衣類乾燥装置
【課題】ヒートポンプ装置を含む衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持するように圧縮機の圧縮能力を変化させることにより、被乾燥対象物の状態によらずにより小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することが可能な衣類乾燥装置を提供する。
【解決手段】ドラム式洗濯乾燥機100は、ヒートポンプ装置13と空気循環経路18と圧縮能力可変部15とサーミスタ16と制御部20とを備えている。サーミスタ16は、ヒートポンプ装置13の冷媒配管14の所定の箇所の表面温度を検知する。制御部20は、サーミスタ16によって検知された冷媒配管14の表面温度の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させるように圧縮能力可変部15を制御する。
【解決手段】ドラム式洗濯乾燥機100は、ヒートポンプ装置13と空気循環経路18と圧縮能力可変部15とサーミスタ16と制御部20とを備えている。サーミスタ16は、ヒートポンプ装置13の冷媒配管14の所定の箇所の表面温度を検知する。制御部20は、サーミスタ16によって検知された冷媒配管14の表面温度の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させるように圧縮能力可変部15を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には衣類乾燥装置に関し、特定的にはヒートポンプを熱源に用いることによって被乾燥対象物を乾燥する衣類乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥装置の熱源として、ヒータの他に、ヒートポンプを用いたヒートポンプ装置が従来から知られている。
【0003】
ヒートポンプ装置は、圧縮機と、凝縮器と、蒸発器と、絞り手段としての膨張弁とを備えている。圧縮機と凝縮器と蒸発器と膨張弁とが冷媒を流通させる配管によって連結されることにより、ヒートポンプ装置において冷凍サイクルが形成されている。ヒートポンプ装置では、この冷凍サイクルを冷媒が循環する。
【0004】
ヒートポンプ装置を備えた衣類乾燥装置において、圧縮機によって圧縮された冷媒ガスは、高温化且つ高圧化されて圧縮機から吐出される。凝縮器においては、圧縮機から吐出された冷媒ガスと凝縮器を通過する空気とが熱交換する。これにより、凝縮器を通過する空気が加熱される。衣類等の被乾燥対象物が収容されたドラムにこの加熱された空気が送風されることにより、被乾燥対象物に含まれる水分の蒸発が進行していく。
【0005】
一方、凝縮器において、冷媒ガスは冷却される。冷却された冷媒ガスは、膨張弁にて圧力が低下されることによって液化する。ドラムの内部からヒートポンプ装置に排出された水蒸気を含む空気は、蒸発器を通過するときに、液化した冷媒と熱交換される。これにより、ヒートポンプ装置に排出された水蒸気を含む空気は、冷却且つ除湿される。このときに冷媒は蒸発し、冷媒ガスとして圧縮機に戻される。
【0006】
被乾燥対象物の乾燥が進行するにつれ、ドラムの内部とヒートポンプ装置とを循環している空気(乾燥用空気)に、圧縮機が消費する電力に相当する熱量が蓄積されていく。そのため、乾燥用空気をそのまま循環し続ける場合には、乾燥用空気全体が有する熱量が増加するとともに、ヒートポンプ装置を循環する冷媒の熱量が増加して冷媒の圧力が増加する。このようにして、ヒートポンプ装置と乾燥用空気とが有するエネルギーが上昇していく。また、冷媒が高圧化且つ高温化されるにつれ、圧縮機の消費電力が増大していく。冷媒が高圧化且つ高温化される場合は、乾燥用空気が有する熱量が増加する一方で被乾燥対象物へ与えることができる熱量が同程度には増加しない。そのため、衣類乾燥装置の乾燥効率が低下する。
このように、被乾燥対象物の乾燥が進行して、乾燥用空気に熱量が蓄積され続ける場合には、衣類乾燥装置の乾燥時に係る全体のエネルギーを無駄に消費してしまう。
【0007】
エネルギー上昇を抑制する方法としては、乾燥用空気の一部を衣類乾燥装置の外部に排出することが従来から知られている。しかしながら、衣類乾燥装置の外部に高湿度の空気が大量に排出される場合には、衣類乾燥装置の周辺にカビを発生させる等の様々な不具合が生じる。また、ヒートポンプ装置が消費する電力の一部に相当する熱量を単に排出することは、衣類乾燥装置の運転に係る電力を無駄に消費する。
【0008】
特許第3321945号公報(特許文献1)に係る衣類乾燥装置では、当該衣類乾燥装置の外部に高湿度の空気を排出することを前提としている。しかし、特許第3321945号公報(特許文献1)に係る衣類乾燥装置のヒートポンプ装置では、凝縮器中の冷媒の温度が設定温度以下に保たれるように圧縮機の圧縮能力を可変することにより、衣類乾燥装置の外部へ排出される高湿度の空気を減少させている。このようにして、特許第3321945号公報(特許文献1)に係る衣類乾燥装置は、衣類乾燥装置の全体のエネルギー上昇を抑制している。
【0009】
特開2004−358028号公報(特許文献2)に係る衣類乾燥装置は、被乾燥対象物の乾燥時に、所定温度以下の乾燥用空気がドラムに供給されるように、圧縮機の圧縮能力を可変している。
【0010】
特開2004−236965号公報(特許文献3)に係る衣類乾燥装置は、乾燥の運転モードとして短時間乾燥モードと省エネ乾燥モードとを有している。短時間乾燥モードでは、圧縮機の能力を増大させて乾燥時間の短縮が図られている。省エネ乾燥モードでは、圧縮機の能力を所定値まで減少させることにより、被乾燥対象物の乾燥に必要なエネルギーの抑制が図られている。特開2004−236965号公報(特許文献3)に係る衣類乾燥装置は、省エネ乾燥モードにおいて、乾燥用空気の温度を上限値に保ちながら圧縮能力を低下させることにより、被乾燥対象物の乾燥に必要な当該衣類乾燥装置の全体のエネルギーを最小限に留めている。このようにして、特開2004−236965号公報(特許文献3)に係る衣類乾燥装置は、衣類乾燥装置の構成や乾燥用空気の風量等によって、それぞれ省エネと乾燥時間の短縮とのバランスが考慮された適切な乾燥が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3321945号公報
【特許文献2】特開2004−358028号公報
【特許文献3】特開2004−236965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許第3321945号公報(特許文献1)に係る衣類乾燥装置のヒートポンプ装置では、当該衣類乾燥装置の外部に高湿度の空気を排出することを前提としている。つまり、当該衣類乾燥装置の運転に係るエネルギーの消費を抑制しているとはいえない。また、衣類乾燥装置の外部へ排出される高湿度の空気を減少させるために、冷媒の圧力上昇を抑制するように圧縮機の圧縮能力を可変しているとしても、ヒートポンプ装置を含む衣類乾燥装置に係る全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することができるように圧縮機の圧縮能力を可変することについては、何ら考慮されていない。
【0013】
同様に、特開2004−358028号公報(特許文献2)に係る衣類乾燥装置と、特開2004−236965号公報(特許文献3)に係る衣類乾燥装置とも、ヒートポンプ装置を含む衣類乾燥装置に係る全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することができるように圧縮機の圧縮能力を可変することについては、何ら考慮されていない。
【0014】
そこで、本発明の目的は、ヒートポンプ装置を含む衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持するように圧縮機の圧縮能力を変化させることにより、被乾燥対象物の状態によらずにより小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することが可能な衣類乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従った衣類乾燥装置は、圧縮機と凝縮器と絞り部と蒸発器と冷媒配管とを含むヒートポンプ装置を熱源として利用する衣類乾燥装置である。圧縮機は、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。凝縮器は、圧縮機によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる。絞り部は、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する。蒸発器は、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる。冷媒配管は、圧縮機、凝縮器、絞り部、および、蒸発器の順に冷媒が循環するように、圧縮機と凝縮器と絞り部と蒸発器とを連結する。
【0016】
また、本発明に従った衣類乾燥装置は、乾燥室と送風機と空気循環経路と圧縮能力可変部と物理量検知部と制御部とを備えている。乾燥室は、被乾燥対象物を収納する。また、乾燥室には、凝縮器で加熱された空気が供給される。送風機は、凝縮器で加熱された空気を乾燥室へ送風する。空気循環経路は、第1の部分と第2の部分とを有している。第1の部分は、凝縮器で加熱された空気が乾燥室へ供給されるように凝縮器と乾燥室との間に配置されている。第2の部分は、乾燥室にて被乾燥対象物の乾燥に利用された空気が蒸発器に向かって流れるように乾燥室と蒸発器との間に配置されている。圧縮能力可変部は、圧縮機の圧縮能力を変化させる。物理量検知部は、ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度、冷媒の圧力、および、空気循環経路の所定の箇所を流通する空気の温度からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を検知する。制御部は、物理量検知部によって検知された物理量の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機の圧縮能力を変化させるように圧縮能力可変部を制御する。
【0017】
本発明のように、物理量検知部によって検知された物理量の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮能力可変部が圧縮機の圧縮能力を変化させることにより、当該衣類乾燥装置の外部に漏出するエネルギーと、被乾燥対象物とヒートポンプ装置とのエネルギー交換量と、圧縮機に加えるエネルギーとがバランスした状態を維持することができる。このように、本発明によれば、ヒートポンプ装置を含む当該衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することが可能である。
【0018】
そのため、冷媒が高圧化且つ高温化されることを抑制することができ、圧縮機の消費電力を抑制することができる。また、当該衣類乾燥装置の運転が継続されている間には、乾燥用空気に熱量が蓄積され続けることが抑制されているため、被乾燥対象物の乾燥具合にかかわらず、衣類乾燥装置の乾燥時に係る全体のエネルギーを無駄に消費することがない。このようにして、本発明によれば、被乾燥対象物の状態によらずに、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0019】
本発明に従った衣類乾燥装置において、ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度は、圧縮機の吐出部、凝縮器の中間部、または、絞り部のいずれかの温度であることが好ましい。
【0020】
本発明に従った衣類乾燥装置の構成によれば、乾燥用空気の状態によらずに、圧縮機の吐出部、凝縮器の中間部、または、絞り部のいずれかの温度を検知することにより、ヒートポンプ装置の冷凍サイクルの状態変化を簡単に検知することができる。そのため、ヒートポンプ装置の冷凍サイクルの状態変化に基づき、ヒートポンプ装置を含む当該衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することが可能である。これにより、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0021】
本発明に従った衣類乾燥装置において、物理量検知部は、ヒートポンプ装置の所定の箇所の冷媒圧力を検知するように、ヒートポンプ装置の高圧側に配置されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、乾燥用空気の状態によらずに、ヒートポンプ装置の冷凍サイクルの状態変化を冷媒圧力から簡単に検知することができる。そのため、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0023】
本発明に従った衣類乾燥装置において、空気循環経路は閉空間であることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、閉空間である空気循環経路を流通する乾燥用空気とヒートポンプ装置とのエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することができる。また、この構成によれば、乾燥用空気を当該衣類乾燥装置の外部へ排出することがないため、無駄なエネルギー消費を抑制するとともに、当該衣類乾燥装置の周辺のカビの発生等を防止することができる。
【0025】
本発明に従った衣類乾燥装置において、空気循環経路の所定の箇所を流通する空気の温度は、第1の部分のうちの乾燥室の入口を流通する空気の温度であることが好ましい。
【0026】
乾燥室の入口は、空気循環経路と乾燥室との接続部分の近傍であるため、物理量検知部を容易に取り付けることができる。また、乾燥室の入口を含む第1の部分では、空気循環経路を流通する空気のうち、被乾燥対象物が受け取る前の熱量を有する空気が流通している。そのため、この構成によれば、乾燥用空気の状態変化に基づき、被乾燥対象物の状態によらず、ヒートポンプ装置を含む当該衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することが可能である。これにより、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0027】
本発明に従った衣類乾燥装置において、制御部は、物理量検知部によって検知された物理量の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮機の圧縮能力を変化させるように制御した後に、物理量検知部が検知する値が一定であるように圧縮能力可変部を制御し続けることが好ましい。
【0028】
圧縮機の圧縮能力を変化させた場合は、無駄なエネルギー消費を抑制することができる。しかしながら、圧縮機の圧縮能力を変化させたままでは、被乾燥対象物を乾燥している間に被乾燥対象物からの蒸発量が減り、蒸発器での熱交換量が減少する等の要因によって冷凍サイクルの安定点が変化して冷媒の圧力と温度とが低下する。冷媒の圧力が低下する場合は、圧縮機の消費電力が小さくなるため、乾燥時間が長くなる。一方、この構成によれば、物理量検知部が検知する値を反映させる状態が一定に保たれることにより、圧縮機の消費電力を抑えながら被乾燥対象物の乾燥に掛かる時間を短縮することができる。そのため、より小さいエネルギーで、乾燥時間を長くすることなく、被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0029】
