説明

表示システム、表示装置、及び、表示方法

【課題】左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を表示して鑑賞者に立体像を視認させる構成において、鑑賞者の状態が立体視に適しない場合に速やかに対応可能な表示システム、表示装置、及び、表示方法を提供する。
【解決手段】表示システム10は、左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を表示するプロジェクター11と、プロジェクター11が表示する視差画像のうち左目用画像のみを透過する左目用透過部と右目用画像のみを透過する右目用透過部とを有する立体視装置2とを備え、立体視装置2は、立体視装置2の傾きを検出して、検出した傾きを示す情報をプロジェクター11に送信し、プロジェクター11は、立体視装置2から送信された情報に基づいて、立体視装置2の傾きを特定し、立体視装置2の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、視差画像の表示を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を表示する表示システム、表示装置、及び、表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体画像を表示する表示装置と、この表示装置に対応して立体画像を視認可能にするメガネ型の装置とを組み合わせたシステムが知られている。この種のシステムは、表示装置によって左目用の画像と右目用の画像とを含む視差画像を表示し、上記のメガネ型の装置によって鑑賞者の右目に右目用の画像のみを到達させ、左目に左目用の画像のみを到達させる。このシステムでは、鑑賞者が上記のメガネ型の装置を装着していない場合には立体像が認識できず、視差を有する左目用の画像と右目用の画像とが二重像として見えてしまう。そこで、鑑賞者が上記のメガネ型の装置を装着していない場合に視差画像を表示しないようにする手法が提案された(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−84964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鑑賞者が上記のメガネ型の装置を着用していても、表示装置が表示する画像に対して鑑賞者の目が傾いている場合、望ましい立体視ができず、二重像として見えてしまう可能性がある。その一方で、表示装置において鑑賞者の状態を検出する構成では、例えば表示装置と鑑賞者との位置関係に制約が生じる。このため、表示装置の構成に関してより自由度の高い方法が望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を表示して鑑賞者に立体像を視認させる構成において、鑑賞者の状態が立体視に適しない場合に速やかに対応可能な表示システム、表示装置、及び、表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を表示する表示装置と、前記表示装置が表示する前記視差画像のうち前記左目用画像のみを透過する左目用透過部と前記右目用画像のみを透過する右目用透過部とを有する立体視装置とを備え、前記立体視装置は、当該立体視装置の傾きを検出する傾き検出手段と、前記傾き検出手段により検出された傾きを示す情報を前記表示装置に送信する傾き通知手段とを備え、前記表示装置は、前記立体視装置から送信された情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された情報に基づいて、前記立体視装置の傾きを特定する立体視状態検出手段と、前記立体視状態検出手段により特定された前記立体視装置の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、視差画像の表示を停止する制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、立体視装置が備える機能によって立体視装置の傾きを検出し、この傾きが立体視に適しない場合には視差画像の表示を停止する。このため、表示装置本体に立体視装置の状態を検出する機構を設けるなどの制約を受けることなく、鑑賞者の状態が立体視に適しなくなった場合に速やかに対応して、鑑賞者に二重像を見せないように視差画像の表示を停止できる。
【0006】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記表示装置が備える制御手段は、視差画像の表示を停止した場合に平面画像を表示することを特徴とする。
本発明によれば、立体視装置の傾きが立体視に適しない状態であっても、平面画像を表示することによって鑑賞者が画像を引き続き見ることができる。このため、鑑賞者の利便性および興趣性を損なうことなく、視差画像の表示を停止できる。
【0007】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記表示装置は前記左目用画像と前記右目用画像とを交互に切り換えて表示し、前記立体視装置が有する前記左目用透過部及び前記右目用透過部は、左目及び右目に各々対応するシャッターを備え、前記表示装置の表示の切換に同期して左目用の前記シャッターと右目用の前記シャッターを開閉するシャッター装置であることを特徴とする。
本発明によれば、左目及び右目に各々対応するシャッターによって、視差画像の左目用画像と右目用画像とをそれぞれ透過させる構成において、立体視装置の傾きにより視差画像が二重像として見えてしまうことを防止できる。
【0008】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記立体視装置は、左目用の前記シャッターと右目用の前記シャッターとを並べて構成され、前記傾き検出手段は、左目用の前記シャッターと右目用の前記シャッターとの間、若しくは、左目用の前記シャッターと右目用の前記シャッターとの間を除く各前記シャッターの端部に配置されたことを特徴とする。
本発明によれば、左目用シャッターと右目用シャッターとの間に傾き検出手段を配置すれば一つの傾き検出手段により立体視装置の傾きを効率よく検出できる。また、左目用シャッターと右目用シャッターとの間を除く各シャッターの端部に傾き検出手段を配置すれば、立体視装置の両端部に傾き検出装置が配置されることになるので、立体視装置の傾きをより正確に検出できる。
