説明

表示変更装置及びゲーム機

【課題】操作部の操作方法を改良し、ゲーム空間での移動速度を、プレイヤが自在に調整することができる表示変更装置及びゲーム機を提供する。
【解決手段】コントローラ20が、一義的入力領域(回転位置B1〜B2)から速度入力領域(回転位置B2〜C2)の範囲で連続して回転移動をされる場合に、コントローラ20の移動位置に基づいて、全画面4から表示範囲を一義的に選択し、コントローラ20が、速度入力領域の停止位置で停止されたときに、角速度検出部が検出したコントローラ20の角速度に基づいて、全画面4から表示範囲を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム画面の表示を変更する表示変更装置及びゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲーム機には、コントローラを操作し、ゲーム空間内におけるプレイヤの視線を変更させてゲームを行うものがあった(例えば、特許文献1)。
しかし、このタイプのゲーム機は、視線方向を回転する場合に、回転速度が一定か、又は、限られた範囲での回転速度であり、プレイヤが欲するスピードが得られない場合があるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−293089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、操作部の操作方法を改良し、ゲーム空間での移動速度を、プレイヤが自在に調整することができる表示変更装置及びゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、ゲームの全画面(4)から表示範囲を選択し、表示部(3,303)に表示する表示変更装置であって、一義的入力領域(B1〜B2)及び前記一義的入力領域に連続する領域である速度入力領域(B1〜C1,B2〜C2)の範囲で移動が可能な操作部(20,220,320)と、前記速度入力領域内での前記操作部の移動速度を検出する速度検出部(24,324)と、前記操作部が、前記一義的入力領域から前記速度入力領域の範囲で連続して移動をされる場合に、前記操作部の移動位置に基づいて、前記全画面から前記表示範囲を一義的に選択し、前記速度入力領域の範囲の所定の停止位置(A1)で停止されたときに、前記速度検出部が検出した移動速度である第1移動速度(ω1)に基づいて、前記全画面から前記表示範囲を選択する制御部(31)と、を備えた表示変更装置である。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載の表示変更装置において、前記制御部(31)は、前記操作部(20,220,320)が前記停止位置(A1)から前記速度入力領域(B1〜C1,B2〜C2)内の所定の移動位置(A2,A3)に更に移動された場合に、前記速度入力領域の始点(B1,B2)及び前記停止位置(A1)の間の前記操作部の移動量である第1移動量(θ1)と、前記停止位置及び前記所定の移動位置の間の前記操作部の移動量である第2移動量(θ2,θ3)との比率(θ2/θ1,θ3/θ1)に応じて、前記第1移動速度(ω1)を変化させた第2移動速度(ω2,ω3)に基づいて、前記全画面(4)から前記表示範囲を選択すること、を特徴とする表示変更装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の表示変更装置において、前記制御部(31)は、前記操作部(20,220,320)が、前記速度入力領域(B1〜C1,B2〜C2)から前記一義的入力領域(B1〜B2)に更に戻されたときに、前記第1又は第2移動速度(ω1又はω2,ω3)に基づく前記表示範囲の選択を停止すること、を特徴とする表示変更装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の表示変更装置において、前記操作部(20,220,320)の移動は、軸(Z1)回りの回転移動であり、前記制御部(31)は、前記操作部の軸回りの回転位置及び前記角速度に基づいて、前記軸回りに対応した方向に、前記全画面(4)から前記表示範囲を選択すること、を特徴とする表示変更装置である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の表示変更装置において、前記操作部(20,220,320)は、複数の軸(X2,Y2,Z2)回りに回転可能であり、前記速度検出部(24,324)は、前記操作部の軸回りの角速度を検出する角速度検出部(24,324)であり、前記制御部(31)は、前記操作部の各軸回りの各回転位置及び前記各角速度に基づいて、前記軸回りに対応した方向に、前記全画面(4)から前記表示範囲を選択すること、を特徴とする表示変更装置である。
