表示装置
【課題】透過型ディスプレイと他のディスプレイの重なり具合に応じた表示を可能にする。
【解決手段】表示装置は、第1ユニット110と第2ユニット120とを備え、これらは相対的に移動可能である。また、第1ユニット110は、第1ディスプレイ111を備え、第2ユニット120は、第2ディスプレイ121を備える。第2ディスプレイ121は、透過型ディスプレイであり、これを介してその奥にあるもの(例えば、第1ディスプレイ111)を視認可能である。第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121は、各々が重なっている形態(第1形態)のときと重なっていない形態(第2形態)のときとで、異なる画像を表示する。さらに、第1ディスプレイ111又は第2ディスプレイ121は、第2ユニット120が移動する過渡的な期間に、第1形態及び第2形態のいずれとも異なる態様で画像を表示する。
【解決手段】表示装置は、第1ユニット110と第2ユニット120とを備え、これらは相対的に移動可能である。また、第1ユニット110は、第1ディスプレイ111を備え、第2ユニット120は、第2ディスプレイ121を備える。第2ディスプレイ121は、透過型ディスプレイであり、これを介してその奥にあるもの(例えば、第1ディスプレイ111)を視認可能である。第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121は、各々が重なっている形態(第1形態)のときと重なっていない形態(第2形態)のときとで、異なる画像を表示する。さらに、第1ディスプレイ111又は第2ディスプレイ121は、第2ユニット120が移動する過渡的な期間に、第1形態及び第2形態のいずれとも異なる態様で画像を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型ディスプレイを用いた情報表示に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型ディスプレイと呼ばれる、向こう側が透けて見えるディスプレイが知られている。かかるディスプレイは、透過ディスプレイ、透明ディスプレイなどとも呼ばれている。特許文献1には、透過型ディスプレイをフリップ部材に設け、この透過型ディスプレイに表示させる画像をフリップ部材の姿勢に応じて修正することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−504144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、透過型ディスプレイと他のディスプレイの重なり具合に応じた表示を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表示装置は、画像を表示する第1ディスプレイを有する第1ユニットと、画像を表示する透過型の第2ディスプレイを有する第2ユニットと、前記第1ユニット及び前記第2ユニットの位置をスライドによって相対的に移動させ、当該表示装置の形態を変化させる移動機構とを備え、前記移動機構が、当該表示装置の形態を、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの少なくとも一部の領域が重なる第1形態と、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの重なる領域が前記第1形態よりも少ない第2形態とに変化させる構成を有する。
【0006】
好ましい態様において、前記表示装置は、前記第1形態において、重ねられたときに組合せ画像を構成する部分画像を前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイにそれぞれ表示させ、前記第2形態において、前記第1形態における態様と異なる態様で前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに画像を表示させる表示制御部を備える。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記第1形態において、第1画像を前記第1ディスプレイに表示させ、当該第1形態から前記第2形態に変化する場合に、前記第1画像に関連する第2画像を前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部を備える。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記第1形態から前記第2形態に変化する期間に、前記第2ユニットの移動に応じて変化する画像を前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部を備える。
他の好ましい態様において、前記移動機構が、当該表示装置の形態を、前記第2ディスプレイの位置を前記第1形態における位置から前記第2形態と異なる方向にスライドさせた第3形態に変化させる。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記第2ディスプレイの状態を、光を透過させる第1状態と、前記第1状態よりも光の透過を妨げる第2状態とに切り替えるための切替手段を備える。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記形態の変化に応じて異なる動作で処理を実行する実行部を備える。
他の好ましい態様において、前記実行部が、実行するアプリケーションを前記形態の変化に応じて切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透過型ディスプレイと他のディスプレイの重なり具合に応じた表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】表示装置の外観を示す三面図(基本形態)
【図2】表示装置の縦スライド形態を示す正面図
【図3】表示装置の横スライド形態を示す正面図
【図4】表示装置移動機構を示す模式図
【図5】表示装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図6】制御部の機能的構成を示す機能ブロック図
【図7】表示装置の基本形態における表示例を示す図
【図8】表示装置の基本形態における表示例を示す図
【図9】表示装置が基本形態から横スライド形態に遷移するときの表示例を示す図
【図10】表示装置の横スライド形態における表示例を示す図
【図11】ランドマークの位置、ユーザの顔の位置及びランドマーク情報の表示位置の三者の関係を概略的に示す図
【図12】表示装置の外観を示す正面図
【図13】回転によりスライドする移動機構を示す図
【図14】表示装置の移動機構を示す正面図
【図15】表示装置の移動機構を示す側面図
【図16】切替手段を例示する図
【図17】切替手段を例示する図
【図18】移動機構の他の例を示す側面図
【図19】電子書籍等の文書を表示する表示例を示す図
【図20】表示装置の横スライド形態における表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である表示装置の外観を示す三面図である。本実施形態の表示装置10は、携帯電話機、スマートフォン等の無線通信端末である。表示装置10は、図1に示すように、第1ユニット110と、第2ユニット120とを備える。第2ユニット120は、第1ユニット110と重なるようになっており、画像を表示する第2ディスプレイ121を有している。第1ユニット110は、後述する第1ディスプレイ111を、この第2ディスプレイ121と重なるように有している。また、第2ユニット120は、画像を表示しない領域を第2ディスプレイ121の周囲に有している。以下においては、ディスプレイの周囲のこのような領域のことを「額縁領域」という。
【0010】
以下においては、説明の便宜上、第2ユニット120の第2ディスプレイ121が設けられている側の面を表示装置10の「正面」といい、後述する第1ユニット110の第1ディスプレイ111が設けられていない側の面を表示装置10の「背面」という。また、以下においては、図1中の矢印a1の方向のことを上とし、矢印a2の方向のことを左とする。さらに、上方向とその反対方向(下方向)とを総称して「縦方向」といい、左方向とその反対方向(右方向)とを総称して「横方向」という。
【0011】
第2ディスプレイ121は、透過型ディスプレイであり、光を背面側から正面側(及び正面側から背面側)に透過する。なお、ここでいう「透過」は、100%ないしそれに近い透過率で光を通過させることであればより望ましいが、ユーザが画像を認識できる程度の透過率で光を通過させれば足りるものである。第2ディスプレイ121は、周知の透過型ディスプレイのいずれであってもよいが、例えば、自発光型の有機EL(electroluminescence)素子を用いたディスプレイである。また、第2ディスプレイ121は、表示素子に液晶を用いる場合のように、表示素子自体が発光しない場合にあっては、額縁領域にエッジライト方式のバックライトを有していてもよい。
【0012】
第1ユニット110及び第2ユニット120は、その連結部分が移動機構を構成し、一方を他方に対して相対的に移動させることが可能である。表示装置10は、かかる移動によってその形態を変化させる。第2ユニット120は、第1ユニット110に対して縦方向及び横方向に移動する。以下においては、図1に示す形態、すなわち第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なっている表示装置10の形態のことを、「基本形態」という。基本形態は、本発明に係る第1形態の一例に相当する。
【0013】
図2は、第2ユニット120を基本形態から上方向にスライドさせた場合の表示装置10の形態を示す正面図である。また、図3は、第2ユニット120を基本形態から左方向にスライドさせた場合の表示装置10の形態を示す正面図である。表示装置10は、第2ユニット120が基本形態から移動した形態になることによって、第1ディスプレイ111が露出した状態(すなわち、第2ユニット120に覆われていない状態)になる。以下においては、図2に示す状態のことを「縦スライド形態」といい、図3に示す状態のことを「横スライド形態」という。縦スライド形態及び横スライド形態は、本発明に係る第2形態(又は第3形態)の一例に相当する。なお、ここにおいて、スライドとは、ディスプレイの面に沿って移動することをいうものである。
【0014】
第1ディスプレイ111は、本実施形態においては、第2ディスプレ121イと同面積の表示領域(画像を表示する領域)を有するものとする。第1ディスプレイ111は、基本形態において正面(ディスプレイの表面に対して垂直な方向)から視認したとき、第2ディスプレイ121とちょうど重なる位置にある。なお、第1ディスプレイ111は、透過型ディスプレイである必要はなく、周知のさまざまなディスプレイを用い得る。
