説明

蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム

【課題】酸素ガスバリア性、耐衝撃性及び耐屈曲疲労性に優れ、各種の包装材料として使用したときに、内容物の変質や変色を防ぎ、輸送時の振動や衝撃等から商品の破袋防止や内容物を保護できる包装用途に適した蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムを提供すること。
【解決手段】メタキシリレンジアミン、若しくはメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる混合キシリレンジアミンを主たるジアミン成分とし、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸成分を主たるジカルボン酸成分とするメタキシリレン基含有ポリアミド重合体を主体とする樹脂層(A層)の少なくとも片面に、脂肪族ポリアミド樹脂を主体とする樹脂層(B層)を積層してなるポリアミド系積層二軸延伸フィルムの少なくとも片面に、無機物質が蒸着されてなる蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い酸素ガスバリア性、耐衝撃性及び耐屈曲疲労性に優れ、食品包装等の包装材料として使用したときに、内容物の変質防止や商品の輸送時における変質防止や破袋防止等に効果があり、各種の包装用途に適した蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナイロン6やナイロン66に代表される脂肪族ポリアミドからなる二軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは、強靭で、ガスバリア性、耐ピンホール性、透明性、印刷性等に優れているところから、各種液状食品、含水食品、冷凍食品、レトルト食品、ペースト状食品、畜肉・水産食品等の各種の食品の包装材料として広く実用化されている。しかしながら、前記のようなポリアミド系樹脂フィルム単体では、ガスバリア性に限界があり、生鮮食料品等の包装用途に必ずしも適しているとは言えない。
【0003】
そこで、ポリアミド系樹脂フィルムのガスバリア性を向上させるための手段として、バリア性の高い樹脂からなるフィルムの利用、また、ポリアミド系樹脂フィルムの表面へのポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等のバリア剤コーティング、あるいは金属および金属酸化物等を蒸着する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、これらの方法ではそれぞれ、耐屈曲疲労性が低下する、焼却時に有害なガスが発生する、バリア性の湿度依存性が高い、衝撃及び耐屈疲労によりダメージを受けた場合、バリア性が十分に保てないというような問題があった。
【0005】
キシリレンジアミンを構成成分とするポリアミド重合体からなるフィルムは、ナイロン6やナイロン66に代表される脂肪族ポリアミドからなるフィルムに比べ、酸素ガスバリア性や耐熱性に優れ、フィルム強度も強いという特性をもっている。これにより、前記のガスバリア性付与のためのコーティング層や蒸着皮膜などのガスバリア層に欠陥が生じた場合に、このバリア欠陥を補う効果が期待できる。
【0006】
しかしながら、前者のキシリレンジアミンを構成成分とするポリアミド重合体からなるフィルムは、ナイロン6やナイロン66に代表されるような脂肪族ポリアミドからなるフィルムに比べ耐屈曲疲労性を必要とする包装材料に使用する場合において、加工工程や、商品の輸送時における屈曲疲労によるピンホールの発生が起こり易いという問題があった。商品の包装材料にピンホールが発生すると、ガスバリア性が大きく低下する上、内容物の漏れによる汚染、内容物の腐敗やカビの発生等の原因となり、商品価値の低下につながる。
【0007】
さらに、これらの問題点を解決するために、キシリレンジアミンを構成成分とするポリアミド重合体と脂肪族ポリアミド等を別々の押出機で溶融押出して積層し二軸延伸する方法等が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−255054号公報
【特許文献2】特開2003−11307号公報
【0009】
しかしながら、これらの特許文献に記載された技術も、良好な商品保存性と輸送時等の衝撃や屈曲に対する保護性を兼備する点において満足するレベルとは言えなかった。特許文献2の方法では、良好な酸素ガスバリア性と耐屈曲疲労性を満足するフィルムを得るためにはキシリレンジアミンを構成成分とするポリアミド重合体を多く使わなければならず、包装、流通コストの低減が求められる中では望ましい方法ではなかった。また、今日の食品流通の形態において特に重要度の高い、包装材料の輸送時における振動や衝撃、摩擦などによる破袋防止や内容物の変質防止の点では、上記の公報に記載された方法においても懸念が残るものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来のポリアミド系積層二軸延伸フィルムの有する問題点を解決し、包装用フィルムとして必要なフィルム品質である酸素ガスバリア性、耐衝撃性及び耐屈曲疲労性に優れ、各種の包装材料として使用したときに、内容物の変質や変色を防ぎ、さらには、輸送時の振動や衝撃等による商品の破袋防止や内容物の品質の保護にも効果がある包装用途に適した蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1. メタキシリレンジアミン、若しくはメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる混合キシリレンジアミンを主たるジアミン成分とし、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸成分を主たるジカルボン酸成分とするメタキシリレン基含有ポリアミド重合体を主体とする樹脂層(A層)の少なくとも片面に、脂肪族ポリアミド樹脂を主体とする樹脂層(B層)を積層してなるポリアミド系積層二軸延伸フィルムの少なくとも片面に、無機物質が蒸着されてなり、下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とする蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
(1)前記メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を主成分とする樹脂層(A層)中のメタキシリレン基含有ポリアミド重合体の割合が99重量%以上であり、かつ、熱可塑性エラストマーが添加されていないか、1重量%未満の割合で添加されている
(2)前記蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムと厚さ40μmのポリエチレンフィルムとのラミネートフィルムを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下において、ゲルボフレックステスターを用いて、1分間あたりに40サイクルの速度で連続して2000サイクルの屈曲テストを行った場合のピンホール数が10個以下である
(3)温度23℃、相対湿度65%の酸素透過率が50ml/m・MPa・day以下である
(4)前記の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムと厚さ40μmのポリエチレンフィルムとのラミネートフィルムを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下において、ゲルボフレックステスターを用いて、1分間あたりに40サイクルの速度で連続して50サイクルの屈曲処理を行った場合、温度23℃、相対湿度65%の酸素透過率が100ml/m・MPa・day以下である
(5)前記蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムと厚さ40μmのポリエチレンフィルムとのラミネートフィルムを層間で剥離したときの剥離強度が4.0N/15mm以上である2. 前記脂肪族ポリアミド樹脂を主体とする樹脂層(B層)中に、熱可塑性エラストマーが0.5重量%以上8.0重量%以下、および、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体が1.0重量%以上、12.0重量%以下の混合比率となるように添加されていることを特徴とする上記第1に記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