【0006】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の表示変更装置(10,310)と、前記表示変更装置により、全画面から選択された表示範囲を表示する表示部(3,303)と、を備えたゲーム機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、速度検出部が検出した操作部の移動速度に基づいて、全画面から表示範囲を選択するので、プレイヤは、操作部の移動速度を調整することにより、ゲーム空間における移動速度を調整することができ、また、操作部を速く操作すれば、ゲーム空間における移動速度を、制限なく上げることができる。
【0008】
(2)本発明は、操作部が停止位置から更に移動されたときに、その移動量に応じて表示範囲を選択する速度を変化するので、プレイヤは、ゲーム進行に応じて、ゲーム空間における移動速度を、更に調整することができる。また、操作部が速度入力領域の範囲内で移動される度に、全表示範囲を選択する速度を変化することにより、ゲーム進行に応じて、ゲーム空間における移動速度を、何回でも、調整することができる。
【0009】
(3)本発明は、操作部が速度入力領域から一義的入力領域に更に戻されたときに、操作部の移動速度に基づく表示範囲の選択を停止するので、プレイヤに、直ちに、ゲームを続行させることができる。
【0010】
(4)本発明は、操作部の移動が軸回りの回転移動であり、軸回りに対応した方向に、操作部の角速度に基づいて、全画面から表示範囲を選択するので、プレイヤのゲーム空間における視線方向を回転させることができる。
【0011】
(5)本発明は、操作部が複数の軸回りに回転可能であり、各軸回りに対応した方向に、各角速度に基づいて、全画面から表示範囲を選択するので、ゲーム空間において、回転方向を複数設定でき、面白いゲームを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、操作部の操作方法を改良し、ゲーム空間での移動速度を、プレイヤが自在に調整することができる表示変更装置及びゲーム機を提供するという目的を、コントローラが、一義的入力領域から回転速度入力領域の範囲で連続して回転移動をされる場合に、コントローラの移動位置に基づいて、全画面から表示範囲を一義的に選択し、コントローラが、速度入力領域の所定の停止位置で停止されたときに、角速度検出部が検出したコントローラの角速度に基づいて、全画面から表示範囲を選択することによって実現した。
【実施例1】
【0013】
以下、図面等を参照して、本発明のゲーム機の実施例1をあげて、更に詳しく説明する。
図1は、実施例1のゲーム機1の外観図である。図2は、実施例1のモニタ3の表示例を示す図である。図3は、実施例1のコントローラ20の斜視図である。図4は、実施例1のコントローラ20の左側面図である。
図1に示すように、ゲーム機1は、プレイヤがコントローラ20を操作することにより、仮想空間において、回転範囲が制限されずに回転可能な大砲(図示せず)を操作し、飛行機2を撃ち落とすシューティングゲームが行われるゲーム機である。ゲーム機1は、モニタ3(表示部)と、コントローラ20(操作部)及び電算装置30から構成される表示変更装置10とを備えている。
【0014】
表示変更装置10は、コントローラ20が操作されると、電算装置30がモニタ3の画面を左右にずらして表示することにより、仮想空間において、プレイヤに視線方向が変わっているようにみせる。モニタ3の表示画面は、鉛直方向(図1中上下方向)の軸回り全周に形成された全画面4から適宜選択される。図2(b)は、ゲーム空間における正面の画面であり、図2(a)は、正面から左側にずらした場合の画面(図1に示すハッチングH1の範囲)、図2(c)は、正面から右側にずらした場合の画面(図1に示すハッチングH2の範囲)である。プレイヤは、照準5が飛行機を捉えたときに、図3に示すコントローラ20に設けられたロックボタン21を押し、続いて、攻撃用トリガー22を引くことにより、ミサイルを発射し飛行機2を撃ち落とすことができる。
【0015】
図4は、実施例1のコントローラ20を拡大して示す斜視図である。
