説明

蓄熱装置への蓄熱方法及び蓄熱システム

【課題】発生した熱を蓄熱体に蓄え、輸送可能な蓄熱装置への蓄熱のための熱源として、有機性廃棄物を処理して発生するバイオガスを燃料とし生成された蒸気や、バイオガス発電に伴う排ガスなどを利用することで、バイオガスの一層の有効利用を図る蓄熱装置への蓄熱方法及び蓄熱システムを提供すること。
【解決手段】固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物を嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料とするバイオガス発電に伴う排熱保有媒体と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給することにより、前記蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発生した熱を蓄熱体に蓄え、トラックなどで離れた場所に熱を輸送可能な蓄熱装置に対して、有機性廃棄物を嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料とし生成された蒸気や、バイオガス発電に伴う排気ガスなどを利用して蓄熱を行うようにした、蓄熱装置への蓄熱方法及び蓄熱システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱源で発生する熱を一時的に蓄熱する蓄熱装置として、特許文献1(特開昭58−104494号公報)に提案されたものが知られている。特許文献1の蓄熱装置は、蓄熱容器に、熱を蓄熱する蓄熱材と、蓄熱材よりも比重が小さく、蓄熱材と分離する熱媒体を収容している。蓄熱材は、融解することによって潜熱を蓄熱し、凝固することによって潜熱を放出するものである。蓄熱容器では、比重の相違から上部に熱媒体、下部に蓄熱材と互いに分離される。そして、熱源(例えば太陽熱、工場廃液、夜間電力など)で熱が供給された熱媒体を蓄熱容器の底部から供給すると、蓄熱材よりも比重が小さいため、蓄熱容器の上部に移動する。そして、かかる移動中に蓄熱材と直接接触することで、熱媒体に供給された熱が蓄熱材に伝わり、蓄熱されるようになる。
【0003】
また、蓄熱された熱を利用する場合は、熱供給されていない熱媒体を蓄熱容器の底部から供給すると、蓄熱材よりも比重が小さいため、蓄熱容器の上部に移動する。そして、かかる移動中に蓄熱材と直接接触することで、蓄熱材に蓄熱されている熱が熱媒体に伝わり、熱媒体に熱が供給されるようになる。そして、かかる熱媒体を熱取出器に供給し、熱取出器において熱を回収することで、例えば、暖房機器のような外部機器において熱を利用することができるようになる。
【0004】
ところで、近年、環境負荷の増大により、廃棄物のリサイクルやエネルギー回収などを推進する資源循環型社会システムへの転換が求められている。このため、生ごみなどの食品廃棄物、家畜糞尿、有機性廃水、下水汚泥、木質系廃棄物などの有機性廃棄物を処理してバイオガスを発生させて、バイオガス発電やバイオガス熱利用の導入が進められている。
【0005】
しかしながら、バイオガス熱利用においては、食品廃棄物処理施設、下水処理施設などの有機性廃棄物処理施設の周辺にある病院、学校、農業用温室などの需要施設へ熱供給する場合、需要施設まで配管などを敷設しなければならず、需要施設へ熱供給は、ごく一部の処理施設に限定されている。その結果、バイオガスの発生を行う有機性廃棄物処理施設では、その発生熱の一部が余剰として捨てられており、バイオガスの一層の有効利用を図ることが望まれている。
【特許文献1】特開昭58−104494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の課題は、発生した熱を蓄熱体に蓄え、トラックなどで離れた場所に熱を輸送可能な蓄熱装置への蓄熱のための熱源として、食品廃棄物、下水汚泥、木質系廃棄物などの有機性廃棄物を処理して発生するバイオガスを燃料とし生成された蒸気や、バイオガスを燃料として発電するバイオガス発電に伴う排ガスなどの排熱保有媒体を利用することで、バイオガスの一層の有効利用を図ることができるようにした、蓄熱装置への蓄熱方法及び蓄熱システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
請求項1の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電に伴う排熱保有媒体と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法である。
【0009】
請求項2の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法である。
【0010】
