説明

薄肉ブーツの検査装置

【課題】遮光ブーツ等の薄肉ブーツに存在する欠陥を確実かつ効率的に検出することが可能な薄肉ブーツの検査装置を提供する。
【解決手段】蛇腹形状に成形された伸縮部102を備えた薄肉ブーツとしての遮光ブーツ101に存在する欠陥の有無を検査する検査装置であって、伸縮部102に照明光を照射する照明手段としての照明光源41、導光ケーブル42、光案内部材43、プリズムブロック44、反射板45と、伸縮部101の照明光の非照射面側の画像を撮像する撮像手段としてのCCDカメラ52と、撮像した画像データに所定の処理を施して、当該画像データから前記伸縮部に存在する欠陥を抽出する画像処理手段としての画像処理装置51とを有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遮光ブーツ等の薄肉ブーツの検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ズーム機能をもつカメラは、一般的に、複数段の鏡筒を備えており、この鏡筒を伸縮することにより、鏡筒に設けられたレンズ群とフィルム面との距離が調整されズーム機能を発揮する。これらの鏡筒は、カメラの外装ケースから漏れ入る光をフィルム面に入射しないように遮断する機能を有する。一方、複数段の鏡筒を用いたカメラでは、一番根元の鏡筒に2番目,3段目の鏡筒を収容していくため、一番根元の鏡筒の直径が太くなりすぎ、カメラ本体が大型化するという不利益が存在する。このため、鏡筒の代わりに、ゴム材料や樹脂材料から蛇腹形状に成形した伸縮自在な遮光ブーツを用いることが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の遮光ブーツは、遮光性能を発揮するためには、遮光ブーツにピンホール等の光を透過させる欠陥が存在しないかを、成形後に検査する必要がある。一方、遮光ブーツに存在する欠陥を検査するためには、遮光ブーツを実使用状態にして検査を行うことが好ましい。このため、蛇腹形状に成形されている遮光ブーツを伸長させてピンホール等の欠陥を検出する必要がある。しかしながら、ゴム材料や樹脂材料から蛇腹形状に成形した遮光ブーツは、薄肉であるため、遮光ブーツの剛性は非常に低い。このため、遮光ブーツを伸長させる際の外力によって遮光ブーツが容易に変形し、遮光ブーツを伸長させた状態で安定した形状にすることが難しいという不利益が存在した。また、従来においては、遮光ブーツに存在するピンホール等の欠陥の検出を目視により行っていたが、この方法によれば、検査効率が低く、また、遮光ブーツは遮光するため黒色等の材料から形成されおり、ピンホールは非常に小さい場合もあるため、欠陥の確実な検出が難しかった。
【0004】本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであって、遮光ブーツ等の薄肉ブーツに存在する欠陥を確実かつ効率的に検出することが可能な薄肉ブーツの検査装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点に係る薄肉ブーツの検査装置は、蛇腹形状に成形された伸縮部を備えた薄肉ブーツに存在する欠陥の有無を前記伸縮部を伸長機構により伸長させた状態で検査する検査装置であって、前記伸長機構は、前記伸縮部の両端部に形成されたフランジ部の一方を吸着する吸着面を備えた第1の吸着部材と、前記フランジ部の他方を吸着する吸着面を備えた第2の吸着部材と、前記第1の吸着部材の吸着面と前記第2の吸着部材の吸着面との前記薄肉ブーツの伸縮方向の相対距離を変更する移動手段と、を有し、前記第1および第2の吸着部材の吸着面には、前記フランジ部のフランジ面の輪郭形状に沿って配列された複数の吸引孔が形成されている。
【0006】前記第1および第2の吸着部材の少なくとも一方は、前記薄肉ブーツを吸着した状態で当該薄肉ブーツ内部の圧力を薄肉ブーツ外部の圧力に等しくさせる通気孔を備える。
【0007】本発明の第2の観点に係る薄肉ブーツの検査装置は、蛇腹形状に成形された伸縮部を備えた薄肉ブーツに存在する欠陥の有無を前記伸縮部を伸長機構により伸長させた状態で検査する検査装置であって、前記伸長機構は、前記伸縮部の両端部に形成されたフランジ部の一方を吸着する第1の吸引口が形成された吸着面を備えた第1の吸着部材と、前記フランジ部の他方を吸着する第2の吸引口が形成された吸着面を備え、前記第1の吸着部材と前記薄肉ブーツの伸縮方向に移動自在に嵌合する第2の吸着部材と、を有し、前記第1の吸着部材は、圧縮空気が供給される第1および第2の供給口と、前記第1の供給口から供給された圧縮空気の流路と前記第1の吸引口とを連通し当該第1の吸引口に吸引力を発生させる連通路と、前記第1の供給口から供給された圧縮空気を前記第2の吸着部材に導く流路が形成された第1の嵌合部と、前記第2の供給口を通じて前記圧縮空気が供給される第2の嵌合部と、を備えており、前記第2の吸着部材は、前記第1の嵌合部に形成された流路に連通する流路が形成され、当該第1の嵌合部に移動自在に嵌合する第1の被嵌合部と、前記第1の被嵌合部に形成された流路に連通し、当該流路に供給された前記圧縮空気を外部に排出する排出口と、前記排出口に向かう前記圧縮空気の流路と前記第2の吸引口とを連通し当該第2の吸引口に吸引力を発生させる連通路と、前記第2の嵌合部に移動自在に嵌合し、当該第2の嵌合部との間に前記圧縮空気が供給される空間を形成する第2の被嵌合部と、を備えている。
【0008】前記第1および第2の吸着部材の少なくとも一方は、前記薄肉ブーツを吸着した状態で当該薄肉ブーツ内部の圧力を薄肉ブーツ外部の圧力に等しくさせる通気孔を備える。
【0009】本発明の第3の観点に係る薄肉ブーツの検査装置は、蛇腹形状に成形された伸縮部を備えた薄肉ブーツに存在する欠陥の有無を検査する検査装置であって、前記伸縮部に照明光を照射する照明手段と、前記伸縮部の前記照明光の非照射面側の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像した画像データに所定の処理を施して、当該画像データから前記伸縮部に存在する欠陥を抽出する画像処理手段とを有する。