コントローラ20は、鉛直方向の軸Z1回りに回転可能であり、基準位置(図4に示す状態)では、大砲の方向を示す矢印23が前方に向いており、この場合、モニタ3に正面の画面(図2(b)参照)が表示される。以下、コントローラ20の方向とは、矢印23が向いている方向をいい、また、コントローラ20の回転位置とは、基準位置からの回転角度をいうものとする。コントローラ20は、回転位置B1〜B2(一義的入力領域)と、この回転位置B1〜B2の半時計回り側、時計回り側に連続する領域である回転位置B1〜C1,B2〜C2(速度入力領域)の範囲で回転移動が可能である。正面の方向である回転位置A0と回転位置B1,B2との角度は、それぞれ20°であり、回転位置A0と回転位置C1,C2との角度は、それぞれ70°である。コントローラ20には、コイルバネ等の付勢部材が設けられ、回転位置B1〜B2と回転位置B1〜C1,B2〜C2とでは、その回転トルクの大きさが異なっており、プレイヤは、コントローラ20の回転位置を判別することができる。
【0016】
図5は、実施例1のゲーム機1のブロック図である。
ゲーム機1は、プレイを開始するためのスタートボタン6と、ゲーム音声を出力するスピーカ7と、コントローラ20に設けられた角速度検出部24と、トリガースイッチ25と、電算装置30に設けられたCPU(中央処理装置)31と、RAM32と、HDD(ハードディスクドライブ)33と、画像処理部34と、音声処理部35と、カード読取書込装置36等とを備えている。表示変更装置10、電算装置30の各部材は、必要に応じて情報を伝達するために、電気ケーブル、信号ライン等により、電気的に接続されている。
【0017】
角速度検出部24は、コントローラ20の軸Z1軸回りの回転位置、角速度を検出し、CPU31に信号を出力するための検出部であり、例えば、光学式のロータリエンコーダ、回転角度により抵抗値が異なる可変抵抗器等である。
トリガースイッチ25は、攻撃用トリガー22が引かれたときに、ON信号をCPU31に出力する電気部品であり、例えば、リミットスイッチ等である。
【0018】
CPU31は、ゲーム機1を統括的に制御するための制御部である。CPU31は、HDD33に記憶されたプログラムに従って駆動され、コントローラ20の出力に応じて、全画面4から表示範囲を選択し、モニタ3に表示する。
RAM32は、CPU31が処理を行なうときに、必要なデータを一時的に記憶する半導体メモリ等である。
HDD33は、ゲームプログラム、画像処理を行なうためのプログラム、ゲーム音(BGM、爆発音等)のデータ等を記憶するための記憶装置である。また、HDD33は、プレイヤを周囲360度囲むような全画面4(図1参照)の画像情報を記憶している。
【0019】
画像処理部34は、CPU31により全画面4の中から選択された表示範囲を、モニタ3に出力するための電気回路であり、デジタル情報をアナログ情報に変換するD/A変換部等を備えている。
音声処理部35は、HDD33に記憶されたゲーム音を、スピーカ7に出力するための電気回路であり、D/A変換部、増幅器等を備えている。
カード読取書込装置36は、プレイヤを特定するIDカードの情報を読み込んだり、ゲーム履歴等をメモリカードに書き込むためのリーダ・ライタ等である。
【0020】
次に、ゲーム機1の表示領域の選択処理を説明する。
図6は、実施例1のゲーム機1の表示領域の選択処理を示すフローチャートである。図7(a)は、実施例1のコントローラ20の回転領域を説明する平面図(上面図)である。図7(b)は、ゲーム空間の平面図であり、選択される表示範囲を説明する図である。図7(b)において、全画面4は、紙面に対して垂直な方向に形成されている。
図6に示すように、最初に、ステップ(以下、単に「S」という。)1において、スタートボタン6が押されることによりプレイが開始され、これにともない表示範囲の選択処理が開始される。図7に示すように、プレイ開始時には、コントローラ20は、回転位置A0にあり、正面を向いているので、CPU31は、HDD33に記憶された全画面の情報から、正面(矢印a0方向)の表示範囲40を選択し、モニタ3に表示する。なお、表示範囲の視野角θは、60°であり、この後の処理においても一定である(但し、図7(b)において、表示範囲40,41が重ならないように示して理解を容易にするために、視野角θは、実際の60°よりも小さく示す。)。また、図7(a)に示すコントローラ20の方向に対応した視線方向を、図7(b)において、アルファベットの小文字を付して示す。
【0021】
