説明

薬液揮散容器

【課題】効果的に薬液を外部に揮散させることができる薬液揮散容器を提供する。
【解決手段】薬液揮散容器は、開口を有し、薬液が収容される外容器と、前記開口を覆うガス透過性シート113と、前記ガス透過性シートに沿って、前記外容器の内部側に配置され、前記薬液を面方向に拡散する拡散部材112とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液揮散容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、芳香剤等の薬液を収容する種々の容器が提案されている。例えば、特許文献1には、液密性で且つガス不透過性の袋状の内容器に薬液を収納し、さらにこの内容器を袋状の外容器に収容した薬液揮散容器が開示されている。外容器の一部にはガス透過性フィルムで覆われた開口が形成されている。そして、この容器は、次のように使用される。まず、外容器に外力を加えることで、内部に収容された内容器の内圧を上昇させ、その一部を破断させる。こうして、この破断箇所から薬液が外容器に流れ出る。流れ出た薬液は、ガス透過性フィルムから外部に揮散する。その結果、芳香効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−1730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の容器は外容器の一部にしかガス透過性フィルムが設けられていないため、十分な量の薬液を外部に揮散することができない。そこで、外容器の開口を大きくすることも考えられるが、内容器は、外容器の端部に配置されているため、外容器全体に薬液を揮散させるのは難しかった。また、薬液による香りの強さは外容器内に気化した香料の濃度に依存するところ、上記の容器では、薬液の貯留領域とガス透過性フィルムとが離れているため、使用後期になるにしたがって香りが弱くなるという問題もある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、より広い範囲で効果的に薬液を揮散させることが可能で、且つ使用後期においても薬液の揮散量が維持可能な薬液揮散容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薬液揮散容器は、開口を有し、薬液が収容される外容器と、前記開口を覆うガス透過性シートと、前記ガス透過性シートに沿って、前記外容器の内部側に配置され、前記薬液を面方向に拡散する拡散部材とを備えている。
【0007】
この構成によれば、拡散部材がガス透過性シートに沿って設けられているため、外容器内の薬液をガス透過性シートに沿って拡散させることができる。そのため、ガス透過性シートの広い範囲に亘って薬液を揮散させることができ、広い面積で外部に対して薬液の揮散成分を放出することができる。また、薬液はガス透過性シートに沿って拡散するため、薬液が減少した使用後期においても、広い面積で薬液成分を外部に揮散でき、香り強度が低下しにくいという効果を得ることもできる。なお、拡散部材はガス透過性シートと接触させてもよいし、接触させずに近傍に配置することもできる。拡散部材をガス透過性シートの近傍に配置した場合であっても、ガス透過性シートの近傍における薬液の揮散濃度は高くなるため、従来例よりも高い濃度で薬液を外部へ揮散することができる。
【0008】
上記拡散部材は種々の形態にすることができるが、例えば、シート状に形成して、開口を覆うことができる。これにより、ガス透過性シートの全面に亘って拡散部材が設けられるため、揮散可能な領域の全面に亘って薬液の揮散成分を放出することができる。
【0009】
上記拡散部材は、ガス透過性シートとともに、開口の周縁に固定することができる。これにより、ガス透過性シートと拡散部材とは少なくとも開口の周縁部分で接触するため、例えば、ガス透過性シートと拡散部材との間に隙間が形成されるなど、両者の接触部分が小さくても、開口周縁のいずれかの位置から拡散部材を介してガス透過性シートを薬液と接触させることができる。したがって、上記周縁部分において拡散部材とガス透過性シートとの一定以上の接触面積が確保されるため、全体として薬液の揮散量が大きく低減するのを防止することができる。
【0010】
