説明

衝撃緩和装置および車両

【課題】 例えば歩行者などの衝突物と車両との衝突の際に、簡易な構造で、衝突物への衝撃を緩和することが可能な衝撃緩和装置およびこれを用いた車両を提供する。
【解決手段】 車両3の前方へ衝突物19が衝突すると、衝突物19による衝撃によって、車両3の前方は変形する。車両3の前方の変形によって、上方衝突物受け板9はワンウェイクラッチ13aを中心に回転する。したがって、上方衝突物受け板9が車両3の上方へ展開する。同様に、車両3の前方の変形によって、下方衝突物受け板11はワンウェイクラッチ13bを中心に回転する。したがって、下方衝突物受け板11が車両3の下方へ展開する。上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11は展開した状態で保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と衝突する衝突物への衝撃を緩和することが可能な衝撃緩和装置およびこれを用いた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行する車両に衝突物が衝突する際には、車両との衝突によって衝突物は衝撃を受ける。たとえば、歩行者と車両の衝突の際には、歩行者は車両から衝撃を受ける。このため、車両と衝突物との衝突の際には、衝突物の衝撃を緩和する必要がある。特に衝突物が歩行者等である場合には、歩行者の脚部のみではなく、脚部から腰部近傍にかけて柔軟に受け止めて衝撃を緩和することが重要である。
【0003】
このような歩行者などの衝突物と車両との衝突の際に、衝突物の衝撃を緩和する方法としては、例えば、ボンネットフードへの前端部までの範囲を覆うようにエアバッグを設け、歩行者との衝突の際にエアバッグを展開することで、歩行者の大腿部および腰部への衝撃を緩和するエアバッグ装置がある(特許文献1)。
【0004】
また、バンパへの歩行者の衝突の際に、バンパ上部の保護デバイスを機械的に展開し、歩行者をボンネット上へ跳ね上げ受け止めることで、歩行者と車両客室前方との衝突による衝突時の衝撃を抑制する保護デバイスがある(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−168473号公報
【特許文献2】US4015870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のようなエアバッグ装置では、エアバッグによって歩行者への衝撃を和らげる効果は有するものの、エアバッグの展開のタイミングの制御などが必要であり、制御が複雑となるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2のような保護デバイスでは、ボンネット上へ歩行者を跳ね上げることで車両客室前方との衝撃は抑制されやすくなるが、大きな力を瞬時に発生させうる機構が必要な上、動作タイミング制御が複雑になるという問題がある。また、動作の際、ボンネット上に跳ね上げられた歩行者が、大きな力を受ける恐れがあるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、例えば歩行者などの衝突物と車両との衝突の際に、簡易な構造で、衝突物への衝撃を緩和することが可能な衝撃緩和装置およびこれを用いた車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、車両の前方に設けられ、衝突物との衝撃を緩和する装置であって、車両の前面に設けられた衝突物受け部材と、前記衝突物受け部材と前記車両とを接合し、1方向のみに回転する1方向回転機構と、を具備し、前記衝突物受け部材に衝突物が衝突すると、前記衝突物受け部材は前記1方向回転機構を中心に1方向に回転し、前記衝突物受け部材が前記車両に対して展開することを特徴とする衝撃緩和装置である。
【0010】
ここで、1方向回転機構とは、1方向にのみ回転することができ、逆方向へは回転しない、いわゆるワンウェイクラッチなどの部材であり、ラチェット機構などを含む。すなわち、1方向へは小さな力で回転することができるが、逆方向へは回転せずにその位置(回転角度)でロックされる部材をいう。
【0011】
前記衝突物受け部材は前記車両の前面上方に設けられ、前記衝突物受け部材の下方に衝突物が衝突すると、前記衝突物受け部材が前記車両の上方に展開してもよく、または、前記衝突物受け部材は前記車両の前面上下方それぞれに上下に対向するように一対設けられ、一方の前記衝突物受け部材は前記車両の前面上方に設けられ、一方の前記衝突物受け部材の下方に衝突物が衝突すると、一方の前記衝突物受け部材が前記車両の上方に展開し、他方の前記衝突物受け部材は、他方の前記衝突物受け部材の上方に衝突物が衝突すると、他方の前記衝突物受け部材が前記車両の下方に展開してもよい。
【0012】
前記衝突物受け部材の後方には、衝撃吸収体が設けられ、衝突物が衝突し、前記衝突物受け部材が回転すると、前記衝突物受け部材の端部近傍が前記衝撃吸収体と接触し、前記衝突物受け部材の回転動作を一部抑制しながら衝突エネルギを吸収することが望ましい。