請求項3の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電に伴う排熱保有媒体と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法である。
【0011】
請求項4の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法である。
【0012】
請求項5の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることによるバイオガスの発生に伴う炭化物をさらに燃焼炉で燃焼させることにより発生する燃焼排ガスと前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法である。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱装置への蓄熱方法において、前記熱交換媒体が、前記蓄熱体に直接接触することにより熱交換し、前記蓄熱体よりも比重が小さく、前記蓄熱体と比重差によって分離して混合しないものであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱装置への蓄熱方法において、前記蓄熱体がエリスリトールであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7記載の蓄熱装置への蓄熱方法において、前記蓄熱体に蓄熱させる場合、前記貯蔵容器に供給する熱交換媒体の温度が120〜180℃の範囲にあることを特徴とするものである。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱装置への蓄熱方法において、前記蓄熱体が糖アルコール類であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項10の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電に伴う排熱保有媒体と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システムである。
【0018】
請求項11の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システムである。
【0019】
請求項12の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電に伴う排熱保有媒体と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システムである。
【0020】
請求項13の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システムである。
【0021】
請求項14の発明は、固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることによるバイオガスの発生に伴う炭化物をさらに燃焼炉で燃焼させることにより発生する燃焼排ガスと前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システムである。
【0022】
請求項15の発明は、請求項10〜14のいずれか1項に記載の蓄熱システムにおいて、前記熱交換媒体が、前記蓄熱体に直接接触することにより熱交換し、前記蓄熱体よりも比重が小さく、前記蓄熱体と比重差によって分離して混合しないものであることを特徴とするものである。
【0023】
請求項16の発明は、請求項10〜15のいずれか1項に記載の蓄熱システムにおいて、前記蓄熱体がエリスリトールであることを特徴とするものである。
【0024】
請求項17の発明は、請求項16記載の蓄熱システムにおいて、前記蓄熱体に蓄熱させる場合、前記貯蔵容器に供給する熱交換媒体の温度が120〜180℃の範囲にあることを特徴とするものである。
【0025】
請求項18の発明は、請求項10〜15のいずれか1項に記載の蓄熱システムにおいて、前記蓄熱体が糖アルコール類であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の蓄熱装置への蓄熱方法、又は蓄熱システムは、発生した熱を蓄熱体に蓄え、トラックなどで離れた場所に熱を輸送可能な蓄熱装置への蓄熱のための熱源として、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させること、あるいはガス化炉でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として発電するバイオガス発電に伴う排ガスなどの排熱保有媒体を利用するようにしている。また、本発明の蓄熱装置への蓄熱方法、又は蓄熱システムは、発生した熱を蓄熱体に蓄え、トラックなどで離れた場所に熱を輸送可能な蓄熱装置への蓄熱のための熱源として、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させること、あるいはガス化炉でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気を利用するようにしている。また、本発明の蓄熱装置への蓄熱方法、又は蓄熱システムは、発生した熱を蓄熱体に蓄え、トラックなどで離れた場所に熱を輸送可能な蓄熱装置への蓄熱のための熱源として、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることによるバイオガスの発生に伴う炭化物をさらに燃焼炉で燃焼させることにより発生する燃焼排ガスを利用するようにしている。
