説明

衛星測位システムにおいて時間を決定するための方法および装置

【課題】衛星測位システムにおいて時間を決定するための方法および装置。
【解決手段】一つの実施態様において、基準時間は、他のナビゲーション情報を決定するのに使用される。そのようなナビゲーション情報は、例えば、衛星測位システム(SPS)の受信機のローカル/位置を含む。一つの実施態様において、SPSの受信機と1組の一つ以上の衛星との間の相対速度は、SPSの受信機により示されるような時間と基準時間との間のオフセットを決定するために使用される。他の実施態様に関して、誤り統計が、基準時間を決定するために使用される。他の実施態様に従って、衛星の少なくとも位置を各々代表する二つの記録が比較され、時間を決定する。一つの実行において、SPSの受信機は移動であり、前記方法の一つ又は組み合わせにより、基地局に関連して時間と/又は他のナビゲーション情報を決定するように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位システム(SPS)に関し、特にSPS信号送信および/または受信と関連する時間を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、1997年2月3日に提出され、本発明の譲受人に譲渡された「衛星測位システムに基づいた時間測定のための方法および装置(Method and Apparatus for Satellite Positioning System BasedTime Measurement)」と題される米国特許出願第08/794,649号の一部継続出願である。
【0003】
GPS(全地球測位システム)受信機などのSPSの受信機は、通常、GPS(またはNAVSTAR)衛星などの非常に多数の衛星から同時に送信される信号の到着の相対的な時間を計算することによりその位置を決定する。GPSなどの典型的な衛星測位システムにおいては、非常に多数の衛星が、極小のクロック精度を提供してよいきわめて正確なシステムクロックに従って同期される。一般的には、各衛星は、GPSの場合、(GPS)システム時間と呼ばれる(これ以降システム時間と呼ばれる)システムクロックによって示される時間に従って、データが送信されたときを示すタイムスタンプも含むナビゲーションデータ(例えば、衛星の場所)を送信する。
【0004】
しかしながら、SPSの受信機は、典型的にはこのような正確なクロックを有していない。したがって、SPSの受信機は、典型的には、読み取り、および衛星メッセージに含まれるタイミング情報によってタイミング情報を決定する。多くの受信機は、4つ(または5つ以上の)衛星からの測定値を使用することによって位置および時間を決定する。4つの衛星(i=1、2、3、4)の内のそれぞれへの範囲は、以下のように表記されてよい:
【数1】

【0005】
ここで、x、yおよびzは、受信機の座標/位置(未知)である。
xi、yiおよびziは、i番目の衛星の座標/位置(既知)である。および
cbは、受信機のクロックと基準時間(未知)の間の時間の誤差の結果であるクロックバイアスを表す。
【0006】
したがって、前記等式(1)には、典型的には、合計4個の未知数がある。
【0007】
しばしば、PRiは、それが等式(1)のcbの項で示されるように受信機のクロック誤差によって生じる可能性のあるオフセットを加えたまたは差し引いた、i番目の衛星の実際の範囲を表すために擬似距離と呼ばれる。4つの衛星からの測定値を使用する前記等式は、線形にされ、以下に示すように行列形式で表される:
【数2】

【0008】
ここで、ΔPRiは、該i番目(i=1,2,3,4,5)の人工衛星に関して残余(residual)の擬似距離(pseudorange)であり、(既知の)該i番目の人工衛星までの初期の推定された距離と、該測定された擬似距離との差を表す。
uxi、uyi、uziは、x,y,z座標軸(既知)に沿って投影されたときの、受信機からi番目の人工衛星に対する視線ベクトル(line−of−sight vector:LOSベクトル)の方向コサインである。
Δx,Δy,Δz,Δcbは、(未知の)基準クロックからのオフセットである可能性のある、受信機のクロックと座標/位置の初期の推定への補正である。
【0009】
以降、擬似距離残差ベクトルもZと呼ばれ、nx4要素行列Hも観測行列と呼ばれ、xは、重要な未知数を含むSPSの受信機の位置と時間補正ベクトルを表す。このようにして、観測行列Hの逆数が存在する場合には、前記行列等式(2)によって表記される一次方程式の集合の中の未知のxに対する一意の解が求められてよく、その結果 :
【数3】

【0010】
擬似距離(PRi)を求める場合、従来のSPSの受信機は、典型的にはその位置の初期の推定およびミリ秒範囲内まで既知であるクロックバイアスを使用する。しかしながら、衛星からの信号は光の速度で、またはほぼ光の速度で移動してくるため、時間の1ミリ秒の不明確ささえ擬似距離測定値での最高300キロメートルの誤差を生じさせることがある。前記行列等式(2)を解くことによって、従来のGPSの受信機は、その初期クロックバイアス推定に対する補正を計算でき、そこでは初期クロックバイアス推定は、「時間調節」情報を提供するナビゲーションメッセージを読み取ることによって引き出される。
【0011】
残念なことに、多くの状況では、1つまたは複数の衛星のナビゲーションメッセージを読み取ることによってシステム時間を決定することは、信号品質の劣化のため、困難である可能性がある。例えば、衛星信号の妨害物がある場合、GPS衛星からの受信信号レベルまたは信号対雑音比(SNR)が低すぎて、誤差なく衛星データ信号を復調し、読み取ることはできない可能性がある。このような状況は、個人の追跡調査およびそれ以外に高度に移動の用途で生じる場合がある。このような信号条件下では、受信機は依然としてGPS信号を取得し、追跡調査することができる。ただし、タイミングデータのない場所および不明確な時間測定は、代替方法を利用して最もよく実行されてよい。
【0012】
本発明は、衛星ナビゲーションデータメッセージ内で提供されているタイミング情報を処理することから基準時間を決定しなくても、基準時間(例えば、システム時間またはそれ以外の相対的に正確な基準時間)を基準にしてSPSの受信機による衛星送信の時間および/または測定の時間などのSPS内の時間を決定するための方法および装置を提供する。
【発明の概要】
【0013】
衛星測位システムに関連する基準時間を決定するための方法および装置が記述される。いったん決定されると、基準時間は、ある実施形態においては、他のナビゲーション情報を求めるために使用されてよい。このようなナビゲーション情報は、例えば、衛星測位システム(SPS)の受信機の場所/位置を含んでよい。1つの実施形態においては、SPSの受信機と1つまたは複数の衛星のセットの間の相対的な速度は、SPSの受信機によって示されるような時間と基準時間の間のオフセットを求めるために使用される。本発明の別の実施形態に従って、誤差の統計が基準時間を決定するために使用される。本発明のまた別の実施形態に従って、それぞれが少なくとも衛星メッセージの一部を表す2つのレコードが時間を決定するために比較される。1つのインプリメンテーションでは、SPSの受信機は移動であり、説明されている方法の1つまたは組み合わせに従って時間および/またはその他のナビゲーション情報を決定するために、基地局とともに動作する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に従って使用されてよい結合された移動GPSの受信機と通信システムの例を示す概略図。
