説明

行動分析支援システム及び行動分析支援プログラム

【課題】容易な操作で行動分析に要する時間を短縮する行動分析ツールとして機能する行動分析支援システム及び行動分析支援プログラムを提供する。
【解決手段】ユーザの取得開始操作と取得終了操に応じて動画データを取得するデータ取得制御部50aと、取得中の画像に対してユーザによる付加情報の入力を受け付け、その入力された付加情報を画像に対応付ける付加情報処理部50eと、取得した複数の動画データのそれぞれの再生画像が付加情報とともに表示されるサムネイル画像を生成して一覧表示するサムネイル画像生成部50cとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像に基づいた行動分析ツールとして利用される行動分析支援システム及び行動分析支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
児童やスポーツ選手の行動分析のために、記録した動画像を利用する方法は周知である。取得された動画像データの編集を容易にするシステムは知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。しかし、例えば行動分析者が一人で動画像を撮影する場合、撮影機材の撮影の操作のために、撮影中に注目すべき行動に気付いても、その行動に関するメモをノートやパソコンに記録することは困難である。このため、撮影中に残しておきたいコメントを音声情報として記録する方法は既に知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−193934号公報
【特許文献2】特開2004−534458号公報
【非特許文献1】刑部育子、戸田真志、”Scene−Commentary Device: A Tool for the Immediate Reflection over Observed Episodes、 In Proceedings of World Conference on Educational Multimedia, Hypermedia and Telecommunication 2008”、 米国、 2008年、P.5635−5639
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、単に記録された動画像を再生して当該再生画像に基づいて分析を行う従来方法においては、動画像の見直し、重要な出来事の抽出、当該出来事の文字情報化、及び分析結果の生成、といった作業が必要となり、分析結果が生成されるまでに一般に記録時間の約10倍の時間がかかる。特に、記録時間が長い場合は、重要な出来事の抽出のために記録された動画像を一から見直さなければならず、分析者の負担は多大となる。一方、音声情報を動画像と共に記録する方法は、記録される情報量に限りがあり、また、多くの被写体が撮影されている場合、動画像と音声情報との対応関係が直観的にわかりにくいため、音声情報の確認のために動画像を何度も再生しなければならないといった問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、容易な操作で行動分析に要する時間を短縮する行動分析ツールとして機能する行動分析支援システム及び行動分析支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の手段により上述した課題を解決する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】
本発明の行動分析支援システム(1)は、所定の動体の動画データを取得する動画取得部(2)と、前記動画取得部によって取得された動画データを記憶する画像記憶部(40a)と、複数のサムネイル画像が一覧表示されるサムネイル表示領域と、所定の動画データの再生画像が表示される再生表示領域とを有する画像表示部(10)と、前記動画取得部によって取得される動画データに関する処理を制御する制御部(50)と、ユーザの操作に対応した操作信号を前記制御部へ送る操作入力部と、を備えた行動分析支援システムであって、前記制御部は、ユーザによる取得開始操作と取得終了操作に応じて前記動画データを前記動画取得部を介して取得するデータ取得制御部(50a)と、前記動画取得部によって取得中の動画データを再生して前記再生表示領域に表示する動画再生部(50d)と、前記再生表示領域に表示された画像に対して視覚的に付加する付加情報のユーザによる入力を受け付け、その入力された付加情報を前記表示された画像に対応付ける付加情報処理部(50e)と、前記取得開始操作と前記取得終了操作に応じて取得された前記動画データ毎に、前記付加情報と共に取得画像データとして前記画像記憶部に記憶するデータ記憶制御部(50b)と、前記画像記憶部に記憶された各動画データの再生画像を縮小したサムネイル画像を生成して前記サムネイル表示領域に一覧表示するサムネイル画像生成部(50c)と、を有し、前記サムネイル画像生成部は、前記再生画像において、前記付加情報が対応付けられた画像とともにその付加情報を表示する、ことにより上記の課題を解決する。
【0007】
本発明の行動分析システムによれば、まず、データ取得制御部により、各動画データは、ユーザの取得開始操作及び取得終了操作に応じて取得されるので、ユーザは所望のタイミングで動画データの取得開始及び終了のタイミングを指定することができる。従って、ユーザは、被分析者がいる現場で留意すべきシーンのみを動画データとして取得しておくことができる。そして、付加情報処理部によって再生中の画像に対してユーザによって入力された付加情報を対応付けることができ、付加情報はデータ記憶制御部によって動画データとともに取得画像データとして記憶される。更に、サムネイル画像生成部によって、取得された複数の動画データのそれぞれはサムネイル画像として一覧表示され、当該再生時には付加情報も対応する画像とともに再生される。
【0008】
「表示された画像に視覚的に付加する付加情報」は、所定の画像上に付加可能な周知の視覚的情報でであればよく、例えば、再生表示領域に表示される画像に対してタッチペン等による手書き入力情報や、当該画像の任意の位置に対してキーボード等によって入力するテキスト情報等がある。特に、手書き入力を採用した場合は、ユーザは動画の取得中にその取得している画像上にメモ書きをする感覚で付加情報を任意の位置に容易に入力することができる。更に、一連の動画データを取得した後は、各動画データのサムネイル画像を一覧して見ることができる。各サムネイル画像では留意すべき行動のシーンがメモ書きとしての付加情報付きで再生されるので、動画取得時の記憶を思い出しやすく、また、各行動の関連性や特徴も見出しやすくなる。ユーザは行動の特徴を文字ではなく実際の行動シーンである複数の動画像を一度に見て分析できるので、特に分析者の直観や経験に基づいた分析を支援することができる。
【0009】
