説明

蛋白質スクリーニング装置における分注構造

【課題】本発明は、ノズルの先端部に内径の異なるディスポーザブルチップを選択的に取付け可能とし、1個のノズルに複数の大きさが異なるディスポーザブルチップを取付け可能とすることを目的とする。
【解決手段】本発明による蛋白質スクリーニング装置の分注構造は、ノズル(51)の先端部に互いに直径が異なる複数のチップ装着部(51B,51C,51D)が形成され、各チップ装着部(51B,51C,51D)には互いに内径の異なるディスポーザブル大、小、中チップ(51a,51b,51c)が装着できるようにした構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛋白質スクリーニング装置における分注構造に関し、特に、ノズルの先端部に内径の異なるディスポーザブルチップを選択的に取付け可能とし、1個のノズルに複数の大きさが異なるディスポーザブルチップを取付け可能として、装置の省力化及び小型化を達成するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の蛋白質スクリーニング装置等の分注構造としては、例えば、特許文献1及び2に開示されているように、1個のノズルに対して1個のディスポーザブルチップが着脱自在に設けられ、1回の分注処理が完了すると、ディスポーザブルチップをノズルから除去し、廃棄処分していた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−364526号公報
【特許文献2】特開2003−1164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の蛋白質スクリーニング装置等の分注構造としては、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、図16及び図17に示されるように、1個のノズル51,51Aに対して専用の内径を有するディスポーザブルチップ51a,51bが設けられているため、多くの異なる内径のディスポーザブルチップの使用、すなわち、吸引又は吐出する液体の容量が異なる状態で用いる場合には、数多くのノズル51,51Aを配設しなければならず、分注ロボットの数も2台では足りず、2台以上の台数を用いると、装置全体の形状が極めて大型化することになっていた。
また、前述のように、各ノズルに専用のディスポーザブルチップが設けられていると、複数の分注ロボットのうち、必要でない分注ロボットが発生することもあり、装置全体としては使用効率が低下することにもなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による蛋白質スクリーニング装置における分注構造は、全体形状が箱形をなす台箱と、前記台箱内に出入自在に設けられた攪拌精製部と、前記台箱上に設けられ水平方向及び垂直方向に移動自在な1個又は複数の分注ロボットと、前記台箱上に設けられ前記分注ロボットを前記水平方向に往復動させるための分注ロボットX軸駆動機構と、前記台箱上に設けられ前記分注ロボットを前記垂直方向に往復動させるための分注ロボットZ軸昇降機構と、前記台箱上の前記分注ロボットZ軸昇降機構の後側に立設された支持板と、前記分注ロボットを覆うための全体カバーと、前記各分注ロボットのノズルに設けられたディスポーザブルチップとを用い、前記ディスポーザブルチップを用いて被検査液体の吸引、攪拌及び吐出の何れか又は全てを行うようにした蛋白質スクリーニング装置において、前記ノズルの先端部には互いに直径が異なる複数のチップ装着部が形成され、前記各チップ装着部には互いに内径の異なるディスポーザブル大、小、中チップが装着できるようにした構成であり、また、前記各チップ装着部には、前記内径が大に設定されたディスポーザブル大チップを装着し、前記ディスポーザブル大チップの内側に前記ディスポーザブル大チップよりも内径が小であるディスポーザブル小チップを装着すると共に、前記ディスポーザブル小チップの先端に磁石を設けた構成であり、また、前記各チップ装着部には、前記内径が大に設定されたディスポーザブル大チップを装着し、前記ディスポーザブル大チップの内側に前記ディスポーザブル大チップよりも内径が小であるディスポーザブル小チップを装着すると共に、前記ディスポーザブル大チップの先端部側にフィルタが設けられている構成である。
【発明の効果】
【0006】
