説明

衛生洗浄装置及びトイレシステム

【課題】 設置状態やトイレ環境などに左右されず安定な信号の送受信が可能で、消費電力も低いリモコン制御が可能な衛生洗浄装置及びこれを備えたトイレシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】 操作入力部と、送信回路と、平面上に設けられた導電体パターンからなる送信アンテナと、を有し、使用者により前記操作入力部を介して入力された情報に応じた制御信号を前記送信アンテナから送信するリモコン操作部と、便器に付設され、受信アンテナと、受信回路と、駆動回路と、を有し、前記リモコン操作部から送信された前記制御信号を受信してその制御信号に応じた動作を実施する本体部と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置及びトイレシステムに関し、特に、リモコン操作によって、便器の使用後に人体臀部を洗浄したり、洗浄水を便器に流す自動洗浄などを可能とした衛生洗浄装置トイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、便器の使用後に適温の洗浄水を人体の臀部に噴出して洗浄する衛生洗浄装置が急速に普及している。またさらに、水洗便器のロータンクに取り付けたモータによって排水バルブ引き上げることにより便器に洗浄水を自動的に流す自動洗浄機能が付加された衛生洗浄装置も普及しつつある。
【0003】
このような衛生洗浄装置は、便器側に取り付けられた本体部とは別体にトイレの壁面などに設置されたリモコン操作部を設けることにより、使用者が便座に座った状態でも、便座から離れた状態でも、操作が容易となる。
【0004】
従来、このような衛生洗浄装置のリモコンとして、光信号を利用したものが用いられてきた(例えば、特許文献1)。すなわち、リモコン操作部には、赤外線などの光信号を送信する発光部が設けられている。そして、便器に付設された本体側には、この光信号を受信する受光部が設けられている。
【0005】
トイレ空間は比較的狭い場合が多いので、リモコン操作部から送信された光信号はトイレの天井や壁面などに反射され、本体側の受光部に到達できる。
【特許文献1】特開2002−61255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、光信号を用いたリモコン制御の場合、リモコン操作部や便器の設置状態、あるいはトイレ内に設けられた棚や花瓶などの障害物の配置状態によっては、光信号の伝搬が妨害される場合もあり得る。また、トイレの天井や壁面、床などの材質や色などによっても、光信号の反射率が低下し伝搬効率が低下することもあり得る。
【0007】
一方、これらの問題に対処するために光信号の強度を上げると、リモコン操作部における消費電力が増大し、電池の寿命が短くなるという問題が生ずる。
【0008】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、設置状態やトイレ環境などに左右されず安定な信号の送受信が可能で、消費電力も低いリモコン制御が可能な衛生洗浄装置及びこれを備えたトイレシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
操作入力部と、送信回路と、平面上に設けられた導電体パターンからなる送信アンテナと、を有し、使用者により前記操作入力部を介して入力された情報に応じた制御信号を前記送信アンテナから送信するリモコン操作部と、
便器に付設され、受信アンテナと、受信回路と、駆動回路と、を有し、前記リモコン操作部から送信された前記制御信号を受信してその制御信号に応じた動作を実施する本体部と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置が提供される。
【0010】
上記構成によれば、設置状態やトイレ環境などに左右されず安定な制御信号の送受信が可能で、消費電力も低いリモコン制御が可能な衛生洗浄装置を実現できる。
【0011】
ここで、前記送信アンテナは、前記導電体パターンがループ状に形成されたループアンテナであるものとすれば、リモコン操作部を薄型コンパクトに維持しつつ、リモコン操作部から本体部に向けて適度な指向性を有する電波を放出させ、効率のよい信号の送受信が可能となる。
【0012】
または、前記受信アンテナは、第1の方向に延在する第1の導電体パターン部と、前記第1の導電体パターンの中央近傍から前記第1の方向に対して略垂直な方向に延在する第2の導電体パターン部と、を有するT型アンテナであるものとしても、リモコン操作部を薄型コンパクトに維持しつつ、高い効率及び省スペースにて適度な指向性を有する信号の送受信が可能となる。
【0013】
一方、前記受信アンテナは、第1の面上に設けられた第1の導電体パターン部と、前記第1の面とは略垂直な第2の面上に設けられた第2の導体パターン部と、を有するものとすれば、通常の使用態様において「斜め上」に設置されるリモコン操作部から放出される電波を確実に受信できる。
【0014】
また、前記制御信号は、周波数が322メガヘルツ以下の電波により前記送信アンテナから送信されるものとすれば、リモコン操作部のサイズをコンパクトに維持しつつ、無線局の免許を受ける必要がなく、しかも良好な伝搬特性が得られる微弱電波を利用することができる。
