説明

薬剤−高分子結合体

本発明は、ポリペプチド部位、ポリアルキレンオキシド部位、前記ポリペプチド部位を前記ポリアルキレンオキシド部位に結合させるリンカー、前記ポリペプチド部位と前記リンカーとの間の第1の結合、および前記ポリアルキレンオキシド部位と前記リンカーとの間の第2の結合を含むポリペプチド−高分子結合体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2005年12月30日に出願された米国特許仮出願第60/755,459号の35U.S.C.119(e)の優先権を主張し、その内容は参照として本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
治療用薬剤分子の薬力学特性および薬動力学特性を改善するために、2つの大きなドラッグデリバリーのアプローチが研究されてきた。一方は、薬剤分子そのものの修飾(例えば、ペグ化によって)であり、他方は、製剤の変更(例えば、リポソーム製剤によって)である。いずれの場合も、長時間の薬理活性、副作用の低減、患者の薬剤服用順守の向上、および患者の生活の質の向上を与えるドラッグデリバリーメカニズムを開発することが望まれる。
【発明の開示】
【0003】
概要
本発明は、治療用ポリペプチド分子が高分子とカップリングして、有効性が改善された単一の薬剤、すなわちポリペプチド−高分子結合体を形成しうるという概念に基づく。
【0004】
一形態によれば、本発明は、ポリペプチド部位、ポリアルキレンオキシド部位、前記ポリペプチド部位を前記ポリアルキレンオキシド部位に結合させるリンカー、前記ポリペプチド部位と前記リンカーとの間の第1の結合、および前記ポリアルキレンオキシド部位と前記リンカーとの間の第2の結合を含むポリペプチド−高分子結合体を特徴とする。前記ポリペプチド部位は、ヒトインターフェロン−α部位(すなわち、インターフェロン−α活性を保持するネイティブまたは修飾された部位)および前記ヒトインターフェロン−α部位のN−末端に1〜6(例えば1〜4)のさらなるアミノ酸残基を含みうる。例えば、−Ser−Gly−IFN、−Gly−Ser−IFN、−Met−Met−IFN、−Met−His−IFN、−Pro−IFNおよび−Gly−Met−IFNが挙げられ、ここでIFNはヒトインターフェロン−α2b部位である。前記インターフェロン−α部位は、N−末端にシステイン残基を含みうる。前記ポリペプチド部位はまた、インターフェロン−β部位または顆粒球コロニー刺激因子を含んでもよい。前記ポリアルキレンオキシド部位は、1〜20,000のC〜Cアルキレンオキシド繰り返し単位を含みうる。ポリアルキレンオキシド部位の例としては、20,000ダルトンの数平均分子量を有するポリエチレンオキシド部位などの、5〜10,000の繰り返し単位を有するポリエチレンオキシド部位が挙げられる。前記リンカーは、C〜Cアルキレン、C〜Cヘテロアルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜Cヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、または−Ar−X−(CH−であってよく、ここでArは、アリーレン(例えばフェニレン)またはヘテロアリーレンであり、XはO、SまたはN(R)であり、RはHまたはC〜C10アルキルであり、nは1〜10でありうる。前記第1の結合および前記第2の結合は、それぞれ独立して、カルボン酸エステル、カルボニル、カーボネート、アミド、カルバメート、ウレア、エーテル、チオ、スルホニル、スルフィニル、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ホスホネート、またはホスフェート基でありうる。上記薬剤−高分子結合体の一例は;
【0005】
【化1】

【0006】
であり、ここでmPEGはメトキシキャップポリエチレンオキシド部位である。
【0007】
ポリアルキレンオキシド部位は、直鎖、分岐、または星型の部位を意味する。これは飽和であっても不飽和であってもよく、置換されていても置換されていなくてもよい。ポリアルキレンオキシド部位の例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリイソプロピレンオキシド、ポリブテニレンオキシド、およびこれらの共重合体が挙げられる。デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、または炭水化物系高分子などの他の高分子もまた、抗原性、毒性、または免疫反応誘発性でないかぎり、ポリアルキレンオキシド部位に代えて用いられうる。
【0008】
リンカーは、ポリアルキレンオキシド部位から延び、ポリペプチド部位のポリアルキレンオキシド部位へのカップリングを容易にする。
【0009】
ポリペプチド部位は、その薬剤活性の少なくとも一部が保持されるかぎり、修飾ポリペプチド薬剤を含みうる。このような治療用ポリペプチド部位の例としては、N−末端に1以上のさらなるアミノ酸残基を含む修飾ポリペプチド分子または一次タンパク質配列内のアミノ酸残基の1以上の置換を含む修飾ポリペプチド分子が挙げられる。
【0010】
ポリペプチド部位は、酵素作用下、インビボで(例えば加水分解を介して)ポリペプチド部位とリンカーとの間の結合またはポリアルキレンオキシド部位とリンカーとの間の結合の切断によって放出されうる。インビボの結合切断に関与する酵素の例としては、酸化酵素(例えばペルオキシダーゼ、アミンオキシダーゼ、またはデヒドロゲナーゼ)、還元酵素(例えばケトレダクターゼ)および加水分解酵素(例えばプロテアーゼ、エステラーゼ、スルファターゼまたはホスファターゼ)が挙げられる。本発明のポリペプチド−高分子結合体はまた、インビボでポリペプチド−ポリマー結合体から治療用ポリペプチド部位を切断することなく、有効でありうる。
【0011】
「アルキル」の用語は、−CHまたは−CH(CHなどの、一価、飽和の、直鎖または分岐の非芳香族の炭化水素部位を意味する。「アルケニル」の用語は、−CH=CH−CHなどの、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分岐の炭化水素部位を意味する。「アルキニル」の用語は、−CC−CHなどの、少なくとも1つの三重結合を含む直鎖または分岐の炭化水素部位を意味する。「シクロアルキル」の用語は、シクロプロピルなどの、飽和の環状の炭化水素部位を意味する。「シクロアルケニル」の用語は、シクロヘキセニルなどの、少なくとも1つの環二重結合を含む非芳香族の環状の炭化水素部位を意味する。「ヘテロシクロアルキル」の用語は、4−テトラヒドロピラニルなどの、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えばN、O、またはS)を有する飽和の環状の部位を意味する。「ヘテロシクロアルケニル」の用語は、ピラニルなどの、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えばN、O、またはS)および少なくとも1つの環二重結合を有する非芳香族の環状の部位を意味する。「アリール」の用語は、1以上の芳香環を有する炭化水素部位を意味する。アリール部位の例としては、フェニル(Ph)、ナフチル、ピレニル、アントリル、およびフェナントリルが挙げられる。「ヘテロアリール」の用語は、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えばN、O、またはS)を含む、1以上の芳香環を有する部位を意味する。ヘテロアリール部位の例としては、フリル、フルオレニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリル、およびインドリルが挙げられる。「アルキレン」の用語は、−CH−などの、二価、飽和の、直鎖または分岐の非芳香族の炭化水素部位を意味する。「ヘテロアルキレン」の用語は、−CHOCH−などの、少なくとも1つのヘテロ原子(例えばN、O、またはS)を有するアルキレン部位を意味する。「シクロアルキレン」の用語は、シクロへキシレンなどの、二価、飽和の、環状の炭化水素部位を意味する。「ヘテロシクロアルキレン」の用語は、4−テトラヒドロピラニレンなどの、少なくとも1つの環へテロ原子を有する、二価、飽和の、非芳香族の環状の部位を意味する。「アリーレン」の用語は、1以上の芳香環を有する二価の炭化水素部位を意味する。アリール部位の例としては、フェニレンおよびナフチレンが挙げられる。「ヘテロアリーレン」の用語は、少なくとも1つの環へテロ原子を含む、1以上の芳香環を有する2価の部位を意味する。ヘテロアリーレン部位の例としては、フリレンまたはピロリレンが挙げられる。「アラルキレン」の用語は、アリールまたはヘテロアリールで置換された二価のアルキル部位であって、1つの電子がアルキル部位上に存在し、他の電子がアリールまたはヘテロアリール上に存在する部位を意味する。アラルキレン部位の例としては、ベンジレンまたはピリジニルメチレンが挙げられる。