【図2】図1のRFからIF変換器7および周波数シンセサイザ16をさらに詳細に示す概略図。
【図3】図2に示されているもののような、移動通信受信機および送信機と結合されている移動SPSの受信機とともに使用されるように、本発明の1つの実施形態に従った衛星測位システム内での時間決定のために相対的な衛星速度を使用するための方法を示すフロー図。
【図4】本発明の1つの実施形態に従って、衛星測位システムで時間を決定するために誤り統計値を使用するための方法を示すフロー図。
【図5】本発明の1つの実施形態に従って、衛星測位システムで時間を決定するために、図4の方法300で単位分散誤り統計値を使用するための方法を示すフロー図。
【図6】本発明の1つの実施形態に従った1組の距離の推定に関する単位分散の適合の一例を示す図。
【図7】本発明の1つの実施形態に従った1組の距離の推定に関する単位分散の適合の一例を示す図。
【図8】衛星データメッセージの第1の記録と第2の記録の比較に基づき、本発明の1つの実施形態に従って、図1に示されているものなどの移動通信受信機と送信機と結合される移動SPSの受信機とともに使用されてよい、衛星測位システムと関連する時間を決定するための汎用化された方法を示すフロー図。
【図9】衛星測位システムとともに使用するための衛星データメッセージに関連する時間を測定するための方法620をさらに詳細に示すフロー図。
【図10】本発明の1つの実施形態に従った基地局を示す概略図。
【図11】本発明の1つの実施形態に従った基地局を示す概略図。
【図12】SPSの受信機、セルラー電話サイト、基地局、インターネットおよびクライアントコンピュータシステムを含む、本発明の1つの実施形態に従ったシステムを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
衛星測位システムとともに使用するための衛星データメッセージに関係する時間を測定するための多様な方法および装置が以下に説明される。本発明の説明の一部は米国の全地球測位衛星(GPS)システムに焦点を当てている。しかしながら、これらの方法が、ロシアのGlonassシステムなどの類似した衛星測位システムにも等しく適用できることが明らかでなければならない。さらに、本発明の教示は、複数のスードライト(pseudolites)または衛星と複数のスードライトの組み合わせを活用する測位システムに等しく適用可能であることが理解されるだろう。さらに、基地局および移動SPSの受信機の多様なアーキテクチャが、本発明の制限として解釈されるよりむしろ説明目的で提供されている。
【0016】
1つの実施形態の概要:時間決定のための衛星速度の利用
図3は、図1に示されているもののような移動通信受信機および送信機と結合されている移動SPSの受信機とともに活用されるように、本発明の1つの実施形態に従った、衛星測位システム内での時間決定のための相対的な衛星速度を活用するための方法を示すフロー図である。図3に示されている方法200では、図1に図示されている移動SPSの受信機100のようなエンティティ(entity)が、その位置をステップ202の1つまたは複数の衛星のセットに従って推定する。1つの実施形態においては、SPSの受信機は、衛星から送信される信号に基づき衛星のセットに対する擬似距離のセットを決定してよい。このようにして、SPSの受信機による任意の範囲または位置の推定は、典型的には、SPSの受信機と基準時間のクロックによって提供されるように測定の時間の間のオフセットのために、実際の位置または範囲を基準にして相殺されるだろう。
【0017】
ステップ204では、図10に図示されている基地局のような基地局が、SPSの受信機から推定情報を受け取る。例えば、推定情報は、SPSの受信機による測定の時間の推定に関連するような擬似距離測定値の表記を含んでよい。例えば、擬似距離は、SPSの受信機のクロックによって示されるような時間を使用して求められてよい。前述されたように、正確な基準時間を基準にした、時間の正確な瞬間での衛星の位置について知らずに、SPSの受信機は、時間の任意のオフセット/誤差のために実際の距離によって相殺される可能性のあるその位置の推定/近時に制限されるだけである。
【0018】
ステップ206では、基地局は、衛星のセットの相対的な速度の推定に基づき、SPSの受信機によって基地局に提供される推定情報によって表されるような、SPSの受信機の範囲または位置の推定に関連する時間オフセットを決定する。1つの実施形態においては、衛星のセットのそれぞれの相対的な速度が、衛星と移動SPSの受信機の間の近似される相対的な速度を表す。SPSの受信機による測定の時間と基準時間(例えば、GPSシステム時間)の間の時間オフセットを決定するために相対的な衛星速度を活用するための、本発明の実施形態に従った方法は、行列等式(4)に関して後述される。
【0019】
最後に、ステップ208では、基地局が、時間、位置、速度等の改善されたナビゲーション情報をSPSの受信機に提供する。改善されたナビゲーション情報は、基準時間を基準にして何時、どの位置で、どの範囲またはどのそれ以外の情報が移動SPSの受信機によって推定または測定されたのかを突き止めるために、オフセット(またはその近似)の決定に基づく。代替実施形態においては、基地局は、SPSの受信機に改善されたナビゲーション情報を提供しないことがある。例えば、このような情報は、有線または無線等であることがあるデータ通信リンクを介して別のエンティティに記憶、提供されてよい。
【0020】
表1は、ここにおいて言及される量の一部が本発明の1つの実施形態に従って、どのようにしておよびどの(複数の)デバイスによって、決定されるのかを示す。
【表1】

【0021】
本発明の1つの実施形態においては、後述されるような擬似距離行列等式(4)が、移動SPSの受信機での測定の時間に関連する推定時間と、基準時間の間の時間の誤差/オフセットについて解かれる。このような解は、1つの実施形態においては、移動SPSの受信機の位置を推定するために使用される衛星のセットと、移動SPSの受信機自体の間の相対的な速度に基づいている。5つの測定値の場合、修正された行列等式(4)は、以下のように表記されてよい:
【数4】

【0022】
ここで、ΔPRiは、該i番目(i=1,2,3,4,5)の人工衛星に関して残余の擬似距離(pseudorange)であり、ΔPRiは、(既知の)該i番目の人工衛星までの初期の推定された距離と、該測定された擬似距離との差を表す。
