説明

行動判定装置、行動判定システム、端末装置、行動判定方法、及びプログラム

【課題】センサの取り付け方に関して制約を受けず、且つ、判定対象が上下方向に移動する場合であっても精度良く行動判定を行い得る、行動判定装置、行動判定システム、端末装置、行動判定方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】行動判定装置10は、加速度センサ2が出力したセンサデータに基づいて測定対象の行動を判定するため、センサデータから時間窓データを切り出す時間窓切出部11と、特徴量を算出する特徴量算出部12と、特徴量に基づいて測定対象の行動を判定する行動判定部16とを備える。特徴量算出部12は、時間窓データからピーク情報を抽出し、ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、センサデータにおける2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切出し、ピーク間データから、特徴量として、測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物等の行動を判定するために用いられる、行動判定装置、行動判定システム、端末装置、行動判定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人物によって携帯または装着されているセンサを用いて、その人物の行動をセンシングし、得られたセンサデータから、測定対象となった人物(対象者)の行動を判定することで、健康管理または情報推薦等を行うサービスが、試みられている。また、このようなサービスの試みは、年々増加している。
【0003】
上述のサービスを行うために利用されるセンサとしては、加速度センサが挙げられる。加速度センサを用いて対象者の行動を判定する場合、加速度センサは、固定された位置で、対象者によって携帯される、または対象者の身体に装着される。そして、行動判定においては、先ず、得られた加速度センサデータから一定時間分のデータが切り出され、切り出されたデータから特徴量が算出される。次に、算出された特徴量と、予め設定された閾値とを比較し、両者の関係から、対象者の実際の行動が判定される。一般的には、「歩行」、「走行」、「階段昇降」といった判定対象となる複数の行動のうち、いずれに当たるかが判定される。以後、「歩行」、「走行」、「階段昇降」といった、移動を伴う行動を総称して「行動」と呼ぶこととする。
【0004】
このような一般的な行動を判定するシステムの例を開示する文献として、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、対象者の腰部に固定した加速度センサを用いて、対象者の「歩行」または「階段上昇」などの行動を判定するシステムが開示されている。特許文献1に開示されたシステムは、加速度センサデータから、対象者が行動したときに生じる振動の振動強度と重心の移動とを求めることで、対象者の行動を判別する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、対象者は、センサを指定された位置に装着するか、または装着位置をシステムの管理者に明示的に申告するか、する必要がある。このように、決められた位置にセンサを装着したり、装着位置を申告したり、することは、対象者にとって不便であり、負担である。
【0006】
一方、特許文献1に開示されたシステムにおいて、対象者のセンサ装着位置が不明であると、振動強度と重心の移動とだけから、対象者の行動を判定する必要があり、この場合、行動判定の精度は著しく低下し、判定は困難となる。なぜならば、加速度センサデータの値の大きさは、同じ行動であっても、対象者がセンサを装着する位置に応じて異なるからである。従って、特許文献1に開示されたシステムを用いる場合は、判定精度の点から、対象者のセンサ装着位置を明確にする必要性がある。
【0007】
また、その他、特許文献2は、加速度センサデータのピーク情報を用いて、対象者の上下方向(鉛直方向)における移動を判定するシステムの例を開示している。「ピーク情報」とは、加速度センサデータの山なり形状の頂点に関する情報である。なお、本明細書において、以後、センサデータの山なり形状の頂点を「ピーク」と呼ぶこととする。
【0008】
一般に、人が足を一歩踏み出すごとに、身体に装着した加速度センサデータにピークが現われることが知られている。ピーク値の大小は、加速度センサの装着位置によって異なるが、ピークの発生が足の接地を表すことは、装着位置によらない事実である。従って、ピークの発生の有無と、その発生間隔とを用いることにより、足の接地の有無及び接地の周期、即ち、対象者の移動の有無と、その歩調とを、センサの装着位置によらずに得ることができる。
【0009】
このような原理に基づき、特許文献2に開示されたシステムは、対象者が装着した加速度センサデータのピークを求め、求めたピークとピークとの間における上下方向の加速度を積分する。そして、特許文献2に開示されたシステムは、得られた積分値が、正負のいずれの値を取るかを判断することにより、対象者の上下方向の移動、即ち、階段昇降行動などを判定する。
【0010】
しかしながら、特許文献2に開示されたシステムには、判定精度が低いという問題がある。なぜならば、対象者の行動に伴って発生する加速度データには、様々な要因で発生するノイズ成分が含まれており、それらの影響を無視することができないからである。つまり、対象者が行動する際に発生するノイズ成分は、加速度センサデータにおいて、上下方向にランダムな偏りを生じさせる。このため、加速度センサデータの上下方向の積分値の正負又はその大小関係だけから、上昇、下降、及び平地移動を区別することは困難であり、判定精度は著しく低下する。
【0011】
また、特許文献2に開示されたシステムは、上下方向の移動行動の変化点を検出し、変化点以降はその行動が持続するとみなして、対象者の行動を判定する。これは、特許文献2に開示されたシステムでは、移動中の上下方向の加速度の積分値はほぼ0(ゼロ)に等しい、とみなされているからである。
【0012】
しかしながら、このような前提は、上下方向の移動が等速運動であるという仮定に等しく、現実の移動行動と必ずしも一致しない。さらに、この前提の下では、変化点の誤検出が起きたときに、それ以降の行動判定が全て誤判定となる。そして、長時間の測定では、このような誤判定の影響が蓄積するため、判定精度を著しく低下させる恐れがある。
(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−075428号公報
【特許文献2】特開2006−170879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上のように、特許文献1に開示されたシステムには、センサの取り付け方に制約が存在するため、対象者に不便及び負担を強いるという問題が存在し、更に、この問題の解決を図ろうとすると、判定精度の低下が生じてしまう。また、特許文献2に開示されたシステムには、特に、対象者の上下方向の移動の判定において、ノイズ成分の影響を除去できないために、判定精度が低いという問題が存在している。
【0015】
本発明の目的は、上記問題を解消し、センサの取り付け方に関して制約を受けず、且つ、判定対象が上下方向に移動する場合であっても精度良く行動判定を行い得る、行動判定装置、行動判定システム、端末装置、行動判定方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明における行動判定装置は、加速度センサが出力した時系列のセンサデータに基づいて測定対象の行動を判定する行動判定装置であって、
前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、時間窓切出部と、
前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量を算出する、特徴量算出部と、
前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、行動判定部と、
を備え、
前記特徴量算出部は、前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出し、前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切出し、そして、前記ピーク間データから、前記特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ことを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明における行動判定システムは、測定対象の行動に応じて時系列のセンサデータを出力する加速度センサと、前記センサデータに基づいて前記測定対象の行動を判定する行動判定装置とを備え、
前記行動判定装置は、前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、時間窓切出部と、前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量を算出する、特徴量算出部と、前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、行動判定部とを備え、
前記特徴量算出部は、前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出し、前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切出し、そして、前記ピーク間データから、前記特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ことを特徴とする。
【0018】
更に、上記目的を達成するため、本発明における端末装置は、
測定対象の行動に応じて時系列のセンサデータを出力する加速度センサと、
前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、時間窓切出部と、
前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量を算出する、特徴量算出部と、
前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、行動判定部と、
を備え、
前記特徴量算出部は、前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出し、前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切出し、そして、前記ピーク間データから、前記特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ことを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明における行動判定方法は、加速度センサが出力した時系列のセンサデータに基づいて測定対象の行動を判定するための方法であって、
(a)前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、ステップと、
(b)前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出する、ステップと、
(c)前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切り出す、ステップと、
(d)前記ピーク間データから、前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ステップと、
(e)前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、ステップと、
を有することを特徴とする。
【0020】
また、上記目的を達成するため、本発明におけるプログラムは、コンピュータによって、加速度センサが出力した時系列のセンサデータに基づいた測定対象の行動の判定を実行するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、ステップと、
(b)前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出する、ステップと、
(c)前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切り出す、ステップと、
(d)前記ピーク間データから、前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ステップと、
(e)前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、センサの取り付け方に関して制約を受けず、且つ、判定対象が上下方向に移動する場合であっても精度良く行動判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、人物の移動時における身体に生じる上下動を概略的に示す図であり、図1(a)は人物が平地を歩行している時、図1(b)は人物が階段を昇っている時、図1(c)は人物が階段を降りている時を示している。
【図2】図2は、本発明における「浮き度」を説明するための図であり、センサデータの一例を示している。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1における行動判定装置及び行動判定システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、特徴量として加速度分散値を用いたときの判定ルールの一例を示す図である。
【図5】図5は、特徴量としてピーク間隔を用いたときの判定ルールの一例を示す図である。
【図6】図6は、特徴量として浮き度(ピーク間深さ面積)を用いたときの判定ルールの一例を示す図である。
【図7】図7は、特徴量として加速度分散値を用いたときの判定ルールの他の例を示す図である。
【図8】図8は、特徴量としてピーク間隔を用いたときの判定ルールの他の例を示す図である。
【図9】図9は、特徴量として浮き度(ピーク間深さ面積)を用いたときの判定ルールの例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態1における端末装置及び行動判定装置の他の例を示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態1における行動判定装置の動作を示す流れ図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態2における行動判定装置及び行動判定システムの構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2で用いられる判定ルールの一例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2における行動判定装置の動作を示す流れ図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態3における行動判定装置及び行動判定システムの構成を示すブロック図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態3における行動判定装置の動作を示す流れ図である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態4における行動判定装置の構成を示すブロック図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態4においてユーザに判定結果の正否の入力を求める際の端末装置の画面の一例を示す図である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態4において学習後に変更された判定ルールの一例を示す図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態4における行動判定装置の動作を示す流れ図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態5における行動判定装置及び行動判定システムの構成を示すブロック図である。
【図22】図22は、本発明の実施の形態5における行動判定装置の動作を示す流れ図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態1〜5におけるプログラムを実行可能なコンピュータの一例を示すブロック図である。
【図24】図24は、実施例1において加速度センサが出力したセンサデータの一例を示す図である。
【図25】図25は、実施例2において加速度センサが出力したセンサデータの一例を示す図である。
【図26】図26は、実施例2において用いられる判定ルールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(本発明の概要)
本発明は、測定対象、例えば、人物の一方の足が接地してから、次の一歩によって他方の足が接地するまでの間に加速度センサから出力された、センサデータに現われる特徴を用いる。そして、本発明は、センサデータに現われる特徴から、測定対象に定常的に作用している鉛直方向の加速度(代表的には重力加速度)が、減少している状態を捉え、この状態の発生度合いを用いて行動を判定する。このため、本発明では、加速度センサの取り付け方に関して制約を受けることなく、測定対象が上下方向に移動する場合であっても精度良く行動を判定することができる。
