説明

蓋のロック装置

【課題】セカンダリレバーによるセカンダリロック状態の解除と蓋の開動作を1動作で同時に行える蓋のロック装置を提供すること。
【解決手段】セカンダリロック機構41には、蓋3の裏面に設けられたストライカ15と、車体に回動可能に設けられ、ストライカ15の係合解除を規制するセカンダリレバー42とを設けると共に、蓋3の裏面には、蓋3の開蓋操作をしたとき、該セカンダリレバー42に設けた解除突条52に当接し、セカンダリレバー42をストライカ15との係合を解除する方向へ回動する作動アーム部21を有するオープンレバー18を設け、オープンレバー18は、蓋3に接近する方向に回動可能な操作部20を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車用の給電装置の充電口を保護するために、充電口に対して開閉可能に蓋が設けられている。このような開閉可能な蓋を閉止状態にロックするロック構造として、例えば、特許文献1に開示されたフードロック装置が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたフードロック装置は、自動車におけるエンジンルームのラジエータグリル上端近接位置に固定配置されるベースブラケットと、エンジンルームを覆うフードを閉状態にロックするロック位置とロック解除位置との間で回動可能となるようベースブラケットに配設されるロック機構と、ロック機構をロック解除位置に回動させることによりフードの開放端が若干上方に浮き上がった際、フードの係合部に係合してフードの開放を阻止するフック部、及びフック部を回動させてフードの係合部から離脱せしめるレバー部を有するオグジュアリレバー(セカンダリレバー)とを備えたフードロック装置であって、オグジュアリレバーのレバー部に、ラジエータグリルの格子状開口部から内部へ挿入した指によって操作可能で且つフードの係合部に対するフック部の係合状態を解除可能な補助張出部を形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−22488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示されたフードロック装置は、オグジュアリレバーによるロック解除のために手動で回動操作を行う補助張出部がベース側(車体側)に設けられているため、オグジュアリレバーによるロック解除動作とフードの蓋開動作とを別々に行わなければならないものである。
【0006】
本発明の目的は、セカンダリレバーによるセカンダリロック状態の解除と蓋の開動作を1動作で同時に行える蓋のロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蓋のロック装置は、開閉可能な蓋を車体に対して閉じた状態でロックするプライマリロック機構と、蓋をわずかに開いた状態でロックするセカンダリロック機構とを有するものであって、上記課題を解決するために、前記セカンダリロック機構には、前記蓋の裏面に設けられたストライカと、車体に回動可能に設けられ、前記ストライカの係合解除を規制するセカンダリレバーとを設けると共に、前記蓋の裏面には、開蓋操作をしたとき、前記セカンダリレバーに設けた解除突条に当接し、前記セカンダリレバーを前記ストライカとの係合を解除する方向へ回動する作動部を有するオープンレバーを設け、前記オープンレバーは、前記蓋に接近する方向に回動可能な操作部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の蓋のロック装置は、車体のパネルに形成された開口部を開閉する蓋と、前記蓋の裏面に設けられたストライカと、車体側に設けられたロックベースと前記ロックベースに形成された前記ストライカのストライカ進入溝と、
前記ロックベースの一面に配置され、前記ストライカ進入溝に進入したストライカに連動して回動し、前記ストライカに係合するラッチと、前記ラッチと前記ストライカとが係合したときに、前記ラッチと係合し、前記ストライカを前記ストライカ進入溝の奥部にロックするラチェットと、前記ストライカとの係合を解除する方向に前記ラッチを付勢し、かつ前記ラッチへ係合する方向に前記ラッチを付勢するバネ部材と、前記ラチェットの端部から突出し、前記バネ部材の付勢力に抗して前記ラッチとの係合を解除作動する突片とを有するプライマリロック機構と、
前記ロックベースの他面に配置され、前記ストライカ進入溝に進入したストライカに連動して回動し、前記ストライカ進入溝の上方において、前記ストライカ進入溝方向に突出するフック部を有するセカンダリレバーを備えたセカンダリロック機構と、
前記蓋の裏面に回動可能に支持されたオープンレバーと、からなるものであって、
