薬剤監査支援装置
【課題】薬剤監査支援に当たり、検査精度の向上と処理速度の向上を両立でき得る薬剤監査支援装置を提供する。
【解決手段】薬剤監査支援装置は、カメラ33で薬包を撮像して得られた画像に基づいて、薬包内の薬剤に対して一次検査を実行するとともに、前記画像に基づいて二次検査すべき薬剤の位置を算出する一次検査手段と、前記二次検査すべき薬剤に近接させたプローブ40により当該薬剤の特性を取得するとともに、当該取得された特性に基づいて前記二次検査すべき薬剤に対して二次検査を実行する二次検査手段と、を備えている。カメラ33およびプローブ40は、同じ検査ヘッド29に搭載されており、二次検査を行う際には、薬包14を移動させることなく、一次検査で得られた薬剤位置に基づいて検査ヘッド29を移動させることにより、プローブ40を薬剤に近接させる。
【解決手段】薬剤監査支援装置は、カメラ33で薬包を撮像して得られた画像に基づいて、薬包内の薬剤に対して一次検査を実行するとともに、前記画像に基づいて二次検査すべき薬剤の位置を算出する一次検査手段と、前記二次検査すべき薬剤に近接させたプローブ40により当該薬剤の特性を取得するとともに、当該取得された特性に基づいて前記二次検査すべき薬剤に対して二次検査を実行する二次検査手段と、を備えている。カメラ33およびプローブ40は、同じ検査ヘッド29に搭載されており、二次検査を行う際には、薬包14を移動させることなく、一次検査で得られた薬剤位置に基づいて検査ヘッド29を移動させることにより、プローブ40を薬剤に近接させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤監査支援装置に関し、特に、薬包中に封入された1又は複数の固形性薬剤に対する監査を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や薬局においては医師が作成した処方箋に従って薬剤師により調剤行為が行われる。調剤後の薬剤に対しては薬剤師による監査が行われる。処方箋において一回に複数の薬剤の服用が指示されることも多い。そのような場合、一回分をまとめて単一の袋に収容しておけば便利であり、また服用の誤りを防止又は軽減できる。そこで、一回に服用する複数の固形性薬剤(錠剤やカプセル剤など)を自動的に一包化する一包化包装装置(分包装置)が実用化されている。このような服用単位に相当する薬包(分包袋)の外装は一般に透明性を有する樹脂フィルムによって構成されている。
【0003】
以上のように一包化された後、個々の薬包内に封入された1又は複数の薬剤に対しては処方箋通りの構成になっていることを確認する監査が必要である。分包装置への分包指令の誤りや薬剤取り違い等に起因して各薬包内の薬剤構成に誤りが生じている可能性もあるからである。そこで、薬包を撮像して画像を取得し、その画像を解析することにより自動的に薬剤検査を行う監査支援装置が提案されている(特許文献1−4)。最終的に薬剤師によって目視監査が行われるとしても、それに先立って自動的に自動検査を行っておけば不適切な分包処理が生じた場合に迅速に対応できるし、あるいは、監査負担を軽減できるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2879129号明細書
【特許文献2】特許第4300809号明細書
【特許文献3】特開2000−135268号公報
【特許文献4】特開平9−299448号公報
【特許文献5】特開2007−198802号公報
【特許文献6】特開2010−172672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、薬剤の中にはサイズ、形状、色等が似通ったものがあり、画像だけで検査を行うと、誤認が生じるおそれがあった。そこで、画像による一次検査に加えて他の検査(二次検査)を併用するのが望ましい。その場合に二次検査を迅速に行うべき要請がある。
【0006】
例えば、一次検査を経たすべての薬剤について二次検査を実行すると、全体の検査時間が不必要に長くなる場合がある。例えば、薬剤の中には、一次検査のみでも、十分に信頼でき得る検査結果を得られるものもある。かかる薬剤についてまで二次検査を行うと、無駄に検査時間の長期化を招くことになり、望ましくない。また、二次検査において、個々の薬剤の位置をあらためて特定することも、検査時間の長期化の原因となっている。
【0007】
なお、特許文献5には画像を使った検査とテラヘルツ波を使った検査とを行う薬剤識別装置が開示されている。その第0025段落には画像解析により薬剤位置を得てそこにテラヘルツ波を照射する旨が記載されている。同文献には装置構成や動作内容が漠然としか記載されておらず、一次検査で照合未了の薬剤に対してだけ二次検査を行うことを含めて処理速度を高める構成については記載されていないし、位置情報を具体的にどのように利用するのかについても記載されていない。特許文献6には近赤外スペクトルを利用して薬剤を検査する技術が開示されているが、画像検査との連携については記載されていない。
【0008】
そこで、本発明では、薬剤監査支援に当たり、検査精度の向上と処理速度の向上を両立でき得る薬剤監査支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の薬剤監査支援装置は、薬包内に封入された固形性を有する薬剤に対する監査を支援する薬剤監査支援装置であって、薬包を搬送方向に移送し、規定の検査位置まで搬送する薬包搬送手段と、撮像手段で薬包を撮像して得られた画像に基づいて、薬包内の薬剤に対して一次検査を実行するとともに、前記画像に基づいて二次検査すべき薬剤の位置を算出する一次検査手段と、前記二次検査すべき薬剤に近接させたプローブにより当該薬剤の特性を取得するとともに、当該取得された特性に基づいて前記二次検査すべき薬剤に対して二次検査を実行する二次検査手段と、前記プローブを、前記二次検査すべき薬剤に近接する位置まで移送させる移送手段であって、前記一次検査手段で算出された位置に基づいて前記プローブの移送位置を決定する移送手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
好適な態様では、前記一次検査手段は、前記画像の解析により薬剤種類が特定できなかった薬剤を、二次検査すべき薬剤として特定する。他の好適な態様では、さらに、前記二次検査すべき薬剤までの距離を測定する距離測定手段を備えており、前記移送手段は、一次検査手段で算出された位置、および、前記測定された距離に基づいて、前記プローブの移送位置を決定する。
【0011】
他の好適な態様では、さらに、前記プローブは、二次検査すべき薬剤に、光源から供給された光を照射するとともに当該薬剤での反射光を受光して分光器に送る分光プローブであり、前記プローブ、光源、分光器は、単一の検査ヘッドに固定設置されて、互いに一体となって移動し、前記光源は、プローブを挟んで、前記分光器の反対側に設置されている。他の好適な態様では、前記薬包は、複数の薬包が一列に繋がった薬包シートの状態で供給されており、前記薬剤監査支援装置は、さらに、前記薬包の搬送完了時には前記薬包シートの一部を押えて薬包シートの更なる移動を防止し、前記薬包の搬送時には前記押さえを解除して当該薬包を含む薬包シートの移動を許容するシート押さえ手段を備える。
【0012】
他の好適な態様では、前記撮像装置および前記プローブは、単一の検査ヘッドに固定されており、前記移送手段は、前記検査ヘッドを移動させることで、前記プローブおよび撮像手段を一体的に移送する。この場合、前記検査ヘッドは、さらに、薬包を保持する保持手段を備え、前記移送手段は、保持手段で薬包を保持した状態で検査ヘッドを移動させることで前記薬包を搬送する搬送手段としても機能する、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一次検査と二次検査を同じ検査位置で実行するため、一次検査手段で算出された薬剤位置に基づいて、二次検査で用いるプローブの移送位置を決定することができる。その結果、二次検査に要する時間を大幅に短縮でき、検査精度の向上と処理速度の向上を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態である監査支援装置の構成ブロック図である。
【図2】監査支援装置の斜視図である。
