表示制御装置、画像表示システム及び表示制御方法
【課題】外光の照度が大きく変化する場合であっても外光の正しい照度を速やかに取得する。
【解決手段】画像表示システム1においては、検出感度を変更可能な光センサ5が設けられ、この光センサ5は、表示装置4の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する。表示制御装置3の照度取得部34は、この光センサ5からの信号に基づいて外光の照度を取得する。また、表示調整部32は、照度取得部34に取得された外光の照度に応じて、表示装置4の表示状態を調整する。そして、感度変更部35が、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」とのそれぞれに周期的に変更する。このため、外光の照度が大きく変動した場合であっても、外光の正しい照度を速やかに取得できる。
【解決手段】画像表示システム1においては、検出感度を変更可能な光センサ5が設けられ、この光センサ5は、表示装置4の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する。表示制御装置3の照度取得部34は、この光センサ5からの信号に基づいて外光の照度を取得する。また、表示調整部32は、照度取得部34に取得された外光の照度に応じて、表示装置4の表示状態を調整する。そして、感度変更部35が、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」とのそれぞれに周期的に変更する。このため、外光の照度が大きく変動した場合であっても、外光の正しい照度を速やかに取得できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示に係る制御を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の画面に外光が照射されている場合においては、外光の照度によっては表示装置の視認性が低下する場合がある。このため、従来から、外光の照度に応じて表示装置の表示状態を調整する各種技術が提案されている。
【0003】
例えば、夜間などの外光が暗い場合においては、周辺環境と比較して表示装置の画面が明るくなりすぎるため、ユーザがまぶしく感じて表示装置の画面の視認性が低下する。このため、外光の照度が比較的低い場合に、その低くなった照度に応じてバックライトの光量を低下させて、表示装置の画面を暗くする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また逆に、直射日光が照射されるなど外光が明るい場合においては、外光の反射等により階調が失われて、表示装置の画面の視認性が低下する。このため、外光の照度が比較的高い場合に、表示装置に表示する画像を補正して視認性を向上する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−133248号公報
【特許文献2】特開2009−276425号公報
【特許文献3】特開2008−41884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のように、外光の照度に応じて表示装置の表示状態を調整する技術を採用する場合には、外光の照度を正しく取得する必要がある。車両で用いられる表示装置など、様々な場所や時間で使用される表示装置では、街灯や日光などの多様な外光によってその画面が照明される。したがって、5(lx)程度の非常に低い照度(夜間の車両内の照度など)から、10万(lx)程度の非常に高い照度(日中の直射日光の照度など)までの広い範囲の照度を光センサで検出する必要がある。
【0007】
しかしながら、例えば、検出範囲を0〜10万(lx)とした比較的低感度の光センサを採用し、検出結果を例えば8ビット(0〜255)で表現したとすると、5(lx)程度の低い照度については分解能が低すぎて正しく検出できない。逆に、検出範囲を0〜100(lx)とした比較的高感度の光センサを採用した場合においては、100(lx)より大きい照度については検出結果がオーバーフローして正しく検出できなくなる。
【0008】
このため、接続する抵抗値を切り替えることで、検出感度を切り替え可能な光センサが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この光センサでは、検出される照度に応じて検出感度を切り替えることで、広い範囲の照度を検出できるようになっている。
【0009】
しかしながら、この光センサにおいては、外光の照度が大きく変化する場合には、照度を検出し、その照度に基づいて検出感度を切り替え、さらに切替後の検出感度で照度を再び検出する必要がある。このため、外光の正しい照度を取得するまでにある程度の時間が必要となる。したがって、この光センサの検出結果に基づいて表示装置の表示状態の調整を行った場合には、外光の照度が大きくかつ頻繁に変化するような場合(例えば、車両の夜間走行中に明るい街灯の照明を断続的に受ける場合など)において、外光の照度の変化に速やかに応答して表示状態を調整を行うことはできない。その結果、表示装置の視認性が悪化する可能性がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、外光の照度が大きく変化する場合であっても外光の正しい照度を速やかに取得できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表示装置の表示に係る制御を行う表示制御装置であって、前記表示装置の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する検出手段の前記信号に基づいて前記外光の照度を取得する取得手段と、前記外光の照度に応じて、前記表示装置の表示状態を調整する調整手段と、前記検出感度を、互いに異なる複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更する感度変更手段と、を備えている。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の表示制御装置において、前記感度変更手段は、相対的に低い設定感度と、相対的に高い設定感度とのそれぞれに前記検出感度を一周期のうちで変更する。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の表示制御装置において、前記一周期における、前記相対的に低い設定感度にする低感度期間と、前記相対的に高い設定感度にする高感度期間との割合を、前記外光の照度に応じて変更する割合変更手段、をさらに備えている。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の表示制御装置において、前記割合変更手段は、前記外光の照度が高いほど前記低感度期間の割合を大きくし、前記外光の照度が低いほど前記高感度期間の割合を大きくする。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の表示制御装置において、前記割合変更手段は、前記外光の照度が所定の閾値より大きい場合は前記一周期の全てを前記低感度期間とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の表示制御装置において、前記調整手段は、前記外光の照度が相対的に高い場合に向けた第1制御と、前記外光の照度が相対的に低い場合に向けた第2制御と、を前記外光の照度に基づいて選択的に実行する。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の表示制御装置において、前記表示装置は、車両に搭載される。
【0018】
また、請求項8の発明は、画像表示システムであって、請求項1ないし7のいずれかに記載の表示制御装置と、前記表示制御装置によって表示状態が制御される表示装置と、を備えている。
【0019】
また、請求項9の発明は、表示装置の表示に係る制御を行う表示制御方法であって、(a)前記表示装置の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する検出手段の前記信号に基づいて前記外光の照度を取得する工程と、(b)前記外光の照度に応じて、前記表示装置の表示状態を調整する工程と、(c)前記検出感度を、互いに異なる複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更する工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1ないし9の発明によれば、検出手段の検出感度が複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更されることから、外光の照度が大きく変動した場合であっても、外光の正しい照度を速やかに取得できる。その結果、表示装置の表示状態の調整における、外光の照度の変化に対する応答性能を向上できる。
【0021】
また、特に請求項2の発明によれば、2つの設定感度の外光の照度を一周期のうちに取得できる。
【0022】
また、特に請求項3及び4の発明によれば、外光の照度に応じて低感度期間と高感度期間との割合を変更するため、表示装置の表示状態の調整を安定して実行できる。
【0023】
また、特に請求項5の発明によれば、外光が比較的安定する明るい場合に一周期の全てを低感度期間とするため、表示装置の表示状態の調整を安定して実行できる。
【0024】
また、特に請求項6の発明によれば、外光の照度が相対的に高い場合に向けた第1制御と相対的に低い場合に向けた第2制御とを外光の照度に基づいて選択的に実行する場合に、外光の正しい照度を速やかに取得できるため、外光の照度に応じた適切な制御を速やかに実行できる。
【0025】
また、特に請求項7の発明によれば、外光の照度が変動しやすい車両において、表示装置の表示状態の調整における外光の照度の変化に対する応答性能を向上できることから、表示装置の視認性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、画像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、画像処理部の詳細な構成を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態の外光の照度の取得に係る構成を示す図である。
【図4】図4は、光センサの検出感度ごとの検出範囲を示す図である。
【図5】図5は、ディマー制御におけるデューティ比を示す図である。
【図6】図6は、直射制御における改善画像の合成割合を示す図である。
【図7】図7は、検出感度を変更するタイミングを示す図である。
【図8】図8は、感度変更部の処理の流れを示す図である。
【図9】図9は、照度取得部の処理を示す図である。
【図10】図10は、表示調整部の処理の流れを示す図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態の外光の照度の取得に係る構成を示す図である。
【図12】図12は、検出感度を変更するタイミングを示す図である。
【図13】図13は、検出感度を変更するタイミングを示す図である。
【図14】図14は、低感度期間と高感度期間との割合と、外光の照度との関係を示す図である。
【図15】図15は、検出感度を変更するタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.全体構成>
図1は、本実施の形態の画像表示システム1の構成を示すブロック図である。画像表示システム1は、例えば、自動車などの車両用のナビゲーションシステムであり、車両に搭載されて各種の情報を車室内のユーザに表示する機能を有している。
【0029】
図1に示すように、画像表示システム1は、各種の画像を表示する表示装置4と、表示装置4の表示に係る制御を行う表示制御装置3と、表示装置4に表示するための画像を提供する映像提供部2とを備えている。
【0030】