【0024】
ここで、図1及び図2を用いて、本発明の原理について説明する。図1は、人物の移動時における身体に生じる上下動を概略的に示す図であり、図1(a)は人物が平地を歩行している時、図1(b)は人物が階段を昇っている時、図1(c)は人物が階段を降りている時を示している。図2は、本発明における「浮き度」を説明するための図であり、センサデータの一例を示している。
【0025】
図1(a)〜(c)に示すように、人物において、移動時には、足の上げ下げに伴う身体の上下動が発生する。そして、階段昇降などの上下方向の移動時(図1(b)及び(c)参照)では、平地歩行時(図1(a))と比較して、足を大きく上げる、又は大きく下ろす動作が発生する。
【0026】
これらの足の上げ下げ動作の仕方は、階段の昇りによる移動、階段の降りによる移動、平地移動の各動作の間で異なり、この動作間の相違は、一方の足を踏み出してから、次の一歩によって他方の足が地面に着くまでの間に、身体にかかる鉛直方向における加速度の減少の発生度合いで特徴づけることができる。一般に、平地移動、階段の昇りによる移動、階段の降りによる移動の順に、鉛直方向における加速度が減少する度合いが大きい傾向がある。そして、鉛直方向における加速度が減少している状態にあるとき、人物はその重心において浮遊感を感じる。言い換えると、人物は、いわゆる宙に浮いているような感覚となる。
【0027】
ところで加速度センサには、定常的に鉛直方向において加速度が作用している。定常的に鉛直方向に作用する加速度の代表的なものとして、例えば重力加速度が挙げられる。ここで、定常的に作用する加速度として重力加速度だけを考えた場合、その加速度の大きさは「1G」である。従って、加速度センサが、1G以下の値を示すセンサデータを出力したときは、この加速度センサの測定対象となる人物は浮遊感を感じることになる。つまり、このとき、加速度センサは、宙に浮いている状態とみなすことができる。
【0028】
従って、鉛直方向における加速度が減少している状態の発生度合いは、一方の足が接地してから他方の足が接地するまでの間において、例えば、1G以下のセンサデータが出力された時間がどれだけか、また1Gよりもどの程度小さいのか、によって特徴づけることができる。そして、一歩の踏み出しによる足の接地の時点は、加速度センサからのセンサデータのピークの発生時点とほぼ同期している。
【0029】
このため、例えば、定常的な加速度として重力だけを考えると、測定対象にかかる鉛直方向の加速度が減少している状態の発生度合いは、図2に示す特徴量(斜線部分)によって表すことができる。具体的には、例えば、図2に示すように、ピーク間の1G以下の領域の面積(図2中の斜線部分の面積)は、測定対象にかかる鉛直方向の加速度が減少している状態の発生度合いを示している。よって、図2中の斜線部分の面積の程度から、測定対象が、階段を昇っているのか、階段を降っているのか、平地を移動しているのかを判定することができる。
【0030】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における、行動判定装置、行動判定システム、端末装置、行動判定方法、及びプログラムについて、図1〜図11を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態1における行動判定装置及び行動判定システムの構成について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1における行動判定装置及び行動判定システムの構成を示すブロック図である。
【0031】
図1に示す行動判定装置10は、加速度センサ2が出力した時系列のセンサデータに基づいて測定対象の行動を判定する装置である。行動判定システム100は、行動判定装置10を備えている。図1に示すように、行動判定装置10は、時間窓切出部11と、特徴量算出部12と、行動判定部16とを備えている。
【0032】
時間窓切出部11は、センサデータから、設定された時間長の時間窓データの切り出しを行う。特徴量算出部12は、測定対象の行動評価の指標となる特徴量を算出する。また、特徴量算出部12は、特徴量を算出するため、ピーク抽出部13と、ピーク間データ切出部14と、浮き度算出部15とを備えている。
【0033】
特徴量算出部12において、ピーク抽出部13は、時間窓切出部11が切り出した時間窓データから、時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出する。ピーク間データ切出部14は、ピーク抽出部13が抽出したピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分を、ピーク間データとして切り出す。
【0034】
浮き度算出部15は、ピーク間データ切出部14が切り出したピーク間データから、特徴量として、測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを算出する。また、加速度の設定値は、例えば、重力加速度の値(1G)に設定される。但し、加速度の設定値は、1Gに限定されるわけではなく、測定対象の状況等に応じて適宜設定される。
【0035】
行動判定部16は、特徴量、特には、「測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合い」に基づいて、測定対象の行動を判定する。また、本実施の形態1では、後述するように、行動判定部16は、「測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合い」に加え、それ以外の特徴量も用いて、測定対象の行動を判定することもできる。
【0036】
このように、行動判定装置10では、特徴量として「測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合い」を用いて、測定対象、例えば、人物の行動を判定することができる。そして、先に述べたように「測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合い」は、測定対象が移動中に浮遊感を感じている状態の発生度合いに相当する。
【0037】
従って、行動判定装置10によれば、加速度センサの取り付け方に関して制約を受けることなく、測定対象が上下方向に移動する場合であっても精度良く行動を判定することができる。また、以降において、「測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合い」を「浮き度」と呼ぶ。
【0038】
ここで、更に具体的に、行動判定装置10及び行動判定システム100の構成について説明する。図1に示すように、本実施の形態1では、行動判定システム100は、行動判定装置10と、端末装置1とを備えている。行動判定装置10は、サーバコンピュータによって構築されている。端末装置1の具体例としては、携帯電話等の人が携行する電子機器が挙げられる。端末装置1は、加速度センサ2と、データ取得部3と、出力装置4とを備えている。なお、図示されていないが、端末装置1には、キーボード、タッチパネル、又は両方といった入力装置も備えられている。
【0039】
データ取得部3は、加速度センサ2が出力する時系列のセンサデータを取得し、一定量のデータを保持する機能を備えている。また、データ取得部3は、加速度センサ2から取得したセンサデータを、行動判定装置10に送信するための通信機能も備えている。出力装置4は、例えば、ディスプレイ装置といった、行動判定の結果をユーザに示す装置である。
【0040】
このように、本実施の形態1における行動判定システム100では、加速度センサ2は、測定対象となる人物が持つ端末装置1(携帯電話)に搭載され、加速度センサ2が出力したセンサデータは、端末装置1の通信機能を使って行動判定装置10に送信される。そして、行動判定装置10として機能するサーバコンピュータが、行動判定を行い、その結果が、人物の持つ端末装置1に返され、出力装置4によってユーザに通知される。
【0041】
また、本実施の形態1では、行動判定装置1は、時間窓切出部11、特徴量算出部12、及び行動判定部16に加えて、出力部17を備えている。出力部17は、行動判定部16による判定の結果を外部(端末装置1)に出力する。本実施の形態11では、出力部17は、端末装置1と通信する機能を備えている。
【0042】
行動判定装置10において、時間窓切出部11は、上述したように、データ取得部3から出力されたセンサデータから、設定された時間長の時間窓データの切り出しを行い、切り出した時間窓データを、ピーク抽出を行うピーク抽出部13に出力する。
【0043】
また、本実施の形態1では、時間窓切出部11が切り出す時間窓データの時間長(時間窓長さ)は、1秒等のように予め決められている。本実施の形態1において、時間窓切出部11による時間窓データの切出しの仕方は特に限定されるものではない。ここで、時間窓切出部11が、ある特定の時刻において時間窓データを切り出すときに、例えば、時間窓を長さ1秒に設定して切り出す場合を考える。この場合、時間窓切出部11は、ある時刻を中心として、前後0.5秒ずつのデータを切出して、長さ1秒の時間窓データを切出しても良いし、ある時刻を時間窓の終端として、過去1秒分のデータを切出して、長さ1秒の時間窓を切出しても良い。
【0044】
更に、データ取得部3が、加速度センサ2から連続的にセンサデータを受信している場合は、時間窓切出部11は、連続的なセンサデータを、決められた長さの時間窓で分割することによって、時間窓データを切り出すこともできる。具体的には、時間窓切出部11は、1つめの時間窓を時刻0秒から時刻1秒に設定し、2つめの時間窓を時刻1秒から時刻2秒に設定し、設定した各時間窓で時間窓データの切り出しを行う。更に、この場合において、時間窓切出部11は、隣り合う時間窓が一定区間の重なり部分を持つように時間窓データを切り出すこともできる。例えば、時間窓切出部11は、1つめの時間窓を時刻0秒から時刻1秒に設定し、2つめの時間窓を時刻0.5秒から時刻1.5秒に設定することもできる。
【0045】
このように、時間窓切出部11による時間窓データの切出しの仕方には、異なる複数の態様が考えられる。本実施の形態1では、センサデータの状態、長さ等に応じて、適切な切り出し方が採用される。また、後述する他の実施の形態においても、上述した例と同様に、複数の切出しの仕方の中から適切なものが採用される。
【0046】
ピーク抽出部13は、上述したように、時間窓切出部11から与えられた時間窓データを用いて、それに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出する。本実施の形態1において、例えば、ピーク抽出部13は、1つの時間窓データ内の最大値を示すデータ点をピークと見なすことができる。ピーク情報は、1つの時間窓データ内から複数抽出されてもよく、また、ピークが存在しないときは、ピーク情報そのものが出力されない場合もある。ピーク情報には、ピークにおけるセンサデータの値(出力値)と時刻とが含まれる。
【0047】
また、ピーク抽出部13は、ピークの特定時に以下の条件を付して、ピーク抽出の精度を高めることもできる。例えば、ピーク抽出部13は、時間窓データ内の最大値のデータ点とその前後のデータ点それぞれとを直線で結んで折れ線を作成し、折れ線の形状が、最大値のデータ点を頂点とする上に凸の形状となれば、この最大値のデータ点をピークと見なすことができる。更に、ピーク抽出部13は、時間窓データ内の最大値の加速度が一定値以上となる場合、または時間窓データから算出された加速度分散値が一定値以上となる場合に、最大値のデータ点をピークと見なすこともできる。
【0048】
その他、ピーク抽出部13は、時間窓データ内の最大値のデータ点に加えて、2番目に大きい値のデータ点も特定し、得られた2つのデータ点について、上記の条件を適用し、どちらか一方をピークと見なすこともできる。更に、ピーク抽出部13は、得られた2つのデータ点の時間間隔が一定間隔以上離れていることを条件として、2番目に大きい値のデータ点をピークと見なすこともできる。
【0049】
また、本実施の形態1において、ピーク抽出部13におけるピーク抽出の仕方は、上述した態様に限定されるものではなく、測定対象の人物が一歩を踏み出したときの足の接地によって加速度センサデータに現われるピークが、精度良く取得できる仕方であれば良い。更に、後述する他の実施の形態においても、上述した例と同様に、複数の抽出の仕方の中から、適切なものが採用される。
【0050】
更に、本実施の形態1では、ピーク抽出部13は、上述した浮き度以外の特徴量を算出する。浮き度以外の特徴量としては、各時間窓データから得られる、平均値及び分散値といった統計量、尖度、歪度、FFTパワースペクトル、特定した2つのピーク間の間隔等が挙げられる。ピーク抽出部13は、浮き度以外の特徴量を算出した場合は、これを行動判定部16に出力する。
【0051】
ピーク間データ切出部14は、上述したように、ピーク抽出部13から得られたピーク情報に基づき、各ピークの発生時刻から、最新のピークと、その直前のピークとを特定する。そして、ピーク間データ切出部14は、データ取得部3から取得したセンサデータから、特定したピーク間のセンサデータを切り出す。また、ピーク間データ切出部14は、切り出したピーク間データを浮き度算出部15に出力する。
【0052】
本実施の形態1において、ピーク間データ切出部14におけるピーク間データの切り出しの仕方は、特に限定されるものではない。ここで、データ取得部3が、例えば、一定時間分のセンサデータを記憶する機能を備えている場合を考える。この場合は、ピーク間データ切出部14は、ピーク情報を基にして、データ取得部3から、ピーク間に該当する時間帯のセンサデータを取得することもできる。
【0053】
また、ピーク間データ切出部14は、それ自体がセンサデータを記憶する機能を備えていても良く、その場合は、データ取得部3から与えられた一定時間分のセンサデータを蓄積する。そして、ピーク間データ切出部14は、ピーク抽出部13から最新のピーク情報を取得すると、記憶しているセンサデータから、ピーク間に該当する時間帯のセンサデータの切り出しを行うことができる。更に、後に示す他の実施の形態においても、上述した例と同様に、複数の切出しの仕方の中から適切なものを採用することができる。
【0054】
浮き度算出部15は、上述したように、ピーク間データ切出部14から与えられたピーク間データを用いて、測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合い(浮き度)を算出する。また、浮き度算出部15は、算出した浮き度を行動判定部16に出力する。
【0055】
ここで、例えば、定常的に作用する加速度成分として重力だけが考えられ、加速度の設定値が重力加速度の値(1G)に設定されているとする。この場合、浮き度としては、図2に示したピーク間における1G以下の領域の面積(斜線部分)が挙げられる。浮き度算出部15は、ピーク間データの設定値以下(1G以下)となった部分を時間によって積分し、ピーク間における設定値以下の領域の面積(以下「ピーク間深さ面積」という。)を算出する。なお、設定値は1Gに限定されず、測定対象が存在する環境等に応じて適宜設定される。また、ピーク間深さ面積の具体的な算出処理については後述する。
【0056】
また、本実施の形態1では、浮き度は、ピーク間深さ面積に限定されるものではない。ピーク間深さ面積以外の例としては、ピーク間における設定値以下の領域の区間長さ、またはその領域における加速度センサデータの平均値等が挙げられる。更に、定常的に作用する加速度成分として、重力以外の加速度成分が想定されるときは、上述の「設定値」は、この想定される加速度成分を考慮して設定される。
【0057】
行動判定部16は、上述したように特徴量算出部12が算出した特徴量、具体的には浮き度に基づいて、測定対象の行動を判定することができる。本実施の形態1では、行動判定部16は、判定ルールに従い、測定対象の行動が予め想定された複数の行動のいずれに該当するかを、判定する。判定ルールとしては、浮き度として用いられるピーク間面積深さの値に、想定される行動毎に、閾値を設定し、閾値に基づいて行動判定部15に行動を判定させるルールが挙げられる(図6参照)。
【0058】
また、浮き度は、上述したように、測定対象が移動中に浮遊感を感じている状態の発生度合いに相当する。従って、浮き度に基づいた判定において想定される行動としては、鉛直方向における移動が大きい行動、例えば、階段の昇り、階段の降り、スキップ、ジャンプ、坂道の昇り、坂道の降り、等が挙げられる。
【0059】
また、本実施の形態1では、行動判定部16は、例えば、特徴量として、「浮き度」と、それ以外の特徴量とを用いて行動判定を行うこともできる。ここで、図4〜図6を用いて、行動判定部16が、「浮き度」、「加速度分散値」及び「ピーク抽出部13抽出した2つのピーク間の間隔(以下「ピーク間隔」とする)」に基づいて行動判定を行う例について説明する。また、以下の例において、予め想定される行動は、「止まる」、「走る」、「歩く」、「階段の昇り」、及び「階段の降り」の5つである。
【0060】
図4は、特徴量として加速度分散値を用いたときの判定ルールの一例を示す図である。行動判定部16は、特徴量として加速度分散値を取得すると、これを図4に示す判定ルールに当てはめ、測定対象の行動が「止まる」に該当するかどうかを判定する。図4の例では、分散値が4000[mG・mG]未満である場合に、行動判定部16は、測定対象の行動が「止まる」に該当すると判定する。一方、分散値が4000[mG・mG]以上である場合は、行動判定部16は、測定対象の行動が「移動(止まる以外の全ての行動を含む)」に該当すると判定する。