【0012】
本明細書中に記載のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、へテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルキレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびアラルキレンは、置換および非置換の部位の両方を含む。シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびアラルキレンの置換基の例としては、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C10アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノ、C〜C10アルキルアミノ、C〜C20ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシアミノ、C〜C10アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、ヒドロキシ、ハロゲン、チオ、C〜C10アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、カルボキシル、およびカルボン酸エステルが挙げられる。アルキル、アルキレン、およびヘテロアルキレンの置換基の例としては、C〜C10アルキル以外の上記のすべての置換基が挙げられる。シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンはまた、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールと縮合してもよい。
【0013】
他の形態によれば、本発明は、ポリペプチド部位、ポリアルキレンオキシド部位、前記ポリペプチド部位を前記ポリアルキレンオキシド部位に結合させるリンカー、前記ポリペプチド部位と前記リンカーとの間の第1の結合、および前記ポリアルキレンオキシド部位と前記リンカーとの間の第2の結合を含むポリペプチド−高分子結合体を特徴とする。前記ポリエチレンオキシド部位は1〜20,000のC〜Cアルキレンオキシド繰り返し単位を含みうる。前記リンカーは−Ar−X−(CH−であってよく、Arはアリーレンまたはヘテロアリーレンであり、XはO、SまたはN(R)であり、RはHまたはC〜C10アルキルであり、nは1〜10でありうる。前記第1の結合および前記第2の結合はそれぞれ独立して、カルボン酸エステル、カルボニル、カーボネート、アミド、カルバメート、ウレア、エーテル、チオ、スルホニル、スルフィニル、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ホスホネート、またはホスフェート基でありうる。
【0014】
他の形態によれば、本発明は、化学式(I)の化合物を特徴とする。
【0015】
【化2】

【0016】
化学式(I)中、mPEGはメトキシキャップポリエチレンオキシド部位であり、R、R、RおよびRの1つはCHOで置換されたC〜C10アルキルであり、他のR、R、RおよびRはそれぞれ独立してH、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20シクロアルケニル、C〜C20ヘテロシクロアルキル、C〜C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリールである。化学式(I)の化合物の一例は、RまたはRがCHOで置換されたプロピルまたはCHOで置換されたブチルである化合物である。
【0017】
他の形態によれば、本発明は、インターフェロン−α部位(例えばヒトインターフェロン−α2b部位)および前記インターフェロン−α部位のN−末端に1〜6のさらなるアミノ酸残基を含むポリペプチドを特徴とする。例えば、Ser−Gly−IFN、Gly−Ser−IFN、Met−Met−IFN、Met−His−IFN、Pro−IFNおよびGly−Met−IFNが挙げられ、ここでIFNはヒトインターフェロン−α2b部位である。前記インターフェロン−α部位はまた、野生型インターフェロン−α部位(例えば野生型ヒトインターフェロン−α2b部位)でありうる。
【0018】
他の形態によれば、本発明は、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、および癌(例えばヘアリーセル白血病またはカボジ肉腫)などのさまざまな疾患の治療方法を特徴とする。前記方法は、1以上の上記ポリペプチド−高分子結合体の有効量を必要とする患者に投与することを含む。「治療する」または「治療」の用語は、1以上のポリペプチド−高分子結合体を、上記疾患、その症状、またはその傾向を有する患者に、例えば、上記疾患、その症状、もしくはその傾向の治癒、緩和、変化、作用、改善または予防などの治療効果を与える目的で投与することを意味する。
【0019】
本発明はまた、少なくとも1つの上記ポリペプチド−高分子結合体の有効量と、製薬上許容される担体とを含む薬剤組成物を含む。
【0020】
上記ポリペプチド−高分子結合体は、適用できる場合、その化合物自体の他に、その塩、プロドラッグ、および溶媒和物を含む。塩は、例えば、アニオンとポリペプチド−高分子結合体上の正に荷電した基(例えばアミノ)との間に形成されうる。適当なアニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、および酢酸イオンが挙げられる。同様に、塩はまた、カチオンとポリペプチド−高分子結合体上の負に荷電した基(例えばカルボキシレート)との間に形成されうる。適当なカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオンなどのアンモニウムカチオンが挙げられる。プロドラッグの例としては、患者に投与されたときに活性なポリペプチド−高分子結合体を提供できる、エステルおよび他の製薬上許容される誘導体が挙げられる。溶媒和物は、活性なポリペプチド−高分子結合体と製薬上許容される溶媒との間に形成される複合体を意味する。製薬上許容される溶媒の例としては、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸、およびエタノールアミンが挙げられる。
【0021】
1以上の上記ポリペプチド−高分子結合体を含む、上記のさまざまな疾患の治療に用いる組成物、および上記の治療用の薬剤の作製のためのこのような組成物の使用もまた本発明の範囲に含まれる。
【0022】
本発明の1以上の実施形態の詳細を以下に説明する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0023】
詳細な説明
本発明は、治療用ポリペプチド部位が少なくとも1つの高分子とカップリングしたポリペプチド−高分子結合体に関する。
【0024】
ポリペプチド−高分子結合体は、化学分野で公知の合成方法によって調製されうる。例えば、官能基(例えばフェニルアミノ基)を含むリンカー分子は、はじめに、ヒドロキシ末端基を含むメトキシキャップポリエチレングリコール(mPEG)高分子にカルバメート結合を介してカップリングされ、リンカー−高分子結合体を形成しうる。続いて、リンカー−高分子結合体の他方の末端基をアルデヒド基に変換した後、他の官能基(例えばアミノ基)を含む治療用ポリペプチド分子(例えばヒトインターフェロン−α2b)が上記リンカー−高分子結合体にカップリングされうる。リンカー分子とカップリングするために、mPEG高分子は、スクシンイミジルエステル、p−ニトロフェノール、スクシンイミジルカーボネート、トレシレート、マレイミド、ビニルスルホン、ヨードアセトアミド、ビオチン、リン脂質、またはフルオレセインなどの基で官能化されうる。他の例としては、治療用ポリペプチド分子(例えばヒトインターフェロン−α2b)は、はじめに、組み換え技術によってそのN−末端に1〜6のさらなるアミノ酸残基を導入することによって修飾されうる。次いで、修飾されたヒトインターフェロン−α2b分子は、一方の末端にリンカーを有するメトキシキャップポリエチレングリコール部位とカップリングされうる。カップリング反応は、リンカーを修飾して適当な官能基(例えばアルデヒド基)を形成し、次いでリンカー上の官能基を修飾ヒトインターフェロン−α2b分子の官能基(例えば末端アミノ基)と反応させることによって達成されうる。