【0010】本発明の第3の観点に係る薄肉ブーツの検査装置は、前記伸縮部の両端部に形成されたフランジ部を吸着保持し、かつ、当該伸縮部を伸長させて伸長状態を保持する伸長機構をさらに有する。
【0011】好適には、前記照明手段は、前記薄肉ブーツの伸縮部の内周面に前記照明光を照射し、前記撮像手段は、前記薄肉ブーツの伸縮部の外周面の画像を撮像する。
【0012】さらに好適には、前記照明手段は、前記照明光を出力する光源と、前記光源からの照明光を前記薄肉ブーツの中心軸方向に導く導光手段と、前記導光手段によって導かれた照明光を反射して前記薄肉ブーツの伸縮部の内周面に向けて照射する反射手段とを有する。
【0013】前記伸長機構は、伸長状態にある前記薄肉ブーツを回転させて前記撮像手段に対する被撮像領域を変更する回転手段をさらに有する。
【0014】好適には、前記画像処理手段は、前記撮像手段によって得られた画像データの各画素の明るさに基づいて階調処理し、階調処理された画像データから設定階調値を越える画素の集まっている領域を抽出し、前記領域の各画素の階調値を加算して当該加算値を光漏れ量とし、前記光漏れ量と予め設定された設定漏れ量とを比較して前記領域が欠陥かを判別する。
【0015】本発明の第1の観点に係る検査装置の伸縮機構では、薄肉ブーツを伸縮機構の所定の位置にセットし、第1および第2の吸着部材にそれぞれ形成されたフランジ面の輪郭形状に沿って配列された複数の吸引孔によって吸着する。この状態から、移動手段によって第1の吸着部材と第2の吸着部材との相対位置を変更して薄肉ブーツの伸縮部を伸長させる。薄肉ブーツの伸縮部が伸長した状態で当該伸長部の欠陥検査が行われる。
【0016】本発明の第2の観点に係る検査装置の伸縮機構では、薄肉ブーツを伸縮機構の所定の位置にセットし、第1の吸着部材の第1および第2の供給口から圧縮空気を供給する。第1の供給口に供給された圧縮空気によって第1の吸引口および第2の吸引口には吸引力が発生する。これにより、薄肉ブーツのフランジ部は、第1および第2の吸着部材の吸着面にそれぞれ吸着される。一方、第2の供給口に供給された圧縮空気は、第2の嵌合部および第2の被嵌合部によって形成される空間に供給される。この空間への圧縮空気の供給によって、第1の吸着部材と第2の吸着部材は、離隔する向きに相対移動する。これにより、薄肉ブーツの伸縮部は伸長し、圧縮空気の流量および圧力を調整することにより、第1の吸着部材と第2の吸着部材との相対位置が一定位置に調整される。このように、本発明の第2の観点に係る検査装置の伸縮機構では、圧縮空気の供給により、薄肉ブーツのフランジ部の吸着保持および伸縮部の伸長動作を同時に行うことができる。
【0017】本発明の第3の観点に係る検査装置では、照明光を薄肉ブーツに照射して、薄肉ブーツの照明光を照射していない非照射面側の画像を撮像する。好適には、薄肉ブーツの伸縮部の内周面の画像を撮像するのは、薄肉ブーツの寸法的な制約により難しいので、薄肉ブーツの伸縮部の外周面側を撮像し、薄肉ブーツの内周面を照明光で照らす。また、薄肉ブーツの伸縮部は縮んだ状態では、伸縮部に存在する欠陥を検出するのが難しい場合もあるので、薄肉ブーツの伸縮部を伸長させた状態を保持し、伸長した伸縮部の外周面を撮像する。撮像手段によって撮像されたが画像データは、伸縮部に照明光を透過させる欠陥があると、この欠陥領域の画素の明度は他の領域よりも高くなり、この明度に応じて欠陥が特定される。撮像手段の視野角は一定の範囲に限定されているため、一回の撮像によって薄肉ブーツの伸縮部の全域の画像データを取得できない場合もある。このため、回転手段によって、薄肉ブーツの伸縮部を伸長させた状態で所定角度毎に薄肉ブーツを回転させ、所定角度の回転毎に撮像することで薄肉ブーツの伸縮部の全域の画像データが取得される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態図1は本発明の検査装置によって検査される本発明の薄肉ブーツとしての遮光ブーツの一例を示す側面図であり、図2は図1の遮光ブーツの一端部に形成されたフランジ部の平面図である。図1および図2に示すように、遮光ブーツ101は、蛇腹形状に成形された伸縮部102と、伸縮部102の両端部に形成されたフランジ部103および104とを備えている。なお、フランジ部103の平面形状については図示しないが、フランジ部104と略形状である。遮光ブーツ101は、ゴム材料あるいは樹脂材料から形成されており、たとえば、数十μm〜数百μm程度の薄肉に成形されている。したがって、この遮光ブーツ101は、外力によって容易に変形し、形状の自己復元力が比較的低い。特に、フランジ部103および104は、シート状であるので変形しやすい。また、遮光ブーツ101は、たとえば、黒色等の光を遮断する色を有しており、遮光機能を有する。すなわち、伸縮部102の外側部から伸縮部102の内部へ向かう光、あるいは、伸縮部102の内部から外部に向かう光を遮断する。フランジ部104は、伸縮部102の軸線に略垂直なフランジ面104aを備えている。
【0019】また、遮光ブーツ101は、たとえば、成形型を用いて薄肉に成形されるため、たとえば、成形不良等により、伸縮部102に小さな孔(ピンホール)や、部分的な薄肉部等の光を透過する遮光欠陥が存在する場合がある。
【0020】図3は、本発明の一実施形態に係る遮光ブーツの検査装置の構成図である。図3において、遮光ブーツの検査装置1は、伸長機構部2と、照明光源41と、画像処理装置51と、CCDカメラ52と、ポンプ61とを備える。ここで、照明光源41は本発明の光源、画像処理装置51は本発明の画像処理手段、CCDカメラ52は本発明の撮像手段のそれぞれ一具体例に対応している。