【0027】
したがって、本発明の蓄熱装置への蓄熱方法、又は蓄熱システムによれば、有機性廃棄物処理施設においてエネルギー回収のために、発生熱の一部が余剰として捨てられることのないようバイオガスの一層の有効利用を図ることができるとともに、熱供給配管を敷設することなくトラックなどで移動可能な蓄熱装置による熱輸送により、食品廃棄物処理施設、下水処理施設、木質系廃棄物処理施設(バイオマス活用施設)などの前記有機性廃棄物処理施設でのバイオガスを燃料として発生する熱を、これら施設の周辺にある病院、学校、農業用温室などの需要施設で活用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図1は本発明による方法を実施する蓄熱システムを備えた食品廃棄物処理施設の構成を示すフロー図、図2は本発明に係る蓄熱装置を用いる熱輸送システムの全体概略図、図3は本発明に係る蓄熱装置の一構成例を示す概略図である。
【0030】
図1に示すように、この食品廃棄物処理施設100では、まず、パン、和菓子、豆腐などの生ごみ(食品廃棄物)は、袋に収容された状態で生ごみ破袋分別装置101に送られ、この生ごみ破袋分別装置101によって袋が取り除かれるともに、破袋された袋から取り出されて細かく破砕されてから、原料槽102を経て嫌気性発酵槽としてのメタン発酵槽103に投入される。
【0031】
メタン発酵槽103に投入された生ごみは、加温装置によって発酵に最適な温度に調整され、この実施形態では湿式高温発酵(約55℃)にてバイオガスを発生させる。メタン発酵槽103からのバイオガスは、脱硫塔106で硫化水素が除去された後、ガスホルダー107に蓄えられる。ガスホルダー107には、メタン約60%、二酸化炭素約40%の混合ガスであるバイオガスが蓄えられる。
【0032】
一方、メタン発酵槽103からの消化液は、排水処理設備104にて浄化されてから、処理水として放流される。そして、この排水処理設備104で発生する余剰汚泥は、汚泥可溶化槽105に導かれ、汚泥可溶化槽105において60〜70℃で活性化する好熱菌で可溶化される。この汚泥可溶化槽105からの可溶化液(可溶化された汚泥)の一部をメタン発酵槽103に戻すことにより、メタン発酵槽103でのバイオガス発生量を増加させることができるとともに、排水処理設備104で発生する汚泥量を大幅に減らすことができる。
【0033】
さて、前記ガスホルダー107からのバイオガスは、ボイラー108に燃料として供給される。このボイラー108で生成された蒸気は、蒸気ヘッダー109を経て食品廃棄物処理施設100内で使用される。
【0034】
また、ガスホルダー107からのバイオガスは、発電機111を駆動するためのガスエンジン110に燃料として供給される。発電機111による電力は、この食品廃棄物処理施設100内で使用される。なお、余剰電力については売電される。そして、ガスエンジン110の排ガスが排熱回収ボイラー112に導かれ、排熱回収ボイラー112でつくられた温水は、温水ヘッダー113を経て送られて、メタン発酵槽103及び汚泥可溶化槽105にて加温用として利用される。
【0035】
そして、1は後述の蓄熱体及び熱交換媒体を収容する貯蔵容器を有して輸送可能な蓄熱装置であり、10Aは蓄熱装置1への蓄熱のために備えられた熱交換器である。熱交換器10Aは、前記ボイラー108の蒸気ヘッダー109からの蒸気と、蓄熱装置1から取り込む熱交換媒体との間で熱交換することにより、熱交換媒体に熱供給するためのものである。蓄熱装置1と熱交換器10Aは、蓄熱システムを構成している。
【0036】
図2に示すように、蓄熱装置1は、トラックなどの輸送機400により、前記食品廃棄物処理施設100、あるいは後述する下水処理施設200や木質系廃棄物処理施設300と、地元地域の需要施設(熱需要施設)500との間を輸送されるようになっている。需要施設500は、農業・水産業施設(ガラス温室(冷房・暖房)、水産養殖用水槽(暖房))や、給湯・冷暖房向け地元大型施設(病院、学校、温水プールなど)等であり、食品廃棄物処理施設100からトラックなどで輸送されてきた蓄熱装置1に蓄えられた熱が、需要施設側の熱交換器を介して需要施設500内の冷暖房装置や給湯器などの温調設備に用いられる。
【0037】