【0061】
図5は、特徴量としてピーク間隔を用いたときの判定ルールの一例を示す図である。行動判定部16は、特徴量としてピーク間隔を取得すると、これを図5に示す判定ルールに当てはめ、測定対象の行動が「走る」または「歩く」のいずれに該当するかを判定する。ピーク間隔は、測定対象となる人物の歩調を表しており、ピーク間隔が短くなると歩調も短くなり、人物が走っている可能性が高くなる。よって、図5の例では、ピーク間隔が500[msec]未満である場合に、行動判定部16は、測定対象の行動が「走る」に該当すると判定する。一方、ピーク間隔が500[msec]以上である場合は、行動判定部16は、測定対象の行動が「歩く」に該当すると判定する。
【0062】
図6は、特徴量として浮き度(ピーク間深さ面積)を用いたときの判定ルールの一例を示す図である。図6の例では、浮き度として、図2に示したピーク間深さ面積が用いられている。行動判定部16は、特徴量である浮き度としてピーク間深さ面積を取得すると、これを図6に示す判定ルールに当てはめ、測定対象の行動が「歩く(平地移動)」、「階段の昇り」または「階段の降り」のいずれに該当するかを判定する。
【0063】
図6の例では、ピーク間深さ面積が70[mG・sec]未満である場合に、行動判定部16は、測定対象の行動が「歩く(平地移動)」に該当すると判定する。また、ピーク間深さ面積が70[mG・sec]以上90[mG・sec]未満である場合に、行動判定部16は、測定対象の行動が「階段昇り」に該当すると判定する。更に、ピーク間深さ面積が90[mG・sec]以上150[mG・sec]未満である場合に、行動判定部16は、測定対象の行動が「階段降り」に該当すると判定する。具体的には、与えられたピーク間深さ面積が、例えば、85[mG・sec]であったとすると、行動判定部16は、図6に示す判定ルールから、測定対象の行動が「階段昇り」であると判定する。
【0064】
また、本実施の形態1においては、行動判定部16は、測定対象の行動を特定するため、図4〜図6に示した判定ルールを全て用いて、判定を行うこともできる。具体的には、行動判定部16は、先ず、加速度分散値を図4に示した判定ルールに適用する。次に、行動判定部16は、測定対象が止まっておらず、「移動」していると判定したときは、続けて、ピーク間隔を図5に示した判定ルールに適用する。次に、行動判定部16は、測定対象の行動が「歩く」であると判定したときは、続けて、ピーク間深さ面積を図6に示した判定ルールに適用する。
【0065】
行動判定部16が、図4〜図6に示した判定ルール全てを用いて、上述の処理を行った場合は、予め想定されている複数の行動候補の中から、ただ1つの行動が選択され、行動判定部16は、測定対象の行動が選択された行動であると判定する。その後、行動判定部16は、得られた判定結果を出力部17に出力する。
【0066】
また、本実施の形態1では、行動判定部16は、図4〜図6に示した判定ルール以外の判定ルールを用いて行動判定を行うこともできる。以下に、図7〜図9を用いて、行動判定部16による行動判定の他の例について説明する。
【0067】
図7〜図9に示す判定ルールが用いられた場合は、行動判定部16は、想定された行動毎に評価値を算出する。評価値は、測定対象の行動が、各ルールに対応する行動に該当する可能性を示している。なお、以下の例においても、予め想定される行動は、「止まる」、「走る」、「歩く」、「階段の昇り」、及び「階段の降り」の5つである。
【0068】
図7は、特徴量として加速度分散値を用いたときの判定ルールの他の例を示す図である。行動判定部16は、特徴量として加速度分散値を取得すると、これを図7に示す判定ルールに当てはめ、測定対象の行動が「止まる」に該当する可能性を示す評価値を算出する。図7に示すルールは、加速度分散値と「止まる」に該当する度合いとの関係を規定している。図7において縦軸の評価値は、測定対象の行動が「走る」に該当している度合いを、0から100までの数値で表している。
【0069】
図7より、「止まる」に該当する可能性を表す評価値をDs、加速度分散値をVとおくと、加速度分散値Vが0[mmG]以上4000[mmG]未満のとき、評価値Dsは下記の(数1)によって表される。また、Vが4000[mmG]以上のとき、評価値Dsは下記の(数2)によって表される。
【0070】
(数1)
Ds=−(1/40)×V+100
【0071】
(数2)
Ds=0
【0072】
図8は、特徴量としてピーク間隔を用いたときの判定ルールの他の例を示す図である。行動判定部16は、特徴量としてピーク間隔を取得すると、これを図8に示す判定ルールに当てはめ、測定対象の行動が「走る」または「歩く」に該当する可能性を示す評価値を算出する。図8に示すルールは、ピーク間隔と「走る」または「歩く」に該当する度合いとの関係を規定している。図8において縦軸の評価値は、測定対象の行動が「走る」または「歩く」に該当している度合いを0から100までの数値で表している。
【0073】
図8より、「歩く」に該当する可能性を示す評価値をDw、ピーク間隔をPとおくと、ピーク間隔Pが600[msec]以上3000[msec]未満のとき、評価値Dwは下記の(数3)によって表される。また、Pが600[msec]未満のとき、評価値Dwは下記の(数4)によって表される。更に、ピーク間隔が3000[msec]以上のとき、評価値Dwは下記の(数5)によって表される。
【0074】
(数3)
Dw=(−1/24)×P+125
【0075】
(数4)
Dw=100
【0076】
(数5)
Dw=0
【0077】
また、図8より、「走る」に該当する可能性を示す評価値をDrとおくと、「歩く」と同様に、ピーク間隔Pが300[msec]以上500[msec]未満のとき、評価値Drは下記の(数6)によって表される。また、ピーク間隔Pが300[msec]未満のとき、評価値Drは下記の(数7)によって表される。更に、ピーク間隔Pが500[msec]以上のとき、評価値Drは下記の(数8)によって表される。
【0078】
(数6)
Dr=−(1/2)×P+250
【0079】
(数7)
Dr=100
【0080】
(数8)
Dr=0
【0081】
図9は、特徴量として浮き度(ピーク間深さ面積)を用いたときの判定ルールの例を示す図である。図9の例でも、図6の例と同様に、浮き度として、図2に示したピーク間深さ面積が用いられている。行動判定部16は、特徴量である浮き度としてピーク間深さ面積を取得すると、これを図9に示す判定ルールに当てはめ、測定対象の行動が「階段の昇り」または「階段の降り」のいずれに該当するか、更にはいずれにも該当しないかを判定する。
【0082】
図9に示すルールは、ピーク間深さ面積と、「階段の昇り」または「階段の降り」に該当する度合いとの関係を規定している。図9において縦軸の評価値は、測定対象の行動が「階段の昇り」または「階段の降り」に該当している度合いを0から100までの数値で表している。また、図9に示すルールでは、ピーク間深さ面積が70[mG・sec]未満である場合、行動判定部16は、測定対象の行動が「階段の昇り」または「階段の降り」のいずれにも該当せず、「歩く(平地移動)」に該当すると判定する。
【0083】
図9より、「階段を昇る」に該当する可能性を示す評価値をDu、浮き度をFとおくと、浮き度Fが70[mG・sec]以上80[mG・sec]未満のとき、評価値Duは下記の(数9)によって表される。また、浮き度Fが80[mG・sec]以上90[mG・sec]未満のとき、評価値Duは下記の(数10)によって表される。さらに、浮き度Fが70[mG・sec]未満の場合、または90[mG・sec]以上の場合は、評価値Duは下記の(数11)によって表される。
【0084】
(数9)
Du=10×F−700
【0085】
(数10)
Du=−10×F+900
【0086】
(数11)
Du=0
【0087】
また、図9より、同様に「階段を降りる」に該当する可能性を示す評価値をDdとおくと、浮き度Fが90[mG・sec]以上120[mG・sec]未満のとき、評価値Ddは下記の(数12)によって表される。また、浮き度Fが120[mG・sec]以上150[mG・sec]未満のとき、評価値Ddは下記の(数13)によって表される。さらに、浮き度Fが90[mG・sec]未満の場合、または150[mG・sec]以上の場合は、評価値Ddは下記の(数14)によって表される。
【0088】
(数12)
Dd=(10/3)×F−300
【0089】
(数13)
Dd=−(10/3)×F+500
【0090】
(数14)
Dd=0
【0091】
本実施の形態1では、図7〜図9に示す判定ルールが用いられる場合、行動判定部16は、算出した評価値全てを行動判定の結果として出力しても良いし、評価値が例えば80以上の値を示した行動のみを行動判定の結果として出力しても良い。前者の場合は、各行動の度合いが同時に表示される。この場合、例えば、「歩く」と「走る」との度合いがそれぞれ50と50とであるとすると、この判定結果から、ユーザは、測定対象の行動は、「歩く」と「走る」との中間状態であると考えることができる。また、「走る」の度合いと「階段の昇り」の度合いとから、ユーザは、測定対象が走りながら階段を昇っている状況であると判断することもできる。
【0092】
また、図7〜図9に示す判定ルールが用いられる場合も、図4〜図6に示す判定ルールが用いられた場合と同様に、行動判定部16は、判定結果として、ただ1つの行動を選択することができる。具体的には、行動判定部16は、例えば、各行動の評価値のうち、最も高い評価値を示した行動を特定し、この行動を、行動判定の結果として選択することができる。
【0093】
なお、以上に述べた、判定ルールは、本実施の形態1のみならず、後に示す他の実施の形態についても、適用できる。他の実施の形態においても、行動判定部16は、上述した判定ルールの中から、目的に応じた適切な判定ルールを選択し、利用することができる。
【0094】
ところで、上述した例では、行動判定装置10は、加速度センサ2を搭載した端末装置1とは別の装置によって構築されているが、本実施の形態1では、行動判定装置10は、端末装置によって構築されていても良い。この例について図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態1における端末装置及び行動判定装置の他の例を示すブロック図である。図10の例では、行動判定装置10は、端末装置101の内部に構築されている。図10に示すように、本例では、図3に示された端末装置1と行動判定装置10との構成が、全て、端末装置101に備えられている。
【0095】
また、図3及び図10には図示されていないが、本実施の形態1は、図3に示された行動判定装置10がコンピュータ、特にパーソナルコンピュータによって構築された態様であっても良い。この態様では、更に、出力装置4は、このコンピュータに接続されたディスプレイ装置であっても良い。
【0096】
そして、このような態様とした場合、測定対象の人物は、加速度センサ2とデータ取得部3とを備えた装置を携帯することとなる。更に、このような態様とした場合、データ取得部3としては、加速度センサからリアルタイムにセンサデータを取得し、取得したセンサデータを行動判定装置10に無線通信によって送信する装置が挙げられる。また、データ取得部3は、加速度センサからのセンサデータを記憶し、測定の終了後に、記憶したセンサデータを行動判定装置10に転送する装置であっても良い。
【0097】
なお、以上に述べた装置態様は、実施の形態1のみならず、後に示す他の実施の形態についても、適用できる。他の実施の形態においても、行動判定装置10は、端末装置によって構築されていても良いし、コンピュータによって構築されていても良い。
【0098】
次に、本発明の実施の形態1における行動判定装置10の動作について図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態1における行動判定装置の動作を示す流れ図である。以下の説明においては、適宜図1〜図9を参酌する。また、本実施の形態1では、行動判定装置10を動作させることによって、行動判定方法が実施される。よって、本実施の形態1における行動判定方法の説明は、以下の行動判定装置10の動作説明に代える。なお、以下の説明は、行動判定装置10が、図1に示したように、サーバコンピュータによって構築されている場合について行う。但し、行動判定装置10が、端末装置、またはサーバコンピュータ以外のコンピュータによって構築されている場合も同様である。
【0099】
先ず、端末装置1のデータ取得部3が、加速度センサが出力した時系列のセンサデータを、時間窓切出部11に出力すると、図11に示すように、時間窓切出部11が、センサデータを取得する(ステップA1)。例えば、測定対象となる人物が、加速度センサ内蔵の携帯電話を携帯し、データ取得部3がその一部であった場合、センサデータは、携帯電話を通じて取得され、行動判定装置(サーバコンピュータ)10の時間窓切出部11へ送信される。また、ステップA1において、時間窓切出部11が取得するセンサデータは、デジタルデータであり、各データ点における出力値の集合によって構成されている。データ点は、一定時間毎に取得されている。
【0100】
次に、時間窓切出部11は、例えば1秒間などの予め決められた時間長さで、取得したセンサデータの切り出しを行い、切り出したセンサデータを、時間窓データとして、ピーク抽出部13に出力する(ステップA2)。
【0101】
次に、ピーク抽出部13は、時間窓切出部12から出力された時間窓データを用いて、時間窓データ内に存在するピークを特定するピーク情報を抽出する(ステップA3)。また、ステップA3では、ピーク抽出部13は、浮き度以外の特徴量、例えば、加速度分散値、及びピーク間隔を算出する。
【0102】
続いて、ピーク抽出部13は、ステップA3で抽出したピーク情報から、時間窓データ内に一歩の足の接地に該当するピークが存在しているかどうかを判定する(ステップA4)。ステップA4の判定の結果、存在していない場合は、再度、ステップA2及びA3が実行される。
【0103】
一方、ステップA4の判定の結果、存在している場合は、ピーク抽出部13は、ピーク情報をピーク間データ切出部14に出力し、ピーク間データ切出部14がステップA5を実行する。また、このとき、ピーク抽出部13は、算出した特徴量を行動判定部16に出力する。
【0104】
ステップA5では、ピーク間データ切出部14は、ピーク抽出部13から出力されたピーク情報に基づいて、最新のピークとその直前のピークとを特定し、これらのピーク間に該当する時間帯のセンサデータの切り出しを行う。また、ピーク間データ切出部14は、切出したピーク間データを、浮き度算出部15に出力する。
【0105】
次に、浮き度算出部15は、ピーク間データ切出部14から出力されたピーク間データを用いて浮き度を算出する(ステップA6)。例えば、浮き度としてピーク間深さ面積が用いられる場合、浮き度算出部15は、ピーク間データの設定値以下となった部分を時間によって積分し、ピーク間深さ面積を算出する。
【0106】
具体的には、本実施の形態1では、上述したようにセンサデータがデジタルデータであることから、浮き度算出部15は、以下の処理によって積分を行う。先ず、浮き度算出部15は、ピーク間データの1G以下の値の各データ点について、データ点の加速度の値と1Gと差を求め、そして、求めた1Gとの差の値全体の和を算出する。算出された和は、積分によって得られるピーク間深さ面積に相当する。また、浮き度算出部15は、算出した浮き度を行動判定部16に出力する。
【0107】
次に、行動判定部16は、ピーク抽出部13から出力された浮き度以外の時間窓特徴量と、浮き度算出部15から出力された浮き度とを用いて、行動判定を行う(ステップS7)。例えば、ピーク抽出部13が、特徴量として加速度分散値とピーク間隔とを算出している場合は、行動判定部16は、図4〜図6に示した判定ルール、または図7〜図9に示した判定ルールを用いて、測定対象の行動判定を行う。また、行動判定部16は、判定結果を出力部17に出力する。
【0108】
次に、出力部17は、行動判定部16から出力された判定結果を端末装置1へと送信する(ステップA8)。ステップA8が実行されると、端末装置1において、その出力装置(ディスプレイ装置)4が、送信された判定結果を、例えば、文字情報または画像情報として画面に表示する。また、出力部17は、図3には図示されていないが、行動判定装置10の記憶装置、及び端末装置1の記憶装置のいずれか、または両方に、判定結果を出力しても良い。
【0109】
以上のステップA1〜A8の処理は、例えば、1秒間に1回等のように定期的に、またはデータ取得部3から加速度センサデータが新しく出力される度に、等のように決められた間隔で繰り返し実行される。端末装置1のユーザは、行動判定装置10において、ステップA1〜A8の処理が実行される度に、新しい判定結果を得ることができる。
【0110】
また、本発明の実施の形態1におけるプログラムは、サーバコンピュータまたはパーソナルコンピュータといったコンピュータに、図11に示すステップA1〜A8を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態1における行動判定装置10と行動判定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、時間窓切出部11、特徴量算出部12、及び行動判定部16として機能し、処理を行なう。また、コンピュータの通信用のインターフェイスが出力部17として機能する。なお、コンピュータの具体的な構成については後述する。
【0111】