【0021】伸長機構部2は、遮光ブーツ101の伸縮部102の両端部に形成されたフランジ部103,104を吸着保持し、かつ、当該伸縮部を伸長させて伸長状態を保持する。この伸長機構部2直動装置5と、上側吸着部11と、下側吸着部21と、回転駆動部31とからなる。なお、回転駆動部31は、伸長状態にある遮光ブーツ101を回転させてCCDカメラ52に対する被撮像領域を変更する本発明の回転手段の一具体例に対応している。
【0022】直動装置5は、ベース部材4上に設置され、水平方向に配置された昇降部材6と連結され、この昇降部材6を矢印A1およびA2の鉛直方向に移動し、所望の位置に位置決めする。この直動装置5は、たとえば、図示しない駆動モータとこの駆動モータの回転運動を直動運動に変換する直動機構とを備えている。
【0023】上側吸着部11は、昇降部材6に固定された保持部材15に軸受BGRを回転自在に保持された有底の筒状部材12と、筒状部材12に開口部から挿入固定された上側吸着部材13と、筒状部材12の底部に設けられたロータリ継ぎ手14と、筒状部材12の外周に固定されたプーリー16とを有する。
【0024】筒状部材12は、プーリー16に巻回されたベルトBが駆動されることによって、回転する。この筒状部材12の内周面と、筒状部材12に挿入された上側吸着部材13の外周面との間には隙間Sが形成されており、この隙間が空気の流路Sを構成している。
【0025】ロータリ継ぎ手14は、筒状部材12の内部と連通する管路を備えており、このロータリ継ぎ手14は筒状部材12の回転を許容しており、筒状部材12が回転してもロータリ継ぎ手14は回転しない。すなわち、筒状部材12が回転した状態で、ロータリ継ぎ手14を通じて筒状部材12の内部への空気の供給あるいは筒状部材12の内部からの空気の吸引が行われる。
【0026】上側吸着部材13は、下端面13aに、遮光ブーツ101のフランジ部を吸着するための複数の吸着孔13bが形成されており、この吸着孔13bは上記の流路Sと連通している。なお、上側吸着部材13の吸着面13aの具体的構成については後述する。
【0027】下側吸着部21は、ベース部材4に固定された保持部材23と、この保持部材23に軸受BRGを介して回転自在に保持された筒状部材22と、筒状部材22の上端部に固定された下側吸着部材25と、筒状部材22の外周に設けられたプーリー24とを有する。
【0028】筒状部材22は、上記の筒状部材12の中心軸と同心に設けられており、内部に導光ケーブル42が導入されている。筒状部材22は、プーリー24に巻回されたベルトBが駆動されることによって、回転する。また、筒状部材22には、保持部材23に形成された空気の流路23aと連通する流路22aが軸方向に沿って形成されており、この流路22aは筒状部材22の上端まで伸びている。また、筒状部材22の流路22aと保持部材23の流路23aとは、筒状部材22の外周面と保持部材23の内周面との間に設けられたシールリングSRによってシーリングされている。さらに、筒状部材22には、通気孔22bが形成されており、この通気孔22bは筒状部材22は上端から下端まで伸びている。
【0029】下側吸着部材25は、筒状部材22の上端側に嵌合固定されており、この下側吸着部材25の吸着面25aには、遮光ブーツ101のフランジ部を吸着するための複数の吸着孔25bが形成されており、この吸着孔25bは上記の流路22aと連通している。なお、下側吸着部材25の吸着面25aの具体的構成については後述する。
【0030】下側吸着部材25の中心部には、先端にプリズムブロック44が固定された光案内部材43が下側吸着部材25の下面側から上面側に突出するように固定されている。プリズムブロック44は、たとえば、透明なアクリル樹脂等の材料から形成された円柱状の部材である。プリズムブロック44は、図4(a)に示すように、一方の端面44aが所定角度で傾斜している。このプリズムブロック44は、端面44aに光案内部材43を通じて導かれた照明光Lを反射し、照明光Lの方向を入射方向に直交する方向に変える反射板45を備える。なお、反射板45は、本発明の反射手段の一具体例に対応している。
【0031】光案内部材43は、図4(b)に示すように、円筒状の部材からなり、たとえば、ステンレス等の金属材料で形成される。この光案内部材43は、下側吸着部材25の中央部に形成された貫通孔に挿入固定され、導光ケーブル42から出射される照明光をプリズムブロック44に導く。なお、筒状部材22に形成された通気孔22bは、下側吸着部材25の中央部に形成された貫通孔を通じて下側吸着部材25の上面側と連通している。また、プリズムブロック44、光案内部材43および導光ケーブル42は本発明の導光手段を構成している。
【0032】照明装置41は、所定の光量の照明光を導光ケーブル42に出力する。導光ケーブル42は、たとえば、複数本の光ファイバーによって構成される。
【0033】回転駆動部31は、ベース部材4に固定部材33を介して固定された駆動モータ32と、駆動モータ32とカップリング34を介して接続された回転軸35と、回転軸35に固定されたプーリー36と、回転軸35に対して矢印A1およびA2方向に移動自在に設けられた可動部38と、可動部38の回転部38aに連結されたプーリー37とを有する。
【0034】回転軸35は、ベース部材4に軸受BRGを介して回転自在に支持されており、駆動モータ32の回転によって回転する。
【0035】可動部38は、昇降部材6に連結されており、かつ、回転軸35の軸方向に移動自在になっている。具体的には、可動部38は、回転部38aを内部に回転自在に保持しており、この回転部38aに回転軸35が挿入されている。また、回転軸35にはスプラインが形成されており、回転部38aはこのスプラインに嵌合することによって、軸方向に移動自在であるとともに、回転軸35の回転が伝達される。直動装置5を駆動して、昇降部材6を矢印A1,A2方向に移動させると、可動部38もこれに応じて移動する。また、回転軸35が回転すると、回転部38aのみが回転し、この回転部38aの回転がプーリー37に伝達される。
