管51A〜51Dを供給経路20が有することにより、熱バランス制御の向上が図られる。ヒートポンプ10においては、放熱部13A〜13Dの間で、作動媒体の状態(圧力など)が異なる。各放熱部13A〜13Dに対応する複数の蒸発管51A〜51Dを流れる水の単位時間あたりの流量が個々に制御されることにより、放熱部13A〜13Dを有する多段式の圧縮部12における再熱制御の最適化が図られる。
【0075】
図4は、蒸発管51Aにおける水の流量を制御する構成の一例を示す。ヒートポンプ10において、蒸発管51Aに対応する放熱部13Aの出口温度を計測するセンサ71が設けられている。制御装置70は、センサ71の計測結果に基づいて、蒸発管51A用のポンプ52Aを介して蒸発管51Aを流れる単位時間あたりの水の流量を制御する。これにより、放熱部13Aにおける作動媒体の出口温度を目標値に設定することができる。放熱部13Aの入口温度を計測するセンサ72を用いてもよい。図3において、他の蒸発管51B〜蒸発管51D及び対応する放熱部13B〜13Dもこれと同様の構成を採用することができる。
【0076】
図5は、第2実施形態の変形例である第3実施形態を示す概略図である。以下の説明では、蒸気発生システムS3について、図3に示す蒸気発生システムS2と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0077】
図5に示すように、本実施形態の蒸気発生システムS3は、第2実施形態と異なり、第1蒸気発生装置ST1における水を貯溜するタンクが、複数の蒸発管51A〜51Dに対応する複数の個別タンク47A〜47Dを有する。ヒートポンプ10の構成は、第2実施形態のそれと同様である。
【0078】
蒸発部22は、少なくとも液状の被加熱媒体(水)を貯溜するタンク47A,47B,47C,47Dと、各タンク47A〜47Dに流体的に接続された循環配管48A,48B,48C,48Dとを有する。各タンク47A〜47Dには、加温部21からの水の供給口と、蒸気の排出口とが設けられる。タンク47A〜47Dは、必要に応じて、液面を計測するレベルセンサ50A〜50Dと、気液分離器(不図示)とを有する。
【0079】
本実施形態において、タンク47Aに対して、蒸発管51Aを有する循環配管48Aが流体的に接続されている。すなわち、循環配管48Aの各入口端と各出口端とがタンク47Aに流体的に接続される。同様に、タンク47Bに対して蒸発管51Bを有する循環配管48Bが流体的に接続されている。タンク47Cに蒸発管51Cを有する循環配管48Cが流体的に接続され、タンク47Dに蒸発管51Dを有する循環配管48Dが流体的に接続されている。タンク及び循環配管(蒸発管)の数は、蒸気発生システムS2の仕様に応じて設定され、2、3、4、5、6、7、8、9、あるいは10以上である。本実施形態において、タンク47A〜47Dと蒸発管51A〜51Dの各ペアが、供給経路20に対して並列に配置される。
【0080】
本実施形態の第1蒸気発生装置ST1において、加温部21で温度上昇した水が分岐して各タンク47A〜47Dに供給され、各タンク47A〜47D及び各循環配管48A〜48D内に水が貯溜される。供給経路20は、各タンク47A〜47Dへの水の供給量を制御するバルブ80A〜80Dを有する。各タンク47A〜47D内の液面が所定範囲内になるように、バルブ80A〜80Dを介して各タンク47A〜47Dへの水の供給量が制御される。例えば、レベルセンサ50A〜50Dの計測結果に基づいて、各タンク47A〜47Dへの水の供給量が制御される。ヒートポンプ10の放熱部13A〜13Dからの熱伝達によって蒸発管51A〜51D内の水が加熱され、その水の少なくとも一部が蒸発する。各タンク47A〜47Dは、ダクト23を介して圧縮機30に流体的に接続されている。タンク47A〜47Dの内部空間は、各タンク47A〜47Dの排出口及びダクト23を介して圧縮機30によって吸引される。
【0081】
圧縮機30(または供給経路20)には、蒸気に対して水を供給するノズル35が、必要に応じて配設される。ノズル35の配設位置は、例えば、圧縮機30の入口及び/又は出口である。圧縮機30が多段式である場合には、ノズル35を圧縮機30の段間に配設することもできる。ノズル35と少なくとも1つのタンク47A〜47Dの液相位置とが配管36を介して流体的に接続された配管を構成することができる。この配管構成では、比較的高温である少なくとも1つのタンク47A〜47D内の液体がノズル35への供給に有効利用される。ノズル35からの液体の排出(スプレイ)には、ポンプ37などの動力源を用いてもよく、配管36の入口と出口との圧力差を利用してもよい。