「所定の動体」は動きのあるものであればよく、人、生物、物など問わない。付加情報を特定の画像に対応付ける態様には、例えば、動画データを構成する複数の画像フレームのうち対応付けるべき画像の画像フレームに対して付加情報を対応付ける場合と、動画データの再生を開始してから対応付けるべき画像が表示されるまでの再生経過時間に付加情報を対応付ける場合とがある。操作入力部は、マウス、キーボート等のユーザが直接操作する操作部材から発信される操作信号を受け付けて制御部へ送る構成であればよい。
【0010】
前記動画再生部は、前記サムネイル表示領域に表示された複数のサムネイル画像の中から、ユーザによって選択されたサムネイル画像に対応する動画データを再生して前記再生表示領域に表示してもよい。
【0011】
これにより、サムネイル画像の一覧から所望の動画データを選択して、当該動画データを再生表示領域に表示させることができる。再生表示領域に表示された画像に対しては付加情報処理部により付加情報を付加することができるので、例えば、動画データ取得後に十分検討した分析内容を付加情報として付加することができる。行動内容を文字で表現することなく取得した画像を利用して分析内容を付加できるため、行動分析を行うユーザの負担を軽減化することができる。
【0012】
前記各取得画像データの動画データには、少なくとも1つのレイヤーを対応付け可能であり、前記付加情報処理部は、前記付加情報が入力される際に前記表示された画像にレイヤーを対応付け、その対応付けられたレイヤーに前記付加情報を設定して前記画像記憶部に記憶し、前記動画再生部及び前記サムネイル画像生成部は、前記画像を再生する際に、前記表示された画像と共に、その画像に対応付けられたレイヤーに設定された付加情報を、前記再生表示領域に表示してもよい。
【0013】
これにより、付加情報をレイヤー構造にて動画データに対応付けることができる。レイヤー毎に同じ表示タイミングで表示されるべき付加情報を設定しておけば、レイヤー単位で付加情報の表示タイミングを制御することができる。また、時間経緯に従って、異なるレイヤーを設定可能であるので、時々刻々変化する出来事に対応したメモ書きをすることができる。
【0014】
前記サムネイル表示領域及び前記再生表示領域を合わせた全体領域の少なくとも一部の領域に表示する画像に関する情報である領域画像情報を記憶する領域画像記憶部(40c)と、前記領域画像情報は少なくとも1つの領域レイヤーにて構成され、前記制御部は、前記少なくとも一部の領域に対応付けられた領域レイヤーを設定し、前記少なくとも一部の領域に対してユーザによって入力される領域付加情報を、前記領域レイヤーに設定して前記領域画像情報として記憶する領域付加情報設定部(50)と、ユーザによって前記領域レイヤーが指定されると、前記領域画像記憶部を参照して、前記領域レイヤーに設定された前記領域付加情報を、前記領域レイヤーが対応する前記少なくとも一部に表示する領域レイヤー表示制御部(50)とを有してもよい。
【0015】
これにより、再生表示領域及びサムネイル表示領域上に領域レイヤーを設定でき、再生表示領域及びサムネイル表示領域を問わず、自由にコメントの設定やメモ書きをすることができる。例えば、複数のサムネイル画像間の関連性を示す情報や再生表示領域に表示されている動画像といずれかのサムネイル画像との関連性を示す情報を領域付加情報として手書き入力することができ、ユーザの操作に応じて画像表示部に表示させることができる。領域レイヤーと少なくとも一部の領域との対応付けは、例えば、ユーザの操作によって当該領域が設定されてもよいし、予め、所定の領域に対応付けられた複数種類の領域レイヤーが用意されていてもよい。領域付加情報が入力される方法は、全体領域における任意の位置に領域付加情報が入力できる方法であればよく、例えば、タッチペン等により直接所望の位置に手書き入力される方法や、入力位置を指定して入力すべき領域付加情報がキーボードによって入力される場合とがある。
【0016】
前記付加情報はテキスト情報と前記テキスト情報を配置する位置情報で構成され、 前記制御部は、前記ユーザによって、所望のキーワードが指定されると、前記テキスト情報を検索して、前記キーワードを含むテキスト情報が対応付けられた動画データを検出する検出部(50)を更に有し、前記サムネイル画像生成部は、前記検出部によって検出された動画データから前記サムネイル画像を生成して前記サムネイル表示領域に表示してもよい。
【0017】
これにより、複数の動画データを取得した場合であっても、所望のキーワードと関連のある動画データの検索を容易にすることができる。検索された動画データはサムネイル画像として一覧されるため、所望の1つのサムネイル画像を選択すれば、動画再生部により、選択されたサムネイル画像に対応する動画データの再生画像を再生表示領域に表示することができる。
【0018】
また、前記付加情報は、手書き入力操作の軌跡情報であり、前記動画再生部及び前記サムネイル画像生成部は、前記画像フレームに対応する画像の表示とともに、前記軌跡情報に従った表示を開始してもよい。
【0019】
前記データ取得制御部は、ユーザによりスタンバイ操作があると、前記動画取得部によってバックグラウンド動画データの取得を開始して前記画像記憶部に記憶し、前記取得終了操作があると、前記バックグラウンド動画データのうち、前記取得開始操作がされた時から所定時間遡った時から前記取得終了操作がされた時までに対応する部分を、前記動画データとして取得してもよい。
【0020】
これにより、取得開始操作時の所定時間前からの動画データが取得画像データとして記憶されるため、取得開始操作が遅れた場合であっても、所定時間前からの行動を動画データとして取得することできる。従って、行動観察者が特徴のある行動に気付いてから取得開始操作を行うまでのタイムラグを解消することができる。
【0021】
本発明の行動分析支援プログラムは、所定の動体の動画データを取得する動画取得部と、前記動画取得部によって取得された動画データを記憶する画像記憶部(40a)と、複数のサムネイル画像が一覧表示されるサムネイル表示領域と、所定の動画データの再生画像が表示される再生表示領域とを有する画像表示部(3)と、前記動画取得部によって取得される動画データに関する処理を制御する制御部(50)と、ユーザの操作に対応した操作信号を前記制御部へ送る操作入力部と、を備えたコンピュータを機能させる行動分析支援プログラムであって、前記制御部を、ユーザによる取得開始操作と取得終了操作に応じて前記動画データを前記動画取得部を介して取得するデータ取得制御部(50a)と、前記動画取得部によって取得中の動画データを再生して前記再生表示領域に表示する動画再生部(50d)と、前記再生表示領域に表示された画像に対して視覚的に付加する付加情報のユーザによる入力を受け付け、その入力された付加情報を前記表示された画像に対応付ける付加情報処理部(50e)と、前記開始操作と前記終了操作に応じて取得された前記動画データ毎に、前記付加情報と共に取得画像データとして前記画像記憶部に記憶するデータ記憶制御部(50b)と、前記画像記憶部に記憶された各動画データの再生画像を縮小したサムネイル画像を生成して前記サムネイル表示領域に一覧表示するサムネイル画像生成部(50c)と、して機能させ、前記サムネイル画像生成部に、前記再生画像において、前記付加情報が対応付けられた画像とともにその付加情報を表示させることにより、上記の課題を解決する。本発明の行動分析支援プログラムを、コンピュータに実行させることにより、行動分析支援システムとして実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
