説明

表示装置、表示制御方法、表示制御プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】視差バリア等の映像分離手段を用いて、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、表示部60に表示される視差映像を複数の視線方向に分離して表示させる視差バリアと、視差バリアによって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御し、液晶シャッターメガネ70を介した立体映像の観賞を可能にする表示制御部10と、を備える。これにより、表示装置1は、左右の目の視認可否を切り替える液晶シャッターメガネ70を介して観賞者に立体映像を観賞させるときに、視差バリアを用いて、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の目の視認可否を切り替える視認切替機構を介して観賞者に立体映像を観賞させる表示装置において、視差バリア等の映像分離手段を用いて、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることが可能な表示装置、表示制御方法、表示制御プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3D映像の観賞方法等の研究が盛んになっている。一般的に、観賞者は、3D映像を観賞するときには、液晶シャッターメガネを装着して、3D映像専用の右目用映像および左目用映像をそれぞれ右目および左目で観賞する。これは、左右の目の視差を利用することで立体視が可能になるという原理を利用したものであり、このような従来の3D映像表示技術の一例として、特許文献1には、液晶シャッターメガネを介して立体視を行うことを可能とする立体視用画像表示装置が開示されている。
【0003】
このような3D映像表示技術は、3Dモバイルハンドセット、3Dゲーム、3Dコンピュータモニタ、3Dラップトップディスプレイ、3Dワークステーション、および3Dプロフェッショナル画像処理(例えば、医療、設計、または建築等)等に適用することができる。
【0004】
また、別の技術として、視差バリアを介して、複数の視聴者が同一のディスプレイから異なる動画像を観賞することが可能な表示装置も開発されている。その一例として、特許文献2には、視差バリアを用いて、異なる視線方向に向けて個別の映像を表示することが可能なマルチビュー表示装置が開示されている。
【0005】
このようなマルチビュー表示装置は、自動車の運転席・助手席に対して異なる映像を表示するカーナビゲーション、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)、PC、テレビ受信機等の身近な機器に限らず、計測機器、医療機器、産業機器等に適用することができる。
【0006】
このように、近年の映像表示技術の発展により、様々な映像観賞態様が観賞者に提供されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62 −61493号公報(1987年3月18日公開)
【特許文献2】特開2007−41490号公報(2007年2月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2の技術には次のような問題がある。
【0009】
すなわち、観賞者によっては、左右の目の視差を利用した3D映像を観賞することで、いわゆる3D酔いを引き起こすことがある。あるいは、片方の目に障害を持つ人、3D観賞用メガネを所有しない人、高価な3D用メガネを買うことができない人、3D観賞用メガネをかけるのが煩わしいと感じる人なども少なからず存在する。このような人は、自ずと、3D映像ではなく2D映像の観賞を希望するようになる。すると、複数の観賞者が存
在する場合、2D映像を観賞したい人と3D映像を観賞したい人とが混在するケースが出てくる。
【0010】
このとき、従来は、左右の目の視差を利用した3D映像用の表示装置であって、かつ視差バリアを備えた表示装置は存在しなかったため、特許文献1、2の技術を用いたとしても、2D映像および3D映像の何れか一方しか表示装置に表示することができなかった。このため、従来の表示装置では、異なる場所に位置する複数の観賞者それぞれに対して、視差バリアを介して、2D映像および3D映像の両方を同時に観賞させることができなかった。したがって、2D映像を観賞したい人と3D映像を観賞したい人とが混在するケースにおいて、すべての観賞者の要求を同時に満足させることができないという問題があった。
【0011】
本願発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、左右の目の視認可否を切り替える視認切替機構を介して観賞者に立体映像を観賞させる表示装置において、映像分離手段を用いて、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることが可能な表示装置、表示制御方法、表示制御プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る表示装置は、上記の課題を解決するために、観賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示し、左右の目の視認可否を切り替える視認切替機構を介して観賞者に立体映像を観賞させる表示装置であって、表示部に表示される視差映像を複数の視線方向に分離して表示させる視線方向分離部と、上記視線方向分離部によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御し、上記視認切替機構を介した立体映像の観賞を可能にする表示制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0013】
本発明に係る表示制御方法は、上記の課題を解決するために、観賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示し、左右の目の視認可否を切り替える視認切替機構を介して観賞者に立体映像を観賞させる表示制御方法であって、表示装置に設けられた表示部に表示される視差映像を、当該表示装置に設けられた視線方向分離部により複数の視線方向に分離して表示し、上記視線方向分離部によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御することで、上記視認切替機構を介した立体映像の観賞を可能にすることを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、視線方向分離部は、表示部に表示される視差映像を、複数の視線方向に分離して表示させる。このとき、表示制御手段は、上記視線方向分離部によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御する。したがって、表示制御手段は、観賞者に対して、視認切替機構を介することなく視差映像を観賞させる観賞態様に加え、視認切替機構を介して立体映像を観賞させる観賞態様をも可能にする。
【0015】
このように、本発明に係る表示装置(表示制御方法)は、従来の課題、すなわち、左右の目の視差を利用した立体映像を表示することが可能な表示装置であって、かつ視差バリア等の視線方向分離部を備えた表示装置が存在しなかったという課題を解決することができる。加えて、複数の観賞者が存在し、視差映像(2D映像)を観賞したい人と立体映像(3D映像)を観賞したい人とが混在するような場合に、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることができるため、上記複数の観賞者の要求を同時に満足させることもできる。
【0016】
なお、本発明に係る表示装置(表示制御方法)では、視線方向分離部は、表示部に表示
される視差映像を、複数の視線方向に分離して表示させるため、観賞者が3人以上であっても、各々の観賞者が希望する観賞態様を同時に実現することができ、この点においてもさらに利便性の高い表示装置を実現している。
【0017】
また、本発明に係る表示装置では、上記表示部は、複数の画素を有しており、上記表示制御手段は、上記複数の視線方向のうち、同一の視線方向に対応付けられた画素群ごとに、その画素群に表示される視差映像を表示制御する構成であってよい。
【0018】
上記構成によれば、同一の視線方向に対応付けられた画素群ごとに視差映像が表示制御される。したがって、画素群ごとの表示制御によって、同一の視線方向に対して同一の表示態様(3D映像/2D映像)に係る映像が表示されるため、観賞者が希望しない観賞態様を確実に排除することができる。例えば、観賞者が2D映像の観賞を希望しているときには、同一の視線方向に対応付けられた画素群には2D映像のみが表示され、その視線方向には3D映像は表示されない。したがって、その視線方向に位置する観賞者に3D酔いを起こさせることもなく、観賞者に安心感を与えるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る表示装置では、上記表示制御手段は、上記画素群のうち、第1の視線方向に対応付けられた画素群では、視差映像である右目用映像および左目用映像を交互に表示させ、上記第1の視線方向とは異なる第2の視線方向に対応付けられた画素群では、上記右目用映像または上記左目用映像を表示させる構成であってよい。
