表示装置
【課題】 画素の動作マージンを確保しつつ、消費電力を低減した表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置10は、赤色、緑色、青色、白色の画素A1〜A4を備え、各画素は、電流の供給を受けて発光する有機EL素子OELと、有機EL素子OELへの供給電流を制御する駆動TFT2とをそれぞれ含む。白色の画素A4以外の画素における駆動TFT2の電流駆動能力が、白色の画素A4における駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくなるように駆動TFT2のチャネル幅Wとチャネル長Lを設定する。
【解決手段】 表示装置10は、赤色、緑色、青色、白色の画素A1〜A4を備え、各画素は、電流の供給を受けて発光する有機EL素子OELと、有機EL素子OELへの供給電流を制御する駆動TFT2とをそれぞれ含む。白色の画素A4以外の画素における駆動TFT2の電流駆動能力が、白色の画素A4における駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくなるように駆動TFT2のチャネル幅Wとチャネル長Lを設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、複数の表示色の画素を含む表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイの開発が進んでおり、例えば携帯電話機に有機ELディスプレイを採用することが検討されている。有機ELディスプレイの駆動方式としては、走査電極とデータ電極を用いて時分割駆動するパッシブマトリクス駆動方式と、各画素にTFT(薄膜トランジスタ;Thin Film Transistor)を配置して、各画素の発光を1垂直走査期間に亘って維持するアクティブマトリクス駆動方式とがある。
【0003】
アクティブマトリクス駆動方式は、目的の画素のみを確実に動作させることができるので、パッシブマトリクス駆動方式と比較して、高画質、高コントラストを達成でき、また、応答速度が高速であるという利点がある。
【0004】
有機ELディスプレイでは、カラー表示するために、通常、赤色、緑色、青色の3色の画素を用いるが、近年、白色表示や、中間色表示を行う際の消費電力を低減する方法として、赤色、緑色、青色に、白色を加えた4色で映像を表示する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。赤色、緑色、青色の3色で映像を表示する場合、各色を同時に発光させなければならない白色表示を行う場合に最も消費電力は大きくなるが、白色発光の有機EL素子を用いることで、消費電力を低減することができる。
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0186214号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、TFTを用いて有機EL素子を駆動する場合、有機ELを精度良く、安定した輝度で所望の輝度に発光させるために、動作マージンを考慮する必要がある。図1を用いて動作マージンについて説明する。図1(a)は、TFTを用いた有機EL素子OELの駆動回路を示す図である。図1(b)は、TFTのI−V特性曲線と、有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。グラフの横軸は、TFTのソースの電位Vddに対するノードAの相対電位である。グラフの縦軸は、TFTのドレイン・ソース間電流Idsおよび有機EL素子OELの電流である。
【0006】
TFTのゲート電極に映像信号電圧Vsigが印可され、TFTのゲート・ソース間に電圧Vgsが発生すると、ドレイン・ソース間電流Idsが流れる。ドレイン・ソース間電流Idsが有機EL素子OELに流れると、有機EL素子OELは発光する。
【0007】
図1(b)の曲線40は、TFTにあるゲート・ソース間電圧Vgsを与えたときの、ドレイン・ソース間電圧Vdsと、ドレイン・ソース間電流Idsの関係を示す。Vdsの絶対値を大きくしたとき、Idsは増加するが、ある電圧を境として、Vdsの絶対値を大きくしてもIdsはほとんど変化しなくなる。Vdsの絶対値を大きくするとIdsが増加する領域を線形領域46といい、Vdsの絶対値を大きくしてもIdsがほとんど変わらない領域を飽和領域44という。飽和領域44でのIdsを飽和電流Idssという。飽和電流Idssは、TFTのゲート電圧を変化させることによって変化させることができる。線形領域46から飽和領域44に変わる境目の電圧をピンチオフ電圧Vpという。
【0008】
図1(b)の曲線42は、有機EL素子OELのI−V特性曲線である。曲線40と曲線42の交点が図1(a)の回路の動作点であり、TFTのゲート電圧を変化させ、Idsが変化すると、動作点は曲線42上を移動する。動作点の電圧を動作点電圧Vqという。
【0009】
動作マージンとは、ピンチオフ電圧Vpと動作点電圧Vqの差である。有機EL素子を駆動する場合、通常、動作点が飽和領域44に位置するように駆動回路を設計する。この際、動作点電圧Vqは、ピンチオフ電圧Vpからできるだけ離れていること、すなわち、動作マージンができるだけ広いことが望ましい。たとえば、電源回路の生成する電圧がばらつくなどの理由により、駆動電圧(Vdd−CV)が小さくなった場合、曲線42が曲線48のように右側にシフトし、動作点が飽和領域44から外れ、線形領域46に位置してしまう可能性がある。また、経時的な有機EL素子OELの特性の変動により、動作点が線形領域46に位置してしまう可能性もある。動作点が線形領域46にある場合、ほんのわずかな駆動電圧(Vdd−CV)の変化や、温度変化による有機EL素子OELの特性曲線の変化によって、Idsが大きく変化してしまうので、有機EL素子OELを精度良く、安定した輝度で発光させることができない。
【0010】
白色の画素を用いた有機ELディスプレイでは、白色の画素は、カラーフィルタが不要であることから発光効率が他の色に比べて高く、白色以外の画素よりも小さい電流で所望の輝度に発光させることができる。有機EL素子OELに流す電流を小さくする場合、曲線54に示すようなTFTのI−V特性曲線となるので、動作マージンは広くなる。そのため、白色の画素の動作マージンは、白色以外の画素の動作マージンよりも広くなる傾向にある。
【0011】
動作マージンは、駆動電圧(Vdd−CV)を高くすることで広げることができる。各色の画素の動作マージンが異なる場合、全ての色の画素で安定した発光を得るためには、駆動電圧(Vdd−CV)は、最も動作マージンの狭い色の画素に合わせて設定する必要がある。各色の画素の動作マージンの差が大きい場合、十分な動作マージンを確保している色の画素に対してまで高い駆動電圧(Vdd−CV)を印可することになり、有機ELディスプレイ全体の消費電力が増大する。
【0012】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、画素の動作マージンを確保しつつ、消費電力を低減した表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の表示装置は、電流の供給を受けて発光する自発光素子と、自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子と、をそれぞれ含む画素を備える表示装置であって、白色を含む複数の表示色の画素を備え、白色以外の画素における電流駆動素子の電流駆動能力が、白色の画素における電流駆動素子の電流駆動能力よりも大きいことを特徴としている。
【0014】
この態様によると、白色以外の画素における電流駆動素子の電流駆動能力を、白色の画素における電流駆動素子の電流駆動能力よりも大きくなるように設定することによって、白色以外の画素の動作マージンを広げることができ、白色の画素の動作マージンとの差を小さくできる。その結果、全ての画素の電流駆動素子の電流駆動能力が同一である場合と比較して、高い駆動電圧を供給する必要がなくなるので、表示装置全体の低消費電力化に有効である。また、白色以外の動作マージンが広がることによって、精度良く、安定して有機EL素子を発光させることができる。
【0015】
本発明の別の態様もまた、表示装置である。この表示装置は、電流の供給を受けて発光する自発光素子と、自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子と、をそれぞれ含む画素を備える表示装置であって、複数の表示色の画素を備え、各色の画素の動作マージンの差が小さくなるように、電流駆動素子の電流駆動能力が設定される。
【0016】
この態様によると、複数の表示色の画素の動作マージンの差が小さくなるように、電流駆動素子の電流駆動能力が設定される。そのため、動作マージンの差が大きかった場合には動作マージンの狭い色にあわせて駆動電圧を高く設定する必要があったものが、動作マージンの差を小さくすることで、高い駆動電圧を供給する必要がなくなり、表示装置全体の低消費電力化に有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画素の動作マージンを確保しつつ、消費電力を低減した表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1の実施の形態>
図2は、第1の実施の形態に係る表示装置の画素レイアウトを示す図である。本実施形態の表示装置10は、図2に示すように、赤色の画素A1、緑色の画素A2、青色の画素A3、及び白色の画素A4の、4色の画素を含む。横に並んだ4つの画素A1、A2、A3、及びA4により、画像の構成単位12が構成される。
【0019】
白色の画素A4を設けることにより、白色を表示する際に、赤、緑、青の全ての画素を点灯させるのではなく、白色の画素のみを点灯させればよいので、消費電力を低減させることができる。表示装置10において、画像の構成単位12がマトリクス状に配置される。
【0020】
図2に示すように、それぞれの画素A1、A2、A3、及びA4は、行方向に延びて配置されたゲート線SLと、列方向に延びて配置されたデータ線DLとに囲まれた領域に形成される。それぞれの画素A1、A2、A3、及びA4は、有機EL素子OELと、駆動TFT2と、スイッチングTFT1と、保持容量SCとを備える。有機EL素子OELは、電流の供給を受けて発光する自発光素子であり、駆動TFT2は、自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子である。
【0021】
図3は、図2に示した表示装置10における1つの画素A1、A2、A3、及びA4の等価回路図である。スイッチングTFT1は、nチャネル型のTFT、駆動TFT2は、pチャネル型のTFTである。スイッチングTFT1のゲートには、ゲート線SLが接続され、そのドレインには、データ線DLが接続されている。また、スイッチングTFT1のソースは、駆動TFT2のゲートに接続されている。また、スイッチングTFT1のソースは、保持容量SCの一端側の電極にも接続されている。保持容量SCの他端側の電極には、電位Vssが与えられている。駆動TFT2のソースには、電源供給線PVDDから電位Vddが与えられている。また、そのドレインは有機EL素子OELのアノードに接続されている。有機EL素子OELのカソードには、電位CVが与えられている。VddとCVの電位差(Vdd−CV)が、画素の駆動電圧となる。
【0022】
スイッチングTFT1のゲートに接続されたゲート線SLが低レベルとなっているとき、スイッチングTFT1はオン状態となるため、データ線DLからスイッチングTFT1のドレインに映像信号電圧Vsigが印可されると、Vsigが保持容量SCよって保持される。Vsigの値を変化させることによって、駆動TFT2のドレイン・ソース間電流Idsを変化させることができる。Idsは、有機EL素子OELの駆動電流となる。有機EL素子OELは、駆動TFT2を介して駆動電流Idsを供給され、所望の輝度で発光する。
【0023】
図4は、第1の実施の形態の表示装置10の断面を模式的に示す。図4に示すように、赤、緑、青の3色は、白色で発光する有機EL発光層17からの白色光を、赤、青、緑のカラーフィルタ16によって色変換して得られる。カラーフィルタ16の透過率は、カラーフィルタ16の構造や、材料によって異なるため、発光効率は、色によってそれぞれ異なる。白色は、有機EL発光層17から発光された白色光をカラーフィルタ16を透過させず、そのまま使用するので、他の色と比較して発光効率が高い。実施の形態の表示装置10は、この4色を用いてフルカラー表示を行う。
【0024】
上述したように、有機EL素子OELは、駆動TFT2を介して駆動電流Idsを供給され、駆動電流Idsの値に応じて輝度を変化させる。よって、駆動電流Idsを制御する駆動TFT2は、高画質な映像を表示するために、映像信号電圧Vsigの値に応じて精度良く駆動電流Idsを制御できることが必要である。
【0025】
駆動電流Idsの制御性を高めるためには、動作マージンを広く確保しなければならない。動作マージンとは、図1を用いて説明したように、ピンチオフ電圧Vpと動作点電圧Vqの差のことである。動作マージンが狭いと、ほんのわずかな駆動電圧(Vdd−CV)の変化や、温度変化による有機EL素子OELの特性曲線の変化によって、駆動電流Idsが大きく変化してしまうので、有機EL素子OELを精度良く、安定した輝度で発光させることができない。
【0026】
白色の画素A4は、カラーフィルタを透過させないことから発光効率が他の色に比べて高く、他の色の画素よりも小さい電流で所望の輝度に発光させることができる。有機EL素子OELに流す電流を小さくする場合、図1を用いて説明したように、動作マージンは広くなる。そのため、白色の画素A4の動作マージンは、白色以外の画素A1〜A3の動作マージンよりも広くなる傾向にある。
【0027】
動作マージンは、駆動電圧(Vdd−CV)を高くすることで広げることができる。各色の画素の動作マージンが異なる場合、全ての色の画素で安定した発光を得るためには、駆動電圧(Vdd−CV)は、最も動作マージンの狭い色の画素に合わせて設定する必要がある。そのため、動作マージンの広い画素と狭い画素とが混在している場合、狭い画素に合わせて電位Vddを高く設定したり、電位CVを低く設定することで、十分な動作マージンを確保している色の画素に対してまで高い駆動電圧(Vdd−CV)を印可することになり、表示装置10全体の消費電力が増大する。
【0028】