さらに、画像表示システム1は、システム全体を制御するシステム制御部10を備えている。システム制御部10は、例えば、CPU、RAM及びROMなどを備えたマイクロコンピュータである。システム制御部10のCPUが所定のプログラムに従って演算処理を行うことで、システム全体を制御するための各種の制御機能が実現される。システム制御部10は、映像提供部2、表示制御装置3及び表示装置4の動作を統括的に制御する。
【0031】
映像提供部2は、表示装置4への表示対象とする画像を含む様々な映像ソースの映像信号を出力する。映像提供部2は、放送受信部21、カメラ入力部22、ディスク読取部23、及び、ナビゲーション部24を備えている。これらの映像提供部2の各部21,22,23,24は、所定の周期(例えば、1/30(秒))で画像(フレーム)を含む映像信号を出力する。
【0032】
放送受信部21は、車両に搭載されたアンテナ91で受信したテレビジョン放送やデータ放送などの放送信号をデコードし、その放送内容を示す画像を取得して表示制御装置3に出力する。カメラ入力部22は、車載カメラ92と接続され、車載カメラ92で撮影された車両の周辺の様子を示す画像を取得して表示制御装置3に出力する。ディスク読取部23は、DVDなどの映像ディスク93を読み取り、映像ディスク93の記録内容を示す画像を取得して表示制御装置3に出力する。また、ナビゲーション部24は、ナビゲーション機能を提供する電子基板であり、ルート案内用の地図画像などナビゲーション機能に必要な画像を表示制御装置3に出力する。
【0033】
表示装置4は、画像を表示する画面となる液晶パネル41と、その液晶パネル41を照明するバックライト42とを備えている。この表示装置4の液晶パネル41がユーザである車両の乗員から視認できるように、画像表示システム1は車両のインストルメントパネルなどに設置される。液晶パネル41は、例えば、縦横二次元に配列された複数のドットを備えている。液晶パネル41は、光の透過率をドットごとに変更することで画像を表示する。また、バックライト42は、LEDなどの光源を備えており、液晶パネル41を背面から照明する。
【0034】
バックライト42は、光源の光量を変更可能となっている。バックライト42は、デューティ比が設定された制御信号(PWM信号)を受信し、この制御信号が示すデューティ比に応じて光源の光量を調整する。具体的には、バックライト42は、デューティ比が高いほど光源の光量を大きくし、デューティ比が低いほど光源の光量を小さくする。バックライト42の光源の光量が大きくなるほど、表示装置4の画面は明るくなる。
【0035】
表示制御装置3は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア回路であり、表示装置4の表示に係る制御を行う。表示制御装置3は、画像取得部31、表示調整部32及び画像出力部33を備えている。
【0036】
画像取得部31は、画像を含む映像信号を映像提供部2から取得する。画像取得部31は、システム制御部10からの指示に基づいてスイッチングを行い、映像提供部2の各部21,22,23,24から出力される映像信号のいずれか一つを受け取り、その映像信号に含まれる画像を表示調整部32に提供する。
【0037】
表示調整部32は、表示装置4への表示対象となる画像、及び、バックライト42の光量を調整することで、表示装置4の表示状態を調整する。表示調整部32は、表示装置4の画面の視認性に影響を与える外光の照度に応じて表示装置4の表示状態を調整し、表示装置4の画面の視認性を向上させる。
【0038】
画像出力部33は、表示調整部32で調整された画像を表示装置4に出力して表示させる。これにより、表示調整部32で調整された画像が表示装置4の液晶パネル41に表示される。
【0039】
表示調整部32は、表示装置4の表示状態を調整するための調整制御として、直射制御とディマー制御とが実行可能である。表示調整部32は、外光の照度に応じてこれらの2つの調整制御を選択的に実行する。
【0040】
直射制御は、表示装置4の画面に直射日光が照射するなど外光の照度が相対的に高い場合(例えば、500(lx)超)に向けた調整制御である。直射制御は、表示装置4に表示する画像の画質を改善することで、表示装置4の視認性を向上する。
【0041】
一方、ディマー制御は、夜間など外光の照度が相対的に低い場合(例えば、50(lx)未満)に向けた調整制御である。ディマー制御は、表示装置4の画面の明るさを調整することで表示装置4の視認性を向上する。
【0042】
表示調整部32は、直射制御を実現するための画像処理部6と、ディマー制御を実現するためのバックライト制御部7とを備えている。バックライト制御部7は、外光の照度に応じてバックライト42の光量を変更する。バックライト制御部7は、デューティ比を設定した制御信号をバックライト42に出力することで、バックライト42の光量を変更する。バックライト制御部7は、表示対象となる画像の明るさと、外光の照度とに基づいてバックライト42の光量を調整する。
【0043】
また、画像処理部6は、外光の照度に応じて表示対象となる画像を補正する。図2は、画像処理部6の詳細な構成を示す図である。画像処理部6は、改善画像生成部61と、画像合成部62とを主に備えている。
【0044】
改善画像生成部61は、映像提供部2から入力される補正前の画像である原画像に所定の画像処理を行って、外光の照度が比較的高い場合における視認性を向上した改善画像を生成する。改善画像生成部61は、レンジ圧縮部63と階調補正部64と彩度補正部65とを備えている。これらの機能の詳細については後述する。
【0045】
また、画像合成部62は、改善画像生成部61で生成された改善画像と原画像とを、外光の照度に応じた合成比率で合成して表示画像を生成する。このようにして生成された表示画像が表示装置4の画面に表示される。
【0046】
<1−2.照度取得に係る構成>
このように表示調整部32は、外光の照度に応じて直射制御及びディマー制御を選択的に実行して、表示装置4の表示状態を調整する。図1に示すように、この外光の照度の取得に係る構成として、画像表示システム1は光センサ5を備えており、また、表示制御装置3は照度取得部34及び感度変更部35を備えている。
【0047】
光センサ5は、外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する。光センサ5の検出感度は、互いに異なる2つの設定感度(低感度、高感度)のいずれかに切り替え可能となっている。照度取得部34は、光センサ5から出力される信号に基づいて外光の照度を取得する。また、感度変更部35は、光センサ5の検出感度を変更する。図3は、このような外光の照度の取得に係る構成をより詳細に示す図である。
【0048】
光センサ5は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの受光素子52を備えている。この受光素子52は、表示装置4の画面となる液晶パネル41の周縁近傍に配置され、表示装置4の画面を照明する外光(すなわち、表示装置4の画面の視認性に影響を与える外光)を受光する。受光素子52の上流側は、一定の電圧Vccの電源ラインにスイッチ51を介して接続されており、この電源ラインから受光素子52に電力が供給される。
【0049】
また、受光素子52の下流側は、切替スイッチ53を介して2つの抵抗R1,R2と接続されている。切替スイッチ53の一方の第1接点は第1抵抗R1に接続され、他方の第2接点は第2抵抗R2に接続される。これら2つの抵抗R1,R2の抵抗値は異なっており、第1抵抗R1のほうが第2抵抗R2よりも抵抗値が低くなっている。切替スイッチ53により、受光素子52と接続する抵抗を、第1抵抗R1及び第2抵抗R2のいずれかに切替可能となっている。
【0050】
また、光センサ5は、照度取得部34に接続された切替スイッチ54をさらに備えている。この切替スイッチ54の一方の第1接点は第1抵抗R1の上流側の回路に接続され、他方の第2接点は第2抵抗R2の上流側の回路に接続されている。したがって、この切替スイッチ53により、照度取得部34が電気的に接続される回路を、第1抵抗R1及び第2抵抗R2のいずれかの上流側に切替可能となっている。
【0051】
切替スイッチ53,54の双方を第1接点側に切り替えた場合は、受光素子52と第1抵抗R1とが電気的に接続され、第1抵抗R1の上流側の電圧を示す信号が照度取得部34に出力される。一方、切替スイッチ53,54の双方を第2接点側に切り替えた場合は、受光素子52と第2抵抗R2とが電気的に接続され、第2抵抗R2の上流側の電圧を示す信号が照度取得部34に出力される。
【0052】
光センサ5の検出感度は、これらの切替スイッチ53,54の切り替えによって変更できる。受光素子52は、入射した外光の強さに応じた電流を出力する。この電流が、受光素子52の下流側に接続された抵抗を流れることから、外光が強いほど高い電圧の信号が照度取得部34に出力される。
【0053】
また、第1抵抗R1のほうが第2抵抗R2よりも抵抗値が低い。したがって、同じ強さの外光が受光素子52に入射する場合を想定すると、受光素子52を第1抵抗R1と接続した場合は、第2抵抗R2と接続した場合と比較して、照度取得部34に出力される信号の電圧が低くなる。したがって、受光素子52を第1抵抗R1と接続した場合は、光センサ5の検出感度は、相対的に低い設定感度である「低感度」に設定される。この場合は、光センサ5から出力される信号の電圧が相対的に低くなるため、比較的高い照度の外光に対応できる。
【0054】
また逆に、受光素子52を第2抵抗R2と接続した場合は、第1抵抗R1と接続した場合と比較して、照度取得部34に出力される信号の電圧が高くなる。したがって、受光素子52を第2抵抗R2と接続した場合は、光センサ5の検出感度は、相対的に高い設定感度である「高感度」に設定される。この場合は、光センサ5から出力される信号の電圧が相対的に高くなるため、比較的低い照度の外光に対応できる。
【0055】
表示制御装置3の感度変更部35は、切替信号を出力してこれら切替スイッチ53,54を切り替えることで、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」との間で切り替えることができる。また、感度変更部35は、光センサ5の検出感度を示す信号を照度取得部34に出力する。さらに、感度変更部35は、信号を送出してスイッチ51をオン/オフすることで、受光素子52への電力の供給/遮断を切り替え可能である。
【0056】
また、表示制御装置3の照度取得部34は、光センサ5から出力される信号の電圧と、感度変更部35から入力される検出感度とに基づいて、外光の照度を導出する。
【0057】
図4に示すように、光センサ5の検出感度を「低感度」に設定した場合は、照度取得部34は、0〜10万(lx)の検出範囲Raで外光の照度を取得する。一方、光センサ5の検出感度を「高感度」に設定した場合は、照度取得部34は、0〜100(lx)の検出範囲Rbで外光の照度を取得する。図4では、照度(lx)に対応する横軸を対数軸で示している。
【0058】
照度取得部34は、外光の照度を例えば8ビット(0〜255)の値で導出する。このため、光センサ5の検出感度を「低感度」に設定した場合において、実際の外光の照度が比較的低い(例えば、50(lx)未満)ときには、照度取得部34の導出結果がアンダーフローとなり外光の照度を正しく取得できなくなる。また逆に、光センサ5の検出感度を「高感度」に設定した場合において、実際の外光の照度が比較的高い(例えば、500(lx)超)場合は、照度取得部34の導出結果がオーバーフローとなり外光の照度を正しく取得できなくなる。
【0059】
表示調整部32は、この照度取得部34で取得される外光の照度に応じて、直射制御及びディマー制御を選択的に実行する。表示調整部32は、照度取得部34で取得される外光の照度が所定の第1閾値T1より小さい場合にディマー制御を実行する。第1閾値T1は設定感度が「高感度」の場合の検出範囲Rbの最大値(100(lx))以下の値に設定され、本実施の形態では、例えば50(lx)となっている。
【0060】
また、表示調整部32は、照度取得部34で取得される外光の照度が所定の第2閾値T2(T1<T2)より大きい場合に直射制御を実行する。第2閾値T2は設定感度が「高感度」の場合の検出範囲Rbの最大値(100(lx))以上の値に設定され、本実施の形態では、例えば500(lx)となっている。直射制御において生成される改善画像は、外光の照度がこの第2閾値T2よりも高い場合における視認性を向上した画像であるともいえる。
