説明

螺旋巻き製管装置及びその製管方法

【課題】
帯状部材を螺旋状に捲回して管状体を送出し形成する元押し式の製管において、外周規制方式を採り、管状体形成の送り駆動力の均等化を図り、製管装置の各部への偏った負荷を無くして管状体の円滑な回転成形性をなすこと。
【解決手段】
帯状部材100の閉合部位に外面ローラ3と内面ローラ4とからなる2連の挟着ローラ部5を移動可能に配し、第1及び第2挟着ローラ部5A,5Bは互いに形成される管状体の管中心軸を軸対称として配され、外周規制枠体7は第1挟着ローラ部5及び第2挟着ローラ部5の各外面ローラ3の間に螺旋状に1回周して配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺の板状の帯状部材を螺旋状に捲回して管状体を形成し、該形成された管状体の後方に新たに供給される帯状部材をもって該管状体を送出し形成するいわゆる元押し式螺旋巻き製管装置及びその成形方法に関し、特には、下水道管、上水道管及びガス管等の既設の管渠において、その管渠の内面に管状体を挿入し、ライニング層を施工するための管渠用ライニング施工装置並びにその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管渠内へのライニング施工において、当該管渠が下水道管路の場合、人孔内の底部に製管装置を設置し、その製管装置により地上部より供給される帯状部材を螺旋状に捲回して管状体を形成し、該管状体を管渠内に送り込んでゆく工法、いわゆる「元押し式工法」は公知である。当該帯状部材は長尺体をなすとともに両側縁部に継手が形成され、連続的に供給される帯状部材の相接する継手相互を係合させて管状体が形成されるものである。
従来より使用されている元押し式工法の製管装置いわゆる元押し式ライニング施工装置は、特開平2−41231号公報(特許文献1)に示されるように、送り込まれる帯状部材が機枠の前面に配された複数の製管ローラ(21)による外周規制を受けて螺旋状に捲回されるものであり、製管ローラには大きな負荷が掛かり、このためこの製管ローラを強固に配することから、機枠は剛性体より構成され、大型かつ重量のあるものとなる。したがって、このライニング施工装置を人孔内に設置するに際し、人孔底部のインバートの開削規模が大きくなり、不経済な工事となる欠点がある。
【0003】
そこで本出願人は先に、特開2008−173929号公報(特許文献2)において、この従来型の施工装置の設置手間を解消するとともに、連続的に環状をなす外周規制枠体を採用し、該従来型の施工装置の製管作用を抜本的に改変した元押し式工法に適用される新規な製管装置(以下、先行技術という。)を提案した。
すなわち、本先行技術は、両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成し、前記形成された管状体の後方に新たに供給される前記帯状部材をもって該管状体を送出し形成する製管装置であって、少なくとも、
前記形成される管状体と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配され、該帯状部材を挟着かつ駆動する外面ローラと内面ローラとからなる接合ローラ部と、
環状の枠体構造をなすとともに、前記外面ローラに跨がり、かつ前記接合ローラ部を保持する機枠に固定される囲繞箱体を介して固定され、新たに供給される帯状部材に沿って該帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配され、前記成形される管状体の外面に当接される回転自在のローラを保持し、該成形される管状体の外周長を規制する外周規制枠体と、
を有してなる。
本先行技術によれば、以下の作用を奏し、効果を有する。
新たに供給される帯状部材は、いわゆる外張り式として、螺旋状に捲回されて形成される管状体に対して外側面から供給され、先行する管状体の帯状部材と接合ローラ部で係合する。
新たに供給される帯状部材は接合ローラ部へ送り込まれ、1回周して再び接合ローラ部で最初の閉合部位で係合される。帯状部材はこの1回周において外周規制枠体により外周が拘束され、管状体の成形に伴う膨径を阻止する。この膨径阻止作用は、実質的に閉合する環状の当該外周規制枠体内のみでなされ、該阻止作用に伴う反力は相殺されて過大な外力とはならない。
これにより、接合ローラ部の定常駆動により、所定の一定径の管状体を形成してゆく。
外周規制枠体を採用したことにより、機枠は少なくともこの外周規制枠体及び接合ローラ部を固定すれば足り、機枠の軽量化が図られる。これにより、装置の小型化が一層容易となる。
管渠内での施工において装置の小型化ないしは軽量化により、インバートへの設置を含めて施工の容易化が図られ、大きな利便性を得ることができる。
【0004】
しかしながら、当該先行技術によれば、単一の接合機構部により接合及び送り動作をなすライニング管の製管を行うものであるので、外周長は正確に規制されるが、当該接合機構部からの帯状部材に加えられる送り力が偏ったものとなり、成形される管状体ひいては外周規制枠体に偏心性を与え、駆動力の変動要因となり、円滑な回転成形の阻害要因となり、かつは当該接合機構部から管状体へ付与される前進力がロスすることになる。また、接合機構部での帯状部材に加えられる片送りは外周規制枠体への応力集中を生じ、破損要因ともなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−41231号公報
【特許文献2】特開2008−173929公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実情に鑑み、大きな利便性を有する先行技術の元押し式の螺旋巻き製管装置を更に発展させたものであり、管状体を形成する送り駆動力の均等化を図り、本製管装置の各部への偏った負荷を無くして管状体の円滑な回転成形性、更には管状体に付与する前進力の増大を図ることのできる新規な製管装置並びに製管方法を得ることを目的とする。
本発明は更に、この製管装置をもって管渠のライニング施工にも適用できるライニング施工装置並びに施工方法を得ることも他の目的とする。
本発明はこのため、成形される管状体の送りをなす挟着ローラ部機構を2連に配し、外周規制枠体の拘束作用のもとにそれらを偶力態様に働かせることによりこの目的を達成し得るとの知見に基づいてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は具体的には以下の構成を採る。
本発明の第1は螺旋巻き製管装置であって、請求項1に記載のとおり、両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成し、前記形成された管状体の後方に新たに供給される前記帯状部材をもって該管状体を送出し形成する製管装置であって、
剛性の板状体よりなる底盤1と、
該底盤1上に2個一対で立設されるとともに該底盤1に対し固定及び固定解除自在の各取付け機構2を介して所定の間隔を保って配され、その各々が前記帯状部材を送り駆動力をもって挟着する外面ローラ3と内面ローラ4とからなる挟着ローラ部5を有し、これらのローラ3,4を保持するとともに作動流体をもって形成される管状体を回転駆動する下記(a)(b)の2つの第1、第2成形機構部6A,6Bと、
(a)前記第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aは、前記形成される管状体と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配される。
(b)前記第2成形機構部6Bの挟着ローラ部5Bは、前記形成される管状体の管中心軸を軸対称として前記第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aとは反対側に配される。
前記第1、第2成形機構部6A,6B間において、それらの外面ローラ3部の相互に跨がり、新たに供給される前記帯状部材に沿って該帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配され、該成形される管状体の外周長を規制する外周規制枠体7と、
を有してなることを特徴とする。
本第1発明は以下に開示される実施形態から把握・抽出される発明思想である。
【0008】
