説明

螺旋管腔内ステント及び関連方法

患者の管腔内に挿入されるように形作られたステントが開示される。ステントは、全体として螺旋形態のコイル状本体を有する。或る特定の特徴によれば、コイル状本体は、互いに結合された多数本のストランドを有するストリップを含む。他の特徴によれば、コイル状本体は、1つ以上のルーメンを有するストリップを含む。加うるに、或る特定のステントは、多数本のストランドを有するストリップによって形成されたコイル状本体を含み、これらストランドのうち少なくとも1本が、ルーメンを有する。ステントを受け入れた患者に治療効果を与える薬剤又は治療薬をルーメン内に設けるのがよい。患者体内へのステントの留置を容易にするマーカも又、ルーメン内に設けるのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年6月9日に出願された米国仮特許出願第60/477,439号及び2003年8月19日に出願された米国仮特許第60/496,135号の優先権主張出願である。上記特許出願は、共通譲渡されており、これら全ての米国仮特許出願明細書の内容を参照によりここに引用する。
本発明は、医用器具に関し、特に、医療手技を受けている患者の管腔内に挿入されるステントに関する。本発明は特に、所望の医学的利益を患者に与えるのに十分可撓性であって強固な螺旋形態の管腔内ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは典型的には、患者の血管又は通路内に挿入されて血管の管腔又は通路を開存状態に保つと共に欠陥又は通路の閉鎖度を減少させる金属又はプラスチックで作られた管状構造体である。例えば、血管を冠動脈内で開存又は開き状態で保つために用いられ、狭窄部及び(又は)癌のために食道内に用いられ、とりわけ、腎臓からの排出を維持するために尿道内に用いられる場合が多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書において開示する本発明は、可撓性であり且つ堅固な螺旋形態の管腔内ステントに関する。本発明のステントは、患者の管腔を開存形態に維持するのに有効である。かかるステントは又、1以上の治療効果を患者に与える投薬ツールとしても有効である。ステントは、局所及び(又は)全身治療効果を患者にもたらすのに有効な場合がある。
【0004】
一実施形態では、ステントは、互いに結合された2本以上のストランドを有する。ストランドは、ストリップを形成するよう互いに結合される。ストリップは、全体的に螺旋の形態をなすよう構成されている。ストリップのストランドのうち1本以上は、1以上のルーメンを有するのがよく、かかるルーメンは、薬剤又は治療薬及び(又は)放射線不透過性物質を単独で又は組み合わせて収容することができる。ルーメンは、ストランドの長さに沿って延びるのがよく、又はストランドの長さよりも短くてもよい。ステントは、生分解性である部分を有するのがよく、それによりルーメン内に入れられた薬剤の効果的な送達ビークルとなる。
【0005】
別の実施形態では、ステントは、コイル状ストリップにより構成される全体として螺旋の本体を有し、このストリップには、ルーメンが設けられる。この実施形態は、1本以上のストランドを有してもよく、あるいは有さなくてもよい。上述したように、ルーメンは、薬剤又は治療薬及び(又は)放射線不透過性物質を収容するために用いることができる。
【0006】
本発明の方法は、或る材料のストリップを螺旋の形態のステントの状態に形成する工程を有する。この方法は、ルーメンをストリップ中に形成する工程を含むのがよい。変形例として又は追加例として、この方法は、2本以上のストランドを互いに結合することによりストリップを形成する工程を有するのがよい。螺旋形態は、ストリップの温度を変化させることにより得られる。一実施形態では、ストリップをそのガラス転移点よりも高く加熱してストリップが展性状態になるようにする。次に、ストリップを螺旋に形成し、次にガラス転移点よりも低い温度まで冷却し、ストリップの螺旋状態が保存されるようにする。
【0007】
本明細書において説明する任意の特徴又は特徴の組合せは、任意のかかる組合せで含まれる特徴が前後関係、本明細書及び当業者の通常の知識から明らかなように一致しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【0008】
本発明の追加の利点及び特徴は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲において明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書において開示する本発明は、患者の管腔内に挿入されるように寸法決めされた全体として螺旋又はコイル状の形態を有するステントに関する。例えば、本明細書において開示するステントを取り分け、脈管管腔、例えば血管管腔、尿道管腔、気管管腔及び(又は)鼻管腔に挿入することができる。ステントは、ステントが管腔を通って挿入されているときの形状の比較的急激な変化に対応するのに十分可撓性である。本発明のステントは、血管中に存在する場合のある動脈瘤を治療するのに有効な場合がある。動脈瘤は、血管中の湾曲部のところで生じる場合が多く、かかる動脈瘤は、比較的貧弱な流体力学的挙動と関連している場合がある。かくして、本明細書において開示するステントは、動脈瘤と関連している場合のある血管の形状の変化に対応するのに十分可撓性である。ステントは又、患者の管腔を開存形態に維持すると共にステントを所望の位置まで挿入しているときの破断の恐れを減少させる上で比較的強固である。
【0010】
次に、本発明の現時点において好ましい実施形態を詳細に説明し、かかる実施形態の例は、添付の図面に示されている。可能な限り、同一又は類似の符号が、実質的に又は完全に同一の部品に言及するよう図面及び説明に用いられている。図面は、単純化された形態で且つ正確な縮尺通りには作成されていないことには注目されるべきである。開示内容を参照する際、便宜上及び分かりやすくするために、方向を表す用語、例えば、頂、底、左、右、上、下、上側、上方、下方、下側、後、前、遠位、近位は、添付の図面に関して用いられている。かかる方向を表す用語は、本発明の範囲をいかなる意味においても限定するものと解釈されてはならない。
【0011】
本明細書の開示は、或る特定の図示の実施形態に関しているが、これら実施形態は、例示として与えられ、本発明を限定するものとしては与えられていないことは言うまでもない。例示の実施形態を説明するが、以下の詳細な説明の意図は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲に属するかかる実施形態の全ての改造例、変形例及び均等例を含むものと解されるべきである。本発明は、当該技術分野において従来用いられている種々の医療手技と関連して利用できる。
【0012】
図を参照し、特に図1を参照すると、コイル状本体12を有する管腔内ステント10が示されている。図1のステントのコイル状本体12は、ストリップ14で構成されている。ストリップ14は、複数本のストランド16a,16b,16cを有する。ストランド16a,16b,16cは、ストリップ14を形成するよう互いに結合されている。かくして、図2で理解できるように、ストリップ14の厚さTは、単一のストランド、例えばストランド16aの厚さとほぼ同じであり、ストリップの幅Wは、結合状態にある個々のストランドの直径の合計にほぼ等しい。ストリップ14及びかくしてストランド16a,16b,16cは、人工器官の状態に形成されている。本発明の一特徴によれば、ストランド16a,16b,16cは、全体的に螺旋の形態を形成するようコイル状になっている。ステント10の写真が、図3に示されている。
【0013】
図1に示す実施形態では、ステント10は、3本のストランドを有する。他の実施形態では、ステント10は、2本のストランドから成っていてもよく、或いは、4本以上のストランドから成っていてもよい。ストリップ14を形成するために用いられるストランドの本数は、とりわけ、多くの要因、例えばストランドを形成するために用いられる材料、ステントの螺旋コイルのピッチ、ステントの直径で決まる場合がある。ストランド16a,16b,16cは、各々が全体として円形断面を持つものとして示されている。本発明の他の実施形態では、1本以上のストランドの断面形状は、ステントが治療しようとしている病態に応じて様々であってよい。
【0014】