蓄熱装置1は、図3に示すように、油3(熱交換媒体)とエリスリトール4(蓄熱体)とが収容された貯蔵容器2と、供給管5と、排出管6とを備えている。貯蔵容器2に収容された油3とエリスリトール4とは互いに混合せず、油3がエリスリトール4よりも比重が小さいため、貯蔵容器2内では、上層に油3、下層にエリスリトール4が互いに分離して収容されるようになっている。
【0038】
油3は、食品廃棄物処理施設100側の熱交換器(この場合、図1における符号10A)において熱を取り込み、エリスリトール4との直接接触により熱交換してエリスリトール4に蓄熱したり、需要施設500側の熱交換器においてエリスリトール4に蓄熱されている熱を他の機器に利用するために回収(放熱)したりする際に用いる熱交換媒体である。油3は、例えば、不燃性の機械油であり、貯蔵容器2の下層部分に水平に配設されている供給管5からエリスリトール4内に排出されると、比重がエリスリトール4よりも小さいため、上層の油3まで上昇し、油3に取り込まれるようになっている。この上昇中に、エリスリトール4との直接接触により、油3とエリスリトール4との間で熱交換が行われるようになっている。
【0039】
エリスリトール4は、油3と直接接触することで、油3と熱交換する。具体的には、エリスリトール4の融点は約119℃であり、平時(室温状態)では固体となっている。そして、熱交換器10Aからの油3から直接接触により熱が伝導されることにより、固体から液体に状態変化し、液体状態のときに蓄熱されるようになっている。エリスリトール4は、人工甘味量として普及しており、融解潜熱が大きく、融点が前記のように約119℃と高いため、安全性が高い蓄熱体として好適に用いることができるものである。
【0040】
供給管5は、油3が流通する配管であり、貯蔵容器2における収容されたエリスリトール4が位置する下層部分に水平に貫設されている。また、供給管5は、図示しない排出孔が設けられており、かかる排出孔から供給管5の油3がエリスリトール4内に排出されるようになっている。なお、この排出孔は、供給管5の鉛直下方向に開口するように設けられている。これにより、エリスリトール4は油3よりも比重が大きいため、排出孔から排出される油3を押しのけて、エリスリトール4が供給管5内に浸入することがなく、供給管5の内部でエリスリトール4が固まって詰まるなどを防止することができるようになっている。また、供給管5は接続口5aを有しており、接続口5aは、熱交換器10Aの接続管11と着脱可能に接続されている。
【0041】
排出管6は、油3が流通する配管であり、貯蔵容器2における収容された油3が位置する上層部分に水平に貫設されている。そして、供給管5と同様、排出管6の接続口6aが、熱交換器10Aの接続管12と着脱可能に接続されている。これにより、ポンプ7が作動することで、油3が供給管5及び排出管6を流通し、貯蔵容器2と熱交換器10Aとの間を循環するようになっている。
【0042】
なお、蓄熱体としてエリスリトール4を用いる場合、エリスリトール4に供給する油3(熱交換媒体)の温度が120〜180℃の範囲にあることがよい。油3の温度が120℃よりも低いと、エリスリトール4の加熱・融解時間が長くなり、一方、180℃を超えると、エリスリトール4に熱供給した後でもエリスリトール4の融解温度域以上の高温状態にあり、エリスリトール4の融解から凝固への状態変化に支障をきたすおそれがあり、いずれの場合も短時間で効率のよい蓄熱輸送を行えなくなる。
【0043】
次に、蓄熱装置1への蓄熱方法について説明する。バイオガスが燃料として供給される前記ボイラー108の蒸気ヘッダー109からの蒸気が、熱交換器10Aに取り込まれる一方、貯蔵容器2内の油3が排出管6を介してこの熱交換器10Aに取り込まれる。そして、熱交換器10A内において、蒸気ヘッダー109からの蒸気の熱が貯蔵容器2からの油3に互いの配管の壁を介して間接的に伝導され、油3は120〜180℃の範囲に加熱される。この熱供給された油3が供給管5を介して貯蔵容器2に戻される。また、熱が取り除かれた蒸気は、配管を介して排気される。
【0044】
熱交換器10Aからの油3が供給管5の排出孔から排出されて、直接接触によりエリスリトール4に熱が伝導されることにより、エリスリトール4は、徐々に固体から液体へと状態変化していく。エリスリトール4が液体状態となると、油3の比重がエリスリトール4よりも小さいため、上層の油3まで上昇して取り込まれる。油3は上昇しながらエリスリトール4に熱を伝導している。このようにして、エリスリトール4に蓄熱することができる。
【0045】
この蓄熱された蓄熱装置1は、トラックなどの輸送機400により、食品廃棄物処理施設100から地元地域の需要施設500へ輸送される。需要施設500側においては、蓄熱されて液体状態となっているエリスリトール4から熱を取り出すことが可能である。蓄熱装置1の供給管5と排出管6とが需要施設500側の熱交換器に着脱可能に接続され、さらに、この熱交換器には、気体又は液体を取り込む配管と、加熱された気体又は液体を需要施設500の温調設備に供給する配管とが接続されている。