3. A層の厚みが、A層及びB層の合計厚みの10%以上30%以下であることを特徴とする上記第1または第2に記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
4. フィルムの厚みが8〜50μmであることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
5. 無機物質が、アルミニウム、珪素、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、錫、銅、鉄、及び亜鉛から選ばれる1種又は複数種の金属又は非金属あるいは前記金属又は非金属の酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物であることを特徴とする上記第1〜第4のいずれかに記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
6. 無機物質が蒸着されてなる皮膜の厚みが、5.0nm以上200nm以下であることを特徴とする上記第1〜第5のいずれかに記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
【発明の効果】
【0012】
かかる本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、優れた酸素ガスバリア性を有すると共に耐衝撃性及び耐屈曲疲労性が良好であり、食品包装等において内容物の変質や変色の防止に効果があり、さらに、輸送中における衝撃や振動による破袋防止や内容物の品質を保護する効果があり、各種の包装材料として有効に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムの実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムのA層を構成するのに用いる、メタキシリレンジアミン、若しくはメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる混合キシリレンジアミンを主たるジアミン成分とし、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分とするメタキシリレン基含有ポリアミド重合体において、パラキシリレンジアミンは全キシリレンジアミン中30%以下であるのが好ましく、また、キシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから構成された構成単位は分子鎖中において少なくとも70モル%以上であるのが好ましい。
【0015】
本発明において用いる、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体の例としては、例えばポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンドデカンジアミド等のような単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンスベラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンドデカンジアミド共重合体等のような共重合体、ならびにこれらの単独重合体又は共重合体の成分に一部ヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムの如きラクタム、アミノヘプタン酸の如きω−アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体等が挙げられる。
【0016】
また、本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムのB層を構成するのに用いる脂肪族ポリアミド樹脂としては、たとえば、ε−カプロラクタムを主原料としたナイロン6を挙げることができる。また、その他のポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミド樹脂を挙げることができる。具体的には、ラクタム類としては、先に示したε−カプロラクタムの他に、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸を挙げることができる。また、二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸を挙げることができる。さらに、ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン等を挙げることができる。また、少量の芳香族ジカルボン酸、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸等、または、少量の芳香族ジアミン、例えば、メタキシリレンジアミン等を含むことができる。そして、これらを重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体、たとえばナイロン6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6T、6I、MXD6(メタキシレンジパンアミド6)、6/6.6、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6等を用いることができる。加えて、本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムを製造する場合には、上記したポリアミド樹脂を単独で、あるいは、2種以上を混合して用いることができる。
【0017】
なお、上記脂肪族ポリアミド系樹脂の中でも本発明において特に好ましいのは、相対粘度が2.0〜3.5の範囲のものである。ポリアミド系樹脂の相対粘度は、得られる二軸延伸フィルムの強靭性や延展性等に影響を及ぼし、相対粘度が2.0未満のものでは衝撃強度が不足気味になり、反対に、相対粘度が3.5を超えるものでは、延伸応力の増大によって逐次二軸延伸性が悪くなる傾向があるからである。なお、本発明における相対粘度とは、ポリマー0.5gを97.5%硫酸50mlに溶解した溶液を用いて25℃で測定した場合の値をいう。
【0018】
本発明において好ましく蒸着処理に供されるポリアミド系積層二軸延伸フィルムは、A/B(二種二層)またはB/A/B(二種三層)、またはB/A/C(三種三層、脂肪族ポリアミド樹脂を主体としたB層とC層が異なる樹脂層の場合)の構成を有していることが好ましい。カールの点から、対称層構成であるB/A/B構成が好ましい。なお、以下の説明においては、積層フィルムを構成する各層の内、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を主体とする樹脂からなる、最外側に位置しない中心部の層(すなわち、B/A/B、またはB/A/Cの層構成の場合におけるA層)および、二種二層構成である場合の薄い層(すなわち、厚いB層と薄いA層とのA/Bの層構成の場合におけるA層)をコア層という。また、脂肪族ポリアミド樹脂を主体とした、最外側に位置した層(すなわち、B/A/BまたはB/A/Cの層構成の場合におけるB,C層)および、二種二層構成である場合の厚い層(すなわち、厚いB層と薄いA層とのA/Bの層構成の場合におけるB層)をスキン層という。
【0019】
ポリアミド系積層二軸延伸フィルムの各層の厚み比率は、A層の厚み比率の下限を10%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは15%以上、特に好ましくは18%以上である。A層の厚み比率の上限は30%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは25%以下、特に好ましくは23%以下である。B層、またはB層およびC層の厚み比率の下限は70%を超えることが好ましく、さらに好ましくは75%を超えることであり、特に好ましくは77%を超えることである。B層、またはB層およびC層の厚み比率の上限は90%未満とすることが好ましく、さらに好ましくは85%未満、特に好ましくは82%未満である。二種三層のB/A/B構成の場合は、表層のB層の厚み比率は、両表層の厚み比率の和を意味し、三種三層のB/A/C構成の場合は、表層のB層およびC層の厚み比率は、両表層の厚み比率の和を意味する。A層の厚み比率が30%を超えると、耐屈曲疲労性が悪化しピンホールが増加する傾向があるので好ましくない。一方、A層の厚み比率が10%に満たないとガスバリア性が悪化する傾向があり好ましくない。
