説明

表示装置及びその制御方法

【課題】表示装置において、有機EL素子のIV特性を正確かつ高速に検出できる半導体特性評価方法およびその装置を提供する。
【解決手段】有機EL素子110と、データ線31と、有機EL素子110のアノードとデータ線31との間に挿入された検査トランジスタ140と、データ線31に接続された電流発生回路40と、データ線31に接続された電圧発生回路30と、データ線31に接続された電圧検出回路50と、検査トランジスタ140を導通にして、データ線31に対して電圧発生回路30からのプリチャージを実行させた後、有機EL素子110に対して電流発生回路40から電流を印加させている間に有機EL素子110のアノード電圧を電圧検出回路50に計測させ、電圧検出回路50で計測された有機EL素子110のアノード電圧が安定でないと判定した場合、プリチャージの条件を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその制御方法に関し、特に、発光素子特性の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電流駆動型の発光素子を用いた画像表示装置として、有機EL素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)を用いた画像表示装置(有機ELディスプレイ)が知られている。この有機ELディスプレイは、視野角特性が良好で、消費電力が少ないという利点を有するため、次世代のFPD(Flat Panal Display)候補として注目されている。
【0003】
有機ELディスプレイでは、通常、画素を構成する有機EL素子がマトリクス状に配置される。複数の行電極(走査線)と複数の列電極(データ線)との交点に有機EL素子を設け、選択した行電極と複数の列電極との間にデータ信号に相当する電圧を印加するようにして有機EL素子を駆動するものをパッシブマトリクス型の有機ELディスプレイと呼ぶ。
【0004】
一方、複数の走査線と複数のデータ線との交点に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を設け、このTFTにドライビングトランジスタのゲートを接続し、選択した走査線を通じてこのTFTをオンさせてデータ線からデータ信号をドライビングトランジスタに入力し、そのドライビングトランジスタによって有機EL素子を駆動するものをアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイと呼ぶ。
【0005】
各行電極(走査線)を選択している期間のみ、それに接続された有機EL素子が発光するパッシブマトリクス型の有機ELディスプレイとは異なり、アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイでは、次の走査(選択)まで有機EL素子を発光させることが可能であるため、デューティ比が上がってもディスプレイの輝度減少を招くようなことはない。従って、低電圧で駆動できるので、低消費電力化が可能となる。しかしながら、アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイでは、ドライビングトランジスタや有機EL素子の特性のばらつきに起因して、同じデータ信号を与えても、各画素において有機EL素子の輝度が異なり、輝度ムラが発生するという欠点がある。
【0006】
従来の有機ELディスプレイにおける、製造工程で生じるドライビングトランジスタや有機EL素子の特性のばらつき(以下、特性の不均一と総称する)による輝度ムラの補償方法としては、複雑な画素回路による補償、外部メモリでの補償などが代表的である。
【0007】
しかし、複雑な画素回路は歩留まりを下げてしまう。また、各画素の有機EL素子の発光効率の不均一を補償できない。
【0008】
上記理由により、外部メモリにより、画素ごとに特性の不均一を補償する方法がいくつか提案されている。
【0009】
例えば、特許文献1に開示された発光パネル用基板、発光パネル用基板の検査方法及び発光パネルでは、従来の2つのトランジスタからなる電圧駆動画素回路に、ダイオード接続のトランジスタを接続し、それをELに見立てることによって、EL形成前の発光パネル用基板の状態において、そのダイオード接続のトランジスタに接続されたテスト線に流れる電流を測定し、信号電圧と駆動トランジスタを流れる電流との関係を検出して、画素検査及び画素特性抽出がなされている。また、そのEL形成後もダイオード接続のトランジスタはテスト線を用いて逆バイアスとして電流を流さないようにできるため、通常の電圧書き込み動作が行える。また、アレイの状態で検出された特性は、有機EL発光パネルを使用する際のデータ線への印加電圧の補正制御に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−139079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述したような有機EL素子を有する表示装置では、初期の特性ばらつきや劣化による特性変化は、トランジスタにのみ起こるものではなく、有機EL素子にも起こるものなので、有機EL特性を検出しない従来の方法では、画素の輝度の不均一を補償できない。
【0012】
特に、有機EL発光素子には経時変化による劣化現象である、焼付きの問題を抱えている。焼付き問題については、有機EL発光素子の電流−電圧特性をフィードバックすることにより、補償できることが考えられるが、実際の画素回路では、配線抵抗、スイッチ素子の内部抵抗が高く、更に寄生容量が大きいため、IV特性調査のための電流を流して有機EL素子の電圧を読み取るまでに長い充電時間が必要である。よって、従来のような、有機EL素子を有する表示装置は、有機EL素子の特性を正確かつ高速に補償できないという課題を有する。
【0013】
上記課題に鑑み、本発明は、有機EL素子に代表される発光素子を構成要素とする電子回路において、上記発光素子の電流−電圧特性を正確かつ高速に検出できる表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る表示装置は、発光素子と、前記発光素子の第1電極に電気的に接続される第1電源線と、前記発光素子の第2電極に電気的に接続される第2電源線と、電圧を保持するコンデンサと、前記第1電極と前記第1電源線との間に設けられ前記コンデンサに保持された電圧に応じた電流を前記第1電源線と前記第2電源線との間に流して前記発光素子を発光させる駆動素子と、前記コンデンサの一方の電極に信号電圧を供給するデータ線と、前記信号電圧に対応する電圧を前記コンデンサに保持させる第1スイッチ素子と、前記データ線に信号電圧の供給を行い、また、前記データ線に所定の電圧を供給して前記データ線に対して電圧のプリチャージを行う電圧発生回路と、前記データ線に接続され前記発光素子に所定の調査電流を供給する電流発生回路と、前記データ線に接続され前記発光素子の電圧を検出する電圧検出回路と、前記第1電極と前記データ線との間に設けられた配線と、前記配線に設けられ、前記第1電極と前記データ線とを接続する第2スイッチ素子と、前記発光素子の発光動作期間中に前記第1スイッチ素子をONにして前記駆動素子をOFFにする電位を前記コンデンサに書き込み、前記駆動素子をOFFとし、前記第1スイッチ素子をOFFにし、前記第2スイッチ素子をONにして前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせた状態で、前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、前記所定の調査電流が供給された状態での前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に検出させる制御部とを具備する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の表示装置及びその制御方法によれば、半導体素子を含む電子回路や発光素子を含む表示装置において、予め導通線にプリチャージをしてから、当該半導体素子や発光素子の電流−電圧特性を測定でき、上記プリチャージにより測定された電圧が不安定な場合には、プリチャージ条件を再設定するので、高速かつ正確な電流−電圧特性の測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、一般的なアクティブマトリクス型表示装置の表示部の状態遷移図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の機能構成図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係る表示部の有する一画素部の回路構成及びその周辺回路との接続を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有する電圧検出回路の第1の構成を表す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有する電圧検出回路の第2の構成を表す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有する電圧検出回路の第3の構成を表す図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1及び2に係る制御部の、有機EL素子の電流−電圧特性を検出する場合の動作フローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1に係る有機EL素子の電流−電圧特性を検出する時のタイミングチャートである。
【図9A】図9Aは、本発明の実施の形態1に係る表示装置の時刻t1〜t2における動作状態を説明する回路図である。
【図9B】図9Bは、本発明の実施の形態1に係る表示装置の時刻t2〜t3における動作状態を説明する回路図である。
