説明

蓋パッキンの劣化検出方法及びこの方法を用いた炊飯器

【課題】蓋パッキンの劣化や変形を容易かつ確実に検出することができ、蓋パッキンの交換又は修理を促進することにより、常においしいご飯を炊くことのできる蓋パッキンの劣化検出方法及びこの方法を備えた炊飯器を提供する。
【解決手段】上面が開口された本体部1、被加熱物が入れられて本体部1内に収容される鍋状容器5、鍋状容器5を加熱する加熱手段3、加熱手段3の制御部、及び下面に鍋状容器5をシールする蓋パッキン12が設けられた内蓋11を有し、本体部1の上面開口部を開閉する蓋体10を備えた炊飯器において、炊飯時の鍋状容器5の温度を温度センサ21により検出し、この検出温度と、温度センサ21によりあらかじめ検出された蓋パッキン12の正常状態における炊飯時の鍋状容器5の温度とを比較して、蓋パッキン12の劣化や変形を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋状容器に入れられた米と水を炊飯する炊飯器において、蓋体(内蓋)に装着されて鍋状容器をシールする蓋パッキンの劣化検出方法及びこの方法を用いた炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器は、一般に、加熱手段を備えた本体部と、鍋と、外蓋及び内蓋からなる蓋体とを有し、米と水が入れられた鍋を本体部内に収容し、蓋体を閉じて炊飯を行っている。そして、内蓋には、鍋との密着性をよくして炊飯中の蒸気の漏れを防止し、あるいは加圧する際の密閉度を確保するために、弾性材からなるパッキンが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4137892号公報(第3−5頁、図1−2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような従来の炊飯器においては、内蓋に設けたパッキンが使用回数を重ねることにより、劣化したり変形したりすることがある。しかし、使用者はこれに気付くまではそのまま使用を続けているため、例えば、圧力炊飯の場合、密閉度が低いと十分な圧力を得ることができず、炊き上りが悪くなってしまうが、使用者はその原因をつき止めることが困難であった。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、蓋パッキンの劣化や変形を容易かつ確実に検出することができ、蓋パッキンの交換又は修理を促進することにより、常においしいご飯を炊くことのできる蓋パッキンの劣化検出方法及びこの方法を用いた炊飯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓋パッキンの劣化検出方法は、上面が開口された本体部、被加熱物が入れられて前記本体部内に収容される鍋状容器、該鍋状容器を加熱する加熱手段、該加熱手段の制御部、及び下面に前記鍋状容器をシールする蓋パッキンが設けられた内蓋を有し、前記本体部の上面開口部を開閉する蓋体を備えた炊飯器において、炊飯時の鍋状容器の温度を温度センサにより検出し、該検出温度と、前記温度センサによりあらかじめ検出された前記蓋パッキンの正常状態における炊飯時の前記鍋状容器の温度とを比較して、前記蓋パッキンの劣化や変形を検出するようにしたものである。
【0007】
また、本発明に係る炊飯器は、上記の蓋パッキン劣化検出方法を用いたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、鍋状容器をシールする蓋パッキンの密閉度を測定することにより、蓋パッキンの劣化や変形を確実に検知し、かつこれを使用者に報知して蓋パッキンの交換や修理を促すようにしたので、使用者は容易に蓋パッキンの交換や修理を行うことができ、これにより常においしいご飯を炊くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る蓋パッキンの劣化検出方法を説明するための炊飯器の縦断面図である。