【0020】
一般に、観賞者の左右の目の視差を利用した視差映像である右目用映像および左目用映像を交互に表示することにより3D映像表示が実現する。また、その右目用映像および左目用映像の何れかのみを表示すると、従来の2D映像が実現する。
【0021】
したがって、表示制御手段が、第1の視線方向に対応付けられた画素群では、視差映像である右目用映像および左目用映像を交互に表示させることで立体映像表示を実現し、上記第1の視線方向とは異なる第2の視線方向に対応付けられた画素群では、右目用映像および左目用映像の何れかのみを表示させることで2D映像表示を実現することができる。
【0022】
それゆえ、上記構成とすることにより、視差映像(2D映像)を観賞したい人と立体映像(3D映像)を観賞したい人とが混在するような場合に、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を確実に観賞させることができる。
【0023】
また、本発明に係る表示装置では、上記表示制御手段は、上記画素群のうち、上記右目用映像および上記左目用映像が交互に表示される画素群である3次元画素群、及び上記右目用映像または上記左目用映像が表示される画素群である2次元画素群をそれぞれ決定する画素群決定手段と、上記右目用映像および上記左目用映像を上記3次元画素群に表示させ、上記右目用映像または上記左目用映像を上記2次元画素群に表示させる画素群表示制御手段と、を備える構成であってよい。
【0024】
上記構成によれば、画素群決定手段は、立体映像が表示される3次元画素群、及び2D映像が表示される2次元画素群を決定する。これは、例えば第1の視線方向へは3D映像を表示させ、第1の視線方向とは異なる第2の視線方向へは2D映像を表示させるという設定にしたがい、画素群決定手段が、3次元画素群および2次元画素群を決定する。
【0025】
そして、画素群表示制御手段は、上記右目用映像および上記左目用映像を上記3次元画素群に表示させ、上記右目用映像または上記左目用映像を上記2次元画素群に表示させることにより、複数の観賞者はそれぞれ、3D映像および2D映像を観賞することが可能となる。
【0026】
このようにして、上記表示制御手段は、上記右目用映像および上記左目用映像からなる3D映像を観賞したい人と上記右目用映像または上記左目用映像からなる2D映像を観賞したい人とが混在するような場合に、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることができ、上記複数の観賞者の要求を同時に満足させることができるという効果を奏する。
【0027】
また、本発明に係る表示装置では、上記3次元画素群の輝度を、上記視線方向分離部を用いることなく上記右目用映像および上記左目用映像を表示するときの当該3次元画素群の輝度よりも高くする第1輝度制御手段を備える構成であってよい。
【0028】
本発明に係る表示装置では、表示部の複数の画素が3次元画素群と2次元画素群とに分かれ、かつ、3次元画素群および2次元画素群では、それぞれ表示制御された個別の映像が表示されることから、各画素群における光量は、通常の表示状態(視線方向分離部を用いない表示状態)に比べて低下する。しかも、3D映像の観賞者は、視認切替機構を介して3D映像を観賞するため、視認切替機構の構造によっては光透過率が低くなり、3D映像の観賞者が感じる光量はさらに低下する。このことは、視認切替機構によって分離される視線方向が増えるほど顕著になる。
【0029】
しかしながら、本発明に係る表示装置では、第1輝度制御手段が、上記3次元画素群の輝度を、上記視線方向分離部を用いることなく上記右目用映像および上記左目用映像を表示するときの当該3次元画素群の輝度よりも高くする。これにより、3D映像の観賞者が感じる光量を高めることができ、観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0030】
また、本発明に係る表示装置では、上記第1輝度制御手段は、自装置のバックライトの輝度を高くする構成であってよい。
【0031】
上記構成によれば、第1輝度制御手段は、自装置のバックライトの輝度を高くする。したがって、3次元画素群の輝度を高くすることができるため、3D映像の観賞者が感じる光量を高めることができ、観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0032】
また、本発明に係る表示装置では、上記2次元画素群における光の透過率を、上記視線方向分離部を用いることなく上記右目用映像または上記左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させる光透過率制御手段を備える構成であってよい。
【0033】
上述したように第1輝度制御手段が3次元画素群の輝度を高くすることで、2次元画素群の光量が増加するケースも出てくる。たとえば、第1輝度制御手段がバックライトの輝度を上げたとき、2次元画素群においても同じバックライトを用いることから、2D映像の観賞者にとっては光量が増加しすぎることになる。
【0034】
しかしながら、本発明に係る表示装置では、光透過率制御手段が、上記2次元画素群における光の透過率を、上記視線方向分離部を用いることなく上記右目用映像または上記左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させる。したがって、2次元画素群の光量を低くすることができるため、2D映像の観賞者が感じる光量を下げることができ、観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0035】
また、本発明に係る表示装置では、上記画素群表示制御手段は、上記2次元画素群に表示される上記右目用映像または上記左目用映像に、当該右目用映像または当該左目用映像よりも輝度の低い低輝度映像を挿入して上記2次元画素群に表示させる構成であってよい。
【0036】
上記構成とすることにより、上記右目用映像または上記左目用映像に上記低輝度映像を挿入した映像が上記2次元画素群に表示されるため、2次元画素群の輝度を平均的に低くすることができる。したがって、2D映像の観賞者が感じる光量を低下させることができ、当該観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0037】
なお、上記では「低輝度映像」と説明しているが、映像そのものである必要はなく、上記右目用映像または上記左目用映像よりも輝度の低い状態を作り出すことができるのであれば、上記構成はいかなる態様で実現されてもよい。
【0038】
また、本発明に係る表示装置では、上記第1輝度制御手段は、上記3次元画素群の輝度を高くする構成であってよい。
【0039】
上記構成により、上記第1輝度制御手段は上記3次元画素群自体の輝度を高くするため、3D映像の観賞者が感じる光量を高めることができ、観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0040】
また、本発明に係る表示装置では、上記2次元画素群の輝度を、上記視線方向分離部を用いることなく上記右目用映像または上記左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させる第2輝度制御手段を備える構成であってよい。
【0041】
上述したように第1輝度制御手段が3次元画素群の輝度を高くすることで、2次元画素群の光量が増加し、2D映像の観賞者にとっては光量が増加しすぎること場合も出てくる。
【0042】
そこで、第2輝度制御手段が、上記2次元画素群の輝度を、上記視線方向分離部を用いることなく上記右目用映像または上記左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させることにより、2次元画素群の輝度をすることができる。これにより、2D映像の観賞者が感じる光量を低下させることができ、当該観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0043】
また、本発明に係る表示装置では、上記視認切替機構が、右目用液晶シャッターおよび左目用液晶シャッターを有する液晶シャッターメガネであるときに、上記画素群表示制御手段が上記3次元画素群に上記右目用映像を表示させる表示タイミングと、上記右目用液晶シャッターを開、上記左目用液晶シャッターを閉とするシャッター開閉タイミングとを同期させ、かつ、上記画素群表示制御手段が上記3次元画素群に上記左目用映像を表示させる表示タイミングと、上記右目用液晶シャッターを閉、上記左目用液晶シャッターを開とするシャッター開閉タイミングとを同期させる同期制御手段を備える構成であってよい。