【図9C】図9Cは、本発明の実施の形態1に係る表示装置の時刻t3〜t4における動作状態を説明する回路図である。
【図9D】図9Dは、本発明の実施の形態1に係る表示装置の時刻t4〜t6における動作状態を説明する回路図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の機能構成図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2に係る表示部の有する一画素部の回路構成及びその周辺回路との接続を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態2に係る有機EL素子の電流−電圧特性を検出する時のタイミングチャートである。
【図13】図13は、本発明の表示装置を内蔵した薄型フラットTVの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る表示装置の一態様は、発光素子と、前記発光素子の第1電極に電気的に接続される第1電源線と、前記発光素子の第2電極に電気的に接続される第2電源線と、電圧を保持するコンデンサと、前記第1電極と前記第1電源線との間に設けられ前記コンデンサに保持された電圧に応じた電流を前記第1電源線と前記第2電源線との間に流して前記発光素子を発光させる駆動素子と、前記コンデンサの一方の電極に信号電圧を供給するデータ線と、前記信号電圧に対応する電圧を前記コンデンサに保持させる第1スイッチ素子と、前記データ線に信号電圧の供給を行い、また、前記データ線に所定の電圧を供給して前記データ線に対して電圧のプリチャージを行う電圧発生回路と、前記データ線に接続され前記発光素子に所定の調査電流を供給する電流発生回路と、前記データ線に接続され前記発光素子の電圧を検出する電圧検出回路と、前記第1電極と前記データ線との間に設けられた配線と、前記配線に設けられ、前記第1電極と前記データ線とを接続する第2スイッチ素子と、前記発光素子の発光動作期間中に前記第1スイッチ素子をONにして前記駆動素子をOFFにする電位を前記コンデンサに書き込み、前記駆動素子をOFFとし、前記第1スイッチ素子をOFFにし、前記第2スイッチ素子をONにして前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせた状態で、前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、前記所定の調査電流が供給された状態での前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に検出させる制御部とを具備するものである。
【0018】
本態様によると、前記電圧発生回路に対して前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせ、前記電流発生回路に対して前記データ線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、前記電圧検出回路に対して前記データ線を介して、前記所定の調査電流が供給された状態の前記発光素子の第1電極の電圧を検出させる。これにより、前記調査電流を前記発光素子に流す前に、前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行い、前記データ線に接続された分布容量を所定の電圧に充電した状態とする。そのため、前記調査電流を前記発光素子に流してから前記発光素子の第1電極の電圧を検出するまでに必要とされる充電期間を大幅に短縮できる。その結果、経年変化によって劣化する前記発光素子の特性に応じた映像信号の補正を正確かつ高速に行うことができる。
【0019】
また、前記制御部は、前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を、複数回、供給させ、前記所定の調査電流が供給された状態の前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に複数回検出させ、前記検出された複数の前記第1電極の電圧値の差が所定値以上の場合、前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧より大きい更新電圧を供給させて前記データ線に対する電圧のプリチャージを再度行わせるものである。
【0020】
本態様によると、検出された複数の前記第1電極の電圧値の差が所定値以上の場合、前記発光素子の電圧が不安定であると判断し、前記データ線に前記所定の電圧より大きい更新電圧を供給させて前記データ線に対する電圧のプリチャージを再度行わせる。これにより、不安定な状態で検出された前記発光素子の第1電極の電位に基づいて前記発光素子の電圧を判断しない。そのため、前記調査電流を前記発光素子に流してから前記発光素子の第1電極の電圧を検出するまでに必要とされる充電期間を大幅に短縮しつつ、前記発光素子の電圧を正確に検出できる。その結果、前記発光素子の第1電極の電圧が不安定な状態で前記発光素子の電圧を検出して、前記発光素子の電圧を誤判断するのを防止できる。
【0021】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、さらに、データを格納するメモリを有し、前記制御部は、前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧より大きい更新電圧を供給させて前記データ線に対する電圧のプリチャージを再度行わせた後、前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を、複数回、供給させ、前記所定の調査電流が供給された状態の前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に複数回検出させ、前記検出された複数の前記第1電極の電圧値の差が所定値未満の場合、前記電圧検出回路により検出された前記第1電極の電圧を前記メモリに保持するものである。
【0022】
本態様によると、前記データ線に対する電圧のプリチャージを再度行った後、検出された複数の前記第1電極の電圧値の差が所定値未満の場合、前記発光素子の電圧が安定していると判断し、前記電圧検出回路によって検出された前記発光素子の第1電極の電圧を前記メモリに保持する。これにより、前記発光素子の第1電極の電圧が安定した状態で前記発光素子の電圧を判断する。そのため、前記調査電流を前記発光素子に流してから前記発光素子の第1電極の電圧を検出するまでに必要とされる充電期間を大幅に短縮しつつ、前記発光素子の電圧を正確に検出できる。その結果、前記発光素子の第1電極の電圧が不安定な状態で前記発光素子の電圧を検出して、前記発光素子の電圧を誤判断するのを防止できる。
【0023】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、さらに、データを格納するメモリを有し、前記制御部は、前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を、複数回、供給させ、前記所定の調査電流が供給された状態の前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に複数回検出させ、前記検出された複数の前記第1電極の電圧値の差が所定値未満の場合、前記電圧検出回路により検出された前記第1電極の電圧を前記メモリに保持するものである。
【0024】
本態様によると、検出された複数の前記第1電極の電圧値の差が所定値未満の場合、前記発光素子の電圧が安定していると判断し、前記電圧検出回路によって検出された前記発光素子の第1電極の電圧を前記メモリに保持する。これにより、前記発光素子の電圧が安定した状態で検出された前記発光素子の第1電極の電圧に基づいて前記発光素子の電圧を判断する。そのため、前記調査電流を前記発光素子に流してから前記発光素子の電圧を検出するまでに必要とされる充電期間を大幅に短縮しつつ、前記発光素子の電圧を正確に検出できる。
【0025】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記制御部は、前記電圧検出回路により検出された複数の前記第1電極の電圧値のうち、最後に検出された前記第1電極の電圧を前記メモリに保持するものである。
【0026】
本態様によると、前記電圧検出回路によって複数回検出された中の最後に検出された前記発光素子の第1電極の電圧を前記メモリに保持してもよい。
【0027】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記制御部は、前記所定の調査電流と前記保持された前記第1電極の電圧とに基づいて前記発光素子の電流−電圧特性を演算し、外部から入力された映像信号を、前記発光素子の電流−電圧特性に基づいて補正し、前記電圧発生回路から、前記補正後の映像信号に対応した信号電圧を前記データ線に供給させるものである。
【0028】
本態様によると、前記所定の調査電流と前記保持された前記発光素子の第1電極の電圧とに基づいて前記発光素子の電流−電圧特性を算出し、外部から入力された映像信号に対して、前記発光素子の電流−電圧特性に基づいて補正し、前記補正後の映像信号に対応した信号電圧を前記データ線に供給する。これにより、前記調査電流を前記発光素子に流してから前記発光素子の電圧を検出するまでに必要とされる充電期間を大幅に短縮しつつも、正確に判断された前記発光素子の電圧に基づいて前記発光素子の電流−電圧特性を算出するので、経年変化によって劣化する前記発光素子の特性に応じた映像信号の補正を正確かつ高速に行うことができる。
【0029】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記制御部は、前記データ線が外部から入力される映像信号に対応した信号電圧によって使用されていない期間に、前記第1スイッチ素子をOFFにして前記駆動素子をOFFとし、前記第2スイッチ素子をONにして前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせた状態で、前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、前記所定の調査電流が供給された状態での前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に検出させるものである。
