説明

表示装置

【課題】少ない入力データ数で高解像の画像を表示することが可能な表示装置を低コストで実現する。
【解決手段】液晶表示パネル10は、同一面上の垂直方向とこれに直交する水平方向に格子状に配列された表示画素2からなる第一の表示画素群と、第一の表示画素群と同一ピッチで格子状に配列された表示画素2からなる第二の表示画素群とから構成され、第一の表示画素群と第二の表示画素群は、それぞれの表示画素2の垂直方向の配列ピッチの1/2だけ垂直方向にずれて配置されており、且つ、それぞれの表示画素2の水平方向の配列ピッチの1/2だけ水平方向にずれて配置されており、液晶表示パネル10から出射される光の光路上に設けられた複屈折板3を備え、複屈折板3は、第一の表示画素群と第二の表示画素群のそれぞれの表示画素2の垂直方向の配列ピッチの1/2だけ光を垂直方向に分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像データに応じた光を出射する光出射手段を有し、前記光出射手段から出射された光によって画像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置において、少ない入力データ数で高解像を得るための方法として複屈折制御を行うウォブリング技術が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の画像表示装置では、ウォブリング素子が、偏光変換用液晶板とその前面側に配置した複屈折板とからなり、カラー液晶表示素子に表示する映像信号の同期信号に基づいて、ウォブリング用液晶駆動回路により偏光変換用液晶板への電圧のオン・オフを制御し、これにより電圧がオンの状態では、カラー液晶表示素子からの光の偏光を変化させることなく透過させ、電圧がオフの状態では、カラー液晶表示素子からの光の偏光を90度変化させて透過させ、その偏光方向に応じて複屈折板により射出する位置を変化させてウォブリング操作を行うようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−271710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、時分割で複屈折制御が必要なため、この複屈折制御を実現するために偏光変換用の素子が必要となり、コスト高となってしまう。又、時分割制御のため、プログレッシブ表示を行うことができない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、少ない入力データ数で高解像の画像を表示することが可能な表示装置を低コストで実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、入力画像データに応じた光を出射する光出射手段を有し、前記光出射手段から出射された光によって画像を表示する表示装置であって、前記光出射手段が、同一面上の垂直方向とこれに直交する水平方向に格子状に配列された光出射部からなる第一の光出射群と、前記第一の光出射群と同一ピッチで格子状に配列された前記光出射部からなる第二の光出射群とから構成され、前記第一の光出射群と前記第二の光出射群は、それぞれの前記光出射部の前記垂直方向の配列ピッチの1/2だけ前記垂直方向にずれて配置されており、且つ、それぞれの前記光出射部の前記水平方向の配列ピッチの1/2だけ前記水平方向にずれて配置されており、前記光出射部から出射される光の光路上に設けられた複屈折板を備え、前記複屈折板は、前記第一の光出射群と前記第二の光出射群のそれぞれの前記光出射部の前記垂直方向の配列ピッチの1/2だけ前記光を前記垂直方向に分離するもの、又は、前記第一の光出射群と前記第二の光出射群のそれぞれの前記光出射部の前記水平方向の配列ピッチの1/2だけ前記光を前記水平方向に分離するものである。
【0007】
本発明の表示装置は、前記光出射手段による光出射を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記第一の光出射群の各光出射部から光を出射させる期間と前記第二の光出射群の各光出射部から光を出射させる期間とをずらして、前記入力画像データに応じた光を出射させる制御を行う。
【0008】
本発明の表示装置は、前記入力画像データの画素データ配列が格子配列であった場合、前記入力画像データの画素データを、前記光出射部の配列に対応した配列となるように間引いて新たな入力画像データを生成する入力画像データ生成手段を備え、前記入力画像データの画素データ配列が格子配列であった場合、前記光出射手段は、前記新たな入力画像データに応じた光を出射する。