上記において、「新たに供給される帯状部材」とは、連続的に供給される長尺の帯状部材につき、第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aに送り込まれる帯状部材をいう。
また、「取付け機構2」は底盤1上に2個一対で立設されるとともに該底盤1に対し固定及び固定解除自在とされ、その「固定及び固定解除自在」とは以下の実施の形態で示される締付け具に限定されず、当該取付け機構2の底盤1への固定による不動状態、またその固定解除による移動の許容状態の両態様を採る自在性をいう。
更に、第2成形機構部6Bの挟着ローラ部5Bが形成される管状体の管中心軸を軸対称として第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aとは反対側に配されるとは、帯状部材の半ピッチ前方の位相差をなす外、それと同等の作用をなす配置態様も含めるものである。
更にまた、「最初に閉合する部位」とは、当該送り込まれる帯状部材の前端の継手と該帯状部材が1回周してその後端の継手とが係合する部位をいう。
本発明の帯状部材は所定の厚み・剛性をもって耐座屈性及び耐引張り性を有し、弾性あるいは塑性を有するものが使用され、また、その継手構成は以下の実施の形態で示されるものに限定されず、該帯状部材の縁部に沿って係合構造を有する一般のものを除外するものではない。
上記第1発明の構成において、
1)取付け機構2は底盤1に水平を保って横移動調整可能であること、
2)外周規制枠体7は前記外面ローラ3回り配された剛性の囲繞箱体に取り付けられること、
3)外周規制枠体は、成形される管状体の外面に当接され回転自在のローラを保持し、リンク列による屈撓自在であること、
4)リンク列に周長調整機構が介装されてなること、
は適宜採択される選択的事項である。
以上の1)〜4)の事項はすべて、以下の第2、第3、第4発明に適用される。
【0009】
(作用)
新たに供給される帯状部材は、いわゆる外張り式として、螺旋状に捲回されて形成される管状体に対して外側面から供給され、先行する管状体の帯状部材と第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aで係合する。新たに供給される帯状部材は更に第2形成機構部6Bの挟着ローラ部5Bへ送り込まれ、1回周して再び接合ローラ部で最初の閉合部位で係合される。この製管作用によれば、成形される管状体Rは外径が累積され、次第に膨径する傾向にある。
第1・第2成形機構部6A,6Bの各挟着ローラ部5A,5Bは、同期駆動され「定常成形」状態を採るとき、管状体Rに対してそれぞれ均等力をもって、第1挟着ローラ部5Aは下方直角方向へ、第2挟着ローラ部5Bは上方直角方向へ送り力を作用させ、これらの送り力は偶力態様の力関係を採る。
この偶力態様の力の作用により、回転力のみが残り、管状体R(ひいては外周規制枠体7)に対する押下げ力、押上げ力が相殺されて消え、かつ水平方向成分の力も消え、この結果取付け機構2の固定力も自由(ゼロ)となり、該取付け機構2の固定は解除される。この取付け機構2の固定を解除してなされる管状体Rの成形は、先に述べた膨径作用により取付け機構2を強制変位させるものであるが、その膨径作用は外周規制枠体7によって拘束され、結果として取付け機構2の変位はない。換言すれば、外周規制枠体7は管状体Rに作用する回転偶力によっては力は受けることなく、管状体Rの膨径作用のみを負担することになり、外周規制枠体7の負担は小さい。
更に、偶力作用による偶力回転面内の力の消失により、第1・第2挟着ローラ部5A,5Bによる送込み力の増大は回転偶力の増大となり、第1・第2挟着ローラ部5A,5Bの送込み角度αから生じる管状体に対する前進力(スラスト力)の増大をもたらす。すなわち、第1・第2挟着ローラ部5A,5Bによる送込み力は効率的に管状体に対する前進力に変換される。これにより、管状体に対する大きな前進力を得るものである。
更にまた、外周規制枠体7の支持は第1・第2成形機構部6A,6Bの外面ローラ部3A,3Bの近傍部すなわち囲繞箱体42への固定をもってなされ、上記したとおり成形される管状体Rの膨径作用は該外周規制枠体7により拘束されるものであり、当該膨径作用力は該外周規制枠体7内に閉じ込められ、換言すれば、外周規制枠体7に生じる応力をもってこの膨径作用力に対抗する。当該応力は円環状体で均等化し、過大なものとならない。
2連の挟着ローラ部の定常駆動により、所定の一定径の管状体を形成してゆく。
運転中、周長調整機構の長さを変化させ、径の調整をなす。
【0010】
本発明の第2は管渠内用ライニング施工装置であって、請求項6に記載のとおり、管渠内において、両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成し、前記形成された管状体の後方に新たに供給される前記帯状部材をもって該管状体を送出し形成するライニング施工に使用される装置であって、
剛性の板状体よりなる底盤1と、
該底盤1上に2個一対で立設されるとともに該底盤1に対し固定及び固定解除自在の各取付け機構2を介して所定の間隔を保って配され、その各々が前記帯状部材を送り駆動力をもって挟着する外面ローラ3と内面ローラ4とからなる挟着ローラ部5を有し、これらのローラ3,4を保持するとともに作動流体をもって形成される管状体を回転駆動する下記(a)(b)の2つの第1、第2成形機構部6A,6Bと、
(a)前記第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aは、前記形成される管状体と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配される。
(b)前記第2成形機構部6Bの挟着ローラ部5Bは、前記形成される管状体の管中心軸を軸対称として前記第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aとは反対側に配される。
前記第1、第2成形機構部6A,6B間において、それらの外面ローラ3部の相互に跨がり、新たに供給される前記帯状部材に沿って該帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配され、該成形される管状体の外周長を規制する外周規制枠体7と、
を有してなることを特徴とする。
本第2発明は以下に開示される実施形態に則した発明思想である。
その作用は第1発明に準じる。
【0011】
本発明の第3は螺旋巻き管状体の製管方法であって、請求項7に記載のとおり、両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成し、前記形成された管状体の後方に新たに供給される前記帯状部材をもって該管状体を送出し形成する製管方法であって、
剛性の板状体よりなる底盤1と、
該底盤1上に2個一対で立設されるとともに該底盤1に対し固定及び固定解除自在の各取付け機構2を介して所定の間隔を保って配され、その各々が前記帯状部材を送り駆動力をもって挟着する外面ローラ3と内面ローラ4とからなる挟着ローラ部5を有し、これらのローラ3,4を保持するとともに作動流体をもって形成される管状体を回転駆動する下記(a)(b)の2つの第1、第2成形機構部6A,6Bと、
(a)前記第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aは、前記形成される管状体と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配される。
(b)前記第2成形機構部6Bの挟着ローラ部5Bは、前記形成される管状体の管中心軸を軸対称として前記第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aとは反対側に配される。
前記第1、第2成形機構部6A,6B間において、それらの外面ローラ3部の相互に跨がり、新たに供給される前記帯状部材に沿って該帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配され、該成形される管状体の外周長を規制する外周規制枠体7と、を有し、
新たに供給される帯状部材を成形される管状体の外面側より供給しつつ、前記第1、第2成形機構部6A,6Bの各挟着ローラ部5の同期駆動により成形される管状体に偶力態様の回転力を与え、前記外周規制枠体7により最初に閉合する部位に至るまで外周拘束をなす、
ことを特徴とする。
本第3発明は、第1発明に対応する方法としての発明思想である。
