説明

表示装置および電子機器

【課題】スタートアップ時間に影響を与えることなくリップルを抑制できる表示装置および電子機器を提供する。
【解決手段】液晶電位の揺らぎ防止回路130においては、平滑容量である第1のキャパシタC120−1と第2のキャパシタC120−2をスイッチングによりスタートアップ時にはサイズを小さく、通常時はサイズを大きくする。液晶電位の揺らぎ防止回路130においては、単純にスイッチングを行うと電位の変動が発生してしまい、画表示に問題が生じするおそれがあるため、予備の平滑容量としての第2のキャパシタC120−2をあらかじめ充電しておく。これにより、黒輝度および白輝度の両方の輝度を最適化することが可能なことはもとより、フリッカの発生を抑止でき、使用によってコモン電圧信号のセンター値が最適値からシフトすることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素の表示エレメント(電気光学素子)を表示領域にマトリクス状に配列したアクティブマトリクス型の表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置、たとえば液晶セルを画素の表示エレメント(電気光学素子)に用いた液晶表示装置は、薄型で低消費電力であるという特徴を有している。
液晶表示装置は、このような特徴をいかして、たとえば携帯情報端末(Personal Digital Assistant :PDA)、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ用表示装置等、幅広い電子機器に適用されている。
【0003】
図1は、液晶表示装置の構成例を示すブロック図である(たとえば特許文献1,2参照)。
液晶表示装置1は、図1に示すように、有効画素部2、垂直駆動回路(VDRV)3、および水平駆動回路(HDRV)4を有している。
【0004】
有効画素部2は、複数の画素回路21が、マトリクス状に配列されている。
各画素回路21は、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT;thin film transistor)21、液晶セルLC21、および保持容量Cs21を有する。
TFT21のドレイン電極(またはソース電極)に液晶セルLC21の画素電極が接続され、TFT21のドレイン電極に保持容量Cs21の一方の電極が接続されている。
これら画素回路21の各々に対して、走査ライン(ゲートライン)5−1〜5−mが各行毎にその画素配列方向に沿って配線され、信号ライン6−1〜6−nが各列毎にその画素配列方向に沿って配線されている。
そして、各画素回路21のTFT21のゲート電極は、各行単位で同一の走査ライン5−1〜5−mにそれぞれ接続されている。また、各画素回路21のソース電極(または、ドレイン電極)は、各列単位で同一の信号ライン6−1〜6−nに各々接続されている。
【0005】
さらに、一般的な液晶表示装置においては、保持容量配線Csを配線し、この保持容量配線Csと液晶セルLC21の第1電極との間に保持容量Cs21が形成されが、保持容量配線Csは、コモン電圧VCOMと同相パルスが入力され、保持容量として用いる。一般的な液晶表示装置においては、有効画素部2におけるすべての画素回路21の保持容量Cs21は、一つの保持容量配線Csに共通に接続されている。
そして、各画素回路21の液晶セルLC21の第2電極は、たとえば1水平走査期間(1H)毎に極性が反転するコモン電圧Vcomの供給ライン7に共通に接続されている。
【0006】
各走査ライン5−1〜5−mは、垂直駆動回路3により駆動され、各信号ライン6−1〜6−nは水平駆動回路4により駆動される。
【0007】
垂直駆動回路3は、1フィールド期間ごとに垂直方向(行方向)に走査して走査ライン5−1〜5−mに接続された各画素回路21を行単位で順次選択する処理を行う。
すなわち、垂直駆動回路3から走査ライン5−1に対して走査パルスGP1が与えられたときには第1行目の各列の画素が選択され、走査ライン5−2に対して走査パルスGP2が与えられたときには第2行目の各列の画素が選択される。以下同様にして、走査ライン5−3,…,5−mに対して走査パルスGP3,…,GPmが順に与えられる。
【0008】
図2(A)〜(E)に、図1に示す一般的な液晶表示装置のいわゆる1HVcom反転
駆動方式におけるタイミングチャートを示す。
図2(A)がゲートパルスGP Nを、図2(B)がコモン電圧Vcomを、図2(C)がストレージ信号CS_Nを、図2(D)が映像信号Vsigを、図2(E)が液晶セルに印加される信号Pix Nをそれぞれ示している。
【0009】
また、他の駆動方式として、保持容量配線Csからのカップリングを利用して液晶への印加電圧を変調させる容量結合駆動方式が知られている(たとえば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−119746号公報
【特許文献2】特開2000−298459号公報
【特許文献3】特開平2−157815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した容量結合駆動方式は、1HVcom反転駆動方式に比べいわゆるオーバドライブによる液晶の応答速度を改善でき、またVcom周波数帯域で発生するオーディオノイズを低減でき、超高精細パネルにおけるコントラストの補償が行えるなどの特徴がある。
【0012】
ところが、特許文献3に記載されたこの容量結合駆動方式を、図3に示すような、印加電圧に対する液晶誘電率εの特性を有する液晶材料(たとえば、ノーマリーホワイト)を用いて液晶表示装置に採用した場合、次のような不利益がある。
すなわち、この場合、実効画素電位を考慮した際に、製造時の液晶ギャップ変動/ゲート酸化膜厚変動、または温度環境変化時の液晶の比誘電率変動が起こった際の輝度変化が大きいという不利益がある。
また、黒輝度を最適化しようとした際、白輝度が黒くなる(沈んでしまう)という不利益がある。
【0013】
(数1)
ΔVpix1=Vsig+(Ccs/Ccs+Clc)*ΔVcs−Vcom…(1)
【0014】
式(1)において、ΔVpixは実効画素電位、Vsigは映像信号電圧、Ccsは保持容量、Clcは液晶容量を、ΔVcsはストレージ信号CSの電位を、Vcomはコモン電圧をそれぞれ示している。
上述したように、黒輝度を最適化しようとした際、白輝度が沈んでしまうのは、上記式(1)の(Ccs/Ccs+Clc)*ΔVcsの項にあり、液晶誘電率の非線形性が実効画素電位に影響を与えるためである。
【0015】
コモン電圧Vcomのセンター値の調整を行わない場合、表示画面においてフリッカが発生するという問題がある。また、正負極性にて、液晶層に印加される電圧が異なるために焼きつきの問題が発生する。
これらの対策として、出荷時の検査工程において、最適なコモン電圧Vcomのセンター値を調整し出荷を行う必要がある。この検査工程においては調整回路等を別途設ける必要もあり、煩雑な手間を要する。
検査工程において、コモン電圧Vcomセンター値を最適に調整したとしても、使用中の温度、駆動方式、駆動周波数、バックライト(B/L)輝度、外光輝度の変化により、また連続使用により、コモン電圧Vcomのセンター値が最適値からシフトする。したがって、同様の問題が発生する。
【0016】
また、液晶に印加する対向電位や保持電位に揺らぎ(リップル)が起きると画面に揺らぎなど見え画品位が低下するおそれがある。平滑容量のサイズを大きくするとリップルノイズの抑制が行える。
しかしながら、容量サイズを大きくすると充電に時間がかかってしまう。そうするとスタートアップ時に画がすぐに切り替わらずにゆっくり変わっていくのが見えてしまうおそれがある。
【0017】
本発明は、黒輝度および白輝度の両方の輝度を最適化することが可能なことはもとより、フリッカの発生を抑止でき、使用によってコモン電圧信号のセンター値が最適値からシフトすることを防止でき、スタートアップ時間に影響を与えることなくリップルを抑制できる表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の観点の表示装置または第2の観点の電子機器の表示装置は、スイッチング素子を通して映像用画素データを書き込む複数の画素回路がマトリクス状に配置された有効画素部と、上記有効画素部の上記画素回路の行配列に対応するように配置され、上記スイッチング素子の導通制御のための複数の走査ラインと、上記画素回路の行配列に対応するように配置された複数の容量配線と、上記画素回路の列配列に対応するように配置され、上記画素データを伝搬する複数の信号ラインと、上記複数の走査ライン、および上記複数の容量配線を選択的に駆動する駆動回路と、モニタ画素の検出電位を平均化した電位を検出して所定の周期で電圧レベルが切り替わるコモン電圧信号のセンター値を修正可能なモニタ回路と、を有し、上記有効画素部に配列された各画素回路は、第1画素電極および第2画素電極を有する表示エレメントと、第1電極および第2電極を有する保持容量と、を含み、上記表示エレメントの第1画素電極と上記保持容量の第1電極と上記スイッチング素子の一端子が接続され、上記保持容量の第2電極が対応する行に配列された上記容量配線に接続され、上記表示エレメントの第2画素電極には所定の周期でレベルが切り替わるコモン電圧信号が印加され、上記モニタ回路は、検出画素電位を平均化して中間電位を検出する検出回路と、上記検出回路が検出した中間電位と上記コモン電圧信号のセンター値に関する情報を含む信号との比較結果に応じて上記コモン電圧信号のセンター値を調整して出力する出力回路と、上記出力回路の出力の電位の揺らぎを防止するための揺らぎ防止回路と、を有し、上記出力回路は、複数系統形成され、上記揺らぎ防止回路は、上記出力回路の出力ラインに接続される平滑容量と、動作状態に応じて上記平滑容量をスイッチングして平滑容量のサイズを変更可能なスイッチ部と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、黒輝度および白輝度の両方の輝度を最適化することができる。
さらに、フリッカの発生を抑止でき、使用によってコモン電圧信号のセンター値が最適値からシフトすることを防止でき、スタートアップ時間に影響を与えることなくリップルを抑制できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一般的な液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す一般的な液晶表示装置のいわゆる1HVcom反転駆動方式におけるタイミングチャートを示す。
【図3】ノーマリホワイト液晶の印加電圧と比誘電率との関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成例を示す図である。
【図5】図4の回路の画素部の具体的な構成例を示す回路図である。
【図6】本実施形態の垂直駆動回路のゲートラインとストレージラインの駆動例を示すタイミングチャートである。
【図7】第1モニタ画素部および第2モニタ画素部の1つのモニタ画素の構成例を示す図である。
【図8】本実施形態に係るモニタ回路の基本概念を示す図である。
【図9】本実施形態に係るモニタ回路における比較出力部の具体的な構成例を示す回路図である。
【図10】本実施形態に係る駆動方式における時間的な処理の流れを示す波形図である。
【図11】本実施形態に係るモニタ回路における出力回路の液晶電位揺らぎ防止回路の構成例を示す図である。
【図12】モニタ回路における出力回路の液晶電位の揺らぎ防止回路を形成する理由について説明するための図である。
【図13】本実施形態に係る液晶電位の揺らぎ防止回路のスタートアップ時と通常時の動作状態を示す図である。
【図14】図11の液晶電位の揺らぎ防止回路のように2つのスイッチを用いて平滑容量を接続、非接続とする理由を説明するための図である。
【図15】本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路の第1の形成例を示す図である。
【図16】本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路の第2の形成例を示す図である。
【図17】本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路の第3の形成例を示す図である。
【図18】本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路の第4の形成例を示す図である。
【図19】本実施形態の駆動方式による理想状態を示す図である。
【図20】本実施形態に係る駆動方式において正(+)極性と負(−)極性での画素電位Pix対Vcom電位差の関係を示す図である。
【図21】画素トランジスタのリーク要因を模式的に示す図である。
【図22】本実施形態に係る駆動方式において正(+)極性と負(−)極性でゲートカップリングおよび画素トランジスタのリークによる状態をまとめて示す図である。
【図23】本実施形態に係るコモン電圧Vcomのセンター値の自動調整により、画素電位変動要因による影響を抑止できる項目を示す図である。
【図24】モニタ画素を有効画素部の一部としてたとえば1行分あるいは1画素を含むように形成する例を示す図である。
【図25】1フレーム期間の中間では表示画素により変動する信号ラインの影響を受けてモニタ画素電位が変動してしまう例を説明するための図である。
【図26】複数のモニタ画素で単純にゲートラインを共有(共用)する例を示す図である。
【図27】本実施形態に係るモニタ画素部における画素配置例を示す図である。
【図28】図27のモニタ画素部の駆動波形例を示す図である。
【図29】モニタ回路の構成回路の他の配置例を示す図である。
【図30】液晶セルギャップ、層間絶縁膜などのパネル面内バラツキによって表示画素と物性値の差異ができる可能性があることを説明するための図である。
【図31】信号Sigの電位によるオフセット補正について説明するための図である。
【図32】信号Sigの電位によるオフセット補正を実現可能な回路の第1の構成例を示す図である。
【図33】信号Sigの電位によるオフセット補正を実現可能な回路の第2の構成例を示す図である。
【図34】検出系やSig書き込み系をCOGやCOFなど外付けIC内に実現することも可能であることを説明するための図である。
【図35】付加容量によるオフセット補正の概要について説明するための図である。
【図36】付加容量によるオフセット補正を採用した中間電位検出回路の構成例を示す回路図である。
【図37】付加容量の接続タイミング例を示すタイミングチャートである。
【図38】検出画素電位オフセット補正回路の画素電位ショートモデルを示す図である。
【図39】付加容量値を変更した場合の画素電位波形を示す図である。
【図40】付加容量COFの定数を変更とする構成例を示す図である。
【図41】交互にモニタ画素電位検出を行うようなスイッチのショート、オープン状態を繰り返すようなシステムで電位の偏りが生じる例を説明するための図である。
【図42】モニタ画素電位のショート処理による電位の偏りを生じさせない方法を説明するための図である。
【図43】モニタ画素電位のショート処理による電位の偏りを生じさせない方法をより具体的に説明するための図である。
【図44】モニタ画素電位のショート処理による電位の偏りを生じさせない電位偏り抑止回路の第1の構成例を示す図である。
【図45】図44の回路のタイミングチャートである。
【図46】モニタ画素電位のショート処理による電位の偏りを生じさせない電位偏り抑止回路の第2の構成例を示す図である。
【図47】図46の回路のタイミングチャートである。
【図48】ゲートラインの時定数ずれの要因を説明するための図である。
【図49】本実施形態における有効画素のレイアウトモデルとモニタ画素(検出画素)のレイアウトモデルを示す図である。
【図50】ゲートラインの時定数を一致させる方法の一例を示す図である。
【図51】ゲートラインの時定数を一致させる方法においてレイアウトオプションを用いる例を示す図である。
【図52】本実施形態の主要な液晶セルの駆動波形を示すタイミングチャートである。
【図53】式4における液晶セルの各容量を示す図である。
【図54】液晶表示装置で使用される液晶材料(ノーマリホワイト液晶)を用いた場合の白表示のときに液晶に印加される実効画素電位ΔVpix Wの選定基準を説明するための図である。
【図55】本発明の実施形態に係る駆動方式、関連する容量結合駆動方式、および通常の1HVcom駆動方式の映像信号電圧と実効画素電位との関係を示す図である。
【図56】本発明の実施形態に係る駆動方式、および関連する容量結合駆動方式の映像信号電圧と輝度との関係を示す図である。
【図57】各補正系に対応して検出画素部を3系統を設けている例を示す図である。
【図58】本実施形態に係る複数の補正系で一つの検出画素部(モニタ画素部)を共用する構成例を示す図である。
【図59】複数の補正系で一つの検出画素部(モニタ画素部)を共用する場合のスイッチング例を示す図である。
【図60】各Vcom補正系、Vcs補正系、およびVsig補正系を外付けICに搭載した例を示す図である。
【図61】補正系を二系統ずつ選択する構成例を示す図である。
【図62】Vcom補正系とVsig補正系の二系統の補正系を設けた場合において、より具体的に構成例を示す図である。
【図63】図62の回路のスイッチングのタイミング例を示す図である。
【図64】コモン電圧Vcomのセンター値の自動調整システムを1HVcom反転駆動方式に採用した場合の波形例を示す図である。
【図65】コモン電圧Vcomのセンター値の自動調整システムを1HVcom反転駆動方式に採用した場合の検出回路の構成例を示す図である。
【図66】図65の回路の波形例を示す図である。
【図67】本発明の実施形態に係る電子機器である携帯電話機の構成の概略を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面に関連付けて詳細に説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.表示装置の全体構成例
2.モニタ回路の構成例
3.ストレージ信号CSの電位補正
【0022】
<1.表示装置の全体構成例>
図4は、たとえば液晶セルを画素の表示エレメント(電気光学素子)として用いた本発明の一実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成例を示す図である。
図5は、図4の回路の有効画素部の具体的な構成例を示す回路図である。
【0023】
本表示装置100は、図4および図5に示すように、有効画素部101、垂直駆動回路(V/CSDRV)102、および水平駆動回路(HDRV)103を有する。
表示装置100は、ゲートライン(走査ライン)104−1〜104−m、保持容量配線(以下、ストレージラインという)105−1〜105−m、および信号ライン106−1〜106−nを有する。
表示装置100は、第1モニタ(ダミー)画素部(MNTP1)107−1、第2モニタ画像部(MNTP2)107−2、および第1モニタ画素部および第2モニタ画素部兼用のモニタ垂直駆動回路(V/CSDRVM)108を有する。
さらに、表示装置100は、第1モニタ画素部専用の第1モニタ水平駆動回路(HDRVM1)109−1、第2モニタ画素部専用の第2モニタ水平駆動回路(HDRVM2)109−2、検出出力回路110、および補正回路111を有している。
【0024】
本実施形態においては、有効画素部101に隣接して独立に(図4においては図中右側に)モニタ回路120が形成されている。
