説明

薬学的処方物:8−[{1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザ−スピロ[4.5]デカン−2−オンの塩およびそれを使用した処置方法

【課題】8−[{1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザ−スピロ[4.5]デカン−2−オンの塩を含む薬学的に有用な処方物と、それを使用した処置方法の提供。
【解決手段】式Iで表される、(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの塩を含有する薬学的処方物が開示される。また、当該剤形を使用した処置方法も開示される。一局面においては、1つ以上の賦形剤と、場合により1つ以上の5HT−3受容体拮抗薬と、場合によりコルチコステロイドとの混合剤中に式Iの化合物の結晶性塩酸塩を含む顆粒薬学的処方物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本願は、一般的に8−[{1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザ−スピロ[4.5]デカン−2−オンの塩を含む薬学的に有用な処方物と、それを使用した処置方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
(Bielstein命名法に従い)8−[{1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザ−スピロ[4.5]デカン−2−オンと命名されたジアザスピロデカン−2−オン、例えば(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(式Iの化合物)の調製は、全体が参考として本明細書で援用される、特許文献1(「’320号特許」;2006年5月23日発行)に開示されている。
【0003】
【化1】

’320号特許に開示される化合物は、タキキニン化合物に分類され、また神経ペプチドニューロキニン−1受容体の拮抗薬(「NK−1」受容体拮抗薬)である。「NK−1」受容体拮抗薬は、有用な治療剤であることが示されている。例えば、特許文献2(1998年)には、いくつかの「NK−1」受容体拮抗薬が、疼痛、炎症、片頭痛および嘔吐(emesis(vomiting))の処置に有用であるとして記載されており、特許文献3(1997年)、特許文献4(1995年)、特許文献5(1994年)、および特許文献6(1994年)のそれぞれには、疼痛、痛覚および炎症の処置に有用である他の「NK−1」受容体拮抗薬が記載されている。他のNK受容体拮抗薬については、非特許文献1;非特許文献2;および非特許文献3に記載されている。前述の’320号特許に開示されている多くの化合物の中には、いくつかの新規のジアザスピロデカン−2−オンがあるが、これには化学療法処置に関連する悪心および嘔吐(化学療法に伴う悪心および嘔吐;「CINE」)の処置に有用であると考えられている式Iの化合物が含まれる。嘔吐は化学療法において問題となってきた。例えば、シスプラチン、カルボプラチン、およびテモゾロミドなどの化学療法剤は、急性および遅発性の悪心および嘔吐に関連してきた。例えば、テモゾロミドとオンダンセトロンとの併用投与について記載する特許文献7に記載されているように、化学療法剤を抗嘔吐薬とともに投与することが知られているが、このような治療は、遅発性悪心および嘔吐の予防には有効でない。
【0004】
治療活性を有すると確認されている化合物は、その化合物の治療特性を必要とする患者への投与に適した処方物にて提供されなければならない。一般的には、投与の簡便性、投与手順の極めて低い侵襲性、および種々の個別の投薬サイズで医薬を提供できる利便性から、経口投与に適した剤形が好ましい。また一般的には、胃腸管を通して服用者に治療剤を投与する固体経口剤形を提供するのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,049,320号明細書
【特許文献2】米国特許第5,760,018号明細書
【特許文献3】米国特許第5,620,989号明細書
【特許文献4】国際公開第95/19344号パンフレット
【特許文献5】国際公開第94/13639号パンフレット
【特許文献6】国際公開第94/10165号パンフレット
【特許文献7】米国特許第5,939,098号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wuら,Tetrahedron 56, 3043−3051 (2000)
【非特許文献2】Romboutsら,Tetrahedron Letters 42, 7397−7399 (2001)
【非特許文献3】Rogiersら,Tetrahedron 57, 8971−8981 (2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(目的)
上記を考慮すると、式Iの化合物の塩を含有する固体の経口投与可能な剤形が望まれている。また、治療上有効な血清中レベルの治療剤をもたらし、取扱いや保管がなされる環境条件下における分解に対して頑丈な剤形も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、これらおよびその他の目的を提供し、一局面においては、1つ以上の賦形剤と、場合により1つ以上の5HT−3受容体拮抗薬と、場合によりコルチコステロイドとの混合剤中に式Iの化合物の結晶性塩酸塩を含む顆粒薬学的処方物を提供する。5HT−3受容体拮抗薬は、使用する場合、ゾフラン(オンダンセトロン)、カイトリル(グラニセトロン)、アロキシ(パロノセトロン)、アンゼメット(ドラセトロン)、ナボバン(トロピセトロン)から選択されるのが好ましく、コルチコステロイドは、使用する場合、デキサメタゾンとなるように選択されるのが好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、顆粒組成物は、(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの結晶性塩酸塩一水和物と、乳糖一水和物と、微結晶セルロースと、クロスカルメロースナトリウムと、前糊化デンプンと、ステアリン酸マグネシウムとを含む。いくつかの実施形態において、顆粒組成物は、ゼラチンカプセルに含有される。
【0009】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、塩酸塩およびトシレート塩から選択される、(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの塩を含む。いくつかの好ましい実施形態において、塩は、表Iに示す数値に相当する回折角(2θで表され、値はすべて±0.2の精度を表す)にて存在し、関連する格子「d」間隔(オングストローム)および相対ピーク強度(「RI」)を有する特徴的なX線粉末回折ピークを有する結晶性一水和物塩酸塩である。
【0010】
【表10】