【0009】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、複数の前記立体視装置を備え、前記表示装置が備える受信手段は、複数の前記立体視装置から送信された情報を受信可能に構成され、前記制御手段は、いずれか一つの前記立体視装置の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、視差画像の表示を停止することを特徴とする。
本発明によれば、立体視装置が複数使用される場合にいずれかの立体視装置の傾きが立体視に適しない場合には、視差画像の表示が停止される。このため、複数の鑑賞者がそれぞれ立体視装置を使用している場合に、1人でも立体視に適しない状態になると視差画像の表示を停止するので、どの鑑賞者に対しても、立体視装置の傾きにより視差画像が二重像として見えてしまうことを防止できる。
【0010】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記表示装置は、投射面に対して左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を投射するプロジェクターであることを特徴とする。
本発明によれば、投射面に視差画像を投射するプロジェクターが、鑑賞者の状態が立体視に適しなくなった場合に速やかに対応して、鑑賞者に二重像を見せないように視差画像の表示を停止できる。また、プロジェクターには立体視装置の傾きを検出するセンサー類を設ける必要がないため、プロジェクターと投射面と鑑賞者との位置関係に関する制約が少なくて済む。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明は、左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を表示して、前記表示装置が表示する前記視差画像のうち前記左目用画像のみを透過する左目用透過部と前記右目用画像のみを透過する右目用透過部とを有する立体視装置により視差画像を視認可能に表示する表示手段と、前記立体視装置の傾きを示す情報を外部から取得する取得手段と、前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記立体視装置の傾きを特定する立体視状態検出手段と、前記立体視状態検出手段により特定された前記立体視装置の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、視差画像の表示を停止する制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、立体視装置が備える機能或いは他の装置の機能によって立体視装置の傾きが検出された場合に、この傾きを示す情報を取得し、取得した立体視装置の傾きが立体視に適しない場合には視差画像の表示を停止する。このため、表示装置本体に立体視装置の状態を検出する機構を設けるなどの制約を受けることなく、鑑賞者の状態が立体視に適しなくなった場合に速やかに対応して、鑑賞者に二重像を見せないように視差画像の表示を停止できる。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明は、左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を表示して、前記表示装置が表示する前記視差画像のうち前記左目用画像のみを透過する左目用透過部と前記右目用画像のみを透過する右目用透過部とを有する立体視装置により視差画像を視認可能に表示する表示装置によって、前記立体視装置の傾きを示す情報を外部から取得し、取得した情報に基づいて、前記立体視装置の傾きを特定し、前記立体視装置の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、視差画像の表示を停止することを特徴とする。
本発明の方法によれば、立体視装置が備える機能或いは他の装置の機能によって立体視装置の傾きが検出された場合に、この傾きを示す情報を取得し、取得した立体視装置の傾きが立体視に適しない場合には視差画像の表示を停止する。このため、表示装置本体に立体視装置の状態を検出する機構を設けるなどの制約を受けることなく、鑑賞者の状態が立体視に適しなくなった場合に速やかに対応して、鑑賞者に二重像を見せないように視差画像の表示を停止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示装置本体に立体視装置の状態を検出する機構を設けるなどの制約を受けることなく、鑑賞者の状態が立体視に適しなくなった場合に速やかに対応して、鑑賞者に二重像を見せないように視差画像の表示を停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る表示システムの概略構成を示す図である。
【図2】表示システムの構成を示すブロック図である。
【図3】立体視装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】一つの立体視装置に対するプロジェクターの動作を示すフローチャートである。
【図5】複数の立体視装置に対するプロジェクターの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した表示システム10の概略構成を示す図である。
表示システム10は、スクリーンSCに静止画像または動画像を投射するプロジェクター11と、プロジェクター11により投射された画像を観る鑑賞者が装着する立体視装置2とを備えている。プロジェクター11は、例えば床面、床面に設置された台座あるいは天井に固定され、スクリーンSCは、例えばほぼ直立しており、スクリーン面は矩形形状とされている。プロジェクター11は立体視が可能な視差画像をスクリーンSC上に結像させ、鑑賞者は、立体視装置2を装着してスクリーンSC上の視差画像を観ると、立体視できる。プロジェクター11は、投射面としてのスクリーンSCに画像を投射することにより表示装置として機能する。
立体視装置2は、眼鏡型のフレーム20を有し、眼鏡と同様に鑑賞者の頭部に装着される。フレーム20には、鑑賞者の左目の視野を開閉する左目用シャッター21と、鑑賞者の右目の視野を開閉する右目用シャッター22とが配設されている。
