説明

薄型パネルカバー装置とこれを用いたカバー装置付薄型パネル

【課題】不使用時には表示面を外部から適切に保護し、割れや傷の発生を防ぐとともに、使用時にはデッドスペースの発生を効率的に抑制し、有効画面比率の向上を期待できる薄型パネルカバー装置とこれを用いたカバー装置付薄型パネルを提供する。
【解決手段】カバー体102と、一対の帯状体101a、101bでカバー装置10を構成する。携帯情報端末20に対し、X方向に沿って一対の帯状体101a、101bを周回移動可能に巻回する。不使用時にはカバー体102で表示面203を被覆して保護する。使用時にはカバー体102をX方向に指でずらして表示面203及び操作部204を外部露出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄型パネルのディスプレイ部(表示面)に配設する薄型パネルカバー装置と、これを配設してなるカバー装置付薄型パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、小型電子機器として、オーディオビジュアル(AV)機器、携帯電話機、ポケットコンピュータ、電子ブック、インターネット情報検索が可能な携帯情報端末(PDA)など、様々な画像表示デバイス(以下、単に「表示デバイス」と称する。)が開発されて普及している。
これらの表示デバイスの多くは、本来は据え置き型の電子機器を小型・携帯用途として発展させたものである。インターネット接続環境の普及と、記録媒体の小型・大容量化、さらには部品の小型化等に伴って多機能化が進んでいる。
【0003】
とりわけ近年では、音楽や録音音声を聴くオーディオ機能と、動画や静止画を見るディスプレイ機能に対応した製品が非常に増えており、画像表示性能に優れる表示面を備える表示デバイスが急速に拡大している。代表的な表示デバイスとして、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)等のディスプレイ部を搭載した、いわゆる薄型パネルが開発されている。
【0004】
薄型パネルはフルカラー表示も可能であり、ユーザーが情報を把握し易く便利な半面、ユーザーが携帯することで落下や衝撃、過度な押圧等によってディスプレイ部を破損しやすいという問題がある。特に最近では、ディスプレイ部を大型化し、画像表示性能を特に向上させた薄型パネルが急速に製品化されており、このような大型のディスプレイ部を備える薄型パネルを適切に保護することが求められている。
【0005】
これに対し従来では、たとえば特許文献1の表示装置に示すように、表示装置の筐体にスライド式のカバーを配設する構成が提案されている。この構成では、不使用時にはディスプレイ部をカバーで被覆して保護し、使用時にはカバーを筐体表面の別のエリアにスライドして退避させ、ディスプレイ部を外部露出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−31348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1等のカバーは、使用時にはディスプレイ部以外の筐体表面(退避エリア)にカバーをスライドさせるため、予め筐体表面に画像表示や操作に寄与しないデッドスペースを退避エリアとして設けなければならない。
ここでカバーのサイズは、保護対象のディスプレイ部の面積に比例して設定するため、ディスプレイ部の大型化に伴い、退避エリアも増大する。これにより、筐体表面において大面積の退避エリアを設ける必要がある。またカバーを退避させると、退避エリアに存在する操作ボタンの一部を被覆してしまうこともあり、一定操作ができなくなる問題も生じうる。
【0008】
このようなデッドスペースの存在は、薄型パネルの小型化を図る上でも大きな制約であり、ディスプレイ部の有効画面比率を向上させ、薄型パネルの大画面化と携帯性の両立を図る観点において大きな問題となる。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、不使用時には表示面を外部から適切に保護し、割れや傷の発生を防ぐとともに、使用時にはデッドスペースの発生を効率的に抑制し、有効画面比率の向上を期待できる薄型パネルカバー装置とこれを用いたカバー装置付薄型パネルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、一主面に表示面が設けられた薄型パネルの前記表示面を被覆する薄型パネルカバー装置であって、前記表示面の一部以上を覆う被覆サイズを有するカバー体と、前記カバー体を前記薄型パネルの表面に沿ってスライド案内する案内部材と、を備え、前記カバー体をスライドさせて前記表示面の一部以上を被覆する第一の状態と、前記カバー体を前記表示面以外のパネル表面に移動させて前記表示面を露出させた第二の状態とに切り替え自在である構成とした。
