薄膜内の元素の非破壊分布プロファイリングの方法及びシステム
【課題】薄い膜又は極薄の膜に堆積される1つ又は複数の元素の深さ分布情報を抽出する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】薄膜内の元素の分布プロフィールを判断する方法。本方法は、第1の薄膜に堆積した元素の電子エネルギを励起する段階、電子エネルギに関連する第1のスペクトルを取得する段階、及び第1のスペクトルから背景スペクトルを除去する段階を含む。背景値を除去すると、処理スペクトルが生成される。本方法は、更に、第1の薄膜に同等の薄膜内の元素に対する既知の模擬分布プロフィールを備えた模擬スペクトルに処理スペクトルを適合させる段階を含む。第1の薄膜内の元素に対する分布プロフィールは、模擬スペクトルの組から選択された模擬スペクトルに処理スペクトルを適合させるこの段階に基づいて取得される。
【解決手段】薄膜内の元素の分布プロフィールを判断する方法。本方法は、第1の薄膜に堆積した元素の電子エネルギを励起する段階、電子エネルギに関連する第1のスペクトルを取得する段階、及び第1のスペクトルから背景スペクトルを除去する段階を含む。背景値を除去すると、処理スペクトルが生成される。本方法は、更に、第1の薄膜に同等の薄膜内の元素に対する既知の模擬分布プロフィールを備えた模擬スペクトルに処理スペクトルを適合させる段階を含む。第1の薄膜内の元素に対する分布プロフィールは、模擬スペクトルの組から選択された模擬スペクトルに処理スペクトルを適合させるこの段階に基づいて取得される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、代理人整理番号007029.P029Zを有し、2005年7月11日出願の米国特許仮出願出願番号第60/698、367号に関し、かつその恩典及びそれに対する優先権を請求するものである。
【0002】
本発明の実施形態は、薄い膜又は極薄の膜に堆積される1つ又は複数の元素の深さ分布情報を抽出する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの異なる種類の素子を製造するには、サンプルの組成の分析が必要である。サンプルの組成は、薄い膜中の元素及び/又は化学種の濃度である。組成分析が必要であると思われるサンプルの例は、半導体集積回路素子に形成されたゲート酸化物薄膜である。半導体素子の集積回路チップの密度が増大し、素子の寸法が減少し続けると、サンプル分析は、益々困難で複雑になる。
【0004】
例えば、半導体素子の製造における近年の発達により、浅いインプラント及び/又は他の極薄構造を用いる場合がある。1つの特定の例では、ゲート酸化物層は、典型的に厚み約10ナノメートル未満の非常に薄い膜になる。このような薄い膜は、特性を判断するのが困難である。このような構造は、従来の特徴付け技術よりも感度が優れた特徴付け技術を必要とすることになる。更に、このような技術は、特徴付けを十分な速度で行うことを要求するであろう。
【0005】
このような材料中の微量及び/又は主要成分を表面分析するために様々な技術が用いられている。例えば、このような方法のいくつかには、2次イオン質量分析法(SIMS)、X線光電子分光法(XPS)(化学的分析のための電子分光法(ESCA)としても公知)、及びオージェ電子分光法(AES)が含まれる。このような技術は、材料の表面近くの領域に感受性がある。しかし、これらの技術は、深さプロファイリングによる表面下の深さの関数としての材料特性の測定を可能にしない。
【0006】
典型的な深さプロファイリング処理では、例えば、連続又は周期的イオンビームスパッタリングにより、サンプルの表面から材料を除去し、更に別の測定及び/又は分析のためにサンプルの1つ又はそれよりも多くの様々な深さで徐々により深い部分の材料を露出させる。公知のスパッタ速度を用いて、表面測定が完了される深さを判断することができる。従って、表面下の深さの関数としてのサンプルの特徴付けは、SIMS、XPS、又はAESを用いて達成することができる。
【0007】
薄い膜の特性を判断するための上述の技術の多くは、侵襲的技術であり、例えば、サンプルの少なくとも1つ又はそれよりも多くの部分を破壊する段階が含まれる。このような技術、例えば、深さプロファイリング中に材料を除去する段階を含むものは、多くの状況、例えば、研究及び開発、製品試験等では十分なものであるが、生産工程で必要であるような薄い膜を迅速に分析する機能を提供しない。例えば、このような生産工程では、形成されている薄い膜は、典型的には、このような薄膜の侵襲的特徴付けによって製品を失うことなく生産管理、製品試験等に分析情報を用いることができるように分析されることが必要である。
【0008】
【特許文献1】米国特許仮出願出願番号第60/698、367号
【特許文献2】米国特許第5、315、113号
【特許文献3】米国特許第3、772、522号
【特許文献4】米国特許第4、048、498号
【特許文献5】米国特許第3、766、381号
【特許文献6】米国特許第4、810、880号
【特許文献7】米国特許出願第11/118、035号
【発明の開示】
【0009】
本発明の実施形態は、超小型電子構造を検査する方法及びシステムに関し、より詳細には、光電子分光法を用いて薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素の深さ分布を検出するためのシステム及び非破壊的方法に関する。
【0010】
また、本発明の実施形態は、超小型電子構造を検査する方法及びシステムに関し、より詳細には、光電子分光法を用いて薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素の分布の重心を検出するためのシステム及び非破壊的方法に関する。
【0011】
また、本発明の実施形態は、薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素を加工及び/又は製造する工程を設計及び/又はモニタする方法に関する。材料の正確な製造制御は、1つ又はそれよりも多くの信頼できる制御パラメータが利用可能である時だけに行うことができる。工程設計、モニタリング、及び制御の際の制御パラメータとして、深さ分布で判断された重心(薄膜/層中で考慮中の元素の質量分布の中心の深さ)と重心及び層の厚みの比率とを用いることができる。このようなパラメータは、特定の薄膜上に加工/製造した素子の電気的特性を正確に予想するものである。例えば、SiON薄膜に対しては、トランジスタ設計では、元素深さ分布で判断された重心と重心及び薄膜の厚みの比率とは、駆動電流、電荷移動度、及び閾値電圧に相関する。更に、判断された重心を用いて、従来の光電子分光法(例えば、XPS測定)により測定される標準用量に適用することができる薄膜内の元素の用量の補正値を計算することができ、それにより用量と電気パラメータの間の相関関係が改善される。所定の元素の用量を用いて、EOT(酸化膜換算膜厚)を予想することができ、従って、工程制御に漏れ電流を用いることができる。用量のXPS測定の精度は、重心情報を用いて有意に改善することができる。
【0012】
光電子分光測定システムでは、電子は、励起の何らかの手段により(例えば、サンプルを所定の元素軌道に対するイオン化エネルギよりも高いエネルギの光子流で照射することにより)特徴的元素からイオン化される。そのエネルギの関数として検出器内でサンプルの表面をある一定の立体角以下で離れるイオン化電子の数を数える。
【0013】
所定の元素軌道からイオン化された電子(電子化学種)は、それが放出されるイオン化原子(内因性損失)、薄膜格子内の原子(バルク散乱)、及び界面での原子(表面散乱)の非弾性散乱相互作用によりエネルギが失われることになるために、広いエネルギ範囲にわたって検出されることになる。
【0014】
バルク及び表面散乱を説明する電子輸送のモデル、並びにその初期エネルギ分布(固有スペクトル)が分った状態で所定の化学種により放出される光電子のエネルギスペクトルを模擬する技術は、数人の著者により開発されて公開されている。
【0015】
光電子エネルギスペクトルは、異なる深さ分布で異なる元素から放出されるいくつかの電子化学種のスペクトルの重ね合わせを含む。各化学種によるエネルギ損失の量は、薄膜内で光電子がどれだけ長く進むかに依存し、すなわち、光電子の発生源の深さに依存する。理論的には、薄膜内の単一の元素の深さ分布が与えられると、固有スペクトル(原子を去る光電子のエネルギ分布)は、測定したエネルギスペクトルからバルク及び表面非弾性散乱の寄与を引くことによってこのような元素の各単一の化学種により放出される光電子のエネルギスペクトルから導出することができる。実際には、測定したスペクトルは、いくつかの元素及びそのいくつかの化学種の重ね合わせを含み、それらがスペクトル中で重ね合わされると、複数の化学種の固有スペクトルを容易に抽出するのに利用可能な数学的方法はない。
【0016】
本発明の一般的な1つの態様では、スペクトルを分析して1つ又はそれよりも多くの化学種のスペクトルの寄与を分離するいくつかの方法(前処理スペクトル)が提供される。
【0017】
本発明の一実施形態は、初期の放出運動エネルギが第1の化学種の運動エネルギよりも大きい異なる化学種から放出される信号(背景スペクトル)と異なる第1の化学種により放出される信号(信号スペクトル)を単離する方法に関する。異なる化学種により放出される光電子は、非弾性散乱によりエネルギを失うことになり、第1の化学種からの光電子と同じ範囲で検出されることになる。従って、検出スペクトルは、背景スペクトル及び信号スペクトルの合計である。
【0018】
本発明の実施形態は、背景スペクトルの独立な測定値を得ることにより、例えば、分析される元素を含まない関連のサンプルと同じバルク/表面特性のサンプル(背景サンプル)に関する光電子スペクトルを収集することにより背景スペクトルを測定スペクトルから引く段階に関する。
【0019】
多くの場合、このような背景サンプルは、容易には利用可能でない。本発明の一実施形態は、1つ又はそれよりも多くの定義パラメータ(厚み、密度・・・)により異なる薄膜に関するいくつかの背景スペクトルを収集して保存する方法に関する。背景スペクトルは、各背景サンプルの間の差(厚み、密度・・・の差)を示すパラメータ空間でこれらのスペクトルの間を補間することによって特定のサンプルのための適切な背景を再構成するのに用いられる。
【0020】
本発明の別の実施形態は、電子輸送理論を用いて主原理から適切な背景スペクトルを再構成する方法に関する。バルク薄膜が構成される背景元素の殆どは、既知又は均一な深さ分布である。従って、高放出運動エネルギの各化学種の固有スペクトルが既知の場合には、全背景スペクトルを再構成して正規化し、これを減算して、未知の深さ分布の化学種により放出される光電子のスペクトルを分離することができる。
【0021】
本発明の一実施形態は、既知の深さ分布の基準ウェーハの組を用いて、複数の化学種のための固有スペクトルを得る方法に関する。本方法は、元素深さ分布が既知の薄膜から光電子エネルギ信号を励起して取得する段階と、強度スペクトルを取得する段階とを含む。強度スペクトルは、運動エネルギ領域(小領域)に細分され、各領域は、同じ元素(同じ深さ分布)の1つ又はそれよりも多くの化学種の放出エネルギピーク/各ピークを含み、各領域は、放出エネルギよりも下の少なくとも最初の20〜40eVまで延びている。各化学種の固有スペクトルは、各エネルギ小領域に対して判断される。固有スペクトルの判断は、最も高い運動エネルギの小領域(初期領域)で開始される。初期領域は、イオン化エネルギが小さい化学種により放出される放射線を含む。この化学種のエネルギスペクトルは、分析する前に背景を減算する必要がない(固定/線形オフセットとして近似することができる迷放射線を除く)。従って、エネルギ部分範囲でのこの化学種に対する固有関数は、あらゆる利用可能な逆畳み込み積分技術(フーリエ変換に基づく逆変換、回帰方法・・・)を用いて抽出することができる。固有関数は、次に、この化学種の全エネルギ領域に外挿される。外挿は、妥当な範囲内でゼロになり、観察と適合する薄膜内の他の化学種を分析するために背景スペクトルを生成するという物理的要件を満たす限り、あらゆる任意の関数の形、例えば、単純多項式当て嵌め又は指数関数を選択することによって実行することができる。次に、最高運動エネルギの化学種の固有関数を用いて、全エネルギ範囲で模擬したスペクトルを再生する。再生したスペクトルは、2番目に高い放出運動エネルギ化学種に対する背景スペクトルであり、従って、測定したスペクトルからこれを引いて処理スペクトルが得られることになる。この処理スペクトルでは、2番目に高い運動エネルギの範囲で放出される化学種は、第1の化学種に対して行ったのと同様に分析することができる。
【0022】
また、本発明の実施形態は、薄膜内の元素に対する分布プロフィールを判断する方法に関する。本方法は、第1の薄膜から光電子エネルギ信号を励起して取得する段階と、電子エネルギに関連する第1の強度スペクトルを取得する段階と、第1のスペクトルから背景スペクトルを除去する段階とを含む。背景スペクトルは、上述したもの、並びに本明細書に説明した方法のいずれかで得ることができる。背景スペクトルを除去すると、処理スペクトルが生成される。本方法は、利用可能な情報のみを捕捉する深さ分布のためのパラメータ化を選択する段階を更に含む。利用可能な情報の意味は、次のように説明することができる。深さ分布は、分布モーメント(重心=第1のモーメント、幅=第2のモーメント、非対称性=第3のモーメント、等)により一意的に識別することができる。非弾性的に散乱した信号は、各々分布モーメントを掛けた深さと非弾性平均自由行程との間の比率の関数として振幅が減少する条件の和として表現することができる。望ましい反復性を有する所定の次数の分布モーメントの検出は、S/N比に依存する。検出するモーメントの次数が高くなれば、良好な信号対ノイズ(S/N)を必要とすることになる。例えば、第1の薄膜内の所定の元素に対しては、S/Nレベルは、第1のモーメント(重心)のみを望ましい反復性で検出することを可能にすることができ、第2の薄膜の元素に対しては、S/Nは、複数の次元の深さ分布を検出することができるようなものである。一実施形態では、深さ分布のパラメータ化は、第1の薄膜に対して、固定形状の分布及び可変重心で選択される。真の深さ分布と簡略化されたものとの間の信号の差は、ノイズに埋没することになり、従って、信号に寄与することにはならない。本発明の一実施形態では、深さ分布のパラメータ化は、適切に選択したパラメータ表示の組から成ることになる。一実施形態では、一様な分布(均一な薄膜)は、ステップ関数の幅で識別され、ピーク様分布は、最大の深さ及び曲線の幅により識別される。一実施形態では、ガウス形分布が、最初の2つのモーメントである幅及び重心を検出するのに用いられる。深さ分布のパラメータ化が選択された状態で、処理スペクトルとパラメータの関数としての模擬スペクトルとの間の差を最小にして深さ分布を見出す。一実施形態では、電子輸送モデル及び仮定深さ分布を用いて模擬スペクトルを得る。次に、シンプレックス法、レーベンバーグ・マルカート法、又は予め計算したエネルギスペクトルのデータベースで最も適合するものの検索のような従来の最小化アルゴリズムを用いて最小化を行う。最小化の結果、薄膜内の元素に対する分布プロフィールに関する情報が生成される。
【0023】
また、本発明の実施形態は、薄膜内の元素に対する分布プロフィールを判断する方法に関する。本方法は、第1の薄膜から光電子エネルギ信号を励起して取得する段階と、電子エネルギに関連する第1の強度スペクトルを取得する段階と、第1のスペクトルから背景スペクトルを除去する段階とを含む。背景スペクトルは、従来の及び本明細書に説明する方法のいずれかで得ることができる。背景スペクトルを除去する段階で処理スペクトルが生成される。本方法は、考慮中の元素の深さ分布をパラメータ化する段階と、化学種に対して独立に測定した固有スペクトルと深さ分布パラメータの関数として処理スペクトルから導かれた固有スペクトルとの間の差を最小にする段階とを更に含む。シンプレックス法、レーベンバーグ・マルカート法、又は予め計算したエネルギスペクトルのデータベースで最も適合するものの検索のような従来の最小化アルゴリズムを用いて最小化を行うことができる。最小にした結果として、第1の薄膜内の元素に対する分布プロフィールが得られる。
【0024】
一実施形態では、分布プロフィールから元素に対する重心が判断される。薄膜内の元素の重心は、薄膜内の元素の濃度の質量中心の深さである。薄膜の物理特性の殆どは、重心の知識により判断することができる。本発明の1つの態様では、重心の値を用いて、薄膜上又は薄膜内に製造された素子の電気特性が予想され、及び/又は素子の製造工程が制御又はモニタされる。
【0025】
また、本発明の実施形態は、実時間で既知の分布プロフィールによってモデル化スペクトルを模擬する方法を提供する。例えば、モンテカルロ法又は他の適切な方法を用いて、統計係数(電子輸送理論では「部分強度−PI」係数として公知である)、所定の化学種の深さ分布特性、及び散乱過程(弾性及び非弾性)を予め計算することができる。PI係数は、まばらな組の深さ分布に対して予め計算され、PI係数データベースに保存される。このような組のPI係数は、関連する深さ分布を定めるパラメータに応じてデータベースに整然とまとめることができる。いくつかの内挿技術、例えば、N次元線形又は高次多項式内挿法を用いてPIを内挿することができる。任意の深さ分布に伴うスペクトルを実時間で模擬する間に、予め計算したPI係数を深さ分布を表現するパラメータ空間に内挿することによって適切なPI係数が見出される。次に、内挿したPI係数を用いて、模擬したスペクトル(例えば、背景スペクトル又は関連の元素に関する信号スペクトル)として用いられるか、又は固有スペクトルを得るために処理スペクトルから引くことができる散乱の寄与を(上述のように)再構成するのに用いられるスペクトルを再構成する。まばらな組の深さ分布に伴う全スペクトルが保存されている場合は同じ種類の内挿法計画を行うことができるが、その場合は、データベースに遥かに大きい保存メモリを必要とすることになる。
【0026】
本発明の別の態様では、元素深さ分布の重心を同じ元素の複数の化学種の減衰から直接抽出する方法を説明する。
【0027】
本発明の別の態様では、サンプル薄膜内の元素に対して分布プロフィール重心を判断する方法が提供される。本方法は、薄膜内の同じ元素の2つの化学種から光電子エネルギ信号を励起して取得する段階と、光電子信号に対して強度比を取得する段階(例えば、SiON中の窒素に対しては、N1s光電子及びNKLLオージェ光電子が獲得される)とを含む。特定の元素(例えば、窒素)の既知の重心の1組のサンプルに対して1組の信号強度の比を得て較正関数を生成する。測定したサンプル薄膜の信号強度の比は、較正関数に相関させ、元素に対する分布プロフィールの重心を判断する。薄膜内の元素の重心は、薄膜内の元素の濃度の質量中心の深さである。薄膜の物理特性の殆どは、重心値を用いることによって判断することができる。本発明の1つの態様では、重心値を用いて薄膜内又は薄膜上に製造された素子の電気特性を予想し、及び/又は素子の製造工程を制御/モニタする。
【0028】
また、深さ分布情報は、例えばARXPSを用いて、異なる放出角度で収集した非散乱電子の強度の減衰から抽出することができる。文献に説明する方法は、深さzで放出されて放出角度θで収集される非散乱電子は、因子:
【0029】
【数1】
【0030】
により減衰されるという仮定に基づいている。粗な深さ分布は、θの関数として測定された減衰と考慮中の元素に対する深さ分布を仮定する期待減衰との間の差を最適化することにより、すなわち、測定した減衰:
【0031】
【数2】
【0032】
を元素深さ分布N(z)の関数として最小にすることによって見出すことができる。このような測定は、全ての電子が材料/真空界面を横切る減衰の角度依存を無視することから生じる系統的な誤差により、及び弾性散乱による角度分散を無視することによって導入される系統的な誤差により影響を受ける。
【0033】
本発明の一実施形態では、本出願人は、様々な収集角度で電子スペクトルを収集し、逆畳み込み技術(例えば、高速フーリエ変換逆畳み込み又はウィーナー博士の逆畳み込み定理等の1つ又はそれよりも多くの技術を用いることができる)を用いてスペクトルからの表面散乱の寄与を排除することによってデータを予備処理し、最小化の前に界面交差による系統的誤差を減算する方法を請求する。考慮中の元素の深さ分布が典型的な弾性散乱長さまで延びるように巧みに処理したサンプルに対しては、結果の精度を改善するために弾性散乱効果を含む予備処理した信号を分析することができる。これは、減衰をモデル化する時に弾性散乱効果を含むことによって為される。角度の関数として測定した減衰と弾性散乱効果を含むモンテカルロシミュレーションにより所定の深さ分布に対して予想される減衰との間の差は、仮定した深さ分布の関数として最小にされる。モンテカルロシミュレーションの最小化速度に対する影響は、上述のように深さ分布をパラメータ化し、パラメータのまばらな組に対して角度の関数として減衰を予め計算し、データベースに保存することによって軽減することができる。特定の深さ分布に必要とされる減衰値は、データベース内挿法により得ることができる。
【0034】
本発明の一部の実施形態では、期待信号を特に測定することもそれを生成させることもなく期待信号を得る技術として、1組の予め測定するか又は予め計算されたスペクトルから内挿法により信号を導出する実施形態を説明した。最小化処理中に生成される信号は、専ら性能指数を計算するのに用いられる。性能指数は、通常は、測定信号と模擬信号の間の差を定量化する単一の数であると定められ、例えば、「平均二乗誤差」は、以下のように定義される。
【0035】
【数3】
【0036】
最小化の問題を解決する別の方法は、最初に、まばらなデータベースに含まれる全ての予め計算された模擬スペクトルに伴う性能指数を予め計算することである(スパース性能指数)。スパース性能指数の予め計算された各値は、深さ分布を一意的に定める1組のパラメータに関連する。スパース性能指数を細かく内挿して、性能指数表面を生成することができる。深さ分布パラメータ空間の表面の最小値は、多くの最小値を探す方法、すなわち、根を判断する方法又は最急降下法の1つにより容易に見出すことができる。その表面の最小値は、関連の元素に対する深さ分布プロフィールを定める。
【0037】
他の実施形態も説明する。本発明の他の特徴及び利点は、一例として本発明の原理を示す添付の図面と共に解釈すると以下の詳細説明から明らかになるであろう。
【0038】
本発明の実施形態は、同じ参照番号が同じ要素を示す添付図面に例示的に示されており、制限するために示すものではない。本発明は、以下の説明及び本発明の実施形態を示すのに用いられる添付図面を参照すると最も良く理解することができる。本発明の開示において、本発明の「実施形態」又は「一実施形態」に言及する時は、必ずしも同じ実施形態である必要はなく、少なくとも1つを意味することに注意すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
例示的な実施形態は、特定の構成及び技術を参照して説明される。特許請求の範囲に留まったままで様々な変形及び修正が作られることは、当業者には認められるであろう。更に、公知の要素、装置、構成要素、回路、及び処理段階等は、詳細には述べない。
【0040】
本発明の実施形態は、薄い膜又は極薄の膜中に堆積した1つ又は複数の元素の深さ分布情報及び/又は重心値を抽出する方法及びシステムに関する。このような薄膜の膜厚は、20nm未満であり、多くの場合10nm未満、更には2nm未満とされることになる。本発明の実施形態は、厚みが約20nm又はそれよりも大きい薄膜の分析にも同様に利用可能であると予想される。本発明の一般的な1つの態様では、薄膜内の元素に対する深さ分布プロフィールが判断される。最初に、サンプル表面の垂線方向に対して1つ又はそれよりも多くの角度で収集された1つ又はそれよりも多くの測定エネルギスペクトル(又は測定エネルギ信号)が収集される。第2に、薄膜内の元素に対して得られる測定エネルギスペクトルの背景を測定エネルギスペクトルから差し引く。用いる背景情報は、選択した組の背景スペクトルを用いて内挿法により得られる。一実施形態では、測定エネルギスペクトルは、X線光電子分光法(XPS)のような光電子分光法システムを用いて得られる。背景を除去した測定エネルギスペクトルは、元素に対する処理エネルギスペクトルと呼ばれる。次に、処理エネルギスペクトルは、モデル化又は模擬したエネルギスペクトル又はエネルギ信号に適合させる。一実施形態では、最適化及び最小化の方法を行い、処理スペクトルを元素に対する分布プロフィールを定める選択パラメータに応じて模擬したスペクトルに適合させる。処理スペクトルと特定の模擬したスペクトルとの間の差が最も小さい時、特定の模擬したスペクトルに関するパラメータによって薄膜内の元素に対する分布プロフィールが得られる。
【0041】
本発明の別の一般的な態様では、元素の深さ分布に対する重心値は、異なる運動エネルギであるが同じ元素(例えば、SiONでは、N1s光電子及びNKLLオージェ光電子の窒素)の放出信号を起源とする信号強度の比率を用いることによって判断される。同じ元素(異なる化学種)であることによる異なる放出線は、異なる運動エネルギを有することになる。異なる運動エネルギを有するために、各化学種からの電子は、薄膜層を交差する時に異なる減衰を受けることになる。電子のエネルギが高ければ、材料を通過する時に低エネルギ電子よりも小さい減衰を受けることになる。例えば、例示的な元素として窒素を考えると、窒素のN1s化学種からの電子は、NKLL化学種からの電子よりも電子エネルギが高い。SiON薄膜内の窒素分布の重心は、N1s/NKLL強度の比率を用いて判断することができる。強度比は、それぞれN1s及びNKLL化学種に対して異なる放出エネルギで、異なる減衰長さλ(N1s)及びλ(NKLL)に依存する。信号が同じ元素で同じ深さ分布のものを起源とするとすれば、信号比は、薄膜の元素の重心に相関する。信号強度の比の組を特定の元素(例えば、窒素)に対する既知の重心の組に対して与え、較正関数を生成する。サンプル薄膜の信号強度の測定した比は、元素に対する分布プロフィールの重心を判断するための較正関数に相関する。
【0042】