本発明の別の局面は、表IIに示す数値に相当する回折角(2θで表され、値はすべて±0.2の精度を示す)にて存在し、関連する格子「d」間隔(オングストローム)および相対ピーク強度(「RI」)を有する特徴的なX線粉末回折ピークを有し、
【0011】
【表11】

かつ0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を含む溶出溶媒900mLにおいて、75RPMで作動させたUSP2装置パドル攪拌器をシンカーとともに使用した測定により、表IIIに示す特徴的な12サンプル平均溶出プロファイルを有する、
【0012】
【表12】

結晶性塩酸塩一水和物形態の(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(式IIの塩酸塩一水和物化合物)
【0013】
【化2】

を2.5mg/用量含む、カプセル形態の固体経口剤の提供である。
【0014】
本発明の別の局面は、表IVに示す数値に相当する回折角(2θで表され、値はすべて±0.2の精度を示す)にて存在し、関連する格子「d」間隔(オングストローム)および相対ピーク強度(「RI」)を有する特徴的なX線粉末回折ピークを有し、
【0015】
【表13】

かつ0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を含む溶出溶媒900mLにおいて、75RPMで作動させたUSP2装置パドル攪拌器をシンカーとともに使用した測定により、表Vに示す特徴的な12サンプル平均溶出プロファイルを有する、
【0016】
【表14】

結晶性塩酸塩一水和物形態の(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(式IIの塩酸塩一水和物化合物)
【0017】
【化3】

を10.0mg/用量含む、カプセル形態の固体経口剤の提供である。
【0018】
本発明の別の局面は、表VIに示す数値に相当する回折角(2θで表され、値はすべて±0.2の精度を示す)にて存在し、関連する格子「d」間隔(オングストローム)および相対ピーク強度(「RI」)を有する特徴的なX線粉末回折ピークを有し、
【0019】
【表15】

かつ0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を含む溶出溶媒900mLにおいて、75RPMで作動させたUSP2装置パドル攪拌器をシンカーとともに使用した測定により、表VIIに示す特徴的な12サンプル平均溶出プロファイルを有する、
【0020】
【表16】

結晶性塩酸塩一水和物形態の(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(式IIの塩酸塩一水和物化合物)
【0021】
【化4】

を50.0mg/用量含む、カプセル形態の固体経口剤の提供である。
【0022】
本発明の別の局面は、表VIIIに従い単回投与上昇率試験条件下で得られた薬物動態(PK)プロファイル(試験被験体8名の平均)を有する、カプセル経口剤形に式IIの塩酸塩一水和物を含む薬学的処方物の提供である。
【0023】
【表17】