【0010】
ここで、前記カバー体は可撓性を有し、第二の状態においては、撓んで前記薄型パネルの一主面から他の主面に跨って配される構成とすることもできる。
また、前記他の主面は前記薄型パネルの背面とすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の薄型パネルカバー装置によれば、第一の状態において、薄型パネルの表示面はカバー体によって被覆され、表示面が適切に保護される。これにより大型の表示面を備える表示デバイスを外に携帯しても、表示面が割れたり、外部との接触で傷付くのが効果的に防止される。
一方、第二の状態では、ユーザーの操作により前記カバー体を前記一主面以外のパネル表面に移動させる。このように本発明では、表示使用時には、表示面が配された一主面とは異なる薄型パネルの背面側等にカバー部を退避できるため、少なくとも一主面において、表示面から退避させたカバー体を位置させる退避エリアを設けなくても良い。これにより薄型パネルの携帯性や操作性を損なうことなく、薄型パネルの筐体の小型化に貢献できる。また、薄型パネルに占めるディスプレイ面積も広く確保でき、有効画面比率を向上させ、大画面化にも寄与できる。
【0012】
以上のように本発明によれば、薄型パネルの携帯性と大画面とを両立しつつ、押圧や落下による表示面の割れや傷の発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る、カバー装置付表示デバイス1の構成と帯状体の係合の様子を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る、カバー装置付表示デバイス1の使用時の様子とカバー装置10の概略構成を示す図である。
【図3】本発明のその他の実施の形態に係る、カバー装置10A、10Bの概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明のその他の実施の形態に係る、カバー装置10C、10Dの概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態6に係る、カバー装置付表示デバイス1Aの概略構成を示す組図である。
【図6】本発明の実施の形態6に係る、カバー装置付表示デバイス1Aの使用時の様子を概略的に示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態7に係る、カバー装置付表示デバイス1Bの概略構成を示す組図である。
【図8】本発明の実施の形態8に係る、表示デバイス1Cの概略構成を示す外観図と断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態及び実施例を説明するが、当然ながら本発明はこれらの形式に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<実施の形態1>
(カバー装置付表示デバイス1の構成)
図1(a)は、本発明の一例である、カバー装置付表示デバイス1(以下、単に「表示デバイス1」と称する。)の構成を示す組図である。表示デバイス1は、携帯情報端末20と、当該携帯情報端末20筐体表面に巻回されたカバー装置10とで構成される。
【0015】
携帯情報端末20は、代表的な小型表示デバイスであるスマートフォンである。第一主面(オモテ面)201と第二主面(裏面)202を有する、扁平な薄型直方体状の筐体を持つ。第一主面201上には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイからなる四角形状の大型のディスプレイ部(表示面203)と、操作部204、スピーカ部200がそれぞれ配されている。第二主面202は全体を図示しないが、第一主面201と連続するように平滑な曲面で構成されている。筐体側面には側面操作部205が設けられる。
【0016】
なお、本発明で言う「薄型パネル」とは、携帯情報端末20のような薄型筐体を基本的に指すが、本発明はこのような構成に限定するものではなく、ある程度Z方向厚みを持つ直方体状、半円柱状、多角柱状等の表示デバイス全般を「薄型パネル」に含むものとする。また、「直方体」も厳密な6面体である必要はなく、携帯情報端末20のように第一主面201、第二主面202、および第一主面201と第二主面202に挟まれた側面、の幾つかが非平面形状(緩やかな形状)であってもよい。
【0017】
カバー装置(薄型パネルカバー装置)10は、X方向に延伸された案内部材(一対の帯状体101a、101b)と、当該一対の帯状体101a、101bに跨って形成されたカバー体102とで構成される。
