説明

薬剤管理装置および方法

【課題】従来の薬剤管理装置は、薬剤を使用期限順に並べようとした場合、作業が煩雑になることである。
【解決手段】薬剤管理装置は、収納部20、21に存在する薬剤の薬剤情報をRFIDタグより検出する検出部41、42と、薬剤補充時の収納部20、21に存在する薬剤の薬剤情報を記録する初期薬剤記録部43と、初期薬剤記録部43に記録された薬剤情報の薬剤種別コードおよび使用期限に応じて収納部20、21における薬剤の配置場所を決定する並び替部44と、初期薬剤記録部43に記録された複数の薬剤情報と比較して検出部41、42で検出されない不足薬剤を算出する取出し算出部45と、取出し算出部45で算出された不足薬剤について収納部20、21の配置場所を指示する表示部22と、を備え、収納部20、21に薬剤を補充した後、並び替える薬剤を収納部20、21から摘み上げると薬剤の使用期限に応じた配置位置を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を管理する薬剤管理装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院では、様々な病気や怪我を持つ患者に対し、医師が診断を行い、治療のために調剤情報を作成している。そして、その調剤情報を元に、調剤局や調剤室等で薬剤を取り揃えて、患者へ提供をしている。
【0003】
また、手術室で利用する手術用の薬剤は、手術前の医師の診断(手術計画)に基づいて薬剤管理カートに準備される。しかし、手術計画で必要最低限とする薬剤のみを準備すると、手術中に医師の診断が変わった場合、薬剤が不足したり、慌ただしい手術の最中に薬剤が破損したりする場合がある。そのため、手術用の薬剤は、多めに取り揃えておく必要がある。
【0004】
また、頻繁に行われる手術については、その手術用の薬剤を集めた薬剤管理カートを手術室に常駐させている。すなわち、手術ごとに取り揃えるのではなく、特定の手術用の薬剤管理カートを準備して一定の薬剤を保持するようにしている。そして、手術前に薬剤が不足していれば、それを補充するようにしている。同様に、多くの手術に共通して必要な薬剤を集めた薬剤管理装置を手術室に常駐させておく場合もある。
【0005】
このような薬剤管理装置の中には、使用期限が早い薬剤が早く使用されるように考えられた薬剤管理装置として、図26(a)、(b)に示すような薬剤管理も可能な物品収納装置がある。
【0006】
物品収納装置1には、薬剤3を整列収納するカセット4を多数設ける。また、各カセット4には、薬剤3の出し入れ可能な出入口5が形成され、その出入口5に向けて薬剤3を傾ける付勢手段6が付設される。そして、物品収納装置1のカセット載置棚7には、カセット4内の薬剤3の収納数を求める計数手段8、9が設けられる。
【0007】
カセット4には、同一種類の薬剤を収納しておくが、その際、使用期限の遅いものを奥側にし、使用期限の早いものを前側(出入口5側)に整列させる。
【0008】
よって、物品収納装置1からの薬剤の取出しは、使用期限の早いものから取出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−199508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の物品収納装置1の課題は、カセット4内の薬剤を常に使用期限順に並べる必要があるため、作業が煩雑になることである。
【0011】
つまり、薬剤の種類は、薬剤のラベルの色や形状等で瞬時に見分けることができるが、薬剤の使用期限は、薬剤ラベルの目立たない一部に記録されているのみで、ラベルに記載された使用期限を確認するには時間がかかってしまう。
【0012】
また、カセット4内の薬剤が使用期限に並んでいるとしても、カセット4へ補充する薬剤の使用期限は保持される薬剤3の中で何番目に早いものかわからない。よって、カセット4で保持される多くの薬剤の使用期限を見た上で、補充する薬剤の位置を決定する必要がある。
【0013】
また、従来の物品収納措置1では、カセット4への薬剤の補充は、出入口5からしかできず、補充する薬剤がカセット4の中で使用期限が最も遅い場合、すべての薬剤をカセット4から取り出した上で補充をしなければならない。
【0014】
本発明は、これらの課題を解決した薬剤管理装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そしてこの目的を達成するための本発明の薬剤管理装置は、保持部を複数備えると共に鉛直上方が開口された収納部と、前記収納部の複数の保持部に保持された薬剤の薬剤種別および使用期限を含む薬剤情報を、前記保持された薬剤のRFIDタグより検出する検出部と、予め設定された初期状態において前記収納部に保持される薬剤の薬剤情報が記録された初期薬剤記録部と、前記検出部で検出された薬剤情報の薬剤種別および使用期限に応じて前記収納部における薬剤の配置場所を決定する並び替部と、前記初期薬剤記録部に記録された複数の薬剤情報を基準とした場合に、前記検出部で検出されない不足薬剤を算出する取出し算出部と、前記取出し算出部で算出された不足薬剤について前記収納部の配置場所を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、この目的を達成するための本発明の薬剤管理方法は、収納部の複数の保持部に保持された薬剤の薬剤種別および使用期限を含む薬剤情報を、前記保持された薬剤のRFIDタグより検出する検出工