本発明に従った衣類乾燥装置は、第1の温度湿度検知部と第2の温度湿度検知部と算出部とをさらに備えていることが好ましい。第1の温度湿度検知部は、空気循環経路のうち、第1の部分を流通する空気の第1の温度と第1の相対湿度とを検知することが好ましい。第2の温度湿度検知部は、空気循環経路のうち、第2の部分を流通する空気の第2の温度と第2の相対湿度とを検知することが好ましい。
【0030】
算出部は、第1の温度湿度検知部によって第1の単位時間ごとに検知された第1の温度と第1の相対湿度とに基づき、第1の部分を流通する空気の第1の絶対湿度を第2の単位時間ごとに算出し、第2の温度湿度検知部によって第1の単位時間ごとに検知された第2の温度と第2の相対湿度とに基づき、第2の部分を流通する空気の第2の絶対湿度を第2の単位時間ごとに算出し、且つ、算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差を第2の単位時間ごとに算出することが好ましい。制御部は、前回算出された絶対湿度差の数値の方が今回算出された絶対湿度差の数値よりも大きい場合、且つ、今回算出された絶対湿度差の数値が所定の値よりも小さい場合には、被乾燥対象物を乾燥する行程を終了させることが好ましい。
【0031】
ヒータを熱源として被乾燥対象物を乾燥する場合は、乾燥用空気に含まれる蒸気を除湿するために水が利用されているため、乾燥用空気の湿度の変化を検知することが難しく、乾燥用空気の温度変化に基づいて乾燥の終了時期が判断されていた。一方、ヒートポンプ装置を利用した衣類乾燥装置では、ヒータを熱源として利用する衣類乾燥装置に比べて乾燥時の終盤の乾燥用空気の温度変化が小さく、乾燥終了の時期を正確に判断することが困難であった。そのため、乾燥時間が余分に延長されること、あるいは被乾燥対象物の乾燥が不十分なままで乾燥が終了されるような事態が発生する。
【0032】
しかしながら、この構成によれば、第1の温度と第1の相対湿度および第2の温度と第2の相対湿度とに基づき、被乾燥対象物の乾燥の終了時期を適切に判断することができる。そのため、当該衣類乾燥装置の乾燥性能を向上させることができる。また、本発明に従った衣類乾燥装置は、被乾燥対象物の状態によらずに、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。すなわち、被乾燥対象物の状態によらずに、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる当該衣類乾燥装置は、被乾燥対象物の乾燥の終了時期を適切に判断することによって、被乾燥対象物の乾燥時に係る全体のエネルギー消費をさらに抑制することができる。
【0033】
本発明に従った衣類乾燥装置において、空気循環経路の一部には、排気口が形成されていることが好ましい。また、本発明に従った衣類乾燥装置は、排気口を開閉する開閉部をさらに備えていることが好ましい。さらに、制御部は、算出部によって第2の単位時間ごとに算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差に基づき、開閉部の開度をさらに制御することが好ましい。
【0034】
乾燥用空気を衣類乾燥装置の外部に排出することは、乾燥行程の後半に実行される場合のみに効果的である等、その効果を最大限活かすためには、排出の時期と排気量とを調節する必要がある。
【0035】
一方、この構成によれば、算出部によって第2の単位時間ごとに算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差に基づいて乾燥用空気の排出の時期を判断することができる。このとき、判断された乾燥用空気の排出の時期に基づいて開閉部の開度が調整されることにより、乾燥用空気を適切な時期に排出することができ、その効果を最大限発揮することができる。そのため、当該衣類乾燥装置の乾燥性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明によれば、ヒートポンプ装置を含む衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持するように圧縮機の圧縮能力を変化させることにより、被乾燥対象物の状態によらずにより小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することが可能な衣類乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の構成を示す概略図である。
【図2】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の一つの実施例において、ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度としての圧縮機の吐出部の温度、凝縮器の中間部の温度、および、絞り部の温度と乾燥時間との関係を示すグラフである。
【図3】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の一つの実施例の比較例において、ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度としての圧縮機の吐出部の温度、凝縮器の中間部の温度、および、絞り部の温度と乾燥時間との関係を示すグラフである。
【図4】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の他の一つの実施例において、冷媒配管内の冷媒の圧力と乾燥時間との関係と、乾燥室の入口を流通する空気の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【図5】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の他の一つの実施例の比較例において、冷媒配管内の冷媒の圧力と乾燥時間との関係と、乾燥室の入口を流通する空気の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【図6】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例であるドラム式洗濯乾燥機の構成を示す概略図である。
【図7】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、乾燥行程を終了させるための判断の制御のフローチャートである。
【図8】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、第1の部分を流通する空気の第1の温度および第1の相対湿度の乾燥時間に対する変化と、第2の部分を流通する空気の第2の温度および第2の相対湿度の乾燥時間に対する変化との一例を示すグラフである。
【図9】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、第1の部分を流通する空気の第1の絶対湿度と乾燥時間との関係の一例を示すグラフである。
【図10】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、第2の部分を流通する空気の第2の絶対湿度と乾燥時間との関係の一例を示すグラフである。
【図11】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差と、乾燥時間との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
(実施形態A)
図1に、本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機100を示す。図1に示すように、ドラム式洗濯乾燥機100は、外箱1を備えている。外箱1は、ドラム式洗濯乾燥機100の本体の外形を形成している。外箱1は略直方体形状を有している。また、ドラム式洗濯乾燥機100は水槽2と回転ドラム3と駆動部としてモータ4とを備えている。
【0040】
回転ドラム3は、水平方向または水平方向から傾斜した方向に延びる回転軸線を中心に回転する。回転ドラム3の材質としては、ステンレス鋼板が一般的に用いられている。回転ドラム3の周壁3aと底部3bには、給水、排水および通気のための複数の小孔(図示せず)が形成されている。周壁3aは、回転ドラム3のうちの筒状の部分である。ドラム式洗濯乾燥機100では、周壁3aは略円筒形状を有している。また、周壁3aは、回転軸線が延びる方向と平行な方向に延びている。
【0041】
周壁3aには、複数のバッフル(図示せず)が配置されている。バッフルは、回転軸線と略平行に延びている。また、バッフルは、回転軸線を中心とする円の半径方向の内方に向かって周壁3aから突出している。
【0042】
水槽2は、有底筒形状を有している。回転ドラム3は、水槽2の内部の空間に収容されている。水槽2の下部には、カウンターウェイト(図示せず)が取り付けられている。なお、水槽2全体のバランスをとるため、複数個のカウンターウェイトが水槽2に取り付けられていてもよい。また、カウンターウェイトは、水槽2の上部に取り付けられていてもよい。回転ドラム3の開口部の縁の外側には、図示しない液体バランサが取り付けられている。
【0043】
回転ドラム3は、被乾燥対象物としての洗濯物5を収納する。回転ドラム3の底部3bの外側面には、駆動軸41が固定されている。モータ4は、水槽2の底部3bの外側面に取り付けられている。モータ4は、駆動軸41に連結されている。
【0044】
ドラム式洗濯乾燥機100は、圧縮機7と凝縮器8と蒸発器10と膨張弁としての絞り部9とを備えたヒートポンプ装置13を熱源として利用する衣類乾燥装置である。圧縮機7は、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。凝縮器8は、圧縮機7によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる。絞り部9は、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する。蒸発器10は、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる。また、ヒートポンプ装置13は、冷媒配管14を備えている。冷媒配管14は、圧縮機7、凝縮器8、絞り部9、および、蒸発器10の順に冷媒が循環するように、圧縮機7と凝縮器8と絞り部9と蒸発器10とを連結する。
【0045】
ドラム式洗濯乾燥機100は、乾燥室32と送風機11と空気循環経路18と圧縮能力可変部15とサーミスタ16と制御部20とを備えている。回転ドラム3の内部の空間が乾燥室32として機能する。また、乾燥室32には、凝縮器8で加熱された空気が供給される。送風機11は、凝縮器8で加熱された空気を乾燥室32へ送風する。空気循環経路18は、第1の部分としての往路12と第2の部分としての復路6を有している。往路12は、凝縮器8で加熱された空気が乾燥室32へ供給されるように凝縮器8と乾燥室32との間に配置されている。復路6は、乾燥室32にて洗濯物5の乾燥に利用された空気が蒸発器10に向かって流れるように乾燥室32と蒸発器10との間に配置されている。なお、ドラム式洗濯乾燥機100において、空気循環経路18は閉空間である。
【0046】
圧縮能力可変部15は、圧縮機7の圧縮能力を変化させる。物理量検知部は、ヒートポンプ装置13の所定の箇所の温度として、圧縮機7の吐出部、凝縮器8の中間部、または、絞り部9のいずれかの温度を検知する。ドラム式洗濯乾燥機100は、圧縮機7の吐出部を検知する物理量検知部の一例としてサーミスタ16を備えている。サーミスタ16は、冷媒配管14の表面温度として、圧縮機7の吐出部の温度を検知する。
【0047】
凝縮器8と蒸発器10とは、フィンチューブ型の熱交換器である。ヒートポンプ装置13の内部では、蒸発器10と凝縮器8とをこの順序で乾燥用空気が流れる。圧縮能力可変部15は、圧縮機7を駆動させる電圧を制御するインバータ回路等から構成されている。
【0048】
ドラム式洗濯乾燥機100において、算出部21は、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量を算出する。例えば算出部21は、図示しないタイマの機能を有している。制御部20は、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させるように圧縮能力可変部15を制御する。
【0049】
以上にように構成されたドラム式洗濯乾燥機100の乾燥動作を説明する。モータ4が駆動されることによって回転ドラム3が回転されると共に、送風機11とヒートポンプ装置13との駆動が開始される。乾燥用空気は、送風機11が発生させる気流により、白抜きの矢印のように空気循環経路18を流れる。なお、図1にて示す白抜きの矢印は、気流が流れる方向を概略的に示すものであり、気流の速度または規模を示すものではない。
【0050】
送風機11が発生させた気流により、乾燥室32に流入した空気は、乾燥室32で撹拌される洗濯物5から水分を得て、ヒートポンプ装置13へ向かって復路6を流通する。復路6からヒートポンプ装置13へ流入した空気は、蒸発器10で露点以下に除湿される。除湿された後の空気は、凝縮器8で加熱されて高温化且つ低湿度化され、乾燥用空気として再び回転ドラム3に流入する。このような空気の流れが繰り返されることにより、洗濯物5の乾燥が進行する。
【0051】
次に、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルと乾燥用空気との熱交換について説明する。圧縮機7によって高温化且つ高圧化された気体状態の冷媒(R134a)は、凝縮器8へ送られる。凝縮器8において、冷媒の熱量が乾燥用空気へ放熱されることにより、冷媒の液化が進行する。凝縮器8を通過した冷媒は、絞り部9で減圧される。絞り部9において、減圧と流量が制御された冷媒は、熱量を放出して、低温且つ低圧の液体に変化する。蒸発器10では、乾燥室32からヒートポンプ装置13に戻ってきた空気から吸熱することにより、冷媒のガス化が進行する。
【0052】
ここで、ヒートポンプ装置13を循環する冷媒の熱量の増減を観察すると、洗濯物5が乾燥される間に凝縮器8から乾燥用空気に奪われる熱量は、乾燥室32からヒートポンプ装置13に戻ってきた空気から蒸発器10に奪われる熱量よりも圧縮機7の消費電力相当分だけ多い。そのため、乾燥用空気をそのまま循環し続ける場合には、乾燥用空気全体が有する熱量が増加するとともに、ヒートポンプ装置を循環する冷媒の熱量が増加して冷媒の圧力が増加する。また、冷媒が高圧化且つ高温化されるにつれ、圧縮機の消費電力が増大していく。冷媒が高圧化且つ高温化される場合は、乾燥用空気が有する熱量が増加する一方で洗濯物5へ与えることができる熱量が同程度には増加しないため、洗濯物5に対する乾燥効率が低下する。
【0053】