外容器への薬液の収容方法としては、種々のものを挙げることができるが、例えば、薬液が封入され、外力によって開封可能な内容器をさらに設け、この内容器を外容器に収容することができる。このとき、外容器が可撓性を有するように構成することが望ましい。このように構成した場合、外容器に外力を加えて内容器に力を及ぼすと、内容器の内圧が高まって内容器が破断する。これにより、内容器の薬液が外容器に流れ出し、外容器から薬液の揮散成分が放出される。この構成によれば、予め薬液が封入された内容器を準備しておけば、この内容器を外容器へ収納するだけで、外容器に薬液が収容できるため、薬液の収容作業が容易になる。また、外容器に直接薬液が収容されると、薬液によって外容器、拡散部材、及びガス透過性シートが濡れて、製造過程において外容器と拡散部材及びガス透過性シートとの結合が妨げられるおそれがあるが、上記のように内容器に薬液を封入すれば、これを防止することができる。
【0011】
また、ガス透過性シートも薬液を面方向に拡散するように構成することができる。このようにすると、例えば、ガス透過性シートと拡散部材との接触部分が小さかったとしても、ガス透過性シートによる薬液の拡散が可能であるため、広い範囲で薬液を揮散させることができる。
【0012】
拡散部材は、種々の材料で形成することができるが、例えば、不織布で形成することができる。その他、面方向への薬液の拡散が可能であれば、不織布以外にも、例えば、紙、木、陶器等の多孔質焼結体、プラスチック、金属などを、シート状、網状、または棒状に加工したものなど、種々の部材を使用することができる。また、これら部材に溝、エンボスなどを形成し、薬液の面方向への拡散を容易に行えるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る薬液揮散容器によれば、薬液を揮散させるための開口を大きくしても、効果的に薬液を外部に揮散させることができる。また、使用後期においても薬液の揮散量を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る薬液揮散容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の正面図(a)及び側面図(b)である。
【図3】図1の薬液揮散容器の使用状態を示す正面図である。
【図4】図1の薬液揮散容器の使用状態の他の例を示す正面図(a)及び断面図(b)である。
【図5】図1の薬液揮散容器の使用状態の他の例を示す正面図(a)及び断面図(b)である。
【図6】図1の薬液揮散容器を支持する支持台の正面図(a)、側面図(b)及び(c)背面図である。
【図7】図1の薬液揮散容器の使用の他の例を示す正面図である。
【図8】本発明の実施例及び比較例を用いた外観評価の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る薬液揮散容器の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1はこの薬液揮散容器の斜視図、図2は図1の平面図(a)及び側面図(b)である。なお、以下では、説明の便宜上、図2(a)の左右を幅方向、図2(a)の上下を上下方向、図2(b)の左を後側(または背面側)、右を前側とし、これを基準として他の図面でも説明を行う。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る薬液揮散容器1は、外容器11と、この外容器11の内部に収容される矩形状の内容器12とで構成されている。なお、図1では、薬液揮散容器1を縦向きに配置しているが、後述するガス透過性シート113が塞がれなければ、配置の向きは特には限定されない。内容器12は、透明のフィルムで袋状に形成されており、ガス及び液体を透過しない公知の樹脂材料で形成されている。そして、内容器12の中には、芳香成分を有する着色された薬液が封入されている。この薬液は、公知の揮発性香料などを使用することができる。内容器12の一端部には、ヒートシールによって熱融着された開口部121が形成されており、外力を加えて、内容器12の内圧を増大させることで、破断するように構成されている。
【0017】
外容器11は、前面側に凸部を有し透明の可撓性を有する樹脂材料で形成された容器本体111を備えている。また、この凸部の背面側が、不織布112及びガス透過性シート113によって覆われて内部に収容部115を形成しており、この収容部115に上述した内容器12が配置されている。外容器11の凸部の周囲にはフランジ部118が形成されており、フランジ部118の外形は、全体として正面視矩形状に形成されている。そして、このフランジ部118の背面には、不織布112及びガス透過性シート113がこの順で配置されており、凸部の背面を覆うようになっている(図2(b)の拡大図参照)。すなわち、不織布112及びガス透過性シート113は、外容器11の外形とほぼ同じ大きさに形成されており、フランジ部118に対して熱融着されることで、固定されている。
【0018】
