説明

表示装置及び表示パネルの駆動方法

【課題】誤放電を防止することができる表示装置及び表示パネルの駆動方法を提供する。
【解決手段】表示ラインを担う複数の行電極対と列電極各々との交叉部に第1放電セルと遮光層が設けられている第2放電セルとからなる画素セルが形成されている表示パネルを以下の如く駆動する。すなわち、1フィールド表示期間の先頭のサブフィールドSF1のアドレス期間Wwにおいて、全ての行電極対における一方の行電極に夫々所定の第1電位を有する走査ベース電圧BP+を印加しつつこの第1電位と同一極性の電位SPを一方の行電極各々に順次重畳させて印加すると共に、画素データに応じた電位を列電極に印加することにより第2放電セル内に書込アドレス放電を生起させる。この際、アドレス期間の終了時T1において一方の行電極の電位を上記第1電位から徐々に低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルを搭載した表示装置及び表示パネルの駆動方法に関する
【背景技術】
【0002】
近年、大型で薄型のカラー表示パネルとして面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルを搭載したプラズマディスプレイ装置が注目されている。更に、かかる面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルとして、各画素を担う画素セルが選択セルと表示セルとから構成される表示パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる表示パネルは、放電空間を挟んで対向配置された前面基板及び背面基板と、その前面基板の内面に設けられている複数の行電極対と、背面基板の内面において行電極対に交叉して配列された複数の列電極とが備えられている。行電極対及び列電極の各交叉部に、表示セルC1と、選択セルC2とからなる画素セルPCが形成されている(特許文献1の図2及び図3参照)。かかる表示パネルを駆動する場合には、1フィールド表示期間毎に、複数のサブフィールドSF各々において、各画素セルの状態を点灯セル状態及び消灯セル状態のいずれか一方に決定するアドレス行程Wと、点灯セル状態にある放電セルのみを繰り返し放電させるサスティン行程Iとを実行する(特許文献1の図7及び図8参照)。上記アドレス行程Wでは、点灯セル状態に設定させるべき画素セルPCが属する列電極Dに0ボルトの電位を印加させつつ、正極性の走査パルスSPを行電極Yに印加することにより、選択セルC2内の列電極D及び行電極Y間においてアドレス放電を生起させる。この際、かかる選択セルC2内において生起されたアドレス放電は表示セルC1側に拡張され、更にサスティン行程Iにおいて、行電極にサスティンパルスIPYを印加し且つ列電極にアドレスパルスAPを印加することにより、選択セルC2内で放電を生じさせこれを表示セルC1内に拡張させることにより、表示セルC1が点灯セル状態に設定される。そして、上記サスティン行程Iでは、サスティンパルスIPを行電極X及びYに印加することにより、点灯セル状態に設定されている画素セルPCの表示セルC1内においてサスティン放電を生起させる。
【0003】
この際、アドレス行程Wでは、アドレス対象となった選択セルC2内の列電極D及び行電極Y間以外の場所で、誤って放電が生起されてしまうことを防止すべく、走査パルスSPと同一極性の電位を有する走査ベースパルスSBPをアドレス行程Wの実行期間に亘り全ての行電極X及びYに印加するようにしている(特許文献1の図8参照)。
【0004】
ここで、アドレス行程Wからサスティン行程Iに移行するにあたり、この走査ベースパルスSBPの印加を停止して行電極上の電位を0ボルトに推移させる。ところが、アドレス期間の終了時において行電極上の電位を走査ベースパルスの電位(比較的高い電位)から急峻に推移させると、アドレス放電によって選択セルC2内に形成された壁電荷により、選択セルC2内の行電極−列電極間で意図せぬ放電(誤放電)が生じる場合がある。この誤放電が生じると、選択セルC2内での壁電荷が削られるため、サスティン行程Iにおいて上記アドレスパルスAPによる選択セルC2内での放電が生じにくくなり、表示セルC2を点灯セル状態に設定することが困難になるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−107428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる問題を解決すべく為されたものであり、誤放電を防止することができる表示装置及び表示パネルの駆動方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載による表示装置は、入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて前記画素各々を点灯モード及び消灯モードの内の一方の状態に設定するアドレス期間と、前記点灯モードの状態にある前記画素を発光させるサスティン期間とを含むサブフィールドの複数によって画像表示を行う表示装置であって、放電空間を挟んで対向した前面基板及び背面基板と、前記前面基板の内面に表示ラインを構成する複数の行電極対と、前記行電極対を覆う誘電体層と、前記背面基板の内面に前記行電極対と交叉して配列された複数の列電極とを有し、前記行電極対と前記列電極との各交叉部に第1放電セルと、遮光層が設けられている第2放電セルとからなる画素セルが形成されている表示パネルと、1フィールド表示期間の先頭の前記サブフィールドの前記アドレス期間において前記画素データに応じて前記第2放電セル内に書込アドレス放電を生起させることにより前記画素セルを前記点灯モードに設定する書込アドレス手段と、を備え、前記書込アドレス手段は、全ての前記行電極対における一方の行電極に夫々所定の第1電位を有する走査ベース電位を印加しつつ前記第1電位と同一極性の電位を前記一方の行電極各々に順次重畳させて印加すると共に、前記画素データに応じた電位を前記列電極に印加することにより前記第2放電セル内に前記書込アドレス放電を生起させ、前記アドレス期間の終了時において前記一方の行電極の電位を前記第1電位から徐々に低下させる。
【0007】
又、請求項18記載による表示パネルの駆動方法は、表示ラインを構成する複数の行電極対と、前記行電極対と交叉して配列された複数の列電極との各交叉部に第1放電セルと、遮光層が設けられている第2放電セルとからなる画素セルが形成されている表示パネルを、入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて前記画素各々を点灯モード及び消灯モードの内の一方の状態に設定するアドレス期間と前記点灯モードの状態にある前記画素を発光させるサスティン期間とを含むサブフィールドの複数によって駆動する表示パネルの駆動方法であって、1フィールド表示期間の先頭の前記サブフィールドの前記アドレス期間において、全ての前記行電極対における一方の行電極に夫々所定の第1電位を有する走査ベース電位を印加しつつ前記第1電位と同一極性の電位を前記一方の行電極各々に順次重畳させて印加すると共に、前記画素データに応じた電位を前記列電極に印加することにより前記第2放電セル内に書込アドレス放電を生起させて前記画素を前記点灯モードに設定する書込アドレス行程を備え、前記書込アドレス行程では前記アドレス期間の終了時において前記一方の行電極の電位を前記第1電位から徐々に低下させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明においては、表示ラインを担う複数の行電極対と列電極各々との交叉部に第1放電セルと遮光層が設けられている第2放電セルとからなる画素セルが形成されている表示パネルを以下の如く駆動する。