uxi、uyi、uziは、x,y,z座標軸(既知)に沿って投影されたときの、受信機からi番目(i=1,2,3,4,5)の人工衛星に対する視線ベクトル(line−of−sight vector:LOSベクトル)の方向コサインである。
sv 距離 レートiは、i番目(i=1,2,3,4,5)の人工衛星と、あるエンティティ(例えば、移動SPSの受信機等)(既知)との相対速度である。
Δx,Δy,Δz,Δcbは、(未知の)受信機のクロックと座標/位置の初期の推定への補正である。
Δtは時間計測におけるオフセットであり、それは、一実施形態では、擬似距離計測が行われる該推定された時間と、基準時間(例えば、GPSシステム時間、或いはGPSシステム時間に基づく時間等)(未知)との間の差(またはオフセット)を表す。
【0023】
上記行列による方程式(4)を解くことで、特定時刻において計測された擬似距離に適合する一意的な解を得ることができる。方程式(4)の解によれば、擬似距離が決定された時刻の初期の推定に対して、Δtは粗い補正を与え、Δcbは細かな補正を与える。すなわち、千分の一秒未満或いはそれ以上のオーダーとなり得るものであって、基準時間(例えば、GPSシステム時間)とあるエンティティ(例えば、移動SPSの受信機等)が当該エンティティの位置または/或いは人工衛星群の位置を推定した推定時間との間のオフセットは、人工衛星群の相対速度に基づいて決定することができる。
【0024】
必ずしもあらゆる場合という訳ではないが、式(4)は、代表的な5つの未知の値Δx,Δy,Δz,Δcb,Δtを含んでいる。従って、これらの未知の値が計測時において何れもわかっていない場合、5個(或いはそれ以上)の独立な擬似距離計測が典型的に説明され、上記未知の値に対する一意的な解を求めることができる。
【0025】
一般に、行列による方程式(4)の厳密性は、各人工衛星の相対速度(すなわち、sv距離 レートi)の厳密性に少なくとも一部は依存している。さらには、例えば移動SPSの受信機の様なあるエンティティに対する各人工衛星からの視線ベクトル(LOSベクトル)を計算するために用いられる、初期位置に関する誤差及び時間推定は、各人工衛星の速度推定において誤差を生ずることがある。従って、一実施例としては、セルラー方式サイトの位置情報を利用することで、SPSの受信機の位置の初期の推定を決定することができる。さらに、一実施例として、行列方程式(4)は、SPSの受信機等のエンティティに対する位置推定を改良し、人工衛星群に関する一或いはそれ以上の速度を計算し直すことで、逐次的に解くこともできる。この場合、各逐次によって5個の改良点が得られる。すなわち、空間的な領域又は位置若しくは距離に関する3つの改良点(Δx,Δy,Δz)、時間領域に関する二つの改良点(Δcb,Δt)である。
【0026】
本発明に係る当該実施例においては移動SPSの受信機の速度はわかっているものとされ、時間の決定にはドップラ計測を利用している。また、当該実施例では、時間を決定するためにドップラ情報を使用することで、後の速度の誤差を最小限にする。本実施例では、速度の誤差は、移動SPSの受信機に対して計算された速度(当該速度は、上記行列方程式(4)あるいは後述する誤差の統計的方法を含む種々の方法によって計算することができる。)と、わかっている移動SPSの受信機の速度と、の差を表している。この様な誤差を最小にすることで、関心のある時間を決定することができる。例えば、移動SPSの受信機が静止状態(すなわち、速度0の状態)である場合、基準時間と比べて、計測された時間への種々の近似を行うことで、解を計算することが可能である。速度0に対応する解は、最も基準時間に近いものとなり、従って、移動SPSの受信機の位置及び/又は他のナビゲーション情報を決定するのに使用される。本発明の他の実施例としては、高度援助或いは推測航法(例えば、知っている方向に関する速度の制限等)、またはその他の技術を採用してもよい。これは、SPSの受信機の相対速度の利用や、時間その他のナビゲーション情報を決定するための一又はそれ以上の人工衛星群を、改良或いは単純化するためである。
【0027】
他の実施例の外観時間決定に対する誤差の統計の利用 本発明に係る本実施例では、誤差の統計を利用して衛星測位システムに関する基準時間を決定する。本発明の当該観点から見た一状況、すなわち誤差の統計に基づいた時間の決定は、計測の数(例えば、擬似距離の計測等)が未知の値(例えば、Δx,Δy,Δz,Δcb等)の数を上回る場合に有効である。更には、誤差の統計は、時間決定及び/又は他のナビゲーション情報を改善するための他の技術に関連して利用することも可能である。
【0028】
図4は、本発明の一実施例に従った、誤差の統計を利用して衛星測位システムにおける時間を決定する方法を示した流れ図である。図4中の方法300のステップ302において、あるエンティティ、例えば移動SPSの受信機は、複数の時間において、人工衛星群に対して相対的な距離と位置とを推定する。なお、ここでの複数の時間(一又はそれ以上の時間)は、基準時間からのオフセットである、計測された推定時間と関係を有するものである。例えば上記オフセットは、SPSの受信機クロックと基準クロックにより示される時間との間のオフセット、ドリフト、及び/又はSPS受信機クロックの他の不正確さなどが原因である。この基準時間は、例えばGPSシステム時間といった衛星測位システムに関する時間に対応している。
【0029】
ステップ304では、複数の時間例の夫々は、さらにオフセットを加算或いは減算することで変更される。例えば、本実施例では、個々の距離推測或いは位置推測に関連して計測された各推測時間は、−5乃至+5秒間のオフセットによって変更される。また、他の実施例としては、オフセット値の他の範囲を加算或いは減算し、誤差の統計に対する種々のサンプルを取得する構成をとることも可能である。
【0030】
ステップ306では、時間例の変更(すなわち、オフセットを持っている時間に加算したり減算したりする)セットのために、誤差の統計を決定する。最後に、ステップ308で、基準時間(あるいはその近似)を誤差の統計のふるまいに基づいて決定する。一実施例では、図5に基づいて後述する様に、誤差の統計は、擬似距離の残余値の単位分散分布の決定も含んでいる。本実施例では、単位分散の一次偏差は、空間領域(x,y,z)と時間領域(Δt)における一次偏差と典型的に対応している。使用された誤差の統計を最適化することで(このことは、単位分散の場合においては、単位分散の最小値化に対応する)、検索された基準時間に近似する時間を判別することができる。距離或いは位置の推定誤差/オフセットに関する単位分散を使用することについて、一実施例に従って、図5を参照して以下更に説明する。
【0031】
図5は、図4の方法300において単位分散の誤差の統計を利用して衛星測位システムの基準時間を決定する方法を示した流れ図であり、本発明の一実施例に従うものである。特に、図5は、図4のステップ306の一実施例を示したものである。ステップ310では、単位分散は、時間例の変更セットのために決定される。この一実施例では、単位分散は次の様に定義される:
【数5】

【0032】
Wは重み因子であり、それは重み観測行列を表している。