程と、予め設定された初期状態において前記収納部に保持される薬剤の薬剤情報が記録された初期薬剤記録工程と、前記検出部で検出された薬剤情報の薬剤種別および使用期限に応じて前記収納部における薬剤の配置場所を決定する並び替工程と、前記初期薬剤記録部に記録された複数の薬剤情報を基準とした場合に、前記検出部で検出されない不足薬剤を算出する取出し算出工程と、前記取出し算出部で算出された不足薬剤について前記収納部の配置場所を表示する表示工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の薬剤管理装置および方法を用いることで、使用期限が早い薬剤を収納部の取り出し易い位置に並べることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1における手術室の正面図
【図2】本実施の形態1における薬剤管理装置の斜視図
【図3】本実施の形態1における収納部を引き出した薬剤管理装置の斜視図
【図4】本実施の形態1における収納部の斜視図
【図5】本実施の形態1における薬剤の斜視図
【図6】本実施の形態1における薬剤のRFIDタグの下面図
【図7】本実施の形態1における薬剤管理装置の機能ブロック図
【図8】本実施の形態1における手術後の収納部の上面図
【図9】本実施の形態1における補充算出部の動作を説明するフローチャート
【図10】本実施の形態1における補充後の収納部の上面図
【図11】本実施の形態1における初期薬剤リストを示す図
【図12】本実施の形態1における取出し算出部の動作を説明するフローチャート
【図13】本実施の形態1における薬剤の並び換え前の表示部の正面図
【図14】本実施の形態1における薬剤の並び換え中の表示部の正面図
【図15】本実施の形態1における並び替え後の収納部の上面図
【図16】本発明の実施の形態2における並び替え前の収納部の上面図
【図17】本発明の実施の形態3における帯状エリア分けの収納部の上面図
【図18】本実施の形態3におけるリング状エリア分けの収納部の上面図
【図19】本発明の実施の形態4における並び替部のエリア分け動作を説明するフローチャート
【図20】本実施の形態4における薬剤管理装置の斜視図
【図21】本実施の形態4における薬剤管理装置の機能ブロック図
【図22】本実施の形態4における表示部を回転した薬剤管理装置の斜視図
【図23】本実施の形態4における表示部を回転した場合の収納部の上面図
【図24】本発明の実施の形態5における表示部の正面図
【図25】本実施の形態5における並び替え後の収納部の上面図
【図26】(a)従来の薬剤管理装置の正面図、(b)従来の薬剤管理装置のカセット周りの右側側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同じ構成には同じ符号を付けて、適宜、説明を省略している。
【0020】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における手術室10の正面図である。手術室10には、患者を寝かせる手術用のベッド11と、ベッド11の上方にあってベッド11上の患者の術部を照らす手術用のライト12と、手術で利用する患者の生態情報を測定する測定器具13と、手術用の薬剤を保管する薬剤管理装置14がある。このような手術室10にて、手術作業者(医師、看護師)が、手術道具(図示せず)、測定器具13、薬剤管理装置14を利用しながら手術を進める。
【0021】
図2は薬剤管理装置14の斜視図である。薬剤管理装置14は、薬剤を個別に保持する保持部となす凹部29を複数備え、上方を開口した収納部20、21を備える。
【0022】
さらに、タッチパネルによる入力機能を有する表示部22と、作業者の名札に取り付けられたICタグの個人識別情報を無線で読み取るICタグリーダ23と、ICタグリーダ23で個人識別される医師を撮像範囲に含むように手術室内を撮影するカメラ24と、小型パソコン等のデータ処理装置を保管する制御機器ケース部25とを備える。
【0023】
さらに、薬剤管理装置14の上部に、手術後、収納部20、21へ薬剤を補充するための第1ボタン27と、補充した薬剤を並び替えるための第2ボタン28とを備える。
【0024】
また、薬剤管理装置14に保持する薬剤を取り出し易くするために、図3に示すように、薬剤管理装置14の正面(開口)に向かって収納部20、21を個別に引き出すことが可能である。
【0025】
次に、図4の収納部20の分解図を用いて、この収納部20、21の構造を説明する。
【0026】
収納部20は、薬剤を整然と並べるために一定の間隔で凹部29が形成された薬剤受け31と、薬剤受け31の下部にある収納部アンテナ32と、薬剤受け31と収納部アンテナ32を固定するアンテナ固定ガイド33と、アンテナ固定ガイド33の下方に蓋をする収納部底板34と、この収納部底板34の下面に取り付けられて収納部アンテナ32の下方への電波を遮断する遮蔽板35と、を備える。
【0027】
なお、収納部アンテナ32は、収納部20に保持された薬剤のRFIDタグの情報を検出するRFIDタグの検出部に繋がっている。
【0028】
また、収納部20は、薬剤管理装置14の一部である引出レール36をスライドして移動する。
【0029】
なお、図3の収納部21は、収納部20の下方に位置しており、基本構成は収納部20と同じであるので、ここでは、収納部20のみを説明している。
【0030】