つまり、1フィールド表示期間の先頭のサブフィールドのアドレス期間において、全ての行電極対における一方の行電極に夫々所定の第1電位を有する走査ベース電位を印加しつつこの第1電位と同一極性の電位を一方の行電極各々に順次重畳させて印加すると共に、画素データに応じた電位を列電極に印加することにより第2放電セル内に書込アドレス放電を生起させる。この際、アドレス期間の終了時において一方の行電極の電位を上記第1電位から徐々に低下させる。これにより、走査ベース電位の立ち下がり区間において生起されてしまう誤放電を微弱化することができるので、第2放電セル内での壁電荷量の低減が抑制される。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明による表示装置としてのプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。
【0010】
図1に示されるように、かかるプラズマディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネルとしてのPDP50と、入力映像信号に応じてPDP50を駆動制御する駆動制御回路54とから構成される。
【0011】
PDP50は、列電極ドライバ55、偶数X電極ドライバ510、奇数X電極ドライバ520、奇数Y電極ドライバ530及び偶数Y電極ドライバ540及び表示電極形成部DPEからなる。
【0012】
表示電極形成部DPEには、表示画面の列方向(上下方向)に夫々伸長している帯状の列電極(アドレス電極)D1〜Dmが形成されている。更に、表示電極形成部DEには、表示画面の行方向(左右方向)に夫々伸長している帯状の行電極X1〜Xn及び行電極Y1〜Yn各々が、図1に示す如く、XY交互に且つ番号順に配列されている。この際、互いに隣接するもの同士で対となる行電極対の各々、つまり行電極対(X1、Y1)〜行電極対(Xn、Yn)の各々がPDP50における第1表示ライン〜第n表示ラインに対応している。各表示ラインと列電極D1〜Dmとの各交叉部、つまり図1中の一点鎖線にて囲まれた単位発光領域には画素を担う画素セルPCが形成されている。
【0013】
図2〜図4は、表示電極形成部DPEの構造の一部を抜粋して示す図である。
【0014】
尚、図2は、PDP50の表示面側から眺めた平面図である。又、図3は図2に示されるV−V線から眺めた断面図であり、図4は図2に示されるW−W線から眺めた断面図である。
【0015】
図2に示すように、行電極Yは、表示画面の行方向(左右方向)に伸長するバス電極Yb(行電極Yの本体部)と、バス電極Ybに接続された複数の透明電極Yaとから構成される。透明電極YaはITO等の透明導電膜からなり、バス電極Yb上における各列電極Dに対応した位置に夫々配置されている。透明電極Yaは、バス電極Ybとは直交する方向に伸長しており、その一端及び他端が夫々図2に示す如く幅広な形状になっている。すなわち、透明電極Yaは、行電極Yの本体部から突起した突起電極と捉えることができる。又、行電極Xは、表示画面の行方向(左右方向)に伸長するバス電極Xb(行電極Xの本体部)と、バス電極Xbに接続された複数の透明電極Xaとから構成される。バス電極Xbは例えば黒色の金属膜からなる。透明電極XaはITO等の透明導電膜からなり、バス電極Xb上における各列電極Dに対応した位置に夫々配置されている。透明電極Xaは、バス電極Xbとは直交する方向に伸長しており、その一端が図2に示す如く幅広な形状になっている。すなわち、透明電極Xaは、行電極Xの本体部から突起した突起電極と捉えることができる。上記透明電極Xa及びYa各々の幅広部が、図2に示す如く互いに所定長の放電ギャップgを介して対向して配置されている。つまり、対を為す行電極X及びY各々の本体部から突起した突起電極としての透明電極Xa及びYaが互いに放電ギャップgを介して対向して配置されているのである。尚、上記バス電極Yb及びXbは夫々、図3に示す如き黒色の遮光導電層BEと主導電層MEとから構成される。
【0016】
上記透明電極Ya及びバス電極Ybからなる行電極Yと、透明電極Xa及びバス電極Xbからなる行電極Xは、図3に示す如く、PDP50の表示面を担う前面透明基板10の内側の面に形成されている。更に、これら行電極X及びYを被覆すべく、前面透明基板10の裏面には誘電体層11が形成されている。誘電体層11の表面における選択セルC2(後述する)各々に対応した位置には、誘電体層11から背面側に向かって突出した誘電体層嵩上げ部12が形成されている。尚、誘電体層嵩上げ部12は、黒色または暗色の顔料を含んだ光吸収層からなり、PDP50の表示面側から眺めた場合には図2の2点鎖線にて示される領域に形成されている。誘電体層嵩上げ部12の表面及び誘電体層嵩上げ部12が形成されていない誘電体層11の表面は、MgO(酸化マグネシウム)からなる保護層MGによって被覆されている。前面透明基板10に対して平行配置された背面基板13上には、夫々バス電極Xb及びYbと直交する方向に伸長している複数の列電極Dが互いに所定の間隙を開けて平行に配列されている。背面基板13には、列電極Dを被覆する白色の列電極保護層(誘電体層)14が形成されている。列電極保護層14上には、第1横壁15A、第2横壁15B及び縦壁15Cからなる隔壁15が形成されている。第1横壁15Aは、バス電極Ybと対向した列電極保護層14上の位置において表示面の行方向(左右方向)に伸長して形成されている。第2横壁15Bは、バス電極Xbと対向した列電極保護層14上の位置において表示面の行方向(左右方向)に伸長して形成されている。縦壁15Cは、バス電極Xb(Yb)上において等間隙に配置された透明電極Xa(Ya)各々の間の位置において夫々、バス電極Xb(Yb)とは直交する方向に伸長して形成されている。
【0017】
第1横壁15A、第2横壁15B及び縦壁15C各々の高さは図3及び図4に示すように、誘電体層11の表面に到達するほど高くはない。従って、図3に示す如く第2横壁15Bと誘電体層嵩上げ部12との間には、放電ガスの流通が可能な隙間rが存在する。ところが、誘電体層11の表面上において第1横壁15Aに対向した部分には図3に示す如く誘電体層嵩上げ部12が設けられている。これら第1横壁15A及び誘電体層嵩上げ部12によって放電ガスの流通が遮断されている。
【0018】
上記第1横壁15A及び縦壁15Cによって囲まれた領域(図2中の一点鎖線にて囲まれた領域)が画素を担う画素セルPCとなる。尚、かかる画素セルPCは、図2及び図3に示す如く、第2横壁15Bによって表示セルC1及び選択セルC2に区分けされている。
【0019】
列電極保護層14上における選択セルC2に対応した領域(縦壁15C、第1横壁15A及び第2横壁15B各々の側面を含む)には2次電子放出材料層30が形成されている。2次電子放出材料層30は、仕事関数が低い(例えば4.2eV以下)、いわゆる2次電子放出係数の高い高γ材料からなる層である。2次電子放出材料層30として用いる材料としては、例えばMgO、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物、Cs2O等のアルカリ金属酸化物、CaF2、MgF2等のフッ化物、TiO2、Y23、あるいは、結晶欠陥や不純物ドープにより2次電子放出係数を高めた材料、ダイアモンド状薄膜、カーボンナノチューブ等がある。