【0046】
そして、需要施設500側の熱交換器は、蓄熱されているエリスリトール4内に供給管5から油3を排出する。排出された油3は、上昇しながら直接接触によりエリスリトール4から熱が伝導される。これにより、上層の油3に熱が供給され、排出管6から需要施設500側の熱交換器に取り込まれる。一方で、この熱交換器には気体又は水などの液体が取り込まれる。そして、熱を帯びた油3から気体又は液体に熱が伝導される。この熱伝導された気体又は液体は、配管を通り需要施設500の温調設備に供給される。このようにして、エリスリトール4に蓄えられている熱を取り出すことができる。
【0047】
エリスリトール4の融点は約119℃であるので、高い温度域での熱源としての利用が可能であり、需要施設500で輸送した熱を暖房/給湯用として使用するだけでなく、吸収式冷凍機の熱源として利用できることにより冷房用にも使用することができる。
【0048】
このように、蓄熱装置1への蓄熱のための熱源として、有機性廃棄物である生ごみなどの食品廃棄物をメタン発酵槽103内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気を利用するようにしている。したがって、発生熱の一部が余剰として捨てられることのないようバイオガスの一層の有効利用を図ることができるとともに、トラックなどで移動可能な蓄熱装置1による熱輸送により、食品廃棄物処理施設100でのバイオガスを燃料として発生する熱を、その周辺にある病院、学校、農業用温室などの需要施設500で活用することが可能で、環境負荷の増大に対応するための資源循環型社会システムの構築に寄与することができる。
【0049】
なお、図1に示す実施形態では、食品廃棄物処理施設100において、蓄熱装置1への蓄熱のための熱源として、バイオガスを燃料とするボイラー108で生成される蒸気を利用する例について説明したが、バイオガスを燃料として発電するバイオガス発電に伴う排熱保有媒体を利用するようにしてもよい。
【0050】
すなわち、図1に想像線で示すように、ガスエンジン110からバイオガス発電に伴う排熱保有媒体としての排ガスを熱交換器10Aに導くようにし、この排ガスと蓄熱装置1からの油3との間で熱交換することにより、蓄熱装置1のエリスリトール4に蓄熱するようにしてもよい。この場合、蓄熱装置1と熱交換器10Aは、蓄熱システムを構成している。また、図1に想像線で示すように、ガスエンジン110の排ガスが供給される前記排熱回収ボイラー112にて生成されるバイオガス発電に伴う排熱保有媒体としての蒸気を、蒸気ヘッダー114を経て熱交換器10Aに導くようにし、この蒸気と蓄熱装置1からの油3との間で熱交換することにより、蓄熱装置1のエリスリトール4に蓄熱するようにしてもよい。この場合、蓄熱装置1と熱交換器10Aは、蓄熱システムを構成している。
【0051】
図4は本発明による方法を実施する蓄熱システムを備えた下水処理施設の構成を示すフロー図である。
【0052】
図4に示すように、この下水処理施設200では、流入汚水(流入下水)は、図示しない沈殿池と調整池を経て最初沈殿池201に送られ、最初沈殿池201では沈殿しやすい浮遊物が生汚泥として底に沈殿する。次いで、生物反応槽202では、最初沈殿池201からの汚水に活性汚泥を加え、空気を吹き込み、微生物の働きで汚れが分解される(標準活性汚泥法)。次の最終沈殿池203では、活性汚泥が底に沈み、清浄な上澄み水が処理水として放流水路へ放流される。
【0053】
一方、最初沈殿池201から抜き出された生汚泥と最終沈殿池203から抜き出された余剰汚泥は、高濃度濃縮機204によって固形分濃度約15%程度に濃縮された後、汚泥可溶化装置205に送られる。汚泥可溶化装置205では、蒸気を用いて高温・高圧(例えば、165℃,0.6MPaG)の状態下で汚泥内の細胞壁を破壊し、汚泥を可溶化状態にする。この可溶化汚泥が嫌気性発酵槽としての消化槽206に供給され、消化槽206において湿式中温発酵(約39℃)にて可溶化汚泥を分解してバイオガス(消化ガス)を発生させる。そして、消化槽206からの消化汚泥は、脱水機207によって脱水される。この脱水汚泥は、トラックにて処理場へ搬出される。
【0054】
ここで、汚泥可溶化装置205にて蒸気を用いて可溶化状態にした可溶化汚泥を消化槽206に供給するようにしているので、消化槽206での生物分解性が高まり、可溶化処理しない場合に比べてバイオガス発生量が増えるとともに、汚泥中の有機物量が減少し、固形物量が減少する。また、この消化槽206での固形物量低減、脱水機207での汚泥含水率低減により、可溶化処理しない場合に比べて脱水汚泥量を半減することが可能である。
【0055】
