説明

表示装置

【課題】信号の応答速度の低下を抑制しながら、配線の膜剥がれが発生するのを抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】この液晶表示装置(表示装置)100は、液晶14を注入する液晶注入口部30aを含む表示部1と、平面的に見て、液晶注入口部30aが設けられた辺に沿って最外周部に形成された配線32とを備え、配線32は、液晶注入口部30aが設けられた辺に沿って配置されたメイン配線部32aと、メイン配線部32aよりも外側にメイン配線部32aと平行に延びるように配置されるとともに、液晶注入口部30aに対応する部分には配置されないように構成されたサブ配線部32bとを含み、メイン配線部32aとサブ配線部32bとは、電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、液晶を注入する液晶注入口部を含む表示部を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶を注入する液晶注入口部を含む表示部を備えた表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、液晶の注入口が形成されたシール材と、シール材の注入口を封止するための封止剤とを含む液晶パネルを備えた液晶表示装置が開示されている。上記特許文献1に記載の液晶表示装置では、液晶パネルにおいて、シール材の注入口近傍に形成された配線部分には、封止剤を硬化させるための可視光線などが入射可能なように切り欠き部が形成されている。そして、切り欠き部分の配線の幅の大きさが小さくなることにより配線抵抗が増加して時定数が増加することを抑制するために、切り欠き部が形成されていない部分の配線の幅を、より大きく形成するように構成している。これにより、液晶パネルにおける時定数の増加に起因した信号の応答速度の低下を抑制することが可能なように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11―249157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の液晶表示装置では、信号の応答速度の低下を抑制するために切り欠き部以外における部分の配線の幅を大きくするように形成するため、配線の幅が大きくなる分、圧縮応力または引張り応力などが増加する場合がある。この場合、配線の膜剥がれが発生するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、信号の応答速度の低下を抑制しながら、配線の膜剥がれが発生するのを抑制することが可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による表示装置は、液晶を注入する液晶注入口部を含む表示部と、平面的に見て、表示部の液晶注入口部が設けられた辺に沿って最外周部に形成された配線とを備え、配線は、液晶注入口部が設けられた辺に沿って配置された主配線部と、主配線部よりも外側に主配線部と平行に延びるように配置されるとともに、液晶注入口部に対応する部分には配置されないように構成された副配線部とを含み、主配線部と副配線部とは、電気的に接続されている。
【0008】
この発明の一の局面による表示装置では、上記のように、表示部の液晶注入口部が設けられた辺に沿って最外周部に形成された配線を、互いに電気的に接続された主配線部と副配線部とから構成するとともに、副配線部が液晶注入口部に対応する部分には配置されないように構成することによって、配線を液晶注入口部近傍に設ける場合に、副配線部は液晶注入口部に対応する部分には配置されないので、配線に切り欠き部を設けることなく、封止剤を硬化させるための可視光線を照射する領域を設けることができる。また、主配線部と副配線部とをそれぞれ別々に設け、かつ、互いに電気的に接続するように構成することによって、切り欠き部を形成する場合と異なり、配線(主配線部および副配線部)の幅の大きさが部分的に変化することなく、主配線部および副配線部を、それぞれの配線部の幅を一定の大きさに維持した状態で接続して配線することができる。その結果、配線の幅を大きくすることにより発生する引張り応力および圧縮応力に起因して、配線の膜剥がれが発生するのを抑制することができる。また、配線を主配線部および副配線部により構成することによって、主配線部および副配線部の合計の幅は大きくなるので、その分、配線抵抗を低減することができる。これにより、配線の幅を小さくすることに起因して信号の応答速度が低減するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、主配線部の液晶注入口部が設けられた辺に沿った方向の長さは、副配線部の液晶注入口部が設けられた辺に沿った方向の長さよりも大きい。このように構成すれば、副配線部の液晶注入口部が設けられた辺に沿った方向に副配線部を配置する際、主配線部における液晶注入口部が設けられた辺に沿った方向の長さよりも小さい分、容易に、液晶注入口部に対応する部分に副配線部を配置しないように構成することができる。
【0010】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、配線は、主配線部と副配線部とを電気的に接続するための第1配線接続部をさらに含み、第1配線接続部は、主配線部および副配線部を構成する層とは異なる層により構成されている、このように構成すれば、主配線部および副配線部のそれぞれの幅を一定の大きさに維持した状態で異なる層からなる第1配線接続部により容易に主配線部と副配線部とを接続することができる。