【0020】
一方、列電極保護層14上における表示セルC1に対応した領域(縦壁15C、第1横壁15A及び第2横壁15B各々の側面を含む)には、図3に示す如く蛍光体層16が形成されている。蛍光体層16としては、赤色で発光する赤色蛍光層、緑色で発光する緑色蛍光層、及び青色で発光する青色蛍光層の3系統があり、各画素セルPC毎にその割り当てが決まっている。
【0021】
上記2次電子放出材料層30及び蛍光体層16と、誘電体層11との間には放電ガスが封入された放電空間が存在する。
【0022】
このように、表示セルC1は、表示ラインを担う一対の行電極X及びYと、蛍光体層16とを含む。一方、選択セルC2は、上記表示ラインを担う一対の行電極の内の行電極Yと、この表示ラインの表示面上方に隣接する表示ラインを担う一対の行電極の内の行電極Xと、2次電子放出材料層30とを含む。尚、表示セルC1内では、図2に示すように、行電極Xの透明電極Xaの一端に形成されている幅広部と、行電極Yの透明電極Yaの一端に形成されている幅広部とが放電ギャップgを介して互いに対向して配置されている。一方、選択セルC2内においては、この透明電極Yaの他端に形成されている幅広部が含まれるが、透明電極Xは含まれていない。又、図3に示すように、表示面の上下方向(図3では左右方向)において互いに隣接する画素セルPC各々の放電空間は、第1横壁15A、誘電体層嵩上げ部12及び保護層MGによって遮断されている。一方、同一の画素セルPCに属する表示セルC1及び選択セルC2各々の放電空間は、図3に示す如き隙間rにて連通している。又、表示面の左右方向において互いに隣接する選択セルC2各々の放電空間は、誘電体層嵩上げ部12及び第1横壁15Aによって遮断されているが、表示面の左右方向において互いに隣接する表示セルC1各々の放電空間は互いに連通している。このように、画素セルPCの各々は、互いにその放電空間が連通している表示セルC1及び選択セルC2から構成されている。
【0023】
駆動制御回路54は、先ず、入力映像信号を各画素毎に輝度レベルを表す例えば8ビットの画素データに変換し、この画素データに対して誤差拡散処理及びディザ処理を施す。例えば、当該誤差拡散処理では、先ず、画素データの上位6ビット分を表示データ、残りの下位2ビット分を誤差データとする。そして、周辺画素各々に対応した当該画素データの各誤差データを重み付け加算したものを、上記表示データに反映させる。かかる動作により、原画素における下位2ビット分の輝度が上記周辺画素によって擬似的に表現され、それ故に8ビットよりも少ない6ビット分の表示データにて、上記8ビット分の画素データと同等の輝度階調表現が可能になる。そして、この誤差拡散処理によって得られた6ビットの誤差拡散処理画素データに対してディザ処理を施す。ディザ処理では、互いに隣接する複数の画素を1画素単位とし、この1画素単位内の各画素に対応した上記誤差拡散処理画素データに夫々、互いに異なる係数値からなるディザ係数を夫々割り当てて加算してディザ加算画素データを得る。かかるディザ係数の加算によれば、上記1画素単位で眺めた場合には、上記ディザ加算画素データの上位4ビット分だけでも8ビットに相当する輝度を表現することが可能となる。そこで、駆動制御回路54は、当該ディザ加算画素データの上位4ビット分を多階調化画素データPDSとし、これを図5に示す如きデータ変換テーブルに従って第1〜第15ビットからなる15ビットの画素駆動データGDに変換する。従って、8ビットで256階調を表現し得る画素データは、図5に示すように、全部で16パターンからなる15ビットの画素駆動データGDに変換される。次に、駆動制御回路54は、1画面分の画素駆動データGD1、1〜GDnm毎に、これら画素駆動データGD1、1〜GDnm各々を同一ビット桁同士にて分離することにより、
DB1:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第1ビット目
DB2:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第2ビット目
DB3:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第3ビット目
DB4:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第4ビット目
DB5:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第5ビット目
DB6:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第6ビット目
DB7:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第7ビット目
DB8:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第8ビット目
DB9:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第9ビット目
DB10:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第10ビット目
DB11:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第11ビット目
DB12:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第12ビット目
DB13:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第13ビット目
DB14:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第14ビット目
DB15:画素駆動データGD1、1〜GDnm各々の第15ビット目
の如き画素駆動データビット群DB1〜DB15を得る。
【0024】
尚、画素駆動データビット群DB1〜DB15各々は、後述するサブフィールドSF1〜SF15各々に対応したものである。駆動制御回路54は、サブフィールドSF1〜SF15毎に、そのサブフィールドに対応した画素駆動データビット群DBを1表示ライン分(m個)ずつ列電極ドライバ55に供給する。
【0025】
更に、駆動制御回路54は、図6に示す如き発光駆動シーケンスに従ってPDP50を駆動制御すべき各種タイミング信号を、列電極ドライバ55、偶数X電極ドライバ510、奇数X電極ドライバ520、奇数Y電極ドライバ530及び偶数Y電極ドライバ540各々に供給する。
【0026】
ここで、図6に示す発光駆動シーケンスは、映像信号における各単位表示期間(1フィールド又は1フレーム表示期間)内において、15個のサブフィールドSF1〜SF15毎に以下の如き駆動を実施させるものである。
【0027】
図6において、先頭のサブフィールドSF1では、リセット行程R、選択書込アドレス行程WW及びサスティン行程Iを順に実行する。サブフィールドSF2〜SF15各々では、奇数行選択消去アドレス行程WOR、サスティン行程I、偶数行選択消去アドレス行程WER及びサスティン行程Iを順に実行する。
【0028】