以下、S2〜S6においては、プレイヤが、コントローラ20を、回転位置B2を越えて時計回りに回転し、回転位置B2〜C2の範囲の所定位置である回転位置A1で停止した場合を説明する(図7(a)に示す矢印E参照)。回転位置A1は、プレイヤが任意に停止することができる回転位置である。なお、S2〜S6の処理において、CPU31は、コントローラ20の回転移動に基づいて、矢印a0方向の表示範囲40から、矢印a1方向の表示範囲41まで連続的に選択し、表示範囲をモニタ3に表示する。すなわち、コントローラ20が回転位置B1〜B2から回転位置B2〜C2の範囲で連続して回転移動した場合、CPU31は、HDD33に記憶された全画面4から表示範囲(視野角60°)を一義的かつ連続的に選択して、モニタ3に表示する。これにより、ゲーム機1は、プレイヤに、ゲーム空間において、視線方向が滑らかに回転しているように見せる。
なお、本実施例では、コントローラ20を、回転位置A0から時計回りに回転させる例を示すが、半時計回りに回転移動させた場合にも、同様な処理が行われる。
【0022】
S2において、コントローラ20が、回転位置B2を超えて回転された場合、CPU31は、角速度検出部24の出力に基づいて、回転位置B2〜C2の範囲に入力があったと判断し(S2:YES)、S3に進む。
S3において、角速度検出部24は、回転位置B2〜C2内でのコントローラ20の回転角度の測定(検出)を開始し、コントローラ20の回転角度θ1(第1移動量)、つまり、回転位置B2(速度入力領域の始点)及び回転位置A1の間のコントローラ20の移動量を測定する。
S4において、CPU31は、コントローラ20が回転移動に要した時間t1を測定する。
S5において、CPU31は、回転角度θ1と時間t1とから、回転位置B2〜C2内でのコントローラ20の角速度ω1(=θ1/t1:第1移動速度)を算出する。
【0023】
S6において、CPU31は、角速度検出部24が検出した角速度ω1に基づいて、全画面4から表示範囲を選択する。例えば、回転角度θ1=30°、時間t1=1(sec)であれば、角速度ω1=30(°/sec)である。従って、CPU31は、視線方向を、角速度ω1=30(°/sec)で矢印b2方向から時計回りに回転し、視野角60°の表示範囲を、全画面4から連続的に選択する(矢印e1参照)。
なお、回転位置A1は、プレイヤが任意に停止することができる位置であり、これにより、プレイヤは、ゲーム空間における視線方向の角速度を設定することができる。なお、視線方向の角速度は、角速度ω1と同一でなくともよく、例えば、角速度ω1の1/2にする等、ある程度加工してもよい。
【0024】
S7以降は、プレイヤが、コントローラ20を、回転位置B2〜C2の範囲内で、回転位置A1から回転位置A2,A3(所定の移動位置)に、更に回転移動した場合を説明する。なお、以下の処理において、CPU31は、S2〜S6と同様に、全画面4から表示範囲(視野角60°)を連続的に選択し、モニタ3に表示することにより、プレイヤに、ゲーム空間において、視線方向が滑らかに回転しているように見せることができる。
S7において、プレイヤが、コントローラ20を、回転位置A1から半時計回りに回転させ、回転位置A2に回転移動させると、CPU31は、S8に進み、角速度検出部24の出力に基づいて、回転角度θ2を算出する。そしてCPU31は、回転位置B2〜C2の始点である回転位置B2及び回転位置A1の間のコントローラ20の移動量である回転角度θ1(第1移動量)と、回転位置A1及び移動位置A2の間のコントローラ20の移動量である回転角度θ2(第2移動量)との比率θ2/θ1を用いた以下の式(1)により、視線方向の角速度ω2(第2移動速度)を求める。
角速度ω2=ω1−ω1×θ2/θ1…(1)
CPU31は、この角速度ω2に基づいて、表示範囲を、全画面4から選択する。
例えば、前述の例の場合(ω1=30(°/sec)、θ1=30°)に、回転角度θ2=15°であれば、角速度ω2=30−30×15/30=15(°/sec)となる。この場合、CPU31は、角速度ω1=30(°/sec)から角速度ω2=15(°/sec)へと減速して、表示範囲を全画面4から選択する。
【0025】
一方、S7において、プレイヤが、コントローラ20を、回転位置A1から時計回りに回転させ、回転位置A3に回転移動させると、CPU31は、S9に進み、角速度ω3(第2移動速度)を算出する。そして、CPU31は、S8と同様に、以下の式(2)により、視線方向の角速度ω3を求める。
角速度ω3=ω1+ω1×θ3/θ1…(2)
CPU31は、この角速度ω3に基づいて、表示範囲を、全画面4から選択する。
例えば、前述の例の場合(ω1=30(°/sec)、θ1=30°)に、回転角度θ3=15(°/sec)であれば、角速度ω3=30+30×15/30=45(°/sec)となる。この場合、CPU31は、角速度ω1=30(°/sec)から角速度ω3=45(°/sec)に加速して、表示範囲を全画面4から選択する。
