説明

表示装置、及び、表示装置制御回路

【課題】画像データを圧縮した上でドライバに転送するように構成され、且つ、オーバードライブ駆動を行う表示装置において、圧縮誤差に起因してオーバードライバ駆動が不適正に行われることを防ぐ。
【解決手段】表示装置の表示装置制御回路が、現フレームの画像データに対応する圧縮データに対して圧縮処理及び展開処理を行って得られる現フレーム圧縮展開データと前フレームの画像データに対して圧縮処理及び展開処理を行って得られる前フレーム圧縮展開データとからオーバードライブ処理後データの生成及びオーバードライブ駆動の適正な方向の検出を行い、検出された適正な方向に応じてオーバードライブ処理後データを補正して補正ありオーバードライブ処理後データを生成する。表示装置制御回路は、補正ありオーバードライブ処理後データを圧縮して得られる補正あり圧縮データを転送圧縮データとしてドライバに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及び、表示装置制御回路に関し、特に、画像データに対してオーバードライブ処理と圧縮処理とを行うように構成された表示装置、及び、表示装置制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の表示装置における一つの課題は、表示パネルを駆動する表示パネルドライバへの画像データの転送量の増大である。例えば、近年の液晶表示装置では、解像度が向上し、また、倍速駆動(例えば、2倍速から4倍速)の採用によりフレームレートが増大しているため、多くの画像データを表示パネルドライバに転送する必要がある。多くの画像データを転送するためには、データ転送速度を増大させる必要性が生じる。しかしながら、多くの画像データを転送するためにデータ転送速度を増大すると、消費電力が増大し、また、EMI(electromagnetic interference)が増大するという問題も発生する。
【0003】
画像データの転送量の増大の問題に対処するために、発明者らは、画像データを圧縮した上で転送することでデータ転送量を低減することを検討している。これにより、データ転送速度を小さくすることが可能になるため、消費電力削減やEMI対策が容易になる。
【0004】
表示装置における他の課題の一つは、表示パネルの画素の駆動の高速化である。例えば、近年の液晶表示装置では、大型化及び高解像度化により、液晶表示パネルの負荷容量が大きくなっている。その一方で、倍速駆動の採用によりフレームレートが大きくなっており、液晶表示パネルのデータ線を充電するために与えられる時間は短くなっている。このため、画素を高速に駆動する技術が要求されている。
【0005】
画素の駆動を高速化する技術の一つが、オーバードライブ駆動である。オーバードライブ駆動とは、画像データの階調値に変化があったときに、画像データの階調値の本来の変化よりも駆動電圧の変化が大きくなるように駆動する技術である。これにより、表示パネルの応答速度を向上させることができる。
【0006】
オーバードライブ駆動を実現する一つの手法は、データ処理により、画像データの階調値を修正することである。具体的には、前フレームの画像データの階調値を参照して、現フレームの本来の画像データの階調値が前フレームよりも階調値が増大する場合には画像データの階調値がより大きくなるように、減少する場合には画像データの階調値がより小さくなるように、画像データの階調値が修正される。このような処理を、以下では、オーバードライブ処理と呼ぶ。
【0007】
発明者らは、オーバードライブ処理と圧縮処理との両方に対応した表示装置を提供することには技術的利点があると考えている。しかしながら、発明者らの知見によれば、画像データを圧縮した上で転送する技術と、オーバードライブ処理とを併用すると、以下のような問題が生じ得る。第1の問題は、オーバードライブ処理と圧縮処理を併用した場合、圧縮誤差の影響により、不適正なオーバードライブ方向で各画素に対してオーバードライブ駆動がなされ得ることである。ここで、圧縮誤差とは、画像データの元の階調値に対して圧縮処理と展開処理とを行ったときに、展開処理で得られる階調値と元の階調値との差のことである。
【0008】
図1に示されているように、圧縮処理と展開処理を行うと、連続する2フレームの階調値の間の大小関係が、本来の大小関係と逆転してしまい、オーバードライブの方向が不適正に設定され得る。例えば、連続する3フレーム(ここでは第1、第2、第3フレームと名付ける)の特定画素の特定サブピクセルのオーバードライブ処理後の階調値が100、124、120であるとする。この場合、本来は、第2フレームの階調値が第1フレームの階調値よりも大きく、第3フレームの階調値が第2フレームの階調値よりも小さくならなければならない。しかしながら、圧縮誤差が±4の範囲である場合には、最悪ケースでは、この関係が崩れてしまう。例えば、圧縮処理及び展開処理後の階調値が104、120、124となると、第3フレームの階調値が第2フレームの階調値よりも大きくなってしまう。これは、不適正な方向でオーバードライブ駆動がなされることを意味している。
【0009】
第2の問題は、図2に示されているように、圧縮処理によっては、周囲の画素の階調値の影響により本来はオーバードライブ駆動が不要なのにオーバードライブ駆動がなされ得ることである。例えば、特定画素の特定サブピクセルの階調値が、理想的には、3フレームの間、一定値の100であるとする。しかしながら、周囲の画素の階調値の影響によって圧縮誤差が生じると、不要なオーバードライブ駆動が行われ得る。例えば、オーバードライブ処理後の階調値が3フレームの間、一定値の100である場合でも、圧縮誤差が±4の範囲にある場合には、圧縮処理及び展開処理の後の階調値が、96、104、96となり、不適正にオーバードライブ駆動が行われ得る。これらの問題は、解消されることが望まれる。
【0010】
オーバードライブ処理と圧縮処理との両方を行う画像処理技術については、例えば、特開2008−281734号公報に開示されている。この技術では、前フレームの画像データを記憶するメモリの容量を小さくするために、前フレームの画像データを圧縮して得られる圧縮データがメモリに記憶される。メモリに記憶された圧縮データを展開して得られる画像データがオーバードライブ処理に用いられる。更に、圧縮による誤差の影響を低減するために、現フレームの画像データについても圧縮処理及び展開処理が行われ、その結果として得られる画像データがオーバードライブ処理に用いられる。
【0011】
更に、特開2009−109835号公報は、表示用メモリから読み出した現フレームの画像データに対して、オーバードライブ処理を行うと共に圧縮処理を行ってオーバードライブ用メモリに格納する技術を開示している。
【0012】
ただし、これらの技術においては、圧縮処理は、オーバードライブ処理に用いるメモリの容量を低減するために行われることに留意されたい。言い換えれば、これらの技術においては、オーバードライブ処理の前に圧縮処理が行われなければならない。これらの2つの特許文献は、送信側においてオーバードライブ処理を行った後に圧縮処理を行って得た圧縮データを、受信側、即ち、表示パネルドライバに転送する技術について示唆するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−281734号公報
【特許文献2】特開2009−109835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、画像データを圧縮した上でドライバに転送するように構成され、且つ、オーバードライブ駆動を行う表示装置において、圧縮誤差に起因してオーバードライバ駆動が不適正に行われることを防ぐ技術を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一の観点では、表示装置が、表示パネルと、ドライバと、画像データから生成された転送圧縮データをドライバに供給する表示装置制御回路とを具備している。表示装置制御回路は、現フレームの画像データに対応する圧縮データに対して展開処理を行って現フレーム圧縮展開データを生成する第1展開回路と、前フレームの画像データに対応する圧縮データに対して展開処理を行って前フレーム圧縮展開データを生成する第2展開回路と、現フレーム圧縮展開データと前フレーム圧縮展開データとに基づいてオーバードライブ処理を行ってオーバードライブ処理後データを生成するオーバードライブ処理部と、現フレーム圧縮展開データと前フレーム圧縮展開データとからオーバードライブ駆動の適正な方向を検出するオーバードライブ方向検出回路と、検出された適正な方向に応じてオーバードライブ処理後データを補正して補正ありオーバードライブ処理後データを生成する補正部と、補正ありオーバードライブ処理後データを圧縮して補正あり圧縮データを生成する第1圧縮回路と、補正ありオーバードライブ処理後データを転送圧縮データとしてドライバに送信する動作に対応した送信部とを具備する。ドライバは、転送圧縮データを展開して得られる表示データに応答して表示パネルを駆動する。
【0016】
本発明の他の観点では、画像データから生成された転送圧縮データを、転送圧縮データを展開して得られる表示データに応答して表示パネルを駆動するドライバに供給する表示装置制御回路が提供される。当該表示装置制御回路は、現フレームの画像データに対応する圧縮データに対して展開処理を行って現フレーム圧縮展開データを生成する第1展開回路と、前フレームの画像データに対応する圧縮データに対して展開処理を行って前フレーム圧縮展開データを生成する第2展開回路と、現フレーム圧縮展開データと前フレーム圧縮展開データとに基づいてオーバードライブ処理を行ってオーバードライブ処理後データを生成するオーバードライブ処理部と、現フレーム圧縮展開データと前フレーム圧縮展開データとからオーバードライブ駆動の適正な方向を検出するオーバードライブ方向検出回路と、検出された適正な方向に応じてオーバードライブ処理後データを補正して補正ありオーバードライブ処理後データを生成する補正部と、補正ありオーバードライブ処理後データを圧縮して補正あり圧縮データを生成する第1圧縮回路と、補正ありオーバードライブ処理後データを転送圧縮データとしてドライバに送信する動作に対応した送信部とを具備する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像データを圧縮した上で表示パネルドライバに転送するように構成され、且つ、オーバードライブ駆動を行う表示装置において、圧縮誤差に起因してオーバードライバ駆動が不適正に行われることを防ぐ技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】圧縮誤差により、不適正な方向にオーバードライブ駆動が行われ得ることを示す概念図である。
【図2】圧縮誤差により、不必要なオーバードライブ駆動が行われ得ることを示す概念図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態で圧縮処理の一単位となるブロックにおける画素の配置を示す図である。
【図5】第1の実施形態におけるオーバードライブ生成演算回路の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態におけるオーバードライブ演算回路の構成を示すブロック図である。
【図7】オーバードライブ処理が行われない場合の前フレーム圧縮展開データ、現フレーム圧縮展開データ、補正なしオーバードライブ処理後データの内容の例を示す表である。
【図8】図5のオーバードライブ生成演算回路の比較回路における補正なし圧縮データ、補正あり圧縮データの選択の一例を示す概念図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態におけるオーバードライブ生成演算回路の構成を示すブロック図である。
【図11】第3の実施形態におけるオーバードライブ生成演算回路の構成を示すブロック図である。
【図12】図11のオーバードライブ生成演算回路の圧縮回路の構成を示すブロック図である。
【図13】図11のオーバードライブ生成演算回路の展開回路の構成を示すブロック図である。
【図14】本実施形態における、圧縮処理の選択の手順の例を示すフローチャートである。
【図15A】可逆圧縮が行われる特定パターンの例を示す図である。
【図15B】可逆圧縮が行われる特定パターンの例を示す図である。
【図15C】可逆圧縮が行われる特定パターンの例を示す図である。
【図15D】可逆圧縮が行われる特定パターンの例を示す図である。
【図15E】可逆圧縮が行われる特定パターンの例を示す図である。
【図15F】可逆圧縮が行われる特定パターンの例を示す図である。
【図15G】可逆圧縮が行われる特定パターンの例を示す図である。
【図15H】可逆圧縮が行われる特定パターンの例を示す図である。
【図16】本実施形態における、可逆圧縮によって生成された圧縮データのフォーマットを示す図である。
【図17】(1×4)圧縮データのフォーマットを示す図である。
【図18】(1×4)画素圧縮の処理内容を示す概念図である。
【図19】(1×4)圧縮データの展開処理の内容を示す概念図である。
【図20】(2+1×2)圧縮データのフォーマットを示す図である。
【図21】(2+1×2)画素圧縮の処理内容を示す概念図である。
【図22】(2+1×2)圧縮データの展開処理の内容を示す概念図である。
【図23】(2×2)圧縮データのフォーマットを示す図である。
【図24】(2×2)画素圧縮の処理内容を示す概念図である。
【図25】(2×2)圧縮データの展開処理の内容を説明する概念図である。
【図26】(3+1)画素圧縮データのフォーマットを示す図である。
【図27】(3+1)画素圧縮の処理内容を示す概念図である。
【図28】(3+1)圧縮データの展開処理を説明する概念図である。
【図29】(4×1)圧縮データのフォーマットを示す図である。
【図30】(4×1)画素圧縮の処理内容を示す概念図である。
【図31】(4×1)圧縮データの展開処理の内容を示す概念図である。
【図32】誤差データαの生成に使用される基本マトリックスの例を示す図である。
【図33】圧縮処理の単位となるブロックの構成の他の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態の液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。液晶表示装置1は、外部から転送された画像データ6に応じて液晶表示パネル2に画像を表示するように構成されている。液晶表示パネル2には、画素と、データ線(信号線)と、ゲート線(走査線)とが配置されている。画素のそれぞれは、Rサブピクセル(赤色を表示するためのサブピクセル)、Gサブピクセル(緑色を表示するためのサブピクセル)、Bサブピクセル(青色を表示するためのサブピクセル)から構成されており、各サブピクセルは、対応するデータ線とゲート線とが交差する位置に設けられている。以下では、同一のゲート線に対応する画素を画素ラインと呼ぶ。
【0020】
本実施形態では、画像データ6は、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルそれぞれの階調を8ビットで表わすデータ、即ち、各画素の階調を24ビットで表わすデータとして供給される。ただし、画像データ6のビット数はこれに限定されない。また、画素は、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルで構成されることに限定されない。例えば、各画素が、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルに加えて、白色を表示するためのサブピクセルを追加的に含んでいてもよく、また、黄色を表示するためのサブピクセルを追加的に含んでいてもよい。この場合、画像データ6のフォーマットも画素の構成に合わせて変更される。
【0021】
液晶表示装置1は、映像処理回路3と、ドライバ4と、ゲート線駆動回路5とを備えている。ドライバ4は、液晶表示パネル2のデータ線を駆動し、ゲート線駆動回路5は、液晶表示パネル2のゲート線を駆動する。本実施形態では、映像処理回路3とドライバ4とゲート線駆動回路5とが別々のIC(integrated circuit)として実装される。本実施形態では、液晶表示装置1に複数のドライバ4が設けられており、映像処理回路3と各ドライバ4とは、Peer-to-Peer接続されている。具体的には、映像処理回路3と各ドライバ4とは、各ドライバ4に専用のシリアル信号線を介して接続されている。映像処理回路3と各ドライバ4の間のデータ転送は、シリアル信号線を介したシリアルデータ転送によって行われる。一般には、複数のドライバを備えた液晶表示装置においては、映像処理回路とドライバとをバスによって接続するアーキテクチャも考えられるが、本実施形態のように、映像処理回路3と各ドライバ4とをPeer-to-Peer接続によって接続するアーキテクチャは、映像処理回路3と各ドライバ4の間のデータ転送に必要な転送速度を低減できる点で有用である。
【0022】
映像処理回路3は、メモリ11とタイミング制御回路12とを備えている。メモリ11は、オーバードライブ処理に用いられる画像データを一時的に保存するために使用される。メモリ11は、1フレーム分の画像データを記憶する容量を有しており、オーバードライブ処理の対象のフレーム(現フレーム)の直前のフレーム(前フレーム)の画像データをタイミング制御回路12に供給するために用いられる。以下では、外部からタイミング制御回路12に供給される現フレームの画像データ6を、現フレームデータ6aと呼び、メモリ11からタイミング制御回路12に供給される前フレームの画像データ6を前フレームデータ6bと呼ぶことがある。
【0023】
タイミング制御回路12は、外部から供給されるタイミング制御信号に応答して、液晶表示パネル2に所望の画像が表示されるようにドライバ4とゲート線駆動回路5を制御する。加えて、タイミング制御回路12は、オーバードライブ生成演算回路13においてオーバードライブ処理と圧縮処理とを行うように構成されている。オーバードライブ生成演算回路13は、現フレームデータ6aに対してメモリ11に格納された前フレームデータ6bを参照しながらオーバードライブ処理を行い、更に、オーバードライブ処理によって得られたデータに対して圧縮処理を行って圧縮データ7を生成する。生成された圧縮データ7は、データ送信回路14によって各ドライバ4に送られる。データ送信回路14は、更に、各ドライバ4にタイミング制御データを送る機能も有している。
【0024】
ドライバ4は、受け取った圧縮データ7及びタイミング制御データに応答して液晶表示パネル2のデータ線を駆動する。詳細には、ドライバ4は、展開回路15と、表示ラッチ部16と、データ線駆動回路17とを備えている。展開回路15は、受け取った圧縮データ7を展開して表示データ8を生成し、生成した表示データ8を表示ラッチ部16に順次に転送する。ここで、表示ラッチ部16は、展開回路15から受け取った表示データ8を順次にラッチする。各ドライバ4の表示ラッチ部16は、一の画素ラインの画素のうちの当該ドライバ4に対応する画素の表示データ8を格納する。データ線駆動回路17は、表示ラッチ部16にラッチされた表示データ8に応答してデータ線を駆動する。各水平同期期間においては、表示ラッチ部16に格納されている表示データ8に応答して、該表示データのそれぞれに対応するデータ線が駆動される。なお、図3には、1つのドライバ4の構成しか図示されていないが、他のドライバ4も同様に構成されることに留意されたい。
【0025】