その作用は第1発明の装置の使用並びに操作として現われる。
【0012】
本発明の第4は管渠内のライニング施工方法であって、請求項8に記載のとおり、管渠内において、両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成し、前記形成された管状体の後方に新たに供給される前記帯状部材をもって該管状体を送出し形成するライニング施工方法であって、
剛性の板状体よりなる底盤1と、
該底盤1上に2個一対で立設されるとともに該底盤1に対し固定及び固定解除自在の各取付け機構2を介して所定の間隔を保って配され、その各々が前記帯状部材を送り駆動力をもって挟着する外面ローラ3と内面ローラ4とからなる挟着ローラ部5を有し、これらのローラ3,4を保持するとともに作動流体をもって形成される管状体を回転駆動する下記(a)(b)の2つの第1、第2成形機構部6A,6Bと、
(a)前記第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aは、前記形成される管状体と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配される。
(b)前記第2成形機構部6Bの挟着ローラ部5Bは、前記形成される管状体の管中心軸を軸対称として前記第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aとは反対側に配される。
前記第1、第2成形機構部6A,6B間において、それらの外面ローラ3部の相互に跨がり、新たに供給される前記帯状部材に沿って該帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配され、該成形される管状体の外周長を規制する外周規制枠体7と、を有し、
新たに供給される帯状部材を成形される管状体の外面側より供給しつつ、前記第1、第2成形機構部6A,6Bの各挟着ローラ部5の同期駆動により成形される管状体に偶力態様の回転力を与え、前記外周規制枠体7により最初に閉合する部位に至るまで外周拘束をなす、
ことを特徴とする。
本第4発明は、第2発明に対応する方法としての発明思想である。
その作用は第2発明の装置の管渠内での使用並びに操作として現われる。
【発明の効果】
【0013】
本第1ないし第4発明に共通して、2連の成形機構部、就中その各挟着ローラ部の同期駆動により定常成形状態を採り、成形対象の管状体は送り駆動力の均等化による偶力効果を受け、余分な偶力回転面の力の成分が消失し、円滑な回転がなされ、管状体の正確な形成が保証され、かつ、管状体の前進力に効果的に寄与する。また、偶力回転による負荷の小さな回転により、外周規制枠体は管状体の膨径作用のみを負担することになり、変形が小さく確実に案内作用を発揮できる。同時に、取付け機構部の固定の開放がなされ、管状体の成形性の自由度が増大する。
第2発明につき、底盤及び取付け機構部が機枠部材に対応し、構成が簡素化され、装置全体が小型化かつ軽量化し、人孔内に設置される管渠用として好適である。
第3発明につき、管状体の成形に伴う長尺化・重量化に対し、挟着ローラ部による送込み力を増大することにより、当該送込み力は有効に螺旋巻きによる前進力に変換され、管状体の長尺化に対応することができる。
第4発明につき、人孔内での設置の容易化、管渠内での管状体の長尺化・重量化に対し、更には施工途中での管状体の管径変化に対し、有効に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の管渠用ライニング施工装置の一実施形態を示す正面図(図2、図3の1方向矢視図)。
【図2】本ライニング施工装置の左側面図(図1の2方向矢視図)。
【図3】本ライニング施工装置の右側面図(図1の3方向矢視図)。
【図4】本ライニング施工装置の下部部分の切断平面図。
【図5】本ライニング施工装置の下部部分の平面図。
【図6】本ライニング施工装置の下部部分の縦断面図(図5の6−6線断面図)。
【図7】本ライニング施工装置の他の下部部分の縦断面図(図5の7−7線断面図)。
【図8】成形機構部の詳細構成図。
【図9】挟着ローラ部の詳細構成図。
【図10】外面ローラ周りの詳細図。
【図11】外周規制枠体の全体正面図(図12の11線方向矢視図)。
【図12】外周規制枠体の全体側面図(図11の12線方向矢視図)。
【図13】外周規制枠体の展開平面図(図14の13線方向矢視図)。
【図14】図13の側面図(図13の14線方向矢視図)。
【図15】周長調整機構部の側面図(図16の15線方向矢視図)。
【図16】周長調整機構部の構造を示す一部断面平面図(図15の16線方向矢視図)。
【図17】(a)図は本発明で使用される帯状部材の一態様を示す断面図。 (b) 図はこの帯状部材相互の接合関係を示す断面図。
【図18】管渠内のライニング施工の要領図。
【図19】人孔内部の工事の要領を示す横断面図。
【図20】人孔内部の工事の要領を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の管渠におけるライニング用管状体の製管装置及びライニング施工方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図16は本発明の一実施形態の管渠用ライニング施工装置Sを示す。
すなわち、図1〜図4は本ライニング施工装置Sの全体の概略構成を示し、図5〜図16は本実施形態の特徴的構成部分を示す。また、図17は帯状部材の一態様を示し、図18〜図20はライニング施工要領を示す。
なお、本管渠用ライニング施工装置Sは管状体の成形に特定すると、製管機と同等であり、ライニングに特定されない。
これらの図において、Pは円形断面をなす管渠、Rは本ライニング施工装置Sによって製管されたライニング管を示す。なお、本装置Sによって製管されるライニング管Rの進行方向(矢印ア)をもって、前部、後部とする。
【0016】
帯状部材100(図17参照)
本施工装置Sの構成の説明に先立って、本施工装置Sに適用される帯状部材について説明する。
図17は本実施形態のライニング施工装置Sに適用される帯状部材の一例を示す。
帯状部材100は本体が一定厚さの平板状をなし、その外面の長手方向に適宜数(図例では7)の突条(リブ)102が連続的に縦設される。突条102に先端部にはフランジ102aが形成される。突条102の相互間は溝104もしくは溝空間を形成する。内面106は実質的に平滑に形成される。
帯状部材100の両側には互いに内外に重合して係合する接合部100A,100Bが形成される。すなわち、前縁側接合部100Aはその前端部の突条102Aの基部が膨径され、その内面側より凹溝110が縦設され、更にこの突条102Aより張出し部112が連設される。後縁側接合部100Bは後端部の突条102Bより張出し部114が張設され、該張出し部114の端部寄りに前記前縁側接合部100Aの凹溝110に係合する凸条116が縦設される。
接合時において、相隣れる帯状部材100の前縁部と後縁部とが重なり合い、前縁側接合部100Aに後縁側接合部100Bが後記する駆動機構部4, 7の外面ローラと内面ローラとの挟着作用を受けて、凹溝110内に凸条116が、また、突条102Bのフランジ102a内に張出し部112の端部がそれぞれ嵌り込み、接合される。この場合、主たる係合(主係合)は凹溝110と凸条116とによりなされ、張出し部112と突条102Bとは従たる係合(副係合)をなすものであり、従って、場合によっては従たる係合は省略されうる。
更に、本実施形態では張出し部112,114の当接部分にはシール材118が介装され、接合性を高める。なお、接合部100A,100Bにおける嵌合係合で十分であれば、当該シール材118を省略することができる。
帯状部材は合成樹脂の素材をもって作成され、特に成形性の観点から押出し形成により連続的に成形できる塩化ビニール(PVC)樹脂が好適である。
しかし、該帯状部材100の素材は限定されず、弾性、塑性の如何ようにも適用される。なお、弾性素材に塑性を与えるため、金属製帯を上記の突条(リブ)102間に装着することによっても得られる。
【0017】
ライニング施工装置S(図1〜図16参照)