【0020】
また、スキン層を形成する樹脂としては、脂肪族ポリアミド樹脂を主体とし、必要に応じて熱可塑性エラストマーを添加することができる。脂肪族ポリアミド樹脂中に添加する熱可塑性エラストマーの量の下限は0.5重量%以上であることが好ましく、1.0重量%以上であるとより好ましく、2.0重量%以上であると得に好ましい。上限は、8.0重量%以下であると好ましく、7.0重量%以下であるとより好ましく、6.0重量%以下であると得に好ましい。熱可塑性エラストマーの添加量が0.5重量%を下回ると、耐屈曲疲労性の改善効果が得られなくなる場合がある。反対に、熱可塑性エラストマーの添加量が8.0重量%を超えると、高い透明性(ヘイズ)を要求される食品等の包装用途に適さない場合がある。さらに、スキン層を形成する樹脂中には、必要に応じて、熱可塑性エラストマー、脂肪族ポリアミド樹脂、以外の樹脂を充填することも可能であるし、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等を充填することも可能である。
【0021】
本発明において使用される熱可塑性エラストマーとしては、たとえば、ナイロン6やナイロン12等のポリアミド系樹脂とPTMG(ポリテトラメチレングリコール)やPEG(ポリエチレングリコール)等とのブロックあるいはランダム共重合体等のポリアミド系エラストマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレンとブテンとの共重合体、スチレンやブタジエンとの共重合体等のポリオレフィン系エラストマー、エチレン系アイオノマー等のオレフィン系樹脂のアイオノマー等を好適に用いることができる。
【0022】
さらには、本発明において好ましく蒸着処理に供されるポリアミド系積層二軸延伸フィルムにおいては、スキン層を構成する樹脂中に、必要に応じてメタキシリレン基含有ポリアミド重合体を添加することができる。スキン層を構成する樹脂にメタキシリレン基含有ポリアミド重合体を添加することによって、スキン層を構成する脂肪族ポリアミド樹脂と熱可塑性エラストマーの界面の相間剥離を防ぎ、フィルムを用いた包装材料の耐破袋性を改善することができる。メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を添加する場合、その添加比率の上限は12.0重量%以下が好ましく、より好ましくは10.0重量%以下であり、特に好ましくは8.0重量%以下である。メタキシリレン基含有ポリアミド重合体の添加量が12.0重量%を超えると、フィルムとしての耐衝撃性をそこなう場合がある。また、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体の添加量の下限は1.0重量%以上が好ましく、より好ましくは2.0重量%以上であり、特に好ましくは3.0重量%以上である。メタキシリレン基含有ポリアミド重合体の添加量が1.0重量%未満であると、フィルムを用いた包装材料の耐破袋性を改善する効果が十分に得られない場合がある。
【0023】
一方、コア層を形成する樹脂には、メタキシリレン含有ポリアミド重合体が含まれていることが好ましい。必要に応じて、ポリアミド系樹脂や熱可塑性エラストマー等の他の樹脂を混合することができるが、コア層を形成する樹脂中にメタキシリレン含有ポリアミド重合体以外の樹脂を混合する場合には、メタキシリレン含有ポリアミド重合体の含有比率を99重量%以上、好ましくは100重量%とし、他の樹脂の含有比率を1重量%未満とすることが良好なガスバリア性を得るために好ましい。特に、熱可塑性エラストマーを混合する場合には、その含有比率を1重量%未満とすることが好ましい。そのように、硬質なメタキシリレン含有ポリアミド重合体を主成分とするコア層の外側に、相対的に軟質な脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とするスキン層を設けるとともに、スキン層に熱可塑性エラストマーを充填することにより、メタキシリレン含有ポリアミド重合体による良好なガスバリア性を発現させるのと同時に、熱可塑性エラストマーおよびポリアミド系樹脂による良好な耐屈曲疲労性改善効果を発現させることが可能となる。
【0024】
コア層を形成する樹脂中には、必要に応じて、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等を充填することも可能である。
【0025】
上記ポリアミド系フィルム上には無機蒸着皮膜が積層される。この無機蒸着皮膜は、得られるポリアミド系樹脂フィルムに高いガスバリア性を付与するものである。このような作用を有する無機物質蒸着皮膜の材料としては、Al、Si、Ti、Zn、Zr、Mg、Ce、Sn、Cu、Fe等の金属又は非金属や、これら金属又は非金属の酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられ、具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム、あるいはこれらの混合物が例示される。無機蒸着皮膜は1層でもあるいは2層以上の積層体であってもよい。
【0026】
上記無機蒸着皮膜の膜厚は、好ましくは5〜500nm、より好ましくは5〜200nmである。膜厚が5nm未満の場合は十分なガスバリア性が得られない虞れがあり好ましくない。逆に500nmを超える場合、それに相当する効果は奏されず、また耐屈曲性が低下し、さらに製造コストの点で不利となり好ましくない。
【0027】
上記無機蒸着皮膜の形成方法としては、公知の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等が採用される。
【0028】
真空蒸着法においては、蒸着材料としてアルミニウム、珪素、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、亜鉛等の金属又は非金属、また、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア等の化合物およびそれらの混合物が用いられる。加熱方法としては抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱等が採用される。また、反応ガスとして、酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着法を採用してもよい。さらに、ポリアミド系フィルムにバイアスを印加したり、ポリアミド系フィルムを加熱、冷却する等の方法も採用してもよい。上記蒸着材料、反応ガス、バイアス印加、加熱・冷却は、スパッタリング法、CVD法においても採用され得る。なお、無機物質蒸着皮膜とポリアミド系樹脂フィルムとの間には、必要に応じてアンカーコート層を設けることも可能である。
【0029】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムの蒸着皮膜は、基材として好ましく使用されるポリアミド系積層二軸延伸フィルムの少なくとも片面に形成されていればよいが、脂肪族ポリアミド樹脂を主体とする樹脂層(B層)側のフィルム表面に形成されていることが好ましい。
【0030】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムと厚さ40μmのポリエチレンフィルムとのラミネートフィルムは、温度23℃、相対湿度65%の酸素透過率が50ml/m・24H・MPa以下であることが好ましい。
【0031】
酸素透過率が上記の範囲にあることによって、本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、これを用いたガスバリア性包装材料を長期間保存した際の内容物の品質の劣化を防ぐ効果を有効に発現することができる。酸素透過率が40ml/m・24H・MPa以下であればより好ましく、30ml/m・24H・MPa以下であれば特に好ましい。