ここで、本発明の実施の形態1の効果について説明する。実施の形態1によれば、時間窓データから算出した、浮き度をはじめとする各種特徴量を用いて、行動判定を行うことができる。特に、浮き度は、測定対象の上下方向の移動時に現われる身体全体の上下動を特徴づける指標である。本実施の形態1では、このような指標である浮き度を用いて行動判定が行われるので、測定対象における加速度センサの持ち方によらず、階段昇降に代表される上下方向の移動を、高精度に判定することができる。
【0112】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2における、行動判定装置、行動判定システム、端末装置、行動判定方法、及びプログラムについて、図12〜図14を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態2における行動判定装置及び行動判定システムの構成について図12を用いて説明する。図12は、本発明の実施の形態2における行動判定装置及び行動判定システムの構成を示すブロック図である。
【0113】
図12に示すように、本実施の形態2における行動判定装置20は、特徴量算出部12において正規化処理部18を備えており、この点で、図3に示した実施の形態1における行動判定装置10と異なっている。これ以外の点については、行動判定装置20は、行動判定装置10と同様に構成されている。また、本実施の形態2における行動判定システム102は、図1にも示した端末装置1と、行動判定装置20とを備えている。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0114】
正規化処理部18は、浮き度算出部15によって算出された浮き度に対して、浮き度以外の特徴量を用いて正規化を実行する。行動判定部16は、実施の形態1と異なり、正規化された浮き度を用いて行動判定を行う。本実施の形態2において、正規化は、測定対象毎の加速度センサの持ち方及び歩調等の違いに起因した、センサデータの出力の違いを補正するために行われる。
【0115】
本実施の形態2において、正規化の具体的な方法としては、例えば、浮き度としてピーク間深さ面積が用いられる場合であれば、ピーク抽出部13で算出されたピーク間隔の値で、ピーク間深さ面積を除算する方法が挙げられる。この場合、正規化処理部18は、ピーク抽出部13から、算出されたピーク間隔を取得し、正規化処理に利用する。また、正規化処理部18は、ピーク抽出部13からはピーク情報のみを取得し、ピーク情報からピーク間隔を算出し、算出したピーク間隔を用いて正規化処理を行うこともできる。正規化処理部18は、このような正規化処理によって得られた値(正規化済みの浮き度)を行動判定部16に出力する。
【0116】
また、本実施の形態2において、正規化の具体的な方法は、上述した方法に限られない。この点について以下に説明する。例えば、測定対象の人物が、加速度センサ2を体幹に身に着けたときは、足の接地によるピークの発生は、左右どちらの足が接地した場合であっても、センサデータにおいてほぼ同じピーク形状で現われる。一方、測定対象の人物が、加速度センサ2を体幹以外の位置に身に着けたときは、加速度センサ2が身に付けられた位置が左右のどちら側であるかによって、センサデータに現われるピーク形状は変化する。つまり、右足の接地で発生するピーク形状と、左足の接地で発生するピーク形状とは相違する。なお、本明細書でいう「体幹」とは、首の下から足の付け根までであって、特には身体の重心付近をいう。
【0117】
従って、正規化は、ピーク間隔以外に、例えば、ピーク抽出部13で得られたピークの値、またはピーク間における1G以下の区間の長さ(図2参照)を用いて、行うこともできる。その他、正規化は、ピーク抽出部13が算出した加速度分散値等の値を用いて行うこともできる。なお、このような正規化処理を行う場合は、正規化処理部18は、必要に応じて、ピーク抽出部13にアクセスし、必要な情報を取得する。また、正規化処理部18は、上述したこれらの正規化の手法を組み合わせて用いることもできる。
【0118】
また、本実施の形態2では、行動判定部16は、正規化された浮き度に基づいて行動判定を行うため、例えば、図13に示した判定ルールを用いる。図13は、本発明の実施の形態2で用いられる判定ルールの一例を示す図である。図13の例では、浮き度として、図2に示したピーク間深さ面積が用いられており、ピーク深さ面積がピーク間隔で正規化された場合の判定ルールが示されている。行動判定部16は、正規化されたピーク間深さ面積を取得すると、これを図13に示す判定ルールに当てはめ、測定対象の行動が「歩く(平地移動)」、「階段の昇り」または「階段の降り」のいずれに該当するかを判定する。
【0119】
次に、本発明の実施の形態2における行動判定装置20の動作について図14を用いて説明する。図14は、本発明の実施の形態2における行動判定装置の動作を示す流れ図である。以下の説明においては、適宜図12を参酌する。また、本実施の形態2では、行動判定装置20を動作させることによって、行動判定方法が実施される。よって、本実施の形態2における行動判定方法の説明は、以下の行動判定装置20の動作説明に代える。なお、以下の説明は、行動判定装置20が、図12に示したように、サーバコンピュータによって構築されている場合について行う。但し、行動判定装置20が、端末装置、またはサーバコンピュータ以外のコンピュータによって構築されている場合も同様である。
【0120】
図14に示すように、先ず、時間窓切出部11及び特徴量算出部12によってステップA11〜ステップA16が実行され、浮き度が算出される。図14に示すステップA11〜ステップA16は、図11に示したステップA1〜A6と同様のステップである。
【0121】
なお、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、浮き度算出部15は、算出した値を、行動判定部16ではなく、正規化処理部18に出力する。また、ピーク抽出部13は、算出した特徴量を、行動判定部16に加えて、正規化処理部18にも出力する。
【0122】
次に、正規化処理部18は、与えられた浮き度に正規化処理を施す(ステップA17)。具体的には、例えば、浮き度としてピーク間深さ面積が用いられているとすると、ステップA17では、正規化処理部18は、ピーク抽出部13からピーク間隔を取得し、この値でピーク間深さ面積を除算して、正規化処理を行う。また、正規化処理部18は、ピーク抽出部13からはピーク情報のみを取得し、これを基に算出したピーク間隔の値でピーク間深さ面積を除算し、正規化処理を行っても良い。その後、正規化処理部18は、正規化された浮き度を行動判定部16に出力する。
【0123】
次に、行動判定部16は、ピーク抽出部13から出力された浮き度以外の時間窓特徴量と、正規化処理部18によって正規化された浮き度とを用いて、行動判定を行う(ステップS18)。具体的には、行動判定部16は、図13に示した判定ルールを用いて、測定対象の行動が「歩く(平地移動)」、「階段の昇り」または「階段の降り」のいずれに該当するかを判定する。例えば、正規化された浮き度の値が、例えば208[mG]であったとすると、行動判定部16は、このときの行動を、階段の降りであると判定することができる。
【0124】
また、本実施の形態2においても、例えば、ピーク抽出部13が、特徴量として加速度分散値とピーク間隔とを算出している場合は、行動判定部16は、図4及び図5に示した判定ルール、または図7及び図8に示した判定ルールを用いた判定を行うこともできる。
【0125】
その後、行動判定部16が判定結果を出力部17に出力すると、出力部17は、行動判定部16から出力された判定結果を端末装置1へと送信する(ステップA19)。ステップA19は、図11に示したステップA8と同様のステップである。
【0126】
以上のステップA11〜A19の処理は、例えば、1秒間に1回等のように定期的に、またはデータ取得部3から加速度センサデータが新しく出力される度に、等のように決められた間隔で繰り返し実行される。端末装置1のユーザは、行動判定装置20において、ステップA11〜A19の処理が実行される度に、新しい判定結果を得ることができる。
【0127】
また、本発明の実施の形態2におけるプログラムは、サーバコンピュータまたはパーソナルコンピュータといったコンピュータに、図14に示すステップA11〜A19を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態2における行動判定装置20と行動判定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、時間窓切出部11、特徴量算出部12、行動判定部16及び正規化処理部18として機能し、処理を行なう。また、コンピュータの通信用のインターフェイスが出力部17として機能する。なお、コンピュータの具体的な構成については後述する。
【0128】
ここで、本発明の実施の形態2の効果について説明する。例えば、浮き度としてピーク間深さ面積が用いられた場合、ピーク間深さ面積の値には、歩調が遅くなれば値が大きくなり、歩調が早くなれば値が小さくなる性質があるため、浮き度も歩調の影響を受けてしまう。そのため、歩調が変化すると誤判定が生じる可能性がある。これに対して、得られたピーク間深さ面積を、歩調を表すピーク間隔で除算し、その値を特徴量に用いれば、歩調の変化による影響を除去することができる。つまり、本実施の形態2によれば、浮き度を正規化した値を用いて行動判定を行うことができるため、歩調に影響されない、より高精度な行動判定が可能となる。
【0129】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3における、行動判定装置、行動判定システム、端末装置、行動判定方法、及びプログラムについて、図15及び図16を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態3における行動判定装置及び行動判定システムの構成について図15を用いて説明する。図15は、本発明の実施の形態3における行動判定装置及び行動判定システムの構成を示すブロック図である。
【0130】
図15に示すように、本実施の形態3における行動判定装置30は、履歴記憶部31を備えており、この点で、図3に示した実施の形態1における行動判定装置10と異なっている。また、履歴記憶部31が備えられているため、行動判定部16における処理も、実施の形態1と異なっている。これら以外の点については、行動判定装置30は、行動判定装置10と同様に構成されている。また、本実施の形態3における行動判定システム103は、図1にも示した端末装置1と、行動判定装置30とを備えている。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0131】
実施の形態1においては、浮き度算出部15が、算出した浮き度を、直接、行動判定部16に出力していたが(図3参照)、本実施の形態3では、浮き度算出部15によって算出された浮き度は、先ず、履歴記憶部31に格納される。
【0132】
履歴記憶部31は、特徴量算出部12が算出した特徴量、具体的には、浮き度算出部15が算出した浮き度と、ピーク抽出部13が算出した特徴量とを、設定期間の間、記憶する。また、履歴記憶部31は、その他、過去一定時間分のピーク情報等を記憶していても良い。以下において、履歴記憶部31が記憶している、浮き度をはじめとする各種特徴量を、「履歴情報」と呼ぶ。
【0133】
また、履歴記憶部31は、浮き度算出部15から最新の浮き度が与えられたり、ピーク抽出部13から最新の他の特徴量が与えられると、与えられた最新の値を記憶する。そして、履歴記憶部31は、必要に応じて、既に記憶している履歴情報の中で最も古い履歴情報を消去する等して、履歴情報を更新する。
【0134】
行動判定部16は、本実施の形態3では、履歴記憶部31にアクセスし、そこに記憶されている最新の履歴情報を取得し、取得した履歴情報を用いて、測定対象の行動判定を行なう。その際、行動判定部16は、履歴情報を用いて、浮き度をはじめとする特徴量の標準値を求め、求めた標準値を用いて、行動判定を行うことができる。
【0135】
ここで、例として、行動判定に用いる特徴量として、加速度分散値、ピーク間隔、浮き度を考える。この場合、行動判定部16は、これらの標準値として、それぞれの過去一定時間分の平均値を算出する。そして、行動判定部16は、算出した平均値を、図4〜図6に示した判定ルールに当てはめて、測定対象の行動判定を行うことができる。
【0136】
具体的には、例えば、浮き度としてピーク間深さ面積が算出され、履歴記憶部31が、履歴情報として、最新の3つのピーク間深さ面積を記憶しているとする。この場合、行動判定部16は、これら最新の3つの値の平均値を求め、平均値を使って行動判定を行う。実際のピーク間深さ面積の履歴が、87[mG・sec]、97[mG・sec]、101[mG・sec]であったとすると、行動判定部16は、これらのピーク間深さ面積の平均値を求める。平均値は、95[mG・sec]となる。行動判定部16が、求めた平均値を図6に示す判定ルールに適用すると、測定対象の行動は「階段の降り」であると判定される。行動判定部16は、本実施の形態3においても、判定結果を出力部7に出力する。
【0137】
また、本実施の形態3において、標準値は、履歴情報から算出される平均値に限定されるものではない。更に、履歴情報から得られた標準値の利用は、上述した利用に限定されるものではない。例えば、行動判定部16は、求めた標準値を用い、標準値と比較して極端に大きい値、又は極端に小さい値をノイズと見なし、これらを取り除く処理を行うこともできる。このような処理を行った場合は、行動判定結果の精度の更なる向上が図られる。
【0138】
また、行動判定部16は、履歴情報に含まれる特徴量のうち最新の特徴量を除く特徴量について、平均値を算出し、そして、算出した平均値と最新の特徴量との差分を求め、求めた差分の値が閾値以下である場合に、測定対象の行動の判定を中止することもできる。この場合の差分の閾値としては、0(ゼロ)又は0(ゼロ)に近い値が挙げられる。
【0139】
このような差分を用いた処理を行った場合は、無駄となる処理が実行されないため、行動判定装置30における負担が軽減される。また、このような処理は、行動判定装置30が、計算資源及び消費電力等の制約が大きい携帯電話等の端末装置1に組み込まれる場合(図10参照)に特に有用である。
【0140】
次に、本発明の実施の形態3における行動判定装置30の動作について図16を用いて説明する。図16は、本発明の実施の形態3における行動判定装置の動作を示す流れ図である。以下の説明においては、適宜図15を参酌する。また、本実施の形態3では、行動判定装置30を動作させることによって、行動判定方法が実施される。よって、本実施の形態3における行動判定方法の説明は、以下の行動判定装置30の動作説明に代える。なお、以下の説明は、行動判定装置30が、図15に示したように、サーバコンピュータによって構築されている場合について行う。但し、行動判定装置30が、端末装置、またはサーバコンピュータ以外のコンピュータによって構築されている場合も同様である。
【0141】
図16に示すように、先ず、時間窓切出部11及び特徴量算出部12によってステップA21〜ステップA26が実行され、浮き度が算出される。図16に示すステップA21〜ステップA26は、図11に示したステップA1〜A6と同様のステップである。
【0142】
なお、本実施の形態3では、実施の形態1と異なり、浮き度算出部15及びピーク抽出部13は、算出した値を、行動判定部16ではなく、履歴記憶部31に出力する。
【0143】
次に、履歴記憶部31は、浮き度算出部15又はピーク抽出部13から、算出された特徴量を受け取ると、それを最新の履歴情報として記憶し、更に履歴情報を更新する(ステップA27)。具体的には、ステップA27では、履歴記憶部31は、浮き度算出部15から最新の浮き度が与えられたり、ピーク抽出部13から最新の他の特徴量が与えられたりすると、与えられた最新の値を記憶する。そして、履歴記憶部31は、必要に応じて、既に記憶している履歴情報の中で最も古い履歴情報を消去する等して、履歴情報を更新する。
【0144】
次に、行動判定部16は、履歴記憶部31にアクセスし、最新の履歴情報を取得し、これを用いて行動判定を行なう(ステップA28)。具体的には、行動判定部16は、例えば、加速度分散値、ピーク間隔、浮き度の履歴情報を取得し、これらの過去一定時間分の平均値を算出する。そして、行動判定部16は、算出した各平均値を、図4〜図6に示した判定ルールに当てはめて、測定対象の行動判定を行う。
【0145】
その後、行動判定部16が判定結果を出力部17に出力すると、出力部17は、行動判定部16から出力された判定結果を端末装置1へと送信する(ステップA29)。ステップA29は、図11に示したステップA8と同様のステップである。
【0146】
以上のステップA21〜A29の処理は、例えば、1秒間に1回等のように定期的に、またはデータ取得部3から加速度センサデータが新しく出力される度に、等のように決められた間隔で繰り返し実行される。端末装置1のユーザは、行動判定装置30において、ステップA21〜A29の処理が実行される度に、新しい判定結果を得ることができる。
【0147】