【0011】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、配線は、主配線部と副配線部とを電気的に接続するための第1配線接続部を含み、第1配線接続部は、主配線部および副配線部を構成する層と一体的に形成されている。このように構成すれば、主配線部、副配線部および第1配線接続部が同一層により形成されるので、第1配線接続部を、主配線部および副配線部に対して異なる層により形成した場合に比べて、それぞれの接続部分におけるコンタクト抵抗を小さくすることができる。したがって、より低抵抗化を図ることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、第1配線接続部の幅は、主配線部および副配線部の幅よりも小さい。このように構成すれば、第1配線接続部に膜剥がれが発生するのを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、副配線部は、副配線部の少なくとも液晶注入口部と反対側の端部近傍で主配線部と電気的に接続されている。このように構成すれば、互いに平行に配置された主配線部と副配線部とを並列接続する際に、並列接続における副配線部側の一方の接続部分が副配線部の端部になる。ここで、電気抵抗における並列接続においては、合成抵抗は、各抵抗の抵抗値の逆数の総和の逆数であるので、並列接続された部分の合成抵抗は、並列接続されない場合の各抵抗に比べても小さくなる。すなわち、並列接続することにより結果的に抵抗値は小さくなる。また、抵抗値は、配線が長いほど大きくなることにより、並列接続した場合における合成抵抗の抵抗値は、配線が長いほど小さくなる。したがって、主配線部と副配線部とを並列接続する場合、並列接続された部分の長さが大きいほど、合成抵抗の抵抗値の低下分が大きくなるので、その分、全体の合成抵抗値は小さくなる。したがって、主配線部および副配線部を並列接続する場合に、少なくとも一方の接続部分が副配線部の端部になるように構成することにより、一方の接続部分が端部以外で接続される場合に比べて、並列接続される部分の長さが大きくなる。その結果、その分、合成抵抗が小さくなるので、全体を低抵抗化することができる。
【0014】
この場合において、好ましくは、副配線部は、副配線部の液晶注入部と反対側の端部近傍に加えて、副配線部の液晶注入口部側の端部近傍でも、主配線部と電気的に接続されている。このように構成すれば、副配線部の両端部が、それぞれ主配線部に接続されるので、副配線部の領域は、全て主配線部との並列接続になる。したがって、副配線部の一部分と主配線部とを並列接続する場合に比べて、合成抵抗をより小さくすることができる。したがって、配線をより低抵抗化することができる。
【0015】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、副配線部は、液晶注入口部を挟むように少なくとも一対配置されており、液晶注入口部に配置され、副配線部同士を接続するための第2配線接続部をさらに備え、第2配線接続部は、副配線部よりも小さい幅を有する。このように構成すれば、第2配線接続部により副配線部同士を接続する構成において、第2配線接続部は副配線部よりも幅が小さいので、液晶注入口部に対応する部分に第2配線接続部を配置したとしても、封止剤を硬化させるための可視光線を照射する領域を確実に確保することができる。
【0016】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、表示部に形成されるとともに、表示部から液晶が漏れるのを抑制するためのシール部材をさらに備え、シール部材は、平面的に見て、主配線部および副配線部に重なるように配置されている。このように構成すれば、シール部材が主配線部および副配線部の上方に形成されることにより、主配線部および副配線部はシール部材に上方側から押圧される構成となるので、配線に圧縮応力または引張り応力などが働いたとしても、配線部分に膜剥がれが起こるのを確実に抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、液晶に電圧を印加するための対向電極をさらに備え、主配線部および副配線部からなる配線は、少なくとも対向電極に信号を供給するための配線部である。このような対向電極に信号を供給する配線部では、応答速度の向上のために低時定数が要求されるので、上記のような、時定数の増加を抑制することが可能な主配線部および副配線部からなる本発明の配線を適用することによって、対向電極における応答速度を向上させることができる。
【0018】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、液晶注入口部から液晶が漏れるのを抑制するための封止剤をさらに備え、封止剤は、液晶注入口部の開口部を覆うとともに、液晶注入口部に対応する副配線部が配置されない部分に形成されている。このように構成すれば、液晶注入口部に対応する副配線部が配置されない部分にまで封止剤を注入することができるので、液晶注入口部を確実に封止することができる。また、液晶注入口部に対応する副配線部が配置されない部分にまで封止剤を注入したとしても、副配線部は配置されていないので、封止剤を硬化するための可視光線または紫外線を、確実に照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による液晶表示装置(表示装置)の構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1実施形態による液晶表示装置の表示画素部分における断面図である。図3および図4は、本発明の第1実施形態による液晶表示装置の表示部における配線を説明するための平面図である。図5は、本発明の第1実施形態による液晶表示装置の配線を説明するための断面図である。まず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による液晶表示装置100の構成について説明する。