図示の実施形態では、ストランド16a,16b,16cは、互いに結合されている。例えば、ストランドは、接着剤を用いて又はストランドの表面が本明細書で説明するようにステントの製造中に互いに融着できるようにすることにより結合されるのがよい。ストランド16a,16b,16cを互いに結合してストリップを形成することにより、単一材料片で形成されたストリップを有するステントと比較してかかるステントの可撓性を向上させることが可能である。加うるに、1つのストランドのみで形成されたストリップと比較して多数本のストリップを用いることにより、本明細書において開示するステントは、既存のステントよりも実質的に強固であると共に(或いは)一層可撓性となることができる。ストランド16a,16b,16cは、実質的に平らなストリップ、例えば図2に示すストリップ14を形成するよう互いに結合される。ストランド16a,16b,16cは、互いに実質的に平行である。次に、ストリップ14をコイル状にすると、例えば図1に示すように実質的に平らなコイルばね状構造体を形成することができる。
【0015】
ステント10は好ましくは、患者の体内へのステントの挿入と関連した悪影響、例えば抗原反応及び(又は)免疫原反応を減少させるよう生体適合性材料で形成される。適当な生体適合性材料は、ステントを患者の管腔中へ挿入できると共に管腔を開存形態に維持することができるほど十分可撓性且つ強固である。
【0016】
或る特定の実施形態では、ステント10は部分的に、生分解性材料、例えばステントを患者の体内に挿入した後に時間の経過につれて分解又は劣化する材料で作られたものであるのがよい。一実施形態では、ストリップ14のストランドのうちの1本以上は、生分解性材料で作られたものであるのがよい。別の実施形態では、ステント10の長さの一部、例えば近位部分、遠位部分又は中央部分が生分解性である。ステント10の一部を生分解性材料で形成することにより、例えば、時間が経過すると共に(或いは)標的部位が変化(例えば、治癒)するにつれて、長期間にわたって患者の体内に残存するステントの量は比較的少ないであろう。加うるに、本明細書において開示する或る特定の実施形態では、生分解性材料は、薬剤又は治療薬投与器具としてのステントの使用法を向上させることができる。本明細書の開示によるステント10は、単一の生分解性材料を含んでもよく、或いは、2種類以上の生分解性材料を含んでもよい。例えば、ステントの一部は、第1の速度で分解する第1の生分解性材料で作られたものであるのがよく、そしてステントの別の部分が、これとは異なる速度で分解する第2の生分解性材料で作られたものであるのがよい。
【0017】
他の実施形態では、ストリップ14は、展性材料で作られたものであるのがよく、この展性材料は、生分解性材料であってもよく、或いは非生分解性材料であってもよい。具体的に説明すると、ストリップ14のストランドは、患者の体温よりも高い(例えば、約37℃よりも高い)ガラス転移温度又はガラス転移点を有する材料で作られたものであるのがよい。かかる材料を用いることにより、ストリップ14をガラス転移点よりも高い温度まで加熱して所望の形態に形作り、次にその所望の形態で冷却することができる。ステント10を患者の体内に挿入すると、ステントは代表的には、所望の形態を保持するのが通例である。というのは、患者の体温は、ガラス転移点よりも低いからである。加うるに、展性材料は、融点を有するであろう。融点は、材料が固相から液相に移り変わる温度又は温度範囲である。ストリップ14の個々のストンランドを互いに結合する場合、ストランドをこれらの融点に近い温度まで加熱してストランドの表面が互いに融着すると共に結合してこれらの冷却時にストリップを形成することができるようにする。
【0018】
本発明の或る特定の実施形態では、ステントは、全ての部分又は部分部分が、再吸収性ポリマー材料、例えば2003年2月27日に出願された共通譲受人の同時係属米国特許出願第10/375,451号明細書又は2002年9月4日に出願された米国仮特許出願第60/408,393号明細書に開示された材料で作られたものであるのがよく、これら特許文献の両方の開示内容全体を参照によりここに引用する。例えば、本発明のステントは、ラクチドのポリマー(コポリマーを含む)を含むのがよく、かかるポリマーとしては、例えばL−ラクチド、D−ラクチド、D,L−ラクチド及びこれらの組合せが挙げられる。変形例として又は追加例として、ステントは、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトンのポリマー及びこれらの組合せを含んでもよい。或る特定の実施形態では、ステントは、ポリラクチド、例えばL−ラクチド及びD,L−ラクチドのコポリマーを含む。具体的に説明すると、ステントの一実施形態は、約60〜80%のL−ラクチド及び約20%〜40%のD,L−ラクチドを有するコポリマーを含む。特定の実施形態では、ステントは、ドイツ国のボーリンガー・インゲルハイム・KGにより製造されて供給されるポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)70:30レゾマー(Resomer LR708 を有する。他の実施形態では、ステントは、1種類以上の環状エステル、例えば、ラクチド(即ち、L−ラクチド、D−ラクチド、D,L−ラクチド又はこれらの組合せ)、イプシロン−カプロラクトン及びグリコリドから誘導されたポリマーを有する。かかる一実施形態では、ステントは、約1〜99%のイプシロン(ε)−カプロラクトンを含み、別の実施形態では、ステントは、約20〜40%のイプシロン−カプロラクトンを含む。別のステントは、65:35ポリ(L−ラクチド−コ−イプシロン−カプロラクトン)を含むのがよい。別のステントは、90%ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)(PLLA)70:30及び10%カプロラクトンを有する。
【0019】
図4に示すように、ストランド16a,16b,16cのうち1本以上の中にはルーメン18を設けるのがよい。図4に示す実施形態では、ストランド16aは、ストランドの長さに沿って延びるルーメン18を有している。ルーメン18は、ストランド16aの一端からストランド16aの他端まで延びるものとして示されている。
【0020】
変形実施形態では、ルーメン18を1本以上のストランドの多数の部分(例えば、近位部分及び遠位部分)及び(又は)向きで設けてもよく、したがってルーメンのうち1つ以上の長さは、対応の1本又は複数本のストランドの長さよりも短い。変形例として又は追加例として、ストリップの長さ方向に対して平行ではない形態をなして差し向けられた1つ以上のルーメンをストリップ中に設けてもよい。例えば、変形実施形態では、ストリップの長さ方向に対して約0°〜約90°の角度をなしてルーメンを設けて1つ又は複数個のルーメンがストリップの少なくとも一部を横切るようにしてもよい。或る特定の実施形態では、ルーメンをストリップの長さ方向に対して直交した向きをなして設けてもよい。斜めのルーメン(例えば、ストリップの長さ方向に対して平行でもなく直交しているわけでもないルーメン)又は直交ルーメンとして定義される横断ルーメンが、ストリップの2本以上のストランドを横切るのがよい。したがって、横断ルーメンは、ストリップのストランド相互間で連絡経路又は物質運搬構造を提供することができる。しかしながら、横断ルーメンは必ずしも、ストリップの多数本のストランドを横切る必要はなく、各横断ルーメンはこれとは異なり、1つのストランドのみを横切って2本のストランド相互間の接合部の近くで終端してもよく、したがって、かかる横断ルーメンは、ストランド相互間に延びず、ストリップの個々のストランド中の小刻みなルーメン部分をもたらすようになっている。一実施形態では、ストランドの直交又は非平行出口ルーメンは、ストランドの平行に差し向けられたルーメンと交差してこれと流体連通することができ、したがって、平行に差し向けられたルーメンがストランドの外面への出口経路を有するようになっているのがよく、平行に差し向けられたルーメンが、出口のところで終端し、又はストランドの長さに沿って連続していてもよい。さらに、出口ルーメンを互いに異なるストランドの長さに沿って互いに異なる位置に設けると共に(或いは)他の出口ルーメンが2本以上の隣りのストランドの平行に差し向けられたルーメンを互いに流体連結するのがよい。流体連結部は、2本以上の平行に差し向けられたルーメン相互間に隔離され又は密閉された流路を形成することができ、又は、2本以上の平行に差し向けられたルーメンを互いに流体連結するだけでなくステントの外面に流体連結できる。出口ルーメンを各ストランドの内面及び(又は)外面に設けることができる。
【0021】