モニタ回路120は、1画素または複数画素を含む第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2、およびモニタ画素を駆動するためのモニタ垂直駆動回路108により構成される。
さらに、モニタ回路120は、第1モニタ水平駆動回路109−1、第2モニタ水平駆動回路109−2、および検出出力回路110により構成される。
また、有効画素部101に隣接して水平駆動回路103および垂直駆動回路102が形成されている。図4においては、有効画素部101の上側に水平駆動回路103が形成され、有効画素部101の左側に垂直駆動回路102が形成されている。
【0025】
本実施形態においては、基本的に、後で詳述するように、画素電位を変化させ、液晶印加電圧を変調する駆動方式が採用される。
この駆動方式では、信号ライン106−1〜106−nからの画素データの書き込み後に、各行に独立して配線されているストレージライン105−1〜105−mから保持容量Cs201を介してカップリングを与える。これにより、画素電位を変化させ、液晶印加電圧が変調される。
なお、画素データの書き込み後とは、ゲートライン104−1〜104−mへのゲートパルスの立ち下げ後である。
そして、本実施形態においては、この駆動方式による実駆動中において、モニタ回路120における第1モニタ画素部107−1と第2モニタ画素部107−2の正負極性のモニタ画素電位を平均化した電位を検出する。
本実施形態では、その平均化した電位検出結果を最適コモン電圧Vcom値、またはリファレンスドライバにフィードバックすることでコモン電圧Vcomのセンター値を自動調整するように構成されている。
なお、モニタ回路120における第1モニタ画素部107−1と第2モニタ画素部107−2の正負極性のモニタ画素電位は、モニタ画素において、画素回路PXLCの接続ノードND201の電位に相当する。
また、本実施形態においては、後述するように、第1および第2モニタ画素部107−1,107−2から検出したモニタ画素電位に応じて有効画素部101の画素電位が任意の電位になるように、CSドライバから出力するストレージ信号CSを補正する。
このモニタ回路に構成および機能、並びにストレージ信号CSの補正システムについては、後で詳述する。
【0026】
[有効画素部の構成例]
有効画素部101は、図5に示すように、複数の画素回路PXLCが、m×nのマトリクス状に配列されている。
なお、図5においては、図面の簡単化のために、4×4のマトリクス配列として示している。
【0027】
各画素回路PXLCは、図5に示すように、スイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ;thin film transistor)201、液晶セルLC201、および保持容量Cs201を有する。
TFT201のドレイン電極(またはソース電極)に液晶セルLC201の第1画素電極が接続されている。また、TFT201のドレイン電極(またはソース電極)には保持容量Cs201の第1電極が接続されている。
なお、TFT201のドレイン電極(またはソース電極)と、液晶セルLC201の第1画素電極と、保持容量Cs201の第1電極との接続点によりノードND201が形成されている。
【0028】
ゲートライン(走査ライン)104−1〜104−mおよびストレージライン105−1〜105−mが各行毎にその画素配列方向に沿って配線され、信号ライン106−1〜106−nが各列毎にその画素配列方向に沿って配線されている。
【0029】
そして、各画素回路PXLCのTFT201のゲート電極は、各行単位で同一のゲートライン104−1〜104−mにそれぞれ接続されている。
各画素回路PXLCの保持容量Cs201の第2電極は、各行単位で同一のストレージライン105−1〜105−mにそれぞれ接続されている。
また、各画素回路PXLCのソース電極(または、ドレイン電極)は、各列単位で同一の信号ライン106−1〜106−nに各々接続されている。
そして、各画素回路PXLCの液晶セルLC201の第2画素電極は、1水平走査期間(1H)に極性が反転する、たとえば小振幅のコモン電圧VCOM(Vcom)の供給ライン112に共通に接続されている。
このコモン電圧Vcomについては後で更に詳述する。
【0030】
各ゲートライン104−1〜104−mは、垂直駆動回路102のゲートドライバにより駆動される。
各ストレージライン105−1〜105−mは垂直駆動回路102の容量ドライバ(CSドライバ)により駆動される。
各信号ライン106−1〜106−nは水平駆動回路103により駆動される。
【0031】
[垂直駆動回路の構成および機能]
垂直駆動回路102は、基本的には、1フィールド期間ごとに垂直方向(行方向)に走査してゲートライン104−1〜104−mに接続された各画素回路PXLCを1行単位で順次選択する処理を行う。
すなわち、垂直駆動回路102は、ゲートライン104−1に対してゲートパルスGP1を与えて第1行目の各列の画素が選択し、ゲートライン104−2に対してゲートパルスGP2を与えて第2行目の各列の画素を選択する。以下同様にして、ゲートライン104−3,…,104−mに対してゲートパルスGP3,…,GPmを順に与える。
【0032】
さらに、垂直駆動回路102は、各ゲートライン毎に対応して独立に配線された各ストレージライン105−1〜105−m毎に第1レベルCSHまたは第2レベルCSLのいずれかに選択した容量信号(以下ストレージ信号という)CS1〜CSmを順に与える。
ストレージ信号CS1〜CSmの第1レベルCSHは、たとえば3V〜4Vであり、第2レベルCSLは、たとえば0Vである。
【0033】
図6(A)〜(L)は、本実施形態の垂直駆動回路のゲートラインとストレージラインの駆動例を示すタイミングチャートである。
図6(A)は垂直駆動回路102に供給される極性を認識するための信号LSCSを示している。
図6(B)はゲートライン104−1〜104−mが配置された領域の外側に設けられた図示せぬダミーのゲートラインに与えられるパルスGate DTを示している。
図6(C)〜(G)は図5に例示されたゲートライン104−1〜104−5に与えられるゲートパルスGP1、GP2、GP3、GP4、およびGP5を示している。
図6(H)はストレージライン105−1〜105−mが配置された領域の外側に設けられた図示せぬダミーのストレージラインに与えられるパルスCS_DTを示している。
図6(I)〜(L)は図5に例示されたストレージライン105−1〜105−4に与えられるパルスCS_1、CS_2、CS_3、およびCS_4を示している。
【0034】
垂直駆動回路102は、たとえば第1行目から順番にゲートライン104−1〜104−m、ストレージライン105−1〜105−mを駆動していくが、ゲートパルスで一のゲートラインを駆動する。
垂直駆動回路102は、ゲートラインを駆動した後(信号書き込み後)、次のゲートラインのゲートパルスの立ち上がりのタイミングで、ストレージライン105−1〜105−mに印加するストレージ信号CS1〜CSmのレベルを交互に接続する。
垂直駆動回路102は、以下のように、ストレージ信号CS1〜CSmのレベルを第1レベルCSHと第2レベルCSLを交互に選択してストレージライン105−1〜105−mに印加する印加する。
【0035】
たとえば、垂直駆動回路102は、第1行目のストレージライン105−1に第1レベルCSHを選択してストレージ信号CS1を印加した場合、第2行目のストレージライン105−2には第2レベルCSLを選択してストレージ信号CS2を印加する。
そして、垂直駆動回路120は、第3行目のストレージライン105−3には第1レベルCSHを選択してストレージ信号CS3を印加し、第4行目のストレージライン105−4には第2レベルCSLを選択してストレージ信号CS4を印加する。
以下同様にして、垂直駆動回路102は、交互に第1レベルCSHと第2レベルCSLを選択してストレージ信号CS1〜CSmをストレージライン105−1〜105−mに印加する。
また、垂直駆動回路102は、第1行目のストレージライン105−1に第2レベルCSLを選択してストレージ信号CS1を印加した場合、第2行目のストレージライン105−2には第1レベルCSHを選択してストレージ信号CS2を印加する。
そして、垂直駆動回路102は、第3行目のストレージライン105−3には第2レベルCSLを選択してストレージ信号CS3を印加し、第4行目のストレージライン105−4には第1レベルCSHを選択してストレージ信号CS4を印加する。
以下同様にして、垂直駆動回路102は、交互に第2レベルCSLと第1レベルCSHを選択してストレージ信号CS1〜CSmをストレージライン105−1〜105−mに印加する。
【0036】
本実施形態においては、ゲートパルスGPの立下り後、ストレージライン105−1〜105−mを駆動し、保持容量Cs201を介してカップリングさせることにより画素電位(ノードND201の電位)を変化させて、液晶印加電圧を変調させている。
そして、この駆動方式による実駆動中において、後述するように、モニタ回路における第1モニタ画素部107−1と第2モニタ画素部107−2の正負極性のモニタ画素電位(ノードND201の電位に相当する)を平均化した電位を検出する。
本実施形態では、その平均化した電位検出結果を最適コモン電圧Vcom値、またはリファレンスドライバにフィードバックすることでコモン電圧Vcomのセンター値を自動調整するように構成されている。
また、本実施形態においては、第1および第2モニタ画素部107−1,107−2から検出したモニタ画素電位に応じて有効画素部101の画素電位が任意の電位になるように、CSドライバから出力するストレージ信号CSが補正される。
【0037】
[垂直駆動回路のCSドライバの構成例]
図5には、垂直駆動回路102のCSドライバ1020のレベル選択出力部の一例を模式的に示している。
CSドライバ1020は、可変電源部1021、電源部1021の正極側に接続された第1レベル供給ライン1022、および電源部1021の負極側に接続された第2レベル供給ライン1023を有する。
さらに、CSドライバ1020は、第1レベル供給ライン1022または第2レベル供給ライン1023を画素配列の各行毎に配線したストレージライン105−1〜105−mとを選択的に接続するスイッチSW1〜SWmを含んで構成されている。
【0038】
また、図5中にΔVcsは第1レベルCSHと第2レベルCSLとのレベル差(電位差)を示している。
後で詳述するように、このΔVcsと小振幅の交流のコモン電圧Vcomの振幅ΔVcomは、黒輝度および白輝度をともに最適化できるような値に選定される。
たとえば後述するように、白表示のときに液晶に印加される実効画素電位ΔVpixWが0.5V以下の値となるようにΔVcsとΔVcomの値が決定される。
【0039】
垂直駆動回路102は、垂直シフトレジスタ群を含み、画素配列に対応して各行毎に配列されたゲートライン104−1〜104−mが接続され、ゲートバッファに対応して設けられた複数のシフトレジスタVSRを有する。
各シフトレジスタVSRは、図示しないクロックジェネレータにより生成された垂直走査の開始を指令する垂直スタートパルスVST、垂直走査の基準となる垂直クロックVCK(または互いに逆相の垂直クロックVCK,VCKX)が供給される。
たとえばシフトレジスタは、垂直スタ−トパルスVSTを、垂直クロックVCKに同期にてシフト動作を行い、対応するゲートバッファに供給する。
また、垂直スタートパルスVSTは、有効画素部101の上部側から、または下部側から伝搬され、各シフトレジスタに順番にシフトインされていく。
したがって、基本的には、シフトレジスタVSRにより供給された垂直クロックにより各ゲートバッファを通して各ゲートライン104−1〜104−mが順番に駆動されていく。
【0040】
水平駆動回路103は、水平走査の開始を指令する水平スタートパルスHST、水平走査の基準となる水平クロックHCK(または互いに逆相の垂直クロックHCK,HCKX)に基づいて、入力される映像信号Vsigを1H毎に順次サンプリングする。
これにより、水平駆動回路103は、信号ライン106−1〜106−nを介して垂直駆動回路102によって行単位で選択される各画素回路PXLCに対して書き込む処理を行う。
ここで、Hは水平走査期間を示す。
【0041】
<2.モニタ回路の構成および機能>
次に、モニタ回路120の構成および機能について詳述する。
【0042】
モニタ回路120は、前述したように、有効画素部101に隣接して独立(図4においては図中右側)に形成されている。
モニタ回路120は、1画素または複数画素を含む第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2、およびモニタ画素を駆動するためのモニタ垂直駆動回路108を有する。
さらに、モニタ回路120は、第1モニタ水平駆動回路109−1、第2モニタ水平駆動回路(HDRVM2)109−2、および検出出力回路110を有している。
【0043】
[モニタ画素の構成例]
第1モニタ画素部107−1および第2モニタ画素部107−2を構成する1または複数のモニタ(ダミー)画素は、基本的に有効画素部101の画素と同様の構成を有する。
図7(A),(B)に、第1モニタ画素部107−1および第2モニタ画素部107−2の1つのモニタ画素の構成例を示す。
【0044】
第1モニタ画素部107−1の第1モニタ画素回路PXLCM1は、図7(A)に示すように、スイッチング素子としてのTFT301、液晶セルLC301、および保持容量Cs301を有する。
TFT301のドレイン電極(またはソース電極)に液晶セルLC301の第1画素電極が接続されている。また、TFT301のドレイン電極(またはソース電極)には保持容量Cs301の第1電極が接続されている。
なお、TFT301のドレイン電極(またはソース電極)と、液晶セルLC301の第1画素電極と、保持容量Cs301の第1電極との接続点によりノードND301が形成されている。
【0045】
そして、第1モニタ画素回路PXLCM1のTFT301のゲート電極は、ゲートライン302に接続されている。
第1モニタ画素回路PXLCM1の保持容量Cs301の第2電極は、各行単位で同一のストレージライン303に接続されている。
また、第1モニタ画素回路PXLCM1のソース電極(または、ドレイン電極)は、信号ライン304に接続されている。
そして、第1モニタ画素回路PXLCM1の液晶セルLC301の第2画素電極は、1水平走査期間(1H)に極性が反転する、たとえば小振幅のコモン電圧VCOM(Vcom)の供給ライン112に接続されている。
【0046】
ゲートライン302は、モニタ垂直駆動回路108のゲートドライバにより駆動され、ストレージライン303はモニタ垂直駆動回路108の容量ドライバ(CSドライバ)により駆動され、信号ライン304は第1モニタ水平駆動回路109−1により駆動される。
【0047】
第2モニタ画素部107−2の第2モニタ画素回路PXLCM2は、図7(B)に示すように、スイッチング素子としてのTFT311、液晶セルLC311、および保持容量Cs311を有する。
TFT311のドレイン電極(またはソース電極)に液晶セルLC311の第1画素電極が接続されている。また、TFT311のドレイン電極(またはソース電極)には保持容量Cs311の第1電極が接続されている。
なお、TFT311のドレイン電極(またはソース電極)と、液晶セルLC311の第1画素電極と、保持容量Cs311の第1電極との接続点によりノードND311が形成されている。
【0048】
そして、モニタ画素回路PXLCM2のTFT311のゲート電極は、ゲートライン312に接続されている。
第2モニタ画素回路PXLCM2の保持容量Cs311の第2電極は、各行単位で同一のストレージライン313に接続されている。
また、第2モニタ画素回路PXLCM2のソース電極(または、ドレイン電極)は、信号ライン314に接続されている。
そして、第2モニタ画素回路PXLCM2の液晶セルLC311の第2画素電極は、1水平走査期間(1H)に極性が反転する、たとえば小振幅のコモン電圧VCOM(Vcom)の供給ライン112に接続されている。
【0049】
ゲートライン312は、モニタ垂直駆動回路108のゲートドライバにより駆動され、ストレージライン313はモニタ垂直駆動回路108の容量ドライバ(CSドライバ)により駆動され、信号ライン314は第2モニタ水平駆動回路109−2により駆動される。
【0050】
図4の例においては、モニタ垂直駆動回路108を兼用している。モニタ垂直駆動回路108の基本的な機能は有効画素部101を駆動する垂直駆動回路102と同様の機能を有している。
また、第1モニタ水平駆動回路109−1および第2モニタ水平駆動回路109−2の基本的な機能は有効画素部101を駆動する水平駆動回路103と同様の機能を有している。
【0051】
そして、第1モニタ画素部107−1の第1モニタ画素回路PXLCM1と第2モニタ画素部107−2の第2モニタ画素回路PXLCM2は、いずれか一方が正極性画素として駆動されるとき、他方は負極性画素として駆動される。
第1モニタ画素回路PXLCM1と第2モニタ画素回路PXLCM2は、たとえば1水平走査期間(1H)ごとに、交互に正極性画素と負極性画素となるよう駆動制御される。
【0052】
本実施形態における有効画素部101の駆動方式では、信号ライン106−1〜106−nからの画素データの書き込み後に、各行に独立して配線されているストレージライン105−1〜105−mから保持容量Cs201を介してカップリングを与える。
これにより、有効画素部101の駆動方法では、画素電位を変化させ、液晶印加電圧を変調する。
モニタ回路120は、この駆動方式による実駆動中において正極性または負極性の第1モニタ画素部107−1と負極性または正極性の第2モニタ画素部107−2の正負極性のモニタ画素電位を、検出出力回路110において平均化した中間電位を検出する。
モニタ回路120は、その結果を検出出力回路110の出力回路により出力し、コモン電圧Vcomのセンター値を自動調整する。
【0053】
[モニタ回路の基本概念]
図8は、本実施形態に係るモニタ回路120の基本概念を示す図である。
図8においては、図面の簡単化のために、モニタ垂直駆動回路108、第1モニタ水平駆動回路109−1および第2モニタ水平駆動回路109−2は省略してある。
また、図8においては、第1モニタ画素部107−1が正極性画素として駆動され、第2モニタ画素部107−2が負極性画素として駆動されている場合を例として示している。
【0054】
図8において、モニタ回路120を構成する検出出力回路110は、スイッチ121,122、および比較出力部123により構成されている。
また、液晶表示パネル(図4の液晶表示装置100)の外部には、出力端子TOおよび入力端子TIに接続されたコモン電圧Vcomの平滑用キャパシタC120が配置されている。
そして、モニタ回路120において、第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2、スイッチ121、およびスイッチ122により中間電位検出回路124が構成され、比較出力部123により出力回路125が構成されている。
【0055】
スイッチ121の固定接点aが第1モニタ画素部107−1の検出電位の出力に接続され、作動接点bが比較出力部123の第1入力に接続されている。
スイッチ122の固定接点aが第2モニタ画素部107−2の検出電位の出力に接続され、作動接点bが比較出力部123の第1入力に接続されている。