ドラム式洗濯乾燥機100においては、圧縮機7の圧縮能力を変化させるように圧縮能力可変部15を制御部20が制御することにより、ヒートポンプ装置13を安全に運転することができる。さらに、ドラム式洗濯乾燥機100において、制御部20は、サーミスタ16によって検知された値の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮能力可変部15を制御する。具体的には、洗濯物5の乾燥が開始される際には、圧縮機7の回転数は2400rpmである。
【0054】
サーミスタ16が検出する温度に基づき、算出部21は、単位時間あたりの温度の変化量を演算する。単位時間は例えば1分である。冷媒配管14の表面温度の単位時間あたりの変化量が0.1℃未満であると判断された時点にて、圧縮能力可変部15が圧縮機7の圧縮能力を変化させるように、制御部20は圧縮能力可変部15を制御する。
【0055】
なお、ドラム式洗濯乾燥機100において、ドラム式洗濯乾燥機100の運転に必要な制御についての判定は、制御部20によって判断されている。
【0056】
以上のように、ドラム式洗濯乾燥機100において、サーミスタ16によって検知された冷媒配管14の表面温度の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮能力可変部15が圧縮機7の圧縮能力を変化させることにより、ドラム式洗濯乾燥機100の外部に漏出するエネルギーと、洗濯物5とヒートポンプ装置13とのエネルギー交換量と、圧縮機7に加えるエネルギーとがバランスした状態を維持することができる。このように、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、ヒートポンプ装置13を含むドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持することが可能である。
【0057】
そのため、冷媒が高圧化且つ高温化されることを抑制することができ、圧縮機7の消費電力を抑制することができる。また、ドラム式洗濯乾燥機100の運転が継続されている間には、乾燥用空気に熱量が蓄積され続けることが抑制されているため、洗濯物5の乾燥具合にかかわらず、ドラム式洗濯乾燥機100の乾燥時に係る全体のエネルギーを無駄に消費することがない。このようにして、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0058】
ドラム式洗濯乾燥機100においては、閉空間である空気循環経路18を流通する乾燥用空気とヒートポンプ装置13とのエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持することができる。また、空気循環経路18が閉空間であるため、乾燥用空気をドラム式洗濯乾燥機100の外部へ排出することがないため、無駄なエネルギー消費を抑制するとともに、ドラム式洗濯乾燥機100の周辺のカビの発生等を防止することができる。
【0059】
なお、ドラム式洗濯乾燥機100の物理量検知部は、冷媒配管14の表面温度として圧縮機7の吐出部の温度を検知する代わりに、凝縮器8の中間部、または、絞り部9の温度を検知もしくは測定するものであってもよい。また、物理量検知部は、ヒートポンプ装置13の高圧側の冷媒圧力を検知または測定する圧力計であってもよい。圧力計は、例えばヒートポンプ装置13の高圧側に配置されている。
【0060】
さらに、ドラム式洗濯乾燥機100の物理量検知部は、空気循環経路18の所定の箇所を流通する空気の温度を測定または検知するものであってもよい。空気循環経路18の所定の箇所の一例は、往路12のうちの乾燥室32の入口33である。乾燥室32の入口33は、水槽2の底部2bに形成されている。これらのように、ドラム式洗濯乾燥機100の物理量検知部は、冷凍サイクルの高圧側の物理量として、乾燥室32に流入する前の空気の温度や高圧側の冷媒配管14の表面温度または冷媒の圧力を検知している。
【0061】
ドラム式洗濯乾燥機100において、圧縮機7の圧縮機能力を可変させる時期は、圧縮機7の吐出部の温度、凝縮器8の中間部、絞り部9の前の冷媒配管14の温度、もしくは、その他の冷媒配管14の温度の単位時間あたりの変化量に基づいて判断されていてもよい。また、圧縮機7の圧縮機能力を可変させる時期は、冷媒配管14内の冷媒の圧力の単位時間あたりの変化量に基づいて判断されていてもよく、乾燥室32の入口33を流通する空気の温度の単位時間あたりの変化量に基づいて判断されていてもよい。なお、これらの温度の単位時間あたりの変化量は、圧縮機7の吐出部の温度が用いられる場合と同様に、例えば0.1℃未満/1分であってもよく、または他の変化量であってもよい。
【0062】
ドラム式洗濯乾燥機100において、ヒートポンプ装置13の所定の箇所の温度として、圧縮機7の吐出部の温度をサーミスタ16が検知または測定することにより、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化を簡単に検知することができる。また、凝縮器8の中間部の温度を検知する物理量検知部をドラム式洗濯乾燥機100が備えている場合には、凝縮器8の中間部の冷媒配管14の表面温度に基づき、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化を簡単に検知することができる。絞り部9の温度を検知する物理量検知部をドラム式洗濯乾燥機100が備えている場合には、絞り部9の前の冷媒配管14の表面温度に基づき、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化を簡単に検知することができる。そのため、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化に基づき、ヒートポンプ装置13を含むドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持することが可能である。これにより、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0063】
また、ヒートポンプ装置13の所定の箇所の冷媒圧力を検知するようにヒートポンプ装置13の高圧側に圧力計が配置されている場合には、乾燥用空気の状態によらずに、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化を冷媒圧力から簡単に検知することができる。そのため、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0064】
一方、ドラム式洗濯乾燥機100において、空気循環経路18の所定の箇所を流通する空気の温度として、乾燥室32の入口33を流通する空気の温度をサーミスタ16が検知する場合には、乾燥室32の入口33は空気循環経路18と乾燥室32との接続部分の近傍であるため、サーミスタ16を容易に取り付けることができる。また、乾燥室32の入口33を含む往路12では、空気循環経路18を流通する空気のうち、洗濯物5が受け取る前の熱量を有する空気が流通している。そのため、乾燥室32の入口33を流通する空気の温度をサーミスタ16が検知する場合には、乾燥用空気の状態変化に基づき、洗濯物5の状態によらず、ヒートポンプ装置13を含むドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持することが可能である。これにより、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0065】
以上のように、実施形態Aに係るドラム式洗濯乾燥機100によれば、ヒートポンプ装置13を含むドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持するように圧縮機7の圧縮能力を変化させることにより、洗濯物5の状態によらずにより小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することが可能である。
【0066】
なお、ドラム式洗濯乾燥機100においては、制御部20は、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮機7の圧縮能力を変化させるように制御した後に、サーミスタ16が検知する値が一定であるように圧縮能力可変部15を制御し続けていてもよい。
【0067】
具体的には、サーミスタ16によって検知される圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量が所定の値未満であると判断された時点にて、圧縮能力可変部15が圧縮機7の圧縮能力を変化させるように、制御部20は圧縮能力可変部15を制御する。洗濯物5の乾燥が開始される際には、圧縮機7の回転数は例えば2400rpmである。所定の値は、例えば1分間あたり0.1℃である。圧縮機7の圧縮能力を変化させるときの圧縮機7の回転数は、例えば2150rpmである。
【0068】
制御部20は、サーミスタ16によって検知される圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量が所定の値未満であると判断された時点の温度が一定であるように、圧縮能力可変部15を乾燥終了まで制御し続ける。例えば後述する図2に示す例では、圧縮機7の吐出部の単位時間(1分)あたりの温度の変化量が0.1℃未満であることが判断された時点の温度Th2は、60.1℃である。制御部20は、温度Th2が一定であるように、圧縮能力可変部15を乾燥終了まで制御し続ける。この間、圧縮機7の回転数は、例えば2150〜2400rpmの間で変化する。
【0069】
圧縮機7の圧縮能力を変化させた場合は、無駄なエネルギー消費を抑制することができる。しかしながら、圧縮機7の圧縮能力を変化させたままでは、洗濯物5を乾燥している間に洗濯物5からの蒸発量が減り、蒸発器10での熱交換量が減少する等の要因によって冷凍サイクルの安定点が変化して冷媒の圧力と温度とが低下する。冷媒の圧力が低下する場合は、圧縮機7の消費電力が減少するため、乾燥時間が延びる。一方、ドラム式洗濯乾燥機100のように物理量検知部が検知する値を反映させる状態が一定に保たれることにより、圧縮機7の消費電力を抑えながら洗濯物5の乾燥に掛かる時間を短縮することができる。そのため、より小さいエネルギーで、乾燥時間を長くすることなく、洗濯物5を乾燥することができる。
【0070】
なお、圧縮能力の変化とは、圧縮機7の圧縮能力を低下させることに限定されない。また、圧縮機7の圧縮能力を低下させる方法または手段としては、圧縮機7の回転数を低下させることに限定されず、他の方法または手段を用いて圧縮機7の圧縮能力を低下させることであってもよい。例えば、圧縮機7の圧縮部の容積を減少させることにより、圧縮機7の圧縮能力を低下させていてもよい。圧縮機7として複数の圧縮機をヒートポンプ装置13が備えている場合に、いずれかの圧縮機の圧縮部のシリンダを停止すること、または、いずれかの圧縮機に冷媒が流れないように冷媒の流路を構成する等ことにより、圧縮能力を低下させることができる。
【0071】
なお、ドラム式洗濯乾燥機100において制御部20が配置される位置は、特に限定されない。図1に示す制御部20は、概略的に示されるものであって、上述のように所望の機能を奏するものであればよい。
【0072】
(実施例A)
実施例Aにおいては、実施形態Aに係るドラム式洗濯乾燥機100(図1参照)を用いて、標準試験環境(気温;20℃、65%RH)にて洗濯物5の乾燥行程を行なった。実施例Aでは、ドラム式洗濯乾燥機100において、物理量検知部によって検知された所定の物理量の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。
【0073】
(実施例A1)
実施例A1では、ドラム式洗濯乾燥機100において、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の温度の1分間あたりの変化量が0.1℃未満であることが判断された場合に、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。図2は、実施例A1において、圧縮機7の吐出部の温度と乾燥時間との関係と、凝縮器8の中間部の温度と乾燥時間との関係と、膨張弁としての絞り部9の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【0074】
図2に示す例については、例えば点P1の辺りにおいて、圧縮機7の吐出部の単位時間(1分)あたりの温度の変化量は、0.1℃以上である。一方、点P2の辺りにおいて、圧縮機7の吐出部の単位時間(1分)あたりの温度の変化量は、0.1℃未満である。実施例A1では、この点P2での変化量に基づいて、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。具体的には、圧縮機7の回転数を2400rpmから2150rpmに低下させた。
【0075】
一方、比較例A1としては、乾燥行程において、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の冷媒配管14の表面温度の1分間あたりの変化量が0.1℃未満であると判断された場合でも、圧縮機7の能力を変化させなかった。図3は、比較例A1において、圧縮機7の吐出部の温度と乾燥時間との関係と、凝縮器8の中間部の温度と乾燥時間との関係と、膨張弁としての絞り部9の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【0076】
図3に示すように、圧縮機7の能力を変化させなかった場合には、乾燥時間が進むにつれ、圧縮機7の吐出部の温度、凝縮器8の中間部の温度、および、絞り部9の前の冷媒配管14の温度が上昇していく。
【0077】
図2と図3との比較に基づけば、図2の点P2よりも右側では、冷媒の温度が上昇することが抑制されている。このように、ドラム式洗濯乾燥機100では、圧縮機7の消費電力を抑制することができる。また、ドラム式洗濯乾燥機100の運転が継続されている間には、乾燥用空気に熱量が蓄積され続けることが抑制されているため、洗濯物5の乾燥具合にかかわらず、ドラム式洗濯乾燥機100の乾燥時に係る全体のエネルギーを無駄に消費することがない。このようにして、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0078】
なお、圧縮機7の圧縮能力を変化させる際の判断の対象である、圧縮機7の吐出部の温度の1分間あたりの変化量は、実験に基づいて定義されている。例えば、1分間あたりの変化量がゼロである場合に、圧縮機7の圧縮能力を変化させるときには、適切なタイミングではないことがある。また、サーミスタ16の測定または検知の最小の誤差の範囲よりも小さい範囲の変化量は、判断の対象として好ましくないといえる。
【0079】
なお、実施例A1では、圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させる時期を判断している。しかし、凝縮器8の中間部や絞り部9の前の冷媒配管14の温度、または、その他の冷媒配管14の温度の単位時間あたりの変化量を用いて判断することにしてもよい。
【0080】
(実施例A2)
