蓋材の取付構造、及び、蓋材
【課題】蓋材を取り付けるための別部品が無くても自動車に設けた屈曲可能な内装材に蓋材を取り付けることを課題とする。
【解決手段】内装材30には、蓋材50の傾動の軸部分37を残して内装材の開口部35の周縁に沿って切断した傾動片36を形成する。蓋材50の覆い部52は、開口部35を覆って内装材30の表側に配置される。蓋材50の表裏貫通部60には、傾動片36の少なくとも一部を通して覆い部52とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部65と、傾動片通し部65を通った部分の傾動片36を掛止するための突出部70とを設ける。傾動片36には、傾動片通し部65に通される部分に突出部70を通すための突出部通し部45を形成する。蓋材50は、傾動片通し部65を通った突出部通し部45に突出部70が通されて傾動片36が突出部70に掛止されることにより、内装材30に対して傾動可能に取り付けられている。
【解決手段】内装材30には、蓋材50の傾動の軸部分37を残して内装材の開口部35の周縁に沿って切断した傾動片36を形成する。蓋材50の覆い部52は、開口部35を覆って内装材30の表側に配置される。蓋材50の表裏貫通部60には、傾動片36の少なくとも一部を通して覆い部52とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部65と、傾動片通し部65を通った部分の傾動片36を掛止するための突出部70とを設ける。傾動片36には、傾動片通し部65に通される部分に突出部70を通すための突出部通し部45を形成する。蓋材50は、傾動片通し部65を通った突出部通し部45に突出部70が通されて傾動片36が突出部70に掛止されることにより、内装材30に対して傾動可能に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材の開口部を開閉するための蓋材の取付構造、及び、蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内装材には開口部が形成される場合があり、この開口部に蓋材が設けられる場合がある。例えば、テザーベルトと呼ばれるベルト状の締結具でチャイルドシートを固定する自動車では、フロアカーペット(内装材)に開口部を形成し、テザーベルトの先端のフックを係合するためのアンカープレートをフロアパネルに固定し、アンカープレートを覆うテザーアンカーカバー(蓋材)を内装材の開口部に設けることが行われている。
【0003】
特許文献1に記載のチャイルドシートのアンカー取付構造は、上側にフロアマット(内装材)が敷設されたフロアパネルにアンカープレートが固定されるとともに、上側に開放された有底箱状のカバー本体及び取り外し可能な蓋(蓋材)からなるアンカーカバーが固定されている。アンカープレートを収納するアンカーカバーには、アンカープレートの基部を貫通させる開口部とアンカープレートの延長部への当接部とが設けられている。アンカープレートの基部は、アンカーカバーの開口部を挿通してフロアパネルに固定されている。アンカーカバーは、当接部においてアンカープレートの延長部とフロアパネルとの間に挟持された状態で固定されている。
上記アンカー取付構造は、チャイルドシート保持用ベルト端部のフックをアンカープレートに係合させる時にカバー本体から蓋を取り外す必要があるため、取り外した蓋を紛失してしまう可能性がある。
【0004】
特許文献2に記載のチャイルドシートアンカー装置は、自動車のリアパーセル(内装材)に設けた開口部を有する装着部に、チャイルドシートフックを係合してチャイルドシートをリアパッセンジャーシートに固定するためのチャイルドシートアンカーが装着されている。チャイルドシートアンカーの不使用時に装着部の開口部を閉塞するカバー体(蓋材)は、ヒンジ機構を介してベース体に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−255380号公報
【特許文献2】特開2002−104037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ヒンジ機構を設けるため、ヒンジピン等の追加部品が必要である。このことは、リアパーセルの開口部を開閉するためのカバー体を設けるためのコストを上昇させる要因となる。
【0007】
以上を鑑み、本発明は、蓋材を取り付けるための別部品が無くても自動車に設けた屈曲可能な内装材に蓋材を取り付けることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材の開口部を開閉するための蓋材の取付構造であって、
前記内装材には、前記蓋材の傾動の軸部分を残して前記開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成され、
前記蓋材には、前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とが設けられ、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った部分の前記傾動片を掛止するための突出部とが設けられ、
前記傾動片には、前記傾動片通し部に通される部分に前記突出部を通すための突出部通し部が形成され、
前記傾動片通し部を通った前記突出部通し部に前記突出部が通されて前記傾動片が前記突出部に掛止されることにより、前記蓋材が前記内装材に対して傾動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材であって傾動の軸部分を残して開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成されるとともに該傾動片に突出部通し部が形成された内装材の前記開口部を開閉するため、前記内装材に対して傾動可能に取り付けられる蓋材であって、
前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、
該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とを備え、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った前記突出部通し部に通して前記傾動片を掛止するための突出部とが設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記蓋材は、屈曲可能な内装材の傾動片の少なくとも一部が傾動片通し部に通され、該傾動片通し部を通った部分の傾動片の突出部通し部が突出部に通されて掛止されることにより、内装材に対して傾動可能に取り付けられている。従って、屈曲可能な内装材に蓋材を取り付ける際に、蓋材を取り付けるための別部品を必要としない。
【0011】
本発明を適用可能な内装材には、カーペット、マット、等が含まれる。蓋材の取付位置には、荷室、車室、等が含まれる。また、内装材の設置場所は、荷室又は車室の床部、荷室又は車室の側面部、荷室又は車室の天井部、等が含まれる。
上記開口部は、内装材の表裏を貫通する貫通穴の他、内装材の縁部に繋がる切欠状の部位等でもよい。
上記内装材の傾動片の軸部分は、蓋材の傾動に伴って位置が変わるような部位でもよい。
上記表裏貫通部の傾動片通し部は、傾動片の一部のみを通す部位でもよいし、傾動片の全部を通す部位でもよい。
【0012】
上記表裏貫通部には、突出部通し部の周縁の一部を残した押し込み片を押し込みための押し込み溝を突出部との間に形成する押し込み溝形成部、傾動片通し部を通った傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の縁部を掛止する縁部掛止部、等が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項10に係る発明によれば、蓋材を取り付けるための別部品が無くても自動車に設けた屈曲可能な内装材に蓋材を取り付けることが可能となる。
請求項2〜請求項4に係る発明では、内装材から蓋材を外れ難くすることができる。
請求項5に係る発明では、蓋材とバックルとが接触することによる異音の発生を抑止することができる。
請求項6に係る発明では、傾動片全体を傾動片通し部に通さなくてもよいので、蓋材の形状の自由度を向上させることができる。
請求項7に係る発明では、蓋材の取り付けを容易にする好適な内装材の構造を提供することができる。
請求項8、請求項9に係る発明では、内装材の開口部を閉じる好適な蓋材の構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る蓋材50の取付構造ST1を採用した自動車1の内装の背面側を例示する要部斜視図である。
【図2】(a)は自動車1の内装の要部を例示する側面図、(b)は内装材30の垂直断面を例示する断面図である。
【図3】アンカー12にテザーベルト26の先端部28を掛止した状態における蓋材50の取付構造ST1を例示する垂直断面図である。
【図4】アンカー12からテザーベルト26の先端部28を外した状態における蓋材50の取付構造ST1を例示する垂直断面図である。
【図5】蓋材50の取付構造ST1の底面側を例示する斜視図である。
【図6】内装材30の要部を例示する斜視図である。
【図7】(a)は内装材30の要部を例示する平面図、(b)は蓋材50を例示する平面図である。
【図8】蓋材50の底面側を例示する斜視図である。
【図9】蓋材50を図8のA1方向から見て示す正面図である。
【図10】(a)は蓋材50を図8のA2の位置から見て示す垂直断面図、(b)は傾動片36の曲がった角度θを模式的に例示する図である。
【図11】傾動片通し部65に通し片41を通した状態の蓋材50及び内装材30の背面側を例示する要部斜視図である。
【図12】通し片41の先端縁部43が差し入れ溝79に差し入れられた状態の蓋材50及び内装材30の背面側を例示する要部斜視図である。
【図13】(a)は変形例に係る内装材30の要部を示す平面図、(b)は変形例に係る蓋材50の取付構造ST1の要部を例示する垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)蓋材の取付構造の構成:
図1及び図2(a)には、道路上で使用されるように設計及び装備されたステーションワゴンタイプの乗用自動車1が示されている。むろん、本発明は、3列シートタイプやセダンタイプといったモータビークル等にも適用可能である。
本実施形態の自動車1は、リアシート22の後ろ側の荷室LR1が車室SP1と繋がっている。リアシート22上にチャイルドシート24が装着される際、チャイルドシート24の左右両側がリアシート22用のシートベルトで固定される。ここで、チャイルドシートには、乳児用のベビーシート等が含まれる。チャイルドシート24の上部には、チャイルドシート保持用のテザーベルト26の前端が連結されている。一方、荷室LR1の下側のフロアパネル(車体パネル)にはアンカープレート(アンカー)12が固定され、アンカープレート12の上側を開閉するテザーアンカーカバー(蓋材)50がカーペット(内装材)30に取り付けられている。そこで、テザーベルト26をリアシート22の上側に通し、カバー50を開けてテザーベルト26のフック(先端部)28をアンカープレート12に係合させると、チャイルドシート24がリアシート22上に保持される。むろん、リアシート22の足下にアンカーを設けると、フロントシート21用のシートベルトとテザーベルトとでチャイルドシートをフロントシート21上に装着することもできる。