そこで、第1の実施の形態においては、白色以外の画素A1〜A3における駆動TFT2の電流駆動能力が、白色の画素A4における駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくなるように設定する。この場合、白色以外の画素A1〜A3の動作マージンを広げることができ、白色A4の画素の動作マージンとの差が小さくなる。その結果、動作マージンの狭い色に合わせて高い駆動電圧(Vdd−CV)を供給する必要がなくなるので、表示装置10全体の低消費電力化に有効である。また、白色以外の画素A1〜A3の動作マージンが広がることによって、安定して有機EL素子を発光させることができる。
【0029】
駆動TFT2の電流駆動能力は、少なくともチャネル長、チャネル幅の一方を異ならせることによって、色ごとに異ならせることができる。図5(a)は、駆動TFT2の構造を模式的に示す平面図である。図5(b)は、駆動TFT2の構造を模式的に示す図である。TFTのドレイン・ソース間電流Idsは、
Ids=μCoxW/L{(Vgs−Vth)−Vds/2} …式1
で表される。ここで、μはキャリア移動度、Coxはゲート絶縁膜容量、Vdsはドレイン・ソース間の電圧、Vthはしきい値電圧、WはTFTのチャネル幅、LはTFTのチャネル長である。式1から分かるように、Idsは、チャネル幅Wに比例し、チャネル長Lに反比例する。すなわち、チャネル幅Wと、チャネル長Lを適宜設定することによって、駆動TFT2の電流駆動能力を変化させることができる。
【0030】
駆動TFT2の電流駆動能力を大きくするためには、式1から分かるように、チャネル幅Wをできるだけ大きくし、チャネル長Lをできるだけ小さくすればよい。しかしながら、チャネル幅Wを大きくしすぎると、駆動TFT2の面積増大につながり、画素の開口面積が減少するため望ましくない。また、チャネル長Lを小さくしすぎることは、駆動TFT2のI−V特性曲線において、飽和電流Idssが不安定になることにつながる。
【0031】
このように、駆動TFT2の電流駆動能力を大きくすることによって動作マージンを広げることと、画素の開口面積が減少することは、トレードオフの関係にあるから、両者のバランスを考慮して、白色以外の画素における駆動TFT2の電流駆動能力を設定する。また、発光効率が高く、白色以外の画素よりも駆動TFT2の電流駆動能力が小さくても十分な広さの動作マージンを確保できる白色の画素については、開口面積が減少する点などを考慮し、駆動TFT2の電流駆動能力を白色以外の画素よりも小さく設定する。
【0032】
第1の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図6は、第1の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。第1の実施の形態においては、白色以外の画素A1〜A3における駆動TFT2の電流駆動能力が、白色の画素A4における駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくなるように、駆動TFT2のチャネル長Lとチャネル幅Wを設定する。図6では、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2を、チャネル長L=45μm、チャネル幅W=4.7μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。なお、第1の実施の形態では、各色の画素の開口面積比は、赤:緑:青:白=1:1:1:1である。
【0033】
図2には、チャネル長、チャネル幅を白色の画素と白色以外の画素とで異ならせた状態を示している。既述したように、画素A1〜A3の駆動TFT2のチャネル長L1を45μm、チャネル幅を4.7μmとし、画素A4の駆動TFT2のチャネル長L2(50μm)、チャネル幅W2(4μm)とも異ならせている。これにより、白色画素以外の駆動TFT2の電流駆動能力を、白色画素の駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくしている。なお、チャネル幅W1とW2を同一にして、チャネル長L1をL2よりも短くすることで、白色が素以外の駆動TFT2の電流駆動能力を、白色画素の駆動TFT2の電流駆動能力より大きくしてもよい。同様に、チャネル長L1とL2を同一にして、チャネル幅W1をW2よりも大きくすることで、白色画素以外の駆動TFT2の電流駆動能力を、白色画素のTFT2の電流駆動能力より大きくしてもよい。
【0034】
図6において、曲線60は、有機EL素子OELのI−V特性曲線である。各色の画素の開口面積が等しいから、有機EL素子OELのI−V特性曲線は、各色ともに同じI−V特性曲線になる。グラフの横軸は、駆動TFT2のソースの電位Vddに対するノードAの相対電位(ノードAの電位−Vdd、またはVddを0VとしたときのノードAの相対電位)である。また、Vdd−CV間の電位差は14Vに設定している。グラフの縦軸は、駆動TFT2のドレイン・ソース間電流Idsおよび有機EL素子OELの電流である。
【0035】
曲線62は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線64は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線66は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線である。それぞれのI−V特性曲線は、駆動TFTのゲートに供給するVsigの値を適宜設定することで得られる。上述したように、各色の発光効率はそれぞれ異なるので、所望の輝度を得るのに要する電流もそれぞれ異なる。第1の実施の形態では、ある同じ値の輝度を得るのに要する電流を、赤色=2.66μA、緑色=1.38μA、青色=1.38μA、白色=1.25μAと設定する。これは、ある同じ値の輝度を得るのに、たとえば赤色は2.66μAを要し、緑色は1.38μAを要するということを意味する。
【0036】
上述したように、動作マージンとは、ピンチオフ電圧Vpと動作点電圧Vqの差のことである。曲線60と曲線62の交点が赤色の動作点68、曲線60と曲線64の交点が緑色と青色の動作点70、曲線60と曲線66の交点が白色の動作点72である。また、ピンチオフ電圧とは、駆動TFT2のI−V特性曲線が線形領域から飽和領域に変わる境目の電圧であるが、本明細書においては、ピンチオフ電圧Vpは、飽和電流Idssから5%電流が低下したときの電圧として説明する。
【0037】
図6に示すように、赤色の動作マージンは、1.56V(Vp=−2.84V、Vq=−4.40V)、緑色と青色の動作マージンは、3.05V(Vp=−2.25V、Vq=−5.3V)、白色の動作マージンは、3.1V(Vp=−2.37V、Vq=−5.47V)である。赤色の動作マージンが最も狭く、白色の動作マージンとの差は、1.54Vである。
【0038】
動作マージンの改善効果を示すために、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定した場合(比較例1とよぶ)について示す。図7は、比較例1の駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。比較例1では、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2を、チャネル長Lを50μm、チャネル幅Wを4μmと設定している。なお、各色の画素の開口面積比は、赤:緑:青:白=1:1:1:1である。
【0039】
図7において、曲線76は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線78は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線66は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図6で示した例と同じため、図6と同一のI−V特性曲線となっている。曲線60は、有機EL素子OELのI−V特性曲線であるが、画素の開口面積比は図6で示した例と同じため、図6と同一のI−V特性曲線となっている。
【0040】
曲線60と曲線76の交点が赤色画素A1の動作点82、曲線60と曲線78の交点が緑色と青色の画素A2、A3の動作点84、曲線60と曲線66の交点が白色の画素A4の動作点86である。なお、各色の駆動TFT2の飽和電流Idssは、図6に示したものと同一である。
【0041】
図7に示すように、比較例1の場合、赤色の画素A1の動作マージンは、1.14V(Vp=−3.27V、Vq=−4.41V)、緑色と青色の画素A2、A3の動作マージンは、2.8V(Vp=−2.48V、Vq=−5.28V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.1V(Vp=−2.37V、Vq=−5.47V)である。赤色の画素A1の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、1.96Vである。図6に示した各色の動作マージンと、図7に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、白色以外の画素A1〜A4の動作マージンとの差は、1.96Vから1.54Vに小さくなっている。
【0042】
以上のように、第1の実施の形態においては、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を白色の画素A4の駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくすることによって、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2のピンチオフ電圧Vpの絶対値が小さくなる方向にシフトする。すなわち、動作マージンが広がり、白色の画素A4と白色以外の画素A1〜A3との間で動作マージンの差が小さくなる。その結果、動作マージンが狭かったために駆動電圧(Vdd−CV)を高く設定する必要がなくなり、低消費電力化に有効である。また、動作マージンが広がることによって精度よく、安定して有機EL素子OELを発光させることができる。
【0043】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、赤色、緑色、青色、白色の画素の開口面積がそれぞれ異なる点において、第1の実施の形態と異なる。第1の実施の形態と同一の構成要素については、同様の記号を用いて説明する。
【0044】
有機EL素子OELの寿命は、素子に印可される電流密度に依存することが知られている。各画素の開口面積が同じである場合、発光効率の悪い画素において所定の輝度を得るためには、他の発光効率の良い画素よりも大きな電流を流す必要がある。そのため、発光効率の悪い画素においては、有機EL素子OELの寿命が短くなりやすい。
【0045】
映像を表示する際の各色の使用頻度は、色によって異なるから、各色の画素の有機EL素子OELに供給される平均的な電流の比に応じて開口面積を異ならせることによって、各色の画素の寿命を平滑化し、表示装置10としての寿命を延ばすことができる。
【0046】
第2の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図8は、第2の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比を、赤:緑:青:白=5.3:1.9:1:4.4と設定した。第2の実施の形態においても、白色以外の画素A1〜A3における駆動TFT2の電流駆動能力が、白色の画素A4における駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくなるように、駆動TFT2のチャネル長Lとチャネル幅Wを設定する。ここでは、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2を、チャネル長L=40μm、チャネル幅W=6μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0047】
図8において、曲線88は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線92は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線94は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線90は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。各色の画素の開口面積が異なるから、有機EL素子OELのI−V特性曲線は、各色ごとに異なったI−V特性曲線になる。
【0048】
曲線96は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線98は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線100は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線88と曲線96の交点が赤色の画素A1の動作点102、曲線92と曲線98の交点が緑色の画素A2の動作点106、曲線94と曲線98の交点が青色の画素A3の動作点108、曲線90と曲線100の交点が白色の画素A4の動作点104である。
【0049】
図8に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.64V(Vp=−2.48V、Vq=−5.12V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.59V(Vp=−1.96V、Vq=−4.55V)、青色の画素A3の動作マージンは、1.64V(Vp=−1.96V、Vq=−3.6V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3動作マージンが最も狭く、白色の動作マージンとの差は、1.9Vである。
【0050】