【図2】図1の炊飯器の駆動回路図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る蓋パッキンの劣化検出方法を説明するための炊飯器の縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る蓋パッキンの劣化検出方法を説明するための炊飯器の縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態4に係る蓋パッキンの劣化検出方法を説明するための炊飯器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る蓋パッキンの劣化検出方法を説明するための炊飯器の縦断面図、図2は図1の炊飯器の駆動回路図である。
図において、1は有底で上面が開口された本体部で、その内部には、有底で上面が開口され、上端部外周にフランジ2aが設けられた容器カバー2が収容されており、フランジ2aの上面の例えば3か所には、支持部2bが突設されている。
【0011】
3は容器カバー2の外壁の下面に設けられた加熱手段である電磁誘導加熱用の加熱コイルで、底部外壁に設けた第1の加熱コイル3aと、コーナ部外壁に設けた第2の加熱コイル3bとからなり、両加熱コイル3a,3bはそれぞれスパイラル状に巻回されて直列に接続され、高周波電流が供給される。4は容器カバー2の底部中央部に設けた穴に挿入配設された鍋底温度センサで、本体部1との間に介装されたばね4aにより、常時上方に付勢されている。
【0012】
5は有底で上面が開口され、被加熱物である米と水が入れられて容器カバー2内に挿脱可能に収容される鍋状容器で、上端部外周にはフランジ5aが設けられている。そして、容器カバー2内に収容されたときは、フランジ5aが容器カバー2のフランジ2aに設けた支持部2bに支持され、また、底部中央部には、ばね4aで付勢された鍋底温度センサ4が当接する。
【0013】
10は鍋状容器5の上面開口部を覆う内蓋11と、この内蓋11が着脱可能に装着された外蓋15とからなる蓋体で、ヒンジ(図示せず)により本体部1に開閉自在に連結されている。
内蓋11の下面の外周側には、例えばゴムの如き弾性体からなり、蓋体10を閉じたときに鍋状容器5の内壁に密着してシールするリング状の蓋パッキン12が設けられている。この内蓋11は係止部16により外蓋15に着脱可能に取付けられ、ヒータを内蔵し表面が金属材で形成されて外蓋15の下面に設けられた蓋ヒータ内蔵部13に当接して、結露が防止されるようになっている。
【0014】
18は内蓋11、蓋ヒータ内蔵部13及び外蓋15を貫通して、外蓋15に設けた凹部17内に着脱可能に配設された蒸気口で、鍋状容器5内に開口する容器内蒸気口18aと、外部に開口する外部蒸気口18bとを備えている。19は外蓋15の上面に設けられた操作・表示部である。
【0015】
20は外蓋15に設けられ、蓋ヒータ内蔵部13及び内蓋11を貫通し、鍋状容器5内に露出して鍋状容器5内の温度を検出する内部温度センサ、21は本体部1に設けられ、容器カバー2を貫通して鍋状容器5の周壁に当接し、鍋状容器5の表面温度を検出する鍋側面温度センサである。なお、図1には図示してないが、蓋体10の外蓋15には、上記の各温度センサなどからの検出温度等を入力し、加熱コイル3等を制御する制御部32が蓋体10に設けられている(制御部32は、本体部1に設けられることもある)。
【0016】
次に、上記のように構成した炊飯器の作用について説明する。
先ず、鍋状容器5内に所定量の米を入れたのち、この米量に対応した水を入れ(以下、この米と水を被加熱物という)、ついで、この鍋状容器5を容器カバー2内に収容して、蓋体10を閉じる。このとき、内蓋11に設けた蓋パッキン12が鍋状容器5の内壁面又は内壁面とフランジ5aに圧接され、シールする。この状態で操作・表示部19の炊飯スイッチをONすれば、炊飯がスタートする。
【0017】