【0013】
前記衝突物受け部材には支持体の一方の端部が接合され、前記支持体の他方の端部は、前記車両に接合され、前記支持体は、前記衝突物受け部材が展開時には前記衝突物受け部材の動作に追従して伸長し、前記衝突物受け部材が展開後には前記衝突物受け部材を支持し、前記衝突物受け部材が変形する際に展開時と逆方向に閉じることを一部抑制しながら前記支持体の変形により衝突エネルギを吸収してもよく、この場合、前記支持体は、筒体と、前記筒体内に挿入されたエネルギ吸収部材と、前記筒体上端に設けられ、前記筒体の上面に対して常に閉じる方向に力が付与されるシャッタと、を具備し、前記エネルギ吸収体の下部にはストッパが設けられ、前記エネルギ吸収体が前記筒体より引き出され、前記ストッパが前記筒体の上端まで来ると、前記シャッタが閉まり、前記ストッパが前記シャッタによって固定されることが望ましい。
【0014】
前記1方向回転機構の後方には減衰機構が設けられ、衝突物が前記衝突物受け部材に衝突した際に、前記1方向回転機構の後方への移動エネルギを吸収してもよい。
【0015】
前記1方向回転機構にはばねが設けられ、前記ばねは、前記衝突物受け部材の展開時に、前記1方向回転機構に、前記1方向回転機構の回転に対抗する向きの力を付与し、前記衝突物から受ける力に応じて前記衝突物受け部材の展開量を変化させてもよい。
【0016】
前記衝突物受け部材は、前記車両の幅方向に分割して設けられてもよい。また、前記衝突物受け部材は板状であり、弾性変形および塑性変形可能であってもよく、または前記衝突物受け部材はフレーム状であり、弾性変形および塑性変形可能であってもよい。
【0017】
第1の発明によれば、車両前方に1方向回転機構によって1方向にのみ回転する衝突物受け部材が設けられる。このため、衝突物受け部材に衝突物が衝突すると、衝突物受け部材は1方向回転機構を中心に回転して展開することができる。また、1方向回転機構が逆回転をしないため、展開した衝突物受け部材は展開した状態を保持することができる。このため、衝突物は衝突物受け部材全体で受け止められる。したがって、衝突物へ加わる衝撃力を緩和することができる。
【0018】
また、衝突物受け部材が前方上方に設けられれば、衝突物が車両に衝突した際に、衝突物受け部材は上方へ展開する。このため、衝突物受け部材は衝突物を受け止めることができ、衝突物がボンネット上へ倒れこむ際の衝撃を和らげることができる。
【0019】
また、展開した衝突物受け部材は展開した状態を保持するため、ボンネット上へ倒れこんだ衝突物が、車両前方に落下することが抑制される。これにより、衝突物が車両前方に落下することによる二次的衝突を抑制することができる。すなわち、衝突物受け部材は、衝突物を柔軟に受け止める機能に加え、衝突物をボンネット上に保持する機能も有する。
【0020】
また、衝突物受け部材が前方上下方に一対設けられれば、上方の衝突物受け部材によって衝突物がボンネット上へ倒れこむ際の衝撃を和らげることができるとともに、さらに下方の衝突受け部材によって衝突物が車両下部へ巻き込まれることを抑制することができる。したがって、例えば衝突物の重心が車両のボンネットよりも高い位置であっても、衝突受け部材は衝突物の下部から重心近傍まで幅広く受け止めることができ、衝突物の衝撃を和らげることができる。
【0021】
また、衝突物受け部材後方に衝撃吸収体が設けられれば、衝突物受け部材が回転して展開する際に、衝突物受け部材の端部が衝撃吸収体へ接触し、衝突物受け部材の回転(展開)を抑制し、回転量(展開量)を制御することができる。すなわち、衝突物受け部材が展開しすぎることがない。また、衝撃吸収体が衝突物受け部材の展開完了時の衝撃を吸収することができる。
【0022】
また、衝突物受け部材に支持体が設けられれば、衝突物受け部材が展開した際に、衝突物受け部材が逆回転して閉じるのを防ぐことができる。したがって、衝突物が衝突した際に確実に衝突物受け部材が衝撃を吸収することができる。
【0023】
また、1方向回転機構後方に減衰機構が設けられれば、衝突物が衝突物受け部材へ衝突した際に、衝突物受け部材の後方への移動を抑制することができ、衝突物への衝撃を和らげることができる。
【0024】
また、1方向回転機構にばねが設けられれば、衝突物受け部材が回転して展開する際に必要な力を制御することができる。したがって、ばね力を調整すれば衝突物受け部材を展開させるために必要な衝撃力を制御することができる。
【0025】
また、衝突物受け部材が車両の幅方向に分割して設けられれば、車両前方中央のみではなく、前方の両側方においても同様の衝撃緩和効果を得ることができる。また、衝突物受け部材が板状であれば、衝突物を受ける面積を大きくすることができ、衝突物受け部材の弾性変形(および塑性変形)により衝撃力を和らげる効果が大きい。また、衝突物受け部材をフレーム状にすれば、ヘッドライトやラジエータグリルなどの前面を塞ぐことなく、衝撃緩和の効果を得ることができる。
