表示付きICカードおよびディスプレイモジュール、ディスプレイモジュールの製造方法
【課題】 電源遮断後にも持続表示する薄型ディスプレイを備えた表示付きICカードとそれに使用するディスプレイモジュール等を提供する。
【解決手段】 本表示付きICカード1は、接触式、非接触式、接触・非接触複合式のいずれか1の通信手段と、該通信手段により得られた情報を記憶し処理する半導体装置と、電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイ12とを備えるICカードにおいて、前記ディスプレイ12が単純マトリクスを構成する電極をディスプレイの表裏を構成する基材の対向する内面に備え、対向する電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板16の基板面の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基材面に実装されていることを特徴とする。
【解決手段】 本表示付きICカード1は、接触式、非接触式、接触・非接触複合式のいずれか1の通信手段と、該通信手段により得られた情報を記憶し処理する半導体装置と、電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイ12とを備えるICカードにおいて、前記ディスプレイ12が単純マトリクスを構成する電極をディスプレイの表裏を構成する基材の対向する内面に備え、対向する電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板16の基板面の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基材面に実装されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示付きICカードとディスプレイモジュール、ディスプレイモジュールの製造方法に関する。詳しくは、表示付きICカードが単純マトリクス(パッシブタイプ)からなる薄型ディスプレイを備え、該薄型ディスプレイの1の対向電極がドライバIC等が実装された部品実装基板と同一基板に形成されていることを特徴とする表示付きICカード等に関する。
【背景技術】
【0002】
接触式ICカードや非接触式ICカードは携帯の利便性と多量な情報蓄積性、偽造に対する安全性等から広範に使用されている。特に、非接触ICカードは外界のリーダライタと簡易迅速に交信して読み取りできる特性から、近年特に広範に使用されてきている。
しかし、従来のICカードはその担持する情報内容を視覚的に表示する機能を持たないことが指摘されている。すなわち、利用者がICカードの利用期限や残高金額等をICカード自体の表面で直接視認できない問題がある。
【0003】
ICカード表面に可逆性感熱記録層を設け、所望のデータを可視情報としてカード表面に表示させることが行われる場合もあるが、表示データを形成するためには専用の外部リーダライタが必要であり、ICカード単独では情報の表示、消去、書き換えを自由に行うことができない。また、繰り返し印字性が乏しい問題がある。
【0004】
液晶表示装置をICカードに設けるという提案もされ、一部では開発や試作も行われている。しかし、液晶表示装置の表示方式によっては、液晶材料が封入されたセルやその他に偏光板や保護層も必要となり、適合させるICカードの規格等との関係で、表示装置自体の厚さをある程度まで薄くする対策が必要になることや、液晶表示装置自体を薄くできても、ガラス等の基板を使用するため屈曲性がない問題がある。また、その駆動には高い電圧と多大の電力消費をするため、ICカードに電池類を備えておく必要が生じること、電池類を備える場合はその交換や廃棄の問題を生じる、等の問題があった。
【0005】
これらに鑑みて、ICカードの表面に従来の液晶表示装置よりは薄型で電力消費が少なく、かつ持続性あるディスプレイを設けることが提案されている。すなわち、ツイストボール方式、電気泳動方式(マイクロカプセル型電気泳動方式等)、磁気泳動方式、電子粉流体方式、帯電トナー型表示方式、液晶表示方式(コレステリック液晶、カイラルネマチック液晶、ポリマー分散型液晶等)、電解析出方式、エレクトロクロミック方式、フィルム移動方式、電荷移動型表示方式、干渉制御方式、等である。
特に、近年開発された電子粉流体(登録商標)を使用した電子ペーパーは消去可能、多数回の書き換えが可能で、かつ電源遮断後にも表示を持続するメモリー性を有すること、屈曲性ある薄型ディスプレイにできることからICカード用ディスプレイとしての実用が期待されている。以下は、主として電子粉流体を例として説明する。
【0006】
ここで、上記薄型表示付きICカードにおける従来の実装構造について検討する。
図16、図17は、従来の薄型表示付き接触式ICカードの実装構造を示す図である。 図16は両面接続の場合、図17は片面接続の場合を示している。図16(A)と図17(A)は平面図、図16(B)は図16(A)のA−A線断面図、図17(B)は、図17(A)のC−C線断面図、図16(C)は図16(A)のB−B線断面図である。
なお、両面接続とは対向するマトリクスの両電極の垂直方向電極と水平方向電極のそれぞれに対して個別に接続する方法をいい、片面接続とは両方向の電極を垂直または水平方向の電極が形成された何れか一方の基材で接続し、その後、他方の基材に対してはディスプレイ内で接続させる形態をいう。図18と図19は、同様に従来の薄型表示付きICカードであるが、非接触式の実装構造を示す図である。
【0007】
薄型表示付き接触式ICカード1Cの両面接続では、図16(A)のように、ICカード基体20内に表示制御用CPU11と薄型ディスプレイ12、垂直方向と水平方向駆動用集積回路チップ(以下、「ドライバIC」という。)13v,13h、ドライバICと薄型ディスプレイ12を接続するフレキシブルプリント回路(以下、「接続FPC」とする。)14a,14bを備えている。通常、表示制御用CPU11とドライバIC13v,13hは、部品実装基板16として一枚の基板に実装されている。
図16の場合は、薄型ディスプレイ12に対して垂直方向ドライバIC13vと水平方向ドライブIC13hの双方が両面接続する形態であるため、2個のドライバICが部品実装基板16に実装され、それぞれのドライバIC13v,13hから接続FPC14a,14bを介して薄型ディスプレイ12に接続している。
【0008】
図16(B)の断面図のように、薄型ディスプレイ12は2層の表裏基材12a,12bからなり、2層の基材12a,12bの内面に、単純マトリクスを構成する対向電極を、一方の電極が他方の電極に直交するように形成している。この2層の表裏基材12a,12bの対向電極間に表示媒体(電子粉流体等)が納められている。
従って、垂直方向電極は下側の基材にあり、図16(B)のA−A線断面では、接続FPC14bが下側の基材12bの張り出し部に接続し、水平方向電極は上側の基材12aにあり、図16(C)のB−B線断面では接続FPC14bが上側の基材12aの張り出し部に接続している。各張り出し部には所定本数の電極が導かれている。接続FPC14a,14bと張り出し部の間は、図示しない膜状のACF(Anisotropic Conductive Film)により接続されている。接続FPC14a,14bはさらに、ACFを使用し同様にして部品実装基板16に接続している。
図16(B)(C)の断面図から見ても明らかなように、部品実装基板16と薄型ディスプレイ12間の接続は不安定な構造になっている。
なお、薄型ディスプレイはその一方もしくは両方をFPCを介さず部品実装基板と直接ACF等の手段を用いて接続しても良い。
【0009】
図17も薄型表示付き接触式ICカードであるが、片面接続の形態である。垂直方向電極と水平方向電極は薄型ディスプレイ12の内部で分岐するようにされている。従って、下側の基材12bの張り出し部には、図16の場合の14aと14bの合計の数の電極が導かれる。
図17(A)のように、1個のドライバIC13が部品実装基板16内に納められているが、水平と垂直のドライバ機能を兼ねるものである。電極と接続FPC14、および接続FPC14と部品実装基板16の間は、ACFにより接続されている。図17(B)の断面図ように、部品実装基板16と薄型ディスプレイ12間が不安定な構造であるのは、図16の場合と同様である。また、薄型ディスプレイはFPCを介さず部品実装基板と直接ACF等の手段を用いて接続しても良い。
なお、CPU11は、表示制御用CPUであるが、図示しないICカード用ICモジュールのICチップが表示制御機能を兼ねる場合は、別途に設ける必要はない。図16の場合も同様である。
【0010】
図18と図19は、従来の薄型表示付き非接触式ICカードであるが、図18は両面接続の場合、図19は片面接続の場合を示している。いずれも非接触式ICカードであるため、カード基体20内に非接触インターフェース用アンテナコイル4を有している。
表示制御用CPU11は、ICカード用ICモジュールのICチップが兼ねる形態として図示されているので、アンテナコイル4に接続している。整流回路・共振回路18は部品実装基板16内の部品として図示されているが、CPUを備えるICカード用ICモジュールのICチップ内に組み込みされていても良いものである。
図18と図19の断面構造は図示していないが、図16と図17の図示から容易に類推できると考えられる。
【0011】
従来の表示付きICカードは、上述のような構造にされているので、薄層のICカード基体20内に、多数の構成基材や部品を組み込む必要があり、ISOで規定するカード厚み(0.76±0.08mm)に完成するのは困難な状況があった。そこで本発明は、単純マトリクスからなるディスプレイを有するICカードにおいて、当該対向電極のいずれかの1の電極を前記ディスプレイ用ドライバICを実装した部品実装基板と同一基板に形成して、カード厚みの低減を企図するものである。
また、情報を表示するICカードモジュールの製造及びその取り扱い(ハンドリング)を容易にすることをも目的とするものである。
【0012】
ここで関連する先行技術について検討する。特許文献1は、半導体装置とその製造方法に関し、表示素子付きICカードの各種実施形態を示しているが、本発明のようにパッシブタイプディスプレイの1の対向基板がドライブ回路と同一平面にされている構成を記載していない。特許文献2は、電気泳動方式マイクロカプセル型表示素子を使用するICカードに関するが、同様に本願の構成を記載してはいない。特許文献3も特許文献2と同様のICカードであるが、本発明の構成を記載していない。特許文献4は、表示付き非接触ICカード等に関するが、液晶表示に関するものである。なお、電子粉流体を用いる電子ペーパーに関しては、特許文献5、特許文献6等がある。
【0013】
【特許文献1】特開2003−123047号公報
【特許文献2】特開2003−271911号公報
【特許文献3】特開2005− 92488号公報
【特許文献4】特開2003− 44808号公報
【特許文献5】特開2005−326436号公報
【特許文献6】特開2007− 47262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
単純マトリクスからなるディスプレイを有する表示付きICカードにおいて、当該対向電極のいずれかの1の電極が前記ディスプレイ用ドライバICを実装した基板と同一基板面に形成して、カード厚みの低減を図ると共に、ICカードモジュールの製造及びその取り扱い(ハンドリング)性の向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、接触式、非接触式、接触・非接触複合式のいずれか1の通信手段と、該通信手段により得られた情報を記憶し処理する半導体装置と、電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイとを備えるICカードにおいて、前記ディスプレイが単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備え、前記対向電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基板面に実装されていることを特徴とする表示付きICカード、にある。
【0016】
上記表示付きICカードにおいて、ディスプレイの表示制御用CPUが、部品実装基板に実装されている、ようにすることができ、前記ディスプレイが電子粉流体を用いたものである、ようにすることもできる。
【0017】
上記課題を解決する本発明の要旨の第2は、ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるものにおいて、前記対向電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基板面に実装されていることを特徴とするディスプレイモジュール、にある。
【0018】
上記ディスプレイモジュールにおいて、ディスプレイの表示制御用CPUが、基材面に実装されている、ようにすることができ、前記ディスプレイが電子粉流体を用いたものである、ようにすることもできる。
【0019】