【0030】
本態様によると、前記データ線が外部から入力される映像信号に対応した信号電圧によって使用されていない期間に、前記データ線に対する電圧のプリチャージを行って、前記発光素子の電圧を検出する。これにより、表示装置に映像信号を出力している最中であっても、その間データ線を使用していない時間を利用して前記発光素子の電圧を検出できるので、前記発光素子の電流−電圧特性の算出が可能となる。その結果、前記発光素子の電流−電圧特性の算出のための期間を、表示装置に映像信号を出力している期間と別に設定する必要はなくなり、表示装置への映像信号の出力と同時に、経年変化によって劣化する前記発光素子の特性に迅速に対応した映像信号の補正を実現できる。
【0031】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記映像信号は、フレーム単位に分割され、前記フレーム単位毎に、前記映像信号の各画素に対応する信号電圧を前記コンデンサに書き込む書き込み期間と前記信号電圧を前記コンデンサに書き込まない非書き込み期間とを有し、前記データ線が外部から入力される映像信号に対応した信号電圧によって使用されていない期間は、前記非書き込み期間であるものである。
【0032】
本態様によると、前記データ線が外部から入力される映像信号に対応した信号電圧によって使用されていない期間を、非書き込み期間としてもよい。
【0033】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記映像信号は、フレーム単位に分割され、前記フレーム単位毎に、前記映像信号の各画素に対応する信号電圧を前記コンデンサに書き込む書き込み期間と前記信号電圧を前記コンデンサに書き込まない非書き込み期間とを有し、前記データ線が外部から入力される映像信号に対応した信号電圧によって使用されていない期間は、前記非書き込み期間であり、前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせた状態で、前記所定の調査電流が供給された状態での前記第1電極の電圧を検出させる第1の非書き込み期間と、前記電圧発生回路に対して前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを再度行わせた状態で、前記所定の調査電流が供給された状態での前記第1電極の電圧を検出させる第2の非書き込み期間と、は別の非書き込み期間であるものである。
【0034】
本態様によると、前記電圧発生回路に対して前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせ、前記所定の調査電流が供給された状態の前記第1電極の電圧を検出させる第1の非書き込み期間と、前記電圧発生回路に対して前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを再度行わせ、前記所定の調査電流が供給された状態の前記第1電極の電圧を検出させる第2の非書き込み期間と、は別の非書き込み期間としてもよい。
【0035】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記発光素子と前記駆動素子とを含む画素部を複数有し、前記複数の画素部はマトリクス状に配置されているものである。
【0036】
本態様によると、表示装置を、前記表示素子と前記駆動素子とを含む画素部を複数マトリクス状に配置した表示装置としてもよい。
【0037】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記発光素子の第1電極は、アノード電極であり、前記第1電源線の電圧は前記第2電源線の電圧より高く、前記第1電源線から前記第2電源線に電流が流れるものである。
【0038】
本態様によると、前記発光素子の第1電極をアノード電圧とし、前記第1電源線の電圧を前記第2電源線の電圧より高く、前記第1電源線から前記第2電源線に電流が流れるようにしてもよい。
【0039】
また、本発明に係る表示装置の制御方法の一態様は、発光素子と、前記発光素子の第1電極に電気的に接続される第1電源線と、前記発光素子の第2電極に電気的に接続される第2電源線と、電圧を保持するコンデンサと、前記第1電極と前記第1電源線との間に設けられ前記コンデンサに保持された電圧に応じた電流を前記第1電源線と前記第2電源線との間に流して前記発光素子を発光させる駆動素子と、前記コンデンサの一方の電極に信号電圧を供給するデータ線と、前記信号電圧に対応する電圧を前記コンデンサに保持させる第1スイッチ素子と、前記データ線に信号電圧の供給を行い、また、前記データ線に所定の電圧を供給して前記データ線に対して電圧のプリチャージを行う電圧発生回路と、前記データ線に接続され前記発光素子に所定の調査電流を供給する電流発生回路と、前記データ線に接続され前記発光素子の電圧を検出する電圧検出回路と、前記第1電極と前記データ線との間に設けられた配線と、前記配線に設けられ、前記第1電極と前記データ線とを接続する第2スイッチ素子と、を具備する表示装置の制御方法であって、前記発光素子の発光動作期間中に前記第1スイッチ素子をONにして前記駆動素子をOFFにする電位を前記コンデンサに書き込み、前記駆動素子をOFFとし、前記第1スイッチ素子をOFFにし、前記第2スイッチ素子をONし、前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせ、前記プリチャージがされた状態で前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、前記所定の調査電流が供給された状態での前記発光素子の第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に検出させるものである。
【0040】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、発光素子と、前記発光素子の第1電極に電気的に接続される第1電源線と、前記発光素子の第2電極に電気的に接続される第2電源線と、電圧を保持するコンデンサと、前記第1電極と前記第1電源線との間に設けられ前記コンデンサに保持された電圧に応じた電流を前記第1電源線と前記第2電源線との間に流して前記発光素子を発光させる駆動素子と、前記コンデンサの一方の電極に信号電圧を供給するデータ線と、前記信号電圧に対応する電圧を前記コンデンサに保持させる第1スイッチ素子と、前記データ線に信号電圧の供給を行い、また、前記データ線に所定の電圧を供給して前記データ線に対して電圧のプリチャージを行う電圧発生回路と、前記データ線に接続され前記発光素子に所定の調査電流を供給する電流発生回路と、前記第1電極の電圧を読出す読出し線と、前記読出し線に接続され前記第1電極の電圧を検出する電圧検出回路と、前記第1電極と前記データ線との間に設けられた第1配線と、前記第1配線に設けられ、前記第1電極と前記データ線とを接続する第2スイッチ素子と、前記第1電極と前記読出し線との間に設けられた第2配線と、前記第2配線に設けられ、前記第1電極と前記読出し線とを接続する第3スイッチ素子と、前記電圧発生回路を前記データ線及び前記読出し線のいずれかに接続する第4スイッチ素子と、前記第1スイッチ素子をOFFにして前記駆動素子をOFFとし、前記第4スイッチ素子に前記電圧発生回路と前記データ線とを接続させ、前記第2スイッチ素子をONにして前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせた状態で、前記電流発生回路から前記データ線及び前記第1配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、その後、前記第4スイッチに前記電圧検出回路と前記データ線とを接続させ、前記第2スイッチ素子をOFFにし、前記第3スイッチ素子をONにし、前記所定の調査電流が供給された状態の前記第1電極の電圧を前記読出し線及び前記第2配線を介して、前記電圧検出回路に検出させる制御部とを具備するものである。
【0041】
本態様によると、前記第4スイッチ素子に前記電圧発生回路と前記データ線とを接続させ、前記電圧発生回路に対して前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせ、前記電流発生回路に対して前記データ線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、一方、前記第4スイッチ素子に前記電圧検出回路と前記データ線とを接続させ、前記電圧検出回路に対して前記データ線を介して、前記所定の調査電流が供給された状態の前記発光素子の第1電極の電圧を検出させる。これにより、前記調査電流を前記発光素子に流す前に、前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行い、前記データ線に接続された分布容量を所定の設定電圧に充電した状態とする。そのため、前記調査電流を前記発光素子に流してから前記半導体素子の電圧を検出するまでに必要とされる充電期間を大幅に短縮できる。その結果、経年変化によって劣化する前記半導体素子の特性に応じた映像信号の補正を正確かつ高速に行うことができる。
【0042】
また、前記電圧検出回路に、前記データ線とは別の読出し線を介して、前記発光素子の電圧を検出させる。そして、前記電圧発生回路を前記データ線又は前記読出し線といずれかに接続する第4スイッチ素子を設け、前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせる場合には、前記第4スイッチ素子に前記電圧発生回路と前記データ線とを接続させ、一方、前記所定の調査電流が供給された状態の前記発光素子の電圧を検出する場合には、前記第4スイッチ素子に前記電圧検出回路と前記データ線とを接続させる。これにより、前記電圧検出回路は、基本回路に接続されていない読出し線を介して前記発光素子の電圧を検出するので、基本回路の構成要素である駆動素子による電圧降下の影響を受けることなく、前記発光素子の電圧を一層精度よく測定できる。