【0061】
<1−3.表示状態の調整>
次に、ディマー制御及び直射制御のそれぞれの制御内容について具体的に説明する。まず、外光の照度が比較的低い場合に実行されるディマー制御について説明する。外光の照度が比較的低い場合においては、周辺環境と比較して表示装置4の画面が明るくなりすぎ、ユーザがまぶしく感じる。その結果、表示装置4の画面の視認性が低下する。
【0062】
このため、ディマー制御では、バックライト制御部7が外光の照度に応じてバックライト42の光量を基準光量よりも低下させることで、表示装置4の画面の視認性を向上する。バックライト制御部7は、外光の照度が低いほどバックライト42の光量(より具体的には、デューティ比)を小さくする。
【0063】
具体的には、図5に示すように、バックライト制御部7は、外光の照度が0〜50(lx)の範囲にある場合に、外光の照度に比例するようにデューティ比を設定する。デューティ比の最大値は、バックライト42の基準光量に対応する値である基準値となる。この基準値は、表示対象とする画像の平均輝度に基づいて0.2〜0.8の範囲でバックライト制御部7が設定する。バックライト制御部7は、画像の平均輝度が高いほど基準値を高く設定する。なお、外光の照度が第1閾値T1の50(lx)より大きい場合は、ディマー制御は実行されず、デューティ比は基準値のまま一定とされる。このようなディマー制御を実行するためには、光センサ5の検出感度が「高感度」の場合に取得される外光の照度が必要となる。
【0064】
次に、外光の照度が比較的高い場合に実行される直射制御について説明する。外光の照度が比較的高い場合においては、画面における外光の反射等に起因し、表示装置4の表示において画像の階調の変化をユーザが認識できる範囲が狭くなり、特に比較的低輝度の領域の階調が実質的に失われてしまう。また、表示装置4に表示される画像中の被写体の色が全体的に薄くなってしまう。その結果、表示装置4の画面の視認性が低下する。
【0065】
このため、直射制御では、画像処理部6の改善画像生成部61(図2参照。)が、階調の変化を認識可能な範囲で階調を表現できるようにダイナミックレンジを圧縮し、かつ、被写体の色が明瞭になるように彩度を強調した改善画像を生成する。そして、生成された改善画像と原画像とを合成した表示画像を表示装置4に表示することで、表示装置4の画面の視認性を向上する。
【0066】
改善画像生成部61のレンジ圧縮部63は、原画像のダイナミックレンジを圧縮する。レンジ圧縮部63は、原画像を照明光成分(低周波成分)と反射率成分(高周波成分)とに分離し、照明光成分を抑制しつつ反射率成分を拡大する。これにより、ダイナミックレンジが圧縮され、明るすぎる領域や暗すぎる領域においても階調の変化が明瞭となって視認性が改善された改善画像が得られる。
【0067】
階調補正部64は、レンジ圧縮部63に処理された改善画像の階調を補正する。具体的には、階調補正部64は、所定のトーンカーブを用いて改善画像の階調を補正して、階調が失われる可能性のある比較的低輝度の領域の輝度を上昇させる。また、彩度補正部65は、階調補正部64に処理された改善画像の彩度を強調する。これにより、改善画像中の被写体の色が鮮明にされる。
【0068】
画像合成部62は、このようにして生成された改善画像と原画像とを外光の照度に基づく合成比率で合成して表示画像を生成する。画像合成部62は、外光の照度が高いほど改善画像の合成割合を高くする。具体的には、図6に示すように、画像合成部62は、外光の照度が500〜10万(lx)の範囲にある場合に、外光の照度が高いほど改善画像の合成割合を高く設定する。改善画像の合成割合は、外光の照度が第2閾値T2の500(lx)の場合では0%とされ、外光の照度が検出範囲Raの最大値の10万(lx)の場合では100%とされる。このような直射制御を行うためには、光センサ5の検出感度が「低感度」の場合に取得される外光の照度が必要となる。
【0069】
<1−4.検出感度の変更>
次に、感度変更部35による光センサ5の検出感度の変更手法について説明する。前述のように、検出感度が「高感度」の場合の外光の照度はディマー制御に必要であり、検出感度が「低感度」の場合の外光の照度は直射制御に必要となる。したがって、外光の照度に応じて、検出感度を切り替えることも考えられる。しかし、このようにすると外光の照度が大きく変化する場合には外光の正しい照度を取得するまで時間が必要となり、さらに実行すべき調整制御の選択に時間が必要となることなどから、外光の照度の変化に対する調整制御の応答性能が悪化する。このため、本実施の形態では、感度変更部35は、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」とのそれぞれに周期的に変更する。
【0070】
具体的には、図7に示すように、感度変更部35は、所定の周期Pで検出感度を変更し、一周期Pのうちにおいて検出感度を「低感度」と「高感度」とのそれぞれに変更する。これにより、光センサ5の検出感度は、「低感度」と「高感度」とに交互に設定される。一周期Pは、例えば1/100(秒)に設定される。
【0071】
このように光センサ5の検出感度が一周期Pのうちにおいて「低感度」と「高感度」との双方に変更されることから、照度取得部34は、一周期Pのうちに、検出感度が「低感度」の場合の外光の照度と、検出感度が「高感度」の場合の外光の照度との双方を取得できる。このため、照度取得部34は、実際の外光の照度に係わらず一周期Pのうちに外光の正しい照度を取得できる。したがって、外光の照度が大きく変化する場合であっても、外光の正しい照度を速やかに取得することが可能となる。本実施の形態では、一周期Pに含まれる、検出感度が「低感度」となる低感度期間PLと、検出感度が「高感度」となる高感度期間PHとは同じとなっている。すなわち、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合は1対1(5対5)となっている。
【0072】
<1−5.処理>
次に、画像表示システム1の感度変更部35、照度取得部34及び表示調整部32のそれぞれの処理の流れについて説明する。
【0073】
まず、感度変更部35の処理の流れについて説明する。図8は、感度変更部35の処理の流れを示す図である。感度変更部35は、この図8に示す処理を、光センサ5の検出感度を切り替えるべき切替タイミングごとに実行する。したがって、本実施の形態では、一周期P(1/100(秒))の1/2の周期(1/200(秒))で図8に示す処理が繰り返し実行される。
【0074】
感度変更部35は、切替タイミングとなると、まず、スイッチ51に信号を送出してスイッチ51をオフする。これにより、受光素子52への電力が遮断される(ステップS11)。
【0075】
続いて、変更前の検出感度が「低感度」であれば、感度変更部35は、切替信号を送出して切替スイッチ53,54を切り替え、検出感度を「高感度」に変更する(ステップS12,S13)。一方、変更前の検出感度が「高感度」であれば、感度変更部35は、切替信号を送出して切替スイッチ53,54を切り替え、検出感度を「低感度」に変更する(ステップS12,S14)。
【0076】
このように光センサ5の検出感度を切り替えると、感度変更部35は、切り替え後の検出感度を示す信号を照度取得部34に出力する(ステップS15)。これとともに、感度変更部35は、スイッチ51に信号を送出してスイッチ51をオンして、受光素子52へ電力を供給する。これにより、切り替え後の検出感度に応じた電圧の信号が照度取得部34に出力される(ステップS16)。
【0077】
次に、照度取得部34の処理の流れについて説明する。図9は、照度取得部34の処理を示す図である。照度取得部34は、この図9に示す処理を、感度変更部35が検出感度を変更する周期Pよりも十分に短い周期で繰り返し実行する。例えば、一周期P(1/100(秒))の1/10の周期(1/1000(秒))で図9に示す処理が繰り返し実行される。
【0078】
照度取得部34は、まず、感度変更部35からその時点における光センサ5の検出感度を取得する(ステップS21)。次に、照度取得部34は、この検出感度と、光センサ5から出力される信号の電圧とに基づいて、外光の照度を導出する。光センサ5の信号の電圧と照度との関係は、検出感度ごとにテーブル等によって予め定められている(ステップS22)。
【0079】
次に、照度取得部34は、外光の照度として導出した導出結果が正常値であるか否かを判定する。例えば、導出結果がオーバーフロー、あるいは、アンダーフローなどの異常値になっていないか否かを判定する(ステップS23)。導出結果がこのような異常値となる場合とは、光センサ5の検出感度が実際の外光の照度に応じた設定感度になっていない場合である。このため、このような場合は(ステップS23にてNo)、そのまま処理を終了する。
【0080】
一方、導出結果が正常値である場合は、照度取得部34は、導出結果を外光の照度として表示調整部32に出力する(ステップS24)。このような外光の照度の出力は、正常値となる導出結果が次に得られるまで維持される。これにより、照度取得部34からは外光の正しい照度が出力されることになる。
【0081】
前述のように、光センサ5の検出感度が一周期Pのうちにおいて「低感度」と「高感度」との双方に変更される。したがって、外光の照度が大きく変化する場合であっても、照度取得部34は一周期Pのうちに外光の正しい照度を取得し、その外光の正しい照度を表示調整部32に出力できる。
【0082】
次に、表示調整部32の処理の流れについて説明する。図10は、表示調整部32の処理の流れを示す図である。表示調整部32は、この図10に示す処理を、表示対象となる画像が入力されるごとに繰り返し実行する。本実施の形態では、例えば1/30(秒)の周期で図8に示す処理が繰り返し実行される。
【0083】
表示調整部32は、まず、照度取得部34から外光の照度を取得する(ステップS31)。次に、表示調整部32は、外光の照度を、調整制御を選択するための2つの閾値T1,T2と比較する(ステップS32)。
【0084】
外光の照度が第1閾値T1(50(lx))より小さい場合は、表示調整部32は、実行すべき調整制御としてディマー制御を選択する。そして、表示調整部32は、外光の照度に応じたディマー制御を実行する(ステップS33)。
【0085】
一方、外光の照度が第2閾値T2(500(lx))より大きい場合は、表示調整部32は、実行すべき調整制御として直射制御を選択する。そして、表示調整部32は、外光の照度に応じた直射制御を実行する(ステップS34)。
【0086】
また、外光の照度が第1閾値T1よりも大きく第2閾値T2よりも小さい場合は、表示調整部32は、表示装置4の表示状態を調整するための調整制御を実行しない。なお、外光の照度が閾値T1,T2と同じ場合はいずれの判断分岐に含めてもよい。
【0087】
前述のように、照度取得部34が一周期Pのうちに外光の正しい照度を取得できることから、外光の照度が大きく変化する場合であっても、表示調整部32は外光の照度に応じた適切な調整制御を速やかに選択して実行できる。したがって、車両の夜間走行中に明るい街灯の照明を断続的に受ける場合など、表示装置4への外光の照度が大きくかつ頻繁に変化するような場合においても、外光の照度の変化に速やかに応答して表示装置4の表示状態を適切に調整することができる。このため、車両に搭載される表示装置4の視認性を向上することができる。
【0088】
以上のように、本実施の形態の画像表示システム1においては、検出感度を変更可能な光センサ5が設けられ、この光センサ5は、表示装置4の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた電圧の信号を出力する。表示制御装置3の照度取得部34は、この光センサ5からの信号に基づいて外光の照度を取得する。また、表示調整部32は、照度取得部34に取得された外光の照度に応じて、表示装置4の表示状態を調整する。そして、感度変更部35が、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」とのそれぞれに周期的に変更する。このため、外光の照度が大きく変動した場合であっても、外光の正しい照度を速やかに取得できる。その結果、表示装置4の表示状態の調整における、外光の照度の変化に対する応答性能を向上できる。