【0032】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、厚さ40μmのポリエチレンフィルムとラミネートしたラミネートフィルムを、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下において、以下の方法で、ゲルボフレックステスターを用いて、1分間あたりに40サイクルの速度で連続して2000サイクルの屈曲テストを行った場合のピンホール数が10個以下であることが好ましい。
【0033】
上記ピンホール数の測定方法の概略は以下の通りである。ポリオレフィンフィルム等とラミネートして所定の大きさ(20.3cm×27.9cm)に切断したフィルムを、所定の温度下で所定の時間に亘ってコンディショニングした後、その長方形テストフィルムを巻架して所定の長さの円筒状にする。そして、その円筒状フィルムの両端を、それぞれ、ゲルボフレックステスターの円盤状固定ヘッドの外周および円盤状可動ヘッドの外周に固定し、可動ヘッドを固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッドの軸に沿って所定長さ(7.6cm)だけ接近させる間に所定角度(440゜)回転させ、続いて回転させることなく所定長さ(6.4cm)直進させた後、それらの動作を逆向きに実行させて可動ヘッドを最初の位置に戻すという1サイクルの屈曲テストを、所定の速度(1分間あたり40サイクル)の速度で、所定サイクル(2000サイクル)だけ連続して繰り返す。しかる後に、テストしたフィルムの固定ヘッドおよび可動ヘッドの外周に固定した部分を除く所定範囲(497cm)の部分に生じたピンホール数を計測する。
【0034】
ピンホール数が上記の範囲にあることによって、本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、これを用いたガスバリア性包装材料を輸送する際の振動や衝撃等による、破袋や微小な穴あきによる内容物の漏出や品質の劣化を防ぐ効果を有効に発現することができる。ピンホール数が8個以下であればより好ましく、ピンホール数が6個以下ならば特に好ましい。
【0035】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムのピンホール数を10個以下にするための手段としては、前述のとおり、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を主成分とする樹脂層(A層)を極力薄くするとともに、脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする樹脂層(B層)中に熱可塑性エラストマーを適宜含有させることで達成することができる。
【0036】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、温度23℃、相対湿度65%の酸素透過率が50ml/m・24H・MPa以下であることが好ましい。
【0037】
酸素透過率が上記の範囲にあることによって、本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、これを用いたガスバリア性包装材料を長期間保存した際の内容物の品質の劣化を防ぐ効果を有効に発現することができる。酸素透過率が40ml/m・24H・MPa以下であればより好ましく、30ml/m・24H・MPa以下であれば特に好ましい。
【0038】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムの酸素透過率を50ml/m・24H・MPa以下にするための手段としては、前述のとおり、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を主成分とする樹脂層(A層)中のメタキシリレン基含有ポリアミド重合体の割合を極力大きくするとともに、A層の厚みの比率をフィルム全厚みの10〜30%の範囲で適宜調整し、無機蒸着皮膜を積層することにより達成することができる。
【0039】
メタキシリレン基含有ポリアミド重合体のごとくに代表されるガスバリア性の高い樹脂の中に脂肪族ポリアミド樹脂のごときガスバリア性の比較的低い他の樹脂を混合した場合、2種類の樹脂が分散、均質化が進むにつれて、有効なガスバリア構造の形成を阻害するように働き、その混合比率が増えるほど、また、混合、均質化の度合いが高いほど、ガスバリア性は低下する傾向がある。また、ガスバリア性樹脂単一の層と、他の樹脂の単一の層が完全に混ざり合うことない状態で積層された場合に積層膜のガスバリア性が最もよい状態であるが、溶融樹脂の積層の場合には、現実的には2種類の樹脂層の界面には微小な揺らぎが生じ、ガスバリア性が若干低下することもある。
【0040】
メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を主体とするA層中に他の樹脂を含まないか、他の樹脂の割合を極力少なくする、溶融押出時の異なる樹脂が極力混ざり合わないように配合方法や混練り条件を調整する等の手段により達成することができる。
【0041】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルム等とのラミネートフィルムを層間で剥離したときの剥離強度が4.0N/15mm以上であることが好ましい。
【0042】
上記剥離強度の測定方法の概略は以下のとおりである。ポリオレフィンフィルム等とラミネートしたラミネートフィルムを幅15mm、長さ200mmに切り出して、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム層とポリオレフィンフィルム層との層間を剥離角度180度で剥離したときの強度を測定する。
【0043】
剥離強度が上記の範囲にあることによって、本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、これを用いたガスバリア性包装材料を輸送する際の、振動や衝撃等によって生じる破袋や微小な穴あきによる、内容物の漏出や品質の劣化を防ぐ効果を有効に発現することができる。剥離強度が5.0N/15mm以上であればより好ましく、剥離強度が5.5N/15mm以上ならば特に好ましい。なお、本発明における剥離強度の上限は、接着剤樹脂とフィルムとの接着強度の強さに依存し、実質的には8.0N/15mm程度が上限である。
【0044】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムの剥離強度が4.0N/15mm以上にするための手段としては、スキン層を構成する脂肪族ポリアミド樹脂と添加する熱可塑性エラストマーの界面の相互作用を高め、相間剥離を防ぐことが有効である。具体的な手段としては、脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とするスキン層中に、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を1.0〜12.0重量%の範囲内で適宜添加する方法が有効である。これによって、フィルムの延伸時に引き起こされる配向による歪みを緩和し脂肪族ポリアミド樹脂と熱可塑性エラストマーとの相間の剥離強度を高める効果が現れる。その他の手段としては、熱可塑性エラストマーと脂肪族ポリアミド樹脂との相互作用を高めるために、溶融混練の度合いを高める、熱可塑性エラストマーに脂肪族ポリアミドとの相溶性を高める官能基を導入する、フィルムの延伸時の温度や倍率、熱固定温度を適宜に調整する、等の方法により更に剥離強度を高めることができる。
【0045】
本発明の目的とするところの、蒸着ポリアミドフィルムを用いた包装材料の内容物保存性や、輸送時の衝撃、屈曲、振動に対する保護性は、上記の特性をバランス良く共有する蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムを用いることにより実現される。
【0046】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、常温や低温環境下における弾性回復力が優れ、耐衝撃性や耐屈曲疲労性が優れた特性を示すと共に、印刷やラミネート等の加工適性も良好であり、各種の包装材料として好適な積層樹脂フィルムである。