上述したように、本発明によれば、ユーザの操作に応じて所定の動体の動画データを取得し、取得中の画像における任意の位置に対してユーザによる付加情報の入力を受け付け、その入力された付記情報を前記位置を示す位置情報とともに付加情報として画像に対応付け、取得された複数の動画データのサムネイル画像を一覧表示し、各サムネイル画像では付加情報とともに再生画像が表示されることにより、容易な操作で行動分析に要する時間を短縮する行動分析ツールとして機能する行動分析支援システム等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の行動分析支援システム1の構成の一例を示す図である。行動分析支援システム1は、カメラ2と、モニタ3aを有するタブレットPC3と、マウス4とで構成される。タブレットPC3に情報を入力する方法には、マウス4によるマウス入力と不図示のキーボードによるキー入力がある。カメラ2は小型なハンディカメラが望ましく、また、カメラ2及びマウス4はタブレットPCに対して無線接続される態様が好適である。
【0024】
なお、本形態では、マウス4の操作に基づいて動作する仮想ペンによる入力が可能である。これにより、マウス4は、タッチパネルとしてのモニタ3aに手書き入力可能なタッチペンの代替手段として機能する。以下、マウス4の位置をモニタ3a上の位置に対応させた位置情報を「マウス座標」という。本形態では、カメラ2によって動体としての複数の児童の行動を記録し、行動分析支援システム1が児童の行動分析支援ツールとして使用される場合について説明する。
【0025】
まず、本形態のモニタ3aに表示される基本画面10について図2を用いて説明する。基本画面10は、カメラ2によって記録中の動画データの再生画像が表示される再生表示領域10aと、複数のサムネイル画像11…11が一覧表示されるサムネイル表示領域10bと、処理ボタン領域10cとで構成される。再生表示領域10aには記録中の動画データの再生画像又は記録した動画データの再生画像が表示される。各サムネイル画像11には、取得された複数の動画データのそれぞれが縮小化された状態で再生表示される。処理ボタン領域10cには複数の処理ボタンが表示され、目的の処理ボタンにポイントをあわてマウス4をクリックすることにより目的の処理ボタンが選択される。以下、再生表示領域10aとサムネイル表示領域10bを合わせた領域を全体領域10dという。
【0026】
本形態の動画データは、ユーザにより記録開始操作がされてから記録終了操作がされるまでに取得される動画像のデータを1つの単位としたデータである。従って、図3が示すように、記録開始操作SO1から記録終了操作EO1までに記録された動画データは動画データAD1として生成され、記録開始操作SO2から記録終了操作EO2までに記録された動画データは動画データAD2として生成され、記録開始操作SO3から記録終了操作EO3までに記録された動画データは動画データAD3として生成され、記録開始操作SO4から記録終了操作EO4までに記録された動画データは動画データAD4として生成される。動画データAD1〜動画データAD4のそれぞれは、サムネイル画像11としてサムネイル表示領域10bに生成された順に順次表示される。図3の例では、再生表示領域10aに、記録中の動画データAD5の再生画像が表示されている。なお、サムネイル表示領域10bに表示されたサムネイル画像11のうち、ユーザにより選択されたサムネイル画像11の再生画像も再生表示部10aに表示させることができる。
【0027】
以下、記録開始操作SO1〜SO4を区別する必要がない時は、「記録開始操作SO」といい、記録終了操作EO1〜EO4を区別する必要がない時は、「記録終了操作EO」といい、動画データAD1〜AD4を区別する必要がない時は、「動画データAD」という。
【0028】
本形態においては、動画を記録する際に、まずスタンバイ開始操作SSOが要求される。スタンバイ開始操作SSOが行われると、行動分析支援システム1はスタンバイ状態となり、バックグランドでの動画データAD(以下「バックグランド動画データADback」という。)の記録を開始する。そして、スタンバイ終了操作SEOがあるまでバックグランド動画データADbackを記録し続ける。一方、ユーザによって記録開始操作SOがあると、記録開始操作SOから記録終了操作EOまでに対応するバックグランド動画データADbackを動画データADとして生成する。なお、本形態では、記録開始操作SOがされたタイミングよりも約15秒前から記録終了操作EOがされるまでのバックグランド動画データADback を取得された動画データADとする。これにより、重要シーンが観察者に認識されて実際に記録開始操作SOが行われるまでのタイムラグを解消することができる。
【0029】
記録中または編集中に再生表示部10aに表示された画像(以下「表示画像」という。)に対して、ユーザは覚書きや注意点等を記した付加情報を付加することができる。当該付加情報について図4及び図5を用いて説明する。付加情報には、手書き入力により入力される手書き情報とキーボードを介してキー入力により入力されるコメントがある。まず、手書き情報について図4を用いて説明する。行動分析支援システム1では、上述したようにマウス4の操作により、表示画像に対して仮想ペンによる手書き入力が可能である。図4では、再生表示領域10aに表示される表示画像D1に対して、“たくやくんつよい口調”の手書き情報Hが付加情報として手書き入力された状態が示されている。この手書き機能は既存の手書き入力システムを採用すればよい。手書き入力機能により、文字列だけでなく所望の記号や図形を手書き情報Hとして表示画像D1の任意の位置にメモ書きの感覚で入力可能である。このように、手書き入力機能は、特に記録中の表示画像に対するメモ書き機能として有効である。なお、仮想ペンの太さ、色等の属性は任意に設定可能である。
【0030】
キー入力によって入力されるコメントの例を図5に示す。行動分析支援システム1では、図5に示すようなコメントC1〜C3を付加情報として表示画像D2に付加することができる。以下、コメントC1〜C3を特に区別する必要がない時は「コメントC」という。本形態のコメントCは、所定の位置に配置されたコメント枠20にコメント内容21が表示される構成である。コメント内容21はキーボードのキー入力により設定することができ、コメント枠20の色、形状、透過性、位置等の属性は任意に設定可能である。
【0031】