実施例A2では、ドラム式洗濯乾燥機100において、冷媒配管14内の冷媒の圧力の1分間あたりの変化量が0.005MPa未満である場合に、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。図4は、実施例2において、冷媒配管14の高圧側(つまり凝縮器8側)の冷媒の圧力と乾燥時間との関係と、乾燥室32の入口33(つまり回転ドラム3に空気が流入するための開口)を流通する空気の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【0081】
図4に示すように、例えば点P3の辺りにおいて、単位時間(1分)あたりの冷媒の圧力の変化量は、0.005MPa以上である。一方、点P4の辺りにおいて、単位時間(1分)あたりの冷媒の圧力の変化量は、0.005MPa未満である。この点P4での変化量に基づいて、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。具体的には、圧縮機7の回転数を2400rpmから2150rpmに低下させた。
【0082】
一方、比較例A2としては、乾燥行程において、冷媒配管14内の冷媒の圧力の1分間あたりの変化量が0.005MPa未満であると判断された場合でも、圧縮機7の能力を変化させなかった。図5は、比較例2において、冷媒配管14の高圧側(つまり凝縮器8側)の冷媒の圧力と乾燥時間との関係と、乾燥室32の入口33(つまり回転ドラム3に空気が流入するための開口)を流通する空気の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【0083】
図5に示すように、圧縮機7の能力を変化させなかった場合には、乾燥時間が進むにつれ、高圧側の冷媒配管14内の冷媒の圧力が上昇していく。
【0084】
図4と図5との比較に基づけば、図4の点P4よりも右側では、冷媒の圧力が上昇することが抑制されている。このようにして、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0085】
なお、圧縮機7の圧縮能力を変化させる際の判断の対象である、冷媒配管14内の冷媒の圧力の1分間あたりの変化量は、実験に基づいて定義されている。例えば、1分間あたりの変化量がゼロである場合に、圧縮機7の圧縮能力を変化させるときには、適切なタイミングではないことがある。また、冷媒の圧力を測定する機器等の測定または検知の最小の誤差の範囲よりも小さい範囲の変化量は、判断の対象として好ましくないといえる。
【0086】
なお、実施例A2では、冷媒配管14内の冷媒の圧力の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させる時期を判断している。しかし、乾燥室32の入口33を流通する空気の温度の単位時間あたりの変化量を用いて判断することにしてもよい。
【0087】
圧縮機7の回転数として、2150rpmは、2400rpmのおよそ90%の回転数である。実施例A1および実施例A2のように、乾燥初期の回転数から約90%に低下させたことにより、図2または図4に示すように極めて良好な結果を得ることができた。
【0088】
(実施形態B)
以下では、実施形態Bに係るドラム式洗濯乾燥機300について説明する。なお、以下において、実施形態Aに係るドラム式洗濯乾燥機100と同一の構成のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
図6に示すように、ドラム式洗濯乾燥機300は、第1の温度湿度検知部としての温度湿度検知部61と、第2の温度湿度検知部としての温度湿度検知部62とをさらに備えている。温度湿度検知部61は、空気循環経路18のうち、往路12を流通する空気の第1の温度と第1の相対湿度とを検知する。温度湿度検知部62は、空気循環経路18のうち、復路6を流通する空気の第2の温度と第2の相対湿度とを検知する。
【0090】
ドラム式洗濯乾燥機300において、空気循環経路18の一部には、排気口12hが形成されている。排気口12hは、往路12の一部に形成されている。また、ドラム式洗濯乾燥機300は、排気口12hを開閉する開閉部22を備えている。開閉部22は、制御部20に例えば電磁的または電子的に接続されている。
【0091】
なお、温度湿度検知部61と温度湿度検知部62との配置は、特に限定されない。温度湿度検知部61と温度湿度検知部62とは、空気循環経路18を形成する管状部材の外側に配置されていてもよく、内側に配置されていてもよい。
【0092】
以下、ドラム式洗濯乾燥機300において、乾燥行程を終了させるための判断の制御について、図7を用いて説明する。
【0093】
図7に示すように、ステップS01では、ドラム式洗濯乾燥機300において、洗濯行程とすすぎ行程と脱水行程とが所定の処理に基づいて行われる。ステップS02では、乾燥行程において、温度湿度検知部61が第1の温度T1と第1の相対湿度H1とを第1の単位時間ごとに検知し、且つ、温度湿度検知部62が第2の温度T2と第2の相対湿度H2とを第1の単位時間ごとに検知する。
【0094】
続いて、ステップS03において、算出部21は、第1の温度T1と第1の相対湿度H1とに基づき、往路12を流通する空気の第1の絶対湿度の数値A1を第2の単位時間ごとに算出する。また、算出部21は、第2の温度T2と第2の相対湿度H2とに基づき、復路6を流通する空気の第2の絶対湿度の数値A2を第2の単位時間ごとに算出する。
【0095】
ステップS04において、算出部21は、ステップS03にて算出された第1の絶対湿度の数値A1と第2の絶対湿度の数値A2との絶対湿度差A3を第2の単位時間ごとに算出する。
【0096】
ステップS05では、前回算出された絶対湿度差の数値A3´と、今回算出された絶対湿度差の数値A3とが比較される。また、ステップS05では、今回算出された絶対湿度差の数値A3と所定の値Atとが比較される。なお、所定の値Atの数値は、衣類乾燥装置を含む実験系において、洗濯物の乾燥度として100.0%以上の乾燥度が達成されるときの値であって、実験に基づいて定義されている。
【0097】
ステップS05において、前回算出された絶対湿度差の数値A3´の方が今回算出された絶対湿度差の数値A3よりも大きい場合、且つ、今回算出された絶対湿度差の数値A3が所定の値Atよりも小さい場合には、ステップS07に進む。ステップS05において、NOと判断される場合には、ステップS06に進む。
【0098】
ステップS06では、開閉部22の開度が調整される。ステップS06では、制御部20は、絶対湿度差の数値A3に基づいて洗濯物5の乾燥の進行の程度を予測し、開閉部22の開閉および開度を制御する。
【0099】
ステップS07では、所定の処理に基づいて遅延運転が行われる。続いて、ステップS08では、所定の処理に基づいて乾燥終了の制御が行われる。ステップS08の後には、乾燥行程が終了する。
【0100】
以上のように、ドラム式洗濯乾燥機300によれば、第1の温度T1および第1の相対湿度H1と、第2の温度T2および第2の相対湿度H2とに基づき、洗濯物5の乾燥の終了時期を適切に判断することができる。そのため、ドラム式洗濯乾燥機300の乾燥性能を向上させることができる。また、実施形態Aに係るドラム式洗濯乾燥機100と同様にドラム式洗濯乾燥機300は、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することが可能である。すなわち、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができるドラム式洗濯乾燥機300は、洗濯物5の乾燥の終了時期を適切に判断することによって、洗濯物5の乾燥時に係る全体のエネルギー消費をさらに抑制することができる。
【0101】
ドラム式洗濯乾燥機300によれば、算出部21によって第2の単位時間ごとに算出された第1の絶対湿度の数値A1と第2の絶対湿度の数値A2との絶対湿度差の数値A3に基づいて乾燥用空気の排出の時期を判断することができる。このとき、判断された乾燥用空気の排出の時期に基づいて開閉部22の開度が調整されることにより、乾燥用空気を適切な時期に排出することができ、その効果を最大限発揮することができる。そのため、ドラム式洗濯乾燥機300の乾燥性能を向上させることができる。
【0102】
なお、ドラム式洗濯乾燥機300において、第1の単位時間と第2の単位時間とは同一の時間であってもよく、それぞれ異なる時間であってもよい。
【0103】
ドラム式洗濯乾燥機300においては、制御部20が、物理量検知部によって検知された物理量の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮機7の圧縮能力を変化させるように制御した後に、物理量検知部が検知する値が一定であるように圧縮能力可変部15を制御し続けていてもよい。
【0104】
(実施例B)
実施例Bにおいては、実施形態Bに係るドラム式洗濯乾燥機300(図6参照)を用いて、洗濯物5の乾燥行程を行なった。実施例Bにおいては、乾燥重量が6kgであり、水を含むときの重量が7.35kgである洗濯物を用いて、送風機としてのファンの回転数を5000rpmで回転させた。
【0105】
実施例Bでは、温度湿度検知部61を用いて第1の温度および第1の相対湿度を1分ごとに検知し、且つ、温度湿度検知部62を用いて第2の温度および第2の相対湿度を1分ごとに検知した。図8は、往路12を流通する空気の第1の温度および第1の相対湿度の乾燥時間に対する変化と、復路6を流通する空気の第2の温度および第2の相対湿度の乾燥時間に対する変化とを示すグラフである。図8に示すように、往路12を流通する空気の温度変化は、乾燥開始後およそ30分から乾燥終了時まで比較的小さい。
【0106】
また、実施例Bでは、第1の温度と第1の相対湿度とに基づいて第1の絶対湿度を1分ごとに算出し、且つ、第2の温度と第2の相対湿度とに基づいて第2の絶対湿度を1分ごとに算出した。図9は、往路12を流通する空気の第1の絶対湿度と乾燥時間との関係を示すグラフである。また、図10は、復路6を流通する空気の第2の絶対湿度と乾燥時間との関係を示すグラフである。
【0107】
さらに、実施例Bでは、算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差を1分ごとに算出した。図9に示す第1の絶対湿度と図10に示す第2の絶対湿度とから算出された1分間あたりの絶対湿度差を図11に示す。
【0108】
図11に示すように、第1の絶対湿度と第2の絶対湿度とから算出された乾燥時間ごとの絶対湿度差の値は、乾燥行程の後半には次第に顕著に低下する。このように、ドラム式洗濯乾燥機300においては、第1の絶対湿度と第2の絶対湿度とから算出された単位時間あたりの絶対湿度差に基づいて乾燥終了の時期が判定される。なお、図11に示す例では、乾燥開始からおよそ130分が経過したときに、乾燥を終了するように判定されている。
【0109】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0110】
6:復路、7:圧縮機、8:凝縮器、9:絞り部、10:蒸発器、11:送風機、12:往路、12h:排気口、13:ヒートポンプ装置、14:冷媒配管、15:圧縮能力可変部、16:サーミスタ、18:空気循環経路、20:制御部、21:算出部、22:開閉部、32:乾燥室、33:入口、61:温度湿度検知部、62:温度湿度検知部、100:ドラム式洗濯乾燥機
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には衣類乾燥装置に関し、特定的にはヒートポンプを熱源に用いることによって被乾燥対象物を乾燥する衣類乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥装置の熱源として、ヒータの他に、ヒートポンプを用いたヒートポンプ装置が従来から知られている。
【0003】
ヒートポンプ装置は、圧縮機と、凝縮器と、蒸発器と、絞り手段としての膨張弁とを備えている。圧縮機と凝縮器と蒸発器と膨張弁とが冷媒を流通させる配管によって連結されることにより、ヒートポンプ装置において冷凍サイクルが形成されている。ヒートポンプ装置では、この冷凍サイクルを冷媒が循環する。
【0004】
ヒートポンプ装置を備えた衣類乾燥装置において、圧縮機によって圧縮された冷媒ガスは、高温化且つ高圧化されて圧縮機から吐出される。凝縮器においては、圧縮機から吐出された冷媒ガスと凝縮器を通過する空気とが熱交換する。これにより、凝縮器を通過する空気が加熱される。衣類等の被乾燥対象物が収容されたドラムにこの加熱された空気が送風されることにより、被乾燥対象物に含まれる水分の蒸発が進行していく。
【0005】
一方、凝縮器において、冷媒ガスは冷却される。冷却された冷媒ガスは、膨張弁にて圧力が低下されることによって液化する。ドラムの内部からヒートポンプ装置に排出された水蒸気を含む空気は、蒸発器を通過するときに、液化した冷媒と熱交換される。これにより、ヒートポンプ装置に排出された水蒸気を含む空気は、冷却且つ除湿される。このときに冷媒は蒸発し、冷媒ガスとして圧縮機に戻される。
【0006】
被乾燥対象物の乾燥が進行するにつれ、ドラムの内部とヒートポンプ装置とを循環している空気(乾燥用空気)に、圧縮機が消費する電力に相当する熱量が蓄積されていく。そのため、乾燥用空気をそのまま循環し続ける場合には、乾燥用空気全体が有する熱量が増加するとともに、ヒートポンプ装置を循環する冷媒の熱量が増加して冷媒の圧力が増加する。このようにして、ヒートポンプ装置と乾燥用空気とが有するエネルギーが上昇していく。また、冷媒が高圧化且つ高温化されるにつれ、圧縮機の消費電力が増大していく。冷媒が高圧化且つ高温化される場合は、乾燥用空気が有する熱量が増加する一方で被乾燥対象物へ与えることができる熱量が同程度には増加しない。そのため、衣類乾燥装置の乾燥効率が低下する。
このように、被乾燥対象物の乾燥が進行して、乾燥用空気に熱量が蓄積され続ける場合には、衣類乾燥装置の乾燥時に係る全体のエネルギーを無駄に消費してしまう。
【0007】
エネルギー上昇を抑制する方法としては、乾燥用空気の一部を衣類乾燥装置の外部に排出することが従来から知られている。しかしながら、衣類乾燥装置の外部に高湿度の空気が大量に排出される場合には、衣類乾燥装置の周辺にカビを発生させる等の様々な不具合が生じる。また、ヒートポンプ装置が消費する電力の一部に相当する熱量を単に排出することは、衣類乾燥装置の運転に係る電力を無駄に消費する。
【0008】
特許第3321945号公報(特許文献1)に係る衣類乾燥装置では、当該衣類乾燥装置の外部に高湿度の空気を排出することを前提としている。しかし、特許第3321945号公報(特許文献1)に係る衣類乾燥装置のヒートポンプ装置では、凝縮器中の冷媒の温度が設定温度以下に保たれるように圧縮機の圧縮能力を可変することにより、衣類乾燥装置の外部へ排出される高湿度の空気を減少させている。このようにして、特許第3321945号公報(特許文献1)に係る衣類乾燥装置は、衣類乾燥装置の全体のエネルギー上昇を抑制している。
【0009】
特開2004−358028号公報(特許文献2)に係る衣類乾燥装置は、被乾燥対象物の乾燥時に、所定温度以下の乾燥用空気がドラムに供給されるように、圧縮機の圧縮能力を可変している。
【0010】