ここで、本実施形態では、送信側、即ち、映像処理回路3にメモリ11が設けられていることに留意されたい。このような構成は、液晶表示装置1の全体としてのハードウェアを低減するために好適である。映像処理回路3においては、様々な画像処理のためにフレームメモリを用いることがあり、オーバードライブ処理のためのメモリ11を、他の画像処理のためにフレームメモリと兼用することができる。一方、送信側にメモリ11を設けることで、受信側、即ち、ドライバ4においてはメモリが不要になる。複数存在するドライバ4においてメモリが不要になることは、ハードウェアの低減に好適である。
【0026】
以下では、タイミング制御回路12のオーバードライブ生成演算回路13の構成及び動作について説明する。本実施形態では、オーバードライブ生成演算回路13は、同一の画素ラインに属する4つの画素で構成されるブロックを単位としてオーバードライブ処理及び圧縮処理を行う。図4は、各ブロックにおける4つの画素の配置を示す図である。以下では、各ブロックに含まれる4つの画素を、それぞれ、画素A、画素B、画素C、画素Dと呼ぶことがある。画素A〜Dのそれぞれは、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルを有している。画素AのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルは、それぞれ、記号R、G、Bによって参照される。画素B〜Dについても同様である。本実施形態では、各ブロックの4つの画素のサブピクセルR、G、B、R、G、B、R、G、B、R、G、Bは、同一の画素ラインに位置しており、同一のゲート線に接続されている。以下の説明においては、オーバードライブ処理及び圧縮処理の対象となっているブロックを、対象ブロックと呼ぶことがある。
【0027】
図5は、オーバードライブ生成演算回路13の構成を示すブロック図である。オーバードライブ生成演算回路13は、圧縮回路21、22と、展開回路23、24と、オーバードライブ演算回路25と、圧縮回路26、27と、展開回路28、29と、比較回路30と、選択回路31とを備えている。
【0028】
圧縮回路21、22は、それぞれ、前フレームデータ6bと現フレームデータ6aに対して圧縮処理を行う。展開回路23、24は、圧縮回路21、22から出力される圧縮データに対して展開処理を行う。ここで、展開回路23、24から出力されるデータを、それぞれ、前フレーム圧縮展開データ23a、及び、現フレーム圧縮展開データ24aと呼ぶ。ここで、圧縮回路21、22及び展開回路23、24は、4画素で構成されるブロックを単位として圧縮処理及び展開処理を行うことに留意されたい。
【0029】
オーバードライブ演算回路25は、前フレーム圧縮展開データ23aと現フレーム圧縮展開データ24aとに対してオーバードライブ処理を行う。留意すべきことは、オーバードライブ演算回路25は、圧縮処理及び展開処理を行って得られる前フレーム圧縮展開データ23aと現フレーム圧縮展開データ24aに対してオーバードライブ処理を行うことである。後述のように、前フレームデータ6b及び現フレームデータ6aに対して圧縮処理及び展開処理を行って得られた前フレーム圧縮展開データ23aと現フレーム圧縮展開データ24aとに基づいてオーバードライブの方向を決定し、その方向が正しく守られるようにオーバードライブ処理を行うことで、圧縮誤差の影響によってオーバードライブの方向が不適正なオーバードライブ処理が行われることを回避することができる。
【0030】
図6は、本実施形態におけるオーバードライブ演算回路25の構成の例を示すブロック図である。オーバードライブ演算回路25は、LUT(lookup table)演算部32と、オーバードライブ方向検出部33と、補正部34とを備えている。
【0031】
LUT演算部32は、対象ブロックの各画素の各サブピクセルについて、前フレーム圧縮展開データ23a及び現フレーム圧縮展開データ24aの階調値の組み合わせに対応するオーバードライブ処理後の階調値を出力するオーバードライブ処理手段として機能する。ここで、LUT演算部32から出力されるオーバードライブ処理後の階調値を、補正なしオーバードライブ処理後データ25aと総称する。ここで、「補正なし」とは、後述される、オーバードライブ方向に応じた補正が行われないことを意味している。LUT演算部32は、一実施形態では、LUT32aと補間回路(図示されない)とを備えており、前フレーム圧縮展開データ23a、及び、現フレーム圧縮展開データ24aの組み合わせに応じたテーブルルックアップによって得られた値を補間回路によって補間することにより、補正なしオーバードライブ処理後データ25aを生成する。補正なしオーバードライブ処理後データ25aは、最適なオーバードライブ処理を実現するように、即ち、データ線に実際に供給される駆動電圧を所望の駆動電圧に早く近づけるために最適な階調値になるように生成される。なお、補正なしオーバードライブ処理後データ25aの生成方法は、様々に変更され得る。例えば、LUT32aを用いず、前フレーム圧縮展開データ23a及び現フレーム圧縮展開データ24aの階調値を変数とする演算式によって補正なしオーバードライブ処理後データ25aを生成してもよい。
【0032】
対象ブロックの特定画素の特定サブピクセルについて生成される補正なしオーバードライブ処理後データ25aは、次の条件を満たしている:
(a) 現フレーム圧縮展開データ24aの階調値が前フレーム圧縮展開データ23aの階調値と所定値αの和より大きい場合、補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値は、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値よりも大きい。ここで、所定値αは、0以上の整数である。
(b) 現フレーム圧縮展開データ24aの階調値が前フレーム圧縮展開データ23aの階調値から所定値αを減じた差より小さい場合、補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値は、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値よりも小さい。ここで、所定値αは、0以上の整数である。
(c) 上記(a)(b)が成立しない場合、補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値は、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値と等しい(即ち、オーバードライブ駆動を行わない)。ここで、所定値αが0である場合に(c)が成立するのは、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値が前フレーム圧縮展開データ23aの階調値に等しい場合のみであることに留意されたい。
【0033】
オーバードライブ方向検出部33は、前フレーム圧縮展開データ23aと現フレーム圧縮展開データ24aとを比較してオーバードライブ処理における適正なオーバードライブ方向を検出する。適正なオーバードライブ方向は、対象ブロックの各画素の各サブピクセルについて検出される。対象ブロックの或る画素の或るサブピクセルに対応する現フレーム圧縮展開データ24aの階調値が、該サブピクセルの前フレーム圧縮展開データ23aの対応する階調値以上である場合、適正なオーバードライブ方向が「正」として検出され、小さい場合にはオーバードライブ方向が「負」として検出される。オーバードライブ方向検出部33は、対象ブロックの各画素の各サブピクセルについてのオーバードライブ方向を示すドライブ方向データ25cを出力する。
【0034】
補正部34は、ドライブ方向データ25cに応じて補正なしオーバードライブ処理後データ25aを補正し、補正ありオーバードライブ処理後データ25bを生成する。この補正は、補正ありオーバードライブ処理後データ25bが圧縮回路27によって圧縮されて生成された圧縮データがドライバ4の展開回路15によって展開されて表示データ8が生成されたときに、表示データ8においてもオーバードライブ方向検出部33で検出されたオーバードライブ方向が維持されるように行われる。ドライバ4の展開回路15による展開処理で得られる表示データ8に応答してデータ線を駆動した場合、圧縮・展開処理による圧縮誤差の影響により、適正なオーバードライブ方向とは逆方向にオーバードライブ駆動がなされる可能性がある。補正部34は、オーバードライブ方向に応じて補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値を可減算することにより、表示データ8においてオーバードライブ方向検出部33で検出されたオーバードライブ方向が確実に維持されるような補正ありオーバードライブ処理後データ25bを生成する。補正部34による補正ありオーバードライブ処理後データ25bの生成については、後に詳細に説明する。
【0035】
図5に戻り、オーバードライブ演算回路25から出力された補正なしオーバードライブ処理後データ25a、補正ありオーバードライブ処理後データ25bは、それぞれ、圧縮回路26、27に供給される。圧縮回路26、27は、補正なしオーバードライブ処理後データ25a、補正ありオーバードライブ処理後データ25bに対して圧縮処理を行う。圧縮回路26、27から出力される圧縮データを、それぞれ、補正なし圧縮データ26a、補正あり圧縮データ27aと記載する。
【0036】
展開回路28、29は、それぞれ、補正なし圧縮データ26a、補正あり圧縮データ27aに対して展開処理を行う。展開回路28、29から出力されるデータを、それぞれ、補正なし圧縮展開データ28a、補正あり圧縮展開データ29aと記載する。
【0037】
比較回路30は、圧縮回路22から出力される圧縮データ22a(即ち、オーバードライブ処理がなされていない圧縮データ)と、圧縮回路26、27から出力される補正なし圧縮データ26a、補正あり圧縮データ27aのいずれかを、ドライバ4に送られる圧縮データ7として選択する。この選択は、(1)展開回路24から出力される現フレーム圧縮展開データ24a、(2)展開回路28、29から出力される補正なし圧縮展開データ28a及び補正あり圧縮展開データ29a、並びに、(3)ドライブ方向データ25c
に基づいて行われる。比較回路30による圧縮データ7の選択については、後に詳細に説明する。選択回路31は、比較回路30によって選択された圧縮データ(22a、26a、又は27a)を、圧縮データ7として出力する。
【0038】
続いて、オーバードライブ生成演算回路13におけるオーバードライブ処理及び圧縮処理について詳細に説明する。上述されているように、オーバードライブ処理と圧縮処理を併用した場合、圧縮誤差の影響により、不適正なオーバードライブ方向で各画素に対してオーバードライブ駆動がなされ得る。また、圧縮処理によっては、周囲の画素の階調値の影響により本来はオーバードライブ駆動が不要なのにオーバードライブ駆動がなされ得る。例えば、本実施形態のように4つの画素で構成されるブロックを単位として圧縮処理がなされる場合には、同一のブロックの他の画素の影響を受ける。
【0039】
このような不具合を解消するために、本実施形態のオーバードライブ生成演算回路13は、下記の2つの動作を行う。
【0040】
第1に、本実施形態のオーバードライブ生成演算回路13は、オーバードライブ処理の正確性よりも適正な方向にオーバードライブ駆動がかかることを重視したオーバードライブ処理を採用する。即ち、圧縮誤差によって不適正なオーバードライブ方向へのオーバードライブ駆動が行われると判断される場合には、補正ありオーバードライブ処理後データ25bを圧縮して生成した補正あり圧縮データ27aが圧縮データ7として選択されてドライバ4に送られる。ドライバ4では、その圧縮データ7が展開されて表示データ8が生成され、表示データ8に応じてデータ線が駆動される。
【0041】
ここで、補正ありオーバードライブ処理後データ25bは、理想的なオーバードライブ処理によって生成される補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値を、ドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向に応じて増加させ、又は、減少させて得られるデータである。以下では、補正ありオーバードライブ処理後データ25bの生成について詳細に説明する。
【0042】
一実施形態では、ドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「正」であるサブピクセルについては、補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値に補正値を加算することにより、補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値が生成される。一方、ドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「負」であるサブピクセルについては、補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値に補正値を減算することにより補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値が生成される。
【0043】
加算又は減算される補正値は、様々に設定され得る。ただし、ドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「正」であるサブピクセルについては、補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値が現フレーム圧縮展開データ24aの対応する階調値と最大の圧縮誤差の絶対値との和以上であり、ドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「負」であるサブピクセルについては補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値が、現フレーム圧縮展開データ24aの対応する階調値から最大の圧縮誤差の絶対値を減じた差以下であるように、補正値は設定される。このようにすれば、補正あり圧縮データ27aを展開して得られる表示データ8でも、正しいオーバードライブ方法が保たれる。
【0044】
最も簡便には、加算又は減算される補正値を、圧縮展開により発生する最大の圧縮誤差の絶対値に一致させればよい。例えば、ドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「正」であり、圧縮展開により±4の圧縮誤差が発生する場合には、補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値に一定値4を加算して補正ありオーバードライブ処理後データ25bが生成される。このようにして生成された補正ありオーバードライブ処理後データ25bを圧縮展開して得られる表示データ8においては、確実に、正しいオーバードライブ方向が実現される。
【0045】
その代わりに、次のように補正ありオーバードライブ処理後データ25bを生成してもよい:
(A)ドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「正」である場合
(A1)補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値に最大の圧縮誤差の絶対値を加算した値以上である場合には、補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値を補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値と同一に決定する(補正しない)。
(A2)補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値に最大の圧縮誤差の絶対値を加算した値よりも小さい場合には、補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値を現フレーム圧縮展開データ24aの階調値に最大の圧縮誤差の絶対値を加算した値に設定する。
【0046】
(B)ドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「負」である場合
(B1)補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値から最大の圧縮誤差の絶対値を減じた値以下である場合には、補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値を補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値と同一に決定する(補正しない)。
(B2)補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値から最大の圧縮誤差の絶対値を減じた値よりも大きい場合には、補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値を現フレーム圧縮展開データ24aの階調値から最大の圧縮誤差の絶対値を減算した値に設定する。
【0047】
このようにして生成された補正ありオーバードライブ処理後データ25bを圧縮して補正あり圧縮データ27aを生成し、更に、補正あり圧縮データ27aを圧縮データ7として選択してドライバ4に送ることで、表示データ8においてもオーバードライブ方向検出部33で検出されたオーバードライブ方向が維持される。
【0048】
留意すべきことは、圧縮及び展開処理後の階調値(即ち、前フレーム圧縮展開データ23a及び現フレーム圧縮展開データ24aの階調値)に基づいてオーバードライブ方向を決定し、更に、オーバードライブ処理を行って補正なしオーバードライブ処理後データ25aを生成すべきである点である。不可逆的な圧縮処理が行われる場合、所望の階調を長時間の時間平均として実現しようとする場合がある。このような場合には、展開処理後の階調値を基準としてオーバードライブ方向を決定しなければ、適切なオーバードライブ方向が得られない。
【0049】
第2に、本実施形態のオーバードライブ生成演算回路13は、対象ブロックの各画素の各サブブロックの階調値の変化がない(又は小さい)場合には、オーバードライブ処理が不要であると判断し、現フレームデータ6aを圧縮して得られる圧縮データ22aを圧縮データ7として選択してドライバ4に送信する。圧縮データ22aに対しては、オーバードライブ処理が行われていないことに留意されたい。
【0050】
以上の2つの動作を実現するために、比較回路30及び選択回路31は、ドライバ4に実際に送られる圧縮データ7の選択を、下記のように行う:
【0051】
まず、対象ブロックの全画素の全サブピクセルについて、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値と補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が同一である場合、比較回路30は、オーバードライブ処理が不要であると判断し、圧縮回路22から出力される圧縮データ22aをドライバ4に実際に送られる圧縮データ7として選択する。ここで、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値と補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が同一であることは、対象ブロックの各画素の各サブブロックの階調値の変化がなく、又は、小さいことを意味していることに留意されたい。前フレーム圧縮展開データ23aと現フレーム圧縮展開データ24aとの差が小さい場合には、オーバードライブ処理の内容によっては、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値と補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が同一になり得る。