【図3】検査ヘッドを上方からみた斜視図である。
【図4】検査ヘッドを下方からみた斜視図である。
【図5】薬包シートの上面図である。
【図6】一次検査の原理を説明する図である。
【図7】分光スペクトルの一例を示す図である。
【図8】図7の分光スペクトルに対して二回の微分処理を適用した結果を表す図である。
【図9】検査の流れを示すフローチャートである。
【図10】一次検査の流れを示すフローチャートである。
【図11A】検査の流れを示すイメージ図である。
【図11B】検査の流れを示すイメージ図である。
【図11C】検査の流れを示すイメージ図である。
【図11D】検査の流れを示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態である薬剤監査支援装置の全体構成を示すブロック図である。また、図2は、この薬剤監査支援装置の斜視図であり、図3は検査ヘッドを上方からみた斜視図、図4は検査ヘッドを下方からみた斜視図である。なお、図3,4では、後述するカバー31の図示を省略している。
【0016】
この薬剤監査支援装置は、薬剤師による薬剤監査を支援するための装置であり、薬局や病院薬剤部などに設置されるものである。この薬剤監査支援装置は例えば病院ネットワークに接続されている。
【0017】
図1において、搬送台10上には薬包シート12が載せられている。この薬包シート12は分包装置によって作成されたものであり、搬送方向に並ぶ複数の薬包14を備えている。個々の薬包14は分包袋であり、その中には1または複数の薬剤が入れられている。薬包14の内部は気密空間となっており、各薬包14が薬剤20を有している。それらはタブレットとしての錠剤、カプセル剤などである。なお、薬包シート12は、分包装置からそのままこの薬剤監査支援装置へ提供されるようにしてもよいし、供給部から薬包シート12が搬送台10上に送り込まれてもよい。各薬包14は、透明性を有する樹脂フィルムによって構成されている。図5には薬包シート12の上面図が示されている。
【0018】
搬送台10は、薬包シート12が載置される土台である。ここで、図1、図2において、左側が上流側であり、右側が下流側である。薬包シート12は、上流側から下流側に向かって、ステップ送りされる。搬送台10には、図2に示すように、薬包シート12の移動をガイドするレール22や、後述する吸引パッド46を退避させる窪みである退避溝23などが設けられている。また、レール22の下流端には、検査を終えてレール下流端から落下する薬包14を受け入れるストッカ24が設けられている。このストッカ24は、略L字状の金具で、重力により落下してきた薬包14が折り重なって、貯留されるようになっている。また、レール22の上流端には、昇降自在のシート押さえバー21が設けられている。このシート押さえバー21は、上流側から下流側にステップ送りされる薬包シート12を、搬送台10上に押さえつけることにより、薬包シート12のさらなる移動を阻害するバーである。すなわち、検査を終えた薬包14が、重力によりストッカ24に落下すると、この落下の勢いにより後続の薬包14も下流側に移動する恐れがある。本実施形態では、この後続の薬包14の移動を防止するために、薬包シート12の一部を搬送台10上に押さえつけるシート押さえバー21を設けている。このシート押さえバー21は、薬包シート12を下流側にステップ送りする場合には、上昇し、シート12の押さえを解除する。
【0019】
搬送台10上には検査ステーション36が設定されており、この検査ステーション36で後述する一次検査および二次検査が実行される。検査ステーション36には、そこに位置決められる薬包14の下側にバックライト28が設けられている。バックライト28はシルエット画像を撮像する際に点灯する照明部材で、搬送台10に埋め込まれている。
【0020】
検査ステーション36の上方には、検査ヘッド29が設けられている。検査ヘッド29は、カメラユニット32や、吸引パッド46、距離センサ48、プローブ40など、検査に用いられる各種機器が搭載された部位である。この検査ヘッド29は、XYZの三方向に移動可能なXYZ移動機構50に取り付けられており、三次元的に移動自在となっている。このXYZ移動機構50は、主制御部68の指示に応じて検査ヘッド29、ひいては、当該検査ヘッド29に搭載されたカメラユニット32等を移送させるもので、薬包を搬送する薬包搬送手段、および、プローブ40を移送させる移送手段として機能する。
【0021】
検査ヘッド29は、ベースプレート30と、当該ベースプレート30の上方を覆うカバー31とを備えている。このカバー31のうち、後述する光源42の近傍には、通気口31aが設けられている。また、この通気口31aの近傍にはファン(図示せず)が設けられており、光源42から生じる熱を効率的に外部に放出できるようになっている。
【0022】
図4に示すとおり、カメラユニット32、距離センサ48、プローブ40は、搬送方向に一列に並んで配設されており、吸引パッド46は、これらカメラユニット32等よりも、奥側に設置されている。より具体的には、吸引パッド46は、カメラユニット32、距離センサ48、プローブ40を、薬包シート12の真上に位置させた際に、退避溝23の真上に位置するような位置に設けられている。また、この吸引パッド46のベースプレート30からの突出量は、プローブ40を薬剤に近接させた際に、退避溝23内に収まる程度の突出量となっている。
【0023】
カメラユニット32は、Z軸方向に並んで設置されたカメラ33および照明器具34から構成される。照明器具34はカラー撮像を行う場合において上方から薬包14に対して光を照射する。カメラ33は薬包14の全体をカバーする撮像エリアを有する撮像手段である。カメラ33から出力される画像データが画像解析部64へ出力される。後に説明するが、一次検査においては、画像解析によって、個々の薬剤がデータ上識別され、個々の薬剤ごとに形状、色が認識されて、データベース上の管理情報との突き合わせにより、個々の薬剤の薬剤名が特定される。ただし、より詳細な検査を行わなければ特定できない薬剤もあるため、あるいは何らかの不備があって特定を行えない場合があるため、そのような薬剤は二次検査対象薬剤とされる。一次検査においては、かかる二次検査対象薬剤の中心点座標(薬剤位置)の算出も行なう。
【0024】
吸引パッド46は、薬包14を吸引保持するものである。この吸引パッド46で薬包14を吸引保持した状態で、検査ヘッド29を搬送方向に移動させることで、薬包14のステップ送りが実現される。なお、後に詳説するように、二次検査の際には、プローブ40を検査対象の薬剤に近接させるべく、検査ヘッド29ごと当該吸引パッド46も下降する。このとき、吸引パッド46と搬送台10との干渉を防止するために、搬送台10には、退避溝23が形成されている。
【0025】
プローブ40は、二次検査のために、検査対象の薬剤20に、光を照射し、その反射光を受光するものである。本実施形態では、このプローブ40で、近赤外光、例えば900〜1700nmの帯域をもった近赤外光を照射する。ただし、当然ながら、それ以外の光あるいは可視光を利用するようにしてもよい。また個別的な精査を行える限りにおいてマイクロ波等の他の測定波を利用するようにしてもよい。
【0026】
ベースプレート30の上面には、プローブ40に光を供給する光源42、および、プローブ40が受光した反射光を分光し、スペクトルを得る分光器44が搭載されている。分光器44は、拡散反射光のスペクトルを生成し、当該分光スペクトルをスペクトル解析部66に出力している。スペクトル解析部66は得られた分光スペクトルに対して微分処理を二回繰り返すことによりプロファイルを生成し、そのデータを主制御部68へ出力している。
【0027】
光源42および分光器44は、いずれも、光ファイバを介してプローブ40に光学的に接続されている。ここで、光ファイバ、特に、反射光の受光信号を伝達する光ファイバの形状あるいは引き回し経路が変動すると分光結果に影響が生じることが危惧される。そのため、本実施形態においてはベースプレート上においてプローブ40と分光器44との位置が固定的に設定されており、換言すれば光ファイバの形状が不用意に変化しないように配慮されている。
【0028】