【0015】
また、前記本体部は、可動式ノズルを有し、前記リモコン操作部から送信される特定の制御信号に応じて、前記可動式ノズルから前記使用者の臀部に向けて洗浄水を噴出させるものとすれば、使用者は手元のリモコン操作部を操作することにより快適な人体温水洗浄の恩恵に浴することができる。
【0016】
また、前記本体部は、前記便器に流す洗浄水の供給制御手段を有し、前記リモコン操作部から送信される特定の制御信号に応じて、前記供給制御手段を動作させることにより前記便器に洗浄水を流すものとすれば、使用者は手元のリモコン操作部を操作することにより便利な便器自動洗浄の恩恵に浴することができる。
【0017】
一方、本発明のトイレシステムは、水洗便器と、上記のいずれかの衛生洗浄装置と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、設置状態やトイレ環境などに左右されず安定な制御信号の送受信が可能で、消費電力も低いリモコン制御が可能で、快適な人体温水洗浄や便器自動洗浄が実施可能な衛生洗浄装置を実現できる。
【0019】
ここで、前記送信アンテナが形成された前記平面と、前記第1の面及び前記第2の面のいずれかと、は略平行であるものとすれば、リモコン操作部から送信される電波を本体部において高い効率で受信できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、リモコン操作部の設置状態やトイレ環境などに左右されず安定な信号の送受信が可能で、消費電力も低いリモコン制御が可能な衛生洗浄装置及びこれを備えたトイレシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレシステムを例示する概念図である。
【0022】
このトイレシステムは、水洗便器300と、その上に設けられた便座410と、便座410を覆う便蓋400と、便器の後方に設けられた衛生洗浄装置の本体部520と、トイレ壁面に設けられたリモコン操作部510と、を備える。衛生洗浄装置の本体部520には、便座の下側に突出し使用者の臀部に向けて温水を噴出する可動式のノズル(図示せず)が設けられている。また、本体部520には、水道管からの洗浄水の供給を自動的に開閉する電磁開閉弁(図示せず)なども適宜設けることができる。
【0023】
使用者は、便座410に座った状態であるいは立ち上がった状態で、リモコン操作部510を操作することにより、本体部520を動作させ、使用後に臀部を洗浄したり、あるいは便器300に洗浄水を流すことができる。
なお、図1には、いわゆる「水道管直結式」のトイレシステムを例示したが、本発明はこれに限定されず、後に詳述するようにいわゆる「ロータンク」を設けたものでもよい。
【0024】
そして、本発明においては、リモコン操作部510から本体部520への信号が電波により送信される。
図2は、本実施形態のトイレシステムにおけるリモコン信号の送受信を表す概念図である。すなわち、本具体例のリモコン操作部510には、ループ状の送信アンテナ600が設けられている。一方、衛生洗浄装置の本体部520には、一対の基板710、730が互いに略直交して設けられ、これらの上に受信アンテナ720、740がそれぞれ設けられている。ループアンテナ600から送信された電波Wは、アンテナ720、740により受信され、確実なリモコン制御が可能となる。
【0025】
本発明によれば、これらアンテナを介して電波による信号の送信を実施することにより、リモコン操作部の設置状態やトイレ環境などに左右されず安定な信号の送受信が可能となる。すなわち、赤外線を用いたリモコン制御の場合には、赤外線が使用者やその着衣あるいはその他の各種の障害物により遮られるおそれがあり、また反射光を利用する場合も、周囲の反射物の反射率の影響を受けやすい。また、インバータ照明や太陽光などの外乱光の影響を受けやすい。
【0026】
これに対して、本発明によれば、使用者やその他の障害物の影響を受けにくく、確実なリモコン制御が可能となる。また、電波は、樹脂や陶器を透過するので、リモコン操作部510や本体部520などの意匠性を向上させることも容易となる。さらに、電波は壁も透過可能であるので、トイレブースの外側からのリモコン操作も可能となる。
【0027】
またさらに、本発明によれば、赤外線を用いた場合と比較して、リモコン操作部510における消費電力も下げることができる。本発明者の検討によれば、リモコン操作部510における消費電力をおよそ10分の1に下げることも可能である。その結果として、電池の寿命を伸ばし、メンテナンス頻度を下げることができる。また、内蔵電池を小型化して、リモコン操作部510を薄型化するなどの高い意匠性を実現できる。
【0028】
図3は、ループアンテナ600の平面構造を例示する模式図である。
同図に例示したように、ループアンテナ600は、リモコン操作部510に内蔵される回路基板の表面に導電性部材による環状パターンとして形成することができる。このようなループアンテナ600に対して、一対の給電端子F、Fから給電すると、これら給電点と対称な地点が電流波腹点となり、給電点で振幅が零となる定在波が形成される。つまり、ループアンテナ600の全長が一波長に等しくなる。これは微小ループの場合とは全く異なる特性を示し、電波の最大放射方向は、ループ面に対して垂直な前後方向となる。