【0021】
第1実施形態による液晶表示装置100は、図1に示すように、表示部1と駆動部2とから構成されている。
【0022】
表示部1には、基板10が設けられている。基板10上には、マトリクス状に配置された複数の表示画素11と、走査線駆動回路12と、データ線駆動回路13とが配置されている。また、基板10上において、複数の走査線12aおよび信号線13aが、互いに直交するように配置されている。ここで、複数の走査線12aは、走査線駆動回路12に接続されているとともに、複数の信号線13aは、データ線駆動回路13に接続されている。また、走査線12aと信号線13aとが直交する位置には、それぞれ、表示画素11が配置されている。なお、図1には、図面の簡略化のために2画素分の構成のみを示している。
【0023】
各々の表示画素11は、トランジスタ11a(TFT)と、画素電極11bと、画素電極11bに対向する位置に配置された対向電極11cと、補助容量11dとにより構成されている。また、表示画素11の画素電極11bと対向電極11cとの間には、液晶14が配置されている。また、トランジスタ11aのドレイン領域Dは、信号線13aに接続されているとともに、ソース領域Sは、画素電極11bと補助容量11dの一方の電極とに接続されている。また、トランジスタ11aのゲートGは走査線12aに接続されている。
【0024】
また、表示画素11が形成された領域の詳細な断面構造としては、図2に示すように、ガラス基板15上に、ポリシリコンからなる能動層16が形成されている。そして、能動層16には、チャネル領域16cを挟むように所定の間隔を隔てて、ソース領域16aおよびドレイン領域16bが形成されている。また、能動層16のチャネル領域16c上には、ゲート絶縁膜を構成するSiOからなる絶縁膜17を介して、Mo層からなるゲート電極18が形成されている。そして、ソース領域16aと、ドレイン領域16bと、チャネル領域16cと、絶縁膜17と、ゲート電極18とによって、トランジスタ11aが形成されている。
【0025】
また、トランジスタ11aを覆うように、SiOからなる層間絶縁膜19が形成されているとともに、層間絶縁膜19には、コンタクトホール19aおよび19bが形成されている。また、層間絶縁膜19のコンタクトホール19aを介してソース領域16aに電気的に接続するようにソース電極20aが形成されている。また、コンタクトホール19bを介してドレイン領域16bに接続するようにドレイン電極20bが形成されている。なお、ソース電極20aおよびドレイン電極20bは、たとえば、Alなどからなる。
【0026】
また、層間絶縁膜19上には、SiNからなる絶縁膜21を介して、アクリル樹脂からなるとともに、開口部22aが形成された平坦化膜22が設けられている。また、開口部22aは、ソース電極20aに対応する領域に形成されている。また、平坦化膜22上には、表示画素11毎に、透明電極からなる画素電極11bが形成されている。
【0027】
また、ガラス基板15と対向する位置には、ガラス基板(対向基板)23が設けられている。また、ガラス基板23の表面上の画素間に対応する領域には、画素間の光の漏れを防止するためのブラックマトリックス膜24が形成されている。また、ガラス基板23上には、赤(R)、緑(G)および青(B)の各色を呈するカラーフィルタ25が形成されている。そして、ブラックマトリックス膜24およびカラーフィルタ25の表面上には、透明電極からなる対向電極11cが形成されている。
【0028】
また、画素電極11bおよび対向電極11cの表面上には、それぞれ、配向膜(図示せず)が形成されている。そして、ガラス基板15側の配向膜とガラス基板23側の配向膜との間には、液晶14が充填されている。
【0029】
また、図1に示すように、駆動部2は、表示部1へ各種信号を供給する電源回路2aと、タイミング発生回路2bとを含んでいる。タイミング発生回路2bは、RGBの映像データの書き込みのタイミング信号、映像データの表示画素11への書き込みの順序の切り替えのタイミング信号、および、液晶14へ印加する電圧を制御するCOM(図示せず)に対する制御信号などを発生させる機能を有する。
【0030】
また、図3に示すように、平面的に見て、表示部1には、ガラス基板15および23の外周部分に沿うように形成されるとともに、画素電極11bおよび対向電極11c間の領域に挟まれるように形成されたシール部材30が設けられている。このシール部材30は、画素電極11bおよび対向電極11c間に充填された液晶14が漏れるのを抑制するために設けられている。また、表示部1のシール部材30の所定の部分には、液晶14を注入するための液晶注入口部30aが設けられている。また、液晶注入口部30aには、液晶注入口部30aの開口部30bを封止するための封止剤31が設けられている。この封止剤31は、液晶注入口部30aを覆うように設けられるとともに、液晶注入口部30aの開口部30bからシール部材30の内部側に浸入した状態で硬化される。なお、封止剤31は、たとえば、紫外線または可視光線を照射することにより硬化するように構成されている。