図7は、図6に示す発光駆動シーケンスに従って、列電極ドライバ55、偶数X電極ドライバ510、奇数X電極ドライバ520、奇数Y電極ドライバ530及び偶数Y電極ドライバ540各々が列電極D、行電極X及びYに印加する各種駆動パルスを示す図である。尚、図7は、図6に示すサブフィールドSF1〜SF15の内の、先頭のサブフィールドSF1と、それに続くサブフィールドSF2及びSF3での動作のみを抜粋して示すものである。
【0029】
先ず、サブフィールドSF1のリセット行程Rでは、偶数X電極ドライバ510が、後述するサスティンパルスに比して立ち上がり変化の緩やかなパルス波形を有する正極性のリセットパルスRPを発生し、これを奇数Y電極ドライバ530、並びに偶数番目の行電極X2、X4、・・・・、Xn-2及びXn各々に印加する。この際、奇数Y電極ドライバ530は、かかるリセットパルスRPを奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に印加する。更に、サブフィールドSF1のリセット行程Rでは、奇数X電極ドライバ520が、上記の如きリセットパルスRPを発生し、これを偶数Y電極ドライバ540、並びに奇数番目の行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn-3及びXn-1各々に印加する。この際、偶数Y電極ドライバ540は、かかるリセットパルスRPを偶数番目の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn-2及びYn各々に印加する。
【0030】
このように、リセット行程Rでは、図7に示す如き立ち上がり時の電圧推移が緩やかな波形を有する正極性のリセットパルスRPがPDP50の全ての行電極X及びYに同時に印加される。かかるリセットパルスRPの印加に応じて、全ての画素セルPCの選択セルC2内の行電極Y及び列電極Dにおいて微弱なリセット放電が生起される。かかるリセット放電終息後、選択セルC2内の列電極D上には正極性の電荷が形成され、行電極Y上には負極性の電荷が形成される。また、表示セルC1内の行電極Y上には負極性の壁電荷が形成され、行電極X上にも負極性の壁電荷が形成される。すなわち、リセット行程Rの実行により、全ての画素セルPCは、その表示セルC1内の行電極X及びYに互いに同一極性の電荷が形成された状態である、消灯モードに初期化される。
【0031】
次に、サブフィールドSF1の選択書込アドレス行程WWでは、偶数X電極ドライバ510が、図7に示す如き、正極性のピーク電位V1を有し且つその立ち下がり変化が緩やかな波形を有する走査ベースパルスBP+(走査ベース電位)を発生し、これを奇数Y電極ドライバ530、並びに偶数番目の行電極X2、X4、・・・・、Xn-2及びXn各々に印加する。この際、奇数Y電極ドライバ530は、かかる走査ベースパルスBP+を奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に印加しつつ、この走査ベースパルスBP+のピーク電位V1に正極性のパルス電位を重畳させた図7に示す如き走査パルスSP(走査電位)を発生して、奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に順次、択一的に印加して行く。
【0032】
又、サブフィールドSF1の選択書込アドレス行程WWでは、奇数X電極ドライバ520が、図7に示す如き正極性のピーク電位V1を有し且つその立ち下がり変化が緩やかな波形を有する走査ベースパルスBP+を発生し、これを偶数Y電極ドライバ540、並びに奇数番目の行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn-3及びXn-1各々に印加する。この際、偶数Y電極ドライバ540は、かかる走査ベースパルスBP+を偶数番目の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn-2及びYn各々に印加しつつ、この走査ベースパルスBP+のピーク電位V1に正極性の所定電位を重畳させた図7に示す如き走査パルスSPを発生して、偶数番目の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn-2及びYn各々に順次、択一的に印加して行く。
【0033】
この間、列電極ドライバ55は、サブフィールドSF1に対応した画素駆動データビット群DB1における各データビットをその論理レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、列電極ドライバ55は、画素セルPCを消灯モードに設定させるべき論理レベル0の画素駆動データビットに対してこれを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、画素セルPCを点灯モードに設定させるべき論理レベル1の画素駆動データビットに対してはこれを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、かかる画素データパルスDPを上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分(m個)ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。この際、上記走査パルスSPと同時に、点灯モードに設定させるべき低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの選択セルC2内の列電極D及び行電極Y間に選択書込アドレス放電が生起される。かかる選択書込アドレス放電に応じて、この画素セルPCの選択セルC2内の列電極D上には正極性の壁電荷が形成され、行電極Y上には負極性の壁電荷が形成される。また、表示セルC1内の行電極Y上には負極性の壁電荷が形成され、行電極X上にも負極性の壁電荷が形成される。一方、消灯モードに設定されるべき画素セルPCには低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPが印加されないので、上記の如き選択書込アドレス放電は生じない。
【0034】
ここで、上記選択書込アドレス行程WWにおいて、行電極Y1〜Ynに対する走査パルスSPの印加が全て終了したら、行電極X及びYに印加されている走査ベースパルスBP+の電位はピーク電位V1から徐々に低下して0ボルトに推移する。この際、列電極ドライバ55は、この走査ベースパルスBP+の電位がピーク電位V1から0ボルトに推移するまでの期間T1に亘り、図7に示す如き正極性の一定電位を全ての列電極Dに印加する。そして、走査ベースパルスBP+の電位が0ボルトに推移したら、偶数X電極ドライバ510は、図7に示す如き負極性のピーク電位を有する一斉書込パルスAPを発生して、これを奇数Y電極ドライバ530、並びに偶数番目の行電極X2、X4、・・・・、Xn-2及びXn各々に印加する。この際、奇数Y電極ドライバ530は、かかる一斉書込パルスAPを奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に同時に印加する。かかる一斉書込パルスAPの印加に応じて、奇数番目の表示ラインに属する画素セルPC各々の内で上記選択書込アドレス放電が生起された画素セルPCの選択セルC2内における行電極Y及び列電極D間において書込放電が生起される。そして、かかる書込放電が画素セルPC内の間隙rを介して表示セルC1内に拡張し、この表示セルC1内の行電極Y上には正極性の電荷が形成される。よって、この際、奇数番目の表示ラインに属する画素セルPCの表示セルC1内では、行電極Xには負極性の電荷、行電極Yには正極性の電荷が形成された状態となる。つまり、この画素セルPCは、表示セルC1内の行電極X及びY各々に互いに異なる極性の電荷が形成された、点灯モードに設定されるのである。一方、選択書込アドレス放電が生起されなかった画素セルPCの表示セルC1内では、行電極X及びY各々に同一極性(負極性)の電荷が形成された状態のままであるので、消灯モードの状態が維持される。