上記課題を解決する本発明の要旨の第3は、非接触式または接触・非接触複合式ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるものにおいて、前記対向電極のいずれかの1の電極と非接触通信用アンテナコイルが、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基材面に実装されていることを特徴とするディスプレイモジュール、にある。
【0020】
上記ディスプレイモジュールにおいて、ディスプレイの表示制御用CPUが、部品実装基板の基材面に実装されている、ようにすることができる。
【0021】
上記課題を解決する本発明の要旨の第4は、ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるディスプレイモジュールの製造方法において、(1)前記対向電極のいずれかの1の電極を、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成する工程と、(2)前記対向電極の他の1の電極を、ディスプレイ表示域と実質的に同一面積になるように前記部品実装基板の一部の面積を有する表示媒体基材に形成する工程と、(3)部品実装基板または表示媒体基材の何れかに電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイを形成する工程と、(4)部品実装基板と表示媒体基材とを位置合わせして重ね、重ね合わせしたその周囲を密封してシールする工程と、
(5)ディスプレイ用ドライバICを当該部品実装基板に実装する工程と、を有することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法、にある。
【0022】
上記課題を解決する本発明の要旨の第5は、非接触式ICカードまたは接触・非接触複合式ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるディスプレイモジュールの製造方法において、(1)前記対向電極のいずれかの1の電極を、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成し、かつ非接触通信用アンテナコイルを前記一部の領域外に形成する工程と、(2)前記対向電極の他の1の電極を、ディスプレイ表示域と実質的に同一面積になるように前記部品実装基板の一部の面積を有する表示媒体基材に形成する工程と、(3)部品実装基板または表示媒体基材の何れかに電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイを形成する工程と、(4)部品実装基板と表示媒体基材とを位置合わせして重ね、重ね合わせしたその周囲を密封してシールする工程と、(5)ディスプレイ用ドライバICを当該部品実装基板に実装する工程と、を有することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法、にある。
【0023】
上記ディスプレイモジュールの製造法方法において、製造工程(5)の工程において、ディスプレイ用ドライバICの実装と同様に表示制御用CPUを部品実装基板に実装することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の表示付きICカード(請求項1)は、表示部に単純マトリクスからなる薄型ディスプレイを使用し、その1の対向電極がドライバICが実装された部品実装基板と同一基板に形成されているので、別工程で完成した薄型ディスプレイを部品として組み込む必要がなく、ICカードの厚みを薄くでき、ISO規格に準じた厚みとすることができる。 また、ICカードモジュールの製造及びその取り扱い(ハンドリング)が容易になる。
【0025】
本発明のディスプレイモジュール(請求項3)は、部品実装基板に表示用ディスプレイの1の対向電極が形成されているので、取り扱いが容易であり、ISO規格に準じた厚みのICカードの製造を容易にすることができる。
本発明のディスプレイモジュール(請求項4)は、部品実装基板に表示用ディスプレイの1の対向電極が形成され、かつアンテナコイルも形成されているので取り扱いが容易であり、ISO規格に準じた厚みの非接触ICカードの製造を容易にすることができる。
【0026】
本発明のディスプレイモジュールの製造方法(請求項6)によれば、ICカードに使用し易いディスプレイモジュールを容易に製造することができる。
本発明のディスプレイモジュールの製造方法(請求項7)によれば、非接触式ICカードまたは接触・非接触複合式ICカードに使用し易いディスプレイモジュールを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明の表示付きICカードの外観斜視図、図2は、表示付き接触式ICカードに使用するディスプレイモジュールの構成を示す図、図3は、表示付き非接触式ICカードに使用するディスプレイモジュールの構成を示す図、図4は、表示付き接触式ICカードのブロック図、図5と図6は、表示付き非接触式ICカードのブロック図、図7、図8、図9は、ディスプレイモジュールの製造工程を示す図、図10は、表示付き非接触式ICカードのディスプレイモジュールを示す図、図11は、表示付き接触・非接触式複合式ICカードのディスプレイモジュールを示す図、図12は、表示付き接触式ICカードの概略断面構造を示す図、図13は、表示付き非接触式ICカードの概略断面構造を示す図、図14は、表示付き接触・非接触複合式ICカードの概略断面構造を示す図、図15は、電子粉流体を使用したディスプレイを示す断面図、である。
【実施例】
【0028】
図1は、本発明の表示付きICカード1の外観斜視図であるが、図1(A)は接触式と接触・非接触複合式を示し、図1(B)は非接触式の外観を示している。
接触式と接触・非接触複合式の場合は、カード表面に接触端子板6を有し、同じく薄型ディスプレイ12を有している。接触・非接触複合式は、ICカード基体20内に非接触インターフェースとなるアンテナコイル(破線)4を有するが、外観には現れないので、接触式と接触・非接触複合式の双方は同一外観を呈する(図1(A))。なお、接触式単機能の場合は、もちろんアンテナコイル(破線)4を有していない。
非接触式の場合は、ICカード基体20内にアンテナコイル(破線)4を有するが、接触端子板6を持たず、非接触ICチップ3も埋設されているので、薄型ディスプレイ12のみが表示付きICカード1の表面に現れる(図1(B))。これらの外観は、厚みに関する以外は従来の通常の薄型表示付きICカードと同様のものである。
【0029】
図2は、表示付き接触式ICカードに使用するディスプレイモジュール10の構成を示す図である。本発明はディスプレイモジュールに特徴があるため、以下、説明する。
ディスプレイモジュール10は、ドライバIC等を実装した部品実装基板16を有し、その部品実装基板16自体に薄型ディスプレイ12の下側電極(例として、垂直方向)122が形成されている特徴がある。後述のように、薄型ディスプレイ12の上側電極121を形成し、表示媒体を形成した基材を重ね合わせてシールするので、薄型ディスプレイ12付き基板と考えてもよい。
また、垂直方向ドライバIC13vと水平方向ドライブIC13hの双方と表示制御用CPU11が当該部品実装基板16に実装されている。片面接続の場合は双方向のドライブ機能を有するドライブICが1個のみ実装されればよい。
【0030】
下側の電極(垂直方向)122部の上には、カード表面からの観察側になる上側の電極(例として、水平方向)121が形成された基材が積層されている。以下、この上側の電極基材を表示媒体基材15ということとする。表示媒体基材15は薄型ディスプレイ12と実質的に同サイズなので、部品実装基板16の一部を占める面積となる。
表示媒体基材15と部品実装基板16の間には、図示しない表示媒体(電子粉流体)が充填されて表示機能を発揮することになる。なお、上記において、いずれの基板または基材が、垂直方向または水平方向電極を有するものとしても実用的には構わない。
【0031】
なお、図2には図示してないが、ICカード用ICモジュールから表示制御用CPU11への配線、表示制御用CPU11からドライバIC13v,13hへの配線、ドライバIC13vから下側電極への配線も部品実装基板16に組み込まれているものである。
CPU11やドライバIC13v,13h等の実装は異方性導電接着剤等により配線部に固定する方法等が採用される。ただし、ドライバIC13hと上側電極は同一平面にはないので、別途、接続FPCにより接続することになる。
【0032】
また、図2において、上側の電極は利用者が表示を観察する側になるので、透明基材と透明電極材料を使用する必要がある。通常ITO(Indium Tin Oxide;In−Sn−O)やIZO(In−Zn−O)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を使用できる。下側の電極は、特に制限されないが、透明電極材料であっても良く、不透明であっても良いので、銅や銀、アルミニウム、金、ニッケル、白金、その他の導電性材料を使用できる。
【0033】
図3は、表示付き非接触式ICカードに使用するディスプレイモジュール10の構成を示す図である。このディスプレイモジュール10は、上記図2の構成に加えて非接触インターフェースとしてアンテナコイル4を有する。図3の場合、表示制御用CPU11を図示しているが、この機能をICカード用非接触ICチップ3が兼ねるものであってもよい。表示付き接触・非接触複合式ICカード1の場合は図示していないが、非接触ICチップ3が接触・非接触兼用(デュアル)ICモジュールに置換されるだけで、ほぼ同様の構成になる。アンテナコイル4は、ディスプレイモジュール10と必ずしも同一の基板に形成する必要はないが同一基板にすれば、回路配線が容易になる。また、部品実装基板16の電極122とは反対側の面にアンテナコイル4を形成してもよいものである。
表示媒体基材15と部品実装基板16の電極間には表示媒体(電子粉流体)が形成されていること、および垂直方向ドライバIC13vと水平方向ドライブIC13hの双方と表示制御用CPU11が当該部品実装基板16に実装されていることは、図2の場合と同様である。
【0034】
なお、単純マトリクス(パッシブマトリクス)とは、表示部12の上下の基材に、それぞれ横(X軸方向)または縦(Y軸方向)の電極がストライプ状に相互に直交するように取り付けられており、XとYの2方向から電圧をかけることで、XとYの交点の表示素子を駆動させるというものである。交差する部分が画素になり、縦横の導線の組合せで目的とする複数の画素を同時に点灯できる。
アクティブマトリクス構造は、これに加えて各交点に「アクティブ素子」を配置したもので、X軸方向の導線の電圧によって、アクティブ素子のON/OFF状態が切り替わり、ON状態にあるときにY軸方向に電圧がかけられると交点にある目的の表示素子が点灯するというものである。
【0035】
図4は、表示付き接触式ICカードのブロック図である。図4(A)は両面接続の場合、図4(B)は片面接続の場合である。表示付き接触式ICカードの場合は、接触端子板6を介してリーダライタ30から直接電源の供給を受けることができる。
図4(A)の両面接続の場合、表示制御用CPU11はICカード用ICチップと一体または別体にされており垂直と水平の両方向信号を制御する。ドライバIC13v,13hに対する書換用電圧は、ICカード用ICチップが備える(一体の場合)表示制御用CPU11から昇圧/分圧回路19を介して、それぞれに供給される。表示信号は、ICチップのCPUからドライバIC13v,13hに分岐して出力される。
なお、ICカード用ICチップは、ICモジュールの接触端子板6の背面に装着されている。接触による通信手段と制御用CPU、および情報を記憶するRAM、ROM、EEPROM等の半導体(メモリ)装置、入出力装置を備えるものである。昇圧/分圧回路19も当該ICチップが備えるものであってよい。
なお、リーダライタ30は、さらに上位コンピュータ(PC)32またはネットワーク33に接続して表示信号を得るものとする。図5、図6も同様である。
【0036】
図4(B)の片面接続の場合、表示制御用CPU11とドライバ付きCPU13を備える。ドライバの垂直制御と水平制御はCPU13で一体になっており、両方向の書換用電圧と表示信号も一体にして供給され、ディスプレイドライバ付きCPU13により分割されてそれぞれの電極に供給される。
【0037】
図5と図6は、表示付き非接触式ICカードのブロック図である。なお、接触・非接触複合式の場合を図示しないが、電源の供給を接触端子板6を介して得るのが安定した電力が得られるので、図4の実施形態と考えることができる。
図5はICカード用非接触ICチップ3が表示制御用CPU11を兼ねる場合であって、図5(A)は両面接続の場合、図5(B)は同じく片面接続の場合である。
図6はICカード用非接触ICチップ3の他に表示制御用CPU11を別に備える場合であって、図6(A)は両面接続の場合、図6(B)は同じく片面接続の場合である。
【0038】