【0016】
図3,4に示すように、カーペット30の裏側には、カーペット30の開口部35を通ったテザーベルト26のフック28を固定するためのアンカープレート12が配置されている。アンカープレート12は、金属製等とされ、テザーベルトのフック28を係合するための貫通穴13が形成されている。アンカープレート12は、金属製等とされたフロアパネル10に対して例えばボルトとナットで取り付けられて溶接等により固定される。
フロアパネル10上には、アンカープレート12の周りとなる部分にパッド開口部17を有するパッド16が嵩上げのために設置されている。パッド16には、合成樹脂繊維といった繊維を集合させてクッション性を持たせた繊維フェルト、熱可塑性樹脂といった樹脂を発泡させて成形した樹脂発泡成形体、等を用いることができる。パッド16は、後述するカーペット30の開口部35の位置に合わせて裁断されてパッド開口部17が形成されている。ここで、パッド開口部17の前縁部となる部分のパッド16の端面17aをカバーのパッド当接片63が押し込み、パッド開口部17の後縁部となる部分のパッド16の端面17aにパッド当接片63が食い込むようにパッド開口部17が設定されている。これにより、カーペットの開口部35の前後方向D1における寸法ばらつきやパッド開口部17の寸法ばらつきが吸収され、カーペット30にテザーアンカーカバー50が良好に組み付けられる。
【0017】
テザーベルト26は、ベルト状の締結具とされ、ウエビングに長さ調節用のバックル27が取り付けられ、後端となる先端部にフック28が設けられている。ウエビングは、ポリエステル繊維等の引っ張り強さに優れた繊維が帯状に編まれて形成される。バックル27は、金属部品を挿入した樹脂成形品等とされ、アンカープレート12にフック28が係合しているときにカバー50の巻き込み用リブ75の先端縁部に対向する位置とされている。フック28は、金属製等とされ、アンカープレートの貫通穴13に挿入可能とされる。
【0018】
カーペット(内装材)30は、屈曲可能とされ、テザーベルト26を通すための開口部35が形成されている。この開口部35を開閉するため、カーペット30にテザーアンカーカバー50が取り付けられている。このテザーアンカーカバー50の取付構造ST1の概略は、以下の通りである。
【0019】
カーペット30には、図6等に示すように、カバー50の傾動の軸部分37を残して開口部35の周縁に沿って切断した傾動片36が形成されている。
カバー50には、図8等に示すように、開口部35を覆ってカーペット30の表側(上側)に配置される覆い部52と、覆い部52から開口部35を通ってカーペット30の裏側(下側)へ出る表裏貫通部60とが設けられている。
表裏貫通部60には、通し片41(傾動片36の一部)を通して覆い部52とは反対側となる方向(下方向)へ出すための傾動片通し部65と、傾動片通し部65を通った部分の傾動片36を掛止するための折り畳み用リブ(突出部)70とが設けられている。ここで、「折り畳み用リブ」は、発明を感覚的に分かり易くするための名称であり、「折り畳み用リブ」に掛止される部分の傾動片が折り畳まれない場合のリブを含む。
傾動片36には、傾動片通し部65に通される部分に折り畳み用リブ70を通すための突出部通し部45が形成されている。
カバー50は、傾動片通し部65を通った突出部通し部45に折り畳み用リブ70が通されて傾動片36が折り畳み用リブ70に掛止されることにより、カーペット30に対して傾動可能に取り付けられている。
【0020】
以上より、屈曲可能なカーペット30にテザーアンカーカバー50を取り付ける際に、カバー50を取り付けるためのヒンジピンやねじ等の別部品を必要としない。
【0021】
以下、本実施形態の取付構造ST1の各部の詳細を説明する。
カーペット(内装材)30は、カバー50を閉じる方向に付勢する観点から、折り曲げに対する戻り性が高いものが好ましい。
図2(b)の垂直断面図に示すように、本実施形態のカーペット30は、繊維層31に裏打ち層32が積層されている。繊維層31には、基布にパイル糸を刺し込んでパイルを形成したタフテッドカーペット、不織ウェブをニードリングして繊維相互を絡め形成したニードルパンチカーペット、等、種々の自動車用カーペットを用いることができる。裏打ち層32には、熱可塑性エラストマーやゴムといったエラストマー、熱可塑性樹脂といった合成樹脂にエラストマーを添加した改質樹脂、これらの材料に着色剤といった添加剤を添加した材料、等を用いることができる。これらの弾性を有する材料で繊維層31を裏打ちして裏打ち層32を形成すると、カバー50が閉まる方向に付勢されるので好適である。
むろん、弾性は少なくなるものの、裏打ち層の無いカーペットを使用することも可能である。
【0022】
図6と図7(a)に示すように、カーペット30には開口部35を形成する傾動片36が設けられ、この傾動片36に対して逆向きに開くようにされた巻き込み片(通し片)41が設けられ、この巻き込み片41に対して逆向きに開くようにされた押し込み片46が設けられている。図7(a)には、カバーの覆い部52の位置を二点鎖線で示している。
なお、「巻き込み」は、発明を感覚的に分かり易くするための名称であり、180°〜270°等、1回転に満たない角度の曲げを含む。
【0023】
開口部35は、傾動片36を形成するスリットと軸部分37とで囲まれた部分となっており、表裏に貫通した貫通穴とされている。ここで、開口部35において軸部分37と対向する縁部を開閉側縁部35aと呼ぶことにする。
傾動片36は、開口部35の周縁に沿ったスリットにより、いわゆる舌片状とされている。傾動片36は、巻き込み片41を除く部分がカバーの覆い部52に近接して配置され、カバー50の傾動の軸部分となる非切断箇所37を中心として傾動するようにされている。本実施形態の傾動片の非切断箇所37は、後側とされている。この非切断箇所37とは反対側(前側)となる先端縁部38は、カバーの覆い部52の開閉側縁部53aの近傍に配置される。
【0024】
傾動片36に形成された巻き込み片41は、開口部35の周縁と突出部通し部45の周縁との間でカバーの傾動片通し部65を通るように周縁の一部が切断され、形成されたスリットにより、いわゆる舌片状とされている。巻き込み片41は、表裏貫通部60を表裏に通す開口部とされた表裏貫通部通し部40の周縁の一部を残して表裏貫通部通し部40の周縁に沿って切断することにより形成されているともいえる。巻き込み片41の非切断箇所42は、傾動片36の非切断箇所37とは反対側(前側)となる箇所とされている。この非切断箇所42とは反対側(後側)となる先端縁部43は、カバー50の差し入れ溝79に挿入される。傾動片36に巻き込み片41を形成することにより、傾動片36全体を傾動片通し部65に通さなくてもよくなるので、カバー50の形状の自由度が向上する。
巻き込み片41に形成された押し込み片46は、折り畳み用リブ70を表裏に通す開口部とされた突出部通し部45の周縁の一部を残して突出部通し部45の周縁に沿って切断され、形成されたスリットにより、いわゆる舌片状とされている。押し込み片46の非切断箇所47は、巻き込み片の非切断箇所42とは反対側(後側)となる箇所とされている。押し込み片46は、カバー50の押し込み溝77に押し込まれる。
【0025】
上記傾動片36に取り付けられるテザーアンカーカバー(蓋材)50は、覆い部52と表裏貫通部60とが一体的に形成された単一の部材とされている。
図7(a),(b)に示すように、覆い部52は、カバー50を開閉操作するための手掛け部54を開閉側縁部53aに有する略長方形の平板状に形成され、カーペット30の表側に配置されている。また、覆い部52は、カーペットの開口部35よりも広くされている。具体的には、開閉側縁部53aが傾動片の先端縁部38よりも前側とされ、軸側縁部53bが傾動片の非切断箇所37よりも後側とされ、車幅方向となる軸方向D2の縁部53cも傾動片36の軸方向D2の縁部よりも外側とされている。覆い部52の縁部53が開口部35の外側にあるので、傾動片36を見え難くして取付構造ST1の見栄えを向上することができるとともに、カバー50を閉じたときに開口部35を隠蔽して取付構造ST1の見栄えを向上することができる。また、軸部分37が覆い部52の内側にあることにより、カバー50の傾動に伴って軸部分37の位置が若干変わることになるとともに、開いているカバー50が自然に閉じ易くなっている。
【0026】
なお、図4に示すように、覆い部52における開閉側縁部53a及び軸側縁部53bは、若干下向きとされ、カバー50が閉じているときに若干カーペット30の表面に食い込むようにされている。これにより、カーペット30の表面と覆い部52の表面とが滑らかに繋がる外観となり、取付構造ST1の見栄えが向上している。
【0027】
表裏貫通部60は、図8等に示すように、立壁部61、傾動片通し部65、折り畳み用リブ(突出部)70、巻き込み用リブ(押し込み溝形成部)75、押さえリブ(差し入れ溝形成部)78、等が形成されている。
立壁部61は、覆い部52に沿った断面が覆い部52よりも小さくされ、覆い部52から開口部35を通ってカーペット30裏側へ出ている。立壁部61は、傾動の軸部分37側(後側)となる部分にパッド掛止片62及びパッド当接片63が形成され、軸部分37とは反対側(前側)となる部分に膨出部64が形成され、傾動の軸方向D2の両側に軸方向端壁部61a,61aが形成されている。
【0028】
図3,4に示すように、パッド掛止片62は、覆い部52から裏側方向へ延出するとともに、途中からパッド開口部17の外側となるREAR方向寄りに向きを変えて延出している。これにより、パッド掛止片62は、REAR方向へ凸とされてカバー50が閉じたときにパッド開口部17の周縁となる部分のパッド16の裏面16bに掛止する。従って、パッド掛止片62の構造は、開口部35を閉じた状態に保つ好適な構造である。
【0029】
膨出部64は、自動車の前後方向D1に沿った垂直断面が前側へ膨出している。すなわち、膨出部64は、パッド開口部17の外側となるFRONT方向へ膨出し、カバー50が閉じたときにパッド開口部17の周縁となる部分のパッド16の端面17aに当接する。
パッド当接片63は、パッド掛止片62からREAR方向へリブ状に延出している。すなわち、パッド当接片63は、パッド開口部17の外側となるREAR方向へ凸とされてカバー50が閉じたときにパッド開口部17の周縁となる部分のパッド16の端面17aに当接する。本実施形態のパッド当接片63は、パッド掛止片62に複数形成されている。
カバー50が閉まると、膨出部64が前側のパッド端面17aを押すように当接し、パッド端面17aから膨出部64へ加わる後向きの力によりパッド当接片63が後側のパッド端面17aに食い込む。従って、膨出部64及びパッド当接片63の構造は、開口部35を閉じた状態に保つ好適な構造である。
【0030】
傾動片通し部65は、図8,9,10(a)に示すように、覆い部52と膨出部64との間から立壁部61の内側へとカーペットの巻き込み片41を前後方向D1に通す貫通穴とされている。具体的には、傾動片通し部65の上側が覆い部52とされ、傾動片通し部65の軸方向D2両側が軸方向端壁部61a,61aとされ、傾動片通し部65の下側が通し方向延出部66とされている。この通し方向延出部66は、軸方向端壁部61a,61aに架け渡された状態で巻き込み用リブ75の上側縁部からREAR方向へ延出している。この通し方向延出部66における軸方向D2の中央部からは、延長部67がREAR方向へ延出している。