【0036】プーリー36は、上記した筒状部材22に設けられたプーリー24とベルトBによって連結されており、プーリー37は、上記した筒状部材12に設けられたプーリー16とベルトBによって連結されている。モータ32が回転すると、プーリー36、37も同時に回転し、筒状部材22および筒状部材12が同期して回転する。したがって、上側吸着部材13および下側吸着部材25は、モータ32を回転させることで同期回転する。
【0037】ポンプ61は、切換弁62を介して上側吸着部11の筒状部材12に設けられたロータリ継ぎ手14および下側吸着部21の保持部材23の流路23aに接続されている。このポンプ61は、切換弁62の切り換え動作に応じて、ロータリ継ぎ手14および保持部材23の流路23aに圧縮空気を供給し、あるいは、ロータリ継ぎ手14および保持部材23の流路23aから空気を吸引する。
【0038】CCDカメラ52は、電荷結合素子(Charge Coupled Device) を用いたカメラであり、ベース部材4上に遮光ブーツ101の伸縮部の画像を撮像可能に配置されている。また、CCDカメラ52は、上記のプリズムブロック44に設けられた反射板45で反射された照明光の出射方向に向くように配置されている。CCDカメラ52の撮像した画像データは、画像処理装置51に入力される。画像処理装置51は、CCDカメラ52の撮像した画像データを所定のディジタル信号に変換した後、この画像データに所定の処理を施して、遮光ブーツ101に存在する遮光欠陥を検出する。画像処理装置51は、たとえば、パーソナルコンピュータおよび所要のソフトウエアによって構成することができる。なお、画像処理装置51の具体的な処理方法については後述する。
【0039】ここで、上記構成の遮光ブーツの検査装置1の下側吸着部材25の吸着面25aの構成の一例を図5に示す。図5に示すように、下側吸着部材25の吸着面25aは、遮光ブーツ101のフランジ部104のフランジ面104aの輪郭形状に沿って連なるように形成された複数の吸引孔25bを備えている。なお、中央部の貫通孔25cはプリズムブロック44および光案内部材43を挿入するための孔である。吸引孔25bは、開口面積が非常に小さい細孔であり、フランジ部104のフランジ面104aを下側吸着部材25の吸着面25aの所定の位置にセットした状態で、すべての吸引孔25bがフランジ面104aの内部に位置するように形成されている。
【0040】下側吸着部材25の吸着面25aに遮光ブーツ101のフランジ部104のフランジ面104aが接触した状態で、吸引孔25bから空気が吸引されると、フランジ部104のフランジ面104aは吸着面25aに吸着する。各吸引孔25bの吸引力は小さいが、このように、多数の吸引孔25bを設けることで、フランジ部104のフランジ面104aの吸引による変形を最小限に抑えつつ、フランジ部104を確実に吸着することができる。なお、遮光ブーツ101の他方のフランジ部103に対向する上側吸着部材13の吸着面13aの構成については図示を省略するが、下側吸着部材25の吸着面25aと同様に、遮光ブーツ101のフランジ部103のフランジ面の輪郭形状に沿って連なるように形成された複数の吸引孔13bを備えている。
【0041】次に、上記構成の遮光ブーツの検査装置を用いた検査の一例について説明する。まず、図6に示すように、遮光ブーツ101を下側吸着部材25の吸着面25aの所定の位置に載置する。この状態では、遮光ブーツ101のフランジ部104のフランジ面104aと下側吸着部材25の吸着面25aの複数の吸引孔25bとは図5に示した位置関係となる。
【0042】次いで、図7に示すように、直動装置5を駆動して、上側吸着部材13を矢印A2方向に下降させ、上側吸着部材13の吸着面13aが遮光ブーツ101のフランジ部103に接触する位置で停止する。この状態から、ポンプ61を駆動して、上側吸着部材13の吸引孔13bおよび下側吸着部材25の吸引孔25bから空気を吸引する。吸引孔13bおよび吸引孔25bから空気が吸引されると、遮光ブーツ101のフランジ部103は上側吸着部材13の吸着面13aに吸着され、フランジ部104は下側吸着部材25の吸着面25aに吸着される。
【0043】このとき、たとえば、遮光ブーツ101のフランジ部103および104から上側吸着部材13の吸引孔13b、吸着部材25の吸引孔25bの一部が外れて、遮光ブーツ101の内側に位置していると、遮光ブーツ101の内部と外部とで気圧差が発生しようとする。しかしながら、遮光ブーツ101の内部は、吸着部材25の貫通孔25cおよび筒状部材22に形成された通気孔22bを通じて外部と連通しているため、吸着部材25の貫通孔25cから空気が遮光ブーツ101の内部に導入されることから遮光ブーツ101の内部と外部とで気圧差が発生しない。このため、遮光ブーツ101には気圧差による変形が発生しない。
【0044】遮光ブーツ101のフランジ部103および104が吸着された状態から、図8に示すように、直動装置5を駆動して上側吸着部材13を矢印A1方向の所定の位置まで上昇させる。これにより、遮光ブーツ101の伸縮部102は伸長した状態となる。
【0045】この状態において、照明光源41から照明光を出力すると、導光ケーブル41および光案内部材43を通じてプリズムブロック44に照明光Lが入射する。プリズムブロック44に入射した照明光Lは、反射板45によって、遮光ブーツ101の中心軸に直交する方向に反射し、遮光ブーツ101の内周面を照らす。このとき、プリズムブロック44から照射された照明光Lは、遮光ブーツ101の内周面の一部のみを照らしている。この状態で、プリズムブロック44から照射された照明光Lの照射方向に遮光ブーツ101を介して配置されたCCDカメラ52により、遮光ブーツ101の伸縮部102の外側面の画像を撮像する。