表示付き非接触式ICカード1の場合は、接触端子板6を持たないので、書換用電圧と表示信号を、アンテナコイル4を介して、非接触リーダライタ31から電磁波を介して供給されることになる。共振用コンデンサ17はアンテナコイル4とによりLC共振回路を形成するものである。ICチップ3内に容量素子を備える場合や回路の浮遊容量が代用される場合もある。通常、CPU等の駆動電力は整流回路を介してチップ内にのみ供給されるが、表示付き非接触式ICカード1内に電源電池等を備えないので、表示書換用電圧をも電磁波から得るものとする。
【0039】
図5の場合、非接触ICチップ3が表示制御用CPU11を兼ねるので、表示信号はCPU11からドライバIC13v,13hに直接送信される(図5(A))。
図5(B)の場合は、CPU付きドライバIC13に一括して送信される。その他の構成は、図4の場合と同様である。CPU付きドライバIC13とCPU11は機能を分担させたものとすることができる。
【0040】
図6の場合、ICカード用ICチップ3のCPUは表示制御機能を持たず、表示制御用CPU11を別途にICカード内に持たせた形態にされている。その他の構成は、図5と同様のものである。
【0041】
次に、ディスプレイモジュール10の製造工程を説明する。
まず、対向する電極パターン122を部品実装基板16に形成する(図2)。電極パターン122は、樹脂基板に金属箔をラミネートまたはめっきにより形成した金属材料を使用し、フォトエッチング等によりパターン形成するのが好ましい。金属材料には、アルミニウム、銀、ニッケル、銅等を使用できる。なお、銅の場合は、接続端子部に表面処理してSn(錫)めっき、またはNi(ニッケル)+Au(金)めっきするのが好ましい。
電極パターン121と共に、図示しないICカード用ICモジュールとの接続配線、表示制御用IC11とドライバIC13v,13h間の配線等も同時にエッチング形成するのが好ましい。表示制御用CPU11とドライバIC13v,13h間には、3本ないし数十本の配線が必要となる。
【0042】
非接触式や接触・非接触複合式の場合は、アンテナコイル4やコンデンサパターンを部品実装基板16に同時に形成することもできるが(図3)、別基材に形成してもよいものである。例えば、部品実装基板に重ねて使用する後述のスペーサシートに形成することもできる。コンデンサパターンを形成した場合は図示してないが、部品実装基板16自体を誘電体として使用し、その表裏にコンデンサパターンを形成することもできる。
【0043】
電極本数は表示部12の大きさや解像度により異なるが、50本から300本程度が適切な数となる。ディスプレイ表示部12の大きさを表示付きICカード1の長辺方向で、80mmとした場合、300本の電極で0.27mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.13mmとなる。同様に、200本の電極で0.40mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.20mmとなり、50本の電極で1.6mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.80mmとなる。また、ディスプレイ表示部12の大きさを同様に長辺方向で50mmとした場合、300本の電極で0.17mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.083mmとなる。同様に、200本の電極で0.25mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.13mmとなり、50本の電極で1.0mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.50mmとなる。
【0044】
表示媒体基材(ディスプレイの上側の基材)15にも同様にして電極121を形成する(図2)。電極本数は、表示付きICカード1の短辺方向のディスプレイ表示部12の大きさにより、上記のように設定する。電極121は観察側になるので、前記のように透明導電性材料を使用する。表示媒体基材15には部品を実装しないが、両面接続の場合はFPCを接続する端子部分を設ける。
なお上記において、いずれの基板または基材が、垂直方向または水平方向電極を有するものであっても構わない。
【0045】
次に、電極形成後の実装順序について、図7、図 8、図9 を参照して説明する。図7は実装順序(1)の場合、図8は実装順序(2)の場合、図9は実装順序(3)の場合である。いずれも表示付き接触式ICカードの場合であるが、非接触式や接触・非接触複合式の場合は、部品実装基板16にアンテナコイル4やコンデンサパターンを加えて加工する以外は、ほぼ同様の工程で製造できる。
【0046】
[実装順序(1)の場合](図7)
まず、対向する電極パターン122を形成した部品実装基板16に、ドライバIC13v,13h、表示制御用CPU11等の部品を実装する。部品実装基板16には、図示しない電極122との接続配線も含まれるので全体を接続FPCと考えることもできる。
ドライバIC13v,13hは、ディスプレイ12の辺(縁部)に沿って実装することが多く細長の形状にされている。平面形状は、1mm×9mm、1.5mm×20mm等の各種あるが、設計変更は可能である。現状の厚みは0.3mm程度であるが、シリコン基板を切削して50μm程度まで薄くすることができる。表示制御用CPU11も同様に薄片化できる。
【0047】
次に、電極121が形成された表示媒体基材15に表示媒体(例として、電子粉流体)を形成する。表示媒体を形成とは、電極間を一定間隔に保つリブ(隔壁)を形成することや電子粉流体を充填する工程等が含まれる。ただし、リブは形成しない場合もある。
その後、表示媒体基材15と部品実装基板16とを位置合わせして貼り合わせし、表示部12の4周囲を封止する。電極121と電極122間の間隔は、数十μmから数百μmに調製可能であるが、間隔を広くすればディスプレイ12の厚みが増加し、印加電圧も大きくなる問題がある。逆に狭くなればコントラストが低下する問題がある。表示媒体基材15と部品実装基板16の基材厚みを含めた表示部12の全体厚みは、一般的には20μm〜450μm程度になる。
なお、図7、図8、図9は表示媒体基材15や部品実装基板16の相対的な位置関係を示すものなので、表示媒体基材15が上側に図示されていたとしても、電子粉流体が落下しないように下側等にして、加工を施すことは自明のことである。
【0048】
[実装順序(2)の場合](図8)
実装順序(2)の場合は、電極122を形成した部品実装基板16に表示媒体(例として、電子粉流体)を充填する。その後、表示媒体基材15と部品実装基板16とを位置合わせして貼り合わせし、表示部12の4周囲を封止する。封止後、部品実装基板16に、表示制御用CPU11やドライバIC13v,13hを実装する。
【0049】
[実装順序(3)の場合](図9)
実装順序(3)の場合は、まず、電極パターン122が形成された部品実装基板16に、表示制御用CPU11やドライバIC13v,13hを実装する。次に、部品実装基板16に表示媒体(例として、電子粉流体)を充填する。その後、表示媒体基材15と部品実装基板16とを位置合わせして貼り合わせし、表示部12の周囲を封止する。
【0050】
実装順序(1)、(2)、(3)のいずれの場合も、表示媒体基材15の電極121は部品実装基板16のドライバIC13とは同一平面にはないので、接続FPCにより接続する工程が必要になる。以上の工程の後、表示部12付き部品実装基板16を、ICカードの基体中に埋設して、ICカード化する工程を行うことになる。
【0051】
実装順序(1)と(3)の場合は、部品実装基板16にドライバIC等を先に実装するため、表示媒体に対する実装工程において加える熱(リフロー等)の影響を回避できる。また、部品実装基板16の表面洗浄や実装後の洗浄も可能となる利点がある。ただし、パネル形成工程において不良が発生すると、CPU、ドライバIC等の部品がロスとなり、製造単価(コスト)上昇につながる。また、既に部品が実装済みの基材に表示媒体を形成する工程上の制約事項が多くなる問題がある。
実装順序(2)の場合は、パネル形成工程において不良が発生しても、CPU、ドライバIC等の部品実装前のためロスを最小限にすることができる。表示媒体を形成する工程上の制約事項が少なくなる利点もある。逆に、表示媒体基材15及び表示媒体、封止材等が、部品実装工程に対する耐性(耐熱性、耐溶剤性、耐水性など)が必要となる課題が生じる。
【0052】
[材質に関する実施形態]
(部品実装基板について)
部品実装基板16には、ディスプレイの電極122が形成されるとともに、ドライバIC等の各種部品が実装される。また、表示付きICカード1のコア基材ともなる材料である。従って、寸法安定性や平滑性、ある程度の耐熱性のある材料が求められる。このような特性を満たす材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン、非晶性ポリエステル(PET−G)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル、硬質塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、トリアセテート等のシートを挙げることができる。厚みは、10μmから200μm程度が適切である。
【0053】
(表示媒体基材について)
部品実装基板16と同様の材質を使用できるが、薄型ディスプレイ12の観察側となる基材であるため、可視光の透過率が高くかつ強度および耐熱性のある基材が必要となる。厚みは、10μmから250μm程度が適切である。薄すぎると、強度や基板間の間隔均一性を保ち難くなる。
【0054】
図10は、表示付き非接触式ICカード用のアンテナ付きディスプレイモジュール、図11は、表示付き接触・非接触複合式ICカード用のアンテナ付きディスプレイモジュールを示す図である。表示付き非接触式ICカード1では、ディスプレイモジュール10にアンテナコイル4を同時に形成するのが、その後のICカードの製造に便利である。
図10は、表示部12の周囲にアンテナコイル4を形成した例であるが、表示部12を囲むようにアンテナコイル4を形成することには限られない。非接触式ICカードは、接触端子板6を持たないので、表示部12の位置が特に規制されることはないが、ICカード用ICチップ3とアンテナコイル4の位置を避けて形成する必要がある。
【0055】
表示付き接触・非接触複合式ICカード1では、接触端子板6を持つので、表示部12は当該位置を避けて形成する必要がある。図11も、例として表示部12の周囲にアンテナコイル4を形成した例である。アンテナコイル4のアンテナ端子8a,8bは、ISOが規定する接触端子板6の下面位置に臨むように形成しておき、後に、ICカード用ICモジュールの非接触インターフェース用端子板と接続する。表示制御用CPU11への接続端子7tや図示しない書換電圧供給用端子を形成しておくことも好ましい。ICカード用ICモジュールとの接続は、設計仕様によりなお多数の接続が必要になる。
【0056】
表示部12は、コレステリック液晶を単純マトリクス回路を形成した基材に塗工して、パッシブ駆動してもよく、マイクロカプセル型電気泳動方式を用いた表示部とすることもできる。コレステリック液晶を用いる場合は、配向状態をプレーナ状態とフォーカルコニック状態との間で変化させて、光を透過または反射させることにより所定の情報を表示させるものである。例えば、プレーナ状態の反射光の波長帯域を550nm付近とし、液晶層の下に光吸収層(黒)を設け、背景色の黒色と緑色の表示を行うことができる。
【0057】
電子粉流体は、QR−LPD(Quick Response−Liquid Powder Display)ともいわれ、株式会社ブリヂストンが開発している。
このものは、粒子と液体の中間的な特性を備え、浮遊状態に匹敵する高流動性を有し、かつ電気に敏感に反応する白と黒の電子粉流体をパネル内に納めて、前面板の電圧を背面板より高くすると、白い電子粉流体が前面板側に移動しディスプレイは白く見えるようになり、その逆の電圧にすると黒い電子粉流体が前面板側に移動しディスプレイは黒く見えるものである。表示駆動電圧でパッシブ駆動する。白黒の切り替えが0.2msec以内で行われるといわれる。
【0058】
図15は、電子粉流体を使用したディスプレイを示す断面図である。
透明な前面基材12aと背面基材12bの間に黒の電子粉流体2bと白の電子粉流体2wを封入した構造になっている。黒の電子粉流体2bはプラスに、白の電子粉流体2wはマイナスに帯電している。前面基材12aと背面基材12bの内面側には、ITOによる透明マトリックス電極121、122が形成されている。前面基材12aの電圧を背面基材12bよりも高くすると、白い電子粉流体2wが前面基材12a側に移動するので、前面基材12a側から見れば、ディスプレイは白く見え(図15(A))、その逆の電圧にすると黒い電子粉流体2bが前面基材12a側に移動しディスプレイは黒く見えるようになる(図15(B))。マトリックス駆動による白と黒のドットの組み合わせにより文字(ひらがな、英数字、漢字)や画像の表示が可能となる。