また、通常、光源42からは、比較的多大な熱が発生する。分光器44の光学系が、こうした熱の影響を受けると、ベースラインの不安定さを生じてしまう。そこで、本実施形態では、光源42を、プローブ40を挟んで、分光器44の反対側に設置し、分光器44と光源42とを極力離すようにしている。また、既述したとおり、光源42の近傍にファンおよび通気口31aを設け、光源42から生じる熱を効率的に外部に排出できるようにしている。
【0029】
距離センサ48は、二次検査の対象となった薬剤20までの距離を非接触で測定するセンサである。この距離センサ48で検知された距離は、主制御部68に送られ、二次検査におけるプローブ40の位置制御に利用される。すなわち、二次検査の際には、プローブ40を対象となる薬剤20に近接させることが望まれる。プローブ40を適切に薬剤20に近接させるためには、薬剤20の水平方向の位置だけでなく、薬剤20の厚み(垂直方向の位置)も取得しておくことが必要となる。そこで、本実施形態では、二次検査に先立って、検査ヘッド29と当該二次検査の対象となる薬剤20との距離(ひいては、薬剤20の厚み)を取得し、この得られた距離情報に基づいて、プローブ40(検査ヘッド29)のZ方向の移動量を決定している。
【0030】
主制御部68は、図1に示される各構成の動作制御を行っており、主制御部68は一次検査および二次検査の実質的な部分を行っている。主制御部68には記憶部としてのデータベース70が接続されており、そこには処方の対象となる薬剤リストが格納されており、個々の薬剤についてタイプ、形状(厚みを含む)、サイズ、色、成分等の各種の情報が管理されている。それは後に説明する照合において利用されるものである。主制御部68には基幹システムから与えられる処方箋データが入力されており、照合結果として薬剤が特定された場合、その薬剤と処方箋データに記載されている薬剤とが照らし合わされる。もしそれが不一致であれば、エラーが認定されることになる。すなわち監査支援は、薬包内の薬剤それ自体を特定する監査と、処方箋データとの合致をみる監査とからなるものである。主制御部68には表示部72が接続されており、エラー等が発生した場合表示部72上に所定の表示がなされる。その他データベース上に監査記録として記録するようにしてもよい。
【0031】
主制御部68は、一次検査を行う場合において、画像解析部64による解析結果に基づいて、データベース70との照合等を実行し、また上述したような薬剤20の位置演算等を行う。二次検査においては、主制御部68は、プロファイルをデータベース70上のプロファイルと照合する演算等を実行する。主制御部68はCPUや、動作プログラムを記憶したハードディスクやメモリ等によって構成されるのが望ましい。
【0032】
次に、一次検査および二次検査の原理について簡単に説明する。一次検査は、既述したとおりカメラ33での撮像で得られる画像を解析することにより行なわれる検査である。図6は、この一次検査の概念図である。符号90はシルエット画像を示しており、これは上述したバックライトを点灯させてコントラストを増強させた状態において取得される画像である。それ自体カラー画像であってもよいが、ここでは二値化画像としての性質が利用されるため、白黒画像であれば充分である。そのようなシルエット画像に基づいて各薬剤の輪郭が抽出されることになる。そのような輪郭から各薬剤の形状およびサイズを特定することができる。もっとも複数の薬剤が画像上連なって観測されているような場合には、それらを分離するラベリング処理等を適用すればよい。
【0033】
一方、図6において、符号92はカラー画像を示している。これは対象薬包の上方から光を照射して薬包内に存在する1または複数の薬剤についてその色を含めてその様子を撮像した画像である。
【0034】
シルエット画像90およびカラー画像92のそれぞれの情報から、各薬剤について形状、サイズ、色を特定することができ、また個々の薬剤の輪郭から薬剤の種別(錠剤/カプセル剤)と薬剤位置(中心座標)を特定することが可能となる。それが符号94に示すイメージ図として表されている。符号96は薬剤Aについて特定された情報を表しており、符号98および符号100はそれぞれ薬剤Bおよび薬剤Cについて特定された情報を表している。
【0035】
次に、二次検査の原理について簡単に説明する。図7は、二次検査によって得られる分光スペクトルの一例である。横軸は波長を表しており、縦軸は光の強度を表している。図7において、符号86はある薬剤Aについての例えば5回の計測結果を表したものであり、符号88は別の薬剤Bについての例えば5回の計測結果を表したものである。各薬剤ごとに分光スペクトルは固有の形態を描く。ただし、データベース上に登録するスペクトルと実測されたスペクトルとの比較を行う場合においては様々な要因から的確な照合を行えない可能性もあるため、照合精度を高めるために、本実施形態においては上述した二回微分が実行されている。
【0036】
図8には、二回微分が実行された後の分光スペクトルが示されている。符号86Aは図3に示した分光スペクトル86に対して二回微分を適用した後のプロファイルを示しており、同じく符号88Aは図7に示した分光スペクトル88に対して二回微分を適用した後のプロファイルを表している。このような処理によればオフセット分をキャンセルして、また、変化の特徴だけを顕著に捉えることができるから、薬剤の識別性をより高めることが可能となる。
【0037】
二回微分適用後のプロファイルが得られれば、主制御部68は、当該取得されたプロファイルと、データベース70に記録された各種薬剤のプロファイルとを比較照合し、検査対象の薬剤種類を特定する。
【0038】
ここで、本実施形態において、二次検査においてはプローブ40を利用して個別的に薬剤の測定を行わなければならず、そのためにプローブ40の位置決めや移動にあたって時間を要するという点を考慮し、一次検査において精査が必要と判断された薬剤のみを二次検査対象としている。従って、一次検査において全ての薬剤について照合が完了しているならば二次検査対象はゼロとなり、その場合において二次検査は行われない。その一方、一次検査の結果として1または複数の二次検査対象薬剤が判定された場合には、それらについて個別的に二次検査が実行されることになる。その場合においても、常に全ての薬剤に対して二次検査を行う場合に比べて時間効率を高めることが可能である。もっとも、どのような条件で二次検査を行うのかについてはユーザーによって複数のモードの中から選択させるようにしてもよい。例えば、カプセル剤については常に二次検査を適用する条件付けを行うことも可能である。
【0039】
また、二次検査におけるプローブ40の位置決めの時間を短縮するために、本実施形態では、一次検査および二次検査を同じ場所(検査ステーション36)で行なっている。かかる構成とすることで、一次検査および二次検査の間、薬包14を移動させる必要が無く、薬剤20の移動をほぼ確実に防止できる。その結果、二次検査におけるプローブ40の位置決めに、一次検査で算出された薬剤位置をそのまま利用することができ、プローブ40を迅速に薬剤20に近接させることができる。
【0040】
次に、図9、図10、図11A〜図11Dを用いて、監査支援装置の動作例を説明する。図9は、監査支援装置による検査の流れを示すフローチャートであり、図10には、一次検査の流れを示すフローチャートである。また、図11A〜図11Dは、検査の流れを示すイメージ図である。
【0041】
薬包が処方箋どおりに構成されているかを検査する際には、まず、吸引パッド46を、対象となる薬包14の真上に位置するべく検査ヘッド29を移動させ、吸引パッド46で当該薬包14を吸引する(S10)。このとき、図11Aに示すように、シート押さえバー21を上昇させておく。そして、吸引パッド46で、薬包14を保持したまま、検査ヘッド29ごと吸引パッド46を移動させ、薬包14を検査ステーション36に移送する(S12)。薬包14が検査ステーション36に到達すれば、図11Bに示すように、シート押さえバー21を下降させ、薬包シート12を搬送台10上に押さえつける。
【0042】
この状態になれば、今度は、カメラユニット32が検査ステーション36の真上に位置する一次検査実行位置に検査ヘッド29を移動させる(S14)。その状態になれば、一次検査を実行する(S16)。
【0043】