【0044】
上記構成によれば、同期制御手段は、上記画素群表示制御手段が上記3次元画素群に上記右目用映像または上記左目用映像を表示させる表示タイミングと、液晶シャッターメガネのシャッター開閉タイミングを好適に同期させることが可能である。
【0045】
したがって、観賞者は、液晶シャッターメガネを介して、上記3次元画素群に表示される3D映像を確実に観賞することができる。
【0046】
また、本発明に係る表示装置では、上記画素群決定手段は、操作部を介した上記観賞者による入力操作に基づき、上記3次元画素群および上記2次元画素群を決定する構成であってよい。
【0047】
複数の観賞者が存在し、視差映像(2D映像)を観賞したい人と立体映像(3D映像)を観賞したい人とが混在するような場合に、視差映像および立体映像が表示される視線方向を変更・確認したい場合もありえる。
【0048】
このようなとき、上記画素群決定手段は、操作部を介した上記観賞者による入力操作に基づき、上記3次元画素群および上記2次元画素群を決定する。したがって、立体映像(3D映像)を観賞したい人に対しては視線方向を表示装置の右側へ、視差映像(2D映像)を観賞したい人に対しては視線方向を表示装置の左側へ変更するといった実施態様を実現することができ、より利便性の高い表示装置を実現することができる。
【0049】
また、本発明に係る表示装置では、上記視線方向分離部は、上記表示部に対して着脱可能に設けられている構成であってよい。
【0050】
上記視線方向分離部が上記表示部に対して着脱可能に設けられていることにより、観賞者は、2D映像のみを観賞したいとき、または3D映像のみを観賞したいときに上記視線方向分離部を取り外せばよく、迅速かつ確実に観賞者の希望に沿う映像表示態様を実現することができる。
【0051】
なお、上記表示制御方法は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記処理として動作させることにより上記表示制御方法をコンピュータにて実現させる表示制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0052】
本発明に係る表示装置は、以上のように、表示部に表示される視差映像を複数の視線方向に分離して表示させる視線方向分離部と、上記視線方向分離部によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御し、上記視認切替機構を介した立体映像の観賞を可能にする表示制御手段と、を備える構成である。
【0053】
また、本発明に係る表示制御方法は、以上のように、表示装置に設けられた表示部に表示される視差映像を、当該表示装置に設けられた視線方向分離部により複数の視線方向に分離して表示し、上記視線方向分離部によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御することで、上記視認切替機構を介した立体映像の観賞を可能にする構成である。
【0054】
それゆえ、視差バリア等の映像分離手段を用いて、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることが可能な表示装置、表示制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施の形態に係る表示装置の内部構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る他の表示装置の内部構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る表示装置を含む2D/3D映像観賞システムの概略構成図である。
【図4】本実施の形態に係る表示装置の表示部の断面図を示す。
【図5】本実施の形態に係る表示装置が、液晶シャッターメガネを装着する3D映像観賞者には3D映像を、2D映像観賞者には2D映像を観賞させる動作を示す図であり、2D映像に対して特段の処理を行わない動作を説明するための図である。
【図6】本実施の形態に係る表示装置が、液晶シャッターメガネを装着する3D映像観賞者には3D映像を、2D映像観賞者には2D映像を観賞させる動作を示す図であり、2D映像に対して画素が黒となる状況(映像)を挿入する動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る表示装置1について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。また、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0057】
〔2D/3D映像観賞システムの概略構成〕
表示装置1の説明に入る前に、表示装置1を含む2D/3D映像観賞システムを図3により説明する。図3は、表示装置1を含む2D/3D映像観賞システムの概略構成図である。
【0058】
本実施形態に係る2D/3D映像観賞システムは、記録再生装置90によって再生され、表示装置1において表示される視差映像を、液晶シャッターメガネ(視認切替機構)70を装着する観賞者には3次元映像(以降、「3D映像」または「立体映像」と称する場合もある。)を、裸眼の観賞者には2次元映像(以降、「2D映像」と称する場合もある。)を観賞させるものである。ここで、視差映像とは、観賞者の左右の目の視差を利用した映像であって、3D映像専用の右目用映像および左目用映像をいう。
【0059】
図示するように、本実施形態に係る2D/3D映像観賞システムは、おもに表示装置1と、液晶シャッターメガネ(視認切替機構)70と、操作部80と、記録再生装置90と、中継器95とを備える。
【0060】
表示装置1は、記録再生装置90によって再生される映像を表示するものであり、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、またはCRT(cathode-ray tube)ディスプレイなどである。表示装置1には、図示しない視差バリア(視線方向分離部)108が表示部に設けられているが、その詳細は図4により後述する。
【0061】
液晶シャッターメガネ70は、偏光板、液晶フィルタ、及び偏光板の三層構造を備え、液晶フィルタで2つの透過偏光光を切り替えることができるようになっている。より具体的には、液晶シャッターメガネ70は、光の通過及び遮断を制御するシャッター駆動信号により左右眼用のシャッターを開閉させ、そのシャッター駆動信号は、表示装置1から出力される所望の映像信号のフィールド周波数に同期がとれており、かつ信号幅も映像信号に対応したものとなっている。したがって、このシャッター駆動信号によりシャッターを開閉することにより、観賞者は、複数の映像信号のうち、選択された「1つの映像信号に対応した映像」だけをシャッター開状態で見ることができ、かつ、それ以外の映像はシャッター閉状態で見ることができない、所望の映像だけを観賞することができる。
【0062】
なお、同図では、液晶シャッターメガネ70は、中継器95を介して、表示装置1とケーブルを介して有線接続されている。しかしながら、液晶シャッターメガネ70は、中継器95、および/または、表示装置1と、無線接続されていてもよい。
【0063】
また、同図では、中継器95には2台の液晶シャッターメガネ70A・70Bが接続さ
れている。しかしながら、液晶シャッターメガネ70の台数は2台に限定されず、単数、または3台以外の複数であってよい。
【0064】
操作部80は、観賞者が表示装置1、及び記録再生装置90を動作させるための指示信号を入力するものであり、例えば、表示装置1を遠隔操作するリモコンや、表示装置1自体に設けられた操作ボタン、あるいは、表示装置1に接続された、マウスやキーボードなどで構成されてよい。操作部80を用いて観賞者により入力された指示信号は、図示しない入出力制御部を介して、表示装置1、および/または、記録再生装置90の各部に送られる。これにより、観賞者は、表示装置1、記録再生装置90を操作することができる。
【0065】
本実施の形態では、操作部80は、後述する視差バリア108によって3D映像および/または2D映像が表示される視線方向を決定、変更、確認等するためにも用いられる。すなわち、観賞者は、操作部80を介した入力操作により、自身が観賞したい映像の表示態様(2D/3D)、及び、その映像が表示される視線方向を表示装置1に入力することができる。
【0066】
なお、同図では、操作部80は1台のみ記載されている。しかしながら、表示装置1、記録再生装置90に対してそれぞれ別々に備えられていてよい。
【0067】
記録再生装置90は、BD(Blu-Ray(登録商標) Disc)あるいはDVD(Digital Versatile Disc)、HDD(Hard Disc Drive)等の情報記録媒体に記録された映像情報を再生するものであり、公知の記録再生装置であってよい。
【0068】