動作マージンの改善効果を示すために、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定した場合(比較例2とよぶ)について示す。図9は、比較例2の駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。比較例2では、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2を、チャネル長Lを50μm、チャネル幅Wを4μmと設定している。各色の画素の開口面積比は、赤:緑:青:白=5.3:1.9:1:4.4である。
【0051】
図9において、曲線88は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線92は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線94は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線90は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図8で示した例と同じため、図8と同一のI−V特性曲線となっている。
【0052】
曲線118は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線120は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線100は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図8で示した例と同じため、図8と同一のI−V特性曲線となっている。曲線88と曲線118の交点が赤色の画素A1の動作点124、曲線92と曲線120の交点が緑色の画素A2の動作点128、曲線94と曲線120の交点が青色の画素A3の動作点130、曲線90と曲線100の交点が白色の画素A4の動作点126である。
【0053】
図9に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、1.89V(Vp=−3.27V、Vq=−5.16V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.09V(Vp=−2.48V、Vq=−4.57V)、青色の画素A3の動作マージンは、1.15V(Vp=−2.48V、Vq=−3.63V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3動作マージンが最も狭く、白色の動作マージンとの差は、2.39Vである。
【0054】
図8に示した各色の動作マージンと図9に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、白色以外の画素A1〜A4の動作マージンとの差は、2.39Vから1.9Vに小さくなっている。
【0055】
以上のように、第2の実施の形態においても、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を白色の画素A4の駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくすることによって、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2のピンチオフ電圧Vpの絶対値が小さくなる方向にシフトする。すなわち、動作マージンが広がり、白色の画素A4と白色以外の画素A1〜A3との間で動作マージンの差が小さくなる。その結果、動作マージンが狭かったために駆動電圧(Vdd−CV)を高く設定する必要がなくなり、低消費電力化に有効である。
【0056】
また、動作マージンが広がることによって精度よく、安定して有機EL素子OELを発光させることができる。また、各色の画素ごとに開口面積を変えているので、有機EL素子の寿命が平滑化され、表示装置10の寿命を延ばすことができる。
【0057】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、白色以外の画素A1〜A3のピンチオフ電圧の絶対値が、白色の画素A4のピンチオフ電圧の絶対値よりも小さくなるように駆動TFT2の電流駆動能力を設定する。なお、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同様の記号を用いて説明する。
【0058】
第3の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図10は、第3の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比は、第2の実施の形態と同様に、赤:緑:青:白=5.3:1.9:1:4.4と設定した。また、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2を、チャネル長L=35μm、チャネル幅W=7μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0059】
図10において、曲線88は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線92は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線94は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線90は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図8、図9で示した例と同じため、図8、図9と同一のI−V特性曲線となっている。
【0060】
曲線138は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線140は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線100は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図8、図9で示した例と同じため、図8、図9と同一のI−V特性曲線となっている。曲線88と曲線138の交点が赤色の画素A1の動作点144、曲線92と曲線140の交点が緑色の画素A2の動作点148、曲線94と曲線140の交点が青色の画素A3の動作点150、曲線90と曲線100の交点が白色の画素A4の動作点146である。
【0061】
図10に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.84V(Vp=−2.27V、Vq=−5.11V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.75V(Vp=−1.8V、Vq=−4.55V)、青色の画素A3の動作マージンは、1.81V(Vp=−1.8V、Vq=−3.61V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、1.73Vである。
【0062】
図10に示した各色の動作マージンと図8に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、最も動作マージンの狭い青色の画素A3の動作マージンとの差は、1.9Vから1.73Vへと、更に小さくなっている。よって、第3の実施の形態は、第2の実施の形態よりも更に好適に消費電力を低減することができる。
【0063】
また、白色以外の画素A1〜A3の動作マージンが広がることによって精度よく、安定して有機EL素子OELを発光させることができる。また、第3の実施の形態においても、各色ごとに画素の開口面積を変えているので、表示装置10の寿命を延ばすことができることは、第2の実施の形態で説明したとおりである。
【0064】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態について説明する。第1から第3の実施の形態では、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定したが、第4の実施の形態においては、各色ごとに駆動TFT2の電流駆動能力を異ならせる。なお、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同様の記号を用いて説明する。
【0065】
上述したように、駆動TFT2のチャネル幅Wを大きくしたり、チャネル長Lを小さくすることによって駆動TFT2の電流駆動能力を大きくすると、ピンチオフ電圧Vpの絶対値が小さくなるために各色の画素の動作マージンの差を小さくすることができるが、チャネル幅Wを大きくしすぎると、駆動TFT2の面積増大につながり、画素の開口面積が減少するため望ましくない。また、チャネル長Lを小さくしすぎることは、駆動TFT2のI−V特性曲線において、飽和電流Idssが不安定になることにつながる。
【0066】
したがって、第4の実施の形態においては、最も動作マージンの狭い色の画素については動作マージンを広げるために駆動TFT2のチャネル幅Wを大きくし、チャネル長Lを小さく設定するが、その他の色については、動作マージンが最も狭い色を下回らない限りでチャネル幅Wを小さくし、チャネル長Lを大きく設定する。
【0067】
第4の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図11は、第4の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比は、第2、第3の実施の形態と同様に、赤:緑:青:白=5.3:1.9:1:4.4と設定した。また、赤の画素A1の駆動TFT2を、チャネル長L=40μm、チャネル幅W=5μmと設定し、緑の画素A2の駆動TFT2を、チャネル長L=40μm、チャネル幅W=5μmと設定し、青の画素A3の駆動TFT2を、チャネル長L=25μm、チャネル幅W=10μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0068】
図11において、曲線88は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線92は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線94は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線90は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図8〜図10で示した例と同じため、図8〜図10と同一のI−V特性曲線となっている。
【0069】
曲線160は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線162は、緑色の画素A2の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線164は、青色の画素A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線100は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図8〜図10で示した例と同じため、図8〜図10と同一のI−V特性曲線となっている。曲線88と曲線160の交点が赤色の画素A1の動作点168、曲線92と曲線162の交点が緑色の画素A2の動作点172、曲線94と曲線164の交点が青色の画素A3の動作点174、曲線90と曲線100の交点が白色の画素A4の動作点170である。
【0070】
図11に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.4V(Vp=−2.72V、Vq=−5.12V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.45V(Vp=−2.11V、Vq=−4.56V)、青色の画素A3の動作マージンは、2.27V(Vp=−1.4V、Vq=−3.67V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、1.27Vである。
【0071】
図11に示した各色の動作マージンと図10に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、最も動作マージンの狭い青色の画素A3の動作マージンとの差は、1.73Vから1.27Vへと、更に小さくなっている。また、赤色と緑色の画素A1、A2の動作マージンについては、駆動TFT2の電流駆動能力を小さくしたため、第3の実施例の場合と比較して動作マージンは狭くなっているが、青色よりも広い動作マージンを確保できているので、表示装置10全体としての動作マージンは改善している。よって、第4の実施の形態においても、消費電力を低減することができる。
【0072】
また、各色ごとに駆動TFT2の電流駆動能力を異ならせることによって、動作マージンを大きくする必要のない色の画素については、開口面積を大きくとることができ、また、駆動TFT2の飽和電流を安定化させることができる。
【0073】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態では、各色の画素の開口面積比が、第2から第4の実施の形態と異なり、白色の画素A4の開口面積が、白色以外の画素A1〜A3の開口面積よりも大きくなるように設定する。これは、風景写真や人物写真のような任意の自然画を複数表示させた場合、白色の画素の使用頻度が最も高いからである。最も使用頻度が高い白色の画素の開口面積を他の色の画素よりも大きく設定することによって、白色の画素に流れる電流を低下させることができ、白色の画素の寿命を延ばすことができる。
【0074】
第5の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図12は、第5の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比は、白色の画素A4の開口面積が最も大きくなるように、赤:緑:青:白=2.7:1.7:1:2.9と設定した。また、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2を、チャネル長L=35μm、チャネル幅W=7μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0075】