上述した付加情報は、サムネイル画像11の再生時にも対応する画像とともに再生される。従って、例えば、ユーザはサムネイル表示領域10bに表示されている複数のサムネイル画像11の手書き情報Hを手掛かりにして分析すべき行動の画像を探し、当該画像に対応する動画データADを再生表示領域10aにて再生させて、手書き情報Hに基づいた行動に関するコメントCを後から付加することができる。なお、コメントC1に示すように、コメント内容21として、サムネイル画像11を設定することも可能である。当該設定は、言葉では表現しにくい行動態様や言葉では助長になる行動態様に対して有効である。
【0032】
付加情報が動画データADの画像に対応付けられる態様について説明する。本形態では、動画データADに対応付けられる付加情報はレイヤー構造を有している。手書き情報H及びコメントC1〜C2のそれぞれは、例えば、図6に示すように各レイヤーL1〜L2に設定される。各レイヤーL1〜L2、対応する付加情報が入力された画像に対応付けられる。例えば、手書き情報Hが設定されたレイヤーL1は、手書き情報Hが画像I1(D1)に対して入力されたため、動画データADの画像I1(D1)から表示され、レイヤーLは、コメントC1〜C3が画像I2(D2)に対して入力されたため、画像I2(D2)から表示されるように設定されている。また、所定の操作により手書き情報Hが画像I3にて消去されるように設定されたため、レイヤーL1は画像I1〜画像I3までの部分に対応付けられている。これにより、レイヤーL1に設定された手書き情報Hは、動画データADの画像I1(D1)〜画像I3が再生される際に再生画像とともに再生表示領域10aに表示される。
【0033】
このように、各レイヤーL1〜L2を動画データADにおける所望の画像に対応付けることにより、コメントCや手書き情報HNの描画及び消去のタイミングを任意に設定することができる。以下、レイヤーL1〜レイヤーL2を区別する必要のない時はレイヤーLという。図6の例では、コメントC1〜C3は同じレイヤーL2に設定されているが、各コメントC1〜C3を異なるタイミングで入力し、例えばレイヤーL3にコメントC2、レイヤーL4にコメントC3を設定することもできる。これにより再生時にはコメントC1、コメントC2、コメントC3が順次表示されるようになる。
【0034】
動画データADの画像に対応付けられた複数のレイヤーLの階層構造は、図6に示すように、後から入力された付加情報が設定されたレイヤーが上層となるように構成されるが、レイヤー順位は既存の画像処理システムにおけるレイヤー構造と同様に変更可能としてもよい。以下、動画データADにおいて、付加情報の表示が開始される画像を表示開始画像、当該表示が終了する画像を表示終了画像というときがある。
【0035】
行動分析支援システム1のハードウェア構成の概略について図7を用いて説明する。行動分析支援システム1は、カメラ2、モニタ3、マウス4、キーボード5、データ記憶部40、及び制御部50で構成される。制御部50はCPU及びその動作に必要な記憶域を含みコンピュータとして構成され、主に、データ取得制御部50a、データ記憶制御部50b、サムネイル画像生成部50c、動画再生部50d、及び付加情報処理部50eとして機能する。
【0036】
データ記憶部40には、カメラ2によって取得された動画データADに関する情報である取得画像データ60が記憶された画像データ記憶部40a、本発明を実現するためのコンピュータプログラム等が記憶されたプログラム記憶部40b、及び全体領域10dに対応付ける画像に関する領域画像情報70が記憶された領域画像記憶部40cが含まれる。取得画像データ60について図8を用いて説明する。取得画像データ60は動画データAD毎に生成されるデータである。本形態の取得画像データ60においては、動画データADの識別情報である動画ID61に対して、動画データADと、記録時情報62と、付加再生情報63が対応付けられている。記録時情報62は動画データADが記録された日時を示す情報である。
【0037】
付加再生情報63には、動画データADに対応付けられた各レイヤーL1〜L2に対応するレイヤー1情報64a〜レイヤー2情報64bが対応付けられている。以下、レイヤー1情報64a〜レイヤー2情報64bを区別する必要のない時は「レイヤー情報64」という。レイヤー情報64には、設定情報と付加情報とが含まれる。設定情報には、動画データADにおいてレイヤーLが対応付けられる画像部分(以下「対応部分」という。)、及び階層順位等のレイヤー自体の設定情報が設定される。本形態では、対応部分は動画データADを構成する画像フレームによって設定される。例えば、レイヤーL1の設定情報の場合は、動画データADにおける画像I1に対応する画像フレームから画像I3に対応する画像フレームまでが対応部分として設定される。
【0038】
付加再生情報には、コメントCに関するコメント情報COM及び/又は手書き情報Hに関する情報である手書き入力情報HNDが設定される。本形態では、レイヤー1情報64aの付加情報に手書き情報Hに関する手書き入力情報HND1が対応付けられ、レイヤー2情報64bの付加情報にコメントC1〜C3に関するコメント情報COM1〜COM3が対応付けられている。以下、コメント情報COM1〜COM3を区別する必要のない時は「コメント情報COM」という。
【0039】
手書き入力情報HNDは、仮想ペンの軌跡を示す手書き軌跡情報及び消しゴムの軌跡を示す消しゴム軌跡情報で構成される。手書き軌跡情報は、座標配列情報とペン情報とで構成される。ペン情報は仮想ペンの太さ、色等を示す情報である。座標配列情報は、手書き入力の軌跡をマウス座標の配列として示す情報である。消しゴム軌跡情報は座標配列情報と消しゴム情報とで構成される。座標配列情報は、消しゴム入力の軌跡をマウス座標の配列として示す情報である。消しゴム情報は消しゴムの幅を示す情報である。
【0040】
コメント情報COMは、コメント枠情報とコメント内容情報とで構成される。コメント枠情報は、コメント枠20の大きさ、色、形状、位置等を示す情報であり、コメント内容情報は、コメントとして表示する内容である。テキスト情報だけでなく、サムネイル画像11の識別情報も設定可能である。なお、1つのレイヤー情報64の付加情報に、手書き入力情報HND及びコメント情報COMを設定することも可能である。
【0041】
以下、動画の記録時に行われる記録時処理について、図9のフローチャートに従って説明する。本形態では、表示画像D1にて手書き情報Hが入力された場合について説明する。まず、ステップS100にて、スタンバイ開始操作SSOの有無が判断される。例えば、基本画面10の処理ボタン領域10cにおけるスタンバイ開始用ボタンを選択することにより、スタンバイ開始操作SSOがあったと判断される。ステップS100が否定判断された時は、記録時処理を終了し、肯定判断された時は、ステップS105に進む。ステップS105では、スタンバイ状態が開始される。スタンバイ状態とは、上述したように、バックグランド動画データADbackの記録が開始される。バックグランド動画データADbackは、例えば、データ記憶部40に記憶されればよい。
【0042】