【0089】
また、外光の照度が変動しやすい車両において、表示装置4の表示状態の調整における外光の照度の変化に対する応答性能を向上できることから、表示装置4の視認性を向上できる。
【0090】
また、外光の照度が相対的に高い場合に向けた直射制御と、相対的に低い場合に向けたディマー制御とを外光の照度に基づいて選択的に実行する場合に、外光の正しい照度を速やかに取得できるため、外光の照度に応じた適切な調整制御を速やかに選択して実行できる。
【0091】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の画像表示システム1の構成及び処理は第1の実施の形態とほぼ同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。第1の実施の形態では、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合が5対5に固定されていた(図7参照。)。これに対して、第2の実施の形態では、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を変更するようになっている。
【0092】
図11は、第2の実施の形態の画像表示システム1における外光の照度の取得に係る構成を示す図である。第2の実施の形態の表示制御装置3は、第1の実施の形態の表示制御装置3の構成(図3参照。)に加えて、割合変更部36をさらに備えている。割合変更部36は、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を変更する。
【0093】
感度変更部35は、このように割合変更部36によって変更された割合に基づく切替タイミングで、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」との間で切り替える。これにより、例えば、図12に示すように一周期Pにおける低感度期間PLの割合を多くしたり、逆に、図13に示すように一周期Pにおける高感度期間PHの割合を多くしたりすることができる。
【0094】
割合変更部36は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を、照度取得部34で取得される外光の照度に応じて変更する。図14は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合と、外光の照度との関係を示す図である。図14では、照度(lx)に対応する横軸を対数軸で示している。
【0095】
第2の実施の形態では、外光の照度に関する閾値として、第1閾値T1及び第2閾値T2の他に、第3閾値T3及び第4閾値T4が設定されている。第3閾値T3及び第4閾値T4(T3<T4)はそれぞれ、第2閾値T2より大きく、設定感度が「低感度」の場合の検出範囲Raの最大値(10万(lx))より小さな値に設定される。本実施の形態では、第3閾値T3は例えば3,000(lx)であり、第4閾値T4は例えば1万(lx)である。
【0096】
割合変更部36は、外光の照度が高いほど一周期Pにおける低感度期間PLの割合を大きくし、逆に、外光の照度が低いほど一周期Pにおける高感度期間PHの割合を大きくする。
【0097】
具体的には、割合変更部36は、外光の照度が第1閾値T1より小さい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を4対6(PL:PH=4:6)に設定する。また、割合変更部36は、外光の照度が第1閾値T1より大きく第2閾値T2より小さい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を5対5(PL:PH=5:5)に設定する。また、割合変更部36は、外光の照度が第2閾値T2より大きく第3閾値T3より小さい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を6対4(PL:PH=6:4)に設定する。また、割合変更部36は、外光の照度が第3閾値T3より大きく第4閾値T4より小さい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を9対1(PL:PH=9:1)に設定する。さらに、割合変更部36は、外光の照度が第4閾値T4より大きい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を10対0(PL:PH=10:0)に設定する。
【0098】
表示装置4の画面を照明する外光の照度は大きく変化する可能性はあるものの、照度が比較的安定した状態と比較すると、そのような大きな変化が発生する機会は少ない。このため、図14に示すように外光の照度に応じて低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を変更することで、その時点の外光の照度において必要な調整制御を安定して実行することができる。その結果、調整制御の種類を変更する必要のない外光の照度の比較的小さな変化に対しての調整制御の応答性能を向上できる。
【0099】
例えば、ディマー制御を行っている場合(照度<第1閾値T1)は、検出感度がディマー制御に必要な「高感度」となる高感度期間PHが長くなる。このため、ディマー制御を安定して実行でき、ディマー制御の応答性能を向上できる。また、直射制御を行っている場合(第2閾値T2<照度)は、検出感度が直射制御に必要な「低感度」となる低感度期間PLが長くなる。このため、直射制御を安定して実行でき、直射制御の応答性能を向上できる。
【0100】
このように低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を変更した場合であっても、第1の実施の形態と同様に、光センサ5の検出感度が一周期Pのうちにおいて「低感度」と「高感度」との双方に変更される。このため、照度取得部34が一周期Pのうちに外光の正しい照度を取得できることから、外光の照度が大きく変化する場合であっても、表示調整部32は適切な調整制御を速やかに選択して実行できる。
【0101】
また、外光の照度が第3閾値T3より大きくなる場合は、表示装置4の画面に直射日光が照射されていると考えられる。このような場合には、外光の照度は比較的安定し、ディマー制御を実行すべき第1閾値T1より外光の照度が突然小さくなるような機会は少ない。このためこの場合は、一周期Pにおける高感度期間PHの割合を非常に小さくするため、直射制御の応答性能を向上できる。
【0102】
さらに、外光の照度が第4閾値T4より大きくなる場合は、外光の照度はさらに安定し、ディマー制御を実行すべき第1閾値T1より外光の照度が突然小さくなるような機会は稀である。したがってこの場合は、図15に示すように、一周期Pの全てを低感度期間PLとするため、直射制御の応答性能をさらに向上できる。
【0103】
以上のように、本実施の形態の画像表示システム1においては、割合変更部36が、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を外光の照度に応じて変更する。このため、表示装置4の表示状態を調整する調整制御を安定して実行できる。その結果、外光の照度の比較的小さな変化に対する調整制御の応答性能を向上できる。
【0104】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0105】
上記実施の形態では、光センサ5の検出感度を変更可能な設定感度は「低輝度」と「高輝度」との2つであったが、互いに異なる3以上の設定感度があってもよい。3以上の設定感度がある場合も、それら3以上の設定感度のそれぞれに光センサ5の検出感度を一周期において変更するようにすればよい。
【0106】
また、上記実施の形態では、受光素子52に接続する抵抗を変更することにより光センサ5の検出感度を変更するようにしていたが、受光素子52へ入射する光の量を調整するなどの他の手法によって光センサ5の検出感度を変更してもよい。例えば、受光素子52の受光面に液晶シャッタを備え、液晶シャッタの透過率を変更することで、光センサ5の検出感度を変更してもよい。また、受光素子52の近傍に可動式の複数のフィルタを設け、受光素子52の受光面に配置するフィルタの種類や数を変更することで、光センサ5の検出感度を変更してもよい。
【0107】
また、第2の実施の形態では、外光の照度と閾値との関係により低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を決定していたが、閾値を用いずに、外光の照度を変数とした計算式やテーブル等によって低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を決定してもよい。
【0108】
また、上記実施の形態では、車両に搭載される画像表示システム1について説明を行ったが、例えば、携帯電話やスマートフォンなど、様々な外光の環境下で用いられる画像表示システムであれば、どのようなものであっても上記実施の形態で説明した技術を好適に適用可能である。
【0109】
また、上記実施の形態において、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 画像表示システム
3 表示制御装置
4 表示装置
5 光センサ
32 表示調整部
34 照度取得部
35 感度変更部
36 割合変更部
R1 抵抗
R2 抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示に係る制御を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の画面に外光が照射されている場合においては、外光の照度によっては表示装置の視認性が低下する場合がある。このため、従来から、外光の照度に応じて表示装置の表示状態を調整する各種技術が提案されている。
【0003】
例えば、夜間などの外光が暗い場合においては、周辺環境と比較して表示装置の画面が明るくなりすぎるため、ユーザがまぶしく感じて表示装置の画面の視認性が低下する。このため、外光の照度が比較的低い場合に、その低くなった照度に応じてバックライトの光量を低下させて、表示装置の画面を暗くする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また逆に、直射日光が照射されるなど外光が明るい場合においては、外光の反射等により階調が失われて、表示装置の画面の視認性が低下する。このため、外光の照度が比較的高い場合に、表示装置に表示する画像を補正して視認性を向上する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−133248号公報
【特許文献2】特開2009−276425号公報
【特許文献3】特開2008−41884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のように、外光の照度に応じて表示装置の表示状態を調整する技術を採用する場合には、外光の照度を正しく取得する必要がある。車両で用いられる表示装置など、様々な場所や時間で使用される表示装置では、街灯や日光などの多様な外光によってその画面が照明される。したがって、5(lx)程度の非常に低い照度(夜間の車両内の照度など)から、10万(lx)程度の非常に高い照度(日中の直射日光の照度など)までの広い範囲の照度を光センサで検出する必要がある。
【0007】
しかしながら、例えば、検出範囲を0〜10万(lx)とした比較的低感度の光センサを採用し、検出結果を例えば8ビット(0〜255)で表現したとすると、5(lx)程度の低い照度については分解能が低すぎて正しく検出できない。逆に、検出範囲を0〜100(lx)とした比較的高感度の光センサを採用した場合においては、100(lx)より大きい照度については検出結果がオーバーフローして正しく検出できなくなる。
【0008】