【0043】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図に基づき説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0044】
(実施の形態1)
図1は、一般的なアクティブマトリクス型表示装置の表示部の状態遷移図である。同図には、ある画素列における、画素行(ライン)ごとの書き込み期間及び非書き込み期間が表されている。縦方向は画素行を、また、横軸は経過時間を示す。ここで、書き込み期間とは、各画素へ信号電圧を供給するために、データ線が使用されている期間のことである。この書き込み期間内において、信号電圧の書き込み動作が、画素行順に実行される。本表示装置の画素回路では、書き込み期間において容量素子への電圧保持と、駆動トランジスタのゲートへの電圧印加が同時に行われるため、当該書き込み動作の後、続けて発光動作が実行される。
【0045】
従来の表示装置では、経時劣化した有機EL素子の電流−電圧特性を高精度に測定するためには、画素回路の寄生容量が大きいため、電流を流して有機EL素子の電圧を読み取るまでに長い充電時間が必要であった。このため、図1に記載されたような書き込み期間や発光動作期間に上記電流−電圧特性調査を行うことができず、書き込み期間や発光動作期間とは別に当該電流−電圧特性を調査する期間を設ける必要があった。
【0046】
本発明の実施の形態1に係る表示装置及びその制御方法によれば、表示装置に映像信号を出力している最中であっても、その間データ線を使用していない非書き込み期間を利用して有機EL素子の電流−電圧特性調査を実行することができる。その結果、有機EL素子の電流−電圧特性の算出のための期間を、表示装置に映像信号を出力している期間と別に設定する必要はなくなり、表示装置への映像信号の出力と同時に、経年変化によって劣化する有機EL素子の特性に迅速に対応した映像信号の補正を実現できる。
【0047】
以下、本発明の実施の形態1に係る表示装置が、非書き込み期間内でも、有機EL素子の電流−電圧特性を正確かつ高速に検出できることを、図を用いて説明する。
【0048】
図2は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の機能構成図である。同図における表示装置1は、表示部10と、走査線駆動回路20と、電圧発生回路30と、電流発生回路40と、電圧検出回路50と、制御部70と、メモリ80とを備える。
【0049】
図3は、本発明の実施の形態1に係る表示部の有する一画素部の回路構成及びその周辺回路との接続を示す図である。同図における画素部100は、有機EL素子110と、駆動トランジスタ120と、スイッチングトランジスタ130と、検査トランジスタ140と、容量素子150と、共通電極115と、電源線125と、走査線21と、制御線22と、データ線31とを備える。また、周辺回路は、走査線駆動回路20と、電圧発生回路30と、電流発生回路40と、電圧検出回路50とを備える。
【0050】
まず、図2に記載された構成要素について、その機能を説明する。
【0051】
表示部10は、複数の画素部100を備える。
【0052】
走査線駆動回路20は、走査線21及び制御線22に接続されており、走査線21及び制御線22の電圧レベルを制御することにより、画素部100のスイッチングトランジスタ130及び検査トランジスタ140の導通・非導通を制御する機能を有する。
【0053】
電圧発生回路30は、データ線31に接続されており、信号電圧をデータ線31に供給するデータ線駆動回路としての機能を有する。また、電圧発生回路30は、所定の電圧を出力して、データ線31に対してプリチャージを行う電圧源としての機能を有する。また、電圧発生回路30は、データ線31との接続を開放したり、ショートしたりすることが可能なスイッチを有する。
【0054】
ここで、プリチャージとは、予め所定の回路に充電することである。本実施の形態では、表示部10は、様々な回路素子を有する薄膜積層構造であるため、例えば、データ線31は、画素ごとに走査線や電源線と交叉する部分に寄生容量を有する。この寄生容量を有するデータ線31に微小電流を流す場合、当該微小電流によりデータ線31が定常状態となるには、上記寄生容量にも電荷が保持される必要がある。また、当該寄生容量への電荷蓄積には時間がかかる。
【0055】
本実施の形態におけるプリチャージとは、上記寄生容量に予め電荷を蓄積させておくため、電圧発生回路30からデータ線31に対し電圧印加による充電をしておくことである。
【0056】
データ線31は、第2の導通線であり、画素部100を含む画素列に接続され、電圧発生回路30から出力された信号電圧を当該画素列の各画素部へ供給する。電流発生回路40は、データ線31に接続されており、有機EL素子110に対して調査電流を流す電流源としての機能を有する。また、電流発生回路40は、データ線31との接続を開放したり、ショートしたりすることが可能なスイッチを有する。
【0057】
ここで、調査電流とは、有機EL素子110の経時劣化状況を正確かつ高速に把握するために、有機EL素子110に流す電流のことである。この調査電流を有機EL素子110に流すことにより発生した有機EL素子110のアノード電圧を電圧検出回路50で検出することにより、現状での有機EL素子110の電流−電圧特性を取得することが可能となる。
【0058】
電圧検出回路50は、データ線31に接続されており、検査トランジスタ140が導通することにより、有機EL素子110のアノード電圧を検出する機能を有する。
【0059】
なお、電圧検出回路50は、電圧発生回路30とともにデータドライバICに内蔵されていてもよいし、データドライバICとは別にあってもよい。
【0060】
図4は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有する電圧検出回路の第1の構成を表す図である。同図に記載されているように、電圧検出回路50は、データ線31の本数と同数の電圧検出器51を有するものであってもよい。
【0061】
これに対し、図5は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有する電圧検出回路の第2の構成を表す図である。同図に記載されているように、電圧検出回路50は、データ線31の切り替えを行うマルチプレクサ52とデータ線31の本数より少ない電圧検出器51をもつものであることが好ましい。これにより、有機EL素子110のアノード電圧の測定時に必要な電圧検出器51の数量が削減されるので、電子装置の省面積化や部品点数の削減を実現することが可能となる。
【0062】
また、図6は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有する電圧検出回路の第3の構成を表す図である。同図に記載されているように、電圧検出回路50がデータ線31の切り替えを行うマルチプレクサ52とデータ線31より少ない数の電圧検出器51をもつ場合、マルチプレクサ52は、発光パネル5上に形成されていてもよい。これにより、電圧検出回路の規模が縮小されるので、低コストで実現できる。
【0063】
制御部70は、走査線駆動回路20、電圧発生回路30、電流発生回路40、電圧検出回路50及びメモリ80の制御を行う機能を有する。また、制御部70は、計測制御部701と、判定部702と、プリチャージ更新部703とを備える。
【0064】
計測制御部701は、検査トランジスタ140を導通にして、データ線31に対し電圧発生回路30にプリチャージを実行させる。その後、有機EL素子110に対して電流発生回路40から電流を印加させている間に、有機EL素子110のアノード電圧を電圧検出回路50に計測させる。そして、計測された有機EL素子110のアノード電圧を判定部702へ出力する。
【0065】
判定部702は、電圧検出回路50で計測された有機EL素子110のアノード電圧が安定であるか否かを判定する。そして、判定結果をプリチャージ更新部703へ出力する。有機EL素子110のアノード電圧の安定性についての判断方法及びその基準については図8を用いて後述する。
【0066】
プリチャージ更新部703は、判定部702により、有機EL素子110のアノード電圧が安定でないと判定された場合、電圧発生回路30からデータ線31へのプリチャージの条件を更新する。プリチャージの更新方法およびその設定については図8を用いて後述する。
【0067】
また制御部70は、上記構成により取得した有機EL素子110の電流−電圧特性データを、デジタル変換し、演算により特性パラメータを算出する。そして、算出された特性パラメータをメモリ80に書き込む。特性パラメータをメモリ80へ書き込んだ後は、制御部70は、メモリ80に書き込まれた特性パラメータを読み出し、外部から入力された映像信号データを、その特性パラメータに基づいて補正して、データ線駆動回路としての機能を有する電圧発生回路30へと出力する。これにより、各画素部の有する有機EL素子の発光効率の不均一が補正され、輝度ムラが低減される。
【0068】
次に、画素部100の内部回路構成について、図3を用いて説明する。
【0069】
有機EL素子110は、発光素子として機能し、駆動トランジスタ120から与えられたソース−ドレイン間電流に応じた発光動作を行う。有機EL素子110の他方の端子であるカソードは、共通電極115に接続されており、通常は接地されている。
【0070】
駆動トランジスタ120は、ゲートが、スイッチングトランジスタ130を介してデータ線31に接続され、ソース及びドレインの一方が有機EL素子110のアノードに接続され、ソース及びドレインの他方が、電源線125に接続されている。