【0026】
すなわち、図7(a)に示すように、コントローラ20は、回転位置A1の位置の場合に30(°/sec)であることを基準とし、回転位置B2の場合に0(°/sec)、回転位置C2の場合に50(°/sec)とする角速度の入力装置となる(回転位置B2の場合:30−30×30/30(°/sec)=0(°/sec)、回転位置C2の場合:30+30×20/30(°/sec)=50(°/sec))。これにより、プレイヤは、コントローラ20を、回転位置B2〜C2内で移動することにより、回転角度θ1と回転位置A1からのコントローラ20の回転角度との比率に応じて、全画面4から表示範囲を選択するための角速度を調整することができる。
なお、この調整は、コントローラ20を、回転位置B2〜C2内で、複数回、回転移動させることにより、何回でも行うことができる。この場合にも、角速度ω1と回転位置A1とを基準とし、前述した比率に応じて、視線方向の角速度が調整される。これにより、プレイヤは、ゲーム進行に応じて、視線方向の角速度を、希望の角速度に容易に合わせ込むことができる。
【0027】
S10において、プレイヤが、コントローラ20を、半時計回りに回転させ、回転位置B1〜B2に戻すと、CPU31は、角速度に基づく表示領域の選択を停止する。そして、CPU31は、コントローラ20の回転位置に基づいて、コントローラ20が向いている方向の表示範囲を選択し、モニタ3に表示する。
【0028】
この場合、表示変更装置10は、全画面4のうち、図7(b)に示す回転位置A0を基準とした選択方法としてもよいし、あるいは、コントローラ20が回転位置B1〜B2に戻されたときの表示範囲に応じて、新たな基準を設けてもよい。
つまり、視線方向b12方向の表示範囲が選択されている場面で、コントローラ20が回転位置B2に戻されたときを例にすると、回転位置A0を基準とする場合は、表示変更装置10は、表示範囲を半時計回りに回転させ、視線方向b12から視線方向b2に戻す。この場合、表示変更装置10は、プレイヤに、ゲーム空間おける視線方向を把握しやすくすることができるという利点がある。
あるいは、新たな基準を設ける場合は、表示変更装置10は、視線方向b12における正面である視線方向a10を、新たな基準方向とした回転位置B11〜B12を設ける。この場合、表示変更装置10は、視線方向が視線方向b2に戻るまで待たせることなく、プレイヤに、直ちに、ゲームを続行させることができるという利点がある。
そして、S11において、CPU31は、一連の処理を終了する。
【0029】
以上説明したように、本実施例のゲーム機は、回転位置B2〜C2内でのコントローラ20の回転位置を調整することにより、ゲーム空間において、プレイヤの視線が回転する場合の角速度、つまり、ローテーション時の角速度を調整することができる。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明を適用したゲーム機の実施例2について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した実施例1と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図8(a)は、実施例2の表示変更装置のコントローラ220の左側面図である。図8(b)は、実施例2のコントローラ220の平面図である。図8(c)は、実施例2の表示変更装置の処理を説明する図である。
【0031】
図8(a)、図8(b)に示すように、コントローラ220は、鉛直方向の軸Z2回りに加えて、水平方向の軸X2回りに回転可能に、ケース226に設けられている。軸X2回りの回転移動範囲(一義的入力領域)は、図8(a)に示すように、時計回りに60°、半時計回りに30°である。
また、本実施例の全画面は、鉛直方向の軸回りに加え、水平方向の軸回り(時計回りに60°、半時計回りに30°)にも形成されている。そして、表示変更装置は、コントローラ220の軸X2回りの回転移動位置に基づいて、コントローラ220の矢印223が向いている方向の表示範囲を、一義的に選択しモニタに表示する。
【0032】
すなわち、図8(c)に示すように、表示変更装置は、水平方向の軸X2回りの回転移動位置及び鉛直方向の軸Z2回りの回転位置B1〜C2において、コントローラ220の矢印223が向いている方向の表示範囲を、一義的に選択しモニタに表示する。そして、回転位置B1〜C1,B2〜C2(速度入力領域)において、コントローラ220の角速度を検出し、この角速度及び回転位置に基づいて表示範囲を選択する。