また、基板の銅箔パターンを用いてループアンテナを構成することにより、アンテナの量産性バラツキが軽減される。一般的に銅箔パターンの製造上バラツキは1000分の50ミリメートル前後であるため、非常に安定したアンテナが製造可能となり、安定した送受信が可能となる。
【0029】
図4は、本実施形態の衛生洗浄装置における電波の伝搬を例示する模式図である。すなわち、同図は、ループアンテナ600及び受信アンテナ720、740をそれぞれ端面方向から眺めた模式図である。
【0030】
同図に表したように、リモコン操作部510のループアンテナ600からは、ループ面に対して略垂直な方向に放出される等電界強度分布線(一点鎖線により表した)が形成される。これに対して、本体部520には、互いに略直交するアンテナ720、740が設けられ、ループアンテナ600から放出された電波を確実に受信できる。すなわち、通常の設置態様においては、リモコン操作部510は本体部520よりもやや高い位置に設けられる。つまり、本体部520はリモコン操作部510からみて、「斜め下」の方向にある。
【0031】
これに対して、本体部520に、略鉛直面内に設けられたアンテナ720と、略水平面内に設けられたアンテナ740と、を設けることにより、「斜め上」に設けられたリモコン操作部510から送信される電波を確実に受信できる。つまり、通常の使用態様においては、ループアンテナ600のループ面と、本体側に鉛直に配置された基板710とが略平行となるように配置すると、高い感度で受信が可能となる。
【0032】
図5は、リモコン操作部の外観及び内蔵されるループアンテナを表す斜視図である。
まず、図5(a)は、赤外線による送信を行うリモコン操作部1510の外観を例示する模式図である。赤外線による光信号を送信するために、リモコン操作部1510の上部には送信窓1600a、1600bが設けられている。
【0033】
一方、図5(b)は、本実施形態のリモコン操作部510の外観を表す。ループアンテナを内蔵させることにより、赤外線の送信窓が不要となり、外観がすっきりとすると同時にサイズもコンパクトにできる。
【0034】
またさらに、本発明によれば、赤外線を用いた場合と比べて消費電力を低減できるので、余剰の電力を他の用途に活用することもできる。例えば、リモコン操作部510と本体部520との間で双方向通信を実施したり、カラーLCD(liquid crystal display)やバックライト、LED(light emitting diode)などを用いた電飾が可能となる。また、電池の寿命が長くなるので、リモコン操作部510を密閉構造にすることも容易となる。
【0035】
図5(c)は、本実施形態のリモコン操作部510に内蔵される基板580を例示する斜視図である。基板580には、回路ブロック590が設けられ、さらに、その周囲にループアンテナ600が形成されている。ループアンテナ600は、例えば基板580の表面に銅(Cu)箔パターンとして形成することができる。
【0036】
また、本発明においては、通常のリモコン操作部のサイズを維持したまま、いわゆる「微弱電波」の送受信が可能なループアンテナ600を内蔵させることができる。
図6は、微弱電波の帯域を説明するためのグラフ図である。すなわち、同図の横軸は電波の周波数、縦軸は電界強度を表す。
【0037】
無線設備から3メートルの距離での電界強度(電波の強さ)が、図5に表したレベルよりも低い場合には、無線局の免許を受ける必要がない。すなわち、無線設備から3メートルの距離での電界強度の上限は、周波数が322メガヘルツよりも低い場合には500μV/mであり、周波数が322メガヘルツから10ギガヘルツの間では35μV/mに制限される。10ギガヘルツよりも高い周波数は、発振回路などの負担を考慮すると、衛生洗浄装置のリモコン制御に用いることは現実的でない。つまり、衛生洗浄装置の場合、322メガヘルツより低い周波数を用いることが望ましいといえる。
【0038】
ここで、図3に関して前述したように、ループアンテナ600において定在波を発生させる場合について説明する。ループアンテナ600の全長は、その一波長に等しくする必要がある。電波の周波数と波長、及びアンテナにおける伝搬波長を表1にまとめた。

【表1】

電波の周波数が322メガヘルツの場合、大気中における波長は0.932メートルである。一方、ガラスエポキシ材等を用いた基板上における伝搬波長は、媒体の誘電率εの1/2乗で除した値となり、ガラスエポキシ材の誘電率は約4であるため、322メガヘルツの伝搬波長は0.466メートルとなる。つまり、322メガヘルツの電波を送信するための定在波ループアンテナ600の全長は、47センチメートル弱である。
【0039】
これは、通常の衛生洗浄装置のリモコン操作部510のサイズ(例えば、10センチメートル×15センチメートル程度である)に容易に収容可能な長さである。つまり、本発明によれば、通常のリモコン操作部510に内蔵でき、しかも、リモコン操作部510から3メートルの距離における電界強度の上限を500μV/mにまで上げることができる。
【0040】