或る特定の実施形態では、ルーメン18は、1種類以上の薬剤又は治療薬を収容するよう構成されている。ルーメン18内に設けることができる薬剤又は治療薬としては、とりわけ、例えば疼痛用薬剤、化学療法薬、抗狭窄薬、蛋白質、遺伝子治療用のベクター及び(又は)細胞、例えば幹細胞のような薬剤及び治療薬が挙げられる。例えば、薬剤又は治療薬としては、鎮痛薬、麻酔薬、例えば局所麻酔薬、抗生物質、ステロイド、抗腫瘍薬、ホルモン及びホルモン類似薬が挙げられるが、これらには限定されない。抗生物質の例としては、アンピシリン、クロラムフェニコール、クロテトラサイクリン、クリンダマインシン、エリスロマイシン、グラミシジン、ゲンタマイシン、ムピロイシン(mupiroicin)、ネオマイシン、ポリミキシンB、バシトラシン、スルファジアジン銀、テトラサイクリン及びクロルテトラサイクリンが挙げられるが、これらには限定されない。本発明で有用なホルモン及び他の関連薬剤の例としては、ヒト成長ホルモン(HGH)、骨形成蛋白質(BPM)、トランスフォーミング成長因子(TGF−β)、インターフェロン、インターロイキン、カルシトニン、エストロゲン及び17−β−エストラジオールが挙げられるが、これらには限定されない。抗炎症薬の例としては、コルチソン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)及びインターロイキン3抑制薬が挙げられるが、これらには限定されない。抗腫瘍薬の例としては、非悪性細胞よりも選択的に悪性細胞を標的にしてこれを殺すのに有効な細胞毒性物質が挙げられる。抗狭窄薬の例としては、細胞増殖抑制薬、例えば、平滑筋細胞増殖の抑制薬が挙げられる。幾つかの抗狭窄薬としては、ワイエス・エアスト・カンパニーから市販されているラパマイシン(Sirolimus(登録商標))及びブリストルマイヤーズ・スクイブ・カンパニーから市販されているパクリタキセル(Taxol(登録商標))が挙げられる。他の抗狭窄薬としては、ヘパリン、他のタキサン類、タクロリムス、アクチノマイシンD、アンジオペプチン(angiopeptin)、ヴァセノイド(vassenoid)、フラボペリドール(flavoperidol)、エストロゲン、ハロフジノン、マトリックスメタルロプレテイナーゼ(metallopreteinase)抑制薬、リポジーム(ribosimes)、インターフェロン及びアンチセンス化合物が挙げられる。
【0022】
薬剤又は治療薬がルーメン18内に設けられているとき、ステントは、ステントを患者の体内に挿入すると、薬剤又は治療薬をルーメン18から放出できるよう構成されている。薬剤又は治療薬の放出は、人間又は器械によって制御でき、又は受動的に生じることができる。加うるに、薬剤又は治療薬を長期間にわたり又は1回のボーラスとして放出することができる。薬剤又は治療薬を長期間にわたって放出する場合、放出は、所望量の薬が所与の期間で放出されるよう周期的であるのがよい。例えば、ステント10が生分解性ストランドを含む場合、ルーメン18を生分解性ストランド中に設けるのがよい。薬剤又は治療薬は、生分解性ストランドのルーメン内に設けられる。生分解性ストランドが患者の体内で分解すると、薬剤又は治療薬が放出されて疼痛免荷を含む所望の治療効果をもたらす。
【0023】
追加の実施形態では、ルーメン18は、患者の体内へのステント10のX線撮影による位置決めを容易にするのに有用な放射線不透過性物質を備えるのがよい。例えば、炭素繊維をルーメン18内に挿入してステントが患者の体内に位置しているとき、ステントのX線撮影による視覚化を容易にするのがよい。炭素繊維をルーメン内に設けて用いた場合の一利点は、炭素繊維は、ステントの画像の歪み又は消去を最小限に抑えながら有効な視覚化をもたらすことができる。かくして、ステント10は、放射線不透過性マーカを含むのがよい。放射線不透過性マーカをステント上に設けてもよく又は例えばステントのルーメン内に配置することによりステント内に設けてもよい。一実施形態では、放射線不透過性マーカは、ストリップ14のストランドのうちの少なくとも1つの外面と一体に形成されかかる外面に沿って設けられた炭素繊維を含むのがよい。
【0024】
本発明のステントのルーメンは、薬剤及び(又は)放射線不透過性物質の偶発的な放出を阻止するよう密封するのがよい。例えば、ストリップ又はストランドの端部を溶融することによりストリップ又はストランドの端部を互いに結合してルーメンの端部を閉鎖することによってルーメンを密封するのがよい。変形例として、メンブレンをルーメンの端部に設けてもよい。メンブレンは、生分解性であるのがよく、したがって薬剤をステントが患者の体内に挿入された後にのみ放出することができるようになる。あるいは、メンブレンは、透過性であってもよく、したがって、薬剤は、ステントが患者の体内に挿入されると、メンブレンを通って拡散することができるようになる。
【0025】
或る特定の実施形態では、ステントは、ルーメン18内に設けられたプラグを有するのがよい。プラグは、薬剤又は治療薬がステントを患者の体内に配置する前にルーメン18から放出されるのが阻止すると共にプラグがルーメン18を密封するのにもはや有効ではなくなった後に薬剤又は治療薬の放出を容易にするのに有効であるのがよい。ステント及びステント内に設けられたルーメンの形態に応じて、ステント内に1個以上のプラグを用いるのがよい。例えば、第1のプラグをステントの近位端部のところでルーメン内に設けるのがよく、第2のプラグをステントの遠位端部のところでルーメン内に設けるのがよい。ステントの端部のところに設けられたプラグは、ステントのルーメン内に配置されるように寸法決めされた第1の領域及びステントのルーメンよりも大きな直径を有する第2の領域を有するのがよい。或る特定の実施形態では、プラグは、ステントの厚さよりも大きな直径を有する第2の領域を有するのがよい。加うるに、ステントは、ルーメン内に設けられた複数個のプラグを有するのがよい。例えば、1個以上のプラグをステントの端部から間隔を置いたところでルーメン内に設けるのがよく、加うるに又は変形例として、1個以上の同一寸法のプラグをステントの端部のうちの一方又は両方に設けてもよい。かくして、プラグは、ルーメン内に1つ以上の区画室を形成するのに有効であるのがよい。
【0026】
ルーメンを有するステントと関連して用いられるプラグは好ましくは、生体適合性材料から作られる。プラグは、ステントを患者の体内に配置した後にプラグが時間の経過につれて分解し又は劣化するよう生分解性材料を含むのがよい。適当な生分解性材料としては、ステントに関して上述した生分解性材料が挙げられる。例えば、ステントは、第1の速度で分解する生分解性材料で作られた第1のプラグ及び第2の速度で分解する生分解性で作られた第2のプラグを有するのがよい。
【0027】
本明細書において開示するステントに用いられるプラグは、多種多様な方法によりルーメン18内に貯蔵された内容物を放出するよう構成されたものであるのがよい。例えば、生分解性プラグをルーメン18内に配置すると、このプラグは、溶解し又は分解するのがよく、それにより薬剤又は治療薬がプラグの溶解又は分解につれてルーメンから放出可能である。プラグは、これが溶解し始めるとステントから離脱状態になるのがよく、それによりルーメン18内に入っている薬剤又は治療薬のより迅速な放出を容易にするのがよい。加うるに、ステントを通って流れる血液によりプラグをルーメンから変位させることができる。かくして、かかるプラグは代表的には、これがステントの本体に係合してルーメン内に入っている薬剤又は治療薬の漏れを阻止するようステントのルーメン内に配置される。ステントが患者の体内に配置されると、ステントの周りの血液の流れがプラグに作用してプラグをルーメンから変位させて薬剤又は治療薬を放出できるようにする。或る特定の実施形態では、血液の流れは、プラグをルーメンから押し出す。他の実施形態では、血液の流れは、プラグをルーメンから引き出す。
【0028】
ルーメン内へのプラグの配置に代わる手段として、ルーメンの端部又は中間部分をヒートクランプして閉じるのがよく、この場合、熱及び任意的に圧力を加えてルーメンの一部を変形させて少なくとも部分的に閉塞させる。さらに、吸収性材料をゲル又は液相の状態にし、ルーメンの端部に被着させてルーメンを閉塞し、次に放冷して硬化させるのがよい。上述のプラグ又は閉塞機構のうち任意のものをステントの1つ以上のルーメン内に位置決めするのがよい。
【0029】