続いて、ステップS110にて、動画記録の開始か否かが判断される。ユーザにより記録開始操作SSOがあった時に動画記録の開始と判断される。本形態では、カメラの記録ボタンが押されると記録開始操作と判断される。ステップS110では、肯定判断されるまで記録開始操作待ち状態となり、肯定判断された場合はステップS115へ進み、記録処理が開始される。記録処理には、例えば、記録日時情報62の設定処理、及び記録開始のフラグを立てる処理等がある。また、記録開始操作後に取得されるバックグランド動画データADbackが再生されて再生表示部10aに表示される。続いて、ステップS120へ進み、手書き処理を開始するか否かが判断される。本形態では、マウス4の左ボタンが所定時間以上押下されると、手書き処理開始と判断される。
【0043】
ステップS120にて否定判断された時は、ステップS140へ進み、肯定判断された時は、ステップS125に進む。ステップS125では、手書き入力情報HND1が設定されるレイヤーL1が設定される。例えば、表示画像D1が表示された時にマウス4の左ボタンが所定時間以上押下された場合は、レイヤーL1の設定情報には表示画像D1に対応する画像I1の画像フレームが表示開始画像として設定される。また、階層順位には「1」が設定される。
【0044】
続いて、ステップS130に進み、手書き処理が行われる。手書き処理では、表示画像が拡大され、マウス4のドラッグ操作があると、マウス4の移動に伴って変化するマウス座標を座標配列情報として取得する。入力の際に表示画像が拡大されるため、手書き入力が容易である。手書き入力される際にマウス4が仮想ペンとして設定される場合は手書き入力軌跡情報が生成され、消しゴムとして設定される場合は消しゴム軌跡情報が設定される。なお、仮想ペンとしての太さや色の設定は、不図示の仮想ペン属性画面を開いて任意の時に設定することができる。ステップS135では、手書き処理が終了か否かが判断される。本形態では、マウス4の左ボタンが押下状態でなくなると、手書き処理が終了と判断される。ステップS135が肯定判断されない限り、手書き処理が継続され、肯定判断されると、ステップS140へ進む。
【0045】
ステップS140では、動画記録を終了するか否かが判断される。所定の記録終了操作があった時に、動画記録を終了すると判断される。例えば、カメラ2の記録終了ボタンを押すことにより、動画記録を終了すると判断される。ステップS140にて否定判断された時は、ステップS120へ戻り、肯定判断された時はステップS145へ進む。ステップS145では、取得画像データ60が生成される。取得画像データ60の動画データADには、記録開始時の約15秒前から記録終了時までに記録されたバックグランド動画データADbackが設定される。動画ID61には、動画データADに固有に付与される識別情報を設定する。
【0046】
付加再生情報63には、手書き処理にて生成された手書き入力情報HND1が付加情報として、設定情報と共にレイヤー1情報64aに設定される。手書き入力情報HND1は、ステップS130にて生成された手書き軌跡情報及び消しゴム軌跡情報を時系列に配列することにより生成される。ペン情報及び消しゴム情報は、所望の設定を記録時処理前に設定しておけばよい。なお、記録時情報62はステップS115にて設定される。生成された取得画像データ60はデータ記憶部40に記憶される。
【0047】
また、レイヤー1情報64aの設定情報において、表示終了画像としての画像フレームは、例えば、動画データの記録中に所定の消去操作(例えば、処理ボタン領域10cの所定ボタンの選択)を行ったタイミングに対応する画像フレームを設定すればよい。当該消去操作をしない場合は、取得された動作データADの最後の画像フレームを表示終了画像として設定情報に設定される。
【0048】
取得画像データ60の生成後、ステップS150に進み、動画データADに基づいてサムネイル画像11が生成され、サムネイル表示領域10bに表示される。その後、ステップS155に進み、スタンバイ状態を終了するか否かが判断される。スタンバイ終了操作SEOがあると、スタンバイ状態を終了すると判断される。例えば、基本画面10の処理ボタン領域10cにおけるスタンバイ終了用ボタンが選択されると、スタンバイ終了操作SEOと判断される。ステップS155にて、肯定判断された時は記録時処理を終了し、否定判断された時はステップS110に戻り、次の動作データの取得のための処理が行われる。記録時処理の終了時には、記録時処理にて生成された一連の取得画像データ60を1つの画像データ群として例えば、画像データ群を識別するデータ群識別情報が設定される。
【0049】
記録時処理の終了後、取得データ60を再生し、所望の画像にコメントCを付加することが可能である。動画データADにコメントCを付加する記録後処理について、図10のフローチャートに従って説明する。まず、ステップS200にて、サムネイル表示領域10bに表示されているサムネイル画像11から所望のサムネイル画像11を選択する。例えば、所望ののサムネイル画像11にポイントをあててマウス4のボタンをクリックすることにより、サムネイル画像11が選択される。続いてステップS205に進み、選択されたサムネイル画像11に対応する動画データADの再生が再生表示部10aにて開始される。次にステップS210にて画像ストップ操作があったか否かが判断される。ステップS210にて肯定判断されるまで、動画データADの再生状態が継続される。例えば、表示画像D2で画像ストップ操作がされた場合、ステップS210にて肯定判断され、ステップS215へ進む。
【0050】
ステップS215ではコメント生成操作の有無が判断される。例えば、処理ボタン領域10cのコメント生成用ボタンが選択されるとコメント生成操作があったと判断される。ステップS215にて肯定判断されるまで、画像ストップ状態が継続し、肯定判断されると、ステップS220に進んでコメント生成処理が行われる。コメント生成処理では、再生表示領域10aにてストップされた状態で表示されている表示画像D2に対して対応付けられるコメント情報COMが生成される。コメント生成処理については後述する。コメント生成処理が終了すると、ステップS225に進み、記録後処理を終了するか否かが判断される。所定の処理終了処理があった時は記録後処理を終了し、処理終了処理がない時はステップS205へ戻る。
【0051】
コメント生成処理において行われる処理について、図11のフローチャートに従って説明する。本形態では、レイヤーL2に対応付けられたコメント情報COM1〜COM3を生成するコメント生成処理について説明する。まず、ステップS300にて、コメント情報COM1が設定されるレイヤーL2が設定される。レイヤーL2のレイヤー2情報64bの設定情報に、再生表示領域10aに表示されている表示画像D2に対応する画像I2の画像フレームが表示開始画像として設定される。また、階層順位に「2」が設定される。ステップS310へ進み、基本画面10上にコメント編集画面が開かれる。コメント編集画面は、ユーザによりコメント情報COMのコメント内容情報及びコメント枠情報が設定可能なように構成された画面である。