帯状体101a、101bは、カバー体102を携帯情報端末20の表面に沿って一方向(ここではX軸に沿った方向)に案内する案内部材であり、カバー装置10の概略構成を示す側面図の図2(c)に示すように、平滑部106とベース部105の二層構造で構成される。平滑部106は滑り抵抗を軽減させたウレタン樹脂等からなる層であり、携帯端末20の表面に沿って低抵抗(ユーザーの指による操作程度)で往復方向にスライドできるように構成されている。ベース部105は帯状体101a、101bの主要部であり、柔軟性かつ機械的強度に優れる合成樹脂または革材料で構成される。図1(a)に戻り、帯状体101a、101bのX方向先端には係合部104a、104b、逆X方向先端には係合部103a、103bが形成される。係合部103a、103bと係合部104a、104bとは、互いに脱着自在に係合できる面ファスナーの組み合わせで構成され、当図のように、ユーザーが帯状体101a、101bを携帯情報端末20の周囲に巻回させてカバー装置10を事後的に配設できる。ここでは携帯情報端末20に対し、四角形状の一対の辺、すなわち表示面203のX方向に沿った一辺の外側と、前記一辺の対辺の外側を通る状態で、帯状体101a、101bをそれぞれ巻回する。このとき帯状体101a、101bの係合の様子を概略的に示す図1(b)の側面図に示すように、帯状体101a、101bの両端に設けられた係合部103aと104a、103bと104bとをそれぞれ係合させる(当図では103b、104bのみ図示)。なお係合部103a、103bと係合部104a、104bは必須の構成ではなく、両面テープや熱圧着等で帯状体101a、101bの両端部をそれぞれ固定することもできる。
【0018】
また、帯状体101a、101bをゴム等の伸縮材料、或いは伸縮性のないプラスチックフィルム材料で構成してもよい。これらの場合、帯状体101a、101bは初めから環状部材として構成することもできる。
カバー体102は、一例として表示面203のサイズと等しいか、それより大きい被覆サイズの矩形状主面を有し、柔軟性(可撓性)を有する材料で構成されている。ここではユーザーのハンドリングおよび審美性を得るため、革材料で構成しているが、素材は当然ながらこれに限定されない。カバー体102は、そのフィルム状の形態を利用して第一主面201の表示面203の全体を覆って外部より保護するとともに、筐体の形状に追従して容易に屈曲し、使用時には第一主面201から第二主面202側にかけて退避させることができる。図2(c)に示すように、カバー体102は帯状体101a、101bの上部であるベース部105に形成されている。
【0019】
カバー体102の被覆サイズは、少なくとも表示面203の一部以上を覆う被覆サイズであればよいが、有効に表示面203を保護する観点ではできるだけ表示面203のサイズと等しいか、それより大きい被覆サイズとするのが好ましい。
以上の構成を持つ表示デバイス1の使用前後の様子を図2(a)、(b)に示す。
表示デバイス1の不使用時(第一の状態)には、ユーザーはカバー体102を指で逆X方向へ押し上げる。これによりカバー体102は、帯状体101a、101bに案内され、帯状体101a、101bとともに携帯情報端末20の筐体表面に沿って逆X方向へ摺動(周回移動)する。ユーザーはカバー体102を移動させ続け、表示面203を被覆する位置まで移動する。カバー体102で完全に被覆された表示面203は、当該カバー体102の可撓性および柔軟性により、外部からの衝撃や過度な押圧による割れや傷から適切に保護される(図2(a))。
【0020】
一方、表示デバイス1の使用時(第二の状態)には、ユーザーは指でカバー体102をX方向へ押し下げ、表示面203を露出させる。このときカバー体102は、帯状体101a、101bの平滑部106によって、スムーズに案内されてX方向へスライドできる(図2(b))。この際、カバー体102は、携帯情報端末20の筐体形状に追従して変形し、第一主面201から第二主面202に跨って配置することもできる。
【0021】
このようにカバー体102は、使用時においては携帯情報端末20のサイズや形状に合わせて第二主面202側に退避でき、第一主面201に配された表示面203や操作部204を被覆せずに済む。特にカバー装置10の周回移動量はユーザーが指で自由に調節できるので、ユーザー指による細やかな操作によって、使用時に操作部204がカバー体102で覆われるのを防止でき、良好な操作性を発揮できる。また、カバー体102の退避エリアに操作部が存在しない第二主面202(背面)を利用することで、携帯情報端末20の表面にデッドスペースが発生するのを適切に抑制できるため、携帯情報端末20の小型化や有効画面比率の向上を妨げない。