変形実施形態では、ステントの他の部分又は全ての部分を、本明細書に開示する組成物又は作用剤のうち任意のもので被覆するのがよく、この場合、被覆前のステントは、非再吸収性であってもよく、部分的に非再吸収性であってもよく、或いは全体が再吸収性であってもよい。かかる一実施形態によれば、血管の壁に接触するステントの外面(内面ではない)を被覆するのがよい。例えば、本明細書において開示する本発明のステントの一部のストリップ又は表面は、抗狭窄薬から成っている。抗狭窄薬をストリップに塗布してもよく、或いはストリップのルーメン内に設けてもよく、又はストリップを形成する際に用いてもよい。抗狭窄薬がストリップの形成の際に用いられるとき、非狭窄薬を含むマトリックスを利用することが望ましい場合がある。
【0030】
複数本のストランドを含むステント、例えばステント10は、血管内に配置されると、1つのストランドのみを有するステントと比較して大きな摩擦力をもたらすよう構成されたものであるのがよい。有利には、本発明のステントで得られる摩擦力の向上により、標的部位の近くでの血管管腔内へのステントの適正な固定が容易になると共に標的部位の近くへの薬剤又は治療薬の送達の向上を助けることができる。本明細書において説明する単一ストランドの実施形態を含む追加の実施形態では、ステントから1つ以上の突出部材が延びるのがよい。突出部材は代表的には、ステントが挿入されている血管の壁にステントを係合させるのに有効である。突出部材の例としては、クリート、リブ、スパイク及びフック又は棘が挙げられる。突出部材をステントと一体に形成してもよく、或いはステントに取り付け又は固定してもよい。変形例として又は追加例として、ステントは、ステントと血管壁の係合具合を向上させるのに有効なでこぼこの表面微細構造、例えば粗い又は不規則な表面を備えたストリップを有するのがよい。突起又は例えば米国特許第6,391,059号明細書に記載されている他の表面のでこぼこ又はムラも又、ステントの位置上の表面又は表面の部分部分に形成してもよい。
【0031】
本明細書において説明するように、本明細書において開示する管腔内螺旋ステントは、患者の脈管管腔、尿道管腔、気管管腔、鼻管腔又は他の管腔内に挿入されるよう形作られている。或る特定の場合、ステントが挿入されるべき管腔の外径は、約2mm〜約10mmである。本発明を限定するものではないが一例を挙げると、ステントのストリップの厚さは、約0.75mm、その幅は約2.5mmである。かかるストリップのストランドの直径は、約0.75mmであるのがよい。ステントのストリップのピッチは、約2.5mm〜約10mmであるのがよく、或る特定の実施形態では、ピッチは、約6.0mmである。一例においては、ストリップの長さは、ストリップを螺旋コイル状本体に形成した場合、約25mm〜約30mmであるのがよい。ルーメンを例示のストランドのうちの1本以上中に設ける場合、ルーメンの直径は、約20マイクロメートル〜約200マイクロメートルであるのがよい。
【0032】
ステント10のストリップ14をコイル状にして本体12を形成することにより、ストリップは、ストリップが複数の形態を取ることができる弾性を備える。例えば、ステント10のストリップ14は、ステントが患者の管腔中に挿入されているとき、ステントが稼働状態の第1の形態に配置でき、標的部位に達すると、ステントが弛緩状態の第2の形態を取ることができるよう変形可能であるのがよい。換言すると、螺旋ストリップ14は、稼働状態の第1の状態と弛緩状態の第2の形態との間で変形可能であるのがよく、したがってストリップを第1の形態にすると、ストリップは、第2の形態に戻り又はこれを取る付勢力を有するようになる。或る特定のステントは、血管内に配置されると、自己拡張するのがよい。或る特定の実施形態では、ステントの螺旋形態は少なくとも1つには、ステントを挿入すべき血管の曲率に基づいて定められる。ステントは、左巻き螺旋形態のものがあれば、右巻き螺旋形態のものもあってよい。血管に特有の螺旋形態を提供することにより、ステントを血管内に効果的に配置することができ、このステントは、血管の壁と効率的な係合が可能になる。
【0033】
本発明の別の実施形態では、ステントは、全体として平らなコイル状ストリップにより構成された全体として螺旋の本体を有する。コイル状ストリップはこの実施形態では、ストリップ中に設けられた少なくとも1つのルーメンを有するのがよい。この実施形態と上述の実施形態の差異の1つは、ストリップが必ずしも2本以上のストランド、例えば、図1〜図4のストランド16a,16b,16cを有さなくてもよいということにある。ステントのこの実施形態の一例は、図5に示されており、図中、同一の部分は、同一の符号に100を加えて示されている。かくして、図5を参照すると、ステント110は、コイル状本体112を有する。コイル状本体112は、ストリップ114で構成され、このストリップ114を貫通してルーメン118が設けられている。多数本のコイル状ストランドに代えて単一のコイル状ストリップ(例えば、平らなコイル状ストリップ)を有しているが、ステント110は、他の点において、上述した特徴部及び形態のうちの1以上を有してもよい。ステント110の2、3の例示の実施形態及び具体化例について以下に説明する。
【0034】
図1〜図4のストリップ14に類似して、ストリップ114は、厚さT′及び幅W′を有する。一般に、そして図示するように、幅W′は、厚さT′よりも大きい。図示の実施形態では、ストリップ114は、全体として矩形の断面のものである。追加の実施形態では、ストリップ114は、他の幾何学的形状の断面のものであってもよい。
【0035】
ルーメン118は、ストリップ114の第1の端から第2の端まで延びているものとして示されている。他の実施形態では、ストリップ114は、ストリップの長さよりも短いルーメンを有するのがよい。別の実施形態では、ストリップ114は、ストリップ中に設けられた複数個のルーメンを有してもよい。少なくとも1つのルーメンをステント110のストリップ114中に設けることにより、ステントの可撓性及び(又は)強度を特定形式の医療手技に応じて制御したりあらかじめ定めることができる。図1〜図4の実施形態と同様、ルーメン118は、薬剤又は治療薬運搬ツールとして働くことができる。例えば、1種類以上の薬剤又は治療薬をルーメン118内に設けることができ、かかる薬剤又は治療薬を以下に説明するようにステントを患者の配置した後ステントから選択的に放出することができる。ステント110からの薬剤又は治療薬の放出を制御する一方法は、上述したようにストリップ114を部分的に生分解性材料で形成することである。或る特定の実施形態では、ストリップ114の近位部分、遠位部分及び(又は)中央部分は、生分解性材料を有するのがよい。他の実施形態では、ストリップ114の側方部分、例えば、ストリップ114の長さに沿って延びるが、ストリップ114の幅全体にわたっては延びない一部を生分解性材料で作ってもよい。ステント110の2つ以上の部分が生分解性材料を含む場合、これとは異なる部分、例えば第1の部分及び第2の部分を本明細書で説明するように互いに異なる速度で分解する生分解性材料で形成することが望ましい場合がある。
【0036】
加うるに、そして、ステント10に関して本明細書で説明したルーメン18と同様に、ルーメン118は、放射線不透過性物質を含むのがよく、この放射線不透過性物質は、ステント110を患者の体内に挿入したとき、ステント110の識別を容易にするのに有用な場合がある。放射線不透過性物質の一例としては、ルーメン内に設けられる炭素繊維が挙げられる。変形例として又は追加例として、1つ以上の放射線不透過性マーカをストリップ114のルーメン内に設けられた場合と比較して、ストリップ110上又はストリップ110内に設けてもよい。
【0037】
ステント110は、複数本のストランドを備えていない状態で示されているが、ストランドを少なくともストリップ114の部分部分に沿って設けてもよい。かかる実施形態におけるストランドは、実質的に互いに平行な形態に配置され、そしてこれらストランドは、本明細書で説明するように互いに結合されるのがよい。他の実施形態では、ストランドが設けられていないストリップ114は、複数本のストランドをシミュレートするよう材料の無い領域を含むよう機械加工され又は成形されたものであってもよい。かかる領域は、図1〜図4のステント10のストランド16a,16b相互間及びストランド16b,16c相互間の領域に類似している。変形実施形態では、ステント110の1以上のストランド又は領域は、ステント110の長手方向軸線に対し約0°〜約90°の角度をなす長手方向軸線を有するよう形成された(例えば、機械加工された)ものであってもよい。 本明細書において開示するステントは代表的には、ステントが上述したように拡張又は弛緩形態にあるとき、ステントが血管管腔内の種々の幅及び形状に合わせて変形できるようにする形状及び材料で形成されている。例えば、ステントは、第1の直径を持つ第1の部分及び第2の直径を持つ第2の部分を有するのがよく、第2の直径は、第1の直径とは異なっている。