【0026】
第2の発明は、第1の発明にかかる衝撃緩和装置を前方に具備することを特徴とする車両である。
【0027】
第2の発明によれば、衝突物と車両との衝突の際の衝撃を緩和することが可能な車両を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、例えば歩行者などの衝突物と車両との衝突の際に、簡易な構造で、衝突物への衝撃を緩和することが可能な衝撃緩和装置およびこれを用いた車両を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態にかかる衝撃緩和装置1について説明する。図1は、衝撃緩和装置1を示す概略図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は側面図である。
【0030】
衝撃緩和装置1は、車両3の前方に設けられる。衝撃緩和装置1は板状の上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11とを有する。上方衝突物受け板9は車両3の前方上方に設けられる。すなわち、上方衝突物受け板9はバンパ7の一部を覆い、ボンネット5上まで設けられる。下方衝突物受け板11は車両3の前方下方に設けられる。すなわち、下方衝突物受け板11はバンパ7から車両下方まで設けられる。
【0031】
上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11は車両3の形状に沿って屈曲した形状である。また、上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11との間にはわずかに隙間が設けられる。当該隙間は車両3の最前部近傍に位置する。
【0032】
なお、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11は、ある程度の強度を有し、衝突物と衝突した際に弾性変形(および塑性変形)する材料が望ましい。上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11の材料としては例えば、金属製や樹脂製などの弾性材料が使用できる。金属としては例えばアルミニウムなどが使用でき、樹脂としては超高分子量ポリエチレンなどが使用できる。
【0033】
次に衝撃緩和装置1の構造について説明する。図2(a)は図1のA−A線断面図であり、車両3の前方近傍の断面図である。図2(b)は図2(a)のB部拡大図である。
【0034】
衝撃緩和装置1は、主に上方衝突物受け板9、下方衝突物受け板11、ワンウェイクラッチ13a、13b、衝撃吸収体15等から構成される。
【0035】
上方衝突物受け部材9は、車両3の内側で1方向回転機構であるワンウェイクラッチ13aと接合される。ワンウェイクラッチ13aは車両固定部17によって車両3側と接合される。すなわち、上方衝突物受け部材9はワンウェイクラッチ13aを介して車両3と接合される。ワンウェイクラッチ13aは、上方衝突物受け部材9の下方側が車両3の後方へ移動し、上方衝突物受け部材9の上方側がボンネット5上に立ち上がる方向にのみ回転可能である(図中矢印C方向)。
【0036】
同様に、下方衝突物受け部材11は、車両3の内側でワンウェイクラッチ13bと接合される。ワンウェイクラッチ13bは車両固定部17によって車両3側と接合される。すなわち、下方衝突物受け部材11はワンウェイクラッチ13bを介して車両3と接合される。ワンウェイクラッチ13bは、下方衝突物受け部材11の上方側が車両3の後方へ移動し、下方衝突物受け部材11の下方側が車両3の下方に展開する方向にのみ回転可能である(図中矢印D方向)。
【0037】
上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11との間には隙間が設けられており、当該隙間の内部(車両3後方側)には衝撃吸収体15が設けられる。衝撃吸収体15も車両3と接合される。なお、衝撃吸収体15は、バンパ7と同様の部材であってもよく、例えば樹脂などが使用できる。
【0038】
次に、衝撃緩和装置1の動作について説明する。図3(a)は衝突物19が車両3に衝突した際の衝撃緩和装置1の動作を示す断面図であり、図3(b)は図3(a)のE部拡大図である。
【0039】
車両3の前方へ衝突物19が衝突する場合、衝突物19は、まず車両3の最前部である上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11との隙間近傍に衝突する(図中矢印F方向)。衝突物19による衝撃によって、車両3の前方は変形する。車両3の前方の変形(すなわち衝突物19の衝突)によって、上方衝突物受け板9のワンウェイクラッチ13aとの接合部よりも下方側(以下単に「上方衝突物受け板9の下方」と称する)が車両3の後方側へ押される。このため、上方衝突物受け板9はワンウェイクラッチ13aを中心に回転する。したがって、上方衝突物受け板9のワンウェイクラッチ13aとの接合部よりも上方側(以下単に「上方衝突物受け板9の上方」と称する)が車両3の上方へ展開する(図中矢印G方向)。