前面基材12aと背面基材12bの間は空気で満たされ、リブ2rにより一定の間隔に保たれている。従来、前面と背面基材にはガラス板が使用されていたが、最近、プラスチックシートを使用したフレキシブル構造が可能となった。
【0059】
表示部12は、縦25〜40mm×横30〜50mm程度の大きさにするのが、表示量を十分にし見易い表示とする上で好ましい。電子粉流体の場合は黒と白の2色表示となり、コレステリック液晶(含カイラルネマチック液晶)の場合は任意の選択反射波長(色)とパネルの背景色(選択反射をせず透過)の2色表示を採用できる。
もっとも、コレステリック液晶電子ペーパーは表示パネルを積層することによりカラー表示も可能である。解像度は、100〜110dpiを実現できる。
【0060】
電子ペーパーの電力消費は表示書き換え時のみで、電力消費なしで表示画面を保持でき、ディスプレイの視認性も確保できる。1画面の書き換え時間は表示部12程度(縦25〜40mm×横30〜50mm)の大きさの場合、実行開始から10秒以内に可能である。
【0061】
次に、表示付きICカードの製造方法を、図12、13、14を参照して説明する。
図12は、表示付き接触式ICカード1の概略断面構造を示す図である。概略図であり、ドライバIC13や部品実装基板16の詳細配線構造は図示していない。
表示付き接触式ICカード1の製造は、前記のようにディスプレイモジュール10を完成した後、他の構成材料を積層してICカード基体20を完成する。
【0062】
図12の場合、厚み200μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートを部品実装基板16に使用し、厚み125μmのPETシートを表示媒体基材15に使用して、ディスプレイモジュール10としたものである。表示媒体基材15の内面に電極121が部品実装基板16の内面に電極122が、相互に直交するように形成されている。図12では図示の都合上、上側の電極が表示付きICカード1の短辺に平行するように図示されているが、これに限られるものではない。薄型ディスプレイ12の内面には、電極間の間隔を維持するリブが形成され、電子粉流体が充填されているが図示されていない。
ディスプレイモジュール10の表示部12以外の領域には、表示制御用CPU(チップ化されたもの)11と図示しないドライバICIC13v,13hが実装され、それぞれプリント配線または接続FPCにより接続されている。
【0063】
ディスプレイモジュール10の表面側の表示部12以外の部分には、厚み50μmの接着層21を介して、厚み280μmのPET−G製スペーサシート23を積層し、表示部12を含む観察側には、厚み80μmのPET製オーバーシート25が透明接着層24を介して積層されるようにした。ディスプレイモジュール10の背面側には、接着層22を介して厚み80μmのPET製オーバーシート26が積層されている。これらの積層材料を仮積みしてからプレスやラミネート加工して、一体のICカード基体20とし、全体の厚みがプレス後に750μmから800μmになるようにした。なお、加工工程において必要に応じて熱を加えながらプレスやラミネート加工を行っても良い。
【0064】
接着層21とスペーサシート23には、表示部12の平面面積に相当する貫通孔と表示制御用CPU11を納める貫通孔を設けて、それぞれの厚みを吸収するようにした。これにより、表示付きICカード1表面を平坦化することができる。
ICモジュール5は、ICカード基体20を一体にした後、ICモジュール装着用凹部28を掘削して装着したものである。ICモジュール5の接触型ICチップ2から導かれる表示出力端子7tは導通用凹孔9に充填された導電性接着剤等により表示制御用CPU11に接続している。ICチップ2やワイヤ接続部はモールド樹脂29により封止されて保護されている。図12では、図示の都合により単一の接続のみが図示されているが、実際には複数の出力端子(表示用と電源供給用)と複数本の導通用凹孔9による接続が必要になる。
【0065】
表示付きICカードの従来構造では、ディスプレイモジュール10が部品としてICカード基体内に挿入されていたので、ICカード1の全体の厚みが大きくならざるを得なかったことが理解できると考える。しかも、ディスプレイモジュール10がICカード全体の大きさはなく、一部の面積を占めるサイズであったため、ディスプレイモジュール10以外の部分に他の材料を充填して均一厚みにする必要やドライバICとディスプレイモジュール10との接続により、不安定な構造を生じていたことは前述のとおりである。
【0066】
図13は、表示付き非接触式ICカード1の概略断面構造を示す図である。
表示付き非接触式ICカード1の製造は、前記のようにアンテナコイル4と非接触ICチップ3、表示制御用CPU11とドライバIC13v,13h付きディスプレイモジュール10を完成した後、他の構成材料と共にICカード基体20に一体に組み込みする。表示付き非接触式ICカード1の層構成は、図12の表示付き接触式ICカード1と同一のものとしている。ICカード基体20の全体の厚みも同様となる。
【0067】
接着層21とスペーサシート23には、表示部12の平面面積に相当する貫通孔と表示制御用CPU11と非接触ICチップ3を納める貫通孔を設けて、それぞれの厚みを吸収するようにされていることも同様である。
表示付き非接触式ICカード1では、非接触ICチップ3がアンテナコイル4に接続している。アンテナコイルの他の一端も非接触ICチップ3に接続しているが、図13では、非接触ICチップ3と表示制御用CPU11間の配線と重複するので、明瞭には図示することができない。
【0068】
図14は、表示付き接触・非接触複合式ICカード1の概略断面構造を示す図である。 表示付き接触・非接触複合式ICカード1の製造は、アンテナコイル4と表示制御用CPU11とドライバICIC13v,13h付きディスプレイモジュール10を完成した後、他の構成材料と共にICカード基体20に一体に組み込みする。表示付き非接触式ICカード1の層構成は、図12の表示付き接触式ICカード1と同一のものとし、ICカード基体20の全体の厚みも同様になるようにしている。
【0069】
接触・非接触複合式ICモジュール5は、ICカード基体20を一体にした後、ICモジュール装着用凹部28を掘削して装着したものである。ICモジュール5のICチップ2から導かれるアンテナ端子8a,8bは導通用凹孔9に充填された導電性接着剤等によりアンテナコイル4の両端に接続している。表示出力端子7も導通用凹孔9に充填された導電性接着剤等により表示制御用CPU11に接続しているが、図14では図示されていない。複数の出力端子(表示用と電源供給用)と複数本の導通用凹孔9による接続が必要になるのは、図12の表示付き接触式ICカード1の場合と同様である。
【0070】
以上、本発明の表示付きICカード等について、主として電子粉流体を使用する例について説明してきたが、電子粉流体以外の材料を使用する表示付きICカードであっても、単純マトリクスを使用するパッシブ型ディスプレイを備えるICカードに、本発明を適用できることは当業者には自明のことである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の表示付きICカードの外観斜視図である。
【図2】表示付き接触式ICカードに使用するディスプレイモジュールの構成を示す図である。
【図3】表示付き非接触ICカードに使用するディスプレイモジュールの構成を示す図である。
【図4】表示付き接触式ICカードのブロック図である。
【図5】表示付き非接触式ICカードのブロック図である。
【図6】表示付き非接触式ICカードのブロック図である。
【図7】ディスプレイモジュールの製造工程を示す図である。
【図8】ディスプレイモジュールの製造工程を示す図である。
【図9】ディスプレイモジュールの製造工程を示す図である。
【図10】表示付き非接触式ICカードのディスプレイモジュールを示す図である。
【図11】表示付き接触・非接触式複合式ICカードの表示付きディスプレイモジュールを示す図である。
【図12】表示付き接触式ICカードの概略断面構造を示す図である。
【図13】表示付き非接触式ICカードの概略断面構造を示す図である。
【図14】表示付き接触・非接触複合式ICカードの概略断面構造を示す図である。
【図15】電子粉流体を使用したディスプレイを示す断面図である。
【図16】従来の薄型表示付き接触式ICカードの実装構造を示す図である。
【図17】従来の薄型表示付き接触式ICカードの実装構造を示す図である。
【図18】従来の薄型表示付き非接触式ICカード実装構造を示す図である。
【図19】従来の薄型表示付き非接触式ICカード実装構造を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 表示付きICカード
2 接触型ICチップ
3 非接触ICチップ
4 アンテナコイル
5 ICモジュール
6 接触端子板 7t 表示出力端子
8a,8b アンテナ端子
9 導通用凹孔
10 ディスプレイモジュール
11 表示制御用CPU
12 薄型ディスプレイ、表示部
12a 前面基材
12b 背面基材
13,13v,13h ドライバIC
14a,14b 接続FPC
15 表示媒体基材
16 部品実装基板
17 共振用コンデンサ
18 整流回路・共振回路
19 昇圧/分圧回路
20 ICカード基体
21,22 接着層
23 スペーサシート
25,26 オーバーシート
28 ICモジュール装着用凹部
29 モールド樹脂
30 リーダライタ(接触)
31 リーダライタ(非接触)
32 コンピュータ(PC)
33 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示付きICカードとディスプレイモジュール、ディスプレイモジュールの製造方法に関する。詳しくは、表示付きICカードが単純マトリクス(パッシブタイプ)からなる薄型ディスプレイを備え、該薄型ディスプレイの1の対向電極がドライバIC等が実装された部品実装基板と同一基板に形成されていることを特徴とする表示付きICカード等に関する。
【背景技術】
【0002】
接触式ICカードや非接触式ICカードは携帯の利便性と多量な情報蓄積性、偽造に対する安全性等から広範に使用されている。特に、非接触ICカードは外界のリーダライタと簡易迅速に交信して読み取りできる特性から、近年特に広範に使用されてきている。
しかし、従来のICカードはその担持する情報内容を視覚的に表示する機能を持たないことが指摘されている。すなわち、利用者がICカードの利用期限や残高金額等をICカード自体の表面で直接視認できない問題がある。
【0003】
ICカード表面に可逆性感熱記録層を設け、所望のデータを可視情報としてカード表面に表示させることが行われる場合もあるが、表示データを形成するためには専用の外部リーダライタが必要であり、ICカード単独では情報の表示、消去、書き換えを自由に行うことができない。また、繰り返し印字性が乏しい問題がある。
【0004】
液晶表示装置をICカードに設けるという提案もされ、一部では開発や試作も行われている。しかし、液晶表示装置の表示方式によっては、液晶材料が封入されたセルやその他に偏光板や保護層も必要となり、適合させるICカードの規格等との関係で、表示装置自体の厚さをある程度まで薄くする対策が必要になることや、液晶表示装置自体を薄くできても、ガラス等の基板を使用するため屈曲性がない問題がある。また、その駆動には高い電圧と多大の電力消費をするため、ICカードに電池類を備えておく必要が生じること、電池類を備える場合はその交換や廃棄の問題を生じる、等の問題があった。
【0005】
これらに鑑みて、ICカードの表面に従来の液晶表示装置よりは薄型で電力消費が少なく、かつ持続性あるディスプレイを設けることが提案されている。すなわち、ツイストボール方式、電気泳動方式(マイクロカプセル型電気泳動方式等)、磁気泳動方式、電子粉流体方式、帯電トナー型表示方式、液晶表示方式(コレステリック液晶、カイラルネマチック液晶、ポリマー分散型液晶等)、電解析出方式、エレクトロクロミック方式、フィルム移動方式、電荷移動型表示方式、干渉制御方式、等である。
特に、近年開発された電子粉流体(登録商標)を使用した電子ペーパーは消去可能、多数回の書き換えが可能で、かつ電源遮断後にも表示を持続するメモリー性を有すること、屈曲性ある薄型ディスプレイにできることからICカード用ディスプレイとしての実用が期待されている。以下は、主として電子粉流体を例として説明する。
【0006】
ここで、上記薄型表示付きICカードにおける従来の実装構造について検討する。
図16、図17は、従来の薄型表示付き接触式ICカードの実装構造を示す図である。 図16は両面接続の場合、図17は片面接続の場合を示している。図16(A)と図17(A)は平面図、図16(B)は図16(A)のA−A線断面図、図17(B)は、図17(A)のC−C線断面図、図16(C)は図16(A)のB−B線断面図である。
なお、両面接続とは対向するマトリクスの両電極の垂直方向電極と水平方向電極のそれぞれに対して個別に接続する方法をいい、片面接続とは両方向の電極を垂直または水平方向の電極が形成された何れか一方の基材で接続し、その後、他方の基材に対してはディスプレイ内で接続させる形態をいう。図18と図19は、同様に従来の薄型表示付きICカードであるが、非接触式の実装構造を示す図である。