なお、同図では、記録再生装置90によって再生された映像信号が表示装置1に入力されるものとして説明している。しかしながら、記録再生装置90ではなく、IP(Internet Protocol)ネットワークを使ってリアルタイム放送や映画などのコンテンツを配信するサービスを利用して受信した映像データに対応する映像が表示装置1に表示されてもよい。その一例として、決められた放送スケジュールにしたがって番組をリアルタイムに配信する放送タイプのサービスであるリニアTV、または、受信側からの配信要求に応じて、該コンテンツ処理装置にユニキャストでコンテンツを配信するサービスであるVoD(Video on Demand)を利用して取得した映像データに対応する映像が表示装置1に表示されてもよい。
【0069】
なお、本実施形態では、表示装置1に表示される映像は、観賞者の左右の目の視差を利用した右目用映像および左目用映像からなる3D映像、及び2D映像(上記右目用映像または上記左目用映像)であるものとして説明するが、これらに限定されるものではない。
【0070】
中継器95は、表示装置1、液晶シャッターメガネ70、及び記録再生装置90を互いに接続するためのものである。ただし、液晶シャッターメガネ70および記録再生装置90を表示装置1に直接接続するとき、あるいは、表示装置1と液晶シャッターメガネ70とを無線接続にするときなどには、中継器95は特に必要ではない。
【0071】
〔視差バリアについて〕
次に、表示装置1の表示部に設けられる視差バリアについて図4を参照して説明する。図4は、表示装置1の表示部の断面図を示す。
【0072】
図示するように、表示装置1の表示部には、液晶パネル100と、バックライト101と、液晶パネルのバックライト側に設置された偏光板102と、液晶パネルの発光方向側の前面に配置された偏光板103と、TFT(Thin Film Transistor)基板104と、液晶層105と、カラーフィルタ基板106と、ガラス基板107と、視差バリア108と
、が設けられている。液晶パネル100は、TFT基板104とそれに対向して配置されるカラーフィルタ基板106の間に液晶層105を挟持した一対の基板と、その発光方向側の前面に配置された視差バリア108とガラス基板107とを、2枚の偏光板102・103の間に挟んだ構成となっており、バックライト101からやや離隔して配設される。また、液晶パネル100は、RGB色(三原色)で構成される画素を有する。
【0073】
液晶パネル100の各画素に表示される映像は、視差バリア108によって複数の視線方向ごとに分離して表示される。同図では、表示装置1が、自動車の運転席・助手席に対して異なる映像を表示するカーナビゲーションに使用される例が記載されており、液晶パネル100の各画素は、同図左側(助手席側)表示用と、同図右側(運転席側)表示用に分けられて表示制御されている。
【0074】
図示するように、左側(助手席側)表示用画素は、視差バリア108により右側(運転席側)への表示は遮断され、左側(助手席側)からは視認可能になっている。また一方で、右側(運転席側)表示用画素は、視差バリア108により左側(助手席側)への表示が遮断され、右側(運転席側)からは視認可能になっている。これにより、運転者と同乗者に異なった表示が提供される。つまり、同図の例では、運転者にはナビゲーションの地図情報を与え、同時に同乗者にはDVDの映画等を見せることができる。
【0075】
なお、視差バリア108は、上記液晶パネルの各画素の構成を変更すれば、3方向等、複数方向に異なった画像を表示する構成も可能である。また、視差バリア108は、パララックス方式またはレンティキュラ方式等の様々なタイプのものであってよい。さらに、視差バリア108は、液晶パネル100の各画素との位置合わせが可能であれば、表示装置1の表示部に対して着脱可能な構成で実現されてもよい。
【0076】
〔表示装置1の内部構成について〕
次に、液晶表示装置1の内部構成を図1により説明する。図1は、表示装置1の内部構成を説明するためのブロック図である。
【0077】
表示装置1は、液晶シャッターメガネ70を装着する観賞者には3D映像を、裸眼の観賞者には2D映像を観賞させるための映像を表示するものである。表示装置1は、少なくとも、表示装置1の各部を統括制御する制御部5と、外部の記録再生装置90またはIPネットワーク、テレビ用電波等から表示装置1で視差映像を表示するための信号(視差映像信号)を取得するコンテンツ受信部40と、後述する同期制御部30から受信した表示タイミング信号に基づいて、液晶シャッターメガネ70に対して液晶シャッターメガネの開閉を命令するシャッター駆動信号を出力する命令信号出力部50と、視差バリア108等を備えた表示部60と、を備える。
【0078】
なお、表示装置1には、有線または無線により、液晶シャッターメガネ70と操作部80とが通信可能に接続されているものとする。
【0079】
コンテンツ受信部40は、記録再生装置90によって再生された映像信号、あるいは、IPネットワークを使ってリアルタイム放送または映画などのコンテンツを配信するサービスを利用して受信した映像データ等に対応する映像信号を取得する。そして、コンテンツ受信部40は、その映像信号を制御部5に出力する。なお、本実施の形態においては、コンテンツ受信部40は、観賞者の左右の目の視差を利用した視差映像(右目用映像および左目用映像)を表示装置1で表示するための視差映像信号を取得するものとして説明する。
【0080】
制御部5は、表示装置1の各部を統括制御するものであり、表示制御部(表示制御手段
)10と、光量制御部20と、同期制御部(同期制御手段)30とを含む。
【0081】
表示制御部10は、コンテンツ受信部40から視差映像信号を取得する。そして、表示制御部10は、液晶シャッターメガネ70によって分離された各視線方向に向けて表示される、上記視差映像信号に基づいて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御することにより、液晶シャッターメガネ70を介した3D映像(立体映像)の観賞を可能にする。このとき、表示制御部10は、複数の視線方向のうち、同一の視線方向に対応付けられた画素群ごとに、その画素群に表示される視差映像を表示制御し、表示部60の複数の画素のうち、第1の視線方向に対応付けられた画素群では、視差映像である右目用映像および左目用映像を交互に表示させ、第1の視線方向とは異なる第2の視線方向に対応付けられた画素群では、上記右目用映像または上記左目用映像を表示させる。
【0082】
より具体的に説明すると、表示制御部10は、画素群決定部(画素群決定手段)11と、映像信号生成部(映像信号生成手段)12と、画素群表示制御部(画素群表示制御手段)13とを備える。
【0083】
画素群決定部11は、上記画素群のうち、右目用映像および左目用映像が交互に表示される画素群である3次元画素群、及び右目用映像または左目用映像が表示される画素群である2次元画素群をそれぞれ決定する。
【0084】
具体的には、第1の視線方向へは3D映像を表示させ、第1の視線方向とは異なる第2の視線方向へは2D映像を表示させる設定に基づき、画素群決定部11が、3次元画素群および2次元画素群を決定する。
【0085】
なお、画素群決定部11は、後述の操作部80を介した観賞者による入力操作を受け付けて、3次元画素群および2次元画素群を決定することもできる。例えば、3D映像を観賞したい人に対しては視線方向を表示装置の右側へ、視差映像(2D映像)を観賞したい人に対しては視線方向を表示装置の左側へ変更するといった入力操作に基づき、3次元画素群および2次元画素群を決定することもできる。観賞者による入力操作方法、操作画面などは、公知の技術を用いて決めてよいため、ここでの詳細説明は省略する。
【0086】
また、操作部80を介した観賞者の入力操作がなされないときなどには、表示部60の画素のうち、3次元画素群および2次元画素群に該当する画素が予め決められていてもよい。
【0087】
映像信号生成部12は、コンテンツ受信部40から取得する、または、画素群決定部11を介してコンテンツ受信部40から取得する視差映像信号に基づいて、画素群決定部11が決定した3次元画素群で視差映像を表示するための3次元映像信号と、画素群決定部11が決定した2次元画素群で視差映像を表示するための2次元映像信号とを生成する。
【0088】
具体的には、映像信号生成部12は、表示部60の有する画素数と3次元画素群および2次元画素群の画素数との割合、3次元画素群および2次元画素群の位置等に鑑み、表示装置1で視差映像を表示するための視差映像信号から、3次元画素群で視差映像を表示するための3次元映像信号、及び2次元画素群で視差映像を表示するための2次元映像信号を生成する。
【0089】
例えば、視差バリア108により2つの視線方向に等分離して映像を表示する場合、3次元画素群および2次元画素群で映像表示するときに必要な画素数は、視差バリア108を用いない通常の映像表示に比べてそれぞれ半分となる。したがって、このとき映像信号生成部12は、表示部60の左右方向(重力方向に対して垂直な方向)における総画素数
がそれぞれ半分となるように、3次元画素群および2次元画素群で視差映像を表示するための3次元映像信号および2次元映像信号を生成する。その後、映像信号生成部12は、3次元映像信号および2次元映像信号を画素群表示制御部13に出力する。