【0025】
【化3】

【0026】
上記のスキーム1は、上述のポリペプチド−高分子結合体の1つの調製例を示す。はじめに、4−ニトロフェノール1は、(a)3−クロロプロパン−1−オールを用いたヒドロキシル基のアルキル化;(b)末端ヒドロキシル基のアルデヒド基への酸化;(c)ジメチルアセタール基の形成によるアルデヒド基の保護;(d)ニトロ基のアミノ基への還元;の4つの化学変換でリンカー分子2に変換される。次いで、N,N−ジスクシンイミジルカーボネートを用いてメトキシキャップポリエチレングリコール(mPEG)高分子をリンカー分子2とカップリングさせ、リンカー−高分子結合体3を製造する。続いて、リンカー−高分子結合体3のジメチルアセタール保護基を除去してアルデヒド基を含むリンカー−高分子結合体4を得て、その後修飾ヒトインターフェロン−α2b分子であるSer−Gly−IFNとカップリングさせてポリペプチド−高分子結合体5を生成させる。
【0027】
上述の合成経路で用いられる化学物質には、例えば、溶媒、試薬、触媒、保護基および脱保護基の試薬が含まれうる。上述の方法は、ここで具体的に記載した段階の前または後に、最終的にポリペプチド−高分子の合成を可能にするために、適当な保護基を付加または脱離させる段階をさらに含んでもよい。さらに、各種の合成段階は、所望のポリペプチド−高分子結合体を与えるために順序を変えて行ってもよい。適用できるポリペプチド−高分子結合体の合成に有用な合成化学変換および保護基方法論(保護および脱保護)は、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);L.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)およびその後続の版に記載されるように、周知の技術である。
【0028】
このように合成されたポリペプチド−高分子結合体は、カラムクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィーなどの方法によってさらに精製してもよい。
【0029】
本明細書中に記載のポリペプチド−高分子結合体は、非芳香族二重結合および1以上の不斉中心を含んでもよい。したがって、これらは、ラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、個々のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ならびにシスまたはトランス異性体をとりうる。このような異性体はすべて考慮される。
【0030】
本発明の一形態は、さまざまな疾患の治療のために上記ポリペプチド−高分子結合体の1以上の有効量を投与する方法に関する。具体的には、上記ポリペプチド−高分子結合体の1以上を、疾患、このような疾患の症状、またはこのような疾患の傾向を有する患者に、例えば、前記疾患、その症状、もしくはその傾向の治癒、緩和、変化、作用、改善または予防などの治療効果を与える目的で、治療効果を与えるために必要な量を投与することによって疾患が治療されうる。このような患者は、任意の適当な診断方法からの結果に基づいてヘルスケアの専門家によって同定されうる。
【0031】
少なくとも1つの上記ポリペプチド−高分子結合体の有効量および製薬上許容される担体を含む薬剤組成物もまた本発明の範囲に含まれる。有効な投与量は、当業者に理解されているように、例えばポリペプチド−高分子結合体の加水分解速度、ポリペプチド−高分子結合体における治療用ポリペプチド部位、高分子の分子量、治療する疾患の型、投与経路、賦形剤の使用および他の治療との併用の可能性に依存して変動するであろう。
【0032】
本発明の方法を実施するために、1以上の上記ポリペプチド−高分子結合体を有する組成物を、非経口、経口、経鼻、経直腸、局所的または口腔内に投与すればよい。本明細書において「非経口」の用語は、任意の適当な注入技術の他、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、腹腔内、気管内、または頭蓋内の注入を意味する。
【0033】
無菌注入用組成物は、1,3−ブタンジオール溶液のような、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒の溶液または懸濁液でありうる。使用可能な許容されるビークルおよび溶媒として、マンニトール、水、リンガー溶液、および生理食塩液が挙げられる。さらに、溶媒または懸濁媒体として固定油(例えば合成モノ−またはジグリセリド)が通常用いられる。オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の製薬上許容される油と同様、特にそのポリオキシエチル化された形態において注入液の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、またはカルボキシメチルセルロースまたは類似した分散剤を含有しうる。TweenもしくはSpanなどの他の広く用いられる界面活性剤、あるいは製薬上許容される固体、液体もしくは他の投与形態の作製に広く用いられる他の類似した乳化剤またはバイオアクティビティエンハンサもまた製剤目的で用いられうる。
【0034】
経口投与用の組成物は、カプセル、錠剤、エマルジョンおよび水性懸濁液、分散液および溶液を含む任意の経口的に許容される投与形態でありうる。錠剤の場合、通常用いられる担体としてはラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤もまた典型的に添加される。カプセル形態の経口投与に有用な希釈剤としてはラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液またはエマルジョンが経口投与される場合、活性成分は乳化剤または懸濁剤と組み合わせた油相に懸濁または溶解されうる。必要に応じて、特定の甘味料、香料、または着色料を添加してもよい。
【0035】
鼻用エアロゾルまたは吸入用組成物は、医薬製剤において公知の技術に従って調製されうる。例えば、このような組成物は、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、バイオアベイラビリティを向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の公知の可溶化剤または分散剤を用いて、生理食塩水溶液として調製されうる。1以上の上記ポリペプチド−高分子結合体を有する組成物はまた、直腸投与用坐薬の形態で投与されうる。
【0036】
製薬上許容される担体は、1以上の活性な上述のポリペプチド−高分子結合体とともに通常用いられる。薬剤組成物中の担体は、組成物の活性成分と適合し(そして好ましくは活性成分を安定化でき)、治療を受ける患者に有害でないという意味で「許容される」必要がある。上記化合物のデリバリーのための製薬用賦形剤として1以上の可溶化剤が用いられうる。他の担体の例としては、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&C Yellow#10が挙げられる。
【実施例】
【0037】
下記の実施例は、単に説明のためのものであって、開示の残部を何ら制限しないと解釈されるべきである。さらに詳述せずとも、当業者は本明細書中の記載に基づき、本発明をその全範囲まで利用することができると信じられる。本明細書中に引用した文献はすべてその全体が参照として本明細書中に組み込まれる。
【0038】
実施例1:mPEGアルデヒドA〜Dの調製
【0039】
【化4】

【0040】
mPEGアルデヒドAの調製:
段階A:3−(4−ニトロフェノキシ)プロパン−1−オールの調製