【0046】CCDカメラ52により撮像される遮光ブーツ101の伸縮部102の外側面は、当該外側面の一部である。このため、上記の駆動モータ32を所定量回転させながら、遮光ブーツ101の伸縮部102の外側面の画像を繰り返し撮像する。すなわち、駆動モータ32を所定量回転させると、上側吸着部材13および下側吸着部材25が所定量回転するため、遮光ブーツ101も所定量回転する。一方、プリズムブロック44およびCCDカメラ52は、遮光ブーツ101が回転しても固定されたままなので、遮光ブーツ101の全周面の撮像が可能となる。
【0047】次いで、図9に示すように、上側吸着部材13および下側吸着部材25による遮光ブーツ101の吸着を停止する。すなわち、ポンプ61による空気の吸引を停止する。これにより、伸長状態にあった遮光ブーツ101は、自己復元力により、縮んだ状態に復帰する。この遮光ブーツ101を伸長機構部2から取り出す。
【0048】この状態から、切換弁62を切り換えて、ポンプ61から圧縮空気をロータリ継ぎ手14および保持部材23の流路23aに供給する。圧縮空気を供給すると、図10に示すように、上側吸着部材13の吸引孔13bおよび下側吸着部材25の吸引孔25bからは、圧縮空気が吹き出す。このように、遮光ブーツ101の画像データの取得を完了したのちに、上側吸着部材13の吸引孔13bおよび下側吸着部材25の吸引孔25bから圧縮空気を吹き出させることにより、吸引孔13bや吸引孔25bがゴミ等によって目詰まりするのを防ぐことができ、安定した吸着性能を維持することができる。
【0049】次に、画像処理装置51におけるCCDカメラ52によって撮像された遮光ブーツ101の画像データから遮光ブーツ101に存在するピンホール等の遮光欠陥の検出方法について図12に示すフローチャートに基づいて説明する。画像処理装置51では、図11に示すようなCCDカメラ52によって撮像された遮光ブーツ101の画像データGを画像処理して、各画素の明るさに基づいて階調処理する(ステップS1)。この階調処理は、各画素にその明るさに基づいて、0(最も暗い)〜255(最も明るい)の各階調値を付与する。すなわち、各画素に256階調の値を付与する。
【0050】次いで、図11(a)に示すように、階調処理された画像データGを所定の領域、たとえば、5mm角の分割領域gに分割する(ステップS2)。たとえば、図11(a)に示したように、画像データGのうちピンホールPHが存在する分割領域gnの各画素の階調値は、たとえば、図11(b)のようになる。
【0051】次いで、分割領域gの各画素に与えられた階調値が予め設定された設定階調値、たとえば、90以上となる画素を探し出す(ステップS3)。たとえば、図11(b)に示した分割領域gnについて、設定階調値90以上となる画素は、実線で囲んだ領域Rである。
【0052】次いで、図11(b)に示したような設定階調値を越える画素の各階調値を全て加算する(ステップS4)。この階調値の加算値を光漏れ量Lkとする。
【0053】次いで、算出した光漏れ量Lkと、予め設定された設定漏れ量Lk0 とを比較し、光漏れ量Lkが設定漏れ量Lk0 を越える場合には、領域Rにピンホールが存在すると判断する(ステップS5)。
【0054】遮光ブーツ101について得られた全ての画像データについて上記の処理を行うことにより、ピンホール等の遮光欠陥を検出することができる。
【0055】以上のように、本実施形態によれば、遮光ブーツ101の伸縮部102を伸長させる際に、フランジ部103,104を保持固定するために、上側吸着部材13の吸着面13aに形成した吸引孔13bおよび下側吸着部材25の吸着面25aに形成した吸引孔25bによって吸着する。フランジ部103,104は、容易に変形するシート状であり、フランジ部103,104を大きな力で吸着するとフランジ部103,104は大きく変形しやすく、安定した形状で欠陥検査を行うことが難しい。このため、本実施形態のように、細孔からなる吸引孔13b,25bによって吸着すると、各吸引孔13b,25bの吸引力は小さいのでフランジ部103,104が大きく変形することがない。
【0056】また、通常、フランジ部103,104の面積は非常に狭いので、上側吸着部材13の吸着面13aおよび下側吸着部材25の吸着面25aに正確に位置決めしないと、一部の吸引孔13b,25bがフランジ部103,104の平面内に位置しないこともある。本実施形態では、多数の吸引孔13b,25bを設けて、各吸引孔13b,25bの吸引力を小さくしているので、連なって配列された吸引孔13b,25bの一部がフランジ部103,104の平面内に収まっていなくても、全体としての吸着力に与える影響は小さく、吸着ミスの発生が少ない。
【0057】さらに、本実施形態では、吸引孔13b,25bをフランジ部103,104の輪郭形状に沿って配列しているため、フランジ部103,104の位置決め誤差による吸着ミスも発生しにくい。
【0058】また、本実施形態によれば、遮光ブーツ101の内側から照明光を当てて、遮光ブーツ101から漏れる光を遮光ブーツ101の外側で検出するため、漏れる光を検出するCCDカメラ52が寸法の制約を受けない。すなわち、遮光ブーツ101の外側から光を当て、遮光ブーツ101の内側で漏れる光を検出する構成とすると、遮光ブーツ101の内径は比較的小さいので、CCDカメラ52を用いることは困難である。本実施形態によれば、CCDカメラ52で撮像した画像データを画像処理することで、遮光ブーツ101に存在する遮光欠陥の検出を行うので、検出精度が高く、検出ミスを抑制することができる。また、本実施形態によれば、遮光欠陥の有無を検出するだけでなく、画像データから遮光欠陥の存在箇所も特定できるので、遮光欠陥の発生原因等を容易の把握することができる。なお、上述した実施形態では、CCDカメラ52によって得られた画像データの各画素の明るさに基づいて階調処理し、階調処理された画像データから設定階調値を越える画素の集まっている領域を抽出し、この領域の各画素の階調値を加算して当該加算値を光漏れ量とし、光漏れ量と予め設定された設定漏れ量とを比較してこの領域が欠陥かを判別する構成としたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、階調処理された画像データから設定階調値を越える画素数を計数し、この計数した画素数と予め設定された設定画素数とを比較することにより、遮光欠陥の存在の有無を判別する構成としてもよい。この場合には、遮光欠陥の存在場所の特定は難しいがより簡易な処理で遮光欠陥の検出が可能となる。