図1〜図4に示されるように、このライニング製管装置Sは、鋼製の板状体よりなる底盤1と、該底盤1上に取付け機構2を介して所定の間隔を保って一対をなして配され、その各々が外面ローラ3と内面ローラ4とからなる挟着ローラ部5を有しこれらのローラ3,4を保持するとともに作動流体をもって駆動される2つの成形機構部6(第1、第2成形機構部6A,6B)と、前記2つの挟着ローラ部5の外面ローラ3部の相互を繋ぐとともに、成形される管状体Rの外周を周り、該成形される管状体Rの外周を規制する外周規制枠体7とを含む。更には、第1成形機構部6Aに取り付けられる案内機構部8、を含む。
しかして、このライニング施工装置Sは、鋼製のアングル材もしくは板状体をもって構成され四角箱状をなす据付け台Tに仮固定状態に据え付けられる。
本発明のライニング施工装置Sにおいて、案内機構部8は本質的事項ではなく、また、成形機構部6の公知部分も本質的事項ではない。
【0018】
以下、各部の構成につき詳述する。
底盤1(図1〜図5参照)
底盤1は鋼製の板状体よりなり、前部において切欠き凹部10が形成され、後部において長手方向にかつ全長にわたって相平行する2条のT溝12が形成される。該底盤1の上面は平滑面となっている。
【0019】
取付け機構2(図1〜図7参照)
取付け機構2は、前記T溝12に加えて、底盤1上に2つの成形機構部6(6A,6B)に対応して2個一対(第1・第2取付け機構2A,2B)で配され、該T溝12に沿って横移動する平板状の基板14、底盤1のT溝12と基板14との間に介装され、ボルト・ナットよりなる締付け具15(ボルト15a,ナット15b)、該基板14上に立設される縦板16、からなる。なお、締付け具15はそのボルト15aが基板14に開設されたボルト挿通孔に挿通され、ナット15bの回動により締込みの調整がなされ、底盤1の後方のT溝12と締付け具15との係合はそのナット15bが弛緩状態であっても転倒モーメントに有効に対抗するものである。
第1・第2取付け機構2A,2Bは、互いに共通する構成を採るが、2つの成形機構部6(6A,6B)の差異に対応して構成を違える。
【0020】
第1取付け機構2Aにおいて(図4〜図6)、基板14は所定の厚みと縦横長さを有し、下面は底盤1に平滑面をもって当接する。
締付け具15はボルト15a、ナット15bよりなり、ボルト杆15aの頭部が基板14のT溝12に嵌め込まれ、ボルト杆15aは基板14に開設されたボルト挿通孔に挿通され、そのねじ部にナット15bが螺合される。基板14の四隅部でのナット15bの締込みにより基板14の固定は安定する。
縦板16は、基板14に鉛直を保って剛的に立設され、底盤1の切欠き凹部10に臨んで突設される張出し部を有し、張出し部の先端部に軸孔18が開設され、該軸孔18より所定の曲率半径をもって離れた4つの細長の円弧孔19(a,b,c,d)が開設される。円弧孔19は本実施形態では4か所であるが、2、3でも可能である。
第2取付け機構2Bにおいては(図4、図5、図7)、基板14、締付け具15は第1取付け機構2Aのものと同一構成を採る。その縦板16の張出し部はその突出長を第1取付け機構2Aよりも長くし、軸孔18を同じ高さで帯状部材100の幅の1/2のピッチだけ前方位置とされ、その円弧孔19の曲率半径は第1取付け機構2Aのものに準じ、丈高を大きくされた縦板16の上方寄りに形成される。
これにより、両取付け機構2A,2Bの軸孔18はそれぞれ、鉛直投影面上に、送り込まれてくる帯状部材100と先に捲回成形された管状体Rとの係合部に位置するものである。
なお、第2取付け機構2Bの縦板16は次の別態様を採ることができる。
A)縦板16の張出し部におけるその突出長、軸孔18は第1取付け機構2Aと同じ長さ、高さ位置とされるが、その円弧孔19はその曲率半径が第1取付け機構2Aのものよりも短く、かつ、丈高を大きくされた縦板16の上方寄りに形成される。
B)縦板16の張出し部における突出長は第1取付け機構2Aと同じ長さとされ、軸孔18を第1取付け機構2Aよりも高い位置を採り、その円弧孔19は丈高を大きくされた縦板16の上方寄りに形成される。
これらのA,Bの配置はいわゆる近似配置を採る。
【0021】
成形機構部6(図1〜図4、図8、図9参照)
成形機構部6は2つの第1、第2成形機構部6A,6Bよりなり、これらの両成形機構部6A,6Bは配置態様によって機能を違えるが、基本的な機能は共通する。以下、共通する機能を有する部材については同一の符号を附して説明する。
各成形機構部6A,6Bは、外面ローラ3と内面ローラ4とからなる挟着ローラ部5(第1挟着ローラ部5A、第2挟着ローラ部5B)、及びそれらの回転連動機構(後記する歯車機構23、油圧モータ28を含む。)を有し、前記した取付け機構2に取り付けられる。
挟着ローラ部5を構成する外面ローラ3と内面ローラ4とは、帯状部材100を挟着し、該帯状部材100を送り駆動する共通機能を有し、第1成形機構部6Aにおいては、送り込まれる帯状部材100と既に成形された管状体Rとの閉合部位に配され、両者の接合をなし、管状体Rの成形をなす。そして、外面ローラ3は送り駆動に対して主動となり、硬質素材(一般に金属)よりなる。内面ローラ4は送り駆動に対し従動的であって、軟質素材(一般に硬質ゴム)を採る。外面ローラ3と内面ローラ4との径は格別規定されるものではなく、同径でもよいが、本実施形態では内面ローラ4が外面ローラ3よりも大径となっている。
しかして、外面ローラ3と内面ローラ4とは取付け箱体22によって所定の間隔を保って相平行して、かつ回転可能に保持される。外面ローラ3と内面ローラ4とは取付け箱体22内のそれらの回転軸3aと回転軸4aとに装着された歯車機構23をもって連動する。
【0022】
(外面ローラ3・内面ローラ4、挟着ローラ部5)(図8、図9参照)
外面ローラ3と内面ローラ4とは挟着ローラ部5を構成し、両ローラ3,4の間に帯状部材100が挿通されるとともに、相隣れる帯状部材100に少なくとも1巻目及び2巻目に跨って配される。
なお、外面ローラ3と内面ローラ4すなわち挟着ローラ部5は成形される管状体Rの管軸イに対し傾斜角α(図2、図3参照)をなす。
図9に挟着ローラ部5と帯状部材100との関係を示す。
送り込まれてくる帯状部材100aの前端の継手は先に捲回成形された管状体Rの帯状部材100bの後端の継手に係合し、ここで最初の係合部Uとして嵌合される。その嵌合動作のために外面ローラ3には若干の遊びを有する。その後の捲回される帯状部材100はこの挟着ローラ部5において、係合部V,Wをなし、その挟着作用をもって管状体Rの成形を保持し、敢えて図9の例示のように3巻目を設ける必要はなく、省略してもよい。
【0023】
((外面ローラ3))(図9参照)
外面ローラ3は、該外面ローラ3の回転軸3aに円筒本体3bが一体に嵌装されてなり、該円筒本体3bに所定間隔をもって複数の輪状鍔部25が形成され、これらの輪状鍔部25は帯状部材100の突条102間の溝104に嵌まり込む。また、円筒本体3bの外周は帯状部材100の突条102の外面に圧接される。該円筒本体3bの外面にはローレット加工Kが施され、帯状部材100との滑りを防ぐ。また、その一部すなわち最初の閉合部Uに対応する部分26は更に小径かつ平滑面にされ、帯状部材100との間に遊びを有し、突条102から外れ、該遊びにより突条102の押込み作用をなす。
輪状鍔部25に付き、閉合部U,V,Wに対応する2個一対の輪状鍔部25aの径は他の輪状鍔部25より小径とされ、特に閉合部Uの鍔状鍔部25aは他の閉合部I,Jに対応する鍔状鍔部25aよりも更に小径にされる。
((内面ローラ4))(図8、図9参照)
内面ローラ4はその回転軸4aに円筒体4bが一体に嵌装され、帯状部材100の内面に圧接され、閉合部Uを含め、外面ローラ3をもって外方から管軸方向の内方へ押圧される帯状部材100を支持する。該内面ローラ4は本実施形態では外面ローラ3よりも大径を採るが、その径に格別規定されるものではない。
【0024】
(取付け箱22・歯車機構23・油圧モータ28)(図8参照)
取付け箱22は、外面ローラ3と内面ローラ4とを回転可能に支持するとともに、内部に歯車機構23を内蔵する。歯車機構23は油圧モータ28に連動し、該油圧モータ28の駆動により歯車機構23を介して外面ローラ3と内面ローラ4とは回転する。
((取付け箱22))(図8参照)
取付け箱22は、前後及び上下の壁体より剛性の箱状体を形成し、その前後壁に開設された軸孔に軸受29を介して外面ローラ3、内面ローラ4、油圧モータ28の各回転軸3a,4a,28aを保持する。
((歯車機構23))(図8参照)
歯車機構23は、外面ローラ3、内面ローラ4、油圧モータ28の各回転軸3a,4a,28aに歯車30,31,32が固設されて、歯車列を構成する。