【0071】
上記回路接続により、駆動トランジスタ120のゲートには、電圧発生回路30から出力された信号電圧が、データ線31及びスイッチングトランジスタ130を介して印加される。駆動トランジスタ120のゲートに印加された上記信号電圧に対応したソース−ドレイン間電流が、有機EL素子110のアノードを介して有機EL素子110に流れる。
【0072】
スイッチングトランジスタ130は、ゲートが走査線21に接続され、ソース及びドレインの一方がデータ線31に接続され、ソース及びドレインの他方が駆動トランジスタ120のゲートに接続されている。つまり、走査線21の電圧レベルがHIGHとなることによりスイッチングトランジスタ130がオン状態となり、上記信号電圧が駆動トランジスタ120のゲートへ印加される。
【0073】
検査トランジスタ140は、有機EL素子110のアノード電圧をデータ線31により測定する電圧パスを形成するスイッチ素子である。検査トランジスタ140のゲートは、制御線22に接続され、ソース及びドレインの一方が有機EL素子110のアノードに接続され、ソース及びドレインの他方が、データ線31に接続されている。つまり、制御線22の電圧レベルがHIGHとなることにより検査トランジスタ140がオン状態となり、有機EL素子110のアノード電圧がデータ線31を介して電圧検出回路50にて検出される。
【0074】
容量素子150は、その一方の端子が駆動トランジスタ120のゲートに接続され、その他方の端子が駆動トランジスタ120のソース及びドレインの一方に接続されている。発光動作時には、容量素子150により、駆動トランジスタ120のゲートに与えられた信号電圧が保持されるので、当該信号電圧に対応したソース−ドレイン間電流が流れる。
【0075】
なお、図2、図3には記載されていないが、電源線125はすべて同じ電源に接続されている。また、共通電極115も電源に接続されている。
【0076】
次に、本発明の実施の形態1に係る表示装置1の制御方法について説明をする。本制御方法により、有機EL素子110の特性の検出が可能である。
【0077】
図7は、本発明の実施の形態1に係る制御部の、有機EL素子の電流−電圧特性を検出する場合の動作フローチャートである。
【0078】
最初に、計測制御部701は、電圧発生回路30から駆動トランジスタ120をオフ状態にする電圧を出力させ、その電圧を容量素子150に書き込み、駆動トランジスタ120をオフ状態にする(S10)。
【0079】
次に、計測制御部701は、走査線駆動回路20から制御線22にオン電圧を与えることにより、検査トランジスタ140をオン状態にし、有機EL素子110への電流印加パスを確保する(S11)。
【0080】
次に、計測制御部701は、電圧発生回路30から、予め設定されたプリチャージ電圧を導通線であるデータ線31に与え、有機EL素子110までの配線に対して電圧プリチャージを行う(S12)。
【0081】
ここで、プリチャージ電圧とは、後のステップで電流発生回路40からデータ線31に調査電流を流したときに、データ線31の電圧が高速で収束することに貢献するための予測電圧である。よって、プリチャージ電圧値は、データ線31の寄生容量値や調査電流値を考慮して設定される。
【0082】
次に、計測制御部701は、電流発生回路40からデータ線31に調査電流を出力させる(S13)。また、このとき、電圧発生回路30からの出力はされていない。
【0083】
次に、計測制御部701は、電圧検出回路50により第1回目の導通線電圧の検出を実行させる(S14)。そして、計測制御部701は、その結果を判定部702に出力する。
【0084】
次に、計測制御部701は、ステップS14から所定の時間が経過した後、電圧検出回路50により第2回目の導通線電圧の検出を実行させる(S15)。そして、計測制御部701は、その結果を判定部702に出力する。ここで、ステップS14及びステップS15における導通線電圧とは、データ線31の電圧のことである。
【0085】
次に、判定部702は、計測制御部701から取得した上記2つの導通線電圧の差が所定値以上であるか否かを判定する(S16)。
【0086】
最後に、ステップS16において、導通線電圧の差が所定値以上であれば(S16で不安定)、判定部702は当該導通線電圧の測定が不安定であると判断し、プリチャージ更新部703はプリチャージ電圧を更新する(S17)。そして、次の電流−電圧特性測定のタイミングで、再度ステップS10からの一連のシーケンスを実行する。なお、この場合、更新されたプリチャージ電圧は、例えば、ステップS15で検出された第2回目の導通線電圧を設定する。
【0087】
一方、ステップS16において、導通線電圧の差が所定値よりも小さければ(S16で安定)、判定部702は当該導通線電圧の測定が安定であると判断し、ステップS15で得られた第2回目の導通線電圧を上記調査電流に対する電圧値としてメモリ80に格納する(S18)。
【0088】
なお、ステップS14及びステップS15において、電圧検出回路50により検出された第1回目の導通線電圧及び第2回目の導通線電圧は、計測制御部701から判定部702に出力されずに、計測制御部701からメモリ80に記憶されてもよい。その場合、ステップS16において、判定部702はメモリ80から上記2つの導通線電圧を読み出して上記判定を実行する。
【0089】
なお、上述した有機EL素子の電流−電圧特性の評価方法では、ステップS14及びステップS15にて2回の導通線電圧の検出を実行したが、計測制御部701が当該導通線電圧を3回以上検出することにより、判定部702が検出された3回以上の電圧値の安定性を判断してもよい。
【0090】
次に、図7に記載された動作フローチャートにおける電気信号のタイミングを説明する。
【0091】
図8は、本発明の実施の形態1における有機EL素子の電流−電圧特性を検出する時のタイミングチャートである。同図は、先述した図1の非書き込み期間の詳細一例を示すものであり、図1の非書き込み期間内に例えば図8のT1−T6での各ステップが実行される。前記実行後に非書き込み期間に時間の余裕がある場合は、さらに図8に示すT7−T13での各ステップによるプリチャージを実行することもできる。
【0092】
同図において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、走査線21に発生する電圧の波形図、制御線22に発生する電圧の波形図、電圧発生回路30が出力する電圧の波形図、導通線電圧及び電流発生回路40が出力する電流の波形図の波形図が示されている。また図中の矢印は電圧検出タイミングを示す。なお、本実施の形態1において、図8に記載された導通線電圧とは、データ線31の電圧である。
【0093】
最初に、時刻t0において、データ線31は、駆動トランジスタの120をオフ状態にするための電圧に設定される。
【0094】
次に、時刻t1において、走査線21の電圧レベルが、スイッチングトランジスタ130がオン状態となる電圧レベルとなる。このとき、駆動トランジスタ120はオフ状態となる。よって、有機EL素子110には駆動トランジスタ120のソース−ドレイン間電流が流れない。この時刻t0および時刻t1における動作は、図7に記載されたステップS10に相当する。
【0095】
図9Aは、本発明の実施の形態1に係る表示装置の時刻t1〜t2における動作状態を説明する回路図である。
【0096】
なお、図9A〜図9Dには、画素部100の回路構成の他、データ線31と走査線21との間に形成される寄生容量220、データ線31と表示部10内で共通となっている電源線125との間に形成される寄生容量210が表されている。
【0097】
次に、時刻t2において、走査線21の電圧レベルが、スイッチングトランジスタ130がオフ状態となる電圧レベルとなる。また、これと同時に、制御線22の電圧レベルが、検査トランジスタ140がオン状態となる電圧レベルとなる。これにより、データ線31から有機EL素子110へ電流供給できる電流パスが確保される。この時刻t2における動作は、図7に記載されたステップS11に相当する。
【0098】
図9Bは、本発明の実施の形態1に係る表示装置の時刻t2〜t3における動作状態を説明する回路図である。
【0099】
次に、時刻t3において、電圧発生回路30は、データ線31に対し、予め設定されたプリチャージ電圧を出力する。このときデータ線31に対してのプリチャージが行われる。この時刻t3における動作は、図7に記載されたステップS12に相当する。
【0100】
図9Cは、本発明の実施の形態1に係る表示装置の時刻t3〜t4における動作状態を説明する回路図である。図9Cに記載されたように、データ線31に対しての上記プリチャージにより、寄生容量210及び220は充電されている。
【0101】
次に、時刻t4において、電流発生回路40は、データ線31を介して有機EL素子110に調査電流を出力する。また、これと同時に、電圧発生回路30は電圧出力を停止する。この時刻t4における動作は、図7に記載されたステップS13に相当する。
【0102】
図9Dは、本発明の実施の形態1に係る表示装置の時刻t4〜t6における動作状態を説明する回路図である。
【0103】
次に、時刻t5において、電圧検出回路50は、データ線31の1回目の導通線電圧を検出する。この時刻t5における動作は、図7に記載されたステップS14に相当する。
【0104】
次に、時刻t6において、電圧検出回路50は、データ線31の2回目の導通線電圧を検出する。このとき検出された1回目の導通線電圧値と2回目の導通線電圧値との差が所定の電圧値以上であれば、次の有機EL素子110の電流−電圧特性の検出時には、プリチャージ電圧を変えて再度行う。
【0105】
ここでは、検出された1回目の導通線電圧値と2回目の導通線電圧値との差が所定の電圧値以上であった場合を想定して、その次の有機EL素子110の電流−電圧特性の検出タイミングをt7からt13に示す。
【0106】
時刻t7において、データ線31は、駆動トランジスタの120をオフ状態にするための電圧に設定される。