【0052】
例えば、コメント編集画面に表示されたコメント内容情報設定用ボタンを選択することにより、コメント内容情報の設定状態となる。コメント内容情報として、キーボード5によってキー入力されるテキスト情報の他、サムネイル画像11が設定可能である。例えば、コメント内容情報の設定状態の時にサムネイル表示領域10bにおいて所望のサムネイル画像11がマウス4で選択されると、選択されたサムネイル画像11に対応する動画ID61がコメント内容情報に設定される。
【0053】
コメント枠情報には、コメント枠20の色、大きさ、透明度、形状、位置等を設定することができる。例えば、コメント編集画面に表示されたコメント枠情報設定ボタンを選択すると、コメント枠情報の現在の設定状態が表示され、所望の項目を変更することができる画面が表示される。続いて、ステップS320にて、終了操作の有無が判断される。たとえば、コメント編集画面において「OK」ボタンが選択された時、終了操作があったと判断される。
【0054】
ステップS320にて肯定判断されるまで、コメント編集画面にてコメント情報の設定処理が可能であり、例えば、コメントC1と同様にコメントC2及びコメントC3を入力すればよい。ステップS320にて肯定判断された時はステップS330へ進む。ステップS330では、コメント編集画面にて設定されたコメント内容情報及びコメント枠情報で構成されるコメント情報COM1、コメント情報COM2、及びコメント情報COM3が生成され、レイヤー2情報64bに追加される。コメント情報COM1〜COM3の生成後、ステップS340へ進み、レイヤー描画処理が行われる。レイヤー描画処理では、処理対象のレイヤーLに設定された付加情報が再生される。レイヤー描画処理については後述する。レイヤー描画処理の終了後、コメント生成処理を終了する。なお、本形態のコメント生成処理では、レイヤーL2の設定情報に表示終了画像を設定しないため、表示終了画像として、処理対象の動画データADの最終画像I6の画像フレームが設定される。表示終了画像を設定するときは、例えば、ステップS300のレイヤー設定時に、レイヤーL1と同様の消去操作を行うことにより、レイヤーL2の設定情報に所望の表示終了画像を設定してもよい。
【0055】
なお、コメント生成後に、特定のレイヤーLを指定することにより、レイヤーLに対応付けられたコメント情報COMを再生表示領域10aに表示させ、処理対象のコメントを選択することにより、コメント編集画面にて対応するコメント情報COMの設定変更を行うことがでできる。また、再生表示領域10aに表示されているコメントCをマウス4でドラッグすることにより、コメントCの位置を移動させることも可能である。更に、手書き入力も、例えば、ステップS215にて否定判断された後に、手書き入力開始操作の有無を判断し、手書き入力開始操作があった時は、手書き入力操作を受け付け、手書き入力情報HNDを生成する処理を設けてもよい。
【0056】
レイヤー描画処理について図12のフローチャートに従って説明する。レイヤー描画処理は、処理対象のレイヤーLに対応付けられている付加情報、即ち手書き情報H及び/又はコメントCが描画される際に行われる処理である。なお、手書き情報HやコメントCが更新された場合は、更新された領域を検出して、当該領域のみに対して、レイヤー描画処理が行われる。
【0057】
まず、ステップS400にて、処理対象のレイヤーに手書き入力情報HNDが対応付けられているか否かが判断される。ステップS400にて否定判断された時は、ステップS450へ進み、肯定判断された時はステップS405へ進む。以下、ステップS405〜ステップS440は手書き入力情報HNDを描画するための処理である。ステップS405では、手書き入力情報HNDに含まれる消しゴム軌跡情報を参照することにより、全ての消しゴム領域を無効状態に設定する。消しゴム領域とは、ユーザが仮想消しゴムを移動させた領域であり、消しゴム軌跡情報に設定されている領域である。無効状態とは、手書き軌跡情報により、手書き入力の軌跡情報が存在する領域であっても当該軌跡が描画されない状態をいう。
【0058】
次に、ステップS410にて、手書き入力情報HNDに含まれる軌跡情報をすべて処理したか否かが判断される。ステップS410にて肯定判断された時は手書き入力情報HNDは表示済みと判断し、ステップS450へ進む。ステップS410にて否定判断された時は、ステップS420へ進み、軌跡情報の種類を判別する。手書き軌跡情報の場合は、ステップS430へ進んで手書き軌跡を描画する。なお、この場合、無効領域には手書き軌跡は描画されない。
【0059】
ステップS420にて、消しゴム軌跡情報と判別された時は、ステップS440に進み、処理対象の消しゴム軌跡情報に対応する消しゴム領域の無効状態を解除する。無効状態を解除するとは、解除された後は、手書き入力の軌跡情報に基づいて手書き入力が描画される状態に戻ったことをいう。ステップS430又はステップS440の処理終了後、次の軌跡情報について処理を行うためにステップS410へ戻る。
【0060】
ステップS450では、コメント情報COMが処理対象のレイヤーLに対応付けられているか否かが判断される。ステップS450にて否定判断された時は、レイヤー描画処理を終了し、肯定判断された時はステップS455へ進み、コメント描画処理が行われる。コメント描画処理では、処理対象のレイヤーLに対応付けられたコメント情報COMに基づいて、コメントCを表示する。コメントCの表示後、レイヤー描画処理を終了する。
【0061】
更に、行動分析システム1においては、図13に示すように、サムネイル領域10bにおいて、サムネイル画像11間の関連性に関するメモ書き情報M1や、表示画像とサムネイル画像11との関連性に関するメモ書きM2を入力することも可能である。本形態では、再生表示領域10aとサムネイル表示領域10bとを合わせた全体領域10dの少なくとも一部の領域に、表示情報を対応付けられるレイヤーLa(以下「領域レイヤーLa」という。)を設定可能である。所定の領域に設定された領域レイヤーLaにメモ書きM1、M2を設定することにより、メモ書きM1、M2を設定した領域10d上に表示させることができる。本形態では、全体領域10dに対応付けられた領域レイヤーLaにメモ書きM1、M2を設定する領域レイヤー処理について図14に示すフローチャートに従って説明する。領域レイヤー処理は制御部50によって制御される。
【0062】
領域レイヤー処理は、記録後処理において領域レイヤー処理を開始する操作がユーザによってされることにより開始される。例えば、処理ボタン領域10cにおける領域レイヤー処理開始用ボタンが選択されると領域レイヤー処理の開始と判断される。なお、領域レイヤー処理は、制御部50によって制御される。領域レイヤー処理では、まず、ステップS500にて、全体領域10d上に対応付けられた領域レイヤーLaを設定する。当該設定は、例えばユーザが所望の領域をマウス4で指定することにより、設定されてもよいし、予め全体領域10dに対応付けられた領域レイヤーLaが用意されていてもよい。続いてステップS510にて、領域付加情報入力処理が行われる。本形態の領域付加情報入力処理では、ユーザによる手書き入力操作を受け付け、当該手書き入力操作に基づいて、メモ書きM1、M2のそれぞれに対応する手書き入力情報HNDが生成される。