【0090】
画素群表示制御部13は、映像信号生成部12が生成した3次元映像信号にしたがって、右目用映像および上記左目用映像を3次元画素群に表示させ、映像信号生成部12が生成した上記2次元映像信号にしたがって、右目用映像または左目用映像を2次元画素群に表示させる。
【0091】
続いて、光量制御部20は、輝度制御部(第1輝度制御手段)21と、光透過率制御部(光透過率制御手段)22とを有する。
【0092】
輝度制御部21は、表示装置1が備えるバックライトの輝度を制御するためのものである。表示装置1では、表示部60の複数の画素が3次元画素群と2次元画素群とに分かれ、かつ、3次元画素群および2次元画素群では、それぞれ表示制御された個別の映像が表示されることから、各画素群における光量は、通常の表示状態(視差バリア108を用いない表示状態)に比べて低下する。また、3D映像の観賞者は、液晶シャッターメガネ70を介して3D映像を観賞するため、液晶シャッターメガネ70によっては光透過率が低くなり、3D映像の観賞者が感じる光量はさらに低下する。このことは、視差バリア108によって分離される視線方向が増えるほど顕著になる。
【0093】
そこで、輝度制御部21が表示装置1が備えるバックライトの輝度を高くする制御を行うことにより、3D映像の観賞者が感じる光量を高めている。
【0094】
なお、輝度制御部21は、表示制御部10からバックライトの輝度を高くする旨の命令を受け、その命令にしたがいバックライトの輝度を高くすればよい。あるいは、輝度制御部21は、視差バリア108によって分離される視線方向の数に応じて、バックライトの輝度を高くする制御を行えばよい。
【0095】
光透過率制御部22は、2次元画素群における光の透過率を制御するためのものである。具体的には、輝度制御部21が3次元画素群の輝度を制御することで、2次元画素群の光量が増加するケースも出てくる。たとえば、輝度制御部21がバックライトの輝度を上げたとき、2次元画素群においても同じバックライトを用いることから、2D映像の観賞者にとっては光量が増加しすぎることになる。
【0096】
そこで、光透過率制御部22が、2次元画素群における光の透過率を、視差バリア108を用いることなく右目用映像または左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させることにより、2D映像の観賞者が感じる光量を低下させることができる。
【0097】
なお、光透過率制御部22は、輝度制御部21がバックライトの輝度を高くするときに、2次元画素群における光の透過率を下げればよい。あるいは、光透過率制御部22は、輝度制御部21によって制御されるバックライトの輝度レベルの上下変動に合わせて、2次元画素群における光の透過率を下げる制御を行えばよい。
【0098】
同期制御部30は、画素群表示制御部13が右目用映像を3次元画素群に表示させる表示タイミングと、液晶シャッターメガネ70の右目用液晶シャッターを開、左目用液晶シャッターを閉とするシャッター開閉タイミングとを同期させる。また、同期制御部30は、画素群表示制御部13が左目用映像を3次元画素群に表示させる表示タイミングと、液晶シャッターメガネ70の右目用液晶シャッターを閉、左目用液晶シャッターを開とする
シャッター開閉タイミングとを同期させる。これは、同期制御部30が、表示制御部10から、3次元画素群に右目用映像および左目用映像を表示させる表示タイミングを示す表示タイミング信号を受け付け、その表示タイミングに同期するように、液晶シャッターメガネ70の右目用液晶シャッター及び左目用液晶シャッターを開閉する命令を命令信号出力部50に出力することでなされる。
【0099】
命令信号出力部50は、液晶シャッターメガネ70に対して、同期制御部30から取得した表示タイミング信号に基づいて右目用液晶シャッター及び左目用液晶シャッターを開閉するよう命令するシャッター駆動信号を出力する。そして、液晶シャッターメガネ70は、上記シャッター駆動信号に基づいて、画素群表示制御部13が3次元画素群に右目用映像を表示させる表示タイミングと同期して、液晶シャッターメガネ70の右目用液晶シャッターを開、左目用液晶シャッターを閉とし、かつ、画素群表示制御部13が3次元画素群に左目用映像を表示させる表示タイミングと同期して、液晶シャッターメガネ70の右目用液晶シャッターを閉、左目用液晶シャッターを開とする。
【0100】
〔表示装置2の内部構成について〕
次に、画素が自発光するプラズマ等の自発光型の表示装置2の内部構成を図2により説明する。図2は、表示装置2の内部構成を説明するためのブロック図である。なお、図1を参照して説明した内容については説明を省略する。
【0101】
表示装置1と表示装置2との相違点は、表示装置1の光量制御部20には輝度制御部21と光透過率制御部22とが含まれるのに対して、表示装置2には光透過率制御部22が含まれていない点が挙げられる。
【0102】
表示装置2では、表示部60の複数の画素が3次元画素群と2次元画素群とに分かれ、かつ、3次元画素群および2次元画素群では、それぞれ表示制御された個別の映像が表示されることから、各画素群における光量は、通常の表示状態(視差バリア108を用いない表示状態)に比べて低下する。また、3D映像の観賞者は、液晶シャッターメガネ70を介して3D映像を観賞するため、液晶シャッターメガネ70によっては光透過率が低くなり、3D映像の観賞者が感じる光量はさらに低下する。このことは、視差バリア108によって分離される視線方向が増えるほど顕著になる。
【0103】
そこで、自発光型の表示装置2では、輝度制御部23が、3次元画素群の輝度を上げる制御を行う。同時に、輝度制御部23は、2次元画素群の平均的な輝度を3次元画素群の平均的な輝度よりも低くし、2次元画素群における輝度を通常の表示状態(視線方向分離部を用いない表示状態)のときの光量と略等しくする。これにより、3D映像および2D映像の観賞者がそれぞれ受ける違和感をなくしている。
【0104】
〔2人の観賞者が3D映像および2D映像を観賞する動作〕
次に、2人の観賞者が3D映像および2D映像をそれぞれ観賞する動作を図5、図6により説明する。図5、図6は、表示装置1が、液晶シャッターメガネ70を装着する観賞者(以降、「3D映像観賞者」と称する場合もある。)には3D映像を、裸眼の観賞者(以降、「2D映像観賞者」と称する場合もある。)には2D映像を観賞させる動作を示す図であり、図5は、2D映像(右目用映像)に対して特段の処理を行わない動作を、図6は、2D映像(右目用映像)に画素が黒となる状況を挿入する動作をそれぞれ表す。
【0105】
なお、図5、図6では、3次元表示に用いることが可能な右目用映像および左目用映像が表示装置1に表示され、視差バリア108によって、3D映像観賞者の方向には右目用映像および左目用映像が交互に表示され、2D映像観賞者の方向には右目用映像が表示されるものとする(左目用映像であってもよい)。つまり、3D映像観賞者の方向に対応付
けられた画素群(3次元画素群)には右目用映像および左目用映像が表示され、2D映像観賞者の方向に対応付けられた画素群(2次元画素群)には右目用映像が表示される。
【0106】
なお、このように右目用映像および左目用映像を表示装置1に表示する動作は図1等を参照して説明したため、ここでの説明は省略する。また、図5、図6では、右目用映像をLと、左目用映像をRと簡略化して表現している。
【0107】
図5に示すように、2D映像観賞者は2D映像である右目用映像を左右の裸眼で観賞し、3D映像観賞者は、液晶シャッターメガネ70を介して、右目用映像を右目で、左目用映像を左目でそれぞれ観賞する。つまり、観賞者の左右の目の視差を利用した映像の表示が可能な表示装置1において、複数の観賞者それぞれに対して、一方には2D映像を、他方には3D映像という異なる表示態様の映像を観賞させている。
【0108】
ただし、図5のケースには次のような問題が内在する。
【0109】
すなわち、図5のケースでは、表示部の複数の画素が3次元画素群と2次元画素群とに二分され、かつ、各画素群で個別の映像が表示されることから、各画素群における光量は、通常の表示状態(視差バリア108を用いない表示状態)に比べて半減する。しかも、液晶シャッターメガネ70の光透過率は低いため、3D映像観賞者が感じる光量はさらに減少する。このことは、視差バリアによって3以上の視線方向に対して個別の映像を表示する場合にさらに顕著となる。そのため、3D映像観賞者が感じる光量を高めるために、表示装置1はバックライトの輝度を上げている。
【0110】
しかしながら、表示装置1では、バックライトの輝度を上げることにより、2次元画素群においても同じバックライトを用いることから、2D映像観賞者にとって光量が増加しすぎることになる。
【0111】
そこで、2次元画素群における輝度を下げることが好ましく、その方法として、上記では光透過率制御部22が2次元画素群の光透過率を下げる構成などを説明した。一方、図6は、その構成とは異なる方法を説明するものである。同図では、連続する右目用映像の間に画素が黒となる状況(映像)が挿入されており、これにより、2次元画素群における輝度を、2D映像観賞者にとって映像を観賞しやすいレベルにまで調整している。なお、同図では、連続する右目用映像の間に画素が黒となる状況(映像)を挿入しているが、黒でなくとも、右目用映像よりも輝度が低い状況(映像)を挿入することにより、2次元画素群における輝度を下げることができる。
