説明

表示装置及びそれを備える画像形成装置

【課題】ユーザが表示パネルから離れたときに、ユーザの指示を待たずに、ユーザから見やすい画像を表示することのできる表示装置を提供する。
【解決手段】ジャム発生位置に応じて、表示パネル41の位置を移動させると共に、ジャム発生位置がユーザの位置であるとして、ユーザの位置と表示パネル41との間の距離に応じて表示画像のサイズを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに画像を表示する表示装置及びそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の電気機器において、操作方法等を示す画像をユーザに提示する表示装置を備えるものがある。
【0003】
このような表示装置においては、ユーザが画像を認識しやすいにように、種々の工夫がなされている。例えば、特許文献1には、エラーの解除手順を表す動画を表示する機能を備えると共に、動画を拡大表示するようにとの指示をユーザから受け付けるための拡大キーを備える画像形成装置が記載されている。
【特許文献1】特開2005‐208335号公報(段落[0008]、[0024]等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、ユーザが画像形成装置から離れた場合に、ユーザからは画面が視認しにくい。そして、表示を拡大するにはユーザが再び画像形成装置に近づかなければならず、不便である。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、ユーザの操作負担を軽減することのできる表示装置及びそれを利用した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の表示装置は、電気機器に設けられる表示装置であって、画像を表示可能な表示部と、上記表示部の位置とユーザの位置とが離れるほど、上記表示部の表示サイズを大きく変更する表示サイズ変更部と。を備える。
【0007】
この表示装置によれば、ユーザからの指示を待たずに、表示部の位置とユーザの位置とが離れるほど表示サイズを大きくすることができるので、表示サイズの拡大におけるユーザの操作負担を軽減することができる。
【0008】
請求項2に記載するように、請求項1の表示装置は、上記電気機器におけるエラー発生位置を認識することのできるエラー位置認識部をさらに備え、上記表示サイズ変更部は、上記エラー発生位置をユーザの位置として、上記表示サイズを変更するようになっていてもよい。
【0009】
請求項3に記載するように、請求項1又は2の表示装置は、上記電気機器に対する上記表示部の位置を変化させる位置変更部をさらに備えてもよい。
【0010】
請求項4に記載するように、請求項3の表示装置において、上記位置変更部は、上記表示部をユーザが視認可能な位置に移動させるようになっていてもよい。
【0011】
請求項5に記載するように、請求項4に記載の表示装置は、上記電気機器におけるエラー発生位置を認識することのできるエラー位置認識部をさらに備え、上記位置変更部は、上記エラー発生位置をユーザの位置として、上記表示部の位置を変更するようになっていてもよい。
【0012】
請求項6に記載するように、請求項1〜5のいずれか1項の表示装置は、上記電気機器に対する上記表示部の向きを変更する向き変更部をさらに備えてもよい。
【0013】
請求項7に記載するように、請求項6の表示装置において、上記向き変更部は、上記表示部の向きをユーザが視認可能な角度とするようになっていてもよい。
【0014】
請求項8に記載するように、請求項7の表示装置は、上記電気機器におけるエラー発生位置を認識することのできるエラー位置認識部をさらに備え、上記向き変更部は、上記エラー発生位置をユーザの位置として、上記表示部の向きを変更するようになっていてもよい。
【0015】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示装置は、請求項9に記載するように、画像データに沿って用紙上に画像を形成する画像形成部と、画像形成後の用紙を受け取る排紙トレイと、上記画像形成部を経て上記排紙トレイまで用紙を搬送する用紙搬送装置と、を備える画像形成装置に適用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザからの指示を待たずに、表示部の位置とユーザの位置とが離れるほど表示サイズを大きくすることができるので、表示サイズの拡大におけるユーザの操作負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔1〕第1実施形態