【0063】
なお、領域付加情報入力処理では、コメントCの入力を受け付けてコメント情報COMが生成されてもよい。次に、ステップS520にて生成された領域付加情報としての手書き入力情報HNDを領域レイヤーLaに設定する。領域レイヤーLaに対応する領域と手書き入力情報HNDとが設定された情報は、領域画像情報70として領域画像記憶部40cに記憶される。これにより、制御部50は領域付加設定部として機能する。
【0064】
以後、例えば、ユーザによって、領域レイヤー表示開始操作が行われ、領域画像情報70が指定されると、制御部50によって領域画像情報70が参照され、領域レイヤーLaに対応付けられた手書き入力情報HNDに基づいてメモ書きM1、M2が全体領域10d上に描画される。これにより、制御部50は領域レイヤー表示制御部として機能する。このように、サムネイル画像11間の関係や表示画像とサムネイル画像11との関係を手書き入力操作によって簡単に入力することができ、当該関係を後からでも確認することができる。領域画像情報70の指定は、例えば、領域画像情報70に対応するファイル名を指定すればよい。
【0065】
最後に、行動分析支援システム1における検索機能について説明する。行動分析支援システム1においては、キーワードで検索することにより、キーワードに関連した動画データADを集めることができる。当該検索機能を実現する検索処理について図15に示すフローチャートに従って説明する。検索処理はユーザによって所定の検索開始操作がされることにより開始される。なお、検索処理は制御部50によって制御される。
【0066】
まず、ステップS600にて、検索キーワードを設定する。例えば、検索開始操作をすることにより、検索キーワード入力画面が表示され、当該画面に入力すればよい。次に、ステップS610に進み、画像データ記憶部40aに記憶された取得画像データ60群に対して、設定された検索キーワードを有するコメント内容情報を検索する。これにより、制御部50は検索部として機能する。検索対象の取得画像データ60群は、画像データ記憶部40aに記憶されているすべての取得画像データ60であってもよいし、所望の画像データ群のデータ群識別情報を指定することにより、当該識別情報にて対応付けられた取得画像データ60群であってもよい。続いて、ステップS620では、検索された各コメント内容情報について、対応する動画データADを抽出し、サムネイル画像11にしてサムネイル表示領域10bに表示する。
【0067】
このように、検索処理によって、所望のキーワードに関する動画データADをサムネイル表示領域10bに一覧することができ、ユーザは、一覧表示された複数のサムネイル画像11間の関連性を分析したり、更に所望の動画データADを選択して再生表示領域10aに表示させ、当該動画データADの動画に基づいた分析処理を進めることができる。
【0068】
なお、キーワード設定において、コメント枠の色が指定されることにより、コメント情報COMのコメント枠情報が検索され、指定された色のコメント枠が設定されたコメント枠情報を有するコメント情報COMが対応付けられた動画データADが検索されてもよい。更に、例えば仮想ペンの色を指定することにより、手書き入力情報HNDのペン情報が検索され、指定された色に設定されたペン情報を有する手書き入力情報HNDが対応付けられた動画データADが検索されてもよい。
【0069】
本発明は上述の形態に限らず種々の形態にて実施されてよい。例えば、タッチパネルを備えたタブレットPCの場合、タッチペンにより手書き入力操作を行ってもよい。この場合、マウス4の左ボタン押下操作はタッチペンで画面に触れる操作に対応し、マウス4の移動はタッチペンを画面上で移動させる操作に対応し、マウス4の左ボタン押下を解除する操作はタッチペンを画面から離す操作に対応する。また、記録後処理において記録された動画データADの所望箇所を削除する機能を備えてもよい。
【0070】
本形態では、スタンバイ開始操作SSOからスタンバイ終了操作SEOがあるまでに取得された複数の動画データADのそれぞれが、サムネイル表示領域10bの各サムネイル画像11として表示されるが、サムネイル画像11に表示される動画データADを動画ID61によって指定可能なように構成し、動画データADを取得した時間や場所とは関係なくサムネイル領域10bに表示できるように設定してもよい。また、記録中、再生中にユーザの操作により特定の画像を静止画としてキャプチャーするキャプチャー機能をを備えていてもよい。行動分析の対象者は、スポーツ選手、所定の作業を行う作業員や患者等であってもよい。また、動物や移動体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の行動分析支援システムの構成の一例を示す図。
【図2】モニタに表示される基本画面の一例を示す図。
【図3】取得される動画データと基本画面との関係を示す図。
【図4】表示画像に手書き入力されたようすを示すフローチャート。
【図5】表示画像にコメントが入力されたようすを示すフローチャート。
【図6】動画データに対応付けられる付加情報のレイヤー構造を示すフローチャート。
【図7】図1に示す行動分析支援システムのハードウェア構成の概略を示す図。
【図8】取得画像データのデータ構造を示す図。
【図9】記録時処理において行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図10】記録後処理において行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図11】コメント生成処理において行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図12】レイヤー描画処理において行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図13】領域付加情報が全体領域に入力されたようすを示す図。
【図14】領域レイヤー処理において行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図15】検索処理において行われる処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0072】
1 行動分析支援システム
2 カメラ(画像取得部)
3 モニタ(画像表示部)
4 マウス
5 キーボード
40 データ記憶部
40a 画像データ記憶部
50 制御部
50a データ取得制御部
50b データ記憶制御部
50c サムネイル画像生成部
50d 動画再生部
50e 付加情報処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の動体の動画データを取得する動画取得部と、