図12において、曲線178は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線180は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線182は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線176は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。
【0076】
曲線184は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線186は、緑色
と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線188は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線178と曲線184の交点が赤色の画素A1の動作点190、曲線180と曲線186の交点が緑色の画素A2の動作点194、曲線182と曲線186の交点が青色の画素A3の動作点196、曲線176と曲線188の交点が白色の画素A4の動作点192である。
【0077】
図12に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.47V(Vp=−2.27V、Vq=−4.74V)、緑色の画素A2の動作マージンは、3.18V(Vp=−1.8V、Vq=−4.98V)、青色の画素A3の動作マージンは、2.43V(Vp=−1.8V、Vq=−4.23V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、1.11Vである。
【0078】
動作マージンの改善効果を示すために、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定した場合(比較例3とよぶ)について示す。図13は、比較例3の駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。比較例3では、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2を、チャネル長Lを50μm、チャネル幅Wを4μmと設定している。各色の画素の開口面積比は、赤:緑:青:白=2.7:1.7:1:2.9である。
【0079】
図13において、曲線178は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線180は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線182は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線176は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図12で示した例と同じため、図12と同一のI−V特性曲線となっている。
【0080】
曲線206は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線208は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線188は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図12で示した例と同じため、図12と同一のI−V特性曲線となっている。曲線178と曲線206の交点が赤色の画素A1の動作点212、曲線180と曲線208の交点が緑色の画素A2の動作点216、曲線182と曲線208の交点が青色の画素A3の動作点218、曲線176と曲線188の交点が白色の画素A4の動作点214である。
【0081】
図13に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、1.53V(Vp=−3.27V、Vq=−4.8V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.53V(Vp=−2.48V、Vq=−5.01V)、青色の画素A3の動作マージンは、1.77V(Vp=−2.48V、Vq=−4.25V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。赤色の画素A3動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、2.01Vである。
【0082】
図12に示した各色の動作マージンと図13に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、白色以外の画素A1〜A3の中で最も狭い動作マージンとの差は、2.01Vから1.11Vに小さくなっている。
【0083】
以上のように、第5の実施の形態においても、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を白色の画素A4の駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくすることによって、動作マージンが広がり、白色の画素A4と白色以外の画素A1〜A3との間で動作マージンの差が小さくなる。その結果、動作マージンが狭かったために駆動電圧(Vdd−CV)を高く設定する必要がなくなり、低消費電力化に有効である。
【0084】
また、動作マージンが広がることによって精度よく、安定して有機EL素子OELを発光させることができる。また、最も使用頻度が高い白色の画素の開口面積を他の色の画素よりも大きく設定しているので、白色の画素に流れる電流を低下させることができ、白色の画素の寿命を延ばすことができる。すなわち、画素の寿命が平滑化され、表示装置10の寿命を延ばすことができる。
【0085】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態について説明する。第5の実施の形態では、白色の画素A4の開口面積を、白色以外の画素A1〜A3の開口面積よりも大きく設定した状態で、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定したが、第6の実施の形態においては、各色ごとに駆動TFT2の電流駆動能力を異ならせて設定する。
【0086】
第6の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図14は、第6の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比は、第5の実施の形態と同様に、赤:緑:青:白=2.7:1.7:1:2.9と設定した。また、赤色と青色の画素A1、A3の駆動TFT2を、チャネル長L=30μm、チャネル幅W=8μmと設定し、緑色の画素A2の駆動TFT2を、チャネル長L=35μm、チャネル幅W=7μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0087】
図14において、曲線178は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線180は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線182は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線176は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図12、図13で示した例と同じため、図12、図13と同一のI−V特性曲線となっている。
【0088】
曲線178は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線230は、緑色
の画素A2の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線232は、青色の画素A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線188は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図12、図13で示した例と同じため、図12、図13と同一のI−V特性曲線となっている。曲線178と曲線178の交点が赤色の画素A1の動作点236、曲線180と曲線230の交点が緑色の画素A2の動作点240、曲線182と曲線232の交点が青色の画素A3の動作点242、曲線176と曲線188の交点が白色の画素A4の動作点238である。
【0089】
図14に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.82V(Vp=−1.97V、Vq=−4.79V)、緑色の画素A2の動作マージンは、3.18V(Vp=−1.8V、Vq=−4.98V)、青色の画素A3の動作マージンは、2.73V(Vp=−1.57V、Vq=−4.3V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、0.81Vである。
【0090】
図14に示した各色の動作マージンと図13に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、最も動作マージンの狭い青色の画素A3の動作マージンとの差は、1.11Vから0.81Vへと、更に小さくなっている。よって、第6の実施の形態においては、各色の画素の動作マージンの差を小さくすることによって、更に好適に表示装置10の消費電力を低減することができる。
【0091】
また、図12に示した例において赤色と青色の画素A1、A3と比べて広い動作マージンを確保できていた緑色の画素A2については、駆動TFT2のサイズを変えないので、必要以上に画素の開口面積を減らすことを防ぐことができる。
【0092】
以上の第1から第6の実施の形態においては、白色の画素を含んだ表示装置について説明したが、複数の表示色の画素を含んだ表示装置であれば、本発明を適用することができる。各色の発光効率が、有機EL素子の発光特性や、カラーフィルタの透過特性によって変化すると、動作マージンが最も狭くなる色も異なる場合がある。この場合においても、各色の画素の動作マージンの差が小さくなるように、駆動TFT2の電流駆動能力を設定することによって、消費電力を低減することができる。
【0093】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1(a)は、TFTを用いた有機EL素子OELの駆動回路を示す図であり、図1(b)は、TFTのI−V特性曲線と、有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る表示装置の画素レイアウトを示す図である。
【図3】図2に示した表示装置における1つの画素A1、A2、A3、及びA4の等価回路図である。
【図4】第1の実施の形態に係る表示装置の断面を模式的に示す図である。
【図5】図5(a)は、駆動TFTの構造を模式的に示す平面図であり、図5(b)は、駆動TFT2の構造を模式的に示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図7】比較例1の駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図9】比較例2の駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図11】第4の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図12】第5の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図13】比較例3の駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図14】第6の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 スイッチングTFT、2 駆動TFT、10 表示装置、16 カラーフィルタ、17 有機EL発光層、A1,A2,A3,A4 画素、DL データ線、OEL 有機EL素子、PVDD 電源供給線、SC 保持容量、SL ゲート線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、複数の表示色の画素を含む表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイの開発が進んでおり、例えば携帯電話機に有機ELディスプレイを採用することが検討されている。有機ELディスプレイの駆動方式としては、走査電極とデータ電極を用いて時分割駆動するパッシブマトリクス駆動方式と、各画素にTFT(薄膜トランジスタ;Thin Film Transistor)を配置して、各画素の発光を1垂直走査期間に亘って維持するアクティブマトリクス駆動方式とがある。
【0003】
アクティブマトリクス駆動方式は、目的の画素のみを確実に動作させることができるので、パッシブマトリクス駆動方式と比較して、高画質、高コントラストを達成でき、また、応答速度が高速であるという利点がある。
【0004】
有機ELディスプレイでは、カラー表示するために、通常、赤色、緑色、青色の3色の画素を用いるが、近年、白色表示や、中間色表示を行う際の消費電力を低減する方法として、赤色、緑色、青色に、白色を加えた4色で映像を表示する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。赤色、緑色、青色の3色で映像を表示する場合、各色を同時に発光させなければならない白色表示を行う場合に最も消費電力は大きくなるが、白色発光の有機EL素子を用いることで、消費電力を低減することができる。
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0186214号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、TFTを用いて有機EL素子を駆動する場合、有機ELを精度良く、安定した輝度で所望の輝度に発光させるために、動作マージンを考慮する必要がある。図1を用いて動作マージンについて説明する。図1(a)は、TFTを用いた有機EL素子OELの駆動回路を示す図である。図1(b)は、TFTのI−V特性曲線と、有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。グラフの横軸は、TFTのソースの電位Vddに対するノードAの相対電位である。グラフの縦軸は、TFTのドレイン・ソース間電流Idsおよび有機EL素子OELの電流である。