【0007】
薄型表示付き接触式ICカード1Cの両面接続では、図16(A)のように、ICカード基体20内に表示制御用CPU11と薄型ディスプレイ12、垂直方向と水平方向駆動用集積回路チップ(以下、「ドライバIC」という。)13v,13h、ドライバICと薄型ディスプレイ12を接続するフレキシブルプリント回路(以下、「接続FPC」とする。)14a,14bを備えている。通常、表示制御用CPU11とドライバIC13v,13hは、部品実装基板16として一枚の基板に実装されている。
図16の場合は、薄型ディスプレイ12に対して垂直方向ドライバIC13vと水平方向ドライブIC13hの双方が両面接続する形態であるため、2個のドライバICが部品実装基板16に実装され、それぞれのドライバIC13v,13hから接続FPC14a,14bを介して薄型ディスプレイ12に接続している。
【0008】
図16(B)の断面図のように、薄型ディスプレイ12は2層の表裏基材12a,12bからなり、2層の基材12a,12bの内面に、単純マトリクスを構成する対向電極を、一方の電極が他方の電極に直交するように形成している。この2層の表裏基材12a,12bの対向電極間に表示媒体(電子粉流体等)が納められている。
従って、垂直方向電極は下側の基材にあり、図16(B)のA−A線断面では、接続FPC14bが下側の基材12bの張り出し部に接続し、水平方向電極は上側の基材12aにあり、図16(C)のB−B線断面では接続FPC14bが上側の基材12aの張り出し部に接続している。各張り出し部には所定本数の電極が導かれている。接続FPC14a,14bと張り出し部の間は、図示しない膜状のACF(Anisotropic Conductive Film)により接続されている。接続FPC14a,14bはさらに、ACFを使用し同様にして部品実装基板16に接続している。
図16(B)(C)の断面図から見ても明らかなように、部品実装基板16と薄型ディスプレイ12間の接続は不安定な構造になっている。
なお、薄型ディスプレイはその一方もしくは両方をFPCを介さず部品実装基板と直接ACF等の手段を用いて接続しても良い。
【0009】
図17も薄型表示付き接触式ICカードであるが、片面接続の形態である。垂直方向電極と水平方向電極は薄型ディスプレイ12の内部で分岐するようにされている。従って、下側の基材12bの張り出し部には、図16の場合の14aと14bの合計の数の電極が導かれる。
図17(A)のように、1個のドライバIC13が部品実装基板16内に納められているが、水平と垂直のドライバ機能を兼ねるものである。電極と接続FPC14、および接続FPC14と部品実装基板16の間は、ACFにより接続されている。図17(B)の断面図ように、部品実装基板16と薄型ディスプレイ12間が不安定な構造であるのは、図16の場合と同様である。また、薄型ディスプレイはFPCを介さず部品実装基板と直接ACF等の手段を用いて接続しても良い。
なお、CPU11は、表示制御用CPUであるが、図示しないICカード用ICモジュールのICチップが表示制御機能を兼ねる場合は、別途に設ける必要はない。図16の場合も同様である。
【0010】
図18と図19は、従来の薄型表示付き非接触式ICカードであるが、図18は両面接続の場合、図19は片面接続の場合を示している。いずれも非接触式ICカードであるため、カード基体20内に非接触インターフェース用アンテナコイル4を有している。
表示制御用CPU11は、ICカード用ICモジュールのICチップが兼ねる形態として図示されているので、アンテナコイル4に接続している。整流回路・共振回路18は部品実装基板16内の部品として図示されているが、CPUを備えるICカード用ICモジュールのICチップ内に組み込みされていても良いものである。
図18と図19の断面構造は図示していないが、図16と図17の図示から容易に類推できると考えられる。
【0011】
従来の表示付きICカードは、上述のような構造にされているので、薄層のICカード基体20内に、多数の構成基材や部品を組み込む必要があり、ISOで規定するカード厚み(0.76±0.08mm)に完成するのは困難な状況があった。そこで本発明は、単純マトリクスからなるディスプレイを有するICカードにおいて、当該対向電極のいずれかの1の電極を前記ディスプレイ用ドライバICを実装した部品実装基板と同一基板に形成して、カード厚みの低減を企図するものである。
また、情報を表示するICカードモジュールの製造及びその取り扱い(ハンドリング)を容易にすることをも目的とするものである。
【0012】
ここで関連する先行技術について検討する。特許文献1は、半導体装置とその製造方法に関し、表示素子付きICカードの各種実施形態を示しているが、本発明のようにパッシブタイプディスプレイの1の対向基板がドライブ回路と同一平面にされている構成を記載していない。特許文献2は、電気泳動方式マイクロカプセル型表示素子を使用するICカードに関するが、同様に本願の構成を記載してはいない。特許文献3も特許文献2と同様のICカードであるが、本発明の構成を記載していない。特許文献4は、表示付き非接触ICカード等に関するが、液晶表示に関するものである。なお、電子粉流体を用いる電子ペーパーに関しては、特許文献5、特許文献6等がある。
【0013】
【特許文献1】特開2003−123047号公報
【特許文献2】特開2003−271911号公報
【特許文献3】特開2005− 92488号公報
【特許文献4】特開2003− 44808号公報
【特許文献5】特開2005−326436号公報
【特許文献6】特開2007− 47262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
単純マトリクスからなるディスプレイを有する表示付きICカードにおいて、当該対向電極のいずれかの1の電極が前記ディスプレイ用ドライバICを実装した基板と同一基板面に形成して、カード厚みの低減を図ると共に、ICカードモジュールの製造及びその取り扱い(ハンドリング)性の向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、接触式、非接触式、接触・非接触複合式のいずれか1の通信手段と、該通信手段により得られた情報を記憶し処理する半導体装置と、電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイとを備えるICカードにおいて、前記ディスプレイが単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備え、前記対向電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基板面に実装されていることを特徴とする表示付きICカード、にある。
【0016】
上記表示付きICカードにおいて、ディスプレイの表示制御用CPUが、部品実装基板に実装されている、ようにすることができ、前記ディスプレイが電子粉流体を用いたものである、ようにすることもできる。
【0017】
上記課題を解決する本発明の要旨の第2は、ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるものにおいて、前記対向電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基板面に実装されていることを特徴とするディスプレイモジュール、にある。
【0018】
上記ディスプレイモジュールにおいて、ディスプレイの表示制御用CPUが、基材面に実装されている、ようにすることができ、前記ディスプレイが電子粉流体を用いたものである、ようにすることもできる。
【0019】
上記課題を解決する本発明の要旨の第3は、非接触式または接触・非接触複合式ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるものにおいて、前記対向電極のいずれかの1の電極と非接触通信用アンテナコイルが、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基材面に実装されていることを特徴とするディスプレイモジュール、にある。
【0020】
上記ディスプレイモジュールにおいて、ディスプレイの表示制御用CPUが、部品実装基板の基材面に実装されている、ようにすることができる。
【0021】
上記課題を解決する本発明の要旨の第4は、ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるディスプレイモジュールの製造方法において、(1)前記対向電極のいずれかの1の電極を、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成する工程と、(2)前記対向電極の他の1の電極を、ディスプレイ表示域と実質的に同一面積になるように前記部品実装基板の一部の面積を有する表示媒体基材に形成する工程と、(3)部品実装基板または表示媒体基材の何れかに電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイを形成する工程と、(4)部品実装基板と表示媒体基材とを位置合わせして重ね、重ね合わせしたその周囲を密封してシールする工程と、
(5)ディスプレイ用ドライバICを当該部品実装基板に実装する工程と、を有することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法、にある。
【0022】
上記課題を解決する本発明の要旨の第5は、非接触式ICカードまたは接触・非接触複合式ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるディスプレイモジュールの製造方法において、(1)前記対向電極のいずれかの1の電極を、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成し、かつ非接触通信用アンテナコイルを前記一部の領域外に形成する工程と、(2)前記対向電極の他の1の電極を、ディスプレイ表示域と実質的に同一面積になるように前記部品実装基板の一部の面積を有する表示媒体基材に形成する工程と、(3)部品実装基板または表示媒体基材の何れかに電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイを形成する工程と、(4)部品実装基板と表示媒体基材とを位置合わせして重ね、重ね合わせしたその周囲を密封してシールする工程と、(5)ディスプレイ用ドライバICを当該部品実装基板に実装する工程と、を有することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法、にある。
【0023】
上記ディスプレイモジュールの製造法方法において、製造工程(5)の工程において、ディスプレイ用ドライバICの実装と同様に表示制御用CPUを部品実装基板に実装することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の表示付きICカード(請求項1)は、表示部に単純マトリクスからなる薄型ディスプレイを使用し、その1の対向電極がドライバICが実装された部品実装基板と同一基板に形成されているので、別工程で完成した薄型ディスプレイを部品として組み込む必要がなく、ICカードの厚みを薄くでき、ISO規格に準じた厚みとすることができる。 また、ICカードモジュールの製造及びその取り扱い(ハンドリング)が容易になる。
【0025】
本発明のディスプレイモジュール(請求項3)は、部品実装基板に表示用ディスプレイの1の対向電極が形成されているので、取り扱いが容易であり、ISO規格に準じた厚みのICカードの製造を容易にすることができる。
本発明のディスプレイモジュール(請求項4)は、部品実装基板に表示用ディスプレイの1の対向電極が形成され、かつアンテナコイルも形成されているので取り扱いが容易であり、ISO規格に準じた厚みの非接触ICカードの製造を容易にすることができる。
【0026】
本発明のディスプレイモジュールの製造方法(請求項6)によれば、ICカードに使用し易いディスプレイモジュールを容易に製造することができる。
本発明のディスプレイモジュールの製造方法(請求項7)によれば、非接触式ICカードまたは接触・非接触複合式ICカードに使用し易いディスプレイモジュールを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明の表示付きICカードの外観斜視図、図2は、表示付き接触式ICカードに使用するディスプレイモジュールの構成を示す図、図3は、表示付き非接触式ICカードに使用するディスプレイモジュールの構成を示す図、図4は、表示付き接触式ICカードのブロック図、図5と図6は、表示付き非接触式ICカードのブロック図、図7、図8、図9は、ディスプレイモジュールの製造工程を示す図、図10は、表示付き非接触式ICカードのディスプレイモジュールを示す図、図11は、表示付き接触・非接触式複合式ICカードのディスプレイモジュールを示す図、図12は、表示付き接触式ICカードの概略断面構造を示す図、図13は、表示付き非接触式ICカードの概略断面構造を示す図、図14は、表示付き接触・非接触複合式ICカードの概略断面構造を示す図、図15は、電子粉流体を使用したディスプレイを示す断面図、である。