すなわち、スイッチ121およびスイッチ122の作動接点bの出力側が接続され、その接続点(ノードND121)が比較出力部123の第1入力に接続されている。
【0056】
比較出力部123の第2入力は入力端子TIとコモン電圧Vcomの供給ライン112との接続点(ノードND122)に接続されている。
比較出力部123は、センター値を自動調整したコモン電圧Vcomを出力端子TOに出力する。
【0057】
[モニタ回路における比較出力部の構成例]
図9は、本実施形態に係るモニタ回路における比較出力部の具体的な構成例を示す回路図である。
【0058】
図9の比較出力部123は、比較器(コンパレータ)1231、定電流源付きインバータ1232、ソースフォロワー1233、および平滑化キャパシタC123を有している。
【0059】
比較器1231は、ノードND121の中間電位VMHLとソースフォロワー1233の出力とを比較し、その結果(差電位)を定電流源付きインバータ1232に出力する。
【0060】
定電流源付きインバータ1232は、定電流源I121,I122、pチャネルMOS(PMOS)トランジスタPT121、nチャネルMOS(NMOS)トランジスタNT121を有する。
PMOSトランジスタPT121のゲートとNMOSトランジスタNT121のゲートが比較器1231の出力に共通に接続されている。また、PMOSトランジスタPT121のドレインとNMOSトランジスタNT121のドレイン同士が接続され、その接続点(ノードND123)がソースフォロワー1233の入力に接続されている。
PMOSトランジスタPT121のソースが定電流源I121に接続され、定電流源I121が電源電位VDD2に接続されている。
NMOSトランジスタNT121のソースが定電流源I122に接続され、定電流源I122が基準電位VSS(たとえば接地電位GND)に接続されている。
定電流源付きインバータ1232は、CMOSインバータを形成し、その電源電位側(ソース側)および基準電位側(ソース側)に、たとえば500nA程度の定電流を供給する定電流源I121,I122が接続されている。
【0061】
ソースフォロワー1233は、NMOSトランジスタNT122および定電流源I123を有する。
NMOSトランジスタNT122のゲートが定電流源付きインバータ1232の出力であるノードND123に接続されている。NMOSトランジスタNT122のドレインが電源電位VDD2に接続され、ソースが定電流源I123に接続され、その接続点(ノードND124)が比較器1231の第2入力と出力端子TOとの接続点であるノードD122に接続されている。
また、定電流源I123が基準電位VSS(たとえば接地電位GND)に接続されている。
【0062】
平滑化キャパシタC123の第1電極が、定電流源付きインバータ1232の出力であるノードND123とNMOSトランジスタNT123のゲートとの接続点に接続されている。平滑化キャパシタC123の第2電極が基準電位VSS(たとえば接地電位GND)に接続されている。
【0063】
このような比較出力部123により、中間電位検出回路124で検出した中間電位VMHLに追従するように、コモン電圧Vcomのセンター値が自動調整される。
【0064】
図10は、本実施形態に係る駆動方式における時間的な処理の流れを示す波形図である。
【0065】
図10に示すように、時刻t1で信号ライン106−1〜106−nからの画素データを書き込み、所定時間経過後した時刻t2にゲートライン104−1〜104−mへのゲートパルスを立ち下げて画素回路PXLCのTFT201をオフとする。
そして、時刻t3で各行に独立して配線されているストレージライン105−1〜105−mから保持容量Cs201を介してカップリングを与えることにより画素電位を変化させ、液晶印加電圧を変調する。
所定時間電位を保持させた後、時刻t4で中間電位検出回路124のスイッチ121,122がオンにされると、ノードND121において両電位がショートされ、結果として平均化される。
上記の例では、正極性画素である第1モニタ画素部107−1の第1モニタ画素回路PXLCM1の画素電位VpixHが5.9Vで、負極性画素である第2モニタ画素部107−2の第2モニタ画素回路PXLCM2の画素電位VpixLが−2.8Vである。
したがって、中間電位VMHLとして1.55Vが検出され、時刻t4において比較出力部123に入力される。
そして、比較出力部123により、中間電位検出回路124で検出した中間電位VMHLに追従するように、コモン電圧Vcomのセンター値が自動調整される。
【0066】
出力回路は、中間電位検出回路124が検出した中間電位VMHLとコモン電圧信号Vcomのセンター値に関する情報を含む情報としてフィードバックされる出力側信号との比較結果に応じてコモン電圧信号Vcomのセンター値を調整して出力する。
この処理は、基本的にアナログ信号処理である。モニタ回路のデジタル信号処理についても構成可能であるが、ここではその詳細は省略する。
【0067】
[モニタ回路における出力回路の電位揺らぎ防止回路の構成例]
次に、モニタ回路における出力回路の液晶電位の揺らぎ防止回路の構成例について説明する。
【0068】
図11は、本実施形態に係るモニタ回路における出力回路の液晶電位揺らぎ防止回路の構成例を示す図である。
【0069】
図11の液晶電位揺らぎ防止回路130は、複数(ここでは2)系統の第1および第2の出力回路125−1,125−2、第1および第2の平滑用キャパシタC120−1,C120−2、第1および第2のスイッチSW131,SW132を有する。
液晶電位揺らぎ防止回路130は、さらに、第1のノードND131、第2のノードND132,第3のノードND133を有する。
【0070】
本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130は、第1および第2のスイッチSW131,SW132によって平滑容量(第1および第2のキャパシタC120−1,C120−2を分割し合計サイズを切り替えられるように構成されている。
また、出力回路を二系統、すなわち、第1の出力回路125−1および第2の出力回路125−2が用意されている。
【0071】
第1および第2の出力回路125−1,125−2は、共通の制御信号ICTLが入力される。換言すれば、第1および第2の出力回路125−1,125−2は、制御信号ICTLの供給ラインに対して並列に接続されている。
【0072】
第1および第2の出力回路125−1,125−2は、たとえば図9に示すように、コンパレータ1231、定電流源付きインバータ1232、およびソースフォロワー1233を含んで構成可能である。
この場合、図示しないが、第1および第2の出力回路125−1,125−2は、その出力がフィードバックされ、入力制御信号ICTLは中間電位VMHLとなる。
【0073】
また、第1および第2の出力回路125−1,125−2は、たとえば図9に示す、定電流源付きインバータ1232、およびソースフォロワー1233を含んで構成可能である。
あるいは、第1および第2の出力回路125−1,125−2は、たとえば図9に示す、ソースフォロワー1233を含んで構成可能である。
この場合、入力制御信号ICTLは、コンパレータ1231の出力信号となる。
【0074】
第1および第2の出力回路125−1,125−2は、共通の制御信号ICTLが入力される。換言すれば、第1および第2の出力回路125−1,125−2は、制御信号ICTLの供給ラインに対して並列に接続されている。
この場合、入力制御信号ICTLは、定電流源付きインバータ1232の出力信号となる。
【0075】
第1の出力回路125−1の出力は第1のノードND131に接続され、第1のノードND131は第3のノードND133に直接的に接続されている。第3のノードND133は、液晶電位揺らぎ防止回路130の出力ラインに接続されている。
第2の出力回路125−1の出力は第2のノードND132に接続されている。
【0076】
第1の平滑用キャパシタC120−1は、第1電極が第1のノードND131に接続され、第2電極が基準電位、たとえば接地電位GNDに接続されている。
第2の平滑用キャパシタC120−2は、第2電極が第2のノードND132に接続され、第2電極が基準電位、たとえば接地電位GNDに接続されている。
【0077】
第1のスイッチSW131は、端子aが第2のノードND132に接続され、端子bが第1のノードND131に接続されている。
第2のスイッチSW132は、端子aが第2のノードND132に接続され、端子bが第3のノードND133に接続されている。
【0078】
このような構成を有する液晶電位揺らぎ防止回路130は、スタートアップ時と通常時とで、図示しない制御系により、第2の出力回路125−2、第1および第2のスイッチSW131,SW132に対して異なる制御が行われる。
具体的には、スタートアップ時は、第1および第2の出力回路125−1,125−2が駆動状態に制御され、第1および第2のスイッチSW131,SW132はオフ(非導通状態)に制御される。
そして、通常時は、第1の出力回路125−1は駆動状態、第2の出力回路125−2は非駆動状態(停止状態)に制御され、第1および第2のスイッチSW131,SW132はオン(導通状態)に制御される。
第2の出力回路125−2の駆動状態の制御は、たとえばソースフォロワー1233の電流源を停止する、あるいは、トランジスタのドレインと電源との間にスイッチングトランジスタを配置し、これをオンオフする等により行うことが可能である。
【0079】
ここで、モニタ回路における出力回路の液晶電位の揺らぎ防止回路130を形成する由について、図12(A)〜(D)に関連付けて説明する。
【0080】
前述したように、本実施形態のモニタ回路120は、基本的に、モニタ画素を有し、そのモニタ画素電位を検出し対向電位や保持電位にフィードバックを行っている。
その際に出力電位の揺らぎ(リップル)が生じると表示画にも揺らぎが生じ、画品位を損ねる。平滑容量のサイズを上げればリップルを抑制できるがスタートアップに時間がかかるようになる。
図9および図12(A)に示すように、出力回路と平滑用キャパシタC120を1対1で設けた場合、液晶に印加する対向電位や保持電位に揺らぎ(リップル)が起きると画面に揺らぎなど見え画品位が低下する。
図12(B),(C)に示すように、平滑容量のサイズを大きくするとリップルノイズの抑制が行える。
しかしながら、容量サイズを大きくすると充電に時間がかかってしまう。そうすると、図12(D)に示すように、スタートアップ時に画がすぐに切り替わらずにゆっくり変わっていくのが見えてしまう。
そこで、本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130は、平滑用キャパシタ(平滑容量)をスイッチングしスタートアップ時はサイズを小さく、通常時はサイズを大きくすることができるように、図11の構成が採用されている。
ただ単純にスイッチングを行うと電位の変動が発生してしまい画表示に問題が生じてしまうため、予備の平滑容量(図11では第2のキャパシタC120−2)をあらかじめ充電して置く回路構成が採用されている。
【0081】
図13(A)および(B)は、本実施形態に係る液晶電位の揺らぎ防止回路130のスタートアップ時と通常時の動作状態を示す図である。図13(A)がスタートアップ時の動作状態を、図13(B)が通常時の動作状態をそれぞれ示している。
【0082】
液晶電位の揺らぎ防止回路130においては、スタートアップ時は、図13(A)に示すように、第1および第2の出力回路125−1,125−2が駆動状態に制御され、第1および第2のスイッチSW131,SW132はオフ(非導通状態)に制御される。
このように、スタートアップ時は、第1および第2のスイッチSW131,SW132はオフ(非導通状態)に制御されることにより、平滑容量合計が小さくなるようにして、第1の出力回路125−1でチャージの高速化を行う。
【0083】
液晶電位の揺らぎ防止回路130においては、通常時は、図13(B)に示すように、
第1の出力回路125−1は駆動状態、第2の出力回路125−2は非駆動状態に制御され、第1および第2のスイッチSW131,SW132はオンに制御される。
このように、スタートアップが終了したならば、第1および第2のスイッチSW131,SW132がオンされて、2つの平滑容量を合算しリップルを抑えるように制御される。
しかしながら、平滑容量を接続する際に電荷の変動が、起こり出力電位が揺れてしまう可能性がある。
それを防止するために、もう一系統の第2の出力回路125−2を用い、予備の平滑容量としての第2のキャパシタC120−2をチャージしておく。そうすることにより、2つの平滑容量を接続した際の電位揺れを抑えられる。
また、接続が完了したなら2系統の出力回路を動かすことは電力の無駄となるため第2の出力回路125−2は動作停止状態に制御される。
【0084】
次に、1つのスイッチを用いて平滑容量を単純にスイッチングするのではなく、図11の液晶電位の揺らぎ防止回路130ように2つのスイッチを用いた構成を採用した理由について説明する。
【0085】
図14(A)および(B)は、図11の液晶電位の揺らぎ防止回路130のように2つのスイッチを用いて平滑容量を接続、非接続とする理由を説明するための図である。
図14(A)は1つのスイッチを用いて平滑容量を単純にスイッチングする例を示し、図14(B)は図11の液晶電位の揺らぎ防止回路130のように2つのスイッチを用いて平滑容量を接続、非接続とする例を示す図である。
なお、ここで、第1および第2の平滑用キャパシタC120−1,C120−2の容量値は共にCとする。また、充電する電圧はVとする。
【0086】
図14(A)の例の場合、まずスタートアップ中はスイッチSW133をオフして第1のキャパシタC120−1にはV1=V(V)が掛かっている。
第2のキャパシタC120−2はスイッチSW133がオープンの状態のため電圧は掛かっていない。
ここで、スイッチSW133をオンにすると電位差があるため電圧分配が発生する。
そうすると出力outの電圧は(1/2)CVとなってしまいこの電位変動が画表示に見えてしまう。
【0087】
図14(B)の例の場合、スタートアップ時は第1のスイッチSW131および第2のスイッチSW132がオフしている状態であり、第1のキャパシタC120−1にはV1=V(V)が、第2のキャパシタC120−2にはV2=V(V)が掛かっている。
ここで、第1のスイッチSW131および第2のスイッチSW132をオンしても同一の電圧が掛かっているので電圧の変動は発生しない。
よって、本実施形態においては、図11および図14(B)の構成が採用されている。
【0088】
以上のように、本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130においては、平滑容量である第1のキャパシタC120−1と第2のキャパシタC120−2をスイッチングによりスタートアップ時にはサイズを小さく、通常時はサイズを大きくする。
単純にスイッチングを行うと電位の変動が発生してしまい、画表示に問題が生じるおそれがあるため、予備の平滑容量としての第2のキャパシタC120−2をあらかじめ充電しておく回路構成が採用されている。
これにより、スタートアップ時間に影響を与えることなくリップルを抑制できる。
【0089】
次に、本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130が液晶パネルガラスとどのような関係をもって形成可能であるかについて、複数の形成例を挙げて説明する。
【0090】
図15は、本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130の第1の形成例を示す図である。
図16は、本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130の第2の形成例を示す図である。
図17は、本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130の第3の形成例を示す図である。
図18は、本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130の第4の形成例を示す図である。
【0091】
図15の第1の形成例では、液晶電位の揺らぎ防止回路130の全体が液晶(LCD)パネルガラスPNL内に低温ポリシリコン(LTPS)で一体形成されている。
【0092】
図16の第2の形成例では、容量、すなわち第1および第2のキャパシタC120−1,C120−2のみLCDパネル外に形成されている。そして、第2の形成例では、他の第1および第2の出力回路1245−1,125−2、第1および第2のスイッチSW131,SW132がLCDパネルガラスPNLにLTPSで一体形成されている。
【0093】
図17の第3の形成例では、第1および第2のキャパシタC120−1,C120−2、並びに、第1および第2のスイッチSW131,SW132がLCDパネルガラスPNL外に形成されている。そして、第3の形成例では、他の第1および第2の出力回路1245−1,125−2がLCDパネルガラスPNLにLTPSで一体形成されている。
【0094】
図18の第4の形成例では、第1および第2のキャパシタC120−1,C120−2、第1および第2のスイッチSW131,SW132、並びに第1および第2の出力回路1245−1,125−2がLCDパネルガラスPNL外に形成されている。
そして、液晶電位の揺らぎ防止回路130の出力outがLCDパネルガラスPNL内に入力される。
【0095】
次に、コモン電圧Vcomのセンター値を自動調整するシステムを液晶表示パネルに設ける理由について説明する。
【0096】
コモン電圧Vcomのセンター値の調整を行わない場合、表示画面においてフリッカが発生するという問題がある。また、正負極性にて、液晶層に印加される電圧が異なるために焼きつきの問題が発生する。
これらの対策として、出荷時の検査工程において、最適なコモン電圧Vcomのセンター値を調整し出荷を行う必要がある。この検査工程においては調整回路等を別途設ける必要もあり、煩雑な手間を要する。
検査工程で、コモン電圧Vcomセンター値を最適に調整したとしても、使用中の温度、駆動方式、駆動周波数、バックライト(B/L)輝度、外光輝度の変化によりまた連続使用によりコモン電圧Vcomのセンター値が最適値からシフトし同様の問題が発生する。
【0097】
本実施形態の液晶表示装置100は、コモン電圧Vcomのセンター値を自動調整するシステムを液晶表示パネルに形成してある。
したがって、煩雑な手間を要する出荷時の検査工程が不要で、使用中の温度、駆動方式、駆動周波数、バックライト(B/L)輝度、外光輝度の変化により、コモン電圧Vcomのセンター値が最適値からシフトしたとしても、次の利点がある。
すなわち、本実施形態の液晶表示装置100は、コモン電圧Vcomのセンター値を使用状況に応じた最適な値に保持することが可能となり、フリッカの発生を適応的に抑止できる利点がある。
【0098】
また、有効画素部101の実効画素の電位が、ゲートラインの立ち下がり時のカップリングにより、あるいは画素トランジスタであるTFT201における電流リークにより変動し、その結果、コモン電圧Vcomの最適なセンター値が変動する。
しかし、本実施形態のように、コモン電圧Vcomのセンター値を最適値に調整することにより、実効画素電位変動に伴う画質への影響を抑止できる。
【0099】
以下、実効画素の電位変動のメカニズムについて考察する。
【0100】