さて、消化槽206からのバイオガスは、脱硫塔208で硫化水素が除去された後、ガスホルダー209に蓄えられる。そして、ガスホルダー209からのバイオガスは、ボイラー210に燃料として供給される。このボイラー210でつくられた蒸気は、蒸気ヘッダー211を経て送られて消化槽206の加温用に使用されるとともに、汚泥可溶化装置205に供給されて、汚泥を可溶化状態にするのに用いられるようになっている。
【0056】
また、ガスホルダー209からのバイオガスは、発電機213を駆動するためのガスエンジン212に燃料として供給される。発電機213による電力は、この下水処理施設200内で使用される。そして、ガスエンジン212の排ガスが排熱回収ボイラー214に導かれ、排熱回収ボイラー214でつくられた温水は、温水ヘッダー215を経て施設200内で利用される。
【0057】
また、ガスエンジン212からの排ガスが熱交換器10Bに導かれて、熱交換器10Bにおいてこの排ガスと蓄熱装置1からの油3との間で熱交換することにより、蓄熱装置1のエリスリトール4に蓄熱される。蓄熱装置1と熱交換器10Bは、蓄熱システムを構成している。
【0058】
このように、蓄熱装置1への蓄熱のための熱源として、有機性廃棄物である下水汚泥を消化槽206内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガス(消化ガス)を燃料として発電を行うバイオガス発電での排ガスを利用するようにしている。したがって、発生熱の一部が余剰として捨てられることのないようバイオガスの一層の有効利用を図ることができるとともに、トラックなどで移動可能な蓄熱装置1による熱輸送により、下水処理施設200でのバイオガスを燃料として発生する熱を、その周辺にある病院、学校、農業用温室などの需要施設500で活用することが可能で、環境負荷の増大に対応するための資源循環型社会システムの構築に寄与することができる。
【0059】
なお、図4に示す実施形態では、下水処理施設200において、蓄熱装置1への蓄熱のための熱源として、バイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電での排ガスを利用する例について説明したが、次のようにしてもよい。
【0060】
すなわち、図4に想像線で示すように、ガスエンジン212の排ガスが供給される前記排熱回収ボイラー214にて生成されるバイオガス発電に伴う排熱保有媒体としての蒸気を、蒸気ヘッダー216を経て熱交換器10Bに導くようにし、この蒸気と蓄熱装置1からの油3との間で熱交換することにより、蓄熱装置1のエリスリトール4に蓄熱するようにしてもよい。この場合、蓄熱装置1と熱交換器10Bは、蓄熱システムを構成している。また、図4に想像線で示すように、バイオガスを燃料とするボイラー210で生成される蒸気を、蒸気ヘッダー211を経て熱交換器10Bに導くようにし、この蒸気と蓄熱装置1からの油3との間で熱交換することにより、蓄熱装置1のエリスリトール4に蓄熱するようにしてもよい。この場合、蓄熱装置1と熱交換器10Bは、蓄熱システムを構成している。
【0061】
図5は本発明による方法を実施する蓄熱システムを備えた木質系廃棄物処理施設の構成を示すフロー図である。
【0062】
図5に示すように、この木質系廃棄物処理施設300において、廃木材、間伐材、製材工場からの木材チップなどの木質系廃棄物は、廃棄物受入供給設備301にてガス化されやすい性状に調整されてから、ガス化炉302に供給される。ガス化炉302は、気泡流動層炉、循環流動層炉、キルン炉、固定床炉などのいずれかで構成されており、例えば、気泡流動層炉や循環流動層炉では、空気、酸素、水蒸気、又はこれらの混合気体により、炉内温度が400〜1000℃で木質系廃棄物をガス化してバイオガスを発生させる。キルン炉の場合は、低酸素雰囲気下の炉内温度が400〜1000℃で木質系廃棄物をガス化してバイオガスを発生させる。
【0063】
ここで、ガス化炉302では、ガス化の条件により、残存炭化物が発生する。そこで、この残存炭化物については、燃焼炉303で燃焼処理するようにしている。
【0064】
さて、ガス化炉302からのバイオガスは、脱硫塔304で硫化水素が除去された後、ガスホルダー305に蓄えられる。そして、ガスホルダー305からのバイオガスは、ボイラー306に燃料として供給される。このボイラー306でつくられた蒸気は、木質系廃棄物処理設備300内で使用される。
【0065】
また、ガスホルダー305からのバイオガスは、発電機309を駆動するためのガスエンジン308に燃料として供給される。発電機309による電力は、この木質系廃棄物処理施設300内で使用される。なお、余剰電力については売電される。そして、ガスエンジン308の排ガスが排熱回収ボイラー310に導かれ、排熱回収ボイラー310でつくられた温水は、施設300内で利用される。
【0066】
また、ガスエンジン308からの排ガスが熱交換器10Cに導かれて、熱交換器10Cにおいてこの排ガスと蓄熱装置1からの油3との間で熱交換することにより、蓄熱装置1のエリスリトール4に蓄熱される。蓄熱装置1と熱交換器10Cは、蓄熱システムを構成している。