以下、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置1について、図面を参照して説明する。なお、以下、特に言及しない場合は、「上」、「下」、「右」、「左」、「横」、「縦」、「手前」、「奥」等の方向は、画像形成装置1の通常の設置姿勢において、画像形成装置1を操作するユーザから見た方向を指す。
【0018】
(1-1)画像形成装置1
本発明の実施の一形態に係る画像形成装置1の概要について、図1及び図2を参照して説明する。図1は画像形成装置1の外観を示す正面図であり、図2は画像形成装置1の要部構成を示すブロック図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、本体装置10、外部給紙ユニット20、フィニッシャ30、及び表示ユニット40を備える。ユーザから見て、外部給紙ユニット20は本体装置10の右側、フィニッシャ30は左側に配置される。後述する表示ユニット40のパネル台45は外部給紙ユニット20の右側、表示パネル41はデフォルトでは外部給紙ユニット20の上方に配置される。
【0020】
外部給紙ユニット20、フィニッシャ30、及び表示ユニット40は、本体装置10と通信可能に接続されており、これらの装置間では情報のやり取りが可能になっている。
【0021】
(1-2)本体装置10
図1及び図2に示すように、本体装置10は、画像形成部11、用紙搬送部12、給紙カセット13、ジャム検出部14、開閉検出部15、ジャム検出部14、開閉検出部15、主制御装置16を備える。
【0022】
画像形成部11は、画像データに基づいて用紙上に画像を印刷する。画像形成部11としては、電子写真方式やインクジェット方式等の印刷方式を採用することができる。
【0023】
用紙搬送部12は、複数のローラ及びベルト並びにこれらを駆動する駆動部等を備える。用紙搬送部12は、ローラ等によって給紙カセット13内の用紙を画像形成部11に供給し、画像形成後の用紙をフィニッシャ30に送る。
【0024】
給紙カセット13は、用紙束を収容し、本体装置10の中で下方に配置される。給紙カセット13は、本体装置1のハウジング17に対して引き出し及び押入れ可能となっている。つまり給紙カセット13は、開閉部の一例である。給紙カセット13内には、用紙束から用紙を1枚ずつ引き出す給紙ローラが配置されている。
【0025】
ジャム検出部14は、給紙カセット13及び用紙搬送部12における紙ジャム発生を検出することができる。ジャム検出部14は、ジャム発生のみならずジャム発生の位置も検出することができる。
【0026】
このような機能を実現するために、ジャム検出部14は、給紙カセット13及び用紙搬送部12による用紙搬送経路上に配置されて用紙を検出する複数の用紙センサと、これらの用紙センサ間を所定時間内に用紙が通過したかどうかを判定する判定部を備えることで、用紙搬送経路のどこで用紙が詰まっているかを検出することができる。判定部は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等によって構成可能であり、CPUが用紙センサの検出結果に基づいてジャム発生位置を判定することができる。
【0027】
開閉検出部15は、給紙カセット13の開閉を検出することができる。開閉検出部15としては、接触型のセンサを用いることができる。
【0028】
なお、本体装置10の開閉部としては、給紙カセット13の他にも、ハウジング17に対して開閉可能な前カバー等(図示せず)が設けられており、この前カバーに対しても開閉を検出するセンサが設けられている。
【0029】
主制御装置16は、本体装置10の各部の動作を制御すると共に、画像形成装置1全体の動作の制御も行う。
【0030】
ハウジング17は、画像形成部11、用紙搬送部12、ジャム検出部14、開閉検出部15、主制御装置16等を内部に収容し、上述したように給紙カセット13が出し入れ可能になっている。
【0031】
また、図示しないが、本体装置10は、ハードキーやタッチパネル等を備える操作パネルを備える。
【0032】
(1-3)外部給紙ユニット20
図1及び図2に示すように、外部給紙ユニット20はハウジング22を備え、ハウジング22内には用紙束が収容されている。また、ハウジング22内には、用紙束から用紙を本体装置10に用紙を供給する複数のローラ及びこれらのローラを回転駆動する駆動部等が設けられている。
【0033】
ハウジング22の上面には上カバー21が設けられ、ハウジング22に対して開閉可能になっている。上カバー21が開けられた状態では、ユーザは外部給紙ユニット20の内部構成を視認することができる。つまり、上カバー21は開閉部の一例である。