【0059】第2実施形態図13は、本発明の遮光ブーツの検査装置の第2の実施形態に係る伸長機構の構成を示す図であって、(a)は上側吸着部材の構造を示す断面図であり、(b)は下側吸着部材の構造を示す断面図である。本実施形態に係る伸長機構は、上側吸着部材201と下側吸着部材251とで構成される。
【0060】図13において、上側吸着部材201はその下面に、第1の実施形態で説明した遮光ブーツ101のフランジ部を吸着する吸着面201aを備えている。この吸着面201aには、吸引口202が形成されている。この吸引口202は、第1の実施形態と同様に、遮光ブーツ101のフランジ部の輪郭形状に沿って複数形成した細孔で構成することができ、あるいは、遮光ブーツ101のフランジ部の輪郭形状に沿って連続する溝で構成することも可能である。吸引口202は、上側吸着部材201の内部に形成された空気の連通路203に連通している。
【0061】上側吸着部材201の上側面201bには、圧縮空気を供給する第1の供給口204と、第2の供給口206とが形成されている。第1の供給口204は、空気の連通路203と上側吸着部材201の内部で連通しており、この第1の供給口204と連通路203との接続部には、ノズル205が設けられている。また、上側吸着部材201の下側面201bには、ノズル205と対向する位置に第1の供給口204の開口面積よりも大きい開口面積をもつ圧縮空気の排出口210が形成されており、この排出口210は第1の供給口204と連通している。上側吸着部材201の排出口210の出口には、円筒状の嵌合凹部207が形成されている。この嵌合凹部207は、第1の供給口204から供給される圧縮空気の流路を構成している。嵌合凹部207は、本発明の第1の嵌合部の一具体例に対応している。
【0062】上側吸着部材201の第2の供給口206は、上側吸着部材201の上側面201b側から下側面に貫通しており、この第2の供給口206の出口には円筒状の嵌合凹部208が形成されている。嵌合凹部208は本発明の第2の嵌合部の一具体例に対応している。
【0063】下側吸着部材251の上側面は、遮光ブーツ101の他方のフランジ部を吸着する吸着面251aを備えている。この吸着面251aには、吸引口252が形成されている。この吸引口252は、第1の実施形態と同様に、遮光ブーツ101のフランジ部の輪郭形状に沿って複数形成した細孔で構成することができ、あるいは、遮光ブーツ101のフランジ部の輪郭形状に沿って連続する溝で構成することも可能である。吸引口252は、下側吸着部材251の内部に形成された連通路253と連通している。
【0064】下側吸着部材251の上側面には、上側吸着部材201の嵌合凹部207と移動自在に嵌合する円柱面を有する嵌合凸部257が形成されており、嵌合凸部257の中心部には圧縮空気の流路260が形成されている。嵌合凸部257は本発明の第1の被嵌合部の一具体例に対応している。流路260は、下側吸着部材251の内部で連通路253と連通しており、この流路260と連通路253との接続部には、ノズル255が形成されている。
【0065】さらに、下側吸着部材251の上側面には、上側吸着部材201の嵌合凹部208と移動自在に嵌合する円柱状の嵌合凸部258が形成されている。嵌合凹部208と嵌合凸部258とはシリンダを構成している。嵌合凸部258は、本発明の第2の被嵌合部の一具体例に対応している。
【0066】下側吸着部材251の下側面には、ノズル255に対向する位置に圧縮空気の排出口254が形成されており、この排出口254と流路260とは連通している。また、下側吸着部材251の下側面251bから吸着面251aに貫通する通気孔256が形成されている。この通気孔256は、吸着面251aのうち吸引口252の形成領域の内側に形成されている。
【0067】次に、上記構成の伸長機構による遮光ブーツ101の伸長動作の一例について説明する。まず、図14に示すように、上側吸着部材201を下側吸着部材251の上方に離隔させた状態で、遮光ブーツ101を下側吸着部材251に対して所定の位置に装着する。遮光ブーツ101を下側吸着部材251に装着した状態では、下側吸着部材251の嵌合凸部257および嵌合凸部258が遮光ブーツ101によって囲まれた状態となり、また、遮光ブーツ101の下側のフランジ部104が吸引口252の形成位置に位置決めされる。
【0068】この状態から、図15に示すように、上側吸着部材201を下降させて、下側吸着部材251の嵌合凸部257および嵌合凸部258に上側吸着部材201の嵌合凹部207および嵌合凹部208をそれぞれ嵌合させ、上側吸着部材201を遮光ブーツ101上に置いた状態とする。この状態では、遮光ブーツ101の上側のフランジ部103が上側吸着部材201の吸引口202の形成位置に位置決めされる。
【0069】次いで、図16に示すように、第1の供給口204および第2の供給口206から圧縮空気CPを同時に供給する。第1の供給口204の圧縮空気CPが供給されると、圧縮空気CPは、ノズル205から流路260に向けて噴出する。流路260に噴出された圧縮空気CPは、ノズル255から噴出して排出口254から外部に排出される。
【0070】このとき、圧縮空気CPがノズル205から噴出すると、連通路203に点線矢印で示す方向の吸引圧力SPが発生する。すなわち、連通路203は、吸引口202に吸引力を発生させる。この吸引圧力SPにより、吸引口202には遮光ブーツ101の上側のフランジ部103を吸引する吸引力が発生し、フランジ部103は吸着面201aに吸着される。