ある実施例では、重み因子は使用されない。このことは、一般的に重み行列をアイデンティティ行列とみなすことと等価である。
nは、測定数を表す。
mは、未知数の数を表す。
【0033】
従って、単位分散は、大部分において、擬似距離の残余の値の二乗の和(重み付けされたもの或いは重み付けされないもの)を意味している。単位分散方程式(5)の分母は、自由度の数を表している。
【0034】
ステップ312において、単位分散に関する多項式の適合が決定される。普通に分配された擬似距離の残余のものに対し、単位分散の期待値は1であり、分布は(n−m)自由度のχ二乗(Chi-square)の分布である。しかしながら、幾つかの場合、個々の単位分散の値は0になることもある。これは、SPSの受信機に対して位置或いは時間固定の完全な適合性に対応するものである。従って、統計的に最適な位置固定のための計測(例えば、擬似距離、擬似距離の残余等)は、理想的に0に近い値として、一般的に単位分散を最小化する。換言すれば、距離或いは位置の推定に対する単位分散を最小化した場合、最善の適合性(或いは解)が空間及び/或いは時間について得られるのである。
【0035】
図6及び図7は、本発明の一実施例に従った距離推定のセットに対する、単位分散の適合性の例を示している。例えば図6において示したように、(時間オフセットの関数としての)単位分散の誤差の統計の分布が得られた場合、二つの一次適合性(一つは、正のオフセットに対するもの、もう一つは負のオフセットに対するもの)を計算してもよい。傾斜の先端、すなわち二つの傾斜の交点は、基準時間に対する近似を与える。多項式適合性の種々の有名な型を単位分散データに対して利用しうること、また、単位分散分布の局所最小化或いは順番に関心のある基準時間を決定すること、を期待できる。
【0036】
図7は、図6に示した単位分散分布の例を拡大した拡大図である。同図に示すように、図7の時間オフセットのスケールは、図6のそれよりも小さくなっている。図7の例から、単位分散の適合性に関する勾配の関心点或いは最小点は、厳密に0の時間オフセットと必ずしも対応しないことがわかる。どのような場合においても、単位分散は、SPSの受信機の位置に関して十分正確な推定、及び/又は例えばGPSシステム時間の様な関心のある基準時間を提供することが可能である。
【0037】
他の誤差の統計を使用することで、レフランす時間に対する近似を与える適合を得ることができるのがわかる。さらに、図4及び図5に関して示された方法は、移動SPSの受信機と基地局との組み合わせ、或いは二つのエンティティ(二つの移動SPSの受信機等)によって実行することができる。例えば、一実施例として、基地局が距離推定(例えば、擬似距離の値)のセットを移動SPSの受信機から受信し、当該受信機の時間、位置、或いは単位分散といった誤差の統計に基づくその他のナビゲーション情報を決定する。基地局は、移動SPSの受信機或いはその他のエンティティに対して、ナビゲーション情報或いは少なくとも部分的な情報を、任意に提供することができる。この場合、SPSの受信機は、当該情報及び/或いはその他の情報に基づいて、時間、位置、及び/又はその他のナビゲーション情報を判別することができる。
【0038】
代替の実施例 上記したように、本発明の種々の実施例においては、相対速度と誤差の統計(擬似距離残量に関わる単位分散など)をそれぞれ別個もしくは同時に用いて、衛星測位システムに関わる時間を決定してもよい。さらに、どの方法を選択するかは、利用できるデータ、信号の性質、衛星の数や間隔、一つ以上の衛星と受信機との距離などの所定の条件に応じて決定できる。実施例によっては、両方の方法を用いて、不正確さを最小限にしたものに基づき、時間、位置その他の航行情報に対する最適の解決結果を選択するようにしてもよい。
【0039】
さらに別の実施例においては、上述した衛星測位システムにおける時間決定のための方法および装置を、別の時間決定方法および装置と組み合わせることができる。その組み合わせ方は、「時間測定に基づく衛星位置決めのための方法および装置」というタイトルの米国特許出願08/794,649号(1997年2月3日提出)に記載されており、この出願の記載内容はこの出願に参照の為に取り込まれるものとする。この参照の為の特許に詳細に記載されているように、移動SPSの受信機のような構成要素により受信された衛星データメッセージの記録を、誤差がないと仮定しうる別の記録と比較することで時間を決定するようにしてもよい。このように比較することで、図8と図9を参照して概略が後述されるようにまた上記参照用の同時係属出願08/794,649号において詳細に記載されるように、時間を決定することができる。
【0040】
図8は、衛星データメッセージの第1、第2の記録を比較することに基づく衛星測位システムに関連する時間を決定する一般的な方法を示す。この方法は、図1に示すような本発明の実施例に基づく移動可能な通信送受機と組み合わされた移動(mobile)SPSの受信機と共に利用される。第8図と第9図を参照して後述する方法は、上述した、相対速度か誤差の統計の決定かこれらの両方に基づく時間決定技術の一つもしくは組み合わせたものと組み合わせてもよい。図1に示す移動GPSの受信機100は、ステップ501において、たとえば天文暦のような衛星データメッセージをサンプリングしメッセージの記録を作成する。この方法500においては、ステップ503において、移動GPSの受信機もしくは移動GPSの受信機により作成された記録が基地局に送信される。基地局は図10や図11に示すような構成の基地局である。その記録は、通常の場合、移動SPSの受信機によって受信された衛星データメッセージを示すものである。ステップ505において、基地局は移動GPSの受信機より発信された記録を、衛星航行メッセージの参照記録とみなされる別の記録と比較する。この参照記録は関連づけられた複数の時間値を有しており、衛星データメッセージのセグメントがそれぞれ関連付けられた特定の「基準(reference)」時間を有している。ステップ507において、基地局は移動GPSの受信機100による衛星データメッセージのサンプリング時間を決定する。この決定は参照記録と関連した時間値に基づくものであり、記録が移動GPSの受信機に受信された場合は、通常時間を示す。
【0041】
図9は、衛星測位システムと共に用いられる、衛星データメッセージに関連する時間を測定するための方法620をより詳細に示す。ステップ621において、移動GPSの受信機もしくは遠隔GPSの受信機はGPS信号を取得し、それらの取得したGPS信号に基づき擬似距離を決定する。ステップ623において、移動GPSの受信機はPNデータを除去し、擬似距離の作成もしくは決定に用いられた取得されたGPS信号から衛星データメッセージの記録を作成する。通常、この記録は取得したGPS信号における衛星航行メッセージを示し、データの見積もりを示すものである。ステップ625において、移動GPSの受信機はその記録と決定された擬似距離を基地局に送信する。基地局はたとえば図10もしくは図11に示すような基地局である。
【0042】