【0034】
外部給紙ユニット20はさらに、本体装置10のジャム検出部14と同様の構成のジャム検出部23を備える。ジャム検出部23は、外部給紙ユニット20中のジャムの発生を検出することができる。また、外部給紙ユニット20は、本体装置10の開閉検出部15と同様に、上カバー21の開閉を検出する開閉検出部24を備える。
【0035】
(1-4)フィニッシャ30
図1及び図2に示すように、フィニッシャ30はハウジング31を備え、ハウジング31の側面には、複数の排紙トレイ32が設けられている。ハウジング31内には、パンチ及びステイプル等の後処理用の部材が配置されている。また、ハウジング31内には、本体装置10から受け取った用紙を排紙トレイ32まで搬送するローラ等の部材およびその駆動記憶が配置されている。
【0036】
ハウジング31の前側(ユーザに対向する側)には、第1カバー33及び第2カバー34が設けられている。第1カバー33は第2カバー34より上側に配置されている。第1カバー33及び第2カバー34を開けると、ユーザはフィニッシャ30内部を視認することができる。つまり、第1及び第2カバー(33、34)は開閉部の一例である。
【0037】
また、フィニッシャ30は、本体装置10のジャム検出部14と同様の構成のジャム検出部35を備える。ジャム検出部35は、フィニッシャ30中のジャムの発生を検出することができる。また、フィニッシャ30は、本体装置10の開閉検出部15と同様に、第1カバー33及び第2カバー34の開閉を検出する開閉検出部36を備える。開閉検出部36はカバー33及び34の開閉をそれぞれ検出する2つのセンサを含む。
【0038】
(1-5)表示ユニット40
図1及び図2に示すように、表示ユニット40は、表示パネル(表示部)41、タッチセンサ42、アーム駆動部43、制御装置44、パネル台45、及びアーム46等を備える。
【0039】
表示パネル41は、ユーザに画像を表示する表示部の一例である。表示パネル41には、液晶表示パネルを採用することができる。
【0040】
タッチセンサ42は、表示パネル41と共にタッチパネルを構成しており、ユーザの操作を受け付けることができる。
【0041】
アーム駆動部43は、後述するようにアーム46の角度を変化させることによって、表示パネル41の姿勢(位置及び向き)を変えることができる。
【0042】
制御装置44は、表示制御部44a及びアーム制御部44b等を備える。表示制御部44aは表示パネル41の動作を制御して、後述するようにジャム解除の手順を説明する画面を表示させる。また、表示サイズを変更する表示サイズ変更部としても機能する。アーム制御部44bは、アーム駆動部43の動作を制御する。
【0043】
アーム46について、図3(a)及び(b)を参照して説明する。図3(a)は表示ユニット40の側面図、図3(b)は表示ユニット40の上面図である。
【0044】
図3(a)及び図3(b)に示すように、アーム46は、第1アーム46a及び第2アーム46bを備える。第1アーム46aの一端はパネル台45に固定されており、他端は第2アーム46bの一端に第1回転部47を介して接続されている。第2アーム46bの第1回転部47と逆側の端は、第2回転部48を介して表示パネル41に接続されている。こうして、アーム46は表示パネル41を支持している。
【0045】
第2アーム46bは、アーム駆動部43によって第1回転部47を中心に上下及び左右方向に回転することができる。この回転によって角度R1及びR3が変化すると、表示パネル41は上下方向及び左右方向にそれぞれ移動する。
【0046】
また、表示パネル41も、アーム駆動部43によって第2回転部48を中心に上下方向(角度R2方向)及び左右方向(角度R4方向)に回転することができる。
【0047】
なお、R1は第1アーム46aと第2アーム46bとの間の角度であり、R2及びR4は表示パネル41と第2アーム46との間の角度であって、それぞれ表示ユニット40の設置地面に垂直な方向及び水平な方向における角度であり、R3は画像形成装置1の左右方向(図1の左右方向)に対する第2アーム46bの角度である。
【0048】
[表示パネルの位置及び表示サイズの制御]
(a)初期状態
ジャムが発生していないときは、図1に示すように、表示パネル41の表示サイズ、並びに表示パネル41の位置及び向きは、デフォルトのままである。すなわち、表示パネル41の位置は外部給紙ユニット20の上方であり、表示パネル41は正面を向いた状態とされる。「正面」とは、表示パネル41の横方向が画像形成装置1の左右方向に平行、表示パネル41の縦方向が画像形成装置1の上下方向に平行とされる状態である。