一次検査は、具体的には、次の流れで実行する。まず、バックライト28が点灯した状態でカメラ33によって薬包14を撮像するシルエット撮像を行なう(S30)。これによってシルエット画像が取得される。画像解析部64は、このシルエット撮像により得られた画像に基づいて、各画像中の輪郭を抽出する(S32)。次に、バックライト28を消灯するとともに、上方に設置された照明34の点灯下においてカメラ33によって薬包14を撮像するカラー撮像を行なう(S34)。画像解析部64は、このカラー撮像により得られた画像に基づいて、個々の薬剤20の色を特定する。なお、当然ながら、シルエット撮像とカラー撮像の順序を逆にしてもよい。また撮像を行いながらの演算を行うようにしてもよい。
【0044】
各薬剤20の輪郭や、色が特定されれば、主制御部68は、個々の薬剤について認識された情報とデータベース上に管理されている情報との間で照合を実行する(S36)。その結果、一致が認められれば、それぞれの対象薬剤について薬剤名を特定することが可能となる。検査対象の薬包14に含まれる全ての薬剤20について薬剤名の特定ができれば、換言すれば、照合失敗が生じなければ(S38でNo)、一次検査は終了となる。
【0045】
一方で、照合失敗の薬剤が発生すれば(S38においてYes)、この照合が失敗した薬剤の中心座標を算出する(S40)。そして、この位置算出した薬剤を二次検査の対象薬剤として一次記憶する(S42)。
【0046】
一次検査が終了すれば、主制御部68は、二次検査の対象となる薬剤の有無を確認する(S18)。二次検査の対象となる薬剤がなければ、当該薬包14に対する検査は終了したことになる。この場合、主制御部68は、検査対象の薬包14が他にもあるかを確認し(S28)、ある場合にはステップS10に戻り、再度、同様の手順を繰り返す。一方、全ての薬包14に対する検査が終われば、検査を終了する。
【0047】
また、一次検査が終了した後、二次検査の対象となる薬剤が存在する場合(S18でYes)には、続いて、当該二次検査の対象薬剤の距離を測定する(S20,S22)。具体的には、図11Cに示すように、距離センサ48が対象薬剤の真上に位置するべく、検査ヘッド29を移動させる。このときの移動量は、一次検査で算出された薬剤の中心座標に基づいて算出される。そして、距離センサ48が対象薬剤の真上に位置すれば、当該距離センサ48を駆動し、対象薬剤までの距離を測定する。測定により得られた距離情報は、主制御部68に送られる。
【0048】
距離が測定できれば、次に二次検査を実行する(S24、S26)。すなわち、プローブ40が二次検査の対象薬剤の真上に位置する二次検査実行位置に、検査ヘッド29を移動させる。このとき、図11Dに示すように、プローブ40の先端を、対象薬剤の上面に近接させるべく、検査ヘッドの水平方向位置だけでなく、高さも制御する。このときのプローブ40の位置制御には、一次検査で算出された薬剤の中心座標値、および、距離測定で得られた薬剤までの距離が利用される。
【0049】
プローブ40を対象薬剤に近接させることができれば、対象薬剤に、近赤外線光を照射し、その際得られる反射光に基づいて、拡散反射光のスペクトルを生成する。スペクトル解析部66は得られた分光スペクトルに対して微分処理を二回繰り返すことによりプロファイルを生成し、そのデータを主制御部68へ出力している。主制御部68は、得られたプロファイルと、データベース70に記憶されているプロファイルとの比較照合に基づいて、対象薬剤の薬剤名を特定する。
【0050】
なお、一つの薬包に、二次対象の薬剤が複数存在する場合、当該全ての対象薬剤の距離を測定してから二次検査を実行してもよいし、一つの対象薬剤の距離が測定できるたびに当該対象薬剤の二次検査を実行してもよい。
【0051】
いずれにしても、一次検査および二次検査により、全ての薬剤名が特定できれば、その薬剤名を、監査結果として、表示部72に表示する。なお、この監査結果は、表示部72に表示すると同時に、データベース70に記憶したり、用紙に印刷したりしてもよい。また、一次検査および二次検査を経ても、薬剤名を特定できない薬剤があった場合には、監査結果として、エラーを出力する。
【0052】
以上の説明から明らかなとおり、本実施形態によれば、一次検査と二次検査とで、薬包を移動させないため、薬剤の位置が不変である。そして、その結果、一次検査で算出した位置情報を、そのまま、二次検査に利用でき、二次検査にかかる時間を大幅に短縮することができる。また、本実施形態では、一次検査で薬剤名を特定できなかった薬剤についてだけ二次検査を実行しているため、検査全体に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、薬包14を吸引保持する吸引パッド46で、薬包14を移送しているが、搬送台10側に、薬包シート12を上流側から下流側に送る機構を設けてもよい。例えば、薬包シート12が載置される搬送ベルトと、当該搬送ベルトを下流側に送る搬送ローラなどからなる搬送機構で、薬包シート12を下流側に搬送してもよい。かかる構成の場合には、吸引パッド46を省略すればよい。
【符号の説明】
【0054】
10 搬送台、12 薬包シート、14 薬包、20 薬剤、21 シート押さえバー、29 検査ヘッド、30 ベースプレート、31 カバー、31a 通気口、32 カメラユニット、33 カメラ、34 照明器具、36 検査ステーション、40 プローブ、42 光源、44 分光器、46 吸引パッド、48 距離センサ、50 XYZ移動機構、64 画像解析部、66 スペクトル解析部、68 主制御部、70 データベース、72 表示部。
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤監査支援装置に関し、特に、薬包中に封入された1又は複数の固形性薬剤に対する監査を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や薬局においては医師が作成した処方箋に従って薬剤師により調剤行為が行われる。調剤後の薬剤に対しては薬剤師による監査が行われる。処方箋において一回に複数の薬剤の服用が指示されることも多い。そのような場合、一回分をまとめて単一の袋に収容しておけば便利であり、また服用の誤りを防止又は軽減できる。そこで、一回に服用する複数の固形性薬剤(錠剤やカプセル剤など)を自動的に一包化する一包化包装装置(分包装置)が実用化されている。このような服用単位に相当する薬包(分包袋)の外装は一般に透明性を有する樹脂フィルムによって構成されている。
【0003】
以上のように一包化された後、個々の薬包内に封入された1又は複数の薬剤に対しては処方箋通りの構成になっていることを確認する監査が必要である。分包装置への分包指令の誤りや薬剤取り違い等に起因して各薬包内の薬剤構成に誤りが生じている可能性もあるからである。そこで、薬包を撮像して画像を取得し、その画像を解析することにより自動的に薬剤検査を行う監査支援装置が提案されている(特許文献1−4)。最終的に薬剤師によって目視監査が行われるとしても、それに先立って自動的に自動検査を行っておけば不適切な分包処理が生じた場合に迅速に対応できるし、あるいは、監査負担を軽減できるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2879129号明細書
【特許文献2】特許第4300809号明細書
【特許文献3】特開2000−135268号公報
【特許文献4】特開平9−299448号公報
【特許文献5】特開2007−198802号公報
【特許文献6】特開2010−172672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、薬剤の中にはサイズ、形状、色等が似通ったものがあり、画像だけで検査を行うと、誤認が生じるおそれがあった。そこで、画像による一次検査に加えて他の検査(二次検査)を併用するのが望ましい。その場合に二次検査を迅速に行うべき要請がある。
【0006】
例えば、一次検査を経たすべての薬剤について二次検査を実行すると、全体の検査時間が不必要に長くなる場合がある。例えば、薬剤の中には、一次検査のみでも、十分に信頼でき得る検査結果を得られるものもある。かかる薬剤についてまで二次検査を行うと、無駄に検査時間の長期化を招くことになり、望ましくない。また、二次検査において、個々の薬剤の位置をあらためて特定することも、検査時間の長期化の原因となっている。
【0007】