また、本発明の実施の形態3におけるプログラムは、サーバコンピュータまたはパーソナルコンピュータといったコンピュータに、図16に示すステップA21〜A29を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態3における行動判定装置30と行動判定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、時間窓切出部11、特徴量算出部12、行動判定部16及び正規化処理部18として機能し、処理を行なう。また、コンピュータの通信用のインターフェイスが出力部17として機能する。更に、コンピュータに備えられた記憶装置が履歴記憶部31として機能する。なお、コンピュータの具体的な構成については後述する。
【0148】
ここで、本発明の実施の形態3の効果について説明する。本実施の形態3では、過去の履歴情報に基づいて平均値などの値が算出され、この値に基づいて行動判定が行われる。このため、加速度センサからのセンサデータに突然ノイズが混入した場合であっても、行動判定に用いる特徴量の値が、突然のノイズによって極端に変化してしまう事態の発生が抑制される。この結果、本実施の形態3によれば、突然のノイズによる誤判定の発生を抑制でき、結果として、より高精度な行動判定が可能となる。
【0149】
また、本実施の形態3は、実施の形態2と組み合わせることができる。具体的には、図15に示した行動判定装置30は、図12に示した正規化処理部18を備えていても良い。この場合は、行動判定装置30においては、履歴記憶部31は、履歴情報として、正規化された浮き度を記憶する。
【0150】
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4における、行動判定装置、行動判定システム、端末装置、行動判定方法、及びプログラムについて、図17〜図20を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態4における行動判定装置及び行動判定システムの構成について図17を用いて説明する。図17は、本発明の実施の形態4における行動判定装置及び行動判定システムの構成を示すブロック図である。
【0151】
図17に示すように、本実施の形態4における行動判定装置40は、学習部41を備えており、この点で、図3に示した実施の形態1における行動判定装置10と異なっている。また、学習部41が備えられているため、行動判定部16における処理も実施の形態1と異なっている。これら以外の点については、行動判定装置40は、行動判定装置10と同様に構成されている。
【0152】
また、本実施の形態4における行動判定システム104は、図1にも示した端末装置1と、行動判定装置40とを備えている。なお、図17に示す端末装置では、図3、図10、図12、図15においては図示されていなかった「入力装置5」が図示されている。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0153】
学習部41は、測定対象となる人物の個人差を考慮した行動判定を行うために備えられている。本実施の形態4では、出力部17が端末装置1に判定結果を出力し、出力装置4が判定結果を表示すると、正解行動を知るユーザが、入力装置5を用いて、判定結果の正解不正解を入力することができる。これにより、端末装置1から、行動判定装置40に対して、判定結果の正否を特定する情報(以下「正解行動情報」という。)が出力される。
【0154】
例えば、端末装置1が携帯電話であるとすると、測定対象となる人物(ユーザ)は、先ず、携帯電話を通じて自分の行動の判定結果を知る。具体的には、図18に示す画面が、出力装置(ディスプレイ装置)4の画面に表示される。図18は、本発明の実施の形態4においてユーザに判定結果の正否の入力を求める際の端末装置の画面の一例を示す図である。
【0155】
そして、判定結果が正解であったときは、ユーザは、携帯電話のキー又はタッチパネル等によって判定結果が正しかったことを入力する。一方、判定結果が誤りであったときは、ユーザは、携帯電話のキー又はタッチパネル等によって正解行動を入力する。これにより、端末装置1から、ユーザの入力結果に応じた正解行動情報が、行動判定装置40へと送信される。
【0156】
学習部41は、端末装置1が正解行動情報を送信すると、正解行動情報を受け付け、受け付けた正解行動情報と、先に出力部17が送信した判定の結果とを対比し、対比の結果から、行動判定部16が判定を行う際のルールを更新する。本実施の形態4では、学習部41は、受け付けた正解行動情報に基づいて、図4〜図6に示した判定ルール、又は図7〜図9に示した判定ルールにおいて、設定されている閾値の調整などを行う。
【0157】
例えば、浮き度としてピーク間深さ面積が用いられ、浮き度算出部15が算出したピーク間深さ面積の値が110[mG・sec]の場合、図6に示した判定ルールを適用すると、行動判定部16は「階段降り」と判定する。この場合において、ユーザが正解行動情報として「階段昇り」を入力したとすると、学習部41は、学習を行い、図6に示した判定ルールを、図19に示した判定ルールに更新する。この後、行動判定部16は、更新された判定ルールを用いて、判定処理を実行する。図19は、本発明の実施の形態4において学習後に変更された判定ルールの一例を示す図である。
【0158】
次に、本発明の実施の形態4における行動判定装置40の動作について図20を用いて説明する。図20は、本発明の実施の形態4における行動判定装置の動作を示す流れ図である。以下の説明においては、適宜図17を参酌する。また、本実施の形態4では、行動判定装置40を動作させることによって、行動判定方法が実施される。よって、本実施の形態4における行動判定方法の説明は、以下の行動判定装置40の動作説明に代える。なお、以下の説明は、行動判定装置40が、図17に示したように、サーバコンピュータによって構築されている場合について行う。但し、行動判定装置40が、端末装置、またはサーバコンピュータ以外のコンピュータによって構築されている場合も同様である。
【0159】
図20に示すように、先ず、時間窓切出部11及び特徴量算出部12によってステップA31〜ステップA36が実行され、浮き度が算出される。図20に示すステップA31〜ステップA36は、図11に示したステップA1〜A6と同様のステップである。
【0160】
次に、行動判定部16は、ピーク抽出部13から出力された浮き度以外の時間窓特徴量と、浮き度算出部15から出力された浮き度とを用いて、行動判定を行う(ステップS37)。ステップA37は、図11に示したステップA7と同様のステップであるが、既に、学習部41によって判定ルールの変更が行われている場合は、行動判定部16は、変更後の判定ルール(図19参照)を用いて判定を行う。また、行動判定部16は、行動判定の結果を出力部17に出力する。
【0161】
次に、出力部17は、行動判定部16から出力された判定結果を端末装置1へと送信する(ステップA38)。ステップA38が実行されると、端末装置1において、その出力装置(ディスプレイ装置)4が、送信された判定結果を画面に表示する。
【0162】
但し、ステップA38では、図11に示したステップA8と異なり、端末装置1の画面には、図18に示したように、ユーザに判定結果の正否の入力を促す画面が表示される。ユーザは、判定結果が正解である場合は正解と入力し、正解でない場合は正しい行動結果を選択して入力する。
【0163】
次に、出力部17による送信が行われた後、学習部41は、端末装置1から正解行動情報が送信されるまで待機状態となり、送信があった場合は、正解行動情報を受け付ける(ステップA39)。
【0164】
次に、学習部41は、正解行動情報から、ステップA37での判定結果が正解であったかどうかを判定する(ステップA40)。判定の結果、正解であった場合は、学習部41は、判定ルールの更新を行わず、処理を終了する。一方、判定の結果、正解でなかった場合は、学習部41は、正解行動情報に基づいて学習を行い、判定ルールを更新する(ステップA41)。
【0165】
ステップA41の実行後、更に、行動判定部16は、更新された判定ルールを用いて、再度判定処理を行う(ステップA37)。続いて、再度、ステップA38〜A40が実行される。ステップA37〜A40、及びA41は、ユーザが正解であると入力するまで、繰り返し行われる。
【0166】
以上のステップA31〜A41の処理は、例えば、1秒間に1回等のように定期的に、またはデータ取得部3から加速度センサデータが新しく出力される度に、等のように決められた間隔で繰り返し実行される。端末装置1のユーザは、行動判定装置40において、ステップA31〜A41の処理が実行される度に、新しい判定結果を得ることができる。
【0167】
また、本発明の実施の形態4におけるプログラムは、サーバコンピュータまたはパーソナルコンピュータといったコンピュータに、図20に示すステップA31〜A41を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態4における行動判定装置40と行動判定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、時間窓切出部11、特徴量算出部12、行動判定部16及び学習部41として機能し、処理を行なう。また、コンピュータの通信用のインターフェイスが出力部17として機能する。なお、コンピュータの具体的な構成については後述する。
【0168】
ここで、本発明の実施の形態4の効果について説明する。一般的に、身長が異なる等の理由により、身体の上下動の大きさには違いが生じる。このために、測定対象となる人物の身体的特徴によっては、判定ルールに定められた閾値を用いると、精度良く行動を判定できない場合がある。しかし、本実施の形態4では、正解行動を知る人物からの、正解行動の申告に基づいて判定ルールの更新、具体的には閾値の調整等が行われる。従って、本実施の形態4によれば、正解行動を基に学習を重ねることで各個人に適応した最適な閾値を定めることが可能であるため、どのような人物に対しても精度良く行動を判定することが可能となる。
【0169】
また、図19を用いて説明した、誤判定が生じたときの閾値変更の例では、誤判定が起きたときのピーク間深さ面積の値が、新たな閾値として採用され、判定ルールの更新が行われている。しかし、本実施の形態4において、閾値変更の態様は、上記の例に限定されるものではない。
【0170】
例えば、上述したように、階段の昇りを判定するための上限閾値として90[mG・sec]が設定され(図6参照)、一方、算出されたピーク間深さが110[mG・sec]であるにも関わらず、入力された行動が「階段昇り」である場合を考える。このような場合において、本実施の形態4では、例えば、階段の昇りを判定する上限閾値を、従来90[mG・sec]であるのを、91[mG・sec]に変更することができる。つまり、本実施の形態4では、1回の閾値の変更幅を小さくすることができ、変更が加わる度に急激に閾値が変化してしまい、判定精度が不安定になるといった悪影響の発生を抑制することができる。
【0171】
更に、本実施の形態4は、実施の形態2、及び実施の形態3のいずれかまたは両方と組み合わせることも可能である。特に、本実施の形態4を実施の形態3と組み合わせる場合は、学習部41は、履歴記憶部31(図15参照)に記憶されている履歴情報を用いて判定ルールを更新することもできる。また、この場合は、判定ルールの更新は、例えば、階段の昇り行動について考えると、階段昇り行動時のピーク間深さ面積の分布状況を求める等して行うことができる。具体的には、学習部41は、履歴情報から、階段昇り行動時に現われたピーク間深さ面積の例えば80%以上が含まれる範囲を特定し、特定した範囲の上限と下限とをそれぞれ判定ルールの新しい閾値として設定する。
【0172】
(実施の形態5)
次に本発明の実施の形態5における、行動判定装置、行動判定システム、端末装置、行動判定方法、及びプログラムについて、図21及び図22を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態5における行動判定装置及び行動判定システムの構成について図21を用いて説明する。図21は、本発明の実施の形態5における行動判定装置及び行動判定システムの構成を示すブロック図である。
【0173】
図21に示すように、本実施の形態5における行動判定装置50は、履歴記憶部51及び学習部52を備えており、この点で、図3に示した実施の形態1における行動判定装置10と異なっている。また、履歴記憶部51及び学習部52が備えられているため、行動判定部16における処理も実施の形態1と異なっている。これら以外の点については、行動判定装置50は、行動判定装置10と同様に構成されている。
【0174】
また、本実施の形態5における行動判定システム105は、図1にも示した端末装置1と、行動判定装置50とを備えている。なお、図21に示す端末装置では、図3、図10、図12、図15においては図示されていなかった「入力装置5」が図示されている。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0175】
本実施の形態5では、行動判定部16は、行動判定を行った後、判定に用いた浮き度をはじめとする特徴量と、このときの行動の判定結果とを履歴記憶部51に出力する。履歴記憶部51は、出力された特徴量、判定結果、及び行動判定部16による判定が行われた時刻(判定時刻)を、セットにして、履歴情報として記憶する。また、履歴記憶部51は、履歴情報を、過去一定時間分(設定期間分)、例えば1日分等の予め決められた長さ分記憶し、必要に応じて、既に記憶している履歴情報の中から、最も古い履歴情報を順に消去する等して履歴情報を更新する。
【0176】
また、本実施の形態5では、出力部17は、履歴記憶部51にアクセスして履歴情報を取得し、履歴記憶部51が記憶している、設定期間分の、判定結果と判定時刻とを端末装置1に送信する。これにより、端末装置1の出力装置4は、画面において、設定期間分の判定結果と判定時刻とを表示する。更に、本実施の形態5でも、出力装置4が、出力された履歴情報を表示すると、実施の形態4と同様に、正解行動を知るユーザが、入力装置5を用いて、判定結果の正解不正解を入力することができる。
【0177】
具体的には、出力部17から履歴情報が送信されると、端末装置1では、出力装置4により、設定期間分の判定時刻とそのときの判定結果とを表示する。端末装置1のユーザは、表示された判定結果が、その時刻の真の行動を正しく表しているかどうかを判断し、正否を入力する。これにより、端末装置1から、行動判定装置50に対して、出力部17が出力した判定の結果と判定時刻との正否を特定する情報(以下「正解行動情報」という。)が出力される。
【0178】
例えば、端末装置1が携帯電話であるとすると、測定対象となる人物(ユーザ)は、先ず、携帯電話を通じて、自分の過去の行動の判定結果を知る。そして、判定結果が正解であったときは、ユーザは、携帯電話のキー又はタッチパネル等によって判定結果が正しかったことを入力する。一方、判定結果が誤りであったときは、ユーザは、携帯電話のキー又はタッチパネル等によって正解行動を入力する。これにより、端末装置1から、ユーザの入力結果に応じた正解行動情報が、行動判定装置50へと送信される。
【0179】
学習部52は、端末装置1が正解行動情報を送信すると、正解行動情報を受け付け、受け付けた正解行動情報と、先に出力部17が送信した判定の結果及び判定時刻とを対比し、対比の結果から、行動判定部16が判定を行う際のルールを更新する。本実施の形態5においても、実施の形態4と同様に、学習部52は、受け付けた正解行動情報に基づいて、図4〜図6に示した判定ルール、又は図7〜図9に示した判定ルールにおいて、設定されている閾値の調整などを行う。
【0180】
例えば、浮き度としてピーク間深さ面積が用いられ、浮き度算出部15が算出したピーク間深さ面積の値が110[mG・sec]の場合、図6に示した判定ルールを適用すると、行動判定部16は「階段降り」と判定する。この場合において、ユーザが正解行動情報として「階段昇り」を入力したとすると、学習部52は、学習を行い、図6に示した判定ルールを、図19に示した判定ルールに更新する。この後、行動判定部16は、更新された判定ルールを用いて、判定処理を実行する。
【0181】
次に、本発明の実施の形態5における行動判定装置50の動作について図22を用いて説明する。図22は、本発明の実施の形態5における行動判定装置の動作を示す流れ図である。以下の説明においては、適宜図21を参酌する。また、本実施の形態5では、行動判定装置50を動作させることによって、行動判定方法が実施される。よって、本実施の形態5における行動判定方法の説明は、以下の行動判定装置50の動作説明に代える。なお、以下の説明は、行動判定装置50が、図21に示したように、サーバコンピュータによって構築されている場合について行う。但し、行動判定装置50が、端末装置、またはサーバコンピュータ以外のコンピュータによって構築されている場合も同様である。
【0182】
図20に示すように、先ず、時間窓切出部11及び特徴量算出部12によってステップA51〜ステップA56が実行され、浮き度が算出される。図22に示すステップA51〜ステップA56は、図11に示したステップA1〜A6と同様のステップである。
【0183】
次に、行動判定部16は、ピーク抽出部13から出力された浮き度以外の時間窓特徴量と、浮き度算出部15から出力された浮き度とを用いて、行動判定を行う(ステップS57)。ステップS57では、既に、学習部52によって判定ルールの変更が行われている場合は、行動判定部16は、変更後の判定ルール(図19参照)を用いて判定を行う。
【0184】
次に、行動判定部16は、判定に用いた浮き度をはじめとする特徴量と、判定結果とを履歴記憶部51に出力し、履歴記憶部51に、出力された特徴量、判定結果、及び判定時刻を、セットにして、履歴情報として記憶させる(ステップA58)。また、このとき、履歴記憶部51は、必要に応じて、履歴情報を更新する。
【0185】