図19は、本実施形態の駆動方式による理想状態を示す図である。なお、図19中に示す電圧値等は理解を容易にするために示してあるものであり、実際の駆動時とは異なる場合もある。
【0101】
図19に示すように、画素電位が理想どおりなら映像信号Sigのセンター電位に対して対称に振幅する。
正(+)極性と負(−)極性で画素電位Pix対Vcom電位差が均等なら輝度差が生じずフリッカが見えなくなる。
すなわち、Pix対Vcom電位が+/−極性とも等しくなり、映像信号Sigのセンター値が最適Vcom値となるはずである。
しかし、実際の最適なVcom値は映像信号Sigのセンター値より低い。これは、ゲートラインの立ち下がり時のカップリングにより、あるいは画素トランジスタであるTFT201における電流リークによるものと考えられる。
【0102】
[ゲートカップリング]
図20(A),(B)は、本実施形態に係る駆動方式において正(+)極性と負(−)極性での画素電位Pix対Vcom電位差の関係を示す図である。
TFT201のゲート(Gate)の+方向のカップリングは画素トランジスタTFT201がオンの期間であることから打ち消されるが、−方向のカップリングは打ち消せず画素電位がドロップする。
そうするとVcom電位=Sigセンター電位であると、Pix対Vcom電位が+/−極性で不均一となってしまい、最適なコモン電圧Vcomではなくなってしまう。
【0103】
[画素トランジスタのリーク]
図21は、画素トランジスタのリーク要因を模式的に示す図である。
画素トランジスタのリークには、信号ラインへのリーク(TFTのソース(S)‐ドレイン(D)間のリーク)とゲートラインへの充放電によるリーク(TFTのソース(S)‐ゲート(G)間のリーク)が存在する。
S-D間リークとS-G間リークが複合された結果、画素電位(Pix電位)がドロップする。
これらによって、光による電流Ioffの増大や周波数による保持期間の変動などの影響を画素電位(Pix電位)が受けることになる。
【0104】
図22(A),(B)は、本実施形態に係る駆動方式において正(+)極性と負(−)極性でゲートカップリングおよび画素トランジスタのリークによる状態をまとめて示す図である。
図22(A),(B)において、破線はゲートカップリングおよび画素トランジスタのリークがない場合の波形を示し、実線はゲートカップリングおよび画素トランジスタのリークがある場合の波形を示している。
−極性側はS-D間リークとS-G間リークの方向が逆なので実際の方向はどちらのリークが多いかによる。
+極性側はS-D間リークとS-G間リークとも同じ方向で画素電位がドロップする方向へ向かう。
このように、ゲートカップリング、および、または画素トランジスタのリークにより画素電位がドロップ(降下)し、最適Vcom値が下方向にシフトする。
【0105】
本実施形態においては、コモン電圧Vcomのセンター値を最適値に自動調整することにより、実効画素電位変動に伴う画質への影響を抑止できる。
【0106】
図23は、本実施形態に係るコモン電圧Vcomのセンター値の自動調整により、画素電位変動要因による影響を抑止できる項目を示す図である(○は調整できること、×は調整できないことを示す)。図23においては、比較対照して検査工程による抑止項目を示している。
本実施形態によれば、検査工程においても、抑止できない画素トランジスタ(Tr)のオフリークによる実使用時の駆動周波数変動、温度、エージングによる影響を抑止できる。また、本実施形態によれば、検査工程においても、抑止できない画素トランジスタの光リークによる実使用時の駆動周波数変動、温度、バックライト輝度、外光輝度による影響を抑止できる。
【0107】
以上、コモン電圧Vcomのセンター値の自動調整について説明した。
次に、本実施形態に係るモニタ画素部の画素配置について考察する。
【0108】
本実施形態においては、前述したように、有効画素部101に隣接して独立に(図4においては図中右側に)モニタ回路120が形成されている。
モニタ回路120は、第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2、モニタ垂直駆動回路108、第1モニタ水平駆動回路109−1、第2モニタ水平駆動回路109−2、および検出出力回路110を有する。
このように、有効画素部101に隣接して独立にモニタ回路120が形成されている理由を以下に示す。
【0109】
図24に示すように、モニタ画素を有効画素部101の一部としてたとえば1行分あるいは1画素を含むように形成することも可能である。
そして、有効画素部101と同じ垂直駆動回路102、水平駆動回路103でゲートライン、ストレージライン、信号ラインを駆動することにより、有効表示画素と同等のモニタ画素電位を得るように形成することも可能である。
しかし、この構成では、モニタ画素は表示画素と同等の電位が必要なためモニタ画素部の構成を大きく変えることができず、有効画素部(有効表示領域)の上端もしくは下端にしか配置(横置き配置)できない。
また、表示画素と同じ駆動信号(制御信号)を使うことになるため制御信号の自由度が低い。また信号ラインも表示領域と共有しているので、信号ラインからのカップリングの影響も無視できないという問題もある。
本実施形態の駆動方式によれば、モニタ画素への書き込み後、1フレーム期間の中間にて検出を行うことで最適な補正を行うことが可能である。
しかし、図25に示すように、1フレーム期間の中間では表示画素により変動する信号ラインの影響を受けてモニタ画素電位が変動してしまうため、映像信号のブランキング期間の補正にせざるを得ない。
そして、上述したコモン電圧Vcomのセンター値の自動調整化システムのために必要な+極性、−極性の両極性画素の配置も困難である。
そこで、本実施形態においては、有効画素部101に隣接して独立に、第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2、モニタ垂直駆動回路108、モニタ水平駆動回路109−1、109−2を含むモニタ回路120が形成されている。
【0110】
また、モニタ画素部を複数のモニタ画素回路で形成する場合、図26(A),(B)に示すように、複数のモニタ画素で単純にゲートラインを共有(共用)するように構成すると、ゲートカップリングの量が変わってしまう。
図26(A)に示すように、モニタ画素配置を横置きとしてゲートラインを共有するように構成した場合、隣接画素のゲートカップリングの影響を受ける。
また、図26(B)に示すように、モニタ画素配置を縦置きとしてゲートラインを共有した場合、自画素だけでなく隣接画素のゲートカップリングも同時に受けるので、画素電位がドロップする量が大きい。
そこで、本実施形態においては、以下に示すように、ゲートラインの配置をいわゆる入れ子に配置することにより、モニタ画素を縦置きとしても自ライン分のみのゲートカップリングとするように構成されることが好ましい。
【0111】
図27は、本実施形態に係るモニタ画素部における画素配置例を示す図である。また、図28は、図27のモニタ画素部の駆動波形例を示す図である。
【0112】
図27に示すモニタ画素部107Aは、16個の画素回路PXLCM11〜PXLCM44を4×4のマトリクス状に配列されている例を示している。マトリクス配列する画素数はこれに限定されるものではない。
【0113】
このモニタ画素部107Aは、マトリクス画素配列において、列方向で2分した領域ARA1,ARA2が形成されている。
画素配列の各行において、実際のモニタには用いない空駆動用の第1モニタ画素回路(図中、pixAで示している)領域ARA11と、実際のモニタ画素として用いる第2モニタ画素(図中、pixBで示している)領域ARA21が形成されている。
そして、各2分領域ARA1,ARA2においては、列方向において、第1モニタ画素領域ARA11と第2モニタ画素領域ARA21が行毎に交互に配置されている。
したがって、第1モニタ画素回路pixAと第2モニタ画素回路pixBは、画素配列の列方向においてはジグザグに配置されることになる。
【0114】
モニタ画素部107の第1モニタ画素回路pixAおよび第2モニタ画素回路pixBは、図27に示すように、スイッチング素子としてのTFT321、液晶セルLC321、および保持容量Cs321を有する。TFT321のドレイン電極(またはソース電極)に液晶セルLC321の第1画素電極が接続されている。また、TFT321のドレイン電極(またはソース電極)には保持容量Cs321の第1電極が接続されている。
なお、TFT321のドレイン電極(またはソース電極)と、液晶セルLC321の第1画素電極と、保持容量Cs321の第1電極との接続点によりノードND321が形成されている。
【0115】
そして、図27のモニタ画素部107Aにおいては、ゲートラインを第1ゲートラインGT1と、第2ゲートラインGT2の2つが用いられている。
第1ゲートラインGT1に対して第1モニタ画素領域ARA11の第1モニタ画素回路pixAのTFT321のゲート電極が接続されている。第2ゲートラインGT2が第2モニタ画素領域ARA21の第2モニタ画素回路pixBのTFT321のゲート電極が接続されている。
第2モニタ画素回路pixBのノードND321が、導電性配線たとえばITOにより接続されている。そして、4行2列目の第2モニタ画素回路PXLCM42のノードND321が検出出力回路110に接続される。
図27の例では、実際のモニタ画素として、画素回路PXLCM13、PXLCM22、PXLCM33、およびPXLCM42が割り当てられている。
【0116】
また、第1モニタ画素回路pixAおよび第2モニタ画素回路pixBの保持容量Cs321の第2電極は、各行単位で同一のストレージラインL321に接続されている。
また、同一列に配列された第1モニタ画素回路pixAおよび第2モニタ画素回路pixBのソース電極(または、ドレイン電極)は、それぞれ信号ラインL322−1〜L322−4に接続されている。
そして、第1モニタ画素回路pixAおよび第2モニタ画素回路pixBの第2画素電極は、1水平走査期間(1H)に極性が反転する、たとえば小振幅のコモン電圧VCOM(Vcom)の供給ラインに接続されている。
【0117】
このモニタ画素部107Aは、図28に示すように、まず第1ゲートラインGT1を駆動して第1モニタ画素回路pixAが空駆動される。ここで隣接ライン分のゲートカップリングはここで受けるが第1ゲートラインGT1の立ち下げのタイミングで元に戻る。
次に、第2ゲートラインGT2を駆動して第2モニタ画素回路pixBが本駆動される。この場合、ゲートカップリングは自画素分だけで、隣接画素のゲートカップリングを受けることがない。したがって、画素電位がドロップする量を有効画素部101の画素回路
PXLCと同等にすることが可能となる。
このように、本実施形態においては、ゲートラインの配置をいわゆる入れ子に配置することにより、モニタ画素のゲートカップリングを自ライン分のみとすることができる。
【0118】
図27に示すモニタ画素部は、図4の第1モニタ画素部107−1と第2モニタ画素部107−2に適用することが可能である。
【0119】
このように、本実施形態においては、有効画素部101に隣接して独立に、第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2、モニタ垂直駆動回路108、モニタ水平駆動回路109−1、109−2を含むモニタ回路120が形成される。
また、本実施形態においては、ゲートラインの配置をいわゆる入れ子に配置するように構成することから、パネルデザインの自由度が増すという利点がある。
これにより、モニタ回路120の構成回路、すなわち第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2、モニタ垂直駆動回路108、モニタ水平駆動回路109−1、109−2の配置も容易となる。
図4のように、有効画素部101に隣接して図中右側にモニタ回路120の全ての構成回路を配置することも可能な他、種々の態様で配置することが可能である。
たとえば、図29(A)に示すように、有効画素部101の図中の右側および上側に分けて配置することも可能である。
また、図29(B)に示すように、第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2を並列に配置する。そして、モニタ水平駆動回路109を第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2の上側に、モニタ垂直駆動回路108を下側に配置することも可能である。
【0120】
また、モニタ画素部専用の垂直および水平駆動回路を有効画素部101とは別個に持つことが可能となり、前述した信号ラインの振幅の問題でブランキング期間中しか検出できないという問題も解決することができる。
【0121】
ところで、前述したように、有効画素(表示画素)とモニタ画素を個別に配置して駆動を行うと、構造上の違いにより目的のモニタ画素電位からのシフトが懸念される。
そこで、本実施形態では、このモニタ電位の目的電位からのシフトを調整する回路を採用している。
【0122】
本実施形態では、モニタ回路120において、正(+)/負(-)極性よりなる一対のモニタ画素部107−1,107−2を配置する。そして、両モニタ画素部107−1,107−2の検出画素電位をショートさせることで、平均電位を生成してコモン電圧Vcomの電位(センター値)の調整(補正)を行うシステムを採用している。
この電位が有効画素のVcom電位と一致するはずである。
しかし、モニタ画素と表示画素(有効画素)を独立に配置していると、たとえば図30(A)〜(D)に示すように、液晶セルギャップ、層間絶縁膜などのパネル面内バラツキによって表示画素と物性値の差異ができてしまう可能性がある。
たとえば、液晶セルギャップのバラツキによって液晶容量に影響があり、層間絶縁膜のバラツキによって、たとえば保持容量、TFTのゲート寄生容量、トランジスタ特性に影響がある。
このような場合、モニタ回路で誤差が生じ目標値からシフトするおそれがある。この問題は、たとえば以下に示す、二通りの異なる方法およびそれらの組み合わせにより解決することが可能である。
第1は、このモニタ画素にそれぞれ異なる振幅の信号を書き込み検出画素電位のオフセットを行い補正する方法である。
第2は、モニタ画素に容量を付与し検出画素電位をオフセットさせて補正する方法である。
これらに第1の方法または第2の方法、あるいは両方法の組み合わせによってシフト分をキャンセルすることが可能となる。
【0123】
まず、第1の方法の信号Sigの電位によるオフセット補正について説明する。
【0124】
図31(A),(B)は、信号Sigの電位によるオフセット補正について説明するための図である。
図31(A)はモニタ画素にそれぞれ同じ振幅の信号を書き込んだ場合の中間電位の検出出力を、図31(B)はモニタ画素にそれぞれ異なる振幅の信号を書き込み検出画素電位のオフセットを行った場合の中間電位の検出出力をそれぞれ示している。
【0125】
この第1の方法では、前述のシフト分に対してモニタ画素の電位もシフトさせることによって解決を行う。
図31(B)に示すように、本実施形態においては、一対のモニタ画素部を有しているがそれぞれに異なる振幅の信号を書き込む。
検出画素電位はモニタ画素の出力をショートして生成することから、これにより検出画素電位のシフトが可能である。
なお、この例では−側の書き込みをシフトさせる場合を記載したが同様にSig+の振幅を変更させて検出電位をシフトさせることも可能である。
【0126】
図32は、信号Sigの電位によるオフセット補正を実現可能な回路の第1の構成例を示す図である。
【0127】
この回路は、たとえば第1モニタ画素部107-1、第2モニタ画素部107−2にそれぞれ対応して設けられている第1モニタ水平駆動回路109−1,第2モニタ水平駆動回路109−2の出力段に書き込み回路が配置される。
すなわち、この回路は、その出力段に正極性モニタ画素専用の書き込み回路1091−1および負極性モニタ画素専用の書き込み回路1091−2を配置し、映像信号Sigの振幅を独立に制御する。
書き込み回路1091−1,1091−2は、デジタルアナログコンバータDACと増幅器ampを有する。
【0128】
図33は、信号Sigの電位によるオフセット補正を実現可能な回路の第2の構成例を示す図である。
【0129】
この回路は、第1モニタ水平駆動回路109−1,第2モニタ水平駆動回路109−2の出力段に、DACの代わりに分割抵抗群DRG1、DRG2が設け、映像信号Sigの振幅を独立に制御する。
図33の例では、分割抵抗群DRG1、DRG2の各分割抵抗はスイッチSWによって切り替えるように構成されているが、この他にもたとえばレーザリペアによって抵抗を切り離して制御する方法も採用することが可能である。
【0130】
なお、これらの検出系やSig書き込み系は、必ずしもLCDパネル内に一体的に形成する必要はなく、たとえば図34(A),(B)に示すように、COGやCOFなど外付けIC内に実現することも可能である。
【0131】
まず、第2の方法の付加容量によるオフセット補正について説明する。
【0132】
図35は、付加容量によるによるオフセット補正の概要について説明するための図である。
【0133】
この第2の方法では、モニタ画素PXLCMの電位検出ノードND321に付加容量COFSを付け、モニタ画素の電荷量を調整する。
正極性モニタ画素、負極性モニタ画素の両方に容量COFをつけ、レーザリペアやスイッチングにより、付加容量を調整することにより、検出画素オフセットが可能となる。
図35の例は、オフセットスイッチSWOFのスイッチングにより容量を付加する例を示している。
【0134】
図36は、付加容量によるオフセット補正を採用した中間電位検出回路の構成例を示す回路図である。
【0135】
図36の中間電位検出回路124Aは、第1モニタ画素部107−1のノードND301に対してNMOSトランジスタによるスイッチSW107−1を介して並列配置された複数の容量素子(キャパシタ)からなる付加容量COF107−1が接続されている。
第2モニタ画素部107−2のノードND311に対してPMOSトランジスタによるスイッチSW107−2を介して並列配置された複数の容量素子(キャパシタ)からなる付加容量COF107−2が接続されている。
そして、スイッチSW107−1のゲート電極(制御電極)がインバータINV107を介してオフセット信号SOFSTの供給ラインに接続され、スイッチSW107−2のゲート電極(制御電極)がオフセット信号SOFSTの供給ラインに接続されている。
図36の例では、第1モニタ画素部107−1が正極性画素、第2モニタ画素部107−2が負極性画素として示している。また、図36の例では、検出画素電位をショートさせ平均化させるためのスイッチ121,122はトランジスタにより形成されている。
【0136】
図37は、付加容量の接続タイミング例を示すタイミングチャートである。
【0137】
図37に示すように、画素電位検出期間はオフセット信号SOFSTがアクティブのローレベルに設定されて付加容量COF107−1、COF107−2が電位検出のためのノードND301、ND311に接続される。
一方、未検出期間はオフセット信号SOFSTがハイレベルに設定されてノードND301、ND311に対して付加容量はCOF107−1、COF107−2が接続されない。
また、付加容量接続期間は、付加容量が接続されているので、CSカップリング量が減少する。
【0138】
図38は、検出画素電位オフセット補正回路の画素電位ショートモデルを示す図であり、以下にこのモデルに基づく検出画素電位オフセット補正回路のモデル式を示す。
【0139】
【数2】