【0022】
さらに、上記いずれの操作時においても、カバー装置10は帯状体101a、101bの下層に配設した低抵抗の平滑部106により、携帯情報端末20に対してスムーズに周回移動するため、第一の状態および第二の状態の切り替えが非常に楽であり、ユーザーの片手による操作で自在に行える。また、上記カバー装置10の操作中であっても側面操作部205の操作性は妨げられないので、ユーザーは自由に、側面操作部205を操作することができる。
【0023】
このような諸効果は、スライド量が固定された硬質のカバーを配設する特許文献1等の従来技術には得られないものである。
なお、表示デバイス1におけるカバー装置10は、独立して携帯情報端末20に対して脱着可能な製品であり、携帯情報端末20以外の様々な表示デバイスにも適用することが可能である。
【0024】
なお、帯状体101a、101bのY方向幅は適宜設定が可能であり、幅広にすると安定感が増す。表示面203の露出面積を考慮しつつ、できるだけ帯状体101a、101bを幅広に設定することが望ましい。
以下、本発明のカバー装置のバリエーションについて述べる。
<カバー装置のその他のバリエーション>
図3(a)は、実施の形態2に係るカバー装置(薄型パネルカバー装置)10Aの概略構成を示す斜視図である。カバー装置10Aは、Y方向を長手とする短冊状の窓部1020をカバー体102aに設けている。窓部1020を設けたことで、携帯情報端末20の表示面203を被覆した際、表示面203の一部のみを外部露出させ、表示面203の時計表示や着信履歴等を視認できる。窓部1020は複数形成されていてもよいし、その開口形状も限定されない。
【0025】
次に示す図3(b)は、実施の形態3に係るカバー装置(薄型パネルカバー装置)10Bの概略構成を示す斜視図である。
カバー体102bは、柔軟なシート体(ベースシート1021)の上面に、複数の短冊部材1022をY方向を長手として並設し、各短冊部材1022の長手(Y)方向両端からガイドピン(滑動体)1023a、1023bを突設するように配してなる。複数の短冊部材1022は、それぞれ適度な硬さを持つ樹脂材料等で構成される。ガイドピン1023a、1023bは短冊部材1022と一体的に形成してもよい。
【0026】
一方、案内部材として、コの字型断面形状の案内溝1051a、1051bを持つ、柔軟な樹脂材料等で構成される一対の案内レール105a、105bを用意する。Y方向に沿った方向から各案内溝1051a、1051bに前記ガイドピン1023a、1023bを点線矢印のように挿入する。本実施の形態では、案内部材は一対の案内レール105a、105bと前記ガイドピン1023a、1023bで構成される。
【0027】
案内レール105a、105bの長手(X)方向両端部には、ガイドピン1023a、1023bの脱落を防止する規制ピンP1〜P4を配設する。
このようなカバー装置10Bは、各案内レール105a、105bを携帯情報端末20の筐体表面に沿って、第一主面201から第二主面202にかけて屈曲させ、両面テープや接着剤等を用いて巻回させて配設する。
【0028】
カバー体102bはユーザーの操作により、案内レール105a、105bの案内溝1051a、1051bに沿って往復自在に摺動する。これにより表示面203を被覆する第一の状態(不使用時)と、表示面203を外部露出させた第二の状態(使用時)に相互に切り替え自在になっている。ベースシート1021は柔軟に屈曲するため、使用時に表示面203を露出させた場合、カバー体102bは隣接する短冊部材1022間で屈曲しつつ、携帯情報端末20の裏面に良好に移動する。不使用時には逆X方向にカバー体102bが移動し、表示面203を被覆することで、当該表示面203が適切に保護される。
【0029】
また、各短冊部材1022が適度な硬さを有する材料で構成されているため、カバー体102bで表示面203を被覆した状態(不使用時)では、外部からの衝撃等を受けても表示面203が割れや傷を特に発生しにくい。従って落下や過度の押圧等による破損を良好に防止できる。
なお、実施の形態3におけるカバー体は短冊部材を用いる構成に限定されず、実施の形態1、2と同様に柔軟なカバー体とし、当該カバー体のY方向両端にガイドピン1023a、1023bを配設して用いることもできる。
【0030】
また、ベースシート1021は省略し、各短冊部材1022を独立して往復自在に配設してもよい。或いはベースシート1021を省略しつつ、隣接する短冊部材1022同士を公知のヒンジ(蝶番)機構等の連結手段を用いて連結することも可能である。
さらに、ガイドピン1023a、1023bの代わりに極細のローラーを用い、各案内溝1051a、1051bに各ローラーを挿入して回転自在に担持させることも好適である。