なお、特許文献5には画像を使った検査とテラヘルツ波を使った検査とを行う薬剤識別装置が開示されている。その第0025段落には画像解析により薬剤位置を得てそこにテラヘルツ波を照射する旨が記載されている。同文献には装置構成や動作内容が漠然としか記載されておらず、一次検査で照合未了の薬剤に対してだけ二次検査を行うことを含めて処理速度を高める構成については記載されていないし、位置情報を具体的にどのように利用するのかについても記載されていない。特許文献6には近赤外スペクトルを利用して薬剤を検査する技術が開示されているが、画像検査との連携については記載されていない。
【0008】
そこで、本発明では、薬剤監査支援に当たり、検査精度の向上と処理速度の向上を両立でき得る薬剤監査支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の薬剤監査支援装置は、薬包内に封入された固形性を有する薬剤に対する監査を支援する薬剤監査支援装置であって、薬包を搬送方向に移送し、規定の検査位置まで搬送する薬包搬送手段と、撮像手段で薬包を撮像して得られた画像に基づいて、薬包内の薬剤に対して一次検査を実行するとともに、前記画像に基づいて二次検査すべき薬剤の位置を算出する一次検査手段と、前記二次検査すべき薬剤に近接させたプローブにより当該薬剤の特性を取得するとともに、当該取得された特性に基づいて前記二次検査すべき薬剤に対して二次検査を実行する二次検査手段と、前記プローブを、前記二次検査すべき薬剤に近接する位置まで移送させる移送手段であって、前記一次検査手段で算出された位置に基づいて前記プローブの移送位置を決定する移送手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
好適な態様では、前記一次検査手段は、前記画像の解析により薬剤種類が特定できなかった薬剤を、二次検査すべき薬剤として特定する。他の好適な態様では、さらに、前記二次検査すべき薬剤までの距離を測定する距離測定手段を備えており、前記移送手段は、一次検査手段で算出された位置、および、前記測定された距離に基づいて、前記プローブの移送位置を決定する。
【0011】
他の好適な態様では、さらに、前記プローブは、二次検査すべき薬剤に、光源から供給された光を照射するとともに当該薬剤での反射光を受光して分光器に送る分光プローブであり、前記プローブ、光源、分光器は、単一の検査ヘッドに固定設置されて、互いに一体となって移動し、前記光源は、プローブを挟んで、前記分光器の反対側に設置されている。他の好適な態様では、前記薬包は、複数の薬包が一列に繋がった薬包シートの状態で供給されており、前記薬剤監査支援装置は、さらに、前記薬包の搬送完了時には前記薬包シートの一部を押えて薬包シートの更なる移動を防止し、前記薬包の搬送時には前記押さえを解除して当該薬包を含む薬包シートの移動を許容するシート押さえ手段を備える。
【0012】
他の好適な態様では、前記撮像装置および前記プローブは、単一の検査ヘッドに固定されており、前記移送手段は、前記検査ヘッドを移動させることで、前記プローブおよび撮像手段を一体的に移送する。この場合、前記検査ヘッドは、さらに、薬包を保持する保持手段を備え、前記移送手段は、保持手段で薬包を保持した状態で検査ヘッドを移動させることで前記薬包を搬送する搬送手段としても機能する、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一次検査と二次検査を同じ検査位置で実行するため、一次検査手段で算出された薬剤位置に基づいて、二次検査で用いるプローブの移送位置を決定することができる。その結果、二次検査に要する時間を大幅に短縮でき、検査精度の向上と処理速度の向上を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態である監査支援装置の構成ブロック図である。
【図2】監査支援装置の斜視図である。
【図3】検査ヘッドを上方からみた斜視図である。
【図4】検査ヘッドを下方からみた斜視図である。
【図5】薬包シートの上面図である。
【図6】一次検査の原理を説明する図である。
【図7】分光スペクトルの一例を示す図である。
【図8】図7の分光スペクトルに対して二回の微分処理を適用した結果を表す図である。
【図9】検査の流れを示すフローチャートである。
【図10】一次検査の流れを示すフローチャートである。
【図11A】検査の流れを示すイメージ図である。
【図11B】検査の流れを示すイメージ図である。
【図11C】検査の流れを示すイメージ図である。
【図11D】検査の流れを示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態である薬剤監査支援装置の全体構成を示すブロック図である。また、図2は、この薬剤監査支援装置の斜視図であり、図3は検査ヘッドを上方からみた斜視図、図4は検査ヘッドを下方からみた斜視図である。なお、図3,4では、後述するカバー31の図示を省略している。
【0016】
この薬剤監査支援装置は、薬剤師による薬剤監査を支援するための装置であり、薬局や病院薬剤部などに設置されるものである。この薬剤監査支援装置は例えば病院ネットワークに接続されている。
【0017】
図1において、搬送台10上には薬包シート12が載せられている。この薬包シート12は分包装置によって作成されたものであり、搬送方向に並ぶ複数の薬包14を備えている。個々の薬包14は分包袋であり、その中には1または複数の薬剤が入れられている。薬包14の内部は気密空間となっており、各薬包14が薬剤20を有している。それらはタブレットとしての錠剤、カプセル剤などである。なお、薬包シート12は、分包装置からそのままこの薬剤監査支援装置へ提供されるようにしてもよいし、供給部から薬包シート12が搬送台10上に送り込まれてもよい。各薬包14は、透明性を有する樹脂フィルムによって構成されている。図5には薬包シート12の上面図が示されている。
【0018】
搬送台10は、薬包シート12が載置される土台である。ここで、図1、図2において、左側が上流側であり、右側が下流側である。薬包シート12は、上流側から下流側に向かって、ステップ送りされる。搬送台10には、図2に示すように、薬包シート12の移動をガイドするレール22や、後述する吸引パッド46を退避させる窪みである退避溝23などが設けられている。また、レール22の下流端には、検査を終えてレール下流端から落下する薬包14を受け入れるストッカ24が設けられている。このストッカ24は、略L字状の金具で、重力により落下してきた薬包14が折り重なって、貯留されるようになっている。また、レール22の上流端には、昇降自在のシート押さえバー21が設けられている。このシート押さえバー21は、上流側から下流側にステップ送りされる薬包シート12を、搬送台10上に押さえつけることにより、薬包シート12のさらなる移動を阻害するバーである。すなわち、検査を終えた薬包14が、重力によりストッカ24に落下すると、この落下の勢いにより後続の薬包14も下流側に移動する恐れがある。本実施形態では、この後続の薬包14の移動を防止するために、薬包シート12の一部を搬送台10上に押さえつけるシート押さえバー21を設けている。このシート押さえバー21は、薬包シート12を下流側にステップ送りする場合には、上昇し、シート12の押さえを解除する。
【0019】
搬送台10上には検査ステーション36が設定されており、この検査ステーション36で後述する一次検査および二次検査が実行される。検査ステーション36には、そこに位置決められる薬包14の下側にバックライト28が設けられている。バックライト28はシルエット画像を撮像する際に点灯する照明部材で、搬送台10に埋め込まれている。
【0020】
検査ステーション36の上方には、検査ヘッド29が設けられている。検査ヘッド29は、カメラユニット32や、吸引パッド46、距離センサ48、プローブ40など、検査に用いられる各種機器が搭載された部位である。この検査ヘッド29は、XYZの三方向に移動可能なXYZ移動機構50に取り付けられており、三次元的に移動自在となっている。このXYZ移動機構50は、主制御部68の指示に応じて検査ヘッド29、ひいては、当該検査ヘッド29に搭載されたカメラユニット32等を移送させるもので、薬包を搬送する薬包搬送手段、および、プローブ40を移送させる移送手段として機能する。