前記セカンダリレバーは、前記ストライカ進入溝方向に付勢されると共に、その側縁には解除突条を形成し、前記オープンレバーに、前記蓋に接近する方向に回動可能な操作部と、この回動操作に連動して、前記解除突条に当接して前記セカンダリレバーを回動し、前記フック部を前記ストライカ進入溝方向から後退させてなる作動部とが形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セカンダリロック状態にあって蓋の裏面の隙間から挿入した指によってオープンレバーを蓋に接近する方向に回動操作して蓋を持ち上げることで蓋を開放できるから、セカンダリレバーによるセカンダリロック状態の解除と蓋の開動作を1動作で同時に行うことができる。また、オープンレバーが蓋の裏面に設けられているので、車体側の省スペース化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態における開口部、支持フレーム及び蓋の断面図である。
【図2】実施形態に係る支持フレーム及び蓋の蓋開放状態における斜視図である。
【図3】ストライカトップを後方から眺めて示す斜視図である。
【図4】ストライカトップとセカンダリロック機構の後面図である(プライマリロック状態)。
【図5】ロック機構を後方から眺めて示す斜視図である。
【図6】プライマリロック機構の正面図である(初期状態)。
【図7】プライマリロック機構の正面図である(係合途中状態)。
【図8】プライマリロック機構の正面図である(プライマリロック状態)。
【図9】セカンダリロック機構の後面図である(初期状態)。
【図10】ストライカトップ及びセカンダリロック機構の後面図である(セカンダリロック解除状態)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の蓋のロック装置に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。実施形態では、ロック装置は、電気自動車の給電装置の充電口を保護する蓋に配設される。図1は実施形態における開口部、支持フレーム及び蓋の断面図である。また、図2は実施形態に係る支持フレーム及び蓋の蓋開放状態における斜視図である。図1に示すように、電気自動車の車体表面を形成するパネル1には開口部2が形成され、開口部2の内部に図示しない充電口が配置され、開口部2には蓋3が配設されている。
【0012】
開口部2の周縁に沿って略矩形状をなす支持フレーム4が車体側に取り付けられている。図2に示すように、支持フレーム4は、前端が後端に対して下方に傾斜した互いに平行な一対のサイドフレーム5、5と、左右のサイドフレーム5、5の前端部の間に連結されたロアフロントフレーム6と、左右のサイドフレーム5、5の後端部の間に連結されたアッパリヤフレーム7とにより構成されている。また、左右一対のサイドフレーム5、5の前端寄りの内側には、上方に向かって起立するブラケット8、8がそれぞれ固設されている。
【0013】
また、蓋3の裏面後端部の左右両側寄りと左右一対のサイドフレーム5、5とに亘って、蓋3の後端部分を中心として回動させて開口部2を開閉する左右一対のリンクヒンジ機構9、9が配設されており、リンクヒンジ機構9は、第1ヒンジアーム10と、第2ヒンジアーム11と、リンクブラケット12とにより構成されている。
【0014】
図2に示すように、蓋3の裏面の両側寄りには、蓋3の前後方向に沿って互いに平行な一対のリンクブラケット12、12がそれぞれ取り付けられ、左右一対のサイドフレーム5、5の中間部の内側には互いに平行な一対の第1ヒンジアーム10、10がそれぞれ配設され、左右のブラケット8、8の内側には第2ヒンジアーム11、11がそれぞれ配設されている。そして、第1ヒンジアーム10の一端部がサイドフレーム5の中間部の内側に回動自在に支持され、第1ヒンジアーム10の他端部がリンクブラケット12の垂下片13の下端の外面に回動可能に連結され、第2ヒンジアーム11の一端部がブラケット8の内側に回動自在に支持され、第2ヒンジアーム11の他端部がリンクブラケット12の垂下片13の中間部の内面に回動可能に連結されている。
【0015】
蓋3の裏面の前端寄りの中央部にはストライカトップ14が固定される一方、支持フレーム4のロアフロントフレーム6の中央部の内側には、ストライカトップ14のストライカ15と互いに係合して蓋3を閉状態でロックするロック機構16が設けられている。
【0016】