【実施例】
【0028】
図1は、本発明の表示付きICカード1の外観斜視図であるが、図1(A)は接触式と接触・非接触複合式を示し、図1(B)は非接触式の外観を示している。
接触式と接触・非接触複合式の場合は、カード表面に接触端子板6を有し、同じく薄型ディスプレイ12を有している。接触・非接触複合式は、ICカード基体20内に非接触インターフェースとなるアンテナコイル(破線)4を有するが、外観には現れないので、接触式と接触・非接触複合式の双方は同一外観を呈する(図1(A))。なお、接触式単機能の場合は、もちろんアンテナコイル(破線)4を有していない。
非接触式の場合は、ICカード基体20内にアンテナコイル(破線)4を有するが、接触端子板6を持たず、非接触ICチップ3も埋設されているので、薄型ディスプレイ12のみが表示付きICカード1の表面に現れる(図1(B))。これらの外観は、厚みに関する以外は従来の通常の薄型表示付きICカードと同様のものである。
【0029】
図2は、表示付き接触式ICカードに使用するディスプレイモジュール10の構成を示す図である。本発明はディスプレイモジュールに特徴があるため、以下、説明する。
ディスプレイモジュール10は、ドライバIC等を実装した部品実装基板16を有し、その部品実装基板16自体に薄型ディスプレイ12の下側電極(例として、垂直方向)122が形成されている特徴がある。後述のように、薄型ディスプレイ12の上側電極121を形成し、表示媒体を形成した基材を重ね合わせてシールするので、薄型ディスプレイ12付き基板と考えてもよい。
また、垂直方向ドライバIC13vと水平方向ドライブIC13hの双方と表示制御用CPU11が当該部品実装基板16に実装されている。片面接続の場合は双方向のドライブ機能を有するドライブICが1個のみ実装されればよい。
【0030】
下側の電極(垂直方向)122部の上には、カード表面からの観察側になる上側の電極(例として、水平方向)121が形成された基材が積層されている。以下、この上側の電極基材を表示媒体基材15ということとする。表示媒体基材15は薄型ディスプレイ12と実質的に同サイズなので、部品実装基板16の一部を占める面積となる。
表示媒体基材15と部品実装基板16の間には、図示しない表示媒体(電子粉流体)が充填されて表示機能を発揮することになる。なお、上記において、いずれの基板または基材が、垂直方向または水平方向電極を有するものとしても実用的には構わない。
【0031】
なお、図2には図示してないが、ICカード用ICモジュールから表示制御用CPU11への配線、表示制御用CPU11からドライバIC13v,13hへの配線、ドライバIC13vから下側電極への配線も部品実装基板16に組み込まれているものである。
CPU11やドライバIC13v,13h等の実装は異方性導電接着剤等により配線部に固定する方法等が採用される。ただし、ドライバIC13hと上側電極は同一平面にはないので、別途、接続FPCにより接続することになる。
【0032】
また、図2において、上側の電極は利用者が表示を観察する側になるので、透明基材と透明電極材料を使用する必要がある。通常ITO(Indium Tin Oxide;In−Sn−O)やIZO(In−Zn−O)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を使用できる。下側の電極は、特に制限されないが、透明電極材料であっても良く、不透明であっても良いので、銅や銀、アルミニウム、金、ニッケル、白金、その他の導電性材料を使用できる。
【0033】
図3は、表示付き非接触式ICカードに使用するディスプレイモジュール10の構成を示す図である。このディスプレイモジュール10は、上記図2の構成に加えて非接触インターフェースとしてアンテナコイル4を有する。図3の場合、表示制御用CPU11を図示しているが、この機能をICカード用非接触ICチップ3が兼ねるものであってもよい。表示付き接触・非接触複合式ICカード1の場合は図示していないが、非接触ICチップ3が接触・非接触兼用(デュアル)ICモジュールに置換されるだけで、ほぼ同様の構成になる。アンテナコイル4は、ディスプレイモジュール10と必ずしも同一の基板に形成する必要はないが同一基板にすれば、回路配線が容易になる。また、部品実装基板16の電極122とは反対側の面にアンテナコイル4を形成してもよいものである。
表示媒体基材15と部品実装基板16の電極間には表示媒体(電子粉流体)が形成されていること、および垂直方向ドライバIC13vと水平方向ドライブIC13hの双方と表示制御用CPU11が当該部品実装基板16に実装されていることは、図2の場合と同様である。
【0034】
なお、単純マトリクス(パッシブマトリクス)とは、表示部12の上下の基材に、それぞれ横(X軸方向)または縦(Y軸方向)の電極がストライプ状に相互に直交するように取り付けられており、XとYの2方向から電圧をかけることで、XとYの交点の表示素子を駆動させるというものである。交差する部分が画素になり、縦横の導線の組合せで目的とする複数の画素を同時に点灯できる。
アクティブマトリクス構造は、これに加えて各交点に「アクティブ素子」を配置したもので、X軸方向の導線の電圧によって、アクティブ素子のON/OFF状態が切り替わり、ON状態にあるときにY軸方向に電圧がかけられると交点にある目的の表示素子が点灯するというものである。
【0035】
図4は、表示付き接触式ICカードのブロック図である。図4(A)は両面接続の場合、図4(B)は片面接続の場合である。表示付き接触式ICカードの場合は、接触端子板6を介してリーダライタ30から直接電源の供給を受けることができる。
図4(A)の両面接続の場合、表示制御用CPU11はICカード用ICチップと一体または別体にされており垂直と水平の両方向信号を制御する。ドライバIC13v,13hに対する書換用電圧は、ICカード用ICチップが備える(一体の場合)表示制御用CPU11から昇圧/分圧回路19を介して、それぞれに供給される。表示信号は、ICチップのCPUからドライバIC13v,13hに分岐して出力される。
なお、ICカード用ICチップは、ICモジュールの接触端子板6の背面に装着されている。接触による通信手段と制御用CPU、および情報を記憶するRAM、ROM、EEPROM等の半導体(メモリ)装置、入出力装置を備えるものである。昇圧/分圧回路19も当該ICチップが備えるものであってよい。
なお、リーダライタ30は、さらに上位コンピュータ(PC)32またはネットワーク33に接続して表示信号を得るものとする。図5、図6も同様である。
【0036】
図4(B)の片面接続の場合、表示制御用CPU11とドライバ付きCPU13を備える。ドライバの垂直制御と水平制御はCPU13で一体になっており、両方向の書換用電圧と表示信号も一体にして供給され、ディスプレイドライバ付きCPU13により分割されてそれぞれの電極に供給される。
【0037】
図5と図6は、表示付き非接触式ICカードのブロック図である。なお、接触・非接触複合式の場合を図示しないが、電源の供給を接触端子板6を介して得るのが安定した電力が得られるので、図4の実施形態と考えることができる。
図5はICカード用非接触ICチップ3が表示制御用CPU11を兼ねる場合であって、図5(A)は両面接続の場合、図5(B)は同じく片面接続の場合である。
図6はICカード用非接触ICチップ3の他に表示制御用CPU11を別に備える場合であって、図6(A)は両面接続の場合、図6(B)は同じく片面接続の場合である。
【0038】
表示付き非接触式ICカード1の場合は、接触端子板6を持たないので、書換用電圧と表示信号を、アンテナコイル4を介して、非接触リーダライタ31から電磁波を介して供給されることになる。共振用コンデンサ17はアンテナコイル4とによりLC共振回路を形成するものである。ICチップ3内に容量素子を備える場合や回路の浮遊容量が代用される場合もある。通常、CPU等の駆動電力は整流回路を介してチップ内にのみ供給されるが、表示付き非接触式ICカード1内に電源電池等を備えないので、表示書換用電圧をも電磁波から得るものとする。
【0039】
図5の場合、非接触ICチップ3が表示制御用CPU11を兼ねるので、表示信号はCPU11からドライバIC13v,13hに直接送信される(図5(A))。
図5(B)の場合は、CPU付きドライバIC13に一括して送信される。その他の構成は、図4の場合と同様である。CPU付きドライバIC13とCPU11は機能を分担させたものとすることができる。
【0040】
図6の場合、ICカード用ICチップ3のCPUは表示制御機能を持たず、表示制御用CPU11を別途にICカード内に持たせた形態にされている。その他の構成は、図5と同様のものである。
【0041】
次に、ディスプレイモジュール10の製造工程を説明する。
まず、対向する電極パターン122を部品実装基板16に形成する(図2)。電極パターン122は、樹脂基板に金属箔をラミネートまたはめっきにより形成した金属材料を使用し、フォトエッチング等によりパターン形成するのが好ましい。金属材料には、アルミニウム、銀、ニッケル、銅等を使用できる。なお、銅の場合は、接続端子部に表面処理してSn(錫)めっき、またはNi(ニッケル)+Au(金)めっきするのが好ましい。
電極パターン121と共に、図示しないICカード用ICモジュールとの接続配線、表示制御用IC11とドライバIC13v,13h間の配線等も同時にエッチング形成するのが好ましい。表示制御用CPU11とドライバIC13v,13h間には、3本ないし数十本の配線が必要となる。
【0042】
非接触式や接触・非接触複合式の場合は、アンテナコイル4やコンデンサパターンを部品実装基板16に同時に形成することもできるが(図3)、別基材に形成してもよいものである。例えば、部品実装基板に重ねて使用する後述のスペーサシートに形成することもできる。コンデンサパターンを形成した場合は図示してないが、部品実装基板16自体を誘電体として使用し、その表裏にコンデンサパターンを形成することもできる。
【0043】
電極本数は表示部12の大きさや解像度により異なるが、50本から300本程度が適切な数となる。ディスプレイ表示部12の大きさを表示付きICカード1の長辺方向で、80mmとした場合、300本の電極で0.27mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.13mmとなる。同様に、200本の電極で0.40mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.20mmとなり、50本の電極で1.6mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.80mmとなる。また、ディスプレイ表示部12の大きさを同様に長辺方向で50mmとした場合、300本の電極で0.17mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.083mmとなる。同様に、200本の電極で0.25mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.13mmとなり、50本の電極で1.0mm間隔となり、ライン&スペース1:1として電極(画素)部0.50mmとなる。
【0044】
表示媒体基材(ディスプレイの上側の基材)15にも同様にして電極121を形成する(図2)。電極本数は、表示付きICカード1の短辺方向のディスプレイ表示部12の大きさにより、上記のように設定する。電極121は観察側になるので、前記のように透明導電性材料を使用する。表示媒体基材15には部品を実装しないが、両面接続の場合はFPCを接続する端子部分を設ける。
なお上記において、いずれの基板または基材が、垂直方向または水平方向電極を有するものであっても構わない。
【0045】
次に、電極形成後の実装順序について、図7、図 8、図9 を参照して説明する。図7は実装順序(1)の場合、図8は実装順序(2)の場合、図9は実装順序(3)の場合である。いずれも表示付き接触式ICカードの場合であるが、非接触式や接触・非接触複合式の場合は、部品実装基板16にアンテナコイル4やコンデンサパターンを加えて加工する以外は、ほぼ同様の工程で製造できる。
【0046】
[実装順序(1)の場合](図7)
まず、対向する電極パターン122を形成した部品実装基板16に、ドライバIC13v,13h、表示制御用CPU11等の部品を実装する。部品実装基板16には、図示しない電極122との接続配線も含まれるので全体を接続FPCと考えることもできる。
ドライバIC13v,13hは、ディスプレイ12の辺(縁部)に沿って実装することが多く細長の形状にされている。平面形状は、1mm×9mm、1.5mm×20mm等の各種あるが、設計変更は可能である。現状の厚みは0.3mm程度であるが、シリコン基板を切削して50μm程度まで薄くすることができる。表示制御用CPU11も同様に薄片化できる。
【0047】
次に、電極121が形成された表示媒体基材15に表示媒体(例として、電子粉流体)を形成する。表示媒体を形成とは、電極間を一定間隔に保つリブ(隔壁)を形成することや電子粉流体を充填する工程等が含まれる。ただし、リブは形成しない場合もある。