本発明による蛋白質スクリーニング装置における分注構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、1個のノズルの先端部には、互いに直径の異なる複数のチップ装着部が形成され、各チップ装着部には互いに内径の異なるディスポーザブルチップが装着できるように構成されているため、用途に応じて選択的に最適な容量のディスポーザブルチップに交換することができ、分注機構の小型化と装置全体の小型化を達成することができる。
また、1個のノズルの先端部に設けた内径が大きいディスポーザブル大チップの内側に、これよりも内径が小さいディスポーザブル小チップを設けた二重チップ構造を用い、ディスポーザブル小チップの先端部に設けた磁石により磁性粒子を除去したクリーン状態の液体をディスポーザブル小チップを介して吸引することができる。また、ディスポーザブル大チップに設けたフィルタにより、ゴミ等の不純物を除去した液体を吸引することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、ノズルの先端部に内径の異なるディスポーザブルチップを選択的に取付け可能とし、1個のノズルに複数の大きさが異なるディスポーザブルチップを取付け可能として、装置の省力化及び小型化を達成するようにした蛋白質スクリーニング装置における分注構造を提供することを目的とする。
【実施例】
【0008】
以下、図面と共に本発明による蛋白質スクリーニング装置における分注構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図1から図4に示す構成は、本発明による蛋白質スクリーニング装置100を示すもので、全体形状が箱状をなすと共に気密性を有する台箱101内には、引き出し式に出し入れ自在に構成され取手102を有する攪拌精製部103が内蔵されている。
前記台箱101上には、各側部位置に互いに容量が異なり、あるいは、ピッチが異なる第1、第2チップ廃棄シュート104,105と、互いに容量の異なるディスポーザブルチップ51aを用いるための第1、第2分注ロボット106,107と、前記各分注ロボット106及び107を水平方向(すなわち、X軸方向)に往復動させるための分注ロボットX軸駆動機構110と、前記各分注ロボット106,107を垂直方向(すなわち、Z軸方向)に往復動させるための第1、第2分注ロボットZ軸昇降機構111,112と、前記各昇降機構111及び112の後側で前記台箱101上に立設して設けられた支持板113と、前記支持板113に設けられた装置内冷却用ペルチェユニット114及び装置内送風用ファン115と、前記攪拌精製部103用の攪拌精製部カバー120と、前記各チップ廃棄シュート104及び105間に設けられ矢印Yの方向に沿って往復動可能で新品のディスポーザブルチップ(複数の容量)と上澄み回収プレートを設置することができるチップラックテーブル121とが設けられている。
【0009】
前記台箱101上には、前述の各分注ロボット106,107、分注ロボットX軸駆動機構110等を覆い密閉状の部屋を形成するための全体カバー130が取付ビス131及び図示しないパッキン等を用いて取付けられている。
【0010】
前記攪拌精製部103は、台箱101から引き出すと図3及び図4で示される通りであり、この攪拌精製部103の下方位置には、図2では示されていないが、磁性微粒子回収機構140が配設されている。この磁性微粒子回収機構140のマグネット140aを有する台140bはマグネット昇降装置140cによって矢印Fの方向に沿って昇降自在に構成されている。
【0011】
前記攪拌精製部103は、全体が断熱壁141によって断熱構造となるように構成されており、この断熱壁141の内側には、一対のプレート保持部142,143上に攪拌精製チューブマウント144及び抽出サンプル回収用チューブマウント145が設けられ、さらに試薬プレート150が設けられ、前記取手102を有する前板151はレール152を介して開閉自在に設けられている。
【0012】
前記攪拌精製部103の断熱壁141で形成された後部146には、この攪拌精製部103内を加温冷却するための加温冷却用ペルチェユニット147及び送風ファン148が設けられている。
前記攪拌精製部103内の仕切板149には複数の通風穴149aが設けられ、この通風穴149aを介して前記送風ファン148からの風が前記攪拌精製チューブマウント144、抽出サンプル回収用チューブマウント145及び試薬プレート150側へ送風されて温調が行われるように構成されている。
【0013】