3−クロロプロパン−1−オール(160g,1.69mol)を、4−ニトロフェノール(329g,2.37mol)およびKOH(151g,2.70mol)を1.4Lの1:1のエタノール−水混合物中に含む溶液に添加した。この混合物を還流しながら60時間加熱し、室温まで冷却し、1NのNaOH水溶液(2.0L)に注ぎ、ジクロロメタン(2×1.2L)で抽出した。有機抽出物を合わせて、1NのNaOH水溶液(1.0L)およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して黄色がかった固体の3−(4−ニトロフェノキシ)プロパン−1−オール(273g,82%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ8.16(d,J=9.2Hz,2H),6.94(d,J=9.2Hz,2H),4.20(t,J=6.0Hz,2H),3.87−3.83(m,2H),2.10−2.04(m,2H),1.87(t,J=4.0Hz,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ163.9,141.2,125.8,114.3,65.8,59.1,31.7;GC−MS(m/z);C11NOの計算値:197.2,実測値:197,139,123,109。
【0041】
段階B:3−(4−ニトロフェノキシ)プロパナールの調製
ジクロロメタン(290mL)中のNaBr(18.6g,181.2mmol)およびTEMPO(0.85g,5.4mmol)の混合物を、NaOClの冷溶液(240mL、水と13wt% NaOCl水溶液との1:1混合物として)中の3−(4−ニトロフェノキシ)プロパン−1−オール(35.7g,181.2mmol)に、0℃で30分間かけて添加した。添加が完了すると、混合物は淡黄色になり、これを0℃で1時間撹拌した。得られた混合物を分離した後、有機層を水(300mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して淡黄色の液体の3−(4−ニトロフェノキシ)プロパナール(31g,87%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.93(s,1H),8.24(d,J=9.2Hz,2H),7.01(d,J=9.2Hz,2H),4.45(t,J=6.0Hz,2H),3.05(t,J=6.0Hz,2H);GC−MS(m/z)CNOの計算値:195.2,実測値:195,167,139,109,93,65。
【0042】
段階C:3−(4−ニトロフェノキシ)プロパナールジメチルアセタールの調製
AMBERLITE lra−400(CI)イオン交換樹脂(30g)をメタノール(300mL)中の3−(4−ニトロフェノキシ)プロパナール(30g,0.15mol)の溶液に添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、セライトを通してろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、淡黄色の固体の3−(4−ニトロフェノキシ)プロパナールジメチルアセタール(30g,80%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ8.17(d,J=9.2Hz,2H),6.94(d,J=9.2Hz,2H),4.61(t,J=6.0Hz,1H),4.13(t,J=6.4Hz,2H),3.62(s,6H),2.09−2.14(m,2H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ163.8,141.4,125.8,114.3,101.6,64.8,53.3,32.4;GC−MS(m/z)C1115NOの計算値:241.2,実測値:241,178,152,75。
【0043】
段階D:3−(4−アミノフェノキシ)プロパナールジメチルアセタールの調製
水素化ホウ素ナトリウム(15.0g,0.39mol)を、3−(4−ニトロフェノキシ)プロパナールジメチルアセタール(30.0g,0.12mol)および塩化銅(I)(1.2g,12.4mmol)のエタノール(500mL)の冷溶液に添加した。混合物を撹拌しながら30分間60℃に加熱し、室温まで冷却し、水(250mL)で希釈し、減圧下で濃縮してエタノールを除去し、メチルt−ブチルエーテルまたはMTBE(3×150mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、ブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗残留物を得た。粗残留物を、中性酸化アルミニウムのカラムクロマトグラフィーで40%酢酸エチル−ヘキサンを溶離液として用いて精製し、濃紫色の液体の3−(4−アミノフェノキシ)プロパナールジメチルアセタール(19.5g,75%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ6.74(d,J=8.8Hz,2H),6.66(d,J=8.8Hz,2H),4.62(t,J=5.6Hz,1H),3.95(t,J=6.0Hz,2H),3.35(s,6H),2.01−2.06(m,2H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ152.3,139.1,116.7,115.6,102.1,64.5,53.2,32.8;GC−MS(m/z)C1117NOの計算値:211.3,実測値:211,148,109,75。
【0044】
段階E:mPEGアルデヒドAジメチルアセタールの調製
直鎖状の20kDaのmPEG−OH(60.0g,3mmol)を300mLの乾燥ジオキサンにゆっくりと加熱しながら溶解させた。溶液を室温に冷却した後、N,N−ジスクシンイミジルカーボネート(5.0g,19.5mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(2.5g,20.4mmol)を順次添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、3−(4-アミノフェノキシ)プロパナールジメチルアセタール(15.0g,71.0mmol)を反応混合物に添加した。この混合物を室温でさらに18時間撹拌した後、MTBE(4.5L)を4時間かけて滴下した。得られた白色の沈殿を回収し、減圧下で乾燥させて59.5gの粗生成物を得て、これをジクロロメタン(250mL)に再溶解させた。他のバッチのMTBE(6.0L)を4時間かけて滴下して添加した。このようにして得られた白色の沈殿を回収し、減圧下で乾燥させて白色粉末のmPEGアルデヒドAジメチルアセタール(58.0g,97%)を得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.54(br,1H),7.35(d,J=8.8Hz,2H),6.85(d,J=8.8Hz,2H),4.56(t,J=5.6Hz,1H),4.17(t,J=4.4Hz,2H),3.93(t,J=9.6Hz,2H),3.25(s,6H),3.24(s,3H),1.93−1.97(m,2H)。
【0045】
段階F:mPEGアルデヒドAの調製
mPEGアルデヒドAジメチルアセタール(55.0g,2.75mmol)を緩衝液(600mL,クエン酸−HCl−NaCl,pH=2)に溶解させた。この溶液を室温で20時間撹拌し、ジクロロメタン(6×200mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で約350mLの体積まで濃縮した。次いで、MTBE(6.0L)を6時間かけて滴下して添加した。得られた白色の沈殿を回収し、減圧下で乾燥させて白色の粉末のmPEGアルデヒドA(52.0g,95%)を得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.73(s,1H),9.56(br,1H),7.36(d,J=8.8Hz,2H),6.86(d,J=8.8Hz,2H),4.23(t,J=6.0Hz,2H),4.17(t,J=4.8Hz,2H),3.32(s,3H),2.83−2.87(m,2H)。
【0046】
mPEGアルデヒドBの調製:
段階A:4−(4−ニトロフェノキシ)ブタン−1−オールの調製