傾動片通し部65の後側となる覆い部52の表裏貫通部60側には、後側となるにつれ裏側への延出量が多くされたリブ状の曲げ案内部68が形成されている。裏側へ延出した曲げ案内部68の先端縁部は、表側に凸とされた弧状とされ、傾動片通し部65を通った巻き込み片41を裏側へ曲げた状態に案内する。本実施形態の曲げ案内部68は、覆い部52に複数形成されている。
【0031】
折り畳み用リブ(突出部)70は、通し方向延出部66及び延長部67から裏側へ立壁状に突出している。折り畳み用リブ70には、延長部67とを繋ぐ補強リブ71が設けられている。
【0032】
巻き込み用リブ75(押し込み溝形成部)は、立壁部61に囲まれた領域の中で折り畳み用リブ70よりも前側において軸方向端壁部61a,61aに架け渡された状態で通し方向延出部66から裏側へ立壁状に延出している。裏側へ延出した巻き込み用リブ75の先端縁部は、アンカープレート12にフック28が係合されたテザーベルト26のバックル27に対向する位置とされている。巻き込み用リブ75の後側面は、突出部通し部45に折り畳み用リブ70を通した巻き込み片41における押し込み片46を押し込むための押し込み溝77を折り畳み用リブ70との間に形成している。押し込み溝77の幅(前後方向D1の長さ)は、カーペット30の厚みよりも大きく、カーペット30の厚みの2倍よりも若干小さくされている。これにより、押し込み片46は、二つに折り重ねられて押し込み溝77に押し込まれたときに巻き込み用リブ75と折り畳み用リブ70とに挟まれて保持される。
覆い部52から裏側方向への巻き込み用リブ75の高さH1は、カバー50が直接バックル27と接触しないようにする観点から、覆い部52から裏側方向への立壁部61、膨出部64、折り畳み用リブ70、及び、押さえリブ78の高さよりも高いのが好ましい。
【0033】
押さえリブ(差し入れ溝形成部)78は、膨出部64から巻き込み用リブ75に向けてREAR方向へ立壁状に延出している。押さえリブ78の後縁部は、傾動片通し部65を通った巻き込み片41を180°以上曲げた状態に保持しながら巻き込み片の先端縁部43を差し入れるための差し入れ溝79を押し込み溝形成部75において押し込み溝77とは反対側となる部分との間で形成している。すなわち、押さえリブ78と巻き込み用リブ75とは、傾動片通し部65を通った巻き込み片41を180°以上曲げた状態に保持しながら巻き込み片41の縁部を掛止する縁部掛止部80を構成している。
ここで、巻き込み片41の曲がった角度θは、図10(b)に示すように、巻き込み片41が傾動片通し部65を通されるREAR方向をθ=0°として、巻き込み片41が裏側(図10(b)では右回り)へ曲げられるときの先端縁部43の向かう方向とREAR方向とのなす角度とする。
【0034】
押さえリブ78の後縁部と巻き込み用リブ75の前側面との間隔は、カーペット30の厚みよりも若干小さくされている。これにより、巻き込み片の先端縁部43は、差し入れ溝79に差し入れられたときに押さえリブ78と巻き込み用リブ75とに挟まれて保持される。
【0035】
上述したテザーアンカーカバー50の材質には、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、といった熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂、これらの合成樹脂にエラストマーを添加した改質樹脂、これらの樹脂に着色剤といった添加剤を添加した材料、等の樹脂成形材料を用いることができる。そして、樹脂成形材料を射出成形等の成形によりテザーアンカーカバーの形状に成形することにより、テザーアンカーカバーが形成される。覆い部52の表面側には、表皮材が設けられてもよい。
【0036】
(2)蓋材の取付方法、並びに、蓋材の取付構造の作用及び効果:
以下、テザーアンカーカバー50をカーペット30に取り付ける方法を説明する。
まず、カーペットの傾動片36の裏側にカバー50を近付け、カーペットの巻き込み片41の先端縁部43を傾動片通し部65に前から挿入し、巻き込み片41の非切断箇所42が軸方向端壁部61a,61aに接触するまで、又は、接触する直前まで巻き込み片41を傾動片通し部65にREAR方向へ通す。このとき、巻き込み片41は、曲げ案内部68により裏側へ曲がる方向に案内され、立壁部61で囲まれた領域から裏側へ出される。
次に、カバーの表裏貫通部60をカーペットの表裏貫通部通し部40に表側から挿入し、巻き込み片41の周囲の傾動片36が覆い部52の裏側に接触するまで、又は、接触する直前まで表裏貫通部60を表裏貫通部通し部40に裏側へ通す。この状態が、図11に示されている。
【0037】
さらに、傾動片通し部65を通った巻き込み片41を180°以上曲げ、巻き込み片の先端縁部43を差し入れ溝79に差し入れる。この状態が、図12に示されている。ここで、巻き込み片41は巻き込み用リブ75に巻かれるように約270°曲がった状態で先端縁部43が巻き込み用リブ75と押さえリブ78との間に挟まれて保持される。巻き込み用リブ75と押さえリブ78との間隔がカーペット30の厚みよりも若干小さくされているので、巻き込み用リブ75及び押さえリブ78と巻き込み片41との摩擦力により巻き込み片41の抜け止め効果が得られ、カーペット30からカバー50が外れ難くなっている。
【0038】
カーペット30は弾性を有しているので、180°以上巻かれて巻き込み用リブ75と押さえリブ78との間に保持されている巻き込み片41には差し入れ溝79から抜けようとする力が働いていることになる。
そこで、本実施形態では、差し入れ溝79に先端縁部43を差し入れた巻き込み片41を前側に押して突出部通し部45に折り畳み用リブ70を通し、表側同士を重ねるように押し込み片46を二つに折り重ねて押し込み溝77に押し込むようにしている。これにより、押し込み片46が折り畳み用リブ70と巻き込み用リブ75との間に挟まれて保持され、巻き込み片41が折り畳み用リブ70に掛止され、カーペット30に対するカバー50の取り付けが完了する。この状態が、図5に示されている。ここで、折り畳み用リブ70と巻き込み用リブ75との間隔がカーペット30の厚みの2倍よりも若干小さくされているので、折り畳み用リブ70及び巻き込み用リブ75と押し込み片46との摩擦力により押し込み片46の抜け止め効果が得られ、カーペット30からカバー50が外れ難くなっている。また、押し込み片46が押し込み溝77から抜け難いため、巻き込み片の先端縁部43も差し入れ溝79から抜け難くなっている。
【0039】
カーペット30にテザーアンカーカバー50が取り付けられると、カバー50を図3に示す開位置L1としたり図4に示す閉位置L2としたりすることができる。
チャイルドシート24を装着しないときには、図4に示すように、アンカープレート12からテザーベルト26が外された状態となり、カーペット30の弾性及びカバー50の自重によりカバー50は開口部35を閉じる閉位置L2となる。図7(a),(b)で示したように傾動の軸部分37がカバーの覆い部52の内側にあるので、カバー50が自然に閉じ易くされている。そして、カバー50が閉じたときに開口部35が覆い部52で覆われる。むろん、カーペット30の弾性が小さくても、覆い部52を手で持ってカバー50を閉める操作をすることにより開口部35を閉じることができる。
以上説明したように、カバー50を閉じると開口部35が覆い部52で覆われるので、取付構造ST1の見栄えが良く、開口部35からアンカープレート12の周辺に物が落下しない。
【0040】
チャイルドシート24を装着するときには、図3に示すように、カーペットの開口部35を通ったテザーベルトのフック28がアンカープレート12に係合して固定された状態となり、カバー50は開位置L1となる。上述したようにカバー50は自然に閉じ易くされ、表裏貫通部60の中で最も高い巻き込み用リブ75の先端縁部に巻き込み片41が配置されている。従って、開いているカバー50が閉じる方向へ傾動すると、180°以上曲がった状態の巻き込み片41がバックル27に当接する。これにより、チャイルドシート装着時においても、アンカープレート周辺が見え難くなって取付構造ST1の見栄えが良くなり、開口部35からアンカープレート12の周辺に物が落下し難くなる。また、走行中の振動によるカバー50のばたつきが低減するとともに、カバー50が直接バックル27に接触することによる異音の発生を抑止することができる。
【0041】
以上説明したように、カーペットの巻き込み片41が傾動片通し部65に通され、傾動片通し部65を通った突出部通し部45が折り畳み用リブ70に通されて巻き込み片41が掛止されることにより、カバー50がカーペット30に対して傾動可能に取り付けられている。また、傾動片通し部65を通った巻き込み片41が180°以上曲がった状態に保持されながら巻き込み片41の縁部が縁部掛止部80に掛止されることにより、カバー50がカーペット30に対して傾動可能に取り付けられているともいえる。
以上より、本取付構造ST1によると、カバー50を取り付けるためのヒンジピンやねじといった固定用部材等の別部品が無くても屈曲可能なカーペット30にカバー50を取り付けることが可能となる。また、カーペットにカバーを取り付けるために別部品を追加する必要がなく、手作業でカーペットにカバーを取り付けることができるので、安価な取付構造ST1を提供することができる。
【0042】
なお、上述した実施形態により、本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材の開口部を開閉するための蓋材の取付構造であって、
前記内装材には、前記蓋材の傾動の軸部分を残して前記開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成され、
前記蓋材には、前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とが設けられ、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った部分の前記傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の縁部を掛止する縁部掛止部とが設けられ、
前記傾動片通し部を通った前記傾動片が180°以上曲がった状態に保持されながら該傾動片の縁部が前記縁部掛止部に掛止されることにより、前記蓋材が前記内装材に対して傾動可能に取り付けられている側面を有する。
【0043】
また、本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材であって傾動の軸部分を残して開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成された内装材の前記開口部を開閉するため、前記内装材に対して傾動可能に取り付けられる蓋材であって、
前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、
該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とを備え、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った部分の前記傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の縁部を掛止する縁部掛止部とが設けられている側面を有する。
【0044】