図3はストライカトップ14を後方から眺めて示す斜視図であり、図4はストライカトップ14とロック機構16の後面図である。ストライカトップ14は、ストライカベース板17とストライカ15とオープンレバー18とにより構成される。ストライカ15は、図3に示すように、略門型に折り曲げた強靱な丸棒からなり、蓋3の裏面に固定されたストライカベース板17の中央部から下方に向けて、且つ、棒状の下端部15aを蓋3の前後方向に沿って平行に配置されている。ストライカベース板17の平板状の基端部分の一側寄りの後端縁には、下方に向って折曲した垂下片19が形成されている。
【0017】
オープンレバー18は、水平方向に一側に向って延在した操作アーム部20と、操作アーム部20の他端から直交して下方に向って延在し、先端がへら状の作動アーム部21とを備え、操作アーム部20の先端寄りの下端部には、前方に向って板状の操作板部22が一体に形成されている。操作アーム部20と作動アーム部21との交差部分である中央部分は、ストライカベース板17の垂下片19の前面に配置され、車体の前後方向に平行に、オープンレバー18の中央部に挿通された支軸ピン23の先端がカシメ止めにより垂下片19に固定され、オープンレバー18が支軸ピン23を中心として回動自在に支持されている。このように、蓋3の裏面のストライカ15及びオープンレバー18はストライカベース板17に設けられている構成であるから、オープンレバー18の蓋3への取付けが容易となっている。
【0018】
オープンレバー18の中央部の支軸ピン23よりも右方には、他側縁から中央に向って上下方向に沿って切り欠いた切欠部24が形成されている。垂下片19の下端の内側縁には、前方に位置する切欠部24の内部に介入するストッパ25が折曲形成され、支軸ピン23を中心とするオープンレバー18の回動位置がストッパ25の上端と下端とで規制されている。
【0019】
また、支軸ピン23の外周には、ねじりコイルバネ26が外挿されている。ねじりコイルバネ26は、コイル部分の一端から延伸された一方の脚部26aがストライカベース板17の裏面に当接され、コイル部分の他側から延伸された他方の脚部26bが操作アーム部20の上端に引っ掛けられている(図4参照)。オープンレバー18の回動位置は、ねじりコイルバネ26の付勢力により、切欠部24の下端がストッパ25の下端に当接する初期位置に付勢されている(図4参照)。これにより、初期位置において、オープンレバー18の操作アーム部20は、蓋3に接近する方向に回動可能となっている。
【0020】
図5はロック機構16を後方から眺めて示す斜視図である。また、図6〜図8は、プライマリロック機構を示す正面図である。ロック機構16は、ロアフロントフレーム6の中央部の内側(車体側)に固定されたロックベース27と、後端部を中心として開閉する蓋3の前端部を、車体のパネル1に対して閉じ状態でロック(プライマリロック状態)するプライマリロック機構33(図6〜図8)と、蓋3を僅かに開いた状態でロック(セカンダリロック状態)するセカンダリロック機構41(図5)とを備えている。
【0021】
ロックベース27は、中央部分に平板状のベース基体28を有し、ベース基体28の両側縁には、車体の前方に向って折曲した側板部29、29がそれぞれ形成され、側板部29、29の前端縁には側方に向って折曲した取付板部30、30がそれぞれ形成され、ロアフロントフレーム6に向くベース基体28の前面側と上方と下方とが開口した箱形をなす。ロックベース27は、取付板部30、30がロアフロントフレーム6に対して固定される。
【0022】
図4及び図5に示すように、ベース基体28の上端部には、ストライカ15と対向する位置にストライカ受入口31が形成され、ストライカ受入口31に連通してベース基体28の中央部に至る上下方向のストライカ進入溝32が形成されている。ベース基体28の前面にはプライマリロック機構33が配設され、ベース基体28の後面にはセカンダリロック機構41が配設されている。
【0023】
[プライマリロック機構33]
プライマリロック機構33は、図6に示すように、ストライカ進入溝32に臨んでストライカ進入溝32の右方において、ベース基体28にカシメ止めされた軸ピン60を中心として回動可能に軸支され、かつストライカ15と係合して捕捉するストライカ係合溝34を備えたラッチ35と、ストライカ進入溝32の左方においてベース基体28にカシメ止めされた軸ピン61を中心として回動可能に軸支され、かつストライカ15がストライカ進入溝32の最奥部に位置したプライマリロック状態のときに、ラッチ35のストライカ受け面36と係合するラッチ押え部37を備えたラチェット38とを備えている。
【0024】
軸ピン60の外周には、ねじりコイルバネよりなるバネ部材39が外挿されている。バネ部材39は、コイル部分の一端から延伸された一方の脚部62の端部がラッチ35に形成された係止孔63に係止され、コイル部分の他側から延伸された他方の脚部64がラチェット38の上端部に形成された引掛け部65に引っ掛けられている(図6参照)。