また、周波数が300メガヘルツ程度の電波は、一般的なトイレ空間における進行/反射特性が良好であり、人体による吸収や遮蔽なども生じにくい。つまり、ループアンテナ600を用いることにより、リモコン操作部510のサイズをコンパクトに維持しつつ、無線局の免許を受ける必要がなく、しかも良好な伝搬特性が得られる微弱電波を利用することができる。
【0041】
図7及び図8は、本体部520におけるアンテナの配置の変型例を表す模式図である。 すなわち、図7に表したように、略鉛直方向のアンテナ基板710を便器300の前後方向に対して略垂直に配置してもよい。このようにすると、リモコン操作部510が本体部520からみて前方にずれて配置された時に、特に電波を良好に受信できる。なお、リモコン操作部から送信される電波は、基板710を概ね透過するので、基板710の裏側から入射した電波でも、アンテナ720により確実に受信できる。
【0042】
一方、図8に表したように、略鉛直方向のアンテナ基板710を便器の左右方向に対して略垂直に配置してもよい。このようにすると、リモコン操作部510が本体部520の右側または左側に摂津された時に、特に電波を良好に受信できる。
【0043】
図9は、本体部520のフロントエンド部の構成を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)は、ループアンテナ720、740を用いた場合のフロントエンド部を表す。ループアンテナ720、740は、基板上に形成された銅箔パターンとして形成することができる。このループアンテナ720、740には、整合回路560を介して高周波信号抽出回路570が接続されている。整合回路560は、アンテナ720、740と高周波信号抽出回路570とをインピーダンス整合させる役割を有する。高周波信号抽出回路570は、アンテナ720、740及び整合回路560から高周波信号を抽出する役割を有する。
【0044】
一方、図9(b)は、本発明の変型例としての本体部520のフロントエンド部を表す。すなわち、本変位例においては、ループアンテナの代わりにT型アンテナ741が設けられている。T型アンテナ741は、銅箔パターン742及び743により形成できる。T型アンテナ741の後段には、整合回路560と高周波信号抽出回路570が接続されている。これら回路は、図9(a)に関して前述したものと同様とすることができる。
本変型例の如く、T型アンテナ741を用いても、電波によるリモコン制御が可能である。
【0045】
図10は、リモコン操作部510のブロック図である。
すなわち、アンテナ600の後段には変調部592及び発振部594が直列に接続されている。変調部592及び発振部594は、それぞれCPU(Central Processing Unit)596に接続され、その動作が制御される。CPU596にはまた、機器操作入力部597が接続され、使用者によるリモコン操作が入力可能とされている。
【0046】
図11は、本体部520のブロック図である。
すなわち、アンテナ720、740(あるいは741)の後段には受信部750及び復調部752が直列に接続されている。復調部752により復調された受信信号はCPU754に入力されてその内容が判定される。CPU754は、その判定結果に基づき、負荷駆動部756を制御して負荷757を動作させる。ここで、負荷駆動部756としては、例えば、使用者の臀部に洗浄水を噴出させるノズル(図示せず)の駆動部や、ノズルから噴出させる温水のヒータ回路や、便座410の内蔵ヒータの電源回路や、脱臭装置あるいは乾燥装置などのファン回路や、便器300に流す洗浄水を開閉するための電磁開閉弁の駆動回路などを挙げることができる。
【0047】
図12は、本発明のトイレシステムの変型例を表す模式図である。同図については、図1乃至図11に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
本変型例においても、リモコン操作部510にはループアンテナ(あるいはT型アンテナ)が内蔵され、衛生洗浄装置520に内蔵されたアンテナに向けて電波によるリモコン信号が送信される。
【0049】
そしてまた、本変型例においては、ロータンク200が設けられ、その開閉バルブ240に接続された玉鎖220、230を自動的に引き上げる便器洗浄ユニット10が内蔵されている。便器洗浄ユニット10は、内蔵されたモータにより回動可能なシャフト82とその先端に取り付けられた玉鎖レバー84、85を有する。ロータンク200の外側に設けられるハンドルを手動により操作しても、洗浄水を流すことができる。
【0050】
さらに、便器洗浄ユニット10は、衛生洗浄装置の本体部520に接続され、リモコン操作部510からのリモコン指示により、内蔵モータの駆動力で玉鎖220、230を引き上げ、小用洗浄水あるいは大用洗浄水を自動的に流すことができる。
【0051】
本発明によれば、電波による確実なリモコン操作が可能となり、さらにリモコン操作部 510における消費電力も低減できる。その結果として、リモコン操作によって洗浄水を流すことにより、リモコン操作の頻度が増大しても、リモコン操作部510の内蔵電池の消耗を抑制し、長期間にわたりメンテナンスが不要な自動洗浄トイレシステムを実現できる。
【0052】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