【0033】
なお、このゲーム機は、軸Z2回りの角速度及び回転位置に加え、軸X2回りの角速度及び回転位置に基づいて、全画面から表示範囲を選択できるようにすれば、多次元の表示変更装置として利用することができる。この場合、全画面は、ドーム形状等のように形成すればよい。更に、コントローラ220を、軸X2に直交する水平方向の軸Y2回りにも回転可能にすれば、各角速度及び各回転位置に応じて、全画面から表示範囲を選択するので、ゲーム空間において、回転方向を複数設定でき、ヘリコプタの操縦ゲーム等にも応用可能な面白いゲームを提供することができる。
【0034】
以上説明したように、本実施例のゲーム機は、鉛直方向の軸回りに加えて、水平方向の軸回りにも全画面が形成され、表示範囲を選択する。これにより、ゲーム機は、ゲームの仮想空間を広げることができ、また、コントローラ220の回転軸を増やし操作を複雑にすることにより、ゲームを面白くすることができる。
【実施例3】
【0035】
次に、本発明を適用したゲーム機の実施例3について説明する。
図9(a)は、実施例3のゲーム空間を示す図である。図9(b)は、実施例3のモニタ303の表示例を示す図である。図9(c)は、実施例3の表示変更装置310を示す図である。
図9(a)に示すように、本実施例のゲームは、ゲーム空間内で、プレイヤが自動車302を動かすドライブゲームである。自動車302の進行方向は、図中右側である。
図9(b)に示すように、モニタ303には、自動車302のフロントガラス越しの風景の画面が表示される。つまり、本実施例の全画面とは、このフロントガラス越しに変化する風景の全画面であり、自動車302の移動位置に応じて、表示変更装置310が全画面から表示画面(表示範囲)を選択して、モニタ303に表示する。
【0036】
図9(c)に示すように、表示変更装置310は、アクセル320(操作部)と、アクセル320の回転位置、角速度を検出する角速度検出部324とを備えている。
プレイヤが、アクセル320を、回転位置A0から踏み込み、回転位置B2〜C2(速度入力領域)の範囲の回転位置A1(停止位置)で停止した場合、CPUは、アクセル320の回転位置に基づいて、全画面から画面を選択して、モニタ303に表示する。この場合、CPUは、アクセル320の回転角度に比例して速度を増加させ、この速度に基づいて、自動車302が移動した場合の表示範囲を、全画面から一義的に選択する。例えば、回転位置A0,B2間の角度が30°、回転位置B2,A1間の角度が30°であり、車の速度を1°当たり1(km/h)の増加する場合には、アクセル320の回転位値A1の場合、自動車302の速度は、V1=60(km/h)である。
【0037】
そして、CPUは、角速度検出部324の出力に基づいて、回転位置B2,A1間の角度θ31と、アクセル320が回転位置B2,A1間の回転移動に要した時間t31を検出し、アクセル320の角速度ω31(=θ31/t31:移動速度)を算出する。そして、角速度ω31に応じて、自動車302の速度を増加させ、この増加させた速度に基づいて、全画面から表示範囲を選択する。前述の例において、時間t=0.5(sec)であれば、ω31=30/0.5=60(°/sec)となる。車の速度を1(°/sec)当たり1(km/h)増加させる場合には、前述したV1から更に60(km/sec)増加させて、V2=120(km/h)とする。
なお、この後、プレイヤは、アクセル320を、回転位置B2〜C2間で、更に踏み込むか又は戻すことにより、実施例1と同様に、アクセル320の回転位置に応じて、自動車302の速度を増加又は減速することができる。
【0038】
このように本実施例のゲーム機は、プレイヤがアクセル320を踏み込み、アクセル320を最初に停止した位置及びアクセル320の角速度に基づいて、自動車302の基準速度(V1)を決定する。これにより、従来にない態様のゲームを提供することができる。
【0039】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)各実施例において、操作部であるコントローラ又はアクセルは、回転移動する例を示したが、これに限定されない。例えば、操作部は、スライドノブのように、平行移動するものでもよい。
【0040】