【0025】
ラッチ35はバネ部材39によって、軸ピン60を中心として図6の時計方向に付勢され、即ち、ストライカ係合溝34の前側の一側方に形成されたストライカ受け面36がストライカ受入口31に向く開放位置に(ストライカ15との係合を解除する回転方向に)付勢されている。
【0026】
一方、ラチェット38は、バネ部材39によって軸ピン61を中心として図6の反時計方向に付勢され、即ち、ラッチ35の周縁に当接する回転方向に(ラッチ35に係合する回転方向に)付勢されている。また、ラチェット38の下端部には後方に向って突出した突片40を備え、突片40には車室内から操作されるリリースワイヤ(図示せず)の一端が連接されている(プライマリロック解除機構)。
【0027】
ストライカ15は、プライマリロック状態においてベース基体28に形成されたストライカ進入溝32の最奥部まで進入している。また、プライマリロック状態においてラチェット38のラッチ押え部37がラッチ35の開放方向への回動を阻止すべくラッチ35のストライカ受け面36と係合しており(押え込んでおり)、このとき、ラッチ35のストライカ係合溝34でストライカ進入溝の最奥部に進入しているストライカ15を保持している(図8参照)。なお、車室内からの操作によりリリースワイヤが引かれると突片40が移動すると共に(図8では左方、図4では右方)、軸支部分である軸ピン61を中心としてラチェット38が図8の時計方向に回動し、ラッチ35とラチェット38との係合を解除することができる。なお、上記したプライマリロック機構33の構造は従来周知である。
【0028】
[セカンダリロック機構41]
図4及び図5に示すように、セカンダリロック機構41は、ベース基体28の後面に配設されたセカンダリレバー42と、ベース基体28の後面下部にカシメ止めされ、セカンダリレバー42の下端部を回動可能に支持する支軸ピン43と、支軸ピン43の外周に外挿され、セカンダリレバー42を初期位置に付勢するねじりコイルバネ44とにより構成されている。
【0029】
図9は、セカンダリロック機構41の後面図である(初期状態)。セカンダリレバー42は、平板状をなした本体部45の中央の下端寄りを支軸ピン43により回動可能にベース基体28に支持されている。本体部45の中央上部には、右方に向って突出したフック部46が形成され、フック部46の上端縁は右方に向って斜め下方に傾斜する傾斜面47に形成されている。ストライカ進入溝32の周囲に対応してフック部46の下側から本体部45の下端寄りまでが切り欠かれて切欠部48が形成され、本体部45の右側部にはへら状に上方に向って張り出した張出片49に形成され、張出片49の上部とフック部46の先端との間には、切欠部48に連通して切り欠いた開放部50が形成され、張出片49の内側縁は上方に向って右方になだらかに凸に湾曲した湾曲面51に形成されている。
【0030】
本体部45の左側縁には、左側縁の全域に亘って後方に向って折曲した解除突条52が形成されている。解除突条52の内面上部には上方に向って左方になだらかに凸に湾曲した湾曲ガイド面53に形成されている。また、張出片49の下端には後方に向って引掛け部54が突出形成されている。このように、解除突条52はセカンダリレバー42の側縁を折曲して形成された一体構造であるので、製造が容易で強度がある。
【0031】
ねじりコイルばね44は、コイル部分の一端から延伸された一方の脚部が引掛け部54に引っ掛けられ、コイル部分の他側から延伸された他方の脚部がベース基体28に形成された係止孔55に係止されている。セカンダリレバー42は、ねじりコイルバネ44の付勢力により、図9において支軸ピン43を中心として時計方向に付勢されている。
【0032】
また、セカンダリレバー42の右方にはベース基体28からの切り起こしによりストッパ56が形成されると共に、セカンダリレバー42の下方のベース基体28の左端縁には切り起こしによりストッパ57が形成され、支軸ピン43を中心とするセカンダリレバー42の回動位置がストッパ56とストッパ57とによって規制されている。
【0033】
セカンダリレバー42は、ねじりコイルバネ44の付勢力により、本体部45の右側縁がストッパ56に当接する初期位置に付勢されている(図9)。初期位置では、セカンダリレバー42の切欠部48がストライカ進入溝32の周囲に対応し、フック部分46がベース基体28の後方においてストライカ受入口31を横切って完全に閉鎖する。一方、セカンダリレバー42の左側下端がストッパ57に当接する開放位置では、フック部分46がストライカ受入口31から退避する。
【0034】
[蓋3による開口部2の閉鎖・プライマリロック状態]