【0038】
当業者には知られている任意従来方法を用いて本発明のステントを作ることができる。一実施形態では、ステントは、押し出し法で形成される。例えば、ステント110の断面形状に一致した単一押し出し出力オリフィスを用いてストリップ14又は114を単一構造体として押し出し成形して、マンドレル又はこれに類似した工具周りにコイル状にして螺旋又はコイル状構造体を形成するのがよい。変形例として、各ストランドについて別個の押し出し出力オリフィスを用いて個々のストランド、例えばストランド16a,16b,16cを個々に押し出し成形してもよい。
【0039】
押し出し成形法の後者の具体化例に従ってストリップを形成すると、複数本のストランドを、これらの融点のところでこれらのそれぞれの出力オリフィスを出た状態で配置すると共に互いに結合し、そして冷却してストランドがストリップを形成するよう結合されるようにすることができる。個々のストランドを結合する前に又は結合中、これらストランドを螺旋の形態に配置することができ、或いは、個々のストランドをストリップ、例えばストリップ14を形成するよう結合した後にかかるストランドを螺旋の形態に配置してもよい。かくして、本発明によれば、管腔内ステント、例えばステント10の製造方法は、複数本のストランドを全体として平行な形態で互いに結合してストリップを形成する工程と、ストリップを、患者の管腔内に挿入されるように寸法決めされた螺旋に形成する工程とを有する。本明細書において説明するように、結合工程は、第1のストランドを第2のストランドに物理的に結合する工程を含むのがよい。
【0040】
一実施形態では、この方法は、ストランドの温度を、例えばストランドを所望の温度まで加熱することによりガラス転移点と融点との間に収まるようにする工程と、ストランドを押出機から取り出しているときにストランドをマンドレルに巻き付ける工程と、ストランドの温度が例えばストランドを冷却することによりガラス転移点よりも低い温度になってストランドが互いに結合するようにする工程のうち1以上の工程を有するが、このようにするかどうかは任意である。上述の方法のうちの任意の方法又は他の方法は、ステントのストランド又はストリップ中に少なくとも1つのルーメンを形成する工程を含むのがよい。ルーメンは、本明細書を読むと適当であると当業者によって認識される任意の有効な技術、例えば機械加工を用いて形成できる。例えば空気吹込み技術を用いてストリップ又はストランドのうちの少なくとも1つに例えば中央に位置するルーメンを形成することができ、かかる空気吹込み技術では、加圧空気がストリップ又はストランドを押し出し成形しているときにストリップ又はストランドの中央断面領域中へ差し向けられる。本発明の方法は又、本明細書において説明するように薬剤をルーメン内に設ける工程を更に有するのがよい。薬剤を例えば針及び(又は)他の類似の器具を用いることによりルーメン中に注入することができ又はルーメンの内面に塗布することができる。ステントの製造時点で又は外科手技の時点で薬剤をルーメン内に設けてもよい。これと同様に、本発明の方法は、ストリップのルーメン内に炭素繊維又は他の放射性不透過性物質を設ける工程を有するのがよい。ルーメンをストリップ中に形成した後に炭素繊維又は他の放射性不透過性物質をルーメン中へ挿入するのがよく、又はルーメン内に一体に形成することができる。 本発明の追加の実施形態では、螺旋状に形作られたステントは、第1のピッチを持つコイルを備えた1以上の部分及び第2のピッチを持つコイルを備えた1以上の他の部分を有するのがよく、この場合、第1のピッチと第2のピッチは互いに異なっている。例えば、かかるステントの第1の部分は、小さなピッチを持つコイルを含むのがよく、ステントの第2の部分は、大きなピッチを持つコイルを含むのがよい。これら部分は、ステントの端部の近くに位置してもよく、又はステントの中央領域に位置してもよい。螺旋ステントのピッチを変化させることにより、これらステントが用いられる種々の医学的条件に適した種々のステントを製造することができる。
【0041】
上述の実施形態と組み合わせてもよく又は組み合わせなくてもよい本発明の他の実施形態では、螺旋に形作られたステントは、第1のステント直径及び本明細書において説明したような第1の物理的性質を持つ一部を有してもよく、このステントの1以上の他の部分は、第2のステント直径及び第2の物理的性質(例えば本明細書において説明した物理的性質から選択される)を有してもよく、この場合、第1の直径及び第1の物理的性質並びに第2の直径及び第2の物理的性質のうち少なくとも幾つかは互いに異なっている。
【0042】
上述の実施形態と組み合わせてもよく又は組み合わせなくてもよい本発明の別の実施形態では、螺旋に形作られたステントは、第1の断面形状及び(又は)面積を持つ1つ以上の部分及び第2の断面形状及び(又は)面積を持つ1つ以上の他の部分を有してもよく、この場合、第1の断面形状及び(又は)面積並びに第2の断面形状及び(又は)面積は、互いに異なっている。例えば、かかるステントの第1の部分は、比較的小さなピッチ及び比較的小さな断面積を持つ3本のストランドを含むのがよく、ステントの第2の部分は、これよりも大きなピッチ及びこれよりも大きな断面積を持つコイルを含むのがよい。寸法の小さな部分は、一具体化例においてはステントの端部のところに位置するのがよく、又は、他の具体化例においてはステントの中央領域に位置してもよい。
【0043】
本発明の追加の実施形態では、ステントのストリップは、本明細書において説明したように1種類以上の薬剤又は治療薬を収容した1つ以上のルーメンを有するのがよい。ルーメンとストリップの外面との間のストリップ材料の厚さは、ストリップの長さに沿って不規則であってよい。例えば、ストリップは、経時的にルーメン中に細孔を形成する凹みを備えるのがよい。変形例として、ストリップの外面に細孔を設けてもよく、したがって、薬剤は、ステントが患者の管腔内に挿入されると、細孔を通ってルーメンから拡散できるようになっている。薬剤又は治療薬の投与を制御するのに適したステントの追加の形態は、2002年10月21日に出願された共通譲渡された同時係属中の米国特許出願第10/129,214号明細書に開示されており、この米国特許出願明細書の開示内容全体を参照によりここに引用する。例えば米国特許第10/129,214号明細書に開示された特徴を採用することにより、本明細書において開示したステントからの薬剤又は治療薬の投与を制御すると共に(或いは)モニタすることができる。したがって、これと同様に、ステントは、管腔を開存形態に維持することに加えて、軟組織及び(又は)硬組織の成長度を定めるよう使用できる。
【0044】
当業者に知られている任意適当な技術を用いて本発明のステントを患者の管腔内に挿入することができる。例えば、ステントをスリーブ内に設けるのがよく、このスリーブは、ステントを収縮させてステントを患者の管腔中へ挿入できるようにする。ステントがいったん所望の位置に位置すると、スリーブをステントから引っ込めてステントが拡張し、患者の管腔を開存形態に維持するのに有効な第2の弛緩位置を取ることができるようにするのがよい。
【0045】
特定の実施形態では、螺旋形態を有するステントが、ガイドワイヤに結合され、このガイドワイヤは、放射線不透過性であるのがよい。代表的には、ガイドワイヤは、その遠位端部のところでステントに結合される。ガイドワイヤは、結合、例えば接着剤等の使用によりステントに結合できる。別法として、例えばステントをその溶融温度まで加熱し、ガイドワイヤがステントの溶融部分に当たっているときステントを放冷させることによりガイドワイヤをステントに溶接してもよい。ガイドワイヤは、ステントのストリップの外部に沿って延びてもよく、或いは、ステントのルーメン、例えば本明細書において説明したルーメン18又は118内に配置してもよい。幾つかの実施形態では、ステントは、単一のルーメンを備えるのがよい。ガイドワイヤをステントの螺旋形態又は非螺旋形態のいずれにおいてもステントに用いることができる。或る特定の実施形態では、本明細書において説明するように、ガイドワイヤは、ステントを非螺旋形態、例えば細長く比較的真っ直ぐな形態に維持するのに有効なサブストレートとなることができる。
【0046】
次に、ステントとガイドワイヤの組合せを患者の血管の管腔内に挿入するのがよい。代表的には、ステント及びガイドワイヤをステントが必要とされる標的部位まで管腔内を前進させる。標的部位は、血管中の動脈瘤、例えば口の小さな動脈瘤又は口の大きな動脈瘤であるのがよい。或いは、標的部位は、治療効果をもたらすのに薬剤又は治療薬が必要な領域であってもよい。例えば、化学療法薬を含むステントを用いて、腫瘍の近くで局所化学療法による治療を行うことができる。或いは、標的部位は、細くなった又は狭窄した血管領域を含むことができる。