すなわち、上記蓋材は、屈曲可能な内装材の傾動片の少なくとも一部が傾動片通し部に通され、該傾動片通し部を通った部分の傾動片が180°以上曲がった状態に保持されながら該傾動片の縁部が前記縁部掛止部に掛止されることにより、内装材に対して傾動可能に取り付けられている。従って、蓋材を取り付けるための別部品が無くても自動車に設けた屈曲可能な内装材に蓋材を取り付けることが可能となる。
【0045】
(3)変形例:
なお、本発明は、種々の変形例が考えられる。
本発明の蓋材の取付構造は、自動車をメンテナンスするためのスイッチ等を隠すための構造、小物を入れるための構造、等に適用可能である。
蓋材を取り付ける内装材は、カーペット層の無い屈曲可能なマット、屈曲可能なドアトリム内装材、屈曲可能なピラーガーニッシュ内装材、屈曲可能なルーフライナ内装材、等でもよい。
蓋材50を構成する覆い部52と表裏貫通部60とは、互いに嵌合可能な別々の部材で構成されてもよい。
バックル27は、アンカープレート12にフック28が係合しているときにカバー50の巻き込み用リブ75の先端縁部に対向しない位置とされてもよい。
内装材の開口部35は、軸方向D2の縁部の一方が内装材30自体の縁部に繋がった切欠とされてもよい。
【0046】
内装材の押し込み片46は、折り重ねられずに押し込み溝77に押し込まれてもよい。また、内装材に押し込み片が無くても、突出部70が通された突出部通し部45の周縁部が突出部70に掛止されることにより、蓋材50が内装材30に対して傾動可能に取り付けられる。
内装材の巻き込み片(通し片)41の曲がる角度θは、180°、360°、450°、等、巻き込み片41が最大限巻かれる角度以下で180°以上の任意の角度とすることができる。また、巻き込み片41の縁部を掛止する縁部掛止部80は、巻き込み片41における軸方向D2の両縁部の少なくとも一方を掛止する部位とされてもよい。
傾動片36、通し片41及び押し込み片46の形状は、半楕円形、三角形、等でもよい。傾動片、通し片及び押し込み片の非切断箇所37,42,47も、様々な設定が可能である。例えば、押し込み片46の傾動の向きが通し片41の傾動の向きと直交したり、通し片41の傾動の向きが傾動片36の傾動の向きと直交したりしてもよい。さらに、一つの通し片41に複数の押し込み片46が形成されたり、一つの傾動片36に複数の通し片41が形成されたりしてもよい。
【0047】
図13(a),(b)に示す蓋材の取付構造ST2のように、傾動片通し部65が傾動片36の全部を通す部位とされてもよい。この取付構造ST2のカーペット(内装材)130には、テザーアンカーカバー(蓋材)150の傾動の軸部分37を残して開口部35の周縁に沿って切断した傾動片36が形成されている。この傾動片36には、折り畳み用リブ(突出部)70を通すための突出部通し部45が形成され、この突出部通し部45の周縁の一部を残して該突出部通し部45の周縁に沿って切断した押し込み片46が形成されている。
突出部通し部45に折り畳み用リブ70が通された傾動片36における押し込み片46が押し込み溝(巻き込み用リブ75と折り畳み用リブ70との間)に押し込まれることにより、傾動片36が折り畳み用リブ70に掛止され、カバー150がカーペット130に対して傾動可能に取り付けられる。
従って、本変形例でも、カーペットの開口部35を開閉することができ、カバー150を取り付けるための別部品が無くても屈曲可能なカーペット130にカバー150を取り付けることが可能となる。
【0048】
なお、傾動片通し部を通る部分の傾動片が180°以上曲げられた状態に保持されなくても突出部通し部を通った突出部に掛止されれば、蓋材を取り付けるための別部品が不要となる効果が得られる。むろん、突出部通し部のみを傾動片に形成し、傾動片通し部及び突出部のみを形成した表裏貫通部並びに覆い部とから蓋材を構成しても、蓋材を取り付けるための別部品が不要となる効果が得られる。
一方、突出部通し部や突出部が無くても、傾動片通し部を通る部分の傾動片が180°以上曲がった状態に保持されながら該傾動片の縁部が縁部掛止部に掛止されれば、蓋材を取り付けるための別部品が不要となる効果が得られる。むろん、傾動片に何も形成せず、傾動片通し部及び縁部掛止部のみを形成した表裏貫通部並びに覆い部とから蓋材を構成しても、蓋材を取り付けるための別部品が不要となる効果が得られる。
すなわち、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項(実施形態に記載した側面を含む)に係る構成要件のみからなる装置及び方法でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
さらに、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1…自動車、
10…フロアパネル(車体パネル)、12…アンカープレート(アンカー)、
16…パッド、16b…裏面、17…パッド開口部、17a…端面、
24…チャイルドシート、
26…テザーベルト、27…バックル、28…フック、
30,130…カーペット(内装材)、
35…開口部、35a…開閉側縁部、36…傾動片、37…軸部分(非切断箇所)、
40…表裏貫通部通し部、
41…巻き込み片(通し片)、42…非切断箇所、43…先端縁部、
45…突出部通し部、46…押し込み片、47…非切断箇所、
50,150…テザーアンカーカバー(蓋材)、
52…覆い部、54…手掛け部、
60…表裏貫通部、61…立壁部、
62…パッド掛止片、63…パッド当接片、64…膨出部、
65…傾動片通し部、66…通し方向延出部、67…延長部、68…曲げ案内部、
70…折り畳み用リブ(突出部)、
75…巻き込み用リブ(押し込み溝形成部)、77…押し込み溝、
78…押さえリブ(差し入れ溝形成部)、79…差し入れ溝、
80…縁部掛止部、
D1…前後方向、D2…軸方向、
ST1,ST2…蓋材の取付構造。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材の開口部を開閉するための蓋材の取付構造、及び、蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内装材には開口部が形成される場合があり、この開口部に蓋材が設けられる場合がある。例えば、テザーベルトと呼ばれるベルト状の締結具でチャイルドシートを固定する自動車では、フロアカーペット(内装材)に開口部を形成し、テザーベルトの先端のフックを係合するためのアンカープレートをフロアパネルに固定し、アンカープレートを覆うテザーアンカーカバー(蓋材)を内装材の開口部に設けることが行われている。
【0003】
特許文献1に記載のチャイルドシートのアンカー取付構造は、上側にフロアマット(内装材)が敷設されたフロアパネルにアンカープレートが固定されるとともに、上側に開放された有底箱状のカバー本体及び取り外し可能な蓋(蓋材)からなるアンカーカバーが固定されている。アンカープレートを収納するアンカーカバーには、アンカープレートの基部を貫通させる開口部とアンカープレートの延長部への当接部とが設けられている。アンカープレートの基部は、アンカーカバーの開口部を挿通してフロアパネルに固定されている。アンカーカバーは、当接部においてアンカープレートの延長部とフロアパネルとの間に挟持された状態で固定されている。
上記アンカー取付構造は、チャイルドシート保持用ベルト端部のフックをアンカープレートに係合させる時にカバー本体から蓋を取り外す必要があるため、取り外した蓋を紛失してしまう可能性がある。
【0004】
特許文献2に記載のチャイルドシートアンカー装置は、自動車のリアパーセル(内装材)に設けた開口部を有する装着部に、チャイルドシートフックを係合してチャイルドシートをリアパッセンジャーシートに固定するためのチャイルドシートアンカーが装着されている。チャイルドシートアンカーの不使用時に装着部の開口部を閉塞するカバー体(蓋材)は、ヒンジ機構を介してベース体に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−255380号公報
【特許文献2】特開2002−104037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ヒンジ機構を設けるため、ヒンジピン等の追加部品が必要である。このことは、リアパーセルの開口部を開閉するためのカバー体を設けるためのコストを上昇させる要因となる。
【0007】
以上を鑑み、本発明は、蓋材を取り付けるための別部品が無くても自動車に設けた屈曲可能な内装材に蓋材を取り付けることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材の開口部を開閉するための蓋材の取付構造であって、
前記内装材には、前記蓋材の傾動の軸部分を残して前記開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成され、
前記蓋材には、前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とが設けられ、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った部分の前記傾動片を掛止するための突出部とが設けられ、
前記傾動片には、前記傾動片通し部に通される部分に前記突出部を通すための突出部通し部が形成され、
前記傾動片通し部を通った前記突出部通し部に前記突出部が通されて前記傾動片が前記突出部に掛止されることにより、前記蓋材が前記内装材に対して傾動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材であって傾動の軸部分を残して開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成されるとともに該傾動片に突出部通し部が形成された内装材の前記開口部を開閉するため、前記内装材に対して傾動可能に取り付けられる蓋材であって、
前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、
該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とを備え、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った前記突出部通し部に通して前記傾動片を掛止するための突出部とが設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記蓋材は、屈曲可能な内装材の傾動片の少なくとも一部が傾動片通し部に通され、該傾動片通し部を通った部分の傾動片の突出部通し部が突出部に通されて掛止されることにより、内装材に対して傾動可能に取り付けられている。従って、屈曲可能な内装材に蓋材を取り付ける際に、蓋材を取り付けるための別部品を必要としない。
【0011】
本発明を適用可能な内装材には、カーペット、マット、等が含まれる。蓋材の取付位置には、荷室、車室、等が含まれる。また、内装材の設置場所は、荷室又は車室の床部、荷室又は車室の側面部、荷室又は車室の天井部、等が含まれる。
上記開口部は、内装材の表裏を貫通する貫通穴の他、内装材の縁部に繋がる切欠状の部位等でもよい。
上記内装材の傾動片の軸部分は、蓋材の傾動に伴って位置が変わるような部位でもよい。
上記表裏貫通部の傾動片通し部は、傾動片の一部のみを通す部位でもよいし、傾動片の全部を通す部位でもよい。
【0012】