【0047】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムの厚みは特に制限されるものではないが、包装材料として使用する場合、一般には8〜50μmの厚みのものが好ましく、10〜30μmのものがさらに好ましい。(ここで、本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムの厚みは蒸着皮膜を含んだフィルム全体の厚みを意味するが、蒸着皮膜の厚みは桁違いに基材フィルムの厚みより薄く、実質的に基材フィルムの厚みと大差ないことになる。)
【0048】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは以下のような製造方法により製造することができる。例えば、各層を構成する重合体を別々の押出機を用いて溶融し、1つのダイスから共押出しにより製造する方法、各層を構成する重合体を別々にフィルム状に溶融押出ししてからラミネート法により積層する方法、及びこれらを組み合わせた方法などの方法をとることができ、各層を構成する重合体を別々の押出機を用いて溶融し、1つのダイスから共押出しにより製造する方法が好ましい。延伸方法としては、フラット式逐次二軸延伸方法、フラット式同時二軸延伸方法、チューブラー法などの方法を用いて製造することができ、フラット式逐次二軸延伸方法が好ましい。ここでは、溶融共押出法および、フラット式逐次二軸延伸法によるフィルムの製造を例に説明する。
【0049】
共押出法により2台の押出機から原料樹脂を溶融押出しし、フィードブロックにより合流、Tダイから膜状に押出し、冷却ロール上に供給して冷却し、B層/A層/B層の2種3層積層構成の未延伸フィルムを得る。その際、各押出機での樹脂溶融温度は各層を構成する樹脂の融点+10℃〜50℃の範囲で任意に選択する。膜厚の均一性や樹脂の劣化防止の点から、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体からなるA層の場合は245〜290℃、好ましくは、255〜280℃の範囲、脂肪族ポリアミド樹脂からなるB層の場合は230〜280℃、好ましくは250℃〜270℃の範囲が好ましい。得られた未延伸シートをロール式縦延伸機に導いて、ロール間速度差を用いて65〜100℃の範囲、好ましくは80〜90℃の範囲の温度で縦方向に2.0〜5.0倍、好ましくは3.0〜4.0倍に延伸し、次いで、テンター式横延伸機に導入し、80〜140℃の範囲、好ましくは100〜130℃の範囲の温度で3.0〜6.0倍、好ましくは3.5〜4.0倍に横延伸したのち、180〜230℃、好ましくは200〜220℃の範囲で熱固定、および0〜8%の範囲、好ましくは2〜6%の範囲で弛緩処理を施し、ポリアミド系積層二軸延伸フィルムを得る。
【0050】
加えて、本発明において好ましく蒸着処理に供されるポリアミド系積層二軸延伸フィルムには、特性を阻害しない範囲内で、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等の各種の添加剤を含有させることも可能である。特に、二軸延伸フィルムの滑り性を良好にする目的で、各種の無機粒子を含有させることが好ましい。また、表面エネルギーを下げる効果を発揮するエチレンビスステアリン酸等の有機滑剤を添加すると、フィルムロールを構成するフィルムの滑り性が優れたものになるので好ましい。
【0051】
さらに、ポリアミド系積層二軸延伸フィルムには、用途に応じて寸法安定性を良くするために熱処理や調湿処理を施すことも可能である。加えて、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したり、印刷、蒸着等の加工を施したりすることも可能である。
【0052】
上記により得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等により、各種の金属あるいは金属酸化物を蒸着することで、蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムを得ることができる。
【0053】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムと他のポリオレフィン等のフィルムによるラミネートを施し、ラミネートフィルムを作成する場合には、少なくとも蒸着皮膜が形成されている表面上に他のフィルムがラミネートされてなることが好ましい。
【実施例】
【0054】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの評価は次の測定法によって行った。
【0055】
[相対粘度(RV)]
試料0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、この溶液10mlを用い、オストワルド粘度管にて20℃で落下秒数を測定し、下式7より相対粘度を算出した。
RV=t/t0
ただし、t0:溶媒の落下秒数、t:試料溶液の落下秒数。
【0056】
[酸素透過率(ガスバリア性)]
フィルムを、湿度65%RH、気温25℃の雰囲気下で、2日間に亘って酸素置換させた後に、JIS−K−7126(B法)に準拠して、酸素透過度測定装置(OX−TRAN 2/20:MOCOM社製)を用いて測定した。
【0057】
[ラミネートフィルムの作製]
実施例で作成したフィルムにポリエステル系二液型接着剤(東洋モートン社製、TM590/CAT56=13/2(重量部))を塗布量3g/m2で塗布後、線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム:東洋紡績社製、L6102)40μmをドライラミネートし、40℃の環境下で3日間エージングを行いラミネートフィルムとした。
【0058】
[耐ピンホール性]
上記ラミネートフィルムを、20.3cm(8インチ)×27.9cm(11インチ)の大きさに切断し、その切断後の長方形テストフイルム(ラミネートフィルム)を、温度23℃の相対湿度50%の条件下に、24時間以上放置してコンディショニングした。しかる後、その長方形テストフィルムを巻架して長さ20.32cm(8インチ)の円筒状にする。そして、その円筒状フィルムの一端を、ゲルボフレックステスター(理学工業社製、NO.901型)(MIL−B−131Cの規格に準拠)の円盤状固定ヘッドの外周に固定し、円筒状フィルムの他端を、固定ヘッドと17.8cm(7インチ)隔てて対向したテスターの円盤状可動ヘッドの外周に固定した。そして、可動ヘッドを固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッドの軸に沿って7.6cm(3.5インチ)接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなく6.4cm(2.5インチ)直進させた後、それらの動作を逆向きに実行させて可動ヘッドを最初の位置に戻すという1サイクルの屈曲テストを、1分間あたり40サイクルの速度で、連続して2000サイクル繰り返した。しかる後に、テストしたフィルムの固定ヘッドおよび可動ヘッドの外周に固定した部分を除く17.8cm(7インチ)×27.9cm(11インチ)内の部分に生じたピンホール数を計測した(すなわち、497cm(77平方インチ)当たりのピンホール数を計測した)。ピンホール数の計測に際しては、テストフィルムのL−LDPEフィルム側を下面にして、ろ紙(アドバンテック、No.50)上に試料ラミネートフィルムをひろげ、4隅をセロテープ(登録商標)で固定した。インクを注ぎゴムローラーでインキを広げたのち、上からろ紙をもう一枚載せて余分のインクを拭取った。その後、下に敷いてあるろ紙にインクが透過して着色した点の数を数えた。
【0059】
[屈曲処理後酸素透過率(ガスバリア性)]
上記ラミネートフィルムに前項と同様の屈曲処理を50サイクル施した後、処理後のフィルムの中央部分からサンプルを切り出し、湿度65%RH、気温25℃の雰囲気下で、2日間に亘って酸素置換させた後に、JIS−K−7126(B法)に準拠して、酸素透過度測定装置(OX−TRAN 2/20:MOCOM社製)を用いて測定した。
【0060】
[剥離強度]
上記ラミネートフィルムを、幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、東洋ボールドウイン社製の「テンシロンUMT−II−500型」を用いて、温度23℃、相対湿度65%の条件下でポリアミド系積層二軸延伸フィルム層とL−LDPEフィルム層の層間の剥離強度を測定した。なお、引張速度は10cm/分、剥離角度は180度とした。