前記動画取得部によって取得された動画データを記憶する画像記憶部と、
複数のサムネイル画像が一覧表示されるサムネイル表示領域と、所定の動画データの再生画像が表示される再生表示領域とを有する画像表示部と、
前記動画取得部によって取得される動画データに関する処理を制御する制御部と、
ユーザの操作に対応した操作信号を前記制御部へ送る操作入力部と、
を備えた行動分析支援システムであって、
前記制御部は、
ユーザによる取得開始操作と取得終了操作に応じて、前記動画データを前記動画取得部を介して取得するデータ取得制御部と、
前記動画取得部によって取得中の動画データを再生して前記再生表示領域に表示する動画再生部と、
前記再生表示領域に表示された画像に対して視覚的に付加する付加情報のユーザによる入力を受け付け、その入力された付加情報を前記表示された画像に対応付ける付加情報処理部と、
前記取得開始操作と前記取得終了操作に応じて取得された前記動画データ毎に、前記付加情報と共に取得画像データとして前記画像記憶部に記憶するデータ記憶制御部と、
前記画像記憶部に記憶された各動画データの再生画像を縮小したサムネイル画像を生成して前記サムネイル表示領域に一覧表示するサムネイル画像生成部と、を有し、
前記サムネイル画像生成部は、前記再生画像において、前記付加情報が対応付けられた画像とともにその付加情報を表示する、ことを特徴とする行動分析支援システム。
【請求項2】
前記動画再生部は、前記サムネイル表示領域に表示された複数のサムネイル画像の中から、ユーザによって選択されたサムネイル画像に対応する動画データを再生して前記再生表示領域に表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の行動分析支援システム。
【請求項3】
前記各取得画像データの動画データには、少なくとも1つのレイヤーを対応付け可能であり、
前記付加情報処理部は、前記付加情報が入力される際に前記表示された画像にレイヤーを対応付け、その対応付けられたレイヤーに前記付加情報を設定して前記画像記憶部に記憶し、
前記動画再生部及び前記サムネイル画像生成部は、前記画像を再生する際に、前記表示された画像と共に、その画像に対応付けられたレイヤーに設定された付加情報を、前記再生表示領域に表示する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の行動分析支援システム。
【請求項4】
前記サムネイル表示領域及び前記再生表示領域を合わせた全体領域の少なくとも一部の領域に表示する画像に関する情報である領域画像情報を記憶する領域画像記憶部と、
前記領域画像情報は少なくとも1つの領域レイヤーにて構成され、
前記制御部は、前記少なくとも一部の領域に対応付けられた領域レイヤーを設定し、前記少なくとも一部の領域に対してユーザによって入力される領域付加情報を、前記領域レイヤーに設定して前記領域画像情報として記憶する領域付加情報設定部と、
ユーザによって前記領域レイヤーが指定されると、前記領域画像記憶部を参照して、前記領域レイヤーに設定された前記領域付加情報を、前記領域レイヤーが対応する前記少なくとも一部に表示する領域レイヤー表示制御部とを有する、ことを特徴とする請求項1〜3のずれか1項に記載の行動分析支援システム。
【請求項5】
前記付加情報はテキスト情報と前記テキスト情報を配置する位置情報で構成され、
前記制御部は、前記ユーザによって所望のキーワードが指定されると、前記テキスト情報を検索して、前記キーワードを含むテキスト情報が対応付けられた動画データを検出する検出部を更に有し、
前記サムネイル画像生成部は、前記検出部によって検出された動画データから前記サムネイル画像を生成して前記サムネイル表示領域に表示することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の行動分析支援システム。
【請求項6】
前記付加情報は、手書き入力操作の軌跡情報であり、
前記動画再生部及び前記サムネイル画像生成部は、前記画像フレームに対応する画像の表示とともに、前記軌跡情報に従った表示を開始する、ことを特徴とする請求項5に記載の行動分析支援システム。
【請求項7】
前記データ取得制御部は、ユーザによりスタンバイ操作があると、前記動画取得部によってバックグラウンド動画データの取得を開始して前記画像記憶部に記憶し、前記取得終了操作があると、前記バックグラウンド動画データのうち、前記取得開始操作がされた時から所定時間遡った時から前記取得終了操作がされた時までに対応する部分を、前記動画データとして取得する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の行動分析支援システム。
【請求項8】
所定の動体の動画データを取得する動画取得部と、
前記動画取得部によって取得された動画データを記憶する画像記憶部と、
複数のサムネイル画像が一覧表示されるサムネイル表示領域と、所定の動画データの再生画像が表示される再生表示領域とを有する画像表示部と、
前記動画取得部によって取得される動画データに関する処理を制御する制御部と、
ユーザの操作に対応した操作信号を前記制御部へ送る操作入力部と、
を備えたコンピュータを機能させる行動分析支援プログラムであって、
前記制御部を、
ユーザによる取得開始操作と取得終了操作に応じて、前記動画データを前記動画取得部を介して取得するデータ取得制御部と、
前記動画取得部によって取得中の動画データを再生して前記再生表示領域に表示する動画再生部と、
前記再生表示領域に表示された画像に対して視覚的に付加する付加情報のユーザによる入力を受け付け、その入力された付加情報を前記表示された画像に対応付ける付加情報処理部と、
前記取得開始操作と前記取得終了操作に応じて取得された前記動画データ毎に、前記付加情報と共に取得画像データとして前記画像記憶部に記憶するデータ記憶制御部と、
前記画像記憶部に記憶された各動画データの再生画像を縮小したサムネイル画像を生成して前記サムネイル表示領域に一覧表示するサムネイル画像生成部と、して機能させ、
前記サムネイル画像生成部に、前記再生画像において、前記付加情報が対応付けられた画像とともにその付加情報を表示させる、
ことを特徴とする行動分析支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図4】
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【図5】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−129146(P2010−129146A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305080(P2008−305080)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(305013910)国立大学法人お茶の水女子大学 (32)
【Fターム(参考)】