【0040】
同様に、車両3の前方の変形(すなわち衝突物19の衝突)によって、下方衝突物受け板11のワンウェイクラッチ13bとの接合部よりも上方側(以下単に「下方衝突物受け板11の上方」と称する)が車両3の後方側へ押される。このため、下方衝突物受け板11はワンウェイクラッチ13bを中心に回転する。したがって、下方衝突物受け板11のワンウェイクラッチ13bとの接合部よりも下方側(以下単に「下方衝突物受け板11の下方」と称する)が車両3の下方へ展開する(図中矢印H方向)。
【0041】
上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11とがそれぞれ車両3の上下方向へ展開する際、上方衝突物受け板9の下方および下方衝突物受け板11上方は、回転に伴い車両3の後方へ移動し、衝撃吸収体15と接触する。衝撃吸収体15は上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11の回転動作を一部抑制して衝突エネルギを吸収し、上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11とが過剰に回転することを抑制する。
【0042】
したがって、上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11とは、ある程度まで回転すると、それ以上は回転が抑えられる。すなわち、衝撃吸収体15は衝突物19による上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11との回転による衝撃を吸収するとともに、上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11の回転量を制御する働きを有する。
【0043】
ワンウェイクラッチ13a、13bは、上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11とがそれぞれ車両3の上下に展開する方向へは容易に回転する。一方、逆方向(すなわち、上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11とが閉じる方向)へは回転せず、その回転位置で上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11を固定する。すなわち、上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11とはいずれも展開した状態で保持される。
【0044】
図4は、例えば歩行者などの衝突物21が車両3へ衝突した際の動作を示す概念図である。図4(a)に示すように、衝突物21が車両3と衝突すると、車両3はまず歩行者の脚部近傍に接触する。次に、図4(b)に示すように、衝突物21の脚部からの衝撃によって車両3の前方が変形する。この際、車両3の変形に伴い、上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11とが展開する(図中矢印I、J方向)。
【0045】
図4(c)に示すように、下方衝突物受け板11が車両3の下方へ展開するため、衝突物21は下方から上方へ跳ね上げられる。すなわち、衝突物21が車両3の下方に巻き込まれることが抑制される。一方、上方衝突物受け板9は衝突物21の腰から上に接触する。衝突物21は上方衝突物受け板9に対して倒れこむ。この際、上方衝突物受け板9の弾性変形(および塑性変形)によって衝突物21の衝撃を吸収する。また、上方衝突物受け板9と衝突物21との接触面積が大きくなるため、衝突物21への衝撃を小さくする。
【0046】
次に、図4(d)に示すように、衝突物21はボンネット上へ倒れこむ。この際にも上方衝突物受け板9の変形によって衝撃は吸収される。したがって、上方衝突物受け板9は、ボンネット5への衝突物21の衝突速度を低減する。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施形態にかかる衝撃緩和装置1によれば、上方衝突物受け板9と下方衝突物受け板11とが衝突物19の衝突によって展開するため、その他の制御部を必要とせず、構造が簡易である。また、上方衝突物受け板9が設けられ、衝突物19の衝突時には車両前面の上方へ展開するため、衝突物が車両3上へ倒れこむ際に、上方衝突物受け板9と衝突物との接触面積が増大し、衝突物への衝撃を和らげることができる。
【0048】
また、上方衝突物受け板9は逆回転せずに弾性変形(および塑性変形)するため、衝突物が車両のボンネット上に倒れる際にクッションの役割を果たす。このため、衝突物と車両との相対速度を低減し、衝突物とボンネットとの衝突速度を低減することができる。特に衝突物が歩行者等であれば、歩行者の腰よりも上部を上方衝突物受け板9によって受け止めるため、歩行者がボンネット上へ倒れこむ際の衝撃を効率良く吸収することができる。