単回投与後の平均最高血漿中濃度
**投与から最高血漿中濃度までの期間(時)の中央値
***0時間から投与後72時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積(ng・時/mL)。
【0024】
本発明は、悪心および/または嘔吐の処置方法もさらに提供する。式Iの化合物の塩を含む本発明の医薬は、例えば、化学療法や放射線療法に起因する、術後回復期に生じる、動揺病に起因する、早朝嘔吐に起因する、内耳障害および感染に起因するなど、あらゆる原因による悪心および嘔吐に対する抗悪心および抗嘔吐処置の提供に有用であり得ると考えられている。しかしながら、式Iの化合物は、化学療法処置、放射線処置に関連し、術後回復期に生じる遅発性悪心および/または嘔吐に対する抗悪心および/または抗嘔吐処置の提供に最も有効であると考えられている。いくつかの実施形態においては、本発明のNK−1剤形を、例えば化学療法剤(例えば、テモゾロミドやシスプラチンであって、好ましくはテモゾロミド)などの他の治療剤と併用投与するのが好ましい。いくつかの実施形態において、他の治療剤の投与は、別個の剤形に含有される他の治療剤の同時期投与と、本発明の顆粒を1つ以上の治療剤とともに含有する剤形の同時投与とから選択される。
【0025】
同時期投与の例には、本発明の顆粒を含む医薬の投与前、投与中または投与後に、1つ以上の他の剤形に含有される1つ以上の他の治療剤を投与することがある。同時投与の例には、複数の治療剤を含む医薬を含有する剤形がある。後者の投与スキームの例には、例えば化学療法剤(例えばテモゾロミド)などの1つ以上の他の治療剤とともに、NK−1治療剤を含有するカプセル剤形がある。複数の治療剤を含有するいくつかの剤形では、例えば本処方物のNK−1塩などの単一の薬物物質の代わりに、すべての治療剤の混合物を処方物に導入することによって、剤形に含有された処方物を調製するのが好ましい。
【0026】
一形態において、治療は、(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの結晶性塩酸塩一水和物(式IIの一水和物塩)と、乳糖一水和物と、微結晶セルロースと、クロスカルメロースナトリウムと、前糊化デンプンと、ステアリン酸マグネシウムとを含む粒子形状の医薬を、悪心および嘔吐の処置および/または予防のために、治療上有効な血清中レベルの式IIの塩酸塩一水和物をもたらす量で投与することを含む。このような粒子医薬の投与では、粒子がカプセルに含有されるのが好ましい。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの結晶性塩酸塩一水和物と、乳糖と、微結晶セルロースと、クロスカルメロースナトリウムと、前糊化デンプンと、ステアリン酸マグネシウムとを含む薬学的処方物。
(項目2)
以下のPKプロファイル
【表1】


単回投与後の平均最高血漿中濃度
**投与から最高血漿中濃度までの期間の中央値
***0時間から投与後72時間までの期間の総濃度
を有する、項目1に記載の処方物。
(項目3)
前記塩酸塩一水和物が、回折角(2θ、すべての値が±0.2の精度を示す)で表される、16.1、18.4、21.6、23.5の特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを有する、項目1または2のいずれかに記載の処方物。
(項目4)
0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を含む溶出溶媒900mLにおいて、75RPMで作動させたUSP2装置パドル攪拌器をシンカーとともに使用した測定により以下の溶出プロファイル
【表2】


を提供する、2.5mg/用量の前記塩酸塩一水和物を提供する量の項目1または2のいずれかに記載の処方物を含有するカプセル。
(項目5)
0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を含む溶出溶媒900mLにおいて、75RPMで作動させたUSP2装置パドル攪拌器をシンカーとともに使用した測定により以下の溶出プロファイル
【表3】


を提供する、10.0mg/用量の前記塩酸塩一水和物を提供する量の項目1または2のいずれかに記載の処方物を含有するカプセル。
(項目6)
0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を含む溶出溶媒900mLにおいて、75RPMで作動させたUSP2装置パドル攪拌器をシンカーとともに使用した測定により以下の溶出プロファイル
【表4】


を提供する、50.0mg/用量の前記塩酸塩一水和物を提供する量の項目1または2のいずれかに記載の処方物を含有するカプセル。
(項目7)
哺乳類の悪心および/または嘔吐を処置および/または予防するための方法であって、前記哺乳類に項目1または2のいずれかに記載の処方物を投与することを含む、方法。
(項目8)
哺乳類の悪心および/または嘔吐を処置および/または予防するための方法であって、前記哺乳類に項目3に記載の処方物を投与することを含む、方法。
(項目9)
前記乳糖が乳糖一水和物である、項目1または2のいずれかに記載の処方物。
(項目10)
S−1の条件下で錠剤6個の平均として試験される場合に、75%以上のQ−45を有することを特徴とする、式Iの顆粒で充填されたカプセル。
(項目11)
(a)(i)式Iの結晶性塩酸塩一水和物と、乳糖一水和物と、クロスカルメロースナトリウムと、前糊化デンプンとを乾式混合して、均質の粉末混合物を得る工程と、
(ii)約32重量%未満の水を含有する顆粒が得られるまで、工程「a」で得た前記均質の粉末混合物を精製水とともに顆粒化する工程と、
(iii)工程「b」で得た前記顆粒を8〜10メッシュのスクリーン篩に通して湿式粉砕する工程と、
(iv)工程「c」で得た前記湿式粉砕した顆粒を流動層乾燥器内で乾燥させる工程と、を含むプロセスによって顆粒を調製する工程と、
(b)工程「a」で調製した顆粒を、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムと乾式混合して、均質の粉末化処方物を形成する工程と、
を含むプロセスによって調製される、項目1または2のいずれかに記載の薬学的処方物。(項目12)
0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を含む溶出溶媒900mLにおいて、75RPMで作動させたUSP2装置パドル攪拌器をシンカーとともに使用した測定により以下の溶出プロファイル
【表5】