上記表裏貫通部には、突出部通し部の周縁の一部を残した押し込み片を押し込みための押し込み溝を突出部との間に形成する押し込み溝形成部、傾動片通し部を通った傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の縁部を掛止する縁部掛止部、等が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項10に係る発明によれば、蓋材を取り付けるための別部品が無くても自動車に設けた屈曲可能な内装材に蓋材を取り付けることが可能となる。
請求項2〜請求項4に係る発明では、内装材から蓋材を外れ難くすることができる。
請求項5に係る発明では、蓋材とバックルとが接触することによる異音の発生を抑止することができる。
請求項6に係る発明では、傾動片全体を傾動片通し部に通さなくてもよいので、蓋材の形状の自由度を向上させることができる。
請求項7に係る発明では、蓋材の取り付けを容易にする好適な内装材の構造を提供することができる。
請求項8、請求項9に係る発明では、内装材の開口部を閉じる好適な蓋材の構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る蓋材50の取付構造ST1を採用した自動車1の内装の背面側を例示する要部斜視図である。
【図2】(a)は自動車1の内装の要部を例示する側面図、(b)は内装材30の垂直断面を例示する断面図である。
【図3】アンカー12にテザーベルト26の先端部28を掛止した状態における蓋材50の取付構造ST1を例示する垂直断面図である。
【図4】アンカー12からテザーベルト26の先端部28を外した状態における蓋材50の取付構造ST1を例示する垂直断面図である。
【図5】蓋材50の取付構造ST1の底面側を例示する斜視図である。
【図6】内装材30の要部を例示する斜視図である。
【図7】(a)は内装材30の要部を例示する平面図、(b)は蓋材50を例示する平面図である。
【図8】蓋材50の底面側を例示する斜視図である。
【図9】蓋材50を図8のA1方向から見て示す正面図である。
【図10】(a)は蓋材50を図8のA2の位置から見て示す垂直断面図、(b)は傾動片36の曲がった角度θを模式的に例示する図である。
【図11】傾動片通し部65に通し片41を通した状態の蓋材50及び内装材30の背面側を例示する要部斜視図である。
【図12】通し片41の先端縁部43が差し入れ溝79に差し入れられた状態の蓋材50及び内装材30の背面側を例示する要部斜視図である。
【図13】(a)は変形例に係る内装材30の要部を示す平面図、(b)は変形例に係る蓋材50の取付構造ST1の要部を例示する垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)蓋材の取付構造の構成:
図1及び図2(a)には、道路上で使用されるように設計及び装備されたステーションワゴンタイプの乗用自動車1が示されている。むろん、本発明は、3列シートタイプやセダンタイプといったモータビークル等にも適用可能である。
本実施形態の自動車1は、リアシート22の後ろ側の荷室LR1が車室SP1と繋がっている。リアシート22上にチャイルドシート24が装着される際、チャイルドシート24の左右両側がリアシート22用のシートベルトで固定される。ここで、チャイルドシートには、乳児用のベビーシート等が含まれる。チャイルドシート24の上部には、チャイルドシート保持用のテザーベルト26の前端が連結されている。一方、荷室LR1の下側のフロアパネル(車体パネル)にはアンカープレート(アンカー)12が固定され、アンカープレート12の上側を開閉するテザーアンカーカバー(蓋材)50がカーペット(内装材)30に取り付けられている。そこで、テザーベルト26をリアシート22の上側に通し、カバー50を開けてテザーベルト26のフック(先端部)28をアンカープレート12に係合させると、チャイルドシート24がリアシート22上に保持される。むろん、リアシート22の足下にアンカーを設けると、フロントシート21用のシートベルトとテザーベルトとでチャイルドシートをフロントシート21上に装着することもできる。
【0016】
図3,4に示すように、カーペット30の裏側には、カーペット30の開口部35を通ったテザーベルト26のフック28を固定するためのアンカープレート12が配置されている。アンカープレート12は、金属製等とされ、テザーベルトのフック28を係合するための貫通穴13が形成されている。アンカープレート12は、金属製等とされたフロアパネル10に対して例えばボルトとナットで取り付けられて溶接等により固定される。
フロアパネル10上には、アンカープレート12の周りとなる部分にパッド開口部17を有するパッド16が嵩上げのために設置されている。パッド16には、合成樹脂繊維といった繊維を集合させてクッション性を持たせた繊維フェルト、熱可塑性樹脂といった樹脂を発泡させて成形した樹脂発泡成形体、等を用いることができる。パッド16は、後述するカーペット30の開口部35の位置に合わせて裁断されてパッド開口部17が形成されている。ここで、パッド開口部17の前縁部となる部分のパッド16の端面17aをカバーのパッド当接片63が押し込み、パッド開口部17の後縁部となる部分のパッド16の端面17aにパッド当接片63が食い込むようにパッド開口部17が設定されている。これにより、カーペットの開口部35の前後方向D1における寸法ばらつきやパッド開口部17の寸法ばらつきが吸収され、カーペット30にテザーアンカーカバー50が良好に組み付けられる。
【0017】
テザーベルト26は、ベルト状の締結具とされ、ウエビングに長さ調節用のバックル27が取り付けられ、後端となる先端部にフック28が設けられている。ウエビングは、ポリエステル繊維等の引っ張り強さに優れた繊維が帯状に編まれて形成される。バックル27は、金属部品を挿入した樹脂成形品等とされ、アンカープレート12にフック28が係合しているときにカバー50の巻き込み用リブ75の先端縁部に対向する位置とされている。フック28は、金属製等とされ、アンカープレートの貫通穴13に挿入可能とされる。
【0018】
カーペット(内装材)30は、屈曲可能とされ、テザーベルト26を通すための開口部35が形成されている。この開口部35を開閉するため、カーペット30にテザーアンカーカバー50が取り付けられている。このテザーアンカーカバー50の取付構造ST1の概略は、以下の通りである。
【0019】
カーペット30には、図6等に示すように、カバー50の傾動の軸部分37を残して開口部35の周縁に沿って切断した傾動片36が形成されている。
カバー50には、図8等に示すように、開口部35を覆ってカーペット30の表側(上側)に配置される覆い部52と、覆い部52から開口部35を通ってカーペット30の裏側(下側)へ出る表裏貫通部60とが設けられている。
表裏貫通部60には、通し片41(傾動片36の一部)を通して覆い部52とは反対側となる方向(下方向)へ出すための傾動片通し部65と、傾動片通し部65を通った部分の傾動片36を掛止するための折り畳み用リブ(突出部)70とが設けられている。ここで、「折り畳み用リブ」は、発明を感覚的に分かり易くするための名称であり、「折り畳み用リブ」に掛止される部分の傾動片が折り畳まれない場合のリブを含む。
傾動片36には、傾動片通し部65に通される部分に折り畳み用リブ70を通すための突出部通し部45が形成されている。
カバー50は、傾動片通し部65を通った突出部通し部45に折り畳み用リブ70が通されて傾動片36が折り畳み用リブ70に掛止されることにより、カーペット30に対して傾動可能に取り付けられている。
【0020】
以上より、屈曲可能なカーペット30にテザーアンカーカバー50を取り付ける際に、カバー50を取り付けるためのヒンジピンやねじ等の別部品を必要としない。
【0021】
以下、本実施形態の取付構造ST1の各部の詳細を説明する。
カーペット(内装材)30は、カバー50を閉じる方向に付勢する観点から、折り曲げに対する戻り性が高いものが好ましい。
図2(b)の垂直断面図に示すように、本実施形態のカーペット30は、繊維層31に裏打ち層32が積層されている。繊維層31には、基布にパイル糸を刺し込んでパイルを形成したタフテッドカーペット、不織ウェブをニードリングして繊維相互を絡め形成したニードルパンチカーペット、等、種々の自動車用カーペットを用いることができる。裏打ち層32には、熱可塑性エラストマーやゴムといったエラストマー、熱可塑性樹脂といった合成樹脂にエラストマーを添加した改質樹脂、これらの材料に着色剤といった添加剤を添加した材料、等を用いることができる。これらの弾性を有する材料で繊維層31を裏打ちして裏打ち層32を形成すると、カバー50が閉まる方向に付勢されるので好適である。
むろん、弾性は少なくなるものの、裏打ち層の無いカーペットを使用することも可能である。
【0022】
図6と図7(a)に示すように、カーペット30には開口部35を形成する傾動片36が設けられ、この傾動片36に対して逆向きに開くようにされた巻き込み片(通し片)41が設けられ、この巻き込み片41に対して逆向きに開くようにされた押し込み片46が設けられている。図7(a)には、カバーの覆い部52の位置を二点鎖線で示している。
なお、「巻き込み」は、発明を感覚的に分かり易くするための名称であり、180°〜270°等、1回転に満たない角度の曲げを含む。
【0023】
開口部35は、傾動片36を形成するスリットと軸部分37とで囲まれた部分となっており、表裏に貫通した貫通穴とされている。ここで、開口部35において軸部分37と対向する縁部を開閉側縁部35aと呼ぶことにする。
傾動片36は、開口部35の周縁に沿ったスリットにより、いわゆる舌片状とされている。傾動片36は、巻き込み片41を除く部分がカバーの覆い部52に近接して配置され、カバー50の傾動の軸部分となる非切断箇所37を中心として傾動するようにされている。本実施形態の傾動片の非切断箇所37は、後側とされている。この非切断箇所37とは反対側(前側)となる先端縁部38は、カバーの覆い部52の開閉側縁部53aの近傍に配置される。
【0024】
傾動片36に形成された巻き込み片41は、開口部35の周縁と突出部通し部45の周縁との間でカバーの傾動片通し部65を通るように周縁の一部が切断され、形成されたスリットにより、いわゆる舌片状とされている。巻き込み片41は、表裏貫通部60を表裏に通す開口部とされた表裏貫通部通し部40の周縁の一部を残して表裏貫通部通し部40の周縁に沿って切断することにより形成されているともいえる。巻き込み片41の非切断箇所42は、傾動片36の非切断箇所37とは反対側(前側)となる箇所とされている。この非切断箇所42とは反対側(後側)となる先端縁部43は、カバー50の差し入れ溝79に挿入される。傾動片36に巻き込み片41を形成することにより、傾動片36全体を傾動片通し部65に通さなくてもよくなるので、カバー50の形状の自由度が向上する。
巻き込み片41に形成された押し込み片46は、折り畳み用リブ70を表裏に通す開口部とされた突出部通し部45の周縁の一部を残して突出部通し部45の周縁に沿って切断され、形成されたスリットにより、いわゆる舌片状とされている。押し込み片46の非切断箇所47は、巻き込み片の非切断箇所42とは反対側(後側)となる箇所とされている。押し込み片46は、カバー50の押し込み溝77に押し込まれる。
【0025】
上記傾動片36に取り付けられるテザーアンカーカバー(蓋材)50は、覆い部52と表裏貫通部60とが一体的に形成された単一の部材とされている。