【0052】
図7は、オーバードライブ処理が不要であると判断される前フレーム圧縮展開データ23aと現フレーム圧縮展開データ24aと補正なしオーバードライブ処理後データ25aの一例である。例えば、画素AのRサブピクセルの階調値は、現フレーム圧縮展開データ24aと補正なしオーバードライブ処理後データ25aのいずれについても“11”で同一であり、画素AのGサブピクセルの階調値は、現フレーム圧縮展開データ24aと補正なしオーバードライブ処理後データ25aのいずれについても“100”で同一であり、画素AのBサブピクセルの階調値は、現フレーム圧縮展開データ24aと補正なしオーバードライブ処理後データ25aのいずれについても“16”で同一である。他の画素の各サブピクセルについても同様に、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値と補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が同一である。
【0053】
対象ブロックのいずれかの画素のいずれかのサブピクセルについて、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値と補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が相違する場合、比較回路30は、対象ブロックの各画素の各サブピクセルについて、補正なし圧縮データ26aによって実現されるオーバードライブ方向が適正であるか否かを判断する。この判断は、補正なし圧縮データ26aを展開して得られる補正なし圧縮展開データ28a(これは、ドライバ4において補正なし圧縮データ26aの展開処理によって表示データ8として得られるデータに一致する)と現フレーム圧縮展開データ24aとの比較によって行われる。
【0054】
例えば、ある特定画素の特定サブピクセルについてドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「正」である場合について考える。この場合、該特定画素の該特定サブピクセルの補正なし圧縮展開データ28aの値が該特定画素の該特定サブピクセルの現フレーム圧縮展開データ24aの値以上である場合、オーバードライブ方向が適正であると判断され、そうでない場合、オーバードライブ方向が不適正であると判断される。同様に、ある特定画素の特定サブピクセルについてドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「負」である場合には、該特定画素の該特定サブピクセルの補正なし圧縮展開データ28aの値が該特定画素の該特定サブピクセルの現フレーム圧縮展開データ24aの値より小さい場合、オーバードライブ方向が適正であると判断され、そうでない場合、オーバードライブ方向が不適正であると判断される。
【0055】
対象ブロックの全画素の全サブピクセルについて補正なし圧縮データ26aによって実現されるオーバードライブ方向が適正である場合、比較回路30は、補正なし圧縮データ26aをドライバ4に実際に送られる圧縮データ7として選択する。
【0056】
一方、対象ブロックに含まれる画素の少なくとも一つのサブピクセルについて補正なし圧縮データ26aによって実現されるオーバードライブ方向が不適正である場合、比較回路30は、補正あり圧縮データ27aをドライバ4に実際に送られる圧縮データ7として選択する。
【0057】
上記の選択は、対象ブロック毎に行われることに留意されたい。ある対象ブロックについては、全画素の全サブピクセルについて圧縮回路22から出力される圧縮データ22aが選ばれるか、全画素の全サブピクセルについて補正なし圧縮データ26aが選ばれるか、全画素の全サブピクセルについて補正あり圧縮データ27aが選ばれる。
【0058】
図8は、オーバードライブ方向の適正さの判断の選択の一例を示している。対象ブロックのある画素のあるサブピクセルについて、圧縮誤差が±4の範囲にあり、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値が100であり、ドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「正」であるとする。一例では、LUT演算部32による処理によって補正なしオーバードライブ処理後データ25aの階調値が102として算出され、補正部34による処理によって補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値が104として算出される。
【0059】
この場合、補正なしオーバードライブ処理後データ25aに対して圧縮処理及び展開処理を行って得られた補正なし圧縮展開データ28aの階調値は、98以上106以下の値をとり得る。補正なし圧縮展開データ28aの階調値が100以上である場合(即ち、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値以上である場合)、オーバードライブ方向が適正であると判断される。この場合、補正なし圧縮データ26aをドライバ4に送られる圧縮データ7として選択することで、必ず、適正なオーバードライブ方向を実現できる。一方、補正なし圧縮展開データ28aの階調値が100より小さい場合(即ち、現フレーム圧縮展開データ24aの階調値より小さい場合)、この場合、補正あり圧縮データ27aをドライバ4に送られる圧縮データ7として選択することで、適正なホーバードライブ方向を実現できる。補正ありオーバードライブ処理後データ25bの階調値が104である場合、補正あり圧縮データ27aを展開して得られる表示データ8は100以上108以下の値をとり得るが、いずれの値であっても、少なくともオーバードライブ方向は逆にはならない。したがって、オーバードライブ駆動が不適正なオーバードライブ方向でなされることはない。
【0060】
このようにして圧縮データ7を選択することにより、不適正なオーバードライブ方向でオーバードライブ駆動が行われることが防がれ、また、本来はオーバードライブ駆動が不要なのにオーバードライブ駆動がなされることが防がれる。
【0061】
なお、圧縮回路21、22、26、27において行われる圧縮処理、及び、展開回路15、23、24、28、29において行われる展開処理については、公知の様々な圧縮処理、展開処理が用いられ得ることに留意されたい。
【0062】
また、上記の実施形態では、対象ブロックの或る画素の或るサブピクセルに対応する現フレーム圧縮展開データ24aの階調値が、該サブピクセルの前フレーム圧縮展開データ23aの対応する階調値以上である場合に適正なオーバードライブ方向が「正」として検出され、そうでない場合には適正なオーバードライブ方向が「負」として検出されるが、対象ブロックの或る画素の或るサブピクセルに対応する現フレーム圧縮展開データ24aの階調値が、該サブピクセルの前フレーム圧縮展開データ23aの対応する階調値と等しい場合の適正なオーバードライブ方向は、これと相違していてもよい。即ち、対象ブロックの或る画素の或るサブピクセルに対応する現フレーム圧縮展開データ24aの階調値が、該サブピクセルの前フレーム圧縮展開データ23aの対応する階調値を超える場合に適正なオーバードライブ方向が「正」として検出され、そうでない場合にオーバードライブ方向が「負」として検出されてもよい。
【0063】
この場合、比較回路30においては、ある特定画素の特定サブピクセルについてドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「正」であるときに、該特定画素の該特定サブピクセルの補正なし圧縮展開データ28aの値が該特定画素の該特定サブピクセルの現フレーム圧縮展開データ24aの値を超える場合にオーバードライブ方向が適正であると判断され、そうでない場合にオーバードライブ方向が不適正であると判断される。また、ある特定画素の特定サブピクセルについてドライブ方向データ25cに示されたオーバードライブ方向が「負」であるときに、該特定画素の該特定サブピクセルの補正なし圧縮展開データ28aの値が該特定画素の該特定サブピクセルの現フレーム圧縮展開データ24aの値以下の場合にオーバードライブ方向が適正であると判断され、そうでない場合、オーバードライブ方向が不適正であると判断される。
【0064】
更に、上記の実施形態では、補正なし圧縮データ26a、補正あり圧縮データ27a、及び(オーバードライブ処理が行われない)圧縮データ22aのうちから圧縮データ7が選択されるが、圧縮データ22aは圧縮データ7として選択されない、即ち、補正なし圧縮データ26a、補正あり圧縮データ27aのいずれかが圧縮データ7として選択される動作も可能である。この場合でも、不適正な方向にオーバードライブ駆動が行われる効果は得られる。また、比較回路30及び選択回路31による選択が行われず、補正あり圧縮データ27aが圧縮データ7として常に使用されてもよい。この場合には、常に、補正ありオーバードライブ処理後データ25bから生成された圧縮データ7が展開された表示データ8に応答して液晶表示パネル2が駆動されるため、理想的なオーバードライブ駆動を行うには不向きである(補正ありオーバードライブ処理後データ25bよりも補正なしオーバードライブ処理後データ25aの方が理想的なオーバードライブ駆動を実現するためには好ましい)。しかしながら、少なくとも、不適正なオーバードライブ方向でオーバードライブ駆動が行われることが防がれる。上述のように、発明者の検討によれば、不適正なオーバードライブ方向でオーバードライブ駆動が行われないことはむしろ重要である。
【0065】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態の液晶表示装置1Aの構成を示すブロック図であり、図10は、オーバードライブ生成演算回路13Aの構成を示すブロック図である。本実施形態の液晶表示装置1Aの構成及び動作は、概ね、第1の実施形態の液晶表示装置1と同じであるが、下記の点で異なる。第2の実施形態では、画像データ6の代わりに、画像データ6に対して圧縮処理をして得られる圧縮データ22aがメモリ11Aに格納される。メモリ11Aに格納された圧縮データが展開回路23によって展開され、これにより、前フレーム圧縮展開データ23aが生成される。これに伴い、前フレームデータ6bを圧縮する圧縮回路21は使用されない。
【0066】
現フレームデータ6aに圧縮処理を行う圧縮回路22によって生成された圧縮データ22aがメモリ11Aに格納される本実施形態では、メモリ11Aの容量を、第1の実施形態で使用されるメモリ11よりも小さくすることができる。また、オーバードライブ生成演算回路13Aから圧縮回路21を除くことができる。このように、第2の実施形態の液晶表示装置1Aの構成は、ハードウェアを小さくできる利点がある。
【0067】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態の液晶表示装置において使用されるオーバードライブ生成演算回路13Bの構成を示すブロック図である。本実施形態の液晶表示装置は、第2の実施形態の液晶表示装置1Aと類似した構成を有しているが、オーバードライブ生成演算回路13Bが複数の圧縮処理から選択された最適な圧縮処理を行うように構成されている点が相違する。
【0068】
詳細には、本実施形態では、オーバードライブ生成演算回路13Bが受け取った画像データ6を下記の6つの圧縮処理のいずれかで圧縮するように構成されている:
・可逆圧縮
・(1×4)画素圧縮
・(2+1×2)画素圧縮
・(2×2)画素圧縮
・(3+1)画素圧縮
・(4×1)画素圧縮
【0069】
ここで、可逆圧縮は、圧縮データ7から完全に元の画像データ6を復元できるように圧縮する方式であり、本実施形態では、対象ブロックの画像データが特定のパターンを有している場合に使用される。上述のように、本実施形態では各ブロックが1行4列の画素で構成されることに留意されたい。(1×4)画素圧縮とは、対象ブロックの全4つの画素のそれぞれについてビットプレーン数を減少させる処理(本実施形態では、ディザマトリックスを用いたディザ処理)を独立に行う方式である。この(1×4)画素圧縮は、4つの画素の画像データの相関性が低い場合に好適である。(2+1×2)画素圧縮とは、対象ブロックの全4つの画素のうちの2つの画素の画像データを代表する代表値を定める一方、他の2つの画素のそれぞれについて、ビットプレーン数を減少させる処理を行う方式である。この(2+1×2)画素圧縮は、4つの画素のうちの2つの画素の画像データの相関性が高く、且つ、他の2つの画素の画像データの相関性が低い場合に好適である。(2×2)画素圧縮とは、対象ブロックの全4つの画素を2つの画素からなる2つの組に分け、当該2つの画素の組のそれぞれについて画像データを代表する代表値を定めて当該画像データを圧縮する方式である。この(2×2)画素圧縮は、4つの画素のうちの2つの画素の画像データの相関性が高く、且つ、他の2つの画素の画像データの相関性が高い場合に好適である。(3+1)画素圧縮とは、対象ブロックの全4つの画素のうちの3つの画素の画像データを代表する代表値を定める一方、残りの1つの画素について、ビットプレーン数を減少させる処理を行う方式である。この(3+1)画素圧縮は、対象ブロックの3つの画素の画像データの間の相関性が高く、残りの一つの画素の画像データと該3つの画素の画像データの間の相関性が低い場合に好適である。(4×1)画素圧縮とは、上述のように、対象ブロックの4つの画素の画像データを代表する代表値を定めて当該画像データを圧縮する方式である。この(4×1)画素圧縮は、対象ブロックの全4つの画素の画像データの間の相関性が高い場合に好適である。
【0070】
ここで、対象ブロックの画像データが特定のパターンを有している場合に可逆圧縮を行うことができるように構成されていることは、液晶表示パネル2の検査を適切に行うことを可能にするために有用である。液晶表示パネル2の検査においては、輝度特性や色域特性の評価が行われる。この輝度特性や色域特性の評価では、特定パターンの画像が液晶表示パネル2に表示される。このとき、輝度特性や色域特性を適切に評価するためには、入力された画像データに対して忠実に色が再現された画像を液晶表示パネル2に表示する必要がある。圧縮歪みが存在すると、輝度特性や色域特性の評価を適切に行うことができない。そこで、本実施形態では、オーバードライブ生成演算回路13Bが可逆圧縮を行うことができるように構成されている。
【0071】
6つの圧縮処理のいずれが使用されるかは、対象ブロックの画像データが特定のパターンを有しているか否か、及び、対象ブロックを構成する1行4列の画素の画像データの間の相関性に応じて決定される。例えば、全4つの画素の画像データの相関性が高い場合には(4×1)画素圧縮が使用され、4つの画素のうちの2つの画素の画像データの相関性が高く、且つ、他の2つの画素の画像データの相関性が高い場合には(2×2)画素圧縮が使用される。6つの圧縮処理の選択、及び、それぞれにおける圧縮処理及び展開処理については、後に詳細に説明する。
【0072】
具体的な構成としては、図11に図示されているように、オーバードライブ生成演算回路13Bは、圧縮回路42と、展開回路43、44と、オーバードライブ演算回路45と、圧縮部46a〜46f、47a〜47fと、展開部48a〜48f、49a〜49fと、比較回路50と、選択回路51とを備えている。
【0073】
圧縮回路42は、画像データ6(即ち、現フレームデータ6a)に対して圧縮処理を行って圧縮データを生成する。図12は、圧縮回路42の構成を示すブロック図である。圧縮回路42は、可逆圧縮部42a、(1×4)画素圧縮部42b、(2+1×2)画素圧縮部42c、(2×2)画素圧縮部42d、(3+1)画素圧縮部42e、(4×1)画素圧縮部42f、形状認識部42gと、圧縮データ選択部42hを備えている。可逆圧縮部42aは、現フレームデータ6aに対して可逆圧縮を行い、可逆圧縮データを生成する。(1×4)画素圧縮部42bは、現フレームデータ6aに対して(1×4)圧縮を行い(1×4)圧縮データを生成する。(2+1×2)画素圧縮部42cは、現フレームデータ6aに対して(2+1×2)画素圧縮を行い、(2+1×2)圧縮データを生成する。(2×2)画素圧縮部42dは、現フレームデータ6aに対して(2×2)画素圧縮を行い、(2×2)圧縮データを生成する。(3+1)画素圧縮部42eは、現フレームデータ6aに対して(3+1)画素圧縮を行い、(3+1)圧縮データを生成する。(4×1)画素圧縮部42fは、現フレームデータ6aに対して(4×1)画素圧縮を行い、(4×1)圧縮データを生成する。形状認識部42gは、現フレームデータ6aから対象ブロックの画素の間の相関性を認識し、認識した相関性に応じて、可逆圧縮データ、(1×4)圧縮データ、(2+1×2)圧縮データ、(2×2)圧縮データ、(3+1)圧縮データ、(4×1)圧縮データのうちのいずれかを選択し、選択された圧縮データを示す圧縮データ選択データを圧縮データ選択部42hに送る。圧縮データ選択部42hは、圧縮データ選択データに指定された圧縮データを出力する。圧縮データ選択部42hから出力された圧縮データは、展開回路44及び選択回路51に送られると共に、メモリ11Aに送られて格納される。
【0074】
図11に戻り、展開回路43、44は、それぞれ、メモリ11A及び圧縮回路42から圧縮データを受け取り、受け取った圧縮データに対して展開処理を行う。ここで、メモリ11Aから受け取った圧縮データは、前フレームの画像データに対応する圧縮データであり、圧縮回路42から受け取った圧縮データは、現フレームの画像データに対応する圧縮データである。展開回路43、44は、上記の圧縮回路42で選択された圧縮方法に対応した展開処理を行い、それぞれ、前フレーム圧縮展開データ、現フレーム圧縮展開データを生成する。
【0075】
図13は、展開回路43、44の構成を示すブロック図である。なお、以下では、展開回路43の構成について説明するが、展開回路44も展開回路43と同一の構成を有しており、同様の動作を行う。更に、ドライバ4に設けられた展開回路15Bも、展開回路43と同一の構成を有しており、同様の動作を行う。
【0076】
展開回路43は、可逆展開部43a、(1×4)画素展開部43b、(2+1×2)画素展開部43c、(2×2)画素展開部43d、(3+1)画素展開部43e、(4×1)画素展開部43f、及び、形状認識部43gを備えている。可逆展開部43aは、受け取った圧縮データに対して可逆圧縮に対応する展開処理を行い、可逆展開データを生成する。(1×4)画素展開部43bは、受け取った圧縮データに対して(1×4)圧縮に対応する展開処理を行い、(1×4)展開データを生成する。(2+1×2)画素展開部43cは、受け取った圧縮データに対して(2+1×2)圧縮に対応する展開処理を行い、(2+1×2)展開データを生成する。(2×2)画素展開部43dは、受け取った圧縮データに対して(2×2)圧縮に対応する展開処理を行い、(2×2)展開データを生成する。(3+1)画素展開部43eは、受け取った圧縮データに対して(3+1)圧縮に対応する展開処理を行い、(3+1)展開データを生成する。(4×1)画素展開部43fは、受け取った圧縮データに対して(4×1)圧縮に対応する展開処理を行い、(4×1)展開データを生成する。形状認識部43gは、受け取った圧縮データの圧縮に使用されていた圧縮処理を該圧縮データに含まれる圧縮種類認識ビットから認識し、認識した圧縮処理に対応する展開データを選択し、選択された展開データを示す展開データ選択データを展開データ選択部43hに送る。展開データ選択部43hは、展開データ選択データに指定された展開データを出力する。