を提供する、2.5mg/用量の前記塩酸塩一水和物を提供する量の項目11に記載の処方物を含有するカプセル。
(項目13)
0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を含む溶出溶媒900mLにおいて、75RPMで作動させたUSP2装置パドル攪拌器をシンカーとともに使用した測定により以下の溶出プロファイル
【表6】


を提供する、10.0mg/用量の前記塩酸塩一水和物を提供する量の項目11に記載の処方物を含有するカプセル。
(項目14)
0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液を含む溶出溶媒900mLにおいて、75RPMで作動させたUSP2装置パドル攪拌器をシンカーとともに使用した測定により以下の溶出プロファイル
【表7】


を提供する、50.0mg/用量の前記塩酸塩一水和物を提供する量の項目11に記載の処方物を含有するカプセル。
(項目15)
抗嘔吐処置および/または抗悪心処置をそれを必要とする哺乳類に提供する方法であって、項目10および12〜15のいずれかに記載の処方物を前記哺乳類に投与することを含む、方法。
(項目16)
ヒトに投与される場合に以下のPKプロファイル
【表8】


単回投与後の平均最高血漿中濃度
**投与から最高血漿中濃度までの期間の中央値
***0時間から投与後72時間までの期間の総濃度
を有する、項目11に記載の処方物。
(項目17)
化学療法剤もさらに含む、項目1に記載の処方物。
(項目18)
前記化学療法剤がテモゾロミドである、項目17に記載の処方物。
(項目19)
項目17または18のいずれかに記載の処方物を化学療法を必要とする患者に投与することによって、化学療法とともに遅発性嘔吐および/または遅発性悪心に対する治療を提供する方法。
(項目20)
化学療法剤の同時期投与もさらに含む、項目15に記載の処置方法。
(項目21)
前記化学療法剤がテモゾロミドである、項目20に記載の処置方法。
(項目22)
哺乳類の悪心および/または嘔吐を処置および/または予防するための方法であって、前記哺乳類に項目4に記載の処方物を投与することを含む、方法。
(項目23)
哺乳類の悪心および/または嘔吐を処置および/または予防するための方法であって、前記哺乳類に項目5に記載の処方物を投与することを含む、方法。
(項目24)
哺乳類の悪心および/または嘔吐を処置および/または予防するための方法であって、前記哺乳類に項目6に記載の処方物を投与することを含む、方法。
(項目25)
工程「a」で使用した前記結晶性塩酸塩一水和物が、表1aに示す、回折角(2θ、すべての値が±0.2の精度を示す)と、格子「d」間隔(オングストローム)と、相対ピーク強度(「RI」)とで表される以下の特徴的なピーク
【表9】


を含むX線粉末回折スペクトルを有する、項目11に記載のプロセス。
(項目26)
項目1に記載の処方物と他の治療剤との組み合わせ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】結晶性塩酸塩一水和物形態の式Iの化合物の特徴的なX線粉末回折パターンを示す[縦軸:強度CPS、計数(平方根);横軸:2θ(度)]。
【図2】式Iの化合物の塩酸塩を含有する医薬の健常なヒト志願者への単回用量投与後の血漿中濃度−時間プロファイルを示す。
【図3】式Iの化合物の塩酸塩を含有する医薬の健常なヒト志願者への投与1日後(1日目)および投与数日後(10日目)の血漿中濃度−時間を示す、薬物動態プロファイルを示す[横軸:投与後の期間(時);縦軸:血漿中濃度(ng/mL)]。
【図4】AUC(0時間から単回用量投与後72時間までの曲線下の面積)の中央値と個々の値を示す[縦軸:AUC(ng・時/血漿mL);横軸:投与した式Iの化合物の塩酸塩一水和物の単回用量(mg)]。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
NK−1受容体拮抗薬として有用なタキキニン化合物の調製は、米国特許第7,049,320号(2002年12月17日出願、本明細書では’320号特許と称し、全体が参考として本明細書で援用される)に記載されており、これには(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(式Iの化合物)が含まれる。
【0029】
【化5】