【0015】
基本形態において、第1ディスプレイ111は、これを正面側から観察するユーザにより、第2ディスプレイ121を介して視認される。一方、縦スライド形態及び横スライド形態において、第1ディスプレイ111は、第2ディスプレイ121を介さずにユーザに視認される。よって、表示装置10は、基本形態から縦スライド形態又は横スライド形態に形態を変化させることで、表示領域の面積を2倍に増やすことが可能である。これにより、表示装置10は、縦スライド形態又は横スライド形態において、電子書籍等の文書(いわゆるページ物)を見開きの状態で2ページ同時に表示したり、静止画や動画を基本形態よりも拡大して大画面で表示したりすることが可能になる。なお、表示装置10は、画像を拡大して表示するとき、第2ユニット120のスライド量に応じて画像を徐々に(縦方向と横方向の比率を維持したまま)拡大してもよい。
【0016】
また、表示装置10は、基本形態から縦スライド形態又は横スライド形態に変化したとき、基本形態で表示されていた画像を拡大して表示するだけでなく、基本形態で表示されていた画像のレイアウトをも変更するようにしてもよい。ここにおいて、レイアウトの変更とは、文字や画像を縦長の表示に適した配置から横長の表示に適した配置に変更するものや、1行当たりの文字数を変更するものなどをいう。なお、かかる変更は、基本形態から縦スライド形態又は横スライド形態に変化した場合に限らず、その逆の変化をする場合にも行われ得る。
【0017】
図4は、表示装置10の移動機構を示す模式図である。第2ユニット120は、レール122、123、124及び125を有する。レール122、123、124及び125は、第2ユニット120の移動を案内するための溝である。また、第1ユニット110は、突起部112、113及び114を有する。突起部112、114は、第2ユニット120をレール122、123に沿って横方向にスライドさせる。なお、第2ユニット120が基本形態から左方向にスライドするとき、突起部113は、第1ユニット110の内部に押し込まれ、レール122、125から外れるように構成されている。また、突起部113は、第2ユニット120が横スライド形態から基本形態に戻るときには、突起してレール122、125に再び嵌るように構成されている。
【0018】
また、突起部112、113は、第2ユニット120をレール124、125に沿って縦方向にスライドさせる。なお、第2ユニット120が基本形態から上方向にスライドするとき、突起部114は、第1ユニット110の内部に押し込まれ、レール123、124から外れるように構成されている。また、突起部114は、第2ユニット120が縦スライド形態から基本形態に戻るときには、突起してレール123、124に再び嵌るように構成されている。
【0019】
図5は、表示装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。表示装置10は、図5に示すように、制御部100と、記憶部200と、表示部300と、操作部400と、通信部500と、音声入出力部600と、第1検知部700と、第2検知部800と、カメラ部900とを備える。
【0020】
制御部100は、表示装置10の各部の動作を制御する手段である。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置や主記憶装置に相当する記憶手段(メインメモリ)を備え、プログラムを実行することによって制御を行う。制御部100が実行するプログラムには、基本プログラムとアプリケーションプログラム(以下単に「アプリケーション」という。)とがあるものとする。記憶部200は、制御部100が用いるデータを記憶する手段である。記憶部200は、補助記憶装置に相当する記憶手段(ハードディスク、フラッシュメモリ等)を備えるが、いわゆるメモリカードのような着脱可能な記憶手段(リムーバブルメディア)を含んでもよい。
【0021】
表示部300は、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121に画像を表示させる手段である。表示部300は、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121と、これらのディスプレイを駆動するための駆動回路などを備える。操作部400は、ユーザの操作を受け付けるための入力手段を備える。操作部400は、入力手段として、第1ディスプレイ111や第2ディスプレイ121の正面側に設けられるタッチスクリーンや、額縁領域や正面以外の面にボタン(電源ボタン等)を有することが可能である。操作部400は、ユーザの操作を表す操作情報を制御部100に供給する。通信部500は、外部装置を無線通信を行うための手段である。ここでいう外部装置は、無線通信ネットワークを構成する基地局であってもよいし、表示装置10と通信する他の無線通信端末であってもよい。つまり、通信部500は、赤外線通信等の近距離無線通信を行うための手段を含み得る。音声入出力部600は、音声の入力及び出力を行うための手段であり、スピーカやマイクロホンを備える。
【0022】
第1検知部700は、表示装置10の形態、すなわち第1ユニット110と第2ユニット120の相対的な位置関係を検知するための手段である。第1検知部700は、例えば、突起部113又は114が押し込まれ、又は突起したことを検知するセンサや、突起部のレール内における位置を検知するセンサを含み得る。第1検知部700は、望ましくは、基本形態、縦スライド形態及び横スライド形態の3形態だけでなく、基本形態から別の形態(あるいはその逆)へと遷移する過渡的な状態をも検知できるように構成される。この場合、第1検知部700は、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121の重なり具合(すなわち、重なり合う面積)を検知することが可能である。第1検知部700は、これらの検知結果を表す形態情報を制御部100に供給する。
【0023】
第2検知部800は、表示装置10の位置と姿勢を検知するための手段である。ここにおいて、表示装置10の姿勢とは、表示装置10の向きのことをいい、特に、第2ディスプレイ121の背面側が向いている方向のことである。第2検知部800は、位置情報によって表示装置10の位置を検知する。位置情報は、例えば、緯度や経度によって位置を表す情報であり、GPS(Global Positioning System)によって取得可能である。なお、位置情報は、表示装置10の位置を特定可能なものであればよく、GPSによって取得されるものに限定されない。また、第2検知部800は、地磁気や加速度を検知するセンサによって表示装置10の姿勢を検知する。第2検知部800は、表示装置10の位置を表す位置情報と姿勢を表す姿勢情報とを制御部100に供給する。
【0024】
カメラ部900は、表示装置10のユーザを撮影する手段であり、ユーザの顔(特に目)の位置を認識するための手段である。カメラ部900は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を第2ユニット120(又は第1ユニット110)の額縁領域に備える。また、カメラ部900は、被写体(すなわちユーザの顔)までの距離を計測する測距機能を有していることが望ましい。カメラ部900は、被写体の距離を表す距離情報や撮影した画像データを制御部100に供給する。
【0025】
図6は、制御部100の機能的構成の一部(特に、画像の表示に関するもの)を示す機能ブロック図である。制御部100は、基本プログラムを実行することにより、図6に示すモード判定部101、表示制御部102、アプリケーション実行部103及びユーザ認識部104に相当する各機能を実現する。
【0026】
モード判定部101は、第1検知部700による検知結果(すなわち形態情報)を用いて、表示装置10の形態に応じたモードを判定する。ここでいうモードには、基本形態に対応する「基本モード」と、縦スライド形態に対応する「縦モード」と、横スライド形態に対応する「横モード」とが少なくとも含まれる。また、モード判定部101は、基本モードから縦モード又は横モードに遷移する過渡的な状態を別のモード(以下「過渡モード」という。)として判定してもよい。
【0027】
表示制御部102は、表示部300による第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121の表示を制御する。表示制御部102は、操作部400により供給される操作情報や、モード判定部101により判定されたモードに従い、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121のそれぞれに応じた画像が表示されるように表示部300を制御する。
【0028】
アプリケーション実行部103は、モード判定部101による判定結果を用いて、表示装置10の形態(すなわちモード)に応じた処理を実行する。アプリケーション実行部103は、例えば、特定のモードにおいてのみ実行可能なアプリケーションがある場合には、他のモードにおいては当該アプリケーションを実行しないように動作を制限したり、あるモードから他のモードへとモードが遷移する場合には、実行するアプリケーションを切り替えたりする。また、アプリケーション実行部103は、複数のモードで同じアプリケーションを実行する場合であっても、処理の動作をそれぞれのモードに応じて異ならるようにしてもよい。
【0029】
ユーザ認識部104は、カメラ部900による撮影結果を用いて、ユーザの顔の位置を認識する。ユーザ認識部104は、カメラ部900により得られた画像データと距離情報とに基づき、ユーザの顔が第2ディスプレイ121からどれだけ離れているかを認識し、さらに、基準の方向(例えば、第2ディスプレイ121からみて真正面の方向)からどれだけずれた方向から第2ディスプレイ121を視認しているかを認識する。なお、ユーザ認識部104は、ユーザの認識を必要とする場合に機能すればよく、それ以外の場合には機能していなくてもよい。ユーザ認識部104による認識結果は、アプリケーション実行部103が所定のアプリケーションを実行するときに用いられる。
【0030】
表示装置10の構成は、以上のとおりである。表示装置10は、かかる構成のもと、ユーザの操作や自装置のモードに応じた態様で画像を表示する。表示装置10は、例えば、基本モードである場合には、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なっていることを利用して、画像の表示に立体感や娯楽性を与えたりする。また、表示装置10は、縦モードや横モードである場合には、表示領域の面積が基本モードから増加することを利用して、第1ディスプレイ111又は第2ディスプレイ121の一方を補助的なディスプレイとして用いられるようにしたり、あるいは、第2ディスプレイ121を介して向こう側が透けて見えることを利用して、拡張現実(Augmented Reality。以下「AR」ともいう。)的に情報を提示したりする。