【0112】
図6の方法は、以下の動作によって実現される。
【0113】
すなわち、図2において、映像信号生成部12は、2次元画素群に表示される右目用映像または左目用映像よりも輝度の低い低輝度映像を表示するための低輝度映像信号を2次元映像信号に含める。そして、画素群表示制御部13が、映像信号生成部12が生成した2次元映像信号にしたがって、右目用映像または左目用映像と低輝度映像とを2次元画素群に表示させる。このとき、右目用映像または左目用映像と低輝度映像とは交互に表示されてもよいし、あるいは、任意の割合で表示部60に表示されるようにしてもよく、2D映像観賞者が感じる光量を低下させることができるのであれば、適宜調節することができる。
【0114】
なお、上記では「低輝度映像」と説明しているが、映像そのものである必要はなく、右目用映像または左目用映像よりも輝度の低い状態を作り出すことができるのであれば、上記構成はいかなる態様で実現されてもよい。
【0115】
また、2次元画素群における輝度を下げる他の方法として、2次元画素群における光の透過率を下げる、透過率をほぼ0とする期間を設けるといった方法もあり、これらの方法によっても、2D映像観賞者が受ける違和感を軽減することができる。そして、これらの方法を適宜組み合わせて表示装置1(2)を構成することも、当然に可能である。
【0116】
〔表示装置1・2によって得られる効果〕
以下、表示装置1・2によって得られる効果を説明する。
【0117】
表示装置1(2)は、観賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示し、左右の目の視認可否を切り替える液晶シャッターメガネ70を介して観賞者に立体映像を観賞させ、表示部60に表示される視差映像を複数の視線方向に分離して表示させる視差バリア108と、視差バリア108によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御し、液晶シャッターメガネ70を介した立体映像の観賞を可能にする表示制御部10と、を備える。
【0118】
本発明に係る表示制御方法は、観賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示し、左右の目の視認可否を切り替える液晶シャッターメガネ70を介して観賞者に立体映像を観賞させ、表示装置1(2)に設けられた表示部60に表示される視差映像を、当該表示装置1(2)に設けられた視差バリア108により複数の視線方向に分離して表示し、視差バリア108によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御することで、液晶シャッターメガネ70を介した立体映像の観賞を可能にする。
【0119】
上記構成によれば、視差バリア108は、表示部60に表示される視差映像を、複数の視線方向に分離して表示させる。このとき、表示制御部10は、視差バリア108によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御する。したがって、表示制御部10は、観賞者に対して、液晶シャッターメガネ70を介することなく視差映像を観賞させる観賞態様に加え、液晶シャッターメガネ70を介して立体映像を観賞させる観賞態様をも可能にする。
【0120】
このように、表示装置1(2)(表示制御方法)は、従来の課題、すなわち、左右の目の視差を利用した立体映像を表示することが可能であって、かつ視差バリア等の視差バリアを備えた表示装置が存在しなかったという課題を解決することができる。加えて、複数の観賞者が存在し、視差映像(2D映像)を観賞したい人と立体映像(3D映像)を観賞したい人とが混在するような場合に、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることができるため、複数の観賞者の要求を同時に満足させることもできる。
【0121】
なお、表示装置1(2)(表示制御方法)では、視差バリア108は、表示部60に表示される視差映像を、複数の視線方向に分離して表示させるため、観賞者が3人以上であっても、各々の観賞者が希望する観賞態様を同時に実現することができ、この点においてもさらに利便性の高い表示装置を実現している。
【0122】
また、表示装置1(2)では、表示部60は、複数の画素を有しており、表示制御部10は、複数の視線方向のうち、同一の視線方向に対応付けられた画素群ごとに、その画素群に表示される視差映像を表示制御する構成であってよい。
【0123】
上記構成によれば、同一の視線方向に対応付けられた画素群ごとに視差映像が表示制御される。したがって、画素群ごとの表示制御によって、同一の視線方向に対して同一の表
示態様(3D映像/2D映像)に係る映像が表示されるため、観賞者が希望しない観賞態様を確実に排除することができる。例えば、観賞者が2D映像の観賞を希望しているときには、同一の視線方向に対応付けられた画素群には2D映像のみが表示され、その視線方向には3D映像は表示されない。したがって、その視線方向に位置する観賞者に3D酔いを起こさせることもなく、観賞者に安心感を与えるという効果を奏する。
【0124】
また、表示装置1(2)では、表示制御部10は、画素群のうち、第1の視線方向に対応付けられた画素群では、視差映像である右目用映像および左目用映像を交互に表示させ、第1の視線方向とは異なる第2の視線方向に対応付けられた画素群では、右目用映像または左目用映像を表示させる構成であってよい。
【0125】
一般に、観賞者の左右の目の視差を利用した視差映像である右目用映像および左目用映像を交互に表示することにより3D映像表示が実現する。また、その右目用映像および左目用映像の何れかのみを表示すると、従来の2D映像が実現する。
【0126】
したがって、表示制御部10が、第1の視線方向に対応付けられた画素群では、視差映像である右目用映像および左目用映像を交互に表示させることで立体映像表示を実現し、第1の視線方向とは異なる第2の視線方向に対応付けられた画素群では、右目用映像および左目用映像の何れかのみを表示させることで2D映像表示を実現することができる。
【0127】
それゆえ、上記構成とすることにより、視差映像(2D映像)を観賞したい人と立体映像(3D映像)を観賞したい人とが混在するような場合に、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を確実に観賞させることができる。
【0128】
また、表示装置1(2)では、表示制御部10は、画素群のうち、右目用映像および左目用映像が交互に表示される画素群である3次元画素群、及び右目用映像または左目用映像が表示される画素群である2次元画素群をそれぞれ決定する画素群決定部11と、上記右目用映像および上記左目用映像を3次元画素群に表示させ、上記右目用映像または上記左目用映像を2次元画素群に表示させる画素群表示制御部13と、を備える構成であってよい。
【0129】
上記構成によれば、画素群決定部11は、立体映像が表示される3次元画素群、及び2D映像が表示される2次元画素群を決定する。これは、例えば第1の視線方向へは3D映像を表示させ、第1の視線方向とは異なる第2の視線方向へは2D映像を表示させるという設定にしたがい、画素群決定部11が、3次元画素群および2次元画素群を決定する。
【0130】
そして、画素群表示制御部13は、右目用映像および左目用映像を3次元画素群に表示させ、右目用映像または左目用映像を2次元画素群に表示させることにより、複数の観賞者は、3D映像または2D映像を観賞することが可能となる。
【0131】
このようにして、表示制御部10は、右目用映像および左目用映像からなる3D映像を観賞したい人と右目用映像または左目用映像からなる2D映像を観賞したい人とが混在するような場合に、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることができ、複数の観賞者の要求を同時に満足させることができるという効果を奏する。
【0132】
また、表示装置1(2)では、3次元画素群の輝度を、視差バリア108を用いることなく右目用映像および左目用映像を表示するときの当該3次元画素群の輝度よりも高くする輝度制御部を備える構成であってよい。
【0133】
表示装置1(2)では、表示部60の複数の画素が3次元画素群と2次元画素群とに分
かれ、かつ、3次元画素群および2次元画素群では、それぞれ表示制御された個別の映像が表示されることから、各画素群における光量は、通常の表示状態(視差バリア108を用いない表示状態)に比べて低下する。しかも、3D映像の観賞者は、液晶シャッターメガネ70を介して3D映像を観賞するため、液晶シャッターメガネ70の構造によっては光透過率が低くなり、3D映像の観賞者が感じる光量はさらに低下する。このことは、液晶シャッターメガネ70によって分離される視線方向が増えるほど顕著になる。