【0016】
プロジェクター11が投射する視差画像は、視差を有する左目用画像と右目用画像とで構成される。プロジェクター11は、左目用画像と右目用画像とを交互にスクリーンSC上に結像させ、フレーム20は、プロジェクター11の左目用画像と右目用画像との切換に同期して、左目用透過部としての左目用シャッター21と右目用透過部としての右目用シャッター22とを交互に開閉する。これにより、鑑賞者は左目で左目用画像を視認し、右目で右目用画像を視認するので、プロジェクター11が投射する視差画像を立体視できる。
図1には立体視装置2を1台のみ用いる構成例を図示しているが、表示システム10では複数の人がそれぞれ立体視装置2を装着して、これら複数の立体視装置2をプロジェクター11とともに動作させることが可能である。
【0017】
図2は、表示システム10の機能的構成を示すブロック図である。
プロジェクター11は、パーソナルコンピューターや各種画像プレーヤー等の外部の画像供給装置(図示略)にI/F(インターフェイス)部101を介して接続され、これらの画像供給装置から入力される入力画像をスクリーンSCに投射する。例えば、I/F部101は、USBインターフェイス、有線または無線LANインターフェイス、アナログ映像信号が入力されるVGA端子、デジタル映像信号が入力されるDVI(Digital Visual Interface)、NTSC、PAL、SECAM等のコンポジット映像信号が入力されるS映像端子、コンポジット映像信号が入力されるRCA端子、コンポーネント映像信号が入力されるD端子、HDMI(登録商標)規格に準拠したHDMIコネクター等を備え、上記の端子やコネクターを介して信号を入出力するインターフェイス回路を備えていてもよい。
また、上記の画像供給装置としては、ビデオ再生装置、DVD再生装置、テレビチューナー装置、CATVのセットトップボックス、ビデオゲーム装置等の画像出力装置、パーソナルコンピューター等が挙げられる。本実施形態では、画像供給装置からI/F部101に、デジタル画像データが入力されるものとして説明する。このデジタル画像データには、画像データ自体とともに、当該デジタル画像データの画像フォーマットに関する情報が含まれる。例えば、入力される画像データが立体画像データである場合には、立体映像フォーマット(サイドバイサイド、トップアンドボトム、フレームシーケンシャル等)を示すデータ、フレームレート、解像度等を含む各種の情報が含まれる。
【0018】
プロジェクター11は、大きく分けて光学的な画像の形成を行う投射部3(表示手段)と、この投射部3に入力される画像信号を電気的に処理する画像処理系とからなる。投射部3は、照明光学系31、光変調装置である液晶パネル32、及び投射光学系33から構成されている。照明光学系31は、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)等からなる光源を備えている。また、照明光学系31は、光源が発した光を液晶パネル32に導くリフレクター及び補助リフレクターを備えていてもよく、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群(図示略)、偏光板、或いは光源が発した光の光量を液晶パネル32に至る経路上で低減させる調光素子等を備えたものであってもよい。
液晶パネル32は、後述する画像処理系からの信号を受けて、パネル面に画像を形成する。液晶パネル32は、カラーの投影を行うため、RGBの三原色に対応した3枚の液晶パネルからなる。そのため、照明光学系31からの光はRGBの3色の色光に分離され、各色光は対応する各液晶パネルに入射する。各液晶パネルを通過して変調された色光はクロスダイクロイックプリズム等の合成光学系によって合成され、投射光学系33に射出される。
【0019】
投射光学系33は、投射する画像の拡大・縮小および焦点の調整を行うズームレンズ、ズームの度合いを調整するズーム調整用モーター、フォーカスの調整を行うフォーカス調整用モーター等を備えている。投射光学系33は、液晶パネル32で変調された入射光を、ズームレンズを用いてスクリーンSC上に投射し、結像させる。
投射部3には、制御部103の制御に従って投射光学系33が備える各モーターを駆動する投射光学系駆動部121、及び、制御部103の制御に従って照明光学系31の光源を駆動する光源駆動部117が接続されている。
【0020】
画像処理系は、プロジェクター11全体を統合的に制御する制御部103を中心に構成され、制御部103が処理するデータや制御部103が実行する制御プログラム105Aを記憶した記憶部105、操作パネル45及びリモコン受光部41を介した操作を検出する入力処理部123、入力画像データを処理する表示制御部107、表示制御部107から出力される画像信号に基づいて液晶パネル32を駆動して描画を行う光変調装置駆動部119を備えている。
【0021】
制御部103は、記憶部105に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、プロジェクター11の各部を制御する。制御部103は、入力処理部123から入力される操作信号に基づいて、ユーザーが行った操作の内容を検出し、この操作に応じて表示制御部107、光変調装置駆動部119、投射光学系駆動部121及び光源駆動部117を制御して、スクリーンSCに画像を投射させる。
【0022】
プロジェクター11の本体には、ユーザーが操作を行うための各種スイッチ及びインジケーターランプを備えた操作パネル45が配置されている。操作パネル45は入力処理部123に接続されており、入力処理部123は、制御部103の制御に従い、プロジェクター11の動作状態や設定状態に応じて操作パネル45のインジケーターランプを適宜点灯或いは点滅させる。この操作パネル45のスイッチが操作されると、操作されたスイッチに対応する操作信号が入力処理部123から制御部103に出力される。
また、プロジェクター11は、ユーザーが使用するリモコン(図示略)から送信される赤外線信号を受光するリモコン受光部41を備えている。リモコン受光部41は、リモコンから受光した赤外線信号をデコードして、リモコンによる操作内容を示す操作信号を生成し、制御部103に出力する。
【0023】