このため、接続する抵抗値を切り替えることで、検出感度を切り替え可能な光センサが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この光センサでは、検出される照度に応じて検出感度を切り替えることで、広い範囲の照度を検出できるようになっている。
【0009】
しかしながら、この光センサにおいては、外光の照度が大きく変化する場合には、照度を検出し、その照度に基づいて検出感度を切り替え、さらに切替後の検出感度で照度を再び検出する必要がある。このため、外光の正しい照度を取得するまでにある程度の時間が必要となる。したがって、この光センサの検出結果に基づいて表示装置の表示状態の調整を行った場合には、外光の照度が大きくかつ頻繁に変化するような場合(例えば、車両の夜間走行中に明るい街灯の照明を断続的に受ける場合など)において、外光の照度の変化に速やかに応答して表示状態を調整を行うことはできない。その結果、表示装置の視認性が悪化する可能性がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、外光の照度が大きく変化する場合であっても外光の正しい照度を速やかに取得できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表示装置の表示に係る制御を行う表示制御装置であって、前記表示装置の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する検出手段の前記信号に基づいて前記外光の照度を取得する取得手段と、前記外光の照度に応じて、前記表示装置の表示状態を調整する調整手段と、前記検出感度を、互いに異なる複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更する感度変更手段と、を備えている。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の表示制御装置において、前記感度変更手段は、相対的に低い設定感度と、相対的に高い設定感度とのそれぞれに前記検出感度を一周期のうちで変更する。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の表示制御装置において、前記一周期における、前記相対的に低い設定感度にする低感度期間と、前記相対的に高い設定感度にする高感度期間との割合を、前記外光の照度に応じて変更する割合変更手段、をさらに備えている。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の表示制御装置において、前記割合変更手段は、前記外光の照度が高いほど前記低感度期間の割合を大きくし、前記外光の照度が低いほど前記高感度期間の割合を大きくする。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の表示制御装置において、前記割合変更手段は、前記外光の照度が所定の閾値より大きい場合は前記一周期の全てを前記低感度期間とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の表示制御装置において、前記調整手段は、前記外光の照度が相対的に高い場合に向けた第1制御と、前記外光の照度が相対的に低い場合に向けた第2制御と、を前記外光の照度に基づいて選択的に実行する。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の表示制御装置において、前記表示装置は、車両に搭載される。
【0018】
また、請求項8の発明は、画像表示システムであって、請求項1ないし7のいずれかに記載の表示制御装置と、前記表示制御装置によって表示状態が制御される表示装置と、を備えている。
【0019】
また、請求項9の発明は、表示装置の表示に係る制御を行う表示制御方法であって、(a)前記表示装置の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する検出手段の前記信号に基づいて前記外光の照度を取得する工程と、(b)前記外光の照度に応じて、前記表示装置の表示状態を調整する工程と、(c)前記検出感度を、互いに異なる複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更する工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1ないし9の発明によれば、検出手段の検出感度が複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更されることから、外光の照度が大きく変動した場合であっても、外光の正しい照度を速やかに取得できる。その結果、表示装置の表示状態の調整における、外光の照度の変化に対する応答性能を向上できる。
【0021】
また、特に請求項2の発明によれば、2つの設定感度の外光の照度を一周期のうちに取得できる。
【0022】
また、特に請求項3及び4の発明によれば、外光の照度に応じて低感度期間と高感度期間との割合を変更するため、表示装置の表示状態の調整を安定して実行できる。
【0023】
また、特に請求項5の発明によれば、外光が比較的安定する明るい場合に一周期の全てを低感度期間とするため、表示装置の表示状態の調整を安定して実行できる。
【0024】
また、特に請求項6の発明によれば、外光の照度が相対的に高い場合に向けた第1制御と相対的に低い場合に向けた第2制御とを外光の照度に基づいて選択的に実行する場合に、外光の正しい照度を速やかに取得できるため、外光の照度に応じた適切な制御を速やかに実行できる。
【0025】
また、特に請求項7の発明によれば、外光の照度が変動しやすい車両において、表示装置の表示状態の調整における外光の照度の変化に対する応答性能を向上できることから、表示装置の視認性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、画像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、画像処理部の詳細な構成を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態の外光の照度の取得に係る構成を示す図である。
【図4】図4は、光センサの検出感度ごとの検出範囲を示す図である。
【図5】図5は、ディマー制御におけるデューティ比を示す図である。
【図6】図6は、直射制御における改善画像の合成割合を示す図である。
【図7】図7は、検出感度を変更するタイミングを示す図である。
【図8】図8は、感度変更部の処理の流れを示す図である。
【図9】図9は、照度取得部の処理を示す図である。
【図10】図10は、表示調整部の処理の流れを示す図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態の外光の照度の取得に係る構成を示す図である。
【図12】図12は、検出感度を変更するタイミングを示す図である。
【図13】図13は、検出感度を変更するタイミングを示す図である。
【図14】図14は、低感度期間と高感度期間との割合と、外光の照度との関係を示す図である。
【図15】図15は、検出感度を変更するタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.全体構成>
図1は、本実施の形態の画像表示システム1の構成を示すブロック図である。画像表示システム1は、例えば、自動車などの車両用のナビゲーションシステムであり、車両に搭載されて各種の情報を車室内のユーザに表示する機能を有している。
【0029】
図1に示すように、画像表示システム1は、各種の画像を表示する表示装置4と、表示装置4の表示に係る制御を行う表示制御装置3と、表示装置4に表示するための画像を提供する映像提供部2とを備えている。
【0030】
さらに、画像表示システム1は、システム全体を制御するシステム制御部10を備えている。システム制御部10は、例えば、CPU、RAM及びROMなどを備えたマイクロコンピュータである。システム制御部10のCPUが所定のプログラムに従って演算処理を行うことで、システム全体を制御するための各種の制御機能が実現される。システム制御部10は、映像提供部2、表示制御装置3及び表示装置4の動作を統括的に制御する。
【0031】
映像提供部2は、表示装置4への表示対象とする画像を含む様々な映像ソースの映像信号を出力する。映像提供部2は、放送受信部21、カメラ入力部22、ディスク読取部23、及び、ナビゲーション部24を備えている。これらの映像提供部2の各部21,22,23,24は、所定の周期(例えば、1/30(秒))で画像(フレーム)を含む映像信号を出力する。
【0032】
放送受信部21は、車両に搭載されたアンテナ91で受信したテレビジョン放送やデータ放送などの放送信号をデコードし、その放送内容を示す画像を取得して表示制御装置3に出力する。カメラ入力部22は、車載カメラ92と接続され、車載カメラ92で撮影された車両の周辺の様子を示す画像を取得して表示制御装置3に出力する。ディスク読取部23は、DVDなどの映像ディスク93を読み取り、映像ディスク93の記録内容を示す画像を取得して表示制御装置3に出力する。また、ナビゲーション部24は、ナビゲーション機能を提供する電子基板であり、ルート案内用の地図画像などナビゲーション機能に必要な画像を表示制御装置3に出力する。
【0033】
表示装置4は、画像を表示する画面となる液晶パネル41と、その液晶パネル41を照明するバックライト42とを備えている。この表示装置4の液晶パネル41がユーザである車両の乗員から視認できるように、画像表示システム1は車両のインストルメントパネルなどに設置される。液晶パネル41は、例えば、縦横二次元に配列された複数のドットを備えている。液晶パネル41は、光の透過率をドットごとに変更することで画像を表示する。また、バックライト42は、LEDなどの光源を備えており、液晶パネル41を背面から照明する。
【0034】
バックライト42は、光源の光量を変更可能となっている。バックライト42は、デューティ比が設定された制御信号(PWM信号)を受信し、この制御信号が示すデューティ比に応じて光源の光量を調整する。具体的には、バックライト42は、デューティ比が高いほど光源の光量を大きくし、デューティ比が低いほど光源の光量を小さくする。バックライト42の光源の光量が大きくなるほど、表示装置4の画面は明るくなる。
【0035】
表示制御装置3は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア回路であり、表示装置4の表示に係る制御を行う。表示制御装置3は、画像取得部31、表示調整部32及び画像出力部33を備えている。
【0036】
画像取得部31は、画像を含む映像信号を映像提供部2から取得する。画像取得部31は、システム制御部10からの指示に基づいてスイッチングを行い、映像提供部2の各部21,22,23,24から出力される映像信号のいずれか一つを受け取り、その映像信号に含まれる画像を表示調整部32に提供する。
【0037】
表示調整部32は、表示装置4への表示対象となる画像、及び、バックライト42の光量を調整することで、表示装置4の表示状態を調整する。表示調整部32は、表示装置4の画面の視認性に影響を与える外光の照度に応じて表示装置4の表示状態を調整し、表示装置4の画面の視認性を向上させる。
【0038】
画像出力部33は、表示調整部32で調整された画像を表示装置4に出力して表示させる。これにより、表示調整部32で調整された画像が表示装置4の液晶パネル41に表示される。
【0039】
表示調整部32は、表示装置4の表示状態を調整するための調整制御として、直射制御とディマー制御とが実行可能である。表示調整部32は、外光の照度に応じてこれらの2つの調整制御を選択的に実行する。
【0040】
直射制御は、表示装置4の画面に直射日光が照射するなど外光の照度が相対的に高い場合(例えば、500(lx)超)に向けた調整制御である。直射制御は、表示装置4に表示する画像の画質を改善することで、表示装置4の視認性を向上する。
【0041】
一方、ディマー制御は、夜間など外光の照度が相対的に低い場合(例えば、50(lx)未満)に向けた調整制御である。ディマー制御は、表示装置4の画面の明るさを調整することで表示装置4の視認性を向上する。