【0071】また、圧縮空気CPがノズル255から噴出したときに、連通路253には点線矢印で示す方向の吸引圧力SPが発生する。すなわち、連通路253は、吸引口252に吸引力を発生させる。この吸引圧力SPにより、吸引口252には遮光ブーツ101の下側のフランジ部104を吸引する吸引力が発生し、フランジ部104は吸着面251aに吸着される。
【0072】第2の供給口204の圧縮空気CPが供給されると、圧縮空気CPは、嵌合凸部258と嵌合凹部208とで形成される空間の圧力が上昇し、この圧力により上側吸着部材201を矢印Aの鉛直方向上向きに上昇させる力として作用する。
【0073】一方、上側吸着部材201が上昇すると、遮光ブーツ101の伸縮部102が伸長しようとするため、下側吸着部材251に形成された通気孔256には、点線矢印で示す向きの吸引圧力が発生し、通気孔256を通じて大気が流入する。通気孔256を通じて大気が流入すると、遮光ブーツ101の伸縮部102が伸長しても遮光ブーツ101の内部と外部とで圧力が等しくなり、遮光ブーツ101が変形することがない。
【0074】第1の供給口204および第2の供給口206から圧縮空気CPの供給を続けると、図17に示すように、遮光ブーツ101の伸縮部102が伸長する。第1の供給口204および第2の供給口206から圧縮空気CPの圧力を定説な値で一定に維持すると、上側吸着部材201が一定位置に上昇した状態が維持され、自然にバランスした状態が保たれる。
【0075】この状態において、遮光ブーツ101の伸縮部102に存在する遮光欠陥を検出する。遮光欠陥を検出は、目視で行うことができるが、遮光ブーツ101内に光量検出器を設置し、遮光ブーツ101の伸縮部102の外周から照明光を当てて、遮光ブーツ101の内部に漏れた光の光量を検出することにより、遮光欠陥の有無を検出することができる。
【0076】以上のように、本実施形態によれば、遮光ブーツ101を伸長させるのに、第1の供給口204および第2の供給口206から圧縮空気CPを供給しただけで、遮光ブーツ101のフランジ部103,104の吸着保持および伸縮部102の伸長動作を共に行うことができる。このため、遮光ブーツ101を伸長させる伸長機構の構成を簡素化でき、製造コストを低減させることができる。また、本実施形態によれば、遮光ブーツ101の伸縮部102の伸長量を第1の供給口204および第2の供給口206から供給する圧縮空気CPの圧力および流量を調整することで任意に設定することができる。
【0077】なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した第1の実施形態では、遮光ブーツ101を伸長させた状態で遮光欠陥の検出を行う構成としたが、遮光ブーツ101を伸長させない状態で行うことも可能である。また、上述した各実施形態では、本発明の薄肉ブーツとして遮光機能を有する遮光ブーツ101の場合について説明したが、遮光ブーツ101に限らず、変形しやすい薄肉ブーツの欠陥検査に適用することができる。また、上述した第2の実施形態では、ノズル205およびノズル255を設ける構成としたが、ノズル205およびノズル255を設けなくても吸引口202および252に吸引力を発生することができるが、ノズル205およびノズル255を設けたほうが吸引力を効果的に発生させることができる。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、遮光ブーツ等の薄肉ブーツを伸長させた状態を安定的に保持できる。また、本発明によれば、薄肉ブーツに存在する欠陥を確実かつ効率的に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検査装置によって検査される遮光ブーツの一例を示す側面図である。
【図2】図1の遮光ブーツの一端部に形成されたフランジ部の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遮光ブーツの検査装置の構成図である。
【図4】プリズムブロック44および光導光部材43の構造を示す図である。
【図5】遮光ブーツの検査装置1の下側吸着部材25の吸着面25aの構成の一例を示す図である。
【図6】遮光ブーツの検査装置1の動作を説明するための図である。
【図7】図6に続く動作を説明するための図である。
【図8】図7に続く動作を説明するための図である。
【図9】図8に続く動作を説明するための図である。
【図10】図9に続く動作を説明するための図である。
【図11】画像処理装置61における画像処理を説明するための図である。
【図12】画像処理装置51による遮光ブーツ101に存在するピンホール等の遮光欠陥の検出方法を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る伸長機構の構成を示す図である。
【図14】図13の伸長機構を用いた遮光ブーツの伸長動作を説明するための図である。
【図15】図14に続く動作を説明するための図である。
【図16】図15に続く動作を説明するための図である。
【図17】図16に続く動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1…遮光ブーツの検査装置
2…伸長機構部
11…上側吸着部
13…上側吸着部材
21…下側吸着部
25…下側吸着部材
32…駆動モータ
35…回転軸
38…可動部
41…照明光源
42…導光ケーブル
43…光案内部材
44…プリズムブロック
45…反射板
51…画像処理装置
61…ポンプ
62…切換弁
101…遮光ブーツ
201…上側吸着部
202…吸引口
204…第1の供給口
206…第2の供給口
207、208…嵌合凹部
251…下側吸着部
252…吸引口
253…連通路
254…排出口
256…通気孔
257、258…嵌合凸部