【0047】
一実施形態では、螺旋ステントは、これが患者の管腔内に挿入される前に非螺旋形態に押圧される。例えば、ステントは、その螺旋形態から細長くされ又は真っ直ぐにされてステントの有効断面直径が挿入段階中減少するようにするのがよい。本明細書において説明するように、ステントをその標的部位のところで放したとき、次にステントはその螺旋形態に拡張して所望の治療効果をもたらすことができる。ステントの製造の際、上述したような組成物、例えば軟化剤、例えばカプロラクトンを再吸収性物質、例えばPLLAと組み合わせて利用することにより、本発明のステントを再吸収性組成物だけ、例えばPLLAだけで作られたステントに対して損傷が少ない状態で標的部位まで挿入することができる。例えば、軟化剤をほとんど含まない又は比較的少量含むステントは、ステントの形状が変化する際に破断し、もつれ又は違ったやり方で損傷状態になる。これと比較すると、軟化剤、例えばカプロラクトンを含む本明細書において開示するステントは、損傷がほとんど無く又は全く無い状態でリシェーピング(reshaping:形の作り直し又は再付形)に対応できる。一般に、ステント中の軟化剤の量が増えると、リシェーピング中におけるステントへの損傷の大きさが減少する。もっとはっきりと言えば、本明細書に開示するステントは、例えばコイル状ステントを室温(例えば、約20℃)で真っ直ぐなステントにリシェーピングすることにより、損傷しないで且つ(或いは)永久変形しないでリシェーピングできる。加うるに、本明細書において開示するステントの挿入方法は、従来型バルーンステント挿入術と関連した外傷及び損傷を回避することができる。
【0048】
ステントが標的部位の近くに位置しているとき、ガイドワイヤをステントから結合解除するのがよい。ガイドワイヤとステントの結合部を加熱することによりガイドワイヤを結合解除できる。或る特定の実施形態では、ガイドワイヤを加熱し、好ましくは、ガイドワイヤの遠位端部を加熱する。ガイドワイヤとステントとの間の結合部は、多種多様な方法で加熱できる。例えば、発熱体をガイドワイヤの遠位端部の近くに配置して結合部の局所加熱を行うことができる。発熱体は、本明細書において開示する管腔内システムの一体コンポーネントであってもよく、或いは、患者の体内に挿入される別個の要素であってもよい。別法として、電流をガイドワイヤに流すことによりガイドワイヤを加熱することができる。ガイドワイヤの大部分を加熱する実施形態では、遠位端部から遠ざかって位置するガイドワイヤの領域を絶縁して一層の局所温度変化及び制御をもたらすのがよい。好ましい実施形態では、ガイドワイヤの遠位端部又は先端部のみを加熱する。加うるに、冷却装置をガイドワイヤの領域の周りに設けると、ガイドワイヤの部分的加熱を制御することができる。
【0049】
典型的には、ガイドワイヤの近く、例えばガイドワイヤの遠位端部の近くでステントをリシェーピングする量の熱を発生させる。例えば、遠位端部をステントのガラス転移温度にほぼ等しい温度又はこれよりも僅かに高い温度まで加熱して、ガイドワイヤの加熱部分をコイル状にされるべきステントの長さに沿って動かしているときにステント(例えば、流体充填容器)が挿入段階中に用いられた非コイル状形態からコイル状形態に変化することができるようにするのがよい。一実施形態では、ガイドワイヤの加熱先端部を、真っ直ぐにされたステントの遠位端部から近位側へ動かし、それによりステントが加熱され、そして加熱状態のガイドワイヤ部分を近位側へ動かしてステントの遠位部分から出す(即ち、これから取り出す)ときにコイル状になるようにする。別の実施形態では、ガイドワイヤ又は他の加熱装置は、ステントのルーメン内には設けられず、これをステントに対して遠位側に動かして(即ち、ステントを加熱装置に対して引っ込めるのがよい)、ステントを例えば血管内で加熱してコイル状にする。
【0050】
本明細書において開示するステントの場合、ガラス転移温度は、約100°F(37.8℃)〜約120°F(48.9℃)であるのがよい。他の材料で作られたステントは、これよりも高い又は低いガラス転移温度を有していてもよい。一実施形態では、ステント及びガイドワイヤをカテーテル又は他の中空器具に入れた状態で標的部位に向かって挿入するのがよい。非コイル状形態からコイル状形態へのステントのリシェーピングを容易にするため、ガイドワイヤの遠位端部を本明細書において説明したように加熱するのがよい。ガイドワイヤを所望の温度まで加熱すると、本明細書において説明するように、ステントが標的部位の近くの定位置に位置したままの状態でカテーテル及びガイドワイヤを引っ込めることができる。変形例として、ガイドワイヤを所望温度まで加熱すると、ステントをガイドワイヤを越えてカテーテルから遠位側へ前進させてもよく、ガイドワイヤを越えたところでステントは、コイル状形態を取る。ガイドワイヤをステントのルーメン内に配置する実施形態では、ガイドワイヤは、血管管腔中へのステントの挿入を容易にするよう非コイル状又は非螺旋形態へのステントのシェーピング(付形)を容易にするよう構造的剛性をもたらすことができる。ガイドワイヤの遠位端部を加熱すると共にステントがガイドワイヤの遠位端部から出ると、ステントは、そのガラス転移温度まで加熱され、そのあらかじめ設定された形状に戻るコイル状又は螺旋形態を自然に取る。リシェーピング手技中、熱の量を変化させるとコイル状螺旋ステントの特定の形態を変更することができる。例えば、ガイドワイヤをステントから取り外したときにガイドワイヤを定期的に加熱すると、ガイドワイヤ又は発熱体の温度を変化させることにより得られる種々のピッチ又は他の種々の性質を有するステントの領域を形成することができる。本明細書の開示によれば、ステントは、稼働状態の形態及び弛緩状態の形態を有する。かくして、ステントがガイドワイヤから出て加熱されると、ステントは、そのガラス転移温度から冷えるにつれてその弛緩状態の螺旋形態を自然に取ろうとする。
【0051】
ガイドワイヤをステントから結合解除した後、ステントは、本明細書において説明するように拡張してその弛緩状態の形態を得る。次に、ガイドワイヤを患者から抜去するのがよい。ガイドワイヤをこれが加熱されている間に抜去するのがよい。
【0052】
本明細書において開示するステントは、多数個のステントが所望され又は標的部位に再びステントを挿入することが望ましい状況において特に有用である。現在入手できるステントの場合、多数個のステントを互いに近接して挿入することはいうに及ばず、血管を再ステント治療することは可能ではない。かくして、本発明の方法は、第2のステントを第1のステントに近接して挿入する追加の段階を有するのがよい。例えば、第2のステントは、第1のステントよりも小さい直径を有するのがよく、この第2のステントを第1のステントの螺旋体の中に挿入するのがよい。第1のステントが生分解性材料で作られている場合、第2のステントを第1のステントのうちの何割か又は全てが分解した後に第1のステントに近接して挿入するのがよい。
【0053】
ステントが標的部位に近づくと、本発明の方法は、ステントを血管壁又は血管中の閉塞野、例えば部分的に閉塞され又は完全に閉塞された野に係合させる段階を有するのがよい。一実施形態では、係合段階は、ステントを回転させて血管の管腔がステントを回転させているときに拡大するようにする段階を含むのがよい。ステントが右ねじを有している状況では、ステントを、血管の或る特定の湾曲部又は他の特徴部を通るステントの前進に対応できる右側に回転させることによりステントを回転させると共に(或いは)前進させるのがよい。ステントが左ねじを有している状況では、ステントを、例えば血管の左曲がりの曲り部の周り又はこの中への操作を容易にできる左側に回転させることによりステントを回転させると共に(或いは)前進させることができる。ステントの回転により、血管の小径部分内へのステントの前進も可能になる。かくして、ステントの回転は、ステントの前進及び(又は)血管管腔及び(又は)閉塞野の拡大を容易にすることができる。一実施形態では、ステントは、近位端部又は近位領域と比較して直径の小さな遠位端部を有するのがよい。例えば、ステントは、“X”の直径を備えた遠位端部及び近位側に位置した領域、例えば、中央領域又は“X”よりも大きな直径を持つステントの近位端部を有するのがよい。かくして、ステントを回転させて血管又は閉塞部内へ前進させると、比較的幅の広い部分が血管及び(又は)障害物の拡大及び開口を容易にすることができる。本明細書において説明するように、互いに結合された複数本のストランドを有するステントは、血管及び(又は)障害物とステントの漸変表面微細構造との間に生じる摩擦力に起因して特に有利な場合がある。