p−ニトロフルオロベンゼン(10.0g,70.7mmol)を、1,4−ブタンジオール(31.9g,354mmol)および水酸化カリウム(5.0g,89.1mmol)の混合物に、室温で15分間かけてゆっくりと添加した。この混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、これを水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を酢酸エチル−へキサンから再結晶し、白色固体の4−(4−ニトロフェノキシ)ブタン−1−オール(9.6g,64%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ8.22(d,J=8.8Hz,2H),6.98(d,J=8.8Hz,2H),4.14(t,J=6.0Hz,2H),3.80−3.75(m,2H),2.00−1.94(m,2H),1.83−1.76(m,2H),1.65−1.48(br,1H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ164.0,141.4,125.9,114.4,68.6,62.3,29.0,25.5;GC−MS(m/z)C1013NOの計算値:211.2,実測値:211,139,123,109,73,55。
【0047】
段階B:4−(4−ニトロフェノキシ)ブタナールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Bに記載した方法を用いて、4−(4−ニトロフェノキシ)ブタン−1−オールから収率81%で白色固体の4−(4−ニトロフェノキシ)ブタナールを得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.86(s,1H),8.17(d,J=8.8Hz,2H),6.94(d,J=8.8Hz,2H),4.12(t,J=6.0Hz,2H),2.71(t,J=6.0Hz,2H),2.18(m,2H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ200.3,162.8,140.5,124.9,113.5,66.7,39.3,20.7;GC−MS(m/z)C1011NOの計算値:209.2,実測値:209,139,123,109,71。
【0048】
段階C:4−(4−ニトロフェノキシ)ブタナールジメチルアセタールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Cに記載した方法を用いて、4−(4−ニトロフェノキシ)ブタナールから収率82%で淡黄色固体の4−(4−ニトロフェノキシ)ブタナールジメチルアセタールを得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ8.19(d,J=8.8Hz,2H),6.96(d,J=8.8Hz,2H),4.62(t,J=5.6Hz,1H),4.10(t,J=5.6Hz,2H),3.37(s,6H),1.90−1.93(m,2H),1.85−1.81(m,2H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ163.9,141.3,125.8,114.3,104.0,68.3,52.9,28.9,24.1;GC−MS(m/z)C1217NOの計算値:255.3,実測値:255,224,192,117,75。
【0049】
段階D:4−(4−アミノフェノキシ)ブタナールジメチルアセタールの調製
4−(4−ニトロフェノキシ)ブタナールジメチルアセタール(4.0g,15.7mmol)をメタノール(40mL)に溶解し、10%パラジウム担持炭素(0.4g)の存在下、室温で16時間水素化した。混合物をセライトを通してろ過した後、ろ液を減圧下で濃縮して粗残留物を得て、これを中性酸化アルミニウムのカラムクロマトグラフィーで50%酢酸エチル−ヘキサンを溶離液として用いて精製し、濃紫色の液体の4−(4−アミノフェノキシ)ブタナールジメチルアセタール(2.5g,70%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ6.70(d,J=8.8Hz,2H),6.57(d,J=8.8Hz,2H),4.40(t,J=5.6Hz,1H),3.85(t,J=5.6Hz,2H),3.30(s,6H),1.78−1.73(m,4H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ151.6,139.9,115.9,115.3,104.0,67.8,52.4,28.8,24.3;GC−MS(m/z)C1219NOの計算値:225.3,実測値:225,194,162,109,85。
【0050】
段階E:mPEGアルデヒドBジメチルアセタールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Eに記載した方法を用いて、直鎖状の20kDaのmPEG−OHおよび4−(4−アミノフェノキシ)ブタナールジメチルアセタールから収率93%で白色粉末のmPEGアルデヒドBジメチルアセタールを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.53(br,1H)7.35(d,J=8.8Hz,2H),6.84(d,J=8.8Hz,2H),4.40(t,J=5.6Hz,1H),4.17(t,J=4.4Hz,2H),3.91(t,J=9.6Hz,2H),3.24(s,3H),3.23(s,6H),1.71−1.63(m,4H)。
【0051】
段階F:mPEGアルデヒドBの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Fに記載した方法を用いて、mPEGアルデヒドBジメチルアセタールから収率87%で白色粉末のmPEGアルデヒドBを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.71(s,1H),9.54(br,1H),7.34(d,J=8.8Hz,2H),6.83(d,J=8.8Hz,2H),4.17(t,J=4.8Hz,2H),3.91(t,J=6.0Hz,2H),3.24(s,3H),2.60−2.56(m,2H),1.97−1.93(m,2H)。
【0052】
mPEGアルデヒドCの調製:
段階A:3−(3−ニトロフェノキシ)プロパン−1−オールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Aに記載した方法を用いて、3−ニトロフェノールおよび3−クロロプロパン−1−オールから収率93%で淡黄色の液体の3−(3−ニトロフェノキシ)プロパン−1−オールを得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.85(d,J=8.0Hz,1H),7.78(s,1H),7.46(t,J=8.0Hz,1H),7.26(d,J=8.0Hz,1H),4.23(t,J=6.0Hz,2H),3.92(t,J=6.0Hz,2H),2.16−2.09(m,2H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ159.3,149.1,129.9,121.5,115.7,108.7,65.7,59.6,31.7。
【0053】
段階B:3−(3−ニトロフェノキシ)プロパナールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Bに記載した方法を用いて、3−(3−ニトロフェノキシ)プロパン−1−オールから収率78%で淡黄色の液体の3−(3−ニトロフェノキシ)プロパナールを得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.90(s,1H),7.85(d,J=8.0Hz,1H),7.75(s,1H),7.45(d,J=8.0Hz,1H),7.26−7.22(m,1H),4.40(t,J=6.0Hz,2H),2.99(t,J=6.0Hz,2H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ199.1,158.9,149.1,130.0,121.5,116.1,108.7,62.0,42.8;GC−MS(m/z)CNOの計算値:195.2,実測値:195,167,139,93,65。
【0054】