260…流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】蛇腹形状に成形された伸縮部を備えた薄肉ブーツに存在する欠陥の有無を前記伸縮部を伸長機構により伸長させた状態で検査する検査装置であって、前記伸長機構は、前記伸縮部の両端部に形成されたフランジ部の一方を吸着する吸着面を備えた第1の吸着部材と、前記フランジ部の他方を吸着する吸着面を備えた第2の吸着部材と、前記第1の吸着部材の吸着面と前記第2の吸着部材の吸着面との前記薄肉ブーツの伸縮方向の相対距離を変更する移動手段と、を有し、前記第1および第2の吸着部材の吸着面には、前記フランジ部のフランジ面の輪郭形状に沿って配列された複数の吸引孔が形成されている薄肉ブーツの検査装置。
【請求項2】前記第1および第2の吸着部材の少なくとも一方は、前記薄肉ブーツを吸着した状態で当該薄肉ブーツ内部の圧力を薄肉ブーツ外部の圧力に等しくさせる通気孔を備える請求項1に記載の薄肉ブーツの検査装置。
【請求項3】蛇腹形状に成形された伸縮部を備えた薄肉ブーツに存在する欠陥の有無を前記伸縮部を伸長機構により伸長させた状態で検査する検査装置であって、前記伸長機構は、前記伸縮部の両端部に形成されたフランジ部の一方を吸着する第1の吸引口が形成された吸着面を備えた第1の吸着部材と、前記フランジ部の他方を吸着する第2の吸引口が形成された吸着面を備え、前記第1の吸着部材と前記薄肉ブーツの伸縮方向に移動自在に嵌合する第2の吸着部材と、を有し、前記第1の吸着部材は、圧縮空気が供給される第1および第2の供給口と、前記第1の供給口から供給された圧縮空気の流路と前記第1の吸引口とを連通し当該第1の吸引口に吸引力を発生させる連通路と、前記第1の供給口から供給された圧縮空気を前記第2の吸着部材に導く流路が形成された第1の嵌合部と、前記第2の供給口を通じて前記圧縮空気が供給される第2の嵌合部と、を備えており、前記第2の吸着部材は、前記第1の嵌合部に形成された流路に連通する流路が形成され、当該第1の嵌合部に移動自在に嵌合する第1の被嵌合部と、前記第1の被嵌合部に形成された流路に連通し、当該流路に供給された前記圧縮空気を外部に排出する排出口と、前記排出口に向かう前記圧縮空気の流路と前記第2の吸引口とを連通し当該第2の吸引口に吸引力を発生させる連通路と、前記第2の嵌合部に移動自在に嵌合し、当該第2の嵌合部との間に前記圧縮空気が供給される空間を形成する第2の被嵌合部と、を備えている薄肉ブーツの検査装置。
【請求項4】前記第1および第2の吸着部材の少なくとも一方は、前記薄肉ブーツを吸着した状態で当該薄肉ブーツ内部の圧力を薄肉ブーツ外部の圧力に等しくさせる通気孔を備える請求項3に記載の薄肉ブーツの検査装置。
【請求項5】蛇腹形状に成形された伸縮部を備えた薄肉ブーツに存在する欠陥の有無を検査する検査装置であって、前記伸縮部に照明光を照射する照明手段と、前記伸縮部の前記照明光の非照射面側の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像した画像データに所定の処理を施して、当該画像データから前記伸縮部に存在する欠陥を抽出する画像処理手段とを有する薄肉ブーツの検査装置。
【請求項6】前記伸縮部の両端部に形成されたフランジ部を吸着保持し、かつ、当該伸縮部を伸長させて伸長状態を保持する伸長機構をさらに有する請求項5に記載の薄肉ブーツの検査装置。
【請求項7】前記照明手段は、前記薄肉ブーツの伸縮部の内周面に前記照明光を照射し、前記撮像手段は、前記薄肉ブーツの伸縮部の外周面の画像を撮像する請求項5または6に記載の薄肉ブーツの検査装置。
【請求項8】前記照明手段は、前記照明光を出力する光源と、前記光源からの照明光を前記薄肉ブーツの中心軸方向に導く導光手段と、前記導光手段によって導かれた照明光を反射して前記薄肉ブーツの伸縮部の内周面に向けて照射する反射手段とを有する請求項7に記載の薄肉ブーツの検査装置。
【請求項9】前記伸長機構は、伸長状態にある前記薄肉ブーツを回転させて前記撮像手段に対する被撮像領域を変更する回転手段をさらに有する請求項7または8に記載の薄肉ブーツの検査装置。
【請求項10】前記画像処理手段は、前記撮像手段によって得られた画像データの各画素の明るさに基づいて階調処理し、階調処理された画像データから設定階調値を越える画素の集まっている領域を抽出し、前記領域の各画素の階調値を加算して当該加算値を光漏れ量とし、前記光漏れ量と予め設定された設定漏れ量とを比較して前記領域が欠陥かを判別する請求項5〜9のいずれかに記載の薄肉ブーツの検査装置。
【請求項11】前記伸長機構は、前記フランジ部の一方を吸着する吸着面を備えた第1の吸着部材と、前記フランジ部の他方を吸着する吸着面を備えた第2の吸着部材と、前記第1の吸着部材の吸着面と前記第2の吸着部材の吸着面との前記薄肉ブーツの伸縮方向の相対距離を変更する移動手段と、を有し、前記第1および第2の吸着部材の吸着面には、前記フランジ部のフランジ面の輪郭形状に沿って配列された複数の吸引孔が形成されている請求項6〜10のいずれかに記載の薄肉ブーツの検査装置。

【図1】
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【図10】
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【図15】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2001−305068(P2001−305068A)
【公開日】平成13年10月31日(2001.10.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−126250(P2000−126250)
【出願日】平成12年4月20日(2000.4.20)
【出願人】(000004385)エヌオーケー株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】