表示制御部107は、外部の画像供給装置(図示略)に接続されている。表示制御部107は、制御部103の制御に従って、画像供給装置からI/F部101を介して入力される入力画像信号に基づいて表示信号を生成し、光変調装置駆動部119に出力する。
すなわち、表示制御部107は、I/F部101から入力される画像データを取得して、画像判定部131の機能により、入力画像データが2D(平面)画像データであるか3D(立体)画像であるかを判定する。また、画像判定部131は、入力画像データが立体画像データである場合には、その立体映像フォーマットを判定する。そして、表示制御部107は、画像判定部131による判定が行われた入力画像をフレーム毎にフレームメモリー115に展開する。また、表示制御部107は、画像判定部131により立体画像データであると判定した入力画像データについては、立体映像フォーマットに従って左目用のフレーム(左目用画像)と右目用のフレーム(右目用画像)をそれぞれ抽出してフレームメモリー115に展開する。
ここで、表示制御部107は、入力画像データの解像度が液晶パネル32の表示解像度と異なる場合には解像度変換処理を行い、リモコン(図示略)や操作パネル45の操作によりズームが指示された場合には拡大/縮小処理を行って、処理後の表示用のフレームをフレームメモリー115に描画する。
【0024】
表示制御部107は、フレームメモリー115に展開したフレーム毎の画像を表示信号として光変調装置駆動部119に出力する表示切換部133を有する。表示切換部133は、制御部103の制御により、立体画像と平面画像を切り換える機能を備えていて、入力画像データが立体画像である場合に、光変調装置駆動部119に立体画像の表示信号を出力することも、平面画像の表示信号を出力することも可能である。立体映像データの入力中に平面画像の表示信号を出力する方法としては、立体映像データから抽出した左目用のフレームと右目用のフレームのうち一方(本実施形態の例では左目用のフレーム)のみを出力する方法が挙げられる。
液晶パネル32は、例えば毎秒120フレームまたは240フレームで駆動され、立体画像を表示する場合には、光変調装置駆動部119によって左目用のフレームと右目用のフレームとがそれぞれ毎秒60フレームずつ交互に描画される。
【0025】
プロジェクター11は、液晶パネル32に描画される左目用のフレームと右目用のフレームとの切り換えに同期して立体視装置2を動作させるため、同期信号送信部49を備えている。同期信号送信部49は、液晶パネル32に描画される左目用のフレームと右目用のフレームの切換タイミングに立体視装置2を同期させる同期信号を送信する。この同期信号は、立体視装置2が左目用シャッター21及び右目用シャッター22を開閉するタイミングを示す信号である。左目用シャッター21及び右目用シャッター22の開閉タイミングと、液晶パネル32に左目用及び右目用のフレームを描画するタイミングは厳密に一致するとは限らない。液晶パネル32はライン毎に描画されるため、液晶パネル32の描画を開始してから全ラインに1つのフレームが描画されるまでには時間がかかる。この途中では、以前に描画されていたフレームの一部と、新たに描画されたフレームの一部とが混在する。このように左目用のフレームと右目用のフレームとが混在する状態で、左目用シャッター21または右目用シャッター22を開いてしまうと、いわゆるクロストークと呼ばれる現象を招く。従って、制御部103が生成する同期信号の理想的な例では、左目用のフレームの描画が完了してから右目用のフレームの描画を開始するまでの間に左目用シャッター21を開かせ、右目用のフレームの描画が完了してから左目用のフレームの描画を開始するまでの間に右目用シャッター22を開かせる信号となっている。現実的には、液晶パネル32への描画速度やフレームレートに応じて、鑑賞者にクロストークによる違和感をなるべく与えないように調整されたタイミングで、左目用シャッター21及び右目用シャッター22を開閉させる。制御部103は、このように調整された同期信号を生成して、同期信号送信部49により立体視装置2へ送信させる。
同期信号送信部49は、例えば赤外LED及びLED駆動回路を備え、制御部103が生成するタイミングでHigh/Loが切り換わる赤外線信号を放射する。例えば、図1に示すプロジェクター11の本体外面には、立体視装置2を装着した鑑賞者側に向けて、同期信号送信部49の送信窓が設けられる。
【0026】
立体視装置2は、立体視装置2の各部を制御する制御部201と、プロジェクター11から送信される同期信号を受信する同期信号受信部202と、制御部201の制御により左目用シャッター21及び右目用シャッター22を開閉させるシャッター駆動部203とを備えている。同期信号受信部202は、プロジェクター11から送信される同期信号を受信して、制御部201に出力する。シャッター駆動部203は、同期信号受信部202が受信した同期信号に同期して、左目用シャッター21と、右目用シャッター22とをそれぞれ開閉させる。左目用シャッター21及び右目用シャッター22は、例えば液晶シャッターで構成され、左目用シャッター21が開いている間は鑑賞者が左目でスクリーンSC上の画像を視認でき、右目用シャッター22が開いている間は鑑賞者が右目でスクリーンSC上の画像を視認できる。この左目用シャッター21及び右目用シャッター22の開閉タイミングを、スクリーンSC上に左目用画像と右目用画像とが表示される時間に合わせることで、左目用画像と右目用画像とを個別に透過させることができる。
【0027】
また、立体視装置2は、立体視装置2の傾きを検出する傾き検出部204を備えている。傾き検出部204は、例えば、ジャイロセンサー、加速度センサー、傾斜センサーにより構成される。傾き検出部204は、例えば水平面または鉛直を基準とした場合の立体視装置2の基準面の角度を検出する。立体視装置2の基準面は、例えば、立体視装置2が備える左目用シャッター21(図1)の中心と右目用シャッター22(図1)の中心とを通る平面として、或いは、フレーム20の所定箇所を通る平面として、予め設定される。また、立体視装置2の傾きとしては、本来はスクリーンSCに結像される画像に対する立体視装置2の傾きを検出できれば良く、本実施形態では一例として、プロジェクター11がスクリーンSCに水平に画像を投射する場合において、水平面に対する立体視装置2の角度を検出する例を挙げる。傾き検出部204は制御部201の制御により動作し、制御部201は、傾き検出部204の検出値を取得して、当該検出値を示す無線信号を生成して、送信部205によりプロジェクター11へ送信させる。送信部205は、赤外線または所定周波数(任意)の無線電波により情報を送信する送信回路を備えている。この送信部205が送信する信号には、立体視装置2の検出値とともに、当該検出値の基準が鉛直面か水平面かを示す情報等を含んでいても良い。傾き検出部204は制御部201とともに傾き検出手段として機能し、送信部205は、制御部201とともに傾き検出手段として機能する。