医薬の提供に有用な物理的および化学的特性を有する、式IIの一水和物塩酸塩(上記)および種々のトシレート塩を含めた、(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(式Iの化合物)の塩の調製は、それぞれの全体が参考として本明細書で援用される、米国特許出願第60/789,280号および第60/789,513号に開示されている。
【0030】
細胞傷害性化学療法の最も消耗させる副作用のうちの2つは、悪心と嘔吐である。これには、急性期の化学療法に伴う悪心および嘔吐(CINE)と、遅延期のCINEとがある。急性期のCINEは化学療法施行後24時間以内に発生するのに対し、遅延期のCINEは化学療法施行後2日〜5日の間に発現する。急性期のCINEは、5HT3受容体拮抗薬を例えばデキサメタゾンなどのコルチコステロイドとしばしば組み合わせて投与することによって管理されてきたが、この処置は、遅延期のCINEを管理するのには有効でなかった。急性期のCINEと遅延期のCINEは異なる生理現象により生じると考えられている。例えば(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの塩などのNK−1受容体拮抗薬を単独で、あるいは例えばデキサメタゾンなどのコルチコステロイド、および/または例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、ドラセトロン、またはトロピセトロンなどの5HT3受容体拮抗薬のうちの1つ以上と組み合わせて投与することにより、ヒトのCINE処置に有効な治療が提供されると考えられている。
【0031】
一般的には、胃腸管を通して被験体に治療剤を投与する経口剤形が好ましいが、これは、このような剤形が、投与の簡便性と、治療を受ける被験体への最小限の侵襲とを同時にもたらすためである。粒子医薬を含有する、例えば錠剤やカプセルなどの固形の経口医薬は、医薬の個別の剤形を提供し、医薬の取扱い環境および保管環境において液体剤形よりも一般的に丈夫な形態で医薬を提供する。従って、これらのNK−1受容体拮抗薬を含有する医薬を経口投与に適した固体剤形で提供するのが望ましい。
【0032】
本発明者等は、CINEのほか、例えば動揺病や早朝嘔吐などの他の原因要素による悪心および/または嘔吐といった、NK−1阻害剤の投与による処置に適した他の病態に対処するための治療の提供に有用な薬物動態(PK)と溶出特性とを有する、(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの塩(活性塩)を含有する粒子が調製できることを発見した。驚くべきことに、この粒子は、一定量の活性塩を乳糖一水和物、クロスカルメロースナトリウム、および前糊化デンプンと混合し、その混合物を精製水とともに顆粒化し、その顆粒を乾燥させ、その顆粒をステアリン酸マグネシウム、および追加量の微結晶セルロースとクロスカルメロースナトリウムと混合し、所望の量の活性塩を有する剤形を提供する充填重量で、得られた顆粒混合物をゼラチンカプセルに充填することによって調製することができる。驚くべきことに、本処方物の医薬は、経口投与時に治療レベルの血清中活性塩を好適に提供する。本処方物は、有効な投薬量で投与した場合、また場合により、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、ドラセトロンまたはトロピセトロンなどの5HT3受容体拮抗薬、および/または例えばデキサメタゾンなどの1つ以上のコルチコステロイドを含有する別個の医薬とともに投与した場合に、CINEの管理に有用であると考えられている。場合により、本発明の処方物は、急性期と遅延期の両CINEの処置で治療を提供する際に、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、ドラセトロン、もしくはトロピセトロンなどの1つ以上の5HT3受容体拮抗薬、および/または例えばデキサメタゾンなどの1つ以上のコルチコステロイドもさらに含む場合がある。別個の医薬として投与されるのであっても、本発明の処方物中に含まれるのであっても、5HT3受容体拮抗薬が使用される場合には、オンダンセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、ドラセトロン、およびトロピセトロンから選択されるのが好ましく、また別個の医薬として投与されるのであっても、本発明の処方物中に含まれるのであっても、コルチコステロイドが使用される場合には、デキサメタゾンから選択されるのが好ましい。
【0033】
本処方物はまた、例えば化学療法剤(例えばテモゾロミド)などの他の治療剤を含有して、化学療法処置と、このような化学療法剤投与に関連する悪心および/または嘔吐の軽減および/または予防とを施行するための単一の医薬を提供することもできる。テモゾロミドの投薬量レベルの例については、米国特許第5,939,098号(’098号特許、1999年8月17日発行)、欧州特許第0858341B1号(’341号特許、2001年10月24日付与)、および米国特許出願公開第2006/0100188号(’188号広報、2006年5月11日公開)に記載されている。’098号特許と’341号特許のそれぞれには、化学療法に関連する即時型悪心および嘔吐に対する治療を提供するためのテモゾロミドと5HT3阻害剤との併用投与について記載されている。’188号広報の表1および2(第2〜3ページ)には、テモゾロミド投与のための詳細な投与計画が記載されている。いくつかの実施形態においては、本発明に従って調製される式Iの化合物の塩、またはその塩を含有する薬学的組成物と、例えば化学療法剤(例えばテモゾロミドやシスプラチンであって、好ましくはテモゾロミド)などの他の治療剤との組み合わせを提供するのが好ましい。
【0034】
本明細書で使用される「組み合わせ」とは、単一剤形で投与するために薬学的組成物中に物理的に混合された治療剤と;1つ以上の容器内に複数の治療剤を含有する医薬またはキットと;治療上有効なレベルの式Iの化合物と他の治療剤とを、例えば本明細書に記載の通り複数の治療剤の同時期投与または同時投与によって提供する工程を含む治療の提供方法とを含む。キットの組み合わせが提供される場合には、一般的に複数の医薬が、このような治療を必要とする患者への投与時に、医薬に含有される治療有効量の活性薬学的成分を提供するような形態で供給される。
【0035】
本明細書で使用される「他の治療剤の同時期投与」とは、本発明の塩形態のうちの1つ以上を含む医薬の投与前、投与中または投与後に、第2の医薬を投与することであり、この場合、第2の医薬は、1つ以上の他の剤形で1つ以上の他の治療剤を含有する。「他の治療剤の併用投与」はまた、単一剤形に含有される複数の治療剤の同時投与によっても実施できる。
【0036】
また、本医薬は、咳、早朝嘔吐、ならびに動揺病に起因する悪心および/または嘔吐を含むがこれらに限定されない、NK−1阻害剤の投与による処置に適した他の病態の処置に有用であり得るとも考えられている。
【0037】
本発明の処方物で使用される活性塩は、その塩が図1に示すX線粉末回折パターンを有する、(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの結晶性塩酸塩一水和物、および(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル)−エトキシ}−メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの結晶性トシレート塩であるのが好ましい。この塩は、表IXに示す数値に相当する回折角(2θで表され、値はすべて±0.2の精度を示す)にて存在し、関連する格子「d」間隔(オングストローム)および相対ピーク強度(「RI」)を有する4つの最も特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
【0038】
【表18】