【0077】
再度に図11に戻り、オーバードライブ演算回路45は、第1及び第2の実施形態のオーバードライブ演算回路25と同一の構成を有しており、同一の処理を展開回路43から受け取った前フレーム圧縮展開データ、及び展開回路44から受け取った現フレーム圧縮展開データに対して行って、補正なしオーバードライブ処理後データ45a、補正ありオーバードライブ処理後データ45b、及び、ドライブ方向データ45cを生成する。
【0078】
可逆圧縮部46a、(1×4)画素圧縮部46b、(2+1×2)画素圧縮部46c、(2×2)画素圧縮部46d、(3+1)画素圧縮部46e、(4×1)画素圧縮部46fは、補正なしオーバードライブ処理後データ45aに対して圧縮処理を行う回路群である。詳細には、可逆圧縮部46aは、補正なしオーバードライブ処理後データ45aに対して可逆圧縮を行い、補正なし可逆圧縮データを生成する。(1×4)画素圧縮部46bは、補正なしオーバードライブ処理後データ45aに対して(1×4)圧縮を行い補正なし(1×4)圧縮データを生成する。(2+1×2)画素圧縮部46cは、補正なしオーバードライブ処理後データ45aに対して(2+1×2)画素圧縮を行い、補正なし(2+1×2)圧縮データを生成する。(2×2)画素圧縮部46dは、補正なしオーバードライブ処理後データ45aに対して(2×2)画素圧縮を行い、補正なし(2×2)圧縮データを生成する。(3+1)画素圧縮部46eは、補正なしオーバードライブ処理後データ45aに対して(3+1)画素圧縮を行い、補正なし(3+1)圧縮データを生成する。(4×1)画素圧縮部46fは、補正なしオーバードライブ処理後データ45aに対して(4×1)画素圧縮を行い、補正なし(4×1)圧縮データを生成する。
【0079】
可逆圧縮部47a、(1×4)画素圧縮部47b、(2+1×2)画素圧縮部47c、(2×2)画素圧縮部47d、(3+1)画素圧縮部47e、(4×1)画素圧縮部47fは、補正ありオーバードライブ処理後データ45bに対して圧縮処理を行う回路群である。可逆圧縮部47aは、補正ありオーバードライブ処理後データ45bに対して可逆圧縮を行い、補正あり可逆圧縮データを生成する。(1×4)画素圧縮部47bは、補正ありオーバードライブ処理後データ45bに対して(1×4)圧縮を行い補正あり(1×4)圧縮データを生成する。(2+1×2)画素圧縮部47cは、補正ありオーバードライブ処理後データ45bに対して(2+1×2)画素圧縮を行い、補正あり(2+1×2)圧縮データを生成する。(2×2)画素圧縮部47dは、補正ありオーバードライブ処理後データ45bに対して(2×2)画素圧縮を行い、補正あり(2×2)圧縮データを生成する。(3+1)画素圧縮部47eは、補正ありオーバードライブ処理後データ45bに対して(3+1)画素圧縮を行い、補正あり(3+1)圧縮データを生成する。(4×1)画素圧縮部47fは、補正ありオーバードライブ処理後データ45bに対して(4×1)画素圧縮を行い、補正あり(4×1)圧縮データを生成する。
【0080】
可逆展開部48a、(1×4)画素展開部48b、(2+1×2)画素展開部48c、(2×2)画素展開部48d、(3+1)画素展開部48e、及び、(4×1)画素展開部48fは、補正なしオーバードライブ処理後データ45aに対する圧縮処理によって生成された圧縮データを展開するための回路群である。可逆展開部48aは、可逆圧縮部46aから受け取った補正なし可逆圧縮データに対して可逆圧縮に対応する展開処理を行い、補正なし可逆圧縮展開データを生成する。(1×4)画素展開部48bは、(1×4)圧縮部46bから受け取った補正なし(1×4)圧縮データに対して(1×4)圧縮に対応する展開処理を行い、補正なし(1×4)圧縮展開データを生成する。(2+1×2)画素展開部48cは、(2+1×2)圧縮部46cから受け取った圧縮データに対して(2+1×2)圧縮に対応する展開処理を行い、補正なし(2+1×2)圧縮展開データを生成する。(2×2)画素展開部48dは、(2×2)圧縮部46dから受け取った圧縮データに対して(2×2)圧縮に対応する展開処理を行い、補正なし(2×2)圧縮展開データを生成する。(3+1)画素展開部48eは、(3+1)圧縮部46eから受け取った圧縮データに対して(3+1)圧縮に対応する展開処理を行い、補正なし(3+1)圧縮展開データを生成する。(4×1)画素展開部48fは、(4×1)画素圧縮部46f)から受け取った圧縮データに対して(4×1)圧縮に対応する展開処理を行い、補正なし(4×1)展開データを生成する。
【0081】
可逆展開部49a、(1×4)画素展開部49b、(2+1×2)画素展開部49c、(2×2)画素展開部49d、(3+1)画素展開部49e、及び、(4×1)画素展開部49fは、補正ありオーバードライブ処理後データ45bに対する圧縮処理によって生成された圧縮データを展開するための回路群である。可逆展開部49aは、可逆圧縮部46aから受け取った補正あり可逆圧縮データに対して可逆圧縮に対応する展開処理を行い、補正あり可逆圧縮展開データを生成する。(1×4)画素展開部49bは、(1×4)圧縮部46bから受け取った補正あり(1×4)圧縮データに対して(1×4)圧縮に対応する展開処理を行い、補正あり(1×4)圧縮展開データを生成する。(2+1×2)画素展開部49cは、(2+1×2)圧縮部46cから受け取った圧縮データに対して(2+1×2)圧縮に対応する展開処理を行い、補正あり(2+1×2)圧縮展開データを生成する。(2×2)画素展開部49dは、(2×2)圧縮部46dから受け取った圧縮データに対して(2×2)圧縮に対応する展開処理を行い、補正あり(2×2)圧縮展開データを生成する。(3+1)画素展開部49eは、(3+1)圧縮部46eから受け取った圧縮データに対して(3+1)圧縮に対応する展開処理を行い、補正あり(3+1)圧縮展開データを生成する。(4×1)画素展開部49fは、(4×1)画素圧縮部46f)から受け取った圧縮データに対して(4×1)圧縮に対応する展開処理を行い、補正あり(4×1)展開データを生成する。
【0082】
比較回路50は、圧縮回路42、及び、圧縮回路46a〜46f、47a〜47fから出力される圧縮データのいずれかを、ドライバ4に送られる圧縮データ7として選択する。ここで、圧縮回路42から出力される圧縮データは、オーバードライブ処理がなされていない圧縮データである。また、圧縮回路46a〜46fから出力される圧縮データは、LUT処理部によりオーバードライブ処理がなされ、且つ、補正部による補正処理がなされていないデータに対して圧縮処理を行って得られる圧縮データであり、圧縮回路47a〜47fから出力される圧縮データは、オーバードライブ処理がなされ、更に、補正処理がなされているデータに対して圧縮処理を行って得られる圧縮データである。比較回路50による選択は、(1)展開回路44から出力される現フレーム圧縮展開データ、(2)展開回路46a〜46f、47a〜47fから出力されるデータ、並びに、(3)ドライブ方向データ45cに基づいて行われる。選択回路51は、比較回路50によって選択された圧縮データを、ドライバ4に送られるべき圧縮データ7として出力する。
【0083】
比較回路50における選択は、一実施形態では、以下のようにして行われる:まず、対象ブロックの全画素の全サブピクセルについて、展開回路44から出力される現フレーム圧縮展開データの階調値と補正なしオーバードライブ処理後データ45aの階調値が同一である場合、比較回路50は、オーバードライブ処理が不要であると判断し、圧縮回路42から出力される圧縮データをドライバ4に実際に送られる圧縮データ7として選択する。
【0084】
対象ブロックのいずれかの画素のいずれかのサブピクセルについて、現フレーム圧縮展開データの階調値と補正なしオーバードライブ処理後データ45aの階調値が相違する場合、更に、比較回路50は、可逆圧縮部46a、(1×4)画素圧縮部46b、(2+1×2)画素圧縮部46c、(2×2)画素圧縮部46d、(3+1)画素圧縮部46e、(4×1)画素圧縮部46f、可逆圧縮部47a、(1×4)画素圧縮部47b、(2+1×2)画素圧縮部47c、(2×2)画素圧縮部47d、(3+1)画素圧縮部47e、及び、(4×1)画素圧縮部47fから受け取った圧縮データのうちから、ドライバ4に送るべき圧縮データ7を選択する。ドライバ4に送るべき圧縮データ7の選択は、下記のようにして行われる:
【0085】
比較回路50は、まず、対象ブロックの各画素の各サブピクセルについて、可逆圧縮部46a、(1×4)画素圧縮部46b、(2+1×2)画素圧縮部46c、(2×2)画素圧縮部46d、(3+1)画素圧縮部46e、(4×1)画素圧縮部46fのそれぞれから出力される圧縮データによって実現されるオーバードライブ方向が適正であるか否かを判断する。この判断は、当該圧縮データのそれぞれを展開して得られる補正なし圧縮展開データ(即ち、可逆展開部48a、(1×4)画素展開部48b、(2+1×2)画素展開部48c、(2×2)画素展開部48d、(3+1)画素展開部48e、及び、(4×1)画素展開部48fのそれぞれから出力される展開データ)と現フレーム圧縮展開データとの比較によって行われる。
【0086】
例えば、ある特定画素の特定サブピクセルについてドライブ方向データ45cに示されたオーバードライブ方向が「正」であり、且つ、オーバードライブ方向の判断の対象が可逆圧縮部46aから出力される圧縮データである場合について考える。この場合、該特定画素の該特定サブピクセルについて可逆展開部48aから出力される展開データの値が該特定画素の該特定サブピクセルの現フレーム圧縮展開データの値以上である場合、可逆圧縮部46aから出力される圧縮データで実現されるオーバードライブ方向が適正であると判断され、そうでない場合、オーバードライブ方向が不適正であると判断される。同様に、ある特定画素の特定サブピクセルについてドライブ方向データ45cに示されたオーバードライブ方向が「負」である場合には、該特定画素の該特定サブピクセルについて可逆展開部48aから出力される展開データの値が該特定画素の該特定サブピクセルの現フレーム圧縮展開データの値より小さい場合、オーバードライブ方向が適正であると判断され、そうでない場合、オーバードライブ方向が不適正であると判断される。更に、(1×4)画素圧縮部46b、(2+1×2)画素圧縮部46c、(2×2)画素圧縮部46d、(3+1)画素圧縮部46e、(4×1)画素圧縮部46fから出力される圧縮データについても同様の判断が行われる。これにより、可逆圧縮部46a、(1×4)画素圧縮部46b、(2+1×2)画素圧縮部46c、(2×2)画素圧縮部46d、(3+1)画素圧縮部46e、(4×1)画素圧縮部46fから出力される圧縮データそれぞれについて、対象ブロックの全画素の全サブピクセルのオーバードライブ方向が適正か否かが判断される。
【0087】
可逆圧縮部46a、(1×4)画素圧縮部46b、(2+1×2)画素圧縮部46c、(2×2)画素圧縮部46d、(3+1)画素圧縮部46e、(4×1)画素圧縮部46fによって生成される圧縮データのうち、対象ブロックの全画素の全サブピクセルのオーバードライブ方向が適正である圧縮データが一つしかない場合、比較回路50は、当該一つの圧縮データをドライバ4に送るべき圧縮データ7として選択する。
【0088】
対象ブロックの全画素の全サブピクセルのオーバードライブ方向が適正である圧縮データが複数ある場合、当該複数の圧縮データのうちから、それぞれを展開して得られる展開データが補正なしオーバードライブ処理後データ45aに最も近い圧縮データが選択される。一実施形態では、対象ブロックの各画素の各サブピクセルについて、当該展開データの値と補正なしオーバードライブ処理後データ45aの値の差分絶対値が算出され、対象ブロックの全画素の全サブピクセルの差分絶対値の和が最も小さい展開データに対応する圧縮データが、対象ブロックの全画素の全サブピクセルのオーバードライブ方向が適正であるような圧縮データのうちからドライバ4に送るべき圧縮データ7として選択される。
【0089】
可逆圧縮部46a、(1×4)画素圧縮部46b、(2+1×2)画素圧縮部46c、(2×2)画素圧縮部46d、(3+1)画素圧縮部46e、(4×1)画素圧縮部46fによって生成される圧縮データに、対象ブロックの全画素の全サブピクセルのオーバードライブ方向が適正である圧縮データが存在しない場合、可逆圧縮部47a、(1×4)画素圧縮部47b、(2+1×2)画素圧縮部47c、(2×2)画素圧縮部47d、(3+1)画素圧縮部47e、及び、(4×1)画素圧縮部47fから出力される圧縮データのうちから、ドライバ4に送るべき圧縮データ7が選択される。
【0090】
詳細には、当該圧縮データのうち、対応する展開データ(即ち、可逆展開部49a、(1×4)画素展開部49b、(2+1×2)画素展開部49c、(2×2)画素展開部49d、(3+1)画素展開部49e、及び、(4×1)画素展開部49fのそれぞれから出力される展開データ)が補正なしオーバードライブ処理後データ45aに最も近いものがドライバ4に送るべき圧縮データ7として選択される。一実施形態では、対象ブロックの各画素の各サブピクセルについて、可逆展開部49a、(1×4)画素展開部49b、(2+1×2)画素展開部49c、(2×2)画素展開部49d、(3+1)画素展開部49e、及び、(4×1)画素展開部49fのそれぞれから出力される展開データの値と補正なしオーバードライブ処理後データ45aの値の差分絶対値が算出され、対象ブロックの全画素の全サブピクセルの差分絶対値の和が最も小さい展開データに対応する圧縮データが、ドライバ4に送るべき圧縮データ7として選択される。この場合、可逆圧縮部47a、(1×4)画素圧縮部47b、(2+1×2)画素圧縮部47c、(2×2)画素圧縮部47d、(3+1)画素圧縮部47e、及び、(4×1)画素圧縮部47fから出力される圧縮データのうちからドライバ4に送るべき圧縮データ7が選択されることになる。
【0091】
続いて、圧縮回路42における圧縮処理の選択、及び、各圧縮処理(可逆圧縮、(1×4)画素圧縮、(2+1×2)画素圧縮、(2×2)画素圧縮、(3+1)画素圧縮、(4×1)画素圧縮)の詳細について説明する。以下の説明において、画素A、B、C、DのRサブピクセルの階調値をそれぞれ、R、R、R、Rと記載し、画素A、B、C、DのGサブピクセルの階調値をそれぞれ、G、G、G、Gと記載し、画素A、B、C、DのBサブピクセルの階調値をそれぞれ、B、B、B、Bと記載する。
【0092】
1.圧縮回路42における圧縮処理の選択
図14は、本実施形態における、圧縮回路42における圧縮処理の選択手順を示すフローチャートである。圧縮回路42の形状認識部42gは、対象ブロックの4画素の画像データが特定パターンに該当するかを判断し(ステップS01)、特定パターンに該当する場合、可逆圧縮が選択される。本実施形態では、対象ブロックの4画素の画像データの階調値が5種類以下であるような所定のパターンが、可逆圧縮が行われる特定パターンとして選択されている。
【0093】
詳細には、対象ブロックの4画素の画像データの階調値が、以下の4つのパターン(1)〜(4)のいずれかに該当する場合、可逆圧縮が行われる:
(1) 4画素の各色の階調値が同一(図15A)
対象ブロックの4画素の画像データの階調値が下記条件(1a)を満足する場合、可逆圧縮が行われる。
条件(1a):
=R=R=R
=G=G=G
=B=B=B
この場合、対象ブロックの4画素の画像データの階調値は3種類である。
【0094】
(2) 4画素の間でRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値が同一(図15B)
対象ブロックの4画素の画像データの階調値が下記条件(2a)を満足する場合にも可逆圧縮が行われる。
条件(2a):
=G=B
=G=B
=G=B
=G=B
この場合、対象ブロックの4画素の画像データの階調値は4種類である。
【0095】
(3)対象ブロックの4画素について、R、G、Bのうちの2つの色の階調値が同一(図
15C〜図15E)
下記の3つの条件(3a)〜(3c)のいずれかを満足する場合にも可逆圧縮が行われ
る:
条件(3a): G=G=G=G=B=B=B=B
条件(3b): B=B=B=B=R=R=R=R
条件(3c): R=R=R=R=G=G=G=G
この場合、対象ブロックの4画素の画像データの階調値は5種類である。
【0096】
(4)R、G、Bのうちの1つの色の階調値が同一、且つ、残りの2色の階調値が対象ブ
ロックの4画素について同一(図15F〜図15H)
更に、下記の3つの条件(4a)〜(4c)のいずれかを満足する場合にも可逆圧縮が
行われる:
条件(4a):
=G=G=G
=B
=B
=B
=B
条件(4b):
=B=B=B
=G
=G
=G
=G
条件(4c)
=R=R=R
=B
=B
=B
=B
この場合、対象ブロックの4画素の画像データの階調値は5種類である。
【0097】
可逆圧縮が行われない場合、4つの画素の間の相関に応じて圧縮処理が選択される。より具体的には、圧縮回路42の形状認識部42gは、対象ブロックの4画素の各サブピクセルの階調値が、下記のいずれの場合に該当するかを判断する:
ケースA:4画素のうちの任意の組み合わせの画素の画像データの間の相関性が低い。
ケースB:2画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の2画素の画像データは、先の2画素と相関性が低く、且つ、互いに相関性が低い。
ケースC:4画素の画像データの間に高い相関性がある。
ケースD:3画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の1画素の画像データは、先の3画素と相関性が低い。
ケースE:2画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の2画素の画像データの間に高い相関性がある。
【0098】
詳細には、
i∈{A,B,C,D}
j∈{A,B,C,D}
i≠j
なるi、jの全ての組み合わせについて下記条件(A)が成立しない場合、圧縮回路42の形状認識部42gは、ケースAに該当する(即ち、4画素のうちの任意の組み合わせの画素の画像データの間の相関性が低い)と判断する(ステップS02)。
条件(A):
|Ri―Rj|≦Th1,且つ
|Gi―Gj|≦Th1,且つ
|Bi―Bj|≦Th1,
ケースAに該当する場合、形状認識部42gは、(1×4)画素圧縮を選択する。
【0099】
ケースAに該当しないと判断した場合、形状認識部42gは、4画素に対して第1組の2画素と第2組の2画素を規定し、その全ての組み合わせについて、前記第1組の2画素の間の画像データの差分が所定値よりも小さく且つ前記第2組の2画素の間の画像データの差分が所定値よりも小さいという条件が満足されるか否かを判断する(ステップS03)。より具体的には、形状認識部42gは、下記条件(B1)〜(B3)のいずれかが成立するか否かを判断する
(ステップS03)。
条件(B1):
|R―R|≦Th2,且つ
|G―G|≦Th2,且つ
|B―B|≦Th2,且つ
|R―R|≦Th2,且つ
|G―G|≦Th2,且つ
|B―B|≦Th2.