この考察を通して、「元素」という用語は、特定の層又は基板の化学組成をいうのに用いることができる。更に、「元素」という用語は、特定の層又は基板に堆積した基本的化学種をいうのに用いることができる。例えば、酸化ハフニウム層は、ハフニウム及び酸素の元素を含み、シリコン酸窒化層は、シリコン、窒素、及び酸素の元素を含む。「電子化学種」又は「光電子化学種」とは、特徴的エネルギを有する電子を意味する。単一の元素は、いくつかの異なる電子化学種を放出することができる。例えば、シリコン基板は、異なる運動エネルギを有する2つの異なる特性電子を放出することができる。1つの電子は、シリコン原子の2p軌道から放出することができ、他の電子は、シリコン原子の2s殻から放出することができる。別の例では、シリコン酸窒化層は、異なる運動エネルギを有する窒素元素に対して2つの異なる特性電子を放出することができる。1つの電子は、窒素原子のN1s軌道から放出することができ、他の電子は、窒素原子のNKLL(オージェ領域)から放出することができる。以降、電子信号は、特定の電子化学種に属する電子の流れを意味する。例えば、「窒素N1s電子信号」は、窒素原子のN1s領域から放出される電子を含む。例えば、「窒素NKLL電子信号」は、窒素原子のオージェ領域又はNKLL領域から放出される電子を含む。以下に説明する実施形態の多くは、層に光子で衝撃を与えると放出される光電子又は電子に言及する。各基本的化学種は、1つ又はそれよりも多くの光電子化学種を放出することができ、これが、光電子信号を含むことができる。電子エネルギ信号は、単一の値を有することができ、スペクトル線で示すことができる。
【0043】
本明細書で用いる場合、特徴付け又は分析とは、分析するサンプルの1つ又はそれよりも多くの特性を判断することを意味する。例えば、特徴付けとは、サンプル又はその一部の分布プロファイリング又は深さプロファイリング、サンプル中の成分の濃度の判断、このような成分の分布、又はサンプルの1つ又はそれよりも多くの他の物理的又は化学的特性、例えば、領域の厚み、領域の結合状態、領域の元素及び化学的組成の判断をいうことができる。本発明は、サンプル薄膜の深さに対する成分(例えば、元素及び/又は化学種)の濃度又は用量を判断するのに特に有利である。
【0044】
この考察を通して、「分布プロフィール」という用語は、一般的に、薄膜に堆積した元素の堆積深さ、堆積プロフィール、堆積幅、及び重心値を意味する。分布の「重心値」又は「重心」は、以下のように定められる。
【0045】
【数4】
【0046】
ここで、N(Z)は、濃度深さ分布、
は深さである。従って、重心は、薄膜内の元素、例えば、SiON薄膜内の窒素の平均深さ、又は、元素の質量中心の深さである。「ドーパント」とは、一般的に、薄膜に堆積する元素(例えば、窒素)を意味する。「用量」とは、一般的に、薄膜中に堆積される元素又はドーパントの数又は濃度を意味する。
【0047】
図1〜図3は、本発明の1つ又はそれよりも多くの実施形態と共に用いることができる例示的な分析システムを示している。図1は、一般的に、サンプル1602の特徴付けに用いることができる例示的な分析システム1600の一実施形態を示している。分析システム1600は、様々な深さプロファイリング、重心判断、及び/又は本発明の実施形態による特徴付け処理の1つ又はそれよりも多くを行うために1つ又はそれよりも多くのプログラム1606の制御下で作動可能な処理システム1604(例えば、コンピュータ装置)を含む。
【0048】
サンプル表面1608を有するサンプル1602は、いずれかの1つ又はそれよりも多くの成分で形成することができ、及び/又は基板1610上に形成することができる。成分という用語は、本明細書では、1つ又はそれよりも多くの元素及び/又は化学種であると定められる。例えば、このような成分は、半導体製造、磁気記憶媒体、又は上述の様々な他の用途のいずれかに用いられる材料を構成する元素及び/又は化学種を含むことができる。言い換えると、例えば、半導体製造においては、サンプルは、酸素、シリコン、炭素、フッ素、二酸化珪素、窒素等で形成される層を含むことができる。
【0049】
処理システム1604は、本発明のある一定の実施形態によりサンプルの特性を判断するためにコンピュータプログラム又はソフトウエア1606を実行するように作動可能な計算システムを含む。処理システム1604は、プロセッサ装置を用いて実行可能なプログラム1606を用いて実施することができるが、使用者がサンプルを特徴付けるのに必要なある一定の機能性を与えるのに他の専用ハードウエアを用いることができる。従って、本明細書で説明する場合、処理システム1604という用語は、様々なソフトウエアルーチンを実行することができるプロセッサ装置に加えて、あらゆる専用ハードウエア又はコンピュータを含む。
【0050】
処理システム1604は、例えば、あらゆる固定又は可搬式コンピュータシステム、例えば、パーソナルコンピュータ、及び/又は本発明により用いられる分析機器の機能的部品又は補足として設けられるあらゆる他の専用計算ユニットとすることができる。コンピュータシステムの正確な構成は、制限的なものではなく、本発明により適切な計算機能及び/又は制御機能を与えることができる殆どあらゆる装置を用いることができる。更に、コンピュータディスプレイ、マウス、キーボード、プリンタのような様々な周辺装置は、処理システム1604のプロセッサ装置と組み合わせて用いるように考えられている。例えば、コンピュータディスプレイプリンタを用いて、深さプロフィール情報、例えば、サンプルの深さでの成分(例えば、元素及び/又は化学種)の濃度を示す深さプロフィール曲線、特定の深さでサンプルを横切る成分の分布、成分のスペクトルなどを表示することができる。
【0051】
本発明による分析システム1600は、X線1614でサンプル1602を照射し、光電子がそれから流出するように作動可能なX線源1612を含む。図1に示すように、X線1614は、サンプル表面1602中に深く侵入し、光電子1616及び1618を励起してサンプル1602から流出させる。
【0052】
また、分析システム1600は、サンプルから流出する光電子1616及び1618を検出するように作動可能な分析装置1620を含む。分析装置1620を用いて、サンプル1602に対する分布プロフィール分析に用いるためにそれを表す信号を生成する光電子を検出する。検出された光電子の強度に適合する分析装置からの信号がコンピュータ装置に供給され、それが、信号に作用して光電子エネルギ情報を生成し、それによって分析する深さでサンプル表面に存在する成分に関する情報を生成する。分析装置システム1600は、従来のXPSシステム、紫外線光電子分光法(UPS)システム、オージェ分光法システム等で置換することができ、又はそれと組み合わせることができる。
【0053】
図2は、本発明のある一定の実施形態に従って特徴付けを実施するように作動可能な分析システム71の一部の例示的な一実施形態をより詳細に示している。サンプル2(先に示すサンプル1602又は他のサンプルとすることができる)を分析するための図2に示す分析機器71は、全体的に図1に示すX線源9、分析装置7、及びコンピュータ装置13の更に詳細な例示的実施形態である。図2は、1994年5月24日にLarson他に付与された「走査法及び高分解能X線光電子分光法及び撮像法」という名称の米国特許第5、315、113号に以前に説明されている。図2の詳細図は、本発明により用いることができるX線源及び分析装置の例示的な実施形態にすぎず、本発明は、それに示すいかなる特定の構成要素にも制限するように解釈されない。
【0054】
図2の計器71は、電子ビーム20をターゲットアノード24の表面22に集束させるための適切な電子レンズシステム18を有する電子銃16を含む。電子銃16は、高電力で大きなビームサイズに対して最適にするように修正された従来の型とすることができる。銃ビーム20は、アノード表面22の選択したスポットに集束させる。スポットは、好ましくは、実用的なほど、例えば約4ミクロンまで小さくされる。アノード表面のスポット上にビーム20が集束させることにより、アノード24から、特に選択されたアノードのスポットからX線27が発生することになる。電子銃は、米国特許第5、315、113号に説明されているような20kVで1ワット〜60ワットにわたって4ミクロン〜50ミクロンの選択可能なビームサイズで作動可能なもののようなあらゆる適切な銃とすることができる。
【0055】
ターゲットアノード24は、望ましいX線放出エネルギ帯域を与えるアルミニウムのようなあらゆる金属で形成することができる。例えば、帯域は、一般的に、実質的に小さなエネルギ幅の線である。好ましくは、ターゲットアノードは、地電圧又はその近くであり、銃カソードは、アノードに対して負の電圧、例えば−20kVで作動され、所定のエネルギの望ましい帯域のX線を含むX線を発生させる。好ましい一実施形態では、選択したエネルギ帯域は、1.4866keVのアルミニウムK−α線である。
【0056】
偏向板28は、電子ビーム20をアノード表面22上の一連のそのようなスポットから選択されたアノード24上のスポットまで電子銃16から選択的に導くか又は照準する。プロセッサ装置76により線80を通じて制御される偏向板制御装置30からの電圧をx及びy軸の両方に配列された偏向板に印加し、ビームの偏向の量を確立し、それによってスポットの位置を選択する。スポットは、静止状態に保つことができる。代替的に、制御装置30は、アノードの平坦な表面を横切って、例えば、アノード表面を横切る一連のアノードスポットの上に集束電子ビーム20をラスタリングすることができ、X線27は、連続的アノードスポットから逐次放出される。例えば、ラスタリング速度は、分散方向に100Hz、非分散方向に10kHzとすることができる。
【0057】
ブラッグ結晶モノクロメータ34は、有利な態様においては、単結晶クォーツであり、アノード24からX線27の一部を受けとるように配置される。モノクロメータは、分析するサンプル表面12上のX線スポットとして望ましいエネルギ帯域、例えば、K−α線でX線36のビームを選択して集束させる結晶配向及び凹面構成35を有する。X線スポットは、サンプル表面12上のアノードのスポットの像である。代替的に、X線スポットのラスタリングを用いて、サンプル表面の望ましい領域を覆うことができる。サンプル2は、有利な態様においては、計器の支持体44に関して手動又は電動式に位置決めするための直交するマイクロメートル位置決め器41を有するステージ40に載せる。サンプル2は、更に大きな表面積を覆う覆いになるように移動することができる。
【0058】
ブラッグ結晶モノクロメータが好ましいが、他の集束装置も適切とすることができる。このような集束装置には、グレージング入射ミラー、フレネルゾーンプレート、及び交互高密度及び低密度材料(例えば、タングステン及び炭素)の合成多層装置を含むことができる。各々の場合で、反射板は、回折X線が試料上に集束するように湾曲している。
【0059】
分析計器71に対する構成要素の適切な配列は、従来のローランド円46に基づいている。この配列では、アノード表面22、結晶34、及びサンプル表面12は、例えば、1973年11月13日にHammond他に付与された「結晶モノクロメータ及びそれに用いられる回折結晶を製造する方法」という名称の米国特許第3、772、522号に教示するように実質的に円上にある。
【0060】
X線36は、光電子52がサンプルの選択した活性ピクセル領域から放出されるようにする。電子エネルギは、一般的に、10eVまでの範囲、通常は約2〜5eVの範囲の低エネルギピークに加えて、化学種(例えば、化学的元素及び/又はその電子結合)に独特の高い運動エネルギピーク又は線を含む。ラスタリングの場合には、固有の光電子は、一連のピクセル領域を横切って変化するあらゆる化学的性質と共に変化し、低エネルギ電子(一般的に「2次電子」として公知)も表面形態と共に変化する。光電子の検出及び/又は分析を用いて、選択されたピクセル領域の又はラスタリングされたアレイを横切るサンプル表面に関する情報を提供する。更に、オージェ電子も存在することができ、これは、本明細書の目的では、X線により引き起こされるために「光電子」という用語に含まれる。
【0061】
本発明の一実施形態では、電子エネルギ分析装置54は、光電子52の一部を受け取る。分析装置は、一般的に、磁気又は静電気のいずれかであり、電子エネルギに従って所定の経路68に及び次に検出装置70に光電子を偏向する公知の又は望ましい種類とすることができる。選択した制御信号、一般的に電気信号(電流又は電圧)は、これを偏向板に与えて偏向の量を確立し、従って、これは、所定の経路に偏向された光電子の選択したエネルギを表している。磁気プリズムのような磁気分析装置では、磁気コイルを通る電流信号が適切に選択され、静電気分析装置では、偏向電圧信号が選択される。
【0062】
有用な種類の静電気エネルギ分析装置の1つは、1977年9月13日にGerlach他に付与された「可変軸線方向開口を備える走査オージェマイクロプローブ」という名称の米国特許第4、048、498号に説明する円筒形型である。図4に示すような好ましい別の実施形態では、分析装置54は、1973年10月16日にWatsonに付与された「サンプルの化学的分析のための荷電粒子分光法の装置及び方法」という名称の米国特許第3、766、381号に説明するような半球型である。更に、分析装置は、分析装置に入力するための静電気レンズのようなレンズシステム56も含む。レンズシステム56は、それを通る中心軸57を有し、それに沿ってシステム56が置かれる。レンズシステム56は、目的関数及び遅延関数を組み合わせて有効ピクセル領域から放出される光電子を収集し、それを望ましい運動エネルギの範囲で分析装置に導くことができる。
【0063】
静電気レンズシステム56は、従来の例えば「Physical Electronics Inc.」から入手可能な「PHI Omnifocus IV(登録商標)」レンズとすることができる。レンズは、供給源62から電圧が印加される直交偏向板の対を含む必要がある。電圧は、プロセッサ装置76を介し、プロセッサ装置の制御下で1次電子ビーム20の位置決め又はラスタリングと協働的に同期して選択、変化、又は振動され、電子の相当な部分がスリット84に到達して分析装置54に入るように軸外光電子を集中化する。
【0064】
対物レンズ機能に対する代替物は、磁気レンズであり、1989年3月7日にGerlachに付与された「直接撮像単色電子顕微鏡」という名称の米国特許第4、810、880号に説明するような液浸レンズ、単一磁極片レンズ、又はシュノーケルレンズとして様々に公知の種類であることが有利である。この対物レンズは、サンプルの下に置かれ、レンズの磁場がサンプル表面から放出された光電子の相当な部分を収集するようにする。これを達成するために、サンプルは、液浸レンズの近くに配置され、レンズシステムを形成する液浸レンズと別の静電気レンズとの間に置かれる。更に一般的には、サンプルは、液浸レンズと分析装置の間に置かれる。磁気レンズは、ラスタリングされる試料表面の部分から放出される電子の収集区画を有することができる。
【0065】
更に、レンズシステムは、「Physical Electronics Inc.」から入手可能な「Omega(登録商標)」レンズに類似する2つの球面グリッドを備える静電気レンズであることが好ましい。このようなレンズシステムは、「Physical Electronics Inc.」から入手可能な「PHI Quantum 2000 Scanning ESCA Microprobe(登録商標)」に用いられる。
【0066】
電圧供給源62から選択した電圧が線69を通じて分析装置の半球64、66を横切って印加されると、選択されたエネルギの電子が分析装置を出て検出装置70に入るように狭い範囲の軌道68を移動する。後者は、従来の多チャンネル検出装置、例えば、僅かに異なる軌道で分析装置を通り過ぎる小さな範囲の電子エネルギを検出するための16チャンネルを有する検出装置とすることができる。ある一定の種類の検出装置に望ましいか又は必要とされるならば、分析装置と検出装置の間に別のレンズ(図示せず)を配置することができる。
【0067】
光電子投入の強度に適合する検出装置70からの信号は、(適切な増幅器(図示せず)を通じて)制御電子機器とコンピュータ処理とを組み合わせる処理ユニット76の分析部分74まで1つ又は複数の線72上を運ばれる。処理により、電子エネルギ情報が供給され、それにより、特定のサンプル表面領域に存在して光電子を放出する成分に関する情報が供給される。
【0068】
情報は保存され、モニタ78に表示され、及び/又は画像、数値、及び/又はグラフの形で印刷される。ディスプレイ(これは、本明細書では処理を含む)をプロセッサからコントローラ30までの線80を通じて電子ビーム誘導手段28、30と協働させることにより、選択されるか又は走査された表面領域にある構成要素のマッピングが実施されて表示される。マッピングにより、選択したピクセル領域位置、又はサンプル表面上のピクセル領域のラスタリングされたアレイに対応するサンプル表面情報が与えられる。
【0069】
2次電子検出装置88及びイオン100を生成する電子銃98のような計器71の他の部分は、米国特許第5、315、113号に説明するように用いられる。
【0070】
本発明によれば、薄い膜の特徴付けに有利に用いるために、レンズシステム56が、改良された高速データ収集のために一定の角度の分析装置角度に位置決めされる。レンズシステム56は、一般的に、中心軸57に沿って光電子受け取り端部59から分析装置54の半球部分に連結された端部まで延びている。
【0071】
分析システム1600(図1)に戻ると、システムは、同じサンプル1602の同じ深さの1つよりも多い電子を励起するように構成される。例えば、システム1600は、サンプル1602の2つの異なる光電子を励起するように構成される。一実施形態では、サンプルは、SiON薄膜を含み、SiON薄膜の励起される電子は、SiON薄膜に堆積した窒素元素に関連する。図1は、分析システム1600が2つの異なる光電子1616及び1618を励起するように構成されることを示している。一実施形態では、光電子1616は、薄膜のN1s領域からのものであり、光電子1618は、薄膜のオージェ(NKLL)領域からのものである。X線源1612は、1つのユニットとして示されているが、サンプル1602に対して2つ又はそれよりも多くの異なる光電子を励起させることができる異なる供給源を含むことができる。
【0072】
システム1600のような分析システムは、本発明の1つ又はそれよりも多くの例示的な実施形態を行うのに特に有用である。例えば、システム1600を用いて、未知のサンプルを分析するのに用いられる較正関数を生成するのに用いられる既知の分布プロフィールのサンプルを測定する。較正関数に対する測定値は、システム1604に保存されて処理される。未知のサンプルを測定する場合には、未知のサンプルの測定値も処理システム1604で処理し、処理システムを通じて与えられる較正関数を用いて内挿される。
【0073】
図3は、本発明のある一定の実施形態に用いることができる別の例示的な分析システム1800を示している。分析システム1800は、システム1600に類似する。システム1600に類似する構成要素の一部に加えて、システム1800は、模擬した分布プロフィールに関する信号スペクトル又は信号値を生成するのに用いることができるモデル化システム1830を含む。システム1600と同様に、システム1800は、X線源1812、分析装置1820、及び処理システム1804を含む。基板1810に形成された薄膜1808を含むサンプル1802は、システム1800を用いて分析することができる。
【0074】
システム1800を用いて、本発明の1つ又はそれよりも多くの例示的な実施形態を実施することができる。一般的に、これらの方法では、サンプル薄膜は、サンプル薄膜(例えば、SiON)中の特定の元素(例えば、窒素)に対する測定スペクトルを処理して模擬スペクトルに比較し、サンプル薄膜内の元素の分布プロフィールを判断することによって分析される。一例では、窒素に対する電子エネルギ信号は、X線をサンプル薄膜1808に送って光電子1816を励起するX線源1812により得られる。分析装置1820は、光電子1816を検出し、光電子1816に関する測定信号強度を生成する。
【0075】
図4は、薄いサンプル膜に堆積した元素の深さ分布プロフィールを判断する概略的な新しい方法を示す例示的な分析方法101を示している。薄いサンプル膜は、基板又は他の薄膜上に堆積するか又は他の方法で形成することができる。オペレーション100では、元素に対する電子エネルギ信号が得られる。元素の信号は、元素のエネルギスペクトルとして表すことができる。元素は、様々な方法を用いてサンプル薄膜に又は基板に堆積される。多くの場合、薄膜に堆積される元素に対しては、元素堆積の深さ、元素の分布、及び/又は薄膜内の分布プロフィールを分析すべきである。ボックス102では、背景除去を行う。ボックス104では、処理電子エネルギ信号が得られる。背景が電子エネルギ信号から除去されると、得られる信号値は、「処理電子エネルギ信号」と呼ばれる。除去された背景には、サンプル薄膜中にあり関連の元素を含まないバルク材料により得られるエネルギ信号が含まれる。背景を除去すると、関連の元素のエネルギ信号のみが単離され、サンプル薄膜中に堆積される元素に対して分析を行うことができる。分布プロフィール判断を開始するために、元素に対して、ボックス106で、シミュレーション分布プロフィールに関するシミュレーションエネルギ信号が処理電子エネルギ信号に適合するまでシミュレーション分布プロフィールを変化(最適化)させる。一実施形態では、シンプレックス法又はレーベンバーグ・マルカート法のような最小化及び最適化アルゴリズムを用いて処理電子エネルギ信号を模擬エネルギ信号に適合させる。処理電子エネルギ信号と特定のシミュレーションエネルギ信号の差が最も小さい時に、適合が得られる。従って、考慮中の元素の分布プロフィールは、ボックス108で、処理スペクトルに最も適合するシミュレーションスペクトルを計算するのに用いたシミュレーション分布プロフィールの1つとして判断される。
【0076】
以下では、例示的な方法101による本発明の様々な態様をより詳細に説明する。図5は、サンプル薄膜に堆積する元素の分布プロフィールを分析する処理201の例示的な実施形態を示している。一実施形態では、分析される関連の元素を備えたサンプル薄膜を有する基板(例えば、ウェーハ)が準備される(ボックス200)。一実施形態では、関連の元素は、SiON薄膜中に堆積異された窒素である。別の実施形態では、同じ薄膜又は他の薄膜中に堆積した他の元素が準備される。本発明の実施形態を用いて、様々な種類のサンプル薄膜中に堆積した多くの元素を分析することができる。
【0077】
サンプル薄膜は、図1〜図3を参照して説明したような分析システムに入れられる。分析システムの例には、XPSが含まれる。薄膜から電子を励起し、電子から放出されるエネルギ又は電子を励起するのに用いられるエネルギから可読な結果を生成することができる他の機器を用いることができる。一実施形態では、サンプル薄膜は、X線で(分析システムに設けられるX線源を用いて)照射されると、それから光電子が流出することになる。流出した光電子は、分析システムに設けられる検出装置で検出される。各エネルギで検出された光電子は、計数され、薄膜を表すエネルギ信号(スペクトル)に変換されて記録される。エネルギ信号は、元素の分析に用いられる。204では、元素に対する測定エネルギ信号又はスペクトルが得られる。
【0078】
次に、212では、測定エネルギ信号/スペクトルが処理される。一実施形態では、測定エネルギ信号/スペクトルを処理する時には、ボックス208に示すように測定エネルギ信号/スペクトルの背景情報206を除去するか又は減算する。背景情報を除去した後、210で処理スペクトルが得られる。
【0079】
216では、処理スペクトルは、サンプル薄膜内の元素の深さ分布プロフィールを判断するのに最適化される。216Aでは、深さ分布は、上述のように、例えば最小化アルゴリズムを用いて、処理エネルギ信号/スペクトルとシミュレーションスペクトルとの間の差を最小にすることによって得られる。処理スペクトルから固有スペクトルを抽出し、既知の分布プロフィールを備える固有スペクトルで最小化を行い、元素の分布プロフィールを判断する。
【0080】
代替的に、216Bでは、説明したように基準固有スペクトルと処理エネルギ信号/スペクトルからの固有スペクトルとの間の差を最小にすることによって深さ分布が得られる。固有スペクトルを用いて、既知の分布プロフィールを備えたシミュレーションスペクトルを生成し、処理スペクトルに対して最小にし、分布プロフィールを判断する。
【0081】
元素に対する分布プロフィールは、218で最小化/最適化処理の結果に基づいて判断される。
【0082】
背景エネルギ信号/スペクトルは、関連の元素以外のサンプル薄膜の元素により、分析中の化学種より高い放出運動エネルギで放出される信号/スペクトルである。一実施形態では、適切な背景エネルギ信号/スペクトルを見出すために、1組の基準薄膜に関する1組の基準背景信号/スペクトルを得る。各基準薄膜は、考慮中の元素が欠如することを除けば同様に処理されて形成されるために、サンプル薄膜に同等である。言い換えると、各基準薄膜は、基準薄膜には関連の元素が堆積されておらず、厚みがサンプル薄膜の厚みと異なるか又は僅かに異なることを除けば、サンプル薄膜と同様である。サンプル薄膜を分析するのに用いられる同じ分析システムを用いて、基準薄膜に対して背景エネルギ信号/スペクトルを得る。サンプル薄膜の厚みに応じて、特定の背景エネルギ信号/スペクトルは、正確な厚みが入手可能であれば、内挿法による組から再構成されるか、又は単に基準背景スペクトルの組から選択されるかのいずれかとされる。
【0083】
図6は、本発明によりサンプル薄膜に対して得られる測定エネルギ信号/スペクトルに対する背景減算法の例示的な実施形態の方法300を示している。302では、様々な基準薄膜に対する基準背景強度スペクトルの組を収集する。基準薄膜は、様々な基準薄膜厚みを有する薄膜を含む。基準薄膜厚みは、1〜50nmの範囲とすることができるが、これは、単に厚みの例示的な範囲である。選択した基準薄膜厚みは、サンプル薄膜等が入ると期待される広範囲に選択した厚みから小規模に選択した厚みまでを含むことができる。一実施形態では、背景強度スペクトルは、上述の分析システム202を用いて得た基準薄膜の光電子エネルギ信号である。基準薄膜に対してとった強度スペクトルは、サンプル薄膜として薄膜の同じ領域からとったスペクトルである。
【0084】
304では、各々がそれぞれの基準薄膜厚みに対応する基準背景強度スペクトルを有する背景の表を生成する。一実施形態では、背景の表は、厚み(又は深さ)の関数として基準薄膜に対する強度スペクトルを含む。背景の表は、サンプル薄膜に比較することができる基準薄膜に対する他の測定可能な値(厚み、用量・・・)を含むことができる。
【0085】
306では、サンプル薄膜に対する厚みが判断される。サンプル薄膜の厚みは、様々な方法を用いて判断することができる。サンプル薄膜の厚みを判断する例示的な1つの方法は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている「光電子分光法を用いる層厚みの判断」という名称の米国特許出願第11/118、035号(代理人整理番号7029.P026)に開示されている。代わりに、薄膜厚みを判断するのに適する他の方法を用いることができることが予想される。サンプル薄膜の厚みを判断することにより、薄膜は、上述のように測定された背景エネルギ信号を有する基準薄膜の組に比較することができる。更に、基準薄膜の厚みも同様の方法を用いて判断される。
【0086】