【0061】
[落袋評価]
(a)包装袋の作製
上記ラミネートフィルムを用いて、線状低密度ポリエチレンフィルム側を内側に重ね合わせて内寸が横15cm、縦19cmの三方シール袋を作製した。
(b)呈色液の作製
水2000重量部に対し、寒天7重量部、メチレンブルー0.04重量部を加え、95℃の温湯中で溶かした。さらに、窒素雰囲気下でハイドロサルファイト(Na)1.2重量部を加えて混ぜ、無色の溶液とした。
(c)窒素雰囲気下で、上記(a)で作製した三方シール袋内に100mlの上記(b)で作製した呈色液を入れ、袋内の気体を抜きながら袋の上部をシールして、内寸が横15cm、縦15cmの袋とした。
(d)得られた袋を室温で3時間放置し、寒天を固めた
上記(a)〜(d)で作製したメチレンブルー呈色液入り包装袋を用いて、以下の方法で耐破袋性試験を行った。5℃、湿度40%の条件下で、包装袋20袋を1まとめとして、1mの高さから鋼鉄の床の上に落下させた。これを1回の処理として、10回繰り返し
処理したものを40℃、湿度90%の条件下に10日間保存した袋の中のメチレンブルー寒天溶液の呈色で酸素バリア性の悪化度合いを評価した。
◎:変色なし,僅かに変色
○:若干変色
△:部分的あるいは全体が変色
×:部分的あるいは全体が濃く変色
【0062】
[蒸着皮膜の厚み]
蒸着皮膜を有するフィルム試料の断面切片を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して蒸着皮膜の厚みを測定する。
【0063】
[実施例1]
2種3層の共押出しTダイ設備を使用し、次のような構成の未延伸シートを得た。B層/A層/B層の構成で、未延伸シートのトータル厚みは190μmであり、トータル厚みに対する各層の厚み比率はB層/A層/B層=40%/20%/40%、A層の押出樹脂温度は270℃、B層の押出樹脂温度は260℃である。A層を構成する組成物:ポリメタキシリレンアジパミド(三菱瓦斯化学(株)製、RV=2.65)=100重量%からなる組成物。B層を構成する組成物:ナイロン6(東洋紡績(株)製、RV=2.8)が89重量%、熱可塑性エラストマーとしてポリアミド系ブロック共重合体(ナイロン12/ポリテトラメチレングリコール共重合体、アルケマ社製ペバックス4033、RV=2.0)が5重量%、ポリメタキシリレンアジパミド(三菱瓦斯化学(株)製、RV=2.65)が6重量%からなる組成物。
【0064】
得られた未延伸シートをロールによって延伸温度85℃で縦方向に3.3倍延伸し、続いてテンターによって120℃の延伸温度で横方向に3.7倍延伸した。さらに215℃の温度で熱固定し、5%の熱弛緩処理を施すことにより厚み15μmの二軸延伸フィルムを作製した。
【0065】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに以下の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0066】
[酸化アルミニウム蒸着]
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のAl(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたポリアミド系フィルムロールを構成するポリアミド系樹脂フィルムの表面上に、電子ビ−ム蒸着法により、酸化アルミニウム薄膜を形成した。加熱源として、EB銃を用い、エミッション電流を1.3Aとした。フィルム送り速度を130m/minとし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1×10−2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
【0067】
さらに、蒸着処理を施した面と線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム:東洋紡績社製、L6102)40μmとをドライラミネートした。得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0068】
[実施例2]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が95重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が2重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが3重量%からなる組成物。
【0069】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに以下の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0070】
[酸化ケイ素蒸着]
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のSi(純度99.99%)とSiO(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたポリアミド系フィルムロールを構成するポリアミド系樹脂フィルムの表面上に、電子ビ−ム蒸着法により、酸化ケイ素薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、SiとSiOのそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を0.8Aとし、SiとSiOとの組成比が1:9となるように、各材料を加
熱した。フィルム送り速度を130m/minとし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1×10−2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
【0071】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0072】
[実施例3]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が97重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が1重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが2重量%からなる組成物。
【0073】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに以下の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0074】
[複合蒸着]
蒸着源として、3mm〜5mm程度の粒子状SiO(純度99.9%)とAl(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたポリアミド系フィルムロールを構成するポリアミド系樹脂フィルムの表面上に、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウムと二酸ケイ素との混合薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、AlおよびSiOのそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を1.2Aとし、AlとSiOとの組成比が3:7となるように各材料を加熱した。フィルムの送り速度は、130m/minとし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1×10−2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
【0075】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0076】
[実施例4]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が95重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が2重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが3重量%からなる組成物。