条件(B2):
|R―R|≦Th2,且つ
|G―G|≦Th2,且つ
|B―B|≦Th2,且つ
|R―R|≦Th2,且つ
|G―G|≦Th2,且つ
|B―B|≦Th2.
条件(B3):
|R―R|≦Th2,且つ
|G―G|≦Th2,且つ
|B―B|≦Th2,且つ
|R―R|≦Th2,且つ
|G―G|≦Th2,且つ
|B―B|≦Th2.
【0100】
下記条件(B1)〜(B3)がいずれも成立しない場合、形状認識部42gは、ケースBに該当する(即ち、2画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の2画素の画像データは、互いに相関性が低い)と判断する。この場合、形状認識部42gは、(2+1×2)画素圧縮を選択する。
【0101】
ケースA、Bのいずれにも該当しないと判断した場合、形状認識部42gは、4画素の全ての色のそれぞれについて、4つのサブピクセルの画像データの最大値と最小値との差が所定値より小さいという条件が満足されるか否かを判断する。より具体的には、形状認識部42gは、下記条件(C)が成立するか否かを判断する(ステップS04)。
条件(C):
max(R,R,R,R)−min(R,R,R,R)<Th3,且つ
max(G,G,G,G)−min(G,G,G,G)<Th3,且つ
max(B,B,B,B)−min(B,B,B,B)<Th3.
【0102】
条件(C)が成立する場合、形状認識部42gは、ケースCに該当する(4画素の画像データの間に高い相関性がある)と判断する。この場合、形状認識部42gは、(4×1)画素圧縮を行うと決定する。
【0103】
一方、条件(C)が成立しない場合、形状認識部42gは、4画素のうちの3画素の組み合わせのいずれかの画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の1画素の画像データは、該3画素と相関性が低いという条件を満たすかを判断する(ステップS05)。より具体的には、形状認識部42gは、下記条件(D1)〜(D4)のいずれかが成立するか否かを判断する(ステップS04)。
【0104】

条件(D1):
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4,且つ
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4,且つ
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4.
【0105】
条件(D2):
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4,且つ
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4,且つ
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4.
【0106】
条件(D3):
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4,且つ
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4,且つ
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4.
【0107】
条件(D4):
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4,且つ
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4,且つ
|R―R|≦Th4,且つ
|G―G|≦Th4,且つ
|B―B|≦Th4.
【0108】
条件(D1)〜(D4)のいずれかが成立する場合、形状認識部42gは、ケースDに該当する(即ち、3画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の1画素の画像データと相関性が低い)と判断する。この場合、形状認識部42gは、(3+1)画素圧縮を行うと決定する。
【0109】
下記条件(D1)〜(D4)のいずれも成立しない場合、形状認識部42gは、ケースEに該当する(即ち、画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の2画素の画像データの間に高い相関性がある)と判断する。この場合、形状認識部42gは、(2×2)画素圧縮を行うと決定する。
【0110】
形状認識部42gは、上記のような相関性の認識結果に基づき、(1×4)画素圧縮、(2+1×2)画素圧縮、(2×2)画素圧縮、(3+1)画素圧縮、(4×1)画素圧縮のいずれかを選択する。このようにして得られる選択結果に応じて、圧縮回路42から出力される圧縮データの選択、及び、比較回路50における圧縮データの選択が行われる。
【0111】
2.各圧縮処理及び展開処理の詳細
続いて、可逆圧縮、(1×4)画素圧縮、(2+1×2)画素圧縮、(2×2)画素圧縮、(3+1)画素圧縮、(4×1)画素圧縮のそれぞれについて、圧縮処理の詳細及び展開処理の詳細について説明する。
【0112】
2−1.可逆圧縮
本実施形態では、可逆圧縮は、対象ブロックの画素の各サブピクセルの階調値を並び替えることによって行われる。図16は、可逆圧縮によって生成された圧縮データのフォーマットを示す図である。本実施形態では、可逆圧縮によって生成された圧縮データは、48ビットデータであり、圧縮種類認識ビットと、色種類データと、画像データ#1〜#5とで構成される。
【0113】
圧縮種類認識ビットは、圧縮に使われた圧縮処理の種類を示すデータであり、可逆圧縮データでは、5ビットが圧縮種類認識ビットに割り当てられる。本実施形態では、可逆圧縮データの圧縮種類認識ビットの値は「11111」である。
【0114】
色種類データは、対象ブロックの4画素の画像データが、上述の図15A〜図15Hのパターン(8つのパターン)のいずれに該当するかを示すデータである。本実施形態では、8つの特定パターンが定義されているから、色種類データは3ビットである。
【0115】
画像データ#1〜#5は、対象ブロックの画素の画像データのデータ値を並び替えることによって得られるデータである。画像データ#1〜#5は、いずれも8ビットデータである。上述のように、対象ブロックの4画素の画像データのデータ値は5種類以下であるから、画像データ#1〜#5に全てのデータ値を格納することができる。
【0116】
上述の可逆圧縮によって生成された圧縮データの展開は、色種類データを参照して画像データ#1〜#5を並び替えることによって行われる。色種類データには、対象ブロックの4画素の画像データが図15A〜図15Hのいずれのパターンに該当するかが記述されているから、色種類データを参照することにより、対象ブロックの4画素の元の画像データと完全に同一のデータを展開データとして復元することができる。
【0117】
2−2.(1×4)画素圧縮
図17は、(1×4)圧縮データのフォーマットを示す概念図である。上述のように、(1×4)画素圧縮は、4画素のうちの任意の組み合わせの画素の画像データの間の相関性が低い場合に採用される圧縮処理である。(1×4)圧縮データは、圧縮種類認識ビットと、画素Aの画像データに対応するR、G、Bデータと、画素Bの画像データに対応するR、G、Bデータと、画素Cの画像データに対応するR、G、Bデータと、画素Dの画像データに対応するR、G、Bデータとで構成される。ここで、圧縮種類認識ビットとは、圧縮に使われた圧縮処理の種類を示すデータであり、(1×4)画素圧縮では、1ビットが圧縮種類認識ビットに割り当てられる。本実施形態では、(1×4)圧縮データの圧縮種類認識ビットの値は「0」である。
【0118】
、G、Bデータとは、画素AのR、G、Bサブピクセルの階調値に対してビットプレーン数を減少させる処理を行って得られるビットプレーン減少データであり、R、G、Bデータとは、画素BのR、G、Bサブピクセルの階調値に対してビットプレーン数を減少させる処理を行って得られるビットプレーン減少データである。同様に、R、G、Bデータとは、画素CのR、G、Bサブピクセルの階調値に対してビットプレーン数を減少させる処理を行って得られるビットプレーン減少データであり、R、G、Bデータとは、画素DのR、G、Bサブピクセルの階調値に対してビットプレーン数を減少させる処理を行って得られるビットプレーン減少データである。
【0119】
本実施形態では、画素DのBサブピクセルに対応するBデータのみ3ビットデータであり、他は4ビットデータである。このようなビット配分では、圧縮種類認識ビットを含む合計のビット数が48ビットになる。
【0120】
図18は、(1×4)画素圧縮を説明する概念図である。(1×4)画素圧縮では、画素A〜Dのそれぞれについて、ディザマトリックスを用いたディザ処理が行われ、これにより、画素A〜Dの画像データのビットプレーン数が減少される。詳細には、まず、画素A、B、C、Dの画像データのそれぞれに誤差データαを加算する処理が行われる。本実施形態では、各画素の誤差データαは、当該画素の座標からベイヤーマトリックスである基本マトリックスを用いて決定される。誤差データαの算出については、後に別途に記載する。以下では、画素A、B、C、Dについて定められた誤差データαが、それぞれ、0、5、10、15であるとして説明が行われる。
【0121】
更に、丸め処理が行われてR、G、Bデータ、R、G、Bデータ、R、G、Bデータ、及びR、G、Bデータが生成される。ここで、丸め処理とは、所望のnについて、値2(n−1)を加えた後、下位nビットを切りすてる処理をいう。画素DのBサブピクセルの階調値については、値16を加算した後で下位5ビットを切り捨てる処理が行われ、このようにして生成されたR、G、Bデータ、R、G、Bデータ、R、G、Bデータ、及びR、G、Bデータに、圧縮種類認識ビットとして値「0」を付加することにより、(1×4)圧縮データが生成される。
【0122】
図19は、(1×4)圧縮データの展開処理を示す図である。(1×4)圧縮データの展開では、まず、R、G、Bデータ、R、G、Bデータ、R、G、Bデータ、及びR、G、Bデータのビット繰上げが行われる。繰上げされるビットの数は、(1×4)画素圧縮において切り捨てられたビットの数と同じである。即ち、画素DのBサブピクセルに対応するBデータについては、5ビットの繰上げが行われ、他のデータについては、4ビットの繰上げが行われる。
【0123】
更に、誤差データαの減算が行われ、(1×4)圧縮データの展開が完了する。これにより、画素A〜Dの各サブピクセルの階調を示す(1×4)展開データが生成される。(1×4)展開データは、概ね、元の画像データを復元したデータである。図18の(1×4)展開データの画素A〜Dの各サブピクセルの階調値と、図19の元の画像データの画素A〜Dの各サブピクセルの階調値とを比較すれば、上記の展開処理により、概ね、画素A〜Dの元の画像データが復元されていることが理解されよう。
【0124】
2−3.(2+1×2)画素圧縮
図20は、(2+1×2)圧縮データのフォーマットを示す概念図である。上述のように、(2+1×2)画素圧縮は、2画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の2画素の画像データは、先の2画素と相関性が低く、且つ、互いに相関性が低い場合に採用される。
【0125】
図20に示されているように、本実施形態では、(2+1×2)圧縮データが、圧縮種類認識ビットを含むヘッダと、形状認識データと、R代表値、G代表値、B代表値、大小認識データ、β比較結果データ、R、G、Bデータ、及びR、G、Bデータで構成される。
【0126】
圧縮種類認識ビットとは、圧縮に使われた圧縮処理の種類を示すデータであり、(2+1×2)圧縮データでは、2ビットが圧縮種類認識ビットに割り当てられる。本実施形態では、(2+1×2)圧縮データの圧縮種類認識ビットの値は「10」である。
【0127】
形状認識データとは、画素A〜Dのうち、どの2つの画素の画像データの間の相関性が高いかを示す3ビットデータである。(2+1×2)画素圧縮が使用される場合、画素A〜Dのうち、2つの画素の画像データの間の相関性が高く、残りの2つの画素は他の画素の画像データとの相関性が低い。したがって、画像データの相関性が高い2つの画素の組み合わせは、下記の6通りである:
・画素A、C
・画素B、D
・画素A、B
・画素C、D
・画素B、C
・画素A、D
形状認識データは、3ビットによって、画像データの間の相関性が高い2画素が、これらの6つの組み合わせのいずれであるかを示している。
【0128】
R代表値、G代表値、B代表値は、それぞれ、相関性が高い2つの画素のRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値を代表する値である。図20に図示されているように、R代表値及びG代表値は5ビット又は6ビットのデータであり、B代表値は5ビットのデータである。
【0129】
β比較データとは、相関性が高い2つの画素の同一色のサブピクセルの階調値の差が、所定の閾値βよりも大きいか否かを示すデータである。β比較データは、相関性が高い2つの画素のRサブピクセルの階調値の差、及び相関性が高い当該2つの画素のGサブピクセルの階調値の差が、所定の閾値βよりも大きいか否かを示す2ビットのデータである。
【0130】
一方、大小認識データは、相関性が高い2つの画素のうち、どちらの画素のRサブピクセルの階調値が大きいか、及び、どちらの画素のGサブピクセルの階調値が大きいかを示すデータである。Rサブピクセルに対応する大小認識データは、相関性が高い2つの画素のRサブピクセルの階調値の差が閾値βよりも大きい場合にのみ生成され、Gサブピクセルに対応する大小認識データは、相関性が高い2つの画素のGサブピクセルの階調値の差が閾値βよりも大きい場合にのみ生成される。したがって、大小認識データは、0〜2ビットのデータである。
【0131】
、G、Bデータ、及びR、G、Bデータは、相関性が低い2つの画素のR、G、Bサブピクセルの階調値に対してビットプレーン数を減少させる処理を行って得られるビットプレーン減少データである。R、G、Bデータ、及びR、G、Bデータは、いずれも、4ビットデータである。
【0132】
以下、図21を参照しながら、(2+1×2)画素圧縮について説明する。図21は、画素A、Bの画像データの間の相関性が高く、画素C、Dの画像データが画素A、Bの画像データに対して相関性が低く、且つ、画素C、D相互の画像データの相関性が低い場合における(2+1×2)圧縮データの生成について記述している。相関性が高い画素の組み合わせが異なる場合も同様にして(2+1×2)圧縮データが生成可能であることは、当業者には容易に理解されよう。
【0133】
まず、(相関性が高い)画素A、Bの画像データの圧縮処理について説明する。まず、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルのそれぞれについて、階調値の平均値が算出される。Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の平均値Rave、Gave、Baveは、下記式によって算出される:
Rave=(R+R+1)/2,
Gave=(G+G+1)/2,
Bave=(B+B+1)/2.