【0021】
検査ヘッド29は、ベースプレート30と、当該ベースプレート30の上方を覆うカバー31とを備えている。このカバー31のうち、後述する光源42の近傍には、通気口31aが設けられている。また、この通気口31aの近傍にはファン(図示せず)が設けられており、光源42から生じる熱を効率的に外部に放出できるようになっている。
【0022】
図4に示すとおり、カメラユニット32、距離センサ48、プローブ40は、搬送方向に一列に並んで配設されており、吸引パッド46は、これらカメラユニット32等よりも、奥側に設置されている。より具体的には、吸引パッド46は、カメラユニット32、距離センサ48、プローブ40を、薬包シート12の真上に位置させた際に、退避溝23の真上に位置するような位置に設けられている。また、この吸引パッド46のベースプレート30からの突出量は、プローブ40を薬剤に近接させた際に、退避溝23内に収まる程度の突出量となっている。
【0023】
カメラユニット32は、Z軸方向に並んで設置されたカメラ33および照明器具34から構成される。照明器具34はカラー撮像を行う場合において上方から薬包14に対して光を照射する。カメラ33は薬包14の全体をカバーする撮像エリアを有する撮像手段である。カメラ33から出力される画像データが画像解析部64へ出力される。後に説明するが、一次検査においては、画像解析によって、個々の薬剤がデータ上識別され、個々の薬剤ごとに形状、色が認識されて、データベース上の管理情報との突き合わせにより、個々の薬剤の薬剤名が特定される。ただし、より詳細な検査を行わなければ特定できない薬剤もあるため、あるいは何らかの不備があって特定を行えない場合があるため、そのような薬剤は二次検査対象薬剤とされる。一次検査においては、かかる二次検査対象薬剤の中心点座標(薬剤位置)の算出も行なう。
【0024】
吸引パッド46は、薬包14を吸引保持するものである。この吸引パッド46で薬包14を吸引保持した状態で、検査ヘッド29を搬送方向に移動させることで、薬包14のステップ送りが実現される。なお、後に詳説するように、二次検査の際には、プローブ40を検査対象の薬剤に近接させるべく、検査ヘッド29ごと当該吸引パッド46も下降する。このとき、吸引パッド46と搬送台10との干渉を防止するために、搬送台10には、退避溝23が形成されている。
【0025】
プローブ40は、二次検査のために、検査対象の薬剤20に、光を照射し、その反射光を受光するものである。本実施形態では、このプローブ40で、近赤外光、例えば900〜1700nmの帯域をもった近赤外光を照射する。ただし、当然ながら、それ以外の光あるいは可視光を利用するようにしてもよい。また個別的な精査を行える限りにおいてマイクロ波等の他の測定波を利用するようにしてもよい。
【0026】
ベースプレート30の上面には、プローブ40に光を供給する光源42、および、プローブ40が受光した反射光を分光し、スペクトルを得る分光器44が搭載されている。分光器44は、拡散反射光のスペクトルを生成し、当該分光スペクトルをスペクトル解析部66に出力している。スペクトル解析部66は得られた分光スペクトルに対して微分処理を二回繰り返すことによりプロファイルを生成し、そのデータを主制御部68へ出力している。
【0027】
光源42および分光器44は、いずれも、光ファイバを介してプローブ40に光学的に接続されている。ここで、光ファイバ、特に、反射光の受光信号を伝達する光ファイバの形状あるいは引き回し経路が変動すると分光結果に影響が生じることが危惧される。そのため、本実施形態においてはベースプレート上においてプローブ40と分光器44との位置が固定的に設定されており、換言すれば光ファイバの形状が不用意に変化しないように配慮されている。
【0028】
また、通常、光源42からは、比較的多大な熱が発生する。分光器44の光学系が、こうした熱の影響を受けると、ベースラインの不安定さを生じてしまう。そこで、本実施形態では、光源42を、プローブ40を挟んで、分光器44の反対側に設置し、分光器44と光源42とを極力離すようにしている。また、既述したとおり、光源42の近傍にファンおよび通気口31aを設け、光源42から生じる熱を効率的に外部に排出できるようにしている。
【0029】
距離センサ48は、二次検査の対象となった薬剤20までの距離を非接触で測定するセンサである。この距離センサ48で検知された距離は、主制御部68に送られ、二次検査におけるプローブ40の位置制御に利用される。すなわち、二次検査の際には、プローブ40を対象となる薬剤20に近接させることが望まれる。プローブ40を適切に薬剤20に近接させるためには、薬剤20の水平方向の位置だけでなく、薬剤20の厚み(垂直方向の位置)も取得しておくことが必要となる。そこで、本実施形態では、二次検査に先立って、検査ヘッド29と当該二次検査の対象となる薬剤20との距離(ひいては、薬剤20の厚み)を取得し、この得られた距離情報に基づいて、プローブ40(検査ヘッド29)のZ方向の移動量を決定している。
【0030】
主制御部68は、図1に示される各構成の動作制御を行っており、主制御部68は一次検査および二次検査の実質的な部分を行っている。主制御部68には記憶部としてのデータベース70が接続されており、そこには処方の対象となる薬剤リストが格納されており、個々の薬剤についてタイプ、形状(厚みを含む)、サイズ、色、成分等の各種の情報が管理されている。それは後に説明する照合において利用されるものである。主制御部68には基幹システムから与えられる処方箋データが入力されており、照合結果として薬剤が特定された場合、その薬剤と処方箋データに記載されている薬剤とが照らし合わされる。もしそれが不一致であれば、エラーが認定されることになる。すなわち監査支援は、薬包内の薬剤それ自体を特定する監査と、処方箋データとの合致をみる監査とからなるものである。主制御部68には表示部72が接続されており、エラー等が発生した場合表示部72上に所定の表示がなされる。その他データベース上に監査記録として記録するようにしてもよい。
【0031】
主制御部68は、一次検査を行う場合において、画像解析部64による解析結果に基づいて、データベース70との照合等を実行し、また上述したような薬剤20の位置演算等を行う。二次検査においては、主制御部68は、プロファイルをデータベース70上のプロファイルと照合する演算等を実行する。主制御部68はCPUや、動作プログラムを記憶したハードディスクやメモリ等によって構成されるのが望ましい。
【0032】
次に、一次検査および二次検査の原理について簡単に説明する。一次検査は、既述したとおりカメラ33での撮像で得られる画像を解析することにより行なわれる検査である。図6は、この一次検査の概念図である。符号90はシルエット画像を示しており、これは上述したバックライトを点灯させてコントラストを増強させた状態において取得される画像である。それ自体カラー画像であってもよいが、ここでは二値化画像としての性質が利用されるため、白黒画像であれば充分である。そのようなシルエット画像に基づいて各薬剤の輪郭が抽出されることになる。そのような輪郭から各薬剤の形状およびサイズを特定することができる。もっとも複数の薬剤が画像上連なって観測されているような場合には、それらを分離するラベリング処理等を適用すればよい。
【0033】
一方、図6において、符号92はカラー画像を示している。これは対象薬包の上方から光を照射して薬包内に存在する1または複数の薬剤についてその色を含めてその様子を撮像した画像である。
【0034】
シルエット画像90およびカラー画像92のそれぞれの情報から、各薬剤について形状、サイズ、色を特定することができ、また個々の薬剤の輪郭から薬剤の種別(錠剤/カプセル剤)と薬剤位置(中心座標)を特定することが可能となる。それが符号94に示すイメージ図として表されている。符号96は薬剤Aについて特定された情報を表しており、符号98および符号100はそれぞれ薬剤Bおよび薬剤Cについて特定された情報を表している。
【0035】