図7(a),(b)に示すように、覆い部52は、カバー50を開閉操作するための手掛け部54を開閉側縁部53aに有する略長方形の平板状に形成され、カーペット30の表側に配置されている。また、覆い部52は、カーペットの開口部35よりも広くされている。具体的には、開閉側縁部53aが傾動片の先端縁部38よりも前側とされ、軸側縁部53bが傾動片の非切断箇所37よりも後側とされ、車幅方向となる軸方向D2の縁部53cも傾動片36の軸方向D2の縁部よりも外側とされている。覆い部52の縁部53が開口部35の外側にあるので、傾動片36を見え難くして取付構造ST1の見栄えを向上することができるとともに、カバー50を閉じたときに開口部35を隠蔽して取付構造ST1の見栄えを向上することができる。また、軸部分37が覆い部52の内側にあることにより、カバー50の傾動に伴って軸部分37の位置が若干変わることになるとともに、開いているカバー50が自然に閉じ易くなっている。
【0026】
なお、図4に示すように、覆い部52における開閉側縁部53a及び軸側縁部53bは、若干下向きとされ、カバー50が閉じているときに若干カーペット30の表面に食い込むようにされている。これにより、カーペット30の表面と覆い部52の表面とが滑らかに繋がる外観となり、取付構造ST1の見栄えが向上している。
【0027】
表裏貫通部60は、図8等に示すように、立壁部61、傾動片通し部65、折り畳み用リブ(突出部)70、巻き込み用リブ(押し込み溝形成部)75、押さえリブ(差し入れ溝形成部)78、等が形成されている。
立壁部61は、覆い部52に沿った断面が覆い部52よりも小さくされ、覆い部52から開口部35を通ってカーペット30裏側へ出ている。立壁部61は、傾動の軸部分37側(後側)となる部分にパッド掛止片62及びパッド当接片63が形成され、軸部分37とは反対側(前側)となる部分に膨出部64が形成され、傾動の軸方向D2の両側に軸方向端壁部61a,61aが形成されている。
【0028】
図3,4に示すように、パッド掛止片62は、覆い部52から裏側方向へ延出するとともに、途中からパッド開口部17の外側となるREAR方向寄りに向きを変えて延出している。これにより、パッド掛止片62は、REAR方向へ凸とされてカバー50が閉じたときにパッド開口部17の周縁となる部分のパッド16の裏面16bに掛止する。従って、パッド掛止片62の構造は、開口部35を閉じた状態に保つ好適な構造である。
【0029】
膨出部64は、自動車の前後方向D1に沿った垂直断面が前側へ膨出している。すなわち、膨出部64は、パッド開口部17の外側となるFRONT方向へ膨出し、カバー50が閉じたときにパッド開口部17の周縁となる部分のパッド16の端面17aに当接する。
パッド当接片63は、パッド掛止片62からREAR方向へリブ状に延出している。すなわち、パッド当接片63は、パッド開口部17の外側となるREAR方向へ凸とされてカバー50が閉じたときにパッド開口部17の周縁となる部分のパッド16の端面17aに当接する。本実施形態のパッド当接片63は、パッド掛止片62に複数形成されている。
カバー50が閉まると、膨出部64が前側のパッド端面17aを押すように当接し、パッド端面17aから膨出部64へ加わる後向きの力によりパッド当接片63が後側のパッド端面17aに食い込む。従って、膨出部64及びパッド当接片63の構造は、開口部35を閉じた状態に保つ好適な構造である。
【0030】
傾動片通し部65は、図8,9,10(a)に示すように、覆い部52と膨出部64との間から立壁部61の内側へとカーペットの巻き込み片41を前後方向D1に通す貫通穴とされている。具体的には、傾動片通し部65の上側が覆い部52とされ、傾動片通し部65の軸方向D2両側が軸方向端壁部61a,61aとされ、傾動片通し部65の下側が通し方向延出部66とされている。この通し方向延出部66は、軸方向端壁部61a,61aに架け渡された状態で巻き込み用リブ75の上側縁部からREAR方向へ延出している。この通し方向延出部66における軸方向D2の中央部からは、延長部67がREAR方向へ延出している。
傾動片通し部65の後側となる覆い部52の表裏貫通部60側には、後側となるにつれ裏側への延出量が多くされたリブ状の曲げ案内部68が形成されている。裏側へ延出した曲げ案内部68の先端縁部は、表側に凸とされた弧状とされ、傾動片通し部65を通った巻き込み片41を裏側へ曲げた状態に案内する。本実施形態の曲げ案内部68は、覆い部52に複数形成されている。
【0031】
折り畳み用リブ(突出部)70は、通し方向延出部66及び延長部67から裏側へ立壁状に突出している。折り畳み用リブ70には、延長部67とを繋ぐ補強リブ71が設けられている。
【0032】
巻き込み用リブ75(押し込み溝形成部)は、立壁部61に囲まれた領域の中で折り畳み用リブ70よりも前側において軸方向端壁部61a,61aに架け渡された状態で通し方向延出部66から裏側へ立壁状に延出している。裏側へ延出した巻き込み用リブ75の先端縁部は、アンカープレート12にフック28が係合されたテザーベルト26のバックル27に対向する位置とされている。巻き込み用リブ75の後側面は、突出部通し部45に折り畳み用リブ70を通した巻き込み片41における押し込み片46を押し込むための押し込み溝77を折り畳み用リブ70との間に形成している。押し込み溝77の幅(前後方向D1の長さ)は、カーペット30の厚みよりも大きく、カーペット30の厚みの2倍よりも若干小さくされている。これにより、押し込み片46は、二つに折り重ねられて押し込み溝77に押し込まれたときに巻き込み用リブ75と折り畳み用リブ70とに挟まれて保持される。
覆い部52から裏側方向への巻き込み用リブ75の高さH1は、カバー50が直接バックル27と接触しないようにする観点から、覆い部52から裏側方向への立壁部61、膨出部64、折り畳み用リブ70、及び、押さえリブ78の高さよりも高いのが好ましい。
【0033】
押さえリブ(差し入れ溝形成部)78は、膨出部64から巻き込み用リブ75に向けてREAR方向へ立壁状に延出している。押さえリブ78の後縁部は、傾動片通し部65を通った巻き込み片41を180°以上曲げた状態に保持しながら巻き込み片の先端縁部43を差し入れるための差し入れ溝79を押し込み溝形成部75において押し込み溝77とは反対側となる部分との間で形成している。すなわち、押さえリブ78と巻き込み用リブ75とは、傾動片通し部65を通った巻き込み片41を180°以上曲げた状態に保持しながら巻き込み片41の縁部を掛止する縁部掛止部80を構成している。
ここで、巻き込み片41の曲がった角度θは、図10(b)に示すように、巻き込み片41が傾動片通し部65を通されるREAR方向をθ=0°として、巻き込み片41が裏側(図10(b)では右回り)へ曲げられるときの先端縁部43の向かう方向とREAR方向とのなす角度とする。
【0034】
押さえリブ78の後縁部と巻き込み用リブ75の前側面との間隔は、カーペット30の厚みよりも若干小さくされている。これにより、巻き込み片の先端縁部43は、差し入れ溝79に差し入れられたときに押さえリブ78と巻き込み用リブ75とに挟まれて保持される。
【0035】
上述したテザーアンカーカバー50の材質には、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、といった熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂、これらの合成樹脂にエラストマーを添加した改質樹脂、これらの樹脂に着色剤といった添加剤を添加した材料、等の樹脂成形材料を用いることができる。そして、樹脂成形材料を射出成形等の成形によりテザーアンカーカバーの形状に成形することにより、テザーアンカーカバーが形成される。覆い部52の表面側には、表皮材が設けられてもよい。
【0036】
(2)蓋材の取付方法、並びに、蓋材の取付構造の作用及び効果:
以下、テザーアンカーカバー50をカーペット30に取り付ける方法を説明する。
まず、カーペットの傾動片36の裏側にカバー50を近付け、カーペットの巻き込み片41の先端縁部43を傾動片通し部65に前から挿入し、巻き込み片41の非切断箇所42が軸方向端壁部61a,61aに接触するまで、又は、接触する直前まで巻き込み片41を傾動片通し部65にREAR方向へ通す。このとき、巻き込み片41は、曲げ案内部68により裏側へ曲がる方向に案内され、立壁部61で囲まれた領域から裏側へ出される。
次に、カバーの表裏貫通部60をカーペットの表裏貫通部通し部40に表側から挿入し、巻き込み片41の周囲の傾動片36が覆い部52の裏側に接触するまで、又は、接触する直前まで表裏貫通部60を表裏貫通部通し部40に裏側へ通す。この状態が、図11に示されている。
【0037】
さらに、傾動片通し部65を通った巻き込み片41を180°以上曲げ、巻き込み片の先端縁部43を差し入れ溝79に差し入れる。この状態が、図12に示されている。ここで、巻き込み片41は巻き込み用リブ75に巻かれるように約270°曲がった状態で先端縁部43が巻き込み用リブ75と押さえリブ78との間に挟まれて保持される。巻き込み用リブ75と押さえリブ78との間隔がカーペット30の厚みよりも若干小さくされているので、巻き込み用リブ75及び押さえリブ78と巻き込み片41との摩擦力により巻き込み片41の抜け止め効果が得られ、カーペット30からカバー50が外れ難くなっている。
【0038】
カーペット30は弾性を有しているので、180°以上巻かれて巻き込み用リブ75と押さえリブ78との間に保持されている巻き込み片41には差し入れ溝79から抜けようとする力が働いていることになる。
そこで、本実施形態では、差し入れ溝79に先端縁部43を差し入れた巻き込み片41を前側に押して突出部通し部45に折り畳み用リブ70を通し、表側同士を重ねるように押し込み片46を二つに折り重ねて押し込み溝77に押し込むようにしている。これにより、押し込み片46が折り畳み用リブ70と巻き込み用リブ75との間に挟まれて保持され、巻き込み片41が折り畳み用リブ70に掛止され、カーペット30に対するカバー50の取り付けが完了する。この状態が、図5に示されている。ここで、折り畳み用リブ70と巻き込み用リブ75との間隔がカーペット30の厚みの2倍よりも若干小さくされているので、折り畳み用リブ70及び巻き込み用リブ75と押し込み片46との摩擦力により押し込み片46の抜け止め効果が得られ、カーペット30からカバー50が外れ難くなっている。また、押し込み片46が押し込み溝77から抜け難いため、巻き込み片の先端縁部43も差し入れ溝79から抜け難くなっている。
【0039】
カーペット30にテザーアンカーカバー50が取り付けられると、カバー50を図3に示す開位置L1としたり図4に示す閉位置L2としたりすることができる。
チャイルドシート24を装着しないときには、図4に示すように、アンカープレート12からテザーベルト26が外された状態となり、カーペット30の弾性及びカバー50の自重によりカバー50は開口部35を閉じる閉位置L2となる。図7(a),(b)で示したように傾動の軸部分37がカバーの覆い部52の内側にあるので、カバー50が自然に閉じ易くされている。そして、カバー50が閉じたときに開口部35が覆い部52で覆われる。むろん、カーペット30の弾性が小さくても、覆い部52を手で持ってカバー50を閉める操作をすることにより開口部35を閉じることができる。
以上説明したように、カバー50を閉じると開口部35が覆い部52で覆われるので、取付構造ST1の見栄えが良く、開口部35からアンカープレート12の周辺に物が落下しない。
【0040】