ちなみに、本実施の形態1で用いる複数種類の薬剤の一つである薬剤30は、図5に示すように薬液をアンプル38に入れたものであり、アンプル38の下部にRFIDタグ39を備える。このRFIDタグ39は、13.56MHzのHF帯のRFIDタグ39が使用される。図6のRFIDタグ39の下面図に示すように、RFIDタグ39は、IC39aと渦巻き状のコイル39bとによって構成される。
【0031】
図7は、薬剤管理装置14の機能ブロック図である。
【0032】
薬剤管理装置14は、上方が開口された収納部20、21と、この収納部20、21に存在する薬剤30の薬剤情報を検出する検出部41、42と、薬剤補充時の収納部20、21に存在する薬剤の薬剤情報を記録する初期薬剤記録部43とを備える。薬剤30のRFIDタグ39には、識別番号と、薬剤種別コードとなす薬剤名と、使用期限を含む薬剤情報とが記録されており、検出部41、42でRFIDタグ39に記録された薬剤情報を検出する。
【0033】
なお、ここで言う薬剤補充時とは、次の手術のために収納部20、21に薬剤を補充した時である。具体的には、薬剤を収納部20、21に補充した後、作業者が第2ボタン28を押して補充完了信号が発信された時を意味する。
【0034】
さらに、薬剤管理装置14は、初期薬剤記録部43に記録された薬剤情報の薬剤名および使用期限に応じて収納部20、21における薬剤の配置場所を決定する並び替部44と、初期薬剤記録部43に記録された複数の薬剤情報を基準として検出部41、42で検出されない不足薬剤を算出する取出し算出部45と、この取出し算出部45で算出された不足薬剤について収納部20、21の配置場所を指示する表示部22とを備える。
【0035】
このような構成により、薬剤管理装置14は、薬剤が収納部20、21に摘み上げられると、薬剤ごとの適切な配置場所を表示部22に表示して、作業者へ提示する。
【0036】
なお、並び替部44は、同一種類の薬剤に関して使用期限の早い順番に順番付けを行うと共にその配置エリアを設定する。そして、その薬剤の配置エリアで使用期限の早い薬剤を前方(薬剤管理装置14の正面側)に配置することで、作業者から見た場合に、使用期限の早い薬剤が手前となる。よって、手術中、収納部20にある薬剤は、使用期限の早いものから優先的に取出し易くなる。
【0037】
さらに、薬剤管理装置14は、手術前に必要とする準備薬剤を記録する準備薬剤記録部47と、準備薬剤と検出部41、42で検出された薬剤とを比較して補充が必要な薬剤を算出する補充算出部48と、この補充算出部48で補充が必要と算出された薬剤情報を外部へ発信するネット接続部49とを備える。
【0038】
このような構成により、手術後に、不足した薬剤を薬剤管理装置14が算出し、不足しているために補充が必要な薬剤の薬剤情報を、ネットワーク経由で外部の薬剤払い出し装置へ発信する。
【0039】
さらに、薬剤管理装置14は、ICタグリーダ23で検出された個人識別情報と、ICタグリーダ23で個人識別される時にカメラ24で撮影された撮影情報とから、作業者を記録する作業者記録部51を備える。これにより、薬剤を補充した作業者に関する情報を記録することができる。
【0040】
次に、薬剤管理装置14の薬剤の補充作業について説明する。
【0041】
図8は、手術後の収納部20の上面図である。複数の凹部29を有する薬剤受け31は、複数の配置エリアに分かれ、配置エリアごとに同一種類の薬剤が配置されている。
【0042】
図8では、収納部20において、配置エリアとして、エリア61〜66を設けている。エリア61には薬剤a71を配置し、エリア62には薬剤b72を配置し、エリア63には薬剤c73を配置し、エリア64には薬剤d74を配置し、エリア65には薬剤e75を配置し、エリア66には薬剤f76を配置する。なお、配置エリアとして使用されていない余りの部分であるエリア67は、薬剤を補充する時や並び替え時に、一時的に配置しておくための配置エリアである。
【0043】
手術前において、エリア61、62、63、64、65、66は、それぞれの薬剤で満たされていなければならないが、図8は、手術後の状態を示しているため、手術中に使用された薬剤が抜き取られた状態である。
【0044】
また、ここでは、エリア62に配置されなければならない薬剤b72が2つ、エリア63に配置されている。これは、手術中、エリア63から一度に複数取出した薬剤b72を、取出し過ぎたため返却したものである。本来なら、エリア62に返却すべきであるが、返却位置を間違えてエリア63へ配置されたものである。
【0045】
手術が終わると、次の手術のために収納部20には薬剤の補充を行わなければならない。例えば、手術が終わって手術室を掃除した後、薬剤の補充を行う。薬剤管理装置14の第1ボタン27を押すと図7の補充算出部48が作動して、補充に必要な薬剤名と個数を算出し、この補充のための薬剤名と個数をネット接続部49より、手術室の外部にある薬剤払い出し装置(図示せず)へ発信する。
【0046】
この時の補充算出部48の動作を、図9の補充算出部48のフローチャートを用いて説明する。なお、収納部20、21の両方で薬剤を保持することは可能であるが、ここでは収納部20のみで薬剤を保持する場合について説明する。
【0047】
第1ボタン27が押されると、補充算出部48が作動して、まず、検出部41へ指示を出し、収納部20に存在する薬剤の薬剤情報を検出する(ステップS01)。
【0048】
薬剤30のRFIDタグ39には、識別番号、薬剤名、使用期限を含む薬剤情報が記録されており、収納部20に存在する複数の薬剤の薬剤情報を検出する。
【0049】