【0049】
また、上方衝突物受け板9が展開しているため、ボンネット上に倒れこんだ衝突物は、その後の車両3のブレーキなどによって、車両3の前方に落下することが抑制される。したがって、衝突物の車両3からの落下や、またはこれによる車両3との2次的な衝突の発生を抑制することができる。
【0050】
また、下方衝突物受け板11を設ければ、衝突物が車両3の下部へ巻き込まれることを抑制できる。また、下方衝突物受け板11の展開によって、衝突物をボンネット上へ跳ね上げることができる。
【0051】
また、衝撃吸収体15が設けられれば上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11の回転量を制限することができる。また、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11の展開完了時の衝撃を吸収することができる。
【0052】
なお、衝撃緩和装置1は、車両3の前面上下方に上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11の両方を設けたが、例えば上方衝突物受け板9のみであってもよい。この場合でも衝突物がボンネット等と衝突する際の衝撃を緩和することができる。また、衝撃吸収体15は必要に応じて設ければよい。衝撃吸収体15がなくとも、上方衝突物受け板9による衝撃緩和効果は得ることができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は衝撃緩和装置30を示す図であり、図5(a)は車両3の前方断面図、図5(b)は図5(a)のK部拡大図である。なお、以下の実施の形態において、図1〜図4に示す衝撃緩和装置1と同一の機能を果たす構成要素には、図1〜図4と同一番号を付し、重複した説明を避ける。第2の実施の形態にかかる衝撃緩和装置30は、第1の実施の形態にかかる衝撃緩和装置1に対して支持体31が設けられる点が異なる。
【0054】
上方衝突物受け板9の上方端部近傍には支持体31が設けられる。図5(b)に示すように、支持体31は、主に筒体37、エネルギ吸収体35、シャッタ41等から構成される。
【0055】
筒体37は上方が開放した筒状部材である。筒体37の下方は車両固定部45を介して車両3と回転可能に接合される。筒体37内にはエネルギ吸収体35が収められる。エネルギ吸収体35は筒体37の軸方向に移動可能である。エネルギ吸収体35の下端にはストッパ39が設けられる。ストッパ39は、例えば球体の部材がエネルギ吸収体35と径の細い棒状部材を介して接合された構造である。
【0056】
筒体37の上面近傍には一対のシャッタ41が設けられる。シャッタ41の後方にはばね43が設けられる。シャッタ41は、ばねによって常に筒体37の上面中心方向へ押しつけられる。すなわち、通常時にはシャッタ41の端部は常にエネルギ吸収体35の外面に押し付けられている。エネルギ吸収体35の上端は、上方衝突物受け板9と受け板接合部33を介して回転可能に接合される。
【0057】
図6は、上方衝突物受け板9が展開した状態を示す図であり、図6(a)は車両3の前方断面図、図6(b)は図6(a)のL部拡大図である。
【0058】
上方衝突物受け板9が展開すると(図中矢印M方向)、エネルギ吸収体35は上方衝突物受け板9の動作に追従して筒体37から引き出される(図中矢印P方向)。この際、筒体37は上方衝突物受け板9の方向に向くように回転する(図中矢印O方向)。
【0059】
エネルギ吸収体35が完全に突出すると、ストッパ39が筒体37の上面近傍に位置する。この際、シャッタ41はエネルギ吸収体35が通過した瞬間に筒体37の上面を塞ぐ(図中矢印Q方向)。シャッタ41が閉じると、エネルギ吸収体35およびストッパ39とがシャッタ41によって固定される。すなわち、シャッタ41はストッパ39が筒体37から抜けることを防止するとともに、エネルギ吸収体35が筒体37内に押し戻されることを防止する。したがって、エネルギ吸収体35は筒体37から突出した位置で固定される。
【0060】
エネルギ吸収体35と筒体37によって、上方衝突物受け板9が支持される。したがって上方衝突物受け板9が展開した後、支持体31によって上方衝突物受け板9が閉じることが一部抑制される。なお、エネルギ吸収体35は容易に変形可能な材質である。たとえば、アルミニウム等の金属製である。したがって、上方衝突物受け板9が衝突物を受け止める際には、エネルギ吸収体35の変形(および破壊)および上方衝突物受け板9の変形(または破損)によって衝突物の衝撃を緩和することができる。
【0061】
なお、図示を省略したが、下方衝突物受け板11に対しても同様の支持体31を設けることもできる。この場合、支持体31は下方衝突物受け板11が展開(図中矢印N方向)した状態で下方衝突物受け板11を支持する。
【0062】