炊飯スイッチをONすると、インバータ部31から加熱コイル3に高周波電流が供給されて高周波磁界が発生し、加熱コイル3と磁気結合した鍋状容器5の加熱コイル対向面が励磁され、鍋状容器5の底面に渦電流が誘起される。この渦電流と鍋状容器5の持つ抵抗とによりシュール熱を生じ、鍋状容器5の底面が発熱して被加熱物が加熱される。
【0018】
炊飯開始後20分程度の間は、鍋状容器5内の温度を60℃前後に保持する予熱工程で、予熱工程は、米の吸水を促すと共に、甘味を引き出すための工程である。その後、強火で加熱を行い、鍋底温度センサ4や内部温度センサ20により、被加熱物の沸騰を検出してその検出結果を制御部32に入力し、制御部32は加熱コイル3への通電を制御する。この沸騰を行う工程を炊飯工程と呼ぶ。
【0019】
炊飯工程において鍋状容器5内の水が無くなり、鍋状容器5の温度が急激に上昇すると、これを検出した鍋底温度センサ4はその信号を制御部32に送り、制御部32は加熱コイル3への通電を停止する。そして、15分程度蒸らしたのち、炊飯終了となる。炊飯終了後、鍋状容器5の温度が所定温度まで低下すると、制御部32は再び加熱コイル3への断続通電を行い、保温工程に移行する。
【0020】
上記のように構成した炊飯器において、蓋パッキン12の劣化や変形を検出するために、本実施の形態においては、鍋状容器5の側面温度の上昇速度を用いた。
蓋パッキン12が劣化しあるいは変形すると、鍋状容器5と内蓋11との密閉度が低下し、隙間のあいた部分から外気が侵入することにより鍋状容器5が冷却され、蓋パッキン12が劣化や変形していない場合(以下、正常状態ということがある)に比べて、鍋状容器5の温度上昇が遅くなる。
【0021】
そこで、鍋側面温度センサ21により、蓋パッキン12の正常状態のときの炊飯時の鍋状容器5の側面温度をあらかじめ測定してその上昇速度のパターンを制御部32に記憶させておき(所定値)、この温度の上昇速度と、炊飯時に測定した鍋状容器5の側面温度の上昇速度とを比較することにより、蓋パッキン12の劣化や変形を検出することにした。なお、鍋状容器5の側面温度の上昇速度は、鍋状容器5に入れられた被加熱物の量や外気温度によって異なるため、各条件に基づく温度上昇速度のパターンをあらかじめ制御部32に記憶させておき、そのときの条件に基づいて比較することが必要である。また、鍋側面温度センサ21は、鍋状容器5の被加熱物の影響を受けにくくするために、鍋状容器5内の最大水位より高い位置に設置することが望ましい。
【0022】
また、蓋パッキン12の劣化は徐々に進行するため、蓋パッキン12の劣化が進むと鍋状容器5と蓋パッキン12との接触部分が徐々に減少することになって、鍋状容器5の側面温度は、蓋パッキン12と接触していない部分の温度のみが低くなる。変形の場合においても同様なことが云える。そこで、鍋側面温度センサ21を、鍋状容器5の外周の同じ高さ位置にほぼ等間隔で複数個設け、蓋パッキン21の正常状態における各鍋側面温度センサ21の温度上昇速度のパターンをあらかじめ制御部32に記憶させておき、このパターンと炊飯時におけるそれぞれの鍋側面温度センサ21の温度上昇速度とを比較して、蓋パッキン12の劣化や変形を検出するようにしてもよい。
【0023】
また、保温工程時の鍋状容器5の温度低下速度を鍋側面温度センサ21によって検出し、あらかじめ測定した蓋パッキン12が正常状態であるときの温度低下速度(所定値)と比較して、蓋パッキン12の劣化や変形を検出するようにしてもよい。
炊飯終了後、蓋体10を開放すると鍋状容器5の温度は急激に低下するので、保温工程時の鍋状容器5の温度低下速度を検出する場合は、炊飯終了時点から蓋体10が開放されるまでの温度低下速度を計測するものとし、蓋体10の開放は、内部温度センサ20の検出温度の変化、あるいは蓋体10に設けた例えばスイッチの如き蓋体開放検知手段(図示せず)により検知する。
【0024】
本実施の形態により、蓋パッキン12の劣化や変形が検出された場合は、調理終了後及び次回調理開始時の両者又はいずれか一方において、操作・表示部19による表示や音声などにより報知して蓋パッキン12の交換を促す。これにより、使用者は、炊き上ったご飯のおいしさの低下が、蓋パッキン12の劣化や変形に起因する蒸気漏れによるものであることを容易に知ることができ、修理部分や交換部品をすばやく特定して修復することにより、常においしいご飯を炊くことができる(他の実施の形態の場合も同様である)。