特開2004−236965号公報(特許文献3)に係る衣類乾燥装置は、乾燥の運転モードとして短時間乾燥モードと省エネ乾燥モードとを有している。短時間乾燥モードでは、圧縮機の能力を増大させて乾燥時間の短縮が図られている。省エネ乾燥モードでは、圧縮機の能力を所定値まで減少させることにより、被乾燥対象物の乾燥に必要なエネルギーの抑制が図られている。特開2004−236965号公報(特許文献3)に係る衣類乾燥装置は、省エネ乾燥モードにおいて、乾燥用空気の温度を上限値に保ちながら圧縮能力を低下させることにより、被乾燥対象物の乾燥に必要な当該衣類乾燥装置の全体のエネルギーを最小限に留めている。このようにして、特開2004−236965号公報(特許文献3)に係る衣類乾燥装置は、衣類乾燥装置の構成や乾燥用空気の風量等によって、それぞれ省エネと乾燥時間の短縮とのバランスが考慮された適切な乾燥が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3321945号公報
【特許文献2】特開2004−358028号公報
【特許文献3】特開2004−236965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許第3321945号公報(特許文献1)に係る衣類乾燥装置のヒートポンプ装置では、当該衣類乾燥装置の外部に高湿度の空気を排出することを前提としている。つまり、当該衣類乾燥装置の運転に係るエネルギーの消費を抑制しているとはいえない。また、衣類乾燥装置の外部へ排出される高湿度の空気を減少させるために、冷媒の圧力上昇を抑制するように圧縮機の圧縮能力を可変しているとしても、ヒートポンプ装置を含む衣類乾燥装置に係る全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することができるように圧縮機の圧縮能力を可変することについては、何ら考慮されていない。
【0013】
同様に、特開2004−358028号公報(特許文献2)に係る衣類乾燥装置と、特開2004−236965号公報(特許文献3)に係る衣類乾燥装置とも、ヒートポンプ装置を含む衣類乾燥装置に係る全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することができるように圧縮機の圧縮能力を可変することについては、何ら考慮されていない。
【0014】
そこで、本発明の目的は、ヒートポンプ装置を含む衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持するように圧縮機の圧縮能力を変化させることにより、被乾燥対象物の状態によらずにより小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することが可能な衣類乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従った衣類乾燥装置は、圧縮機と凝縮器と絞り部と蒸発器と冷媒配管とを含むヒートポンプ装置を熱源として利用する衣類乾燥装置である。圧縮機は、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。凝縮器は、圧縮機によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる。絞り部は、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する。蒸発器は、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる。冷媒配管は、圧縮機、凝縮器、絞り部、および、蒸発器の順に冷媒が循環するように、圧縮機と凝縮器と絞り部と蒸発器とを連結する。
【0016】
また、本発明に従った衣類乾燥装置は、乾燥室と送風機と空気循環経路と圧縮能力可変部と物理量検知部と制御部とを備えている。乾燥室は、被乾燥対象物を収納する。また、乾燥室には、凝縮器で加熱された空気が供給される。送風機は、凝縮器で加熱された空気を乾燥室へ送風する。空気循環経路は、第1の部分と第2の部分とを有している。第1の部分は、凝縮器で加熱された空気が乾燥室へ供給されるように凝縮器と乾燥室との間に配置されている。第2の部分は、乾燥室にて被乾燥対象物の乾燥に利用された空気が蒸発器に向かって流れるように乾燥室と蒸発器との間に配置されている。圧縮能力可変部は、圧縮機の圧縮能力を変化させる。物理量検知部は、ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度、冷媒の圧力、および、空気循環経路の所定の箇所を流通する空気の温度からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を検知する。制御部は、物理量検知部によって検知された物理量の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機の圧縮能力を変化させるように圧縮能力可変部を制御する。
【0017】
本発明のように、物理量検知部によって検知された物理量の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮能力可変部が圧縮機の圧縮能力を変化させることにより、当該衣類乾燥装置の外部に漏出するエネルギーと、被乾燥対象物とヒートポンプ装置とのエネルギー交換量と、圧縮機に加えるエネルギーとがバランスした状態を維持することができる。このように、本発明によれば、ヒートポンプ装置を含む当該衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することが可能である。
【0018】
そのため、冷媒が高圧化且つ高温化されることを抑制することができ、圧縮機の消費電力を抑制することができる。また、当該衣類乾燥装置の運転が継続されている間には、乾燥用空気に熱量が蓄積され続けることが抑制されているため、被乾燥対象物の乾燥具合にかかわらず、衣類乾燥装置の乾燥時に係る全体のエネルギーを無駄に消費することがない。このようにして、本発明によれば、被乾燥対象物の状態によらずに、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0019】
本発明に従った衣類乾燥装置において、ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度は、圧縮機の吐出部、凝縮器の中間部、または、絞り部のいずれかの温度であることが好ましい。
【0020】
本発明に従った衣類乾燥装置の構成によれば、乾燥用空気の状態によらずに、圧縮機の吐出部、凝縮器の中間部、または、絞り部のいずれかの温度を検知することにより、ヒートポンプ装置の冷凍サイクルの状態変化を簡単に検知することができる。そのため、ヒートポンプ装置の冷凍サイクルの状態変化に基づき、ヒートポンプ装置を含む当該衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することが可能である。これにより、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0021】
本発明に従った衣類乾燥装置において、物理量検知部は、ヒートポンプ装置の所定の箇所の冷媒圧力を検知するように、ヒートポンプ装置の高圧側に配置されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、乾燥用空気の状態によらずに、ヒートポンプ装置の冷凍サイクルの状態変化を冷媒圧力から簡単に検知することができる。そのため、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0023】
本発明に従った衣類乾燥装置において、空気循環経路は閉空間であることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、閉空間である空気循環経路を流通する乾燥用空気とヒートポンプ装置とのエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することができる。また、この構成によれば、乾燥用空気を当該衣類乾燥装置の外部へ排出することがないため、無駄なエネルギー消費を抑制するとともに、当該衣類乾燥装置の周辺のカビの発生等を防止することができる。
【0025】
本発明に従った衣類乾燥装置において、空気循環経路の所定の箇所を流通する空気の温度は、第1の部分のうちの乾燥室の入口を流通する空気の温度であることが好ましい。
【0026】
乾燥室の入口は、空気循環経路と乾燥室との接続部分の近傍であるため、物理量検知部を容易に取り付けることができる。また、乾燥室の入口を含む第1の部分では、空気循環経路を流通する空気のうち、被乾燥対象物が受け取る前の熱量を有する空気が流通している。そのため、この構成によれば、乾燥用空気の状態変化に基づき、被乾燥対象物の状態によらず、ヒートポンプ装置を含む当該衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持することが可能である。これにより、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0027】
本発明に従った衣類乾燥装置において、制御部は、物理量検知部によって検知された物理量の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮機の圧縮能力を変化させるように制御した後に、物理量検知部が検知する値が一定であるように圧縮能力可変部を制御し続けることが好ましい。
【0028】
圧縮機の圧縮能力を変化させた場合は、無駄なエネルギー消費を抑制することができる。しかしながら、圧縮機の圧縮能力を変化させたままでは、被乾燥対象物を乾燥している間に被乾燥対象物からの蒸発量が減り、蒸発器での熱交換量が減少する等の要因によって冷凍サイクルの安定点が変化して冷媒の圧力と温度とが低下する。冷媒の圧力が低下する場合は、圧縮機の消費電力が小さくなるため、乾燥時間が長くなる。一方、この構成によれば、物理量検知部が検知する値を反映させる状態が一定に保たれることにより、圧縮機の消費電力を抑えながら被乾燥対象物の乾燥に掛かる時間を短縮することができる。そのため、より小さいエネルギーで、乾燥時間を長くすることなく、被乾燥対象物を乾燥することができる。
【0029】
本発明に従った衣類乾燥装置は、第1の温度湿度検知部と第2の温度湿度検知部と算出部とをさらに備えていることが好ましい。第1の温度湿度検知部は、空気循環経路のうち、第1の部分を流通する空気の第1の温度と第1の相対湿度とを検知することが好ましい。第2の温度湿度検知部は、空気循環経路のうち、第2の部分を流通する空気の第2の温度と第2の相対湿度とを検知することが好ましい。
【0030】
算出部は、第1の温度湿度検知部によって第1の単位時間ごとに検知された第1の温度と第1の相対湿度とに基づき、第1の部分を流通する空気の第1の絶対湿度を第2の単位時間ごとに算出し、第2の温度湿度検知部によって第1の単位時間ごとに検知された第2の温度と第2の相対湿度とに基づき、第2の部分を流通する空気の第2の絶対湿度を第2の単位時間ごとに算出し、且つ、算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差を第2の単位時間ごとに算出することが好ましい。制御部は、前回算出された絶対湿度差の数値の方が今回算出された絶対湿度差の数値よりも大きい場合、且つ、今回算出された絶対湿度差の数値が所定の値よりも小さい場合には、被乾燥対象物を乾燥する行程を終了させることが好ましい。
【0031】
ヒータを熱源として被乾燥対象物を乾燥する場合は、乾燥用空気に含まれる蒸気を除湿するために水が利用されているため、乾燥用空気の湿度の変化を検知することが難しく、乾燥用空気の温度変化に基づいて乾燥の終了時期が判断されていた。一方、ヒートポンプ装置を利用した衣類乾燥装置では、ヒータを熱源として利用する衣類乾燥装置に比べて乾燥時の終盤の乾燥用空気の温度変化が小さく、乾燥終了の時期を正確に判断することが困難であった。そのため、乾燥時間が余分に延長されること、あるいは被乾燥対象物の乾燥が不十分なままで乾燥が終了されるような事態が発生する。
【0032】
しかしながら、この構成によれば、第1の温度と第1の相対湿度および第2の温度と第2の相対湿度とに基づき、被乾燥対象物の乾燥の終了時期を適切に判断することができる。そのため、当該衣類乾燥装置の乾燥性能を向上させることができる。また、本発明に従った衣類乾燥装置は、被乾燥対象物の状態によらずに、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる。すなわち、被乾燥対象物の状態によらずに、より小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することができる当該衣類乾燥装置は、被乾燥対象物の乾燥の終了時期を適切に判断することによって、被乾燥対象物の乾燥時に係る全体のエネルギー消費をさらに抑制することができる。
【0033】
本発明に従った衣類乾燥装置において、空気循環経路の一部には、排気口が形成されていることが好ましい。また、本発明に従った衣類乾燥装置は、排気口を開閉する開閉部をさらに備えていることが好ましい。さらに、制御部は、算出部によって第2の単位時間ごとに算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差に基づき、開閉部の開度をさらに制御することが好ましい。
【0034】
乾燥用空気を衣類乾燥装置の外部に排出することは、乾燥行程の後半に実行される場合のみに効果的である等、その効果を最大限活かすためには、排出の時期と排気量とを調節する必要がある。
【0035】
一方、この構成によれば、算出部によって第2の単位時間ごとに算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差に基づいて乾燥用空気の排出の時期を判断することができる。このとき、判断された乾燥用空気の排出の時期に基づいて開閉部の開度が調整されることにより、乾燥用空気を適切な時期に排出することができ、その効果を最大限発揮することができる。そのため、当該衣類乾燥装置の乾燥性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明によれば、ヒートポンプ装置を含む衣類乾燥装置の全体のエネルギーバランスを被乾燥対象物の乾燥時に最適に維持するように圧縮機の圧縮能力を変化させることにより、被乾燥対象物の状態によらずにより小さいエネルギーで被乾燥対象物を乾燥することが可能な衣類乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の構成を示す概略図である。
【図2】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の一つの実施例において、ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度としての圧縮機の吐出部の温度、凝縮器の中間部の温度、および、絞り部の温度と乾燥時間との関係を示すグラフである。
【図3】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の一つの実施例の比較例において、ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度としての圧縮機の吐出部の温度、凝縮器の中間部の温度、および、絞り部の温度と乾燥時間との関係を示すグラフである。