【0107】
次に、時刻t8において、走査線21の電圧レベルが、スイッチングトランジスタ130がオン状態となる電圧レベルとなる。このとき、駆動トランジスタ120はオフ状態となる。よって、有機EL素子110には駆動トランジスタ120のソース−ドレイン間電流が流れない。
【0108】
次に、時刻t9において、走査線21の電圧レベルが、スイッチングトランジスタ130がオフ状態となる電圧レベルとなる。また、これと同時に、制御線22の電圧レベルが、検査トランジスタ140がオン状態となる電圧レベルとなる。これにより、データ線31から有機EL素子110へ電流供給できる電流パスが確保される。
【0109】
次に、時刻t10において、電圧発生回路30は、データ線31に対し、予め設定された電圧を出力する。このときデータ線31に対してのプリチャージが行われる。
【0110】
次に、時刻t11において、電流発生回路40は、データ線31を介して有機EL素子110に調査電流を出力する。また、これと同時に、電圧発生回路30は電圧出力を停止する。
【0111】
次に、時刻t12において、電圧検出回路50は、データ線31の1回目の導通線電圧を検出する。
【0112】
次に、時刻t13において、電圧検出回路50は、データ線31の2回目の導通線電圧を検出する。このとき検出された1回目の導通線電圧値と2回目の導通線電圧値との差が所定の電圧値より小さくなったため、この2回目の導通線電圧値が測定された有機EL素子110のアノード電圧としてメモリ80に格納される。
【0113】
上述した表示装置のように、複数の画素部を含む画素列ごとにデータ線が配置されているような回路規模において、予めデータ線をプリチャージして有機EL素子の電圧を検出する時間は、プリチャージしない電圧検出時間と比較して桁違いに短縮化される。この検出時間の短縮化により、検出された電圧の安定性を判定して電圧を再検出するステップを、許容された時間内に組み込むことができるので、正確な電圧測定を実現することができる。また、この高速かつ正確な有機EL素子の電流−電圧特性検出により、発光パネルが映像出力中でも、その間のデータ線を使用していない時間を用いて有機EL素子の電流−電圧特性の検出が可能となる。例えば、フレーム単位ごとに割り当てられた非書き込み期間内に、上述した有機EL素子の電流−電圧特性検出の各ステップを実行することが可能となる。
【0114】
また、例えば、所定の非書き込み期間に図7に記載されたステップS10〜ステップS16を実行し、別の非書き込み期間に、更新されたプリチャージ電圧を用いて同様のステップS10〜ステップS16を実行するという形式をとってもよい。
【0115】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の機能構成図である。同図における表示装置2は、表示部11と、走査線駆動回路20と、電圧発生回路30と、電流発生回路40と、電圧検出回路50と、電圧選択スイッチ60と、制御部70と、メモリ80とを備える。
【0116】
図11は、本発明の実施の形態2に係る表示部の有する一画素部の回路構成及びその周辺回路との接続を示す図である。同図における画素部101は、有機EL素子110と、駆動トランジスタ120と、スイッチングトランジスタ130と、検査トランジスタ140と、容量素子150と、読出しトランジスタ160と、共通電極115と、電源線125と、走査線21と、制御線22と、データ線31と、読出し線53とを備える。また、周辺回路は、走査線駆動回路20と、電圧発生回路30と、電流発生回路40と、電圧検出回路50と、電圧選択スイッチ60とを備える。
【0117】
本発明の実施の形態2における表示装置2は、実施の形態1における表示装置1と比較して、各画素列に読出し線53が配置され、また、読出し線53と電圧発生回路30との接続、または、データ線31と電圧発生回路30との接続のいずれかを選択するための電圧選択スイッチ60が配置されている点が異なる。また、画素部101は、画素部100と比較して、読出しトランジスタ及び電圧検出パスが配置されている点が異なる。以下、実施の形態1における図1および図2と同じ点は説明を省略し、異なる点のみ説明をする。
【0118】
表示部11は、複数の画素部101を備える。
【0119】
走査線駆動回路20は、走査線21及び制御線22に接続されており、走査線21及び制御線22の電圧レベルを制御することにより、画素部100のスイッチングトランジスタ130、検査トランジスタ140及び読出しトランジスタ160の導通・非導通を制御する機能を有する。
【0120】
電圧発生回路30は、電圧選択スイッチ60を経由してデータ線31または読出し線53に接続されている。データ線31に接続されている場合には、電圧発生回路30は、信号電圧をデータ線31に供給するデータ線駆動回路としての機能を有する。また、読出し線53に接続されている場合には、電圧発生回路30は、所定の電圧を出力して、読出し線53に対して電圧プリチャージを行う電圧源としての機能を有する。また、電圧発生回路30は、読出し線53との接続を開放したり、ショートしたりすることが可能なスイッチを有する。
【0121】
データ線31は、第2の導通線であり、画素部101を含む画素列に接続され、電圧発生回路30から出力された信号電圧を当該画素列の各画素部へ供給する。
【0122】
電圧検出回路50は、読出し線53に接続されており、読出しトランジスタ160が導通することにより、有機EL素子110のアノード電圧を検出する機能を有する。
【0123】
読出し線53は、画素部101を含む画素列に接続され、有機EL素子110のアノード電圧を読み出す第1の導通線として機能する。
【0124】
電圧選択スイッチ60は、電圧発生回路30と、読出し線53及びデータ線31との間に配置され、読出し線53と電圧発生回路30との接続、または、データ線31と電圧発生回路30との接続のいずれかを選択する機能を有する。
【0125】
制御部70は、走査線駆動回路20、電圧発生回路30、電流発生回路40、電圧検出回路50、電圧選択スイッチ60、及びメモリ80の制御を行う機能を有する。また、制御部70は、計測制御部701と、判定部702と、プリチャージ更新部703とを備える。
【0126】
計測制御部701は、読出しトランジスタ160を導通にして、読出し線53に対し電圧発生回路30にプリチャージを実行させる。また同時に、検査トランジスタ140を導通にして、有機EL素子110に対して電流発生回路40から電流を印加させている間に、有機EL素子110のアノード電圧を電圧検出回路50に計測させる。そして、計測された有機EL素子110のアノード電圧を判定部702へ出力する。
【0127】
プリチャージ更新部703は、判定部702により、有機EL素子110のアノード電圧が安定でないと判定された場合、電圧発生回路30から読出し線53へのプリチャージの条件を更新する。
【0128】
検査トランジスタ140は、有機EL素子110への電流パスを形成するスイッチ素子である。検査トランジスタ140のゲートは、制御線22に接続され、ソース及びドレインの一方が有機EL素子110のアノードに接続され、ソース及びドレインの他方が、データ線31に接続されている。
【0129】
読出しトランジスタ160は、有機EL素子110のアノード電圧を読出し線53により測定する電圧パスを形成するスイッチ素子である。読出しトランジスタ160のゲートは、制御線22に接続され、ソース及びドレインの一方が有機EL素子110のアノードに接続され、ソース及びドレインの他方が、読出し線53に接続されている。
【0130】
次に、本発明の実施の形態2に係る表示装置2の制御方法について説明をする。本制御方法により、有機EL素子110の特性の検出が可能である。
【0131】
図7は、本発明の実施の形態2に係る制御部の、有機EL素子の電流−電圧特性を検出する場合の動作フローチャートである。
【0132】
最初に、計測制御部701は、電圧発生回路30とデータ線31とが接続されるよう電圧選択スイッチ60を制御し(図11に記載された電圧選択スイッチ60の接点aを選択し)、電圧発生回路30から駆動トランジスタ120をオフ状態にする電圧を出力させ、その電圧を容量素子150に書き込み、駆動トランジスタ120をオフ状態にする(S10)。
【0133】
次に、計測制御部701は、電圧発生回路30と読出し線53とが接続されるよう電圧選択スイッチ60を制御し(図11に記載された電圧選択スイッチ60の接点bを選択し)、走査線駆動回路20から制御線22にオン電圧を与えることにより、検査トランジスタ140及び読出しトランジスタ160をオン状態にし、有機EL素子110への電流印加パス及び有機EL素子110のアノード電圧検出パスを確保する(S11)。
【0134】
次に、計測制御部701は、電圧発生回路30から読出し線53に対して、予め設定されたプリチャージ電圧を与え、有機EL素子110までの配線に対して電圧プリチャージを行う(S12)。
【0135】
次に、計測制御部701は、電流発生回路40からデータ線31に調査電流を出力させる(S13)。また、このとき、電圧発生回路30からの出力はされていない。
【0136】
次に、計測制御部701は、電圧検出回路50により第1回目の導通線電圧の検出を実行させる(S14)。そして、計測制御部701は、その結果を判定部702に出力する。
【0137】
次に、計測制御部701は、ステップS14から所定の時間が経過した後、電圧検出回路50により第2回目の導通線電圧の検出を実行させる(S15)。そして、計測制御部701は、その結果を判定部702に出力する。ここで、ステップS14及びステップS15における導通線電圧とは、読出し線53の電圧のことである。
【0138】
次に、判定部702は、計測制御部701から取得した上記2つの導通線電圧の差が所定値以上であるか否かを判定する(S16)。
【0139】