【0009】
本発明の表示装置は、前記光出射部が、一対の電極によって挟まれた液晶層である。
【0010】
本発明の表示装置は、前記光出射部が、画像を表示するべき投影面に光を反射させることが可能で、且つ、前記光を反射させる方向を制御可能なミラーであり、前記複屈折板が、前記ミラーが前記投影面に光を反射する状態にあるときの該光の光路上に配置されている。
【0011】
本発明の表示装置は、前記光出射部が、蛍光塗料が塗布されたブラウン管の表示画素である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少ない入力データ数で高解像の画像を表示することが可能な表示装置を低コストで実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態である液晶表示装置の概略構成を示す断面模式図である。
図1に示す液晶表示装置は、バックライト光源1と、液晶表示パネル10と、複屈折板3と、液晶表示パネル10を駆動する液晶ドライバ4とを備える。
【0014】
液晶表示パネル10は、ガラス等の透明基板上の垂直方向とこれに直交する水平方向に二次元状に配列された多数の第一の電極と、ガラス等の透明基板上の該多数の第一の電極の各々と対向する位置に形成された多数の第二の電極と、多数の第一の電極と多数の第二の電極の間に設けられた液晶層とを含んで構成されている。
【0015】
1つの第一の電極と、それに対向する1つの第二の電極と、これらに挟まれる液晶層とにより、液晶表示パネル10の1つの表示画素2が構成されている。液晶表示パネル10は、この表示画素2を、同一面上の垂直方向とこれに直交する水平方向に二次元状に配列した構成ということもできる。表示画素2は、液晶層に印加する電圧を制御して液晶層の配向を制御することで、バックライト光源1からの光の透過率を決められるものである。
【0016】
液晶ドライバ4は、液晶表示パネル10に表示させるべき画像データが入力されると、この画像データに基づいて各表示画素2の液晶層に印加する電圧を制御する。これにより、各表示画素2からは、入力された画像データに応じた光が複屈折板3側に出射される。この表示画素2が特許請求の範囲の光出射部として機能し、液晶表示パネル10全体が特許請求の範囲の光出射手段として機能する。
【0017】
図2は、図1に示す液晶表示パネル10を光出射側から見た平面模式図である。
液晶表示パネル10は、図2中でハッチングを付していない表示画素2からなる第一の表示画素群と、図2中でハッチングを付した表示画素2からなる第二の表示画素群とを含む。
【0018】
第一の表示画素群は、平面上の垂直方向とこれに直交する水平方向に表示画素2を格子状に配列したものとなっている。第二の表示画素群は、該平面上の垂直方向と水平方向に表示画素2を格子状に配列したものとなっている。第一の表示画素群と第二の表示画素群のそれぞれの表示画素2の配列ピッチは同一となっている。又、第一の表示画素群と第二の表示画素群は、それぞれの表示画素2の垂直方向の配列ピッチの1/2だけ垂直方向にずれて配置されており、且つ、それぞれの表示画素2の水平方向の配列ピッチの1/2だけ水平方向にずれて配置されている。
【0019】
このように、液晶表示パネル10は、表示画素2が格子状に並んだ構成になっていない。このため、液晶ドライバ4に入力される画像データが、図3に示すように画素データを格子状に並べたものであった場合には、液晶ドライバ4が、入力画像データを市松状に間引いて(入力画像データから図3中のハッチングを付した画素データを間引いて)表示用の画像データを新たに生成し、この表示用の画像データに基づいて各表示画素2の液晶層に印加する電圧を制御する必要がある。
【0020】
液晶ドライバ4に入力される画像データが、図2に示すような表示画素2の配列に対応した画素データ配列となっているのであれば、上記のような間引く処理は不要である。
【0021】
複屈折板3は、第一の表示画素群と第二の表示画素群のそれぞれの表示画素2の垂直方向の配列ピッチの1/2だけ光を垂直方向に分離するものである。
【0022】
図1に示したように、画素2を透過した光は、複屈折板3において主光線と副光線に分離される。主光線は複屈折板3で進路を変えられることなく真っ直ぐ進み、複屈折板3から、複屈折板3表面に垂直な方向に出射される。副光線は、表示画素2の垂直方向の配列ピッチの1/2だけ垂直方向に進路を曲げられた上で複屈折板3から、複屈折板3表面に垂直な方向に出射される。このように、複屈折板3を設けることにより、垂直方向に隣接する表示画素2のライン間で主光線と副光線が合成されることなる。