【0025】
本実施の形態によれば、鍋状容器5をシールする蓋パッキン12の状態を、炊飯時の鍋状容器5の温度と、蓋パッキン12の正常状態においてあらかじめ測定した炊飯時の鍋状容器5の温度(設定温度)とを比較することによって、蓋パッキン12の劣化や変形を確実に検知してこれを報知するようにしたので、使用者が容易に蓋パッキン12の交換や修理を行うことができ、常においしいご飯を炊くことができる。
【0026】
[実施の形態2]
図3は本発明の実施の形態2に係る蓋パッキンの劣化検出方法を説明するための炊飯器の縦断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、蓋体10に設けた蒸気口18の容器内蒸気口18aを省略し、内蓋11に蒸気口18内に突出する安全弁22と、調圧部23の一部とを設け、調圧部23を制御部32で制御するようにしたものである。
【0027】
安全弁22は、内蓋11を貫通して蒸気口18内に開口する通気孔22aと、蒸気口18内に位置して通気孔22aを開閉する弁部22bとを有し、鍋状容器5内の圧力が所定圧以上の場合に弁部22bが開き、通気孔22aを開閉する。これにより、鍋状容器5内の圧力が異常に高くなるのを防止する。
【0028】
また、調圧部23は、内蓋11を貫通して蒸気口18内に開口する通気口23aと、蒸気口18内に位置して通気孔23aを開閉する調圧ボール(調圧弁)23bと、外蓋15に設けられて制御部32により制御され、調圧ボール23bを横方向に摺動させるソレノイド23cとからなっている。そして、ソレノイド23cの駆動により調整ボール23bを左右方向に摺動させ、通気孔23aを開閉して鍋状容器5内の圧力を調整する。
【0029】
本実施の形態は、上記のような調圧部23を備えた炊飯器において、加圧時と非加圧時とでは沸騰温度が異なることを利用して、炊飯器の密閉度の低下を検知することにより、蓋パッキン12の劣化や変形を検出するようにしたものである。
【0030】
蓋パッキン12が劣化したり変形したりすると、鍋状容器5内の蒸気が隙間から逃げるため、調整ボール23bを備えた通気孔23aから放出される蒸気が減少し、圧力調整をすることができなくなる。加圧時には、蓋パッキン12が正常状態の場合は沸点上昇により、沸騰時の鍋状容器5の温度が上昇するが、蓋パッキン12が劣化し又は変形した場合は、圧力が低下するため鍋状容器5の温度は、正常状態の場合より低くなってしまう。
【0031】
そこで、内部温度センサ20により、蓋パッキン12の正常状態における内容物の沸騰時の温度をあらかじめ検知して制御部32に記憶させておき(所定値)、鍋底温度センサ4と鍋側面温度センサ21の両者又はいずれか一方により、沸騰時の鍋状容器5の温度を検出して正常状態時の場合と比較し、鍋状容器5の温度が低い場合は、蓋パッキン12の劣化や変形が生じていることを検知するようにしたものである。
【0032】
また、本実施の形態においては、蓋体10に、内蓋11を貫通して鍋状容器5内に露出する内部圧力センサ24が設けられている。
前述のように、蓋パッキン12が劣化したり変形したりしている場合は、鍋状容器5内の圧力が上昇しないので、内部温度センサ20が沸騰を検知したのち、一定時間後に内部圧力センサ24により鍋状容器5内の圧力を検出し、これが大気圧に近い場合は蓋パッキン12が異常であることを検知することができる。
【0033】
この場合、鍋状容器5内の圧力が上昇し始めるタイミングは、被加熱物の量によって異なるため、予熱工程又は沸騰工程までの間に被加熱物の量を検知し、沸騰を検知したのち被加熱物の量に応じた時間が経過したときに、内部圧力センサ24により鍋状容器5内の圧力を検出することが望ましい。
【0034】
[実施の形態3]