【0042】
表示調整部32は、直射制御を実現するための画像処理部6と、ディマー制御を実現するためのバックライト制御部7とを備えている。バックライト制御部7は、外光の照度に応じてバックライト42の光量を変更する。バックライト制御部7は、デューティ比を設定した制御信号をバックライト42に出力することで、バックライト42の光量を変更する。バックライト制御部7は、表示対象となる画像の明るさと、外光の照度とに基づいてバックライト42の光量を調整する。
【0043】
また、画像処理部6は、外光の照度に応じて表示対象となる画像を補正する。図2は、画像処理部6の詳細な構成を示す図である。画像処理部6は、改善画像生成部61と、画像合成部62とを主に備えている。
【0044】
改善画像生成部61は、映像提供部2から入力される補正前の画像である原画像に所定の画像処理を行って、外光の照度が比較的高い場合における視認性を向上した改善画像を生成する。改善画像生成部61は、レンジ圧縮部63と階調補正部64と彩度補正部65とを備えている。これらの機能の詳細については後述する。
【0045】
また、画像合成部62は、改善画像生成部61で生成された改善画像と原画像とを、外光の照度に応じた合成比率で合成して表示画像を生成する。このようにして生成された表示画像が表示装置4の画面に表示される。
【0046】
<1−2.照度取得に係る構成>
このように表示調整部32は、外光の照度に応じて直射制御及びディマー制御を選択的に実行して、表示装置4の表示状態を調整する。図1に示すように、この外光の照度の取得に係る構成として、画像表示システム1は光センサ5を備えており、また、表示制御装置3は照度取得部34及び感度変更部35を備えている。
【0047】
光センサ5は、外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する。光センサ5の検出感度は、互いに異なる2つの設定感度(低感度、高感度)のいずれかに切り替え可能となっている。照度取得部34は、光センサ5から出力される信号に基づいて外光の照度を取得する。また、感度変更部35は、光センサ5の検出感度を変更する。図3は、このような外光の照度の取得に係る構成をより詳細に示す図である。
【0048】
光センサ5は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの受光素子52を備えている。この受光素子52は、表示装置4の画面となる液晶パネル41の周縁近傍に配置され、表示装置4の画面を照明する外光(すなわち、表示装置4の画面の視認性に影響を与える外光)を受光する。受光素子52の上流側は、一定の電圧Vccの電源ラインにスイッチ51を介して接続されており、この電源ラインから受光素子52に電力が供給される。
【0049】
また、受光素子52の下流側は、切替スイッチ53を介して2つの抵抗R1,R2と接続されている。切替スイッチ53の一方の第1接点は第1抵抗R1に接続され、他方の第2接点は第2抵抗R2に接続される。これら2つの抵抗R1,R2の抵抗値は異なっており、第1抵抗R1のほうが第2抵抗R2よりも抵抗値が低くなっている。切替スイッチ53により、受光素子52と接続する抵抗を、第1抵抗R1及び第2抵抗R2のいずれかに切替可能となっている。
【0050】
また、光センサ5は、照度取得部34に接続された切替スイッチ54をさらに備えている。この切替スイッチ54の一方の第1接点は第1抵抗R1の上流側の回路に接続され、他方の第2接点は第2抵抗R2の上流側の回路に接続されている。したがって、この切替スイッチ53により、照度取得部34が電気的に接続される回路を、第1抵抗R1及び第2抵抗R2のいずれかの上流側に切替可能となっている。
【0051】
切替スイッチ53,54の双方を第1接点側に切り替えた場合は、受光素子52と第1抵抗R1とが電気的に接続され、第1抵抗R1の上流側の電圧を示す信号が照度取得部34に出力される。一方、切替スイッチ53,54の双方を第2接点側に切り替えた場合は、受光素子52と第2抵抗R2とが電気的に接続され、第2抵抗R2の上流側の電圧を示す信号が照度取得部34に出力される。
【0052】
光センサ5の検出感度は、これらの切替スイッチ53,54の切り替えによって変更できる。受光素子52は、入射した外光の強さに応じた電流を出力する。この電流が、受光素子52の下流側に接続された抵抗を流れることから、外光が強いほど高い電圧の信号が照度取得部34に出力される。
【0053】
また、第1抵抗R1のほうが第2抵抗R2よりも抵抗値が低い。したがって、同じ強さの外光が受光素子52に入射する場合を想定すると、受光素子52を第1抵抗R1と接続した場合は、第2抵抗R2と接続した場合と比較して、照度取得部34に出力される信号の電圧が低くなる。したがって、受光素子52を第1抵抗R1と接続した場合は、光センサ5の検出感度は、相対的に低い設定感度である「低感度」に設定される。この場合は、光センサ5から出力される信号の電圧が相対的に低くなるため、比較的高い照度の外光に対応できる。
【0054】
また逆に、受光素子52を第2抵抗R2と接続した場合は、第1抵抗R1と接続した場合と比較して、照度取得部34に出力される信号の電圧が高くなる。したがって、受光素子52を第2抵抗R2と接続した場合は、光センサ5の検出感度は、相対的に高い設定感度である「高感度」に設定される。この場合は、光センサ5から出力される信号の電圧が相対的に高くなるため、比較的低い照度の外光に対応できる。
【0055】
表示制御装置3の感度変更部35は、切替信号を出力してこれら切替スイッチ53,54を切り替えることで、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」との間で切り替えることができる。また、感度変更部35は、光センサ5の検出感度を示す信号を照度取得部34に出力する。さらに、感度変更部35は、信号を送出してスイッチ51をオン/オフすることで、受光素子52への電力の供給/遮断を切り替え可能である。
【0056】
また、表示制御装置3の照度取得部34は、光センサ5から出力される信号の電圧と、感度変更部35から入力される検出感度とに基づいて、外光の照度を導出する。
【0057】
図4に示すように、光センサ5の検出感度を「低感度」に設定した場合は、照度取得部34は、0〜10万(lx)の検出範囲Raで外光の照度を取得する。一方、光センサ5の検出感度を「高感度」に設定した場合は、照度取得部34は、0〜100(lx)の検出範囲Rbで外光の照度を取得する。図4では、照度(lx)に対応する横軸を対数軸で示している。
【0058】
照度取得部34は、外光の照度を例えば8ビット(0〜255)の値で導出する。このため、光センサ5の検出感度を「低感度」に設定した場合において、実際の外光の照度が比較的低い(例えば、50(lx)未満)ときには、照度取得部34の導出結果がアンダーフローとなり外光の照度を正しく取得できなくなる。また逆に、光センサ5の検出感度を「高感度」に設定した場合において、実際の外光の照度が比較的高い(例えば、500(lx)超)場合は、照度取得部34の導出結果がオーバーフローとなり外光の照度を正しく取得できなくなる。
【0059】
表示調整部32は、この照度取得部34で取得される外光の照度に応じて、直射制御及びディマー制御を選択的に実行する。表示調整部32は、照度取得部34で取得される外光の照度が所定の第1閾値T1より小さい場合にディマー制御を実行する。第1閾値T1は設定感度が「高感度」の場合の検出範囲Rbの最大値(100(lx))以下の値に設定され、本実施の形態では、例えば50(lx)となっている。
【0060】
また、表示調整部32は、照度取得部34で取得される外光の照度が所定の第2閾値T2(T1<T2)より大きい場合に直射制御を実行する。第2閾値T2は設定感度が「高感度」の場合の検出範囲Rbの最大値(100(lx))以上の値に設定され、本実施の形態では、例えば500(lx)となっている。直射制御において生成される改善画像は、外光の照度がこの第2閾値T2よりも高い場合における視認性を向上した画像であるともいえる。
【0061】
<1−3.表示状態の調整>
次に、ディマー制御及び直射制御のそれぞれの制御内容について具体的に説明する。まず、外光の照度が比較的低い場合に実行されるディマー制御について説明する。外光の照度が比較的低い場合においては、周辺環境と比較して表示装置4の画面が明るくなりすぎ、ユーザがまぶしく感じる。その結果、表示装置4の画面の視認性が低下する。
【0062】
このため、ディマー制御では、バックライト制御部7が外光の照度に応じてバックライト42の光量を基準光量よりも低下させることで、表示装置4の画面の視認性を向上する。バックライト制御部7は、外光の照度が低いほどバックライト42の光量(より具体的には、デューティ比)を小さくする。
【0063】
具体的には、図5に示すように、バックライト制御部7は、外光の照度が0〜50(lx)の範囲にある場合に、外光の照度に比例するようにデューティ比を設定する。デューティ比の最大値は、バックライト42の基準光量に対応する値である基準値となる。この基準値は、表示対象とする画像の平均輝度に基づいて0.2〜0.8の範囲でバックライト制御部7が設定する。バックライト制御部7は、画像の平均輝度が高いほど基準値を高く設定する。なお、外光の照度が第1閾値T1の50(lx)より大きい場合は、ディマー制御は実行されず、デューティ比は基準値のまま一定とされる。このようなディマー制御を実行するためには、光センサ5の検出感度が「高感度」の場合に取得される外光の照度が必要となる。
【0064】
次に、外光の照度が比較的高い場合に実行される直射制御について説明する。外光の照度が比較的高い場合においては、画面における外光の反射等に起因し、表示装置4の表示において画像の階調の変化をユーザが認識できる範囲が狭くなり、特に比較的低輝度の領域の階調が実質的に失われてしまう。また、表示装置4に表示される画像中の被写体の色が全体的に薄くなってしまう。その結果、表示装置4の画面の視認性が低下する。
【0065】
このため、直射制御では、画像処理部6の改善画像生成部61(図2参照。)が、階調の変化を認識可能な範囲で階調を表現できるようにダイナミックレンジを圧縮し、かつ、被写体の色が明瞭になるように彩度を強調した改善画像を生成する。そして、生成された改善画像と原画像とを合成した表示画像を表示装置4に表示することで、表示装置4の画面の視認性を向上する。
【0066】
改善画像生成部61のレンジ圧縮部63は、原画像のダイナミックレンジを圧縮する。レンジ圧縮部63は、原画像を照明光成分(低周波成分)と反射率成分(高周波成分)とに分離し、照明光成分を抑制しつつ反射率成分を拡大する。これにより、ダイナミックレンジが圧縮され、明るすぎる領域や暗すぎる領域においても階調の変化が明瞭となって視認性が改善された改善画像が得られる。
【0067】
階調補正部64は、レンジ圧縮部63に処理された改善画像の階調を補正する。具体的には、階調補正部64は、所定のトーンカーブを用いて改善画像の階調を補正して、階調が失われる可能性のある比較的低輝度の領域の輝度を上昇させる。また、彩度補正部65は、階調補正部64に処理された改善画像の彩度を強調する。これにより、改善画像中の被写体の色が鮮明にされる。
【0068】
画像合成部62は、このようにして生成された改善画像と原画像とを外光の照度に基づく合成比率で合成して表示画像を生成する。画像合成部62は、外光の照度が高いほど改善画像の合成割合を高くする。具体的には、図6に示すように、画像合成部62は、外光の照度が500〜10万(lx)の範囲にある場合に、外光の照度が高いほど改善画像の合成割合を高く設定する。改善画像の合成割合は、外光の照度が第2閾値T2の500(lx)の場合では0%とされ、外光の照度が検出範囲Raの最大値の10万(lx)の場合では100%とされる。このような直射制御を行うためには、光センサ5の検出感度が「低感度」の場合に取得される外光の照度が必要となる。
【0069】
<1−4.検出感度の変更>