次に、出力部17は、履歴記憶部51にアクセスして履歴情報を取得し、履歴記憶部51が記憶している、設定期間分の判定結果と判定時刻とを端末装置1に送信する(ステップA59)。ステップA59が実行されると、端末装置1において、その出力装置(ディスプレイ装置)4が、送信された設定期間分の判定結果と判定時刻とを画面に表示する。
【0186】
また、ステップA59では、図20に示したステップA38と同様に、端末装置1の画面には、ユーザに判定結果及び判定時刻の正否の入力を促す画面が表示される。ユーザは、判定結果及び判定時刻が正解である場合は正解と入力し、正解でない場合は正しい行動結果を選択して入力する。
【0187】
次に、出力部17による送信が行われた後、学習部52は、端末装置1から正解行動情報が送信されるまで待機状態となり、送信があった場合は、正解行動情報を受け付ける(ステップA60)。
【0188】
次に、学習部52は、正解行動情報から、履歴記憶部51に記憶されている判定結果が全て正解であったかどうかを判定する(ステップA61)。判定の結果、全て正解であった場合は、学習部52は、判定ルールの更新を行わず、処理を終了する。一方、判定の結果、一つでも正解でなかった場合は、学習部52は、正解行動情報に基づいて学習を行い、判定ルールを更新する(ステップA62)。
【0189】
ステップA62の実行後、更に、行動判定部16は、履歴情報と、更新された判定ルールとを用いて、再度判定処理を行う(ステップA57)。続いて、再度、ステップA58〜A61が実行される。ステップA57〜A61、及びA62は、ユーザが正解であると入力するまで、繰り返し行われる。
【0190】
以上のステップA51〜A62の処理は、例えば、1秒間に1回等のように定期的に、またはデータ取得部3から加速度センサデータが新しく出力される度に、等のように決められた間隔で繰り返し実行される。端末装置1のユーザは、行動判定装置50において、ステップA51〜A62の処理が実行される度に、新しい判定結果を得ることができる。
【0191】
また、本発明の実施の形態5におけるプログラムは、サーバコンピュータまたはパーソナルコンピュータといったコンピュータに、図22に示すステップA51〜A62を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態5における行動判定装置50と行動判定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、時間窓切出部11、特徴量算出部12、行動判定部16及び学習部52として機能し、処理を行なう。また、コンピュータの通信用のインターフェイスが出力部17として機能する。更に、コンピュータに備えられた記憶装置が履歴記憶部51として機能する。なお、コンピュータの具体的な構成については後述する。
【0192】
ここで、本発明の実施の形態5の効果について説明する。本実施の形態5においても、実施の形態4と同様に、正解行動を基に学習を重ねることで各個人に適応した最適な閾値を定めることが可能であるため、どのような人物に対しても精度良く行動を判定することが可能となる。
【0193】
特に、本実施の形態5では、測定対象の人物の設定期間分の過去の行動が一度に端末装置1の画面に表示されるので、正解行動を知る人物は、任意のタイミングで効率良く正解行動を入力できる。そのため、本実施の形態5によれば、正解行動を知る人物は、行動判定が行われる度に正解不正解を入力する必要がなく、多くの判定結果について一度に正解不正解を入力する機会を得ることができる。この結果、正解行動を知る人物による正解不正解入力の利便性が向上し、ひいては、判定精度のよりいっそうの向上が期待できる。
【0194】
また、本実施の形態5においては、実施の形態3と同様に、行動判定部16が、履歴記憶部51に記憶されている履歴情報を用いて判定を行う態様とすることもできる。この場合は、本実施の形態5により、実施の形態3と同様の効果を得ることもできる。
【0195】
ここで、実施の形態1〜5におけるプログラムを実行することによって、行動判定装置を実現するコンピュータについて図23を用いて説明する。図23は、本発明の実施の形態1〜5におけるプログラムを実行可能なコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0196】
図23に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0197】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0198】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0199】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash)及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【0200】
なお、行動判定装置が、携帯電話等の端末装置によって構築されている場合は、本実施の形態におけるプログラムは、図23に示したコンピュータではなく、端末装置のメモリに格納され、端末装置のCPUによって実行される。
【実施例1】
【0201】
以下、本発明の実施例1における行動判定装置及び行動判定システムについて図24を用いて説明する。また、本実施例1は、実施の形態1に対応し、以下の説明では、適宜、図1〜図11を参酌する。
【0202】
実施例1では、測定対象となる人物による行動が、「階段昇り」、「階段降り」、「歩く(平地移動)」という行動のいずれであるかを判定する例について説明する。また、測定対象となる人物は、加速度センサ内蔵の携帯電話を胸ポケットの中に入れており、加速度が出力したセンサデータは、携帯電話を通じて、外部の行動判定装置10へ送信される。更に、行動判定装置10は、携帯電話から得られたセンサデータを用いて、携帯電話を携帯している人物の行動を判定し、その結果を携帯電話へ返す。判定結果は、携帯電話の画面に表示される。
【0203】
携帯電話に内蔵された加速度センサが出力したセンサデータの一例を、図24に示す。図24は、実施例1において加速度センサが出力したセンサデータの一例を示す図である。また、図24に示されたセンサデータは、人物が、加速度センサを内蔵した携帯電話を胸ポケットに入れた状態で、実際に階段を降ったときに得られたセンサデータであり、2秒間分がグラフ化されている。実施例1では、図24に示す、人物が階段を降ったときのセンサデータが、携帯電話の通信機能を通じて、行動判定装置10に送信される。以下、行動判定装置10における動作について説明する。
【0204】
[時刻0秒−時刻1秒]
先ず、行動判定装置10において、時間窓切出部11が、端末装置1のデータ取得部3から送信されたセンサデータを受信する。実施例1では、時間窓切出部11は、長さ1秒間で、隣り合う時間窓同士で0.5秒間の重なり区間を持つようにセンサデータの切り出しを実行するとする。
【0205】
ここで、時間窓切出部11が、図24に示したセンサデータの時刻0秒から時刻1秒までの1秒間の時間窓データを切り出す場合を考える。時間窓切出部11は、切出した時間窓データを、ピーク抽出部13に出力する。
【0206】
ピーク抽出部13は、時間窓切出部11から出力された時間窓データを用いて、ピークを抽出する。時間窓データは、センサデータの時刻0秒から時刻1秒までであるため、抽出されたピークは1つで、時刻550[msec]に存在している。そして、ピーク抽出部13は、抽出したピークを特定するピーク情報を、ピーク間データ切出部14に出力する。なお、ピーク抽出の方法としては、実施の形態1で述べたいずれかが用いられることとし、ここでの詳細な説明は省略する。
【0207】
ピーク間データ切出部14は、与えられたピーク情報を基に、ピーク間データを切り出す。但し、いま、判定処理開始直後であるため、与えられているピーク情報は1つであり、ピーク間を構成可能な2つのピークは存在していない。従って、後述するように、再度、時間窓切出部11による時間窓データの切り出しが行われる(図11に示したステップA4参照)。
【0208】
また、本実施例1では、ピーク間のデータを切り出すことができないから、ピーク間データ切出部14は、浮き度算出部15にはピーク間データ切出し不能という結果を通知する。浮き度算出部15は、ピーク間データ切出し不能という結果を与えられたので、浮き度算出不能という結果を行動判定部16へ出力する。更に、行動判定部16は、浮き度算出不能という結果を与えられたので、行動判定不能、またはその他の行動であるという判定結果を、出力部17に送り、出力部17はこの結果を携帯電話に送信する。この結果、携帯電話の画面には、判定不能、またはその他の行動であるという判定結果が、表示される。
【0209】
[時刻0.5秒−時刻1.5秒]
続いて、時間窓切出部11は、図24に示したセンサデータの時刻0.5秒から時刻1.5秒までの1秒間の時間窓データの切り出しを行う。時間窓切出部11は、切り出した時間窓データを、ピーク抽出部13に出力する。
【0210】
ピーク抽出部13は、この場合も、時間窓データを用いて、ピークを抽出する。この場合、時間窓データからは、2つのピークが抽出され、1つめは550[msec]に存在し、2つめは時刻1110[msec]に存在する。ピーク抽出部13は、得られたピーク情報を、ピーク間データ切出部14に出力する。
【0211】
ピーク間データ切出部14は、与えられたピーク情報に含まれる2つのピークの発生時刻が、550[msec]と1110[msec]とであったことを受けて、ピーク間データの切出しを行う。新しく得られた2つのピークのうち、550[msec]の位置にあるピークは、前回のピーク抽出処理で抽出されたピークと同一なので、ピーク間データ切出部14は、同一のピークを無視し、1110[msec]で発生したピークを最新のピークとする。
【0212】
そして、ピーク間データ切出部4は、最新のピーク(1110[msec]で発生)と、前回のピーク抽出処理によって抽出された、その直前のピーク(550[msec]で発生)との間のセンサデータを、データ取得部3から取得したセンサデータから切り出す。更に、ピーク間データ切出部4は、切り出したセンサデータを、浮き度算出部15に出力する。
【0213】
浮き度算出部15は、ピーク間データ切出部14から出力されたピーク間データを用いて、浮き度を算出する。実施例1では、浮き度として、1G以下のピーク間深さ面積が用いられるので、浮き度算出部15は、ピーク間データの中から、1G以下の値を持つデータを特定し、その加速度の値と1Gとの差を求め、更に、求めた各データ点の差分の総和を算出する。算出された総和が、ピーク間深さ面積となる。ここで、実施例1において、算出されたピーク間深さ面積(浮き度)の値は、104[mG・sec]であった。浮き度算出部15は、算出したピーク間深さの値を、行動判定部16に出力する。
【0214】
行動判定部16は、浮き度算出部15から出力されたピーク間深さ面積に基づき、測定対象の行動が、「階段の昇り」、「階段の降り」、「歩く(平地移動)」のいずれであるかを図6に示した判定ルールを用いて判定する。具体的には、ピーク間深さ面積の値は、104[mG・sec]であるため、行動判定部16は、測定対象の行動は、「階段の降り」であると判定する。その後、出力部17が、判定結果を携帯電話に送信すると、得られた判定結果「階段の下り」が、携帯電話の画面に表示される。
【0215】
また、以上の動作は、例えば1秒間に1回などの、決められた間隔で繰り返し実行され、判定結果が新しく得られる度に、新しい判定結果が携帯電話の画面に逐次表示される。このとき、過去の判定履歴を一緒に表示されていても良い。以上のように、本実施例1によれば、加速度センサの取り付け方に関して制約を受けることなく、測定対象が上下方向に移動する場合であっても精度良く行動を判定することができる。
【実施例2】
【0216】
次に、本発明の実施例2における行動判定装置及び行動判定システムについて図25を用いて説明する。また、本実施例2は、実施の形態2に対応し、以下の説明では、適宜、図12〜図14を参酌する。
【0217】
実施例2においても、実施例1と同様に、測定対象となる人物による行動が、「階段昇り」、「階段降り」、「歩く(平地移動)」という行動のいずれであるかを判定する例について説明する。但し、実施例2では、実施例1と異なり、測定対象となる人物は、加速度センサ内蔵の携帯電話をズボンの右ポケットに入れているとする。
【0218】
携帯電話に内蔵された加速度センサが出力したデータの一例を、図25に示す。図25は、実施例2において加速度センサが出力したセンサデータの一例を示す図である。図25に示されたセンサデータは、人物が、加速センサを内蔵した携帯電話をズボンの右ポケットに入れた状態で、実際に階段を降ったときに得られた加速度センサデータであり、2秒間分がグラフ化されている。実施例2では、図25に示す、人物が階段を降ったときのセンサデータが、携帯電話の通信機能を通じて、行動判定装置20に送信される。以下、行動判定装置20における動作について説明する。
【0219】
実施例2においても、時間窓切出部11、ピーク抽出部13、ピーク間データ切出部14、浮き度算出部15は、実施例1と同様に動作する。よって、同一の動作についての説明は省略する。
【0220】
実施例2においても、時間窓切出部11が、センサデータの時刻0秒から時刻1秒までの時間窓データと、センサデータの時刻0.5秒から時刻1.5秒までの時間窓データとを切り出すとする。結果、図25に示したセンサデータからは、時刻が520[msec]のときにピークcが抽出され、1030[msec]のときにピークdが抽出される。
【0221】
浮き度算出部15は、実施例1と同様に、浮き度として1G以下のピーク間深さ面積を用いる。結果、ピークcとピークdの間のピーク間深さ面積の値は、101[mG・sec]であった。浮き度算出部15は、算出したピーク間深さを、正規化処理部18に出力する。
【0222】
正規化処理部8は、算出された浮き度の正規化処理を行う。実施例2においては、浮き度として与えられたピーク間深さ面積の値は、1G以下の区間長さ(図2参照)の値で割って正規化されるとする。ピーク間データ切出部14からピーク間データを与えられた正規化処理部18は、ピーク間における1G以下の区間長さを求める。その結果、図25に示すセンサデータにおいて、520[msec]と1030[msec]との間で、1G以下の区間長さは390[msec]であった。よって、浮き度算出部15から与えられたピーク間深さ面積の値を、得られた1G以下の区間長さで割った結果は、258[mG]となる。正規化処理部18は、この値を行動判定部16に出力する。
【0223】
行動判定部16は、図26に示された判定ルールを用いて、行動判定を行う。図26は、実施例2において用いられる判定ルールの一例を示す図である。図26に示された判定ルールでは、ピーク間深さ面積を1G以下の区間長さで割って正規化された値が用いられている。例えば、正規化によって算出された値が、258[mG]であったとすると、行動判定部16は、図26に示された判定ルールを用いて、このときの行動は「階段の降り」であると判定する。そして、行動判定部16は、得られた判定結果を出力部17に出力し、出力部17は、判定結果を携帯電話に送信する。これにより、判定結果「階段の降り」が、携帯電話の画面に表示される。
【0224】
また、以上の動作は、例えば1秒間に1回などの、決められた間隔で繰り返し実行され、判定結果が新しく得られる度に、新しい判定結果が携帯電話の画面に逐次表示される。このとき、過去の判定履歴を一緒に表示されていても良い。
【0225】
(実施例2の効果説明)
ここで、実施例2の効果を更に詳しく以下に説明する。図25に示したセンサデータにおいて、時間窓切出部11とピーク抽出部13とによって、時刻0.5秒から時刻1.5秒までの時間窓データと、時刻1秒から時刻2秒までの時間窓データとに対して、ピーク抽出が行われたとする。結果、図25に示したセンサデータからは、時刻が1030[msec]のときにピークdが抽出され、1670[msec]のときにピークeが抽出される。
【0226】
ここで、浮き度算出部15が算出した、ピークdとピークeとの間におけるピーク間深さ面積の値が、54[mG・sec]であったとする。浮き度算出部15は、算出したピーク間深さ面積の値を、正規化処理部18に出力する。
【0227】
正規化処理部18は、与えられたピーク間深さ面積の値を、1G以下の区間長さの値で割って正規化する処理を行う。先ず、正規化処理部18は、ピーク間における1G以下の区間長さを求める。その結果、1G以下の区間長さは250[msec]であったので、浮き度算出部15が算出したピーク間深さ面積の値を、得られた1G以下の区間長さで割った結果は、216[mG]となる。正規化処理部18は、この値を行動判定部16に出力する。
【0228】
行動判定部16は、この場合も、図26に示された判定ルールを用いて行動判定を行う。正規化処理部18が算出した値が216[mG]であるため、行動判定部16は、このときの行動は「階段の降り」である、と判定する。そして、行動判定部16は、得られた判定結果を出力部17に出力し、出力部17は、判定結果を携帯電話に送信する。これにより、判定結果「階段の降り」が、携帯電話の画面に表示される。
【0229】
ここで、図25に示した、時刻0秒から時刻1秒までの時間窓データと、時刻0.5秒から時刻1.5秒までの時間窓データとを用いて得られたピーク間深さ領域を、領域aと呼ぶこととする。また同様に、時刻0.5秒から時刻1秒までの時間窓データと、時刻1秒から時刻2秒までの時間窓データとを用いて得られたピーク間深さ領域を、領域bと呼ぶこととする。