第2の実施形態にかかる衝突緩和装置30によれば、第1の実施の形態にかかる衝撃緩和装置1と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、支持体31によって上方衝突物受け板9が支持されるため、上方衝突物受け板9自体に大きな強度が必要ない。すなわち、支持体31および上方衝突物受け板9の両方の変形によって衝突物の衝撃を吸収して緩和することができる。
【0064】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7は衝撃緩和装置50を示す図であり、図7(a)は通常時の車両3の前方断面図、図5(b)は衝突物が衝突した際(衝撃緩和装置50が作動した状態)の車両3の前方断面図である。衝撃緩和装置50は、第1の実施の形態にかかる衝撃緩和装置1に対して減衰装置51が設けられる点が異なる。
【0065】
ワンウェイクラッチ13a、13bの後方には減衰装置51がそれぞれ設けられる。減衰装置51としてはブッシュやダンパ等を用いることができる。
【0066】
図7(b)に示すように、衝突物が衝突すると、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11がワンウェイクラッチ13a、13bを中心に回転して展開する。この際、ワンウェイクラッチ13a、13bは衝突物の衝撃によって後方へ移動する(図中矢印R方向)。減衰装置51はワンウェイクラッチ13a、13bの後方への移動に対して減衰力を与え(すなわち移動エネルギを吸収し)、衝突物の衝撃を緩和する。
【0067】
第3の実施形態にかかる衝突緩和装置50によれば、第1の実施の形態にかかる衝撃緩和装置1と同様の効果を得ることができる。
【0068】
また、減衰装置51によって、ワンウェイクラッチ13a、13bが後方へ移動する際の衝撃を吸収することができる。
【0069】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図8(a)は衝撃緩和装置60を示す図である。衝撃緩和装置60は、衝突物受け板に代えて衝突物受けフレームが用いられ、複数の衝突物受けフレームが車両3の幅方向に分割して設置される点で衝撃緩和装置1と異なる。
【0070】
上方衝突物受けフレーム61a、61b、61c(61)、下方衝突物受けフレーム63a、63b、63c(63)は、それぞれ上方衝突物受け板9、下方衝突物受け板11と同様の構成であるが、板状ではなく、外周部に設けられたフレームにより構成される。上方衝突物受けフレーム61、下方衝突物受けフレーム63は、弾性変形(および塑性変形)が可能である。上方衝突物受けフレーム61、下方衝突物受けフレーム63の材質としては、たとえば、アルミニウム等の金属や高分子量ポリプロピレン等の樹脂が使用できる。
【0071】
なお、上方衝突物受けフレーム61、下方衝突物受けフレーム63は、それぞれ上方衝突物受け板9、下方衝突物受け板11と同様の動作を行う。すなわち、上方衝突物受けフレーム61、下方衝突物受けフレーム63は、車両3の前方に衝突物が衝突すると、図示を省略したワンウェイクラッチ13a、13bを中心にそれぞれ上下方向に展開する。なお、上方衝突物受けフレーム61、下方衝突物受けフレーム63の展開時の機構はそれぞれ上方衝突物受け板9、下方衝突物受け板11と同様であるため説明を省略する。
【0072】
第4の実施形態にかかる衝突緩和装置60によれば、第1の実施の形態にかかる衝撃緩和装置1と同様の効果を得ることができる。
【0073】
また、上方衝突物受けフレーム61、下方衝突物受けフレーム63がフレーム状であるため、ヘッドライトやラジエータグリル前面を覆うように設けても、それらの機能を害することなく、衝撃緩和の効果を得ることができる。
【0074】
また、衝突物受けフレームが車両3の幅方向に複数分割して設けられれば、衝突物の車両3に対する衝突部位に応じて、適切な箇所の衝突物受けフレームが展開するため、効率良く衝突物の衝撃を緩和することができる。
【0075】
なお、必要に応じて、上方衝突物受け板9、下方衝突物受け板11を車両3の幅方向に分割して設けてもよく、または上方衝突物受けフレーム61、下方衝突物受けフレーム63をそれぞれ単独で設けてもよい。
【0076】
さらに、図8に示すように、上方衝突物受け板9と上方衝突物受けフレーム61a、61bとを組み合わせて用いることもできる。すなわち、衝突物受け板および衝突物受けフレームはいずれを使用してもよく、また、これらを単独または複数、さらに組み合わせて使用してもよい。
【実施例】
【0077】
本発明にかかる衝撃緩和装置を用いた際の、衝突物と車両との衝突時の衝撃緩和効果について計算を行った。図9はモデル化した簡易な形状の衝突物73が車両71に衝突する際の挙動を示した図である。
【0078】