最後に、ステップS16において、導通線電圧の差が所定値以上であれば(S16で不安定)、判定部702は当該導通線電圧の測定が不安定であると判断し、プリチャージ更新部703はプリチャージ電圧を更新する(S17)。そして、次の電流−電圧特性測定のタイミングで、再度ステップS10からの一連のシーケンスを実行する。なお、更新されたプリチャージ電圧は、ステップS15で検出された第2回目の導通線電圧を設定する。
【0140】
一方、ステップS16において、導通線電圧の差が所定値よりも小さければ(S16で安定)、判定部702は当該導通線電圧の測定が安定であると判断し、ステップS15で得られた第2回目の導通線電圧を上記調査電流に対する電圧値としてメモリ80に格納する(S18)。
【0141】
なお、ステップS14及びステップS15において、電圧検出回路50により検出された第1回目の導通線電圧及び第2回目の導通線電圧は、計測制御部701から判定部702に出力されずに、計測制御部701からメモリ80に記憶されてもよい。その場合、ステップS16において、判定部702はメモリ80から上記2つの導通線電圧を読み出して上記判定を実行する。
【0142】
なお、上述した有機EL素子の電流−電圧特性の評価方法では、ステップS14及びステップS15にて2回の導通線電圧の検出を実行したが、計測制御部701が当該導通線電圧を3回以上検出することにより、判定部702が検出された3回以上の電圧値の安定性を判断してもよい。
【0143】
次に、図7に記載された動作フローチャートにおける電気信号のタイミングを説明する。
【0144】
図12は、本発明の実施の形態2における有機EL素子の電流−電圧特性を検出する時のタイミングチャートである。なお、本実施の形態2において、図12に記載された導通線電圧とは、読出し線53の電圧である。以下、実施の形態1におけるタイミングと同じ点は説明を省略し、異なる点のみ説明をする。
【0145】
最初に、時刻t0において、電圧発生回路30は、駆動トランジスタの120をオフ状態にするための電圧に設定されている。
【0146】
次に、時刻t1において、電圧選択スイッチ60の電圧レベルがHIGHレベルとなり(図11に記載された電圧選択スイッチ60の接点aが選択され)、電圧発生回路30とデータ線31との接続が選択される。同時に、走査線21の電圧レベルが、スイッチングトランジスタ130がオン状態となる電圧レベルとなる。このとき、駆動トランジスタ120はオフ状態となる。よって、有機EL素子110には駆動トランジスタ120のソース−ドレイン間電流が流れない。この時刻t0および時刻t1における動作は、図7に記載されたステップS10に相当する。
【0147】
次に、時刻t2において、電圧選択スイッチ60の電圧レベルがLOWレベルとなり(図11に記載された電圧選択スイッチ60の接点bが選択され)、電圧発生回路30と読出し線53との接続が選択される。同時に、走査線21の電圧レベルが、スイッチングトランジスタ130がオフ状態となる電圧レベルとなる。また、これと同時に、制御線22の電圧レベルが、検査トランジスタ140及び読出しトランジスタ160がオン状態となる電圧レベルとなる。これにより、データ線31から有機EL素子110へ電流供給できる電流パス及び読出し線53にて有機EL素子110のアノード電圧を検出する電圧パスが確保される。
【0148】
次に、時刻t3において、電圧発生回路30は、読出し線53に対し、予め設定された電圧を出力する。このとき読出し線53に対してのプリチャージが行われる。
【0149】
時刻t5において、電圧検出回路50は、読出し線53の1回目の導通線電圧を検出する。
【0150】
次に、時刻t6において、電圧検出回路50は、読出し線53の2回目の導通線電圧を検出する。
【0151】
次に、時刻t7において、電圧発生回路30は、駆動トランジスタの120をオフ状態にするための電圧に設定されている。
【0152】
次に、時刻t8において、電圧選択スイッチ60の電圧レベルがHIGHレベルとなり(図11に記載された電圧選択スイッチ60の接点aが選択され)、電圧発生回路30とデータ線31との接続が選択される。同時に、走査線21の電圧レベルが、スイッチングトランジスタ130がオン状態となる電圧レベルとなる。このとき、駆動トランジスタ120はオフ状態となる。よって、有機EL素子110には駆動トランジスタ120のソース−ドレイン間電流が流れない。
【0153】
次に、時刻t9において、電圧選択スイッチ60の電圧レベルがLOWレベルとなり(図11に記載された電圧選択スイッチ60の接点bが選択され)、電圧発生回路30と読出し線53との接続が選択される。同時に、走査線21の電圧レベルが、スイッチングトランジスタ130がオフ状態となる電圧レベルとなる。また、これと同時に、制御線22の電圧レベルが、検査トランジスタ140及び読出しトランジスタ160がオン状態となる電圧レベルとなる。これにより、データ線31から有機EL素子110へ電流供給できる電流パス及び読出し線53にて有機EL素子110のアノード電圧を検出する電圧パスが確保される。
【0154】
次に、時刻t10において、電圧発生回路30は、読出し線53に対し、予め設定された電圧を出力する。このとき読出し線53に対してのプリチャージが行われる。
【0155】
時刻t12において、電圧検出回路50は、読出し線53の1回目の導通線電圧を検出する。
【0156】
次に、時刻t13において、電圧検出回路50は、読出し線53の2回目の導通線電圧を検出する。
【0157】
上述した実施の形態2に係る表示装置及びその制御方法によれば、実施の形態1に係る表示装置及びその制御方法と同様の効果を奏することが可能となる。
【0158】
加えて、有機EL素子の電流−電圧特性を測定するための電流印加パスと電圧検出パスを独立に設けているので、当該電圧検出の際に、スイッチングトランジスタ130による電圧降下の影響を受けずに、更に精度の高い電流−電圧特性計測が可能となる。
【0159】
以上実施の形態1及び2について述べてきたが、本発明に係る表示装置及びその制御方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態1及び2における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、実施の形態1及び2に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る半導体特性評価装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0160】
例えば、本発明に係る表示装置及びその制御方法は、図13に記載されたような薄型フラットTVに内蔵され、また使用される。本発明に係る表示装置及びその制御方法により、発光素子の輝度ムラが抑制されたディスプレイを備えた薄型フラットTVが実現される。
【0161】
また、画素部の有する発光素子は、そのカソードが駆動トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続され、そのアノードが第1電源に接続され、駆動トランジスタのゲートが、実施の形態と同様、スイッチングトランジスタを介してデータ線に接続されており、駆動トランジスタソースおよびドレインの他方が第2電源に接続されていてもよい。この回路構成の場合、第1電源の電位は、第2電源の電位よりも高く設定される。また、検査トランジスタは、そのゲートが制御線に接続され、そのソースおよびドレインの一方がデータ線に接続され、そのソースおよびドレインの他方が発光素子のカソードに接続されている。また、読出しトランジスタは、そのゲートが制御線に接続され、そのソースおよびドレインの一方が読出し線に接続され、そのソースおよびドレインの他方が発光素子のカソードに接続されている。この回路構成においても、本発明と同様の構成及び効果が得られる。
【0162】
また、実施の形態1及び2では、例えば、スイッチングトランジスタのゲートの電圧レベルがHIGHの場合にオン状態になるn型トランジスタとして記述しているが、スイッチングトランジスタ、検査用トランジスタ、読出しトランジスタ及び駆動トランジスタをp型トランジスタで形成し、ゲート線、走査線及び制御線の極性を反転させた表示装置でも、上述した各実施の形態と同様の効果を奏する。
【0163】
また、本発明の実施の形態では、駆動トランジスタ、スイッチングトランジスタ、検査トランジスタ及び読出しトランジスタの各機能を有するトランジスタは、ゲート、ソース及びドレインを有するFET(Field Effect Transistor)であることを前提として説明してきたが、これらのトランジスタには、ベース、コレクタ及びエミッタを有するバイポーラトランジスタが適用されてもよい。この場合にも、本発明の目的が達成され同様の効果を奏する。
【0164】
また、本発明の実施の形態では、表示装置の有する有機EL素子の電流−電圧特性を高速かつ正確に測定する構成および方法を説明してきたが、本発明に係る表示装置の制御方法は、有機EL素子のみならず、電子装置に組み込まれた半導体素子の電流−電圧特性を測定する場合に適用されても同様の効果を奏する。この場合、電子装置の回路規模が大きいほど、つまり、上記半導体素子の電流−電圧特性を測定するための導通線が長くなるほど、また、周辺回路素子の数が多くなるほど本発明を適用する効果は大きい。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明は、特に表示装置を内蔵する有機ELフラットパネルディスプレイに有用であり、特性変化の補正が要求されるディスプレイの表示装置およびその駆動方法として用いるのに最適である。
【符号の説明】
【0166】
1、2 表示装置
5 発光パネル
10、11 表示部
20 走査線駆動回路
21 走査線
22 制御線
30 電圧発生回路
31 データ線
40 電流発生回路
50 電圧検出回路
51 電圧検出器
52 マルチプレクサ
53 読出し線
60 電圧選択スイッチ
70 制御部
80 メモリ
100、101 画素部
110 有機EL素子
115 共通電極
120 駆動トランジスタ
125 電源線
130 スイッチングトランジスタ
140 検査トランジスタ
150 容量素子