【0134】
更に、画素A、BのRサブピクセルの階調値の差|R−R|及び、Gサブピクセルの階調値の差|G−G|が、所定の閾値βよりも大きいか否かが比較される。これらの比較結果がβ比較データとして(2+1×2)圧縮データに記述される。
【0135】
更に、下記の手順により、大小認識データが作成される。画素A、BのRサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きい場合、画素A、BのいずれのRサブピクセルの階調値が大きいかが、大小認識データに記述される。画素A、BのRサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値β以下の場合には、画素A、BのRサブピクセルの階調値の大小関係は、大小認識データに記述されない。同様に、画素A、BのGサブピクセルの階調値の差|G−G|が閾値βよりも大きい場合、画素A、BのいずれのGサブピクセルの階調値が大きいかが、大小認識データに記述される。画素A、BのGサブピクセルの階調値の差|G−G|が閾値β以下の場合には、画素A、BのGサブピクセルの階調値の大小関係は、大小認識データに記述されない。
【0136】
図21の例では、画素A、BのRサブピクセルの階調値がそれぞれ、50、59であり、閾値βが4である。この場合、階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きいので、その旨がβ比較データに記載され、また、画素BのRサブピクセルの階調値が画素AのRサブピクセルの階調値よりも大きい旨が大小認識データに記述される。一方、画素A、BのGサブピクセルの階調値がそれぞれ、2、1である。階調値の差|G−G|が閾値β以下なので、その旨がβ比較データに記載される。大小認識データには、画素A、BのGサブピクセルの階調値の大小関係は記述されない。結果として、図21の例では、大小認識データは1ビットデータになる。
【0137】
続いて、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の平均値Rave、Gave、Baveに誤差データαが加算される。本実施形態では、誤差データαは、各組み合わせの2画素の座標から基本マトリックスを用いて決定される。誤差データαの算出については、後に別途に記載する。以下では、本実施形態では、画素A、Bについて定められた誤差データαが0であるとして説明が行われる。
【0138】
更に、丸め処理が行われてR代表値、G代表値、B代表値が算出される。丸め処理において加算される数値及びビット切捨て処理で切り捨てられるビット数は、階調値の差|R−R|、|G−G|、|B−B|と閾値βとの大小関係、及び圧縮率に応じて決定される。Rサブピクセルについては、Rサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きい場合、Rサブピクセルの階調値の平均値Raveに値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりR代表値が算出される。そうでない場合、平均値Raveに値2を加えた後下位2ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりR代表値が算出される。Gサブピクセルについても同様に、階調値の差|G−G|が閾値βよりも大きい場合、Gサブピクセルの階調値の平均値Gaveに値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりG代表値が算出される。そうでない場合、平均値Gaveに値2を加えた後下位2ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりG代表値が算出される。図21の例では、Rサブピクセルの平均値Raveについては、値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われ、Gサブピクセルの平均値Gaveについては、値2を加えた後下位2ビットを切り捨てる処理が行われている。最後に、Bサブピクセルについては、Bサブピクセルの階調値の平均値Baveに値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりB代表値が算出される。以上により、画素A、Bの画像データの圧縮処理が完了する。
【0139】
一方、(相関性が低い)画素C、Dの画像データについては、(1×4)画素圧縮と同様の処理が行われる。即ち、画素C、Dのそれぞれについて、ディザマトリックスを用いたディザ処理が独立に行われ、これにより、画素C、Dの画像データのビットプレーン数が減少される。詳細には、まず、画素C、Dの画像データのそれぞれに誤差データαを加算する処理が行われる。上述のように、各画素の誤差データαは、当該画素の座標から算出される。以下では、画素C、Dについて定められた誤差データαがそれぞれ10、15であるとして説明が行われる。
【0140】
更に、丸め処理が行われてR、G、Bデータ、R、G、Bデータが生成される。詳細には、画素C、DそれぞれのR、G、Bサブピクセルの階調値のそれぞれについて、値8を加算した後、下位4ビットを切り捨てる処理が行われる。これにより、R、G、Bデータ、R、G、Bデータが算出される。
【0141】
以上のようにして生成されたR代表値、G代表値、B代表値、大小認識データ、β比較結果データ、R、G、Bデータ、及びR、G、Bに、圧縮種類認識ビット及び形状認識データを付加することにより、(2+1×2)圧縮データが生成される。
【0142】
一方、図22は、(2+1×2)圧縮データの展開処理を示す図である。図22は、画素A、Bの画像データの間の相関性が高く、画素C、Dの画像データが画素A、Bの画像データに対して相関性が低く、且つ、画素C、D相互の画像データの相関性が低い場合における(2+1×2)圧縮データの展開について記述している。画素間の相関性が異なる場合も同様にして(2+1×2)圧縮データが展開可能であることは、当業者には容易に理解されよう。
【0143】
(2+1×2)圧縮データの展開では、まず、R代表値、G代表値、B代表値について、ビット繰り上げ処理が行われる。ただし、β比較データに記述された、階調値の差|R−R|、|G−G|、|B−B|と閾値βとの大小関係及び圧縮率に応じてビット繰り上げ処理の実行/不実行が決定される。Rサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きい場合、R代表値に対して3ビットのビット繰上げ処理が行われ、そうでない場合、2ビットのビット繰上げ処理が行われる。同様に、Gサブピクセルの階調値の差|G−G|が閾値βよりも大きい場合、G代表値に対して3ビットのビット繰上げ処理が行われ、そうでない場合、2ビットのビット繰上げ処理が行われる。図22の例では、R代表値については、3ビットを繰り上げる処理が行われ、G代表値については、2ビットのビット繰上げ処理が行われる。一方、B代表値については、β比較データに依存せずに、3ビットのビット繰上げ処理が行われる。
【0144】
上記のビット繰り上げ処理が完了した後、R代表値、G代表値、B代表値のそれぞれについて、誤差データαの減算が行われ、更に、R代表値、G代表値、B代表値から(2+1×2)展開データの画素A、BのR、G、Bサブピクセルの階調値を復元する処理が行われる。
【0145】
(2+1×2)展開データの画素A、BのRサブピクセルの階調値の復元においては、β比較データ及び大小認識データが使用される。β比較データにおいて、Rサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きいと記述されている場合、R代表値に一定値5を加えた値が、画素A、Bのうち大小認識データにおいて大きいと記述されている方のRサブピクセルの階調値として復元され、R代表値に一定値5を減じた値が大小認識データにおいて小さいと記述されている方のRサブピクセルの階調値として復元される。一方、Rサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも小さい場合、画素A、BのRサブピクセルの階調値は、R代表値に一致するとして復元される。図22の例では、画素AのRサブピクセルの階調値は、R代表値から値5だけ減じた値として復元され、画素BのRサブピクセルの階調値は、R代表値から値5を加えた値として復元されている。画素A、BのGサブピクセルの階調値の復元においても、β比較データ及び大小認識データを用いて同様の処理が行われる。図22の例では、画素A、BのGサブピクセルの値がいずれも、G代表値に一致するとして復元される。
【0146】
ただし、画素A、BのBサブピクセルについては、β比較データ及び大小認識データが存在しないので、β比較データ及び大小認識データに無関係に、画素A、BのBサブピクセルの値がいずれも、B代表値に一致するとして復元される。
【0147】
以上で、画素A、BのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の復元が完了する。
【0148】
一方、(相関性が低い)画素C、Dの画像データに関する展開処理では、上述の(1×4)圧縮データの展開処理と同様の処理が行われる。画素C、Dの画像データに関する展開処理では、まず、R、G、Bデータ、及びR、G、Bデータのそれぞれについて、4ビットのビット繰上げ処理が行われる。更に、誤差データαの減算が行われ、これにより、画素C、DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値が復元される。
【0149】
以上で、画素C、DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の復元が完了する。画素C、DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値は、8ビットの値として復元される。
【0150】
2−4.(2×2)画素圧縮
図23は、(2×2)圧縮データのフォーマットを示す概念図である。上述のように、(2×2)画素圧縮は、2画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の2画素の画像データの間に高い相関性がある場合に使用される圧縮処理である。
【0151】
本実施形態では、(2×2)圧縮データが、圧縮種類認識ビットと、形状認識データと、R代表値#1と、G代表値#1と、B代表値#1と、R代表値#2と、G代表値#2と、B代表値#2と、大小認識データと、β比較結果データとで構成される。
【0152】
圧縮種類認識ビットとは、圧縮に使われた圧縮処理の種類を示すデータであり、(2×2)圧縮データでは、3ビットが圧縮種類認識ビットに割り当てられる。本実施形態では、(2×2)圧縮データの圧縮種類認識ビットの値は「110」である。
【0153】
形状認識データとは、画素A〜Dのうち、どの2つの画素の画像データの間の相関性が高いかを示す2ビットデータである。(2×2)画素圧縮が使用される場合、画素A〜Dのうち、2画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、他の2画素の画像データの間に高い相関性がある。したがって、画像データの相関性が高い2つの画素の組み合わせは、下記の3通りである:
・画素A、Bの相関性が高く、画素C、Dの相関性が高い
・画素A、Cの相関性が高く、画素B、Dの相関性が高い
・画素A、Dの相関性が高く、画素B、Cの相関性が高い
形状認識データは、2ビットによって、これらの3つの組み合わせのいずれであるかを
示している。
【0154】
R代表値#1、G代表値#1、B代表値#1は、それぞれ、一方の2画素のRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値を代表する値であり、R代表値#2、G代表値#2、B代表値#2は、それぞれ、他方の2画素のRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値を代表する値である。図23に図示されているように、R代表値#1、G代表値#1、B代表値#1、R代表値#2、及びB代表値#2は、5ビット又は6ビットのデータであり、G代表値#2は6又は7ビットのデータである。
【0155】
β比較データとは、相関性が高い2つの画素のRサブピクセルの階調値の差、相関性が高い当該2つの画素のGサブピクセルの画像データの差、及び当該2つの画素のBサブピクセルの画像データの差が、所定の閾値βよりも大きいか否かを示すデータである。本実施形態では、(2×2)圧縮データのβ比較データは、2対の2画素のそれぞれに3ビットが割り当てられた6ビットのデータである。一方、大小認識データは、相関性が高い2つの画素のうち、どちらの画素のRサブピクセルの階調値が大きいか、どちらの画素のGサブピクセルの階調値が大きいか、及び、どちらの画素のBサブピクセルの階調値が大きいかを示すデータである。Rサブピクセルに対応する大小認識データは、相関性が高い2つの画素のRサブピクセルの階調値の差が閾値βよりも大きい場合にのみ生成され、Gサブピクセルに対応する大小認識データは、相関性が高い2つの画素のGサブピクセルの階調値の差が閾値βよりも大きい場合にのみ生成され、Bサブピクセルに対応する大小認識データは、相関性が高い2つの画素のBサブピクセルの階調値の差が閾値βよりも大きい場合にのみ生成される。したがって、(2×2)圧縮データの大小認識データは、0〜6ビットのデータである。
【0156】
以下、図24を参照しながら、(2×2)画素圧縮について説明する。図24は、画素A、Bの画像データの間の相関性が高く、画素C、Dの画像データの間の相関性が高い場合における(2×2)圧縮データの生成について記述している。画素間の相関性が異なる場合も同様にして(2×2)圧縮データが生成可能であることは、当業者には容易に理解されよう。
【0157】
まず、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルのそれぞれについて、階調値
の平均値が算出される。画素A、BのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセル
の階調値の平均値Rave1、Gave1、Bave1、及び画素C、DのRサブピクセ
ル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の平均値Rave2、Gave2、Bav
e2は、下記式によって算出される:
Rave1=(R+R+1)/2,
Gave1=(G+G+1)/2,
Bave1=(B+B+1)/2,
Rave2=(R+R+1)/2,
Gave2=(G+G+1)/2,
Bave1=(B+B+1)/2.