【0023】
図4は、図1に示す複屈折板3を光出射側から見たときの平面模式図である。
図4の矢印で示されるように、各表示画素2を透過して複屈折板3で分離された副光線は、その表示画素2の垂直方向隣の表示画素2から出射される主光線と混合される。例えば、図2において“A1”の文字を付した表示画素2から出射された主光線は、その左半分が、“B0”の文字を付した表示画素2から出射され分離された副光線の右半分と混合され(A1+B0)、その右半分が“B2”の文字を付した表示画素2から出射され分離された副光線の左半分と混合される(A1+B2)。つまり、液晶表示装置を観察している観察者においては、“A1”の文字を付した表示画素2から(A1+B0)と(A1+B2)の2種類の光が出射されているという認識がなされる。このため、全体として表示画素2の総数の倍の画素数の画像を観察者に認識させることができ、高解像化が可能となる。
【0024】
以上のように、本実施形態の液晶表示装置によれば、液晶表示パネル10の表示画素2の総数と同じデータ数の画像データの入力で、その総数の倍の画素からなる画像を観察者に認識させることができる。このため、例えば動画再生等をこの液晶表示装置で行おうとした場合、動画再生装置から液晶表示装置に転送するデータ量を減らしながら高解像を実現することができる。又、このような効果を、偏光変換素子を設けたり、複屈折を時分割で制御したりすることなく実現することができ、コストを削減することができる。又、複屈折の時分割制御を行う必要がないため、プログレッシブ表示も可能となる
【0025】
又、本実施形態の液晶表示装置によれば、従来と同等の解像度を維持しようとした場合、表示画素2の総数を従来の半分にすることができる。このため、表示画素2の面積を大きく作ることが可能となり、表示画素2の性能を向上させることができる。
【0026】
又、本実施形態の液晶表示装置によれば、インターレース表示を行った場合でも、高解像化を実現することができる。インターレース表示の場合には、例えば、第一フィールドで第一の表示画素群の各表示画素2から光を出射させた後、第二のフィールドで第二の表示画素群の各表示画素2から光を出射させるといった駆動を液晶ドライバ4が行う。第二の表示画素群から光を出射させている期間では、第一の表示画素群から出射された光が残像として残っている。このため、第一フィールドで表示した画像の残像と第二フィールドで表示された画像とが混合されることとなり、高解像化を実現することができる。これにより、フィールド間に動きがあるような映像であっても、フィールド間の画像の混合により、輪郭の不自然さが改善されるという効果を得ることができる。
【0027】
尚、以上の説明ではモノクロ表示を前提としているが、カラー化を行う場合には、混合する表示画素2同士が同色となるストライプフィルタを用いたり、画像データの各画素データを3原色のデータに分割し、各色のデータに応じた光を面順次で出射させたり、液晶表示パネル10を3原色分用意した多板式を採用したりすれば良い。
【0028】
又、複屈折板3を、第一の表示画素群と第二の表示画素群のそれぞれの表示画素2の水平方向の配列ピッチの1/2だけ光を水平方向に分離するものとしても、高解像化という効果を得ることが可能である。
【0029】
又、本発明は、画像を表示するべき投影面(スクリーン)に光を反射させることが可能で、且つ、該光の反射方向を制御可能なミラーを同一面上に二次元状に配列したマイクロミラーデバイスを光出射手段として用いたプロジェクタに適用することも可能である。
【0030】
このようなマイクロミラーデバイスでは、各ミラーが鏡面をねじれ軸周りに所定角度傾斜させることができようになっており、鏡面下部に設けた電極を駆動することにより、各ミラーにONとOFFの2つの状態を持たせることができる。ミラーがONのときは、光源からの光をスクリーンに反射してスクリーンに光を投射する。ミラーがOFFのときは光源からの光を内部の吸収材に反射させてスクリーンには投射させない。又、ミラーのON/OFFを高速で行い、ONの時間比率で濃淡を表現するPWM方式を用いることで、階調表現も可能となる。このようにして、各ミラーに表示画素2と同じ機能を持たせることができる。
【0031】
本発明をプロジェクタに適用する場合には、マイクロミラーデバイスの各ミラーの配列を図2に示したような表示画素2の配列と同じとし、各ミラーがON状態のときの光の光路上に図1に示す複屈折板3を設けた構成とすれば良い。このような構成にすることで、スクリーン上には、ミラーの総数の2倍の画素が表示されることになり、高解像化を実現することができる。
【0032】