次に、前記第1、第2分注ロボット106,107の具体的構成について述べる。尚、各分注ロボット106,107は同一構成である。
図5から図9は各分注ロボット106,107を具体的に示している。すなわち、図5及び図6において符号1で示されるものは全体形状がほぼ箱形をなすケーシングであり、このケーシング1には、図6に示されるように、回転形の第1、第2クラッチ2,3及び駆動モータ4が設けられている。
【0014】
前記第1クランチ2の上部には第1プーリ5が設けられ、その下部にはタイミングプーリ6が設けられている。
前記第2クランチ3の上部には第2プーリ7が設けられ、その下部には第3プーリ8が設けられている。
【0015】
前記タイミングプーリ6と第3プーリ8とは第1タイミングベルト9によって連結されており、前記第1プーリ5は前記ケーシング1に回転自在に設けられたピッチ可変用駆動ネジ10の上部の第4プーリ11に第2タイミングベルト12を介して連結され、前記第2プーリ7は前記ケーシング1に回転自在に設けられた分注ピストン用駆動ネジ13の上部の第5プーリ14に第3タイミングベルト15を介して連結されている。
【0016】
前記ピッチ可変用駆動ネジ10には、このピッチ可変用駆動ネジ10と螺合するナットに連結シャフト保持ブロック16が固定されており、この連結シャフト保持ブロック16は前記ケーシング1にその上下方向に沿って設けられた第1直線軌道20によって上下動、すなわち、昇降自在に設けられている。
【0017】
前記分注ピストン用駆動ネジ13の上部には、この分注ピストン用駆動ネジ13と螺合するナットにピストン保持ブロック21が固定されており、このピストン保持ブロック21は前記ケーシング1にその上下方向に沿って設けられた第2直線軌道22によって上下動、すなわち、昇降自在に設けられている。
【0018】
前記ピッチ可変用駆動ネジ10の下部は、前記ケーシング1の下部から水平方向に延設された保持板23に設けられた第1軸受24に回転自在に保持され、前記連結シャフト保持ブロック16から下方に向けて設けられた連結シャフト25の下端には連結部材26を介して複数の傾斜溝カム30aを有する溝カム体30が接続されている。
【0019】
前記溝カム体30は図5に示されるように互いに対向配置の一対よりなり、図8に示すように、各溝カム体30は一対の連結板31によって全体形状が枠型となるように構成され、前記連結板31の中央内側に設けられた溝カム用ガイド32は、前記ケーシング1に固定されて前方へ突出して形成され全体形状がほぼ箱形をなす保持体33の前板34の中央位置に上下方向に沿って形成された溝カム案内用直線軌道35に係合して前記連結板31と共に上下動すなわち昇降可能に構成されている。
【0020】
前記分注ピストン用駆動ネジ13の下部は、前記保持体33の上板36に設けられた第2軸受37に回転自在に軸支されており、前記ピストン保持ブロック21に設けられた分注ピストン体40は、前記上板36の筒状ガイド41を貫通して前記上板36の下方へ延設されて横長形状の枠状ガイド42に接続されている。
【0021】
前記保持体33は、図8に示されるように、前記前板34と同様に後板34aが設けられ、図5で示した溝カム案内用直線軌道35が同様に設けられている。
従って、前記連結板31も図8で示されるように設けられており、一対の前記各溝カム体30は、前記各連結板31によって接続されていることにより、平面的にみると四角形の枠型に構成されて前記保持体33の外側で昇降自在に配設されている。
【0022】
前記枠状ガイド42に接続された分注ピストン体40の両側には、一対のガイド棒40a,40bが植立して設けられ、この各ガイド棒40a,40bは、前記上板36に設けられた一対のガイドブッシュ41a,41bを介して上方に摺動自在に突出し、前記枠状ガイド42の位置決めを行うように構成されている。
【0023】
前記保持体33の下部には、前記前板34及び後板34a間に支持されピッチ可変用直線軌道を形成するための複数の横棒50が固定して設けられ、この各横棒50には、ディスポーザブルチップ51aを有するノズル51を各々下部に有する複数のシリンダブロック52が横方向に沿って移動可能に並設されている。
【0024】
前記各シリンダブロック52の上部には、前記各傾斜溝カム30aと係合するカムフォロワ52aが設けられると共に、各々分注ピストン53が挿入自在に設けられ、各分注ピストン53の昇降によって各ノズル51に取付けられたディスポーザブルチップ51d内に液体を吸引するか、又は各ディスポーザブルチップ51d内の液体を吐出することができるように構成されている。