【0230】
上述したように、図25に示されたセンサデータは、加速度センサを内蔵した携帯電話が、測定対象の人物のズボンの右ポケットに入れられた状態で取得されている。従って、図25において、ピークcとピークeとは、加速度センサを内蔵した携帯電話が入れられたポケットの逆側に位置する左足が接地したときに発生したピークである。一方、ピークdは、加速度センサを内蔵した携帯電話が入れられたポケットと同じ側に位置する右足が接地したときに発生したピークである。
【0231】
図25に示すように、加速度センサを内蔵した携帯電話が入れられたポケット側の足と、反対側の足とでは、接地の際に発生するピークの形状は異なっている。このため、隣接するピーク間の領域aと領域bとでは、ピーク間深さ面積の値は大きく異なることとなる。実際、領域aの面積は101[mG・sec]であるのに対して、領域bの面積は54[mG・sec]であった。
【0232】
このように、加速度センサが、測定対象となる人物等の体幹以外の部位に位置している場合は、ピーク間深さ面積の値が一定しない状態となる。このため、ピーク間深さ面積の値をそのまま用いて行動判定を行うと、判定精度が低下する可能性がある。これに対して、実施例2によれば、上述したように、加速度センサの位置に起因する、左右の足の接地時の違いによってピーク間深さ面積の値が一定しないときでも、正規化処理を行うことで、加速度センサの位置に影響されずに高精度な判定を行うことができる。
【実施例3】
【0233】
次に、本発明の実施例3における行動判定装置及び行動判定システムについて説明する。また、本実施例3は、実施の形態3に対応し、以下の説明では、適宜、図15及び図16を参酌する。
【0234】
本実施例3においても、実施例1と同様に、測定対象となる人物による行動が、「階段昇り」、「階段降り」、「歩く(平地移動)」という行動のいずれであるかを判定する例について説明する。また、本実施例3においても、実施例1と同様に、測定対象となる人物が、加速度センサを内蔵した携帯電話を胸ポケットに入れているとする。更に、本実施例3において、時間窓切出部11、ピーク抽出部13、ピーク間データ切出部14、浮き度算出部15は、実施例1と同様に動作する。よって、同一の動作についての説明は省略する。
【0235】
実施例3においては、行動判定装置30は、履歴記憶部31を備えており、浮き度算出部15は、算出した浮き度(1G以下のピーク間深さ面積)を履歴記憶部31に出力する。履歴記憶部31は、過去一定時間分のピーク間深さの値を記憶しており、浮き度算出部15から最新のピーク間深さ面積の値が出力されると、最新のピーク間深さ面積の値を記憶する。そして、履歴記憶部31は、必要に応じて既に記憶している履歴の中で最も古いピーク間深さ面積の値を消去する等して履歴情報を更新する。行動判定部16は、更新された履歴情報を取得し、行動判定を行う。
【0236】
いま、最新の3つのピーク間深さ面積の値が履歴情報として記憶されており、これらを行動判定部16が取得したとする。実際に記憶されているピーク間深さ面積は、それぞれ87[mG・sec]、97[mG・sec]、101[mG・sec]であったとする。
【0237】
本実施例3において、行動判定部16は、履歴情報に含まれるピーク間深さ面積の平均値を算出し、平均値を用いて行動判定を行う。履歴情報に含まれるピーク間深さ面積は、上述したように、87[mG・sec]、97[mG・sec]、101[mG・sec]であるので、これらの履歴情報の平均値は、95[mG・sec]となる。従って、図6に示した判定ルールを用いた場合、行動判定部16は、「階段の降り」であると判定することができる。そして、行動判定部16は、得られた判定結果を出力部17に出力し、出力部17は、判定結果を携帯電話に送信する。これにより、判定結果「階段の降り」が、携帯電話の画面に表示される。
【0238】
また、以上の動作は、例えば1秒間に1回などの、決められた間隔で繰り返し実行され、判定結果が新しく得られる度に、新しい判定結果が携帯電話の画面に逐次表示される。このとき、過去の判定履歴を一緒に表示されていても良い。
【0239】
このように、本実施例3によれば、履歴情報を用いてピーク間深さ面積の値が平均化されるので、部分的にセンサデータにノイズが混入した場合であっても、ノイズによる誤判定の発生が抑制される。例えば、上述したように、本実施例3では、階段の降りのときに、何らかの理由で、ピーク間深さ面積の値は、87[mG・sec]となっているが、この値だけを取り出して図6に示す判定ルールを適用すると、「階段の昇り」と判定されてしまう。
【0240】
一般に、人の日常行動においては、例えば、他人とすれ違うために進路をずらした場合のように、予期せぬ出来事によって加速度センサデータにノイズが混入する場合は多いと考えられる。そのため、本実施例3のように、過去の履歴を用いて行動判定を行うことは、これらのノイズの混入による影響を抑制する点から有用であり、結果、判定精度の低下を抑制できる。
【実施例4】
【0241】
次に、本発明の実施例4における行動判定装置及び行動判定システムについて説明する。また、本実施例4は、実施の形態4に対応し、以下の説明では、適宜、図17〜図20を参酌する。
【0242】
本実施例4においても、実施例1と同様に、測定対象となる人物による行動が、「階段昇り」、「階段降り」、「歩く(平地移動)」という行動のいずれであるかを判定する例について説明する。また、本実施例4においても、実施例1と同様に、測定対象となる人物が、加速度センサを内蔵した携帯電話を胸ポケットに入れているとする。更に、本実施例4において、時間窓切出部11、ピーク抽出部13、ピーク間データ切出部14、浮き度算出部15は、実施例1と同様に動作する。よって、同一の動作についての説明は省略する。
【0243】
ここで、浮き度算出部15が、浮き度としてピーク間深さ面積を算出するとする。そして、浮き度算出部15が実際に算出したピーク間深さ面積の値が、110[mG・sec]であったとする。浮き度算出部15は、算出したピーク間深さ面積の値を、行動判定部16に出力する。
【0244】
行動判定部16は、浮き度算出部15から出力されたピーク間深さ面積の値に基づき、図6の判定ルールを用いて、測定対象の行動が、「階段の昇り」、「階段の降り」、「歩く(平地移動)」のいずれであるかを判定する。具体的には、行動判定部16は、ピーク間深さ面積の値が110[mG・sec]であるとすると、図6に示した判定ルールを適用し、行動が「階段の降り」であると判定する。
【0245】
そして、行動判定部16は、得られた判定結果を出力部17に出力し、出力部17は、判定結果を携帯電話に送信する。これにより、判定結果「階段の降り」が、携帯電話の画面に表示される。
【0246】
次に、携帯電話のユーザは、判定結果が実際の行動と同じである場合は、正解である旨を入力する。一方、例えば、判定結果が「階段の降り」であるのに対して、実行の行動が「階段の昇り」である場合は、携帯電話のユーザは、正解の行動を入力する。入力された正解行動情報は、携帯電話を通じて行動判定装置40の学習41に送信される。
【0247】
正解行動情報を受信した学習部41は、受け付けた正解行動情報に基づいて、図6に示した判定ルールの閾値を調整する。例えば、上述したように、ピーク間深さ面積の値が110[mG・sec]で、図6に示した判定ルールに基づいた判定結果が「階段の降り」であるとする。そして、携帯電話のユーザから入力された正解行動情報が「階段昇り」であると、学習部41は、図6に示した判定ルールを、図19に示した判定ルールに変更する。その後、行動判定部16は、変更された新しい判定ルールを参照しながら、再度、判定処理を行う。
【0248】
このように、実施例4によれば、測定対象となる人物等の体格の違いによって、判定結果に誤差が生じる場合であっても、学習によって閾値の調整が行われるため、精度の高い、行動判定を実行することができる。
【実施例5】
【0249】
次に、本発明の実施例5における行動判定装置及び行動判定システムについて説明する。また、本実施例5は、実施の形態5に対応し、以下の説明では、適宜、図21及び図22を参酌する。
【0250】
本実施例5においても、実施例1と同様に、測定対象となる人物による行動が、「階段昇り」、「階段降り」、「歩く(平地移動)」という行動のいずれであるかを判定する例について説明する。また、本実施例5においても、実施例1と同様に、測定対象となる人物が、加速度センサを内蔵した携帯電話を胸ポケットに入れているとする。更に、本実施例5において、時間窓切出部11、ピーク抽出部13、ピーク間データ切出部14、浮き度算出部15は、実施例1と同様に動作する。よって、同一の動作についての説明は省略する。
【0251】
ここで、浮き度算出部15が、浮き度としてピーク間深さ面積を算出するとする。そして、浮き度算出部15が実際に算出したピーク間深さ面積の値が、110[mG・sec]であったとする。浮き度算出部15は、算出したピーク間深さ面積の値を、行動判定部16に出力する。
【0252】
行動判定部16は、浮き度算出部15から出力されたピーク間深さ面積の値に基づき、図6の判定ルールを用いて、測定対象の行動が、「階段の昇り」、「階段の降り」、「歩く(平地移動)」のいずれであるかを判定する。具体的には、行動判定部16は、ピーク間深さ面積の値が110[mG・sec]であるとすると、図6に示した判定ルールを適用し、行動が「階段の降り」であると判定する。
【0253】
そして、行動判定部16は、得られた判定結果を履歴記憶部51に出力される。履歴記憶部51は、上述の「階段の降り」という判定結果と、このとき判定に用いたピーク間深さ面積の値である110[mG・sec]と、この判定結果を出力した時刻(判定時刻)とをセットにして記憶する。なお、判定時刻は、午後1時0分0秒であるとする。また、履歴記憶部51は、履歴情報を、過去一定時間分(設定期間分)、例えば1日分等の予め決められた長さ分記憶し、必要に応じて、既に記憶している履歴情報の中から、最も古い履歴情報を順に消去する等して履歴情報を更新する。
【0254】
出力部17は、履歴記憶部51にアクセスして履歴情報を取得し、履歴記憶部51が記憶している、設定期間分の、判定結果と判定時刻とを携帯電話に送信する。これにより、携帯電話の画面に、設定期間分の判定結果と判定時刻とが表示される。
【0255】
次に、携帯電話のユーザは、例えば、行動判定の翌日等の任意の時間に、過去の判定結果を閲覧して正解不正解を入力する。携帯電話のユーザは、例えば、昨日の午後1時0分0秒の判定結果が「階段の降り」であったという判定結果を見て、携帯電話を通じて、実際の行動が「階段昇り」であったことを入力する。入力された正解行動情報は、携帯電話を通じて行動判定装置50の学習52に送信される。
【0256】
学習部52は、送信された正解行動情報に基づいて、図6に示された判定ルールの閾値の調整を行い、判定ルールを更新する。例えば、上述したように、ピーク間深さ面積の値が110[mG・sec]で、図6に示した判定ルールに基づいた判定結果が「階段の降り」であるとする。そして、携帯電話のユーザから入力された正解行動情報が「階段昇り」であると、学習部52は、図6に示した判定ルールを、図19に示した判定ルールに変更する。その後、行動判定部16は、変更された新しい判定ルールを参照しながら、再度、判定処理を行う。
【0257】
このように、本実施例5によれば、携帯電話のユーザは、任意のタイミングで効率良く正解行動を入力できるので、行動判定が行われる度に正解不正解を入力する必要がなく、多くの判定結果について一度に正解不正解を入力する機会を得ることができる。この結果、携帯電話のユーザによる正解不正解入力の利便性が向上し、ひいては、判定精度のよりいっそうの向上が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0258】
以上のように、本発明によれば、例えば、人物の外出時の行動を判定し、その人物の行動に応じた消費カロリー計算を高精度に行ったり、行動記録を用いて健康管理を行ったりすることができる。特に、本発明によれば、人物等の上下方向における移動を判定できるので、フロア移動を検出でき、例えば、屋内ナビゲーションなどに応用することも可能である。
【符号の説明】
【0259】
1 端末装置
2 加速度センサ
3 データ取得部
4 出力装置
5 入力装置
10 行動判定装置(実施の形態1)
11 時間窓切出部
12 特徴量算出部
13 ピーク抽出部
14 ピーク間データ切出部
15 浮き度算出部
16 行動判定部
17 出力部
18 正規化処理部
20 行動判定装置(実施の形態2)
30 行動判定装置(実施の形態3)
31 履歴記憶部
40 行動判定装置(実施の形態4)
41 学習部
50 行動判定装置(実施の形態5)
51 履歴記憶部
52 学習部
100 行動判定システム(実施の形態1)
101 端末装置
102 行動判定システム(実施の形態2)
103 行動判定システム(実施の形態3)
104 行動判定システム(実施の形態4)
105 行動判定システム(実施の形態5)
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサが出力した時系列のセンサデータに基づいて測定対象の行動を判定する行動判定装置であって、
前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、時間窓切出部と、
前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量を算出する、特徴量算出部と、
前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、行動判定部と、
を備え、
前記特徴量算出部は、前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出し、前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切出し、そして、前記ピーク間データから、前記特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ことを特徴とする行動判定装置。
【請求項2】
前記特徴量算出部が、前記ピーク間データの前記設定値以下となった部分を時間によって積分し、得られた積分値を前記浮き度とし、
前記行動判定部が、前記測定対象の想定される行動毎に設定された前記積分値の閾値に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、請求項1に記載の行動判定装置。
【請求項3】
前記設定値が、重力加速度の値に設定されている、請求項1または2に記載の行動判定装置。
【請求項4】
前記特徴量算出部が、前記浮き度以外の特徴量として、前記時間窓データ毎の加速度分散値と、前記特定された2つのピークの間の間隔とを算出し、
前記行動判定部が、前記浮き度、前記加速度分散値、及び前記特定された2つのピークの間の間隔に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、請求項1〜3のいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項5】
前記行動判定部が、前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動が予め想定された複数の行動のいずれに該当するかを判定し、
前記予め想定された複数の行動には、止まる、走る、歩く、階段の昇り、及び階段の降りが含まれる、請求項4に記載の行動判定装置。
【請求項6】
前記行動判定部が、前記加速度分散値に基づいて、前記測定対象が止まっているかどうかを判定し、止まっていないと判定する場合に、前記特定された2つのピーク間の間隔に基づいて、前記測定対象が走っているか、または歩いているかを判定し、歩いていると判定する場合に、前記浮き度に基づいて、前記測定対象が階段を昇っているか、階段を降りているかを判定する、請求項5に記載の行動判定装置。
【請求項7】
前記行動判定部が、前記加速度分散値に基づいて、前記測定対象が止まっている可能性示す第1の評価値を算出し、前記特定された2つのピーク間の間隔に基づいて、前記測定対象が走っている可能性または歩いている可能性を示す第2の評価値を算出し、前記浮き度に基づいて、前記測定対象が階段を昇っている可能性または階段を降りている可能性を示す第3の評価値を算出する、請求項5に記載の行動判定装置。
【請求項8】
前記浮き度を、前記浮き度以外の特徴量を用いて正規化する、正規化処理部を、更に備え、
前記行動判定部が、前記浮き度の代わりに、前記正規化処理部による正規化によって算出された値を用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項1〜7のいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項9】
前記正規化処理部が、前記浮き度を、前記特定された2つのピークの間の間隔を用いて正規化する、請求項8に記載の行動判定装置。
【請求項10】
前記特徴量算出部が算出した前記特徴量を、設定期間の間、履歴情報として記憶する、履歴記憶部を、更に備え、
前記行動判定部が、前記履歴情報を用いて、前記特徴量の標準値を求め、前記標準値を用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項1〜9のいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項11】
前記行動判定部が、前記履歴情報に含まれる前記特徴量の平均値を算出し、算出した前記平均値を前記標準値として用いる、請求項10に記載の行動判定装置。