次に、二次検査の原理について簡単に説明する。図7は、二次検査によって得られる分光スペクトルの一例である。横軸は波長を表しており、縦軸は光の強度を表している。図7において、符号86はある薬剤Aについての例えば5回の計測結果を表したものであり、符号88は別の薬剤Bについての例えば5回の計測結果を表したものである。各薬剤ごとに分光スペクトルは固有の形態を描く。ただし、データベース上に登録するスペクトルと実測されたスペクトルとの比較を行う場合においては様々な要因から的確な照合を行えない可能性もあるため、照合精度を高めるために、本実施形態においては上述した二回微分が実行されている。
【0036】
図8には、二回微分が実行された後の分光スペクトルが示されている。符号86Aは図3に示した分光スペクトル86に対して二回微分を適用した後のプロファイルを示しており、同じく符号88Aは図7に示した分光スペクトル88に対して二回微分を適用した後のプロファイルを表している。このような処理によればオフセット分をキャンセルして、また、変化の特徴だけを顕著に捉えることができるから、薬剤の識別性をより高めることが可能となる。
【0037】
二回微分適用後のプロファイルが得られれば、主制御部68は、当該取得されたプロファイルと、データベース70に記録された各種薬剤のプロファイルとを比較照合し、検査対象の薬剤種類を特定する。
【0038】
ここで、本実施形態において、二次検査においてはプローブ40を利用して個別的に薬剤の測定を行わなければならず、そのためにプローブ40の位置決めや移動にあたって時間を要するという点を考慮し、一次検査において精査が必要と判断された薬剤のみを二次検査対象としている。従って、一次検査において全ての薬剤について照合が完了しているならば二次検査対象はゼロとなり、その場合において二次検査は行われない。その一方、一次検査の結果として1または複数の二次検査対象薬剤が判定された場合には、それらについて個別的に二次検査が実行されることになる。その場合においても、常に全ての薬剤に対して二次検査を行う場合に比べて時間効率を高めることが可能である。もっとも、どのような条件で二次検査を行うのかについてはユーザーによって複数のモードの中から選択させるようにしてもよい。例えば、カプセル剤については常に二次検査を適用する条件付けを行うことも可能である。
【0039】
また、二次検査におけるプローブ40の位置決めの時間を短縮するために、本実施形態では、一次検査および二次検査を同じ場所(検査ステーション36)で行なっている。かかる構成とすることで、一次検査および二次検査の間、薬包14を移動させる必要が無く、薬剤20の移動をほぼ確実に防止できる。その結果、二次検査におけるプローブ40の位置決めに、一次検査で算出された薬剤位置をそのまま利用することができ、プローブ40を迅速に薬剤20に近接させることができる。
【0040】
次に、図9、図10、図11A〜図11Dを用いて、監査支援装置の動作例を説明する。図9は、監査支援装置による検査の流れを示すフローチャートであり、図10には、一次検査の流れを示すフローチャートである。また、図11A〜図11Dは、検査の流れを示すイメージ図である。
【0041】
薬包が処方箋どおりに構成されているかを検査する際には、まず、吸引パッド46を、対象となる薬包14の真上に位置するべく検査ヘッド29を移動させ、吸引パッド46で当該薬包14を吸引する(S10)。このとき、図11Aに示すように、シート押さえバー21を上昇させておく。そして、吸引パッド46で、薬包14を保持したまま、検査ヘッド29ごと吸引パッド46を移動させ、薬包14を検査ステーション36に移送する(S12)。薬包14が検査ステーション36に到達すれば、図11Bに示すように、シート押さえバー21を下降させ、薬包シート12を搬送台10上に押さえつける。
【0042】
この状態になれば、今度は、カメラユニット32が検査ステーション36の真上に位置する一次検査実行位置に検査ヘッド29を移動させる(S14)。その状態になれば、一次検査を実行する(S16)。
【0043】
一次検査は、具体的には、次の流れで実行する。まず、バックライト28が点灯した状態でカメラ33によって薬包14を撮像するシルエット撮像を行なう(S30)。これによってシルエット画像が取得される。画像解析部64は、このシルエット撮像により得られた画像に基づいて、各画像中の輪郭を抽出する(S32)。次に、バックライト28を消灯するとともに、上方に設置された照明34の点灯下においてカメラ33によって薬包14を撮像するカラー撮像を行なう(S34)。画像解析部64は、このカラー撮像により得られた画像に基づいて、個々の薬剤20の色を特定する。なお、当然ながら、シルエット撮像とカラー撮像の順序を逆にしてもよい。また撮像を行いながらの演算を行うようにしてもよい。
【0044】
各薬剤20の輪郭や、色が特定されれば、主制御部68は、個々の薬剤について認識された情報とデータベース上に管理されている情報との間で照合を実行する(S36)。その結果、一致が認められれば、それぞれの対象薬剤について薬剤名を特定することが可能となる。検査対象の薬包14に含まれる全ての薬剤20について薬剤名の特定ができれば、換言すれば、照合失敗が生じなければ(S38でNo)、一次検査は終了となる。
【0045】
一方で、照合失敗の薬剤が発生すれば(S38においてYes)、この照合が失敗した薬剤の中心座標を算出する(S40)。そして、この位置算出した薬剤を二次検査の対象薬剤として一次記憶する(S42)。
【0046】
一次検査が終了すれば、主制御部68は、二次検査の対象となる薬剤の有無を確認する(S18)。二次検査の対象となる薬剤がなければ、当該薬包14に対する検査は終了したことになる。この場合、主制御部68は、検査対象の薬包14が他にもあるかを確認し(S28)、ある場合にはステップS10に戻り、再度、同様の手順を繰り返す。一方、全ての薬包14に対する検査が終われば、検査を終了する。
【0047】
また、一次検査が終了した後、二次検査の対象となる薬剤が存在する場合(S18でYes)には、続いて、当該二次検査の対象薬剤の距離を測定する(S20,S22)。具体的には、図11Cに示すように、距離センサ48が対象薬剤の真上に位置するべく、検査ヘッド29を移動させる。このときの移動量は、一次検査で算出された薬剤の中心座標に基づいて算出される。そして、距離センサ48が対象薬剤の真上に位置すれば、当該距離センサ48を駆動し、対象薬剤までの距離を測定する。測定により得られた距離情報は、主制御部68に送られる。
【0048】
距離が測定できれば、次に二次検査を実行する(S24、S26)。すなわち、プローブ40が二次検査の対象薬剤の真上に位置する二次検査実行位置に、検査ヘッド29を移動させる。このとき、図11Dに示すように、プローブ40の先端を、対象薬剤の上面に近接させるべく、検査ヘッドの水平方向位置だけでなく、高さも制御する。このときのプローブ40の位置制御には、一次検査で算出された薬剤の中心座標値、および、距離測定で得られた薬剤までの距離が利用される。
【0049】
プローブ40を対象薬剤に近接させることができれば、対象薬剤に、近赤外線光を照射し、その際得られる反射光に基づいて、拡散反射光のスペクトルを生成する。スペクトル解析部66は得られた分光スペクトルに対して微分処理を二回繰り返すことによりプロファイルを生成し、そのデータを主制御部68へ出力している。主制御部68は、得られたプロファイルと、データベース70に記憶されているプロファイルとの比較照合に基づいて、対象薬剤の薬剤名を特定する。
【0050】
なお、一つの薬包に、二次対象の薬剤が複数存在する場合、当該全ての対象薬剤の距離を測定してから二次検査を実行してもよいし、一つの対象薬剤の距離が測定できるたびに当該対象薬剤の二次検査を実行してもよい。
【0051】
いずれにしても、一次検査および二次検査により、全ての薬剤名が特定できれば、その薬剤名を、監査結果として、表示部72に表示する。なお、この監査結果は、表示部72に表示すると同時に、データベース70に記憶したり、用紙に印刷したりしてもよい。また、一次検査および二次検査を経ても、薬剤名を特定できない薬剤があった場合には、監査結果として、エラーを出力する。
【0052】