車両71の前面中央には、簡易にモデル化した衝撃緩和装置75を設けた。車両71は30km/hの速度で走行させた。衝突物73の質量は66kgとした。計算は、車両71と衝突物73とが、衝撃緩和装置75の位置でまっすぐに衝突した場合についておこなった。図9(a)〜図9(e)は、時間経過に伴う衝突物73の挙動変化を計算した結果である。衝突物73は車両71との衝突の際に、衝撃緩和装置75によって衝撃が緩和されて車両71上に倒れこむ。
【0079】
図10は、図9のモデルにおいて、衝突物73に加わる衝撃の時間変化を計算した結果である。なお、衝突物73が受ける衝撃は、衝突物73の最上部での衝撃計算結果とした。図10(a)は比較のために、衝撃緩和装置75を設けない場合の衝突物73の衝撃を示し、図10(b)は衝撃緩和装置75を設けた場合の結果である。
【0080】
図10に示すように、衝撃緩和装置がない場合の最大衝撃を1とした場合に、本発明の衝撃緩和装置75を設ければ、衝撃は最大で約0.4程度となった。したがって、計算条件によって効果の大きさは変動するとしても、本発明にかかる衝撃緩和装置によれば、衝突物が車両と衝突した際の衝撃を緩和することができることが分かった。
【0081】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0082】
例えば、ワンウェイクラッチ13a、13bは、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11等が展開する方向にのみ回転可能であるが、ワンウェイクラッチの回転力を調整することもできる。
【0083】
たとえば、ワンウェイクラッチにばねを設け、ワンウェイクラッチが回転する際に、回転に対抗する方向に力を発生させれば、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11等が展開する際に必要な力が大きくなる。すなわち、ばねの力を大きくすれば、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11等を展開するためには、より大きな力を要する。このため、衝撃力が小さな場合に、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11等が不必要に展開することを抑制することができる。
【0084】
したがって、ワンウェイクラッチにばねを設けることで、衝突物から受ける力が大きい場合には、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11等を確実に(完全に)展開させるが、衝突物から受ける力が小さい場合には、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11等の展開量を小さくすることができる。すなわち、衝突物から受ける力によって、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11等の展開量を変化(制御)させることができる。
【0085】
また、上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11等の展開は、衝突物が上方衝突物受け板9下方、または下方衝突物受け板11上方などに衝突し、ワンウェイクラッチを中心に回転することにより行われたが、この方法に限られない。たとえば、衝突物の衝突を衝突センサ等で検知し、別途設けられたエアバッグによって上方衝突物受け板9および下方衝突物受け板11等を展開してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】衝撃緩和装置1が取り付けられた車両3の外観を示す図。
【図2】衝撃緩和装置1の構成を示す図で(a)は図1(a)のA−A線断面図、(b)は(a)のB部拡大図。
【図3】衝突物19が車両3に衝突し、衝撃緩和装置1が作動した状態を示す図。
【図4】歩行者等の衝突物21が車両3と衝突した際の、衝突物21の挙動を示す概念図。
【図5】支持体31が設けられた衝撃緩和装置30を示す図。
【図6】衝突物が車両3に衝突し、衝撃緩和装置30が作動した状態を示す図。
【図7】減衰装置51が設けられた衝撃緩和装置50を示す図で(a)は通常時、(b)は衝撃緩和装置50の作動時の状態を示す図。
【図8】衝撃緩和装置60および衝撃緩和装置70の取り付け状態を示す図。
【図9】モデル化された車両71とモデル化された衝突物73との衝突の際の計算された衝突物73の挙動を示す図。
【図10】衝突物73の衝撃を示す図で(a)は衝撃緩和装置75がない場合の計算結果、(b)はモデル化された衝撃緩和装置75を設けた際の計算結果を示す図。
【符号の説明】
【0087】
1、30、50、60、70………衝撃緩和装置
3………車両
5………ボンネット
7………バンパ
9………上方衝突物受け板
11………下方衝突物受け板
13a、13b………ワンウェイクラッチ
15………衝撃吸収体
17………車両固定部
19………衝突物
21………衝突物
31………支持体
33………受け板接合部
35………エネルギ吸収体
37………筒体
39………ストッパ
41………シャッタ