ここで、VHは正極性の信号線書き込み電位を、VLは負極性の信号線書き込み電位をそれぞれ示している。
【0140】
以下にモデル式を示す。
図39は、付加容量値を変更した場合の画素電位波形を示す図である。
次式に上記(2)式を用いて図39の[1],[2]の条件に付加容量を変更した場合のコモン電圧Vcomのセンター値comを示す。
【0141】
【数3】

【0142】
この[1],[2]の結果より、付加容量を変更することにより、検出画素電位のオフセット補正が可能である。
【0143】
図40は、付加容量COFの定数を変更とする構成例を示す図である。
【0144】
付加容量COFの定数は、図40に示すように制御信号CTLによりスイッチSWOF
をオンオフさせて制御することも可能である。
あるいは、レーザによって物理的に切り離し付加容量COFの定数を設定することも可能である。
【0145】
また、前述したように、有効画素(表示画素)とモニタ画素を個別に配置し駆動を行い、モニタ画素電位を検出し、検出画素電位を、スイッチ121,122を介して検出ラインをショートして平均化するように構成している。
この構成において、ショートする動作後、モニタ画素の検出画素電位を再書き込みする処理を行う場合と行わない場合では、電位の偏りが生じ、焼きつきなど画素機能が劣化するおそれがある。
そこで、本実施形態では、検出画素電位のショート処理後再書き込みを行うように構成して電位の偏りを是正し、電気的保護を行うようにする。
【0146】
本実施形態においては、正(+)/負(−)極性のモニタ画素の検出画素電位をショートさせることで、平均電位を生成しコモン電圧Vcomのセンター値の調整を行う。
通常液晶の駆動は、図41(A)に示すように、交流で行い電位の偏りを生じさせないようにする。
しかし、交互にモニタ画素電位検出を行うようなスイッチのショート、オープン状態を繰り返すようなシステムでは、図41(B)に示すように、電位の偏りが生じる懸念がある。ショートすると−極性にかかっている期間が短くなってしまうので電位が偏る。
図41(B)の例では負極性側が短い状況だが対になる検出画素では逆に正極性が短いケースとなる。
【0147】
図42は、モニタ画素電位のショート処理による電位の偏りを生じさせない方法を説明するための図である。
【0148】
検出系システム(検出出力回路110)が所望の電位を読み取った後ならばショート状態を維持する必要はない。
そのため、検出完了後に再びショート前と同じ電位を書き込む。
この再書き込みを行う前に一旦再書き込み準備を行う必要がある。このシステムについて後述する。
【0149】
図43(A),(B)は、モニタ画素電位のショート処理による電位の偏りを生じさせない方法をより具体的に説明するための図である。
【0150】
画素電位はTFT(画素トランジスタ)を介して書き込まれた後、CSカップリングによって所望の電位を得る。
初回書き込み時に一旦カップリングをしてしまうため再書き込み時にはこのCSカップリングを与えるためには工夫が必要である。
そのため、準備動作として一旦CSカップリング方向とは逆方向に振る(画素極性によってH/Lの方向は変わる)。すなわち、準備動作として一旦CSカップリング方向とは逆方向にCSカップリングを行う。
無論、逆方向に振ることにより画素電位も影響を受けるが、再書き込み用のゲートパルスが来る直前の位置で行うと正規の信号で書き直されるので影響をキャンセルできる。
【0151】
図44は、モニタ画素電位のショート処理による電位の偏りを生じさせない電位偏り抑止回路の第1の構成例を示す図である。
また、図45(A),(B)は、図44の回路のタイミングチャートである。
【0152】
図44の電位偏り抑止回路400は、2入力ORゲート401、シフトレジスタ(SRG)402〜404、およびSR型フリップフロップ(SRFF)405を有する。
電位偏り抑止回路400は、さらに、3入力ANDゲート406、CSリセット回路407、CSラッチ回路408、および出力バッファ409を有する。
【0153】
2入力ORゲート401は、通常書き込み用の転送パルス(垂直スタートパルス)VSTまたは再書き込み用の転送パルスVST2を入力し出力する。
シフトレジスタ(SRG)402〜404は、ORゲート401の出力に対して縦続接続されている。
SRFF405は、通常書き込み用の転送パルスVSTによりセットされ、最終段のシフトレジスタ404によるパルスV3によりリセットされ、反転出力XQからローレベルでアクティブのマスキング信号MSKを出力する。
3入力ANDゲート406は、中段のシフトレジスタ403の出力パルスV2、マスキング信号MSKおよびイネーブル信号ENBの論理積をとる。
CSリセット回路407は、極性認識パルスPOLに同期してANDゲート406の出力信号S406を入力してCSリセット信号Cs resetを出力する。
CSラッチ回路408は、極性認識パルスPOLに同期してシフトレジスタ404の出力パルスV3をラッチし、CSリセット信号Cs resetでラッチデータをリセットする。
出力バッファ409は、CSラッチ回路408の出力をストレージ信号CSとして出力する。
【0154】
このように、図44の電位偏り抑止回路400は、再書き込み準備ができるようにCSリセット回路407を有している。
このCSリセット回路407は、ストレージ信号CSの極性を認識し現在と逆の方向にリセット(再書き込み準備)を行う。その際に再書き込み直前に準備できるように前段のシフトレジスタ403のパルスV2を使う。
また、逆方向に振るために現在の極性を判定する必要がある。そのために極性に同期した極性認識パルスPOLを入力している。また、マスク中はCSリセット信号Cs resetは出力されないように構成されている。この例では、パルスV3のタイミングで画素書き込みが行われる。
【0155】
図46は、モニタ画素電位のショート処理による電位の偏りを生じさせない電位偏り抑止回路の第2の構成例を示す図である。
また、図47(A),(B)は、図46の回路のタイミングチャートである。
【0156】
図46の電位偏り抑止回路400Aは、再書き込み準備を直前ではないが回路構成の単純化のために、図44の電位偏り抑止回路400からマスク用のSRFFが削除されている。この場合、転送パルスVST2のタイミングで再書き込み準備をする構成とすることも可能である。
図46の電位偏り抑止回路400Aは、リセットされている期間が長くなるが無視できるほどの期間であれば有用である。
【0157】
なお、これらの電位偏り抑止回路は、LTPSによる一体成型によるのかCOG、COFなどの外付けかは問わない。
【0158】
次に、モニタ回路120におけるゲートラインの配線について考察する。
【0159】
前述したように、本実施形態においては、ゲートラインの配置をいわゆる入れ子に配置するゲート配線を採用しているが、基本的に、表示画素(有効画素)とモニタ画素のゲートラインの時定数が不一致であると、両者の画素電位に差異が生じる。両者の画素電位が同等ということが前提でVcomセンター値や後で説明するCSやSigの補正回路の出力がずれるおそれがある。
そこで、本実施形態においては、時定数の小さいモニタ画素側に調整用抵抗を設ける。より具体的には、モニタ画素のゲートラインの形状を工夫し抵抗となるようにする。それにより有効画素と時定数が一致させて上記課題を解決する。
【0160】
図48(A)〜(C)は、ゲートラインの時定数ずれの要因を説明するための図であって、図48(A)は画素の等価回路を示す図であり、図48(B)はゲート波形を比較した図であり、図48(C)は時定数ずれの要因を時系列的に説明するための図である。
図48(A)〜(C)に示すように、ゲート波形のなまりにより、液晶容量Clcより電荷再注入が起こり、画素電位がずれる。
ゲート波形のなまり方が違うとモニタ画素(検出画素)電位のずれが生じる。その結果、補正機能が正常に動作しない場合が発生するおそれがある。
【0161】
図49(A),(B)は、本実施形態における有効画素のレイアウトモデルとモニタ画素(検出画素)のレイアウトモデルを示す図である。
【0162】
本実施形態においては、モニタ回路120側のゲートラインGT2、GT1を時定数調整のために、配線を図49(B)に示すように折り曲げて(蛇行させて)配置する。この場合、折り曲げ回数で時定数を調整する。
【0163】
図50(A),(B)は、ゲートラインの時定数を一致させる方法の一例を示す図である。
【0164】
この例では、有効画素負荷モデルとモニタ画素(検出画素)負荷モデルの各測定点MPNT1,MPNT2の時定数が一致するように抵抗の配線レイアウトを工夫する。
【0165】
図51(A)〜(C)は、ゲートラインの時定数を一致させる方法においてレイアウトオプションを用いる例を示す図である。
【0166】
この例では、通常レイアウトをオプションレイアウト1,2、または、並列配線に変更することも可能である。製造後、検出電位異常となった場合、レーザリペアすることで、時定数を調整することが可能である。
【0167】
以上、コモン電圧Vcomのセンター値の自動調整(補正)系について説明した。
次に、本実施形態に係るコモン電圧Vcomの値について説明する。
【0168】
本実施形態においては、たとえば1水平走査期間(1H)毎に極性が反転する小振幅のコモン電圧Vcomとして、供給ライン112を通して各部に供給される。
小振幅のコモン電圧Vcomは、有効画素部101の全画素回路PXLCの液晶セルLC201の第2画素電極、モニタ回路120の第1モニタ画素部107-1,第2モニタ画素部107−2の液晶セルLC301、LC311の第2画素電極に供給される。
【0169】
コモン電圧Vcomの振幅の振幅ΔVcomの値は、ストレージ信号CSの第1レベルとCSHと第2レベルCSLとの差ΔVcsとともに、黒輝度および白輝度をともに最適化できるような値に選定される。
たとえば後述するように、白表示のときに液晶に印加される実効画素電位ΔVpixWが0.5V以下の値となるようにΔVcsとΔVcomの値が決定される。
【0170】
コモン電圧生成回路としては、液晶パネル内に設ける構成を採用することも可能であり、あるいはパネル外に配置して、パネル外からコモン電圧Vcomを供給するように構成することも可能である。
【0171】
小振幅は容量カップリング(結合)を利用、またはデジタル的に生成して、使用することが可能である。
小振幅ΔVcomの値は、極力小さい振幅、たとえば10mV〜1.0V程度の振幅が
良い。理由は、それ以外であるとオーバドライブによる応答速度の改善、音響のノイズ低減などの効果が小さくなってしまうためである。
【0172】
以上のように、液晶表示装置100において、容量カップリングを利用した容量結合駆動を行う際に、次の値が最適化できるような値に選定される。
すなわち、コモン電圧Vcomの振幅の振幅ΔVcomの値と、ストレージ信号CSの第1レベルとCSHと第2レベルCSLとの差ΔVcsの値が、黒輝度および白輝度をともに最適化できるような値に選定される。
たとえば、白表示のときに液晶に印加される実効画素電位ΔVpix Wが0.5Vより低い値となるようにΔVcsとΔVcomの値が決定される。
以下、本実施形態に関わる容量結合駆動方式についてさらに詳細に説明する。
【0173】
図52(A)〜(E)は、本実施形態の主要な液晶セルの駆動波形を示すタイミングチャートである。
図52(A)がゲートパルスGP Nを、図52(B)がコモン電圧Vcomを、図52(C)がストレージ信号CS Nを、図52(D)が映像信号Vsigを、図52(E)が液晶セルに印加される信号Pix Nをそれぞれ示している。
【0174】
本実施形態に関わる容量結合駆動においては、コモン電圧Vcomは一定の直流電圧ではなく1水平走査期間(1H)毎に極性が反転する小振幅の交流の信号として生成される。
そして、コモン電圧Vcomは、各画素回路PXLCの液晶セルLC201の第2画素電極、モニタ回路120の第1モニタ画素部107-1,第2モニタ画素部107−2の液晶セルLC301、LC311の第2画素電極に印加される。
ストレージ信号CS Nは、有効画素部101の各ゲートライン毎に対応して独立に配線された各ストレージライン105−1〜105−m毎に第1レベルCSH(たとえば3V〜4V)または第2レベルCSL(たとえば0V)のいずれかに選択して与えられる。
このように駆動された場合の、液晶に印加される実効画素電位ΔVpixは次式で与えられる。
【0175】
【数4】