上述したガス透過性シート113は、種々の材料で形成できるが、揮発性香料を透過させることができ、且つ、香料が当該シートを透過する透過速度が、当該シートを透過した香料が揮散する揮散速度以下である材質のシートとすることができる。このようなシートについては、例えば、特開2007−169467号公報に記載の揮散成分徐放用フィルム、特表2008−545591号公報に記載の膜などを採用することができ、当該技術分野では公知である。なお、ガス透過性シート113自体に拡散性能を持たせることもでき、その場合は、例えば、特表2008−545591号公報に記載の高密度ポリオレフィン/微粉シリカ膜を採用することができる。また、上記ガス透過性シート113は、1種の素材からなる単層のシートであってもよく、また同一又は異なる素材からなる2以上の層が積層されたシートであってもよい。
【0019】
一方、不織布112は、拡散部材として毛管現象により薬液を面方向に拡散できる材料であれば特には限定されない。なお、凸部の背面側において不織布112及びガス透過性シート113によって塞がれる箇所が本発明における外容器11の開口を構成する。
【0020】
続いて、上記のように構成された薬液揮散容器の使用方法について、図3も参照しつつ説明する。まず、外容器11の収容部115を指などで押圧する。これにより、収容部115の内部にある内容器12も同時に押圧され、内容器12の内圧が上昇する。その結果、内容器12の開口部121が破断する。こうして、図3に示すように、内容器12の薬液は、開口部121から収容部115へと流れ出す。その後、収容部115の薬液は、不織布112を介してガス透過性シート113から外部へ揮散し、芳香効果を奏する。さらに、収容部115の薬液は、不織布112に沿って毛管現象により面方向に拡散していく。不織布112はガス透過性シート113と接触しているため、不織布112における薬液の拡散とともに、ガス透過性シート113から薬液の芳香成分が外部に揮散していく。その結果、ガス透過性シート113の全面から薬液の芳香成分が外部に揮散していく。
【0021】
以上のように、本実施形態によれば、不織布112がガス透過性シート113に沿って設けられているため、内容器12から流れ出た薬液をガス透過性シート113に沿って拡散させることができる。そのため、ガス透過性シート113の広い範囲に亘って薬液を揮散させることができ、広い面積で外部に対して薬液の揮散成分を放出することができる。また、薬液はガス透過性シート113に沿って拡散するため、薬液が減少した使用後期においても、広い面積で薬液成分を外部に揮散でき、香り強度を維持することもできる。
【0022】
上記のように、不織布112は拡散性能が高いため、その一部に薬液が含浸されても、不織布112全体に薬液が拡散する。そして、薬液が拡散した領域で不織布112とガス透過性シート113が接触し、外部に揮散される。一方、何らかの原因で不織布112とガス透過性シート113の間に隙間が形成された場合には、揮散した薬液成分が不織布112から隙間を介してガス透過性シート113へ向かい、外部へ放出されるが、不織布112とガス透過性シート113とが接触している場合に比べると、薬液の揮散量が少なくなる。これに対して、本実施形態では、ガス透過性シート113と不織布112とが、フランジ部118でともに融着されているため、両者は少なくとも収容部115の周縁で接触していることになる。したがって、例えば、図4(b)に示すように、ガス透過性シート113と不織布112との間に隙間が形成されて接触部分が小さくなったとしても、ガス透過性シート113は、開口周縁のいずれかの位置から不織布112を介して薬液と接触することができる。図4の例では、外容器11の下方に貯まった薬液が不織布112を介してガス透過性シート113と接触し、ここから芳香成分が外部に揮散している様子を示している。なお、図4(a)では、ガス透過性シート113において不織布112と接触して薬液が揮散する領域を網掛けで示している。そして、収容部115の中間部分では、ガス透過性シート113と不織布112との間に隙間が形成されているため、この部分では不織布112とガス透過性シート113とが接触していない。しかしながら、薬液は不織布112の全面に亘って拡散しており、且つ、収容部115の周縁において不織布112とガス透過性シート113とが接触しているため、この周縁部分においてガス透過性シート113は不織布112を介して薬液と接触して揮散させることができる。したがって、ガス透過性シート113と不織布112との間に隙間が形成されたとしても、上記周縁部において一定以上の接触面積が確保されるため、全体として薬液の揮散量が大きく低減するのを防止することができる。
【0023】