【0031】
ここで、第1実施形態では、図4に示すように、表示部1のシール部材30の下面側の領域(図2のガラス基板15側の領域)には、配線32が形成されている。配線32は、平面的に見て、表示部1の液晶注入口部30a(図3参照)が設けられた辺に沿って、最外周部に形成されている。また、配線32は、液晶注入口部30aが設けられた辺に沿って配置されたメイン配線部32aと、メイン配線部32aよりも外側にメイン配線部32aと平行に延びるように配置されるとともに、液晶注入口部30aに対応する部分には配置されないように形成されたサブ配線部32bとから構成されている。つまり、液晶注入口部30aが設けられた辺に沿った方向において、メイン配線部32aは、サブ配線部30bよりも長くなるように構成されている。また、メイン配線部32aとサブ配線部32bとの間隔(図4のL1)は、約5μm程度になるように形成されている。また、第1実施形態では、配線32は、Alからなるとともに、対向電極11c(図1参照)に信号を供給するための配線として構成されている。また、メイン配線部32aは、液晶注入口部30aが設けられた辺と直交する一対の辺に沿っても延びるように形成されている。なお、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bは、それぞれ、本発明の「主配線部」および「副配線部」の一例である。
【0032】
また、第1実施形態では、サブ配線部32bは、液晶注入口部30a側と液晶注入口部30a側の反対側とにおける両端部において、それぞれ、第1配線接続部33により、メイン配線部32aと電気的に接続されている。これにより、サブ配線部32bは、メイン配線部32aに対して並列接続された構成になる。ここで、電気抵抗における並列接続においては、合成抵抗は、各抵抗の抵抗値の逆数の総和の逆数であるので、並列接続された部分の合成抵抗は、並列接続されない場合の各抵抗に比べても小さくなる。すなわち、並列接続することにより結果的に抵抗値は小さくなる。また、抵抗値は、配線が長いほど大きくなることにより、並列接続した場合における合成抵抗の抵抗値は、配線が長いほど小さくなる。したがって、メイン配線部32aとサブ配線部32bとを並列接続する場合、並列接続された部分の長さが大きいほど、合成抵抗の抵抗値の低下分が大きくなるので、その分、全体の合成抵抗値は小さくなる。
【0033】
また、第1実施形態では、第1配線接続部33の幅W3は、メイン配線部32aの幅W1およびサブ配線部32bの幅W2よりも小さくなるように構成されている。なお、メイン配線部32aの幅W1、サブ配線部32bの幅W2および第1配線接続部33の幅W3は、約300μm以下に設定されている。
【0034】
ここで、配線32のメイン配線部32aとサブ配線部32bとの第1配線接続部33における接続部分について説明する。具体的には、図5に示すように、ガラス基板15上には、図2に示した絶縁膜17と同じSiOからなる絶縁膜17が形成されているとともに、絶縁膜17上に、Moからなる第1配線接続部33が形成されている。この第1配線接続部33は、図2に示したゲート電極18を構成する層(Mo層)と同一の層をパターニングすることにより形成される。第1配線接続部33には、図2に示した層間絶縁膜19と同一の層間絶縁膜19が形成されているとともに、その層間絶縁膜19には、コンタクトホール19cおよび19dが形成されている。そして、コンタクトホール19cを介して、メイン配線部32aが第1配線接続部33と接続されているとともに、コンタクトホール19dを介して、サブ配線部32bが第1配線接続部33と接続されている。これにより、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bは、第1配線接続部33を介して接続される。なお、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bは、図2に示したソース電極20aおよびドレイン電極20bを構成する層と同一の層をパターニングすることにより形成される。ここで、第1実施形態では、第1配線接続部33は、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bを構成する層に対して絶縁膜19を介して設けられた異なる層(Mo層)により構成されている。また、メイン配線部32a、サブ配線部32bおよび第1配線接続部33上には、SiNからなる絶縁膜21が形成されているとともに、絶縁膜21上に平坦化膜22が形成されている。
【0035】
また、第1実施形態では、図3および図5に示すように、平面的に見て、シール部材30は、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bに重なるように配置されている。
【0036】
次に、図1を参照して、本発明の第1実施形態による液晶表示装置の表示動作について説明する。
【0037】