ステップ627において、基地局は移動GPSの受信機から送信された記録に対し、関連する衛星群の航行メッセージの参照記録との相互関連付けを実施する。通常、この参照記録は自身のデータと関連する正確な時間スタンプを含む(例えば、参照記録のデータはビット毎に関連する時間値、即ち「スタンプ(stamp)」を有す)。この時間スタンプを用いて、最初に取得されたGPS信号が携帯GPSの受信機により受信される時間を決定しているのである。一般に、移動GPSの受信機から送出された記録と参照記録は時間的に一部重複している。
【0043】
ステップ629において、基地局は相互関連操作に基づき、受信されたGPS信号を遠隔GPSの受信機により取得する時間を決定する。次にステップ631において基地局は、受信されたGPS信号を遠隔GPSの受信機により取得する時間を利用し、決定された擬似距離を用いて位置情報を決定する。この位置情報は、移動/遠隔GPSの受信機の緯度や経度であってもよい。基地局は、ステップ633において、遠隔GPSの受信機の位置情報を別のエンティティに通信してもよい。別のエンティティとは、インターネットやイントラネットを介して基地局と接続されているコンピュータシステム等である。
【0044】
ハードウェアの概観 図1は、本発明と共に使用しうる、移動GPSの受信機と通信システムの組み合わせの例を示す。この移動GPSの受信機と通信システムの組み合わせ100は、同時係属の米国特許出願08/652,833号において詳細に記載されている。この米国出願は1996年5月23日に提出されたものであり、タイトルは「回路を共有するGPS測位システムと通信システムの組み合わせシステム」であり、その記載内容はこの出願に取り込まれるものとする。図2は、図1に示すRF/IFコンバータ7と周波数合成器16をさらに詳細に示すものである。図2に示されるこれらの構成要素も、同時係属出願08/652,833号において記載されている。
【0045】
図1に示す移動GPSの受信機および通信システム100は、記憶されたGPS信号に対し特別なデジタル信号処理を実行することで、受信機の感度を高くなるように構成してもよい。このことは、米国特許5,663,734に記載されている。この特許は1997年9月2日に発布されたものであり、タイトルは「GPSの受信機とGPS信号を処理する方法」であり、この特許の記載内容はこの出願に参照の為に取り込まれるものとする。米国特許5,663, 734に記載されているこの処理操作においては、通常、高速フーリエ変換(FTT)を用いる中間たたみこみ量を計算し、この中間たたみこみ量をデジタルメモリに記録し、その後これらの中間たたみこみ量を用いて少なくても1つの擬似距離を設定する。図1に示したGPSの受信機および通信システムの組み合わせ100に、周波数安定化技術やキャリブレーション(calibration)技術を組み込んで、GPSの受信機の感度と精度をさらに高めるようにしてもいい。これらの技術は同時係属出願08/759,523号において記載されている。この出願は1996年12月4日に提出されたものであり、タイトルは「データリンクを利用した改良型GPSの受信機」であり、その出願の記載内容はこの出願に取り込まれるものとする。
【0046】
図1に示す結合された移動GPSの受信機及び通信システム100が、詳細にではないが概要がここに示されている。代表的な実施形態では、移動GPSの受信機及び通信システム100は、図10及び図11のいずれかに示した基地局のいずれか一つでもよい、基地局17のような基地局からの命令を受信する。この命令は、通信アンテナ2で受信され、またこの命令は、デジタルメッセージとして処理され、プロセッサ10によりメモリ9に格納される。ある実施形態では、メモリ9は命令、データ及び/又は“スナップショット(snapshot)”情報を格納するランダムアクセスメモリ(RAM)に格納可能である。プロセッサ10は、このメッセージが基地局へ位置情報を提供する命令であると判定し、これによりプロセッサ10は、少なくとも通信システムと一部が共用可能なシステムのGPSの一部を作動させる。これは、例えば、RF IFコンバータ7が通信アンテナ2から通信信号を受信するよりGPSアンテナ1からGPS信号を受信するようなスイッチ6の設定を含む。そして、GPS信号が受信され、デジタル化され、デジタルメモリ9に格納され、米国特許第5,663,734号で説明されたデジタル信号処理技術に従って処理され得る。この処理結果は、一般に、“見えている(in view)”衛星の組に対する複数の擬似距離を含んでいてもよく、それに基づくこれら擬似距離あるいはデータは、処理構成要素10により、送信機の一部を動作可能にし、擬似距離を通信アンテナ2を介して基地局に送り戻すことで、基地局に送り戻してもよい。
【0047】
図1に示す基地局17は、無線通信リンクを介して遠隔局に直接接続されてもよいし、図12に示すように、電話の位置及び基地局の間の有線通信リンクを提供するセルラ電話のサイトを通じて遠隔局に接続されてもよい。図10及び図11はこれら2つの考えられる基地局の例である。
【0048】
図10に示す基地局701は移動GPSの受信機へ、及び移動GPSの受信機からの無線リンクを提供することにより、また受信した擬似距離を処理することにより、自律ユニット(autonomous)として機能してもよい。上述した実施形態の一つあるいはその組み合わせによれば、基地局701は相関衛星速度、誤り統計値及び/又は衛星データメッセージ記録の比較を利用することにより時間を判定するための擬似距離を処理してもよい。基地局701は、基地局が首都圏に位置する場合の利用を見出すこともでき、追跡されるすべての移動GPSの受信機は、同じ首都圏に同様に配置可能である。例えば、基地局701は、移動GPSの受信機を備え、あるいは利用するそれぞれを追跡するため、警察隊やレスキューサービスにより採用され得る。一般に、送信機及び受信要素709及び711は単一のトランシーバユニットに組み合わせられ、単一のアンテナを有する。しかしながら、これら構成要素は別個に存在するかのように別個に示されている。送信機709は、命令及び/又はナビゲーション情報を送信機アンテナ710を介して移動GPSの受信機に提供するように機能する。一般に、送信機709は処理ユニットのユーザからの要求を受信し、特定の移動GPSの受信機の配置を決定し得るデータ処理ユニットの制御下にある。その結果、データ処理ユニット705は送信機709により移動GPSの受信機に送信される命令を生じさせる。これに応答して、移動GPSの受信機は受信機711に、受信アンテナ712により受信される本発明の一実施形態における擬似距離、関連時間評価及び/又は衛星データメッセージ記録(又はそれの一部)を送り戻す。受信機711はこのような情報を移動GPSの受信機から受信し、それらをデータ処理ユニット705に提供する。データ処理ユニット705は、移動GPSの受信機から受信した擬似距離と関連づけられた時間、位置及び/又は他のナビゲーション情報を決定する上述した動作の一つあるいはそれ以上を実行する。係属中出願08/794,649号を参照して上記説明したように、このような動作はGPSの受信機703や参照品質衛星データメッセージの他のソースから受信した衛星データメッセージを含んでいてもよい。このことは、さらに上記言及された係属中特許出願に説明されている。GPSの受信機703は移動GPSの受信機の位置情報を計算するための擬似距離及び決定時間とともに、一実施形態で利用される衛星暦データを提供することができる。大容量記憶装置707は衛星速度情報と、移動GPSの受信機から受信された記録と比較するのに用いられる衛星データメッセージの記憶された参照記録バージョンと、上述した一つあるいはそれ以上の技術に従った誤り統計値分析ルーチン及び/又は擬似距離に基づく時間を決定するための他の情報及び移動GPSの受信機により提供される他のいかなる情報をも格納することができる。データ処理ユニット705は、任意のディスプレイ715に接続されてもよいし、また任意のGISソフトウェアを有する大容量記憶装置713に接続されてもよい。別個独立に述べられているが、大容量記憶装置713は、同一のハードディスクや他のデータ格納デバイス/媒体に含められる点で、大容量記憶装置707と同じであると認識される。