【0158】
更に、画素A、BのRサブピクセルの階調値の差|R−R|、Gサブピクセルの階調値の差|G−G|及びBサブピクセルの階調値の差|B−B|が、所定の閾値βよりも大きいか否かが比較される。同様に、画素C、DのRサブピクセルの階調値の差|R−R|、Gサブピクセルの階調値の差|G−G|及びBサブピクセルの階調値の差|B−B|が、所定の閾値βよりも大きいか否かが比較される。これらの比較結果は、β比較データとして(2×2)圧縮データに記述される。
【0159】
更に、画素A、Bの組み合わせ、及び画素C、Dの組み合わせのそれぞれについて大小認識データが作成される。
【0160】
詳細には、画素A、BのRサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きい場合、画素A、BのいずれのRサブピクセルの階調値が大きいかが、大小認識データに記述される。画素A、BのRサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値β以下の場合には、画素A、BのRサブピクセルの階調値の大小関係は、大小認識データに記述されない。同様に、画素A、BのGサブピクセルの階調値の差|G−G|が閾値βよりも大きい場合、画素A、BのいずれのGサブピクセルの階調値が大きいかが、大小認識データに記述される。画素A、BのGサブピクセルの階調値の差|G−G|が閾値β以下の場合には、画素A、BのGサブピクセルの階調値の大小関係は、大小認識データに記述されない。加えて、画素A、BのBサブピクセルの階調値の差|B−B|が閾値βよりも大きい場合、画素A、BのいずれのBサブピクセルの階調値が大きいかが、大小認識データに記述される。画素A、BのBサブピクセルの階調値の差|B−B|が閾値β以下の場合には、画素A、BのBサブピクセルの階調値の大小関係は、大小認識データに記述されない。
【0161】
同様に、画素C、DのRサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きい場合、画素C、DのいずれのRサブピクセルの階調値が大きいかが、大小認識データに記述される。画素C、DのRサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値β以下の場合には、画素C、DのRサブピクセルの階調値の大小関係は、大小認識データに記述されない。同様に、画素C、DのGサブピクセルの階調値の差|G−G|が閾値βよりも大きい場合、画素C、DのいずれのGサブピクセルの階調値が大きいかが、大小認識データに記述される。画素C、DのGサブピクセルの階調値の差|G−G|が閾値β以下の場合には、画素C、DのGサブピクセルの階調値の大小関係は、大小認識データに記述されない。加えて、画素C、DのBサブピクセルの階調値の差|B−B|が閾値βよりも大きい場合、画素C、DのいずれのBサブピクセルの階調値が大きいかが、大小認識データに記述される。画素C、DのBサブピクセルの階調値の差|B−B|が閾値β以下の場合には、画素C、DのBサブピクセルの階調値の大小関係は、大小認識データに記述されない。
【0162】
図24の例では、画素A、BのRサブピクセルの階調値がそれぞれ、50、59であり、閾値βが4である。この場合、階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きいので、その旨がβ比較データに記載され、また、画素BのRサブピクセルの階調値が画素AのRサブピクセルの階調値よりも大きい旨が大小認識データに記述される。一方、画素A、BのGサブピクセルの階調値がそれぞれ、2、1である。この場合、階調値の差|G−G|が閾値β以下なので、その旨がβ比較データに記載される。大小認識データには、画素A、BのGサブピクセルの階調値の大小関係は記述されない。更に、画素A、BのBサブピクセルの階調値がそれぞれ、30、39である。この場合、階調値の差|B−B|が閾値βよりも大きいので、その旨がβ比較データに記載され、また、画素BのBサブピクセルの階調値が画素AのBサブピクセルの階調値よりも大きい旨が大小認識データに記述される。
【0163】
また、画素C、DのRサブピクセルの階調値が、いずれも、100である。この場合、階調値の差|R−R|が閾値β以下なので、その旨がβ比較データに記載される。大小認識データには、画素A、BのGサブピクセルの階調値の大小関係は記述されない。また、画素C、DのGサブピクセルの階調値がそれぞれ、80、85である。この場合、階調値の差|G−G|が閾値βより大きいので、その旨がβ比較データに記載され、また、画素DのGサブピクセルの階調値が画素CのGサブピクセルの階調値よりも大きい旨が大小認識データに記述される。更に、画素C、DのBサブピクセルの階調値がそれぞれ、8、2である。この場合、階調値の差|B−B|が閾値βよりも大きいので、その旨がβ比較データに記載され、また、画素CのBサブピクセルの階調値が画素DのBサブピクセルの階調値よりも大きい旨が大小認識データに記述される。
【0164】
更に、画素A、BのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の平均値Rave1、Gave1、Bave1、及び、画素C、DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の平均値Rave2、Gave2、Bave2に、誤差データαが加算される。本実施形態では、誤差データαは、各組み合わせの2画素の座標からベイヤーマトリックスである基本マトリックスを用いて決定される。誤差データαの算出については、後に別途に記載する。以下では、本実施形態では、画素A、Bについて定められた誤差データαが0であるとして説明が行われる。
【0165】
更に、丸め処理及びビット切捨て処理が行われてR代表値#1、G代表値#1、B代表値#1、R代表値#2、G代表値#2、B代表値#2が算出される。丸め処理及びビット切捨て処理は、圧縮率に応じて行われる。画素A、Bについては、丸め処理において加算される数値及びビット切捨て処理で切り捨てられるビット数は、階調値の差|R−R|、|G−G|、及び|B−B|と閾値βとの大小関係に応じて、2ビット又は3ビットに決定される。Rサブピクセルについては、Rサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きい場合、Rサブピクセルの階調値の平均値Rave1に値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりR代表値#1が算出される。そうでない場合、平均値Rave1に値2を加えた後下位2ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりR代表値#1が算出される。結果として、R代表値#1は、5ビット又は6ビットになる。Gサブピクセル、Bサブピクセルについても同様である。階調値の差|G−G|が閾値βよりも大きい場合、Gサブピクセルの階調値の平均値Gave1に値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりG代表値#1が算出される。そうでない場合、平均値Gave1に値2を加えた後下位2ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりG代表値#1が算出される。更に、階調値の差|B−B|が閾値βよりも大きい場合、Bサブピクセルの階調値の平均値Bave1に値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりB代表値#1が算出される。そうでない場合、平均値Bave1に値2を加えた後下位2ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりB代表値#1が算出される。
【0166】
図24の例では、画素A、BのRサブピクセルの平均値Rave1については、値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われてR代表値#1が算出される。また、画素A、BのGサブピクセルの平均値Gave1については、値2を加えた後下位2ビットを切り捨てる処理が行われてG代表値#1が算出される。更に、画素A、BのBサブピクセルについては、Bサブピクセルの階調値の平均値Bave1に値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりB代表値#1が算出される。
【0167】
画素C、Dの組み合わせについても同様の処理が行われてR代表値#2、G代表値#2、B代表値#2が算出される。ただし、画素C、DのGサブピクセルについては、丸め処理において加算される数値及びビット切捨て処理で切り捨てられるビット数は、1ビット又は2ビットである。階調値の差|G−G|が閾値βよりも大きい場合、Gサブピクセルの階調値の平均値Gave2に値2を加えた後下位2ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりG代表値#2が算出される。そうでない場合、平均値Gave2に値1を加えた後下位1ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりG代表値#2が算出される。
【0168】
図24の例では、画素C、DのRサブピクセルの平均値Rave2については、値2を加えた後下位2ビットを切り捨てる処理が行われてR代表値#2が算出される。また、画素C、DのGサブピクセルの平均値Gave2については、値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われてG代表値#2が算出される。更に、画素C、DのBサブピクセルについては、Bサブピクセルの階調値の平均値Bave2に値4を加えた後下位3ビットを切り捨てる処理が行われ、これによりB代表値#2が算出される。
【0169】
以上により、(2×2)画素圧縮による圧縮処理が完了する。
【0170】
一方、図25は、(2×2)画素圧縮で圧縮された圧縮画像データの展開処理を示す図である。図25は、画素A、Bの画像データの間の相関性が高く、且つ、画素C、Dの画像データの間の相関性が高い場合における(2×2)圧縮データの展開について記述している。画素間の相関性が異なる場合も同様にして(2×2)圧縮データが展開可能であることは、当業者には容易に理解されよう。
【0171】
まず、R代表値#1、G代表値#1、B代表値#1に対してビット繰上げ処理が行われる。ビット繰上げ処理のビット数は、β比較データに記述された、階調値の差|R−R|、|G−G|、|B−B|と閾値βとの大小関係、及び圧縮率に応じて決定される。画素A、BのRサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きい場合、R代表値#1に対して3ビットのビット繰上げ処理が行われ、そうでない場合、2ビットのビット繰上げ処理が行われる。同様に、画素A、BのGサブピクセルの階調値の差|G−G|が閾値βよりも大きい場合、G代表値#1に対して3ビットのビット繰上げ処理が行われ、そうでない場合、2ビットのビット繰上げ処理が行われる。更に、画素A、BのBサブピクセルの階調値の差|B−B|が閾値βよりも大きい場合、B代表値#1に対して3ビットのビット繰上げ処理が行われ、そうでない場合、2ビットのビット繰上げ処理が行われる。図25の例では、R代表値#1については、3ビットを繰り上げる処理が行われ、G代表値#1については、2ビットを繰り上げる処理が行われ、B代表値#1については、3ビットのビット繰上げ処理が行われる。
【0172】
R代表値#2、G代表値#2、B代表値#2についても同様のビット繰上げ処理が行われる。ただし、G代表値#2のビット繰上げ処理のビット数は、1ビット又は2ビットのうちから選ばれる。画素C、DのGサブピクセルの階調値の差|G−G|が閾値βよりも大きい場合、G代表値#2に対して2ビットのビット繰上げ処理が行われ、そうでない場合、1ビットのビット繰上げ処理が行われる。図25の例では、R代表値#2については、2ビットを繰り上げる処理が行われ、G代表値#2については、2ビットを繰り上げる処理が行われ、B代表値#2については、3ビットのビット繰上げ処理が行われる。
【0173】
更に、R代表値#1、G代表値#1、B代表値#1、R代表値#2、G代表値#2、B
代表値#2のそれぞれから誤差データαが減算された後、これらの代表値から、画素A、
BのR、G、Bサブピクセルの階調値、及び画素C、DのR、G、Bサブピクセルの階調
値を復元する処理が行われる。
【0174】
階調値の復元においては、β比較データ及び大小認識データが使用される。β比較データにおいて、画素A、BのRサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも大きいと記述されている場合、R代表値#1に一定値5を加えた値が、画素A、Bのうち大小認識データにおいて大きいと記述されている方のRサブピクセルの階調値として復元され、R代表値#1に一定値5を減じた値が、大小認識データにおいて小さいと記述されている方のRサブピクセルの階調値として復元される。画素A、BのRサブピクセルの階調値の差|R−R|が閾値βよりも小さい場合、画素A、BのRサブピクセルの階調値は、R代表値#1に一致するとして復元される。同様に、画素A、BのGサブピクセル、Bサブピクセルの階調値、及び画素C、DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値も同様の手順によって復元される。
【0175】
図25の例では、画素AのRサブピクセルの階調値は、R代表値#1から値5だけ減じた値として復元され、画素BのRサブピクセルの階調値は、R代表値#1から値5を加えた値として復元されている。また、画素A、BのGサブピクセルの階調値は、G代表値#1に一致する値として復元される。更に、画素AのBサブピクセルの階調値はB代表値#1から値5だけ減じた値として復元され、画素BのBサブピクセルの階調値は、B代表値#1から値5を加えた値として復元されている。一方、画素C、DのRサブピクセルの階調値は、B代表値#2に一致する値として復元される。また、画素CのGサブピクセルの階調値は、G代表値#2から値5だけ減じた値として復元され、画素DのGサブピクセルの階調値は、G代表値#2から値5を加えた値として復元されている。更に、画素CのBサブピクセルの階調値は、G代表値#2から値5を加えて値として復元され、画素DのBサブピクセルの階調値は、G代表値#2から値5を減じた値として復元されている。
【0176】
以上で画素A〜DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の復元が完了する。図25の右欄の画素A〜Dの画像データと、図24の左欄の画素A〜Dの画像データとを比較すれば、上記の展開処理により、概ね、画素A〜Dの元の画像データが復元されていることが理解されよう。
【0177】
2−5.(3+1)画素圧縮
図25は、(3+1)画素圧縮で圧縮された圧縮データのフォーマットを示す概念図である。上述のように、(3+1)画素圧縮は、3画素の画像データの間に高い相関性があり、かつ、当該3画素の画像データと残りの1画素の画像データの間の相関性が低い場合に使用される圧縮処理である。図25に示されているように、本実施形態では、(3+1)画素圧縮で生成された圧縮データは48ビットデータであり、圧縮種類認識ビットと、R代表値と、G代表値と、B代表値と、Rデータと、Gデータと、Bデータと、パディングデータとで構成されている。
【0178】
圧縮種類認識ビットとは、圧縮に使われた圧縮処理の種類を示すデータであり、(3+1)画素圧縮により生成された圧縮データでは、5ビットが圧縮種類認識ビットに割り当てられる。本実施形態では、(3+1)画素圧縮により生成された圧縮データの圧縮種類認識ビットの値は「11110」である。
【0179】
R代表値、G代表値、B代表値は、それぞれ、相関性が高い3つの画素のRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値を代表する値である。R代表値、G代表値、B代表値は、それぞれ、相関性が高い3画素のRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の平均値として算出される。図25の例では、R代表値、G代表値、及びB代表値は、いずれも、8ビットデータである。
【0180】
一方、R、G、Bデータ、及びR、G、Bデータは、残りの1つの画素のR、G、Bサブピクセルの階調値に対してビットプレーン数を減少させる処理を行って得られるビットプレーン減少データである。本実施形態では、R、G、Bデータ、及びR、G、Bデータは、いずれも、6ビットデータである。
【0181】
パディングデータは、(3+1)画素圧縮で生成された圧縮データを他の圧縮処理で生成された圧縮データと同じビット数にするために付加されている。本実施形態では、パディングデータは、1ビットのデータである。
【0182】
以下、図27を参照しながら、(3+1)画素圧縮について説明する。図27は、画素A、B、Cの画像データの間の相関性が高く、画素Dの画像データが画素A、B、Cの画像データと相関性が低い場合における圧縮データの生成について記述している。他の場合も同様にして圧縮データが生成可能であることは、当業者には容易に理解されよう。
【0183】
まず、画素A、B、CのRサブピクセルの階調値の平均値、Gサブピクセルの階調値の平均値、Bサブピクセルの階調値の平均値がそれぞれに算出され、算出された平均値がR代表値、G代表値、B代表値として決定される。R代表値、G代表値、B代表値は、下記式によって算出される:
Rave1=(R+R+R)/3,
Gave1=(G+G+G)/3,
Bave1=(B+B+B)/3.
【0184】
一方、(相関性が低い)画素Dの画像データについては、(1×4)画素圧縮と同様の処理が行われる。即ち、画素Dについて、ディザマトリックスを用いたディザ処理が独立に行われ、これにより、画素Dの画像データのビットプレーン数が減少される。詳細には、まず、画素Dの画像データのそれぞれに誤差データαを加算する処理が行われる。上述のように、各画素の誤差データαは、当該画素の座標から算出される。以下では、画素Dについて定められた誤差データαが3であるとして説明が行われる。
【0185】
更に、丸め処理が行われてR、G、Bデータが生成される。詳細には、画素DそれぞれのR、G、Bサブピクセルの階調値のそれぞれについて、値2を加算した後、下位2ビットを切り捨てる処理が行われる。これにより、R、G、Bデータ、R、G、Bデータが算出される。
【0186】
一方、図27は、(3+1)画素圧縮で圧縮された圧縮データの展開処理を示す図である。図27は、画素A、Bの画像データの間の相関性が高く、且つ、画素C、Dの画像データの間の相関性が高い場合における(3+1)画素圧縮で生成された圧縮データの展開について記述している。他の場合も同様にして(3+1)画素圧縮で生成された圧縮データが展開可能であることは、当業者には容易に理解されよう。
【0187】
(3+1)画素圧縮で圧縮された圧縮データの展開処理では、画素A、B、CそれぞれのRサブピクセルの階調値がR代表値に一致し、画素A、B、CそれぞれのGサブピクセルの階調値がG代表値に一致し、画素A、B、CそれぞれのBサブピクセルの階調値がB代表値に一致するとして展開データが生成される。
【0188】
一方、画素Dについては、上述の(1×4)圧縮データの展開処理と同様の処理が行われる。画素Dの画像データに関する展開処理では、まず、R、G、Bデータのそれぞれについて、2ビットのビット繰上げ処理が行われる。更に、誤差データαの減算が行われ、これにより、画素C、DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値が復元される。
【0189】
以上で、画素DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の復元が完了する。画素DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値は、8ビットの値として復元される。
【0190】
以上で画素A〜DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の復元が完了する。図28の右欄の画素A〜Dの画像データと、図27の左欄の画素A〜Dの画像データとを比較すれば、上記の展開処理により、概ね、画素A〜Dの元の画像データが復元されていることが理解されよう。
【0191】
2−6.(4×1)画素圧縮
図29は、(4×1)圧縮データのフォーマットを示す概念図である。上述のように、(4×1)画素圧縮は、対象ブロックの4画素の画像データの間に高い相関性がある場合に使用される圧縮処理である。
【0192】
図29に示されているように、本実施形態では、(4×1)圧縮データが、圧縮種類認識ビットと、下記の7つのデータ:Ymin、Ydist0〜Ydist2、アドレスデータ、Cb’、Cr’とを備えている。
【0193】
圧縮種類認識ビットとは、圧縮に使われた圧縮処理の種類を示すデータであり、本実施形態では、4ビットが圧縮種類認識ビットに割り当てられる。
【0194】
Ymin、Ydist0〜Ydist2、アドレスデータ、Cb’、Cr’は、対象ブロックの4画素の画像データを、RGBデータからYUVデータに変換し、更に、YUVデータについて圧縮処理を行うことによって得られるデータである。ここで、Ymin、Ydist0〜Ydist2は、対象ブロックの4画素のYUVデータのうち、輝度データから得られるデータであり、Cb’、Cr’は、色差データから得られるデータである。Ymin、Ydist0〜Ydist2及びCb’、Cr’が、対象ブロックの4画素の画像データの代表値である。図29に示されているように、データYminに10ビット、Ydist0〜Ydist2のそれぞれに4ビット、アドレスデータに2ビット、Cb’、Cr’のそれぞれに10ビットが割り当てられる。
【0195】
以下、図30を参照しながら、(4×1)画素圧縮について説明する。まず、画素A〜Dのそれぞれについて、下記のマトリックス演算により、輝度データYと色差データCr、Cbが算出される:
【数1】

ここで、Yは、画素kの輝度データであり、Cr、Cbは、画素kの色差データである。また、上述の通り、R、G、Bは、それぞれ、画素kのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値である。
【0196】
更に、画素A〜Dの輝度データY、色差データCr、Cbから、Ymin、Ydist0〜Ydist2、アドレスデータ、Cb’、Cr’が作成される。
【0197】
Yminは、輝度データY〜Yのうちの最小のもの(最小輝度データ)として定義される。また、Ydist0〜Ydist2は、残りの輝度データと最小輝度データYminの差分に2ビットの切捨て処理を行うことによって生成される。アドレスデータは、画素A〜Dのいずれの輝度データが最小であるかを示すデータとして生成される。図30の例では、Ymin、Ydist0〜Ydist2は、下記式によって算出される:
Ymin=Y=4,
Ydist0=(Y−Ymin)>>2=(48−4)>>2=11,
Ydist1=(Y−Ymin)>>2=(28−4)>>2=6,
Ydist2=(Y−Ymin)>>2=(16−4)>>2=3,
ここで、「>>2」は、2ビットの切捨て処理を示す演算子である。アドレスデータには、輝度データYが最小である旨が記載される。
【0198】
更に、Cr’が、Cr〜Crの和に1ビットの切捨て処理を行うことによって生成され、同様に、Cb’が、Cb〜Cbの和に1ビットの切捨て処理を行うことによって生成される。図30の例では、Cr’、Cb’が下記の式によって算出される:
Cr’=(Cr+Cr+Cr+Cr)>>1
=(2+1−1+1)>>1=1,
Cb’=(Cb+Cb+Cb+Cb)>>1
=(−2−1+1−1)>>1=−1,
ここで、「>>1」は、1ビットの切捨て処理を示す演算子である。以上で、(4×1)画素圧縮データの生成が完了する。
【0199】
一方、図31は、(4×1)圧縮データを展開して(4×1)展開データを生成する方式を示す図である。(4×1)圧縮データの展開では、まず、Ymin、Ydist0〜Ydist2から、画素A〜Dそれぞれの輝度データが復元される。以下では、復元された画素A〜Dの輝度データをY’〜Y’と記載する。より具体的には、アドレスデータによって最小であると示されている画素の輝度データとして、最小輝度データYminの値が使用される。更に、Ydist0〜Ydist2に2ビットの繰上げ処理を行った後、最小輝度データYminに加算することにより、他の画素の輝度データが復元される。本実施形態では、下記式によって輝度データY’〜Y’が復元される:
’=Ydist0×4+Ymin=44+4=48,
’=Ydist1×4+Ymin=24+4=28,
’=Ydist2×4+Ymin=12+4=16,
’=Ymin=4.