まず、走査線駆動回路12に駆動信号が供給されることによって、走査線駆動回路12が駆動する。これにより、走査線12aに順次Hレベルの信号が供給されるとともに、走査線12aを介して、トランジスタ11aのゲートGにHレベルの信号が供給される。そして、ゲートGにHレベルの信号が供給されたトランジスタ11aから順にオン状態になる。そして、トランジスタ11aがオン状態になることにより、データ線駆動回路13からトランジスタ11aのドレインDおよびソースSを介して、画素電極11bに画素信号が供給されるとともに、それぞれ対応する表示画素11において、書き込みが行われる。このように、たとえば、上部の行から下部の行へ、行毎に順次表示画素11の書き込みが行われる。そして、全ての表示画素11への書き込みが完了した後に画像が表示される。
【0038】
第1実施形態では、上記のように、配線32を液晶注入口部30a近傍に設ける場合に、配線32のサブ配線部32bが液晶注入口部30aに対応する部分には配置されないように構成することによって、配線32に切り欠き部を設けることなく、封止剤31を硬化させるための可視光線を照射する領域を設けることができる。また、配線32を、メイン配線部32aとサブ配線部32bとをそれぞれ別々に設け、かつ、互いに電気的に接続することによって、切り欠き部を形成する場合と異なり、配線32(メイン配線部32aおよびサブ配線部32b)の幅の大きさが部分的に変化することなく、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bを、それぞれの配線部の幅を一定の大きさに維持した状態で接続して配線することができる。その結果、配線の幅を大きくすることにより発生する引張り応力および圧縮応力に起因して、配線の膜剥がれが発生するのを抑制することができる。また、配線32をメイン配線部32aおよびサブ配線部32bにより構成することによって、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bの合計の幅は大きくなるので、その分、配線抵抗を低減することができる。これにより、配線の幅を小さくすることに起因して信号の応答速度が低減するのを抑制することができる。
【0039】
また、第1実施形態では、メイン配線部32aの液晶注入口部30aが設けられた辺に沿った方向の長さが、サブ配線部32bの液晶注入口部30aが設けられた辺に沿った方向の長さよりも大きくなるように構成することによって、サブ配線部32bを配置する際、メイン配線部32aのサブ配線部32bと平行に形成された部分における長さよりも小さい分、容易に、液晶注入口部30aに対応する部分にサブ配線部32bを配置しないように構成することができる。
【0040】
また、第1実施形態では、配線32を、メイン配線部32aとサブ配線部32bと第1配線接続部33とから構成するとともに、第1配線接続部33を、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bを構成する層とは異なる層により構成することによって、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bのそれぞれの幅を一定の大きさに維持した状態で、第1配線接続部33により容易にメイン配線部32aとサブ配線部32bとを接続することができる。
【0041】
また、第1実施形態では、サブ配線部32bをメイン配線部32aに対して並列接続する際に、サブ配線部32bの両端部近傍で、それぞれ、メイン配線部32aと電気的に接続することによって、メイン配線部32aに対してサブ配線部32bの両端部以外の部分で接続する場合に比べて、並列接続された部分がより長くなる。したがって、合成抵抗をより小さくすることができる。その結果、配線32をより低抵抗化することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、シール部材30を、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bに、上方側から重なるように形成することによって、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bはシール部材30に上方側から押圧される構成となるので、配線に圧縮応力または引張り応力などが働いたとしても、配線部分に膜剥がれが起こるのを確実に抑制することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、配線32を、対向電極11cに信号を供給するための配線部として構成することによって、対向電極11cに信号を供給するための配線部が低時定数により構成されるので、対向電極11cにおける応答速度を向上させることができる。
【0044】
また、第1実施形態では、封止剤31を、液晶注入口部30aの開口部30bを覆うとともに、液晶注入口部30aに対応するサブ配線部32bが配置されない部分に形成することによって、液晶注入口部30aに対応するサブ配線部32bが配置されない部分にまで封止剤31を注入することができるので、液晶注入口部30aを確実に封止することができる。また、液晶注入口部30aに対応するサブ配線部32bが配置されない部分にまで封止剤31を注入したとしても、サブ配線部32bは配置されていないので、封止剤31を硬化するための可視光線または紫外線を、確実に照射することができる。
【0045】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態による液晶表示装置の表示部における配線を説明するための平面図である。図7は、本発明の第2実施形態による液晶表示装置の表示部における配線を説明するための断面図である。この第2実施形態による液晶表示装置200では、第1実施形態とは異なり、図6に示すように、第1配線接続部43を、メイン配線部42aおよびサブ配線部42bを構成する層と一体的に形成する例について説明する。