【0006】
TFTのゲート電極に映像信号電圧Vsigが印可され、TFTのゲート・ソース間に電圧Vgsが発生すると、ドレイン・ソース間電流Idsが流れる。ドレイン・ソース間電流Idsが有機EL素子OELに流れると、有機EL素子OELは発光する。
【0007】
図1(b)の曲線40は、TFTにあるゲート・ソース間電圧Vgsを与えたときの、ドレイン・ソース間電圧Vdsと、ドレイン・ソース間電流Idsの関係を示す。Vdsの絶対値を大きくしたとき、Idsは増加するが、ある電圧を境として、Vdsの絶対値を大きくしてもIdsはほとんど変化しなくなる。Vdsの絶対値を大きくするとIdsが増加する領域を線形領域46といい、Vdsの絶対値を大きくしてもIdsがほとんど変わらない領域を飽和領域44という。飽和領域44でのIdsを飽和電流Idssという。飽和電流Idssは、TFTのゲート電圧を変化させることによって変化させることができる。線形領域46から飽和領域44に変わる境目の電圧をピンチオフ電圧Vpという。
【0008】
図1(b)の曲線42は、有機EL素子OELのI−V特性曲線である。曲線40と曲線42の交点が図1(a)の回路の動作点であり、TFTのゲート電圧を変化させ、Idsが変化すると、動作点は曲線42上を移動する。動作点の電圧を動作点電圧Vqという。
【0009】
動作マージンとは、ピンチオフ電圧Vpと動作点電圧Vqの差である。有機EL素子を駆動する場合、通常、動作点が飽和領域44に位置するように駆動回路を設計する。この際、動作点電圧Vqは、ピンチオフ電圧Vpからできるだけ離れていること、すなわち、動作マージンができるだけ広いことが望ましい。たとえば、電源回路の生成する電圧がばらつくなどの理由により、駆動電圧(Vdd−CV)が小さくなった場合、曲線42が曲線48のように右側にシフトし、動作点が飽和領域44から外れ、線形領域46に位置してしまう可能性がある。また、経時的な有機EL素子OELの特性の変動により、動作点が線形領域46に位置してしまう可能性もある。動作点が線形領域46にある場合、ほんのわずかな駆動電圧(Vdd−CV)の変化や、温度変化による有機EL素子OELの特性曲線の変化によって、Idsが大きく変化してしまうので、有機EL素子OELを精度良く、安定した輝度で発光させることができない。
【0010】
白色の画素を用いた有機ELディスプレイでは、白色の画素は、カラーフィルタが不要であることから発光効率が他の色に比べて高く、白色以外の画素よりも小さい電流で所望の輝度に発光させることができる。有機EL素子OELに流す電流を小さくする場合、曲線54に示すようなTFTのI−V特性曲線となるので、動作マージンは広くなる。そのため、白色の画素の動作マージンは、白色以外の画素の動作マージンよりも広くなる傾向にある。
【0011】
動作マージンは、駆動電圧(Vdd−CV)を高くすることで広げることができる。各色の画素の動作マージンが異なる場合、全ての色の画素で安定した発光を得るためには、駆動電圧(Vdd−CV)は、最も動作マージンの狭い色の画素に合わせて設定する必要がある。各色の画素の動作マージンの差が大きい場合、十分な動作マージンを確保している色の画素に対してまで高い駆動電圧(Vdd−CV)を印可することになり、有機ELディスプレイ全体の消費電力が増大する。
【0012】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、画素の動作マージンを確保しつつ、消費電力を低減した表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の表示装置は、電流の供給を受けて発光する自発光素子と、自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子と、をそれぞれ含む画素を備える表示装置であって、白色を含む複数の表示色の画素を備え、白色以外の画素における電流駆動素子の電流駆動能力が、白色の画素における電流駆動素子の電流駆動能力よりも大きいことを特徴としている。
【0014】
この態様によると、白色以外の画素における電流駆動素子の電流駆動能力を、白色の画素における電流駆動素子の電流駆動能力よりも大きくなるように設定することによって、白色以外の画素の動作マージンを広げることができ、白色の画素の動作マージンとの差を小さくできる。その結果、全ての画素の電流駆動素子の電流駆動能力が同一である場合と比較して、高い駆動電圧を供給する必要がなくなるので、表示装置全体の低消費電力化に有効である。また、白色以外の動作マージンが広がることによって、精度良く、安定して有機EL素子を発光させることができる。
【0015】
本発明の別の態様もまた、表示装置である。この表示装置は、電流の供給を受けて発光する自発光素子と、自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子と、をそれぞれ含む画素を備える表示装置であって、複数の表示色の画素を備え、各色の画素の動作マージンの差が小さくなるように、電流駆動素子の電流駆動能力が設定される。
【0016】
この態様によると、複数の表示色の画素の動作マージンの差が小さくなるように、電流駆動素子の電流駆動能力が設定される。そのため、動作マージンの差が大きかった場合には動作マージンの狭い色にあわせて駆動電圧を高く設定する必要があったものが、動作マージンの差を小さくすることで、高い駆動電圧を供給する必要がなくなり、表示装置全体の低消費電力化に有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画素の動作マージンを確保しつつ、消費電力を低減した表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1の実施の形態>
図2は、第1の実施の形態に係る表示装置の画素レイアウトを示す図である。本実施形態の表示装置10は、図2に示すように、赤色の画素A1、緑色の画素A2、青色の画素A3、及び白色の画素A4の、4色の画素を含む。横に並んだ4つの画素A1、A2、A3、及びA4により、画像の構成単位12が構成される。
【0019】
白色の画素A4を設けることにより、白色を表示する際に、赤、緑、青の全ての画素を点灯させるのではなく、白色の画素のみを点灯させればよいので、消費電力を低減させることができる。表示装置10において、画像の構成単位12がマトリクス状に配置される。
【0020】
図2に示すように、それぞれの画素A1、A2、A3、及びA4は、行方向に延びて配置されたゲート線SLと、列方向に延びて配置されたデータ線DLとに囲まれた領域に形成される。それぞれの画素A1、A2、A3、及びA4は、有機EL素子OELと、駆動TFT2と、スイッチングTFT1と、保持容量SCとを備える。有機EL素子OELは、電流の供給を受けて発光する自発光素子であり、駆動TFT2は、自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子である。
【0021】
図3は、図2に示した表示装置10における1つの画素A1、A2、A3、及びA4の等価回路図である。スイッチングTFT1は、nチャネル型のTFT、駆動TFT2は、pチャネル型のTFTである。スイッチングTFT1のゲートには、ゲート線SLが接続され、そのドレインには、データ線DLが接続されている。また、スイッチングTFT1のソースは、駆動TFT2のゲートに接続されている。また、スイッチングTFT1のソースは、保持容量SCの一端側の電極にも接続されている。保持容量SCの他端側の電極には、電位Vssが与えられている。駆動TFT2のソースには、電源供給線PVDDから電位Vddが与えられている。また、そのドレインは有機EL素子OELのアノードに接続されている。有機EL素子OELのカソードには、電位CVが与えられている。VddとCVの電位差(Vdd−CV)が、画素の駆動電圧となる。
【0022】
スイッチングTFT1のゲートに接続されたゲート線SLが低レベルとなっているとき、スイッチングTFT1はオン状態となるため、データ線DLからスイッチングTFT1のドレインに映像信号電圧Vsigが印可されると、Vsigが保持容量SCよって保持される。Vsigの値を変化させることによって、駆動TFT2のドレイン・ソース間電流Idsを変化させることができる。Idsは、有機EL素子OELの駆動電流となる。有機EL素子OELは、駆動TFT2を介して駆動電流Idsを供給され、所望の輝度で発光する。
【0023】
図4は、第1の実施の形態の表示装置10の断面を模式的に示す。図4に示すように、赤、緑、青の3色は、白色で発光する有機EL発光層17からの白色光を、赤、青、緑のカラーフィルタ16によって色変換して得られる。カラーフィルタ16の透過率は、カラーフィルタ16の構造や、材料によって異なるため、発光効率は、色によってそれぞれ異なる。白色は、有機EL発光層17から発光された白色光をカラーフィルタ16を透過させず、そのまま使用するので、他の色と比較して発光効率が高い。実施の形態の表示装置10は、この4色を用いてフルカラー表示を行う。
【0024】
上述したように、有機EL素子OELは、駆動TFT2を介して駆動電流Idsを供給され、駆動電流Idsの値に応じて輝度を変化させる。よって、駆動電流Idsを制御する駆動TFT2は、高画質な映像を表示するために、映像信号電圧Vsigの値に応じて精度良く駆動電流Idsを制御できることが必要である。
【0025】
駆動電流Idsの制御性を高めるためには、動作マージンを広く確保しなければならない。動作マージンとは、図1を用いて説明したように、ピンチオフ電圧Vpと動作点電圧Vqの差のことである。動作マージンが狭いと、ほんのわずかな駆動電圧(Vdd−CV)の変化や、温度変化による有機EL素子OELの特性曲線の変化によって、駆動電流Idsが大きく変化してしまうので、有機EL素子OELを精度良く、安定した輝度で発光させることができない。
【0026】
白色の画素A4は、カラーフィルタを透過させないことから発光効率が他の色に比べて高く、他の色の画素よりも小さい電流で所望の輝度に発光させることができる。有機EL素子OELに流す電流を小さくする場合、図1を用いて説明したように、動作マージンは広くなる。そのため、白色の画素A4の動作マージンは、白色以外の画素A1〜A3の動作マージンよりも広くなる傾向にある。
【0027】
動作マージンは、駆動電圧(Vdd−CV)を高くすることで広げることができる。各色の画素の動作マージンが異なる場合、全ての色の画素で安定した発光を得るためには、駆動電圧(Vdd−CV)は、最も動作マージンの狭い色の画素に合わせて設定する必要がある。そのため、動作マージンの広い画素と狭い画素とが混在している場合、狭い画素に合わせて電位Vddを高く設定したり、電位CVを低く設定することで、十分な動作マージンを確保している色の画素に対してまで高い駆動電圧(Vdd−CV)を印可することになり、表示装置10全体の消費電力が増大する。
【0028】
そこで、第1の実施の形態においては、白色以外の画素A1〜A3における駆動TFT2の電流駆動能力が、白色の画素A4における駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくなるように設定する。この場合、白色以外の画素A1〜A3の動作マージンを広げることができ、白色A4の画素の動作マージンとの差が小さくなる。その結果、動作マージンの狭い色に合わせて高い駆動電圧(Vdd−CV)を供給する必要がなくなるので、表示装置10全体の低消費電力化に有効である。また、白色以外の画素A1〜A3の動作マージンが広がることによって、安定して有機EL素子を発光させることができる。
【0029】
駆動TFT2の電流駆動能力は、少なくともチャネル長、チャネル幅の一方を異ならせることによって、色ごとに異ならせることができる。図5(a)は、駆動TFT2の構造を模式的に示す平面図である。図5(b)は、駆動TFT2の構造を模式的に示す図である。TFTのドレイン・ソース間電流Idsは、
Ids=μCoxW/L{(Vgs−Vth)−Vds/2} …式1
で表される。ここで、μはキャリア移動度、Coxはゲート絶縁膜容量、Vdsはドレイン・ソース間の電圧、Vthはしきい値電圧、WはTFTのチャネル幅、LはTFTのチャネル長である。式1から分かるように、Idsは、チャネル幅Wに比例し、チャネル長Lに反比例する。すなわち、チャネル幅Wと、チャネル長Lを適宜設定することによって、駆動TFT2の電流駆動能力を変化させることができる。
【0030】
駆動TFT2の電流駆動能力を大きくするためには、式1から分かるように、チャネル幅Wをできるだけ大きくし、チャネル長Lをできるだけ小さくすればよい。しかしながら、チャネル幅Wを大きくしすぎると、駆動TFT2の面積増大につながり、画素の開口面積が減少するため望ましくない。また、チャネル長Lを小さくしすぎることは、駆動TFT2のI−V特性曲線において、飽和電流Idssが不安定になることにつながる。
【0031】
このように、駆動TFT2の電流駆動能力を大きくすることによって動作マージンを広げることと、画素の開口面積が減少することは、トレードオフの関係にあるから、両者のバランスを考慮して、白色以外の画素における駆動TFT2の電流駆動能力を設定する。また、発光効率が高く、白色以外の画素よりも駆動TFT2の電流駆動能力が小さくても十分な広さの動作マージンを確保できる白色の画素については、開口面積が減少する点などを考慮し、駆動TFT2の電流駆動能力を白色以外の画素よりも小さく設定する。
【0032】
第1の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図6は、第1の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。第1の実施の形態においては、白色以外の画素A1〜A3における駆動TFT2の電流駆動能力が、白色の画素A4における駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくなるように、駆動TFT2のチャネル長Lとチャネル幅Wを設定する。図6では、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2を、チャネル長L=45μm、チャネル幅W=4.7μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。なお、第1の実施の形態では、各色の画素の開口面積比は、赤:緑:青:白=1:1:1:1である。