以上の説明から明らかなとおり、本実施形態によれば、一次検査と二次検査とで、薬包を移動させないため、薬剤の位置が不変である。そして、その結果、一次検査で算出した位置情報を、そのまま、二次検査に利用でき、二次検査にかかる時間を大幅に短縮することができる。また、本実施形態では、一次検査で薬剤名を特定できなかった薬剤についてだけ二次検査を実行しているため、検査全体に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、薬包14を吸引保持する吸引パッド46で、薬包14を移送しているが、搬送台10側に、薬包シート12を上流側から下流側に送る機構を設けてもよい。例えば、薬包シート12が載置される搬送ベルトと、当該搬送ベルトを下流側に送る搬送ローラなどからなる搬送機構で、薬包シート12を下流側に搬送してもよい。かかる構成の場合には、吸引パッド46を省略すればよい。
【符号の説明】
【0054】
10 搬送台、12 薬包シート、14 薬包、20 薬剤、21 シート押さえバー、29 検査ヘッド、30 ベースプレート、31 カバー、31a 通気口、32 カメラユニット、33 カメラ、34 照明器具、36 検査ステーション、40 プローブ、42 光源、44 分光器、46 吸引パッド、48 距離センサ、50 XYZ移動機構、64 画像解析部、66 スペクトル解析部、68 主制御部、70 データベース、72 表示部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬包内に封入された固形性を有する薬剤に対する監査を支援する薬剤監査支援装置であって、
薬包を搬送方向に移送し、規定の検査位置まで搬送する薬包搬送手段と、
撮像手段で薬包を撮像して得られた画像に基づいて、薬包内の薬剤に対して一次検査を実行するとともに、前記画像に基づいて二次検査すべき薬剤の位置を算出する一次検査手段と、
前記二次検査すべき薬剤に近接させたプローブにより当該薬剤の特性を取得するとともに、当該取得された特性に基づいて前記二次検査すべき薬剤に対して二次検査を実行する二次検査手段と、
前記プローブを、前記二次検査すべき薬剤に近接する位置まで移送させる移送手段であって、前記一次検査手段で算出された位置に基づいて前記プローブの移送位置を決定する移送手段と、
を備えることを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤監査支援装置であって、
前記一次検査手段は、前記画像の解析により薬剤種類が特定できなかった薬剤を、二次検査すべき薬剤として特定する、ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の薬剤監査支援装置であって、さらに、
前記二次検査すべき薬剤までの距離を測定する距離測定手段を備えており、
前記移送手段は、一次検査手段で算出された位置、および、前記測定された距離に基づいて、前記プローブの移送位置を決定する、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤監査支援装置であって、さらに、
前記プローブは、二次検査すべき薬剤に、光源から供給された光を照射するとともに当該薬剤での反射光を受光して分光器に送る分光プローブであり、
前記プローブ、光源、分光器は、単一の検査ヘッドに固定設置されて、互いに一体となって移動し、
前記光源は、プローブを挟んで、前記分光器の反対側に設置されている、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の薬剤監査支援装置であって、
前記薬包は、複数の薬包が一列に繋がった薬包シートの状態で供給されており、
前記薬剤監査支援装置は、さらに、前記薬包の搬送完了時には前記薬包シートの一部を押さえて薬包シートの更なる移動を防止し、前記薬包の搬送時には前記押さえを解除して当該薬包を含む薬包シートの移動を許容するシート押さえ手段を備える、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の薬剤監査支援装置であって、
前記撮像装置および前記プローブは、単一の検査ヘッドに固定されており、
前記移送手段は、前記検査ヘッドを移動させることで、前記プローブおよび撮像手段を一体的に移送する、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の薬剤監査支援装置であって、
前記検査ヘッドは、さらに、薬包を保持する保持手段を備え、
前記移送手段は、保持手段で薬包を保持した状態で検査ヘッドを移動させることで前記薬包を搬送する搬送手段としても機能する、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項1】
薬包内に封入された固形性を有する薬剤に対する監査を支援する薬剤監査支援装置であって、
薬包を搬送方向に移送し、規定の検査位置まで搬送する薬包搬送手段と、
撮像手段で薬包を撮像して得られた画像に基づいて、薬包内の薬剤に対して一次検査を実行するとともに、前記画像に基づいて二次検査すべき薬剤の位置を算出する一次検査手段と、
前記二次検査すべき薬剤に近接させたプローブにより当該薬剤の特性を取得するとともに、当該取得された特性に基づいて前記二次検査すべき薬剤に対して二次検査を実行する二次検査手段と、
前記プローブを、前記二次検査すべき薬剤に近接する位置まで移送させる移送手段であって、前記一次検査手段で算出された位置に基づいて前記プローブの移送位置を決定する移送手段と、
を備えることを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤監査支援装置であって、
前記一次検査手段は、前記画像の解析により薬剤種類が特定できなかった薬剤を、二次検査すべき薬剤として特定する、ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の薬剤監査支援装置であって、さらに、
前記二次検査すべき薬剤までの距離を測定する距離測定手段を備えており、
前記移送手段は、一次検査手段で算出された位置、および、前記測定された距離に基づいて、前記プローブの移送位置を決定する、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤監査支援装置であって、さらに、
前記プローブは、二次検査すべき薬剤に、光源から供給された光を照射するとともに当該薬剤での反射光を受光して分光器に送る分光プローブであり、
前記プローブ、光源、分光器は、単一の検査ヘッドに固定設置されて、互いに一体となって移動し、
前記光源は、プローブを挟んで、前記分光器の反対側に設置されている、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の薬剤監査支援装置であって、
前記薬包は、複数の薬包が一列に繋がった薬包シートの状態で供給されており、
前記薬剤監査支援装置は、さらに、前記薬包の搬送完了時には前記薬包シートの一部を押さえて薬包シートの更なる移動を防止し、前記薬包の搬送時には前記押さえを解除して当該薬包を含む薬包シートの移動を許容するシート押さえ手段を備える、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の薬剤監査支援装置であって、
前記撮像装置および前記プローブは、単一の検査ヘッドに固定されており、
前記移送手段は、前記検査ヘッドを移動させることで、前記プローブおよび撮像手段を一体的に移送する、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の薬剤監査支援装置であって、
前記検査ヘッドは、さらに、薬包を保持する保持手段を備え、
前記移送手段は、保持手段で薬包を保持した状態で検査ヘッドを移動させることで前記薬包を搬送する搬送手段としても機能する、
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図3】
【図6】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図3】
【図6】
【公開番号】特開2013−17745(P2013−17745A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155083(P2011−155083)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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