【0025】
前記枠状ガイド42は、図5及び図6で示されるように、第1ガイド片42a及び第2ガイド片42bで構成されると共に、各ガイド片42a,42b間に間隔Dを有する隙間60が形成され、この隙間60内には前記各分注ピストン53の上部に回転自在に設けられたベアリングからなるローラ61が矢印Gで示す水平方向に移動することができるように係合して組合わせられている。
尚、前記間隔Dは、ローラ61の外径に対して分注量に極力影響しない隙間60となるように構成されている。
【0026】
次に、全体の動作に付いて述べる。前に、前記分注ロボット106,107の動作について述べる。まず、図5の状態は、各シリンダブロック52に対して溝カム体30を最上部に移動させて各シリンダブロック52を互いに接合させた最も各ノズル51の各ピッチが小さい状態を示している。
次に、前述の状態において、前記各ノズル51の各ピッチを大きくする場合、まず、前記第2クラッチ3をオフとした状態で、予め図示しない制御部側で設定された設定ピッチの指令に基づいて駆動モータ4が駆動されると、第1クラッチ2を介して第1プーリ5が回転し、この回転は、第2タイミングベルト12及び第4プーリ11を介してピッチ可変用駆動ネジ10が回転する。
【0027】
前記ピッチ可変用駆動ネジ10の回転により、連結シャフト保持ブロック16が降下し、連結シャフト25及び連結部材26を介して溝カム体30が同時に降下する。
前記溝カム体30の降下により、各傾斜溝カム30aに係合する各シリンダブロック52の各カムフォロワ52aは、各傾斜溝カム30aの溝カム形状に沿って外側方向に移動させられ、各シリンダブロック52及びノズル51が、前記設定ピッチとなった状態で駆動モータ4の駆動が停止される。
【0028】
次に、前述の状態で、第1クラッチ2がオフとなり、第2クラッチ3がオンとなると、駆動モータ4の駆動は第1タイミングベルト9を介して、第3プーリ8、第2クラッチ3、第2プーリ7、第3タイミングベルト15及び第5プーリ14を介して分注ピストン用駆動ネジ13に伝達され、この分注ピストン用駆動ネジ13の回転によってピストン保持ブロック21が昇降する。
【0029】
前記ピストン保持ブロック21と連動して分注ピストン体40の昇降により、各分注ピストン53が各シリンダブロック52に対して昇降を行うことができる。
前記各シリンダブロック52の各ノズル51のディスポーザブルチップ51aを液槽(図示しない)内に浸漬した状態で、前述の各分注ピストン53の上昇動作を行うと、液の吸引が行われ、液の吸引後に前記各分注ピストン53の降下動作を行うと、各ノズル51のディスポーザブルチップ51aからの液の吐出、すなわち、他の場所への液の分注を行うことができる。
従って、本発明の各分注ロボット106,107の構成においては、一対のクラッチ2,3を用いて1個のみの駆動モータ4の回転を、ピッチ可変用駆動ネジ10と分注ピストン用駆動ネジ13に選択的に供給しているため、駆動源としては1個の駆動モータ4のみで分注とピッチ可変の2系統の動作を選択的に行うことができる。
【0030】
前記ノズル51は一種類のみで構成され、実際には、図10で示されるように構成されている。すなわち、ノズル51の先端部には、互いに直径が異なる複数の第1〜第3チップ装着部51B,51C,51Dが階段状に下方に突出して形成されている。
前記各チップ装着部51B,51C,51Dの外周面はテーパ面で形成されている。
【0031】
前記第1、第2、第3チップ装着部51B,51C,51Dには、互いに内径と長さが異なるディスポーザブル大チップ51a、ディスポーザブル中チップ51c及びディスポーザブル小チップ51bが、各々選択的に装着できるように構成されている。
【0032】
また、他の形態として、前記ディスポーザブル大チップ51aとディスポーザブル小チップ51bとは、図14及び図15で示されるように、互いに重合させて二重チップ構造として、ノズル51に装着して用いることもできる。
すなわち、図14に示される構成において、ノズル51の第1チップ装着部51Bにはディスポーザブル大チップ51aが装着され、第3チップ装着部51Dには、通気穴51baを有するディスポーザブル小チップ51bが装着され、このディスポーザブル小チップ51bの先端には磁石51bbが設けられている。
【0033】