【0031】
図7は、表示装置10の基本形態における表示例を示す図である。図7は、説明の便宜上、第1ユニット110及び第2ユニット120が重なっていない状態での画像と、第1ユニット110及び第2ユニット120が重なっている状態での画像とを併記したものである。図7に示す表示例は、ある仮想空間にキャラクタやアイコンを表示させるものである。この例において、第1ディスプレイ111は、背景に相当する仮想空間の画像を表示しており、第2ディスプレイ121は、キャラクタやアイコンの画像を仮想空間の前景として表示している。このようにすることで、表示装置10は、立体感(奥行き感)のある画像表示を実現することができる。
【0032】
このとき、制御部100は、第1ディスプレイ111には静止画を表示し、第2ディスプレイ121には動画を表示する、というように、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とに表示する画像をその性質に応じて振り分けてもよい。例えば、動画と静止画とで振り分けを行えば、一方のディスプレイを書き換えることなく、立体感のある動画を表示することが可能となる。
【0033】
図8は、表示装置10の基本形態における他の表示例を示す図である。この例において、第2ディスプレイ121は、「A」という文字を表示し、第1ディスプレイ111は、「A」という文字の影に相当する画像を表示する。このように、表示装置10は、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なることによって、いわゆる影付きの文字を表示することができる。この例において、「A」という文字とその影の画像とは、それぞれ、本発明に係る部分画像に相当し、影付きの文字の画像は、本発明に係る組合せ画像に相当する。
【0034】
なお、図7や図8の例において、表示装置10は、基本形態から他の形態に変化する場合には、画像の振り分けを行わずに、それぞれのディスプレイに表示されていた画像をいずれか一方のディスプレイにまとめて表示してもよい。あるいは、表示装置10は、図8の例にあっては、影の画像を表示せずに、文字だけを表示してもよい。
また、部分画像は、重ねられたときに組合せ画像を構成するものであれば、どのような画像であってもよい。例えば、部分画像は、ある文字、記号、文字列などを適当な位置で分割した画像の各々であってもよいし、文字列とその文字列に対する装飾(下線、着色など)とであってもよい。
【0035】
図9は、表示装置10が基本形態から横スライド形態に遷移するときの表示例を示す図である。この例において、表示装置10は、図9(a)に示す基本形態においては、所定の画面(例えば、Webページ)を第1ディスプレイ111に表示しているものとする。また、表示装置10は、基本形態から横スライド形態へと変化する過渡的な期間(図9(b)参照)に、その表示態様が第2ユニット120の移動に応じて変化する画像を第1ディスプレイ111に表示する。かかる画像は、第1ディスプレイ111の第2ディスプレイ121と重なっている領域内に表示されるものであり、当該領域が狭くなるに従って押し潰されるようにアニメーション表示される。表示装置10は、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なる領域の面積が所定の閾値以下になると、基本形態において第1ディスプレイ111に表示されていた画像を第2ディスプレイ121に表示させる。
【0036】
このように動作した結果、表示装置10は、図9(a)に示す基本形態においては第1ディスプレイ111に表示していた所定の画面を、図9(c)に示す横スライド形態においては第2ディスプレイ121に表示するようになる。また、表示装置10は、図9(c)に示す横スライド形態においては、第1ディスプレイ111に当該所定の画面と異なる画面(例えば、テキストエディタの入力画面や、電子メールの作成画面など)を表示する。このようにすれば、ユーザは、所定の画面を視認しながら文字の入力を行うことが可能になる。なお、ここでいう「所定の画面」は、本発明に係る第1画像及び第2画像の一例である。
【0037】
本発明に係る第1画像及び第2画像は、それぞれが関連し、何らかの対応関係を有する画像である。図9の例においては、第1画像と第2画像とは、実質的に同一の画像であり、その内容に相違はない。ただし、第2画像は、例えば、第1画像の一部のみを抽出した画像であってもよいし、第1画像に代替する画像であってもよい。例えば、第1の画像があるWebページである場合であれば、第2の画像は、当該WebページのURL(Uniform Resource Locator)であってもよい。
【0038】
なお、図9に示す表示例は、上述した説明とは反対の表示態様、すなわち、基本形態において第2ディスプレイ121に所定の画面を表示し、過渡的な期間において第2ディスプレイ121に画像を表示し、横スライド形態において第1ディスプレイ111に所定の画面を表示する態様としてもよい。
また、図9に示す表示例は、過渡的な期間を経ることなく、図9(a)に示す表示態様から図9(c)に示す表示態様に直接遷移するものであってもよい。
【0039】
図10は、表示装置10の横スライド形態における他の表示例を示す図である。図10の例は、説明の便宜上、第2ディスプレイ121が第1ディスプレイ111に対して上方向に位置するようにユーザが表示装置10を保持するものとする。このとき、第2ディスプレイ121は、ユーザが向けた方向の風景が透けて見えるようになっている。かかる風景には、建築物や地形(山など)等のランドマークが含まれているものとする。表示装置10は、自装置の位置と姿勢とを検知することにより、ユーザが向けている方向がどのような風景であるのかを認識し、第2ディスプレイ121を介して見えているランドマークを表すランドマーク情報を取得する。ここにおいて、ランドマーク情報とは、ランドマークに関する情報を位置情報と対応付けたデータをいう。表示装置10は、ランドマーク情報をあらかじめ記憶部200に記憶しているか、あるいは、通信部500を介して外部装置から取得する。
【0040】
このとき、第2ディスプレイ121は、風景の視認を必要以上に妨げないように、ランドマーク情報の一部のみを表示する。図10の例において、第2ディスプレイ121は、建築物や地形の名称(ここでは、「A美術館」と「Bタワー」)のみを表示している。一方、第1ディスプレイ111は、必要に応じて、位置情報及び姿勢情報に基づいて取得したランドマーク情報のうちの第2ディスプレイ121に表示されていないものを表示することができる。図10の例において、第1ディスプレイ111は、「A美術館」に関連する情報(例えば、開館時間、休館日、紹介文など)と、「A美術館」と「Bタワー」の地図上における位置とを表示している。この例において、ランドマーク情報は、本発明に係る第1画像及び第2画像の一例であるとみなすことが可能である。なお、第1ディスプレイ111は、例えば、「A美術館」や「Bタワー」の周辺にある他の施設(例えば、商店や飲食店など)を案内する情報を表示してもよい。また、表示装置10は、位置情報及び姿勢情報を繰り返し(例えば定期的に)取得し、位置や姿勢の変化に応じて表示する画像を切り替えてもよい。
【0041】
なお、図10に例示する表示を行うときには、ユーザがあらかじめ決められた持ち方で表示装置10を保持することが望ましい。ここにおいて、あらかじめ決められた持ち方とは、例えば、第2ディスプレイ121に対して垂直な方向にユーザの顔があり、かつ、第2ディスプレイ121とユーザの顔との距離が所定の距離(例えば、約30cm)であるような持ち方をいう。このようにすることで、第2ディスプレイ121に表示されるランドマーク情報の位置と実際の建築物や地形の位置とに誤差(ずれ)を生じにくくすることが可能になる。
【0042】
さらに、表示装置10は、ユーザ認識部104を用いることにより、第2ディスプレイ121におけるランドマーク情報の表示位置をユーザの顔の位置の認識結果に基づいて変更することも可能である。このようにすれば、第2ディスプレイ121に表示されるランドマーク情報の位置と実際の建築物や地形の位置とに生じる誤差をより少なくすることが可能となる。
【0043】
図11は、ランドマークの位置、ユーザの顔の位置及びランドマーク情報の表示位置の三者の関係を概略的に示す図である。図11において、L0は、実際のランドマークの位置を表し、U1及びU2は、ユーザの顔の位置をそれぞれ表す。また、L1及びL2は、それぞれ、ユーザの顔の位置がU1又はU2である場合のランドマーク情報の表示位置を表すものである。表示装置10は、このような原理によってランドマーク情報の表示位置を計算により求め、これを必要に応じて補正することが可能である。
【0044】
以上のとおり、表示装置10によれば、第2ディスプレイ121を移動させ、自装置の形態を変化させることにより、自装置が表示する情報量を増加させたり、情報の表示位置を移動させることが可能である。また、表示装置10によれば、基本形態から横スライド形態(又は縦スライド形態)に遷移する過渡的な状態においても、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121の重なり具合(例えば、重なる面積)に応じた画像表示を実現することが可能である。このように、本実施形態の表示装置10によれば、透過型の第2ディスプレイ121を第1ディスプレイ111に重ねて設け、さらにこれをスライド可能にすることによって、透過型ディスプレイを単体で用いた場合や、透過型でないディスプレイを組み合わせて用いた場合に比べ、多様な画像表示を実現することが可能となる。
【0045】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の実施の一例にすぎない。本発明は、上述した実施形態に対して以下の変形を適用した態様で実施することも可能である。なお、以下に示す変形例は、必要に応じて、各々を適当に組み合わせて実施されてもよいものである。
【0046】
(変形例1)
本発明に係る表示装置は、ディスプレイを有するユニットを3以上備える構成であってもよいし、ディスプレイを有するユニットとディスプレイを有しないユニットとを備える構成であってもよい。
【0047】