又、本発明は、蛍光塗料が二次元状に塗布されたブラウン管を光出射手段として用いたCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイに適用することも可能である。本発明をCRTディスプレイに適用する場合には、CRTディスプレイのブラウン管前面に塗布された蛍光塗料のパターンを、図2に示す表示画素2の配列パターンと同じにし、その蛍光塗料から発された光の光路上に複屈折板3を配置した構成とすれば良い。このような構成にすることで、観察者からは、蛍光塗料の総数の2倍の画素を認識することができるようになり、高解像化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態である液晶表示装置の概略構成を示す断面模式図
【図2】図1に示す液晶表示パネルを光出射側から見た平面模式図
【図3】図1に示す液晶表示装置に入力される画像データの構成例を示す図
【図4】図1に示す複屈折板を光出射側から見たときの平面模式図
【符号の説明】
【0034】
1 バックライト光源
2 表示画素
3 複屈折板
4 液晶ドライバ
10 液晶表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに応じた光を出射する光出射手段を有し、前記光出射手段から出射された光によって画像を表示する表示装置であって、
前記光出射手段が、同一面上の垂直方向とこれに直交する水平方向に格子状に配列された光出射部からなる第一の光出射群と、前記第一の光出射群と同一ピッチで格子状に配列された前記光出射部からなる第二の光出射群とから構成され、
前記第一の光出射群と前記第二の光出射群は、それぞれの前記光出射部の前記垂直方向の配列ピッチの1/2だけ前記垂直方向にずれて配置されており、且つ、それぞれの前記光出射部の前記水平方向の配列ピッチの1/2だけ前記水平方向にずれて配置されており、
前記光出射部から出射される光の光路上に設けられた複屈折板を備え、
前記複屈折板は、前記第一の光出射群と前記第二の光出射群のそれぞれの前記光出射部の前記垂直方向の配列ピッチの1/2だけ前記光を前記垂直方向に分離するもの、又は、前記第一の光出射群と前記第二の光出射群のそれぞれの前記光出射部の前記水平方向の配列ピッチの1/2だけ前記光を前記水平方向に分離するものである表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置であって、
前記光出射手段による光出射を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記第一の光出射群の各光出射部から光を出射させる期間と前記第二の光出射群の各光出射部から光を出射させる期間とをずらして、前記入力画像データに応じた光を出射させる制御を行う表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の表示装置であって、
前記入力画像データの画素データ配列が格子配列であった場合、前記入力画像データの画素データを、前記光出射部の配列に対応した配列となるように間引いて新たな入力画像データを生成する入力画像データ生成手段を備え、
前記入力画像データの画素データ配列が格子配列であった場合、前記光出射手段は、前記新たな入力画像データに応じた光を出射する表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の表示装置であって、
前記光出射部が、一対の電極によって挟まれた液晶層である表示装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項記載の表示装置であって、
前記光出射部が、画像を表示するべき投影面に光を反射させることが可能で、且つ、前記光を反射させる方向を制御可能なミラーであり、
前記複屈折板が、前記ミラーが前記投影面に光を反射する状態にあるときの該光の光路上に配置されている表示装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項記載の表示装置であって、
前記光出射部が、蛍光塗料が塗布されたブラウン管の表示画素である表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−162864(P2009−162864A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340153(P2007−340153)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】