【0031】
図4(a)は実施の形態4に係るカバー装置(薄型パネルカバー装置)10Cの概略構成を示す斜視図である。
カバー装置10Cは、複数の短冊部材1022を用いる点においてカバー装置102と共通するが、各短冊部材1022の長手(Y方向)両端部が一対の帯状体101a、101bに直接形成されている点が異なる。このような構成を持つカバー装置10Cであっても、表示デバイスの使用時にはカバー装置10Bと同様にカバー体102cが柔軟に屈曲し、携帯情報端末20の筐体の背面(第二主面202)に良好に移動させることができる。また、短冊部材1022の採用により、不使用時にカバー体102cで表示面203を被覆した際、表示面203を効果的に保護することも期待できる。
【0032】
図4(b)は実施の形態5に係るカバー装置(薄型パネルカバー装置)10Dの概略構成を示す斜視図である。カバー装置10Dの構成は、基本的にはカバー装置10Cと同様であるが、複数の短冊部材1024を互いに間隔を開けてカバー体102dとし、これを一対の帯状体101a、101b上に形成した構成を有する。
このような構成のカバー装置10Dによっても、カバー装置10Cと同様の効果が奏される他、カバー体102dで表示面203を被覆した状態であっても、隣接する各短冊部材1024同士の間を通して表示面203を外部からある程度視認できるので、携帯情報端末20の着信履歴や時計表示等の情報を含めた現在状況を把握できる。
【0033】
<実施の形態6>
(カバー装置付表示デバイス1Aの構成)
図5は、実施の形態6に係る表示デバイス1Aの概略構成を示す組図である。
表示デバイス1Aは、一対の皿状のケース部材(上部ケース300および下部ケース304)からなる外装ケース30の内部に、携帯情報端末20及びカバー装置40を収納して構成される。
【0034】
上部ケース(第一ケース部材)300は、耐衝撃性に優れる樹脂材料、一例としてポリカーボネート(PC)材料で構成されている。外観的には携帯情報端末20を収納できるように矩形主面を持つ皿状に形成され、表示面203を外部露出させる開口部301と、スピーカー部200に合わせた位置に孔302とが形成されている。図示しないが、上部ケース300の内側には携帯情報端末20の位置決めリブが配される。さらに下部ケース304と対向する周縁部には、下部ケース304側と嵌合するためのリブ303が立設される。
【0035】
下部ケース304(第二ケース部材)は、外観的には上部ケースと同様の皿状の形状を有する。携帯情報端末20を収納する裏面308(紙面では上面)には、携帯情報端末20を位置決めするとともに、カバー体400をX方向に沿って案内するためのリブ305a、305b、306が立設されている。また、上部ケース300と対向する周縁部には、上部ケース300のリブ303と嵌合するための嵌合溝307が形成される。
【0036】
なお第一ケース300および第二ケース304には、それぞれ側面操作部205を露出させるための切り欠き部309a、309bが形成されている。
第一ケース300および第二ケース304の間において、携帯情報端末20の周囲には、X方向に沿って第一主面201から第二主面202に亘り、帯状のカバー装置(薄型パネルカバー装置)40がスライド自在に介設される。カバー装置40はカバー体400および当該カバー体400上部に設けられたツマミ401からなり、前述のカバー体102と同様に携帯情報端末20の筐体表面に対して低抵抗を有する柔軟な材料(例えば革)で構成される。カバー体400の面積は、例えば、表示面203と同等以上に設定される。ツマミ401は開口部301から露出させた状態で配される。
【0037】
図6は使用前後における表示デバイス1Aの様子を概略的に示す斜視図である。
表示デバイス1Aの不使用時には、図6(a)に示すように、ユーザーはツマミ401を操作し、カバー体400を逆X方向に引き上げる。このときケース30の内部では、カバー体400が第二主面202から第一主面201側に摺動する。そして表示面203は、カバー体400で被覆され、外部から保護される。
【0038】
一方、表示デバイス1Aの使用時には、図6(b)に示すように、ユーザーはツマミ401を操作し、カバー体400をX方向に引き下げる。これに伴い、カバー体400は携帯情報端末20の周囲を摺動し、第一主面201から第二主面202側に退避するので、開口部301を通じて表示面203が外部露出する。この状態でユーザーは表示デバイス1Aを良好に使用することができる。
【0039】
<変形例>
図7に、実施の形態6のバリエーションである、実施の形態7に係る表示デバイス1Bの概略構成の組図を示す。