【図4】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の他の一つの実施例において、冷媒配管内の冷媒の圧力と乾燥時間との関係と、乾燥室の入口を流通する空気の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【図5】本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機の他の一つの実施例の比較例において、冷媒配管内の冷媒の圧力と乾燥時間との関係と、乾燥室の入口を流通する空気の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【図6】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例であるドラム式洗濯乾燥機の構成を示す概略図である。
【図7】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、乾燥行程を終了させるための判断の制御のフローチャートである。
【図8】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、第1の部分を流通する空気の第1の温度および第1の相対湿度の乾燥時間に対する変化と、第2の部分を流通する空気の第2の温度および第2の相対湿度の乾燥時間に対する変化との一例を示すグラフである。
【図9】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、第1の部分を流通する空気の第1の絶対湿度と乾燥時間との関係の一例を示すグラフである。
【図10】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、第2の部分を流通する空気の第2の絶対湿度と乾燥時間との関係の一例を示すグラフである。
【図11】本発明に従った衣類乾燥装置の他の一例において、第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差と、乾燥時間との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
(実施形態A)
図1に、本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機100を示す。図1に示すように、ドラム式洗濯乾燥機100は、外箱1を備えている。外箱1は、ドラム式洗濯乾燥機100の本体の外形を形成している。外箱1は略直方体形状を有している。また、ドラム式洗濯乾燥機100は水槽2と回転ドラム3と駆動部としてモータ4とを備えている。
【0040】
回転ドラム3は、水平方向または水平方向から傾斜した方向に延びる回転軸線を中心に回転する。回転ドラム3の材質としては、ステンレス鋼板が一般的に用いられている。回転ドラム3の周壁3aと底部3bには、給水、排水および通気のための複数の小孔(図示せず)が形成されている。周壁3aは、回転ドラム3のうちの筒状の部分である。ドラム式洗濯乾燥機100では、周壁3aは略円筒形状を有している。また、周壁3aは、回転軸線が延びる方向と平行な方向に延びている。
【0041】
周壁3aには、複数のバッフル(図示せず)が配置されている。バッフルは、回転軸線と略平行に延びている。また、バッフルは、回転軸線を中心とする円の半径方向の内方に向かって周壁3aから突出している。
【0042】
水槽2は、有底筒形状を有している。回転ドラム3は、水槽2の内部の空間に収容されている。水槽2の下部には、カウンターウェイト(図示せず)が取り付けられている。なお、水槽2全体のバランスをとるため、複数個のカウンターウェイトが水槽2に取り付けられていてもよい。また、カウンターウェイトは、水槽2の上部に取り付けられていてもよい。回転ドラム3の開口部の縁の外側には、図示しない液体バランサが取り付けられている。
【0043】
回転ドラム3は、被乾燥対象物としての洗濯物5を収納する。回転ドラム3の底部3bの外側面には、駆動軸41が固定されている。モータ4は、水槽2の底部3bの外側面に取り付けられている。モータ4は、駆動軸41に連結されている。
【0044】
ドラム式洗濯乾燥機100は、圧縮機7と凝縮器8と蒸発器10と膨張弁としての絞り部9とを備えたヒートポンプ装置13を熱源として利用する衣類乾燥装置である。圧縮機7は、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。凝縮器8は、圧縮機7によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる。絞り部9は、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する。蒸発器10は、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる。また、ヒートポンプ装置13は、冷媒配管14を備えている。冷媒配管14は、圧縮機7、凝縮器8、絞り部9、および、蒸発器10の順に冷媒が循環するように、圧縮機7と凝縮器8と絞り部9と蒸発器10とを連結する。
【0045】
ドラム式洗濯乾燥機100は、乾燥室32と送風機11と空気循環経路18と圧縮能力可変部15とサーミスタ16と制御部20とを備えている。回転ドラム3の内部の空間が乾燥室32として機能する。また、乾燥室32には、凝縮器8で加熱された空気が供給される。送風機11は、凝縮器8で加熱された空気を乾燥室32へ送風する。空気循環経路18は、第1の部分としての往路12と第2の部分としての復路6を有している。往路12は、凝縮器8で加熱された空気が乾燥室32へ供給されるように凝縮器8と乾燥室32との間に配置されている。復路6は、乾燥室32にて洗濯物5の乾燥に利用された空気が蒸発器10に向かって流れるように乾燥室32と蒸発器10との間に配置されている。なお、ドラム式洗濯乾燥機100において、空気循環経路18は閉空間である。
【0046】
圧縮能力可変部15は、圧縮機7の圧縮能力を変化させる。物理量検知部は、ヒートポンプ装置13の所定の箇所の温度として、圧縮機7の吐出部、凝縮器8の中間部、または、絞り部9のいずれかの温度を検知する。ドラム式洗濯乾燥機100は、圧縮機7の吐出部を検知する物理量検知部の一例としてサーミスタ16を備えている。サーミスタ16は、冷媒配管14の表面温度として、圧縮機7の吐出部の温度を検知する。
【0047】
凝縮器8と蒸発器10とは、フィンチューブ型の熱交換器である。ヒートポンプ装置13の内部では、蒸発器10と凝縮器8とをこの順序で乾燥用空気が流れる。圧縮能力可変部15は、圧縮機7を駆動させる電圧を制御するインバータ回路等から構成されている。
【0048】
ドラム式洗濯乾燥機100において、算出部21は、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量を算出する。例えば算出部21は、図示しないタイマの機能を有している。制御部20は、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させるように圧縮能力可変部15を制御する。
【0049】
以上にように構成されたドラム式洗濯乾燥機100の乾燥動作を説明する。モータ4が駆動されることによって回転ドラム3が回転されると共に、送風機11とヒートポンプ装置13との駆動が開始される。乾燥用空気は、送風機11が発生させる気流により、白抜きの矢印のように空気循環経路18を流れる。なお、図1にて示す白抜きの矢印は、気流が流れる方向を概略的に示すものであり、気流の速度または規模を示すものではない。
【0050】
送風機11が発生させた気流により、乾燥室32に流入した空気は、乾燥室32で撹拌される洗濯物5から水分を得て、ヒートポンプ装置13へ向かって復路6を流通する。復路6からヒートポンプ装置13へ流入した空気は、蒸発器10で露点以下に除湿される。除湿された後の空気は、凝縮器8で加熱されて高温化且つ低湿度化され、乾燥用空気として再び回転ドラム3に流入する。このような空気の流れが繰り返されることにより、洗濯物5の乾燥が進行する。
【0051】
次に、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルと乾燥用空気との熱交換について説明する。圧縮機7によって高温化且つ高圧化された気体状態の冷媒(R134a)は、凝縮器8へ送られる。凝縮器8において、冷媒の熱量が乾燥用空気へ放熱されることにより、冷媒の液化が進行する。凝縮器8を通過した冷媒は、絞り部9で減圧される。絞り部9において、減圧と流量が制御された冷媒は、熱量を放出して、低温且つ低圧の液体に変化する。蒸発器10では、乾燥室32からヒートポンプ装置13に戻ってきた空気から吸熱することにより、冷媒のガス化が進行する。
【0052】
ここで、ヒートポンプ装置13を循環する冷媒の熱量の増減を観察すると、洗濯物5が乾燥される間に凝縮器8から乾燥用空気に奪われる熱量は、乾燥室32からヒートポンプ装置13に戻ってきた空気から蒸発器10に奪われる熱量よりも圧縮機7の消費電力相当分だけ多い。そのため、乾燥用空気をそのまま循環し続ける場合には、乾燥用空気全体が有する熱量が増加するとともに、ヒートポンプ装置を循環する冷媒の熱量が増加して冷媒の圧力が増加する。また、冷媒が高圧化且つ高温化されるにつれ、圧縮機の消費電力が増大していく。冷媒が高圧化且つ高温化される場合は、乾燥用空気が有する熱量が増加する一方で洗濯物5へ与えることができる熱量が同程度には増加しないため、洗濯物5に対する乾燥効率が低下する。
【0053】
ドラム式洗濯乾燥機100においては、圧縮機7の圧縮能力を変化させるように圧縮能力可変部15を制御部20が制御することにより、ヒートポンプ装置13を安全に運転することができる。さらに、ドラム式洗濯乾燥機100において、制御部20は、サーミスタ16によって検知された値の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮能力可変部15を制御する。具体的には、洗濯物5の乾燥が開始される際には、圧縮機7の回転数は2400rpmである。
【0054】
サーミスタ16が検出する温度に基づき、算出部21は、単位時間あたりの温度の変化量を演算する。単位時間は例えば1分である。冷媒配管14の表面温度の単位時間あたりの変化量が0.1℃未満であると判断された時点にて、圧縮能力可変部15が圧縮機7の圧縮能力を変化させるように、制御部20は圧縮能力可変部15を制御する。
【0055】
なお、ドラム式洗濯乾燥機100において、ドラム式洗濯乾燥機100の運転に必要な制御についての判定は、制御部20によって判断されている。
【0056】
以上のように、ドラム式洗濯乾燥機100において、サーミスタ16によって検知された冷媒配管14の表面温度の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮能力可変部15が圧縮機7の圧縮能力を変化させることにより、ドラム式洗濯乾燥機100の外部に漏出するエネルギーと、洗濯物5とヒートポンプ装置13とのエネルギー交換量と、圧縮機7に加えるエネルギーとがバランスした状態を維持することができる。このように、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、ヒートポンプ装置13を含むドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持することが可能である。
【0057】
そのため、冷媒が高圧化且つ高温化されることを抑制することができ、圧縮機7の消費電力を抑制することができる。また、ドラム式洗濯乾燥機100の運転が継続されている間には、乾燥用空気に熱量が蓄積され続けることが抑制されているため、洗濯物5の乾燥具合にかかわらず、ドラム式洗濯乾燥機100の乾燥時に係る全体のエネルギーを無駄に消費することがない。このようにして、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0058】
ドラム式洗濯乾燥機100においては、閉空間である空気循環経路18を流通する乾燥用空気とヒートポンプ装置13とのエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持することができる。また、空気循環経路18が閉空間であるため、乾燥用空気をドラム式洗濯乾燥機100の外部へ排出することがないため、無駄なエネルギー消費を抑制するとともに、ドラム式洗濯乾燥機100の周辺のカビの発生等を防止することができる。
【0059】
なお、ドラム式洗濯乾燥機100の物理量検知部は、冷媒配管14の表面温度として圧縮機7の吐出部の温度を検知する代わりに、凝縮器8の中間部、または、絞り部9の温度を検知もしくは測定するものであってもよい。また、物理量検知部は、ヒートポンプ装置13の高圧側の冷媒圧力を検知または測定する圧力計であってもよい。圧力計は、例えばヒートポンプ装置13の高圧側に配置されている。
【0060】
さらに、ドラム式洗濯乾燥機100の物理量検知部は、空気循環経路18の所定の箇所を流通する空気の温度を測定または検知するものであってもよい。空気循環経路18の所定の箇所の一例は、往路12のうちの乾燥室32の入口33である。乾燥室32の入口33は、水槽2の底部2bに形成されている。これらのように、ドラム式洗濯乾燥機100の物理量検知部は、冷凍サイクルの高圧側の物理量として、乾燥室32に流入する前の空気の温度や高圧側の冷媒配管14の表面温度または冷媒の圧力を検知している。
【0061】
ドラム式洗濯乾燥機100において、圧縮機7の圧縮機能力を可変させる時期は、圧縮機7の吐出部の温度、凝縮器8の中間部、絞り部9の前の冷媒配管14の温度、もしくは、その他の冷媒配管14の温度の単位時間あたりの変化量に基づいて判断されていてもよい。また、圧縮機7の圧縮機能力を可変させる時期は、冷媒配管14内の冷媒の圧力の単位時間あたりの変化量に基づいて判断されていてもよく、乾燥室32の入口33を流通する空気の温度の単位時間あたりの変化量に基づいて判断されていてもよい。なお、これらの温度の単位時間あたりの変化量は、圧縮機7の吐出部の温度が用いられる場合と同様に、例えば0.1℃未満/1分であってもよく、または他の変化量であってもよい。
【0062】
ドラム式洗濯乾燥機100において、ヒートポンプ装置13の所定の箇所の温度として、圧縮機7の吐出部の温度をサーミスタ16が検知または測定することにより、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化を簡単に検知することができる。また、凝縮器8の中間部の温度を検知する物理量検知部をドラム式洗濯乾燥機100が備えている場合には、凝縮器8の中間部の冷媒配管14の表面温度に基づき、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化を簡単に検知することができる。絞り部9の温度を検知する物理量検知部をドラム式洗濯乾燥機100が備えている場合には、絞り部9の前の冷媒配管14の表面温度に基づき、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化を簡単に検知することができる。そのため、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化に基づき、ヒートポンプ装置13を含むドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持することが可能である。これにより、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0063】