【0054】
変形例として又は追加例として、かかるステントは、ステントが血管壁に係合できるようにすると共にステントがガイドワイヤを取り外したときに所望の形態を維持することができるようにする突起、例えばリブ、棘又はフックを有するのがよい。別の実施形態では、ステントは、遠位端部をいったん血管又は障害物にしっかりと係合させると、回転方向を逆にして固定状態のステントの直径を増大させることができるよう構成されている。換言すると、遠位端部の近位側に位置するステントの領域をステントを前進させたときのステントの初期回転方向に対し逆の方向に回転させることができ(それにより、遠位端部は、血管又は障害物に対して固定係合状態のままである)、それにより遠位領域が拡張し、その断面寸法が増大するようにする。例えば、遠位端部にのみ設けられた1個以上の突起又は血管壁又は障害物に摩擦係合する他の係合手段を備えたステントを回転させると共に(或いは)血管内の標的部位まで前進させることができる。すると、突起は、血管壁に係合してステントの遠位端部を血管内に固定することができる。ステントの遠位端部がいったん定位置に固定されると、ステントを挿入するために用いた方向に対し逆方向にステントを回転(例えば、逆回転)させるのがよい。ステントの遠位端部は、突起及び血管壁又は障害物の摩擦係合により固定されているので、遠位端部は、ステントに及ぼされる逆回転作用によっては実質的に回転しない。ステントの形状がコイル状になっているので、ステントの逆回転により、ステントの近位部分(固定状態の遠位端部の起因側の部分)は、拡張してその直径が増大する。一実施形態では、ステントを逆回転させているときにステントの一部を加熱してステントの形状のリシェーピングを容易にするのがよい。所望の寸法がいったん得られると、熱及び(又は)逆回転を停止するのがよい。ステントは、少なくとも或る程度はステントの構成材料に起因して、拡張形態を維持することができる。
【0055】
本発明によれば、ステントのコイル状本体を捩じってコイル状本体が弛緩の形態にあるときよりも小さな直径を持つ第1の形態にすることによりステントを患者の体内に挿入することができる。例えば、ステントのストリップをカテーテル器具又は他のこれに類似した物体周りに捩じることによりステントを捩じってコイル状本体の直径を減少させることができる。次に、ステント付きのカテーテル器具を患者の管腔内へ挿入するのがよい。ステントが所望の位置にあるとき、カテーテルを抜去し、ステントは、患者の管腔を開存形態に維持するようその弛緩状態の形態を取ることができる。
【0056】
本発明を種々の特定の例及び実施形態を参照して説明したが、本発明はこれらには限定されず、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の形態で実施できることは理解されるべきである。上述の説明を考慮すると当業者には、相互に排他的ではない程度まで、開示した実施形態の多数の変形例及び改造例を想到できる。加うるに、他の組合せ、省略、置換及び改造は、本明細書における開示に鑑みて当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、開示した実施形態によっては限定されず、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ストリップを形成する複数本のストランドを含む管腔内螺旋ステントの斜視図である。
【図2】真っ直ぐな形態をなしている図1のステントのストリップの斜視図である。
【図3】図1のステントに類似した管腔内螺旋ステントの写真図である。
【図4】ステントのストリップを貫通したルーメンを有する管腔内螺旋ステントの斜視図である。
【図5】ルーメンを有する管腔内螺旋ステントの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体的に螺旋の形態に構成されたストリップを形成するよう互いに結合された複数本のストランドを有する、管腔内ステント。
【請求項2】
3本のストランドを有する、請求項1記載のステント。
【請求項3】
前記ストランドのうちの少なくとも1つは、生分解性材料を含む、請求項1記載のステント。
【請求項4】
前記ストランドのうちの少なくとも1つは、患者の体温よりも高いガラス転移温度を有する材料を含む、請求項1記載のステント。
【請求項5】
前記複数本のストランドは、
互いに結合され、
単一のストランドから成り、同じ強度並びに同じ直径及びピッチを備えるステントと比べて、前記ステントに高い可撓性を与えるのに有効である、
請求項1記載のステント。
【請求項6】
前記複数本のストランドは、
互いに結合され、
1つのストランドのみから成り、同じ強度並びに同じ直径及びピッチを備えるステントと比べて、前記ステントに高い強度を与えるのに有効である、
請求項1記載のステント。
【請求項7】
前記ストランドのうちの少なくとも1つには、ルーメンが設けられている、請求項1記載のステント。
【請求項8】
前記ストリップは、生分解性ストランド及び非生分解性ストランドから成り、前記生分解性ストランドは、前記生分解性ストランドが分解する際に治療効果をもたらすのに有効な薬剤を収容するよう形作られたルーメンを有する、請求項1記載のステント。
【請求項9】
前記ステントに設けられ、前記ステントを患者の管腔内に配置したときに前記ステントの位置情報を提供するのに有効な放射線不透過性マーカを更に有する、請求項1記載のステント。
【請求項10】
前記ストランドのうちの少なくとも1つは、放射線不透過性物質を含む、請求項1記載のステント。
【請求項11】
前記放射線不透過性物質は、炭素繊維を含む、請求項10記載のステント。
【請求項12】
前記ストランドのうちの少なくとも1つに沿って一体に形成された炭素繊維を更に有する、請求項1記載のステント。
【請求項13】
前記複数本のストランドは、生分解性の第1のストランド及び生分解性の第2のストランドを含み、前記第1のストランドは、前記第2のストランドとは異なる速度で分解する、請求項1記載のステント。
【請求項14】
前記ストランドの直径は、約0.75mmである、請求項1記載のステント。
【請求項15】
前記ストリップの幅は、約2.5mmであり、その厚さは、約0.75mmである、請求項1記載のステント。
【請求項16】
前記ストランドのうちの少なくとも1つは、直径が約20マイクロメートル〜約200マイクロメートルのルーメンを有する、請求項1記載のステント。
【請求項17】
前記ストリップのピッチは、約2.5mm〜約10mmである、請求項1記載のステント。
【請求項18】
前記ストリップのピッチは、約0.60mmである、請求項1記載のステント。
【請求項19】
前記螺旋ストリップの長さは、約25mm〜約30mmである、請求項1記載のステント。
【請求項20】
前記ストリップは、脈管管腔、尿道管腔、気管管腔又は鼻管腔内に配置されるように寸法決めされた螺旋に構成されている、請求項1記載のステント。
【請求項21】
前記ストリップは、外径が約2mm〜約10mmの管腔内に配置されるように螺旋に構成されている、請求項1記載のステント。
【請求項22】
前記螺旋ストリップは、稼働状態の第1の形態と弛緩状態の第2の形態との間で変形可能であり、前記ストリップが前記第1の位置を取ると、前記ストリップは、前記第2の形態に付勢されるようになっている、請求項1記載のステント。
【請求項23】
前記螺旋形態は、第1のピッチを備えたコイルを有する第1の部分と、第2のピッチを備えたコイルを有する第2の部分とを有し、前記第2のピッチは、前記第1のピッチとは異なる、請求項1記載のステント。
【請求項24】
前記ストランドは、互いに結合されている、請求項1記載のステント。
【請求項25】
コイル状ストリップにより構成された全体として螺旋の本体を有するステントであって、前記コイル状ストリップは、前記ストリップ内に設けられたルーメンを有する、ステント。
【請求項26】
前記ストリップは、実質的に平行な形態で互いに結合された複数本のストランドを含む、請求項25記載のステント。
【請求項27】
前記ストリップの一部は、生分解性である、請求項25記載のステント。
【請求項28】
前記ルーメン内に設けられた薬剤を更に含む、請求項25記載のステント。
【請求項29】
複数のルーメンを有する、請求項25記載のステント。
【請求項30】
前記ルーメン内に設けられた炭素繊維を更に含む、請求項25記載のステント。
【請求項31】