表示デバイス1Aとの違いとして、表示デバイス1Bでは、携帯情報端末20の第一主面201を長手(X)方向両端で跨ぎ、Y方向を軸方向として平行に一対のローラー403a、403bを回転自在に配する。そして一対のローラー403a、403bに対し、一対の帯状体402a、402bを回動自在に担持させ、当該帯状体402a、402bにカバー体400を形成することで、カバー装置(薄型パネルカバー装置)を構成している。
【0040】
具体的には、一対のローラー403a、403bの各軸404a、404bは、下部ケース304に設けられた案内リブ306a〜306d(306dは不図示)の軸受部3060a〜3060d(3060dは不図示)に対して回転自在に支持される。
このような構成を持つ表示デバイス1Bにおいても、表示デバイス1Aとほぼ同様の効果が奏される。さらに表示デバイス1Bでは、帯状体402a、402bを一対のローラー403a、403bで回動自在に担持しているため、ツマミ401を用いたカバー本体400の開閉動作を特にスムーズに行え、容易にカバー体が携帯情報端末20の第一主面201および第二主面202の間で良好に出退させることができ、操作性が向上している。なおツマミ401と孔302寄りの開口部301の周縁の各々にマグネットを配設し、第一の状態において、カバー本体400が不用意に開かないように調整することも好ましい。
<実施の形態8>
実施の形態6、7は、既存の携帯情報端末20に対して外側からカバー装置およびケースを配設した表示デバイスとしたが、本発明はこのようにカバー装置を外付けする構成に限定されない。
【0041】
図8(a)は実施の形態8の表示デバイス1C(カバー内蔵型)の概略構成を示す外観図である。図8(b)は表示デバイス1Cの概略的なXZ断面図である。
表示デバイス1Cは、外観的には携帯情報端末の20とほぼ同様であり、第一主面(オモテ面)501および第二主面(背面)501を持つ筐体を有する。
第一主面501には、スピーカー部500、操作部504および開口部505が形成される。開口部505は、当該デバイス1Cの主要構成をなす本体ユニット50(実施の形態6、7では図6、7の携帯情報端末20に相当する電子部品)の表示面503を外部露出させる。筐体側面には側面操作部506が設けられる。
【0042】
表示デバイス1Cの筐体内部には、図8(b)のようにカバー装置(薄型パネルカバー装置)40および本体ユニット50が収納される。本体ユニット50は筐体の内面に対し、図示しないビス止め等で固定されている。ここでカバー40は、ツマミ401が開口部505から露出した状態で、筐体と本体ユニット50との間においてカバー本体400の一方の端部が本体ユニット50の上面(オモテ面)側から下面(背面)側に回り込むように介設されている。
【0043】
この構成により表示デバイス1Cでは、使用時にユーザーがカバー装置40のツマミ401を押し下げると、筐体と本体ユニット50との間において、カバー本体400が本体ユニット50の下面(背面)側にスライドして退避し、開口部505より表示面503が外部露出する。一方、不使用時にはユーザーがツマミ401を押し上げると、上記と逆の方向にカバー体400がスライドし、表示面503を被覆して保護する。
【0044】
このような構成を持つ表示デバイス1Cにおいても、表示デバイス1Aと同様の効果が奏される。さらにケース30が不要であるため、装置の軽量化を期待することもできる。
<その他の事項>
実施の形態6、7のカバー体400は、その他の各実施の形態の各カバー体を利用して構成してもよい。実施の形態5のカバーを用いる際には、各短冊部材1024を一定長さの帯状体で一定間隔毎に連結して構成すれば好適である。
【0045】
また、実施の形態1〜5の表示デバイスにおいても、実施の形態6、7のようにカバーと携帯情報端末20を収納する外装ケース30を設けることもできる。
なお、上記したいずれのカバー体も、透明樹脂材料や半透明材料等を用いて構成できる。この場合、カバー体が表示面を被覆していても、表示面の画像を外部から視認できるので表示デバイスの状態把握が極めて容易であり、好適である。このような樹脂材料としては、例えば比較的薄く、機械的強度に優れるポリカーボネート材料等を例示できる。
【0046】
上記各実施の形態では、カバー体をX方向に沿って往復周回移動する構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、案内部材(帯状体や案内レール)の巻回方向を変えることで、Y方向に沿ってカバー体を往復周回移動できるようにしてもよい。
各実施の形態に例示した表示デバイスは操作部を有しているが、タッチパネル型の表示デバイスには操作部を省略した構成も存在する。タッチパネル型の表示デバイスでは、一般に第一主面の全体にわたって特に大型の表示面が搭載されるため、不使用時にはカバー体で表示面を適切に保護し、且つ使用時には表示デバイスのデッドスペースを無くしつつ、表示面を外部露出できる点において、本発明は大きな効果を期待できる。