(2)各実施例において、コントローラ又はアクセルは、速度入力領域(B2〜C2)内の回転位置に応じて、視線方向の角速度を変更する例を示したが、これに限定されない。例えば、コントローラ又はアクセルを、回転位置A0(停止位置)から更に回転した場合、回転位置A0からの角速度を更に、視線方向の角速度に反映させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を適用した実施例1のゲーム機の外観図である。
【図2】実施例1のモニタの表示例を示す図である。
【図3】実施例1のコントローラの斜視図である。
【図4】実施例1のコントローラの左側面図である。
【図5】実施例1のゲーム機のブロック図である。
【図6】実施例1のゲーム機の表示領域の選択処理を示すフローチャートである。
【図7】実施例1のコントローラの回転領域を説明する平面図及びゲーム空間の平面図である。
【図8】本発明を適用した実施例2のコントローラの左側面図及び平面図と、表示変更装置の処理を説明する図である。
【図9】本発明を適用した実施例3のゲーム空間を示す図、モニタの表示例を示す図及び表示変更装置を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ゲーム機
3,303 モニタ
4 全画面
10,310 表示変更装置
20,220 コントローラ
24,324 角速度検出部
30 電算装置
31 CPU
33 HDD
320 アクセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームの全画面から表示範囲を選択し、表示部に表示する表示変更装置であって、
一義的入力領域及び前記一義的入力領域に連続する領域である速度入力領域の範囲で移動が可能な操作部と、
前記速度入力領域内での前記操作部の移動速度を検出する速度検出部と、
前記操作部が、前記一義的入力領域から前記速度入力領域の範囲で連続して移動をされる場合に、前記操作部の移動位置に基づいて、前記全画面から前記表示範囲を一義的に選択し、前記速度入力領域の範囲の所定の停止位置で停止されたときに、前記速度検出部が検出した移動速度である第1移動速度に基づいて、前記全画面から前記表示範囲を選択する制御部と、
を備えた表示変更装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示変更装置において、
前記制御部は、前記操作部が前記停止位置から前記速度入力領域内の所定の移動位置に更に移動された場合に、前記速度入力領域の始点及び前記停止位置の間の前記操作部の移動量である第1移動量と、前記停止位置及び前記所定の移動位置の間の前記操作部の移動量である第2移動量との比率に応じて、前記第1移動速度を変化させた第2移動速度に基づいて、前記全画面から前記表示範囲を選択すること、
を特徴とする表示変更装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の表示変更装置において、
前記制御部は、前記操作部が、前記速度入力領域から前記一義的入力領域に更に戻されたときに、前記第1又は第2移動速度に基づく前記表示範囲の選択を停止すること、
を特徴とする表示変更装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の表示変更装置において、
前記操作部の移動は、軸回りの回転移動であり、
前記速度検出部は、前記操作部の軸回りの角速度を検出する角速度検出部であり、
前記制御部は、前記操作部の軸回りの回転位置及び前記角速度に基づいて、前記軸回りに対応した方向に、前記全画面から前記表示範囲を選択すること、
を特徴とする表示変更装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示変更装置において、
前記操作部は、複数の軸回りに回転可能であり、
前記速度検出部は、前記各軸回りの前記各角速度を検出し、
前記制御部は、前記操作部の各軸回りの各回転位置及び前記各角速度に基づいて、前記各軸回りに対応した方向に、前記全画面から前記表示範囲を選択すること、
を特徴とする表示変更装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の表示変更装置と、
前記表示変更装置により、全画面から選択された表示範囲を表示する表示部と、
を備えたゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−86348(P2008−86348A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267109(P2006−267109)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】