段階C:3−(3−アミノフェノキシ)プロパナールジメチルアセタールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Cに記載した方法およびmPEGアルデヒドBの調製の段階Dに記載した方法を順次用いて、3−(3−ニトロフェノキシ)プロパナールから収率45%で濃紫色の液体の3−(3−アミノフェノキシ)プロパナールジメチルアセタールを得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.04(t,J=8.0Hz,1H),6.33−6.24(m,2H),6.24(s,1H),4.62(t,J=5.6Hz,1H),4.23(t,J=4.4Hz,2H),3.61(br,2H),3.36(s,6H),2.08−2.03(m,2H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ159.9,147.6,130.0,107.9,104.5,102.1,101.6,63.6,53.3,32.8;GC−MS(m/z)C1117NOの計算値:211.2,実測値:211,196,164,148,109,75。
【0055】
段階D:mPEGアルデヒドCジメチルアセタールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Eに記載した方法を用いて、直鎖状の20kDaのmPEG−OHおよび3−(3−アミノフェノキシ)プロパナールジメチルアセタールから収率95%で白色粉末のmPEGアルデヒドCジメチルアセタールを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.72(br,1H),7.17−7.13(m,2H),7.01(d,J=8.0Hz,1H),6.85(d,J=8.0Hz,1H),4.95(t,J=5.6Hz,1H),4.53(t,J=4.8Hz,2H),3.95(t,J=9.6Hz,2H),3.26(s,3H),3.24(s,6H),2.00−1.95(m,2H)。
【0056】
段階E:mPEGアルデヒドCの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Fに記載した方法を用いて、mPEGアルデヒドCジメチルアセタールから収率95%で白色粉末のmPEGアルデヒドCを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.72(s,1H),9.69(br,1H),7.20−7.13(m,2H),7.01(d,J=8.0Hz,1H),6.55(d,J=8.0Hz,1H),4.24−4.07(m,4H),3.24(s,3H),2.87(t,J=8.0Hz,2H)。
【0057】
mPEGアルデヒドDの調製:
段階A:4−(3−ニトロフェノキシ)ブタン−1−オールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Aに記載した方法を用い、次いでエタノール中で還流しながら濃硫酸と0.5時間反応させて、3−ニトロフェノールおよび2−[(4-クロロブチル)オキシ]テトラヒドロピランから収率81%で4−(3−ニトロフェノキシ)ブタン−1−オールを得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.79(d,J=8.0Hz,1H),7.71(s,1H),7.41(t,J=8.0Hz,1H),7.26−7.19(m,1H),4.08(t,J=6.0Hz,2H),3.73(t,J=6.4Hz,2H),1.96−1.90(m,2H),1.89−1.71(m,2H);GC−MS(m/z)C1013NOの計算値:211.2,実測値:211,139,123,109,93,73,55。
【0058】
段階B:4−(3−ニトロフェノキシ)ブタナールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Bに記載した方法を用いて、4−(3−ニトロフェノキシ)ブタン−1−オールから収率78%で4−(3−ニトロフェノキシ)ブタナールを得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ9.86(s,1H),7.82(d,J=8.0Hz,1H),7.71(s,1H),7.42(t,J=8.0Hz,1H),7.22−7.19(m,1H),4.09(t,J=6.0Hz,2H),2.70(t,J=7.0Hz,2H),2.20−2.14(m,2H)。
【0059】
段階C:4−(3−アミノフェノキシ)ブタナールジメチルアセタールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Cに記載した方法およびmPEGアルデヒドBの調製の段階Dに記載した方法を順次用いて、4−(3−ニトロフェノキシブタナールから収率52%で4−(3−アミノフェノキシ)ブタナールジメチルアセタールを得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.10−7.04(m,1H),6.94−6.33(m,3H),4.43(t,J=5.6Hz,1H),3.92(t,J=6.4Hz,2H),3.34(s,6H),1.82−1.78(m,4H);13C−NMR(100MHz,CDCl)δ160.1,164.5,130.1,108.3,105.3,104.3,102.1,67.3,52.8,29.1,24.5;GC−MS(m/z)C1219NOの計算値:225.3,実測値:225,194,164,109,85。
【0060】
段階D:mPEGアルデヒドDジメチルアセタールの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Eに記載した方法を用いて、直鎖状の20kDaのmPEG−OHおよび4−(3−アミノフェノキシ)ブタナールジメチルアセタールから収率90%で白色粉末のmPEGアルデヒドDジメチルアセタールを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.71(br,1H),7.16−7.12(m,2H),7.01(d,J=8.8Hz,1H),6.54(d,J=8.8Hz,1H),4.95(t,J=5.6Hz,1H),4.20(t,J=4.8Hz,2H),3.92(t,J=6.0Hz,2H),3.25(s,6H),3.24(s,3H),1.71−1.64(m,4H)。
【0061】
段階E:mPEGアルデヒドDの調製
mPEGアルデヒドAの調製の段階Fに記載した方法を用いて、mPEGアルデヒドDジメチルアセタールから収率95%で白色粉末のmPEGアルデヒドDを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.72(s,1H),9.70(br,1H),7.16−7.13(m,2H),7.01(d,J=8.8Hz,1H),6.53(d,J=8.8Hz,1H),4.20(t,J=4.4Hz,2H),3.92(t,J=6.0Hz,2H),3.24(s,3H),2.74−2.61(m,2H),1.98−1.91(m,2H)。
【0062】
実施例2:Ser−Gly−IFNの調製
修飾された組み換えヒトインターフェロン−α2b、すなわちSer−Gly−IFNを、ヒトゲノムDNAを鋳型として用いてPCR法によって複製した。ヒトインターフェロン−α2bのフランキング配列(GenBank Accession #NM_000605)に基づいてオリゴヌクレオチドを合成した。誘導されたPCR産物をpGEM−Tベクター(Promega)にサブクローニングした。IFN変異体をpGEM−Tクローンを介して再びPCR増幅し、続いて、NdeI/BamHIをクローニングサイトとして用いてT7RNAポリメラーゼプロモータ駆動ベクターであるタンパク質発現ベクターpET−24a(Novagen)にサブクローニングした。次いで、ベクターpET−24aをE.coli BL21−CodonPlus(DE3)−RIL(Stratagene)株に変換した。変換されたE.−coli BL21−CodonPlus(DE3)−RILをカラマイシン(50μg/mL)およびクロラムフェニカル(50μg/mL)の存在下で維持することによって高発現クローンを選択した。
【0063】