【0049】
(b)ジャム発生時
図4〜図7をさらに参照して、ジャム発生時の表示ユニット40の制御について説明する。図4は給紙カセット13、図5は外部給紙ユニット20、図6はフィニッシャ30の上部、図7はフィニッシャ30の下部でジャムが発生したときの画像形成装置1の外観を示す正面図である。
【0050】
(b-1) 給紙カセット13でのジャム発生
本体装置10のジャム検出部14は、給紙カセット13でのジャム発生を検出すると、主制御装置16に通報する。主制御装置16は、用紙搬送等の印刷に関する動作を停止させると共に、表示ユニット40にジャム位置の情報を送信する。
【0051】
表示制御部44aは、この情報を受けて、ジャム発生位置及びジャム解除方法を、表示パネル41に表示させる。表示文字として、図4には「ABC」と記しているが、実際には、「給紙カセットを開けて下さい」、「レバーを上げて下さい」、「詰まっている紙があれば取り除いて下さい」のように、ジャム発生位置に合わせて、ジャム位置及びジャム解除手順が表示される。なお、表示制御部44aは、ジャム解除手順の表示において、表示パネル41が1つの手順を表示してから一定時間が経過すると、次の手順を自動的に表示させるようになっている。よって、ユーザは表示パネル41を操作しなくても、操作手順を順に参照することができる。
【0052】
図4に示すように、給紙カセット13でジャムが発生すると、ユーザはジャムを解除するためにかがまなくてはならない。そのため、デフォルトのままで表示パネル41が正面を向いていると、ユーザにとっては画面が視認しにくい。
【0053】
そこで、ジャムの位置情報を受けたアーム制御部44bは、図4に示すように、アーム駆動部43を制御して、角度R1及びR3を変化させることで表示パネル41をユーザの視線が届く位置に移動させる。具体的には、本体装置10及び外部給紙ユニット20によってユーザの視線が遮られないように、表示パネル41はデフォルト位置よりも上、かつ手前に移動する。
【0054】
また、アーム制御部44bは、アーム駆動部43を制御して、角度R2及びR4を変化させることで表示パネル41の向きを調整する。具体的には、表示パネル41はデフォルトよりユーザから見て左下を向くように調整される。
【0055】
アーム制御部44bは、表示パネル41の位置及び向き、つまり角度R1〜R4をジャム位置毎に予め設定したテーブルを有しており、本体装置10から得たジャム位置情報に基づいて、各角度を選択するようになっている。
【0056】
さらに、図4に示すように、表示制御部44aは、ユーザの位置と表示パネル41の位置との距離に基づいて、文字や画像の表示サイズを拡大する。図4においては、デフォルトの位置(図1)よりもユーザと表示パネル41との距離が広がっているので、デフォルトサイズよりも拡大することで、ユーザは画面をより視認しやすくなる。また、このような拡大は、ユーザの指示を待つことなく自動的に行われるので、ユーザにとっては利便性が高い。
【0057】
デフォルトからの拡大率は、ユーザと表示パネル41との距離によって、適宜設定される。ユーザと表示パネル41との距離が大きくなるほど、拡大率は大きく設定される。ただし、拡大率の変化は距離に対して直線的であってもよいし、段階的、つまり階段状に変化するようになっていてもよい。
【0058】
本実施形態では、表示制御部44aは、ジャム位置毎に拡大率が予め設定されたテーブルを有しており、本体装置10から得たジャム位置情報に基づいて、拡大率を選択するようになっている。ユーザはジャム解除のためにジャム位置近傍におり、ジャム位置に応じて表示パネル41の位置が決定されるので、ジャム位置に応じて表示サイズの拡大率が決定されることで、ユーザから見やすい表示が可能となる。
【0059】
なお、拡大率は、タッチセンサ42を介して受け付けたユーザの指示に応じて適宜変更可能である。こうして、小さい文字で一度に多くの情報を得たいと思うユーザに対しては拡大率を小さく、見易さを重視するユーザに対しては拡大率を大きくする等、ユーザの希望に合わせた表示が可能となる。
【0060】
(b-2) 外部給紙ユニット20でのジャム発生
ジャム検出部23が外部給紙ユニット20でのジャム発生を検出した場合も、上記(b-1)欄と述べたように、表示ユニット40は、主制御部16を介してジャム位置情報を受ける。ジャム位置情報を受けて、アーム制御部44bは表示パネル41の位置及び向きを調整し、表示制御部44aはジャム位置に応じたジャム解除手順を表示パネル41に表示させると共に、表示サイズを調整する。
【0061】