蓋3を閉じるために押し下げると、蓋3と共に蓋3の裏面のストライカトップ14が下降し、下降したストライカ15の下端部がセカンダリレバー42のフック部46の傾斜面47にぶつかり、ねじりコイルバネ44の付勢力に抗して傾斜面47を押すことにより、セカンダリレバー42が図9の反時計方向に回転し、ストライカ15がフック部46を押し開きながらストライカ受入口31に進入する。さらに、蓋3を押し下げると、ストライカ15はストライカ進入溝32の奥方へ進み、セカンダリレバー42は、ストライカ15の下端部がフック部46を通過した後、ねじりコイルバネ44の付勢力により図9に示す初期位置に復帰し、フック部46がストライカ15の下端部の上方に位置することになる。
【0035】
引き続き蓋3を押し下げると、ストライカ15は、図6に示すプライマリロック機構33のラッチ35のストライカ受け面36に衝突し、バネ部材39の付勢力に抗してラッチ35を軸ピン60を中心として反時計方向に回動させながらストライカ進入溝32の奥方へ進む(図7)。ラッチ35の回動に伴って、ラッチ35のストライカ受け面36の先端部がラチェット38のラッチ押え部37を押すことにより、バネ部材39の付勢力に抗してラチェット38が軸ピン61を中心として時計方向に回動する。
【0036】
ラッチ35が閉鎖位置まで回動すると、バネ部材39の付勢力によってラチェット38が軸ピン61を中心として反時計方向に回動し、ラチェット38のラッチ押え部37がラッチ35のストライカ受け面36に係合してラッチ35を下方へ押さえ込み、ラッチ35が開放位置へ戻るのを規制する(図8)。この時、ストライカ係合溝34の開口部はストライカ進入溝32の側方を向き、ラッチ35がストライカ進入溝32を横切って閉鎖しているので、ストライカ15はストライカ進入溝32から脱出することができず、蓋3は完全に閉鎖した状態でロックされる(プライマリロック状態)。なお、プライマリロック状態において、オープンレバー18の作動アーム部21は、セカンダリレバー42の解除突条52の内面の右方に配置される(図4)。
【0037】
[プライマリロック状態の解除・セカンダリロック状態]
車室内からの操作により図示しないリリースワイヤが図8において左方に引かれると、ラチェット38が軸ピン61を中心として反時計方向に回動し、ラッチ35とラチェット38との係合が解除され、ラッチ35がバネ部材39の付勢力により軸ピン60を中心として時計方向に回動し、即ち、開放位置に回動し、プライマリロック状態に保持されていたストライカ15がストライカ進入溝32内で撥ね上げられ、蓋3の開放端が僅かに開いた状態となる。この時点では、セカンダリレバー42のフック部46がストライカ受入口31を完全に閉鎖しており、撥ね上げられたストライカ15はフック部46に衝突してストライカ受入口31から上方に脱出できない状態(脱出がフック部46に当ることで阻止される)(セカンダリロック状態)にある。なお、オープンレバー18の作動アーム部21は上方に移動するが、セカンダリロック状態においても、作動アーム部21の先端部分はセカンダリレバー42の解除突条52の内面の右方に配置される。
【0038】
[セカンダリロック状態の解除と蓋の開放]
セカンダリロック状態では、蓋3の開放端が僅かに開いた状態となってその隙間から指を入れることができる。蓋3の裏面に配設されたオープンレバー18の操作アーム部20の操作板部22を下方から押し上げると同時に蓋3を持ち上げると、支軸ピン23を中心にオープンレバー18が図10に示すように時計方向に回動し、作動アーム部21の先端部分がセカンダリレバー42の解除突条52の内面に当ってセカンダリレバー42が支軸ピン43を中心として時計方向に回動し、セカンダリレバー42のフック部46がストライカ受入口31から左方に移動する。
【0039】
蓋3の上昇に伴って作動アーム部21の先端部分が解除突条52の湾曲ガイド面53に摺接しながら上方に移動し、フック部46がストライカ受入口31から完全に退避することにより、ストライカ15は張出片49の湾曲面51に摺接しながらストライカ受入口31及びセカンダリレバー42の開放部50から上方に脱出する。従って、さらに蓋3を持ち上げて開放することができる。なお、セカンダリレバー42の左側下端がストッパ57に当接する開放位置まで回動する。
【0040】
このように、セカンダリレバー42によるセカンダリロック状態の解除と蓋3の開動作を1動作で同時に行うことができる。なお、作動アーム部21の先端部分が解除突条52の湾曲ガイド面53から上方に離隔すると、セカンダリレバー42はねじりコイルバネ44の付勢力により初期位置に復帰する。また、オープンレバー18の操作アーム部20を解放すると、ねじりコイルバネ26の力でオープンレバー18は初期位置へ戻る。
【符号の説明】
【0041】
1 パネル
2 開口部
3 蓋
4 支持フレーム