その後、表示媒体基材15と部品実装基板16とを位置合わせして貼り合わせし、表示部12の4周囲を封止する。電極121と電極122間の間隔は、数十μmから数百μmに調製可能であるが、間隔を広くすればディスプレイ12の厚みが増加し、印加電圧も大きくなる問題がある。逆に狭くなればコントラストが低下する問題がある。表示媒体基材15と部品実装基板16の基材厚みを含めた表示部12の全体厚みは、一般的には20μm〜450μm程度になる。
なお、図7、図8、図9は表示媒体基材15や部品実装基板16の相対的な位置関係を示すものなので、表示媒体基材15が上側に図示されていたとしても、電子粉流体が落下しないように下側等にして、加工を施すことは自明のことである。
【0048】
[実装順序(2)の場合](図8)
実装順序(2)の場合は、電極122を形成した部品実装基板16に表示媒体(例として、電子粉流体)を充填する。その後、表示媒体基材15と部品実装基板16とを位置合わせして貼り合わせし、表示部12の4周囲を封止する。封止後、部品実装基板16に、表示制御用CPU11やドライバIC13v,13hを実装する。
【0049】
[実装順序(3)の場合](図9)
実装順序(3)の場合は、まず、電極パターン122が形成された部品実装基板16に、表示制御用CPU11やドライバIC13v,13hを実装する。次に、部品実装基板16に表示媒体(例として、電子粉流体)を充填する。その後、表示媒体基材15と部品実装基板16とを位置合わせして貼り合わせし、表示部12の周囲を封止する。
【0050】
実装順序(1)、(2)、(3)のいずれの場合も、表示媒体基材15の電極121は部品実装基板16のドライバIC13とは同一平面にはないので、接続FPCにより接続する工程が必要になる。以上の工程の後、表示部12付き部品実装基板16を、ICカードの基体中に埋設して、ICカード化する工程を行うことになる。
【0051】
実装順序(1)と(3)の場合は、部品実装基板16にドライバIC等を先に実装するため、表示媒体に対する実装工程において加える熱(リフロー等)の影響を回避できる。また、部品実装基板16の表面洗浄や実装後の洗浄も可能となる利点がある。ただし、パネル形成工程において不良が発生すると、CPU、ドライバIC等の部品がロスとなり、製造単価(コスト)上昇につながる。また、既に部品が実装済みの基材に表示媒体を形成する工程上の制約事項が多くなる問題がある。
実装順序(2)の場合は、パネル形成工程において不良が発生しても、CPU、ドライバIC等の部品実装前のためロスを最小限にすることができる。表示媒体を形成する工程上の制約事項が少なくなる利点もある。逆に、表示媒体基材15及び表示媒体、封止材等が、部品実装工程に対する耐性(耐熱性、耐溶剤性、耐水性など)が必要となる課題が生じる。
【0052】
[材質に関する実施形態]
(部品実装基板について)
部品実装基板16には、ディスプレイの電極122が形成されるとともに、ドライバIC等の各種部品が実装される。また、表示付きICカード1のコア基材ともなる材料である。従って、寸法安定性や平滑性、ある程度の耐熱性のある材料が求められる。このような特性を満たす材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン、非晶性ポリエステル(PET−G)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル、硬質塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、トリアセテート等のシートを挙げることができる。厚みは、10μmから200μm程度が適切である。
【0053】
(表示媒体基材について)
部品実装基板16と同様の材質を使用できるが、薄型ディスプレイ12の観察側となる基材であるため、可視光の透過率が高くかつ強度および耐熱性のある基材が必要となる。厚みは、10μmから250μm程度が適切である。薄すぎると、強度や基板間の間隔均一性を保ち難くなる。
【0054】
図10は、表示付き非接触式ICカード用のアンテナ付きディスプレイモジュール、図11は、表示付き接触・非接触複合式ICカード用のアンテナ付きディスプレイモジュールを示す図である。表示付き非接触式ICカード1では、ディスプレイモジュール10にアンテナコイル4を同時に形成するのが、その後のICカードの製造に便利である。
図10は、表示部12の周囲にアンテナコイル4を形成した例であるが、表示部12を囲むようにアンテナコイル4を形成することには限られない。非接触式ICカードは、接触端子板6を持たないので、表示部12の位置が特に規制されることはないが、ICカード用ICチップ3とアンテナコイル4の位置を避けて形成する必要がある。
【0055】
表示付き接触・非接触複合式ICカード1では、接触端子板6を持つので、表示部12は当該位置を避けて形成する必要がある。図11も、例として表示部12の周囲にアンテナコイル4を形成した例である。アンテナコイル4のアンテナ端子8a,8bは、ISOが規定する接触端子板6の下面位置に臨むように形成しておき、後に、ICカード用ICモジュールの非接触インターフェース用端子板と接続する。表示制御用CPU11への接続端子7tや図示しない書換電圧供給用端子を形成しておくことも好ましい。ICカード用ICモジュールとの接続は、設計仕様によりなお多数の接続が必要になる。
【0056】
表示部12は、コレステリック液晶を単純マトリクス回路を形成した基材に塗工して、パッシブ駆動してもよく、マイクロカプセル型電気泳動方式を用いた表示部とすることもできる。コレステリック液晶を用いる場合は、配向状態をプレーナ状態とフォーカルコニック状態との間で変化させて、光を透過または反射させることにより所定の情報を表示させるものである。例えば、プレーナ状態の反射光の波長帯域を550nm付近とし、液晶層の下に光吸収層(黒)を設け、背景色の黒色と緑色の表示を行うことができる。
【0057】
電子粉流体は、QR−LPD(Quick Response−Liquid Powder Display)ともいわれ、株式会社ブリヂストンが開発している。
このものは、粒子と液体の中間的な特性を備え、浮遊状態に匹敵する高流動性を有し、かつ電気に敏感に反応する白と黒の電子粉流体をパネル内に納めて、前面板の電圧を背面板より高くすると、白い電子粉流体が前面板側に移動しディスプレイは白く見えるようになり、その逆の電圧にすると黒い電子粉流体が前面板側に移動しディスプレイは黒く見えるものである。表示駆動電圧でパッシブ駆動する。白黒の切り替えが0.2msec以内で行われるといわれる。
【0058】
図15は、電子粉流体を使用したディスプレイを示す断面図である。
透明な前面基材12aと背面基材12bの間に黒の電子粉流体2bと白の電子粉流体2wを封入した構造になっている。黒の電子粉流体2bはプラスに、白の電子粉流体2wはマイナスに帯電している。前面基材12aと背面基材12bの内面側には、ITOによる透明マトリックス電極121、122が形成されている。前面基材12aの電圧を背面基材12bよりも高くすると、白い電子粉流体2wが前面基材12a側に移動するので、前面基材12a側から見れば、ディスプレイは白く見え(図15(A))、その逆の電圧にすると黒い電子粉流体2bが前面基材12a側に移動しディスプレイは黒く見えるようになる(図15(B))。マトリックス駆動による白と黒のドットの組み合わせにより文字(ひらがな、英数字、漢字)や画像の表示が可能となる。
前面基材12aと背面基材12bの間は空気で満たされ、リブ2rにより一定の間隔に保たれている。従来、前面と背面基材にはガラス板が使用されていたが、最近、プラスチックシートを使用したフレキシブル構造が可能となった。
【0059】
表示部12は、縦25〜40mm×横30〜50mm程度の大きさにするのが、表示量を十分にし見易い表示とする上で好ましい。電子粉流体の場合は黒と白の2色表示となり、コレステリック液晶(含カイラルネマチック液晶)の場合は任意の選択反射波長(色)とパネルの背景色(選択反射をせず透過)の2色表示を採用できる。
もっとも、コレステリック液晶電子ペーパーは表示パネルを積層することによりカラー表示も可能である。解像度は、100〜110dpiを実現できる。
【0060】
電子ペーパーの電力消費は表示書き換え時のみで、電力消費なしで表示画面を保持でき、ディスプレイの視認性も確保できる。1画面の書き換え時間は表示部12程度(縦25〜40mm×横30〜50mm)の大きさの場合、実行開始から10秒以内に可能である。
【0061】
次に、表示付きICカードの製造方法を、図12、13、14を参照して説明する。
図12は、表示付き接触式ICカード1の概略断面構造を示す図である。概略図であり、ドライバIC13や部品実装基板16の詳細配線構造は図示していない。
表示付き接触式ICカード1の製造は、前記のようにディスプレイモジュール10を完成した後、他の構成材料を積層してICカード基体20を完成する。
【0062】
図12の場合、厚み200μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートを部品実装基板16に使用し、厚み125μmのPETシートを表示媒体基材15に使用して、ディスプレイモジュール10としたものである。表示媒体基材15の内面に電極121が部品実装基板16の内面に電極122が、相互に直交するように形成されている。図12では図示の都合上、上側の電極が表示付きICカード1の短辺に平行するように図示されているが、これに限られるものではない。薄型ディスプレイ12の内面には、電極間の間隔を維持するリブが形成され、電子粉流体が充填されているが図示されていない。
ディスプレイモジュール10の表示部12以外の領域には、表示制御用CPU(チップ化されたもの)11と図示しないドライバICIC13v,13hが実装され、それぞれプリント配線または接続FPCにより接続されている。
【0063】
ディスプレイモジュール10の表面側の表示部12以外の部分には、厚み50μmの接着層21を介して、厚み280μmのPET−G製スペーサシート23を積層し、表示部12を含む観察側には、厚み80μmのPET製オーバーシート25が透明接着層24を介して積層されるようにした。ディスプレイモジュール10の背面側には、接着層22を介して厚み80μmのPET製オーバーシート26が積層されている。これらの積層材料を仮積みしてからプレスやラミネート加工して、一体のICカード基体20とし、全体の厚みがプレス後に750μmから800μmになるようにした。なお、加工工程において必要に応じて熱を加えながらプレスやラミネート加工を行っても良い。
【0064】
接着層21とスペーサシート23には、表示部12の平面面積に相当する貫通孔と表示制御用CPU11を納める貫通孔を設けて、それぞれの厚みを吸収するようにした。これにより、表示付きICカード1表面を平坦化することができる。
ICモジュール5は、ICカード基体20を一体にした後、ICモジュール装着用凹部28を掘削して装着したものである。ICモジュール5の接触型ICチップ2から導かれる表示出力端子7tは導通用凹孔9に充填された導電性接着剤等により表示制御用CPU11に接続している。ICチップ2やワイヤ接続部はモールド樹脂29により封止されて保護されている。図12では、図示の都合により単一の接続のみが図示されているが、実際には複数の出力端子(表示用と電源供給用)と複数本の導通用凹孔9による接続が必要になる。
【0065】
表示付きICカードの従来構造では、ディスプレイモジュール10が部品としてICカード基体内に挿入されていたので、ICカード1の全体の厚みが大きくならざるを得なかったことが理解できると考える。しかも、ディスプレイモジュール10がICカード全体の大きさはなく、一部の面積を占めるサイズであったため、ディスプレイモジュール10以外の部分に他の材料を充填して均一厚みにする必要やドライバICとディスプレイモジュール10との接続により、不安定な構造を生じていたことは前述のとおりである。
【0066】
図13は、表示付き非接触式ICカード1の概略断面構造を示す図である。
表示付き非接触式ICカード1の製造は、前記のようにアンテナコイル4と非接触ICチップ3、表示制御用CPU11とドライバIC13v,13h付きディスプレイモジュール10を完成した後、他の構成材料と共にICカード基体20に一体に組み込みする。表示付き非接触式ICカード1の層構成は、図12の表示付き接触式ICカード1と同一のものとしている。ICカード基体20の全体の厚みも同様となる。
【0067】
接着層21とスペーサシート23には、表示部12の平面面積に相当する貫通孔と表示制御用CPU11と非接触ICチップ3を納める貫通孔を設けて、それぞれの厚みを吸収するようにされていることも同様である。
表示付き非接触式ICカード1では、非接触ICチップ3がアンテナコイル4に接続している。アンテナコイルの他の一端も非接触ICチップ3に接続しているが、図13では、非接触ICチップ3と表示制御用CPU11間の配線と重複するので、明瞭には図示することができない。
【0068】