具体的には、図5に示すように、外部給紙ユニット20のジャム解除のために上カバー21が開けられるので、ジャム解除作業の妨げとならないように、表示パネル41はデフォルトよりも上方向に移動する。また、ユーザから見やすいように、表示パネル41の向きは正面よりも下向きとなり、表示サイズはデフォルトよりも拡大される。
【0062】
(b-3) フィニッシャ30でのジャム発生
ジャム検出部35がフィニッシャ30でのジャム発生を検出した場合も、上記(b-1)欄で述べた様に、表示ユニット40は、主制御部16を介してジャム位置情報を受ける。ジャム位置情報を受けて、アーム制御部44bは表示パネル41の位置及び向きを調整し、表示制御部44aはジャム位置に応じたジャム解除手順を表示パネル41に表示させると共に、表示サイズを調整する。
【0063】
具体的には、図6に示すように、ジャム位置がフィニッシャ30の上部であれば、ユーザは第1カバー33を開けてジャム解除を行うので、ユーザと表示パネル41との間が第1カバーで遮られないように、表示パネル41はデフォルトよりも手前に移動する。そして、表示パネル41は、ユーザの方を向くように、デフォルトよりも左側に向けられる。また、表示サイズは、デフォルトよりも拡大される。
【0064】
図7に示すように、ジャム位置がフィニッシャ30の下部であれば、ユーザは屈んで第2カバー34を開け、ジャム解除を行う。そこで、ユーザと表示パネル41との間が第2カバー34や本体装置10等で遮られないように、表示パネル41はデフォルトよりも上方向に移動する。そして、表示パネル41は、ユーザの方を向くように、デフォルトよりも左側に向けられる。また、表示サイズはデフォルトよりも拡大される。
【0065】
上記(b-1)〜(b-3)欄に述べたように、画像形成装置1では、ジャム位置に応じて、表示パネル41の位置、向き、及び表示サイズが調整されることによって、ユーザから見やすい表示が可能となる。
【0066】
また、以上の説明から明らかなように、本発明の表示装置の各構成要素は、全て1体の装置に組み込まれている必要はない。例えば本実施形態では、エラー位置認識部であるジャム検出部(14、23、35)、及び開閉位置を検出する開閉検出部(15、24、36)が、表示パネル41を有する表示ユニット40とは別体の装置内に設けられている。また、表示ユニット40は、本体装置10内の主制御装置16の制御も受ける。
【0067】
つまり、表示ユニット40が本発明の表示装置の一例であると考えることもできるし、表示ユニット40、ジャム検出部(14、23、35)、開閉検出部(15、24、36)、及び主制御部16の全てを合わせて、本発明の表示装置の一例であると考えることもできる。
【0068】
〔2〕第2実施形態
通常、ユーザはジャムの発生位置を自分で判断することができない。そのため、まず表示パネル41でジャムの発生位置及び解除の最初の手順を確認し、その後でジャム解除操作を開始することが多い。
【0069】
そこで、本実施形態では、表示ユニット40の制御装置44は、ジャムが発生した場合で、開閉部(13、21、33、34)が開けられたときに、上記(b-1)〜(b-3)欄の制御を行うようになっている。
【0070】
例えば、給紙カセット13でジャムが発生すると、表示制御部44aは、主制御装置16を介してジャム位置情報を受けて、給紙カセット13でのジャム解除の最初の手順(給紙カセット13の引き出し)を表示パネル41に表示させる。このとき、表示サイズはデフォルトのままであって、表示パネル41の位置及び向きもデフォルトのままとされる(図1)。
【0071】
この状態でジャム解除の最初の手順を確認したユーザは、給紙カセット13を引き出す。開閉検出部15は、給紙カセット13が引き出されたことを検出すると、主制御装置16に「給紙カセット:開」を示す信号を送信する。主制御装置16はこの信号を受けて、表示ユニット40へ給紙カセット13が開かれたことを通知する。
【0072】
この通知を受けると、アーム制御部44bは、開けられたのが給紙カセット13であることから、表示パネル41を図4に示す位置に移動させると共に向きを調整する。そして、表示制御部44aは表示パネル41に次の手順を表示させると共に、図4に示すように、ユーザが給紙カセット13にいるときに見やすいように、表示サイズを拡大する。
【0073】
このとき、給紙カセット13以外の開閉部、例えば第1カバー33が開けられたとする。開閉検出部36が、第1カバー33が開いたことを検出し、それが表示ユニット40に伝えられると、アーム制御部44bは、図6に示す位置に表示パネル41を移動させ、表示パネル41の向きを調整する。つまり、表示パネル41は、第1カバー33の近傍にいるユーザに適した位置及び向きを採る。また、表示サイズも、図6と同様に、第1カバー33の近傍にいるユーザから見やすいサイズに拡大される。