そして、これらの歯車30,31,32の噛み合わせにより、油圧モータ28の回転軸28aの回転に対して内面ローラ3の回転軸3aは逆方向に、外面ローラ4の回転軸4aは順方向に回転し、ひいては外面ローラ3と内面ローラ4とは互いに逆回転となる。なお、これらの歯数を調整することにより軸部3a,4aの回転数、ひいてはローラ3,4の回転数を調整することができる。
((油圧モータ28))(図8参照)
油圧モータ28は、その駆動軸を回転軸28aに連結して箱体22の後面に取り付けられる。
該油圧モータ28には、該油圧モータ28に油を送るイン側配管33aと、該油圧モータ28から油を排出するアウト側配管33bとが接続される。
なお、以上の取付け箱22・歯車機構23・油圧モータ28は公知であり、図例に限定されるものではない。
【0025】
成形機構部6の取付け(図2、図3、図6〜図8参照)
成形機構部6(第1成形機構部6A、第2成形機構部6B)はその歯車箱22が取付け機構2に取り付けられ、成形機構部6の各挟着ローラ部5A,5Bはそれぞれ所定の傾斜角αの取付け姿勢をもって本ライニング製管装置Sの各側方部に配される。
第1成形機構部6Aにつき、本実施形態では、歯車箱22の奥端部に取付け端板35が固設され、該取付け端板35に固設されたボルト・ナットよりなる取付け具36を介して取付け機構2の縦板16にその姿勢を調整して取り付けられる。
詳しくは、図8に示すとおり、取付け端板35は平板状をなし、歯車箱22の奥端部を塞ぐとともに挟着ローラ部5に平行して突設される張出し部を有し、該張出し部に取付け機構2の縦板16の軸孔18に対応する軸孔38が開設される。軸孔18と軸孔38とに枢着ピン39が枢着され、取付け板35は枢着ピン39回りに回動可能となっている。取付け具36は、取付け板35の外側面に複数箇所に配され、それぞれボルト36aとナット36bよりなり、該ボルト36aの基部のねじ部を取付け板35の外側面に螺設されたねじ孔40にねじ込まれて固定される。更に該取付け具36は、前記した取付け機構2の4つの円弧孔19(a,b,c,d)に対応し、それぞれの円弧孔19にボルト36aが挿通され、ナット36bにより締め込まれて固定される。
これにより、第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aについては、その取付け板35が枢着ピン39回りに下方へ回動調整されて固定され、挟着ローラ部5Aはその中心軸ロが本ライニング製管装置Sの一側方部で管状体Rの管軸イに対して上方への傾斜角αの取付け姿勢を採る。
このとき、枢着ピン39と、挟着ローラ部5Aにおける前記した送り込まれてくる帯状部材100と先に捲回成形された管状体Rとの最初の係合部Uとは、鉛直投影面に同一位相位置を採り、同一軸線上に配される。
【0026】
第2成形機構部6B(図3、図7参照)
第2成形機構部6Bは、成形される管状体Rの管中心軸を軸対称として第1成形機構部6Aとは反対側に配される。以下、第1成形機構部6Aと異なる態様及び機能について説明する。
該第2成形機構部6Bは、前記した取付け機構2の第2取付け機構2Bに固設される。第2取付け機構2Bの縦板16の張出し部において、前記したとおり、その突出長を第1取付け機構2Aよりも長くし、軸孔18を同じ高さで帯状部材100の幅の1/2のピッチだけ前方位置とされ、その円弧孔19の曲率半径は第1取付け機構2Aのものに準じ、丈高を大きくされた縦板16の上方寄りに形成されている。そして、これらの軸孔18、円弧孔19を有する縦板16に対して、本第2成形機構部6Bは取付け箱体22の取付け端板35及び取付け具36を介して、枢着ピン39回りの回動を許容して所定の取付け姿勢、すなわち第1成形機構部6Aとは逆の取付け姿勢に固定される。
すなわち、その挟着ローラ部5Bは第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aの反転態様を採り、本ライニング製管装置Sの他側方部でその中心軸ハは管状体Rの管軸イに対して斜め下方へ傾斜角αをもって配され、その外面ローラ3と内面ローラ4とにより既に成形された管状体Rを挟着し、両ローラ3,4の回転駆動により上方への送りをなす。このとき、挟着ローラ部5Bの枢着ピン39の延長軸は、送り込まれてくる帯状部材100と先に捲回成形された管状体Rとの最初の係合部Uに合致する。なお、前記した第2取付け機構2Bにおける軸孔18の別の配置態様すなわち近似配置によれば、枢着ピン39の延長軸は送り込まれてくる帯状部材100と先に捲回成形された管状体Rとの最初の係合部Uに合致しないが、斜め下方への傾斜角αを保持する。
上記した第1・第2成形機構部6A,6Bの各挟着ローラ部5A,5Bの管状体Rの管軸イに対する上方及び下方への傾斜角αは成形される管状体Rの径に対応して変化すものであり、第1・第2成形機構部6A,6Bの取付け姿勢は管状体Rの径の大小に応じて縦板16の円弧孔19の曲率に沿って移動調整されるが、近似配置による取付けは第1・第2成形機構部6A,6Bの移動(上方及び下方への傾斜角αの振り角度)に融通性を付与し、所期の取付け姿勢を実現できる。
【0027】
油圧モータ28の配列(図4参照)
第1成形機構部6Aと第2成形機構部6Bとに配される油圧モータ28は第1成形機構部6Aを上流に、第2成形機構部6Bを下流として直列に配される。
すなわち、第1成形機構部6Aの油圧モータ28のイン側配管33aは油圧駆動源の圧油の供給側に接続され、そのアウト側配管33bは第2成形機構部6Bの油圧モータ28のイン側配管33aに接続され、そのアウト側配管33bは油圧駆動源の圧油の帰還側に接続される。
そして、両成形機構部6A,6Bの油圧モータ28は同期して同一駆動力をもって作動され、管状体Rに対して同一の送り力を付与する。
【0028】
外周規制枠体7・囲繞箱体42(図10〜図16参照)
外周規制枠体7は、第1・第2成形機構部6A,6Bの挟着ローラ部5の外面ローラ3を跨ぎ、かつ該外面ローラ3部の相互を繋ぐとともに、成形される管状体Rの最初の係合部位から送り込まれる帯状部材100の外周に沿って閉合環として螺旋状に1回周にわたって周り、成形される管状体Rの外周長を規制する。
ここに、成形される管状体Rの「最初の係合部位」とは、送り込まれる帯状部材100の前端の継手と該帯状部材100が1回周して該帯状部材100の後端の継手とが係合する部位であり、当該外周規制枠体7は帯状部材100に沿って第2成形機構部6Bを介して螺旋状に1回周するものである。
本実施形態では、該外周規制枠体7は、成形機構部6(6A,6B)の外面ローラ3を囲みかつ取付け箱体22に固設される囲繞箱体42を介して取り付けられる。
【0029】
囲繞箱体42(図10参照)
囲繞箱体42は、上板43、下板44、軸受の組み込まれた端板部45からなる。上板43は外面ローラ3の上部に配され、下板44は外面ローラ3の下部に配され、端板部45は外面ローラ3の先端に配されるとともに上下板43,44に取付けボルト46をもって固定され、該端板部45の中央に開設された円孔45aには外面ローラ3の先端回転軸3a’を保持する軸受47が組み込まれる。そして、これらの部材43,44,45は硬質素材(通常には鋼製)よりなり、これらの部材43,44,45は一体に組み立てられ剛性の箱体が形成される。この剛性の囲繞箱体42は、上下板43,44の基端に固定ボルト48をもって取付け箱体22に固定される。この囲繞箱体42に外周規制枠体7の始端部及び終端部が取付けボルト50をもって固定される。
【0030】
外周規制枠体7(図10〜図16参照)
外周規制枠体7は、第1成形機構部6Aと第2成形機構部6Bとの外面ローラ3部の相互を下回りに繋ぐ半周状の下部外周規制枠体7Aと、第2成形機構部6Bと第1成形機構部6Aとの外面ローラ3部の相互を上回りに繋ぐ半周状の上部外周規制枠体7Bとからなり、全体として閉合された環状体をなす。そして、各枠体7A,7Bは、ローラ52を保持する屈撓自在のリンク体の連なりより構成され、両端部に端部金具53(53A,53B)を有し、またその適宜位置(本実施形態では上部外周規制枠体7Bの中央部)に長さ調整機構54が介装されてなる。
詳しくは、該外周規制枠体7は、所要の幅をもって横剛性を有し、全体がリンク機構をもって屈撓自在となっており、その両端部は外面ローラ3を囲む囲繞箱体42へ接続される。すなわち、該外周規制枠体7は、複数のリンク体56が軸部57を介して連なったリンク連鎖をなし、該軸部57にローラ52が装着される。