【0082】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、供給経路20内の水が、ヒートポンプ10(放熱部13A〜13E)からの熱伝達によって比較的低圧力かつ低温度の蒸気となり、圧縮機30による圧縮で比較的高圧力かつ高温度の蒸気となる。蒸気発生システムS3からの蒸気は、外部の所定施設、例えば製造プラント、調理施設、空調設備、発電プラントなどに供給される。本実施形態では、複数の個別タンク47A〜47Dを有することにより、蒸気需要の変動に対する柔軟性が高い。
【0083】
上記説明において使用した数値は一例であって、本発明はこれに限定されない。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。上記説明において使用した数値は一例であって、本発明はこれに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施形態にかかる蒸気発生システムを示す概略図である。
【図2】第1蒸気発生装置による水の状態変化の一例を示す T-s 線図である。
【図3】第2実施形態にかかる蒸気発生システムを示す概略図である。
【図4】蒸発管における水の流量を制御する構成の一例を示す。
【図5】第3実施形態にかかる蒸気発生システムを示す概略図である。
【符号の説明】
【0086】
S1,S2,S3…蒸気発生システム、ST1…第1蒸気発生装置、ST2…第2蒸気発生装置、10…ヒートポンプ、11…吸熱部、12…圧縮部、13,13A〜13E…放熱部、14…膨張部、15…経路、17…バイパス経路、18…再生器、20…供給経路、21…加温部、22…蒸発部、23…ダクト、30…圧縮機、35…ノズル、40〜45…熱交換器、47,47A〜47D…タンク、48,48A〜48D…循環配管、50…レベルセンサ、51,51A〜51D…蒸発管、70…制御装置、71,72…センサ、100…ガスタービン装置(エンジン)、103…圧縮機、104…燃焼器、105…ガスタービン、106…発電機、110…吸気口、112…蒸気注入装置、120…排ガス経路、130…排熱回収ボイラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに機能的につながった圧縮部を有するヒートポンプと、
前記ヒートポンプからの熱伝達によって蒸気を発生させる第1蒸気発生装置と、を備えることを特徴とする蒸気発生システム。
【請求項2】
前記エンジンからの排熱を用いて蒸気を発生させる第2蒸気発生装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の蒸気発生システム。
【請求項3】
前記エンジンに取り込まれる空気の少なくとも一部が前記ヒートポンプによって冷却されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸気発生システム。
【請求項4】
前記第1蒸気発生装置からの前記蒸気の一部を前記エンジンに導く蒸気注入装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の蒸気発生システム。
【請求項5】
前記エンジンからの前記排熱の一部が前記ヒートポンプの作動媒体に伝わる熱交換器をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の蒸気発生システム。
【請求項6】
前記エンジンは、発電機を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の蒸気発生システム。
【請求項7】
前記第1蒸気発生装置は、前記ヒートポンプからの熱伝達によって前記蒸気が発生する蒸発部と、前記蒸発部からの前記蒸気を圧縮する圧縮機とを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の蒸気発生システム。
【請求項8】
前記エンジンは、ガスタービン、ガスエンジン、又はディーゼルエンジンであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の蒸気発生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−45807(P2008−45807A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221424(P2006−221424)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】