308では、背景強度スペクトルは、サンプル薄膜から除去される。サンプル薄膜の測定強度スペクトルを背景の表に比較する際には、最初に、サンプル薄膜が、背景の表の基準薄膜の1つと同じ厚みであるか否かを判断する。次に、薄膜厚みが背景の表の基準薄膜の1つに適合する場合には、その特定の基準薄膜(厚みが適合するもの)の背景強度スペクトルを用いてサンプル薄膜からの背景減算を行う。薄膜厚みが未だに背景の表にない場合には、値は、背景の表から内挿するか又は再構成し、サンプル薄膜に対する背景強度スペクトルを導く。従って、サンプル薄膜から減算される背景強度スペクトルは、既に背景の表にある基準背景強度スペクトル又は背景の表を用いて内挿するか又は再構成した値とすることができる。
【0087】
基準薄膜及びサンプル薄膜の厚みは、背景スペクトル内挿法に用いられる属性の1つであるが、薄膜の他の適切な又は有利な属性を用いることができることは認められるものとする。他の適切な属性の例には、濃度、用量、堆積幅、堆積条件、薄膜形成等が含まれる。
【0088】
図7は、それぞれのエネルギ信号を備える基準薄膜の例示的な組に対するスペクトルの例示的な組をグラフを用いて示している。ここに示すスペクトルは、単に説明のためであり、線の形状及び関連データは、基準薄膜の特性に応じて変化する可能性があることは認められるであろう。これよりも多いか又は少ない数のスペクトルを含むことができ、図に示す例示的なスペクトルは、特定の実施形態で実際に実行した少数しか表していない可能性がある。一実施形態では、スペクトルは、特定の薄膜から得られる1組の強度読取値又は強度値から形成される。
【0089】
図7では、x軸402は、薄膜から電子を励起するのに必要なエネルギ又は電子の運動エネルギを表し、y軸404は、基準薄膜から励起されて検出された原子計数又は電子の強度を表している。原子計数又は強度は、各薄膜に対するエネルギ信号を表しており、これをエネルギに対してプロットする。一実施形態では、各基準薄膜に対して勾配スペクトル線を生成する。この図では、6つの(6)基準薄膜に対して得られたエネルギ信号が示されている。基準薄膜の薄膜厚みは、2Å〜30Åの範囲であるが、これは、単に例示的な厚みである。他の厚みを含むこともできる。例えば、2Åでのエネルギスペクトル線は、2Å厚みの基準薄膜に対する信号を示している。基準薄膜厚みが増大すると、原子計数が増大する。この場合、全ての線の勾配は、厚みと共に滑らかに変化することになり、従って、未知の厚みに対する勾配値は、内挿法により得ることができる。厚みX、例えば、ある一定の薄膜厚みの間、例えば5Åと10Åの間に入るサンプル薄膜に対しては、サンプル薄膜に対する背景スペクトルは、例えば、5Å及び10Åの厚みの基準薄膜に対する背景スペクトルを内挿して再構成される。例えば、サンプル薄膜の厚みが5Åと10Åの間に入る場合には、サンプル薄膜に対して構成されたスペクトルエネルギ線は、ほぼ厚みが5Å及び10Åの基準薄膜に対するスペクトルエネルギ線の間に入るものである。厚みXのサンプル薄膜に対して再構成されたスペクトル線は、サンプル薄膜に対する背景減算に用いることができる。
【0090】
図8〜9は、SiONを含むサンプル薄膜に対する例示的な背景減算の結果をグラフにより示している。図8では、スペクトル線602は、背景信号及び窒素元素の信号を含むサンプル薄膜に対する測定エネルギ信号スペクトルを示している。図9では、背景信号は、上述のように減算される。スペクトル線604は、窒素だけによるエネルギ信号を表している。上述のように、減算される背景信号は、サンプル薄膜の薄膜厚みを1組の背景基準薄膜の薄膜厚みに比較することによって判断される。サンプル薄膜に対する背景信号は、背景の表からの基準背景強度スペクトル又は内挿した値を用いて再構成された背景強度スペクトルのいずれかとすることができる。
【0091】
一実施形態では、関連の元素は、シリコン酸窒化(SiON)薄膜に堆積した窒素である。測定エネルギ信号の大部分は、N1s光電子信号の領域にあり、信号の大部分は、SiON薄膜(及びその下の基板)を起源とする非弾性散乱Si(Si2p及びSi2s)光電子領域によるものである。1組の基準背景強度値を模擬するために、一実施形態では、N1s領域を選択する。各基準薄膜に対してN1sエネルギ領域(基準薄膜に窒素がない場合)でSiO2(基準薄膜に窒素が存在しないため)である各基準薄膜に対して測定を行う。次に、測定値は、曲線当て嵌めを行い、特定の薄膜厚みに対してSiO2である各基準薄膜に対するスペクトル線の形状を予想する。スペクトルのSiO2部分は、「汎用背景」と呼ばれる。所定の測定厚みのSiON薄膜に対する汎用背景の組合せは、同一の厚みのSiO2薄膜から当て嵌めて外挿した信号と同一であると見なされる。SiON薄膜上の測定N1s信号領域と対応する同じSiO2厚みの汎用背景との間の差は、純粋に薄膜からの非散乱窒素及び非弾性的に散乱した窒素によるものであると考えられる。更に、背景領域の当て嵌め及び予想は、炭素のような他の可能な表面汚染層を含むこともある。
【0092】
図10は、SiON中の窒素のような元素に対する模擬分布プロフィールの一部の例を示している。模擬分布プロフィール90A、90B、90C、及び90Dが提供されている。これらの模擬分布プロフィールは、説明のためだけに挙げたものであり、他のプロフィールも全く可能である。各分布プロフィール90A、90B、90C、及び90Dは、関連エネルギスペクトルを有する。各プロフィール90A〜90Dに対して、元素の分布プロフィールの濃度は、薄膜に堆積された元素の総濃度の0.1〜総濃度の0.9である。各プロフィール90A〜90Dに対して、堆積した元素の深さは、1Å〜7Åである。分布プロフィールは、各プロフィール90A〜90Dに対して保存される。更に、各プロフィールに対する関連スペクトル線も得られる。サンプル薄膜の処理スペクトル(例えば、スペクトルA)がプロフィール90Aのスペクトル値に適合する場合には、サンプル薄膜の元素は、プロフィール90Aと同様に分配されると期待することができる。サンプル薄膜の処理スペクトル(例えば、スペクトルA)がプロフィール90Bのスペクトル値に適合する場合には、サンプル薄膜の元素は、プロフィール90Bと同様に分配されると期待することができる。様々な分布プロフィールを生成して模擬することができる。更に、関連スペクトル線を求め、データベースに保存する。処理800のような処理では、データベースから特定の分布プロフィールを引き出し、上述のように比較を行う。一実施形態では、特定の分布プロフィールを選択して処理スペクトルと比較する段階は自動化され、及び/又は処理スペクトルに対して適合するものが見つかるまで継続される。
【0093】
図11は、同じ元素の信号強度の比を用いる特徴付け処理105を示している。処理105の一実施形態では、電子エネルギ信号は、103で薄いサンプル膜中の元素に対して得られる。元素の測定エネルギ信号に対する比は、110で得られる。同じ元素から少なくとも2つの異なる電子化学種が得られる。サンプル薄膜の分析には、同じ元素の2つ又はそれよりも多くの異なる電子化学種からの元素に対する測定エネルギ信号を利用する段階が含まれる。一例では、元素は窒素であり、サンプル薄膜は、シリコン酸窒化薄膜である。窒素元素に対して2つの異なる特性電子が放出され、互いに異なる運動エネルギを有する。一実施形態では、放出される電子の1つは、「N1sエネルギ信号」と呼ばれる窒素原子のN1s軌道からのものであり、放出される別の電子は、「NKLLエネルギ信号」と呼ばれる窒素原子のNKLL(オージェ領域)からのものである。一実施形態では、元素の2つの測定エネルギ信号の比は、薄膜内の元素の重心を示している。112では、エネルギ信号比は、較正関数に比較して、サンプル薄膜内の元素に対する分布プロフィールを判断する。
【0094】
図12は、薄膜(例えば、SiON)中の元素(例えば、窒素)の重心を判断する例示的な方法1400を示している。方法1400では、この分析に対して、同じ基本的化学種に対する2つの異なるエネルギ信号の比が用いられる。一実施形態では、関連の元素は窒素である。この実施形態では、分析に対して、N1s領域及びNKLL(オージェ)領域での窒素に対するエネルギ信号を用いる。更に、本発明の範囲を逸脱することなく他のエネルギ信号を用いることができる。
【0095】
1402では、ウェーハが準備される。ウェーハは、分析される元素を備えたサンプル薄膜を含む。例えば、ウェーハは、薄膜SiONがその上に形成された半導体基板であり、元素窒素が分析される。ウェーハは、1404で分析システム、例えば、上述のXPSに入れられる。1406では、SiON薄膜の窒素に対して2つのエネルギ信号が得られる。1408では、エネルギ信号を処理する。エネルギ信号は、サンプル薄膜から励起されたエネルギの信号に関係のないあらゆる背景騒音又は他の情報を除去するために処理される。1410では、元素に対して信号強度比を計算する。N1s領域での窒素に対する信号強度は、「I(N1s)」と表され、NKLL領域での窒素に対する信号強度は、「I(NKLL)」と表される。信号強度に対する比は、R(サンプル)と表される。比R(サンプル)は、以下のように表すことができる。
R(サンプル)=I(N1s)/I(NKLL) (1)
【0096】
N1s化学種でのエネルギ信号とNKLL化学種との比は、少なくとも次の理由で重心判断に有用である。2つの異なるエネルギ信号は、SiON薄膜を進む時に異なって減衰する。例えば、N1s化学種からのエネルギ信号の減衰は、NKLL化学種からのエネルギ信号の減衰に比較して遥かに小さい。この理由の1つは、特定の深さを起源とするために、N1s化学種は、NKLL化学種に比較して高い運動エネルギで放出され、従って、放出エネルギが小さいNKLL化学種に対するエネルギに比較して信号の減衰が小さいことである。N1s及びNKLL領域からのエネルギ信号の比は、窒素元素の深さが変化する時に変化する。従って、信号強度の比の重心の位置に対する依存性は、以下のように表される。
I(N1s)/I(NKLL)〜e-tc/λ(N1s)/e-tc/λ(NKLL) (2)
【0097】
ここで、「tc」は、元素の重心値であり、「λ」は、特定の領域での元素の減衰長さである。従って、λ(N1s)は、N1s化学種からの窒素の減衰長さであり、λ(NKLL)は、NKLL化学種からの窒素の減衰長さである。減衰長さ値は、既知であるか又は判断することができる。
【0098】
従って、これらの比により、サンプル薄膜内の元素の重心を抽出することができる。元素に対する他の領域のエネルギ信号を用いることができることも予想される。一実施形態では、SiON薄膜内の窒素の重心を判断するために、較正関数が与えられる。1412では、SiON薄膜内の様々な既知の重心値の窒素に対する強度比の組が与えられる。様々な重心で堆積した窒素に対する信号強度の比が得られる。信号強度の比は、図13に示すように、薄膜内の元素の深さ分布の重心に従って変化する。1414では、元素の信号強度比を様々な深さの窒素に対する強度比の組に比較して、サンプル薄膜内の窒素の重心を判断する。
【0099】
1416では、サンプル薄膜内の窒素のドーパント補正及び/又は判断を行う。XPS又はオージェ分光法が用いられる実施形態では、サンプル薄膜の表面の約10nmのみを測定することが多い。サンプル薄膜内の元素の分布の平均深さにより、薄膜成分の記録された原子濃度又は用量に何らかの解釈誤差が導入される場合がある。薄膜ドーパント(元素堆積)の平均深さが表面である場合には、測定信号の減衰を考慮に入れる必要はない。一方、同じ原子数の元素の平均深さ(重心)が例えば3nmであり、電子減衰長さλが3nmである場合には、放出電子信号(e-tc/λ)の僅かな部分のみが検出されることになる。記録された用量又は原子濃度の結果の精度を改善するために、関連の元素の測定信号強度は、係数1/e(-tc/λ)により補正する必要があることになる。
【0100】
関連の元素の深さ分布が一様であると仮定して行った標準XPS用量の判断を補正するために、以下の補正係数を用いる。
【0101】
【数5】
【0102】
補正係数において、T=薄膜の厚み、λ(E(Si2p))SiO2=SiO2中のSi2p化学種の減衰長さ、及びλ(E(N1s))SiO2=SiO2中のN1s化学種の減衰長さである。
【0103】
図13は、例示的な較正グラフ1500を示している。x軸は、重心値を表し、y軸は、信号強度に対する比の値を表している。比の値は、関連する重心値に対してプロットされている。強度比に対する重心値は、上式(2)を用いて判断することができる。更に、較正関数、例えば、線形回帰関数も得ることができる。例えば、グラフ1500のための較正関数は、y=mx+b(ここで、「m」は線の傾きであり、「b」はy切片である)として表すことができる。特定のサンプル薄膜では、上述のように強度比が判断されると、重心値は、重心=x=(y−b)/mとして線形方程式から得ることができる。
【0104】
本発明の他の実施形態は、第1の化学種から放出される信号(信号スペクトル)を初期放出運動エネルギが第1の化学種の運動エネルギよりも大きい異なる化学種から放出される信号(背景スペクトル)から単離する方法に関する。異なる化学種により放出される光電子は、非弾性散乱を通してエネルギを失うことになり、第1の化学種からの光電子として同じエネルギ範囲に検出されることになる。検出されるスペクトルは、背景スペクトル及び信号スペクトルの合計である。背景スペクトルを測定スペクトルから減算する1つの方法は、背景スペクトルの独立な測定値を得ることであり、すなわち、分析する元素を含まない関連のサンプルと同じバルク/表面特性を備えたサンプル(背景サンプル)上に光電子スペクトルを収集することによるものである。
【0105】
多くの場合、このような背景サンプルを調製するのは困難である。本発明の一実施形態は、電子輸送理論を用いる主原理から背景スペクトルを再構成する方法に関する。バルクを構成する背景元素の殆どは、既知の(又は一様な)深さ分布を有し、従って、各化学種に対する固有スペクトルが高放出運動エネルギで与えられれば、全背景スペクトルは、再構成、正規化、及び減算されて、未知の深さ分布の化学種により放出される光電子のスペクトルを単離することができる。
【0106】
例えば、図14を参照すると、薄膜は、ハフニウム(Hf)、シリコン(Si)、及び窒素(N)を含むことができる。一例では、窒素は、関連の元素である。一例では、薄膜の総スペクトルに対して、約1250KEのピークは、ハフニウムのHf4fのピークであり、約1050KEの別のピークは、シリコンのSi2pのピークであり、約850KEの別のピークは、シリコンのSi2sのピークであり、約800のピークは、窒素のN1sのピークである。本明細書に示すように、ハフニウムのHf4f、及びシリコンのSi2p、及びSi2sのスペクトル線(又はスペクトル)は、窒素N1sのスペクトル線(スペクトル)の背景に寄与する。従って、N1s領域からの信号のみを分析して単離するためには、Hf4f、Si2p、及びSi2sに特定のスペクトルを除去すべきである。適切な基準薄膜が存在しない場合には、背景スペクトル線は、本発明の1つ又はそれよりも多くの例示的な方法を用いて模擬することができる。
【0107】
図15は、図14に示す薄膜と同様の薄膜のような薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素を分析する方法を示す例示的な方法2200を示している。薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素は、薄膜内の別の元素に対する背景材料になる可能性がある。方法2200では、1つの元素のスペクトルを最初に得て、次に、それを別の元素に対する背景スペクトルとして用いる。一実施形態では、最も高い運動エネルギ(KE)を示す化学種を最初に分析し、それを全ての他の低い放出運動エネルギ化学種に関連するスペクトルに対する背景として用いる。図14に示す例では、Hf4fスペクトルが最初に分析されて再構成されることになる。最も高い放出運動エネルギの化学種であるので、その背景は、線形当て嵌めで近似することができる単なる残留放射である。Hf4fスペクトル領域のみを含むスペクトルの小領域を選択し、それを用いて、N1sの例で上述のようにHf4f深さ分布を判断する。Hf4fスペクトル深さ分布を判断する段階は、それが、Hf4fスペクトルがバルクの均一な材料の一部である場合のように既に既知である場合は省くことができる。Hf4f深さ分布が与えられれば、測定したスペクトルに収集された全エネルギ範囲にわたって適切に正規化したものを減算した後に模擬スペクトルを生成することができる。減算スペクトルは、この時点で、残りの化学種、この例ではN1s、Si2p、及びSi2sのスペクトルの重ね合わせとされることになる。次に高い放出運動エネルギ化学種に対して同じ処理を繰り返すことができる。
【0108】
代替的に、各化学種の深さ分布は、各化学種に対して模擬したスペクトルを重ね合わせることによって得られる全測定スペクトルと模擬スペクトルとの間の差を最小にすることにより、N1sの例で説明したものと同様な最適化方法で同時に見出すことができる。全スペクトルが分析されるので、最も高い放出運動エネルギ化学種から始めると、放出運動エネルギが高い化学種から背景スペクトルを減算する必要がない。
【0109】
全スペクトル分析を実施するために、分析中のスペクトルに存在する各化学種に対して固有値を判断する必要がある。これを行うために、全ての化学種の深さ分布が既知である1組の基準ウェーハが必要である。例えば、ベアSiウェーハを用いてSi金属固有スペクトルを抽出することができ、純HfO2ウェーハを用いてHf4f Hf 4d、Hf4p固有値及びO2s、O1s等・・・を判断することができる。図16を参照すると、各基準ウェーハに対して、701では、最も高い放出運動エネルギ線のスペクトルのみを含むエネルギ領域を選択する。703では、そのエネルギ範囲にわたってその化学種に対する固有スペクトルを計算し、低エネルギでは線形的にゼロまで外挿する。705では、703で見出された固有スペクトル及びその元素に対する既知の深さ分布を用いて全エネルギ範囲のスペクトルが生成される。707では、再構成されたスペクトルを測定されたスペクトルから減算し、次の化学種のための背景減算スペクトルを得る。次に高い運動エネルギ化学種に対して背景減算スペクトルに同じ手順を繰り返す。図16に説明する実施形態で基準ウェーハを分析して見出された固有スペクトルを用いて、上述のようにサンプル薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素の未知の深さ分布を判断することができる。回帰中に実時間で模擬スペクトル又は各模擬スペクトルを生成する処理は、時間を消費する可能性がある。この困難な点を克服するために、各スペクトルに対してPI係数を予め計算し、PI係数を用いてスペクトルを再構成することができる。
【0110】
一実施形態では、実時間で既知の分布プロフィールを有するモデル化スペクトルを模擬する方法が提供される。所定の化学種の深さ分布に固有のPI係数及び散乱処理(弾性及び非弾性)は、例えば、モンテカルロ法又は他の適切な方法を用いて予め計算される。PI係数は、深さ分布のまばらな組に対して予め計算され、PI係数データベースに保存される。PI係数のこのような組は、関連する深さ分布を定めるパラメータの機能としてデータベース内に編成することができる。任意の深さ分布に関連するスペクトルの実時間のシミュレーション中に、適切なPIは、深さ分布を示すパラメータの空間に予め計算したPIを内挿することによって見出すことができる。次に、内挿したPI係数を用いて、模擬スペクトル(例えば、背景スペクトル又は関連の元素に関する信号スペクトル)として用いられるスペクトルを再構成するか、又は(上述のように)処理スペクトルから減算し、固有スペクトルを得る散乱の寄与を再構成する。深さ分布のまばらな組に関する全スペクトルが保存されていれば、同じ種類の内挿方式を行うことができるが、それには、データベースに遥かに大きな記憶メモリを必要とすることになる。
【0111】
本発明の実施形態は、ある一定の酸化物層の特徴付けに特に有利である。例えば、このような酸化物層は、酸化珪素層、オキシナイトライド薄膜、窒化酸化物層、シリコン酸窒化(ONO)薄膜などを含むことができる。例えば、このような酸化物層は、約10ナノメートル未満、更には2ナノメートルの厚みの薄い膜として形成し、電界効果トランジスタ(FET)のような半導体素子の製造でゲート酸化物に用いることができる。このようなトランジスタは、プロセッサ装置、記憶装置などを含む様々な集積回路装置に用いられる。本発明はまた、薄い埋め込み領域の形状及び用量を正確な量的結果及び化学組成情報で測定するのに有利である。例えば、シリコン基板は、半導体素子を形成する時にBF2を埋め込むことができる。本発明を用いて、埋め込みシリコン基板サンプルを深さプロファイリングすることにより、このように形成されて組み込まれた薄い層又は領域の特徴を示すことができる。
【0112】
また、本発明の実施形態は、上述のようにサンプル薄膜内又は薄膜上に形成された素子の電気的性能又はパラメータを予想するのに用いることができる。図17は、サンプル薄膜5004中の元素の分布プロフィール、厚み、及び/又は重心値を用いて予想された電気製品性能を用いる例示的な処理5000を示している。サンプル薄膜5004は、ウェーハのような基板サンプル5002上に形成することができる。サンプル薄膜5004中の元素の分布プロフィール、厚み、及び重心値は、上述のように判断することができる。一実施形態では、サンプル薄膜5004は、上述のように、分布プロフィール、厚み、及び重心値を判断するためにプロファイリングシステム5006を通過させる。プロファイリングシステム5006から得られる値は、次に、予想製品性能分析システム5008に渡される。ここでは、次に、元素の分布プロフィール、元素の重心値、及び薄膜厚みを用いて、サンプル薄膜内又は薄膜上に形成されることになる素子の電気パラメータを予想する。例えば、素子の駆動電流及び閾値電圧は、元素に対する重心値を用いて予想され、「予想電気パラメータ」を生成することができる。予想電気パラメータは、次に、製造工程コントローラ5010に供給され、処理パラメータをそれに応じて又は望ましい製品性能に応じて制御、モニタ、及び/又は修正することを可能にすることができる。例えば、サンプル薄膜を形成するための温度、圧力、時間、厚み、用量等・・・は、重心/厚み値を用いて望ましい結果を達成するためにモニタ及び/又は修正することができる。従って、重心/厚みのような無次元値を用いて、特定の電気パラメータに相関させることができる。従って、薄膜の電気パラメータは、プロファイリングシステムから得られる結果を用いて予想、モニタ、制御、又は修正することができる。製造工程コントローラ5010は、この情報を用いて、素子製造に用いられる堆積、埋め込み、又はエッチング処理を制御するようにシステム内の他の処理(ボックス5012)を制御することができる。
【0113】
図18は、サンプル薄膜5004中の元素の分布プロフィール、厚み、及び/又は重心値を用いた予想電気製品性能を用いる例示的な処理5001を示している。上述の場合のように、サンプル薄膜5004は、ウェーハのような基板サンプル5002上に形成することができる。サンプル薄膜5004中の元素の分布プロフィール、厚み、及び重心値は、上述のように判断することができる。一実施形態では、X線源5006を備えたXPSシステムのような光電子システムを用いて、上述のように分析するためにサンプル薄膜5004から光電子を励起する。分析装置5008を用いて、上述のようにサンプル薄膜5004を分析する。次に、上述のように、分布プロフィール、厚み、及び重心値の判断のような分析を行うためにデータをプロファイリングシステム6000に通す。
【0114】
プロファイリングシステム6000では、上述のように、強度比判断、分布プロフィール及び重心値判断のような分析を行う。一実施形態では、元素に対する信号強度が得られ、強度比が生成される。この比は、上述のように、元素の重心値を判断するために較正関数に相関される。別の実施形態では、元素に対する測定スペクトルが得られる。上述の方法のいずれかを用いて背景減算を行い、処理スペクトルを得る。最小化及び最適化(適切なパラメータを用いて模擬スペクトルを模擬する)を次に行い、上述の方法を用いて元素に対する分布プロフィールを判断する。重心値も導くことができる。
【0115】
プロファイリングシステム6000から得られる値は、次に、予想製品相関システム7000に渡される。ここで、この値は、温度、時間、圧力、厚み、及び電気パラメータのようなパラメータに相関される。次に、元素の分布プロフィール、元素の重心値、及び薄膜厚みを用いて、上述のようにサンプル薄膜内又は薄膜上に形成されることになる素子の電気パラメータを予想することができる。例えば、元素に対する重心値を用いて素子の駆動電流及び閾値電圧を予想し、予想電気パラメータを生成することができる。次に、予想電気パラメータを製造工程コントローラ8000に供給し、それに応じて又は望ましい製品性能に応じて処理パラメータを制御、モニタ、及び/又は修正することを可能にすることができる。例えば、重心/厚み値を用いてサンプル薄膜を形成するための温度、圧力、時間、厚み、用量等・・・をモニタ及び/又は修正し、望ましい結果を達成することができる。更に、重心/厚みのような無次元値を用いて、特定の電気パラメータに相関させることができる。従って、薄膜の電気パラメータは、プロファイリングシステムから得られる結果を用いて予想、モニタ、制御、又は修正することができる。製造工程コントローラ8000は、この情報を用いて、素子製造に用いられる堆積、埋め込み、又はエッチング処理を制御することのようなシステムの他の処理(ボックス9000)を制御することができる。
【0116】
以上の説明から当業者には認識されるように、サンプルは、多くの異なる形態の1つを取ることができる。例えば、サンプルは、基板上に形成された層とすることができ、又は基板内に形成された領域とすることができ、並びに本発明によって特徴を判断すると利益が得られると考えられる材料で形成されたあらゆる他のサンプルとすることができる。従って、本発明は、本明細書に挙げた特定の材料又は構造に限定されるように解釈されないものとする。しかし、本発明は、ある一定の薄い膜、例えば、ゲート酸化物層のようなゲート誘電体層の特性を判断するのに特に有利である。
【0117】
本発明をいくつかの実施形態に関して説明したが、本発明は、説明した実施形態に限定されないことを当業者は認識するであろう。むしろ、本発明の方法及び装置は、特許請求の範囲の精神及び範囲内で修正及び変更して実施することができる。従って、以上の説明は、限定的ではなく例示的であると見なされるものとする。
【0118】
例示的な実施形態を開示したが、特許請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲内に留まりながら開示した実施形態に修正及び変形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明のある一定の実施形態に用いることができる例示的な分析システムを示す図である。