そして、検出部41で検出された薬剤の薬剤名について、検出された個数と準備薬剤記録部47に記録されている薬剤名の個数とを比較して、補充薬剤を算出する(ステップS02)。
【0050】
準備薬剤記録部47には、次の手術のために必要な収納部20に保持しておく薬剤の薬剤名と必要な数が記録されている。本実施の形態1で、準備薬剤記録部47に記録されている薬剤名は、薬剤aが12個、薬剤bが9個、薬剤cが6個、薬剤dが12個、薬剤eが9個、薬剤fが6個である。
【0051】
収納部20には、薬剤aが6個、薬剤bが5個、薬剤cが5個、薬剤dが4個、薬剤eが3個不足している。この不足している薬剤の個数が、収納部20へ補充する補充薬剤である。
【0052】
この補充情報(補充薬剤の情報で、薬剤aは6個、薬剤bは5個、薬剤cは5個、薬剤dは4個、薬剤eは3個、という情報)をネット接続部49より発信する(ステップS03)。
【0053】
すると、手術室の外にある薬剤払出装置に、薬剤管理装置14から発信された補充情報が届き、薬剤払出装置は薬剤aを6個、薬剤bを5個、薬剤cを5個、薬剤dを4個、薬剤eを3個、を払い出す。そして、作業者は手術室へ持参し、収納部20の補充薬剤用のエリア67に配置する。
【0054】
図10は、補充後の収納部20の上面図である。補充する薬剤は、まず補充薬剤用のエリア67に配置される。
【0055】
次に、作業者は第2ボタン28を押して、収納部20に配置された薬剤の並び替え作業を行う。
【0056】
第2ボタン28が押されると、図7に示す初期薬剤記録部43が作動し、検出部41に指示を出して、収納部20に存在する複数の薬剤の薬剤情報を検出する。そして、この検出された薬剤情報を、初期薬剤リストとして初期薬剤記録部43に記録する。
【0057】
この初期薬剤記録部43に記録される初期薬剤リストには、薬剤名や使用期限に関係なくランダムに並べられているが、並び替部44によって、薬剤名ごとに使用期限の早い順に順番を付与し、初期薬剤リストの順番を並び替える。さらに、並び替部44は、収納部20に同一種類の薬剤を配置する配置エリアに分け、この配置エリアごとに使用期限が早いものを前方(手前)に配置するように薬剤の配置場所を意味する番地を決定する。
【0058】
図11に、薬剤種類ごとに使用期限の早い順で付与された順番と、収納部20の並び替える番地とが記載された初期薬剤リスト81を示す。
【0059】
初期薬剤記録部43に初期薬剤リスト81が記録された後、薬剤管理装置14では、収納部20の並び換えのための、初期薬剤リスト81の表示が行われる。
【0060】
そして、薬剤の並び替えのために、補充した薬剤のひとつを摘み上げると、移動先の番地、識別番号、薬剤名、順番、使用期限が他の部分より目立つようにされ、この目立った番地に従い摘み上げた薬剤を移動する。この目立つようにする方法としては、その番地(凹部)に設置されたLEDを光らせる方法や、その番地(凹部)のみに対して薬剤管理装置14に設けられた照射源(図示せず)から光を照射する方法などが考えられる。
【0061】
薬剤の並び替え表示は、図12の取り出し算出部45動作を説明するフローチャートを用いて説明する。
【0062】
初期薬剤リスト81が算出された後、この初期薬剤リスト81の内容を図13に示すように表示部22へ表示する(ステップS11)。この時、初期薬剤リスト81には、番地、識別番号、薬剤名、順番、使用期限が表示される。
【0063】
ただし、図13に示されている番地は、収納部20に存在する薬剤を使用期限の早い薬剤を先に取り出されるように配列する番地であり、薬剤の現在の配置を示すものではない。
【0064】
そして、初期薬剤記録部43は、検出部41へ指示を出し、収納部20に存在する複数の薬剤の識別番号を検出する(ステップS12)。
【0065】
次に、初期薬剤記録部43に記録されている薬剤の識別番号と、検出部41で検出された識別番号と初期薬剤記録部43に記録されている識別番号とを比較して、取り出し薬剤を算出する(ステップS13)。
【0066】
「取り出し薬剤あり」という状況は、初期薬剤記録部43に記録されている薬剤の識別番号に対して、検出部41で検出される薬剤が不足していた場合である。つまり、第2ボタン28が押された時の収納部20に存在する薬剤と比較して、不足が発生していると「取り出し薬剤あり」となる。なお、検出部41は、収納部20から薬剤を5cm以上摘み上げると、RFIDタグを検出することができなくなり、「取り出し薬剤あり」と識別される。
【0067】
そして、「取出し薬剤あり」と識別されると、取り出し薬剤の番地、識別番号、薬剤名、使用期限を図13の表示部22に示すようにハイライト表示させる(ステップS14)。
【0068】
具体的には、薬剤の並び替えのため、補充した薬剤を摘み上げると、薬剤管理装置では「取出し薬剤あり」と認識され、その薬剤を配置すべき収納部20の番地が目立つ。
【0069】
図10に示す収納部20の番地C9にある薬剤b72を摘み上げると、この薬剤は識別番号「41682」であり、表示部22では図14に示すようにハイライト表示される。そして、この薬剤を配置するべき凹部29の番地G3であることがわかる。作業者は、薬剤を番地G3へ移動する。
【0070】
そして、薬剤管理装置14は、第2ボタン信号の検出(ステップS15)を行う。第2ボタン信号の検出があれば、並び替え終了として、並び替部44は停止する。第2ボタン信号の検出がなければ、再度、ステップS11に戻り、薬剤の検出を続ける。
【0071】