【0067】
このように、蓄熱装置1への蓄熱のための熱源として、有機性廃棄物である木質系廃棄物をガス化炉302内でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電での排ガスを利用するようにしている。したがって、発生熱の一部が余剰として捨てられることのないようバイオガスの一層の有効利用を図ることができるとともに、トラックなどで移動可能な蓄熱装置1による熱輸送により、木質系廃棄物処理施設300でのバイオガスを燃料として発生する熱を、その周辺にある病院、学校、農業用温室などの需要施設500で活用することが可能で、環境負荷の増大に対応するための資源循環型社会システムの構築に寄与することができる。
【0068】
なお、図5に示す実施形態では、木質系廃棄物処理設備施設300において、蓄熱装置1への蓄熱のための熱源として、バイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電での排ガスを利用する例について説明したが、次のようにしてもよい。
【0069】
すなわち、図5に想像線で示すように、ガスエンジン308の排ガスが供給される排熱回収ボイラー310にて生成されるバイオガス発電に伴う排熱保有媒体としての蒸気を、蒸気ヘッダー312を経て熱交換器10Cに導くようにし、この蒸気と蓄熱装置1からの油3との間で熱交換することにより、蓄熱装置1のエリスリトール4に蓄熱するようにしてもよい。この場合、蓄熱装置1と熱交換器10Cは、蓄熱システムを構成している。また、図5に想像線で示すように、バイオガスを燃料とするボイラー306で生成される蒸気を、蒸気ヘッダー307を経て熱交換器10Cに導くようにし、この蒸気と蓄熱装置1からの油3との間で熱交換することにより、蓄熱装置1のエリスリトール4に蓄熱するようにしてもよい。この場合、蓄熱装置1と熱交換器10Cは、蓄熱システムを構成している。
【0070】
また、図5に想像線で示すように、燃焼炉304からの燃焼排ガスを熱交換器10Cに導くようにし、この燃焼排ガスと蓄熱装置1からの油3との間で熱交換することにより、蓄熱装置1のエリスリトール4に蓄熱するようにしてもよい。このようにすれば、従来は未利用であった燃焼炉304の燃焼排ガスの持つ熱量を有効利用することが可能となる。蓄熱装置1と熱交換器10Cは、蓄熱システムを構成している。
【0071】
なお、本発明は、蓄熱体として、前記の実施形態において用いたエリスリトールの他、糖アルコール類であるところの、キシリトール(C12)、D−マンニトール(C14)又はガラクチトール(C14)を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による方法を実施する蓄熱システムを備えた食品廃棄物処理施設の構成を示すフロー図である。
【図2】本発明に係る蓄熱装置を用いる熱輸送システムの全体概略図である。
【図3】本発明に係る蓄熱装置の一構成例を示す概略図である。
【図4】本発明による方法を実施する蓄熱システムを備えた下水処理施設の構成を示すフロー図である。
【図5】本発明による方法を実施する蓄熱システムを備えた木質系廃棄物処理施設の構成を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0073】
1…蓄熱装置
2…貯蔵容器
3…油
4…エリスリトール
5…供給管
6…排出管
7…ポンプ
10A〜10A,10B〜10B,10C〜10C…熱交換器
100…食品廃棄物処理施設
101…生ごみ破袋分別装置
103…メタン発酵槽
104…排水処理設備
105…汚泥可溶化槽
106,208,304…脱硫塔
107,209,305…ガスホルダー
108,210,306…ボイラー
110,213,308…ガスエンジン
111,214,309…発電機
112,215,310…排熱回収ボイラー
200…下水処理施設
201…最初沈殿池
202…生物反応槽
203…最終沈殿池
204…高濃度濃縮機
205…汚泥可溶化装置
206…消化槽
300…木質系廃棄物処理施設
302…ガス化炉
303…燃焼炉
400…輸送機(トラック)
500…需要施設

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電に伴う排熱保有媒体と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法。
【請求項2】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法。
【請求項3】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電に伴う排熱保有媒体と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法。