【図2】本発明のある一定の実施形態に用いることができる例示的な分析システムを示す図である。
【図3】本発明のある一定の実施形態に用いることができる例示的な分析システムを示す図である。
【図4】薄膜内の元素の分布プロフィールを分析する例示的な処理を示す図である。
【図5】サンプル薄膜内の元素の分布プロフィールを判断する例示的な方法を示す図である。
【図6】サンプル薄膜内の元素の分布プロフィールを判断する別の例示的な方法を示す図である。
【図7】サンプル薄膜に用いられることになる背景スペクトルを判断する例示的な方法を示す図である。
【図8】背景減算法をグラフ的に示す図である。
【図9】背景減算法をグラフ的に示す図である。
【図10】例示的な可能な分布プロフィールを示す図である。
【図11】強度比を用いて薄膜内の元素の重心値を判断する例示的な方法を示す図である。
【図12】強度比を用いて薄膜内の元素の重心値を判断する例示的な方法を示す図である。
【図13】信号強度比を用いてサンプル薄膜中に元素の分布プロフィールの重心値を判断する方法に用いることができる較正曲線を示す図である。
【図14】薄膜内の複数の元素を表す複数の電子信号を有する例示的なスペクトルを示す図である。
【図15】背景減算のための模擬スペクトルを用いて1つ又はそれよりも多くのスペクトルを模擬する例示的な方法及び薄膜内の複数の元素を分析する方法を示す図である。
【図16】背景減算のための模擬スペクトルを用いて1つ又はそれよりも多くのスペクトルを模擬する例示的な方法及び薄膜内の複数の元素を分析する方法を示す図である。
【図17】本発明の1つ又はそれよりも多くの実施形態による例示的な処理を示す図である。
【図18】本発明の1つ又はそれよりも多くの実施形態による例示的な処理を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
1600 分析システム
1602 サンプル
1604 処理システム
1608 サンプル表面
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、代理人整理番号007029.P029Zを有し、2005年7月11日出願の米国特許仮出願出願番号第60/698、367号に関し、かつその恩典及びそれに対する優先権を請求するものである。
【0002】
本発明の実施形態は、薄い膜又は極薄の膜に堆積される1つ又は複数の元素の深さ分布情報を抽出する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの異なる種類の素子を製造するには、サンプルの組成の分析が必要である。サンプルの組成は、薄い膜中の元素及び/又は化学種の濃度である。組成分析が必要であると思われるサンプルの例は、半導体集積回路素子に形成されたゲート酸化物薄膜である。半導体素子の集積回路チップの密度が増大し、素子の寸法が減少し続けると、サンプル分析は、益々困難で複雑になる。
【0004】
例えば、半導体素子の製造における近年の発達により、浅いインプラント及び/又は他の極薄構造を用いる場合がある。1つの特定の例では、ゲート酸化物層は、典型的に厚み約10ナノメートル未満の非常に薄い膜になる。このような薄い膜は、特性を判断するのが困難である。このような構造は、従来の特徴付け技術よりも感度が優れた特徴付け技術を必要とすることになる。更に、このような技術は、特徴付けを十分な速度で行うことを要求するであろう。
【0005】
このような材料中の微量及び/又は主要成分を表面分析するために様々な技術が用いられている。例えば、このような方法のいくつかには、2次イオン質量分析法(SIMS)、X線光電子分光法(XPS)(化学的分析のための電子分光法(ESCA)としても公知)、及びオージェ電子分光法(AES)が含まれる。このような技術は、材料の表面近くの領域に感受性がある。しかし、これらの技術は、深さプロファイリングによる表面下の深さの関数としての材料特性の測定を可能にしない。
【0006】
典型的な深さプロファイリング処理では、例えば、連続又は周期的イオンビームスパッタリングにより、サンプルの表面から材料を除去し、更に別の測定及び/又は分析のためにサンプルの1つ又はそれよりも多くの様々な深さで徐々により深い部分の材料を露出させる。公知のスパッタ速度を用いて、表面測定が完了される深さを判断することができる。従って、表面下の深さの関数としてのサンプルの特徴付けは、SIMS、XPS、又はAESを用いて達成することができる。
【0007】
薄い膜の特性を判断するための上述の技術の多くは、侵襲的技術であり、例えば、サンプルの少なくとも1つ又はそれよりも多くの部分を破壊する段階が含まれる。このような技術、例えば、深さプロファイリング中に材料を除去する段階を含むものは、多くの状況、例えば、研究及び開発、製品試験等では十分なものであるが、生産工程で必要であるような薄い膜を迅速に分析する機能を提供しない。例えば、このような生産工程では、形成されている薄い膜は、典型的には、このような薄膜の侵襲的特徴付けによって製品を失うことなく生産管理、製品試験等に分析情報を用いることができるように分析されることが必要である。
【0008】
【特許文献1】米国特許仮出願出願番号第60/698、367号
【特許文献2】米国特許第5、315、113号
【特許文献3】米国特許第3、772、522号
【特許文献4】米国特許第4、048、498号
【特許文献5】米国特許第3、766、381号
【特許文献6】米国特許第4、810、880号
【特許文献7】米国特許出願第11/118、035号
【発明の開示】
【0009】
本発明の実施形態は、超小型電子構造を検査する方法及びシステムに関し、より詳細には、光電子分光法を用いて薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素の深さ分布を検出するためのシステム及び非破壊的方法に関する。
【0010】
また、本発明の実施形態は、超小型電子構造を検査する方法及びシステムに関し、より詳細には、光電子分光法を用いて薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素の分布の重心を検出するためのシステム及び非破壊的方法に関する。
【0011】
また、本発明の実施形態は、薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素を加工及び/又は製造する工程を設計及び/又はモニタする方法に関する。材料の正確な製造制御は、1つ又はそれよりも多くの信頼できる制御パラメータが利用可能である時だけに行うことができる。工程設計、モニタリング、及び制御の際の制御パラメータとして、深さ分布で判断された重心(薄膜/層中で考慮中の元素の質量分布の中心の深さ)と重心及び層の厚みの比率とを用いることができる。このようなパラメータは、特定の薄膜上に加工/製造した素子の電気的特性を正確に予想するものである。例えば、SiON薄膜に対しては、トランジスタ設計では、元素深さ分布で判断された重心と重心及び薄膜の厚みの比率とは、駆動電流、電荷移動度、及び閾値電圧に相関する。更に、判断された重心を用いて、従来の光電子分光法(例えば、XPS測定)により測定される標準用量に適用することができる薄膜内の元素の用量の補正値を計算することができ、それにより用量と電気パラメータの間の相関関係が改善される。所定の元素の用量を用いて、EOT(酸化膜換算膜厚)を予想することができ、従って、工程制御に漏れ電流を用いることができる。用量のXPS測定の精度は、重心情報を用いて有意に改善することができる。
【0012】
光電子分光測定システムでは、電子は、励起の何らかの手段により(例えば、サンプルを所定の元素軌道に対するイオン化エネルギよりも高いエネルギの光子流で照射することにより)特徴的元素からイオン化される。そのエネルギの関数として検出器内でサンプルの表面をある一定の立体角以下で離れるイオン化電子の数を数える。
【0013】
所定の元素軌道からイオン化された電子(電子化学種)は、それが放出されるイオン化原子(内因性損失)、薄膜格子内の原子(バルク散乱)、及び界面での原子(表面散乱)の非弾性散乱相互作用によりエネルギが失われることになるために、広いエネルギ範囲にわたって検出されることになる。
【0014】
バルク及び表面散乱を説明する電子輸送のモデル、並びにその初期エネルギ分布(固有スペクトル)が分った状態で所定の化学種により放出される光電子のエネルギスペクトルを模擬する技術は、数人の著者により開発されて公開されている。
【0015】
光電子エネルギスペクトルは、異なる深さ分布で異なる元素から放出されるいくつかの電子化学種のスペクトルの重ね合わせを含む。各化学種によるエネルギ損失の量は、薄膜内で光電子がどれだけ長く進むかに依存し、すなわち、光電子の発生源の深さに依存する。理論的には、薄膜内の単一の元素の深さ分布が与えられると、固有スペクトル(原子を去る光電子のエネルギ分布)は、測定したエネルギスペクトルからバルク及び表面非弾性散乱の寄与を引くことによってこのような元素の各単一の化学種により放出される光電子のエネルギスペクトルから導出することができる。実際には、測定したスペクトルは、いくつかの元素及びそのいくつかの化学種の重ね合わせを含み、それらがスペクトル中で重ね合わされると、複数の化学種の固有スペクトルを容易に抽出するのに利用可能な数学的方法はない。
【0016】
本発明の一般的な1つの態様では、スペクトルを分析して1つ又はそれよりも多くの化学種のスペクトルの寄与を分離するいくつかの方法(前処理スペクトル)が提供される。
【0017】
本発明の一実施形態は、初期の放出運動エネルギが第1の化学種の運動エネルギよりも大きい異なる化学種から放出される信号(背景スペクトル)と異なる第1の化学種により放出される信号(信号スペクトル)を単離する方法に関する。異なる化学種により放出される光電子は、非弾性散乱によりエネルギを失うことになり、第1の化学種からの光電子と同じ範囲で検出されることになる。従って、検出スペクトルは、背景スペクトル及び信号スペクトルの合計である。
【0018】
本発明の実施形態は、背景スペクトルの独立な測定値を得ることにより、例えば、分析される元素を含まない関連のサンプルと同じバルク/表面特性のサンプル(背景サンプル)に関する光電子スペクトルを収集することにより背景スペクトルを測定スペクトルから引く段階に関する。
【0019】
多くの場合、このような背景サンプルは、容易には利用可能でない。本発明の一実施形態は、1つ又はそれよりも多くの定義パラメータ(厚み、密度・・・)により異なる薄膜に関するいくつかの背景スペクトルを収集して保存する方法に関する。背景スペクトルは、各背景サンプルの間の差(厚み、密度・・・の差)を示すパラメータ空間でこれらのスペクトルの間を補間することによって特定のサンプルのための適切な背景を再構成するのに用いられる。
【0020】
本発明の別の実施形態は、電子輸送理論を用いて主原理から適切な背景スペクトルを再構成する方法に関する。バルク薄膜が構成される背景元素の殆どは、既知又は均一な深さ分布である。従って、高放出運動エネルギの各化学種の固有スペクトルが既知の場合には、全背景スペクトルを再構成して正規化し、これを減算して、未知の深さ分布の化学種により放出される光電子のスペクトルを分離することができる。
【0021】
本発明の一実施形態は、既知の深さ分布の基準ウェーハの組を用いて、複数の化学種のための固有スペクトルを得る方法に関する。本方法は、元素深さ分布が既知の薄膜から光電子エネルギ信号を励起して取得する段階と、強度スペクトルを取得する段階とを含む。強度スペクトルは、運動エネルギ領域(小領域)に細分され、各領域は、同じ元素(同じ深さ分布)の1つ又はそれよりも多くの化学種の放出エネルギピーク/各ピークを含み、各領域は、放出エネルギよりも下の少なくとも最初の20〜40eVまで延びている。各化学種の固有スペクトルは、各エネルギ小領域に対して判断される。固有スペクトルの判断は、最も高い運動エネルギの小領域(初期領域)で開始される。初期領域は、イオン化エネルギが小さい化学種により放出される放射線を含む。この化学種のエネルギスペクトルは、分析する前に背景を減算する必要がない(固定/線形オフセットとして近似することができる迷放射線を除く)。従って、エネルギ部分範囲でのこの化学種に対する固有関数は、あらゆる利用可能な逆畳み込み積分技術(フーリエ変換に基づく逆変換、回帰方法・・・)を用いて抽出することができる。固有関数は、次に、この化学種の全エネルギ領域に外挿される。外挿は、妥当な範囲内でゼロになり、観察と適合する薄膜内の他の化学種を分析するために背景スペクトルを生成するという物理的要件を満たす限り、あらゆる任意の関数の形、例えば、単純多項式当て嵌め又は指数関数を選択することによって実行することができる。次に、最高運動エネルギの化学種の固有関数を用いて、全エネルギ範囲で模擬したスペクトルを再生する。再生したスペクトルは、2番目に高い放出運動エネルギ化学種に対する背景スペクトルであり、従って、測定したスペクトルからこれを引いて処理スペクトルが得られることになる。この処理スペクトルでは、2番目に高い運動エネルギの範囲で放出される化学種は、第1の化学種に対して行ったのと同様に分析することができる。
【0022】
また、本発明の実施形態は、薄膜内の元素に対する分布プロフィールを判断する方法に関する。本方法は、第1の薄膜から光電子エネルギ信号を励起して取得する段階と、電子エネルギに関連する第1の強度スペクトルを取得する段階と、第1のスペクトルから背景スペクトルを除去する段階とを含む。背景スペクトルは、上述したもの、並びに本明細書に説明した方法のいずれかで得ることができる。背景スペクトルを除去すると、処理スペクトルが生成される。本方法は、利用可能な情報のみを捕捉する深さ分布のためのパラメータ化を選択する段階を更に含む。利用可能な情報の意味は、次のように説明することができる。深さ分布は、分布モーメント(重心=第1のモーメント、幅=第2のモーメント、非対称性=第3のモーメント、等)により一意的に識別することができる。非弾性的に散乱した信号は、各々分布モーメントを掛けた深さと非弾性平均自由行程との間の比率の関数として振幅が減少する条件の和として表現することができる。望ましい反復性を有する所定の次数の分布モーメントの検出は、S/N比に依存する。検出するモーメントの次数が高くなれば、良好な信号対ノイズ(S/N)を必要とすることになる。例えば、第1の薄膜内の所定の元素に対しては、S/Nレベルは、第1のモーメント(重心)のみを望ましい反復性で検出することを可能にすることができ、第2の薄膜の元素に対しては、S/Nは、複数の次元の深さ分布を検出することができるようなものである。一実施形態では、深さ分布のパラメータ化は、第1の薄膜に対して、固定形状の分布及び可変重心で選択される。真の深さ分布と簡略化されたものとの間の信号の差は、ノイズに埋没することになり、従って、信号に寄与することにはならない。本発明の一実施形態では、深さ分布のパラメータ化は、適切に選択したパラメータ表示の組から成ることになる。一実施形態では、一様な分布(均一な薄膜)は、ステップ関数の幅で識別され、ピーク様分布は、最大の深さ及び曲線の幅により識別される。一実施形態では、ガウス形分布が、最初の2つのモーメントである幅及び重心を検出するのに用いられる。深さ分布のパラメータ化が選択された状態で、処理スペクトルとパラメータの関数としての模擬スペクトルとの間の差を最小にして深さ分布を見出す。一実施形態では、電子輸送モデル及び仮定深さ分布を用いて模擬スペクトルを得る。次に、シンプレックス法、レーベンバーグ・マルカート法、又は予め計算したエネルギスペクトルのデータベースで最も適合するものの検索のような従来の最小化アルゴリズムを用いて最小化を行う。最小化の結果、薄膜内の元素に対する分布プロフィールに関する情報が生成される。
【0023】
また、本発明の実施形態は、薄膜内の元素に対する分布プロフィールを判断する方法に関する。本方法は、第1の薄膜から光電子エネルギ信号を励起して取得する段階と、電子エネルギに関連する第1の強度スペクトルを取得する段階と、第1のスペクトルから背景スペクトルを除去する段階とを含む。背景スペクトルは、従来の及び本明細書に説明する方法のいずれかで得ることができる。背景スペクトルを除去する段階で処理スペクトルが生成される。本方法は、考慮中の元素の深さ分布をパラメータ化する段階と、化学種に対して独立に測定した固有スペクトルと深さ分布パラメータの関数として処理スペクトルから導かれた固有スペクトルとの間の差を最小にする段階とを更に含む。シンプレックス法、レーベンバーグ・マルカート法、又は予め計算したエネルギスペクトルのデータベースで最も適合するものの検索のような従来の最小化アルゴリズムを用いて最小化を行うことができる。最小にした結果として、第1の薄膜内の元素に対する分布プロフィールが得られる。
【0024】
一実施形態では、分布プロフィールから元素に対する重心が判断される。薄膜内の元素の重心は、薄膜内の元素の濃度の質量中心の深さである。薄膜の物理特性の殆どは、重心の知識により判断することができる。本発明の1つの態様では、重心の値を用いて、薄膜上又は薄膜内に製造された素子の電気特性が予想され、及び/又は素子の製造工程が制御又はモニタされる。
【0025】
また、本発明の実施形態は、実時間で既知の分布プロフィールによってモデル化スペクトルを模擬する方法を提供する。例えば、モンテカルロ法又は他の適切な方法を用いて、統計係数(電子輸送理論では「部分強度−PI」係数として公知である)、所定の化学種の深さ分布特性、及び散乱過程(弾性及び非弾性)を予め計算することができる。PI係数は、まばらな組の深さ分布に対して予め計算され、PI係数データベースに保存される。このような組のPI係数は、関連する深さ分布を定めるパラメータに応じてデータベースに整然とまとめることができる。いくつかの内挿技術、例えば、N次元線形又は高次多項式内挿法を用いてPIを内挿することができる。任意の深さ分布に伴うスペクトルを実時間で模擬する間に、予め計算したPI係数を深さ分布を表現するパラメータ空間に内挿することによって適切なPI係数が見出される。次に、内挿したPI係数を用いて、模擬したスペクトル(例えば、背景スペクトル又は関連の元素に関する信号スペクトル)として用いられるか、又は固有スペクトルを得るために処理スペクトルから引くことができる散乱の寄与を(上述のように)再構成するのに用いられるスペクトルを再構成する。まばらな組の深さ分布に伴う全スペクトルが保存されている場合は同じ種類の内挿法計画を行うことができるが、その場合は、データベースに遥かに大きい保存メモリを必要とすることになる。
【0026】
本発明の別の態様では、元素深さ分布の重心を同じ元素の複数の化学種の減衰から直接抽出する方法を説明する。
【0027】
本発明の別の態様では、サンプル薄膜内の元素に対して分布プロフィール重心を判断する方法が提供される。本方法は、薄膜内の同じ元素の2つの化学種から光電子エネルギ信号を励起して取得する段階と、光電子信号に対して強度比を取得する段階(例えば、SiON中の窒素に対しては、N1s光電子及びNKLLオージェ光電子が獲得される)とを含む。特定の元素(例えば、窒素)の既知の重心の1組のサンプルに対して1組の信号強度の比を得て較正関数を生成する。測定したサンプル薄膜の信号強度の比は、較正関数に相関させ、元素に対する分布プロフィールの重心を判断する。薄膜内の元素の重心は、薄膜内の元素の濃度の質量中心の深さである。薄膜の物理特性の殆どは、重心値を用いることによって判断することができる。本発明の1つの態様では、重心値を用いて薄膜内又は薄膜上に製造された素子の電気特性を予想し、及び/又は素子の製造工程を制御/モニタする。
【0028】
また、深さ分布情報は、例えばARXPSを用いて、異なる放出角度で収集した非散乱電子の強度の減衰から抽出することができる。文献に説明する方法は、深さzで放出されて放出角度θで収集される非散乱電子は、因子:
【0029】
【数1】
【0030】
により減衰されるという仮定に基づいている。粗な深さ分布は、θの関数として測定された減衰と考慮中の元素に対する深さ分布を仮定する期待減衰との間の差を最適化することにより、すなわち、測定した減衰:
【0031】
【数2】
【0032】
を元素深さ分布N(z)の関数として最小にすることによって見出すことができる。このような測定は、全ての電子が材料/真空界面を横切る減衰の角度依存を無視することから生じる系統的な誤差により、及び弾性散乱による角度分散を無視することによって導入される系統的な誤差により影響を受ける。
【0033】
本発明の一実施形態では、本出願人は、様々な収集角度で電子スペクトルを収集し、逆畳み込み技術(例えば、高速フーリエ変換逆畳み込み又はウィーナー博士の逆畳み込み定理等の1つ又はそれよりも多くの技術を用いることができる)を用いてスペクトルからの表面散乱の寄与を排除することによってデータを予備処理し、最小化の前に界面交差による系統的誤差を減算する方法を請求する。考慮中の元素の深さ分布が典型的な弾性散乱長さまで延びるように巧みに処理したサンプルに対しては、結果の精度を改善するために弾性散乱効果を含む予備処理した信号を分析することができる。これは、減衰をモデル化する時に弾性散乱効果を含むことによって為される。角度の関数として測定した減衰と弾性散乱効果を含むモンテカルロシミュレーションにより所定の深さ分布に対して予想される減衰との間の差は、仮定した深さ分布の関数として最小にされる。モンテカルロシミュレーションの最小化速度に対する影響は、上述のように深さ分布をパラメータ化し、パラメータのまばらな組に対して角度の関数として減衰を予め計算し、データベースに保存することによって軽減することができる。特定の深さ分布に必要とされる減衰値は、データベース内挿法により得ることができる。
【0034】
本発明の一部の実施形態では、期待信号を特に測定することもそれを生成させることもなく期待信号を得る技術として、1組の予め測定するか又は予め計算されたスペクトルから内挿法により信号を導出する実施形態を説明した。最小化処理中に生成される信号は、専ら性能指数を計算するのに用いられる。性能指数は、通常は、測定信号と模擬信号の間の差を定量化する単一の数であると定められ、例えば、「平均二乗誤差」は、以下のように定義される。
【0035】
【数3】
【0036】
最小化の問題を解決する別の方法は、最初に、まばらなデータベースに含まれる全ての予め計算された模擬スペクトルに伴う性能指数を予め計算することである(スパース性能指数)。スパース性能指数の予め計算された各値は、深さ分布を一意的に定める1組のパラメータに関連する。スパース性能指数を細かく内挿して、性能指数表面を生成することができる。深さ分布パラメータ空間の表面の最小値は、多くの最小値を探す方法、すなわち、根を判断する方法又は最急降下法の1つにより容易に見出すことができる。その表面の最小値は、関連の元素に対する深さ分布プロフィールを定める。
【0037】
他の実施形態も説明する。本発明の他の特徴及び利点は、一例として本発明の原理を示す添付の図面と共に解釈すると以下の詳細説明から明らかになるであろう。
【0038】
本発明の実施形態は、同じ参照番号が同じ要素を示す添付図面に例示的に示されており、制限するために示すものではない。本発明は、以下の説明及び本発明の実施形態を示すのに用いられる添付図面を参照すると最も良く理解することができる。本発明の開示において、本発明の「実施形態」又は「一実施形態」に言及する時は、必ずしも同じ実施形態である必要はなく、少なくとも1つを意味することに注意すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
例示的な実施形態は、特定の構成及び技術を参照して説明される。特許請求の範囲に留まったままで様々な変形及び修正が作られることは、当業者には認められるであろう。更に、公知の要素、装置、構成要素、回路、及び処理段階等は、詳細には述べない。
【0040】
本発明の実施形態は、薄い膜又は極薄の膜中に堆積した1つ又は複数の元素の深さ分布情報及び/又は重心値を抽出する方法及びシステムに関する。このような薄膜の膜厚は、20nm未満であり、多くの場合10nm未満、更には2nm未満とされることになる。本発明の実施形態は、厚みが約20nm又はそれよりも大きい薄膜の分析にも同様に利用可能であると予想される。本発明の一般的な1つの態様では、薄膜内の元素に対する深さ分布プロフィールが判断される。最初に、サンプル表面の垂線方向に対して1つ又はそれよりも多くの角度で収集された1つ又はそれよりも多くの測定エネルギスペクトル(又は測定エネルギ信号)が収集される。第2に、薄膜内の元素に対して得られる測定エネルギスペクトルの背景を測定エネルギスペクトルから差し引く。用いる背景情報は、選択した組の背景スペクトルを用いて内挿法により得られる。一実施形態では、測定エネルギスペクトルは、X線光電子分光法(XPS)のような光電子分光法システムを用いて得られる。背景を除去した測定エネルギスペクトルは、元素に対する処理エネルギスペクトルと呼ばれる。次に、処理エネルギスペクトルは、モデル化又は模擬したエネルギスペクトル又はエネルギ信号に適合させる。一実施形態では、最適化及び最小化の方法を行い、処理スペクトルを元素に対する分布プロフィールを定める選択パラメータに応じて模擬したスペクトルに適合させる。処理スペクトルと特定の模擬したスペクトルとの間の差が最も小さい時、特定の模擬したスペクトルに関するパラメータによって薄膜内の元素に対する分布プロフィールが得られる。
【0041】
本発明の別の一般的な態様では、元素の深さ分布に対する重心値は、異なる運動エネルギであるが同じ元素(例えば、SiONでは、N1s光電子及びNKLLオージェ光電子の窒素)の放出信号を起源とする信号強度の比率を用いることによって判断される。同じ元素(異なる化学種)であることによる異なる放出線は、異なる運動エネルギを有することになる。異なる運動エネルギを有するために、各化学種からの電子は、薄膜層を交差する時に異なる減衰を受けることになる。電子のエネルギが高ければ、材料を通過する時に低エネルギ電子よりも小さい減衰を受けることになる。例えば、例示的な元素として窒素を考えると、窒素のN1s化学種からの電子は、NKLL化学種からの電子よりも電子エネルギが高い。SiON薄膜内の窒素分布の重心は、N1s/NKLL強度の比率を用いて判断することができる。強度比は、それぞれN1s及びNKLL化学種に対して異なる放出エネルギで、異なる減衰長さλ(N1s)及びλ(NKLL)に依存する。信号が同じ元素で同じ深さ分布のものを起源とするとすれば、信号比は、薄膜の元素の重心に相関する。信号強度の比の組を特定の元素(例えば、窒素)に対する既知の重心の組に対して与え、較正関数を生成する。サンプル薄膜の信号強度の測定した比は、元素に対する分布プロフィールの重心を判断するための較正関数に相関する。
【0042】