また、ステップS13で、検出部41で検出される薬剤と初期薬剤記録部43に記録されている薬剤と一致していれば、「取り出し薬剤なし」としてステップS14の取出し薬剤の強調表現は行われない。
【0072】
よって、C9番地から番地G3の凹部29へ移動した薬剤a71は、検出部41で検出されるため、表示部22で行われる識別番号「41682」のハイライト表示は消えて図13に示すような表示となる。
【0073】
このように、エリア67にある補充した薬剤をひとつずつ摘み上げ、表示部22にハイライト表示された収納部20の番地へ移動する。繰り返し薬剤の移動を行うことで、結果、同一種類の薬剤が同一の配置エリアに分けられ、配置エリアでは使用期限の早い薬剤が前方になるように収納部20に薬剤が取り揃えられる。
【0074】
なお、エリア67から摘み上げた薬剤に対して、表示部22でハイライト表示された薬剤の番地に、すでに配置されている薬剤が存在する場合がある。
【0075】
その場合は、すでに配置されている薬剤を摘み上げて、その位置にエリア67から摘み上げた薬剤を置く。
【0076】
具体的は、図10に示す収納部20の番地A9の薬剤a71を摘み上げた場合、表示部22には識別番号「32734」の行がハイライト表示される。作業者がハイライト表示される番地B3を見ると別の薬剤a71か配置されている。
【0077】
作業者は、番地B3に識別番号「32734」の薬剤a71を置くために、すでに番地B3に配置されている薬剤a71を摘み上げる。
【0078】
すると、表示部22には、識別番号「32531」の薬剤a71と識別番号「32734」の薬剤a71の2つの行がハイライト表示される。
【0079】
作業者は識別番号「32734」の薬剤71aを番地B3に置き、識別番号「32531」の薬剤a71を番地C1に置く。
【0080】
薬剤管理装置14は収納部20に1つのRFIDリーダしか備えていないため、収納部20に存在する薬剤を検出することはできるが、どの番地に薬剤が置かれているかを検出することはできない。
【0081】
しかし、エリア67にある薬剤はすべて他のエリア61、62、63、64、65、66へ移動すべきものでもあるので、エリア67にある薬剤を移動することによって、使用期限が早いものが前方(手前)に来るように薬剤が取り揃えられる。
【0082】
また、薬剤のラベルの形状、色により間違った配置エリアに配置されていることは目視でわかるので、間違った配置エリアに薬剤が存在する場合は、その薬剤を摘み上げて、表示部22のハイライト表示に従い移動する。
【0083】
このように、エリア67の薬剤を表示部22に示される番地に従って移動することにより、図15に示すように、薬剤は初期薬剤リスト81に一致した薬剤ごとの配置エリアに分かれ、配置エリア内では前方に使用期限の早い薬剤を容易に並べることが可能となる。
【0084】
なお、上述した内容では使用期限の早い薬剤が配置エリア内で前方の左から順番に配置されるように、薬剤を配置するための番地を決定している。しかし、作業者の立ち位置等で、収納部20の右から薬剤の使用が開始される可能性が高いのであれば、必ずしも左から順番に並べる必要はなく、たとえば、逆に右側から並べるように、薬剤の配置するための番地を決めてもよい。同様に、収納部20の中央の薬剤が、最も使用期限の早い薬剤になるように番地を決めてもよい。
【0085】
さらには、前方の薬剤より奥の薬剤の方から使用が開始される可能性が高いのであれば、使用期限の早い薬剤を前方から並べるのではなく、奥から並べるように場番地を決定してもよい。
【0086】
また、上述した準備薬剤記録部47に記録する準備薬剤の薬剤情報は、手術に応じて変更することが可能である。
【0087】
(実施の形態2)
本実施の形態2の薬剤管理装置の表示部は複数の発光部からなり、この発光部は凹部29ごとに対応づけられて配置されることを特徴とする。
【0088】
実施の形態1では、摘み上げた薬剤の移動先が表示部22に示され、この表示部22の表示に従い薬剤を移動する。しかし、表示部22に表示された位置へ的確に移動されるとは限らない。特に、実施の形態1では、収納部20に存在する薬剤の番地を検出することができないために、間違った番地に配置されたとして気づかない場合が多い。
【0089】
本実施の形態2の薬剤管理装置は、移動先の番地にある保持部に対応づけられた発光部を点滅させることで、より正確な薬剤の移動が可能になる。
【0090】
図16は、手術後、薬剤を補充した後の収納部91の上面図である。保持部となす凹部29の下面には発光部となすLED92が埋め込まれている。
【0091】
薬剤管理装置14は、収納部91に存在する薬剤の識別番号、薬剤名、使用期限を含む薬剤情報をRFIDタグより検出する検出部、初期薬剤記録部43に記録された複数の薬剤情報と比較して収納部91の検出部で検出されない不足薬剤を算出する取出し算出部45と、この取出し算出部45で算出された不足薬剤について収納部91の配置場所を指示する複数のLED92を備える。
【0092】
例えば、収納部91の番地C9に配置された薬剤b72を摘み上げると、識別番号「41685」の薬剤を不足薬剤として検出する。使用期限の順番に並び替えられた初期薬剤リスト81には、識別番号「41685」の番地として、番地G3とある。
【0093】
すると、番地G3にあるLED92が点滅して、作業者は識別番号「41685」の薬剤b72を番地C9からG3へ移動することがわかる。
【0094】
そして、薬剤b72を番地G3へ配置すると番地G3にあるLED92の点滅は消える。