図12は、本変形例に係る表示装置の外観を示す正面図である。図12に示す表示装置20は、図1に示す第1ユニット110と第2ユニット120とに加え、第3ユニット130を備える。第3ユニット130は、縦方向にスライド可能な移動機構を有するとともに、入力手段としてキーパッド131を有する。キーパッド131は、例えばテンキーであるが、QWERTY配列のキーなどであってもよい。この構成においては、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121は、タッチスクリーンによる入力手段を有しなくてもよい。なお、第3ユニット130は、図4と同様の移動機構により、縦方向だけでなく横方向にもスライド可能であってもよい。
【0048】
(変形例2)
本発明に係る移動機構は、回転によりスライドする構成であってもよいし、スライドによる移動以外の移動を含むものであってもよい。また、移動機構は、ユーザが手動で形態を変化させるものであってもよいし、モータ等によって電動で形態を変化させるものであってもよい。
【0049】
図13は、回転によりスライドする移動機構を示す図である。図13に示す表示装置30は、図4に示す移動機構に代えて、軸部115を有する。軸部115は、第2ユニット120の回転軸として機能するものである。第2ユニット120は、第1ユニット110と重なる基本形態の位置から、図中の二点鎖線で示す位置に移動可能である。
【0050】
図14及び図15は、本発明に係る移動機構の他の例を示す図である。図14及び図15に示す表示装置40は、第1ディスプレイ111の表面と第2ディスプレイ121の表面とに生じる段差が少なくなるように構成された移動機構を有するものである。図14は、表示装置40の正面図であり、図15は、表示装置40の内部の構造を下側面側から示す図である。なお、図15は、図14に比べ、正面から背面に向かう方向(厚さ方向)の寸法を強調して示している。
【0051】
第1ユニット110aは、第1ディスプレイ111を有するとともに、これを背面側から付勢するばね116、117、118及び119を備える。第1ディスプレイ111は、第1形態においては、ばね116〜119と第2ディスプレイ121とに挟まれて動かないようになっている。第2ユニット120aは、第1形態においては、第1ユニット110aに収納された状態になっている。この状態から第2ユニット120aが右方向に引き出されると、第1ディスプレイ111は、ばね116〜119の作用によって正面方向に移動し、その表面が第2ディスプレイ121の表面とほぼ平坦になる位置で停止する。
【0052】
(変形例3)
本発明に係る表示装置は、透過型ディスプレイに対して、光の透過を許容する状態と妨げる状態とを切り替えるための切替手段を備えるものであってもよい。このようにすれば、例えば、上述した第2形態(又は第3形態)において、向こう側が透けて見える必要がない場合や、向こう側が透けて見えない方が望ましい場合に光の透過を遮り、透過型ディスプレイの視認性を向上させることが可能である。本発明の切替手段としては、例えば、以下の2例のいずれかを用いることができる。なお、これらの切替手段は、移動機構による移動を妨げることがないように設けられている。
【0053】
図16及び図17は、本発明に係る切替手段を例示する図である。図16は、切替手段として調光層126を備える例を示す断面図である。調光層126は、第2ディスプレイ121の背面側を覆うように設けられた層であり、1対の透明電極層や、エレクトロクロミック素子の層を含んで構成される。ここにおいて、エレクトロクロミック素子とは、エレクトロクロミズム(光物性が電気的に変化する現象)を示す素子をいい、電圧の印加によって光の透過率を変化させる素子である。調光層126は、光を透過させる第1状態と、当該第1状態よりも光の透過率が低下する第2状態を少なくともとり得る。また、調光層126は、第1状態から第2状態に遷移するに際し、光の透過率を連続的に変化させるものであってもよい。
【0054】
図17は、切替手段としてスクリーン127を備える例を示す断面図である。スクリーン127は、シート状のプラスチックや布であり、その表面が光を反射しやすい色(例えば、白)になっている。スクリーン127は、これを必要としないときには、図17(a)に示すように、巻き取られた状態で額縁領域129の内部に収納されている。ユーザは、このように収納されたスクリーン127を、必要に応じて引き出し、図17(b)に示すような状態にする。図17(a)に示す状態は、上述した第1状態に相当する状態である。一方、図17(b)に示す状態は、上述した第2状態に相当する状態である。
【0055】
(変形例4)
本発明に係る表示装置は、ディスプレイの面に沿った方向以外の方向に移動する機構を有してもよい。かかる移動は、例えば、ディスプレイの面に対して垂直な方向(以下「垂直方向」という。)の移動である。本発明に係る表示装置は、かかる垂直方向の移動とスライド移動とを行うものであってもよいし、上述したスライド移動に代えて垂直方向の移動を行うものであってもよい。
【0056】
図18は、本発明に係る移動機構の他の例を示す側面図である。この例において、表示装置50は、第1ユニット110と第2ユニット120とを支持する支持部140を備える。支持部140は、垂直方向に伸縮し、第1ユニット110と第2ユニット120とを図18(a)に示す状態から図18(b)に示す状態に離間させる。
【0057】
ユーザが表示装置50を正面から見たとき、第2ユニット120は、図18(b)に示す状態の場合には図18(a)に示す状態の場合よりもユーザに接近する。このとき、表示装置50は、第2ユニット120がユーザに接近するに従い、例えば、第1ディスプレイ111に表示されている画像の縮尺を変えずに、第2ディスプレイ121に表示されている画像を徐々に拡大する。このようにすれば、第2ディスプレイ121があたかも拡大鏡であるかのようにユーザに知覚させることが可能である。
【0058】
(変形例5)
本発明に係る移動機構は、図3に示すように第2ユニット120が基本形態から左方向にスライドするだけでなく、第2ユニット120が基本形態から右方向にもスライドするように構成されたものであってもよい。このとき、表示装置は、第2ユニット120が右方向にスライドする場合と左方向にスライドする場合とで異なる動作を行うようにしてもよい。あるいは、表示装置は、このように基本形態から右方向と左方向の両方にスライド可能でない場合であっても、重力センサなどを用いて上下(天地)方向を認識し、第2ユニット120がユーザから見て右方向又は左方向のいずれにスライドしているかを判断してもよい。
【0059】
図19は、本変形例に係る表示例を示す図であり、電子書籍等の文書を表示する例である。この例において、第1ディスプレイ111には、所定のページ(第2章)の画像が表示されているものとする。このとき、第2ディスプレイ121は、第2ユニット120が左方向にスライドする場合には、第1ディスプレイ111に表示されたページの前のページ(第1章)の画像を表示する一方(図19(a)参照)、第2ユニット120が右方向にスライドする場合には、第1ディスプレイ111に表示されたページの次のページ(第3章)の画像を表示する(図19(b)参照)。
【0060】
図20は、本変形例に係る別の表示例を示す図であり、図10の表示例に対応するものである。この例において、表示装置10は、第2ユニット120が左方向(図中では上方)にスライドする場合には、図10に示すようなランドマーク情報を第2ディスプレイ121に表示させる一方、第2ユニット120が右方向(図中では下方)にスライドする場合には、ランドマーク情報に関連する別の情報を第2ディスプレイ121に表示させる。ここでいう「別の情報」は、図20の例においては、「A美術館」又は「Bタワー」の周辺にある飲食店を紹介する情報である。かかる情報は、表示装置10にあらかじめ記憶されていてもよいが、第2ユニット120の移動を契機に表示装置10が検索を実行し、インターネット等を介して外部から取得されてもよい。
【0061】
なお、本変形例は、横方向のスライドに対してだけではなく、縦方向のスライドに対しても適用可能である。また、図19や図20(及び図10)の表示例は、スライドする方向が右方向と左方向のいずれであるかによって動作を変えるものではなく、スライドする方向が左方向(すなわち横スライド形態)と上方向(すなわち縦スライド形態)のいずれであるかによって動作を変えるものであってもよい。具体的には、図19の表示例でいえば、第2ユニット120を左方向にスライドさせた場合においては、第1ディスプレイ111に表示されたページの前のページの画像が第2ディスプレイ121に表示され、第2ユニット120を上方向にスライドさせた場合においては、第1ディスプレイ111に表示されたページの次のページの画像が第2ディスプレイ121に表示される、といった表示例がこれに該当する。
【0062】
(変形例6)
上述した実施形態で例示した第1形態と第2形態は、前者が第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とがちょうど重なる形態であり、後者が第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とがまったく重ならない形態であった。しかし、本発明に係る第1形態と第2形態は、このような形態に限定されず、例えば、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121の形状や大きさが同一でない(すなわち、ちょうど重なる形態にならない)場合や、第2形態において第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とがわずかに重なる場合なども含まれるものである。
【0063】
要するに、本発明に係る第1形態は、ユーザが所定の方向から視認したときに、第1ディスプレイと第2ディスプレイの重なる領域が第2形態よりも多い形態であれば、どのような形態であってもよい。同様に、本発明に係る第2形態は、ユーザが所定の方向から視認したときに、第1ディスプレイと第2ディスプレイの重なる領域が第1形態よりも少ない形態であれば、どのような形態であってもよい。ここにおいて、第1ディスプレイと第2ディスプレイの重なる領域が「少ない」とは、当該領域が存在しない場合を含む意味である。
【0064】
(変形例7)
上述したとおり、本発明に係る表示装置が第2形態(又は第3形態)において表示する画像は、第1ディスプレイの画像と第2ディスプレイの画像とに何らかの対応関係があってもよいが、かかる対応関係を有しなくてもよい。第2形態において第1ディスプレイと第2ディスプレイとに表示される画像は、例えば、それぞれの間に連続性を有するものであってもよい。ここでいう連続性は、例えば、単一のデスクトップ画面を第1ディスプレイと第2ディスプレイとに分割して表示するものである。このように表示した場合、アイコン等を第1ディスプレイから第2ディスプレイの方向へとドラッグし、当該アイコン等が第1ディスプレイと第2ディスプレイの境界まで達すると、当該アイコン等が第2ディスプレイに表示されるようになる。