【0035】
ここで、奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に対する一斉書込パルスAPの印加が終了したら、奇数X電極ドライバ520は、図7に示す如き負極性のピーク電位を有する一斉書込パルスAPを発生して、これを偶数Y電極ドライバ540、並びに奇数番目の行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn-3及びXn-1各々に印加する。この際、偶数Y電極ドライバ540は、かかる一斉書込パルスAPを偶数番目の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn-2及びYn各々に印加する。かかる一斉書込パルスAPの印加に応じて、偶数番目の表示ラインに属する画素セルPC各々の内で上記選択書込アドレス放電が生起された画素セルPCの選択セルC2内における行電極Y及び列電極D間において書込放電が生起される。そして、かかる書込放電が画素セルPC内の間隙rを介して表示セルC1内に拡張し、この表示セルC1内の行電極Y上には正極性の電荷が形成される。よって、この際、偶数番目の表示ラインに属する画素セルPCの表示セルC1内では、行電極Xには負極性の電荷、行電極Yには正極性の電荷が形成された状態となる。つまり、この画素セルPCは、表示セルC1内の行電極X及びY各々に互いに異なる極性の電荷が形成された、点灯モードに設定されるのである。一方、選択書込アドレス放電が生起されなかった画素セルPCの表示セルC1内では、行電極X及びY各々に同一極性(負極性)の電荷が形成された状態のままであるので、消灯モードの状態が維持される。
【0036】
このように、選択書込アドレス行程WWによれば、上記リセット行程Rにて消灯モードに初期化された画素セルPCは、画素データに応じて選択的に点灯モードに遷移するのである。
【0037】
次に、先頭サブフィールドSF1のサスティン行程Iでは、偶数X電極ドライバ510が、図7に示す如き、負極性のピーク電位を有するサスティンパルスIPを発生し、これを奇数Y電極ドライバ530、並びに偶数番目の行電極X2、X4、・・・・、Xn-2及びXn各々に印加する。この際、奇数Y電極ドライバ530は、かかるサスティンパルスIPをそのまま奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に印加する。かかるサスティンパルスIPの印加に応じて、上記点灯モードの状態にある画素セルPCにおける表示セルC1内の行電極X及びY間においてサスティン放電が生起され、このサスティン放電に伴い蛍光体層16から照射される光が前面透明基板10を介して外部に照射される。
【0038】
次に、サブフィールドSF2(又はSF3〜SF15)の奇数行選択消去アドレス行程WORでは、偶数X電極ドライバ510が、図7に示す如き、負極性のピーク電位−V2を有する走査ベースパルスBP-を発生し、これを奇数Y電極ドライバ530、並びに偶数番目の行電極X2、X4、・・・・、Xn-2及びXn各々に印加する。この際、奇数Y電極ドライバ530は、かかる走査ベースパルスBP-を奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に印加しつつ、この走査ベースパルスBP-のピーク電位−V2に正極性の所定電位を重畳させた図7に示す如き走査パルスSPを発生して、奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に順次、択一的に印加して行く。この間、列電極ドライバ55は、サブフィールドSF2(又はSF3〜SF15)に対応した画素駆動データビット群DB2(又はDB3〜DB15)における各データビットをその論理レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、列電極ドライバ55は、画素セルPCを消灯モードに設定させるべき論理レベル0の画素駆動データビットに対してこれを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、画素セルPCを点灯モードに設定させるべき論理レベル1の画素駆動データビットに対してはこれを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、全表示ラインの内で奇数表示ラインに属する画素セルPCに対応した画素データパルスDPを、上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分(m個)ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。この際、上記走査パルスSPと同時に、点灯モードに設定させるべき低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの選択セルC2内の列電極D及び行電極Y間には選択消去アドレス放電が生起される。かかる選択消去アドレス放電に応じて、選択セルC2内の列電極D上には正極性の電荷、行電極Yには負極性の電荷が形成される。そして、かかる放電が画素セルPC内の間隙rを介して表示セルC1内に拡張し、この表示セルC1内の行電極Y及びXには共に負極性の電荷が形成される。よって、この際、奇数番目の表示ラインに属する画素セルPCは消灯モードから点灯モードに遷移する。一方、奇数表示ラインに属する画素セルPC各々の内で、正極性の高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの選択セルC2内では、上記の如き選択消去アドレス放電は生起されない。よって、正極性の高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCは、その直前までの状態(点灯モード又は消灯モード)を維持する。
【0039】
このように、上記選択消去アドレス行程WORの実行により、奇数表示ラインに属する画素セルPCの各々が、画素データに応じて点灯モード及び消灯モードの内いずれか一方の状態に設定される。
【0040】
尚、サブフィールドSF2において上記選択消去アドレス行程WORの終了直後に実施されるサスティン行程Iでは、奇数X電極ドライバ520が、負極性のピーク電位を有するサスティンパルスIPを、偶数Y電極ドライバ540並びに奇数番目の行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn-3、及びXn-1各々に印加する。この際、偶数Y電極ドライバ540は、かかるサスティンパルスIPを偶数番目の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn-2、及びYn各々に印加する。サスティンパルスIPの印加に応じて、点灯モードの状態にある画素セルPCの表示セルC1内の行電極X及びY間においてサスティン放電が生起され、このサスティン放電に伴って蛍光体層16から照射される光が前面透明基板10を介して外部に照射される。
【0041】