この考察を通して、「元素」という用語は、特定の層又は基板の化学組成をいうのに用いることができる。更に、「元素」という用語は、特定の層又は基板に堆積した基本的化学種をいうのに用いることができる。例えば、酸化ハフニウム層は、ハフニウム及び酸素の元素を含み、シリコン酸窒化層は、シリコン、窒素、及び酸素の元素を含む。「電子化学種」又は「光電子化学種」とは、特徴的エネルギを有する電子を意味する。単一の元素は、いくつかの異なる電子化学種を放出することができる。例えば、シリコン基板は、異なる運動エネルギを有する2つの異なる特性電子を放出することができる。1つの電子は、シリコン原子の2p軌道から放出することができ、他の電子は、シリコン原子の2s殻から放出することができる。別の例では、シリコン酸窒化層は、異なる運動エネルギを有する窒素元素に対して2つの異なる特性電子を放出することができる。1つの電子は、窒素原子のN1s軌道から放出することができ、他の電子は、窒素原子のNKLL(オージェ領域)から放出することができる。以降、電子信号は、特定の電子化学種に属する電子の流れを意味する。例えば、「窒素N1s電子信号」は、窒素原子のN1s領域から放出される電子を含む。例えば、「窒素NKLL電子信号」は、窒素原子のオージェ領域又はNKLL領域から放出される電子を含む。以下に説明する実施形態の多くは、層に光子で衝撃を与えると放出される光電子又は電子に言及する。各基本的化学種は、1つ又はそれよりも多くの光電子化学種を放出することができ、これが、光電子信号を含むことができる。電子エネルギ信号は、単一の値を有することができ、スペクトル線で示すことができる。
【0043】
本明細書で用いる場合、特徴付け又は分析とは、分析するサンプルの1つ又はそれよりも多くの特性を判断することを意味する。例えば、特徴付けとは、サンプル又はその一部の分布プロファイリング又は深さプロファイリング、サンプル中の成分の濃度の判断、このような成分の分布、又はサンプルの1つ又はそれよりも多くの他の物理的又は化学的特性、例えば、領域の厚み、領域の結合状態、領域の元素及び化学的組成の判断をいうことができる。本発明は、サンプル薄膜の深さに対する成分(例えば、元素及び/又は化学種)の濃度又は用量を判断するのに特に有利である。
【0044】
この考察を通して、「分布プロフィール」という用語は、一般的に、薄膜に堆積した元素の堆積深さ、堆積プロフィール、堆積幅、及び重心値を意味する。分布の「重心値」又は「重心」は、以下のように定められる。
【0045】
【数4】
【0046】
ここで、N(Z)は、濃度深さ分布、
は深さである。従って、重心は、薄膜内の元素、例えば、SiON薄膜内の窒素の平均深さ、又は、元素の質量中心の深さである。「ドーパント」とは、一般的に、薄膜に堆積する元素(例えば、窒素)を意味する。「用量」とは、一般的に、薄膜中に堆積される元素又はドーパントの数又は濃度を意味する。
【0047】
図1〜図3は、本発明の1つ又はそれよりも多くの実施形態と共に用いることができる例示的な分析システムを示している。図1は、一般的に、サンプル1602の特徴付けに用いることができる例示的な分析システム1600の一実施形態を示している。分析システム1600は、様々な深さプロファイリング、重心判断、及び/又は本発明の実施形態による特徴付け処理の1つ又はそれよりも多くを行うために1つ又はそれよりも多くのプログラム1606の制御下で作動可能な処理システム1604(例えば、コンピュータ装置)を含む。
【0048】
サンプル表面1608を有するサンプル1602は、いずれかの1つ又はそれよりも多くの成分で形成することができ、及び/又は基板1610上に形成することができる。成分という用語は、本明細書では、1つ又はそれよりも多くの元素及び/又は化学種であると定められる。例えば、このような成分は、半導体製造、磁気記憶媒体、又は上述の様々な他の用途のいずれかに用いられる材料を構成する元素及び/又は化学種を含むことができる。言い換えると、例えば、半導体製造においては、サンプルは、酸素、シリコン、炭素、フッ素、二酸化珪素、窒素等で形成される層を含むことができる。
【0049】
処理システム1604は、本発明のある一定の実施形態によりサンプルの特性を判断するためにコンピュータプログラム又はソフトウエア1606を実行するように作動可能な計算システムを含む。処理システム1604は、プロセッサ装置を用いて実行可能なプログラム1606を用いて実施することができるが、使用者がサンプルを特徴付けるのに必要なある一定の機能性を与えるのに他の専用ハードウエアを用いることができる。従って、本明細書で説明する場合、処理システム1604という用語は、様々なソフトウエアルーチンを実行することができるプロセッサ装置に加えて、あらゆる専用ハードウエア又はコンピュータを含む。
【0050】
処理システム1604は、例えば、あらゆる固定又は可搬式コンピュータシステム、例えば、パーソナルコンピュータ、及び/又は本発明により用いられる分析機器の機能的部品又は補足として設けられるあらゆる他の専用計算ユニットとすることができる。コンピュータシステムの正確な構成は、制限的なものではなく、本発明により適切な計算機能及び/又は制御機能を与えることができる殆どあらゆる装置を用いることができる。更に、コンピュータディスプレイ、マウス、キーボード、プリンタのような様々な周辺装置は、処理システム1604のプロセッサ装置と組み合わせて用いるように考えられている。例えば、コンピュータディスプレイプリンタを用いて、深さプロフィール情報、例えば、サンプルの深さでの成分(例えば、元素及び/又は化学種)の濃度を示す深さプロフィール曲線、特定の深さでサンプルを横切る成分の分布、成分のスペクトルなどを表示することができる。
【0051】
本発明による分析システム1600は、X線1614でサンプル1602を照射し、光電子がそれから流出するように作動可能なX線源1612を含む。図1に示すように、X線1614は、サンプル表面1602中に深く侵入し、光電子1616及び1618を励起してサンプル1602から流出させる。
【0052】
また、分析システム1600は、サンプルから流出する光電子1616及び1618を検出するように作動可能な分析装置1620を含む。分析装置1620を用いて、サンプル1602に対する分布プロフィール分析に用いるためにそれを表す信号を生成する光電子を検出する。検出された光電子の強度に適合する分析装置からの信号がコンピュータ装置に供給され、それが、信号に作用して光電子エネルギ情報を生成し、それによって分析する深さでサンプル表面に存在する成分に関する情報を生成する。分析装置システム1600は、従来のXPSシステム、紫外線光電子分光法(UPS)システム、オージェ分光法システム等で置換することができ、又はそれと組み合わせることができる。
【0053】
図2は、本発明のある一定の実施形態に従って特徴付けを実施するように作動可能な分析システム71の一部の例示的な一実施形態をより詳細に示している。サンプル2(先に示すサンプル1602又は他のサンプルとすることができる)を分析するための図2に示す分析機器71は、全体的に図1に示すX線源9、分析装置7、及びコンピュータ装置13の更に詳細な例示的実施形態である。図2は、1994年5月24日にLarson他に付与された「走査法及び高分解能X線光電子分光法及び撮像法」という名称の米国特許第5、315、113号に以前に説明されている。図2の詳細図は、本発明により用いることができるX線源及び分析装置の例示的な実施形態にすぎず、本発明は、それに示すいかなる特定の構成要素にも制限するように解釈されない。
【0054】
図2の計器71は、電子ビーム20をターゲットアノード24の表面22に集束させるための適切な電子レンズシステム18を有する電子銃16を含む。電子銃16は、高電力で大きなビームサイズに対して最適にするように修正された従来の型とすることができる。銃ビーム20は、アノード表面22の選択したスポットに集束させる。スポットは、好ましくは、実用的なほど、例えば約4ミクロンまで小さくされる。アノード表面のスポット上にビーム20が集束させることにより、アノード24から、特に選択されたアノードのスポットからX線27が発生することになる。電子銃は、米国特許第5、315、113号に説明されているような20kVで1ワット〜60ワットにわたって4ミクロン〜50ミクロンの選択可能なビームサイズで作動可能なもののようなあらゆる適切な銃とすることができる。
【0055】
ターゲットアノード24は、望ましいX線放出エネルギ帯域を与えるアルミニウムのようなあらゆる金属で形成することができる。例えば、帯域は、一般的に、実質的に小さなエネルギ幅の線である。好ましくは、ターゲットアノードは、地電圧又はその近くであり、銃カソードは、アノードに対して負の電圧、例えば−20kVで作動され、所定のエネルギの望ましい帯域のX線を含むX線を発生させる。好ましい一実施形態では、選択したエネルギ帯域は、1.4866keVのアルミニウムK−α線である。
【0056】
偏向板28は、電子ビーム20をアノード表面22上の一連のそのようなスポットから選択されたアノード24上のスポットまで電子銃16から選択的に導くか又は照準する。プロセッサ装置76により線80を通じて制御される偏向板制御装置30からの電圧をx及びy軸の両方に配列された偏向板に印加し、ビームの偏向の量を確立し、それによってスポットの位置を選択する。スポットは、静止状態に保つことができる。代替的に、制御装置30は、アノードの平坦な表面を横切って、例えば、アノード表面を横切る一連のアノードスポットの上に集束電子ビーム20をラスタリングすることができ、X線27は、連続的アノードスポットから逐次放出される。例えば、ラスタリング速度は、分散方向に100Hz、非分散方向に10kHzとすることができる。
【0057】
ブラッグ結晶モノクロメータ34は、有利な態様においては、単結晶クォーツであり、アノード24からX線27の一部を受けとるように配置される。モノクロメータは、分析するサンプル表面12上のX線スポットとして望ましいエネルギ帯域、例えば、K−α線でX線36のビームを選択して集束させる結晶配向及び凹面構成35を有する。X線スポットは、サンプル表面12上のアノードのスポットの像である。代替的に、X線スポットのラスタリングを用いて、サンプル表面の望ましい領域を覆うことができる。サンプル2は、有利な態様においては、計器の支持体44に関して手動又は電動式に位置決めするための直交するマイクロメートル位置決め器41を有するステージ40に載せる。サンプル2は、更に大きな表面積を覆う覆いになるように移動することができる。
【0058】
ブラッグ結晶モノクロメータが好ましいが、他の集束装置も適切とすることができる。このような集束装置には、グレージング入射ミラー、フレネルゾーンプレート、及び交互高密度及び低密度材料(例えば、タングステン及び炭素)の合成多層装置を含むことができる。各々の場合で、反射板は、回折X線が試料上に集束するように湾曲している。
【0059】
分析計器71に対する構成要素の適切な配列は、従来のローランド円46に基づいている。この配列では、アノード表面22、結晶34、及びサンプル表面12は、例えば、1973年11月13日にHammond他に付与された「結晶モノクロメータ及びそれに用いられる回折結晶を製造する方法」という名称の米国特許第3、772、522号に教示するように実質的に円上にある。
【0060】
X線36は、光電子52がサンプルの選択した活性ピクセル領域から放出されるようにする。電子エネルギは、一般的に、10eVまでの範囲、通常は約2〜5eVの範囲の低エネルギピークに加えて、化学種(例えば、化学的元素及び/又はその電子結合)に独特の高い運動エネルギピーク又は線を含む。ラスタリングの場合には、固有の光電子は、一連のピクセル領域を横切って変化するあらゆる化学的性質と共に変化し、低エネルギ電子(一般的に「2次電子」として公知)も表面形態と共に変化する。光電子の検出及び/又は分析を用いて、選択されたピクセル領域の又はラスタリングされたアレイを横切るサンプル表面に関する情報を提供する。更に、オージェ電子も存在することができ、これは、本明細書の目的では、X線により引き起こされるために「光電子」という用語に含まれる。
【0061】
本発明の一実施形態では、電子エネルギ分析装置54は、光電子52の一部を受け取る。分析装置は、一般的に、磁気又は静電気のいずれかであり、電子エネルギに従って所定の経路68に及び次に検出装置70に光電子を偏向する公知の又は望ましい種類とすることができる。選択した制御信号、一般的に電気信号(電流又は電圧)は、これを偏向板に与えて偏向の量を確立し、従って、これは、所定の経路に偏向された光電子の選択したエネルギを表している。磁気プリズムのような磁気分析装置では、磁気コイルを通る電流信号が適切に選択され、静電気分析装置では、偏向電圧信号が選択される。
【0062】
有用な種類の静電気エネルギ分析装置の1つは、1977年9月13日にGerlach他に付与された「可変軸線方向開口を備える走査オージェマイクロプローブ」という名称の米国特許第4、048、498号に説明する円筒形型である。図4に示すような好ましい別の実施形態では、分析装置54は、1973年10月16日にWatsonに付与された「サンプルの化学的分析のための荷電粒子分光法の装置及び方法」という名称の米国特許第3、766、381号に説明するような半球型である。更に、分析装置は、分析装置に入力するための静電気レンズのようなレンズシステム56も含む。レンズシステム56は、それを通る中心軸57を有し、それに沿ってシステム56が置かれる。レンズシステム56は、目的関数及び遅延関数を組み合わせて有効ピクセル領域から放出される光電子を収集し、それを望ましい運動エネルギの範囲で分析装置に導くことができる。
【0063】
静電気レンズシステム56は、従来の例えば「Physical Electronics Inc.」から入手可能な「PHI Omnifocus IV(登録商標)」レンズとすることができる。レンズは、供給源62から電圧が印加される直交偏向板の対を含む必要がある。電圧は、プロセッサ装置76を介し、プロセッサ装置の制御下で1次電子ビーム20の位置決め又はラスタリングと協働的に同期して選択、変化、又は振動され、電子の相当な部分がスリット84に到達して分析装置54に入るように軸外光電子を集中化する。
【0064】
対物レンズ機能に対する代替物は、磁気レンズであり、1989年3月7日にGerlachに付与された「直接撮像単色電子顕微鏡」という名称の米国特許第4、810、880号に説明するような液浸レンズ、単一磁極片レンズ、又はシュノーケルレンズとして様々に公知の種類であることが有利である。この対物レンズは、サンプルの下に置かれ、レンズの磁場がサンプル表面から放出された光電子の相当な部分を収集するようにする。これを達成するために、サンプルは、液浸レンズの近くに配置され、レンズシステムを形成する液浸レンズと別の静電気レンズとの間に置かれる。更に一般的には、サンプルは、液浸レンズと分析装置の間に置かれる。磁気レンズは、ラスタリングされる試料表面の部分から放出される電子の収集区画を有することができる。
【0065】
更に、レンズシステムは、「Physical Electronics Inc.」から入手可能な「Omega(登録商標)」レンズに類似する2つの球面グリッドを備える静電気レンズであることが好ましい。このようなレンズシステムは、「Physical Electronics Inc.」から入手可能な「PHI Quantum 2000 Scanning ESCA Microprobe(登録商標)」に用いられる。
【0066】
電圧供給源62から選択した電圧が線69を通じて分析装置の半球64、66を横切って印加されると、選択されたエネルギの電子が分析装置を出て検出装置70に入るように狭い範囲の軌道68を移動する。後者は、従来の多チャンネル検出装置、例えば、僅かに異なる軌道で分析装置を通り過ぎる小さな範囲の電子エネルギを検出するための16チャンネルを有する検出装置とすることができる。ある一定の種類の検出装置に望ましいか又は必要とされるならば、分析装置と検出装置の間に別のレンズ(図示せず)を配置することができる。
【0067】
光電子投入の強度に適合する検出装置70からの信号は、(適切な増幅器(図示せず)を通じて)制御電子機器とコンピュータ処理とを組み合わせる処理ユニット76の分析部分74まで1つ又は複数の線72上を運ばれる。処理により、電子エネルギ情報が供給され、それにより、特定のサンプル表面領域に存在して光電子を放出する成分に関する情報が供給される。
【0068】
情報は保存され、モニタ78に表示され、及び/又は画像、数値、及び/又はグラフの形で印刷される。ディスプレイ(これは、本明細書では処理を含む)をプロセッサからコントローラ30までの線80を通じて電子ビーム誘導手段28、30と協働させることにより、選択されるか又は走査された表面領域にある構成要素のマッピングが実施されて表示される。マッピングにより、選択したピクセル領域位置、又はサンプル表面上のピクセル領域のラスタリングされたアレイに対応するサンプル表面情報が与えられる。
【0069】
2次電子検出装置88及びイオン100を生成する電子銃98のような計器71の他の部分は、米国特許第5、315、113号に説明するように用いられる。
【0070】
本発明によれば、薄い膜の特徴付けに有利に用いるために、レンズシステム56が、改良された高速データ収集のために一定の角度の分析装置角度に位置決めされる。レンズシステム56は、一般的に、中心軸57に沿って光電子受け取り端部59から分析装置54の半球部分に連結された端部まで延びている。
【0071】
分析システム1600(図1)に戻ると、システムは、同じサンプル1602の同じ深さの1つよりも多い電子を励起するように構成される。例えば、システム1600は、サンプル1602の2つの異なる光電子を励起するように構成される。一実施形態では、サンプルは、SiON薄膜を含み、SiON薄膜の励起される電子は、SiON薄膜に堆積した窒素元素に関連する。図1は、分析システム1600が2つの異なる光電子1616及び1618を励起するように構成されることを示している。一実施形態では、光電子1616は、薄膜のN1s領域からのものであり、光電子1618は、薄膜のオージェ(NKLL)領域からのものである。X線源1612は、1つのユニットとして示されているが、サンプル1602に対して2つ又はそれよりも多くの異なる光電子を励起させることができる異なる供給源を含むことができる。
【0072】
システム1600のような分析システムは、本発明の1つ又はそれよりも多くの例示的な実施形態を行うのに特に有用である。例えば、システム1600を用いて、未知のサンプルを分析するのに用いられる較正関数を生成するのに用いられる既知の分布プロフィールのサンプルを測定する。較正関数に対する測定値は、システム1604に保存されて処理される。未知のサンプルを測定する場合には、未知のサンプルの測定値も処理システム1604で処理し、処理システムを通じて与えられる較正関数を用いて内挿される。
【0073】
図3は、本発明のある一定の実施形態に用いることができる別の例示的な分析システム1800を示している。分析システム1800は、システム1600に類似する。システム1600に類似する構成要素の一部に加えて、システム1800は、模擬した分布プロフィールに関する信号スペクトル又は信号値を生成するのに用いることができるモデル化システム1830を含む。システム1600と同様に、システム1800は、X線源1812、分析装置1820、及び処理システム1804を含む。基板1810に形成された薄膜1808を含むサンプル1802は、システム1800を用いて分析することができる。
【0074】
システム1800を用いて、本発明の1つ又はそれよりも多くの例示的な実施形態を実施することができる。一般的に、これらの方法では、サンプル薄膜は、サンプル薄膜(例えば、SiON)中の特定の元素(例えば、窒素)に対する測定スペクトルを処理して模擬スペクトルに比較し、サンプル薄膜内の元素の分布プロフィールを判断することによって分析される。一例では、窒素に対する電子エネルギ信号は、X線をサンプル薄膜1808に送って光電子1816を励起するX線源1812により得られる。分析装置1820は、光電子1816を検出し、光電子1816に関する測定信号強度を生成する。
【0075】
図4は、薄いサンプル膜に堆積した元素の深さ分布プロフィールを判断する概略的な新しい方法を示す例示的な分析方法101を示している。薄いサンプル膜は、基板又は他の薄膜上に堆積するか又は他の方法で形成することができる。オペレーション100では、元素に対する電子エネルギ信号が得られる。元素の信号は、元素のエネルギスペクトルとして表すことができる。元素は、様々な方法を用いてサンプル薄膜に又は基板に堆積される。多くの場合、薄膜に堆積される元素に対しては、元素堆積の深さ、元素の分布、及び/又は薄膜内の分布プロフィールを分析すべきである。ボックス102では、背景除去を行う。ボックス104では、処理電子エネルギ信号が得られる。背景が電子エネルギ信号から除去されると、得られる信号値は、「処理電子エネルギ信号」と呼ばれる。除去された背景には、サンプル薄膜中にあり関連の元素を含まないバルク材料により得られるエネルギ信号が含まれる。背景を除去すると、関連の元素のエネルギ信号のみが単離され、サンプル薄膜中に堆積される元素に対して分析を行うことができる。分布プロフィール判断を開始するために、元素に対して、ボックス106で、シミュレーション分布プロフィールに関するシミュレーションエネルギ信号が処理電子エネルギ信号に適合するまでシミュレーション分布プロフィールを変化(最適化)させる。一実施形態では、シンプレックス法又はレーベンバーグ・マルカート法のような最小化及び最適化アルゴリズムを用いて処理電子エネルギ信号を模擬エネルギ信号に適合させる。処理電子エネルギ信号と特定のシミュレーションエネルギ信号の差が最も小さい時に、適合が得られる。従って、考慮中の元素の分布プロフィールは、ボックス108で、処理スペクトルに最も適合するシミュレーションスペクトルを計算するのに用いたシミュレーション分布プロフィールの1つとして判断される。
【0076】
以下では、例示的な方法101による本発明の様々な態様をより詳細に説明する。図5は、サンプル薄膜に堆積する元素の分布プロフィールを分析する処理201の例示的な実施形態を示している。一実施形態では、分析される関連の元素を備えたサンプル薄膜を有する基板(例えば、ウェーハ)が準備される(ボックス200)。一実施形態では、関連の元素は、SiON薄膜中に堆積異された窒素である。別の実施形態では、同じ薄膜又は他の薄膜中に堆積した他の元素が準備される。本発明の実施形態を用いて、様々な種類のサンプル薄膜中に堆積した多くの元素を分析することができる。
【0077】
サンプル薄膜は、図1〜図3を参照して説明したような分析システムに入れられる。分析システムの例には、XPSが含まれる。薄膜から電子を励起し、電子から放出されるエネルギ又は電子を励起するのに用いられるエネルギから可読な結果を生成することができる他の機器を用いることができる。一実施形態では、サンプル薄膜は、X線で(分析システムに設けられるX線源を用いて)照射されると、それから光電子が流出することになる。流出した光電子は、分析システムに設けられる検出装置で検出される。各エネルギで検出された光電子は、計数され、薄膜を表すエネルギ信号(スペクトル)に変換されて記録される。エネルギ信号は、元素の分析に用いられる。204では、元素に対する測定エネルギ信号又はスペクトルが得られる。
【0078】
次に、212では、測定エネルギ信号/スペクトルが処理される。一実施形態では、測定エネルギ信号/スペクトルを処理する時には、ボックス208に示すように測定エネルギ信号/スペクトルの背景情報206を除去するか又は減算する。背景情報を除去した後、210で処理スペクトルが得られる。
【0079】
216では、処理スペクトルは、サンプル薄膜内の元素の深さ分布プロフィールを判断するのに最適化される。216Aでは、深さ分布は、上述のように、例えば最小化アルゴリズムを用いて、処理エネルギ信号/スペクトルとシミュレーションスペクトルとの間の差を最小にすることによって得られる。処理スペクトルから固有スペクトルを抽出し、既知の分布プロフィールを備える固有スペクトルで最小化を行い、元素の分布プロフィールを判断する。
【0080】
代替的に、216Bでは、説明したように基準固有スペクトルと処理エネルギ信号/スペクトルからの固有スペクトルとの間の差を最小にすることによって深さ分布が得られる。固有スペクトルを用いて、既知の分布プロフィールを備えたシミュレーションスペクトルを生成し、処理スペクトルに対して最小にし、分布プロフィールを判断する。
【0081】
元素に対する分布プロフィールは、218で最小化/最適化処理の結果に基づいて判断される。
【0082】
背景エネルギ信号/スペクトルは、関連の元素以外のサンプル薄膜の元素により、分析中の化学種より高い放出運動エネルギで放出される信号/スペクトルである。一実施形態では、適切な背景エネルギ信号/スペクトルを見出すために、1組の基準薄膜に関する1組の基準背景信号/スペクトルを得る。各基準薄膜は、考慮中の元素が欠如することを除けば同様に処理されて形成されるために、サンプル薄膜に同等である。言い換えると、各基準薄膜は、基準薄膜には関連の元素が堆積されておらず、厚みがサンプル薄膜の厚みと異なるか又は僅かに異なることを除けば、サンプル薄膜と同様である。サンプル薄膜を分析するのに用いられる同じ分析システムを用いて、基準薄膜に対して背景エネルギ信号/スペクトルを得る。サンプル薄膜の厚みに応じて、特定の背景エネルギ信号/スペクトルは、正確な厚みが入手可能であれば、内挿法による組から再構成されるか、又は単に基準背景スペクトルの組から選択されるかのいずれかとされる。
【0083】
図6は、本発明によりサンプル薄膜に対して得られる測定エネルギ信号/スペクトルに対する背景減算法の例示的な実施形態の方法300を示している。302では、様々な基準薄膜に対する基準背景強度スペクトルの組を収集する。基準薄膜は、様々な基準薄膜厚みを有する薄膜を含む。基準薄膜厚みは、1〜50nmの範囲とすることができるが、これは、単に厚みの例示的な範囲である。選択した基準薄膜厚みは、サンプル薄膜等が入ると期待される広範囲に選択した厚みから小規模に選択した厚みまでを含むことができる。一実施形態では、背景強度スペクトルは、上述の分析システム202を用いて得た基準薄膜の光電子エネルギ信号である。基準薄膜に対してとった強度スペクトルは、サンプル薄膜として薄膜の同じ領域からとったスペクトルである。
【0084】
304では、各々がそれぞれの基準薄膜厚みに対応する基準背景強度スペクトルを有する背景の表を生成する。一実施形態では、背景の表は、厚み(又は深さ)の関数として基準薄膜に対する強度スペクトルを含む。背景の表は、サンプル薄膜に比較することができる基準薄膜に対する他の測定可能な値(厚み、用量・・・)を含むことができる。
【0085】
306では、サンプル薄膜に対する厚みが判断される。サンプル薄膜の厚みは、様々な方法を用いて判断することができる。サンプル薄膜の厚みを判断する例示的な1つの方法は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている「光電子分光法を用いる層厚みの判断」という名称の米国特許出願第11/118、035号(代理人整理番号7029.P026)に開示されている。代わりに、薄膜厚みを判断するのに適する他の方法を用いることができることが予想される。サンプル薄膜の厚みを判断することにより、薄膜は、上述のように測定された背景エネルギ信号を有する基準薄膜の組に比較することができる。更に、基準薄膜の厚みも同様の方法を用いて判断される。