例えば、本発明の衛生洗浄装置におけるリモコン操作部510あるいは本体部520を構成する各要素、例えば、アンテナ、基板、制御回路、整合回路、駆動回路をはじめとする各要素について当業者が適宜設計変更して採用したものも、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレシステムを例示する概念図である。
【図2】本発明の実施形態のトイレシステムにおけるリモコン信号の送受信を表す概念図である。
【図3】ループアンテナ600の平面構造を例示する模式図である。
【図4】本発明の実施形態の衛生洗浄装置における電波の伝搬を例示する模式図である。
【図5】(a)は、赤外線による送信を行うリモコン操作部1510の外観を例示する模式図であり、(b)は、本発明の実施形態のリモコン操作部の外観を表し、(c)は、本発明の実施形態のリモコン操作部に内蔵される基板を例示する斜視図である。
【図6】微弱電波の帯域を説明するためのグラフ図である。
【図7】本体部520におけるアンテナの配置の変型例を表す模式図である。
【図8】本体部520におけるアンテナの配置の変型例を表す模式図である。
【図9】本体部520のフロントエンド部の構成を例示する模式図である。
【図10】リモコン操作部510のブロック図である。
【図11】本体部520のブロック図である。
【図12】本発明のトイレシステムの変型例を表す模式図である。
【符号の説明】
【0054】
10 便器洗浄ユニット
82 シャフト
84 玉鎖レバー
1510 リモコン操作部
1600a 送受信窓
200 ロータンク
220 玉鎖
240 開閉バルブ
300 水洗便器
400 便蓋
410 便座
510 リモコン操作部
520 本体部
560 整合回路
570 高周波信号抽出回路
580 基板
590 回路ブロック
592 変調部
594 発振部
597 機器操作入力部
600 ループアンテナ
601 銅箔パターン
611,612 銅箔パターン
710、730 アンテナ基板
720、740 アンテナ
741 T型アンテナ
750 受信部
752 復調部
756 負荷駆動部
757 負荷
F 給電端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力部と、送信回路と、平面上に設けられた導電体パターンからなる送信アンテナと、を有し、使用者により前記操作入力部を介して入力された情報に応じた制御信号を前記送信アンテナから送信するリモコン操作部と、
便器に付設され、受信アンテナと、受信回路と、駆動回路と、を有し、前記リモコン操作部から送信された前記制御信号を受信してその制御信号に応じた動作を実施する本体部と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記送信アンテナは、前記導電体パターンがループ状に形成されたループアンテナであることを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記受信アンテナは、第1の方向に延在する第1の導電体パターン部と、前記第1の導電体パターンの中央近傍から前記第1の方向に対して略垂直な方向に延在する第2の導電体パターン部と、を有するT型アンテナであることを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記受信アンテナは、第1の面上に設けられた第1の導電体パターン部と、前記第1の面とは略垂直な第2の面上に設けられた第2の導体パターン部と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記制御信号は、周波数が322メガヘルツ以下の電波により前記送信アンテナから送信されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記本体部は、可動式ノズルを有し、前記リモコン操作部から送信される特定の制御信号に応じて、前記可動式ノズルから前記使用者の臀部に向けて洗浄水を噴出させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記本体部は、前記便器に流す洗浄水の供給制御手段を有し、前記リモコン操作部から送信される特定の制御信号に応じて、前記供給制御手段を動作させることにより前記便器に洗浄水を流すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
水洗便器と、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置と、
を備えたことを特徴とするトイレシステム。
【請求項9】
前記送信アンテナが形成された前記平面と、前記第1の面及び前記第2の面のいずれかと、は略平行であることを特徴とする請求項8記載のトイレシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−9505(P2006−9505A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191386(P2004−191386)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】