【0046】
具体的には、図7に示すように、メイン配線部42a、サブ配線部42bおよび第1配線接続部43は、Alからなる同一層により一体的に形成されている。また、図6に示すように、第1配線接続部43の幅W4は、メイン配線部42aの幅W1およびサブ配線部42bの幅W2よりも小さくなるように構成されている。なお、メイン配線部42aおよびサブ配線部42bにより、配線42が構成されている。
【0047】
なお、第2実施形態におけるその他の構成および動作は、第1実施形態と同様である。
【0048】
第2実施形態では、上記のように、配線42を、メイン配線部42aとサブ配線部42bとを電気的に接続するための第1配線接続部43を一体的に含むように構成することによって、メイン配線部42a、サブ配線部42bおよび第1配線接続部43が同一層により形成されるので、第1配線接続部43を、メイン配線部42aおよびサブ配線部42bとは異なる層により形成する場合に比べて、それぞれの接続部分におけるコンタクト抵抗を小さくすることができる。したがって、より低抵抗化を図ることができる。
【0049】
また、第2実施形態では、第1配線接続部43の幅を、メイン配線部42aおよびサブ配線部42bの幅よりも小さくなるように構成することによって、第1配線接続部43に膜剥がれが発生するのを抑制することができる。
【0050】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態による液晶表示装置の表示部における配線を説明するための平面図である。本発明における第3実施形態の液晶表示装置300では、上記第1実施形態とは異なり、液晶注入口部30aを挟むように配置された一対のサブ配線部32b同士を接続する例について説明する。
【0051】
この第3実施形態では、図8に示すように、液晶注入口部30aを挟むように配置された一対のサブ配線部32b同士を接続するための第2配線接続部53が設けられている。第2配線接続部53の幅W5は、サブ配線部32bの幅W2よりも小さくなるように構成されている。また、第2配線接続部53は、メイン配線部32aおよびサブ配線部32bとは異なる層により構成されており、たとえば、第1実施形態の第1配線接続部33と同様のMo層により形成されている。
【0052】
なお、第3実施形態におけるその他の構成および動作は、第1実施形態と同様である。
【0053】
第3実施形態では、上記のように、液晶注入口部30aを挟むように配置されたサブ配線部32b同士を接続するための第2配線接続部53を設けるとともに、第2配線接続部53の幅W5が、サブ配線部32bの幅W2よりも小さくなるように構成することによって、液晶注入口部30aに対応する部分に第2配線接続部53を配置したとしても、封止剤31を硬化させるための可視光線を照射する領域を確実に確保することができる。
【0054】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態による液晶表示装置の表示部における配線を説明するための平面図である。本発明の第4実施形態では、上記第1実施形態と異なり、二対のサブ配線部を設けた例について説明する。
【0055】
第4実施形態では、図9に示すように、一対のサブ配線部62bのそれぞれの両端部において、第1配線接続部63によりメイン配線部62aと接続されているとともに、サブ配線部62bの外側に、サブ配線部62bと平行に延びるように一対のサブ配線部62cが形成されている。そして、一対のサブ配線部62cのそれぞれの両端部において、第1配線接続部63によりサブ配線部62bと接続されている。つまり、メイン配線部62aに対して、サブ配線部62bおよびサブ配線部62cと、第1配線接続部33を介して、それぞれ並列接続されている。ここで、サブ配線部62bおよびサブ配線部62cは、それぞれ、両端部でメイン配線部62aと並列接続されているので、サブ配線部62bおよびサブ配線部62cを、両端部以外の部分でメイン配線部62aと並列接続する場合よりも、低抵抗化することができる。なお、第1配線接続部63は、メイン配線部62a、サブ配線部62bおよびサブ配線部62cとは異なる層により構成されており、たとえば、第1実施形態の第1配線接続部33と同様のMo層により形成されている。
【0056】
なお、第4実施形態におけるその他の構成および動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0057】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0058】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、1つのメイン配線部に対して、一対からなるサブ配線部を接続する例を示したが、本発明はこれに限らず、一つのメイン配線部に対して、一つのサブ配線部のみを接続してもよい。
【0059】
また、上記第1〜第4実施形態では、1つのメイン配線部に複数のサブ配線部を接続する例を示したが、本発明はこれに限らず、メイン配線部が複数あってもよい。この場合でも、表示部の最外周部にはサブ配線部が形成される。
【0060】