次に、感度変更部35による光センサ5の検出感度の変更手法について説明する。前述のように、検出感度が「高感度」の場合の外光の照度はディマー制御に必要であり、検出感度が「低感度」の場合の外光の照度は直射制御に必要となる。したがって、外光の照度に応じて、検出感度を切り替えることも考えられる。しかし、このようにすると外光の照度が大きく変化する場合には外光の正しい照度を取得するまで時間が必要となり、さらに実行すべき調整制御の選択に時間が必要となることなどから、外光の照度の変化に対する調整制御の応答性能が悪化する。このため、本実施の形態では、感度変更部35は、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」とのそれぞれに周期的に変更する。
【0070】
具体的には、図7に示すように、感度変更部35は、所定の周期Pで検出感度を変更し、一周期Pのうちにおいて検出感度を「低感度」と「高感度」とのそれぞれに変更する。これにより、光センサ5の検出感度は、「低感度」と「高感度」とに交互に設定される。一周期Pは、例えば1/100(秒)に設定される。
【0071】
このように光センサ5の検出感度が一周期Pのうちにおいて「低感度」と「高感度」との双方に変更されることから、照度取得部34は、一周期Pのうちに、検出感度が「低感度」の場合の外光の照度と、検出感度が「高感度」の場合の外光の照度との双方を取得できる。このため、照度取得部34は、実際の外光の照度に係わらず一周期Pのうちに外光の正しい照度を取得できる。したがって、外光の照度が大きく変化する場合であっても、外光の正しい照度を速やかに取得することが可能となる。本実施の形態では、一周期Pに含まれる、検出感度が「低感度」となる低感度期間PLと、検出感度が「高感度」となる高感度期間PHとは同じとなっている。すなわち、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合は1対1(5対5)となっている。
【0072】
<1−5.処理>
次に、画像表示システム1の感度変更部35、照度取得部34及び表示調整部32のそれぞれの処理の流れについて説明する。
【0073】
まず、感度変更部35の処理の流れについて説明する。図8は、感度変更部35の処理の流れを示す図である。感度変更部35は、この図8に示す処理を、光センサ5の検出感度を切り替えるべき切替タイミングごとに実行する。したがって、本実施の形態では、一周期P(1/100(秒))の1/2の周期(1/200(秒))で図8に示す処理が繰り返し実行される。
【0074】
感度変更部35は、切替タイミングとなると、まず、スイッチ51に信号を送出してスイッチ51をオフする。これにより、受光素子52への電力が遮断される(ステップS11)。
【0075】
続いて、変更前の検出感度が「低感度」であれば、感度変更部35は、切替信号を送出して切替スイッチ53,54を切り替え、検出感度を「高感度」に変更する(ステップS12,S13)。一方、変更前の検出感度が「高感度」であれば、感度変更部35は、切替信号を送出して切替スイッチ53,54を切り替え、検出感度を「低感度」に変更する(ステップS12,S14)。
【0076】
このように光センサ5の検出感度を切り替えると、感度変更部35は、切り替え後の検出感度を示す信号を照度取得部34に出力する(ステップS15)。これとともに、感度変更部35は、スイッチ51に信号を送出してスイッチ51をオンして、受光素子52へ電力を供給する。これにより、切り替え後の検出感度に応じた電圧の信号が照度取得部34に出力される(ステップS16)。
【0077】
次に、照度取得部34の処理の流れについて説明する。図9は、照度取得部34の処理を示す図である。照度取得部34は、この図9に示す処理を、感度変更部35が検出感度を変更する周期Pよりも十分に短い周期で繰り返し実行する。例えば、一周期P(1/100(秒))の1/10の周期(1/1000(秒))で図9に示す処理が繰り返し実行される。
【0078】
照度取得部34は、まず、感度変更部35からその時点における光センサ5の検出感度を取得する(ステップS21)。次に、照度取得部34は、この検出感度と、光センサ5から出力される信号の電圧とに基づいて、外光の照度を導出する。光センサ5の信号の電圧と照度との関係は、検出感度ごとにテーブル等によって予め定められている(ステップS22)。
【0079】
次に、照度取得部34は、外光の照度として導出した導出結果が正常値であるか否かを判定する。例えば、導出結果がオーバーフロー、あるいは、アンダーフローなどの異常値になっていないか否かを判定する(ステップS23)。導出結果がこのような異常値となる場合とは、光センサ5の検出感度が実際の外光の照度に応じた設定感度になっていない場合である。このため、このような場合は(ステップS23にてNo)、そのまま処理を終了する。
【0080】
一方、導出結果が正常値である場合は、照度取得部34は、導出結果を外光の照度として表示調整部32に出力する(ステップS24)。このような外光の照度の出力は、正常値となる導出結果が次に得られるまで維持される。これにより、照度取得部34からは外光の正しい照度が出力されることになる。
【0081】
前述のように、光センサ5の検出感度が一周期Pのうちにおいて「低感度」と「高感度」との双方に変更される。したがって、外光の照度が大きく変化する場合であっても、照度取得部34は一周期Pのうちに外光の正しい照度を取得し、その外光の正しい照度を表示調整部32に出力できる。
【0082】
次に、表示調整部32の処理の流れについて説明する。図10は、表示調整部32の処理の流れを示す図である。表示調整部32は、この図10に示す処理を、表示対象となる画像が入力されるごとに繰り返し実行する。本実施の形態では、例えば1/30(秒)の周期で図8に示す処理が繰り返し実行される。
【0083】
表示調整部32は、まず、照度取得部34から外光の照度を取得する(ステップS31)。次に、表示調整部32は、外光の照度を、調整制御を選択するための2つの閾値T1,T2と比較する(ステップS32)。
【0084】
外光の照度が第1閾値T1(50(lx))より小さい場合は、表示調整部32は、実行すべき調整制御としてディマー制御を選択する。そして、表示調整部32は、外光の照度に応じたディマー制御を実行する(ステップS33)。
【0085】
一方、外光の照度が第2閾値T2(500(lx))より大きい場合は、表示調整部32は、実行すべき調整制御として直射制御を選択する。そして、表示調整部32は、外光の照度に応じた直射制御を実行する(ステップS34)。
【0086】
また、外光の照度が第1閾値T1よりも大きく第2閾値T2よりも小さい場合は、表示調整部32は、表示装置4の表示状態を調整するための調整制御を実行しない。なお、外光の照度が閾値T1,T2と同じ場合はいずれの判断分岐に含めてもよい。
【0087】
前述のように、照度取得部34が一周期Pのうちに外光の正しい照度を取得できることから、外光の照度が大きく変化する場合であっても、表示調整部32は外光の照度に応じた適切な調整制御を速やかに選択して実行できる。したがって、車両の夜間走行中に明るい街灯の照明を断続的に受ける場合など、表示装置4への外光の照度が大きくかつ頻繁に変化するような場合においても、外光の照度の変化に速やかに応答して表示装置4の表示状態を適切に調整することができる。このため、車両に搭載される表示装置4の視認性を向上することができる。
【0088】
以上のように、本実施の形態の画像表示システム1においては、検出感度を変更可能な光センサ5が設けられ、この光センサ5は、表示装置4の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた電圧の信号を出力する。表示制御装置3の照度取得部34は、この光センサ5からの信号に基づいて外光の照度を取得する。また、表示調整部32は、照度取得部34に取得された外光の照度に応じて、表示装置4の表示状態を調整する。そして、感度変更部35が、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」とのそれぞれに周期的に変更する。このため、外光の照度が大きく変動した場合であっても、外光の正しい照度を速やかに取得できる。その結果、表示装置4の表示状態の調整における、外光の照度の変化に対する応答性能を向上できる。
【0089】
また、外光の照度が変動しやすい車両において、表示装置4の表示状態の調整における外光の照度の変化に対する応答性能を向上できることから、表示装置4の視認性を向上できる。
【0090】
また、外光の照度が相対的に高い場合に向けた直射制御と、相対的に低い場合に向けたディマー制御とを外光の照度に基づいて選択的に実行する場合に、外光の正しい照度を速やかに取得できるため、外光の照度に応じた適切な調整制御を速やかに選択して実行できる。
【0091】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の画像表示システム1の構成及び処理は第1の実施の形態とほぼ同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。第1の実施の形態では、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合が5対5に固定されていた(図7参照。)。これに対して、第2の実施の形態では、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を変更するようになっている。
【0092】
図11は、第2の実施の形態の画像表示システム1における外光の照度の取得に係る構成を示す図である。第2の実施の形態の表示制御装置3は、第1の実施の形態の表示制御装置3の構成(図3参照。)に加えて、割合変更部36をさらに備えている。割合変更部36は、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を変更する。
【0093】
感度変更部35は、このように割合変更部36によって変更された割合に基づく切替タイミングで、光センサ5の検出感度を「低感度」と「高感度」との間で切り替える。これにより、例えば、図12に示すように一周期Pにおける低感度期間PLの割合を多くしたり、逆に、図13に示すように一周期Pにおける高感度期間PHの割合を多くしたりすることができる。
【0094】
割合変更部36は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を、照度取得部34で取得される外光の照度に応じて変更する。図14は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合と、外光の照度との関係を示す図である。図14では、照度(lx)に対応する横軸を対数軸で示している。
【0095】
第2の実施の形態では、外光の照度に関する閾値として、第1閾値T1及び第2閾値T2の他に、第3閾値T3及び第4閾値T4が設定されている。第3閾値T3及び第4閾値T4(T3<T4)はそれぞれ、第2閾値T2より大きく、設定感度が「低感度」の場合の検出範囲Raの最大値(10万(lx))より小さな値に設定される。本実施の形態では、第3閾値T3は例えば3,000(lx)であり、第4閾値T4は例えば1万(lx)である。
【0096】
割合変更部36は、外光の照度が高いほど一周期Pにおける低感度期間PLの割合を大きくし、逆に、外光の照度が低いほど一周期Pにおける高感度期間PHの割合を大きくする。
【0097】
具体的には、割合変更部36は、外光の照度が第1閾値T1より小さい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を4対6(PL:PH=4:6)に設定する。また、割合変更部36は、外光の照度が第1閾値T1より大きく第2閾値T2より小さい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を5対5(PL:PH=5:5)に設定する。また、割合変更部36は、外光の照度が第2閾値T2より大きく第3閾値T3より小さい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を6対4(PL:PH=6:4)に設定する。また、割合変更部36は、外光の照度が第3閾値T3より大きく第4閾値T4より小さい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を9対1(PL:PH=9:1)に設定する。さらに、割合変更部36は、外光の照度が第4閾値T4より大きい場合は、低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を10対0(PL:PH=10:0)に設定する。