【0095】
このように、移動場所のLED92が点滅するために、薬剤の並べ替えの間違いを減らすことができる。
【0096】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、同一種類の薬剤を配置する配置エリアについて、この配置エリアの分け方を、配置する薬剤の使用頻度、大きさ、重要度の少なくとも1つの要素を用いて決定する薬剤管理装置である。
【0097】
例えば、容器の背の高い薬剤が収納部の前方にあり、容器の背の低い薬剤が収納部の奥にあると、容器の背の低い薬剤を摘み上げようとすると容器の高さが大きい薬剤が邪魔になる。
【0098】
本実施の形態3の薬剤管理装置は、容器の高さを考えて、容器の背の高い種類の薬剤を収納部20の奥に、容器の背の低い種類の薬剤を前方に配置されるようにエリア分けを行うことが可能である。このようにエリア分けをすることで薬剤の取出しが行い易くなる。
【0099】
具体的に説明すると、薬剤管理装置14を使い手術を行う場合、作業者は、手術前に必要とする準備薬剤を準備薬剤記録部47へ入力する。
【0100】
この時、準備薬剤記録部47へ入力する準備薬剤情報は、準備する薬剤の薬剤名、薬剤種類ごとの個数、薬剤種類ごとの薬剤容器の高さである。
【0101】
準備薬剤情報の入力が終えると、並び替部44は同一種類の薬剤が同一の配置エリアに配置されるようにエリア分けを行う。
【0102】
次に、並び替部44が行うエリア分け動作を、図19のフローチャートを用いて説明する。
【0103】
準備薬剤記録部47へ準備薬剤情報の入力が終わると、並び替え部44の配置エリア分け動作が開始する。
【0104】
まず、並び替部44は、準備薬剤記録部47より準備する薬剤の薬剤名、薬剤種類ごとの個数、薬剤種類ごとの薬剤容器の高さを含む準備薬剤情報を検出する(ステップS21)。
【0105】
すると、並び替部44は準備薬剤情報より配置エリアのエリア分けを行う(ステップS22)。
【0106】
この時、準備する薬剤は6種類あり、薬剤aが12個、薬剤bが9個、薬剤cが6個、薬剤dが12個、薬剤eが9個、薬剤fが6個である。
【0107】
また、薬剤a、薬剤b、薬剤c、薬剤fの容器の高さは3cmであり、薬剤d、薬剤eの容器の高さは5cmである。
【0108】
準備薬剤情報にも薬剤の薬剤名、薬剤種類ごとの個数、薬剤種類ごとの薬剤容器の高さが含まれており、この準備薬剤情報を分析してエリア分けを行う。
【0109】
準備薬剤は6種類あるので6個の配置エリアと薬剤補充や並び替えのため一時的に薬剤を配置しておくための1個の配置エリアが得られるように、エリアに分けが行われる。また、薬剤d、薬剤eを保持する配置エリアは、収納部20の奥側に位置するように配置エリア分けが行われる。
【0110】
そして、このようなエリア分をしたエリア分け情報を並び替部のエリア分け情報記録部(図示せず)に記録する(ステップS23)。
【0111】
エリア分け情報とは、薬剤aのエリアは収納部20の番地A1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3、D1、D2、D3であり、それぞれの薬剤の配置エリアと収納部20の番地とが紐づけられたものである。
【0112】
なお、薬剤d、薬剤eのエリアは、他の薬剤より容器の背の高いので、収納部20の奥側である、番地A4〜、B4〜、C4〜、D4〜、E4〜、F4〜、G4〜、H4〜、I4〜の範囲に1つの塊になって割付られる。
【0113】
また、薬剤補充や並び替えのため一時的に薬剤を配置しておくための配置エリアは、各薬剤に紐付けられていない余りの番地である。
【0114】
例えば、この時のエリア分けは、図8に示すようにエリア61に薬剤a、エリア62に薬剤b、エリア63に薬剤c、エリア64に薬剤d、エリア65に薬剤eが並ぶように分けられる。
【0115】
このようなエリア分け情報がエリア分け情報記録部に記録された状態であれば、薬剤管理装置14を用いて、実施の形態1に示すように薬剤の並び替作業を行うと、背の低い薬剤を前方の配置エリアに、背の高い薬剤を奥側配置エリアになり、薬剤の取り出しを容易に行うことができる。
【0116】
なお、薬剤を配置する配置エリアのエリア分けは、薬剤の大きさを示す背の高さ以外の体積であってもよい。
【0117】
また、エリア分けは薬剤の使用頻度によって決めてもよい。使用頻度の場合は、使用頻度の高いものを前方に配置すると薬剤の取出しが容易になる。
【0118】
また、エリア分けは薬剤の重要度によって決めてもよい。取り扱いに注意が必要な薬剤は重要度が高く、他の薬剤を取出す時に作業者の手が触れ難いように、重要度の高い薬剤を奥側の配置エリア配置するようなエリア分けを行ってもよい。
【0119】
また、エリア分けは、図15に示すように一つの塊にするのでなくとも、図17示すようにすべての種類の薬剤が最前列から並ぶように帯状にエリア分けしてもよい。
【0120】
また、図18に示すよう中央に、薬剤を補充する時や並び替え時に一時的に配置しておくためのエリア67設けるようにリング状にエリア分けしてもよい。
【0121】
(実施の形態4)
本実施の形態4は、収納部20の使用方向を自由に決めることが可能な薬剤管理装置であり、収納部20の前方を作業者が取出し易い位置である作業者の手前とすることが可能である。そして、このような薬剤管理装置を用いることで、作業者は使用期限の早い薬剤を優先的に取り出し易くなる。
【0122】