【0086】
308では、背景強度スペクトルは、サンプル薄膜から除去される。サンプル薄膜の測定強度スペクトルを背景の表に比較する際には、最初に、サンプル薄膜が、背景の表の基準薄膜の1つと同じ厚みであるか否かを判断する。次に、薄膜厚みが背景の表の基準薄膜の1つに適合する場合には、その特定の基準薄膜(厚みが適合するもの)の背景強度スペクトルを用いてサンプル薄膜からの背景減算を行う。薄膜厚みが未だに背景の表にない場合には、値は、背景の表から内挿するか又は再構成し、サンプル薄膜に対する背景強度スペクトルを導く。従って、サンプル薄膜から減算される背景強度スペクトルは、既に背景の表にある基準背景強度スペクトル又は背景の表を用いて内挿するか又は再構成した値とすることができる。
【0087】
基準薄膜及びサンプル薄膜の厚みは、背景スペクトル内挿法に用いられる属性の1つであるが、薄膜の他の適切な又は有利な属性を用いることができることは認められるものとする。他の適切な属性の例には、濃度、用量、堆積幅、堆積条件、薄膜形成等が含まれる。
【0088】
図7は、それぞれのエネルギ信号を備える基準薄膜の例示的な組に対するスペクトルの例示的な組をグラフを用いて示している。ここに示すスペクトルは、単に説明のためであり、線の形状及び関連データは、基準薄膜の特性に応じて変化する可能性があることは認められるであろう。これよりも多いか又は少ない数のスペクトルを含むことができ、図に示す例示的なスペクトルは、特定の実施形態で実際に実行した少数しか表していない可能性がある。一実施形態では、スペクトルは、特定の薄膜から得られる1組の強度読取値又は強度値から形成される。
【0089】
図7では、x軸402は、薄膜から電子を励起するのに必要なエネルギ又は電子の運動エネルギを表し、y軸404は、基準薄膜から励起されて検出された原子計数又は電子の強度を表している。原子計数又は強度は、各薄膜に対するエネルギ信号を表しており、これをエネルギに対してプロットする。一実施形態では、各基準薄膜に対して勾配スペクトル線を生成する。この図では、6つの(6)基準薄膜に対して得られたエネルギ信号が示されている。基準薄膜の薄膜厚みは、2Å〜30Åの範囲であるが、これは、単に例示的な厚みである。他の厚みを含むこともできる。例えば、2Åでのエネルギスペクトル線は、2Å厚みの基準薄膜に対する信号を示している。基準薄膜厚みが増大すると、原子計数が増大する。この場合、全ての線の勾配は、厚みと共に滑らかに変化することになり、従って、未知の厚みに対する勾配値は、内挿法により得ることができる。厚みX、例えば、ある一定の薄膜厚みの間、例えば5Åと10Åの間に入るサンプル薄膜に対しては、サンプル薄膜に対する背景スペクトルは、例えば、5Å及び10Åの厚みの基準薄膜に対する背景スペクトルを内挿して再構成される。例えば、サンプル薄膜の厚みが5Åと10Åの間に入る場合には、サンプル薄膜に対して構成されたスペクトルエネルギ線は、ほぼ厚みが5Å及び10Åの基準薄膜に対するスペクトルエネルギ線の間に入るものである。厚みXのサンプル薄膜に対して再構成されたスペクトル線は、サンプル薄膜に対する背景減算に用いることができる。
【0090】
図8〜9は、SiONを含むサンプル薄膜に対する例示的な背景減算の結果をグラフにより示している。図8では、スペクトル線602は、背景信号及び窒素元素の信号を含むサンプル薄膜に対する測定エネルギ信号スペクトルを示している。図9では、背景信号は、上述のように減算される。スペクトル線604は、窒素だけによるエネルギ信号を表している。上述のように、減算される背景信号は、サンプル薄膜の薄膜厚みを1組の背景基準薄膜の薄膜厚みに比較することによって判断される。サンプル薄膜に対する背景信号は、背景の表からの基準背景強度スペクトル又は内挿した値を用いて再構成された背景強度スペクトルのいずれかとすることができる。
【0091】
一実施形態では、関連の元素は、シリコン酸窒化(SiON)薄膜に堆積した窒素である。測定エネルギ信号の大部分は、N1s光電子信号の領域にあり、信号の大部分は、SiON薄膜(及びその下の基板)を起源とする非弾性散乱Si(Si2p及びSi2s)光電子領域によるものである。1組の基準背景強度値を模擬するために、一実施形態では、N1s領域を選択する。各基準薄膜に対してN1sエネルギ領域(基準薄膜に窒素がない場合)でSiO2(基準薄膜に窒素が存在しないため)である各基準薄膜に対して測定を行う。次に、測定値は、曲線当て嵌めを行い、特定の薄膜厚みに対してSiO2である各基準薄膜に対するスペクトル線の形状を予想する。スペクトルのSiO2部分は、「汎用背景」と呼ばれる。所定の測定厚みのSiON薄膜に対する汎用背景の組合せは、同一の厚みのSiO2薄膜から当て嵌めて外挿した信号と同一であると見なされる。SiON薄膜上の測定N1s信号領域と対応する同じSiO2厚みの汎用背景との間の差は、純粋に薄膜からの非散乱窒素及び非弾性的に散乱した窒素によるものであると考えられる。更に、背景領域の当て嵌め及び予想は、炭素のような他の可能な表面汚染層を含むこともある。
【0092】
図10は、SiON中の窒素のような元素に対する模擬分布プロフィールの一部の例を示している。模擬分布プロフィール90A、90B、90C、及び90Dが提供されている。これらの模擬分布プロフィールは、説明のためだけに挙げたものであり、他のプロフィールも全く可能である。各分布プロフィール90A、90B、90C、及び90Dは、関連エネルギスペクトルを有する。各プロフィール90A〜90Dに対して、元素の分布プロフィールの濃度は、薄膜に堆積された元素の総濃度の0.1〜総濃度の0.9である。各プロフィール90A〜90Dに対して、堆積した元素の深さは、1Å〜7Åである。分布プロフィールは、各プロフィール90A〜90Dに対して保存される。更に、各プロフィールに対する関連スペクトル線も得られる。サンプル薄膜の処理スペクトル(例えば、スペクトルA)がプロフィール90Aのスペクトル値に適合する場合には、サンプル薄膜の元素は、プロフィール90Aと同様に分配されると期待することができる。サンプル薄膜の処理スペクトル(例えば、スペクトルA)がプロフィール90Bのスペクトル値に適合する場合には、サンプル薄膜の元素は、プロフィール90Bと同様に分配されると期待することができる。様々な分布プロフィールを生成して模擬することができる。更に、関連スペクトル線を求め、データベースに保存する。処理800のような処理では、データベースから特定の分布プロフィールを引き出し、上述のように比較を行う。一実施形態では、特定の分布プロフィールを選択して処理スペクトルと比較する段階は自動化され、及び/又は処理スペクトルに対して適合するものが見つかるまで継続される。
【0093】
図11は、同じ元素の信号強度の比を用いる特徴付け処理105を示している。処理105の一実施形態では、電子エネルギ信号は、103で薄いサンプル膜中の元素に対して得られる。元素の測定エネルギ信号に対する比は、110で得られる。同じ元素から少なくとも2つの異なる電子化学種が得られる。サンプル薄膜の分析には、同じ元素の2つ又はそれよりも多くの異なる電子化学種からの元素に対する測定エネルギ信号を利用する段階が含まれる。一例では、元素は窒素であり、サンプル薄膜は、シリコン酸窒化薄膜である。窒素元素に対して2つの異なる特性電子が放出され、互いに異なる運動エネルギを有する。一実施形態では、放出される電子の1つは、「N1sエネルギ信号」と呼ばれる窒素原子のN1s軌道からのものであり、放出される別の電子は、「NKLLエネルギ信号」と呼ばれる窒素原子のNKLL(オージェ領域)からのものである。一実施形態では、元素の2つの測定エネルギ信号の比は、薄膜内の元素の重心を示している。112では、エネルギ信号比は、較正関数に比較して、サンプル薄膜内の元素に対する分布プロフィールを判断する。
【0094】
図12は、薄膜(例えば、SiON)中の元素(例えば、窒素)の重心を判断する例示的な方法1400を示している。方法1400では、この分析に対して、同じ基本的化学種に対する2つの異なるエネルギ信号の比が用いられる。一実施形態では、関連の元素は窒素である。この実施形態では、分析に対して、N1s領域及びNKLL(オージェ)領域での窒素に対するエネルギ信号を用いる。更に、本発明の範囲を逸脱することなく他のエネルギ信号を用いることができる。
【0095】
1402では、ウェーハが準備される。ウェーハは、分析される元素を備えたサンプル薄膜を含む。例えば、ウェーハは、薄膜SiONがその上に形成された半導体基板であり、元素窒素が分析される。ウェーハは、1404で分析システム、例えば、上述のXPSに入れられる。1406では、SiON薄膜の窒素に対して2つのエネルギ信号が得られる。1408では、エネルギ信号を処理する。エネルギ信号は、サンプル薄膜から励起されたエネルギの信号に関係のないあらゆる背景騒音又は他の情報を除去するために処理される。1410では、元素に対して信号強度比を計算する。N1s領域での窒素に対する信号強度は、「I(N1s)」と表され、NKLL領域での窒素に対する信号強度は、「I(NKLL)」と表される。信号強度に対する比は、R(サンプル)と表される。比R(サンプル)は、以下のように表すことができる。
R(サンプル)=I(N1s)/I(NKLL) (1)
【0096】
N1s化学種でのエネルギ信号とNKLL化学種との比は、少なくとも次の理由で重心判断に有用である。2つの異なるエネルギ信号は、SiON薄膜を進む時に異なって減衰する。例えば、N1s化学種からのエネルギ信号の減衰は、NKLL化学種からのエネルギ信号の減衰に比較して遥かに小さい。この理由の1つは、特定の深さを起源とするために、N1s化学種は、NKLL化学種に比較して高い運動エネルギで放出され、従って、放出エネルギが小さいNKLL化学種に対するエネルギに比較して信号の減衰が小さいことである。N1s及びNKLL領域からのエネルギ信号の比は、窒素元素の深さが変化する時に変化する。従って、信号強度の比の重心の位置に対する依存性は、以下のように表される。
I(N1s)/I(NKLL)〜e-tc/λ(N1s)/e-tc/λ(NKLL) (2)
【0097】
ここで、「tc」は、元素の重心値であり、「λ」は、特定の領域での元素の減衰長さである。従って、λ(N1s)は、N1s化学種からの窒素の減衰長さであり、λ(NKLL)は、NKLL化学種からの窒素の減衰長さである。減衰長さ値は、既知であるか又は判断することができる。
【0098】
従って、これらの比により、サンプル薄膜内の元素の重心を抽出することができる。元素に対する他の領域のエネルギ信号を用いることができることも予想される。一実施形態では、SiON薄膜内の窒素の重心を判断するために、較正関数が与えられる。1412では、SiON薄膜内の様々な既知の重心値の窒素に対する強度比の組が与えられる。様々な重心で堆積した窒素に対する信号強度の比が得られる。信号強度の比は、図13に示すように、薄膜内の元素の深さ分布の重心に従って変化する。1414では、元素の信号強度比を様々な深さの窒素に対する強度比の組に比較して、サンプル薄膜内の窒素の重心を判断する。
【0099】
1416では、サンプル薄膜内の窒素のドーパント補正及び/又は判断を行う。XPS又はオージェ分光法が用いられる実施形態では、サンプル薄膜の表面の約10nmのみを測定することが多い。サンプル薄膜内の元素の分布の平均深さにより、薄膜成分の記録された原子濃度又は用量に何らかの解釈誤差が導入される場合がある。薄膜ドーパント(元素堆積)の平均深さが表面である場合には、測定信号の減衰を考慮に入れる必要はない。一方、同じ原子数の元素の平均深さ(重心)が例えば3nmであり、電子減衰長さλが3nmである場合には、放出電子信号(e-tc/λ)の僅かな部分のみが検出されることになる。記録された用量又は原子濃度の結果の精度を改善するために、関連の元素の測定信号強度は、係数1/e(-tc/λ)により補正する必要があることになる。
【0100】
関連の元素の深さ分布が一様であると仮定して行った標準XPS用量の判断を補正するために、以下の補正係数を用いる。
【0101】
【数5】
【0102】
補正係数において、T=薄膜の厚み、λ(E(Si2p))SiO2=SiO2中のSi2p化学種の減衰長さ、及びλ(E(N1s))SiO2=SiO2中のN1s化学種の減衰長さである。
【0103】
図13は、例示的な較正グラフ1500を示している。x軸は、重心値を表し、y軸は、信号強度に対する比の値を表している。比の値は、関連する重心値に対してプロットされている。強度比に対する重心値は、上式(2)を用いて判断することができる。更に、較正関数、例えば、線形回帰関数も得ることができる。例えば、グラフ1500のための較正関数は、y=mx+b(ここで、「m」は線の傾きであり、「b」はy切片である)として表すことができる。特定のサンプル薄膜では、上述のように強度比が判断されると、重心値は、重心=x=(y−b)/mとして線形方程式から得ることができる。
【0104】
本発明の他の実施形態は、第1の化学種から放出される信号(信号スペクトル)を初期放出運動エネルギが第1の化学種の運動エネルギよりも大きい異なる化学種から放出される信号(背景スペクトル)から単離する方法に関する。異なる化学種により放出される光電子は、非弾性散乱を通してエネルギを失うことになり、第1の化学種からの光電子として同じエネルギ範囲に検出されることになる。検出されるスペクトルは、背景スペクトル及び信号スペクトルの合計である。背景スペクトルを測定スペクトルから減算する1つの方法は、背景スペクトルの独立な測定値を得ることであり、すなわち、分析する元素を含まない関連のサンプルと同じバルク/表面特性を備えたサンプル(背景サンプル)上に光電子スペクトルを収集することによるものである。
【0105】
多くの場合、このような背景サンプルを調製するのは困難である。本発明の一実施形態は、電子輸送理論を用いる主原理から背景スペクトルを再構成する方法に関する。バルクを構成する背景元素の殆どは、既知の(又は一様な)深さ分布を有し、従って、各化学種に対する固有スペクトルが高放出運動エネルギで与えられれば、全背景スペクトルは、再構成、正規化、及び減算されて、未知の深さ分布の化学種により放出される光電子のスペクトルを単離することができる。
【0106】
例えば、図14を参照すると、薄膜は、ハフニウム(Hf)、シリコン(Si)、及び窒素(N)を含むことができる。一例では、窒素は、関連の元素である。一例では、薄膜の総スペクトルに対して、約1250KEのピークは、ハフニウムのHf4fのピークであり、約1050KEの別のピークは、シリコンのSi2pのピークであり、約850KEの別のピークは、シリコンのSi2sのピークであり、約800のピークは、窒素のN1sのピークである。本明細書に示すように、ハフニウムのHf4f、及びシリコンのSi2p、及びSi2sのスペクトル線(又はスペクトル)は、窒素N1sのスペクトル線(スペクトル)の背景に寄与する。従って、N1s領域からの信号のみを分析して単離するためには、Hf4f、Si2p、及びSi2sに特定のスペクトルを除去すべきである。適切な基準薄膜が存在しない場合には、背景スペクトル線は、本発明の1つ又はそれよりも多くの例示的な方法を用いて模擬することができる。
【0107】
図15は、図14に示す薄膜と同様の薄膜のような薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素を分析する方法を示す例示的な方法2200を示している。薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素は、薄膜内の別の元素に対する背景材料になる可能性がある。方法2200では、1つの元素のスペクトルを最初に得て、次に、それを別の元素に対する背景スペクトルとして用いる。一実施形態では、最も高い運動エネルギ(KE)を示す化学種を最初に分析し、それを全ての他の低い放出運動エネルギ化学種に関連するスペクトルに対する背景として用いる。図14に示す例では、Hf4fスペクトルが最初に分析されて再構成されることになる。最も高い放出運動エネルギの化学種であるので、その背景は、線形当て嵌めで近似することができる単なる残留放射である。Hf4fスペクトル領域のみを含むスペクトルの小領域を選択し、それを用いて、N1sの例で上述のようにHf4f深さ分布を判断する。Hf4fスペクトル深さ分布を判断する段階は、それが、Hf4fスペクトルがバルクの均一な材料の一部である場合のように既に既知である場合は省くことができる。Hf4f深さ分布が与えられれば、測定したスペクトルに収集された全エネルギ範囲にわたって適切に正規化したものを減算した後に模擬スペクトルを生成することができる。減算スペクトルは、この時点で、残りの化学種、この例ではN1s、Si2p、及びSi2sのスペクトルの重ね合わせとされることになる。次に高い放出運動エネルギ化学種に対して同じ処理を繰り返すことができる。
【0108】
代替的に、各化学種の深さ分布は、各化学種に対して模擬したスペクトルを重ね合わせることによって得られる全測定スペクトルと模擬スペクトルとの間の差を最小にすることにより、N1sの例で説明したものと同様な最適化方法で同時に見出すことができる。全スペクトルが分析されるので、最も高い放出運動エネルギ化学種から始めると、放出運動エネルギが高い化学種から背景スペクトルを減算する必要がない。
【0109】
全スペクトル分析を実施するために、分析中のスペクトルに存在する各化学種に対して固有値を判断する必要がある。これを行うために、全ての化学種の深さ分布が既知である1組の基準ウェーハが必要である。例えば、ベアSiウェーハを用いてSi金属固有スペクトルを抽出することができ、純HfO2ウェーハを用いてHf4f Hf 4d、Hf4p固有値及びO2s、O1s等・・・を判断することができる。図16を参照すると、各基準ウェーハに対して、701では、最も高い放出運動エネルギ線のスペクトルのみを含むエネルギ領域を選択する。703では、そのエネルギ範囲にわたってその化学種に対する固有スペクトルを計算し、低エネルギでは線形的にゼロまで外挿する。705では、703で見出された固有スペクトル及びその元素に対する既知の深さ分布を用いて全エネルギ範囲のスペクトルが生成される。707では、再構成されたスペクトルを測定されたスペクトルから減算し、次の化学種のための背景減算スペクトルを得る。次に高い運動エネルギ化学種に対して背景減算スペクトルに同じ手順を繰り返す。図16に説明する実施形態で基準ウェーハを分析して見出された固有スペクトルを用いて、上述のようにサンプル薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素の未知の深さ分布を判断することができる。回帰中に実時間で模擬スペクトル又は各模擬スペクトルを生成する処理は、時間を消費する可能性がある。この困難な点を克服するために、各スペクトルに対してPI係数を予め計算し、PI係数を用いてスペクトルを再構成することができる。
【0110】
一実施形態では、実時間で既知の分布プロフィールを有するモデル化スペクトルを模擬する方法が提供される。所定の化学種の深さ分布に固有のPI係数及び散乱処理(弾性及び非弾性)は、例えば、モンテカルロ法又は他の適切な方法を用いて予め計算される。PI係数は、深さ分布のまばらな組に対して予め計算され、PI係数データベースに保存される。PI係数のこのような組は、関連する深さ分布を定めるパラメータの機能としてデータベース内に編成することができる。任意の深さ分布に関連するスペクトルの実時間のシミュレーション中に、適切なPIは、深さ分布を示すパラメータの空間に予め計算したPIを内挿することによって見出すことができる。次に、内挿したPI係数を用いて、模擬スペクトル(例えば、背景スペクトル又は関連の元素に関する信号スペクトル)として用いられるスペクトルを再構成するか、又は(上述のように)処理スペクトルから減算し、固有スペクトルを得る散乱の寄与を再構成する。深さ分布のまばらな組に関する全スペクトルが保存されていれば、同じ種類の内挿方式を行うことができるが、それには、データベースに遥かに大きな記憶メモリを必要とすることになる。
【0111】
本発明の実施形態は、ある一定の酸化物層の特徴付けに特に有利である。例えば、このような酸化物層は、酸化珪素層、オキシナイトライド薄膜、窒化酸化物層、シリコン酸窒化(ONO)薄膜などを含むことができる。例えば、このような酸化物層は、約10ナノメートル未満、更には2ナノメートルの厚みの薄い膜として形成し、電界効果トランジスタ(FET)のような半導体素子の製造でゲート酸化物に用いることができる。このようなトランジスタは、プロセッサ装置、記憶装置などを含む様々な集積回路装置に用いられる。本発明はまた、薄い埋め込み領域の形状及び用量を正確な量的結果及び化学組成情報で測定するのに有利である。例えば、シリコン基板は、半導体素子を形成する時にBF2を埋め込むことができる。本発明を用いて、埋め込みシリコン基板サンプルを深さプロファイリングすることにより、このように形成されて組み込まれた薄い層又は領域の特徴を示すことができる。
【0112】
また、本発明の実施形態は、上述のようにサンプル薄膜内又は薄膜上に形成された素子の電気的性能又はパラメータを予想するのに用いることができる。図17は、サンプル薄膜5004中の元素の分布プロフィール、厚み、及び/又は重心値を用いて予想された電気製品性能を用いる例示的な処理5000を示している。サンプル薄膜5004は、ウェーハのような基板サンプル5002上に形成することができる。サンプル薄膜5004中の元素の分布プロフィール、厚み、及び重心値は、上述のように判断することができる。一実施形態では、サンプル薄膜5004は、上述のように、分布プロフィール、厚み、及び重心値を判断するためにプロファイリングシステム5006を通過させる。プロファイリングシステム5006から得られる値は、次に、予想製品性能分析システム5008に渡される。ここでは、次に、元素の分布プロフィール、元素の重心値、及び薄膜厚みを用いて、サンプル薄膜内又は薄膜上に形成されることになる素子の電気パラメータを予想する。例えば、素子の駆動電流及び閾値電圧は、元素に対する重心値を用いて予想され、「予想電気パラメータ」を生成することができる。予想電気パラメータは、次に、製造工程コントローラ5010に供給され、処理パラメータをそれに応じて又は望ましい製品性能に応じて制御、モニタ、及び/又は修正することを可能にすることができる。例えば、サンプル薄膜を形成するための温度、圧力、時間、厚み、用量等・・・は、重心/厚み値を用いて望ましい結果を達成するためにモニタ及び/又は修正することができる。従って、重心/厚みのような無次元値を用いて、特定の電気パラメータに相関させることができる。従って、薄膜の電気パラメータは、プロファイリングシステムから得られる結果を用いて予想、モニタ、制御、又は修正することができる。製造工程コントローラ5010は、この情報を用いて、素子製造に用いられる堆積、埋め込み、又はエッチング処理を制御するようにシステム内の他の処理(ボックス5012)を制御することができる。
【0113】
図18は、サンプル薄膜5004中の元素の分布プロフィール、厚み、及び/又は重心値を用いた予想電気製品性能を用いる例示的な処理5001を示している。上述の場合のように、サンプル薄膜5004は、ウェーハのような基板サンプル5002上に形成することができる。サンプル薄膜5004中の元素の分布プロフィール、厚み、及び重心値は、上述のように判断することができる。一実施形態では、X線源5006を備えたXPSシステムのような光電子システムを用いて、上述のように分析するためにサンプル薄膜5004から光電子を励起する。分析装置5008を用いて、上述のようにサンプル薄膜5004を分析する。次に、上述のように、分布プロフィール、厚み、及び重心値の判断のような分析を行うためにデータをプロファイリングシステム6000に通す。
【0114】
プロファイリングシステム6000では、上述のように、強度比判断、分布プロフィール及び重心値判断のような分析を行う。一実施形態では、元素に対する信号強度が得られ、強度比が生成される。この比は、上述のように、元素の重心値を判断するために較正関数に相関される。別の実施形態では、元素に対する測定スペクトルが得られる。上述の方法のいずれかを用いて背景減算を行い、処理スペクトルを得る。最小化及び最適化(適切なパラメータを用いて模擬スペクトルを模擬する)を次に行い、上述の方法を用いて元素に対する分布プロフィールを判断する。重心値も導くことができる。
【0115】
プロファイリングシステム6000から得られる値は、次に、予想製品相関システム7000に渡される。ここで、この値は、温度、時間、圧力、厚み、及び電気パラメータのようなパラメータに相関される。次に、元素の分布プロフィール、元素の重心値、及び薄膜厚みを用いて、上述のようにサンプル薄膜内又は薄膜上に形成されることになる素子の電気パラメータを予想することができる。例えば、元素に対する重心値を用いて素子の駆動電流及び閾値電圧を予想し、予想電気パラメータを生成することができる。次に、予想電気パラメータを製造工程コントローラ8000に供給し、それに応じて又は望ましい製品性能に応じて処理パラメータを制御、モニタ、及び/又は修正することを可能にすることができる。例えば、重心/厚み値を用いてサンプル薄膜を形成するための温度、圧力、時間、厚み、用量等・・・をモニタ及び/又は修正し、望ましい結果を達成することができる。更に、重心/厚みのような無次元値を用いて、特定の電気パラメータに相関させることができる。従って、薄膜の電気パラメータは、プロファイリングシステムから得られる結果を用いて予想、モニタ、制御、又は修正することができる。製造工程コントローラ8000は、この情報を用いて、素子製造に用いられる堆積、埋め込み、又はエッチング処理を制御することのようなシステムの他の処理(ボックス9000)を制御することができる。
【0116】
以上の説明から当業者には認識されるように、サンプルは、多くの異なる形態の1つを取ることができる。例えば、サンプルは、基板上に形成された層とすることができ、又は基板内に形成された領域とすることができ、並びに本発明によって特徴を判断すると利益が得られると考えられる材料で形成されたあらゆる他のサンプルとすることができる。従って、本発明は、本明細書に挙げた特定の材料又は構造に限定されるように解釈されないものとする。しかし、本発明は、ある一定の薄い膜、例えば、ゲート酸化物層のようなゲート誘電体層の特性を判断するのに特に有利である。
【0117】
本発明をいくつかの実施形態に関して説明したが、本発明は、説明した実施形態に限定されないことを当業者は認識するであろう。むしろ、本発明の方法及び装置は、特許請求の範囲の精神及び範囲内で修正及び変更して実施することができる。従って、以上の説明は、限定的ではなく例示的であると見なされるものとする。
【0118】