【0065】
(変形例8)
図9又は図10で説明した表示例は、横スライド形態においてではなく、縦スライド形態において行われてもよいものである。また、これらの表示例は、例えば、横スライド形態においては図9の例のように動作し、縦スライド形態においては図10の例のように動作する、というように、形態に応じて異なる動作となってもよい。
【0066】
(変形例9)
本発明に係る表示装置は、無線通信端末に限定されない。本発明に係る表示装置は、例えば、無線通信ではなく有線通信を行う情報処理装置であってもよいし、さらには通信手段を有しない情報処理装置であってもよい。本発明は、例えば、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、デジタルオーディオプレーヤなど、表示部を有するさまざまな情報処理装置に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
10、20、30、40…表示装置、110…第1ユニット、111…第1ディスプレイ、120…第2ユニット、121…第2ディスプレイ、100…制御部、101…モード判定部、102…表示制御部、103…アプリケーション実行部、104…ユーザ認識部、200…記憶部、300…表示部、400…操作部、500…通信部、600…音声入出力部、700…第1検知部、800…第2検知部、900…カメラ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型ディスプレイを用いた情報表示に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型ディスプレイと呼ばれる、向こう側が透けて見えるディスプレイが知られている。かかるディスプレイは、透過ディスプレイ、透明ディスプレイなどとも呼ばれている。特許文献1には、透過型ディスプレイをフリップ部材に設け、この透過型ディスプレイに表示させる画像をフリップ部材の姿勢に応じて修正することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−504144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、透過型ディスプレイと他のディスプレイの重なり具合に応じた表示を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表示装置は、画像を表示する第1ディスプレイを有する第1ユニットと、画像を表示する透過型の第2ディスプレイを有する第2ユニットと、前記第1ユニット及び前記第2ユニットの位置をスライドによって相対的に移動させ、当該表示装置の形態を変化させる移動機構とを備え、前記移動機構が、当該表示装置の形態を、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの少なくとも一部の領域が重なる第1形態と、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの重なる領域が前記第1形態よりも少ない第2形態とに変化させる構成を有する。
【0006】
好ましい態様において、前記表示装置は、前記第1形態において、重ねられたときに組合せ画像を構成する部分画像を前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイにそれぞれ表示させ、前記第2形態において、前記第1形態における態様と異なる態様で前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに画像を表示させる表示制御部を備える。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記第1形態において、第1画像を前記第1ディスプレイに表示させ、当該第1形態から前記第2形態に変化する場合に、前記第1画像に関連する第2画像を前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部を備える。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記第1形態から前記第2形態に変化する期間に、前記第2ユニットの移動に応じて変化する画像を前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部を備える。
他の好ましい態様において、前記移動機構が、当該表示装置の形態を、前記第2ディスプレイの位置を前記第1形態における位置から前記第2形態と異なる方向にスライドさせた第3形態に変化させる。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記第2ディスプレイの状態を、光を透過させる第1状態と、前記第1状態よりも光の透過を妨げる第2状態とに切り替えるための切替手段を備える。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記形態の変化に応じて異なる動作で処理を実行する実行部を備える。
他の好ましい態様において、前記実行部が、実行するアプリケーションを前記形態の変化に応じて切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透過型ディスプレイと他のディスプレイの重なり具合に応じた表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】表示装置の外観を示す三面図(基本形態)
【図2】表示装置の縦スライド形態を示す正面図
【図3】表示装置の横スライド形態を示す正面図
【図4】表示装置移動機構を示す模式図
【図5】表示装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図6】制御部の機能的構成を示す機能ブロック図
【図7】表示装置の基本形態における表示例を示す図
【図8】表示装置の基本形態における表示例を示す図
【図9】表示装置が基本形態から横スライド形態に遷移するときの表示例を示す図
【図10】表示装置の横スライド形態における表示例を示す図
【図11】ランドマークの位置、ユーザの顔の位置及びランドマーク情報の表示位置の三者の関係を概略的に示す図
【図12】表示装置の外観を示す正面図
【図13】回転によりスライドする移動機構を示す図
【図14】表示装置の移動機構を示す正面図
【図15】表示装置の移動機構を示す側面図
【図16】切替手段を例示する図
【図17】切替手段を例示する図
【図18】移動機構の他の例を示す側面図
【図19】電子書籍等の文書を表示する表示例を示す図
【図20】表示装置の横スライド形態における表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である表示装置の外観を示す三面図である。本実施形態の表示装置10は、携帯電話機、スマートフォン等の無線通信端末である。表示装置10は、図1に示すように、第1ユニット110と、第2ユニット120とを備える。第2ユニット120は、第1ユニット110と重なるようになっており、画像を表示する第2ディスプレイ121を有している。第1ユニット110は、後述する第1ディスプレイ111を、この第2ディスプレイ121と重なるように有している。また、第2ユニット120は、画像を表示しない領域を第2ディスプレイ121の周囲に有している。以下においては、ディスプレイの周囲のこのような領域のことを「額縁領域」という。
【0010】
以下においては、説明の便宜上、第2ユニット120の第2ディスプレイ121が設けられている側の面を表示装置10の「正面」といい、後述する第1ユニット110の第1ディスプレイ111が設けられていない側の面を表示装置10の「背面」という。また、以下においては、図1中の矢印a1の方向のことを上とし、矢印a2の方向のことを左とする。さらに、上方向とその反対方向(下方向)とを総称して「縦方向」といい、左方向とその反対方向(右方向)とを総称して「横方向」という。
【0011】
第2ディスプレイ121は、透過型ディスプレイであり、光を背面側から正面側(及び正面側から背面側)に透過する。なお、ここでいう「透過」は、100%ないしそれに近い透過率で光を通過させることであればより望ましいが、ユーザが画像を認識できる程度の透過率で光を通過させれば足りるものである。第2ディスプレイ121は、周知の透過型ディスプレイのいずれであってもよいが、例えば、自発光型の有機EL(electroluminescence)素子を用いたディスプレイである。また、第2ディスプレイ121は、表示素子に液晶を用いる場合のように、表示素子自体が発光しない場合にあっては、額縁領域にエッジライト方式のバックライトを有していてもよい。
【0012】
第1ユニット110及び第2ユニット120は、その連結部分が移動機構を構成し、一方を他方に対して相対的に移動させることが可能である。表示装置10は、かかる移動によってその形態を変化させる。第2ユニット120は、第1ユニット110に対して縦方向及び横方向に移動する。以下においては、図1に示す形態、すなわち第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なっている表示装置10の形態のことを、「基本形態」という。基本形態は、本発明に係る第1形態の一例に相当する。
【0013】
図2は、第2ユニット120を基本形態から上方向にスライドさせた場合の表示装置10の形態を示す正面図である。また、図3は、第2ユニット120を基本形態から左方向にスライドさせた場合の表示装置10の形態を示す正面図である。表示装置10は、第2ユニット120が基本形態から移動した形態になることによって、第1ディスプレイ111が露出した状態(すなわち、第2ユニット120に覆われていない状態)になる。以下においては、図2に示す状態のことを「縦スライド形態」といい、図3に示す状態のことを「横スライド形態」という。縦スライド形態及び横スライド形態は、本発明に係る第2形態(又は第3形態)の一例に相当する。なお、ここにおいて、スライドとは、ディスプレイの面に沿って移動することをいうものである。
【0014】
第1ディスプレイ111は、本実施形態においては、第2ディスプレ121イと同面積の表示領域(画像を表示する領域)を有するものとする。第1ディスプレイ111は、基本形態において正面(ディスプレイの表面に対して垂直な方向)から視認したとき、第2ディスプレイ121とちょうど重なる位置にある。なお、第1ディスプレイ111は、透過型ディスプレイである必要はなく、周知のさまざまなディスプレイを用い得る。