【請求項4】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法。
【請求項5】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱するに際し、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることによるバイオガスの発生に伴う炭化物をさらに燃焼炉で燃焼させることにより発生する燃焼排ガスと前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、前記貯蔵容器において前記熱供給された熱交換媒体と蓄熱体との間で熱交換することにより該蓄熱体に蓄熱することを特徴とする蓄熱装置への蓄熱方法。
【請求項6】
前記熱交換媒体が、前記蓄熱体に直接接触することにより熱交換し、前記蓄熱体よりも比重が小さく、前記蓄熱体と比重差によって分離して混合しないものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱装置への蓄熱方法。
【請求項7】
前記蓄熱体がエリスリトールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱装置への蓄熱方法。
【請求項8】
前記蓄熱体に蓄熱させる場合、前記貯蔵容器に供給する熱交換媒体の温度が120〜180℃の範囲にあることを特徴とする請求項7記載の蓄熱装置への蓄熱方法。
【請求項9】
前記蓄熱体が糖アルコール類であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱装置への蓄熱方法。
【請求項10】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電に伴う排熱保有媒体と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システム。
【請求項11】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物を嫌気性発酵槽内で嫌気性発酵させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システム。
【請求項12】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電に伴う排熱保有媒体と、前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システム。
【請求項13】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることにより発生するバイオガスを燃料として生成された蒸気と前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システム。
【請求項14】
固体と液体との状態変化を利用して蓄熱する蓄熱体と前記蓄熱体と熱交換して前記状態変化を生じさせる熱交換媒体とを収容する貯蔵容器を有して、輸送可能な蓄熱装置と、有機性廃棄物処理施設に設置され、前記蓄熱装置の前記蓄熱体に蓄熱する際に、有機性廃棄物をガス化炉内でガス化させることによるバイオガスの発生に伴う炭化物をさらに燃焼炉で燃焼させることにより発生する燃焼排ガスと前記貯蔵容器からの熱交換媒体との間で熱交換することで該熱交換媒体に熱供給し、この熱供給された熱交換媒体を前記貯蔵容器に供給する熱交換器と、を備えたことを特徴とする蓄熱システム。
【請求項15】
前記熱交換媒体が、前記蓄熱体に直接接触することにより熱交換し、前記蓄熱体よりも比重が小さく、前記蓄熱体と比重差によって分離して混合しないものであることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の蓄熱システム。
【請求項16】
前記蓄熱体がエリスリトールであることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の蓄熱システム。
【請求項17】
前記蓄熱体に蓄熱させる場合、前記貯蔵容器に供給する熱交換媒体の温度が120〜180℃の範囲にあることを特徴とする請求項16記載の蓄熱システム。
【請求項18】
前記蓄熱体が糖アルコール類であることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の蓄熱システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−64614(P2007−64614A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170357(P2006−170357)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】