そして、かかるサスティン行程Iの終了直後に実施される偶数行選択消去アドレス行程WERでは、奇数X電極ドライバ520が、図7に示す如き、負極性のピーク電位−V2を有する走査ベースパルスBP-を発生し、これを偶数Y電極ドライバ540、並びに奇数番目の行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn-3、及びXn-1各々に印加する。この際、偶数Y電極ドライバ540は、かかる走査ベースパルスBP-を偶数番目の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn-2、及びYn各々に印加しつつ、この走査ベースパルスBP-のピーク電位−V2に正極性の所定電位を重畳させた図7に示す如き走査パルスSPを発生して、偶数番目の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn-2、及びYn各々に順次、択一的に印加して行く。この間、列電極ドライバ55は、サブフィールドSF2(又はSF3〜SF15)に対応した画素駆動データビット群DB2(又はDB3〜DB15)における各データビットをその論理レベルに応じたパルス電圧を有する画素データパルスDPに変換する。例えば、列電極ドライバ55は、画素セルPCを消灯モードに設定させるべき論理レベル0の画素駆動データビットに対してこれを正極性の高電圧の画素データパルスDPに変換する一方、画素セルPCを点灯モードに設定させるべき論理レベル1の画素駆動データビットに対してはこれを低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPに変換する。そして、全表示ラインの内で偶数表示ラインに属する画素セルPCに対応した画素データパルスDPを、上記走査パルスSPの印加タイミングに同期して1表示ライン分(m個)ずつ列電極D1〜Dmに印加して行く。この際、上記走査パルスSPと同時に、点灯モードに設定させるべき低電圧(0ボルト)の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの選択セルC2内の列電極D及び行電極Y間には選択消去アドレス放電が生起される。かかる選択消去アドレス放電に応じて、選択セルC2内の列電極D上には正極性の電荷、行電極Yには負極性の電荷が形成される。そして、かかる放電が画素セルPC内の間隙rを介して表示セルC1内に拡張し、この表示セルC1内の行電極Y及びXには共に負極性の電荷が形成される。よって、この際、偶数番目の表示ラインに属する画素セルPCは消灯モードから点灯モードに遷移する。一方、偶数表示ラインに属する画素セルPC各々の内で、正極性の高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCの選択セルC2内では、上記の如き選択消去アドレス放電は生起されない。よって、正極性の高電圧の画素データパルスDPが印加された画素セルPCは、その直前までの状態(点灯モード又は消灯モード)を維持する。
【0042】
このように、上記選択消去アドレス行程WERの実行により、偶数表示ラインに属する画素セルPCの各々が、画素データに応じて点灯モード及び消灯モードの内いずれか一方の状態に設定される。
【0043】
サブフィールドSF2において上記選択消去アドレス行程WERの終了直後に実施されるサスティン行程Iでは、偶数X電極ドライバ510が、図7に示す如き、負極性のピーク電位を有するサスティンパルスIPを発生し、これを奇数Y電極ドライバ530、並びに偶数番目の行電極X2、X4、・・・・、Xn-2及びXn各々に印加する。この際、奇数Y電極ドライバ530は、かかるサスティンパルスIPをそのまま奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に印加する。かかるサスティンパルスIPの印加に応じて、上記点灯モードの状態にある画素セルPCにおける表示セルC1内の行電極X及びY間においてサスティン放電が生起され、このサスティン放電に伴い蛍光体層16から照射される光が前面透明基板10を介して外部に照射される。
【0044】
尚、サブフィールドSF3〜SF15各々のサスティン行程Iでは、奇数X電極ドライバ520が、負極性のピーク電位を有するサスティンパルスIPを断続的に繰り返し発生して、偶数Y電極ドライバ540、並びに奇数番目の行電極X1、X3、X5、・・・・、Xn-3及びXn-1各々に印加する。この際、偶数Y電極ドライバ540は、かかる奇数X電極ドライバ520から供給されたサスティンパルスIPをそのまま偶数番目の行電極Y2、Y4、・・・・、Yn-2、及びYn各々に印加する。更に、サブフィールドSF3〜SF15各々のサスティン行程Iでは、上述した如く偶数番目の行電極Y及び奇数番目の行電極Xに印加されたサスティンパルスIPとは異なるタイミングにて、偶数X電極ドライバ510が、負極性のサスティンパルスIPを、奇数Y電極ドライバ530、並びに偶数番目の行電極X2、X4、・・・・、Xn-2、及びXn各々に印加する。この際、奇数Y電極ドライバ530は、かかる奇数Y電極ドライバ530から供給されたサスティンパルスIPをそのまま奇数番目の行電極Y1、Y3、Y5、・・・・、Yn-3及びYn-1各々に印加する。尚、サブフィールドSF3〜SF15各々のサスティン行程Iでは、そのサブフィールドに割り当てられている輝度重みに対応した回数だけ繰り返しサスティンパルスIPが印加される。よって、サブフィールドSF3〜SF15各々のサスティン行程Iでは、点灯モードに設定されている画素セルPCの表示セルC1内における行電極X及びY間において繰り返しサスティン放電が生起され、そのサスティン放電の回数に対応した輝度が視覚されることになる。
【0045】
そして、図6及び図7に示される駆動を、図5に示す如き16通りの画素駆動データGDに基づいて実行する。かかる駆動によると、図5に示すように、輝度レベル0を表現する場合(第1階調)を除き、先ず、先頭のサブフィールドSF1において各画素セルPC内で書込アドレス放電が生起され(二重丸にて示す)、この画素セルPCは点灯モードに設定される。その後、サブフィールドSF2〜SF15各々の内の1のサブフィールドの選択消去アドレス行程WOR又はWERのみで選択消去アドレス放電が生起され(黒丸にて示す)、その後、画素セルPCは消灯モードに設定される。つまり、各画素セルPCは、表現すべき中間輝度に対応した分だけ連続したサブフィールド各々で点灯モードに設定され、これらサブフィールドの各々に割り当てられている回数分だけサスティン放電に伴う発光を繰り返し生起する(白丸にて示す)のである。この際、1フィールド内において生起されたサスティン放電に伴う発光の総数に対応した輝度が視覚される。よって、図5に示す如き第1〜第16階調駆動による16種類の発光パターンによれば、白丸にて示すサブフィールド各々で生起されたサスティン放電の合計回数に対応した16階調分の中間輝度が表現されるのである。
【0046】
ここで、図1に示されるプラズマディスプレイ装置においては、PDP50の各画素を担う画素セルPCを図2及び図3に示す如き表示セルC1及び選択セルC2にて構築するようにしている。そして、表示画像に関与するサスティン放電を表示セルC1内にて生起させる一方、表示画像には関与しない発光を伴うリセット放電及びアドレス放電を、主に選択セルC2内にて生起させるようにしている。この際、選択セルC2には、リセット放電及びアドレス放電に伴って蛍光体層16から放射される光が前面透明基板10を通過して外部に漏れる量を低減させるべく、図3に示す如き遮光導電層BEが各バス電極Xb及びYbに設けられている。すなわち、リセット放電及びアドレス放電に伴って蛍光体層16から放射される光の一部が遮光導電層BEによって遮断されるので、表示画像のコントラスト、特に、暗コントラストを高めることが可能になる。又、選択セルC2内には、その背面基板13側に図3に示す如く2次電子放出材料層30を設けている。2次電子放出材料層30は、その形成面が陰極となる放電時に2次電子を放出するγ特性が良好となるものである。