なお、立体視装置2はバッテリー25を備えており、このバッテリー25から制御部201及びシャッター駆動部203を含む各部へ電力を供給する。
【0028】
傾き検出部204が備えるセンサーの設置場所としては、図1に示すフレーム20において、左目用シャッター21と右目用シャッター22との間の設置位置Aが挙げられる。この場所は鑑賞者の目の中央に相当し、上記の基準面の傾きを一つのセンサーにより正確に検出できるという利点がある。また、センサーの設置場所としては、他にも、左目用シャッター21の端部である設置位置B、或いは右目用シャッター22の端部である設置位置Cが挙げられる。設置位置B、Cにセンサーを設置する場合、これらのいずれか一方に設置してもよいが、両方に設置してもよい。設置位置B、Cにセンサーを設置する場合、傾き検出部204のサイズが大きくても鑑賞者の視界を妨げることがないという利点がある。また、設置位置B、Cは、立体視装置2がスクリーンSCに対して、立体視装置2の左目用シャッター21及び右目用シャッター22が含まれる平面に沿って傾いた場合に、大きく変位する場所である。このため、設置位置B、Cにセンサーを設置すると、特に加速度センサーを用いた場合に立体視装置2の傾きをより鋭敏に検出できる。
【0029】
図3は、立体視装置2の動作を示すフローチャートである。
立体視装置2は、図示しない電源スイッチを備えている。この電源スイッチがオンにされると(ステップS11)、制御部201の制御により動作を開始する。制御部201は、同期信号受信部202による同期信号の受信を開始させ(ステップS12)、この同期信号に同期するようにシャッター駆動部203を制御し、左目用シャッター21及び右目用シャッター22の開閉を実行させる(ステップS13)。
また、制御部201は、電源オンの後すみやかに傾き検出部204による傾きの検出を開始し、傾き検出部204の検出値を所定周期で取得して(ステップS14)、検出値を送信部205によってプロジェクター11へ送信する(ステップS15)。制御部201は、シャッター駆動部203による左目用シャッター21及び右目用シャッター22の開閉と、傾き検出部204による傾きの検出を、電源スイッチがオフにされるまで継続し(ステップS16;No)、電源スイッチがオフにされると動作を停止する(ステップS16;Yes)。なお、同期信号受信部202によって同期信号を受信しない時間が所定時間以上継続した場合に、制御部201の制御により自動的に電源をオフにする構成としてもよい。
【0030】
図2に示す制御部103は、立体視装置2の送信部205が送信する無線信号を受信する受信部47(受信手段、取得手段)を備えている。受信部47は送信部205の仕様に合わせて構成された受信回路であり、送信部205が送信した信号を受信して入力処理部123に出力する。入力処理部123は、受信部47から入力される信号をデコードして制御部103に出力し、制御部103は、この入力処理部123から入力されるデータに基づいて、スクリーンSCに投射する画像を立体と平面とに切り換える制御を行う。
すなわち、制御部103は、記憶部105に記憶された制御プログラム105Aを実行し、立体視装置2から送信される信号に基づいて立体視装置2の傾きを特定し、この傾きが、予め記憶部105に記憶した範囲内であるか否かを判別する。この範囲は、スクリーンSC上の立体視の推奨条件として設定された傾きであり、この範囲を逸脱して傾いた場合には、立体視装置2を装着している鑑賞者が左右の視差による立体視に支障を来し、二重像が見える等の問題が生じる可能性がある。
そこで、制御部103は、立体視装置2の傾きが推奨範囲から逸脱している場合には、表示制御部107を制御して、立体画像の表示出力を停止して、液晶パネル32に描画する画像を平面画像に切り換える。これにより、鑑賞者が二重像を観ないで済むという利点がある。
この制御プログラム105Aに基づく動作の実行時、制御部103は、立体視状態検出手段および制御手段として機能する。
【0031】
図4は、プロジェクター11の動作を示すフローチャートであり、特に、1台の立体視装置2とプロジェクター11とを組み合わせて使用する場合の例を示す。また、図4ではI/F部101を介して外部の画像供給装置から立体画像データが入力される場合の動作を示す。平面画像データが入力される場合には、この平面画像データを表示する動作を行う。
【0032】
制御部103は、I/F部101から入力される画像を検出すると(ステップS21)、立体画像データの表示を開始する(ステップS22)。すなわち、光変調装置駆動部119によって液晶パネル32に左目用のフレームと右目用のフレームとを交互に描画する。この表示開始とともに、制御部103は、同期信号送信部49によって立体視装置2に対する同期信号の送信を開始する(ステップS23)。
制御部103は、立体視装置2の送信部205から送信された情報を受信部47により受信したか否かを判別し(ステップS24)、情報を受信した場合には受信した情報に基づいて立体視装置2の傾きの大きさを特定する(ステップS25)。
【0033】
続いて、制御部103は、立体視装置2の傾きが、予め設定された推奨範囲内であるか否かを判別する(ステップS26)。推奨範囲内か否かの判別は、立体視装置2の傾きの検出値がしきい値以上であるか否かに基づいて行われ、しきい値未満の場合には推奨範囲内と判別される。立体視装置2の傾きが推奨範囲外である場合は(ステップS26;No)、現在液晶パネル32に立体画像を表示中であるか否かを判別する(ステップS27)。ここで、立体画像の表示中であれば(ステップS27;Yes)、制御部103は表示制御部107の表示切換部133を制御して、表示する画像を平面画像に切り換える(ステップS28)。具体的には、I/F部101の入力画像に含まれる右目用のフレームを表示せず、左目用のフレームのみを光変調装置駆動部119によって表示する。これにより、鑑賞者には、立体視装置2を装着していても、装着していなくても同様に平面画像が視認され、二重像は見えない。切換を行った後、制御部103はステップS32に移行する。