図14は、表示付き接触・非接触複合式ICカード1の概略断面構造を示す図である。 表示付き接触・非接触複合式ICカード1の製造は、アンテナコイル4と表示制御用CPU11とドライバICIC13v,13h付きディスプレイモジュール10を完成した後、他の構成材料と共にICカード基体20に一体に組み込みする。表示付き非接触式ICカード1の層構成は、図12の表示付き接触式ICカード1と同一のものとし、ICカード基体20の全体の厚みも同様になるようにしている。
【0069】
接触・非接触複合式ICモジュール5は、ICカード基体20を一体にした後、ICモジュール装着用凹部28を掘削して装着したものである。ICモジュール5のICチップ2から導かれるアンテナ端子8a,8bは導通用凹孔9に充填された導電性接着剤等によりアンテナコイル4の両端に接続している。表示出力端子7も導通用凹孔9に充填された導電性接着剤等により表示制御用CPU11に接続しているが、図14では図示されていない。複数の出力端子(表示用と電源供給用)と複数本の導通用凹孔9による接続が必要になるのは、図12の表示付き接触式ICカード1の場合と同様である。
【0070】
以上、本発明の表示付きICカード等について、主として電子粉流体を使用する例について説明してきたが、電子粉流体以外の材料を使用する表示付きICカードであっても、単純マトリクスを使用するパッシブ型ディスプレイを備えるICカードに、本発明を適用できることは当業者には自明のことである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の表示付きICカードの外観斜視図である。
【図2】表示付き接触式ICカードに使用するディスプレイモジュールの構成を示す図である。
【図3】表示付き非接触ICカードに使用するディスプレイモジュールの構成を示す図である。
【図4】表示付き接触式ICカードのブロック図である。
【図5】表示付き非接触式ICカードのブロック図である。
【図6】表示付き非接触式ICカードのブロック図である。
【図7】ディスプレイモジュールの製造工程を示す図である。
【図8】ディスプレイモジュールの製造工程を示す図である。
【図9】ディスプレイモジュールの製造工程を示す図である。
【図10】表示付き非接触式ICカードのディスプレイモジュールを示す図である。
【図11】表示付き接触・非接触式複合式ICカードの表示付きディスプレイモジュールを示す図である。
【図12】表示付き接触式ICカードの概略断面構造を示す図である。
【図13】表示付き非接触式ICカードの概略断面構造を示す図である。
【図14】表示付き接触・非接触複合式ICカードの概略断面構造を示す図である。
【図15】電子粉流体を使用したディスプレイを示す断面図である。
【図16】従来の薄型表示付き接触式ICカードの実装構造を示す図である。
【図17】従来の薄型表示付き接触式ICカードの実装構造を示す図である。
【図18】従来の薄型表示付き非接触式ICカード実装構造を示す図である。
【図19】従来の薄型表示付き非接触式ICカード実装構造を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 表示付きICカード
2 接触型ICチップ
3 非接触ICチップ
4 アンテナコイル
5 ICモジュール
6 接触端子板 7t 表示出力端子
8a,8b アンテナ端子
9 導通用凹孔
10 ディスプレイモジュール
11 表示制御用CPU
12 薄型ディスプレイ、表示部
12a 前面基材
12b 背面基材
13,13v,13h ドライバIC
14a,14b 接続FPC
15 表示媒体基材
16 部品実装基板
17 共振用コンデンサ
18 整流回路・共振回路
19 昇圧/分圧回路
20 ICカード基体
21,22 接着層
23 スペーサシート
25,26 オーバーシート
28 ICモジュール装着用凹部
29 モールド樹脂
30 リーダライタ(接触)
31 リーダライタ(非接触)
32 コンピュータ(PC)
33 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触式、非接触式、接触・非接触複合式のいずれか1の通信手段と、該通信手段により得られた情報を記憶し処理する半導体装置と、電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイとを備えるICカードにおいて、前記ディスプレイが単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備え、前記対向電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基板面に実装されていることを特徴とする表示付きICカード。
【請求項2】
ディスプレイの表示制御用CPUが、部品実装基板に実装されていることを特徴とする請求項1記載の表示付きICカード。
【請求項3】
ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるものにおいて、前記対向電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基板面に実装されていることを特徴とするディスプレイモジュール。
【請求項4】
非接触式または接触・非接触複合式ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるものにおいて、前記対向電極のいずれかの1の電極と非接触通信用アンテナコイルが、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基材面に実装されていることを特徴とするディスプレイモジュール。
【請求項5】
ディスプレイの表示制御用CPUが、部品実装基板の基材面に実装されていることを特徴とする請求項3または請求項4記載のディスプレイモジュール。
【請求項6】
ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるディスプレイモジュールの製造方法において、
(1)前記対向電極のいずれかの1の電極を、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成する工程と、
(2)前記対向電極の他の1の電極を、ディスプレイ表示域と実質的に同一面積になるように前記部品実装基板の一部の面積を有する表示媒体基材に形成する工程と、
(3)部品実装基板または表示媒体基材の何れかに電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイを形成する工程と、
(4)部品実装基板と表示媒体基材とを位置合わせして重ね、重ね合わせしたその周囲を密封してシールする工程と、
(5)ディスプレイ用ドライバICを当該部品実装基板に実装する工程と、
を有することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法。
【請求項7】
非接触式ICカードまたは接触・非接触複合式ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるディスプレイモジュールの製造方法において、
(1)前記対向電極のいずれかの1の電極を、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成し、かつ非接触通信用アンテナコイルを前記一部の領域外に形成する工程と、
(2)前記対向電極の他の1の電極を、ディスプレイ表示域と実質的に同一面積になるように前記部品実装基板の一部の面積を有する表示媒体基材に形成する工程と、
(3)部品実装基板または表示媒体基材の何れかに電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイを形成する工程と、
(4)部品実装基板と表示媒体基材とを位置合わせして重ね、重ね合わせしたその周囲を密封してシールする工程と、
(5)ディスプレイ用ドライバICを当該部品実装基板に実装する工程と、を有することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7の(5)の工程において、ディスプレイ用ドライバICの実装と同様に表示制御用CPUを部品実装基板に実装することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法。
【請求項1】
接触式、非接触式、接触・非接触複合式のいずれか1の通信手段と、該通信手段により得られた情報を記憶し処理する半導体装置と、電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイとを備えるICカードにおいて、前記ディスプレイが単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備え、前記対向電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基板面に実装されていることを特徴とする表示付きICカード。
【請求項2】
ディスプレイの表示制御用CPUが、部品実装基板に実装されていることを特徴とする請求項1記載の表示付きICカード。
【請求項3】
ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるものにおいて、前記対向電極のいずれかの1の電極が、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基板面に実装されていることを特徴とするディスプレイモジュール。
【請求項4】
非接触式または接触・非接触複合式ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるものにおいて、前記対向電極のいずれかの1の電極と非接触通信用アンテナコイルが、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成されており、かつディスプレイ用ドライバICが当該基材面に実装されていることを特徴とするディスプレイモジュール。
【請求項5】
ディスプレイの表示制御用CPUが、部品実装基板の基材面に実装されていることを特徴とする請求項3または請求項4記載のディスプレイモジュール。
【請求項6】
ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるディスプレイモジュールの製造方法において、
(1)前記対向電極のいずれかの1の電極を、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成する工程と、
(2)前記対向電極の他の1の電極を、ディスプレイ表示域と実質的に同一面積になるように前記部品実装基板の一部の面積を有する表示媒体基材に形成する工程と、
(3)部品実装基板または表示媒体基材の何れかに電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイを形成する工程と、
(4)部品実装基板と表示媒体基材とを位置合わせして重ね、重ね合わせしたその周囲を密封してシールする工程と、
(5)ディスプレイ用ドライバICを当該部品実装基板に実装する工程と、
を有することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法。
【請求項7】
非接触式ICカードまたは接触・非接触複合式ICカードに組み込み使用するディスプレイモジュールであって、単純マトリクスを構成する対向電極をディスプレイの表裏を構成する基材の内面に備えるディスプレイモジュールの製造方法において、
(1)前記対向電極のいずれかの1の電極を、ディスプレイ表示域よりも拡張された領域を有する部品実装基板の一部に形成し、かつ非接触通信用アンテナコイルを前記一部の領域外に形成する工程と、
(2)前記対向電極の他の1の電極を、ディスプレイ表示域と実質的に同一面積になるように前記部品実装基板の一部の面積を有する表示媒体基材に形成する工程と、
(3)部品実装基板または表示媒体基材の何れかに電源遮断後にも一定時間表示を持続するディスプレイを形成する工程と、
(4)部品実装基板と表示媒体基材とを位置合わせして重ね、重ね合わせしたその周囲を密封してシールする工程と、
(5)ディスプレイ用ドライバICを当該部品実装基板に実装する工程と、を有することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7の(5)の工程において、ディスプレイ用ドライバICの実装と同様に表示制御用CPUを部品実装基板に実装することを特徴とするディスプレイモジュールの製造法方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−86067(P2009−86067A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252887(P2007−252887)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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