図2に示す薬剤管理装置14は、収納部20、21を内部に収納し、正面の開口より薬剤を取出す構成である。よって、収納部20、21の使用方向は、開口を前方(手前)とする方向である。
【0123】
しかし、図20に示す薬剤管理装置95は、収納部20が薬剤管理装置95の上部に位置し、収納部20の上面を露出する構成である。よって、薬剤管理装置95の四方より薬剤を取出すことができる。
【0124】
そのために、第1のボタン97、第2のボタン98のある方向を前方とし、収納部20に使用期限の早い薬剤が前方に並べても、作業者が異なる方向から薬剤を取出す可能性がある。その場合、使用期限の早い薬剤が前方に並んでいても、作業者の手前に使用期限が早い薬剤が並んでいるとは限らない。
【0125】
本実施の形態4では、収納部20の使用方向を変更できるようにして、薬剤管理装置95の上部に載せた収納部20であっても、作業者の手前に使用期限の早い薬剤を並べることを可能とする。
【0126】
図21は、薬剤管理装置95の機能ブロック図である。
【0127】
薬剤管理装置95は、収納部20の使用方向を記録する使用方向記録部96を備え、この使用方向記録部96の使用方向に従い収納部20の前方を決定する。
【0128】
さらには、使用方向記録部96の使用方向は、表示部22の表示方向によって変更する。
【0129】
図20に示すように表示部22が第1ボタン97、第2ボタン98の方向を向いている場合、使用方向記録部96の使用方向は図20に示す矢印99の向きとなる。
【0130】
また、表示部22を90度回転(上方より見て左回りに回転)すると、使用方向記録部96に記録される使用方向は図22に示す矢印100の向きに変更する。
【0131】
表示部22の表示方向は作業者にとって見やすい方向であり、普通は作業者の立ち位置の方向である。よって、表示部22の表示方向に近づくように使用方向記録部96に記録する使用方向を決定する。そして、使用方向の前方に使用期限の早い薬剤が並ぶようにする。
【0132】
具体的には、薬剤を補充する時、第1のボタン97を押す前に表示部22を図20に示す状態から左回転して図22に示す状態とする。すると、使用方向記録部96に記録される使用方向は矢印99から矢印100へ変更する。
【0133】
その後、第1のボタン97を押すと使用方向が図22に示す矢印100になっており、並び替部44は、使用方向の前方(手前)に使用期限が早い薬剤が並ぶように薬剤を配置する凹部29の番地を決定する。また、エリア分けを行う場合も使用方向記録部96に記録された使用方向を利用する。
【0134】
図23は、表示部を回転して使用方向が矢印100の場合、配置エリアがエリア分けされ、使用期限の早い薬剤が配置エリア内の前方に並べられた収納部20の上面図である。
【0135】
薬剤を補充する時や並び替え時に、一時的に配置しておくためのエリア67は、矢印100の奥(後方)になるようにエリア分けされる。また、Hの列よりIの列に使用期限が早い薬剤を並べ、Gの列よりHの列に使用期限が早い薬剤を並べる。
【0136】
このように、作業者の立ち位置に応じて、収納部20の使用方向を決めることができるので、薬剤管理装置95の置き位置の自由度が広がる。たとえば、2種類の手術を行うために、2種類の配置パターンが必要な場合は、本実施の形態4を用いることにより、手術毎に立ち位置を変更してもらうことで、2種類の手術に対応した配置パターンを、1つの収納部20で実現する事が可能である。
【0137】
なお、使用方向記録部96に記録する使用方向は、表示部22の表示方向で決める以外にも、作業者が操作部から直接入力するようにしてもよい。
【0138】
また、薬剤管理装置95の使用方向は、薬剤管理装置95に設けられた対人センサ(図示せず)を用いて、薬剤管理装置95の周囲に存在する作業者の位置を検出し、その作業者が存在する方向を使用方向とする事も可能である。この場合は、予め決められた使用方向が存在しない場合は、対人センサで検出した位置に向いた方向を使用方向とするが、予め使用方向が決められている場合は、その使用方向と対人センサで検出した位置に向いた方向とが一致する場合に、使用方向として制御を行うことが好ましい。これにより、作業者の立ち位置によって方向を定義する事が可能になり、薬剤管理装置95の冗長性が増す。
【0139】
(実施の形態5)
本実施の形態5は、収納部20の配置エリアのエリア分を、同一種類の薬剤の配置エリアで分けるのに加えて、同一薬剤セットの配置エリアで分けることを可能とする薬剤管理装置である。
【0140】
薬剤の使用には、必ず複数の組み合わせを前提として使用される薬剤がある。そのような薬剤は、複数の薬剤を1つの薬剤セットとして管理されることが望ましい。
【0141】
本実施の形態5は、薬剤セットとして使用される薬剤に対しては薬剤セットとして配置エリアが決められる薬剤管理装置である。
【0142】
図24は同一薬剤セットの配置エリアが含まれるようにエリア分けを行った表示部の正面図である。
【0143】
図24の上方に表示される番地A1、B1、C1の薬剤は3つとも「1」の順番である。
【0144】
これは、薬剤a、薬剤b、薬剤dを1つの薬剤セットとして考えているためである。
【0145】
薬剤a、薬剤b、薬剤dで1つの薬剤セットとして考え、薬剤セットとして使用期限の短いものから順番が付与されて、表示部110に表示される。
【0146】
そして、作業者が補充薬剤を摘み上げ、検出部41が摘み上げた薬剤を「取り出し薬剤あり」と識別すると、摘み上げた薬剤の番地、識別番号、順番、使用期限の箇所がハイライト表示される。作業者はハイライト表示された薬剤の番地へ摘み上げた薬剤を移動する。この動作を繰り返すことで、薬剤の並び換えが行われる。