トータル厚みに対する各層の厚み比率がB層/A層/B層=41%/18%/41%。
【0077】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例1と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0078】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0079】
[実施例5]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が92重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が3重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが5重量%からなる組成物。
トータル厚みに対する各層の厚み比率がB層/A層/B層=39%/22%/39%。
【0080】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例2と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0081】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0082】
[実施例6]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
トータル厚みに対する各層の厚み比率がB層/A層/B層=43%/14%/43%。
【0083】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0084】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0085】
[実施例7]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が95重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が2重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが3重量%からなる組成物。トータル厚みに対する各層の厚み比率がB層/A層/B層=36%/28%/36%。
【0086】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0087】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0088】
[実施例8]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が97重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が1重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが2重量%からなる組成物。
トータル厚みに対する各層の厚み比率がB層/A層/B層=43%/14%/43%。
【0089】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0090】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0091】
[実施例9]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が83重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が7重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが10重量%からなる組成物。
トータル厚みに対する各層の厚み比率がB層/A層/B層=36%/28%/36%。
【0092】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0093】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0094】
[実施例10]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が93重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が5重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが2重量%からなる組成物。
【0095】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0096】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0097】
[実施例11]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が84重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が5重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが11重量%からなる組成物。
【0098】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0099】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0100】
[実施例12]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が98重量%、ポリアミド系ブロック共重合体が1重量%、ポリメタキシリレンアジパミドが1重量%からなる組成物。
【0101】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0102】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0103】
[比較例1]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が100重量%からなる組成物。
【0104】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0105】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0106】
[比較例2]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
トータル厚みに対する各層の厚み比率がB層/A層/B層=30%/40%/30%。
【0107】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0108】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0109】
[比較例3]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
A層を構成する組成物:ポリメタキシリレンアジパミドが80重量%とナイロン6が20重量%からなる組成物。
【0110】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0111】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0112】
[比較例4]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
A層を構成する組成物:ポリメタキシリレンアジパミドが80重量%とナイロン6が20重量%からなる組成物。
トータル厚みに対する各層の厚み比率がB層/A層/B層=20%/60%/20%。
【0113】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0114】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0115】