図4は本発明の実施の形態3に係る蓋パッキンの劣化検出方法を説明するための炊飯器の縦断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、容器カバー2の底部に、鍋状容器5を容器カバー2内に収容したときに、その底部に当接する振動発生部25を設けると共に、容器カバー2のフランジ2aの上面に振動センサ26を設けたものである。
【0035】
容器カバー2内に収容され蓋体10が閉じられた状態の鍋状容器5に振動を与えた場合、例えば、ゴムの如き弾性材からなる蓋パッキン12が正常状態で鍋状容器5に密着している場合は振動が減衰するが、蓋パッキン12が劣化しあるいは変形していると、鍋状容器5への接触面積が減少するため、振動の減衰の度合が小さくなる。換言すれば、鍋状容器5の振動が蓋パッキン12が正常の場合に比べて大きくなる。
【0036】
本実施の形態は、上記の現象を利用したもので、振動発生部25により鍋状容器5に振動を与え、振動センサ26によりこれを検出して蓋パッキン12が正常状態の場合と比較し、振動の減衰度合によって蓋パッキン12の劣化や変形を検出するようにしたものである。なお、振動の減衰度合は、鍋状容器5内の被加熱物の量によって異なるので、被加熱物の重量を検知し、制御部32に記憶させた蓋パッキン12の正常状態における各被加熱物の量ごとの振動減衰のデータと比較することが望ましい。
【0037】
[実施の形態4]
図5は本発明の実施の形態4に係る蓋パッキンの劣化検出方法を説明するための炊飯器の斜視図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
27は湿度センサで、蓋体10の上蓋15の下面外周に、蓋体10を閉じたときに、鍋状容器5のフランジ5aの全外周を覆うように設置されており、その検出部は、水の浸入を防止し、また水が浸入した場合に排除し易くするために、下向きに設けられている。
【0038】
内蓋11に設けた蓋パッキン12が劣化し又は変形すると、蓋パッキン12と鍋状容器5との隙間から蒸気が放出され、これによって、鍋状容器5のフランジ5aの外周近辺の湿度が上昇する。
本実施の形態は、このような現象を利用したもので、鍋状容器5の内容物が沸騰する前後において、湿度センサ27による湿度の検出値が、制御部32に記憶された蓋パッキン12の正常状態の場合の値以上である場合は、蓋パッキン12が劣化や変形が生じていることを検知するようにしたものである。なお、湿度センサ27を蓋体10の全周に設けた場合を示したが、一部に設けてもよい。
【0039】
[実施の形態5]
本実施の形態は、実施の形態1〜4のいずれかに係る蓋パッキンの劣化検出方法を備えた炊飯器に関するものである。
本実施の形態によれば、蓋体10に設けられて鍋状容器5の開口部を密閉する蓋パッキン12の劣化や変形を容易かつ確実に検知して、修理や交換を行うことができるので、常においしいご飯を炊くことができる。
【0040】
上記の説明では、図示の炊飯器に本発明に係る蓋パッキンの劣化検出方法を実施した場合を示したが、これに限定するものではなく、他の構造の炊飯器にも上記蓋パッキンの劣化検出方法を実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 本体部、2 容器カバー、3 加熱コイル、4 鍋底温度センサ、5 鍋状容器、5a フランジ、10 蓋体、11 内蓋、12 蓋パッキン、15 外蓋、18 蒸気口、19 操作・表示部、20 内部温度センサ、21 鍋側面温度センサ、22 安全弁、23 調圧部、24 内部圧力センサ、25 振動発生部、26 振動センサ、27 湿度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口された本体部、被加熱物が入れられて前記本体部内に収容される鍋状容器、該鍋状容器を加熱する加熱手段、該加熱手段の制御部、及び下面に前記鍋状容器をシールする蓋パッキンが設けられた内蓋を有し、前記本体部の上面開口部を開閉する蓋体を備えた炊飯器において、