図15の構成において、ノズル51の第1チップ装着部51Bには、ディスポーザブル大チップ51aが装着され、第3チップ装着部51Dには、ディスポーザブル小チップ51bが装着されている。
前記ディスポーザブル大チップ51aの先端にはフィルタ51abが設けられ、ディスポーザブル大チップ51aで吸引された液体は、チリ等の不純物がフィルタ51abで除去された後、ディスポーザブル小チップ51bを介してノズル51から吸引されるように構成されている。
【0034】
次に、本発明による蛋白質スクリーニング装置の基本的な動作について述べる。尚、磁性ナノ微粒子を用いた蛋白質スクリーニングについては周知のため、ここでは省略してその工程を述べることとする。
まず、本発明による蛋白質スクリーニング装置100と接続された図示しないパーソナルコンピュータ(以下PC)にインストールされたアプリケーションソフト上で設定可能範囲内で任意の温度を前記攪拌精製部103に対して設定する。設定された温度に対し攪拌精製部103に取付けられたペルチェユニット147にて加温・冷却を行う。その際、庫内に取付けられた温度センサにより温度制御を行う。
【0035】
次に、スクリーニング工程の一例について述べる。
装置が温度管理された後のスクリーニング手順は結合・洗浄・溶出工程に大別される。
結合工程
a 各分注ロボット106,107に分注量に適したディスポーザブルチップ51aを装着し、攪拌精製チューブマウント144の攪拌精製チューブへ移動する。
b 分注ロボット106,107のピストンポンプでピペッティング(被検査液体の吸引、攪拌、吐出)を行い混合する。
c 磁性微粒子回収機構140を動作させ、マグネット140aがチューブに密着させた状態で固液分離を行う。
d 上澄みを図示しない上澄み回収プレートに移載する。
【0036】
洗浄工程
e cのチューブ内に分注ロボット106,107を使用して洗浄用試薬を入れる。
f 分注ヘッドのピストンポンプでピペッティングを行い混合する。
g 固液分離を行う。
h 上澄みを上澄み回収プレートに移載する。
溶出工程
i hのプレート内に分注ロボットを使用して溶出用試薬を入れる。
j 多連ピストンポンプでピペッティングを行い混合する。
k 固液分離を行う。
l 上澄み(標的蛋白質(あるいは標的化学物質)を含む)を抽出サンプル回収用チューブマウント145の抽出サンプル回収チューブに移載する。
m 完了
尚、前述のスクリーニング工程において、前記攪拌精製部103の攪拌精製チューブマウント144、抽出サンプル回収用チューブマウント145及び試薬プレート150のピッチを変更する場合においても、本発明における各分注ロボット106,107の各ノズル51のピッチを変えて対応することができる。
【0037】
前述のスクリーニング工程において、本発明においては、例えば、各ノズル51に対して、図11から図13で示されるように、各チップ51a,51b,51cの何れかに統一、又は、これらを組合わせて要求される用途に合わせて各チップ51a,51b,51cを選択的に装着することができる。
【0038】
また、前述の図14及び図15で示される構成の場合、前記ディスポーザブル大チップ51aの内側にディスポーザブル小チップ51bを装着して二重チップ構造として用いる構成である。
すなわち、図14の構成の場合、ノズル51の第1チップ装着部51Bにディスポーザブル大チップ51aを装着し、その内側に位置する第3チップ装着部51Dにディスポーザブル小チップ51bを装着し、このディスポーザブル小チップ51bの先端に磁石51bbを設けると共に、その根元側に複数の通気穴51baを形成している。
【0039】
従って、前述の図14の構成において、ディスポーザブル大チップ51aの先端から磁性微粒子51bcが混入した被検査液体を吸入すると、この磁性微粒子51bcは磁石51bbで磁気吸着され、液体のみが通気穴51baを介してノズル51から吸引される。
【0040】
また、図15で示される構成においては、図14と同じ二重チップ構造において、ディスポーザブル大チップ51aの先端部側にフィルタ51abを設け、このフィルタ51abがディスポーザブル小チップ51bの先端とディスポーザブル大チップ51aの先端部との間に位置しているため、このディスポーザブル大チップ51aで吸引した被検査液体中のゴミ等の不純物はこのフィルタ51abで除去されてディスポーザブル小チップ51bを介してノズル51から吸引される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による蛋白質スクリーニング装置を示す外観図である。