【0047】
そこで、先頭のサブフィールドSF1の選択書込アドレス行程WWでは、図7に示す如き正極性の走査パルスSPを行電極Yに印加すると同時に、0ボルトの画素データパルスDPを列電極Dに印加することにより、列電極Dを相対的に陰極側にして、アドレス放電を生起させるようにしている。これにより、選択セルC2内に形成されている2次電子放出材料層30が陰極側となるので、この2次電子放出材料層30から効果的に2次電子が放出されるようになり、選択セルC2内においてアドレス放電が確実に生起されるようになる。
【0048】
更に、図7に示す駆動においては、走査パルスSPが印加された行電極Y以外の行電極Yと列電極Dとの間での誤ったアドレス放電を防止すべく、リセット行程Rでは、アドレス放電と同様に行電極及び列電極間でリセット放電を生起させるようにしている。行電極Yと列電極D間でリセット放電を生起させると、選択セルC2内の列電極Dには正極性の壁電荷、行電極Yには負極性の壁電荷が夫々形成される状態となる。このような壁電荷の形成状態において、正極性の走査パルスSPの印加により選択セルC2内にアドレス放電を生起させるには、この走査パルスSPを高電圧にする必要がある。換言すると、選択セルC2内の列電極Dに正極性の壁電荷、行電極Yに負極性の壁電荷が形成された状態では、列電極D及び行電極Y間に比較的高い電圧が印加されない限り放電は生起されないので、誤放電が防止されるのである。
【0049】
ところが、先頭のサブフィールドSF1の選択書込アドレス行程WWでは、図7に示す如く最も高い電圧を有する走査パルスSPに応じて選択書込アドレス放電を生起させているので、この際、選択セルC2内には多くの壁電荷が形成される。よって、かかる選択書込アドレス放電の生起後、行電極Y上に印加された電位を走査ベースパルスBP+に基づく正極性の電位V1から接地電位(0ボルト)に変化させるだけで誤放電が生起されてしまい、その壁電荷量が低減してしまう。
【0050】
そこで、先頭サブフィールドSF1の選択書込アドレス行程WWでは、走査ベースパルスBP+によって行電極X及びYに印加される電位V1を緩やかに低下させるようにしたのである。これにより、走査ベースパルスBP+の電位の立ち下がり区間において生起されてしまう誤放電を微弱化することができるので、選択セルC2内の壁電荷量の低減が抑制される。
【0051】
尚、図7に示される一例においては、先頭サブフィールドSF1の選択書込アドレス行程WWにおいて行電極X及びYに印加される走査ベースパルスBP+における電位を期間T1に亘りランプ状に低下させているが、図8に示すように時定数を利用して緩やかに低下させるようにしても良い。
【0052】
又、図7又は図8に示される一例においては、その立ち下がり区間において走査ベースパルスBP+における電位を0ボルトまで推移させているが、図9(a)又は図9(b)に示すように所定の負極性の電位(−Va)まで低下させるようにしても良い。この際、かかる電位(−Va)は、サスティンパルスIPのピーク電位と接地電位(0ボルト)との間の電位に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による表示装置としてのプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示されるPDP50における表示電極形成部DPEの構造の一部を表示面側から眺めた平面図である。
【図3】図2に示されるV−V線上での断面を示す図である。
【図4】図2に示されるW−W線上での断面を示す図である。
【図5】画素データの変換テーブルと、この画素データ変換テーブルによって得られた画素駆動データGDに基づく発光駆動パターンを示す図である。
【図6】図1に示されるプラズマディスプレイ装置における発光駆動シーケンスの一例を示す図である。
【図7】図6に示す発光駆動シーケンスに従ってPDP50に印加される各種駆動パルスとその印加タイミングを示す図である。
【図8】走査ベースパルスBP+の立ち下がり波形の他の一例を示す図である。
【図9】走査ベースパルスBP+の立ち下がり波形の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
50 PDP
54 駆動制御回路
55 アドレスドライバ
510 偶数X電極ドライバ
520 奇数X電極ドライバ
530 奇数Y電極ドライバ
540 偶数Y電極ドライバ
C1 表示セル
C2 選択セル
DPE 表示電極形成部
PC 画素セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて前記画素各々を点灯モード及び消灯モードの内の一方の状態に設定するアドレス期間と、前記点灯モードの状態にある前記画素を発光させるサスティン期間とを含むサブフィールドの複数によって画像表示を行う表示装置であって、
放電空間を挟んで対向した前面基板及び背面基板と、前記前面基板の内面に表示ラインを構成する複数の行電極対と、前記行電極対を覆う誘電体層と、前記背面基板の内面に前記行電極対と交叉して配列された複数の列電極とを有し、前記行電極対と前記列電極との各交叉部に第1放電セルと、遮光層が設けられている第2放電セルとからなる画素セルが形成されている表示パネルと、
1フィールド表示期間の先頭の前記サブフィールドの前記アドレス期間において前記画素データに応じて前記第2放電セル内に書込アドレス放電を生起させることにより前記画素セルを前記点灯モードに設定する書込アドレス手段と、を備え、
前記書込アドレス手段は、全ての前記行電極対における一方の行電極に夫々所定の第1電位を有する走査ベース電位を印加しつつ前記第1電位と同一極性の電位を前記一方の行電極各々に順次重畳させて印加すると共に、前記画素データに応じた電位を前記列電極に印加することにより前記第2放電セル内に前記書込アドレス放電を生起させ、前記アドレス期間の終了時において前記一方の行電極の電位を前記第1電位から徐々に低下させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記先頭のサブフィールドに後続するサブフィールド各々の前記アドレス期間において前記画素データに応じて前記第2放電セル内に消去アドレス放電を生起させることにより前記画素セルを前記消灯モードに設定する消去アドレス手段を更に含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記サスティン期間において、前記行電極対における一方の行電極及び他方の行電極各々に負極性のサスティンパルスを印加するサスティン手段を更に含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記書込アドレス手段は、前記アドレス期間の終了時において前記一方の行電極の電位を前記第1電位から徐々に低下させて、接地電位と前記負極性のサスティンパルスの電位との間の所定電位に到らせることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記書込アドレス手段は、前記アドレス期間において前記行電極対における他方の行電極に前記走査ベース電位と同極性の第2電位を印加すると共に前記アドレス期間の終了時において、前記行電極対の他方の行電極の電位を前記第2電位から徐々に低下させることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記書込アドレス手段は、前記アドレス期間の終了時において前記一方の行電極の電位が前記第1電位よりも小なる所定電位に到達したら前記一方の行電極の各々に一斉書込パルスを印加することにより前記第2放電セル内の前記列電極及び前記一方の行電極間において書込放電を生起させることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項7】