炊飯時の鍋状容器の温度を温度センサにより検出し、該検出温度と、前記温度センサによりあらかじめ検出された前記蓋パッキンの正常状態における炊飯時の前記鍋状容器の温度とを比較して、前記蓋パッキンの劣化や変形を検出することを特徴とする蓋パッキンの劣化検出方法。
【請求項2】
前記温度センサが前記鍋状容器の外周に配設された鍋側面温度センサであって、該鍋側面温度センサにより炊飯時の前記鍋状容器の温度上昇速度を検出し、該温度上昇速度が、前記鍋側面温度センサによってあらかじめ検出された前記蓋パッキンの正常状態における炊飯時の温度上昇速度より低いときは、前記蓋パッキンが劣化又は変形しているとすることを特徴とする請求項1記載の蓋パッキンの劣化検出方法。
【請求項3】
前記温度センサが前記鍋状容器の外周に配設された鍋側面温度センサであって、該鍋側面温度センサにより炊飯終了時から前記蓋体を開放するまでの間の前記鍋状容器の温度低下速度を検出し、該温度低下速度が、前記鍋側面温度センサによってあらかじめ検出された前記蓋パッキンの正常状態における炊飯終了時から前記蓋体を開放するまでの間の前記鍋状容器の温度低下速度より大きいときは、前記蓋パッキンが劣化又は変形しているとすることを特徴とする請求項1記載の蓋パッキン劣化検出方法。
【請求項4】
前記鍋側面温度センサを、前記鍋状容器の外周に同じ高さ位置でほぼ等しい間隔で複数個配設したことを特徴とする請求項2又は3記載の蓋パッキンの劣化検出方法。
【請求項5】
前記蓋体に通気孔及びこれを開閉する調圧弁からなる調圧部を設け、前記蓋体に設けられた内部温度検出センサによって検出した被加熱物の沸騰時の温度が所定値以下であるときは、前記蓋パッキンが劣化又は変形しているとすることを特徴とする請求項1記載の蓋パッキンの劣化検出方法。
【請求項6】
前記蓋体に設けた圧力センサにより被加熱物が沸騰後に前記鍋状容器内の圧力を検出し、該圧力が所定値以下であるときは前記蓋パッキンが劣化又は変形しているとすることを特徴とする請求項5記載の蓋パッキンの劣化検出方法。
【請求項7】
上面が開口された本体部、被加熱物が入れられて前記本体部内に収容される鍋状容器、該鍋状容器を加熱する加熱手段、該加熱手段の制御部、及び下面に前記鍋状容器をシールする蓋パッキンが設けられた内蓋を有し、前記本体部の上面開口部を開閉する蓋体を備えた炊飯器において、
前記鍋状容器を振動させる振動発生部と、前記鍋状容器の振動を検出する振動センサを設け、前記振動発生部による炊飯時の鍋状容器の振動を前記振動センサにより検出し、該振動を前記振動センサによりあらかじめ検出された前記蓋パッキンの正常状態における炊飯時の前記鍋状容器の振動と比較して前記蓋パッキンの劣化や変形を検出することを特徴とする蓋パッキンの劣化検出方法。
【請求項8】
上面が開口された本体部、被加熱物が入れられて前記本体部内に収容される鍋状容器、該鍋状容器を加熱する加熱手段、該加熱手段の制御部、及び下面に前記鍋状容器をシールする蓋パッキンが設けられた内蓋を有し、前記本体部の上面開口部を開閉する蓋体を備えた炊飯器において、
前記蓋体の外周に該蓋体を閉じたときに前記本体部の外周に位置する湿度センサを設け、該湿度センサにより被加熱物の沸騰時における湿度を検出し、該湿度を前記湿度センサによりあらかじめ検出された前記蓋パッキンの正常時における被加熱物の沸騰時の湿度と比較して、前記パッキンの劣化や変形を検出することを特徴とする蓋パッキンの劣化検出方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの蓋パッキンの劣化検出方法を用いたことを特徴とする炊飯器。
【請求項10】
前記蓋パッキンの劣化検出方法により、蓋パッキンの劣化又は変形を検出したときは、炊飯終了後及び次回の炊飯前の両者又はいずれか一方において、前記蓋パッキンの交換又は修理を促す信号を発生させることを特徴とする請求項9記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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