1,000mLのフラスコ中でBL21−CodonPlus(DE3)−RILをSer−Gly−IFN遺伝子を用いて増殖させるためにTerrific broth培地(BD,200mL)を採用した。フラスコを37℃で230rpmで16時間振とうした。回分発酵および流加発酵を5リットルのジャーファーメンター(ニュージャージー州、エジソン、ニュー ブランズウィック サイエンティフィク社、Bioflo 3000)中で行った。回分発酵は150mLの一晩の前培養接種剤ならびにカナマイシン(50μg/mL)、クロラムフェニカル(50μg/mL)、0.4%グリセロールおよび0.5%(v/v)の微量成分(10g/LのFeSO・7HO、2.25g/LのZnSO・7HO、1g/LのCuSO・5HO、0.5g/LのMnSO・HO、0.3g/LのHBO、2g/LのCaCl・2HO、0.1g/Lの(NHMo24、0.84g/LのEDTA、50ml/LのHCl)を含む3LのTerrific broth培地を用いた。溶解酸素濃度を35%に制御し、5NのNaOH水溶液を添加してpHを7.2に維持した。600g/Lのグルコースおよび20g/LのMgSO・7HOを含む供給液を準備した。pHが定値を超える値まで上昇した場合、適当な体積の供給液を添加して培地ブロスのグルコース濃度を増加させた。IPTGを最終濃度1mMまで加えることによってSer−Gly−IFN遺伝子の発現を誘導し、3時間インキュベートした後、培地ブロスを採取した。
【0064】
回収した細胞ペレットをTEN緩衝液(50mMのトリス−HCl(pH8.0)、1mMのEDTA、100mMのNaCl)に約1:10(湿重量g/mL)の比で再懸濁させ、マイクロ流動化装置で分裂させ、次いで10,000rpmで20分間遠心分離した。封入体(IB)を含むペレットを、TEN緩衝液で二回洗浄し、上記のように遠心分離した。次いで、IBを含むペレットを、4MのグアニジウムHCl(GuHCl)水溶液150mLに懸濁させ、20,000rpmで15分間遠心分離した。その後、IBを6MのGuHCl溶液50mLに可溶化させた。GuHClに可溶化させた材料を20,000rpmで20分間遠心分離した。変性したIBを、新たに調製し添加の間のみ撹拌したリフォールディング緩衝液(100mMのトリス−HCl(pH8.0)、0.5MのL−アルギニン、2mMのEDTA)1.5Lで希釈することによってリフォールディングを開始した。リフォールディング反応混合物を撹拌せずに48時間インキュベートした。リフォールディングされた組み換えヒトインターフェロン−α2b(すなわちSer−Gly−IFN)を20mMのトリス緩衝液(2mMのEDTAおよび0.1Mの尿素を含む、pH7.0)に対して透析し、Q−セファロースカラムクロマトグラフィーでさらに精製した。
【0065】
リフォールディングされた組み換えヒトタンパク質Ser−Gly−IFNをQ−セファロースカラム(ペンシルバニア州、ピッツバーグ、GE アマシャムファルマシア社製)にロードした。カラムを予備平衡にし、20mMのトリス−HCl緩衝液(pH7.0)で洗浄した。生成物を20mMのトリス−HCl緩衝液(pH7.0)および200mMのNaClの混合物で溶離した。Ser−Gly−IFNを含むフラクションを、その280nmでの吸光度に基づいて回収した。Ser−Gly−IFNの濃度を、ブラッドフォード法を用いたプロテインアッセイキット(イリノイ州、ロックフィールド、ピアス社製)によって決定した。
【0066】
実施例3:mPEGアルデヒドAとSer−Gly−IFNとの結合
mPEGアルデヒドAおよびSer−Gly−IFNを含む代表的なポリペプチド−高分子結合体を以下のように調製した。
【0067】
上記実施例2で調製したQ−セファロース精製したSer−Gly−IFN(1mg)を、mPEGアルデヒドAで処理した。最終の反応混合物は50mMのリン酸ナトリウム(pH6.0)、5mMのシアノホウ水素化ナトリウム(ウィスコンシン州、ミルウォーキー、アルドリッチ社製)および10mgのmPEGアルデヒドAを含有した。その後、混合物を室温で20時間インキュベートし、主生成物としてモノPEG化Ser−Gly−IFNを得て、次いでこれをSP XLセファロースクロマトグラフィー(ペンシルバニア州、ピッツバーグ、GE アマシャムファルマシア社製)で精製した。具体的には、SPカラムを予備平衡にし、20mMの酢酸ナトリウム溶液(pH5.4)で洗浄した。次いで、モノPEG化Ser−Gly−IFNを20mMの酢酸ナトリウム(pH5.4)および60mMのNaClを含む緩衝液で溶離させた。未反応のIFN、すなわちSer−Gly−IFNを20mMの酢酸ナトリウム(pH5.4)および200mMのNaClを含む緩衝液で溶離させた。溶離させたフラクションをゲル電気泳動で12%のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲルを用いて分析し、クーマシーブリリアントブルーR−250および銀染色剤で染色することによって信号を検出した。モノPEG化Ser−Gly−IFNを含むフラクションを、その保持時間および280nmでの吸光度に基づいて回収した。モノPEG化Ser−Gly−IFNの濃度を、ブラッドフォード法を用いたプロテインアッセイキット(イリノイ州、ロックフィールド、ピアス社製)によって決定した。モノPEG化Ser−Gly−IFNの単離収率は30%〜40%であった。
【0068】
実施例4:モノPEG化Ser−Gly−IFNの物理的および生物学的特性
上記のペグ化反応の特異性をSer−Gly−IFNおよびモノPEG化Ser−Gly−IFNの両方のトリプシンペプチドマッピングによって決定した。各化合物の100μgの試料を減圧乾燥させ、60μLの8M尿素/0.4M NHHCO溶液で再構成させた。還元剤およびヨード酢酸で処理した後、溶液をプロメガ社のトリプシン(シークエンシンググレード)を用いて分解させた。アリコートを採取し、C18 HPLCカラムに注入した。得られたトリプシンペプチドを、0〜70%のアセトニトリルを0.1%のTFA−HO中に含む75−minグラジエント溶離液を用いて分離した。Ser−Gly−IFNおよびモノPEG化Ser−Gly−IFNの両方の試料からのペプチドフラグメントをその214nmでの吸光度によってモニターし、手作業で回収し、Speed−Vacシステムで乾燥させ、MALDI−TOF分析を行った。両方の試料のデータの比較から、ペグ化反応の主なサイトはSer−Gly−IFNのN−末端で生じることが示された。
【0069】
モノPEG化−Ser−Gly−IFNおよび他の修飾されたヒトIFN−α2b変異体のモノPEG化産物(すなわちモノPEG化−Gly−Ser−IFN、−Met−Met−IFN、−Met−His−IFN、−Pro−IFN、および−Gly−Met−IFN)の抗ウイルス活性を、水疱性口内炎ウイルス(VSV)に攻撃されたウシ腎臓上皮細胞(MDBK)において試験した。感染した細胞の細胞変性効果(CPE)を、テトラゾリウム塩WST−1をアッセイに添加した後、生存する細胞性酵素からのホルマザンの生成によって決定した。このCPEバイオアッセイを、各濃度で3点のデータ点を用いて行った。これらのすべてのモノPEG化修飾ヒトIFN−α2b化合物の特異的な抗ウイルス活性を、50%の細胞保護(EC50、すなわち50%の細胞変性効果)を与える濃度に基づいて計算した。CPE抗ウイルスバイオアッセイの結果をRoferon(登録商標)を参照標準として用いてIU/mgの単位で報告した。その結果、モノPEG化Ser−Gly−IFNのCPEバイオアクティビティは2.0×10であり、他のモノPEG化ヒトIFN−α2b変異体のCPEバイオアクティビティは8.3×10〜2.9×10IU/mgで変化した。
【0070】
他の実施形態
本明細書中に開示された全ての特徴は任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書中に開示された特徴はそれぞれ同一の、等価の、または類似の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられてもよい。したがって、特に言及しないかぎり、開示された特徴は等価のまたは類似の特徴の一般的な系列の一例にすぎない。
【0071】
上記の記載から、当業者であれば本発明の本質的な特徴を容易に確認でき、本発明の思想および技術的範囲を逸脱することなく、本発明をさまざまな用途および条件に適合させるために本発明に多様な変化および修正を与えることができるであろう。したがって、他の実施形態もまた以下の特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチド部位;