【0176】
図53示すように、数(4)において、Vsigは映像信号電圧、Ccsは保持容量、Clcは液晶容量を、CgはノードND201とゲートライン間の容量をそれぞれ示している。CspはノードND201と信号ライン間の容量を、ΔVcsは信号CSの電位を、Vcomはコモン電圧をそれぞれ示している。
数(4)において、近似式の第2項{(Ccs/Ccs+Clc)*ΔVcs}が液晶誘電率の非線形性により白輝度側が黒くなる(沈む)要因となる項である。近似式の第3項{(Clc/Ccs+Clc)*ΔVcom/2}が液晶誘電率の非線形性により白輝度側を白くする(浮かせる)項である。
すなわち、近似式の第2項の低電位(白輝度側)が黒くなる(沈む)傾向部分が第3項により低電位側を白くする(浮かせる)機能により補償するように動作する。
そして、黒輝度および白輝度をともに最適化できるような値に選定することで、最適なコントラストを得ることができる。
【0177】
図54(A),(B)は液晶表示装置で使用される液晶材料(ノーマリホワイト液晶)を用いた場合の白表示のときに液晶に印加される実効画素電位ΔVpix Wの選定基準を説明するための図である。図54(A)が印加電圧に対する比誘電率εの特性を示す図であり、図54(B)は図54(A)の特性が大きく変化する領域を拡大して示す図である。
【0178】
図に示すように、液晶表示装置に使用されている液晶特性では、約0.5V以上の電圧を印加すると、白輝度が沈んでしまう。
そのため、白輝度を最適化するためには、白表示のときに液晶に印加される実効画素電位ΔVpix Wが0.5V以下とする必要がある。したがって、実効画素電位ΔVpix Wが0.5V以下となるようにΔVcsとΔVcomの値が決定される。
【0179】
実際に評価した結果としては、ΔVcs=3.8V、ΔVcom=0.5Vのとき、最適なコントラストが得られた。
【0180】
図55は、本発明の実施形態に係る駆動方式、関連する容量結合駆動方式、および通常の1HVcom駆動方式の映像信号電圧と実効画素電位との関係を示す図である。
図55において、横軸が映像信号電圧Vsigを、縦軸が実効画素電位ΔVpixをそれぞれ示している。また、図55中、Aで示す線が本発明の実施形態に係る駆動方式の特性を、Cで示す線が関連する容量結合駆動方式の特性を、Bで示す線が通常の1HVcom駆動方式の特性を示している。
【0181】
図55からわかるように、本実施形態に係る駆動方式によれば、関連する容量結合駆動方式に比べて十分な特性改善が得られている。
【0182】
図56は、本発明の実施形態に係る駆動方式、および関連する容量結合駆動方式の映像信号電圧と輝度との関係を示す図である。
図56において、横軸が映像信号電圧Vsigを、縦軸が輝度をそれぞれ示している。また、図56中、Aで示す線が本発明の実施形態に係る駆動方式の特性を、Bで示す線が関連する容量結合駆動方式の特性を示している。
【0183】
図56からわかるように、関連する容量結合駆動方式では黒輝度(2)を最適化した際に、白輝度(1)が沈んでいた。これに対して、本実施形態に係る駆動方式によれば、Vcomを小振幅としたことで、黒輝度(2)および白輝度(1)の両方とも最適化することができる。
【0184】
下記の数(5)に、本実施形態に係る駆動方式の上記数(4)に具体的な数値を設定した場合の、黒表示のときの実効画素電位ΔVpix Bと白表示のときの実効画素電位ΔVpix Wの値を示す。
また、数(6)に関連する容量結合駆動方式の上記数(1)に具体的な数値を設定した場合の黒表示のときと、黒表示のときの実効画素電位ΔVpix Bと実効画素電位ΔVpix Wの値を示す。
【0185】
【数5】