前記ストリップに設けられた放射線不透過性マーカを更に有する、請求項25記載のステント。
【請求項32】
第1の生分解性部分及び第2の生分解性部分を有し、各前記部分は、互いに異なる分解速度を有する、請求項25記載のステント。
【請求項33】
管腔内ステントの製造方法であって、
複数本のストランドを互いに全体として平行な形態に結合してストリップを形成する工程と、
前記ストリップを患者の管腔内に挿入されるように寸法決めされた螺旋に形成する工程とを有する、方法。
【請求項34】
前記複数本のストランドを結合する工程は、1本のストランドを別の1本のストランドに物理的に結合する工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記ストランドの温度がガラス転移点と融点との間に収まるようにする工程と、
前記ストランドを前記ストランドが押出機から出るときにマンドレルに巻き付ける工程と、
前記ストランドを冷却して前記ストランドが互いに結合するようにする工程とを更に有する、請求項33記載の方法。
【請求項36】
ルーメンを前記ストリップ中に形成する工程を更に有する、請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記ルーメンは、前記ストリップのストランド中に形成される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
薬剤を前記ストリップの前記ルーメン内に設ける工程を更に有する、請求項36記載の方法。
【請求項39】
炭素繊維を前記ストリップの前記ルーメン内に設ける工程を更に有する、請求項36記載の方法。
【請求項40】
前記ストランドの前記冷却は、前記ストランドを前記マンドレルに巻き付ける前に起こる、請求項35記載の方法。
【請求項41】
前記ストランドの前記冷却は、前記ストランドを前記マンドレルに巻き付けた後に起こる、請求項35記載の方法。
【請求項42】
前記ルーメン内に設けられたプラグを更に有する、請求項25記載のステント。
【請求項43】
前記プラグは、生分解性材料を有する、請求項42記載のステント。
【請求項44】
前記ルーメン内に設けられた複数個のプラグを有する、請求項42記載のステント。
【請求項45】
第1の速度で分解する生分解性材料で作られた第1のプラグ及び第2の速度で分解する生分解性材料で作られた第2のプラグを有する、請求項44記載のステント。
【請求項46】
前記プラグは、前記ステントが患者の体内に配置されているとき、前記ステント周りの血液の流れが前記プラグを前記ルーメンから変位させることができるよう前記ステントの前記本体に係合している、請求項43記載のステント。
【請求項47】
前記血液の流れは、前記プラグを前記ルーメンから押し出す、請求項46記載のステント。
【請求項48】
前記血液の流れは、前記プラグを前記ルーメンから引き出す、請求項46記載のステント。
【請求項49】
前記ストリップは、抗狭窄薬を含む、請求項25記載のステント。
【請求項50】
前記ストリップは、前記抗狭窄薬で被覆されている、請求項49記載のステント。
【請求項51】
前記ストリップは、前記ストリップの前記ルーメン内に設けられた抗狭窄薬を有する、請求項49記載のステント。
【請求項52】
前記ストリップは、抗狭窄薬で形成されている、請求項49記載のステント。
【請求項53】
前記ステントの前記ルーメン内に設けられた化学療法薬を更に有する、請求項25記載のステント。
【請求項54】
前記ステントは、前記ステントが血管内で種々の幅及び形状に合わせて変形できるのに有効な材料及び形状で作られている、請求項1又は25記載のステント。
【請求項55】
前記ステントは、第1の直径を備えた第1の部分及び第2の直径を備えた第2の部分を有し、前記第2の直径は、前記第1の直径とは異なる、請求項1又は25記載のステント。
【請求項56】
前記ステントは、血管内に配置されると、単一のストランドを有するステントと比較して大きな摩擦力をもたらすよう構成されている、請求項1記載のステント。
【請求項57】
少なくとも1本のストランドから延びる突出部材を更に有し、前記突出部材は、前記ステントを血管の壁に係合させることができる、請求項56記載のステント。
【請求項58】
前記突出部材は、クリート、リブ、スパイク及びフックを有する群から選択される、請求項57記載のステント。
【請求項59】
前記突出部材は、前記少なくとも1本のストランドと一体に形成されている、請求項57記載のステント。
【請求項60】
前記ステントは、でこぼこした表面微細構造を備える少なくとも1本のストランドを有する、請求項56記載のステント。
【請求項61】
前記螺旋形態は、血管の曲率に基づいて決定される、請求項1又は25記載のステント。
【請求項62】
前記ステントは、左巻きの螺旋形態を有する、請求項61記載のステント。
【請求項63】
前記ステントは、右巻きの螺旋形態を有する、請求項61記載のステント。
【請求項64】
患者の治療方法であって、
螺旋形態に構成されたストランドを含む管腔内ステント及び遠位端部が前記ステントに結合されたガイドワイヤを用意する段階と、
前記ステント及び前記ガイドワイヤを患者の血管の管腔内に挿入する段階と、
前記ガイドワイヤと前記ステントを結合解除する段階と、
前記ガイドワイヤを前記患者から抜去する段階とを有する、方法。
【請求項65】
前記管腔内ステントは、展性材料から成り、前記方法は、前記ステントを前記患者の前記管腔内に挿入する前に、前記ステントを押してこれを非螺旋形態にする段階を更に有する、請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記ステントは、カプロラクトン及びPLLAを含む、請求項65記載の方法。
【請求項67】
前記ステントは、生分解性材料を含む、請求項65記載の方法。
【請求項68】
前記方法は、前記ステントを動脈瘤の近くに位置する血管内へ挿入する段階を有する、請求項64記載の方法。
【請求項69】
前記方法は、前記ステントを口の大きな動脈瘤の近くまで挿入する段階を有する、請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記ガイドワイヤは、前記ステントに結合されている、請求項64記載の方法。
【請求項71】
前記ガイドワイヤは、前記ステントに溶接されている、請求項70記載の方法。
【請求項72】
前記結合解除段階は、前記ガイドワイヤを加熱する段階を有する、請求項64記載の方法。
【請求項73】
前記ガイドワイヤの前記遠位端部を加熱する、請求項72記載の方法。
【請求項74】
前記方法は、前記ガイドワイヤを前記患者から抜去しながら前記ガイドワイヤを加熱する段階を有する、請求項72記載の方法。
【請求項75】
前記ステントは、第1のステントから成り、前記方法は、第2のステントを前記第1のステントの近くに挿入する段階を更に有する、請求項64記載の方法。
【請求項76】
前記第2のステントを前記第1のステントにより構成された前記螺旋内に挿入する、請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記ステントは、生分解性材料で作られた第1のステントから成り、前記方法は、第1のステントが分解した後に、第2のステントを前記第1のステントの近くに挿入する段階を更に有する、請求項64記載の方法。
【請求項78】
前記ステントを前記血管の血管壁に係合させる段階を更に有する、請求項64記載の方法。
【請求項79】
前記係合段階は、前記ステントを回転させて前記血管の前記管腔が拡大するようにする段階を有する、請求項78記載の方法。
【請求項80】
前記ステントは、収縮形態で挿入され、前記ステントが前記ガイドワイヤから結合解除されると、前記ステントは、拡張形態を取る、請求項64記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−503291(P2007−503291A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533692(P2006−533692)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/018489
【国際公開番号】WO2004/110502
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(503077877)サイトリ セラピューティクス インコーポレイテッド (32)
【出願人】(307000477)
【出願人】(307000488)
【Fターム(参考)】