5 サイドフレーム
6 ロアフロントフレーム
7 アッパリヤフレーム
8 ブラケット
9 リンクヒンジ機構
10 第1ヒンジアーム
11 第2ヒンジアーム
12 リンクブラケット
13 垂下片
14 ストライカトップ
15 ストライカ
15a 下端部
16 ロック機構
17 ストライカベース板
18 オープンレバー
19 垂下片
20 操作アーム部
21 作動アーム部
22 操作板部
23 支軸ピン
24 切欠部
25 ストッパ
26 ねじりコイルバネ
26a 脚部
26b 脚部
27 ロックベース
28 ベース基体
29 側板部
30 取付板部
31 ストライカ受入口
32 ストライカ進入溝
33 プライマリロック機構
34 ストライカ係合溝
35 ラッチ
36 ストライカ受け面
37 ラッチ押え部
38 ラチェット
39 バネ部材
40 突片
41 セカンダリロック機構
42 セカンダリレバー
43 支軸ピン
44 ねじりコイルバネ
45 本体部
46 フック部
47 傾斜面
48 切欠部
49 張出片
50 開放部
51 湾曲面
52 解除突条
53 湾曲ガイド面
54 引掛け部
55 係止孔
56 ストッパ
57 ストッパ
60 軸ピン
61 軸ピン
62 脚部
63 係止孔
64 脚部
65 引掛け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な蓋を車体に対して閉じた状態でロックするプライマリロック機構と、蓋をわずかに開いた状態でロックするセカンダリロック機構とを有する蓋のロック装置において、前記セカンダリロック機構には、前記蓋の裏面に設けられたストライカと、車体に回動可能に設けられ、前記ストライカの係合解除を規制するセカンダリレバーとを設けると共に、前記蓋の裏面には、開蓋操作をしたとき、前記セカンダリレバーに設けた解除突条に当接し、前記セカンダリレバーを前記ストライカとの係合を解除する方向へ回動する作動部を有するオープンレバーを設け、前記オープンレバーは、前記蓋に接近する方向に回動可能な操作部を有することを特徴とする蓋のロック装置。
【請求項2】
前記蓋の裏面の前記ストライカ及び前記オープンレバーはストライカベース板に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓋のロック装置。
【請求項3】
前記解除突条は前記セカンダリレバーの側縁を折曲して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋のロック装置。
【請求項4】
車体のパネルに形成された開口部を開閉する蓋と、前記蓋の裏面に設けられたストライカと、車体側に設けられたロックベースと前記ロックベースに形成された前記ストライカのストライカ進入溝と、
前記ロックベースの一面に配置され、前記ストライカ進入溝に進入したストライカに連動して回動し、前記ストライカに係合するラッチと、前記ラッチと前記ストライカとが係合したときに、前記ラッチと係合し、前記ストライカを前記ストライカ進入溝の奥部にロックするラチェットと、
前記ストライカとの係合を解除する方向に前記ラッチを付勢し、かつ前記ラッチへ係合する方向に前記ラッチを付勢するバネ部材と、
前記ラチェットの端部から突出し、前記バネ部材の付勢力に抗して前記ラッチとの係合を解除作動する突片とを有するプライマリロック機構と、
前記ロックベースの他面に配置され、前記ストライカ進入溝に進入したストライカに連動して回動し、前記ストライカ進入溝の上方において、前記ストライカ進入溝方向に突出するフック部を有するセカンダリレバーを備えたセカンダリロック機構と、
前記蓋の裏面に回動可能に支持されたオープンレバーと、からなる蓋のロック装置において、
前記セカンダリレバーは、前記ストライカ進入溝方向に付勢されると共に、その側縁には解除突条を形成し、前記オープンレバーに、前記蓋に接近する方向に回動可能な操作部と、この回動操作に連動して、前記解除突条に当接して前記セカンダリレバーを回動し、前記フック部を前記ストライカ進入溝方向から後退させてなる作動部とが形成されたことを特徴とする蓋のロック装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−246892(P2011−246892A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118722(P2010−118722)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000146434)株式会社城南製作所 (47)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】