【0186】
【数6】

【0187】
数(5)および数(6)に示すように、黒表示のときは本実施形態に係る駆動方式と関連する駆動方式ともに実効画素電位ΔVpix Bは3.3Vとなり、黒輝度が最適化されている。
白表示のときは、数(6)に示すように、関連する駆動方式の実効画素電位ΔVpixWは0.5V以上の0.8Vとなり、図54(B)に関連付けて説明したように白輝度が沈んでしまう。
これに対して、本実施形態に係る駆動方式の実効画素電位ΔVpix Wは0.5V以下の0.4Vとなり、図54(B)に関連付けて説明したように白輝度が最適化される。
【0188】
<3.ストレージ信号CSの電位補正>
次に、本実施形態の特徴の一つであるストレージ信号CSの電位Vcsを、補正回路111により補正する構成および機能について説明する。
ここでは、モニタ回路120の正極性または負極性の第1モニタ画素部107−1、および、負極性または正極性の第2モニタ画素部107−2の検出画素電位に応じて補正し、光学的特性を最適化するように補正する具体的な構成例について説明する。
【0189】
本実施形態においては、駆動温度の変化による液晶の誘電率の変動、量産時のバラツキによる保持容量Cs201を形成している絶縁膜の膜厚の変動および液晶セルギャップの変動により、液晶印加電圧が変動してしまう。
この変動分を電気的に検知し(モニタ画素の電位変動として検知し)、液晶印加電圧の変動を抑制することで表示の温度、量産時のバラツキによる変化を抑制する。
【0190】
すなわち、本実施形態においては、液晶パネル内に量産時、温度変化時のばらつき変化をモニタするダミー画素(センサー画素)を配置、およびその変化を検出する。本実施形態では、これにより、容量線の電位、またはリファレンスドライバに補正をかけ、輝度を最適化(補正)することが可能な液晶表示装置を実現している。
【0191】
なお、図4に図示していないリファレンスドライバは、信号ラインに伝搬させる映像用画素データを生成する階調電圧生成回路として機能する。
モニタ回路120の正極性または負極性の第1モニタ画素部107−1、および、負極性または正極性の第2モニタ画素部107−2の検出画素電位に応じてリファレンスドライバに補正をかけるシステムは、信号Sigの電位Vsigの補正系として機能する。
【0192】
以上のように、本実施形態の液晶表示装置100は、モニタ回路120の正極性または負極性の第1モニタ画素部107−1、および、負極性または正極性の第2モニタ画素部107−2の検出画素電位を受けて補正を行う複数の補正系を有する。
表示装置100は、図57に示すように、第1の補正系としてのVcom補正系110A(モニタ回路120の検出出力回路110)、第2の補正系としてのVcs補正系111A(補正回路111)、および第3の補正系としてのVsig補正系113を有する。
【0193】
既に、図11〜図18に関連付けて説明したように、のVcom補正系110Aは、モニタ回路120の出力回路125の液晶電位の揺らぎ防止回路130を有している。ここでは、理解を容易にするために図11等と同一構成部分は同一符号をもって表す。
そして、本実施形態では、Vcs補正系111A(補正回路111)も同様に、液晶電位の揺らぎ防止回路140を有している。
【0194】
Vcom補正系110Aの液晶電位揺らぎ防止回路130は、複数系統の第1および第2の出力回路125−1,125−2、第1および第2の平滑用キャパシタC120−1,C120−2、第1および第2のスイッチSW131,SW132を有する。
液晶電位揺らぎ防止回路130は、さらに、第1のノードND131、第2のノードND132,第3のノードND133を有する。
【0195】
本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130は、第1および第2のスイッチSW131,SW132によって平滑容量(第1および第2のキャパシタC120−1,C120−2を分割し合計サイズを切り替えられるように構成されている。
また、出力回路が二系統用意されている。
【0196】
Vcom補正系110Aは、比較器(Cmp)1101、第1のアンプ(Amp)1102−1、第2のアンプ1102−1、第1および第2の平滑用キャパシタC120−1,C120−2、第1および第2のスイッチSW131,SW132を有する。
液晶電位揺らぎ防止回路130は、さらに、第1のノードND131、第2のノードND132,第3のノードND133を有する。
これらの接続関係や液晶電位の揺らぎ防止回路130の機能および効果等については、既に説明したことから、ここではその説明を省略する。
【0197】
Vcs補正系111Aは、比較器(Cmp)1111、第1のアンプ(Amp)1112−1、第2のアンプ1112−1、第1および第2の平滑用キャパシタC140−1,C140−2、第1および第2のスイッチSW141,SW142を有する。
液晶電位揺らぎ防止回路140は、さらに、第1のノードND141、第2のノードND142,第3のノードND143を有する。
液晶電位揺らぎ防止回路140は、基本的に液晶電位の揺らぎ防止回路130と同様の接続関係や機能および効果等を有する。したがって、液晶電位の揺らぎ防止回路140の接続関係や機能および効果等については、既に説明したことから、ここではその説明を省略する。
後で説明する場合も同等である。
【0198】
Vsig補正系113は、主構成要素として比較器(Cmp)1131、アンプを含むリファレンスドライバ1132を含む。
なお、図51に示す検出画素部(モニタ画素部)107A,107B,107Cは、モニタ回路120の正極性または負極性の第1モニタ画素部107−1、および、負極性または正極性の第2モニタ画素部107−2と同等の機能構成を含む。
【0199】
Vcs補正系111Aは、検出画素部(モニタ画素部)107Aからの出力に基づき画素電位処理部116により求められた電位と基準電位1とを比較する機能を有する。
Vcs補正系111Aは、たとえば第1モニタ画素部107−1および第2モニタ画素部107−2からの異なる極性信号間の電位差に対応する電位と、この補正系のための所定の基準電位1とを比較器(Cmp)1111にて比較してその比較結果を出力する。
比較結果として比較器(Cmp)1111はたとえば極性信号間の電位差が基準電位1以上の場合とより小さい場合とで異なるレベルの信号を出力する。
その信号をアンプ(Amp)1112−1,1112−2にて増幅することにより補正されたストレージ信号CSの電位Vcsを生成し、モニタ画素部107Aに設けられたストレージラインと共にストレージライン105−1〜105−mに供給される。
【0200】
Vsig補正系113は、検出画素部(モニタ画素部)107Bからの出力に基づき画素電位処理部117により求められた電位と基準電位2とを比較する機能を有する。
Vsig補正系113は、たとえば第1モニタ画素部107−1および第2モニタ画素部107−2からの異なる極性信号間の電位差に対応する電位と、この補正系のための所定の基準電位2とを比較器(Cmp)1131にて比較して比較結果を出力する。
比較結果として比較器(Cmp)1131はたとえば極性信号間の電位差が基準電位2以上の場合とより小さい場合とで異なるレベルの信号を出力する。
その信号に基づきアンプを含むリファレンスドライバ1132が出力を制御して補正された映像信号Sigの電位Vsigを生成し、モニタ画素部107Bに設けられた信号ラインと共に信号ライン106−1〜106−nに供給される。
【0201】
Vcom補正系110Aは、検出画素部(モニタ画素部)107Cからの出力に基づき画素電位処理部115により求められた電位と基準電位3とを比較する機能を有する。
Vcom補正系110Aは、たとえば第1モニタ画素部107−1および第2モニタ画素部107−2からの異なる極性信号の中間電位に対応する電位と、この補正系のための基準電位3とを比較器(Cmp)1101にて比較して比較結果を出力する。
基準電位3としてたとえばアンプ(Amp)1102からの出力を用いることができる。
その比較結果をアンプ(Amp)1102−1,1102−2にて増幅することにより補正されたコモン電圧Vcomを生成し、モニタ画素部107Bに設けられたコモン電圧供給ラインと共にコモン電圧VCOM(Vcom)の供給ライン112に供給される。
【0202】
これらVcs補正系111A、Vsig補正系113およびVcom補正系110Aのそれぞれによりフィードバックが形成され、画素電位が所定のレベルに安定化する。
【0203】
なお上述の画素電位処理部116、117は、第1モニタ画素部107−1および第2モニタ画素部107−2からの異なる極性信号間の電位差の代わりに次の電位を用いることが可能である。
すなわち、画素電位処理部116、117は第1モニタ画素部107−1または第2モニタ画素部107−2の信号と接地レベルとの間の電位差を用い、その電位差に対応する電位を出力するようにしてもよい。
ただし、第1モニタ画素部107−1および第2モニタ画素部107−2からの異なる極性信号間の電位差を所定の基準電位と比較することでより良好な補正結果が得られた。
【0204】
この図57の構成は、各補正系に対応して検出画素部107A,107B,107Cの3系統を設けている例である。
しかし、これでは回路面積の増大を招く。
そこで本実施形態においては、図58に示すように、1つの検出画素部107を形成し、この検出画素電位出力をスイッチ回路114によりスイッチングして各Vcom補正系110A、Vcs補正系111A、およびVsig補正系113に選択的に入力させる。
なお、図58は、本実施形態に係る複数の補正系で一つの検出画素部(モニタ画素部)を共用する構成例を示す図である。
【0205】
スイッチ回路114は、接点aが検出画素部107の検出画素電位出力ラインに接続され、接点bがVcom補正系110Aの入力に接続され、接点cがVsig補正系113の入力に接続され、作動接点dがVcs補正系111Aの入力に接続されている。
【0206】
この場合、各Vcom補正系110A、Vcs補正系111A、およびVsig補正系113の比較器1101,1111,1131の出力側に検出結果(比較結果)を保持させるメモリ1103,1113,1133を配置する。このことにより、検出画素のスイッチングが可能となる。なお、メモリは、DRAM,SRAM等、特に制約はない。
これにより、一系統の検出画素部107のみで複数系統の補正を行うことが可能となり、各補正系の独立配置が可能となる。
【0207】
なお、図58に示した各Vcom補正系110A、Vcs補正系111A、およびVsig補正系113のメモリ1103,1113,1133以外の構成およびその動作は図57に示した各補正系110A,111A,113と同じである。
したがって、Vcom補正系110AおよびVcs補正系111Aは、液晶電位揺らぎ防止回路130,140を含んで構成されている。
【0208】
また、スイッチ回路114のスイッチングのタイミングは、特に順番に行う必要はなく、任意に重み付けできる。
【0209】
図59(A)〜(D)は、複数の補正系で一つの検出画素部(モニタ画素部)を共用する場合のスイッチング例を示す図である。
図59(A)〜(D)においてcomはVcom補正系110Aが選択されている期間を、CSはVcs補正系111Aが選択されている期間を、SigはVsig補正系113が選択されている期間を示す。
【0210】
図59(A)は順番に切り替える例を示している。
図59(B)は、任意に重み付けを行ってスイッチングする例を示し、この例はVcomを重み付けした場合である。
この場合、検出画素部の検出画素電位をVcom補正系110Aに2回続けて、あるいは3回続けて入力させた後、スイッチングしてVcs補正系111A、Vsig補正系113に入力させる。
図59(C)は1フィールドごとにスイッチングする例を示している。
図59(D)は1/2フィールドごとにスイッチングする例を示している。
【0211】
なお、所望する画素電位が得られれば、フィールド駆動やライン駆動など駆動方式に捉われることはない。
【0212】
これらの補正系は、LTPSによる一体成型によるのかCOG、COFなどの外付けかは問わない。
図60には、各Vcom補正系110A、Vcs補正系111A、およびVsig補正系113を外付けIC130に搭載した例を示している。
【0213】
また、補正系は三系統である必要はなく二系統ずつ選択するように構成することも可能である。
図61(A)〜(C)は、補正系を二系統ずつ選択する構成例を示す図である。
【0214】
図61(A)の例は、Vcs補正系111AとVsig補正系113の二系統の補正系を設け、各補正系にスイッチ回路114Aにより検出画素部107の検出画素電位を選択的に入力させる。
図61(B)の例は、Vcom補正系110AとVcs補正系111Aの二系統の補正系を設け、各補正系にスイッチ回路114Aにより検出画素部107の検出画素電位を選択的に入力させる。
図61(C)の例は、Vcom補正系110AとVsig補正系113の二系統の補正系を設け、各補正系にスイッチ回路114Aにより検出画素部107の検出画素電位を選択的に入力させる。
【0215】
図62は、Vcom補正系110AとVsig補正系113の二系統の補正系を設けた場合において、より具体的に構成例を示す図である。
図63は、図62の回路のスイッチングのタイミング例を示す図である。
なお、図62においては、第1モニタ画素部107−1が正極性画素として駆動され、第2モニタ画素部107−2が負極性画素として駆動されている場合を例として示している。
【0216】
第1モニタ画素部107−1と第2モニタ画素部107−2の検出画素電位出力ラインに並列に、それぞれ2つのスイッチSW10−1,SW10−2、SW20−1,SW20−2を設けている。
スイッチSW10−1とSW20−1をVcom調整用画素(pix)電位処理部115に接続し、この画素電位処理部115の出力がVcom補正系110Aの比較器1101に供給される。
また、スイッチSW10−2とSW20−2をVcs調整用画素(pix)電位処理部116に接続し、この画素電位処理部116の出力がVcs補正系111Aの比較器1111に供給される。
そして、スイッチSW10−1,SW20−1とスイッチSW10−2とSW20−2は交互にオンオフされる。
このような構成において、両極性の検出画素電位からVcom用検出、Vcs用検出を1フィールド(F)ごとに交互に行い、それぞれの比較結果を見てVcom補正系110A、Vcs補正系111に入力させる。
Vcom調整用画素(pix)電位処理部115は、たとえば第1モニタ画素部107−1と第2モニタ画素部107−2の検出画素電位の中間電位を検出し、その中間電位に対応する電位を比較器1101の一方の端子に供給する。
また、アンプ(Amp)1102−1からの出力を比較電位として比較器1101の他方の端子に供給する。比較器1101は、この2つの端子に供給された電位の比較結果に基づき異なる論理レベルを出力して補正されたコモン電圧Vcomを生成し、コモン電圧Vcomのセンター値が自動調整される。
Vcs調整用画素(pix)電位処理部116は、たとえば第1モニタ画素部107−1と第2モニタ画素部107−2の検出画素電位の電位差を検出して比較器1111の一方の端子に供給する。基準電圧1をあらわす外部電位を比較器1101の他方の端子に供給する。比較器1101は、この2つの端子に供給された電位の比較結果に基づき異なる論理レベルを出力することにより補正されたストレージ信号CSの電位Vcsが生成される。
【0217】
次に、上記構成による動作を説明する。
【0218】
垂直駆動回路102のシフトレジスタには、図示しないクロックジェネレータにより生成された垂直走査の開始を指令する垂直スタートパルスVST、垂直走査の基準となる互いに逆相の垂直クロックVCK,VCKXが供給される。
シフトレジスタにおいては、垂直クロックのレベルシフト動作が行われ、かつ、それぞれ異なる遅延時間で遅延される。たとえばシフトレジスタにおいては、垂直スタ−トパルスVSTが、垂直クロックVCKに同期にてシフト動作が行われ、対応するゲートバッファに供給される。
また、垂直スタートパルスVSTは、有効画素部101の上部側から、または下部側から伝搬され、各シフトレジスタに順番にシフトインされていく。
したがって、基本的には、シフトレジスタVSRにより供給された垂直クロックにより各ゲートバッファを通して各ゲートライン104−1〜104−mが順番に駆動されていく。
【0219】
このように、垂直駆動回路102により、たとえば第1行目から順番にゲートライン104−1〜104−mが駆動されていくが、これに伴い、ストレージライン105−1〜105−mが駆動されていく。
このとき、ゲートパルスで一のゲートラインを駆動した後、次のゲートラインのゲートパルスの立ち上がりのタイミングで、ストレージライン105−1〜105−mに印加するストレージ信号CS1〜CSmのレベルが切り替えられて印加される。
すなわち、ストレージライン105−1〜105−mに印加するストレージ信号CS1〜CSmのレベルとして第1レベルCSHと第2レベルCSLが交互に選択されて印加される。
たとえば、第1行目のストレージライン105−1に第1レベルCSHを選択してストレージ信号CS1が印加された場合、第2行目のストレージライン105−2には第2レベルCSLが選択されてストレージ信号CS2が印加される。
第3行目のストレージライン105−3に第1レベルCSHが選択されてストレージ信号CS3が印加され、第4行目のストレージライン105−4には第2レベルCSLが選択されストレージ信号CS4が印加される。
以下同様にして交互に第1レベルCSHと第2レベルCSLが選択されストレージ信号CS5〜CSmがストレージライン105−5〜105−mに印加される。
このストレージ信号は、モニタ回路120のモニタ画素部107−1,107−2の画素電位が検出されて、この検出電位に基づいてVcs補正系111Aにおいて、任意の電位になるように補正される。
【0220】
また、小振幅ΔVcomで交番のコモン電圧Vcomが有効画素部101の全画素回路PXLCの液晶セルLC201の第2画素電極に共通に印加される。
このコモン電圧Vcomのセンター値がモニタ回路120のモニタ画素部107−1,107−2の検出画素電位に基づいてVcom補正系110Aにおいて最適値に調整される。
【0221】
そして、水平駆動回路103では、図示しないクロックジェネレータにより生成された水平走査の開始を指令する水平スタートパルスHST、水平走査の基準となる互いに逆相の水平クロックHCK,HCKXを受けてサンプリングパルスが生成される。
入力される映像信号が生成したサンプリングパルスに応答して順次サンプリングされて、各画素回路PXLCに書き込むベきデータ信号SDTとして各信号ライン106−1〜106−nに供給される。
たとえば、まず、R対応のセレクタスイッチが導通状態に駆動制御されてRデータが各信号ラインに出力されてRデータが書き込まれる。Rデータの書き込みが終了すると、G対応のセレクタスイッチのみが導通状態に駆動制御されてGデータが各信号ラインに出力されて書き込まれる。Gデータの書き込みが終了すると、B対応のセレクタスイッチのみが導通状態に駆動制御されてBデータが各信号ラインに出力されて書き込まれる。
【0222】
本実施形態においては、この信号ラインからの書き込み後、ストレージライン105−1〜105−mから保持容量Cs201を介してカップリングさせることにより画素電位(ノードND201の電位)を変化させて、液晶印加電圧を変調させている。
このとき、コモン電圧Vcomは一定値ではなく小振幅ΔVcom(10mV〜1.0V)で交番信号として供給される。これにより、黒輝度のみならず白輝度も最適化されている。
【0223】
以上説明したように、本実施形態によれば、液晶印加電圧を変調する駆動方式を採用している。
この駆動方式による実駆動中において、モニタ回路における第1モニタ画素部107−1と第2モニタ画素部107−2の正負極性のモニタ画素電位を平均化した電位を検出し、コモン電圧Vcomのセンター値を自動調整するように構成されている。
したがって、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0224】
煩雑な手間を要する出荷時の検査工程が不要である。
使用中の温度、駆動方式、駆動周波数、バックライト(B/L)輝度、外光輝度の変化により、コモン電圧Vcomのセンター値が最適値からシフトしたとしても、コモン電圧Vcomのセンター値を使用状況に応じた最適な値に保持することが可能となる。その結果、フリッカの発生を適応的に抑止できる利点がある。また、コモン電圧Vcomのセンター値を最適値に調整することにより、実効画素電位変動に伴う画質への影響を抑止できる。