一般的に、本願の処方物で使用するのに好適な塩は、それぞれ全体が参考として本明細書で援用される、「HYDROCHLORIDE SALTS OF 8−[1−(3,5−Bis−(trifluoromethyl)phenyl)−ethoxymethyl]−8−phenyl−1,7−diaza−spiro[4.5]decan−2−one AND PREPARATION PROCESS THEREFOR」という発明の名称の米国仮特許出願第10/789,280号(2006年4月5日同時出願)、および代理人整理番号CD06453US01として本願とともに同時出願される出願に記載の手順に従って調製され得る。その他の好適な塩は、全体が参考として本明細書で援用される、「SALTS OF 8−[1−(3,5−Bis−(trifluoromethyl)phenyl)−ethoxymethyl]−8−phenyl−1,7−diaza−spiro[4.5]decan−2−one AND PREPARATION PROCESS THEREFOR」という発明の名称の米国仮特許出願第60/789,513号(2006年4月6日出願)に記載の手順に従って調製され得る。特に好ましいのは、本明細書において式Iの化合物の一水和物塩酸塩形態の塩として特定され、式IIの塩として上に図示する、(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル)フェニル]−エトキシ}メチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの一水和物塩酸塩である。
【実施例】
【0039】
本発明の処方物の調製には、篩分、造粒、粉砕、流動層乾燥、および粉末混合を含めた標準的な製薬プロセスが使用される。本発明の顆粒処方物の調製に当たっては、以下の一般的手順に従ってこれらの作業が行われる。混合作業は、Dionsa製の高剪断造粒機で行われる。造粒は、均質の混合物となるように乾燥材料を混合した後、Dionsa造粒機で行われる。湿式粉砕は、No.5メッシュスクリーンを備えたQuadro Comil 197で行われる。乾燥作業は、Strea Aeromatic T2 Fluid Bed乾燥機で行われる。乾式粉砕作業は、16メッシュスクリーンを備えたQuadro Comil 197で行われる。混合作業は、Pharmatech Double Cone混合機で行われる。
【0040】
異なる指摘がない限り、処方物に使用される材料はすべて、米国薬局方/国民医薬品集(USP/NF)の現行の要件を満たす商品であり、活性塩は、全体が参考として本明細書で援用される、上記の特許出願第60/789,280号および第60/789,513号(2006年4月5日同時出願)、および代理人整理番号CD06628L01USとして2007年3月22日に出願された出願に記載の手順を使用して得られたものである。
【0041】
塩酸塩一水和物のX線粉末回折分光分析は、以下の手順を用い、Rigaku Miniflex分光計を使用して行った。分析用試料を、低バックグラウンドプレート上に軽く詰め、これらの試料を周囲温度と周囲湿度の室内環境に暴露した。Rigaku分光計は、試料を54rpmで回転させて、試験サンプルにおける結晶の優先配向を最低限に抑える6プレート回転台を備えていた。また、Rigaku分光計は、Kα2フィルタなしで使用される銅Kα線源も備えているほか、可変発散スリットと0.3mmの受光スリットも備えていた。走査範囲は2.0〜40°(2θ)であった。計器較正は、111面のCu Kα1ピークを使用して検証した。走査時のステップサイズは、0.6秒のステップ継続時間にわたり0.02度であった。データ分析は、Jade Plus(リリース5.0.26)解析ソフトウェアを使用して行った。データは、Savitzky−Golay放物線フィルタにより11点で平滑化した。通常報告されている「d」間隔値は、±0.4Å以内の精度である。