ポリアルキレンオキシド部位;
前記ポリペプチド部位を前記ポリアルキレンオキシド部位に結合させるリンカー;
前記ポリペプチド部位と前記リンカーとの間の第1の結合;および
前記ポリアルキレンオキシド部位と前記リンカーとの間の第2の結合;
を含むポリペプチド−高分子結合体であって、
前記ポリペプチド部位がヒトインターフェロン−α部位、および前記ヒトインターフェロン−α部位のN−末端に1〜6のさらなるアミノ酸残基を含み;
前記ポリアルキレンオキシド部位が1〜20,000のC〜Cアルキレンオキシド繰り返し単位を含み、前記リンカーがC〜Cアルキレン、C〜Cへテロアルキレン、C〜Cシクロアルキレン、C〜Cヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アラルキレン、または−Ar−X−(CH−であり、ここでArはアリーレンまたはヘテロアリーレンであり、XはO、SまたはN(R)であり、RはHまたはC〜C10アルキルであり、nは1〜10であり;前記第1の結合および前記第2の結合は、それぞれ独立してカルボン酸エステル、カルボニル、カーボネート、アミド、カルバメート、ウレア、エーテル、チオ、スルホニル、スルフィニル、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ホスホネート、またはホスフェート基である、ポリペプチド−高分子結合体。
【請求項2】
前記ヒトインターフェロン−α部位が、ヒトインターフェロン−α2b部位である、請求項1に記載の結合体。
【請求項3】
前記ポリペプチド部位が−Ser−Gly−IFNであり、IFNがヒトインターフェロン−α2b部位である、請求項2に記載の結合体。
【請求項4】
前記ポリアルキレンオキシド部位が、5〜10,000の繰り返し単位を有するポリエチレンオキシド部位である、請求項3に記載の結合体。
【請求項5】
前記ポリエチレンオキシド部位が、20,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項4に記載の結合体。
【請求項6】
前記リンカーが、−Ar−X−(CH−である、請求項5に記載の結合体。
【請求項7】
Arがフェニレンである、請求項6に記載の結合体。
【請求項8】
XがOである、請求項7に記載の結合体。
【請求項9】
nが3である、請求項7に記載の結合体。
【請求項10】
前記第1の結合がアミノ基であり、前記第2の結合がカルバメート基である、請求項9に記載の結合体。
【請求項11】
前記結合体が、
【化1】

であり、ここでmPEGはメトキシキャップポリエチレンオキシド部位である、請求項10に記載の結合体。
【請求項12】
前記ポリアルキレンオキシド部位が、5〜10,000の繰り返し単位を有するポリエチレンオキシド部位である、請求項1に記載の結合体。
【請求項13】
前記ポリエチレンオキシド部位が、20,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項12に記載の結合体。
【請求項14】
前記リンカーが、−Ar−X−(CH−である、請求項1に記載の結合体。
【請求項15】
Arがフェニレンである、請求項14に記載の結合体。
【請求項16】
XがOである、請求項15に記載の結合体。
【請求項17】
nが3である、請求項16に記載の結合体。
【請求項18】
前記第1の結合がアミノ基であり、前記第2の結合がカルバメート基である、請求項1に記載の結合体。
【請求項19】
前記ヒトインターフェロン−α部位が、N−末端にシステイン残基を有する、請求項1に記載の結合体。
【請求項20】
ポリペプチド部位;
ポリアルキレンオキシド部位;
前記ポリペプチド部位を前記ポリアルキレンオキシド部位に結合させるリンカー;
前記ポリペプチド部位と前記リンカーとの間の第1の結合;および
前記ポリアルキレンオキシド部位と前記リンカーとの間の第2の結合;
を含むポリペプチド−高分子結合体であって、
前記ポリアルキレンオキシド部位が1〜20,000のC〜Cアルキレンオキシド繰り返し単位を含み、前記リンカーがAr−X−(CH−であり、ここでArはアリーレンまたはヘテロアリーレンであり、XはO、S、またはN(R)であり、RはHまたはC〜C10アルキルであり、nは1〜10であり;前記第1の結合および前記第2の結合は、それぞれ独立してカルボン酸エステル、カルボニル、カーボネート、アミド、カルバメート、ウレア、エーテル、チオ、スルホニル、スルフィニル、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ホスホネート、またはホスフェート基である、ポリペプチド−高分子結合体。
【請求項21】
Arがフェニレンである、請求項20に記載の結合体。
【請求項22】
XがOである、請求項21に記載の結合体。
【請求項23】
nが3である、請求項22に記載の結合体。
【請求項24】
前記ポリペプチド部位が、インターフェロン−α部位、および前記インターフェロン−α部位のN−末端に1〜6のさらなるアミノ酸残基を含む、請求項20に記載の結合体。
【請求項25】
前記ポリペプチド部位が、インターフェロン−β部位または顆粒球コロニー刺激因子を含む、請求項20に記載の結合体。
【請求項26】
化学式(I)で表される化合物:
【化2】

式中
mPEGはメトキシキャップポリエチレンオキシド部位であり、
、R、RおよびRの1つはCHOで置換されたC〜C10アルキルであり、
他のR、R、RおよびRはそれぞれ独立してH、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20シクロアルケニル、C〜C20ヘテロシクロアルキル、C〜C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリールである。
【請求項27】
前記mPEGが、5〜10,000の繰り返し単位を含む、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
前記mPEGが、20,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
が、CHOで置換されたプロピルまたはCHOで置換されたブチルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項30】
が、CHOで置換されたプロピルまたはCHOで置換されたブチルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項31】
インターフェロン−α部位、および前記インターフェロン−α部位のN−末端に1〜6のさらなるアミノ酸残基を含む、ポリペプチド。
【請求項32】
前記インターフェロン−α部位が、ヒトインターフェロン−α部位である、請求項31に記載のポリペプチド。
【請求項33】
前記ヒトインターフェロン−α部位が、ヒトインターフェロン−α2b部位である、請求項32に記載のポリペプチド。
【請求項34】
前記ヒトインターフェロン−α部位が、N−末端にシステイン残基を有する、請求項33に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記ヒトインターフェロン−α部位が、野生型インターフェロン−α部位である、請求項34に記載のポリペプチド。
【請求項36】
前記ポリペプチドが、Ser−Gly−IFN、Gly−Ser−IFN、Met−Met−IFN、Met−His−IFN、Pro−IFNまたはGly−Met−IFNであり、IFNがヒトインターフェロン−α2b部位である、請求項31に記載のポリペプチド。
【請求項37】
前記インターフェロン−α部位が、野生型インターフェロン−α部位である、請求項31に記載のポリペプチド。

【公表番号】特表2009−524598(P2009−524598A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548867(P2008−548867)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/062708
【国際公開番号】WO2007/079404
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508197376)ファーマエッセンティア コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】