【0034】
また、立体視装置2の傾きが推奨範囲から逸脱しており、すなわち立体視装置2の傾きの検出値がしきい値以上であって、現在平面画像の表示中である場合(ステップS27;No)、制御部103は、表示制御部107によってそのまま平面画像の表示を継続させ(ステップS29)、ステップS32に移行する。
一方、立体視装置2の傾きが推奨範囲内である場合(ステップS26;Yes)、制御部103は、現在液晶パネル32に立体画像を表示中であるか否かを判別する(ステップS30)。ここで、立体画像の表示中であれば(ステップS30;Yes)、制御部103はそのままステップS32に移行する。また、平面画像の表示中である場合(ステップS30;No)、制御部103は、表示制御部107の表示切換部133を制御して、表示する画像を立体画像に切り換え(ステップS31)、ステップS32に移行する。
ステップS32において、制御部103は、スクリーンSCへの投射を終了するか否かを判別し、投射を終了しない場合はステップS24に戻る。
また、制御部103は、立体視装置2から送信される傾きを示す情報を受信部47によって受信しない場合(ステップS24;No)、ステップS32に移行する。これは、立体視装置2とプロジェクター11との間に障害物等がある場合や、立体視装置2とプロジェクター11との位置関係によって情報が送受信されない場合があっても、平面画像と立体画像の表示を切り換えないで、鑑賞者に不快感を持たせないための動作である。また、プロジェクター11は、傾き検出部204や送信部205を持たない立体視装置とともに使用されることも可能である。この場合、プロジェクター11が送信する同期信号を受信して左目用シャッター21及び右目用シャッター22を開閉する機能を立体視装置が持っていれば、立体視が可能である。このような場合、プロジェクター11が立体画像の表示を継続することで、鑑賞者は立体視が可能になる。
【0035】
また、上記のようにプロジェクター11に対しては複数台の立体視装置2を組み合わせて使用することも可能である。
図2に示すように、立体視装置2の制御部201は、内蔵する記憶部にIDを記憶しており、このIDを、送信部205が送信する情報に付加することが可能である。プロジェクター11は、立体視装置2から送信された情報を受信した場合に、IDを識別することで、複数台の立体視装置2に対応できる。この場合の動作を図5に示す。なお、図5において、図4と同じ処理については同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0036】
図5に示す動作において、制御部103は、図4のステップS21〜S25の処理を行う。ここで、制御部103は、立体視装置2から受信した情報に含まれるIDを特定し、このIDと、受信した情報をもとに特定した立体視装置2の傾きとを対応づけて、記憶部105に一時的に記憶する(ステップS41)。既に同じIDに対応づけて立体視装置2の傾きが記憶されている場合には、この傾きを、新たにステップS25で特定した内容に更新する。そして、制御部103は、全てのIDに対応する立体視装置2の傾きが、予め設定された推奨範囲内であるか否かを判別する(ステップS42)。推奨範囲内か否かの判別は、ステップS26と同様であるが、制御部103は、記憶部105に記憶している全てのIDに対応づけられた傾きについて判別を行う。
【0037】
ここで、全てのIDに対応づけられた立体視装置2の傾きが推奨範囲内である場合には(ステップS42;Yes)、制御部103はステップS30に移行する。一方、いずれか一つでも、立体視装置2の傾きが推奨範囲から逸脱しているIDがある場合(ステップS42;No)、制御部103はステップS27に移行する。これにより、プロジェクター11に対して傾きを示す情報を送信した立体視装置2のうち、一つでも推奨範囲から逸脱した場合は立体画像の表示を平面画像に切り換えるので、不快な二重像を見せないようにすることができる。
【0038】
この図5に示す動作では、プロジェクター11と組み合わせて使用される立体視装置2の台数を予め設定しなくても、全ての鑑賞者に対し、二重像を見せずに済むという利点がある。なお、記憶部105に記憶したIDのうち、所定時間以上継続して受信部47により情報を受信できないID、すなわち傾きを示す情報が更新されないIDについては、記憶部105からIDを消去してもよい。例えば、使い終わった立体視装置2が、電源がオンのまま傾いて放置されていた場合に、この立体視装置2の影響を排除して、使用中の立体視装置2の傾きのみを反映した動作を行える。
【0039】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係る表示システム10によれば、左目用画像と右目用画像とを含む視差画像としての立体画像をスクリーンSCに投射して表示するプロジェクター11と、スクリーンSCに表示される視差画像のうち左目用画像のみを透過する左目用シャッター21と右目用画像のみを透過する右目用シャッター22とを有する立体視装置2とを備え、立体視装置2は、スクリーンSCに対する立体視装置2の傾きを検出する傾き検出部204と、傾き検出部204により検出された傾きを示す情報をプロジェクター11に送信する送信部205とを備え、プロジェクター11は、立体視装置2から送信された情報を受信する受信部47を備え、制御部103の機能により、受信部47によって受信された情報に基づいて立体視装置2の傾きを特定し、特定した立体視装置2の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、立体画像の投射を停止する。これにより、立体視装置2が備える機能によって立体視装置2の傾きを検出し、この傾きが立体視に適しない場合には立体画像の投射を停止するので、プロジェクター11本体に立体視装置2の状態を検出する機構を設けるなどの制約を受けることなく、鑑賞者の状態が立体視に適しなくなった場合に速やかに対応して、鑑賞者に二重像を見せないように立体画像の投射を停止できる。