【0042】
上述の手順によるサンプル調製分析は、あらゆる形態変化を防ぐために最低限の調製がなされた。サンプル粒子は、平滑な表面を形成し、凝集しないように、サンプルホルダー内に軽く詰めた。上述の手順に従って調製した溶媒和サンプル以外には、溶剤も乾燥もその他の調製手順も使用しなかった。
【0043】
(実施例1) 顆粒処方物
以下の手順で使用した薬物物質は、図1に示すX線粉末パターンを有する、(5S,8S)−8−[{(1R)−1−(3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル]−エトキシメチル]−8−フェニル−1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの塩酸塩一水和物(本明細書では塩酸塩一水和物と称する)であった。図1の粉末パターンは、前述の手順に従って生成された、2θ=16.1(m)、18.4(m)、21.6(s)、および23.5(w)で認められる4つの最も特徴的なピークを有する。2.5mg/用量または10mg/用量または50mg/用量の量で塩を含有する剤形を提供する、塩酸塩一水和物を含有するゼラチンカプセルに充填するための顆粒処方物を、以下の手順に従って調製した。使用した顆粒成分のそれぞれの重量は、以下の表XIIIに示すが、顆粒から生成されるカプセルの各投薬強度で使用される充填剤の量がやや異なっている。顆粒を、300mgの粉末が記載の薬物物質量を提供するように産生した。すべての投薬強度の顆粒を、以下の手順に従って調製した。
【0044】
薬物物質を、600ミクロンのスクリーンで手で篩分し、残りの賦形剤を、1000ミクロンのスクリーンで使用前に篩分した。表XIIIに記載した量の薬物物質と「予備混合物」として表XIIIに記載した量の乳糖一水和物(微細グレード)とを造粒機に入れて、133RPMの羽根速度で2分間混合し、均質の混合物を生成した。「主混合物」として表XIIIに記載した量の乳糖一水和物(微細グレード)と、「顆粒内」として表XIIIに記載した量のクロスカルメロースナトリウム(NF ヨーロッパ薬局方)と、表XIIIに記載した量のデンプンとを造粒機に添加し、133RPMの羽根速度で2分間混合した。造粒機の作動中に、乾燥混合材料内に精製水を注入し(75g/分の添加速度で3600mlになるまで)、含水量32重量%の顆粒が形成されるまで、混合材料を凝集させた。湿潤顆粒を湿式粉砕し、No.5メッシュスクリーンを備えた円錐型スクリーンミルを使用して分級し、分級した湿潤顆粒を得た。分級した湿潤顆粒を流動層乾燥器に移し、自由水3重量%未満の目標重量まで乾燥させた(乾燥の際の減量により測定)。乾燥させた顆粒を、円錐型ミルで16メッシュのスクリーンに通して粉砕した。この乾式粉砕した顆粒を、「顆粒外」として表XIIIに記載した重量のクロスカルメロースナトリウム、および表XIIIに記載した重量の微結晶セルロース(Avicel PH102)とともに混合機に移した。これらの成分を15RPMで20分間混合した。表XIIIに記載した重量のステアリン酸マグネシウム(非ウシ、NF)を425ミクロンのスクリーンで篩分し、混合機に添加した。これらの成分を15RPMで10分間混合し、混合した処方物をカプセル封入のために取り出した。
【0045】
上述の通り、以下の表XIIIには、記載した投与量範囲でカプセルを充填するための顆粒の調製に使用した各成分の重量が示されている。
【0046】
【表19】