【0033】
図2には、チャネル長、チャネル幅を白色の画素と白色以外の画素とで異ならせた状態を示している。既述したように、画素A1〜A3の駆動TFT2のチャネル長L1を45μm、チャネル幅を4.7μmとし、画素A4の駆動TFT2のチャネル長L2(50μm)、チャネル幅W2(4μm)とも異ならせている。これにより、白色画素以外の駆動TFT2の電流駆動能力を、白色画素の駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくしている。なお、チャネル幅W1とW2を同一にして、チャネル長L1をL2よりも短くすることで、白色が素以外の駆動TFT2の電流駆動能力を、白色画素の駆動TFT2の電流駆動能力より大きくしてもよい。同様に、チャネル長L1とL2を同一にして、チャネル幅W1をW2よりも大きくすることで、白色画素以外の駆動TFT2の電流駆動能力を、白色画素のTFT2の電流駆動能力より大きくしてもよい。
【0034】
図6において、曲線60は、有機EL素子OELのI−V特性曲線である。各色の画素の開口面積が等しいから、有機EL素子OELのI−V特性曲線は、各色ともに同じI−V特性曲線になる。グラフの横軸は、駆動TFT2のソースの電位Vddに対するノードAの相対電位(ノードAの電位−Vdd、またはVddを0VとしたときのノードAの相対電位)である。また、Vdd−CV間の電位差は14Vに設定している。グラフの縦軸は、駆動TFT2のドレイン・ソース間電流Idsおよび有機EL素子OELの電流である。
【0035】
曲線62は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線64は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線66は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線である。それぞれのI−V特性曲線は、駆動TFTのゲートに供給するVsigの値を適宜設定することで得られる。上述したように、各色の発光効率はそれぞれ異なるので、所望の輝度を得るのに要する電流もそれぞれ異なる。第1の実施の形態では、ある同じ値の輝度を得るのに要する電流を、赤色=2.66μA、緑色=1.38μA、青色=1.38μA、白色=1.25μAと設定する。これは、ある同じ値の輝度を得るのに、たとえば赤色は2.66μAを要し、緑色は1.38μAを要するということを意味する。
【0036】
上述したように、動作マージンとは、ピンチオフ電圧Vpと動作点電圧Vqの差のことである。曲線60と曲線62の交点が赤色の動作点68、曲線60と曲線64の交点が緑色と青色の動作点70、曲線60と曲線66の交点が白色の動作点72である。また、ピンチオフ電圧とは、駆動TFT2のI−V特性曲線が線形領域から飽和領域に変わる境目の電圧であるが、本明細書においては、ピンチオフ電圧Vpは、飽和電流Idssから5%電流が低下したときの電圧として説明する。
【0037】
図6に示すように、赤色の動作マージンは、1.56V(Vp=−2.84V、Vq=−4.40V)、緑色と青色の動作マージンは、3.05V(Vp=−2.25V、Vq=−5.3V)、白色の動作マージンは、3.1V(Vp=−2.37V、Vq=−5.47V)である。赤色の動作マージンが最も狭く、白色の動作マージンとの差は、1.54Vである。
【0038】
動作マージンの改善効果を示すために、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定した場合(比較例1とよぶ)について示す。図7は、比較例1の駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。比較例1では、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2を、チャネル長Lを50μm、チャネル幅Wを4μmと設定している。なお、各色の画素の開口面積比は、赤:緑:青:白=1:1:1:1である。
【0039】
図7において、曲線76は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線78は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線66は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図6で示した例と同じため、図6と同一のI−V特性曲線となっている。曲線60は、有機EL素子OELのI−V特性曲線であるが、画素の開口面積比は図6で示した例と同じため、図6と同一のI−V特性曲線となっている。
【0040】
曲線60と曲線76の交点が赤色画素A1の動作点82、曲線60と曲線78の交点が緑色と青色の画素A2、A3の動作点84、曲線60と曲線66の交点が白色の画素A4の動作点86である。なお、各色の駆動TFT2の飽和電流Idssは、図6に示したものと同一である。
【0041】
図7に示すように、比較例1の場合、赤色の画素A1の動作マージンは、1.14V(Vp=−3.27V、Vq=−4.41V)、緑色と青色の画素A2、A3の動作マージンは、2.8V(Vp=−2.48V、Vq=−5.28V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.1V(Vp=−2.37V、Vq=−5.47V)である。赤色の画素A1の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、1.96Vである。図6に示した各色の動作マージンと、図7に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、白色以外の画素A1〜A4の動作マージンとの差は、1.96Vから1.54Vに小さくなっている。
【0042】
以上のように、第1の実施の形態においては、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を白色の画素A4の駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくすることによって、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2のピンチオフ電圧Vpの絶対値が小さくなる方向にシフトする。すなわち、動作マージンが広がり、白色の画素A4と白色以外の画素A1〜A3との間で動作マージンの差が小さくなる。その結果、動作マージンが狭かったために駆動電圧(Vdd−CV)を高く設定する必要がなくなり、低消費電力化に有効である。また、動作マージンが広がることによって精度よく、安定して有機EL素子OELを発光させることができる。
【0043】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、赤色、緑色、青色、白色の画素の開口面積がそれぞれ異なる点において、第1の実施の形態と異なる。第1の実施の形態と同一の構成要素については、同様の記号を用いて説明する。
【0044】
有機EL素子OELの寿命は、素子に印可される電流密度に依存することが知られている。各画素の開口面積が同じである場合、発光効率の悪い画素において所定の輝度を得るためには、他の発光効率の良い画素よりも大きな電流を流す必要がある。そのため、発光効率の悪い画素においては、有機EL素子OELの寿命が短くなりやすい。
【0045】
映像を表示する際の各色の使用頻度は、色によって異なるから、各色の画素の有機EL素子OELに供給される平均的な電流の比に応じて開口面積を異ならせることによって、各色の画素の寿命を平滑化し、表示装置10としての寿命を延ばすことができる。
【0046】
第2の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図8は、第2の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比を、赤:緑:青:白=5.3:1.9:1:4.4と設定した。第2の実施の形態においても、白色以外の画素A1〜A3における駆動TFT2の電流駆動能力が、白色の画素A4における駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくなるように、駆動TFT2のチャネル長Lとチャネル幅Wを設定する。ここでは、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2を、チャネル長L=40μm、チャネル幅W=6μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0047】
図8において、曲線88は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線92は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線94は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線90は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。各色の画素の開口面積が異なるから、有機EL素子OELのI−V特性曲線は、各色ごとに異なったI−V特性曲線になる。
【0048】
曲線96は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線98は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線100は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線88と曲線96の交点が赤色の画素A1の動作点102、曲線92と曲線98の交点が緑色の画素A2の動作点106、曲線94と曲線98の交点が青色の画素A3の動作点108、曲線90と曲線100の交点が白色の画素A4の動作点104である。
【0049】
図8に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.64V(Vp=−2.48V、Vq=−5.12V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.59V(Vp=−1.96V、Vq=−4.55V)、青色の画素A3の動作マージンは、1.64V(Vp=−1.96V、Vq=−3.6V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3動作マージンが最も狭く、白色の動作マージンとの差は、1.9Vである。
【0050】
動作マージンの改善効果を示すために、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定した場合(比較例2とよぶ)について示す。図9は、比較例2の駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。比較例2では、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2を、チャネル長Lを50μm、チャネル幅Wを4μmと設定している。各色の画素の開口面積比は、赤:緑:青:白=5.3:1.9:1:4.4である。
【0051】
図9において、曲線88は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線92は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線94は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線90は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図8で示した例と同じため、図8と同一のI−V特性曲線となっている。
【0052】
曲線118は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線120は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線100は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図8で示した例と同じため、図8と同一のI−V特性曲線となっている。曲線88と曲線118の交点が赤色の画素A1の動作点124、曲線92と曲線120の交点が緑色の画素A2の動作点128、曲線94と曲線120の交点が青色の画素A3の動作点130、曲線90と曲線100の交点が白色の画素A4の動作点126である。
【0053】
図9に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、1.89V(Vp=−3.27V、Vq=−5.16V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.09V(Vp=−2.48V、Vq=−4.57V)、青色の画素A3の動作マージンは、1.15V(Vp=−2.48V、Vq=−3.63V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3動作マージンが最も狭く、白色の動作マージンとの差は、2.39Vである。
【0054】
図8に示した各色の動作マージンと図9に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、白色以外の画素A1〜A4の動作マージンとの差は、2.39Vから1.9Vに小さくなっている。
【0055】
以上のように、第2の実施の形態においても、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を白色の画素A4の駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくすることによって、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2のピンチオフ電圧Vpの絶対値が小さくなる方向にシフトする。すなわち、動作マージンが広がり、白色の画素A4と白色以外の画素A1〜A3との間で動作マージンの差が小さくなる。その結果、動作マージンが狭かったために駆動電圧(Vdd−CV)を高く設定する必要がなくなり、低消費電力化に有効である。