【0040】
また、プロジェクター11の制御部103は、立体画像の投射を停止した場合に平面画像を表示するので、立体視装置2の傾きが立体視に適しない状態であっても、鑑賞者が画像を引き続き見ることができる。
また、立体視装置2は、スクリーンSCに交互に切り換えて表示される左目用画像と右目用画像との切換に同期して左目用シャッター21と右目用シャッター22を開閉する構成である。この構成では容易に立体視を実現できる反面、左目用シャッター21と右目用シャッター22の並び方向がスクリーンSC上の画像の水平に対して傾いた場合に二重像を知覚しやすいが、本実施形態では、立体視装置2の傾きにより視差画像が二重像として見えてしまうことを防止できる。
また、立体視装置2は、左目用シャッター21と右目用シャッター22とを並べて構成され、傾き検出部204は、左目用シャッター21と右目用シャッター22との間である設置位置A、若しくは、左目用シャッター21と右目用シャッター22との間を除く各シャッターの端部である設置位置Bまたは設置位置Cに配置された構成となっている。設置位置Aに傾き検出部204を配置すれば一つの傾き検出部204により立体視装置2の傾きを効率よく検出できる。また、設置位置B、Cに傾き検出部204を配置すれば、立体視装置2の端部に傾き検出装置が配置されることになるので、立体視装置2の傾きをより正確に検出できる。さらに、設置位置Bと設置位置Cの両方に傾き検出部204を設置すれば、より鋭敏に傾きを検出できる。
【0041】
また、表示システム10を、複数の立体視装置2を用いた構成とし、プロジェクター11が備える受信部47を、複数の立体視装置2から送信された情報を受信可能に構成した場合、制御部103は、いずれか一つの立体視装置2の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、立体画像の投射を停止するので、複数の鑑賞者がそれぞれ立体視装置2を使用している場合に、1人でも立体視に適しない状態になると立体画像の投射を停止する。これにより、全ての鑑賞者に対して、立体視装置2の傾きによりスクリーンSC上の立体画像が二重像として見えてしまうことを防止できる。
【0042】
また、スクリーンSCに対して左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を投射するプロジェクター11に本発明を適用することにより、プロジェクターとスクリーンSCと鑑賞者との位置関係に関する制約が少なくて済むという利点がある。
【0043】
なお、上述した実施形態は本発明を限定するものではなく、上記実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、上記実施形態では、投射部3において光源が発した光を変調する光変調装置として、RGBの各色に対応した3枚の透過型または反射型の液晶パネル32を用いた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1枚の液晶パネルとカラーホイールを組み合わせた方式、3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を用いた方式、1枚のデジタルミラーデバイスとカラーホイールを組み合わせた方式等により構成してもよい。ここで、光変調装置として1枚のみの液晶パネルまたはDMDを用いる場合には、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系に相当する部材は不要である。また、液晶パネル及びDMD以外にも、光源が発した光を変調可能な構成であれば問題なく採用できる。
また、本発明の表示装置は、スクリーンSCに画像を投射するプロジェクターに限定されず、液晶表示パネルに画像/画像を表示する液晶モニターまたは液晶テレビ、或いは、PDP(プラズマディスプレイパネル)に画像/画像を表示するモニター装置またはテレビ受像機、OLED(Organic light-emitting diode)、OEL(Organic Electro-Luminescence)等と呼ばれる有機EL表示パネルに画像/画像を表示するモニター装置またはテレビ受像機等の自発光型の表示装置など、各種の表示装置も本発明の画像表示装置に含まれる。この場合、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、有機EL表示パネルが表示手段に相当する。
【0044】
また、上記実施形態では、立体視装置2が、スクリーンSCに表示される視差画像のうち左目用画像のみを透過する左目用透過部として、液晶シャッター方式の左目用シャッター21を備え、右目用画像のみを透過する右目用透過部として右目用シャッター22を備えた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、立体視装置2が、表示された視差画像から左目用画像および右目用画像をそれぞれ分離する偏光フィルターを備えた構成としても良い。この立体視装置2に組み合わされる表示装置は、スクリーンSC或いは他の表示面に、視差画像として偏向軸方向が異なる左目用画像と右目用画像とを表示する。また、円偏向を利用して、回転方向が逆の左目用画像と右目用画像とを表示し、これらの左目用画像および右目用画像を立体視装置2のフィルターで分離してもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、外部の画像供給装置から入力される入力画像を表示制御部107によって処理し、立体視装置2から送信される情報に基づいてプロジェクター11が立体視装置2の傾きを特定し、この傾きに応じて表示制御部107が平面画像と立体画像の表示を切り換える構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、平面画像と立体画像の表示を切り換える処理を、プロジェクター11に外部接続されたパーソナルコンピューター等の画像供給装置が実行する構成としてもよい。この場合の画像供給装置は、プロジェクター11が備える制御部103、表示制御部107の機能を備えるものとすることができる。具体的には、プロジェクター11の制御に従って、画像供給装置が、I/F部101に対して平面画像と立体画像とを切り換えて出力する構成としてもよいし、画像供給装置が、立体視装置2から送信される情報に基づいて立体視装置2の傾きを特定し、この傾きに応じて平面画像と立体画像を切り換えてI/F部101に出力してもよい。また、本発明は、このような装置が実行するプログラムとして実現することも可能である。