【0047】
本発明の薄型パネルは、携帯用の小型サイズに限定されず、いずれのサイズの薄型パネルであってもよい。例えば据え置き型の大型表示デバイスであっても適用可能である。
カバー体が被覆する表示面は数学的に厳密な四角形状に限定されるものではなく、例えば四隅が丸くても良い。また、楕円形、円形のほか、多角形であってもよい。
上記各実施形態では、カバー体を不使用時に逆X方向に周回移動させ、使用時にX方向に周回移動させる操作を例示したが、これとは逆に、カバー体を使用時に逆X方向に周回移動させ、不使用時にX方向に周回移動させる操作を行っても良い。
【0048】
また、カバー体は表示面以外の所定領域、たとえば操作部を覆うようにしてもよい。この場合、操作部をカバー体で覆うことで、誤作動や誤入力を防止する効果を期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のカバーおよびこれを用いた薄型パネルは、既存のスマートフォンやPDA、オーディオビジュアル(AV)機器、携帯電話機、ポケットコンピュータ、さらには電子ブック等の各種小型表示デバイスに幅広く適用でき、その利用可能性は極めて高い。特に、大型の表示面を備える薄型パネルへの適用に優れている。
【符号の説明】
【0050】
1、1A、1B、1C カバー装置付表示デバイス
10、10B、10C、10D、40 カバー装置
20 携帯情報端末
30 外装ケース
50 本体ユニット
51 スペース
101a、101b、402a、402b 帯状体
102、102a、102b、102c、102d、400 カバー体
103a、103b、104a、104b 係合部
105a、105b 案内レール
200、500 スピーカー部
201、501 第一主面(オモテ面)
202、502 第二主面(裏面)
203、503 表示面
204 操作部
205、506 側面操作部
300 上部ケース(第一ケース部材)
301 開口部
302 孔
303 嵌合リブ
304 下部ケース(第二ケース部材)
305a、305b、306a、306b、306c 案内リブ
306 位置決めリブ
307 嵌合溝
308 裏面
309a、309b 切り欠き部
401 ツマミ
403a、403b ローラー
404a、404b ローラー軸
1020 窓部
1021 ベースシート
1022、1024 短冊部材
1023a、1023b ガイドピン(滑動体)
1051a、1051b 案内溝
3060a、3060b、3060c 軸受部
P1、P2、P3、P4 規制ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面に表示面が設けられた薄型パネルの前記表示面を被覆する薄型パネルカバー装置であって、
前記表示面の一部以上を覆う被覆サイズを有するカバー体と、
前記カバー体を前記薄型パネルの表面に沿ってスライド案内する案内部材と、
を備え、
前記カバー体をスライドさせて前記表示面の一部以上を被覆する第一の状態と、
前記カバー体を前記表示面以外のパネル表面に移動させて前記表示面を露出させた第二の状態とに切り替え自在である
薄型パネルカバー装置。
【請求項2】
前記カバー体は可撓性を有し、
第二の状態においては、撓んで前記薄型パネルの一主面から他の主面に跨って配される
請求項1に記載の薄型パネルカバー装置。
【請求項3】
前記他の主面は前記薄型パネルの背面である
請求項2に記載の薄型パネルカバー装置。
【請求項4】
前記案内部材は、前記薄型パネル上に周回移動可能に巻回される一対の帯状体であり、
両帯状体に跨って前記カバー体が形成されている
請求項1〜3のいずれかに記載の薄型パネルカバー装置。
【請求項5】
前記案内部材は、
一対の案内レールと、当該案内レール上をスライド可能な滑動体とからなり、
前記案内レールの各々は、前記表示面に重ならないように、前記表示面を跨いで前記薄型パネル上に配設され、
前記滑動体は、前記カバーの周縁から突設する状態で前記カバー体に設けられている
請求項1〜3のいずれかに記載の薄型パネルカバー装置。
【請求項6】
前記カバー体は、柔軟性を有するシート体の上に複数の短冊部材を並設してなり、
前記第一の状態および前記第二の状態の切り替え時に、隣接する短冊部材間の前記シート体部分が前記薄型パネルの表面形状に合わせて屈曲する
請求項1〜5のいずれかに記載する薄型パネルカバー装置。
【請求項7】
前記カバー体は複数の短冊部材で構成され、
各々の前記短冊部材が所定間隔をおいて前記一対の帯状体上に並設されている
請求項4に記載する薄型パネルカバー装置。