【0074】
他の位置でジャムが起きたときも、表示パネル41はデフォルトの表示サイズ並びに位置及び角度最初の手順が表示され、開閉検出部24又は36が、上カバー21、第1カバー33、又は第2カバー34が開いたことを検出すると、アーム制御部44bは、表示パネル41の位置及び角度を、図5〜図7に示すように調整し、表示制御部44aは表示内容を次の手順に切り換えると共に、表示サイズを拡大する。
【0075】
以上のように、本実施形態では、ユーザが操作中の部位において、ユーザが画面を視認しやすいように、表示パネル41の位置及び向き並びに表示サイズが調整される。
【0076】
〔3〕他の実施形態
画像形成装置1、特に表示ユニット40は、電気機器に設けられる表示装置であって、画像を表示可能な表示部と、表示部の位置とユーザの位置とが離れるほど、表示部の表示サイズを大きく変更する表示サイズ変更部と、を備える表示装置の一例に過ぎない。例えば、この表示装置は、以下のような形態とすることができる。
【0077】
(3-1)表示制御タイミング
第1及び第2実施形態では、表示パネル41の位置及び角度並びに表示サイズが変更されるタイミングとして、ジャム発生を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、通常の操作中、現像剤切れ、用紙切れ、メンテナンス要求時等、ユーザに何らかの操作を要求するときに、同様の制御が行われてもよい。
【0078】
(3-2)ユーザ位置
第1及び第2実施形態では、ジャム発生位置及び開かれた開閉部(13、21、33、34)をそれぞれユーザの位置として、表示パネル41の位置及び向き並びに表示サイズが制御された。しかし、他の位置をユーザ位置として、表示ユニット40の制御が行われてもよい。
【0079】
例えば、通常の操作中、並びに現像剤切れ、用紙切れ、及びその他メンテナンス要求時などのユーザに何らかの操作を要求する場合等に、ユーザが操作を行うときの立ち(座り)位置及び姿勢等を考慮して、表示パネル41の位置及び向き並びに表示サイズが制御されればよい。特に、ジャム発生時、開閉部が開かれたとき、現像剤切れ、用紙切れ等は、画像形成装置の場合は画像形成を続行できないエラー発生時であると言える。つまり、これらのエラー発生位置を、ユーザ位置と判断することが可能である。
【0080】
画像形成装置以外の電気機器においても同様に、エラー発生位置をユーザ位置として、表示部の位置及び向き並びに表示サイズを制御可能である。
【0081】
また、赤外線センサ等を用いて、ユーザの位置を検出してもよい。
【0082】
(3-3)表示倍率(拡大率)の制御
第1及び第2実施形態では、ジャム位置及び開かれた開閉部(13、21、33、34)の位置に応じて表示パネル41の位置が設定されるので、表示倍率もこれらの位置に応じて決定されるものとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
例えば、表示ユニット40が角度R1及びR3を検出する角度検出部を有しており、表示制御部44aが、角度R1及びR3を表示パネル41の位置情報として、これらの角度が大きくなるほど表示サイズを大きくするようになっていてもよい。
【0084】
また、第1及び第2実施形態とは異なりユーザの位置が一定であって表示パネル41の位置のみが変更される場合、及びユーザが移動して表示パネル41の位置が固定されている場合等にも、表示サイズはユーザと表示パネル41との距離が大きくなるほど大きくなるように設定される。前者の場合では、表示パネル41の位置は上述したように角度R1及び角度R3に基づいて判断され、後者の場合では、第1及び第2実施形態のようにジャム位置や開かれた開閉部の位置等によってユーザの位置を検出してもよいし、上記(3-2)の構成によってユーザ位置を検出してもよい。
【0085】
また、第1及び第2実施形態では、予め表示倍率がテーブルとして設定されていたが、これ以外にも、ユーザ及び/又は表示部が移動する毎に、ユーザ及び/又は表示部の位置情報に基づいて、表示制御部44aが表示倍率を算出するようになっていてもよい。
【0086】
(3-4)表示部の位置及び向きの制御
第1及び第2実施形態では、表示パネル41の位置及び向きの両方が変更されるものとしたが、いずれか一方のみが変更されてもよい。表示パネル41の位置及び向きは固定されていて、ユーザの位置に基づいて表示サイズのみが変更されるようになっていてもよい。
【0087】