該外周規制枠体7はねじれ作用を受けて螺旋状に帯状部材100に沿って1回周するが、横剛性は保持する。
【0031】
端部金具53(図10、図13、図14参照)
端部金具53は、外周規制枠体7(7A,7B)の両端部に配され、始端部金具53Aと終端部金具53Bとを有する。該端部金具53の本体は底板53aと側板53bとからなり、該側板53bには軸孔が開設され、該軸孔を介して軸部57が支持される。軸部57にローラ52が装着される。また、底板53aには相並んで長孔53cが開設され、囲繞箱体42への取付けに供される。
【0032】
リンク体56・ローラ52(図13、図14参照)
リンク体56は、本実施形態では図13、図14に示されるように、外側リンク体56Aと内側リンク体56Bとが交互に配される。
外側リンク体56Aと内側リンク体56Bとは、それらの2対の側板58相互が軸部57をもって回動自在とされる。軸部57の取付けは側板58の軸孔内に固定保持された軸受(図示せず)を介し、もしくは介さずしてなされる。
ローラ52は、リンク体56A,56Bのリンク連鎖の軸部57に回転自在に装着される。ローラ42は硬質素材よりなり、成形される管状体Rに押し付けられる。
なお、図例では端部金具53のローラ52A以外のローラ52Bはローラ52Aよりも小径にされるが、その大小には限定されない。
【0033】
長さ調整機構54(図15、図16参照)
長さ調整機構54は、リンク連鎖の途中に介装され、所定の操作をもって外周規制枠体7の周長を調整する。
本実施形態では、リンク連鎖の軸部57を両端部で共有し、2枚1対の立上り側板60が前後に相隔ててV字状に配され、V字状の交点はピン軸61により回転自在に軸支される。これらの立上り側板60の中間部には、前後部の立上り側板60にわたって回動軸62が回動自在に相平行して横架され、それらの回動軸62の中央部には、一方の回動軸62にはボルト挿通孔62aが、他方の回動軸62にはねじ孔62bがそれぞれ開設される。そして、これらの回動軸62間にわたって頭部63aとボルト杆63bとからなる調整ボルト63が装着される。該調整ボルト63は一方の回動軸62のボルト挿通孔62aから差し込まれ、該ボルト杆63bのねじ部を他方の回動軸62のねじ孔62bに螺合されてなる。なお、ピン軸61は、相接する立上り側板60間のみに装着されても、あるいは相隔てる一対の立上り側板60間にわたって装着されてもよい。
これにより、調整ボルト63の回動により、その締込み回動により相平行する2つの回転軸62は互いに近接し、ひいては立上り側板60相互はその幅を縮める。また、該調整ボルト63の逆回動により、相平行する2つの回転軸62は離反し、ひいては立上り側板60相互はその幅を拡大する。
【0034】
長さ調整機構54は、本実施形態では上部外周規制枠体7Bのリンク連鎖の中央部に配されるが、上部外周規制枠体7Bの適宜位置に配されてよい。そして、その開閉度合いをもって外周規制枠体7の周長を調整する。
更に、外周規制枠体7の周長の調整は、リンク連鎖のリンク体の追加あるいは取外しによってもなされる。
【0035】
案内機構部8(図1〜図3参照)
第1成形機構部6Aには帯状部材100を案内する案内機構部8が取り付けられる。該案内機構部7は2つの案内ローラ8a,8bにより帯状部材100を挟み付け、帯状部材100の捩れを補正し、第1挟着ローラ部5Aへの送込みを案内する。各案内ローラ8a,8bはスタンド65をもって囲繞箱42上に立設される。
【0036】
据付け台T(図1〜図7参照)
据付け台Tは、四角箱状をなし、鋼製のアングル材もしくは板状体をもって構成され、その上面に設置される本ライニング施工装置Sをその四隅に配した取付け具67をもって取付け・取外し自在に取り付ける。
詳しくは、その平面形は本ライニング施工装置Sの底盤1と同一形状をなし、その高さは本ライニング施工装置Sの設置に伴うその下端が地上面に接触しないようにされる。また、その下面には適宜キャスターが取り付けられ、移動の便に供される。本据付け台Tの上面の四隅にはねじ孔が穿設され、ライニング施工装置Sの底盤1の対応位置にボルト挿通孔が穿設され、ボルト態様の取付け具67を挿通し、回動締め込んで固定する。
本据付け台Tは、安定性のために適宜の重さを有し、本ライニング施工装置Sが取り付けられたとき、安定状態を保つ。更に本据付け台Tを人孔内に搬入される場合は、分割体を採る場合もある。
【0037】
組立て
本ライニング施工装置Sは、人孔内に設置されるものであるので、人孔内の搬入を容易とするため、各部は分割可能にされ、組立て可能となっている。
また、本ライニング施工装置Sは地上部で予め工事の対象とする既設管渠の径に合わせて製管される管状体の径が決定され、所定の外周規制枠体7が用意される。そして、人孔内に搬入されたときには、一旦据付け台上で仮組立てがなされる。
【0038】
製管作用
本ライニング施工装置Sによる製管において、新たに供給される帯状部材100すなわち1巻目の帯状部材100は先行の2巻目の帯状部材100の外側面から供給される。換言すれば、成形される管状体Rは新たに供給される帯状部材100の内面側から嵌合されてゆく。従ってこの製管作用によれば、成形される管状体Rは外径が累積され、次第に膨径する傾向にある。
本ライニング施工装置Sによる製管は、初期管状体の成形の後、定常状態での管状体の成形(定常成形)に移行するものであり、以下の定常成形を基本とする。
本ライニング製管装置Sの上方から送り込まれる帯状部材100は第1挟着ローラ部5Aで該帯状部材100の前端(幅方向)の継手100Aが螺旋状に1回周してその後端の継手100Bと係合し、その1回周において外周規制枠体7により外周長が拘束され、所定径の管状体Rが形成される。そして、1回周目以降に成形される管状体Rは所定の一定径を保持して製管されてゆく。
この定常成形において、第1・第2成形機構部6A,6Bの各挟着ローラ部5A,5Bは、同期駆動され、管状体Rに対してそれぞれ均等力をもって、第1挟着ローラ部5Aは下方直角方向へ、第2挟着ローラ部5Bは上方直角方向へ送り力を作用させ、これらの送り力は偶力態様の力関係を採る。
この偶力作用により、回転力のみが残り、管状体R(ひいては外周規制枠体7)に対する押下げ力、押上げ力が相殺されて消え、かつ水平方向成分の力も消え、この結果取付け機構2の固定力も自由(ゼロ)となり、該取付け機構2の固定、具体的には基板14の締付け具15の締付け固定は、前方への転倒モーメントの対抗力を保持して緩めの固定を保って解除される。すなわち、底盤1の後方のT溝12と締付け具15とは係合関係を保持し、そのナット15bが弛緩状態であっても転倒モーメントに有効に対抗するものである。
そして、この取付け機構2の固定を解除してなされる管状体Rの成形は、先に述べた膨径作用により取付け機構2に強制変位力を与えるが、その膨径作用は外周規制枠体7によって拘束され、結果として取付け機構2の変位はない。換言すれば、外周規制枠体7は管状体Rに作用する回転偶力によっては力は受けることなく、管状体Rの膨径作用のみを負担することになり、外周規制枠体7の負担は小さい。
更に、偶力作用による偶力回転面内の力の消失により、第1・第2挟着ローラ部5A,5Bによる送込み力の増大は回転偶力の増大となり、第1・第2挟着ローラ部5A,5Bの送込み角度αから生じる管状体Rへの前進力(スラスト力)の増大をもたらす。すなわち、第1・第2挟着ローラ部5A,5Bによる送込み力の増大はそのまま前進力の増大となる。
なお、外周規制枠体7の支持は第1・第2成形機構部6A,6Bの外面ローラ部3A,3Bを跨いで囲繞箱体42への固定をもってなされ、上記したとおり成形される管状体Rの膨径作用は該外周規制枠体7により拘束されるものであり、当該膨径作用力は該外周規制枠体7内に閉じ込められる、換言すれば、外周規制枠体7及び囲繞箱体42に生じる応力をもってこの膨径作用力に対抗する。更に、該外周規制枠体7による管状体Rの膨径作用の阻止反力は水平の互いに対称位置に配された前記外面ローラ部3A,3Bの囲繞箱体42に上下方向から作用して、結果として水平方向への変位成分はゼロとなる。すなわち、その反力はその他の成形機構部6の部分、ひいては取付け機構2及び底盤1へは伝達されない。
【0039】
ライニング施工
本ライニング施工装置Sを使用してなされる管渠内でのライニング施工について説明する。
図20〜図22は下水道管渠における施工例の概要を示す。
図において、Qは人孔、Pは円形管渠を示す。また、Eは地盤、Fは地上部の路面を示す。