【0134】
しかしながら、表示装置1(2)では、輝度制御部が、3次元画素群の輝度を、視差バリア108を用いることなく右目用映像および左目用映像を表示するときの当該3次元画素群の輝度よりも高くする。これにより、3D映像の観賞者が感じる光量を高めることができ、観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0135】
また、表示装置1(2)では、輝度制御部21は、自装置のバックライトの輝度を高くする構成であってよい。
【0136】
上記構成によれば、輝度制御部21は、自装置のバックライトの輝度を高くする。したがって、3次元画素群の輝度を高くすることができるため、3D映像の観賞者が感じる光量を高めることができ、観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0137】
また、表示装置1(2)では、2次元画素群における光の透過率を、視差バリア108を用いることなく右目用映像または左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させる光透過率制御部22を備える構成であってよい。
【0138】
上述したように輝度制御部が3次元画素群の輝度を高くすることで、2次元画素群の光量が増加するケースも出てくる。たとえば、輝度制御部21がバックライトの輝度を上げたとき、2次元画素群においても同じバックライトを用いることから、2D映像の観賞者にとっては光量が増加しすぎることになる。
【0139】
しかしながら、表示装置1(2)では、光透過率制御部22が、2次元画素群における光の透過率を、視差バリア108を用いることなく右目用映像または左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させる。したがって、2次元画素群の光量を低くすることができるため、2D映像の観賞者が感じる光量を下げることができ、観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0140】
また、表示装置1(2)では、画素群表示制御部13は、2次元画素群に表示される右目用映像または左目用映像に、当該右目用映像または当該左目用映像よりも輝度の低い低輝度映像を挿入して2次元画素群に表示させる構成であってよい。
【0141】
上記構成とすることにより、右目用映像または左目用映像に低輝度映像を挿入した映像が2次元画素群に表示されるため、2次元画素群の輝度を平均的に低くすることができる。したがって、2D映像の観賞者が感じる光量を低下させることができ、当該観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0142】
なお、上記では「低輝度映像」と説明しているが、映像そのものである必要はなく、右目用映像または左目用映像よりも輝度の低い状態を作り出すことができるのであれば、構成はいかなる態様で実現されてもよい。
【0143】
また、表示装置1(2)では、輝度制御部は、3次元画素群の輝度を高くする構成であってよい。
【0144】
上記構成により、輝度制御部は3次元画素群自体の輝度を高くするため、3D映像の観賞者が感じる光量を高めることができ、観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0145】
また、表示装置1(2)では、2次元画素群の輝度を、視差バリア108を用いることなく右目用映像または左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させる輝度制御部23を備える構成であってよい。
【0146】
上述したように輝度制御部が3次元画素群の輝度を高くすることで、2次元画素群の光量が増加し、2D映像の観賞者にとっては光量が増加しすぎること場合も出てくる。
【0147】
そこで、輝度制御部23が、2次元画素群の輝度を、視差バリア108を用いることなく右目用映像または左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させることにより、2次元画素群の輝度をすることができる。これにより、2D映像の観賞者が感じる光量を低下させることができ、当該観賞者が受ける違和感をなくすことができるという効果を奏する。
【0148】
また、表示装置1(2)では、液晶シャッターメガネ70が、右目用液晶シャッターおよび左目用液晶シャッターを有するときに、画素群表示制御部13が3次元画素群に右目用映像を表示させる表示タイミングと、右目用液晶シャッターを開、左目用液晶シャッターを閉とするシャッター開閉タイミングとを同期させ、かつ、画素群表示制御部13が3次元画素群に左目用映像を表示させる表示タイミングと、右目用液晶シャッターを閉、左目用液晶シャッターを開とするシャッター開閉タイミングとを同期させる同期制御部30を備える構成であってよい。
【0149】
上記構成によれば、同期制御部30は、画素群表示制御部13が3次元画素群に右目用映像または左目用映像を表示させる表示タイミングと、液晶シャッターメガネのシャッター開閉タイミングを好適に同期させることが可能である。
【0150】
したがって、観賞者は、液晶シャッターメガネ70を介して、3次元画素群に表示される3D映像を確実に観賞することができる。
【0151】
また、表示装置1(2)では、画素群決定部11は、操作部80を介した観賞者による入力操作に基づき、3次元画素群および2次元画素群を決定する構成であってよい。
【0152】
複数の観賞者が存在し、視差映像(2D映像)を観賞したい人と立体映像(3D映像)を観賞したい人とが混在するような場合に、視差映像および立体映像が表示される視線方向を変更・確認したい場合もありえる。
【0153】
このようなとき、画素群決定部11は、操作部80を介した観賞者による入力操作に基づき、3次元画素群および2次元画素群を決定する。したがって、立体映像(3D映像)を観賞したい人に対しては視線方向を表示装置1(2)の右側へ、視差映像(2D映像)を観賞したい人に対しては視線方向を表示装置1(2)の左側へ変更するといった実施態様を実現することができ、より利便性の高い表示装置を実現することができる。
【0154】
また、表示装置1(2)では、視差バリア108は、表示部60に対して着脱可能に設けられている構成であってよい。
【0155】
視差バリア108が表示部60に対して着脱可能に設けられていることにより、観賞者
は、2D映像のみを観賞したいとき、または3D映像のみを観賞したいときに視差バリア108を取り外せばよく、迅速かつ確実に観賞者の希望に沿う映像表示態様を実現することができる。
【0156】
なお、本発明に係る表示制御方法は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを処理として動作させることにより表示制御方法をコンピュータにて実現させる表示制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0157】
最後に、表示装置1・2の各ブロック、特に、画素群決定部11、映像信号生成部12および画素群表示制御部13は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0158】
すなわち、表示装置1・2は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである表示装置1・2の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、表示装置1・2に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0159】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0160】
また、表示装置1・2を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
〔その他〕
本発明に係る表示装置は、表示画面に連動して、左右の目各々における視認可否の切り替えを行う手段が設けられた視覚制御機構を透して表示画面を視聴する視聴者の左右の目の視差を利用した3D映像表示装置であって、視線分離手段(視差バリア)と、上記視線分離手段によって分離される各視線に向けて表示する画像を個別に制御する手段とを有する構成であってもよい。
【0161】
また、本発明に係る表示装置は、上記視線分離手段を用いて3D映像表示をする場合は、上記視線分離手段を用いることなく3D映像表示する場合に比べて、3D映像表示の輝度を上げる手段を有する構成であってもよい。
【0162】
また、本発明に係る表示装置は、液晶が設けられている3D映像表示装置であって、上記輝度を上げる手段が、画像表示用のバックライトの輝度を上げる制御を行う構成であってよい。
【0163】
また、本発明に係る表示装置は、画像表示のための自発光素子が設けられている3D映像表示装置であって、上記輝度を上げる手段が、3D画像表示用のピクセル自体の輝度を上げる制御を行う構成であってよい。