43………ばね
45………車両固定部
51………減衰装置
61a、61b、61c………上方衝突物受けフレーム
63a、63b、63c………下方衝突物受けフレーム
71………車両
73………衝突物
75………衝撃緩和装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方に設けられ、衝突物との衝撃を緩和する装置であって、
車両の前面に設けられた衝突物受け部材と、
前記衝突物受け部材と前記車両とを接合し、1方向のみに回転する1方向回転機構と、
を具備し、
前記衝突物受け部材に衝突物が衝突すると、前記衝突物受け部材は前記1方向回転機構を中心に1方向に回転し、前記衝突物受け部材が前記車両に対して展開することを特徴とする衝撃緩和装置。
【請求項2】
前記衝突物受け部材は前記車両の前面上方に設けられ、前記衝突物受け部材の下方に衝突物が衝突すると、前記衝突物受け部材が前記車両の上方に展開することを特徴とする請求項1記載の衝撃緩和装置。
【請求項3】
前記衝突物受け部材は前記車両の前面上下方それぞれに上下に対向するように一対設けられ、一方の前記衝突物受け部材は前記車両の前面上方に設けられ、一方の前記衝突物受け部材の下方に衝突物が衝突すると、一方の前記衝突物受け部材が前記車両の上方に展開し、
他方の前記衝突物受け部材は、他方の前記衝突物受け部材の上方に衝突物が衝突すると、他方の前記衝突物受け部材が前記車両の下方に展開することを特徴とする請求項1記載の衝撃緩和装置。
【請求項4】
前記衝突物受け部材の後方には、衝撃吸収体が設けられ、
衝突物が衝突し、前記衝突物受け部材が回転すると、前記衝突物受け部材の端部近傍が前記衝撃吸収体と接触し、前記衝突物受け部材の回転動作を一部抑制しながら衝突エネルギを吸収することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の衝撃緩和装置。
【請求項5】
前記衝突物受け部材には支持体の一方の端部が接合され、
前記支持体の他方の端部は、前記車両に接合され、
前記支持体は、
前記衝突物受け部材が展開時には前記衝突物受け部材の動作に追従して伸長し、
前記衝突物受け部材が展開後には前記衝突物受け部材を支持し、前記衝突物受け部材が変形する際に展開時と逆方向に閉じることを一部抑制しながら前記支持体の変形により衝突エネルギを吸収することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の衝撃緩和装置。
【請求項6】
前記支持体は、
筒体と、
前記筒体内に挿入されたエネルギ吸収部材と、
前記筒体上端に設けられ、前記筒体の上面に対して常に閉じる方向に力が付与されるシャッタと、
を具備し、
前記エネルギ吸収体の下部にはストッパが設けられ、前記エネルギ吸収体が前記筒体より引き出され、前記ストッパが前記筒体の上端まで来ると、前記シャッタが閉まり、前記ストッパが前記シャッタによって固定されることを特徴とする請求項5記載の衝撃緩和装置。
【請求項7】
前記1方向回転機構の後方には減衰機構が設けられ、衝突物が前記衝突物受け部材に衝突した際に、前記1方向回転機構の後方への移動エネルギを吸収することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の衝撃緩和装置。
【請求項8】
前記1方向回転機構にはばねが設けられ、前記ばねは、前記衝突物受け部材の展開時に、前記1方向回転機構に、前記1方向回転機構の回転に対抗する向きの力を付与し、前記衝突物から受ける力に応じて前記衝突物受け部材の展開量を変化させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに衝撃緩和装置。
【請求項9】
前記衝突物受け部材は、前記車両の幅方向に分割して設けられることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに衝撃緩和装置。
【請求項10】
前記衝突物受け部材は板状であり、弾性変形および塑性変形可能であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに衝撃緩和装置。
【請求項11】
前記衝突物受け部材はフレーム状であり、弾性変形および塑性変形可能であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに衝撃緩和装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の衝撃緩和装置を前方に具備することを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−69970(P2010−69970A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237298(P2008−237298)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】