【0056】
また、動作マージンが広がることによって精度よく、安定して有機EL素子OELを発光させることができる。また、各色の画素ごとに開口面積を変えているので、有機EL素子の寿命が平滑化され、表示装置10の寿命を延ばすことができる。
【0057】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、白色以外の画素A1〜A3のピンチオフ電圧の絶対値が、白色の画素A4のピンチオフ電圧の絶対値よりも小さくなるように駆動TFT2の電流駆動能力を設定する。なお、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同様の記号を用いて説明する。
【0058】
第3の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図10は、第3の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比は、第2の実施の形態と同様に、赤:緑:青:白=5.3:1.9:1:4.4と設定した。また、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2を、チャネル長L=35μm、チャネル幅W=7μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0059】
図10において、曲線88は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線92は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線94は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線90は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図8、図9で示した例と同じため、図8、図9と同一のI−V特性曲線となっている。
【0060】
曲線138は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線140は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線100は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図8、図9で示した例と同じため、図8、図9と同一のI−V特性曲線となっている。曲線88と曲線138の交点が赤色の画素A1の動作点144、曲線92と曲線140の交点が緑色の画素A2の動作点148、曲線94と曲線140の交点が青色の画素A3の動作点150、曲線90と曲線100の交点が白色の画素A4の動作点146である。
【0061】
図10に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.84V(Vp=−2.27V、Vq=−5.11V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.75V(Vp=−1.8V、Vq=−4.55V)、青色の画素A3の動作マージンは、1.81V(Vp=−1.8V、Vq=−3.61V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、1.73Vである。
【0062】
図10に示した各色の動作マージンと図8に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、最も動作マージンの狭い青色の画素A3の動作マージンとの差は、1.9Vから1.73Vへと、更に小さくなっている。よって、第3の実施の形態は、第2の実施の形態よりも更に好適に消費電力を低減することができる。
【0063】
また、白色以外の画素A1〜A3の動作マージンが広がることによって精度よく、安定して有機EL素子OELを発光させることができる。また、第3の実施の形態においても、各色ごとに画素の開口面積を変えているので、表示装置10の寿命を延ばすことができることは、第2の実施の形態で説明したとおりである。
【0064】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態について説明する。第1から第3の実施の形態では、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定したが、第4の実施の形態においては、各色ごとに駆動TFT2の電流駆動能力を異ならせる。なお、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同様の記号を用いて説明する。
【0065】
上述したように、駆動TFT2のチャネル幅Wを大きくしたり、チャネル長Lを小さくすることによって駆動TFT2の電流駆動能力を大きくすると、ピンチオフ電圧Vpの絶対値が小さくなるために各色の画素の動作マージンの差を小さくすることができるが、チャネル幅Wを大きくしすぎると、駆動TFT2の面積増大につながり、画素の開口面積が減少するため望ましくない。また、チャネル長Lを小さくしすぎることは、駆動TFT2のI−V特性曲線において、飽和電流Idssが不安定になることにつながる。
【0066】
したがって、第4の実施の形態においては、最も動作マージンの狭い色の画素については動作マージンを広げるために駆動TFT2のチャネル幅Wを大きくし、チャネル長Lを小さく設定するが、その他の色については、動作マージンが最も狭い色を下回らない限りでチャネル幅Wを小さくし、チャネル長Lを大きく設定する。
【0067】
第4の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図11は、第4の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比は、第2、第3の実施の形態と同様に、赤:緑:青:白=5.3:1.9:1:4.4と設定した。また、赤の画素A1の駆動TFT2を、チャネル長L=40μm、チャネル幅W=5μmと設定し、緑の画素A2の駆動TFT2を、チャネル長L=40μm、チャネル幅W=5μmと設定し、青の画素A3の駆動TFT2を、チャネル長L=25μm、チャネル幅W=10μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0068】
図11において、曲線88は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線92は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線94は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線90は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図8〜図10で示した例と同じため、図8〜図10と同一のI−V特性曲線となっている。
【0069】
曲線160は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線162は、緑色の画素A2の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線164は、青色の画素A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線100は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図8〜図10で示した例と同じため、図8〜図10と同一のI−V特性曲線となっている。曲線88と曲線160の交点が赤色の画素A1の動作点168、曲線92と曲線162の交点が緑色の画素A2の動作点172、曲線94と曲線164の交点が青色の画素A3の動作点174、曲線90と曲線100の交点が白色の画素A4の動作点170である。
【0070】
図11に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.4V(Vp=−2.72V、Vq=−5.12V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.45V(Vp=−2.11V、Vq=−4.56V)、青色の画素A3の動作マージンは、2.27V(Vp=−1.4V、Vq=−3.67V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、1.27Vである。
【0071】
図11に示した各色の動作マージンと図10に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、最も動作マージンの狭い青色の画素A3の動作マージンとの差は、1.73Vから1.27Vへと、更に小さくなっている。また、赤色と緑色の画素A1、A2の動作マージンについては、駆動TFT2の電流駆動能力を小さくしたため、第3の実施例の場合と比較して動作マージンは狭くなっているが、青色よりも広い動作マージンを確保できているので、表示装置10全体としての動作マージンは改善している。よって、第4の実施の形態においても、消費電力を低減することができる。
【0072】
また、各色ごとに駆動TFT2の電流駆動能力を異ならせることによって、動作マージンを大きくする必要のない色の画素については、開口面積を大きくとることができ、また、駆動TFT2の飽和電流を安定化させることができる。
【0073】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態では、各色の画素の開口面積比が、第2から第4の実施の形態と異なり、白色の画素A4の開口面積が、白色以外の画素A1〜A3の開口面積よりも大きくなるように設定する。これは、風景写真や人物写真のような任意の自然画を複数表示させた場合、白色の画素の使用頻度が最も高いからである。最も使用頻度が高い白色の画素の開口面積を他の色の画素よりも大きく設定することによって、白色の画素に流れる電流を低下させることができ、白色の画素の寿命を延ばすことができる。
【0074】
第5の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図12は、第5の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比は、白色の画素A4の開口面積が最も大きくなるように、赤:緑:青:白=2.7:1.7:1:2.9と設定した。また、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2を、チャネル長L=35μm、チャネル幅W=7μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0075】
図12において、曲線178は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線180は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線182は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線176は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。
【0076】
曲線184は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線186は、緑色
と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線188は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線178と曲線184の交点が赤色の画素A1の動作点190、曲線180と曲線186の交点が緑色の画素A2の動作点194、曲線182と曲線186の交点が青色の画素A3の動作点196、曲線176と曲線188の交点が白色の画素A4の動作点192である。
【0077】
図12に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.47V(Vp=−2.27V、Vq=−4.74V)、緑色の画素A2の動作マージンは、3.18V(Vp=−1.8V、Vq=−4.98V)、青色の画素A3の動作マージンは、2.43V(Vp=−1.8V、Vq=−4.23V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、1.11Vである。
【0078】
動作マージンの改善効果を示すために、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定した場合(比較例3とよぶ)について示す。図13は、比較例3の駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。比較例3では、各色の画素A1〜A4の駆動TFT2を、チャネル長Lを50μm、チャネル幅Wを4μmと設定している。各色の画素の開口面積比は、赤:緑:青:白=2.7:1.7:1:2.9である。
【0079】
図13において、曲線178は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線180は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線182は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線176は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図12で示した例と同じため、図12と同一のI−V特性曲線となっている。
【0080】
曲線206は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線208は、緑色と青色の画素A2、A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線188は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図12で示した例と同じため、図12と同一のI−V特性曲線となっている。曲線178と曲線206の交点が赤色の画素A1の動作点212、曲線180と曲線208の交点が緑色の画素A2の動作点216、曲線182と曲線208の交点が青色の画素A3の動作点218、曲線176と曲線188の交点が白色の画素A4の動作点214である。