【0015】
基本形態において、第1ディスプレイ111は、これを正面側から観察するユーザにより、第2ディスプレイ121を介して視認される。一方、縦スライド形態及び横スライド形態において、第1ディスプレイ111は、第2ディスプレイ121を介さずにユーザに視認される。よって、表示装置10は、基本形態から縦スライド形態又は横スライド形態に形態を変化させることで、表示領域の面積を2倍に増やすことが可能である。これにより、表示装置10は、縦スライド形態又は横スライド形態において、電子書籍等の文書(いわゆるページ物)を見開きの状態で2ページ同時に表示したり、静止画や動画を基本形態よりも拡大して大画面で表示したりすることが可能になる。なお、表示装置10は、画像を拡大して表示するとき、第2ユニット120のスライド量に応じて画像を徐々に(縦方向と横方向の比率を維持したまま)拡大してもよい。
【0016】
また、表示装置10は、基本形態から縦スライド形態又は横スライド形態に変化したとき、基本形態で表示されていた画像を拡大して表示するだけでなく、基本形態で表示されていた画像のレイアウトをも変更するようにしてもよい。ここにおいて、レイアウトの変更とは、文字や画像を縦長の表示に適した配置から横長の表示に適した配置に変更するものや、1行当たりの文字数を変更するものなどをいう。なお、かかる変更は、基本形態から縦スライド形態又は横スライド形態に変化した場合に限らず、その逆の変化をする場合にも行われ得る。
【0017】
図4は、表示装置10の移動機構を示す模式図である。第2ユニット120は、レール122、123、124及び125を有する。レール122、123、124及び125は、第2ユニット120の移動を案内するための溝である。また、第1ユニット110は、突起部112、113及び114を有する。突起部112、114は、第2ユニット120をレール122、123に沿って横方向にスライドさせる。なお、第2ユニット120が基本形態から左方向にスライドするとき、突起部113は、第1ユニット110の内部に押し込まれ、レール122、125から外れるように構成されている。また、突起部113は、第2ユニット120が横スライド形態から基本形態に戻るときには、突起してレール122、125に再び嵌るように構成されている。
【0018】
また、突起部112、113は、第2ユニット120をレール124、125に沿って縦方向にスライドさせる。なお、第2ユニット120が基本形態から上方向にスライドするとき、突起部114は、第1ユニット110の内部に押し込まれ、レール123、124から外れるように構成されている。また、突起部114は、第2ユニット120が縦スライド形態から基本形態に戻るときには、突起してレール123、124に再び嵌るように構成されている。
【0019】
図5は、表示装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。表示装置10は、図5に示すように、制御部100と、記憶部200と、表示部300と、操作部400と、通信部500と、音声入出力部600と、第1検知部700と、第2検知部800と、カメラ部900とを備える。
【0020】
制御部100は、表示装置10の各部の動作を制御する手段である。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置や主記憶装置に相当する記憶手段(メインメモリ)を備え、プログラムを実行することによって制御を行う。制御部100が実行するプログラムには、基本プログラムとアプリケーションプログラム(以下単に「アプリケーション」という。)とがあるものとする。記憶部200は、制御部100が用いるデータを記憶する手段である。記憶部200は、補助記憶装置に相当する記憶手段(ハードディスク、フラッシュメモリ等)を備えるが、いわゆるメモリカードのような着脱可能な記憶手段(リムーバブルメディア)を含んでもよい。
【0021】
表示部300は、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121に画像を表示させる手段である。表示部300は、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121と、これらのディスプレイを駆動するための駆動回路などを備える。操作部400は、ユーザの操作を受け付けるための入力手段を備える。操作部400は、入力手段として、第1ディスプレイ111や第2ディスプレイ121の正面側に設けられるタッチスクリーンや、額縁領域や正面以外の面にボタン(電源ボタン等)を有することが可能である。操作部400は、ユーザの操作を表す操作情報を制御部100に供給する。通信部500は、外部装置を無線通信を行うための手段である。ここでいう外部装置は、無線通信ネットワークを構成する基地局であってもよいし、表示装置10と通信する他の無線通信端末であってもよい。つまり、通信部500は、赤外線通信等の近距離無線通信を行うための手段を含み得る。音声入出力部600は、音声の入力及び出力を行うための手段であり、スピーカやマイクロホンを備える。
【0022】
第1検知部700は、表示装置10の形態、すなわち第1ユニット110と第2ユニット120の相対的な位置関係を検知するための手段である。第1検知部700は、例えば、突起部113又は114が押し込まれ、又は突起したことを検知するセンサや、突起部のレール内における位置を検知するセンサを含み得る。第1検知部700は、望ましくは、基本形態、縦スライド形態及び横スライド形態の3形態だけでなく、基本形態から別の形態(あるいはその逆)へと遷移する過渡的な状態をも検知できるように構成される。この場合、第1検知部700は、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121の重なり具合(すなわち、重なり合う面積)を検知することが可能である。第1検知部700は、これらの検知結果を表す形態情報を制御部100に供給する。
【0023】
第2検知部800は、表示装置10の位置と姿勢を検知するための手段である。ここにおいて、表示装置10の姿勢とは、表示装置10の向きのことをいい、特に、第2ディスプレイ121の背面側が向いている方向のことである。第2検知部800は、位置情報によって表示装置10の位置を検知する。位置情報は、例えば、緯度や経度によって位置を表す情報であり、GPS(Global Positioning System)によって取得可能である。なお、位置情報は、表示装置10の位置を特定可能なものであればよく、GPSによって取得されるものに限定されない。また、第2検知部800は、地磁気や加速度を検知するセンサによって表示装置10の姿勢を検知する。第2検知部800は、表示装置10の位置を表す位置情報と姿勢を表す姿勢情報とを制御部100に供給する。
【0024】
カメラ部900は、表示装置10のユーザを撮影する手段であり、ユーザの顔(特に目)の位置を認識するための手段である。カメラ部900は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を第2ユニット120(又は第1ユニット110)の額縁領域に備える。また、カメラ部900は、被写体(すなわちユーザの顔)までの距離を計測する測距機能を有していることが望ましい。カメラ部900は、被写体の距離を表す距離情報や撮影した画像データを制御部100に供給する。
【0025】
図6は、制御部100の機能的構成の一部(特に、画像の表示に関するもの)を示す機能ブロック図である。制御部100は、基本プログラムを実行することにより、図6に示すモード判定部101、表示制御部102、アプリケーション実行部103及びユーザ認識部104に相当する各機能を実現する。
【0026】
モード判定部101は、第1検知部700による検知結果(すなわち形態情報)を用いて、表示装置10の形態に応じたモードを判定する。ここでいうモードには、基本形態に対応する「基本モード」と、縦スライド形態に対応する「縦モード」と、横スライド形態に対応する「横モード」とが少なくとも含まれる。また、モード判定部101は、基本モードから縦モード又は横モードに遷移する過渡的な状態を別のモード(以下「過渡モード」という。)として判定してもよい。
【0027】
表示制御部102は、表示部300による第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121の表示を制御する。表示制御部102は、操作部400により供給される操作情報や、モード判定部101により判定されたモードに従い、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121のそれぞれに応じた画像が表示されるように表示部300を制御する。
【0028】
アプリケーション実行部103は、モード判定部101による判定結果を用いて、表示装置10の形態(すなわちモード)に応じた処理を実行する。アプリケーション実行部103は、例えば、特定のモードにおいてのみ実行可能なアプリケーションがある場合には、他のモードにおいては当該アプリケーションを実行しないように動作を制限したり、あるモードから他のモードへとモードが遷移する場合には、実行するアプリケーションを切り替えたりする。また、アプリケーション実行部103は、複数のモードで同じアプリケーションを実行する場合であっても、処理の動作をそれぞれのモードに応じて異ならるようにしてもよい。
【0029】
ユーザ認識部104は、カメラ部900による撮影結果を用いて、ユーザの顔の位置を認識する。ユーザ認識部104は、カメラ部900により得られた画像データと距離情報とに基づき、ユーザの顔が第2ディスプレイ121からどれだけ離れているかを認識し、さらに、基準の方向(例えば、第2ディスプレイ121からみて真正面の方向)からどれだけずれた方向から第2ディスプレイ121を視認しているかを認識する。なお、ユーザ認識部104は、ユーザの認識を必要とする場合に機能すればよく、それ以外の場合には機能していなくてもよい。ユーザ認識部104による認識結果は、アプリケーション実行部103が所定のアプリケーションを実行するときに用いられる。
【0030】
表示装置10の構成は、以上のとおりである。表示装置10は、かかる構成のもと、ユーザの操作や自装置のモードに応じた態様で画像を表示する。表示装置10は、例えば、基本モードである場合には、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なっていることを利用して、画像の表示に立体感や娯楽性を与えたりする。また、表示装置10は、縦モードや横モードである場合には、表示領域の面積が基本モードから増加することを利用して、第1ディスプレイ111又は第2ディスプレイ121の一方を補助的なディスプレイとして用いられるようにしたり、あるいは、第2ディスプレイ121を介して向こう側が透けて見えることを利用して、拡張現実(Augmented Reality。以下「AR」ともいう。)的に情報を提示したりする。