チャイルドシート24を装着するときには、図3に示すように、カーペットの開口部35を通ったテザーベルトのフック28がアンカープレート12に係合して固定された状態となり、カバー50は開位置L1となる。上述したようにカバー50は自然に閉じ易くされ、表裏貫通部60の中で最も高い巻き込み用リブ75の先端縁部に巻き込み片41が配置されている。従って、開いているカバー50が閉じる方向へ傾動すると、180°以上曲がった状態の巻き込み片41がバックル27に当接する。これにより、チャイルドシート装着時においても、アンカープレート周辺が見え難くなって取付構造ST1の見栄えが良くなり、開口部35からアンカープレート12の周辺に物が落下し難くなる。また、走行中の振動によるカバー50のばたつきが低減するとともに、カバー50が直接バックル27に接触することによる異音の発生を抑止することができる。
【0041】
以上説明したように、カーペットの巻き込み片41が傾動片通し部65に通され、傾動片通し部65を通った突出部通し部45が折り畳み用リブ70に通されて巻き込み片41が掛止されることにより、カバー50がカーペット30に対して傾動可能に取り付けられている。また、傾動片通し部65を通った巻き込み片41が180°以上曲がった状態に保持されながら巻き込み片41の縁部が縁部掛止部80に掛止されることにより、カバー50がカーペット30に対して傾動可能に取り付けられているともいえる。
以上より、本取付構造ST1によると、カバー50を取り付けるためのヒンジピンやねじといった固定用部材等の別部品が無くても屈曲可能なカーペット30にカバー50を取り付けることが可能となる。また、カーペットにカバーを取り付けるために別部品を追加する必要がなく、手作業でカーペットにカバーを取り付けることができるので、安価な取付構造ST1を提供することができる。
【0042】
なお、上述した実施形態により、本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材の開口部を開閉するための蓋材の取付構造であって、
前記内装材には、前記蓋材の傾動の軸部分を残して前記開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成され、
前記蓋材には、前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とが設けられ、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った部分の前記傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の縁部を掛止する縁部掛止部とが設けられ、
前記傾動片通し部を通った前記傾動片が180°以上曲がった状態に保持されながら該傾動片の縁部が前記縁部掛止部に掛止されることにより、前記蓋材が前記内装材に対して傾動可能に取り付けられている側面を有する。
【0043】
また、本発明は、自動車に設けた屈曲可能な内装材であって傾動の軸部分を残して開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成された内装材の前記開口部を開閉するため、前記内装材に対して傾動可能に取り付けられる蓋材であって、
前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、
該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とを備え、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った部分の前記傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の縁部を掛止する縁部掛止部とが設けられている側面を有する。
【0044】
すなわち、上記蓋材は、屈曲可能な内装材の傾動片の少なくとも一部が傾動片通し部に通され、該傾動片通し部を通った部分の傾動片が180°以上曲がった状態に保持されながら該傾動片の縁部が前記縁部掛止部に掛止されることにより、内装材に対して傾動可能に取り付けられている。従って、蓋材を取り付けるための別部品が無くても自動車に設けた屈曲可能な内装材に蓋材を取り付けることが可能となる。
【0045】
(3)変形例:
なお、本発明は、種々の変形例が考えられる。
本発明の蓋材の取付構造は、自動車をメンテナンスするためのスイッチ等を隠すための構造、小物を入れるための構造、等に適用可能である。
蓋材を取り付ける内装材は、カーペット層の無い屈曲可能なマット、屈曲可能なドアトリム内装材、屈曲可能なピラーガーニッシュ内装材、屈曲可能なルーフライナ内装材、等でもよい。
蓋材50を構成する覆い部52と表裏貫通部60とは、互いに嵌合可能な別々の部材で構成されてもよい。
バックル27は、アンカープレート12にフック28が係合しているときにカバー50の巻き込み用リブ75の先端縁部に対向しない位置とされてもよい。
内装材の開口部35は、軸方向D2の縁部の一方が内装材30自体の縁部に繋がった切欠とされてもよい。
【0046】
内装材の押し込み片46は、折り重ねられずに押し込み溝77に押し込まれてもよい。また、内装材に押し込み片が無くても、突出部70が通された突出部通し部45の周縁部が突出部70に掛止されることにより、蓋材50が内装材30に対して傾動可能に取り付けられる。
内装材の巻き込み片(通し片)41の曲がる角度θは、180°、360°、450°、等、巻き込み片41が最大限巻かれる角度以下で180°以上の任意の角度とすることができる。また、巻き込み片41の縁部を掛止する縁部掛止部80は、巻き込み片41における軸方向D2の両縁部の少なくとも一方を掛止する部位とされてもよい。
傾動片36、通し片41及び押し込み片46の形状は、半楕円形、三角形、等でもよい。傾動片、通し片及び押し込み片の非切断箇所37,42,47も、様々な設定が可能である。例えば、押し込み片46の傾動の向きが通し片41の傾動の向きと直交したり、通し片41の傾動の向きが傾動片36の傾動の向きと直交したりしてもよい。さらに、一つの通し片41に複数の押し込み片46が形成されたり、一つの傾動片36に複数の通し片41が形成されたりしてもよい。
【0047】
図13(a),(b)に示す蓋材の取付構造ST2のように、傾動片通し部65が傾動片36の全部を通す部位とされてもよい。この取付構造ST2のカーペット(内装材)130には、テザーアンカーカバー(蓋材)150の傾動の軸部分37を残して開口部35の周縁に沿って切断した傾動片36が形成されている。この傾動片36には、折り畳み用リブ(突出部)70を通すための突出部通し部45が形成され、この突出部通し部45の周縁の一部を残して該突出部通し部45の周縁に沿って切断した押し込み片46が形成されている。
突出部通し部45に折り畳み用リブ70が通された傾動片36における押し込み片46が押し込み溝(巻き込み用リブ75と折り畳み用リブ70との間)に押し込まれることにより、傾動片36が折り畳み用リブ70に掛止され、カバー150がカーペット130に対して傾動可能に取り付けられる。
従って、本変形例でも、カーペットの開口部35を開閉することができ、カバー150を取り付けるための別部品が無くても屈曲可能なカーペット130にカバー150を取り付けることが可能となる。
【0048】
なお、傾動片通し部を通る部分の傾動片が180°以上曲げられた状態に保持されなくても突出部通し部を通った突出部に掛止されれば、蓋材を取り付けるための別部品が不要となる効果が得られる。むろん、突出部通し部のみを傾動片に形成し、傾動片通し部及び突出部のみを形成した表裏貫通部並びに覆い部とから蓋材を構成しても、蓋材を取り付けるための別部品が不要となる効果が得られる。
一方、突出部通し部や突出部が無くても、傾動片通し部を通る部分の傾動片が180°以上曲がった状態に保持されながら該傾動片の縁部が縁部掛止部に掛止されれば、蓋材を取り付けるための別部品が不要となる効果が得られる。むろん、傾動片に何も形成せず、傾動片通し部及び縁部掛止部のみを形成した表裏貫通部並びに覆い部とから蓋材を構成しても、蓋材を取り付けるための別部品が不要となる効果が得られる。
すなわち、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項(実施形態に記載した側面を含む)に係る構成要件のみからなる装置及び方法でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
さらに、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1…自動車、
10…フロアパネル(車体パネル)、12…アンカープレート(アンカー)、
16…パッド、16b…裏面、17…パッド開口部、17a…端面、
24…チャイルドシート、
26…テザーベルト、27…バックル、28…フック、
30,130…カーペット(内装材)、
35…開口部、35a…開閉側縁部、36…傾動片、37…軸部分(非切断箇所)、
40…表裏貫通部通し部、
41…巻き込み片(通し片)、42…非切断箇所、43…先端縁部、
45…突出部通し部、46…押し込み片、47…非切断箇所、
50,150…テザーアンカーカバー(蓋材)、
52…覆い部、54…手掛け部、
60…表裏貫通部、61…立壁部、
62…パッド掛止片、63…パッド当接片、64…膨出部、
65…傾動片通し部、66…通し方向延出部、67…延長部、68…曲げ案内部、
70…折り畳み用リブ(突出部)、
75…巻き込み用リブ(押し込み溝形成部)、77…押し込み溝、
78…押さえリブ(差し入れ溝形成部)、79…差し入れ溝、
80…縁部掛止部、
D1…前後方向、D2…軸方向、
ST1,ST2…蓋材の取付構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に設けた屈曲可能な内装材の開口部を開閉するための蓋材の取付構造であって、
前記内装材には、前記蓋材の傾動の軸部分を残して前記開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成され、
前記蓋材には、前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とが設けられ、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った部分の前記傾動片を掛止するための突出部とが設けられ、
前記傾動片には、前記傾動片通し部に通される部分に前記突出部を通すための突出部通し部が形成され、
前記傾動片通し部を通った前記突出部通し部に前記突出部が通されて前記傾動片が前記突出部に掛止されることにより、前記蓋材が前記内装材に対して傾動可能に取り付けられていることを特徴とする蓋材の取付構造。
【請求項2】
前記傾動片には、前記突出部通し部の周縁の一部を残して該突出部通し部の周縁に沿って切断した押し込み片が形成され、
前記表裏貫通部には、前記突出部通し部に前記突出部を通した前記傾動片における前記押し込み片を押し込むための押し込み溝を前記突出部との間に形成する押し込み溝形成部が設けられ、
前記突出部通し部に前記突出部が通された前記傾動片における前記押し込み片が前記押し込み溝に押し込まれることにより、前記傾動片が前記突出部に掛止されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋材の取付構造。
【請求項3】
前記表裏貫通部には、前記傾動片通し部を通った前記傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の縁部を掛止する縁部掛止部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蓋材の取付構造。