【請求項8】
一主面に表示面が設けられた薄型パネルに対し、請求項1〜7のいずれかに記載の薄型パネルカバー装置を備える
カバー装置付薄型パネル。
【請求項9】
一主面に表示面が設けられた薄型パネルに対して請求項1〜7のいずれかに記載の薄型パネルカバー装置が装着された状態で、前記薄型パネル及び前記薄型パネルカバー装置とを収納するケース付薄型パネルカバー装置であって、
前記薄型パネルカバー装置と、前記薄型パネルカバー装置および前記薄型パネルとを収納するための、互いに嵌合する第一ケース部材および第二ケース部材からなるケースを備え、
前記第一ケース部材は、前記第二の状態において前記薄型パネルの前記表示面を外部露出させる開口部を有する
ケース付薄型パネルカバー装置。
【請求項10】
一主面に表示面が設けられた薄型パネルの前記表示面を被覆する薄型パネルカバー装置と、前記薄型パネルおよび前記薄型パネルカバー装置を収納するケースとを備えるケース付薄型パネルカバー装置であって、
前記薄型パネルカバー装置は、前記表示面の一部以上を覆う被覆サイズを有するカバー体を有し、
前記ケースと前記薄型パネルとの間で、前記カバー体を前記薄型パネルの表面に沿ってスライドさせ、前記表示面を被覆する第一の状態と、
前記カバー体を前記一主面以外のパネル表面に移動させて前記表示面を露出させた第二の状態とに切り替え自在であり、
前記ケースは、前記表示面を外部露出させる開口部を有する第一ケース部材と、前記第一ケース部材と嵌合する第二ケース部材からなり、
前記第一ケース部材は、前記第二の状態において前記薄型パネルの前記表示面を外部露出させる開口部を有する
ケース付薄型パネルカバー装置。
【請求項11】
一主面に表示面が設けられた薄型パネルの前記表示面を被覆する薄型パネルカバー装置と、前記薄型パネルおよび前記薄型パネルカバー装置を収納するケースとを備えるケース付き薄型パネルカバー装置であって、
前記薄型パネルカバー装置は、
前記薄型パネルの前記一主面を跨ぐように配された一対のローラーと、
前記一対のローラーに対し、前記薄型パネルの筐体周囲を回動自在に回動するように配された一対の帯状体と、
前記表示面の一部以上を覆う被覆サイズを有し、且つ前記一対の帯状体に跨って形成され、前記一対の帯状体とともに前記一対のローラーにより回動されるカバー体と、を有し
前記ケースは、前記表示面を外部露出させる開口部を有する第一ケース部材と、前記第一ケース部材と嵌合する第二ケース部材からなり、且つ、前記第一ケース部材および前記第二ケース部材の少なくともいずれかに、前記一対のローラーの各軸を回転自在に担持する軸受部が形成され、
前記薄型パネルの筐体表面に沿って、前記カバー体及び前記一対の帯状体を前記一対のローラーにて回動させることにより、
前記カバー体をスライドさせて前記表示面を被覆する第一の状態と、
前記カバー体を前記一主面以外のパネル表面に移動させて前記表示面を露出させた第二の状態とに切り替え自在であり、
前記第二の状態では、前記開口部を通じ、前記表示面を前記一対の帯状体の間隙において外部露出させる
ケース付薄型パネルカバー装置。
【請求項12】
前記第一ケース部材および前記第二ケース部材の少なくともいずれかの内面において、前記第一の状態及び前記第二の状態の切り替え時に前記カバー体を案内するための案内リブが設けられている
請求項10または11に記載のケース付薄型パネルカバー装置。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれかに記載の前記ケース付薄型パネルカバー装置に対し、薄型パネルが収納されてなる
ケース及びカバー装置付薄型パネル。
【請求項14】
一主面に表示面を備える本体ユニットと、
前記表示面を被覆するカバー装置と、
前記本体ユニットおよび前記カバー装置を収納するとともに、前記表示面を外部露出する開口部が形成された筐体とを有し、
前記カバー装置は、前記表示面の一部以上を覆う被覆サイズを有するカバー体を有し、
前記筐体と前記本体ユニットとの間で、前記カバー体を前記本体ユニットの表面に沿ってスライドさせ、前記表示面を被覆する第一の状態と、
前記カバー体を前記一主面以外の前記本体ユニットの表面に移動させ、前記開口部を通じて前記表示面を露出させた第二の状態とに切り替え自在である
カバー装置付薄型パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−7790(P2013−7790A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138830(P2011−138830)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】