例示的な実施形態を開示したが、特許請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲内に留まりながら開示した実施形態に修正及び変形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明のある一定の実施形態に用いることができる例示的な分析システムを示す図である。
【図2】本発明のある一定の実施形態に用いることができる例示的な分析システムを示す図である。
【図3】本発明のある一定の実施形態に用いることができる例示的な分析システムを示す図である。
【図4】薄膜内の元素の分布プロフィールを分析する例示的な処理を示す図である。
【図5】サンプル薄膜内の元素の分布プロフィールを判断する例示的な方法を示す図である。
【図6】サンプル薄膜内の元素の分布プロフィールを判断する別の例示的な方法を示す図である。
【図7】サンプル薄膜に用いられることになる背景スペクトルを判断する例示的な方法を示す図である。
【図8】背景減算法をグラフ的に示す図である。
【図9】背景減算法をグラフ的に示す図である。
【図10】例示的な可能な分布プロフィールを示す図である。
【図11】強度比を用いて薄膜内の元素の重心値を判断する例示的な方法を示す図である。
【図12】強度比を用いて薄膜内の元素の重心値を判断する例示的な方法を示す図である。
【図13】信号強度比を用いてサンプル薄膜中に元素の分布プロフィールの重心値を判断する方法に用いることができる較正曲線を示す図である。
【図14】薄膜内の複数の元素を表す複数の電子信号を有する例示的なスペクトルを示す図である。
【図15】背景減算のための模擬スペクトルを用いて1つ又はそれよりも多くのスペクトルを模擬する例示的な方法及び薄膜内の複数の元素を分析する方法を示す図である。
【図16】背景減算のための模擬スペクトルを用いて1つ又はそれよりも多くのスペクトルを模擬する例示的な方法及び薄膜内の複数の元素を分析する方法を示す図である。
【図17】本発明の1つ又はそれよりも多くの実施形態による例示的な処理を示す図である。
【図18】本発明の1つ又はそれよりも多くの実施形態による例示的な処理を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
1600 分析システム
1602 サンプル
1604 処理システム
1608 サンプル表面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素から励起された電子エネルギに関連する第1のスペクトルを取得する段階と、
前記第1のスペクトルから背景スペクトルが除去された処理スペクトルを取得する段階と、
前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する元素分布プロフィールに応じて模擬スペクトルを最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記処理スペクトルを前記模擬スペクトルに適合させる段階と、
前記適合化及び最小化に基づいて前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する重心値を判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する用量レベルを判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階、及び
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階、
の少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する重心値を判断する段階と、
前記サンプル薄膜の厚みを判断する段階と、
前記サンプル薄膜に対する前記重心値及び前記厚みの比を取得する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される1つ又はそれよりも多くの素子に対する1つ又はそれよりも多くの電気パラメータのモニタリング、予想、及び制御のうちの1つを実行する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のスペクトルから除去された前記背景スペクトルは、再構成された背景スペクトルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記再構成背景スペクトルは、複数の元素と該元素に関連する複数のそれぞれのいくつかの化学種との重ね合わせを含む測定スペクトルから抽出されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記処理スペクトルを取得する段階は、
前記サンプル薄膜に同等であり、かつ前記元素をそこに堆積させていない薄膜から、各々が該薄膜を取り巻く選択したパラメータに関連する値を有する1組の背景値スペクトルを取得する段階と、
前記選択されたパラメータに応じて前記背景スペクトルを含む背景表を生成する段階と、
(a)前記サンプル薄膜に適合する選択されたパラメータを有する前記背景スペクトルの組から選択された背景スペクトルを選択する段階、及び(b)前記背景表及び該選択したパラメータを用いて背景スペクトルを内挿する段階の一方を含む、該サンプル薄膜を取り巻く該選択されたパラメータに基づいて該サンプル薄膜に用いられる背景値を選択する段階と、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のスペクトルは、一定の放出角度で光電子分光法システムを用いて得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のスペクトルは、0〜45度の範囲から選択される一定の放出角度で光電子分光法システムを用いて得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のスペクトルは、光電子分光法システムを用いて得られ、
前記第1のスペクトルは、各測定が一定の放出角度で行われる複数の放出角度での複数かつ同時の測定から選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化する段階及び前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、該模擬スペクトルを生成するのに用いられる1つ又はそれよりも多くのパラメータを規定する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ又はそれよりも多くのパラメータは、信号対ノイズ分析に基づいて選択されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化する段階及び前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、該模擬スペクトルに対して予め計算した性能指数を最小にする段階及び性能指数表面から内挿法による最小化を判断する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
各々がサンプル薄膜に対するバルク材料を構成する1組の基準薄膜に対する1組の基準背景強度スペクトルを、該基準薄膜を取り巻く選択したパラメータに応じて収集する段階と、
前記サンプル薄膜に対する測定強度スペクトルから背景強度スペクトルを除去して処理スペクトルを生成する段階と、
を含み、
前記サンプル薄膜には、そこに関連の元素を堆積させており、
除去される前記背景強度スペクトルは、(a)前記サンプル薄膜に適合する前記選択したパラメータを有する前記基準背景強度スペクトルに対して収集された基準背景強度スペクトル、及び(b)前記基準背景強度スペクトルの組から内挿した背景強度スペクトルのうちの一方である、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記選択したパラメータは、薄膜厚みを含み、前記基準背景強度スペクトルの組は、薄膜厚みに応じて収集され、
除去される前記背景強度スペクトルは、(a)前記サンプル薄膜の薄膜厚みに適合する薄膜厚みを有する前記基準背景強度スペクトルに対して収集された基準背景強度スペクトル、及び(b)該サンプル薄膜に対する薄膜厚みを用いて前記基準背景強度スペクトルの組から内挿した背景強度スペクトルのうちの一方である、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
模擬強度スペクトルを前記サンプル薄膜内の前記元素に対する模擬プロフィール分布に応じて最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記処理スペクトルを前記模擬強度スペクトルに適合させる段階と、
前記最適化する段階及び適合させる段階に基づいて、前記サンプル薄膜内の前記元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
自動化されていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記適合させる段階は、模擬分布プロフィールに応じて前記模擬強度スペクトルを自動的に最適化し、前記処理スペクトルを該模擬強度スペクトルに適合させる段階と、適合又は接近した適合が得られるまで該最適化して適合させる段階を繰り返す段階とを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階と、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する用量レベルを判断する段階と、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階と、
前記サンプル薄膜の厚みを判断する段階と、
前記サンプル薄膜に対する前記重心値と前記厚みとの比を取得する段階と、
前記サンプル薄膜内に形成されるか又は薄膜上に形成される1つ又はそれよりも多くの素子に対する1つ又はそれよりも多くの電気パラメータをモニタする段階、予想する段階、及び制御する段階のうちの1つを実行する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記基準背景強度スペクトルの組は、一定の放出角度で前記基準薄膜の組に対して測定する光電子分光法システムを用いて収集され、
前記測定強度スペクトルは、前記一定の放出角度で前記サンプル薄膜に対して測定する前記光電子分光法システムを用いて収集される、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項21】
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化し、前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、該模擬スペクトルを生成するのに用いる1つ又はそれよりも多くのパラメータを規定する段階を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ又はそれよりも多くのパラメータは、信号対ノイズ分析に基づいて選択されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化し、前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、該模擬スペクトルに対して予め計算された性能指数を最小にし、性能指数表面からの内挿によって最小化を判断する段階を更に含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
サンプル薄膜に堆積した元素の少なくとも2つの電子エネルギを励起させる段階と、
前記元素に対する第1の電子エネルギ値及び第2の電子エネルギ値を表す前記電子エネルギに関連する第1の強度値及び第2の強度値を含む、該電子エネルギに対する強度比の値を取得する段階と、
前記サンプル薄膜に同等である基準薄膜内の前記元素の重心に応じて1組の強度比の値に関連する相関関数に前記強度比の値を相関させる段階と、
前記相関させる段階に基づいて、前記サンプル薄膜内の前記元素の重心を判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
既知の重心値を有して前記基準薄膜の各々に堆積した前記元素から前記2つの電子エネルギを励起させることにより、該元素に対する前記強度比の値の組を取得する段階と、
重心に応じて前記元素に対する前記強度比の値を発生させる段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する用量レベルを判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する用量レベルを補正する段階、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階、及び
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する前記重心値を用いて、該サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階、
のうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
光電子分光法システム用いて、かつ一定の放出角度を用いてサンプル薄膜内の元素に対する強度スペクトルを取得する段階と、
前記強度スペクトルを用いて前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断し、その点で方法が該サンプル薄膜に対して非破壊的である段階と、
前記重心値を前記サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの電気パラメータに相関させる段階と、
前記サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの製造工程をモニタする段階、該サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの電気パラメータを制御する段階、該サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの製造工程を調整する段階、該サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの製造工程を予想する段階、及び前記判断された重心値に基づいて前記元素の用量を判断して補正する段階のうちの少なくとも1つを実行する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
各々が放出運動エネルギを有する複数の化学種によって放出される信号を有し、かつ複数の小領域を覆う、薄膜に対する測定スペクトルを取得する段階と、
第1の所定の小領域で最も高い放出運動エネルギを有する第1の化学種に対する固有関数を取得する段階と、
前記最も高い放出運動エネルギを有する前記第1の化学種に対して、前記測定スペクトルの全ての小領域を覆う完全な第1のスペクトルを再構成し、これが前記固有関数及び外挿方法を用いて達成される段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
2番目に高い放出運動エネルギを有する第2の化学種に対する背景スペクトルとして前記完全な第1のスペクトルを用いる段階、
を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記背景スペクトルを前記測定スペクトルから減算する段階と、
第2の所定の小領域で前記第2の化学種に対する第2の固有関数を取得する段階と、
2番目に高い放出運動エネルギを有する前記第2の化学種に対して、前記測定スペクトルの全ての小領域を覆う完全な第2のスペクトルを再構成し、これが前記第2の固有関数及び前記外挿方法を用いて達成される段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記薄膜内の前記第1の化学種に関連する第1の元素に対する模擬プロフィール分布に応じて模擬強度スペクトルを最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記完全な第1のスペクトルを前記模擬強度スペクトルに適合させる段階と、
前記最適化する段階及び適合させる段階に基づいて前記薄膜内の前記第1の元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記薄膜内の前記第1の元素に対する重心値を判断する段階と、
前記薄膜内の前記第1の元素に対する用量レベルを判断する段階と、
前記薄膜内の前記第1の元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階と、
前記薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記薄膜内の前記第2の化学種に関連する第2の元素に対する模擬プロフィール分布に応じて模擬強度スペクトルを最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記完全な第2のスペクトルを前記模擬強度スペクトルに適合させる段階と、
前記最適化する段階及び適合させる段階に基づいて前記薄膜内の前記第2の元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記薄膜内の前記第2の元素に対する重心値を判断する段階と、
前記薄膜内の前記第2の元素に対する用量レベルを判断する段階と、
前記薄膜内の前記第2の元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階と、
前記薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記測定スペクトルは、一定の放出角度で前記薄膜に対して測定を行う光電子分光法システムを用いて収集されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項37】
基準薄膜を規定する選択したパラメータに応じてデータベース内に編成された、1組のスペクトルに特徴的な1組の統計的係数を計算する段階と、
前記データベース及び前記サンプル薄膜に対する既知のパラメータを用いて、サンプル薄膜に対する背景スペクトルを模擬する段階と、
前記サンプル薄膜に対する測定スペクトルから前記背景スペクトルを減算し、該サンプル薄膜に対する処理スペクトルを生成する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
前記サンプル薄膜内の元素に対する模擬プロフィール分布に応じて模擬強度スペクトルを最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記処理スペクトルを前記模擬強度スペクトルに適合させる段階と、
前記最適化する段階及び適合させる段階に基づいて前記薄膜内の前記元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階と、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する用量レベルを判断する段階と、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記サンプル薄膜に対する前記背景スペクトルを模擬する段階は、
前記サンプル薄膜の前記既知のパラメータが、前記スペクトルから計算した前記統計的係数に対する前記選択したパラメータの1つに適合するか否かを判断する段階と、
前記既知のパラメータが前記選択したパラメータの1つに適合する時に、該既知のパラメータに関連する1つ又はそれよりも多くの適切な統計的係数を選択し、そうでなければ、該選択したパラメータから内挿して該既知のパラメータに対する1つ又はそれよりも多くの適切な統計的係数を計算する段階と、
前記適切な統計的係数を用いて前記背景スペクトルを模擬する段階と、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項41】
薄膜に存在すると予想される少なくとも1つのバルク元素に対して得られた1組の第1の部分強度係数を用いて、関連の元素を更に含む該薄膜に対する背景スペクトルを模擬する段階、
を含み、
前記第1の部分強度係数は、前記少なくとも1つのバルク元素を有する少なくとも1つの基準薄膜から計算され、該少なくとも1つの基準薄膜に対するエネルギスペクトルが、該第1の部分強度係数の計算に用いられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項42】
既知の組のパラメータに対して1組のスペクトルを収集する段階と、
モンテカルロ(MC)シミュレーションを用いて前記スペクトルの組に対する第2の部分強度係数を計算する段階と、
を更に含み、
前記パラメータの組は、前記第2の部分強度係数からの内挿を可能にする十分なサンプリング点を含む、
ことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の部分強度係数を用いて前記薄膜に対する前記第1の部分強度係数を内挿する段階と、
内挿した第1の部分強度係数からスペクトル線を再構成して前記背景スペクトルを模擬する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記薄膜に対して得られた薄膜スペクトルから前記背景スペクトルを除去し、処理スペクトルを取得する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記パラメータの組は、少なくとも薄膜厚みを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記適合させる段階に対する前記少なくとも1つの模擬スペクトルによる前記処理スペクトルに対する最小化及び最適化を実行する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記薄膜内の前記関連の元素に対する分布プロフィール、重心値、及び用量のうちの少なくとも1つを判断する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
スペクトルデータを保存する方法であって、
少なくとも1つの元素を有する薄膜に対する少なくとも1つのスペクトルを収集する段階と、
前記少なくとも1つのスペクトルに対する1つ又はそれよりも多くの部分強度係数を計算する段階と、
前記1つ又はそれよりも多くの部分強度係数を保存する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項49】
前記少なくとも1つのスペクトルは、XPSシステムを用いて収集されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記計算する段階は、モンテカルロシミュレーションを用いて行われることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項51】
命令を備えた実行可能プログラムが、計算部分強度係数を用いて前記少なくとも1つのスペクトルを再構成するために提供されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項52】
様々な収集角度で薄膜に対する電子スペクトルを収集して収集スペクトルを生成する段階と、
逆畳み込み技術を用いて前記収集スペクトルから表面散乱の寄与を排除し、界面交差による1つ又はそれよりも多くの系統的誤差を減算する段階と、
弾性散乱を説明する1組の模擬スペクトルを模擬し、前記収集スペクトルを用いて該模擬スペクトルの組を最小にすることにより、該収集スペクトルに対する最小化を実行する段階と、
前記薄膜内の元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
前記模擬スペクトルの組は、前記薄膜内の前記元素に対する分布プロフィールに応じて生成されることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階、
前記薄膜内の前記元素に対する用量レベルを判断する段階、
前記薄膜内の前記元素に対する用量レベルを補正する段階、
前記薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階、及び
前記薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階、
のうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記模擬スペクトルは、関連する元素分布プロフィールを備えた1組の模擬スペクトルからのものであり、
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化し、前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する該分布プロフィールを、該模擬スペクトルを生成するのに用いられるパラメータ化した曲線の群に関連させる段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項56】
サンプル薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素から励起された電子エネルギに関連する第1のスペクトルを取得する段階と、
前記第1のスペクトルを少なくとも予備処理して角度依存の表面散乱寄与を排除することにより処理スペクトルを取得する段階と、
元素分布プロフィールに応じて前記処理スペクトルを模擬スペクトルに適合させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項57】
X線光電子分光法(XPS)又は角度分解型X線光電子分光法(ARXPS)が、前記第1のスペクトルを取得するのに用いられることを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記適合させる段階及び最小にする段階に基づいて前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する分布プロフィールを判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する重心値を判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する用量レベルを判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階、及び
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階、
のうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記重心値、前記分布プロフィール、前記用量レベル、又は前記電気パラメータに応答して少なくとも1つの処理パラメータを制御する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記処理パラメータは、処理温度、圧力、及び時間を有することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項1】
サンプル薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素から励起された電子エネルギに関連する第1のスペクトルを取得する段階と、
前記第1のスペクトルから背景スペクトルが除去された処理スペクトルを取得する段階と、
前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する元素分布プロフィールに応じて模擬スペクトルを最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記処理スペクトルを前記模擬スペクトルに適合させる段階と、
前記適合化及び最小化に基づいて前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する重心値を判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する用量レベルを判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階、及び
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階、
の少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する重心値を判断する段階と、
前記サンプル薄膜の厚みを判断する段階と、
前記サンプル薄膜に対する前記重心値及び前記厚みの比を取得する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される1つ又はそれよりも多くの素子に対する1つ又はそれよりも多くの電気パラメータのモニタリング、予想、及び制御のうちの1つを実行する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のスペクトルから除去された前記背景スペクトルは、再構成された背景スペクトルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記再構成背景スペクトルは、複数の元素と該元素に関連する複数のそれぞれのいくつかの化学種との重ね合わせを含む測定スペクトルから抽出されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記処理スペクトルを取得する段階は、
前記サンプル薄膜に同等であり、かつ前記元素をそこに堆積させていない薄膜から、各々が該薄膜を取り巻く選択したパラメータに関連する値を有する1組の背景値スペクトルを取得する段階と、
前記選択されたパラメータに応じて前記背景スペクトルを含む背景表を生成する段階と、
(a)前記サンプル薄膜に適合する選択されたパラメータを有する前記背景スペクトルの組から選択された背景スペクトルを選択する段階、及び(b)前記背景表及び該選択したパラメータを用いて背景スペクトルを内挿する段階の一方を含む、該サンプル薄膜を取り巻く該選択されたパラメータに基づいて該サンプル薄膜に用いられる背景値を選択する段階と、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のスペクトルは、一定の放出角度で光電子分光法システムを用いて得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のスペクトルは、0〜45度の範囲から選択される一定の放出角度で光電子分光法システムを用いて得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のスペクトルは、光電子分光法システムを用いて得られ、
前記第1のスペクトルは、各測定が一定の放出角度で行われる複数の放出角度での複数かつ同時の測定から選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化する段階及び前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、該模擬スペクトルを生成するのに用いられる1つ又はそれよりも多くのパラメータを規定する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ又はそれよりも多くのパラメータは、信号対ノイズ分析に基づいて選択されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化する段階及び前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、該模擬スペクトルに対して予め計算した性能指数を最小にする段階及び性能指数表面から内挿法による最小化を判断する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
各々がサンプル薄膜に対するバルク材料を構成する1組の基準薄膜に対する1組の基準背景強度スペクトルを、該基準薄膜を取り巻く選択したパラメータに応じて収集する段階と、
前記サンプル薄膜に対する測定強度スペクトルから背景強度スペクトルを除去して処理スペクトルを生成する段階と、
を含み、
前記サンプル薄膜には、そこに関連の元素を堆積させており、
除去される前記背景強度スペクトルは、(a)前記サンプル薄膜に適合する前記選択したパラメータを有する前記基準背景強度スペクトルに対して収集された基準背景強度スペクトル、及び(b)前記基準背景強度スペクトルの組から内挿した背景強度スペクトルのうちの一方である、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記選択したパラメータは、薄膜厚みを含み、前記基準背景強度スペクトルの組は、薄膜厚みに応じて収集され、
除去される前記背景強度スペクトルは、(a)前記サンプル薄膜の薄膜厚みに適合する薄膜厚みを有する前記基準背景強度スペクトルに対して収集された基準背景強度スペクトル、及び(b)該サンプル薄膜に対する薄膜厚みを用いて前記基準背景強度スペクトルの組から内挿した背景強度スペクトルのうちの一方である、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
模擬強度スペクトルを前記サンプル薄膜内の前記元素に対する模擬プロフィール分布に応じて最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記処理スペクトルを前記模擬強度スペクトルに適合させる段階と、
前記最適化する段階及び適合させる段階に基づいて、前記サンプル薄膜内の前記元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
自動化されていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記適合させる段階は、模擬分布プロフィールに応じて前記模擬強度スペクトルを自動的に最適化し、前記処理スペクトルを該模擬強度スペクトルに適合させる段階と、適合又は接近した適合が得られるまで該最適化して適合させる段階を繰り返す段階とを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階と、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する用量レベルを判断する段階と、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階と、
前記サンプル薄膜の厚みを判断する段階と、
前記サンプル薄膜に対する前記重心値と前記厚みとの比を取得する段階と、
前記サンプル薄膜内に形成されるか又は薄膜上に形成される1つ又はそれよりも多くの素子に対する1つ又はそれよりも多くの電気パラメータをモニタする段階、予想する段階、及び制御する段階のうちの1つを実行する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記基準背景強度スペクトルの組は、一定の放出角度で前記基準薄膜の組に対して測定する光電子分光法システムを用いて収集され、
前記測定強度スペクトルは、前記一定の放出角度で前記サンプル薄膜に対して測定する前記光電子分光法システムを用いて収集される、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項21】
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化し、前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、該模擬スペクトルを生成するのに用いる1つ又はそれよりも多くのパラメータを規定する段階を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ又はそれよりも多くのパラメータは、信号対ノイズ分析に基づいて選択されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化し、前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、該模擬スペクトルに対して予め計算された性能指数を最小にし、性能指数表面からの内挿によって最小化を判断する段階を更に含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
サンプル薄膜に堆積した元素の少なくとも2つの電子エネルギを励起させる段階と、
前記元素に対する第1の電子エネルギ値及び第2の電子エネルギ値を表す前記電子エネルギに関連する第1の強度値及び第2の強度値を含む、該電子エネルギに対する強度比の値を取得する段階と、
前記サンプル薄膜に同等である基準薄膜内の前記元素の重心に応じて1組の強度比の値に関連する相関関数に前記強度比の値を相関させる段階と、
前記相関させる段階に基づいて、前記サンプル薄膜内の前記元素の重心を判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
既知の重心値を有して前記基準薄膜の各々に堆積した前記元素から前記2つの電子エネルギを励起させることにより、該元素に対する前記強度比の値の組を取得する段階と、
重心に応じて前記元素に対する前記強度比の値を発生させる段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する用量レベルを判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する用量レベルを補正する段階、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階、及び
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する前記重心値を用いて、該サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階、
のうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
光電子分光法システム用いて、かつ一定の放出角度を用いてサンプル薄膜内の元素に対する強度スペクトルを取得する段階と、
前記強度スペクトルを用いて前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断し、その点で方法が該サンプル薄膜に対して非破壊的である段階と、
前記重心値を前記サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの電気パラメータに相関させる段階と、
前記サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの製造工程をモニタする段階、該サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの電気パラメータを制御する段階、該サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの製造工程を調整する段階、該サンプル薄膜に対する1つ又はそれよりも多くの製造工程を予想する段階、及び前記判断された重心値に基づいて前記元素の用量を判断して補正する段階のうちの少なくとも1つを実行する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
各々が放出運動エネルギを有する複数の化学種によって放出される信号を有し、かつ複数の小領域を覆う、薄膜に対する測定スペクトルを取得する段階と、
第1の所定の小領域で最も高い放出運動エネルギを有する第1の化学種に対する固有関数を取得する段階と、
前記最も高い放出運動エネルギを有する前記第1の化学種に対して、前記測定スペクトルの全ての小領域を覆う完全な第1のスペクトルを再構成し、これが前記固有関数及び外挿方法を用いて達成される段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
2番目に高い放出運動エネルギを有する第2の化学種に対する背景スペクトルとして前記完全な第1のスペクトルを用いる段階、
を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記背景スペクトルを前記測定スペクトルから減算する段階と、
第2の所定の小領域で前記第2の化学種に対する第2の固有関数を取得する段階と、
2番目に高い放出運動エネルギを有する前記第2の化学種に対して、前記測定スペクトルの全ての小領域を覆う完全な第2のスペクトルを再構成し、これが前記第2の固有関数及び前記外挿方法を用いて達成される段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記薄膜内の前記第1の化学種に関連する第1の元素に対する模擬プロフィール分布に応じて模擬強度スペクトルを最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記完全な第1のスペクトルを前記模擬強度スペクトルに適合させる段階と、
前記最適化する段階及び適合させる段階に基づいて前記薄膜内の前記第1の元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記薄膜内の前記第1の元素に対する重心値を判断する段階と、
前記薄膜内の前記第1の元素に対する用量レベルを判断する段階と、
前記薄膜内の前記第1の元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階と、
前記薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記薄膜内の前記第2の化学種に関連する第2の元素に対する模擬プロフィール分布に応じて模擬強度スペクトルを最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記完全な第2のスペクトルを前記模擬強度スペクトルに適合させる段階と、
前記最適化する段階及び適合させる段階に基づいて前記薄膜内の前記第2の元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記薄膜内の前記第2の元素に対する重心値を判断する段階と、
前記薄膜内の前記第2の元素に対する用量レベルを判断する段階と、
前記薄膜内の前記第2の元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階と、
前記薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記測定スペクトルは、一定の放出角度で前記薄膜に対して測定を行う光電子分光法システムを用いて収集されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項37】
基準薄膜を規定する選択したパラメータに応じてデータベース内に編成された、1組のスペクトルに特徴的な1組の統計的係数を計算する段階と、
前記データベース及び前記サンプル薄膜に対する既知のパラメータを用いて、サンプル薄膜に対する背景スペクトルを模擬する段階と、
前記サンプル薄膜に対する測定スペクトルから前記背景スペクトルを減算し、該サンプル薄膜に対する処理スペクトルを生成する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
前記サンプル薄膜内の元素に対する模擬プロフィール分布に応じて模擬強度スペクトルを最適化する段階と、
最小化アルゴリズムを用いて前記処理スペクトルを前記模擬強度スペクトルに適合させる段階と、
前記最適化する段階及び適合させる段階に基づいて前記薄膜内の前記元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階と、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対する用量レベルを判断する段階と、
前記サンプル薄膜内の前記元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階と、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記サンプル薄膜に対する前記背景スペクトルを模擬する段階は、
前記サンプル薄膜の前記既知のパラメータが、前記スペクトルから計算した前記統計的係数に対する前記選択したパラメータの1つに適合するか否かを判断する段階と、
前記既知のパラメータが前記選択したパラメータの1つに適合する時に、該既知のパラメータに関連する1つ又はそれよりも多くの適切な統計的係数を選択し、そうでなければ、該選択したパラメータから内挿して該既知のパラメータに対する1つ又はそれよりも多くの適切な統計的係数を計算する段階と、
前記適切な統計的係数を用いて前記背景スペクトルを模擬する段階と、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項41】
薄膜に存在すると予想される少なくとも1つのバルク元素に対して得られた1組の第1の部分強度係数を用いて、関連の元素を更に含む該薄膜に対する背景スペクトルを模擬する段階、
を含み、
前記第1の部分強度係数は、前記少なくとも1つのバルク元素を有する少なくとも1つの基準薄膜から計算され、該少なくとも1つの基準薄膜に対するエネルギスペクトルが、該第1の部分強度係数の計算に用いられる、
ことを特徴とする方法。
【請求項42】
既知の組のパラメータに対して1組のスペクトルを収集する段階と、
モンテカルロ(MC)シミュレーションを用いて前記スペクトルの組に対する第2の部分強度係数を計算する段階と、
を更に含み、
前記パラメータの組は、前記第2の部分強度係数からの内挿を可能にする十分なサンプリング点を含む、
ことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の部分強度係数を用いて前記薄膜に対する前記第1の部分強度係数を内挿する段階と、
内挿した第1の部分強度係数からスペクトル線を再構成して前記背景スペクトルを模擬する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記薄膜に対して得られた薄膜スペクトルから前記背景スペクトルを除去し、処理スペクトルを取得する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記パラメータの組は、少なくとも薄膜厚みを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記適合させる段階に対する前記少なくとも1つの模擬スペクトルによる前記処理スペクトルに対する最小化及び最適化を実行する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記薄膜内の前記関連の元素に対する分布プロフィール、重心値、及び用量のうちの少なくとも1つを判断する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
スペクトルデータを保存する方法であって、
少なくとも1つの元素を有する薄膜に対する少なくとも1つのスペクトルを収集する段階と、
前記少なくとも1つのスペクトルに対する1つ又はそれよりも多くの部分強度係数を計算する段階と、
前記1つ又はそれよりも多くの部分強度係数を保存する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項49】
前記少なくとも1つのスペクトルは、XPSシステムを用いて収集されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記計算する段階は、モンテカルロシミュレーションを用いて行われることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項51】
命令を備えた実行可能プログラムが、計算部分強度係数を用いて前記少なくとも1つのスペクトルを再構成するために提供されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項52】
様々な収集角度で薄膜に対する電子スペクトルを収集して収集スペクトルを生成する段階と、
逆畳み込み技術を用いて前記収集スペクトルから表面散乱の寄与を排除し、界面交差による1つ又はそれよりも多くの系統的誤差を減算する段階と、
弾性散乱を説明する1組の模擬スペクトルを模擬し、前記収集スペクトルを用いて該模擬スペクトルの組を最小にすることにより、該収集スペクトルに対する最小化を実行する段階と、
前記薄膜内の元素に対する分布プロフィールを判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
前記模擬スペクトルの組は、前記薄膜内の前記元素に対する分布プロフィールに応じて生成されることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記薄膜内の前記元素に対する重心値を判断する段階、
前記薄膜内の前記元素に対する用量レベルを判断する段階、
前記薄膜内の前記元素に対する用量レベルを補正する段階、
前記薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階、及び
前記薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階、
のうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記模擬スペクトルは、関連する元素分布プロフィールを備えた1組の模擬スペクトルからのものであり、
元素分布プロフィールに応じて前記模擬スペクトルを最適化し、前記処理スペクトルを該模擬スペクトルに適合させる段階は、前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する該分布プロフィールを、該模擬スペクトルを生成するのに用いられるパラメータ化した曲線の群に関連させる段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項56】
サンプル薄膜内の1つ又はそれよりも多くの元素から励起された電子エネルギに関連する第1のスペクトルを取得する段階と、
前記第1のスペクトルを少なくとも予備処理して角度依存の表面散乱寄与を排除することにより処理スペクトルを取得する段階と、
元素分布プロフィールに応じて前記処理スペクトルを模擬スペクトルに適合させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項57】
X線光電子分光法(XPS)又は角度分解型X線光電子分光法(ARXPS)が、前記第1のスペクトルを取得するのに用いられることを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記適合させる段階及び最小にする段階に基づいて前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する分布プロフィールを判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する重心値を判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対する用量レベルを判断する段階、
前記サンプル薄膜内の前記1つ又はそれよりも多くの元素に対して該元素に対する用量レベルを補正する段階、
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを予想する段階、及び
前記サンプル薄膜内又は薄膜上に形成される素子に対する電気パラメータを制御する段階、
のうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記重心値、前記分布プロフィール、前記用量レベル、又は前記電気パラメータに応答して少なくとも1つの処理パラメータを制御する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記処理パラメータは、処理温度、圧力、及び時間を有することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2009−500642(P2009−500642A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521408(P2008−521408)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/024581
【国際公開番号】WO2007/008374
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507244965)リヴェラ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/024581
【国際公開番号】WO2007/008374
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507244965)リヴェラ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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