【0200】
更に、輝度データY’〜Y’と色差データCr’、Cb’から、下記のマトリック
ス演算により、画素A〜DのR、G、Bサブピクセルの階調値が復元される:
【数2】

ここで、「>>2」は、2ビットを切り捨てる処理を示す演算子である。上記の式から理解されるように、画素A〜DのR、G、Bサブピクセルの階調値の復元では、色差データCr’、Cb’が共通に使用される。
【0201】
以上で画素A〜DのRサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルの階調値の復元が完了する。図31の右欄の画素A〜Dの(4×1)展開データの値と、図30の左欄の画素A〜Dの元の画像データの値とを比較すれば、上記の展開処理により、概ね、画素A〜Dの元の画像データが復元されていることが理解されよう。
【0202】
2−7.誤差データαの算出
以下では、(1×4)画素圧縮、(2+1×2)画素圧縮、(2×2)画素圧縮、(3×1)画素圧縮で使用される誤差データαの算出について説明する。
【0203】
(1×4)画素圧縮、(2+1×2)画素圧縮、(3×1)画素圧縮において行われる、各画素のそれぞれについて行われるビットプレーン減少処理に使用される誤差データαは、図32に示されている基本マトリックスと、各画素の座標から算出される。ここで基本マトリックスとは、画素のx座標の下位2ビットx1、x0及びy座標の下位2ビットy1、y0と、誤差データαの基本値Qとの関係が記述されているマトリックスでのことであり、また、基本値Qとは、誤差データαの算出の種(seed)として使用される値のことである。
【0204】
詳細には、まず、対象の画素のx座標の下位2ビットx1、x0及びy座標の下位2ビットy1、y0に基づいて当該基本マトリックスの行列要素のうちから基本値Qが抽出される。例えば、ビットプレーン減少処理の対象が画素Aであり、当該画素Aの座標の下位2ビットが「00」である場合、基本値Qとして「15」が抽出される。
【0205】
更に、ビットプレーン減少処理において引き続いて行われるビット切捨て処理のビット数に応じて、基本値Qに下記の演算が行われ、これにより、誤差データαが算出される:
α=Q×2, (ビット切捨て処理のビット数が5)
α=Q, (ビット切捨て処理のビット数が4)
α=Q/2. (ビット切捨て処理のビット数が3)
α=Q/4. (ビット切捨て処理のビット数が2)
【0206】
一方、(2+1×2)画素圧縮、及び(2×2)画素圧縮における、相関性が高い2画素の画像データの代表値の算出処理に使用される誤差データαは、図29に示されている基本マトリックスと、対象の当該2画素のx座標、y座標の下位2ビット目x1、y1とから算出される。詳細には、まず、対象ブロックの含まれる対象の2画素の組み合わせに応じて、対象ブロックのいずれかの画素が、基本値Qの抽出に使用される画素として決定される。以下では、基本値Qの抽出に使用される画素をQ抽出画素と記載する。対象の2画素の組み合わせと、Q抽出画素の関係は下記の通りである:
・対象の2画素が画素A、Bの場合:Q抽出画素は画素A
・対象の2画素が画素A、Cの場合:Q抽出画素は画素A
・対象の2画素が画素A、Dの場合:Q抽出画素は画素A
・対象の2画素が画素B、Cの場合:Q抽出画素は画素B
・対象の2画素が画素B、Dの場合:Q抽出画素は画素B
・対象の2画素が画素C、Dの場合:Q抽出画素は画素B
【0207】
更に、対象の2画素のx座標、y座標の下位2ビット目x1、y1に応じて当該基本マトリックスから、Q抽出画素に対応する基本値Qが抽出される。例えば、対象の2画素が画素A、Bである場合、Q抽出画素は、画素Aである。この場合、基本マトリックスにおいてQ抽出画素である画素Aに対応付けられた4つの基本値Qのうちから、x1、y1に応じて、最終的に使用される基本値Qが下記のように決定される。
Q=15, (x1=y1=「0」)
Q=01, (x1=「1」,y1=「0」)
Q=07, (x1=「0」,y1=「1」)
Q=13. (x1=y1=「1」)
【0208】
更に、代表値の算出処理において引き続いて行われるビット切捨て処理のビット数に応じて、基本値Qに下記の演算が行われ、これにより、相関性が高い2画素の画像データの代表値の算出処理に使用される誤差データαが算出される:
α=Q/2, (ビット切捨て処理のビット数が3)
α=Q/4, (ビット切捨て処理のビット数が2)
α=Q/8. (ビット切捨て処理のビット数が1)
【0209】
例えば、対象の2画素が画素A、Bであり、x1=y1=「1」であり、ビット切捨て処理のビット数が3である場合には、下記の式によって誤差データαが決定される:
Q=13,
α=13/2=6.
【0210】
なお、誤差データαの算出方法は、上記には限定されない。例えば、基本マトリックスとしては、ベイヤーマトリックスである他のマトリックスが使用可能である。
【0211】
以上には、本発明の様々な実施形態が記載されているが、本発明は、上記の実施形態に限定して解釈してはならない。例えば、上述の実施形態では液晶表示パネルを備えた液晶表示装置が提示されているが、本発明が、液晶表示パネル以外にも、データ線(信号線)を高速に充電することが求められる表示パネルを駆動する表示装置にも適用可能であることは当業者には明らかである。
【0212】
また、上述の実施形態では対象ブロックが1行4列の画素として定義されているが、対象ブロックは、任意の配置の4画素として定義されてもよい。例えば、図33に図示されているように、対象ブロックが2行2列の画素として定義されてもよい。この場合でも、画素A、B、C、Dを図33のように定義すれば、上述と同じ処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0213】
1、1A:液晶表示装置
2:液晶表示パネル
3:映像処理回路
4:ドライバ
5:ゲート線駆動回路
6:画像データ
6a:現フレームデータ
6b:前フレームデータ
7:圧縮データ
8:表示データ
11、11A:メモリ
12、12A:タイミング制御回路
13、13A、13B:オーバードライブ生成演算回路
14:データ送信回路
15、15B:展開回路
16:表示ラッチ部
17:データ線駆動回路
21、22、26、27:圧縮回路
23、24、28、29:展開回路
25:オーバードライブ演算回路
22a:圧縮データ
23a:前フレーム圧縮展開データ
24a:現フレーム圧縮展開データ
25a:補正なしオーバードライブ処理後データ
25b:補正ありオーバードライブ処理後データ
25c:ドライブ方向データ
26a:補正なし圧縮データ
27a:補正あり圧縮データ
28a:補正なし圧縮展開データ
29a:補正あり圧縮展開データ
30:比較回路
31:選択回路
32:LUT演算部
32a:LUT
33:オーバードライブ方向検出部
34:補正部
42:圧縮回路
42a:可逆圧縮部
42b:(1×4)画素圧縮部
42c:(2+1×2)画素圧縮部
42d:(2×2)画素圧縮部
42e:(3+1)画素圧縮部
42f:(4×1)画素圧縮部
42g:形状認識部
42h:圧縮データ選択部
43、44:展開回路
43a:可逆展開部
43b:(1×4)画素展開部
43c:(2+1×2)画素展開部
43d:(2×2)画素展開部
43e:(3+1)画素展開部
43f:(4×1)画素展開部
43g:形状認識部
43h:展開データ選択部
45:オーバードライブ演算回路
45a:補正なしオーバードライブ処理後データ
45b:補正ありオーバードライブ処理後データ
45c:ドライブ方向データ
46a、47a:可逆圧縮部
46b、47b:(1×4)画素圧縮部
46c、47c:(2+1×2)画素圧縮部
46d、47d:(2×2)画素圧縮部
46e、47e:(3+1)画素圧縮部
46f、47f:(4×1)画素圧縮部
48a、49a:可逆展開部
48b、49b:(1×4)画素展開部
48c、49c:(2+1×2)画素展開部
48d、49d:(2×2)画素展開部
48e、49e:(3+1)画素展開部
48f、49f:(4×1)画素展開部
50:比較回路
51:選択回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
ドライバと、
画像データから生成された転送圧縮データを前記ドライバに供給する表示装置制御回路
とを具備し、
前記表示装置制御回路は、
現フレームの画像データに対する圧縮処理により得られる現フレーム圧縮データに対して展開処理を行って現フレーム圧縮展開データを生成する第1展開回路と、
前フレームの画像データに対する圧縮処理により得られる前フレーム圧縮データに対して展開処理を行って前フレーム圧縮展開データを生成する第2展開回路と、
前記現フレーム圧縮展開データと前記前フレーム圧縮展開データとに基づいてオーバードライブ処理を行ってオーバードライブ処理後データを生成するオーバードライブ処理部と、
前記現フレーム圧縮展開データと前記前フレーム圧縮展開データとからオーバードライブ駆動の適正な方向を検出するオーバードライブ方向検出回路と、
検出された前記適正な方向に応じて前記オーバードライブ処理後データを補正して補正ありオーバードライブ処理後データを生成する補正部と、
前記補正ありオーバードライブ処理後データに対して圧縮処理を行って補正あり圧縮データを生成する第1圧縮回路と、
前記補正ありオーバードライブ処理後データを前記転送圧縮データとして前記ドライバに送信する動作に対応した送信部
とを具備し、
前記ドライバは、前記転送圧縮データを展開して得られる表示データに応答して表示パネルを駆動する
表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記表示装置制御回路が、更に、
前記オーバードライブ処理部によって生成された前記オーバードライブ処理後データに対して圧縮処理を行って補正なし圧縮データを生成する第2圧縮回路と、
前記現フレーム圧縮展開データと前記オーバードライブ処理後データの比較結果に応じて、前記補正あり圧縮データと前記補正なし圧縮データとを含む複数の選択データのうちから前記転送圧縮データを選択する選択部
とを具備する
表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記オーバードライブ処理後データの階調値が対応する前記現フレーム圧縮展開データの階調値よりも大きい場合に前記補正なし圧縮データが前記転送圧縮データとして選択され、
前記オーバードライブ処理後データの階調値が対応する前記現フレーム圧縮展開データの階調値よりも小さい場合に前記補正あり圧縮データが前記転送圧縮データとして選択される
表示装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の表示装置であって、
前記選択部は、前記現フレーム圧縮展開データと前記オーバードライブ処理後データの比較結果に応じて、前記現フレーム圧縮データと前記補正あり圧縮データと前記補正なし圧縮データとのうちから前記転送圧縮データを選択する
表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記圧縮処理及び前記展開処理は、複数の画素で構成されるブロック毎に行われ、
前記選択部は、あるブロックの全画素の全サブピクセルの前記オーバードライブ処理後データの階調値が対応する前記現フレーム圧縮展開データの階調値と同じ場合、前記ブロックに対応する前記現フレーム圧縮データを前記ブロックに対応する前記転送圧縮データとして選択する
表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置であって、
前記補正部は、前記現フレーム圧縮展開データの階調値が前記前フレーム圧縮展開データの階調値よりも大きい場合、前記補正ありオーバードライブ処理後データの階調値が前記現フレーム圧縮展開データの階調値と前記圧縮処理及び前記展開処理で生じ得る最大の圧縮誤差の絶対値の和以上であるように前記補正ありオーバードライブ処理後データの階調値を算出し、
前記現フレーム圧縮展開データの階調値が前記前フレーム圧縮展開データの階調値よりも小さい場合、前記補正ありオーバードライブ処理後データの階調値が前記現フレーム圧縮展開データの階調値から前記最大の圧縮誤差の絶対値を減じた差以下であるように前記補正ありオーバードライブ処理後データの階調値を算出する
表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置であって、
前記表示装置制御回路は、更に、
前記現フレームの画像データに対して圧縮処理を行って前記現フレーム圧縮データを生成する第3圧縮回路と、
前記現フレーム圧縮データを前記第3圧縮回路から受け取って保存するメモリ
とを備え、
前記メモリから読み出された圧縮データが前記前フレーム圧縮データとして前記第2展開回路に供給される
表示装置。
【請求項8】
画像データから生成された転送圧縮データを、前記転送圧縮データを展開して得られる表示データに応答して表示パネルを駆動するドライバに供給する表示装置制御回路であって、
現フレームの画像データに対応する圧縮データに対して展開処理を行って現フレーム圧縮展開データを生成する第1展開回路と、
前フレームの画像データに対応する圧縮データに対して展開処理を行って前フレーム圧縮展開データを生成する第2展開回路と、
前記現フレーム圧縮展開データと前記前フレーム圧縮展開データとに基づいてオーバードライブ処理を行ってオーバードライブ処理後データを生成するオーバードライブ処理部と、
前記現フレーム圧縮展開データと前記前フレーム圧縮展開データとからオーバードライブ駆動の適正な方向を検出するオーバードライブ方向検出回路と、
検出された前記適正な方向に応じて前記オーバードライブ処理後データを補正して補正ありオーバードライブ処理後データを生成する補正部と、
前記補正ありオーバードライブ処理後データを圧縮して補正あり圧縮データを生成する第1圧縮回路と、
前記補正ありオーバードライブ処理後データを前記転送圧縮データとして前記ドライバに送信する動作に対応した送信部
とを具備する
表示装置制御回路。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置制御回路であって、
更に、
前記オーバードライブ処理部によって生成された前記オーバードライブ処理後データに対して圧縮処理を行って補正なし圧縮データを生成する第2圧縮回路と、
前記現フレーム圧縮展開データと前記オーバードライブ処理後データの比較結果に応じて、前記補正あり圧縮データと前記補正なし圧縮データとを含む複数の選択データのうちから前記転送圧縮データを選択する選択部
とを具備する
表示装置制御回路。
【請求項10】
請求項8に記載の表示装置制御回路であって、
前記選択部は、前記現フレーム圧縮展開データと前記オーバードライブ処理後データの比較結果に応じて、前記現フレーム圧縮データと前記補正あり圧縮データと前記補正なし圧縮データとのうちから前記転送圧縮データを選択する
表示装置制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図15G】
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【図15H】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−11769(P2013−11769A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144837(P2011−144837)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】