【請求項12】
前記行動判定部が、前記履歴情報に含まれる前記特徴量のうち最新の特徴量を除く特徴量について、平均値を算出し、更に、前記最新の特徴量と前記平均値との差分を求め、求めた前記差分の値が閾値以下である場合に、前記測定対象の行動の判定を中止する、請求項10に記載の行動判定装置。
【請求項13】
前記行動判定部による判定の結果を外部に出力する、出力部と、
出力された前記判定の結果の正否を特定する情報の外部からの入力を受け付け、受け付けた前記情報と、出力された前記判定の結果とを対比し、対比の結果から、前記行動判定部が判定を行う際の判定ルールを更新する、学習部と、を備え、
前記行動判定部が、前記学習部が更新した前記ルールを用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項1〜12のいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項14】
前記特徴量算出部が算出した前記特徴量と、前記行動判定部による前記特徴量に基づいた判定の結果と、前記行動判定部による判定が行われた時刻とを、設定期間分、履歴情報として記憶する、履歴記憶部と、
前記履歴記憶部が記憶している、前記設定期間分の、前記判定の結果及び前記時刻を外部に出力する、出力部と、
出力された前記判定の結果と前記時刻との正否を特定する情報の外部からの入力を受け付け、受け付けた前記情報と、出力された前記判定の結果及び前記時刻とを対比し、対比の結果から、前記行動判定部が判定を行う際のルールを更新する、学習部と、を備え、
前記行動判定部が、前記学習部が更新した前記ルールを用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項1〜7のいずれかに記載の行動判定装置。
【請求項15】
測定対象の行動に応じて時系列のセンサデータを出力する加速度センサと、前記センサデータに基づいて前記測定対象の行動を判定する行動判定装置とを備え、
前記行動判定装置は、前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、時間窓切出部と、前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量を算出する、特徴量算出部と、前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、行動判定部とを備え、
前記特徴量算出部は、前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出し、前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切出し、そして、前記ピーク間データから、前記特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ことを特徴とする行動判定システム。
【請求項16】
測定対象の行動に応じて時系列のセンサデータを出力する加速度センサと、
前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、時間窓切出部と、
前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量を算出する、特徴量算出部と、
前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、行動判定部と、
を備え、
前記特徴量算出部は、前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出し、前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切出し、そして、前記ピーク間データから、前記特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ことを特徴とする端末装置。
【請求項17】
加速度センサが出力した時系列のセンサデータに基づいて測定対象の行動を判定するための方法であって、
(a)前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、ステップと、
(b)前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出する、ステップと、
(c)前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切り出す、ステップと、
(d)前記ピーク間データから、前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ステップと、
(e)前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、ステップと、
を有することを特徴とする行動判定方法。
【請求項18】
前記(d)のステップにおいて、前記ピーク間データの前記設定値以下となった部分を時間によって積分し、得られた積分値を前記浮き度とし、
前記(e)のステップにおいて、前記測定対象の想定される行動毎に設定された前記積分値の閾値に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、請求項17に記載の行動判定方法。
【請求項19】
前記(d)のステップにおいて、前記設定値が、重力加速度の値に設定されている、請求項17または18に記載の行動判定方法。
【請求項20】
(f)前記浮き度以外の特徴量として、前記時間窓データ毎の加速度分散値と、前記特定された2つのピークの間の間隔とを算出する、ステップを更に有し、
前記(e)のステップにおいて、前記浮き度、前記加速度分散値、及び前記特定された2つのピークの間の間隔に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、請求項17〜19のいずれかに記載の行動判定方法。
【請求項21】
前記(e)のステップにおいて、前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動が予め想定された複数の行動のいずれに該当するかを判定し、
前記予め想定された複数の行動には、止まる、走る、歩く、階段の昇り、及び階段の降りが含まれる、請求項20に記載の行動判定方法。
【請求項22】
前記(e)のステップにおいて、前記加速度分散値に基づいて、前記測定対象が止まっているかどうかを判定し、止まっていないと判定する場合に、前記特定された2つのピーク間の間隔に基づいて、前記測定対象が走っているか、または歩いているかを判定し、歩いていると判定する場合に、前記浮き度に基づいて、前記測定対象が階段を昇っているか、階段を降りているかを判定する、請求項21に記載の行動判定方法。
【請求項23】
前記(e)のステップにおいて、前記加速度分散値に基づいて、前記測定対象が止まっている可能性示す第1の評価値を算出し、前記特定された2つのピーク間の間隔に基づいて、前記測定対象が走っている可能性または歩いている可能性を示す第2の評価値を算出し、前記浮き度に基づいて、前記測定対象が階段を昇っている可能性または階段を降りている可能性を示す第3の評価値を算出する、請求項21に記載の行動判定方法。
【請求項24】
(g)前記浮き度を、前記浮き度以外の特徴量を用いて正規化する、ステップを、更に有し、
前記(e)のステップにおいて、前記浮き度の代わりに、前記(g)のステップによる正規化によって算出された値を用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項17〜23のいずれかに記載の行動判定方法。
【請求項25】
前記(g)のステップにおいて、前記浮き度を、前記特定された2つのピークの間の間隔を用いて正規化する、請求項24に記載の行動判定方法。
【請求項26】
(h)前記(d)のステップで算出した前記特徴量を、設定期間の間、履歴情報として記憶する、ステップを、更に有し、
前記(e)のステップにおいて、前記履歴情報を用いて、前記特徴量の標準値を求め、前記標準値を用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項17〜25のいずれかに記載の行動判定方法。
【請求項27】
前記(e)のステップにおいて、前記履歴情報に含まれる前記特徴量の平均値を算出し、算出した前記平均値を前記標準値として用いる、請求項26に記載の行動判定方法。
【請求項28】
前記(e)のステップにおいて、前記履歴情報に含まれる前記特徴量のうち最新の特徴量を除く特徴量について、平均値を算出し、更に、前記最新の特徴量と前記平均値との差分を求め、求めた前記差分の値が閾値以下である場合に、前記測定対象の行動の判定を中止する、請求項26に記載の行動判定方法。
【請求項29】
(i)前記(e)のステップによる判定の結果を外部に出力する、ステップと、
(j)前記(i)のステップで出力された、前記判定の結果の正否を特定する情報の入力を受け付ける、ステップと、
(k)前記(j)のステップで受け付けた前記情報と、前記(e)のステップで出力された前記判定の結果とを対比し、対比の結果から、前記(e)のステップで判定を行う際のルールを更新する、ステップと、を更に有し、
前記(i)〜(k)のステップの実行後に新たに実行される前記(e)のステップにおいて、前記(k)のステップで更新した前記ルールを用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項17〜28のいずれかに記載の行動判定方法。
【請求項30】
(l)前記特徴量と、前記(e)のステップによる前記特徴量に基づいた判定の結果と、前記(e)のステップによる判定が行われた時刻とを、設定期間の間、履歴情報として記憶する、ステップと、
(m)前記(l)のステップで記憶された、前記設定期間分の、前記判定の結果及び前記時刻を外部に出力する、ステップと、
(n)前記(m)のステップで出力された、前記判定の結果と前記時刻との正否を特定する情報の入力を受け付ける、ステップと、
(o)前記(n)のステップで受け付けた前記情報と、前記(m)のステップで出力された前記判定の結果及び前記時刻とを対比し、対比の結果から、前記(e)のステップで判定を行う際のルールを更新する、ステップと、を更に有し、
前記(l)〜(o)のステップの実行後に新たに実行される前記(e)のステップにおいて、前記(o)のステップで更新した前記ルールを用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項17〜23のいずれかに記載の行動判定方法。
【請求項31】
コンピュータによって、加速度センサが出力した時系列のセンサデータに基づいた測定対象の行動の判定を実行するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記センサデータから、設定された時間長の時間窓データを切り出す、ステップと、
(b)前記時間窓データから、前記時間窓データに含まれるピークを特定するピーク情報を抽出する、ステップと、
(c)前記ピーク情報に基づいて、1のピークとその直前のピークとを特定し、前記センサデータにおける特定された2つのピークの間に存在する部分をピーク間データとして切り出す、ステップと、
(d)前記ピーク間データから、前記測定対象の行動評価の指標となる特徴量として、前記測定対象にかかる鉛直方向の加速度が設定値以下となる状態の発生度合いを示す浮き度を算出する、ステップと、
(e)前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項32】
前記(d)のステップにおいて、前記ピーク間データの前記設定値以下となった部分を時間によって積分し、得られた積分値を前記浮き度とし、
前記(e)のステップにおいて、前記測定対象の想定される行動毎に設定された前記積分値の閾値に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、請求項31に記載のプログラム。
【請求項33】
前記(d)のステップにおいて、前記設定値が、重力加速度の値に設定されている、請求項31または32に記載のプログラム。
【請求項34】
前記コンピュータに、更に、
(f)前記浮き度以外の特徴量として、前記時間窓データ毎の加速度分散値と、前記特定された2つのピークの間の間隔とを算出する、ステップを実行させ、
前記(e)のステップにおいて、前記浮き度、前記加速度分散値、及び前記特定された2つのピークの間の間隔に基づいて、前記測定対象の行動を判定する、請求項31〜33のいずれかに記載のプログラム。
【請求項35】
前記(e)のステップにおいて、前記特徴量に基づいて、前記測定対象の行動が予め想定された複数の行動のいずれに該当するかを判定し、
前記予め想定された複数の行動には、止まる、走る、歩く、階段の昇り、及び階段の降りが含まれる、請求項34に記載のプログラム。
【請求項36】
前記(e)のステップにおいて、前記加速度分散値に基づいて、前記測定対象が止まっているかどうかを判定し、止まっていないと判定する場合に、前記特定された2つのピーク間の間隔に基づいて、前記測定対象が走っているか、または歩いているかを判定し、歩いていると判定する場合に、前記浮き度に基づいて、前記測定対象が階段を昇っているか、階段を降りているかを判定する、請求項35に記載のプログラム。
【請求項37】
前記(e)のステップにおいて、前記加速度分散値に基づいて、前記測定対象が止まっている可能性示す第1の評価値を算出し、前記特定された2つのピーク間の間隔に基づいて、前記測定対象が走っている可能性または歩いている可能性を示す第2の評価値を算出し、前記浮き度に基づいて、前記測定対象が階段を昇っている可能性または階段を降りている可能性を示す第3の評価値を算出する、請求項35に記載のプログラム。
【請求項38】
前記コンピュータに、更に、
(g)前記浮き度を、前記浮き度以外の特徴量を用いて正規化する、ステップを、実行させ、
前記(e)のステップにおいて、前記浮き度の代わりに、前記(g)のステップによる正規化によって算出された値を用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項31〜37のいずれかに記載のプログラム。
【請求項39】
前記(g)のステップにおいて、前記浮き度を、前記特定された2つのピークの間の間隔を用いて正規化する、請求項38に記載のプログラム。
【請求項40】
前記コンピュータに、更に、
(h)前記(d)のステップで算出した前記特徴量を、設定期間の間、履歴情報として記憶する、ステップを、実行させ、
前記(e)のステップにおいて、前記履歴情報を用いて、前記特徴量の標準値を求め、前記標準値を用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項31〜39のいずれかに記載のプログラム。
【請求項41】
前記(e)のステップにおいて、前記履歴情報に含まれる前記特徴量の平均値を算出し、算出した前記平均値を前記標準値として用いる、請求項40に記載のプログラム。
【請求項42】
前記(e)のステップにおいて、前記履歴情報に含まれる前記特徴量のうち最新の特徴量を除く特徴量について、平均値を算出し、更に、前記最新の特徴量と前記平均値との差分を求め、求めた前記差分の値が閾値以下である場合に、前記測定対象の行動の判定を中止する、請求項40に記載のプログラム。
【請求項43】
前記コンピュータに、更に、
(i)前記(e)のステップによる判定の結果を外部に出力する、ステップと、
(j)前記(i)のステップで出力された、前記判定の結果の正否を特定する情報の入力を受け付ける、ステップと、
(k)前記(j)のステップで受け付けた前記情報と、前記(e)のステップで出力された前記判定の結果とを対比し、対比の結果から、前記(e)のステップで判定を行う際のルールを更新する、ステップと、を更に実行させ、
前記(i)〜(k)のステップの実行後に新たに実行される前記(e)のステップにおいて、前記(k)のステップで更新した前記ルールを用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項31〜42のいずれかに記載のプログラム。
【請求項44】
前記コンピュータに、更に、
(l)前記特徴量と、前記(e)のステップによる前記特徴量に基づいた判定の結果と、前記(e)のステップによる判定が行われた時刻とを、設定期間の間、履歴情報として記憶する、ステップと、
(m)前記(l)のステップで記憶された、前記設定期間分の、前記判定の結果及び前記時刻を外部に出力する、ステップと、
(n)前記(m)のステップで出力された、前記判定の結果と前記時刻との正否を特定する情報の入力を受け付ける、ステップと、
(o)前記(n)のステップで受け付けた前記情報と、前記(m)のステップで出力された前記判定の結果及び前記時刻とを対比し、対比の結果から、前記(e)のステップで判定を行う際のルールを更新する、ステップと、を実行させ、
前記(l)〜(o)のステップの実行後に新たに実行される前記(e)のステップにおいて、前記(o)のステップで更新した前記ルールを用いて、前記測定対象の行動を判定する、請求項31〜37のいずれかに記載のプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−206274(P2011−206274A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77109(P2010−77109)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】