【0147】
図25は、並び替えの終わった収納部20の上面図である。
【0148】
薬剤a、薬剤b、薬剤dを1つのセットとする薬剤セット111はエリア112の中に6セット並ぶ。この時、薬剤セット111は使用期限の短いセットが前方並ぶようにように配置される。
【0149】
このように本実施の形態5の薬剤管理装置は、薬剤の種類で並べる以外にも、薬剤セットとして並べることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明にかかる薬剤管理装置および方法は、使用期限の早い薬剤を先に取り出されるよう容易に並べ替えるとができるので、予備の薬剤も準備しておく手術室等の薬剤管理装置等で有用である。
【符号の説明】
【0151】
10 手術室
11 ベッド
12 ライト
13 測定器具
14、95 薬剤管理装置
20、21、91 収納部
22、110 表示部
23 ICタグリーダ
24 カメラ
25 制御機器ケース部
27、97 第1ボタン
28、98 第2ボタン
29 凹部
30 薬剤
31 薬剤受け
32 収納部アンテナ
33 アンテナ固定ガイド
34 収納部底板
35 遮蔽板
36 引出レール
38 アンプル
39 RFIDタグ
39a IC
39b コイル
41、42 検出部
43 初期薬剤記録部
44 並び替部
45 取出し算出部
47 準備薬剤記録部
48 補充算出部
49 ネット接続部
51 作業者記録部
61、62、63、64、65、66、67、112 エリア
71 薬剤a
72 薬剤b
73 薬剤c
74 薬剤d
75 薬剤e
76 薬剤f
81 初期薬剤リスト
92 LED
96 使用方向記録部
99、100 矢印
111 薬剤セット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部を複数備えると共に鉛直上方が開口された収納部と、
前記収納部の複数の保持部に保持された薬剤の薬剤種別および使用期限を含む薬剤情報を、前記保持された薬剤のRFIDタグより検出する検出部と、
予め設定された初期状態において前記収納部に保持される薬剤の薬剤情報が記録された初期薬剤記録部と、
前記検出部で検出された薬剤情報の薬剤種別および使用期限に応じて前記収納部における薬剤の配置場所を決定する並び替部と、
前記初期薬剤記録部に記録された複数の薬剤情報を基準とした場合に、前記検出部で検出されない不足薬剤を算出する取出し算出部と、
前記取出し算出部で算出された不足薬剤について前記収納部の配置場所を表示する表示部と、を備えた、
薬剤管理装置。
【請求項2】
前記並び替部は、前記収納部の複数の保持部を複数の配置エリアに分け、1つの配置エリアには同一の薬剤が配置され、前記配置エリアごとに使用期限が早いものが同一方向に配置されるように薬剤の配置場所を決定する、
請求項1記載の薬剤管理装置。
【請求項3】
前記並び替部は、前記収納部の複数の保持部を複数の配置エリアに分け、1つの配置エリアには複数種類の薬剤が薬剤セットとして配置され、前記配置エリアごとに使用期限が早い薬剤セットが同一方向に配置されるように薬剤の配置場所を決定する、
請求項1または2記載の薬剤管理装置。
【請求項4】
予め決められた手術に必要な薬剤種別と薬剤の個数を記録する準備薬剤記録部と、
前記準備薬剤記録部と前記検出部で検出された薬剤とを比較して、補充を必要とする薬剤を算出する補充算出部とを備えた、
請求項1〜3いずれか1項に記載の薬剤管理装置。
【請求項5】
前記表示部は複数の発光部からなり、前記発光部は前記保持部ごとに設置される、
請求項1〜4いずれか1項に記載の薬剤管理装置。
【請求項6】
前記並び替部は、前記収納部の複数の保持部を、前記収納部に準備が必要な準備薬剤情報にある薬剤の使用頻度、容器の大きさ、重要度の少なくとも1つの要素を用いて決定する、
請求項2〜5いずれか1項に記載の薬剤管理装置。
【請求項7】
前記収納部の使用方向を検出して記録する使用方向記録部を備え、この使用方向記録部の使用方向に従い前記収納部の同一方向を決定する、
請求項2〜6いずれか1項に記載の薬剤管理装置。
【請求項8】
前記使用方向記録部の使用方向は、前記表示部の表示方向によって変更される、
請求項7記載の薬剤管理装置。
【請求項9】
収納部の複数の保持部に保持された薬剤の薬剤種別および使用期限を含む薬剤情報を、前記保持された薬剤のRFIDタグより検出する検出工程と、
予め設定された初期状態において前記収納部に保持される薬剤の薬剤情報が記録された初期薬剤記録工程と、
前記検出部で検出された薬剤情報の薬剤種別および使用期限に応じて前記収納部における薬剤の配置場所を決定する並び替工程と、
前記初期薬剤記録部に記録された複数の薬剤情報を基準とした場合に、前記検出部で検出されない不足薬剤を算出する取出し算出工程と、
前記取出し算出部で算出された不足薬剤について前記収納部の配置場所を表示する表示工程と、を備えた、
薬剤管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−104188(P2011−104188A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263715(P2009−263715)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】