また、上記実施形態において記憶部105が記憶していた制御プログラム105Aを、プロジェクター11が通信ネットワークを介して接続された他の装置からダウンロードして実行しても良いし、可搬型の記録媒体に制御プログラム105Aを記録して、この記録媒体から上記各プログラムを読み取って実行する構成としても良い。
【0046】
また、図2に示した立体視装置2及びプロジェクター11の各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、表示システム10の具体的な細部構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
2…立体視装置、3…投射部(表示手段)、10…表示システム(表示システム)、11…プロジェクター(表示装置)、21…左目用シャッター(左目用透過部)、22…右目用シャッター(右目用透過部)、47…受信部(受信手段、取得手段)、49…同期信号送信部、103…制御部(制御手段、立体視状態検出手段)、105…記憶部、105A…制御プログラム、107…表示制御部、201…制御部(傾き検出手段、傾き通知手段)、202…同期信号受信部、203…シャッター駆動部、204…傾き検出部(傾き検出手段)、205…送信部(傾き通知手段)、SC…スクリーン(投射面)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を表示する表示装置と、前記表示装置が表示する前記視差画像のうち前記左目用画像のみを透過する左目用透過部と前記右目用画像のみを透過する右目用透過部とを有する立体視装置とを備え、
前記立体視装置は、
当該立体視装置の傾きを検出する傾き検出手段と、
前記傾き検出手段により検出された傾きを示す情報を前記表示装置に送信する傾き通知手段とを備え、
前記表示装置は、
前記立体視装置から送信された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された情報に基づいて、前記立体視装置の傾きを特定する立体視状態検出手段と、
前記立体視状態検出手段により特定された前記立体視装置の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、視差画像の表示を停止する制御手段とを備えること
を特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記表示装置が備える制御手段は、視差画像の表示を停止した場合に平面画像を表示することを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項3】
前記表示装置は前記左目用画像と前記右目用画像とを交互に切り換えて表示し、
前記立体視装置が有する前記左目用透過部及び前記右目用透過部は、左目及び右目に各々対応するシャッターを備え、前記表示装置の表示の切換に同期して左目用の前記シャッターと右目用の前記シャッターを開閉するシャッター装置であることを特徴とする請求項1または2記載の表示システム。
【請求項4】
前記立体視装置は、左目用の前記シャッターと右目用の前記シャッターとを並べて構成され、
前記傾き検出手段は、左目用の前記シャッターと右目用の前記シャッターとの間、若しくは、左目用の前記シャッターと右目用の前記シャッターとの間を除く各前記シャッターの端部に配置されたことを特徴とする請求項3記載の表示システム。
【請求項5】
複数の前記立体視装置を備え、
前記表示装置が備える受信手段は、複数の前記立体視装置から送信された情報を受信可能に構成され、
前記制御手段は、いずれか一つの前記立体視装置の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、視差画像の表示を停止することを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
前記表示装置は、投射面に対して左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を投射するプロジェクターであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表示システム。
【請求項7】
左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を表示して、前記表示装置が表示する前記視差画像のうち前記左目用画像のみを透過する左目用透過部と前記右目用画像のみを透過する右目用透過部とを有する立体視装置により視差画像を視認可能に表示する表示手段と、
前記立体視装置の傾きを示す情報を外部から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて、前記立体視装置の傾きを特定する立体視状態検出手段と、
前記立体視状態検出手段により特定された前記立体視装置の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、視差画像の表示を停止する制御手段とを備えること
を特徴とする表示装置。
【請求項8】
左目用画像と右目用画像とを含む視差画像を表示して、前記表示装置が表示する前記視差画像のうち前記左目用画像のみを透過する左目用透過部と前記右目用画像のみを透過する右目用透過部とを有する立体視装置により視差画像を視認可能に表示する表示装置によって、
前記立体視装置の傾きを示す情報を外部から取得し、
取得した情報に基づいて、前記立体視装置の傾きを特定し、
前記立体視装置の傾きが立体視に適しない状態となった場合に、視差画像の表示を停止すること
を特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−195817(P2012−195817A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59064(P2011−59064)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】