【0081】
図13に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、1.53V(Vp=−3.27V、Vq=−4.8V)、緑色の画素A2の動作マージンは、2.53V(Vp=−2.48V、Vq=−5.01V)、青色の画素A3の動作マージンは、1.77V(Vp=−2.48V、Vq=−4.25V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。赤色の画素A3動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、2.01Vである。
【0082】
図12に示した各色の動作マージンと図13に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、白色以外の画素A1〜A3の中で最も狭い動作マージンとの差は、2.01Vから1.11Vに小さくなっている。
【0083】
以上のように、第5の実施の形態においても、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を白色の画素A4の駆動TFT2の電流駆動能力よりも大きくすることによって、動作マージンが広がり、白色の画素A4と白色以外の画素A1〜A3との間で動作マージンの差が小さくなる。その結果、動作マージンが狭かったために駆動電圧(Vdd−CV)を高く設定する必要がなくなり、低消費電力化に有効である。
【0084】
また、動作マージンが広がることによって精度よく、安定して有機EL素子OELを発光させることができる。また、最も使用頻度が高い白色の画素の開口面積を他の色の画素よりも大きく設定しているので、白色の画素に流れる電流を低下させることができ、白色の画素の寿命を延ばすことができる。すなわち、画素の寿命が平滑化され、表示装置10の寿命を延ばすことができる。
【0085】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態について説明する。第5の実施の形態では、白色の画素A4の開口面積を、白色以外の画素A1〜A3の開口面積よりも大きく設定した状態で、白色以外の画素A1〜A3の駆動TFT2の電流駆動能力を全て等しく設定したが、第6の実施の形態においては、各色ごとに駆動TFT2の電流駆動能力を異ならせて設定する。
【0086】
第6の実施の形態の1例を具体的に数値を設定して示す。図14は、第6の実施の形態に係る駆動TFT2のI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。各色の画素の開口面積比は、第5の実施の形態と同様に、赤:緑:青:白=2.7:1.7:1:2.9と設定した。また、赤色と青色の画素A1、A3の駆動TFT2を、チャネル長L=30μm、チャネル幅W=8μmと設定し、緑色の画素A2の駆動TFT2を、チャネル長L=35μm、チャネル幅W=7μmと設定し、白色の画素A4の駆動TFT2を、チャネル長L=50μm、チャネル幅W=4μmと設定した。
【0087】
図14において、曲線178は赤色の画素A1の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線180は緑色の画素A2の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線182は青色の画素A3の有機EL素子OELのI−V特性曲線、曲線176は白色の画素A4の有機EL素子OELのI−V特性曲線である。画素の開口面積比は図12、図13で示した例と同じため、図12、図13と同一のI−V特性曲線となっている。
【0088】
曲線178は、赤色の画素A1の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線230は、緑色
の画素A2の駆動TFT2のI−V特性曲線、曲線232は、青色の画素A3の駆動TFT2のI−V特性曲線である。曲線188は、白色の画素A4の駆動TFT2のI−V特性曲線であるが、駆動TFT2の電流駆動能力が図12、図13で示した例と同じため、図12、図13と同一のI−V特性曲線となっている。曲線178と曲線178の交点が赤色の画素A1の動作点236、曲線180と曲線230の交点が緑色の画素A2の動作点240、曲線182と曲線232の交点が青色の画素A3の動作点242、曲線176と曲線188の交点が白色の画素A4の動作点238である。
【0089】
図14に示すように、赤色の画素A1の動作マージンは、2.82V(Vp=−1.97V、Vq=−4.79V)、緑色の画素A2の動作マージンは、3.18V(Vp=−1.8V、Vq=−4.98V)、青色の画素A3の動作マージンは、2.73V(Vp=−1.57V、Vq=−4.3V)、白色の画素A4の動作マージンは、3.54V(Vp=−2.37V、Vq=−5.91V)である。青色の画素A3の動作マージンが最も狭く、白色の画素A4の動作マージンとの差は、0.81Vである。
【0090】
図14に示した各色の動作マージンと図13に示した各色の動作マージンとを比較すると、白色画素A4の動作マージンと、最も動作マージンの狭い青色の画素A3の動作マージンとの差は、1.11Vから0.81Vへと、更に小さくなっている。よって、第6の実施の形態においては、各色の画素の動作マージンの差を小さくすることによって、更に好適に表示装置10の消費電力を低減することができる。
【0091】
また、図12に示した例において赤色と青色の画素A1、A3と比べて広い動作マージンを確保できていた緑色の画素A2については、駆動TFT2のサイズを変えないので、必要以上に画素の開口面積を減らすことを防ぐことができる。
【0092】
以上の第1から第6の実施の形態においては、白色の画素を含んだ表示装置について説明したが、複数の表示色の画素を含んだ表示装置であれば、本発明を適用することができる。各色の発光効率が、有機EL素子の発光特性や、カラーフィルタの透過特性によって変化すると、動作マージンが最も狭くなる色も異なる場合がある。この場合においても、各色の画素の動作マージンの差が小さくなるように、駆動TFT2の電流駆動能力を設定することによって、消費電力を低減することができる。
【0093】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1(a)は、TFTを用いた有機EL素子OELの駆動回路を示す図であり、図1(b)は、TFTのI−V特性曲線と、有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る表示装置の画素レイアウトを示す図である。
【図3】図2に示した表示装置における1つの画素A1、A2、A3、及びA4の等価回路図である。
【図4】第1の実施の形態に係る表示装置の断面を模式的に示す図である。
【図5】図5(a)は、駆動TFTの構造を模式的に示す平面図であり、図5(b)は、駆動TFT2の構造を模式的に示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図7】比較例1の駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図9】比較例2の駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図11】第4の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図12】第5の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図13】比較例3の駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【図14】第6の実施の形態に係る駆動TFTのI−V特性曲線と有機EL素子OELのI−V特性曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 スイッチングTFT、2 駆動TFT、10 表示装置、16 カラーフィルタ、17 有機EL発光層、A1,A2,A3,A4 画素、DL データ線、OEL 有機EL素子、PVDD 電源供給線、SC 保持容量、SL ゲート線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流の供給を受けて発光する自発光素子と、前記自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子と、をそれぞれ含む画素を備える表示装置であって、
白色を含む複数の表示色の画素を備え、
白色以外の画素における前記電流駆動素子の電流駆動能力が、白色の画素における前記電流駆動素子の電流駆動能力よりも大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
白色の画素の開口面積が、白色以外の画素の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電流駆動素子は、薄膜トランジスタであり、少なくともチャネル長、チャネル幅の一方を異ならせることによって、白色以外の画素における前記薄膜トランジスタの電流駆動能力を、白色の画素における前記薄膜トランジスタの電流駆動能力よりも大きく設定することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
白色以外の画素における前記薄膜トランジスタのピンチオフ電圧の絶対値が、白色の画素における前記薄膜トランジスタのピンチオフ電圧の絶対値よりも小さくなるように、各色の前記薄膜トランジスタの電流駆動能力を設定することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
各色の画素の開口面積比は、各色の画素における前記自発光素子に供給される平均電流の比に応じて設定されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記電流駆動素子の電流駆動能力は、色ごとに異なることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の表示色は、赤色と緑色と青色と白色の4色であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記自発光素子が発する色は白色であり、他の表示色はカラーフィルタを用いてそれぞれ変換されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記自発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
電流の供給を受けて発光する自発光素子と、前記自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子と、をそれぞれ含む画素を備える表示装置であって、
複数の表示色の画素を備え、
各色の画素の動作マージンの差が小さくなるように、前記電流駆動素子の電流駆動能力が設定されることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
電流の供給を受けて発光する自発光素子と、前記自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子と、をそれぞれ含む画素を備える表示装置であって、
白色を含む複数の表示色の画素を備え、
白色以外の画素における前記電流駆動素子の電流駆動能力が、白色の画素における前記電流駆動素子の電流駆動能力よりも大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
白色の画素の開口面積が、白色以外の画素の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電流駆動素子は、薄膜トランジスタであり、少なくともチャネル長、チャネル幅の一方を異ならせることによって、白色以外の画素における前記薄膜トランジスタの電流駆動能力を、白色の画素における前記薄膜トランジスタの電流駆動能力よりも大きく設定することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
白色以外の画素における前記薄膜トランジスタのピンチオフ電圧の絶対値が、白色の画素における前記薄膜トランジスタのピンチオフ電圧の絶対値よりも小さくなるように、各色の前記薄膜トランジスタの電流駆動能力を設定することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
各色の画素の開口面積比は、各色の画素における前記自発光素子に供給される平均電流の比に応じて設定されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記電流駆動素子の電流駆動能力は、色ごとに異なることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の表示色は、赤色と緑色と青色と白色の4色であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記自発光素子が発する色は白色であり、他の表示色はカラーフィルタを用いてそれぞれ変換されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記自発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
電流の供給を受けて発光する自発光素子と、前記自発光素子への供給電流を制御する電流駆動素子と、をそれぞれ含む画素を備える表示装置であって、
複数の表示色の画素を備え、
各色の画素の動作マージンの差が小さくなるように、前記電流駆動素子の電流駆動能力が設定されることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−308796(P2006−308796A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130158(P2005−130158)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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