また、ヒートポンプ装置13の所定の箇所の冷媒圧力を検知するようにヒートポンプ装置13の高圧側に圧力計が配置されている場合には、乾燥用空気の状態によらずに、ヒートポンプ装置13の冷凍サイクルの状態変化を冷媒圧力から簡単に検知することができる。そのため、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0064】
一方、ドラム式洗濯乾燥機100において、空気循環経路18の所定の箇所を流通する空気の温度として、乾燥室32の入口33を流通する空気の温度をサーミスタ16が検知する場合には、乾燥室32の入口33は空気循環経路18と乾燥室32との接続部分の近傍であるため、サーミスタ16を容易に取り付けることができる。また、乾燥室32の入口33を含む往路12では、空気循環経路18を流通する空気のうち、洗濯物5が受け取る前の熱量を有する空気が流通している。そのため、乾燥室32の入口33を流通する空気の温度をサーミスタ16が検知する場合には、乾燥用空気の状態変化に基づき、洗濯物5の状態によらず、ヒートポンプ装置13を含むドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持することが可能である。これにより、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0065】
以上のように、実施形態Aに係るドラム式洗濯乾燥機100によれば、ヒートポンプ装置13を含むドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーバランスを洗濯物5の乾燥時に最適に維持するように圧縮機7の圧縮能力を変化させることにより、洗濯物5の状態によらずにより小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することが可能である。
【0066】
なお、ドラム式洗濯乾燥機100においては、制御部20は、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮機7の圧縮能力を変化させるように制御した後に、サーミスタ16が検知する値が一定であるように圧縮能力可変部15を制御し続けていてもよい。
【0067】
具体的には、サーミスタ16によって検知される圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量が所定の値未満であると判断された時点にて、圧縮能力可変部15が圧縮機7の圧縮能力を変化させるように、制御部20は圧縮能力可変部15を制御する。洗濯物5の乾燥が開始される際には、圧縮機7の回転数は例えば2400rpmである。所定の値は、例えば1分間あたり0.1℃である。圧縮機7の圧縮能力を変化させるときの圧縮機7の回転数は、例えば2150rpmである。
【0068】
制御部20は、サーミスタ16によって検知される圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量が所定の値未満であると判断された時点の温度が一定であるように、圧縮能力可変部15を乾燥終了まで制御し続ける。例えば後述する図2に示す例では、圧縮機7の吐出部の単位時間(1分)あたりの温度の変化量が0.1℃未満であることが判断された時点の温度Th2は、60.1℃である。制御部20は、温度Th2が一定であるように、圧縮能力可変部15を乾燥終了まで制御し続ける。この間、圧縮機7の回転数は、例えば2150〜2400rpmの間で変化する。
【0069】
圧縮機7の圧縮能力を変化させた場合は、無駄なエネルギー消費を抑制することができる。しかしながら、圧縮機7の圧縮能力を変化させたままでは、洗濯物5を乾燥している間に洗濯物5からの蒸発量が減り、蒸発器10での熱交換量が減少する等の要因によって冷凍サイクルの安定点が変化して冷媒の圧力と温度とが低下する。冷媒の圧力が低下する場合は、圧縮機7の消費電力が減少するため、乾燥時間が延びる。一方、ドラム式洗濯乾燥機100のように物理量検知部が検知する値を反映させる状態が一定に保たれることにより、圧縮機7の消費電力を抑えながら洗濯物5の乾燥に掛かる時間を短縮することができる。そのため、より小さいエネルギーで、乾燥時間を長くすることなく、洗濯物5を乾燥することができる。
【0070】
なお、圧縮能力の変化とは、圧縮機7の圧縮能力を低下させることに限定されない。また、圧縮機7の圧縮能力を低下させる方法または手段としては、圧縮機7の回転数を低下させることに限定されず、他の方法または手段を用いて圧縮機7の圧縮能力を低下させることであってもよい。例えば、圧縮機7の圧縮部の容積を減少させることにより、圧縮機7の圧縮能力を低下させていてもよい。圧縮機7として複数の圧縮機をヒートポンプ装置13が備えている場合に、いずれかの圧縮機の圧縮部のシリンダを停止すること、または、いずれかの圧縮機に冷媒が流れないように冷媒の流路を構成する等ことにより、圧縮能力を低下させることができる。
【0071】
なお、ドラム式洗濯乾燥機100において制御部20が配置される位置は、特に限定されない。図1に示す制御部20は、概略的に示されるものであって、上述のように所望の機能を奏するものであればよい。
【0072】
(実施例A)
実施例Aにおいては、実施形態Aに係るドラム式洗濯乾燥機100(図1参照)を用いて、標準試験環境(気温;20℃、65%RH)にて洗濯物5の乾燥行程を行なった。実施例Aでは、ドラム式洗濯乾燥機100において、物理量検知部によって検知された所定の物理量の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。
【0073】
(実施例A1)
実施例A1では、ドラム式洗濯乾燥機100において、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の温度の1分間あたりの変化量が0.1℃未満であることが判断された場合に、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。図2は、実施例A1において、圧縮機7の吐出部の温度と乾燥時間との関係と、凝縮器8の中間部の温度と乾燥時間との関係と、膨張弁としての絞り部9の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【0074】
図2に示す例については、例えば点P1の辺りにおいて、圧縮機7の吐出部の単位時間(1分)あたりの温度の変化量は、0.1℃以上である。一方、点P2の辺りにおいて、圧縮機7の吐出部の単位時間(1分)あたりの温度の変化量は、0.1℃未満である。実施例A1では、この点P2での変化量に基づいて、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。具体的には、圧縮機7の回転数を2400rpmから2150rpmに低下させた。
【0075】
一方、比較例A1としては、乾燥行程において、サーミスタ16によって検知された圧縮機7の吐出部の冷媒配管14の表面温度の1分間あたりの変化量が0.1℃未満であると判断された場合でも、圧縮機7の能力を変化させなかった。図3は、比較例A1において、圧縮機7の吐出部の温度と乾燥時間との関係と、凝縮器8の中間部の温度と乾燥時間との関係と、膨張弁としての絞り部9の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【0076】
図3に示すように、圧縮機7の能力を変化させなかった場合には、乾燥時間が進むにつれ、圧縮機7の吐出部の温度、凝縮器8の中間部の温度、および、絞り部9の前の冷媒配管14の温度が上昇していく。
【0077】
図2と図3との比較に基づけば、図2の点P2よりも右側では、冷媒の温度が上昇することが抑制されている。このように、ドラム式洗濯乾燥機100では、圧縮機7の消費電力を抑制することができる。また、ドラム式洗濯乾燥機100の運転が継続されている間には、乾燥用空気に熱量が蓄積され続けることが抑制されているため、洗濯物5の乾燥具合にかかわらず、ドラム式洗濯乾燥機100の乾燥時に係る全体のエネルギーを無駄に消費することがない。このようにして、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0078】
なお、圧縮機7の圧縮能力を変化させる際の判断の対象である、圧縮機7の吐出部の温度の1分間あたりの変化量は、実験に基づいて定義されている。例えば、1分間あたりの変化量がゼロである場合に、圧縮機7の圧縮能力を変化させるときには、適切なタイミングではないことがある。また、サーミスタ16の測定または検知の最小の誤差の範囲よりも小さい範囲の変化量は、判断の対象として好ましくないといえる。
【0079】
なお、実施例A1では、圧縮機7の吐出部の温度の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させる時期を判断している。しかし、凝縮器8の中間部や絞り部9の前の冷媒配管14の温度、または、その他の冷媒配管14の温度の単位時間あたりの変化量を用いて判断することにしてもよい。
【0080】
(実施例A2)
実施例A2では、ドラム式洗濯乾燥機100において、冷媒配管14内の冷媒の圧力の1分間あたりの変化量が0.005MPa未満である場合に、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。図4は、実施例2において、冷媒配管14の高圧側(つまり凝縮器8側)の冷媒の圧力と乾燥時間との関係と、乾燥室32の入口33(つまり回転ドラム3に空気が流入するための開口)を流通する空気の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【0081】
図4に示すように、例えば点P3の辺りにおいて、単位時間(1分)あたりの冷媒の圧力の変化量は、0.005MPa以上である。一方、点P4の辺りにおいて、単位時間(1分)あたりの冷媒の圧力の変化量は、0.005MPa未満である。この点P4での変化量に基づいて、圧縮機7の圧縮能力を変化させた。具体的には、圧縮機7の回転数を2400rpmから2150rpmに低下させた。
【0082】
一方、比較例A2としては、乾燥行程において、冷媒配管14内の冷媒の圧力の1分間あたりの変化量が0.005MPa未満であると判断された場合でも、圧縮機7の能力を変化させなかった。図5は、比較例2において、冷媒配管14の高圧側(つまり凝縮器8側)の冷媒の圧力と乾燥時間との関係と、乾燥室32の入口33(つまり回転ドラム3に空気が流入するための開口)を流通する空気の温度と乾燥時間との関係とを示すグラフである。
【0083】
図5に示すように、圧縮機7の能力を変化させなかった場合には、乾燥時間が進むにつれ、高圧側の冷媒配管14内の冷媒の圧力が上昇していく。
【0084】
図4と図5との比較に基づけば、図4の点P4よりも右側では、冷媒の圧力が上昇することが抑制されている。このようにして、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができる。
【0085】
なお、圧縮機7の圧縮能力を変化させる際の判断の対象である、冷媒配管14内の冷媒の圧力の1分間あたりの変化量は、実験に基づいて定義されている。例えば、1分間あたりの変化量がゼロである場合に、圧縮機7の圧縮能力を変化させるときには、適切なタイミングではないことがある。また、冷媒の圧力を測定する機器等の測定または検知の最小の誤差の範囲よりも小さい範囲の変化量は、判断の対象として好ましくないといえる。
【0086】
なお、実施例A2では、冷媒配管14内の冷媒の圧力の単位時間あたりの変化量に基づき、圧縮機7の圧縮能力を変化させる時期を判断している。しかし、乾燥室32の入口33を流通する空気の温度の単位時間あたりの変化量を用いて判断することにしてもよい。
【0087】
圧縮機7の回転数として、2150rpmは、2400rpmのおよそ90%の回転数である。実施例A1および実施例A2のように、乾燥初期の回転数から約90%に低下させたことにより、図2または図4に示すように極めて良好な結果を得ることができた。
【0088】
(実施形態B)
以下では、実施形態Bに係るドラム式洗濯乾燥機300について説明する。なお、以下において、実施形態Aに係るドラム式洗濯乾燥機100と同一の構成のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
図6に示すように、ドラム式洗濯乾燥機300は、第1の温度湿度検知部としての温度湿度検知部61と、第2の温度湿度検知部としての温度湿度検知部62とをさらに備えている。温度湿度検知部61は、空気循環経路18のうち、往路12を流通する空気の第1の温度と第1の相対湿度とを検知する。温度湿度検知部62は、空気循環経路18のうち、復路6を流通する空気の第2の温度と第2の相対湿度とを検知する。
【0090】
ドラム式洗濯乾燥機300において、空気循環経路18の一部には、排気口12hが形成されている。排気口12hは、往路12の一部に形成されている。また、ドラム式洗濯乾燥機300は、排気口12hを開閉する開閉部22を備えている。開閉部22は、制御部20に例えば電磁的または電子的に接続されている。
【0091】
なお、温度湿度検知部61と温度湿度検知部62との配置は、特に限定されない。温度湿度検知部61と温度湿度検知部62とは、空気循環経路18を形成する管状部材の外側に配置されていてもよく、内側に配置されていてもよい。
【0092】
以下、ドラム式洗濯乾燥機300において、乾燥行程を終了させるための判断の制御について、図7を用いて説明する。
【0093】
図7に示すように、ステップS01では、ドラム式洗濯乾燥機300において、洗濯行程とすすぎ行程と脱水行程とが所定の処理に基づいて行われる。ステップS02では、乾燥行程において、温度湿度検知部61が第1の温度T1と第1の相対湿度H1とを第1の単位時間ごとに検知し、且つ、温度湿度検知部62が第2の温度T2と第2の相対湿度H2とを第1の単位時間ごとに検知する。
【0094】
続いて、ステップS03において、算出部21は、第1の温度T1と第1の相対湿度H1とに基づき、往路12を流通する空気の第1の絶対湿度の数値A1を第2の単位時間ごとに算出する。また、算出部21は、第2の温度T2と第2の相対湿度H2とに基づき、復路6を流通する空気の第2の絶対湿度の数値A2を第2の単位時間ごとに算出する。
【0095】
ステップS04において、算出部21は、ステップS03にて算出された第1の絶対湿度の数値A1と第2の絶対湿度の数値A2との絶対湿度差A3を第2の単位時間ごとに算出する。
【0096】
ステップS05では、前回算出された絶対湿度差の数値A3´と、今回算出された絶対湿度差の数値A3とが比較される。また、ステップS05では、今回算出された絶対湿度差の数値A3と所定の値Atとが比較される。なお、所定の値Atの数値は、衣類乾燥装置を含む実験系において、洗濯物の乾燥度として100.0%以上の乾燥度が達成されるときの値であって、実験に基づいて定義されている。