また、上記第3実施形態では、2本の第2配線接続部によりサブ配線部同士を接続する例を示したが、本発明はこれに限らず、1本の第2配線接続部により接続してもよい。また、2本以上の複数本の第2配線接続部により接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の表示画素部の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の配線を説明するための平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の配線を説明するための平面図である。
【図5】図4の500−500線に沿った断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態による液晶表示装置の配線を説明するための平面図である。
【図7】図6の600−600線に沿った断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による液晶表示装置の配線を説明するための平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による液晶表示装置の配線を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 表示部
11c 対向電極
14 液晶
30 シール部材
30a 液晶注入口部
31 封止剤
32、42、62 配線
32a、42a、62a メイン配線部(主配線部)
32b、42b、62b サブ配線部(副配線部)
33、43、63 第1配線接続部
53 第2配線接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶を注入する液晶注入口部を含む表示部と、
平面的に見て、前記表示部の液晶注入口部が設けられた辺に沿って最外周部に形成された配線とを備え、
前記配線は、前記液晶注入口部が設けられた辺に沿って配置された主配線部と、前記主配線部よりも外側に前記主配線部と平行に延びるように配置されるとともに、前記液晶注入口部に対応する部分には配置されないように構成された副配線部とを含み、
前記主配線部と前記副配線部とは、電気的に接続されている、表示装置。
【請求項2】
前記主配線部の前記液晶注入口部が設けられた辺に沿った方向の長さは、前記副配線部の前記液晶注入口部が設けられた辺に沿った方向の長さよりも大きい、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記配線は、前記主配線部と前記副配線部とを電気的に接続するための第1配線接続部をさらに含み、
前記第1配線接続部は、前記主配線部および前記副配線部を構成する層とは異なる層により構成されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記配線は、前記主配線部と前記副配線部とを電気的に接続するための第1配線接続部をさらに含み、
前記第1配線接続部は、前記主配線部および前記副配線部を構成する層と一体的に形成されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1配線接続部の幅は、前記主配線部および前記副配線部の幅よりも小さい、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記副配線部は、前記副配線部の少なくとも前記液晶注入口部と反対側の端部近傍で前記主配線部と電気的に接続されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記副配線部は、前記副配線部の前記液晶注入部と反対側の端部近傍に加えて、前記副配線部の前記液晶注入口部側の端部近傍でも、前記主配線部と電気的に接続されている、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記副配線部は、前記液晶注入口部を挟むように少なくとも一対配置されており、
前記液晶注入口部に配置され、前記副配線部同士を接続するための第2配線接続部をさらに備え、
前記第2配線接続部は、前記副配線部よりも小さい幅を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示部に形成されるとともに、前記表示部から前記液晶が漏れるのを抑制するためのシール部材をさらに備え、
前記シール部材は、平面的に見て、前記主配線部および前記副配線部に重なるように配置されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記液晶に電圧を印加するための対向電極をさらに備え、
前記主配線部および前記副配線部からなる前記配線は、少なくとも前記対向電極に信号を供給するための配線部である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記液晶注入口部から前記液晶が漏れるのを抑制するための封止剤をさらに備え、
前記封止剤は、前記液晶注入口部の開口部を覆うとともに、前記液晶注入口部に対応する前記副配線部が配置されない部分に配置されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−69741(P2009−69741A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240590(P2007−240590)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】