【0049】
図11は本発明の代替的な基地局を示す図である。この基地局725は、図12に示すセルラ電話サイト855のような遠隔送信及び受信サイトに接続されるように意図されている。また、この基地局725は、インターネットやイントラネット、あるいは他の型式のコンピュータネットワークシステムのようなネットワークを介して顧客システムと接続され得る。この手法による基地局の使用は、“顧客−サーバに基づく遠隔ロケータ装置(Remort Locator Device)”と題され、1996年9月6日に出願された係属中出願第08/708,176号にさらに説明され、参考のためここに組み込まれている。基地局725は、図12に示される結合された移動GPSの受信機及び通信システム853のような移動GPSユニットと、セルラ電話サイト855及びそれに対応するアンテナや図12に示すアンテナ857を介して通信する。結合されたGPSの受信機及び通信システム853は図1に示すシステム100と同様でもよいと認識される。
【0050】
図11に示すように、基地局725はバス730により主メモリ729に接続されたプロセッサ727を有する。プロセッサ727は従来のマイクロプロセッサでよいし、主メモリ729はランダムアクセスメモリ(RAM)でもよい。基地局725はさらに、キーボード、マウス、ディスプレイ735及びバス730を介してプロセッサ727及びメモリ729に接続される結合I/Oコントローラのような他の入力及び出力装置を有する。ハードディスクやCDROM、あるいは他の大容量記憶装置のような大容量記憶装置733は、バス730を介してプロセッサ727にというように、システムの様々な構成要素に結合される。GPSの受信機あるいは他の衛星データメッセージのソースの間のI/O相関関係を提供するように実行する入力/出力(I/O)装置731はまた、バス730に接続される。このI/O装置731はGPSの受信機(例えば図10に示すGPSの受信機703)からの衛星データメッセージを受信してもよく、それらをバス730を介して、本発明の上記説明した実施形態の一つに従って、それらに適用される時間スタンプを発生させ得るプロセッサに提供してもよい。この記録は、例えば、移動GPSの受信機から受信された記録と比較するのに後に用いられる大容量記憶装置733に格納される。大容量記憶装置733は衛星の一組あるいはそれ以上の組の相対速度を示す速度情報も格納してもよい。さらに、大容量記憶装置733は衛星位置情報/信号を処理する上記説明した方法の一つあるいはそれ以上に対応したルーチンを記憶する。
【0051】
2つのモデム739及び737は、基地局725とは相対的に遠隔に配置された他のシステムとのインタフェースとして図11に示されている。モデムあるいはネットワークインタフェース739の場合、この装置は例えばインターネットやある他のコンピュータネットワークを介して、顧客コンピュータに接続される。このモデムあるいは他のインタフェース737は、システム851を示す図12に示されたサイト855のようなセルラ電話サイトに対するインタフェースを提供する。
【0052】
基地局725はこの技術の当業者に認識される様々なコンピュータアーキテクチャを実装し得る。例えば、これらは多重バスあるいはメインバス及び周辺バスでもよいし、多数のコンピュータシステム及び/又は多数のプロセッサでもよい。例えば、GPSの受信機703からの衛星データメッセージを受信し、専用の手法で参照記録を提供するために、参照記録を準備し、それを格納して本発明の上記説明した実施形態の一つに従い格納データ量を管理するのに干渉がないように、メッセージを処理する専用プロセッサを有する利点があってもよい。
【0053】
図12は、SPSの受信機、セルラ電話サイト、基地局、インターネット及び顧客コンピュータシステムを含む本発明の一実施形態に従ったシステムを示す。この図12に示すシステム851は、ある実施形態では以下のように動作し得る。顧客コンピュータシステム863はインターネット861のようなネットワークを介してメッセージを基地局825に送信する。特定の移動GPSの受信機の位置への要求に沿って通過するネットワークやインターネット861における干渉ルータやコンピュータシステムがあってもよいと認識される。そして、基地局825は、一般にはワイヤ電話リンク859であるリンクを介してメッセージをセルラ電話サイト855に送信する。そして、このセルラ電話サイト855は、そのアンテナあるいはアンテナ857を用いた命令を結合された移動SPSの受信機及び通信システム853に送信する。これに応答して、システム853は擬似距離、衛星データメッセージの記録、速度情報及び/又は他の情報を送り戻す。このような情報はセルラ電話サイト855により受信され、リンク859を介して基地局に送り戻される。そして、基地局は相対衛星速度、ドップラー測定値、誤り統計値の一つあるいはその結合を用い、及び/又は2つあるいはそれ以上の衛星データ記録を比較する時間決定のような、本発明の上記様々な実施形態で説明された一つあるいはそれ以上の動作を実行する。そして、基地局は時間及び/又はSPSの受信機の位置のようなナビゲーション情報を判定し、このナビゲーション情報を、インターネット861のようなネットワークを介して、それ自身顧客コンピュータシステムにマッピングソフトウェアを有する顧客コンピュータシステム853に通信し、このシステムのユーザがマップ上に移動SPSシステム853の正確な位置を見るのを可能にしている。
【0054】
代表的な実施形態
本発明は、幾つかの実施形態及び図面という観点から説明されたが、この分野の技術の当業者は本発明は説明された実施形態あるいは図面に限定されるものではないことを認識する。特に、本発明は、以下の一つあるいはその組み合わせにより、衛星測位システムにおける時間あるいは他のナビゲーション情報を判定する方法及び/又は装置を提供する幾つかの実施形態で実行可能である:(1)エンティティ及び/又は一組の衛星の相対速度の利用、(2)時間あるいは位置/範囲に対する誤り統計値の計算、(3)2つあるいはそれ以上の衛星データメッセージの比較。