前記1フィールドの表示期間の少なくとも先頭のサブフィールドのアドレス期間の直前に、前記第2放電セル内において前記アドレス放電と同一放電電流方向にリセット放電を生じせしめるリセット手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記リセット手段は、前記列電極が相対的に負極性となるように前記一方の行電極及び前記列電極間にリセットパルスを印加して前記第2放電セル内でリセット放電を生ぜしめることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
前記書込アドレス手段は、前記1フィールドの表示期間の先頭サブフィールドのアドレス期間において、前記列電極が相対的に負極性となるように前記一方の行電極に走査電位を印加しつつ前記列電極に前記画素データに応じた電位を印加することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項10】
前記書込アドレス手段は、前記1フィールドの表示期間の先頭サブフィールドのアドレス期間において、正極性の走査電位に正極性の所定電位を重畳させた電位を前記一方の行電極各々に順次印加することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項11】
前記遮光層は前記第2放電セル内における前面基板側に形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項12】
前記第2放電セル内の背面基板側に2次電子放出層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1放電セル及び第2放電セルの内の第1放電セル内にのみ蛍光体層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1放電セルは、前記行電極対における一方の行電極と他方の行電極とが放電空間内で第1放電間隙を介して対向する部分を含み、前記第2放電セルは、前記列電極と前記一方の行電極とが放電空間内で第2放電間隙を介して対向する部分を含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項15】
前記行電極対における一方の行電極及び他方の行電極は、夫々行方向に延びる本体部と前記画素セル毎に前記第1放電間隙を介して前記本体部から列方向に突出する突出部とを備え、
前記第1放電セルは前記突出部が放電空間内で第1放電間隙を介して対向する部分を含み、
前記第2放電セルは前記列電極と前記一方の行電極の本体部とが放電空間内で第2放電間隙を介して対向する部分を含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示パネルは、隣接する前記画素セルの放電空間を行方向に区画する縦壁部と列方向に区画する横壁部とからなる隔壁と、前記画素セル内の前記第1放電セルの放電空間と前記第2放電セルの放電空間とを区画する仕切り壁とを備え、
前記第2放電セルの放電空間は隣接する前記画素セルの放電空間と前記隔壁により閉じられており、前記画素セル内の前記第1放電セルの放電空間と前記第2放電セル内の放電空間とは連通していることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項17】
前記行方向に隣接する前記画素セルの前記第1放電セルの放電空間は連通していることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項18】
表示ラインを構成する複数の行電極対と、前記行電極対と交叉して配列された複数の列電極との各交叉部に第1放電セルと、遮光層が設けられている第2放電セルとからなる画素セルが形成されている表示パネルを、入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて前記画素各々を点灯モード及び消灯モードの内の一方の状態に設定するアドレス期間と前記点灯モードの状態にある前記画素を発光させるサスティン期間とを含むサブフィールドの複数によって駆動する表示パネルの駆動方法であって、
1フィールド表示期間の先頭の前記サブフィールドの前記アドレス期間において、全ての前記行電極対における一方の行電極に夫々所定の第1電位を有する走査ベース電位を印加しつつ前記第1電位と同一極性の電位を前記一方の行電極各々に順次重畳させて印加すると共に、前記画素データに応じた電位を前記列電極に印加することにより前記第2放電セル内に書込アドレス放電を生起させて前記画素を前記点灯モードに設定する書込アドレス行程を備え、
前記書込アドレス行程では前記アドレス期間の終了時において前記一方の行電極の電位を前記第1電位から徐々に低下させることを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項19】
前記先頭のサブフィールドに後続するサブフィールド各々の前記アドレス期間において前記画素データに応じて前記第2放電セル内に消去アドレス放電を生起させることにより前記画素セルを前記消灯モードに設定する消去アドレス行程を更に含むことを特徴とする請求項18載の表示パネルの駆動方法。
【請求項20】
前記サスティン期間において、前記行電極対における一方の行電極及び他方の行電極各々に負極性のサスティンパルスを印加するサスティン行程を更に含むことを特徴とする請求項18記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項21】
前記書込アドレス行程では、前記アドレス期間の終了時において前記一方の行電極の電位を前記第1電位から徐々に低下させて、接地電位と負極性の前記サスティンパルスの電位との間の所定電位に到らせることを特徴とする請求項20記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項22】
前記書込アドレス行程では、前記アドレス期間において前記行電極対における他方の行電極に前記走査ベース電位と同極性の第2電位を印加すると共に前記アドレス期間の終了時において、前記行電極対の他方の行電極の電位を前記第2電位から徐々に低下させることを特徴とする請求項18記載の表示パネルの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−316297(P2007−316297A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145362(P2006−145362)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】