【0164】
また、本発明に係る表示装置は、上記視線分離手段を用いて2D映像表示をする場合は、上記視線分離手段を用いることなく2D映像表示する場合と略等しい光量となるように、2D表示用のピクセルのドットの透過率を低下させる制御を行う構成であってよい。
【0165】
また、本発明に係る表示装置は、上記視線分離手段を用いて2D映像表示をする場合は、上記視線分離手段を用いることなく2D映像表示する場合と略等しい光量となるように、2D表示用のピクセルの輝度を上げる制御を行う構成であってよい。
【0166】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0167】
また、本発明に係る表示装置は、種々の用途に適用することができ、例えば、家庭等のテレビ、自動車の運転席・助手席に対して異なる映像を表示するカーナビゲーション、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)、PC、テレビ受信機等の身近な機器に限らず、計測機器、医療機器、産業機器等に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、左右の目の視認可否を切り替える視認切替機構を介して観賞者に立体映像を観賞させる表示装置において、視差バリア等の映像分離手段を用いて、複数の観賞者それぞれに対して異なる表示態様の映像を観賞させることが可能な表示装置に関し、液晶表示装置、またはプラズマ等の自発光型表示装置に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0169】
1・2 表示装置
5 制御部
10 表示制御部(表示制御手段)
11 画素群決定部(画素群決定手段)
12 映像信号生成部(映像信号生成手段)
13 画素群表示制御部(画素群表示制御手段)
20 光量制御部
21 輝度制御部(第1輝度制御手段)
22 光透過率制御部(光透過率制御手段)
23 輝度制御部(第2輝度制御手段)
30 同期制御部(同期制御手段)
40 コンテンツ受信部
50 命令信号出力部
60 表示部
70・70A・70B 液晶シャッターメガネ(視認切替機構)
80 操作部
90 記録再生装置
95 中継器
100 液晶パネル
101 バックライト
102・103 偏光板
104 TFT基板
105 液晶層
106 カラーフィルタ基板
107 ガラス基板
108 視差バリア(視線方向分離部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示し、左右の目の視認可否を切り替える視認切替機構を介して観賞者に立体映像を観賞させる表示装置であって、
表示部に表示される視差映像を複数の視線方向に分離して表示させる視線方向分離部と、
上記視線方向分離部によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御し、上記視認切替機構を介した立体映像の観賞を可能にする表示制御手段と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記表示部は、複数の画素を有しており、
上記表示制御手段は、上記複数の視線方向のうち、同一の視線方向に対応付けられた画素群ごとに、その画素群に表示される視差映像を表示制御することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記表示制御手段は、上記画素群のうち、第1の視線方向に対応付けられた画素群では、視差映像である右目用映像および左目用映像を交互に表示させ、上記第1の視線方向とは異なる第2の視線方向に対応付けられた画素群では、上記右目用映像または上記左目用映像を表示させることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記表示制御手段は、
上記画素群のうち、上記右目用映像および上記左目用映像が交互に表示される画素群である3次元画素群、及び上記右目用映像または上記左目用映像が表示される画素群である2次元画素群をそれぞれ決定する画素群決定手段と、
上記右目用映像および上記左目用映像を上記3次元画素群に表示させ、上記右目用映像または上記左目用映像を上記2次元画素群に表示させる画素群表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記3次元画素群の輝度を、上記視線方向分離部を用いることなく上記右目用映像および上記左目用映像を表示するときの当該3次元画素群の輝度よりも高くする第1輝度制御手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
上記第1輝度制御手段は、自装置のバックライトの輝度を高くすることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
上記2次元画素群における光の透過率を、上記視線方向分離部を用いることなく上記右目用映像または上記左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下させる光透過率制御手段を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の表示装置。
【請求項8】
上記画素群表示制御手段は、上記2次元画素群に表示される上記右目用映像または上記左目用映像に、当該右目用映像または当該左目用映像よりも輝度の低い低輝度映像を挿入して上記2次元画素群に表示させることを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
上記第1輝度制御手段は、上記3次元画素群の輝度を高くすることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項10】
上記2次元画素群の輝度を、上記視線方向分離部を用いることなく上記右目用映像または上記左目用映像を当該2次元画素群に表示するときの光量と略等しくなるように低下さ
せる第2輝度制御手段を備えることを特徴とする請求項5から9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
上記視認切替機構が、右目用液晶シャッターおよび左目用液晶シャッターを有する液晶シャッターメガネであるときに、
上記画素群表示制御手段が上記3次元画素群に上記右目用映像を表示させる表示タイミングと、上記右目用液晶シャッターを開、上記左目用液晶シャッターを閉とするシャッター開閉タイミングとを同期させ、かつ、上記画素群表示制御手段が上記3次元画素群に上記左目用映像を表示させる表示タイミングと、上記右目用液晶シャッターを閉、上記左目用液晶シャッターを開とするシャッター開閉タイミングとを同期させる同期制御手段を備えることを特徴とする請求項4〜9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
上記画素群決定手段は、操作部を介した上記観賞者による入力操作に基づき、上記3次元画素群および上記2次元画素群を決定することを特徴とする請求項4〜10の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
上記視線方向分離部は、上記表示部に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
観賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示し、左右の目の視認可否を切り替える視認切替機構を介して観賞者に立体映像を観賞させる表示制御方法であって、
表示装置に設けられた表示部に表示される視差映像を、当該表示装置に設けられた視線方向分離部により複数の視線方向に分離して表示し、
上記視線方向分離部によって分離された各視線方向に向けて表示される視差映像を、視線方向毎に表示制御することで、上記視認切替機構を介した立体映像の観賞を可能にすることを特徴とする表示制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の表示制御方法における、視差映像を視線方向毎に表示制御する処理を、コンピュータに実行させるための表示制御プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の表示制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−178836(P2012−178836A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−82044(P2012−82044)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2010−178544(P2010−178544)の分割
【原出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】