[比較例5]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。A層を構成する組成物:ポリメタキシリレンアジパミドが80重量%とナイロン6が20重量%からなる組成物。
トータル厚みに対する各層の厚み比率がB層/A層/B層=30%/40%/30%。
【0116】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0117】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0118】
[比較例6]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が95重量%とポリアミド系ブロック共重合体が5重量%からなる組成物。
【0119】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0120】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0121】
[比較例7]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が99重量%とポリアミド系ブロック共重合体が1重量%からなる組成物。
【0122】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0123】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0124】
[比較例8]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
B層を構成する組成物:ナイロン6が95重量%とポリメタキシリレンアジパミドが5重量%からなる組成物。
【0125】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0126】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0127】
[比較例9]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
A層を構成する組成物:ポリメタキシリレンアジパミドが90重量%とポリアミド系ブロック共重合体が10重量%からなる組成物。
B層を構成する組成物:ナイロン6が100重量%からなる組成物。
【0128】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0129】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0130】
[比較例10]
実施例1の記載において以下のように代えた他は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
A層を構成する組成物:ナイロン6が95重量%とポリアミド系ブロック共重合体が5重量%からなる組成物。
B層を構成する組成物:ナイロン6が95重量%とポリアミド系ブロック共重合体が5重量%からなる組成物。
【0131】
得られたポリアミド系積層二軸延伸フィルムに実施例3と同様の方法で蒸着を施し、蒸着フィルムを作製した。
【0132】
実施例1と同様に得られたラミネートフィルムの酸素透過率、ゲルボ処理後のピンホール数、酸素透過率、剥離強度の測定、落体評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0133】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムは、優れた酸素ガスバリア性を有すると共に耐衝撃性及び耐屈曲疲労性が良好であり、食品包装等において内容物の変質や変色の防止に効果があり、さらに、輸送中における衝撃や振動による破袋の防止や内容物を保護する効果があり、各種の包装材料として有効に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタキシリレンジアミン、若しくはメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる混合キシリレンジアミンを主たるジアミン成分とし、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸成分を主たるジカルボン酸成分とするメタキシリレン基含有ポリアミド重合体を主体とする樹脂層(A層)の少なくとも片面に、脂肪族ポリアミド樹脂を主体とする樹脂層(B層)を積層してなるポリアミド系積層二軸延伸フィルムの少なくとも片面に、無機物質が蒸着されてなり、下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とする蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
(1)前記メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を主成分とする樹脂層(A層)中のメタキシリレン基含有ポリアミド重合体の割合が99重量%以上であり、かつ、熱可塑性エラストマーが添加されていないか、1重量%未満の割合で添加されている
(2)前記蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムと厚さ40μmのポリエチレンフィルムとのラミネートフィルムを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下において、ゲルボフレックステスターを用いて、1分間あたりに40サイクルの速度で連続して2000サイクルの屈曲テストを行った場合のピンホール数が10個以下である
(3)温度23℃、相対湿度65%の酸素透過率が50ml/m・MPa・day以下である
(4)前記の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムと厚さ40μmのポリエチレンフィルムとのラミネートフィルムを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下において、ゲルボフレックステスターを用いて、1分間あたりに40サイクルの速度で連続して50サイクルの屈曲処理を行った場合、温度23℃、相対湿度65%の酸素透過率が100ml/m・MPa・day以下である
(5)前記蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムと厚さ40μmのポリエチレンフィルムとのラミネートフィルムを層間で剥離したときの剥離強度が4.0N/15mm以上である
【請求項2】
前記脂肪族ポリアミド樹脂を主体とする樹脂層(B層)中に、熱可塑性エラストマーが0.5重量%以上8.0重量%以下、および、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体が1.0重量%以上、12.0重量%以下の混合比率となるように添加されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
【請求項3】
A層の厚みが、A層及びB層の合計厚みの10%以上30%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
【請求項4】
フィルムの厚みが8〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
【請求項5】
無機物質が、アルミニウム、珪素、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、錫、銅、鉄、及び亜鉛から選ばれる1種又は複数種の金属又は非金属あるいは前記金属又は非金属の酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
【請求項6】
無機物質が蒸着されてなる皮膜の厚みが、5.0nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。

【公開番号】特開2009−274439(P2009−274439A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95510(P2009−95510)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】