160 読出しトランジスタ
210、220 寄生容量
701 計測制御部
702 判定部
703 プリチャージ更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子の第1電極に電気的に接続される第1電源線と、
前記発光素子の第2電極に電気的に接続される第2電源線と、
電圧を保持するコンデンサと、
前記第1電極と前記第1電源線との間に設けられ前記コンデンサに保持された電圧に応じた電流を前記第1電源線と前記第2電源線との間に流して前記発光素子を発光させる駆動素子と、
前記コンデンサの一方の電極に信号電圧を供給するデータ線と、
前記信号電圧に対応する電圧を前記コンデンサに保持させる第1スイッチ素子と、
前記データ線に信号電圧の供給を行い、また、前記データ線に所定の電圧を供給して前記データ線に対して電圧のプリチャージを行う電圧発生回路と、
前記データ線に接続され前記発光素子に所定の調査電流を供給する電流発生回路と、
前記データ線に接続され前記発光素子の電圧を検出する電圧検出回路と、
前記第1電極と前記データ線との間に設けられた配線と、
前記配線に設けられ、前記第1電極と前記データ線とを接続する第2スイッチ素子と、
前記発光素子の発光動作期間中に前記第1スイッチ素子をONにして前記駆動素子をOFFにする電位を前記コンデンサに書き込み、前記駆動素子をOFFとし、前記第1スイッチ素子をOFFにし、前記第2スイッチ素子をONにして前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせた状態で、前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、前記所定の調査電流が供給された状態での前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に検出させる制御部とを具備する
表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を、複数回、供給させ、
前記所定の調査電流が供給された状態の前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に複数回検出させ、
前記検出された複数の前記第1電極の電圧値の差が所定値以上の場合、前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧より大きい更新電圧を供給させて前記データ線に対する電圧のプリチャージを再度行わせる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
さらに、データを格納するメモリを有し、
前記制御部は、
前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧より大きい更新電圧を供給させて前記データ線に対する電圧のプリチャージを再度行わせた後、前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を、複数回、供給させ、
前記所定の調査電流が供給された状態の前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に複数回検出させ、
前記検出された複数の前記第1電極の電圧値の差が所定値未満の場合、前記電圧検出回路により検出された前記第1電極の電圧を前記メモリに保持する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
さらに、データを格納するメモリを有し、
前記制御部は、
前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を、複数回、供給させ、
前記所定の調査電流が供給された状態の前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に複数回検出させ、
前記検出された複数の前記第1電極の電圧値の差が所定値未満の場合、前記電圧検出回路により検出された前記第1電極の電圧を前記メモリに保持する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記電圧検出回路により検出された複数の前記第1電極の電圧値のうち、最後に検出された前記第1電極の電圧を前記メモリに保持する
請求項3または4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記所定の調査電流と前記保持された前記第1電極の電圧とに基づいて前記発光素子の電流−電圧特性を演算し、
外部から入力された映像信号を、前記発光素子の電流−電圧特性に基づいて補正し、前記電圧発生回路から、前記補正後の映像信号に対応した信号電圧を前記データ線に供給させる
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記データ線が外部から入力される映像信号に対応した信号電圧によって使用されていない期間に、
前記第1スイッチ素子をOFFにして前記駆動素子をOFFとし、前記第2スイッチ素子をONにして前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせた状態で、前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、
前記所定の調査電流が供給された状態での前記第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に検出させる
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記映像信号は、フレーム単位に分割され、前記フレーム単位毎に、前記映像信号の各画素に対応する信号電圧を前記コンデンサに書き込む書き込み期間と前記信号電圧を前記コンデンサに書き込まない非書き込み期間とを有し、
前記データ線が外部から入力される映像信号に対応した信号電圧によって使用されていない期間は、前記非書き込み期間である
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記映像信号は、フレーム単位に分割され、前記フレーム単位毎に、前記映像信号の各画素に対応する信号電圧を前記コンデンサに書き込む書き込み期間と前記信号電圧を前記コンデンサに書き込まない非書き込み期間とを有し、
前記データ線が外部から入力される映像信号に対応した信号電圧によって使用されていない期間は、前記非書き込み期間であり、
前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせた状態で、前記所定の調査電流が供給された状態での前記第1電極の電圧を検出させる第1の非書き込み期間と、
前記電圧発生回路に対して前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを再度行わせた状態で、前記所定の調査電流が供給された状態での前記第1電極の電圧を検出させる第2の非書き込み期間と、は別の非書き込み期間である
請求項3に記載の表示装置。
【請求項10】
前記発光素子と前記駆動素子とを含む画素部を複数有し、
前記複数の画素部はマトリクス状に配置されている
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記発光素子の第1電極は、アノード電極であり、
前記第1電源線の電圧は前記第2電源線の電圧より高く、前記第1電源線から前記第2電源線に電流が流れる
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
発光素子と、
前記発光素子の第1電極に電気的に接続される第1電源線と、
前記発光素子の第2電極に電気的に接続される第2電源線と、
電圧を保持するコンデンサと、
前記第1電極と前記第1電源線との間に設けられ前記コンデンサに保持された電圧に応じた電流を前記第1電源線と前記第2電源線との間に流して前記発光素子を発光させる駆動素子と、
前記コンデンサの一方の電極に信号電圧を供給するデータ線と、
前記信号電圧に対応する電圧を前記コンデンサに保持させる第1スイッチ素子と、
前記データ線に信号電圧の供給を行い、また、前記データ線に所定の電圧を供給して前記データ線に対して電圧のプリチャージを行う電圧発生回路と、
前記データ線に接続され前記発光素子に所定の調査電流を供給する電流発生回路と、
前記データ線に接続され前記発光素子の電圧を検出する電圧検出回路と、
前記第1電極と前記データ線との間に設けられた配線と、
前記配線に設けられ、前記第1電極と前記データ線とを接続する第2スイッチ素子と、を具備する表示装置の制御方法であって、
前記発光素子の発光動作期間中に前記第1スイッチ素子をONにして前記駆動素子をOFFにする電位を前記コンデンサに書き込み、前記駆動素子をOFFとし、
前記第1スイッチ素子をOFFにし、
前記第2スイッチ素子をONにし、
前記電圧発生回路から前記データ線に前記所定の電圧を供給させて前記データ線に対して電圧のプリチャージを行わせ、
前記プリチャージがされた状態で前記電流発生回路から前記データ線及び前記配線を介して前記発光素子に前記所定の調査電流を供給させ、
前記所定の調査電流が供給された状態での前記発光素子の第1電極の電圧を、前記データ線及び前記配線を介して、前記電圧検出回路に検出させる
表示装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−190023(P2012−190023A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87861(P2012−87861)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2010−518918(P2010−518918)の分割
【原出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】