地上部において、帯状部材100の繰出し装置(図示せず)が設置され、帯状部材100はこの繰出し装置により人孔Qの開口Oより人孔Q内に設置された本ライニング施工装置Sに連続的に供給される。また、200は油圧源である。
【0040】
ライニング施工は、本ライニング施工装置Sを人孔Q内へ設置し、以下の手順に基づいてなされる。
施工に先立って、工事のなされる管渠Pの口径に応じて、その周長に適合する外周規制枠体7が用意される。
【0041】
(1) インバートTの開削
本ライニング施工装置Sの人孔Q内への設置に先立ち、人孔Q底部のインバートIへの開削が行われる。
インバートIは管渠Pの下半分の形状に対応する半円状の流水溝Jが形成されているが、該流水溝Jに沿って、該流水溝Jの幅(溝Jの直径)よりも大きい幅W、及びその深さ(溝の半径)よりも大きい深さhで、かつ所定の長さLにわたり、開削部Kの開削がなされる。この開削はいわゆる研り(はつり)作業によってなされる。
この開削部Kは深さh(h1+h2)方向につき、本ライニング施工装置Sの底盤1の配される上部部分h1で一定幅Wで鉛直下方へ掘削され、外周規制枠体7の下部が配される下部部分h2では幅Wよりも縮小された幅をもって流水溝Mの曲面に沿って径方向に一定深さΔhで掘削される。幅Wは底盤1の幅よりも若干大きく、また深さΔhは外周規制枠体7の外径より余裕深さを見込むことは当然の配慮である。長さL方向につき、上記の上部部分h1の開削は本ライニング施工装置Sの底盤1の前後の長さ部分(L1)についてなされ、底盤1より前方の若干部(L2)は幅Wより小さい幅でΔhを見込んで開削されるが、一定幅Wを保つことを妨げるものではない。底盤1より後方の掘削は不用である。
この開削の後、上部部分h1の下面は平滑にされ、その下面に本ライニング施工装置Sの底盤1が載置されたとき、本ライニング施工装置Sの製管中心が管渠Pの中心と一致するようになされる。
【0042】
(2) 本ライニング施工装置Sの人孔Q内への搬入
地上部において本ライニング施工装置Sは分割され、各分割体を人孔Q内に搬入する。人孔Q内において、別途搬入された据付け台Tを介して、又は介さずして、本ライニング施工装置Sを組み立て、このとき地上に配した油圧駆動源200より油圧配管33を介して本施工装置Sの油圧モータ28に接続する。
このライニング施工装置Sの組立てにおいて、2つの成形機構部6A,6Bをその取付け機構2の締付け具15を締め込み、所定間隔を保って固定する。この成形機構部6A,6Bの間隔は各管径に対応して予め設定されたものであり、所定長さの外周規制枠体7の装着とともに成形される管状体Rの差渡し径が設定される。
【0043】
(3) 初期管状体Roの形成
しかる後、地上部から繰り出された帯状部材100を本ライニング施工装置Sの案内機構部8を経て、第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aに導入し、該成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aの回動操作をもって該帯状部材100を所定の力で送り込み、外周規制枠体7の案内作用を受けて、第2成形機構部6Bを介して再び第1成形機構部6Aの挟着ローラ部5Aにまで送り、最初の閉合部位Uで継手100A,100B相互を係合させ、初期管状体Roを形成する。この初期管状体Roは1回周あるいは2回周なされる。
この初期管状体Roの形成において、帯状部材100と外周規制枠体7との相互作用により、送り込まれてくる帯状部材100は外周規制枠体7に対し水平方向の分力を与え、第1、第2成形機構部6A,6Bを水平方向に強制移動させる力が作用するが、第1、第2成形機構部6A,6Bは取付け機構2を介して、その締付け具15の締付けにより底盤1に固定されており、当該機構部6A,6Bの水平変位は生ぜず、その結果、成形される初期管状体Roは所定の真円状にかつ円滑に成形がなされる。
【0044】
(4) この状態にあるライニング施工装置Sを据付け台Tより外し、インバートIの所定位置すなわち開削部Kに設置する。
すなわち、当該開削部Kの上部部分h1の底面上に本ライニング施工装置Sの底盤1が定位置に載置され、本ライニング施工装置Sの製管中心が管渠Pの中心と一致するように設置される。
【0045】
(5) この状態で引き続き地上より帯状部材100を送り込み、本ライニング施工装置Sを定常駆動し、両成形機構部6A,6Bを同期駆動する。これにより、本ライニング施工装置Sは定常成形状態となり、管状体Rの前部が管渠P内に進入し、取付け機構2の締付け具15の締込みが緩められる。定常成形に伴う前記した偶力作用等の所期の機能により、取付け機構2への負荷がなく両取付け機構2の相互は一定間隔を保持し、かつ荷重負担の軽減された外周規制枠体7は一定形状を保ち、その円周規制作用は効果的に機能し、一定径の管状体Rが精確かつ円滑に形成される。また、第1・第2挟着ローラ部5A,5Bによる送込み力はそのまま管状体Rへの押出し前進力となり、管渠P内に管状体Rが送り出されてゆく。
【0046】
(5a) 管状体Rの成形が次第に長尺化し、かつ重量化するに伴い、管壁との摩擦力も加わってそれらの負荷が両成形機構部6A,6Bに懸かるが、第1・第2挟着ローラ部5A,5Bによる送込み力を増大することにより、その送込み力の増大は回転偶力面内での力を生じることなく、有効に螺旋巻きによる前進力に変換され、管状体Rへの前進力の増大を図り、前記の負荷の増大に耐え、管状体Rの長尺化に対応する。
【0047】
(5b)ライニングの対象となる既設管渠Pの径が陥没等の原因で先の方(奥方)で小径となっている場合、管状体Rを小径で先行して施工し、次いで外周規制枠体7を大径用に切り換え、元押し位置からその小径部に至るまで大径の製管作業を続行してゆく。この小径から大径の切換えは2つの取付け機構2相互間の拡張、更には挟着ローラ部5A,5Bの傾斜角αの角度変更によりなされる。このとき、取付け機構2は強制的に拡張変位させることなく、管状体Rの拡径動作は自然的になされる。
【0048】
(6) 管状体Rが次の人孔Q(図示せず)に到達すれば、本施工装置Sの駆動を停止し、各人孔Q内に突出した管状体Rを切除し、本施工装置Sを解体・撤去する。
【0049】
(7) 各人孔Qにおいて管渠Pと管状体Rとの間を密封し、管渠Pの全長において管渠Pと管状体Rとの間隙部に固結性の裏込め材210を注入し、その固結を待って、ライニング施工は完了する。更に、インバートIの復元もなされる。
【0050】
(本実施形態の効果)
この実施の形態のライニング施工装置Sによると、2連の成形機構部6A,6B就中その挟着ローラ部5A,5Bの同期駆動により、定常成形状態を採り、成形対象の管状体Rに偶力効果を与え、これにより余分な偶力回転面の成分力が消失し、管状体Rの前進力に効果的に寄与するばかりでなく、本施工装置S全体への負荷が均等化し、応力集中もなく、施工装置の耐久性が向上する。また、定常成形状態における取付け機構部2の固定の開放により、管状体の成形に伴う膨径作用は外周規制枠体7へ負荷が移り、当該取付け機構部2への負荷がなく、当該取付け機構部2の構造の簡素化をなすことができる。更に、外周規制枠体7自体は定常成形での偶力効果により負荷が軽減され、該外周規制枠体7は管状体Rの膨径作用のみを負担することになり、変形が小さく確実に案内作用を発揮できる。更に、本ライニング施工装置Sは機枠として簡便な底盤1が使用され、従来の剛性体よりなる大型の機枠を使用するものではなく、全体的に小型化されるとともに、製作費の低減が図られる。
本ライニング施工装置Sによる管渠内でのライニング施工によれば、その施工装置Sが剛性の機枠を使用する従来型に比して小型であり、インバートにおける設置のための開削量が減少し、施工が容易となり、工事の迅速が図られる。
初期管状体Roの作成の後、直ちに定常成形に移行でき、該定常成形における負荷の均等性から本施工装置Sに妄動(暴れ)がなく、円滑な管状体Rの形成がなされ、施工が容易となる。管状体Rの成形に伴う長尺化・重量化に対し、第1・第2挟着ローラ部5A,5Bによる送込み力を増大することにより、当該送込み力は有効に螺旋巻きによる前進力に変換され、前記の負荷の増大に耐え、管状体Rの長尺化に対応する。
施工途中において、管状体Rの管径変化に対し、所定距離まで管状体Rを小径で施工し、次いで外周規制枠体7を大径用に切り換えてなされ、管状体Rの拡径動作は自然的になされる。
【0051】