【図2】図1の全体カバーを除いた状態を示す斜視図である。
【図3】図1の攪拌精製部を示す分解斜視図である。
【図4】図3の一部を引き出した状態を示す斜視図である。
【図5】図2の分注ロボットの内部を示す斜視図である。
【図6】図5の矢視A拡大図である。
【図7】図5の矢視B拡大図である。
【図8】図5の要部の断面図である。
【図9】図8のC部の拡大図である。
【図10】図7のノズルを具体的に示す構成図である。
【図11】図10のノズルにディスポーザブル大チップを装着した状態を示す構成図である。
【図12】図10のノズルにディスポーザブル中チップを装着した状態を示す構成図である。
【図13】図10のノズルにディスポーザブル小チップを装着した状態を示す構成図である。
【図14】図11の他の形態を示す構成図である。
【図15】図14の他の形態を示す構成図である。
【図16】従来のノズルとチップの組合せを示す構成図である。
【図17】従来のノズルとチップの組合せを示す構成図である。
【符号の説明】
【0042】
51 ノズル
51a〜51c ディスポーザブル大、小、中チップ
51B〜51D 第1〜第3チップ装着部
51bb 磁石
51ab フィルタ
101 台箱
103 攪拌精製部
106,107 分注ロボット
110 分注ロボットX軸駆動機構
111,112 分注ロボットZ軸昇降機構
113 支持板
130 全体カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体形状が箱形をなす台箱(101)と、前記台箱(101)内に出入自在に設けられた攪拌精製部(103)と、前記台箱(101)上に設けられ水平方向及び垂直方向に移動自在な1個又は複数の分注ロボット(106,107)と、前記台箱(101)上に設けられ前記分注ロボット(106,107)を前記水平方向に往復動させるための分注ロボットX軸駆動機構(110)と、前記台箱(101)上に設けられ前記分注ロボット(106,107)を前記垂直方向に往復動させるための分注ロボットZ軸昇降機構(111,112)と、前記台箱(101)上の前記分注ロボットZ軸昇降機構(111,112)の後側に立設された支持板(113)と、前記分注ロボット(106,107)を覆うための全体カバー(130)と、前記各分注ロボット(106,107)のノズル(51)に設けられたディスポーザブルチップ(51a〜51c)とを用い、前記ディスポーザブルチップ(51a〜51c)を用いて被検査液体の吸引、攪拌及び吐出の何れか又は全てを行うようにした蛋白質スクリーニング装置において、
前記ノズル(51)の先端部には互いに直径が異なる複数のチップ装着部(51B,51C,51D)が形成され、前記各チップ装着部(51B,51C,51D)には互いに内径の異なるディスポーザブル大、小、中チップ(51a,51b,51c)が装着できるように構成されていることを特徴とする蛋白質スクリーニング装置における分注構造。
【請求項2】
前記各チップ装着部(51B,51C,51D)には、前記内径が大に設定されたディスポーザブル大チップ(51a)を装着し、前記ディスポーザブル大チップ(51a)の内側に前記ディスポーザブル大チップ(51a)よりも内径が小であるディスポーザブル小チップ(51b)を装着すると共に、前記ディスポーザブル小チップ(51b)の先端に磁石(51bb)を設けたことを特徴とする請求項1記載の蛋白質スクリーニング装置における分注構造。
【請求項3】
前記各チップ装着部(51B,51C,51D)には、前記内径が大に設定されたディスポーザブル大チップ(51a)を装着し、前記ディスポーザブル大チップ(51a)の内側に前記ディスポーザブル大チップ(51a)よりも内径が小であるディスポーザブル小チップ(51b)を装着すると共に、前記ディスポーザブル大チップ(51a)の先端部側にフィルタ(51ab)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の蛋白質スクリーニング装置における分注構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−327765(P2007−327765A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157090(P2006−157090)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】