さらに、ガス透過性シート113を、例えば、上述したような高密度ポリオレフィン/微粉シリカ膜で形成して、それ自身に拡散性能を持たせると、次のような効果を得ることができる。この点について、図5を参照しつつ説明する。例えば、図5に示すように、ガス透過性シート113と不織布112との間に隙間が形成されている場合、この隙間が形成されている領域ではガス透過性シート113は不織布112を介して薬液と接触しないが、薬液はガス透過性シート113上を拡散して外部へ揮散していくため、薬液の揮散量が低減するのを防止することができる(図5(b)参照)。なお、図5(a)においては、ガス透過性シート113上に拡散した薬液を網掛けで示している。
【0024】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記薬液揮散容器1は、上述したようにガス透過性シート113が塞がれないように配置されれば、その向きは限定されない。また、使用時に所望の場所に直接配置してもよいし、他の容器に収容して用いることもできる。あるいは、次のような支持台に配置することができる。以下、支持台の一例について説明する。図6は、支持台の正面図(a)、側面図(b)及び(c)背面図である。
【0025】
図6に示すように、支持台2は、正面視台形状に形成されており、内部には薬液揮散容器1を収容するための収容空間が形成されている。支持台2の上部には開口21が形成されており、この開口21から収容空間へ薬液揮散容器1を挿入できるようになっている。支持台2の背面には、収容された薬液揮散容器1の収容部115内の内容器12と対向する位置に円形状の貫通孔22が形成されており、収容空間と連通している。そして、貫通孔22には、円形の押圧部材23が配置されており、支持部材24によって貫通孔22に吊り下げられている。これにより、押圧部材23を支持台2の背面側から押し込むと、押圧部材23は支持部材24を中心に揺動し、収容空間内の薬液揮散容器1の収容部115を押圧するように構成されている。一方、収容空間において、押圧部材23を対向する位置には、背面側に開口するカップ状の受け部25が配置されている。この受け部25は、押圧部材23よりも大径に形成されており、収容空間に押し込まれた押圧部材23を受け入れるようになっている。そして、開口21から挿入された薬液揮散容器1は、押圧部材23と受け部25との間に挟まれるようになっている。また、支持台2の背面の下部には、柄模様を構成する複数のスリット26が形成されており、このスリット26を介して、薬液揮散容器1から揮散した薬液が外部に放出される。なお、薬液揮散容器1においては、収容部115内の内容器12が、上記押圧部材23と対向する位置に配置されるように、収容部115内で公知の手段により位置を固定することができる。また、図示を省略するが、内容器12から外容器11に流れ出した薬液を視認できるようにするため、支持台2には、収容部115の下部と対応する位置に収容空間と連通する窓部を設けることができる。
【0026】
続いて、上記のように構成された支持台の使用方法について、図7も参照しつつ説明する。まず、図7に示すように、薬液揮散容器1を支持台2の上部の開口21から挿入し、薬液揮散容器1を支持台2内に配置する。この状態で、押圧部材23を収容空間側に押し込むと、収容部115が押圧部材23と受け部25によって挟まれる。このとき、押圧部材23は、受け部25よりも径が小さいため、押し込まれた押圧部材23は、受け部25内に入り込むように押し込まれる。これにより、押圧部材23に作用する力が受け部25の中に集中するように、収容部115が押し込まれ、収容部115の内部にある内容器12も同時に押圧される。こうして、内容器12の内圧が上昇し、開口部121が破断する。その結果、収容部115へ流れ出た薬液は、不織布112を介してガス透過性シート113から外部へ揮散し、支持台2のスリット26から外部に放出されて芳香効果を奏する。
【0027】
上記実施形態では、ガス透過性シート113を不織布112と接触させているが、これらは必ずしも接触させなくてもよく、近接させた場合でも、不織布112がない従来例と比べて高い揮散効果を得ることができる。すなわち、不織布が存在しない場合には、外容器の内部空間全体に亘って薬液が揮散するため、薬液の揮散濃度が低くなり、結果として、ガス透過性シートから外部に放出される薬液の濃度は低くなる。そして、この傾向は、薬液の使用後期には顕著になる。一方、不織布112をガス透過性シート113の近傍に配置すると、ガス透過性シート113の近傍における薬液の揮散濃度は高くなり、従来例よりも高い濃度で薬液を外部へ揮散することができる。
【0028】
上記実施形態では、不織布112をガス透過性シート113に重ねて薬液を拡散するように構成しているが、拡散部材としては、面方向への薬液の拡散が可能であれば、不織布以外にも、例えば、紙、木、陶器等の多孔質焼結体、プラスチック、金属などを、シート状、網状、または棒状に加工したものなど、種々の部材を使用することができる。また、これら部材に溝、エンボスなどを形成し、薬液の面方向への拡散を容易に行えるように構成することもできる。