本発明は叙上の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含される。
1)駆動源につき、本実施形態では油圧式を採ったが、空気圧あるいは電力をもって駆動されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
S…ライニング施工装置、P…管渠、R…管状体(ライニング管)、1…底盤、2…取付け機構(2A…第1取付け機構、2B…第2取付け機構)、3…外面ローラ、4…内面ローラ、5…挟着ローラ部(5A…第1挟着ローラ部、5B…第2挟着ローラ部)、6…成形機構部(6A…第1成形機構部、6B…第2成形機構部)、7…外周規制枠体、12…T溝、14…基板、15…締付け具、16…縦板、42…囲繞箱体、52…ローラ、54…長さ調整機構、56…リンク体、100…帯状部材、100A, 100B…接合部(継手)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成し、前記形成された管状体の後方に新たに供給される前記帯状部材をもって該管状体を送出し形成する製管装置であって、
剛性の板状体よりなる底盤と、
該底盤上に2個一対で立設されるとともに該底盤1に対し固定及び固定解除自在の各取付け機構を介して所定の間隔を保って配され、その各々が前記帯状部材を送り駆動力をもって挟着する外面ローラと内面ローラとからなる挟着ローラ部を有し、これらの外面及び内面ローラを保持するとともに作動流体をもって形成される管状体を回転駆動する下記(a)(b)の2つの第1、第2成形機構部と、
(a)前記第1成形機構部の挟着ローラ部は、前記形成される管状体と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配される。
(b)前記第2成形機構部の挟着ローラ部は、前記形成される管状体の管中心軸を軸対称として前記第1成形機構部の挟着ローラとは反対側に配される。
前記第1、第2成形機構部間において、それらの外面ローラ部の相互に跨がり、新たに供給される前記帯状部材に沿って該帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配され、該成形される管状体の外周長を規制する外周規制枠体と、
を有してなることを特徴とする螺旋巻き製管装置。
【請求項2】
取付け機構は底盤に水平を保って横移動調整可能である請求項1に記載の螺旋巻き製管装置。
【請求項3】
外周規制枠体は外面ローラ回り配された剛性の囲繞箱体に取り付けられる請求項1又は2のいずれかに記載の螺旋巻き製管装置。
【請求項4】
外周規制枠体は、成形される管状体の外面に当接され回転自在のローラを保持し、リンク列による屈撓自在である請求項1ないし3のいずれかに記載の螺旋巻き製管装置。
【請求項5】
リンク列に周長調整機構が介装されてなる請求項4に記載の螺旋巻き製管装置。
【請求項6】
管渠内において、両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成し、前記形成された管状体の後方に新たに供給される前記帯状部材をもって該管状体を送出し形成するライニング施工に使用される装置であって、
剛性の板状体よりなる底盤と、
該底盤上に2個一対で立設されるとともに該底盤1に対し固定及び固定解除自在の各取付け機構を介して所定の間隔を保って配され、その各々が前記帯状部材を送り駆動力をもって挟着する外面ローラと内面ローラとからなる挟着ローラ部を有し、これらの外面及び内面ローラを保持するとともに作動流体をもって形成される管状体を回転駆動する下記(a)(b)の2つの第1、第2成形機構部と、
(a)前記第1成形機構部の挟着ローラ部は、前記形成される管状体と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配される。
(b)前記第2成形機構部の挟着ローラ部は、前記形成される管状体の管中心軸を軸対称として前記第1成形機構部の挟着ローラとは反対側に配される。
前記第1、第2成形機構部間において、それらの外面ローラ部の相互に跨がり、新たに供給される前記帯状部材に沿って該帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配され、該成形される管状体の外周長を規制する外周規制枠体と、
を有してなることを特徴とする管渠内のライニング施工装置。
【請求項7】
両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成し、前記形成された管状体の後方に新たに供給される前記帯状部材をもって該管状体を送出し形成する製管方法であって、
剛性の板状体よりなる底盤と、
該底盤上に2個一対で立設されるとともに該底盤1に対し固定及び固定解除自在の各取付け機構を介して所定の間隔を保って配され、その各々が前記帯状部材を送り駆動力をもって挟着する外面ローラと内面ローラとからなる挟着ローラ部を有し、これらの外面及び内面ローラを保持するとともに作動流体をもって形成される管状体を回転駆動する下記(a)(b)の2つの第1、第2成形機構部と、
(a)前記第1成形機構部の挟着ローラ部は、前記形成される管状体と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配される。
(b)前記第2成形機構部の挟着ローラ部は、前記形成される管状体の管中心軸を軸対称として前記第1成形機構部の挟着ローラとは反対側に配される。
前記第1、第2成形機構部間において、それらの外面ローラ部の相互に跨がり、新たに供給される前記帯状部材に沿って該帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配され、該成形される管状体の外周長を規制する外周規制枠体と、を有し、
新たに供給される帯状部材を成形される管状体の外面側より供給しつつ、前記第1、第2成形機構部の各挟着ローラ部の同期駆動により成形される管状体に偶力態様の回転力を与え、前記外周規制枠体により最初に閉合する部位に至るまで外周拘束をなす、
ことを特徴とする螺旋巻き製管方法。
【請求項8】
管渠内において、両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成し、前記形成された管状体の後方に新たに供給される前記帯状部材をもって該管状体を送出し形成するライニング施工方法であって、
剛性の板状体よりなる底盤と、
該底盤上に2個一対で立設されるとともに該底盤1に対し固定及び固定解除自在の各取付け機構を介して所定の間隔を保って配され、その各々が前記帯状部材を送り駆動力をもって挟着する外面ローラと内面ローラとからなる挟着ローラ部を有し、これらの外面及び内面ローラを保持するとともに作動流体をもって形成される管状体を回転駆動する下記(a)(b)の2つの第1、第2成形機構部と、
(a)前記第1成形機構部の挟着ローラ部は、前記形成される管状体と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配される。
(b)前記第2成形機構部の挟着ローラ部は、前記形成される管状体の管中心軸を軸対称として前記第1成形機構部の挟着ローラとは反対側に配される。
前記第1、第2成形機構部間において、それらの外面ローラ部の相互に跨がり、新たに供給される前記帯状部材に沿って該帯状部材の最初に閉合する部位に至る螺旋状に実質的に1回周して配され、該成形される管状体の外周長を規制する外周規制枠体と、を有し、
新たに供給される帯状部材を成形される管状体の外面側より供給しつつ、前記第1、第2成形機構部の各挟着ローラ部の同期駆動により成形される管状体に偶力態様の回転力を与え、前記外周規制枠体により最初に閉合する部位に至るまで外周拘束をなす、
ことを特徴とする管渠内のライニング施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−786(P2012−786A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135079(P2010−135079)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(592012650)足立建設工業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】