【0225】
また、本実施形態においては、有効画素部101に隣接して独立に、第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2、モニタ垂直駆動回路108、モニタ水平駆動回路109−1、109−2を含むモニタ回路120が形成されている。また、ゲートラインの配置をいわゆる入れ子に配置するように構成されることから、パネルデザインの自由度が増すという利点がある。
これにより、モニタ回路120の構成回路、すなわち第1モニタ画素部107−1、第2モニタ画素部107−2、モニタ垂直駆動回路108、モニタ水平駆動回路109−1、109−2の配置も容易となる。
また、モニタ画素部専用の垂直および水平駆動回路を有効画素部101とは別個に持つことが可能となり、前述した信号ラインの振幅の問題でブランキング期間中しか検出できないという問題も解決することができる。
【0226】
また、本実施形態の液晶電位の揺らぎ防止回路130,140においては、平滑容量である第1のキャパシタC120−1と第2のキャパシタC120−2をスイッチングによりスタートアップ時にはサイズを小さく、通常時はサイズを大きくする。
単純にスイッチングを行うと電位の変動が発生してしまい、画表示に問題が生じするおそれがあるため、予備の平滑容量としての第2のキャパシタC120−2,C140−2をあらかじめ充電しておく回路構成が採用されている。
これにより、スタートアップ時間に影響を与えることなくリップルを抑制できる。
【0227】
また、本実施形態においては、モニタ画素にそれぞれ異なる振幅の信号を書き込み検出画素電位のオフセットを行い補正する方法により、目標値からのシフト分をキャンセルすることが可能となる。また、モニタ画素に容量を付与し検出画素電位をオフセットさせて補正する方法、あるいは両方法の組み合わせによって目標値からのシフト分をキャンセルすることが可能となる。
【0228】
また、本実施形態においては、有効画素(表示画素)とモニタ画素を個別に配置し駆動を行い、モニタ画素電位を検出し、検出画素電位を、スイッチ121,122を介して検出ラインをショートして平均化するように構成している。そして、本実施形態においては、検出画素電位のショート処理後再書き込みを行うように構成することにより、電位の偏りを是正し、電気的保護を行うことが可能である。
これにより、ショートする動作後、モニタ画素の検出画素電位をショートさせる処理を行う場合と行わない場合とで、電位の偏りが生じることがなくなり、焼きつきなどの画素機能が劣化するおそれがなくなる。
【0229】
さらに、本実施形態においては、時定数の小さいモニタ画素側に調整用抵抗を設け、具体的には、モニタ画素のゲートラインの形状を工夫し抵抗となるようにし、それにより有効画素と時定数を一致させている。これにより、モニタ画素(検出画素)電位のずれが生じるおそれが減少し、その結果、補正機能が正常に動作しない場合が発生するおそれがなくなる。
【0230】
また、本実施形態においては、1つの検出画素部107を形成し、この検出画素電位出力をスイッチ回路114によりスイッチングして各Vcom補正系110A、Vcs補正系111A、およびVsig補正系113等を選択的に入力させるように構成した。
これにより、回路面積の増大を招くことなく、一系統の検出画素部107のみで複数系統の補正を行うことが可能となり、各補正系の独立配置が可能となる。
【0231】
また、各画素回路は、第1画素電極および第2画素電極を有する液晶セルLC201と、第1電極および第2電極を有する保持容量Cs201と、を含む。
液晶セルの第1画素電極と保持容量の第1電極とTFTの一端子が接続され、保持容量の第2電極が対応する行に配列された容量配線に接続され、液晶セルの第2画素電極には所定の周期でレベルが切り替わる小振幅のコモン電圧信号が印加される。これにより、黒輝度および白輝度の両方をともに最適化することができる。その結果、コントラストを最適化することができる利点がある。
【0232】
また、本実施形態においては、駆動温度の変化による液晶の誘電率の変動、量産時のバラツキによる保持容量Cs201を形成している絶縁膜の膜厚の変動および液晶セルギャップの変動により、液晶印加電圧が変動してしまうおそれがある。
この変動分を電気的に検知し、液晶印加電圧の変動を抑制することで表示の温度、量産時のバラツキによる変化を抑制する。
【0233】
また、本実施形態の垂直駆動回路102におけるCSドライバは、ドライバ段の前後段あるいは前フレームの極性に依存せず、画素書き込み時の極性(POLで示される)のみでCS信号の極性を決めている。
すなわち、本実施形態の前後段の信号に依存せず、自段の信号のみで制御可能となっている。
【0234】
なお、上記実施形態では、液晶表示装置にアナログ映像信号を入力とし、これをラッチした後アナログ映像信号を点順次にて各画素に書き込むアナログインターフェース駆動回路を搭載した液晶表示装置に適用した場合について説明した。
本発明は、デジタル映像信号を入力し、セレクタ方式にて線順次にて画素に映像信号を書き込む駆動回路を搭載した液晶表示装置にも、同様に適用可能である。
【0235】
また、上記実施形態においては、各行に独立して配線されているストレージライン105−1〜105−mから保持容量Cs201を介してカップリングを与えて画素電位を変化させ、液晶印加電圧を変調する容量結合駆動方式が採用されている。そして、この駆動方式におけるコモン電圧Vcomのセンター値の自動調整システムについて説明した。
本発明のコモン電圧Vcomのセンター値の自動調整システムは、この容量結合駆動方式のみならず、通常の1HVcom反転駆動方式にも適用可能である。
【0236】
図64は、コモン電圧Vcomのセンター値の自動調整システムを1HVcom反転駆動方式に採用した場合の波形例を示す図である。
この場合、対向共通電極(Vcom)が1H反転に同期してTFT側画素電極がカップリングを受けるため、正(+)極性と負(−)極性が同時に存在しない。そのため、モニタ画素の画素電位の検出に工夫が必要となる。
【0237】
図65は、コモン電圧Vcomのセンター値の自動調整システムを1HVcom反転駆動方式に採用した場合の検出回路の構成例を示す図である。
また、図66は図65の回路の波形例を示す図である。
【0238】
図65の検出回路500は、スイッチSW501〜507、キャパシタC501,C502,C503、比較増幅器501、CMOSバッファ502、出力バッファ503を有している。
検出回路500においては、まず、スイッチSW506、SW507をオンにして、比較増幅器501の入出力を接続してリセットして、リファレンス電圧VrefをキャパシタC503にチャージさせる。そして、スイッチSW506、SW507をオフする。
次に、正(+)極性と負(−)極性のモニタ画素部にそれぞれ(1/2)Sig電圧を入れ、1Hずらしたタイミングで容量結合させ、その後、その2つの容量を再度容量結合させることで、VcomDC値を決定する。
スイッチSW501をオンにして画素回路pixAの容量C1Aをある1H期間にキャパシタC501に溜める。
次に、スイッチSW502をオンにして1Hにて画素回路pixBも同様の動作を行い、その容量C1BをキャパシタC502に溜める。その後、スイッチSW503〜SW505をオンにしてキャパシタC501とC502に蓄えられた電荷を結合させることで平均化を行う。
【0239】
これにより、コモン電圧Vcomのセンター値の自動調整システムを1HVcom反転駆動方式に採用することが可能となる。
この場合も、煩雑な手間を要する出荷時の検査工程が不要である。
また、使用中の温度、駆動方式、駆動周波数、バックライト(B/L)輝度、外光輝度の変化により、コモン電圧Vcomのセンター値が最適値からシフトしたとしても、コモン電圧Vcomのセンター値を使用状況に応じた最適な値に保持することが可能となる。その結果、フリッカの発生を適応的に抑止できる利点がある。
また、コモン電圧Vcomのセンター値を最適値に調整することにより、実効画素電位変動に伴う画質への影響を抑止できる。
【0240】
また、上記実施形態においては、各画素の表示エレメント(電気光学素子)として液晶セルを用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置に適用した場合を例に採って説明したが、液晶表示装置への適用に限られるものではない。
本発明は、たとえば各画素の表示エレメントとしてエレクトロルミネッセンス(EL:electro luminescence)素子を用いたアクティブマトリクス型EL表示装置などアクティブマトリクス型表示装置全般に適用可能である。
以上説明した実施形態に係る表示装置は、直視型映像表示装置(液晶モニタ、液晶ビューファインダ)、投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)の表示パネル、すなわちLCD(Liquid Crystal Display)パネルとして用いることが可能である。
【0241】
またさらに、上記実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置に代表されるアクティブマトリクス型表示装置は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等のOA機器やテレビジョン受像機などのディスプレイとして用いられる。さらにその外、特に装置本体の小型化、コンパクト化が進められている携帯電話機やPDAなどの電子機器(携帯端末)の表示部として用いて好適なものである。
【0242】
図67は、本発明が適用される携帯端末、たとえば携帯電話機の構成の概略を示す外観図である。
【0243】
本例に係る携帯電話機600は、装置筐体610の前面側に、スピーカ部620、表示部630、操作部640、およびマイク部650が上部側から順に配置された構成となっている。
このような構成の携帯電話機において、表示部630にはたとえば液晶表示装置が用いられ、この液晶表示装置として、先述した実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置が用いられる。
【0244】
このように、携帯電話機などの携帯端末において、先述した実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置を表示部630として用いることにより、フリッカの発生を的確に抑止でき、高画質の画像を得られる等の利点がある。
また、狭ピッチ化が可能で、狭額縁化を実現でき、また表示装置の低消費電力化を図ることができ、よって端末本体の低消費電力化が可能になる。
【符号の説明】
【0245】
100・・・液晶表示装置、101・・・有効画素部、102・・・垂直駆動回路(VDRV)、103・・・水平駆動回路(HDRV)、104−1〜104−m・・・ゲートライン、105−1〜105−m・・・容量配線(ストレージライン)、106−1〜106−n・・・信号ライン、107−1・・・第1モニタ(ダミー)画素部(MNTP1)、107−2・・・第2モニタ画像部(MNTP2)、108・・・モニタ垂直駆動回路(V/CSDRVM)、109−1・・・第1モニタ水平駆動回路(HDRVM1)、109−2・・・第2モニタ水平駆動回路(HDRVM2)、110・・・検出出力回路、110A・・・Vcom補正系、111・・・補正回路、111A・・・Vcs補正系、113・・・Vsig補正系、130,140・・・液晶電位揺らぎ防止回路、125−1・・・第1の出力回路、125−2・・・第2の出力回路、C120−1・・・第1の平滑用キャパシタ、C120−2・・・第2の平滑用キャパシタ、SW131・・・第1のスイッチ、SW132・・・第2のスイッチ、ND131・・・第1のノード、ND132・・・第2のノード、ND133・・・第3のノード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を通して映像用画素データを書き込む複数の画素回路がマトリクス状に配置された有効画素部と、
上記有効画素部の上記画素回路の行配列に対応するように配置され、上記スイッチング素子の導通制御のための複数の走査ラインと、
上記画素回路の行配列に対応するように配置された複数の容量配線と、
上記画素回路の列配列に対応するように配置され、上記画素データを伝搬する複数の信号ラインと、
上記複数の走査ライン、および上記複数の容量配線を選択的に駆動する駆動回路と、
モニタ画素の検出電位を平均化した電位を検出して所定の周期で電圧レベルが切り替わるコモン電圧信号のセンター値を修正可能なモニタ回路と、を有し、
上記有効画素部に配列された各画素回路は、
第1画素電極および第2画素電極を有する表示エレメントと、
第1電極および第2電極を有する保持容量と、を含み、
上記表示エレメントの第1画素電極と上記保持容量の第1電極と上記スイッチング素子の一端子が接続され、
上記保持容量の第2電極が対応する行に配列された上記容量配線に接続され、
上記表示エレメントの第2画素電極には所定の周期でレベルが切り替わるコモン電圧信号が印加され、
上記モニタ回路は、
検出画素電位を平均化して中間電位を検出する検出回路と、
上記検出回路が検出した中間電位と上記コモン電圧信号のセンター値に関する情報を含む信号との比較結果に応じて上記コモン電圧信号のセンター値を調整して出力する出力回路と、
上記出力回路の出力の電位の揺らぎを防止するための揺らぎ防止回路と、を有し、
上記出力回路は、複数系統形成され、
上記揺らぎ防止回路は、
上記出力回路の出力ラインに接続される平滑容量と、
動作状態に応じて上記平滑容量をスイッチングして平滑容量のサイズを変更可能なスイッチ部と、を含む
表示装置。
【請求項2】
上記揺らぎ防止回路は、
スタートアップ時には、平滑容量のサイズが小さくなり、通常時には平滑容量のサイズを大きくなるように上記スイッチ部が制御される
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
上記出力回路は、
上記比較結果の供給ラインに対して並列に接続された第1の出力回路と第2の出力回路と、を含み、
上記揺らぎ防止回路は、
上記第1の出力回路の出力と上記第1の出力回路の出力との間に接続された第1のスイッチと、
上記第2の出力回路の出力と上記第1の出力回路の出力との間に接続された第2のスイッチと、
上記第1の出力回路の出力に接続された第1の平滑容量と、
上記第2の出力回路の出力に接続された第2の平滑容量と、を有する
請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
上記揺らぎ防止回路は、
スタートアップ時は、上記第1のスイッチおよび第2のスイッチがオフ状態に制御され、
通常時は、上記第1のスイッチおよび第2のスイッチがオン状態に制御される
請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
通常時は、上記第2の出力回路が非動作状態に制御される
請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
上記モニタ回路は、
正極性または負極性の少なくとも一つのモニタ画素を含む第1モニタ画素部と、
負極性または正極性の少なくとも一つのモニタ画素を含む第2モニタ画素部と、
上記第1モニタ画素部の検出画素電位と上記第2モニタ画素部の検出画素電位を平均化して中間電位を検出する検出回路と、
上記検出回路が検出した中間電位と上記コモン電圧信号のセンター値に関する情報を含む信号との比較結果に応じて上記コモン電圧信号のセンター値を調整して出力する出力回路と、を含む
請求項1から5のいずれか一に記載の表示装置。
【請求項7】
上記出力回路は、
上記検出回路が検出した中間電位と、上記センター値に関する情報としてフィードバックされる出力側信号との比較結果に応じて上記コモン電圧信号のセンター値を調整して出力する
請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
上記出力回路は、
上記検出回路が検出した中間電位とフィードバックされる出力側信号とを比較する比較器と、
上記比較器の比較結果を受けて反転させて出力する定電流源付きインバータと、
上記定電流源付きインバータの出力をゲート入力とし、ソースに電流源が接続されたトランジスタを含むソースフォロワーと、を含む
請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
上記モニタ回路は、
上記有効画素部とは別個に、走査ライン、容量配線、信号ライン、および駆動回路を有し、
上記モニタ画素回路は、上記有効画素部の画素回路と等価な構成を有する
請求項6から8のいずれか一に記載の表示装置。
【請求項10】
上記第1モニタ画素部と上記第2モニタ画素部は、互いに異なる極性であり、正極性と負極性が所定の周期で切替えられる
請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
上記第1モニタ画素部および上記第2モニタ画素部は、
複数の上記モニタ画素が行列状に配列され、行方向および列方向に隣接するモニタ画素がそれぞれ異なる第1走査ライン、第2走査ラインに接続され、
上記第2走査ラインに接続されているモニタ画素の画素電極が配線により接続されている
請求項9または10記載の表示装置。
【請求項12】
上記モニタ回路において、
上記第1走査ラインを通して当該第1走査ラインに接続された複数のモニタ画素を空駆動した後、第2走査ラインを通して当該第2走査ラインに接続された複数のモニタ画素を駆動して検出画素電位を得る
請求項11記載の表示装置。
【請求項13】
表示装置を有し、
上記表示装置は、
スイッチング素子を通して映像用画素データを書き込む複数の画素回路がマトリクス状に配置された有効画素部と、
上記有効画素部の上記画素回路の行配列に対応するように配置され、上記スイッチング素子の導通制御のための複数の走査ラインと、
上記画素回路の行配列に対応するように配置された複数の容量配線と、
上記画素回路の列配列に対応するように配置され、上記画素データを伝搬する複数の信号ラインと、
上記複数の走査ライン、および上記複数の容量配線を選択的に駆動する駆動回路と、
モニタ画素の検出電位を平均化した電位を検出して所定の周期で電圧レベルが切り替わるコモン電圧信号のセンター値を修正可能なモニタ回路と、を有し、
上記有効画素部に配列された各画素回路は、
第1画素電極および第2画素電極を有する表示エレメントと、
第1電極および第2電極を有する保持容量と、を含み、
上記表示エレメントの第1画素電極と上記保持容量の第1電極と上記スイッチング素子の一端子が接続され、
上記保持容量の第2電極が対応する行に配列された上記容量配線に接続され、
上記表示エレメントの第2画素電極には所定の周期でレベルが切り替わるコモン電圧信号が印加され、
上記モニタ回路は、
検出画素電位を平均化して中間電位を検出する検出回路と、
上記検出回路が検出した中間電位と上記コモン電圧信号のセンター値に関する情報を含む信号との比較結果に応じて上記コモン電圧信号のセンター値を調整して出力する出力回路と、
上記出力回路の出力の電位の揺らぎを防止するための揺らぎ防止回路と、を有し、
上記出力回路は、複数系統形成され、
上記揺らぎ防止回路は、
上記出力回路の出力ラインに接続される平滑容量と、
動作状態に応じて上記平滑容量をスイッチングして平滑容量のサイズを変更可能なスイッチ部と、を含む
電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate

【図57】
image rotate

【図58】
image rotate

【図59】
image rotate

【図60】
image rotate

【図61】
image rotate

【図62】
image rotate

【図63】
image rotate

【図64】
image rotate

【図65】
image rotate

【図66】
image rotate

【図67】
image rotate


【公開番号】特開2010−175857(P2010−175857A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18773(P2009−18773)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】