【0098】
表示装置4の画面を照明する外光の照度は大きく変化する可能性はあるものの、照度が比較的安定した状態と比較すると、そのような大きな変化が発生する機会は少ない。このため、図14に示すように外光の照度に応じて低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を変更することで、その時点の外光の照度において必要な調整制御を安定して実行することができる。その結果、調整制御の種類を変更する必要のない外光の照度の比較的小さな変化に対しての調整制御の応答性能を向上できる。
【0099】
例えば、ディマー制御を行っている場合(照度<第1閾値T1)は、検出感度がディマー制御に必要な「高感度」となる高感度期間PHが長くなる。このため、ディマー制御を安定して実行でき、ディマー制御の応答性能を向上できる。また、直射制御を行っている場合(第2閾値T2<照度)は、検出感度が直射制御に必要な「低感度」となる低感度期間PLが長くなる。このため、直射制御を安定して実行でき、直射制御の応答性能を向上できる。
【0100】
このように低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を変更した場合であっても、第1の実施の形態と同様に、光センサ5の検出感度が一周期Pのうちにおいて「低感度」と「高感度」との双方に変更される。このため、照度取得部34が一周期Pのうちに外光の正しい照度を取得できることから、外光の照度が大きく変化する場合であっても、表示調整部32は適切な調整制御を速やかに選択して実行できる。
【0101】
また、外光の照度が第3閾値T3より大きくなる場合は、表示装置4の画面に直射日光が照射されていると考えられる。このような場合には、外光の照度は比較的安定し、ディマー制御を実行すべき第1閾値T1より外光の照度が突然小さくなるような機会は少ない。このためこの場合は、一周期Pにおける高感度期間PHの割合を非常に小さくするため、直射制御の応答性能を向上できる。
【0102】
さらに、外光の照度が第4閾値T4より大きくなる場合は、外光の照度はさらに安定し、ディマー制御を実行すべき第1閾値T1より外光の照度が突然小さくなるような機会は稀である。したがってこの場合は、図15に示すように、一周期Pの全てを低感度期間PLとするため、直射制御の応答性能をさらに向上できる。
【0103】
以上のように、本実施の形態の画像表示システム1においては、割合変更部36が、一周期Pにおける低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を外光の照度に応じて変更する。このため、表示装置4の表示状態を調整する調整制御を安定して実行できる。その結果、外光の照度の比較的小さな変化に対する調整制御の応答性能を向上できる。
【0104】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0105】
上記実施の形態では、光センサ5の検出感度を変更可能な設定感度は「低輝度」と「高輝度」との2つであったが、互いに異なる3以上の設定感度があってもよい。3以上の設定感度がある場合も、それら3以上の設定感度のそれぞれに光センサ5の検出感度を一周期において変更するようにすればよい。
【0106】
また、上記実施の形態では、受光素子52に接続する抵抗を変更することにより光センサ5の検出感度を変更するようにしていたが、受光素子52へ入射する光の量を調整するなどの他の手法によって光センサ5の検出感度を変更してもよい。例えば、受光素子52の受光面に液晶シャッタを備え、液晶シャッタの透過率を変更することで、光センサ5の検出感度を変更してもよい。また、受光素子52の近傍に可動式の複数のフィルタを設け、受光素子52の受光面に配置するフィルタの種類や数を変更することで、光センサ5の検出感度を変更してもよい。
【0107】
また、第2の実施の形態では、外光の照度と閾値との関係により低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を決定していたが、閾値を用いずに、外光の照度を変数とした計算式やテーブル等によって低感度期間PLと高感度期間PHとの割合を決定してもよい。
【0108】
また、上記実施の形態では、車両に搭載される画像表示システム1について説明を行ったが、例えば、携帯電話やスマートフォンなど、様々な外光の環境下で用いられる画像表示システムであれば、どのようなものであっても上記実施の形態で説明した技術を好適に適用可能である。
【0109】
また、上記実施の形態において、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 画像表示システム
3 表示制御装置
4 表示装置
5 光センサ
32 表示調整部
34 照度取得部
35 感度変更部
36 割合変更部
R1 抵抗
R2 抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示に係る制御を行う表示制御装置であって、
前記表示装置の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する検出手段の前記信号に基づいて前記外光の照度を取得する取得手段と、
前記外光の照度に応じて、前記表示装置の表示状態を調整する調整手段と、
前記検出感度を、互いに異なる複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更する感度変更手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記感度変更手段は、相対的に低い設定感度と、相対的に高い設定感度とのそれぞれに前記検出感度を一周期のうちで変更することを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示制御装置において、
前記一周期における、前記相対的に低い設定感度にする低感度期間と、前記相対的に高い設定感度にする高感度期間との割合を、前記外光の照度に応じて変更する割合変更手段、
をさらに備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示制御装置において、
前記割合変更手段は、
前記外光の照度が高いほど前記低感度期間の割合を大きくし、
前記外光の照度が低いほど前記高感度期間の割合を大きくすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示制御装置において、
前記割合変更手段は、前記外光の照度が所定の閾値より大きい場合は前記一周期の全てを前記低感度期間とすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の表示制御装置において、
前記調整手段は、
前記外光の照度が相対的に高い場合に向けた第1制御と、
前記外光の照度が相対的に低い場合に向けた第2制御と、
を前記外光の照度に基づいて選択的に実行することを特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の表示制御装置において、
前記表示装置は、車両に搭載されることを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
画像表示システムであって、
請求項1ないし7のいずれかに記載の表示制御装置と、
前記表示制御装置によって表示状態が制御される表示装置と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項9】
表示装置の表示に係る制御を行う表示制御方法であって、
(a)前記表示装置の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する検出手段の前記信号に基づいて前記外光の照度を取得する工程と、
(b)前記外光の照度に応じて、前記表示装置の表示状態を調整する工程と、
(c)前記検出感度を、互いに異なる複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更する工程と、
を備えることを特徴とする表示制御方法。
【請求項1】
表示装置の表示に係る制御を行う表示制御装置であって、
前記表示装置の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する検出手段の前記信号に基づいて前記外光の照度を取得する取得手段と、
前記外光の照度に応じて、前記表示装置の表示状態を調整する調整手段と、
前記検出感度を、互いに異なる複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更する感度変更手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記感度変更手段は、相対的に低い設定感度と、相対的に高い設定感度とのそれぞれに前記検出感度を一周期のうちで変更することを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示制御装置において、
前記一周期における、前記相対的に低い設定感度にする低感度期間と、前記相対的に高い設定感度にする高感度期間との割合を、前記外光の照度に応じて変更する割合変更手段、
をさらに備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示制御装置において、
前記割合変更手段は、
前記外光の照度が高いほど前記低感度期間の割合を大きくし、
前記外光の照度が低いほど前記高感度期間の割合を大きくすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示制御装置において、
前記割合変更手段は、前記外光の照度が所定の閾値より大きい場合は前記一周期の全てを前記低感度期間とすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の表示制御装置において、
前記調整手段は、
前記外光の照度が相対的に高い場合に向けた第1制御と、
前記外光の照度が相対的に低い場合に向けた第2制御と、
を前記外光の照度に基づいて選択的に実行することを特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の表示制御装置において、
前記表示装置は、車両に搭載されることを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
画像表示システムであって、
請求項1ないし7のいずれかに記載の表示制御装置と、
前記表示制御装置によって表示状態が制御される表示装置と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項9】
表示装置の表示に係る制御を行う表示制御方法であって、
(a)前記表示装置の画面に影響を与える外光の強さと検出感度とに応じた信号を出力する検出手段の前記信号に基づいて前記外光の照度を取得する工程と、
(b)前記外光の照度に応じて、前記表示装置の表示状態を調整する工程と、
(c)前記検出感度を、互いに異なる複数の設定感度のそれぞれに周期的に変更する工程と、
を備えることを特徴とする表示制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−194404(P2012−194404A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58623(P2011−58623)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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