【0031】
図7は、表示装置10の基本形態における表示例を示す図である。図7は、説明の便宜上、第1ユニット110及び第2ユニット120が重なっていない状態での画像と、第1ユニット110及び第2ユニット120が重なっている状態での画像とを併記したものである。図7に示す表示例は、ある仮想空間にキャラクタやアイコンを表示させるものである。この例において、第1ディスプレイ111は、背景に相当する仮想空間の画像を表示しており、第2ディスプレイ121は、キャラクタやアイコンの画像を仮想空間の前景として表示している。このようにすることで、表示装置10は、立体感(奥行き感)のある画像表示を実現することができる。
【0032】
このとき、制御部100は、第1ディスプレイ111には静止画を表示し、第2ディスプレイ121には動画を表示する、というように、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とに表示する画像をその性質に応じて振り分けてもよい。例えば、動画と静止画とで振り分けを行えば、一方のディスプレイを書き換えることなく、立体感のある動画を表示することが可能となる。
【0033】
図8は、表示装置10の基本形態における他の表示例を示す図である。この例において、第2ディスプレイ121は、「A」という文字を表示し、第1ディスプレイ111は、「A」という文字の影に相当する画像を表示する。このように、表示装置10は、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なることによって、いわゆる影付きの文字を表示することができる。この例において、「A」という文字とその影の画像とは、それぞれ、本発明に係る部分画像に相当し、影付きの文字の画像は、本発明に係る組合せ画像に相当する。
【0034】
なお、図7や図8の例において、表示装置10は、基本形態から他の形態に変化する場合には、画像の振り分けを行わずに、それぞれのディスプレイに表示されていた画像をいずれか一方のディスプレイにまとめて表示してもよい。あるいは、表示装置10は、図8の例にあっては、影の画像を表示せずに、文字だけを表示してもよい。
また、部分画像は、重ねられたときに組合せ画像を構成するものであれば、どのような画像であってもよい。例えば、部分画像は、ある文字、記号、文字列などを適当な位置で分割した画像の各々であってもよいし、文字列とその文字列に対する装飾(下線、着色など)とであってもよい。
【0035】
図9は、表示装置10が基本形態から横スライド形態に遷移するときの表示例を示す図である。この例において、表示装置10は、図9(a)に示す基本形態においては、所定の画面(例えば、Webページ)を第1ディスプレイ111に表示しているものとする。また、表示装置10は、基本形態から横スライド形態へと変化する過渡的な期間(図9(b)参照)に、その表示態様が第2ユニット120の移動に応じて変化する画像を第1ディスプレイ111に表示する。かかる画像は、第1ディスプレイ111の第2ディスプレイ121と重なっている領域内に表示されるものであり、当該領域が狭くなるに従って押し潰されるようにアニメーション表示される。表示装置10は、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なる領域の面積が所定の閾値以下になると、基本形態において第1ディスプレイ111に表示されていた画像を第2ディスプレイ121に表示させる。
【0036】
このように動作した結果、表示装置10は、図9(a)に示す基本形態においては第1ディスプレイ111に表示していた所定の画面を、図9(c)に示す横スライド形態においては第2ディスプレイ121に表示するようになる。また、表示装置10は、図9(c)に示す横スライド形態においては、第1ディスプレイ111に当該所定の画面と異なる画面(例えば、テキストエディタの入力画面や、電子メールの作成画面など)を表示する。このようにすれば、ユーザは、所定の画面を視認しながら文字の入力を行うことが可能になる。なお、ここでいう「所定の画面」は、本発明に係る第1画像及び第2画像の一例である。
【0037】
本発明に係る第1画像及び第2画像は、それぞれが関連し、何らかの対応関係を有する画像である。図9の例においては、第1画像と第2画像とは、実質的に同一の画像であり、その内容に相違はない。ただし、第2画像は、例えば、第1画像の一部のみを抽出した画像であってもよいし、第1画像に代替する画像であってもよい。例えば、第1の画像があるWebページである場合であれば、第2の画像は、当該WebページのURL(Uniform Resource Locator)であってもよい。
【0038】
なお、図9に示す表示例は、上述した説明とは反対の表示態様、すなわち、基本形態において第2ディスプレイ121に所定の画面を表示し、過渡的な期間において第2ディスプレイ121に画像を表示し、横スライド形態において第1ディスプレイ111に所定の画面を表示する態様としてもよい。
また、図9に示す表示例は、過渡的な期間を経ることなく、図9(a)に示す表示態様から図9(c)に示す表示態様に直接遷移するものであってもよい。
【0039】
図10は、表示装置10の横スライド形態における他の表示例を示す図である。図10の例は、説明の便宜上、第2ディスプレイ121が第1ディスプレイ111に対して上方向に位置するようにユーザが表示装置10を保持するものとする。このとき、第2ディスプレイ121は、ユーザが向けた方向の風景が透けて見えるようになっている。かかる風景には、建築物や地形(山など)等のランドマークが含まれているものとする。表示装置10は、自装置の位置と姿勢とを検知することにより、ユーザが向けている方向がどのような風景であるのかを認識し、第2ディスプレイ121を介して見えているランドマークを表すランドマーク情報を取得する。ここにおいて、ランドマーク情報とは、ランドマークに関する情報を位置情報と対応付けたデータをいう。表示装置10は、ランドマーク情報をあらかじめ記憶部200に記憶しているか、あるいは、通信部500を介して外部装置から取得する。
【0040】
このとき、第2ディスプレイ121は、風景の視認を必要以上に妨げないように、ランドマーク情報の一部のみを表示する。図10の例において、第2ディスプレイ121は、建築物や地形の名称(ここでは、「A美術館」と「Bタワー」)のみを表示している。一方、第1ディスプレイ111は、必要に応じて、位置情報及び姿勢情報に基づいて取得したランドマーク情報のうちの第2ディスプレイ121に表示されていないものを表示することができる。図10の例において、第1ディスプレイ111は、「A美術館」に関連する情報(例えば、開館時間、休館日、紹介文など)と、「A美術館」と「Bタワー」の地図上における位置とを表示している。この例において、ランドマーク情報は、本発明に係る第1画像及び第2画像の一例であるとみなすことが可能である。なお、第1ディスプレイ111は、例えば、「A美術館」や「Bタワー」の周辺にある他の施設(例えば、商店や飲食店など)を案内する情報を表示してもよい。また、表示装置10は、位置情報及び姿勢情報を繰り返し(例えば定期的に)取得し、位置や姿勢の変化に応じて表示する画像を切り替えてもよい。
【0041】
なお、図10に例示する表示を行うときには、ユーザがあらかじめ決められた持ち方で表示装置10を保持することが望ましい。ここにおいて、あらかじめ決められた持ち方とは、例えば、第2ディスプレイ121に対して垂直な方向にユーザの顔があり、かつ、第2ディスプレイ121とユーザの顔との距離が所定の距離(例えば、約30cm)であるような持ち方をいう。このようにすることで、第2ディスプレイ121に表示されるランドマーク情報の位置と実際の建築物や地形の位置とに誤差(ずれ)を生じにくくすることが可能になる。
【0042】
さらに、表示装置10は、ユーザ認識部104を用いることにより、第2ディスプレイ121におけるランドマーク情報の表示位置をユーザの顔の位置の認識結果に基づいて変更することも可能である。このようにすれば、第2ディスプレイ121に表示されるランドマーク情報の位置と実際の建築物や地形の位置とに生じる誤差をより少なくすることが可能となる。
【0043】
図11は、ランドマークの位置、ユーザの顔の位置及びランドマーク情報の表示位置の三者の関係を概略的に示す図である。図11において、L0は、実際のランドマークの位置を表し、U1及びU2は、ユーザの顔の位置をそれぞれ表す。また、L1及びL2は、それぞれ、ユーザの顔の位置がU1又はU2である場合のランドマーク情報の表示位置を表すものである。表示装置10は、このような原理によってランドマーク情報の表示位置を計算により求め、これを必要に応じて補正することが可能である。
【0044】
以上のとおり、表示装置10によれば、第2ディスプレイ121を移動させ、自装置の形態を変化させることにより、自装置が表示する情報量を増加させたり、情報の表示位置を移動させることが可能である。また、表示装置10によれば、基本形態から横スライド形態(又は縦スライド形態)に遷移する過渡的な状態においても、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121の重なり具合(例えば、重なる面積)に応じた画像表示を実現することが可能である。このように、本実施形態の表示装置10によれば、透過型の第2ディスプレイ121を第1ディスプレイ111に重ねて設け、さらにこれをスライド可能にすることによって、透過型ディスプレイを単体で用いた場合や、透過型でないディスプレイを組み合わせて用いた場合に比べ、多様な画像表示を実現することが可能となる。
【0045】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の実施の一例にすぎない。本発明は、上述した実施形態に対して以下の変形を適用した態様で実施することも可能である。なお、以下に示す変形例は、必要に応じて、各々を適当に組み合わせて実施されてもよいものである。
【0046】
(変形例1)
本発明に係る表示装置は、ディスプレイを有するユニットを3以上備える構成であってもよいし、ディスプレイを有するユニットとディスプレイを有しないユニットとを備える構成であってもよい。
【0047】