【0029】
また、上記実施形態では、内容器12を介して外容器11に薬液を収容しているが、外容器11に薬液を直接収容することもできる。この場合、液漏れを防止するために、ガス透過性シート113における拡散部材(不織布等)とは反対側の面にアルミ等の液不透過性シートを貼り付けておき、使用に際して、この液不透過性シートを剥がせるように構成しておくことができる。このようにしても、拡散部材を設けているので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0031】
ここでは、図1から図3に示したような不織布とガス透過性シートで凸部の背面側を覆う薬液揮散容器を実施例とし、不織布を使用せずガス透過性シートのみで凸部の背面側を覆う薬液揮散容器を比較例とした。各材料は、以下の通りである。
(1) 外容器
PE/PPTにより形成し、収容部の容積を約20000mm、外寸を60×100mmとした。不織布及びガス透過性シートによって覆われる収容部の開口面積は、約4500mmとした。
(2) 内容器
PET/EVOHにより形成し、外寸を40×50mmの袋とした。
(3) 薬液
香料(ハーブ系香料)/溶剤(グリコールエーテル)/着色剤により調製し、内容器への充填量を3.0mLとした。
(4) 不織布
ナイロンのスパンボンド不織布(旭化成製N05040)を用い、外寸は外容器と同じ60×100mmとした。
(5) ガス透過性シート
シリカを混煉したPE(ダラミック製V5)により形成し、外寸は外容器と同じ60×100mmとした。
【0032】
上記実施例及び比較例を用い、上記内容器を収容部に収容した上で、以下の2つの試験を行った。
(1) 外観評価
内容器を開封後、着色した薬液がガス透過性シートからどのように揮散するかを観察し、内容器の開封後、0.5時間後、24時間後の写真を撮影した。結果は、図8に示す通りである。同図によれば、実施例は不織布の拡散効果により、0.5時間後には既にガス透過性シートの全体に薬液が広がって、揮散していることが分かる。一方、比較例は、0.5時間後には収容部の下部の薬液が貯まっている領域の近傍にしか薬液が広がっておらず、24時間経過後もガス透過性シート全体には広がっていない。
【0033】
(2) 官能評価
上記実施例及び比較例を4.7畳の部屋に設置し、0.5時間後の香りの強度を、香り従事者11名が評価した。評価方法は、0.0から7.0まで0.5の間隔で、数値が高くなるほど香りが強いとする評価値をつけさせ、その平均を算出した。その結果、実施例が4.6であるのに対し、比較例が4.1であった。さらに、実施例と比較例との差を0.5以上にした被験者は9名であり、有意な差があることが分かった。したがって、上記外観評価の結果からも導かれるように、ガス透過性シートの広い範囲で薬液が揮散していると、香りが強くなることが分かった。
【符号の説明】
【0034】
1 薬液揮散容器
11 外容器
12 内容器
112 不織布(拡散部材)
113 ガス透過性シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し、薬液が収容される外容器と、
前記開口を覆うガス透過性シートと、
前記ガス透過性シートに沿って、前記外容器の内部側に配置され、前記薬液を面方向に拡散する拡散部材と
を備えている、薬液揮散容器。
【請求項2】
前記拡散部材はシート状に形成され、前記開口を覆っている、請求項1に記載の薬液揮散容器。
【請求項3】
前記拡散部材は、前記ガス透過性シートとともに、前記開口の周縁に固定されている、請求項2に記載の薬液揮散容器。
【請求項4】
前記薬液が封入され、外力によって開封可能な内容器をさらに備え、
前記外容器が可撓性を有しており、
前記内容器が前記外容器に収容されている、請求項1から3のいずれかに記載の薬液揮散容器。
【請求項5】
前記ガス透過性シートは、前記薬液を面方向に拡散する、請求項1から4のいずれかに記載の薬液揮散容器。
【請求項6】
前記拡散部材は、不織布で形成されている、請求項1から5のいずれかに記載の薬液揮散容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−78401(P2013−78401A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218719(P2011−218719)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】