カプセルのサンプルに上で調製した顆粒処方物300mgを充填し、カプセル内に充填した処方物によって活性塩を2.5mg、10mgまたは50mgを得た。充填したカプセルの代表的なサンプルに溶出試験を行った。溶出試験装置は、0.05M酢酸ナトリウムでpH4.5に緩衝された0.25%ラウリル硫酸ナトリウム溶液からなる溶出溶媒900mLを充填した、USP2装置パドル攪拌器とした。試験は周囲温度で行い、パドルを75RPMに設定して溶出溶媒を試験温度で安定化させることにより行った。パドルを作動させた状態で、試験カプセルを溶出溶媒中に落とし、定期的に溶出溶媒のアリコートサンプルを回収して、HPLCにより活性成分の含有量を分析する。そして溶出溶媒中に存在する活性成分の総量をHPLC測定に基づいて計算し、溶出溶媒に入れたカプセルに含有される活性成分の総量の百分率として報告する。各サンプルの結果を以下の表Xに示す。前述の手順に従って調製したカプセルは、S−1の条件下で錠剤6個の平均として試験される場合に、75%以上のQ−45を有し、80%を超える錠剤は1つもないことがわかる。
【0047】
【表20】

活性塩5mg(2.5mgカプセル×2個)〜活性塩200mg(50mgカプセル×4個)のカプセルに封入された処方物の単回投与を6コホートに対して行った。各コホートは、健常なヒトの志願者10名で構成され、そのうちの8名が無作為に選択されて活性薬物を服用し、2名が無作為に選択されてプラセボを服用した。各志願者から血液サンプルを、各志願者から投与前(0時間)と、0.25時間後、0.5時間後、0.75時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、16時間後、24時間後、36時間後、48時間後、および72時間後に採取した。活性薬物を服用した志願者の血清中薬物レベルを、図2のグラフに示す。本試験で得た薬物動態(PK)データを、以下の表XIに集計する。
【0048】
【表21】

単回投与後の平均最高血漿中濃度
**投与から最高血漿中濃度までの期間(時)の中央値
***0時間から投与後72時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積(ng・時/mL)。
【0049】
図4には、個別データ点(黒丸)と試験群の統計的平均(線)との両方に関するAUCデータをグラフ表示している。これらのデータは、本処方物が迅速に吸収される形態で活性塩を提供し、用量依存的に増加する活性成分の暴露量を提供することを示している。
【0050】
第2の試験では、それぞれ8名の健常な志願者で構成される3コホートに対して、10mg/日、25mg/日、または50mg/日の投与を10日間行った。各例への投与は、10時間の断食後に行った。各志願者から血液サンプルを、1日目と10日目にそれぞれ投与前(0時間)と、0.25時間後、0.5時間後、0.75時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、16時間後、24時間後、36時間後、48時間後、および72時間後に採取した。本試験の結果を、図3A(1日目)および図3B(10日目)のグラフに示し、以下の表XIIに集計する。
【0051】
【表22】

単回投与後の平均最高血漿中濃度
**投与から最高血漿中濃度までの期間(時)の中央値
***0時間から投与後72時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積(ng・時/mL)。
【0052】
これらのデータは、活性成分が迅速に吸収され、用量の増加に伴って暴露量が増加することを示している。半減期は用量に依存せず、単回投与試験で認められた値と一致している。蓄積は活性成分の長い半減期と一致しており、単回投与の約5倍である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49720(P2013−49720A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−268500(P2012−268500)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2012−131109(P2012−131109)の分割
【原出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(510087760)オプコ ヘルス, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】