【0055】
従って、本発明の方法及び装置は、添付するクレームの精神及び範囲内で、改良及び置換をして実行できる。従って、この説明は、本発明を限定する代わりの例示とみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の装置実行ステップを具備する、衛星測位システムに関する基準時間を決定する方法、
一組の衛星に対するエンティティの位置を推定する、この推定値は第1の時間測定値に関連し、この第1の時間測定値と前記基準時間とはあるオフセットだけずれている、
前記一組の衛星の相対速度を決定する、及び
前記一組の衛星の相対速度及び前記推定した位置に基づいて、前記第1の時間測定値と前記基準時間の間の前記オフセットを決定する。
【請求項2】
前記エンティティは移動衛星測位システム(SPS)の受信機である、請求項1の方法。
【請求項3】
さらに、下記のステップを有する請求項1の方法、
遠隔のエンティティが前記エンティティからの推定値メッセージを受信して、前記推定された位置を示し、この遠隔のエンティティは前記推定値メッセージを用いて前記オフセットを決定する。
【請求項4】
前記遠隔のエンティティが前記オフセットに基づいて、ナビゲーション情報を前記エンティティに提供するステップを更に含む、請求項3の方法。
【請求項5】
前記ナビゲーション情報は、前記基準時間を具備する、請求項4の方法。
【請求項6】
前記ナビゲーション情報は、前記エンティティの位置を具備する、請求項4の方法。
【請求項7】
前記遠隔のエンティティが前記一組の衛星の前記相対速度を決定する前記ステップを実行するステップをさらに含む、請求項3の方法。
【請求項8】
前記遠隔のエンティティは前記一組の衛星の前記相対速度を決定する前記ステップを実行し、及び
前記遠隔のエンティティは前記相対速度および前記相対速度に基づくデータのうちの少なくとも一つを、衛星測位システムの受信機を具備する前記エンティティに提供し、この衛星測位システムの受信機は前記相対速度及び前記相対速度に基づくデータのうちの少なくとも一つに基づいて、ナビゲーション情報を決定するステップを更に具備する請求項1の方法。
【請求項9】
前記ナビゲーション情報は前記オフセットを具備する請求項8の方法。
【請求項10】
前記ナビゲーション情報は前記エンティティの位置を具備する請求項8の方法。
【請求項11】
前記推定された位置は、前記一組の衛星に対する擬似距離を具備する請求項1の方法。
【請求項12】
遠隔のエンティティは前記一組の衛星の相対速度を決定するステップを実行する、及び 前記遠隔のエンティティはナビゲーション情報を前記エンティティに提供し、該ナビゲーション情報は前記一組の衛星の前記相対速度に基づいている、
ステップを更に具備する請求項1の方法。
【請求項13】
前記ナビゲーション情報は前記オフセットを具備する請求項12の方法。
【請求項14】
前記ナビゲーション情報は前記エンティティの位置を具備する請求項12の方法。
【請求項15】
前記一組の衛星の前記相対速度を擬似距離の1組の残余計算に含ませることにより、前記オフセットを計算するステップを更に具備する請求項1の方法。
【請求項16】
前記相対速度は、前記エンティティと前記一組の衛星との間の相対速度を示している請求項15の方法。
【請求項17】
前記相対速度は、前記エンティティと遠隔のエンティティとの間の相対速度を示している請求項15の方法。
【請求項18】
前記擬似距離の残余計算を新たな1組のデータを用いて繰り返すステップを更に具備する請求項15の方法。
【請求項19】
前記繰り返された擬似距離の残余計算の各1つは、前記エンティティの前記位置及び前記オフセットへの補正を提供する請求項18の方法。
【請求項20】
以下の装置実行ステップを具備する、衛星測位システムに関する基準時間を決定する方法:
エンティティが、該エンティティに対する一組の衛星の位置に関する第1の値を推定する、この推定された第1の値は第1の時間測定値に関連する、ここにおいて前記値に関連する第1の時間測定値と前記衛星測位システムに関する前記基準時間は、あるオフセットだけずれている、
前記第1の値についての誤差の統計を計算する、及び
この誤差の統計に基づいて、前記第1の時間測定値と前記衛星測位システムに関する前記基準時間との間の前記オフセットを決定する。
【請求項21】
前記第1の値を推定するステップを繰り返し行って複数の値及びその値に関連する複数の時間測定値を得る、
前記複数の値及び前記複数の時間測定値に関する前記誤差の統計の値を最小化する、及び
最小化された誤差の統計の値に基づいて、前記オフセットを決定するステップを具備する請求項20の方法。
【請求項22】
前記第1の値は擬似距離の残余値を含み、前記誤差の統計の値は前記擬似距離の残余値の二乗の加算値を含む請求項20の方法。
【請求項23】
前記擬似距離の残余値の二乗の加算値は、重み付け係数により重み付けされる、請求項22の方法。
【請求項24】
前記オフセットに基づいて前記エンティティの位置を判断するステップを更に含む請求項20の方法。
【請求項25】
前記オフセットを用いてGPSシステム時間を決定し、前記エンティティを前記GPSシステム時間に同期させるステップを更に含む請求項20の方法。
【請求項26】
遠隔のエンティティが前記誤差の統計の値を決定するステップを実行し、そして、前記遠隔のエンティティはナビゲーション情報を衛星測位システム(SPS)の受信機を有する前記エンティティに提供するステップをさらに具備する請求項20の方法。
【請求項27】
前記ナビゲーション情報は前記オフセットを含む請求項26の方法。
【請求項28】
前記ナビゲーション情報は前記衛星測位システムの受信機の位置を示す情報を含んでいる請求項26の方法。
【請求項29】
下記の装置実行ステップを具備する、衛星測位システムに関する時間を決定する方法、 エンティティが、該エンティティと一組の衛星との間の相対距離及び相対的位置のうちの少なくとも一つに関する複数の値を推定する、前記複数の値の各々は、各時間測定値にそれぞれ関連し、各時間測定値と前記衛星測位システムに関する時間は第1のオフセットだけずれている、
前記複数の値の中の1つに関連する時間測定値の各々を用いて、誤差の統計値の第1の組を決定する、
第2のオフセットにより各時間測定値を変更する、
前記変更された時間測定値を用いて前記誤差の統計値の第2の組を決定する、及び
前記誤差の統計値の第2の組に基づいて、前記第1のオフセットを決定する。
【請求項30】
前記第1のオフセットを決定するステップは、前記第2の誤差の統計値の線形収束値を決定するステップを具備する請求項29の方法。
【請求項31】
前記第2の誤差の統計値は、前記複数の値及び前記第2のオフセットに基づく単位変位を含む請求項30の方法。
【請求項32】
下記を具備する、衛星測位システムに関する基準時間を決定する装置:
一組の位置の値を格納するための記憶ユニット、前記位置の値は一組の衛星の相対位置を示す、ここにおいて、前記一組の位置の値の各々は基準時間からあるオフセットだけずれている時間測定値に関連する、