また、表示倍率の制御と同様に、ユーザ及び/又は表示部が移動する毎に、ユーザ及び/又は表示部の位置情報に基づいて、アーム制御部44bが表示倍率を算出するようになっていてもよい。
【0088】
(3-5)表示部の位置変更及び向き変更の機構
アーム46及びアーム駆動部43は、アーム制御部44bと共に表示パネル41の位置変更部及び向き変更部を構成する機構の一例に過ぎない。よって、位置変更部及び向き変更部としては、他の構成を適宜用いることができる。
【0089】
(3-6)本発明の適用対象
画像形成装置1は、本発明を適用することのできる電気機器の一例に過ぎず、本発明は他の種々の電気機器に適用可能である。
【0090】
(3-7)以上、異なる実施形態として記載した技術を適宜組み合わせて得られる技術についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置1の外観を示す正面図である。
【図2】画像形成装置1の要部構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は表示ユニット40の側面図、(b)は表示ユニット40の上面図である。
【図4】表示パネル41の姿勢及び表示サイズの一例を示す正面図。
【図5】表示パネル41の姿勢及び表示サイズの他の例を示す正面図。
【図6】表示パネル41の姿勢及び表示サイズのさらに他の例を示す正面図。
【図7】表示パネル41の姿勢及び表示サイズのさらに他の例を示す正面図。
【符号の説明】
【0092】
1 画像形成装置
10 本体装置
13 給紙カセット
17 ハウジング
20 外部給紙ユニット
21 上カバー
22 ハウジング
30 フィニッシャ
31 ハウジング
32 排紙トレイ
33 第1カバー
34 第2カバー
40 表示ユニット
41 表示パネル
45 パネル台
46 アーム
47 第1回転部
48 第2回転部
R1〜R4 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に設けられる表示装置であって、
画像を表示可能な表示部と、
上記表示部の位置とユーザの位置とが離れるほど、上記表示部の表示サイズを大きく変更する表示サイズ変更部と、
を備える表示装置。
【請求項2】
上記電気機器におけるエラー発生位置を認識することのできるエラー位置認識部をさらに備え、
上記表示サイズ変更部は、上記エラー発生位置をユーザの位置として、上記表示サイズを変更するようになっている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記電気機器に対する上記表示部の位置を変化させる位置変更部をさらに備える、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記位置変更部は、上記表示部をユーザが視認可能な位置に移動させるようになっている、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記電気機器におけるエラー発生位置を認識することのできるエラー位置認識部をさらに備え、
上記位置変更部は、上記エラー発生位置をユーザの位置として、上記表示部の位置を変更するようになっている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
上記電気機器に対する上記表示部の向きを変更する向き変更部をさらに備える、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
上記向き変更部は、上記表示部の向きをユーザが視認可能な角度とするようになっている、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
上記電気機器におけるエラー発生位置を認識することのできるエラー位置認識部をさらに備え、
上記向き変更部は、上記エラー発生位置をユーザの位置として、上記表示部の向きを変更するようになっている、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示装置と、
画像データに沿って用紙上に画像を形成する画像形成部と、
画像形成後の用紙を受け取る排紙トレイと、
上記画像形成部を経て上記排紙トレイまで用紙を搬送する用紙搬送装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−54565(P2010−54565A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216390(P2008−216390)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】