【請求項4】
前記表裏貫通部には、前記傾動片通し部を通った前記傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の先端縁部を差し入れるための差し入れ溝を前記押し込み溝形成部において前記押し込み溝とは反対側となる部分との間で形成する差し入れ溝形成部が設けられ、
前記突出部通し部に前記突出部が通された前記傾動片が180°以上曲がった状態で該傾動片の先端縁部が前記差し入れ溝に差し入れられて前記押し込み溝形成部と前記差し入れ溝形成部との間に保持されていることを特徴とする請求項2に記載の蓋材の取付構造。
【請求項5】
前記内装材の裏側には、前記内装材の開口部を通ったテザーベルトの先端部を固定するためのアンカーが配置され、
前記テザーベルトには、バックルが設けられ、
前記内装材の開口部を通った前記テザーベルトの先端部が前記アンカーに固定されているときに開いている前記蓋材が閉じる方向へ傾動すると180°以上曲がった状態の前記傾動片が前記バックルに当接することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の蓋材の取付構造。
【請求項6】
前記傾動片には、前記開口部の周縁と前記突出部通し部の周縁との間で前記傾動片通し部を通るように周縁の一部を切断した通し片が形成され、
前記傾動片通し部を通った前記通し片の前記突出部通し部に前記突出部が通されて前記通し片が前記突出部に掛止されることにより、前記蓋材が前記傾動片とともに傾動可能とされていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の蓋材の取付構造。
【請求項7】
前記傾動片には、前記開口部の周縁と前記突出部通し部の周縁との間で前記傾動片通し部を通るように周縁の一部を切断した通し片が形成され、
該通し片の非切断箇所は、前記傾動片の非切断箇所とは反対側となる箇所とされ、
前記押し込み片の非切断箇所は、前記通し片の非切断箇所とは反対側となる箇所とされ、
前記傾動片通し部を通った前記通し片の前記突出部通し部に前記突出部が通されて前記通し片が前記突出部に掛止されることにより、前記蓋材が前記傾動片とともに傾動可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の蓋材の取付構造。
【請求項8】
前記内装材の裏側には、前記内装材の開口部の位置に合わせてパッド開口部が形成されたパッドが配置され、
前記表裏貫通部において前記傾動の軸部分側となる部分には、前記パッド開口部の外側となる方向へ凸とされて前記蓋材が閉じたときに前記パッド開口部の周縁となる部分の前記パッドの裏面に掛止するパッド掛止片が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の蓋材の取付構造。
【請求項9】
前記内装材の裏側には、前記内装材の開口部の位置に合わせてパッド開口部が形成されたパッドが配置され、
前記表裏貫通部において前記傾動の軸部分側となる部分には、前記パッド開口部の外側となる方向へ凸とされて前記蓋材が閉じたときに前記パッド開口部の周縁となる部分の前記パッドの端面に当接するパッド当接片が形成され、
前記表裏貫通部において前記傾動の軸部分とは反対側となる部分には、前記パッド開口部の外側となる方向へ膨出して前記蓋材が閉じたときに前記パッド開口部の周縁となる部分の前記パッドの端面に当接する膨出部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の蓋材の取付構造。
【請求項10】
自動車に設けた屈曲可能な内装材であって傾動の軸部分を残して開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成されるとともに該傾動片に突出部通し部が形成された内装材の前記開口部を開閉するため、前記内装材に対して傾動可能に取り付けられる蓋材であって、
前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、
該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とを備え、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った前記突出部通し部に通して前記傾動片を掛止するための突出部とが設けられていることを特徴とする蓋材。
【請求項1】
自動車に設けた屈曲可能な内装材の開口部を開閉するための蓋材の取付構造であって、
前記内装材には、前記蓋材の傾動の軸部分を残して前記開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成され、
前記蓋材には、前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とが設けられ、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った部分の前記傾動片を掛止するための突出部とが設けられ、
前記傾動片には、前記傾動片通し部に通される部分に前記突出部を通すための突出部通し部が形成され、
前記傾動片通し部を通った前記突出部通し部に前記突出部が通されて前記傾動片が前記突出部に掛止されることにより、前記蓋材が前記内装材に対して傾動可能に取り付けられていることを特徴とする蓋材の取付構造。
【請求項2】
前記傾動片には、前記突出部通し部の周縁の一部を残して該突出部通し部の周縁に沿って切断した押し込み片が形成され、
前記表裏貫通部には、前記突出部通し部に前記突出部を通した前記傾動片における前記押し込み片を押し込むための押し込み溝を前記突出部との間に形成する押し込み溝形成部が設けられ、
前記突出部通し部に前記突出部が通された前記傾動片における前記押し込み片が前記押し込み溝に押し込まれることにより、前記傾動片が前記突出部に掛止されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋材の取付構造。
【請求項3】
前記表裏貫通部には、前記傾動片通し部を通った前記傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の縁部を掛止する縁部掛止部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蓋材の取付構造。
【請求項4】
前記表裏貫通部には、前記傾動片通し部を通った前記傾動片を180°以上曲げた状態に保持しながら該傾動片の先端縁部を差し入れるための差し入れ溝を前記押し込み溝形成部において前記押し込み溝とは反対側となる部分との間で形成する差し入れ溝形成部が設けられ、
前記突出部通し部に前記突出部が通された前記傾動片が180°以上曲がった状態で該傾動片の先端縁部が前記差し入れ溝に差し入れられて前記押し込み溝形成部と前記差し入れ溝形成部との間に保持されていることを特徴とする請求項2に記載の蓋材の取付構造。
【請求項5】
前記内装材の裏側には、前記内装材の開口部を通ったテザーベルトの先端部を固定するためのアンカーが配置され、
前記テザーベルトには、バックルが設けられ、
前記内装材の開口部を通った前記テザーベルトの先端部が前記アンカーに固定されているときに開いている前記蓋材が閉じる方向へ傾動すると180°以上曲がった状態の前記傾動片が前記バックルに当接することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の蓋材の取付構造。
【請求項6】
前記傾動片には、前記開口部の周縁と前記突出部通し部の周縁との間で前記傾動片通し部を通るように周縁の一部を切断した通し片が形成され、
前記傾動片通し部を通った前記通し片の前記突出部通し部に前記突出部が通されて前記通し片が前記突出部に掛止されることにより、前記蓋材が前記傾動片とともに傾動可能とされていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の蓋材の取付構造。
【請求項7】
前記傾動片には、前記開口部の周縁と前記突出部通し部の周縁との間で前記傾動片通し部を通るように周縁の一部を切断した通し片が形成され、
該通し片の非切断箇所は、前記傾動片の非切断箇所とは反対側となる箇所とされ、
前記押し込み片の非切断箇所は、前記通し片の非切断箇所とは反対側となる箇所とされ、
前記傾動片通し部を通った前記通し片の前記突出部通し部に前記突出部が通されて前記通し片が前記突出部に掛止されることにより、前記蓋材が前記傾動片とともに傾動可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の蓋材の取付構造。
【請求項8】
前記内装材の裏側には、前記内装材の開口部の位置に合わせてパッド開口部が形成されたパッドが配置され、
前記表裏貫通部において前記傾動の軸部分側となる部分には、前記パッド開口部の外側となる方向へ凸とされて前記蓋材が閉じたときに前記パッド開口部の周縁となる部分の前記パッドの裏面に掛止するパッド掛止片が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の蓋材の取付構造。
【請求項9】
前記内装材の裏側には、前記内装材の開口部の位置に合わせてパッド開口部が形成されたパッドが配置され、
前記表裏貫通部において前記傾動の軸部分側となる部分には、前記パッド開口部の外側となる方向へ凸とされて前記蓋材が閉じたときに前記パッド開口部の周縁となる部分の前記パッドの端面に当接するパッド当接片が形成され、
前記表裏貫通部において前記傾動の軸部分とは反対側となる部分には、前記パッド開口部の外側となる方向へ膨出して前記蓋材が閉じたときに前記パッド開口部の周縁となる部分の前記パッドの端面に当接する膨出部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の蓋材の取付構造。
【請求項10】
自動車に設けた屈曲可能な内装材であって傾動の軸部分を残して開口部の周縁に沿って切断した傾動片が形成されるとともに該傾動片に突出部通し部が形成された内装材の前記開口部を開閉するため、前記内装材に対して傾動可能に取り付けられる蓋材であって、
前記開口部を覆って前記内装材の表側に配置される覆い部と、
該覆い部から前記開口部を通って前記内装材の裏側へ出る表裏貫通部とを備え、
該表裏貫通部には、前記傾動片の少なくとも一部を通して前記覆い部とは反対側となる方向へ出すための傾動片通し部と、該傾動片通し部を通った前記突出部通し部に通して前記傾動片を掛止するための突出部とが設けられていることを特徴とする蓋材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−46348(P2011−46348A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198272(P2009−198272)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(390031451)株式会社林技術研究所 (83)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(390031451)株式会社林技術研究所 (83)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]