【0097】
ステップS05において、前回算出された絶対湿度差の数値A3´の方が今回算出された絶対湿度差の数値A3よりも大きい場合、且つ、今回算出された絶対湿度差の数値A3が所定の値Atよりも小さい場合には、ステップS07に進む。ステップS05において、NOと判断される場合には、ステップS06に進む。
【0098】
ステップS06では、開閉部22の開度が調整される。ステップS06では、制御部20は、絶対湿度差の数値A3に基づいて洗濯物5の乾燥の進行の程度を予測し、開閉部22の開閉および開度を制御する。
【0099】
ステップS07では、所定の処理に基づいて遅延運転が行われる。続いて、ステップS08では、所定の処理に基づいて乾燥終了の制御が行われる。ステップS08の後には、乾燥行程が終了する。
【0100】
以上のように、ドラム式洗濯乾燥機300によれば、第1の温度T1および第1の相対湿度H1と、第2の温度T2および第2の相対湿度H2とに基づき、洗濯物5の乾燥の終了時期を適切に判断することができる。そのため、ドラム式洗濯乾燥機300の乾燥性能を向上させることができる。また、実施形態Aに係るドラム式洗濯乾燥機100と同様にドラム式洗濯乾燥機300は、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することが可能である。すなわち、洗濯物5の状態によらずに、より小さいエネルギーで洗濯物5を乾燥することができるドラム式洗濯乾燥機300は、洗濯物5の乾燥の終了時期を適切に判断することによって、洗濯物5の乾燥時に係る全体のエネルギー消費をさらに抑制することができる。
【0101】
ドラム式洗濯乾燥機300によれば、算出部21によって第2の単位時間ごとに算出された第1の絶対湿度の数値A1と第2の絶対湿度の数値A2との絶対湿度差の数値A3に基づいて乾燥用空気の排出の時期を判断することができる。このとき、判断された乾燥用空気の排出の時期に基づいて開閉部22の開度が調整されることにより、乾燥用空気を適切な時期に排出することができ、その効果を最大限発揮することができる。そのため、ドラム式洗濯乾燥機300の乾燥性能を向上させることができる。
【0102】
なお、ドラム式洗濯乾燥機300において、第1の単位時間と第2の単位時間とは同一の時間であってもよく、それぞれ異なる時間であってもよい。
【0103】
ドラム式洗濯乾燥機300においては、制御部20が、物理量検知部によって検知された物理量の単位時間あたりの変化量に基づいて圧縮機7の圧縮能力を変化させるように制御した後に、物理量検知部が検知する値が一定であるように圧縮能力可変部15を制御し続けていてもよい。
【0104】
(実施例B)
実施例Bにおいては、実施形態Bに係るドラム式洗濯乾燥機300(図6参照)を用いて、洗濯物5の乾燥行程を行なった。実施例Bにおいては、乾燥重量が6kgであり、水を含むときの重量が7.35kgである洗濯物を用いて、送風機としてのファンの回転数を5000rpmで回転させた。
【0105】
実施例Bでは、温度湿度検知部61を用いて第1の温度および第1の相対湿度を1分ごとに検知し、且つ、温度湿度検知部62を用いて第2の温度および第2の相対湿度を1分ごとに検知した。図8は、往路12を流通する空気の第1の温度および第1の相対湿度の乾燥時間に対する変化と、復路6を流通する空気の第2の温度および第2の相対湿度の乾燥時間に対する変化とを示すグラフである。図8に示すように、往路12を流通する空気の温度変化は、乾燥開始後およそ30分から乾燥終了時まで比較的小さい。
【0106】
また、実施例Bでは、第1の温度と第1の相対湿度とに基づいて第1の絶対湿度を1分ごとに算出し、且つ、第2の温度と第2の相対湿度とに基づいて第2の絶対湿度を1分ごとに算出した。図9は、往路12を流通する空気の第1の絶対湿度と乾燥時間との関係を示すグラフである。また、図10は、復路6を流通する空気の第2の絶対湿度と乾燥時間との関係を示すグラフである。
【0107】
さらに、実施例Bでは、算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差を1分ごとに算出した。図9に示す第1の絶対湿度と図10に示す第2の絶対湿度とから算出された1分間あたりの絶対湿度差を図11に示す。
【0108】
図11に示すように、第1の絶対湿度と第2の絶対湿度とから算出された乾燥時間ごとの絶対湿度差の値は、乾燥行程の後半には次第に顕著に低下する。このように、ドラム式洗濯乾燥機300においては、第1の絶対湿度と第2の絶対湿度とから算出された単位時間あたりの絶対湿度差に基づいて乾燥終了の時期が判定される。なお、図11に示す例では、乾燥開始からおよそ130分が経過したときに、乾燥を終了するように判定されている。
【0109】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0110】
6:復路、7:圧縮機、8:凝縮器、9:絞り部、10:蒸発器、11:送風機、12:往路、12h:排気口、13:ヒートポンプ装置、14:冷媒配管、15:圧縮能力可変部、16:サーミスタ、18:空気循環経路、20:制御部、21:算出部、22:開閉部、32:乾燥室、33:入口、61:温度湿度検知部、62:温度湿度検知部、100:ドラム式洗濯乾燥機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる圧縮機と、前記圧縮機によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる凝縮器と、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する絞り部と、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる蒸発器と、前記圧縮機、前記凝縮器、前記絞り部、および、前記蒸発器の順に冷媒が循環するように、前記圧縮機と前記凝縮器と前記絞り部と前記蒸発器とを連結する冷媒配管と、を含むヒートポンプ装置と、
被乾燥対象物を収納し、前記凝縮器で加熱された空気が供給される乾燥室と、
前記凝縮器で加熱された空気を前記乾燥室へ送風する送風機と、
前記凝縮器で加熱された空気が前記乾燥室へ供給されるように前記凝縮器と前記乾燥室との間に配置された第1の部分と、前記乾燥室にて被乾燥対象物の乾燥に利用された空気が前記蒸発器に向かって流れるように前記乾燥室と前記蒸発器との間に配置された第2の部分と、を有する空気循環経路と、
前記圧縮機の圧縮能力を変化させる圧縮能力可変部と、
前記ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度、冷媒の圧力、および、前記空気循環経路の所定の箇所を流通する空気の温度からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を検知する物理量検知部と、
前記物理量検知部によって検知された前記物理量の単位時間あたりの変化量に基づき、前記圧縮機の圧縮能力を変化させるように前記圧縮能力可変部を制御する制御部と、を備えた衣類乾燥装置。
【請求項2】
前記ヒートポンプ装置の前記所定の箇所の温度は、前記圧縮機の吐出部、前記凝縮器の中間部、または、前記絞り部のいずれかの温度である、
請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項3】
前記物理量検知部は、前記ヒートポンプ装置の前記所定の箇所の冷媒圧力を検知するように、前記ヒートポンプ装置の高圧側に配置されている、
請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項4】
前記空気循環経路は閉空間である、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項5】
前記空気循環経路の所定の箇所を流通する空気の温度は、前記第1の部分のうちの前記乾燥室の入口を流通する空気の温度である、
請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記物理量の単位時間あたりの変化量に基づいて前記圧縮機の圧縮能力を変化させるように制御した後に、前記物理量検知部が検知する値が一定であるように前記圧縮能力可変部を制御し続ける、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項7】
前記空気循環経路のうち、前記第1の部分を流通する空気の第1の温度と第1の相対湿度とを検知する第1の温度湿度検知部と、
前記空気循環経路のうち、前記第2の部分を流通する空気の第2の温度と第2の相対湿度とを検知する第2の温度湿度検知部と、
前記第1の温度湿度検知部によって第1の単位時間ごとに検知された前記第1の温度と前記第1の相対湿度とに基づき、前記第1の部分を流通する空気の第1の絶対湿度を第2の単位時間ごとに算出し、前記第2の温度湿度検知部によって第1の単位時間ごとに検知された前記第2の温度と前記第2の相対湿度とに基づき、前記第2の部分を流通する空気の第2の絶対湿度を第2の単位時間ごとに算出し、且つ、算出された前記第1の絶対湿度と前記第2の絶対湿度との絶対湿度差を前記第2の単位時間ごとに算出する算出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前回算出された絶対湿度差の数値の方が今回算出された絶対湿度差の数値よりも大きい場合、且つ、今回算出された絶対湿度差の数値が所定の値よりも小さい場合には、被乾燥対象物を乾燥する行程を終了させる、
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項8】
前記空気循環経路の一部には、排気口が形成され、
前記排気口を開閉する開閉部をさらに備え、
前記制御部は、前記算出部によって前記第2の単位時間ごとに算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差に基づき、前記開閉部の開度をさらに制御する、
請求項7に記載の衣類乾燥装置。
【請求項1】
冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる圧縮機と、前記圧縮機によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる凝縮器と、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する絞り部と、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる蒸発器と、前記圧縮機、前記凝縮器、前記絞り部、および、前記蒸発器の順に冷媒が循環するように、前記圧縮機と前記凝縮器と前記絞り部と前記蒸発器とを連結する冷媒配管と、を含むヒートポンプ装置と、
被乾燥対象物を収納し、前記凝縮器で加熱された空気が供給される乾燥室と、
前記凝縮器で加熱された空気を前記乾燥室へ送風する送風機と、
前記凝縮器で加熱された空気が前記乾燥室へ供給されるように前記凝縮器と前記乾燥室との間に配置された第1の部分と、前記乾燥室にて被乾燥対象物の乾燥に利用された空気が前記蒸発器に向かって流れるように前記乾燥室と前記蒸発器との間に配置された第2の部分と、を有する空気循環経路と、
前記圧縮機の圧縮能力を変化させる圧縮能力可変部と、
前記ヒートポンプ装置の所定の箇所の温度、冷媒の圧力、および、前記空気循環経路の所定の箇所を流通する空気の温度からなる群より選ばれた少なくとも一つの物理量を検知する物理量検知部と、
前記物理量検知部によって検知された前記物理量の単位時間あたりの変化量に基づき、前記圧縮機の圧縮能力を変化させるように前記圧縮能力可変部を制御する制御部と、を備えた衣類乾燥装置。
【請求項2】
前記ヒートポンプ装置の前記所定の箇所の温度は、前記圧縮機の吐出部、前記凝縮器の中間部、または、前記絞り部のいずれかの温度である、
請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項3】
前記物理量検知部は、前記ヒートポンプ装置の前記所定の箇所の冷媒圧力を検知するように、前記ヒートポンプ装置の高圧側に配置されている、
請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項4】
前記空気循環経路は閉空間である、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項5】
前記空気循環経路の所定の箇所を流通する空気の温度は、前記第1の部分のうちの前記乾燥室の入口を流通する空気の温度である、
請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記物理量の単位時間あたりの変化量に基づいて前記圧縮機の圧縮能力を変化させるように制御した後に、前記物理量検知部が検知する値が一定であるように前記圧縮能力可変部を制御し続ける、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項7】
前記空気循環経路のうち、前記第1の部分を流通する空気の第1の温度と第1の相対湿度とを検知する第1の温度湿度検知部と、
前記空気循環経路のうち、前記第2の部分を流通する空気の第2の温度と第2の相対湿度とを検知する第2の温度湿度検知部と、
前記第1の温度湿度検知部によって第1の単位時間ごとに検知された前記第1の温度と前記第1の相対湿度とに基づき、前記第1の部分を流通する空気の第1の絶対湿度を第2の単位時間ごとに算出し、前記第2の温度湿度検知部によって第1の単位時間ごとに検知された前記第2の温度と前記第2の相対湿度とに基づき、前記第2の部分を流通する空気の第2の絶対湿度を第2の単位時間ごとに算出し、且つ、算出された前記第1の絶対湿度と前記第2の絶対湿度との絶対湿度差を前記第2の単位時間ごとに算出する算出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前回算出された絶対湿度差の数値の方が今回算出された絶対湿度差の数値よりも大きい場合、且つ、今回算出された絶対湿度差の数値が所定の値よりも小さい場合には、被乾燥対象物を乾燥する行程を終了させる、
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項8】
前記空気循環経路の一部には、排気口が形成され、
前記排気口を開閉する開閉部をさらに備え、
前記制御部は、前記算出部によって前記第2の単位時間ごとに算出された第1の絶対湿度と第2の絶対湿度との絶対湿度差に基づき、前記開閉部の開度をさらに制御する、
請求項7に記載の衣類乾燥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−231829(P2012−231829A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100767(P2011−100767)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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