前記記憶ユニットに結合され、前記1組の位置の値及び前記一組の衛星の各々の相対速度の推定値に基づいて前記オフセットを決定するための処理ユニット。
【請求項33】
前記位置の値は、前記一組の衛星と衛星測位システム(SPS)の受信機との間の相対位置を示している請求項32の装置。
【請求項34】
前記記憶ユニット及び前記処理ユニットは基地局に含まれる、ここにおいて、該基地局は、前記オフセットに基づいてナビゲーション情報を衛星測位システム(SPS)の受信機に提供するための通信リンクを更に具備する請求項32記載の装置。
【請求項35】
前記ナビゲーション情報は、前記衛星測位システムの受信機の位置を具備する、請求項34の装置。
【請求項36】
前記ナビゲーション情報は、前記一組の衛星の各々の前記相対的速度を具備する請求項34の装置。
【請求項37】
前記ナビゲーション情報は、前記衛星測位システムの受信機と前記一組の衛星の各々との間の距離を具備する請求項34の装置。
【請求項38】
エンティティへの情報の送信を可能にするために、前記プロセッサに結合される送信機を更に有する請求項32の装置。
【請求項39】
移動衛星測位システム(SPS)の受信機を更に有する請求項38の装置。
【請求項40】
前記エンティティは、前記衛星測位システムの受信機からの前記情報を受信するための基地局を有する請求項39の装置。
【請求項41】
前記情報は、前記一組の衛星に前記衛星測位システムの受信機からの擬似距離に関する値を有する請求項40の装置。
【請求項42】
下記ステップを具備する、衛星測位システムに関連する時間を決定する方法:
少なくとも一つの衛星の速度を示す値を記憶する、
前記値に基づいて前記時間を決定する。
【請求項43】
前記時間を決定するステップは、
一つのエンティティと前記少なくとも一つの衛星との間の第1の距離値を計算する、前記第1の距離値は第一の時間の誤差に関連する、及び
前記値と前記第1の距離値に基づいてオフセットを決定する、前記オフセットは前記第一の時間の誤差を示す。
【請求項44】
前記第1の距離値と前記第1の時間の誤差とに基づいて、前記エンティティの位置を決定するステップを更に有する請求項43の方法。
【請求項45】
前記エンティティは、移動衛星測位システム(SPS)の受信機を有する請求項44の方法。
【請求項46】
前記第1の距離値と前記第1の時間の誤差とに基づいて前記エンティティの前記位置を決定するステップは、遠隔のエンティティにより実行される、請求項44の方法。
【請求項47】
前記遠隔のエンティティが前記エンティティにナビゲーション情報を提供するステップを具備する、ここにおいて前記ナビゲーション情報は前記エンティティの前記位置に関する情報を具備する、請求項46の方法。
【請求項48】
下記のステップを具備する、衛星測位システムに関する時間を決定する方法:
第1のエンティティにより受信される衛星メッセージの少なくとも一部分の第1記録を、前記衛星メッセージの第2記録と比較して、第一の時間値を決定する、ここにおいて前記衛星メッセージの前記第2記録は第二のエンティティで受信される、
一組の衛星の相対的速度に基づいて第2の時間値を決定する、ここにおいて前記第1の時間値と前記第2の時間値のうちの少なくとも一つは、前記衛星測位システムに関する前記時間を示す。
【請求項49】
前記第1記録及び第2記録は、時間において少なくとも部分的に重複する請求項48の方法。
【請求項50】
前記第2のエンティティが前記衛星メッセージの前記第2記録を前記第1のエンティティへ供給するステップを更に有する請求項48の方法。
【請求項51】
前記第1のエンティティは、基地局である請求項50の方法。
【請求項52】
前記第2のエンティティは、移動衛星測位システム(SPS)の受信機である請求項50の方法。
【請求項53】
前記一組の衛星の前記相対速度に基づいて前記第2の時間値を決定する前記ステップは、下記のステップを具備する請求項48の方法:
前記一組の衛星の各々の距離に関する距離の値を決定する、
前記距離に関する前記距離の値と、前記一組の衛星の前記相対速度とを用いて、前記第2の時間値を決定する。
【請求項54】
前記距離の値は、擬似距離の残余に対応する請求項53の方法。
【請求項55】
前記第1の時間値と前記第2の時間値のうちの少なくとも一つは、前記第2のエンティティの位置を決定するために用いられる請求項48の方法。
【請求項56】
前記衛星測位システムに関する前記時間を示すために、前記第1の時間値および第2の時間値のうちの一つを選択するステップを更に有する請求項55の方法。
【請求項57】
前記第1の時間値は、前記第2の時間値の使用により、少なくとも部分的に決定される請求項48の方法。
【請求項58】
下記ステップを具備する、衛星測位システムに関する時間を決定するための方法、
第1のエンティティにより受信される衛星メッセージの少なくとも一部の第1記録を、前記衛星メッセージの第2記録と比較する、前期衛星メッセージの第2記録は、前記第2のエンティティにおいて受信される、
誤差の統計値の組に基づいて第2の時間値を決定する、前記第1の時間値及び前記第2の時間値のうちの少なくとも一つは、前記衛星測位システムに関する前記時間を示している。
【請求項59】
前記第1記録及び第2記録は、時間において少なくとも部分的に重複する請求項58の方法。
【請求項60】
前記衛星のメッセージの第2の記録を前記第2のエンティティが前記第1のエンティティへ供給するステップを更に有する請求項58の方法。
【請求項61】
前記第1のエンティティは、基地局である請求項60の方法。
【請求項62】
前記第2のエンティティは、移動衛星測位システム(SPS)の受信機である請求項60の方法。
【請求項63】
前記第1のエンティティは、移動衛星測位システム(SPS)の受信機である請求項60の方法。
【請求項64】
前記第2のエンティティは、基地局である請求項60の方法。
【請求項65】
前記第2の時間値を決定するステップは、下記を具備する請求項58の方法、
前記第1のエンティティと前記一組の衛星の少なくとも一つとの間の距離に関する、1組の距離値の各々の誤差の統計値の組を決定する、
前記第2の時間値を決定するために誤差の統計値の組をできるだけ利用する。
【請求項66】
前記距離値の組のそれぞれは、擬似距離残余に対応するものである請求項65の方法。
【請求項67】
誤差の統計値の前記組は、時間において互いに関してオフセットされている距離値の組の分散に対応する請求項65の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−257415(P2011−257415A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−156780(P2011−156780)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2008−189182(P2008−189182)の分割
【原出願日】平成11年4月12日(1999.4.12)
【出願人】(500480274)スナップトラック・インコーポレーテッド (21)
【Fターム(参考)】