図12は、本変形例に係る表示装置の外観を示す正面図である。図12に示す表示装置20は、図1に示す第1ユニット110と第2ユニット120とに加え、第3ユニット130を備える。第3ユニット130は、縦方向にスライド可能な移動機構を有するとともに、入力手段としてキーパッド131を有する。キーパッド131は、例えばテンキーであるが、QWERTY配列のキーなどであってもよい。この構成においては、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121は、タッチスクリーンによる入力手段を有しなくてもよい。なお、第3ユニット130は、図4と同様の移動機構により、縦方向だけでなく横方向にもスライド可能であってもよい。
【0048】
(変形例2)
本発明に係る移動機構は、回転によりスライドする構成であってもよいし、スライドによる移動以外の移動を含むものであってもよい。また、移動機構は、ユーザが手動で形態を変化させるものであってもよいし、モータ等によって電動で形態を変化させるものであってもよい。
【0049】
図13は、回転によりスライドする移動機構を示す図である。図13に示す表示装置30は、図4に示す移動機構に代えて、軸部115を有する。軸部115は、第2ユニット120の回転軸として機能するものである。第2ユニット120は、第1ユニット110と重なる基本形態の位置から、図中の二点鎖線で示す位置に移動可能である。
【0050】
図14及び図15は、本発明に係る移動機構の他の例を示す図である。図14及び図15に示す表示装置40は、第1ディスプレイ111の表面と第2ディスプレイ121の表面とに生じる段差が少なくなるように構成された移動機構を有するものである。図14は、表示装置40の正面図であり、図15は、表示装置40の内部の構造を下側面側から示す図である。なお、図15は、図14に比べ、正面から背面に向かう方向(厚さ方向)の寸法を強調して示している。
【0051】
第1ユニット110aは、第1ディスプレイ111を有するとともに、これを背面側から付勢するばね116、117、118及び119を備える。第1ディスプレイ111は、第1形態においては、ばね116〜119と第2ディスプレイ121とに挟まれて動かないようになっている。第2ユニット120aは、第1形態においては、第1ユニット110aに収納された状態になっている。この状態から第2ユニット120aが右方向に引き出されると、第1ディスプレイ111は、ばね116〜119の作用によって正面方向に移動し、その表面が第2ディスプレイ121の表面とほぼ平坦になる位置で停止する。
【0052】
(変形例3)
本発明に係る表示装置は、透過型ディスプレイに対して、光の透過を許容する状態と妨げる状態とを切り替えるための切替手段を備えるものであってもよい。このようにすれば、例えば、上述した第2形態(又は第3形態)において、向こう側が透けて見える必要がない場合や、向こう側が透けて見えない方が望ましい場合に光の透過を遮り、透過型ディスプレイの視認性を向上させることが可能である。本発明の切替手段としては、例えば、以下の2例のいずれかを用いることができる。なお、これらの切替手段は、移動機構による移動を妨げることがないように設けられている。
【0053】
図16及び図17は、本発明に係る切替手段を例示する図である。図16は、切替手段として調光層126を備える例を示す断面図である。調光層126は、第2ディスプレイ121の背面側を覆うように設けられた層であり、1対の透明電極層や、エレクトロクロミック素子の層を含んで構成される。ここにおいて、エレクトロクロミック素子とは、エレクトロクロミズム(光物性が電気的に変化する現象)を示す素子をいい、電圧の印加によって光の透過率を変化させる素子である。調光層126は、光を透過させる第1状態と、当該第1状態よりも光の透過率が低下する第2状態を少なくともとり得る。また、調光層126は、第1状態から第2状態に遷移するに際し、光の透過率を連続的に変化させるものであってもよい。
【0054】
図17は、切替手段としてスクリーン127を備える例を示す断面図である。スクリーン127は、シート状のプラスチックや布であり、その表面が光を反射しやすい色(例えば、白)になっている。スクリーン127は、これを必要としないときには、図17(a)に示すように、巻き取られた状態で額縁領域129の内部に収納されている。ユーザは、このように収納されたスクリーン127を、必要に応じて引き出し、図17(b)に示すような状態にする。図17(a)に示す状態は、上述した第1状態に相当する状態である。一方、図17(b)に示す状態は、上述した第2状態に相当する状態である。
【0055】
(変形例4)
本発明に係る表示装置は、ディスプレイの面に沿った方向以外の方向に移動する機構を有してもよい。かかる移動は、例えば、ディスプレイの面に対して垂直な方向(以下「垂直方向」という。)の移動である。本発明に係る表示装置は、かかる垂直方向の移動とスライド移動とを行うものであってもよいし、上述したスライド移動に代えて垂直方向の移動を行うものであってもよい。
【0056】
図18は、本発明に係る移動機構の他の例を示す側面図である。この例において、表示装置50は、第1ユニット110と第2ユニット120とを支持する支持部140を備える。支持部140は、垂直方向に伸縮し、第1ユニット110と第2ユニット120とを図18(a)に示す状態から図18(b)に示す状態に離間させる。
【0057】
ユーザが表示装置50を正面から見たとき、第2ユニット120は、図18(b)に示す状態の場合には図18(a)に示す状態の場合よりもユーザに接近する。このとき、表示装置50は、第2ユニット120がユーザに接近するに従い、例えば、第1ディスプレイ111に表示されている画像の縮尺を変えずに、第2ディスプレイ121に表示されている画像を徐々に拡大する。このようにすれば、第2ディスプレイ121があたかも拡大鏡であるかのようにユーザに知覚させることが可能である。
【0058】
(変形例5)
本発明に係る移動機構は、図3に示すように第2ユニット120が基本形態から左方向にスライドするだけでなく、第2ユニット120が基本形態から右方向にもスライドするように構成されたものであってもよい。このとき、表示装置は、第2ユニット120が右方向にスライドする場合と左方向にスライドする場合とで異なる動作を行うようにしてもよい。あるいは、表示装置は、このように基本形態から右方向と左方向の両方にスライド可能でない場合であっても、重力センサなどを用いて上下(天地)方向を認識し、第2ユニット120がユーザから見て右方向又は左方向のいずれにスライドしているかを判断してもよい。
【0059】
図19は、本変形例に係る表示例を示す図であり、電子書籍等の文書を表示する例である。この例において、第1ディスプレイ111には、所定のページ(第2章)の画像が表示されているものとする。このとき、第2ディスプレイ121は、第2ユニット120が左方向にスライドする場合には、第1ディスプレイ111に表示されたページの前のページ(第1章)の画像を表示する一方(図19(a)参照)、第2ユニット120が右方向にスライドする場合には、第1ディスプレイ111に表示されたページの次のページ(第3章)の画像を表示する(図19(b)参照)。
【0060】
図20は、本変形例に係る別の表示例を示す図であり、図10の表示例に対応するものである。この例において、表示装置10は、第2ユニット120が左方向(図中では上方)にスライドする場合には、図10に示すようなランドマーク情報を第2ディスプレイ121に表示させる一方、第2ユニット120が右方向(図中では下方)にスライドする場合には、ランドマーク情報に関連する別の情報を第2ディスプレイ121に表示させる。ここでいう「別の情報」は、図20の例においては、「A美術館」又は「Bタワー」の周辺にある飲食店を紹介する情報である。かかる情報は、表示装置10にあらかじめ記憶されていてもよいが、第2ユニット120の移動を契機に表示装置10が検索を実行し、インターネット等を介して外部から取得されてもよい。
【0061】
なお、本変形例は、横方向のスライドに対してだけではなく、縦方向のスライドに対しても適用可能である。また、図19や図20(及び図10)の表示例は、スライドする方向が右方向と左方向のいずれであるかによって動作を変えるものではなく、スライドする方向が左方向(すなわち横スライド形態)と上方向(すなわち縦スライド形態)のいずれであるかによって動作を変えるものであってもよい。具体的には、図19の表示例でいえば、第2ユニット120を左方向にスライドさせた場合においては、第1ディスプレイ111に表示されたページの前のページの画像が第2ディスプレイ121に表示され、第2ユニット120を上方向にスライドさせた場合においては、第1ディスプレイ111に表示されたページの次のページの画像が第2ディスプレイ121に表示される、といった表示例がこれに該当する。
【0062】
(変形例6)
上述した実施形態で例示した第1形態と第2形態は、前者が第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とがちょうど重なる形態であり、後者が第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とがまったく重ならない形態であった。しかし、本発明に係る第1形態と第2形態は、このような形態に限定されず、例えば、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121の形状や大きさが同一でない(すなわち、ちょうど重なる形態にならない)場合や、第2形態において第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とがわずかに重なる場合なども含まれるものである。
【0063】
要するに、本発明に係る第1形態は、ユーザが所定の方向から視認したときに、第1ディスプレイと第2ディスプレイの重なる領域が第2形態よりも多い形態であれば、どのような形態であってもよい。同様に、本発明に係る第2形態は、ユーザが所定の方向から視認したときに、第1ディスプレイと第2ディスプレイの重なる領域が第1形態よりも少ない形態であれば、どのような形態であってもよい。ここにおいて、第1ディスプレイと第2ディスプレイの重なる領域が「少ない」とは、当該領域が存在しない場合を含む意味である。
【0064】
(変形例7)
上述したとおり、本発明に係る表示装置が第2形態(又は第3形態)において表示する画像は、第1ディスプレイの画像と第2ディスプレイの画像とに何らかの対応関係があってもよいが、かかる対応関係を有しなくてもよい。第2形態において第1ディスプレイと第2ディスプレイとに表示される画像は、例えば、それぞれの間に連続性を有するものであってもよい。ここでいう連続性は、例えば、単一のデスクトップ画面を第1ディスプレイと第2ディスプレイとに分割して表示するものである。このように表示した場合、アイコン等を第1ディスプレイから第2ディスプレイの方向へとドラッグし、当該アイコン等が第1ディスプレイと第2ディスプレイの境界まで達すると、当該アイコン等が第2ディスプレイに表示されるようになる。
【0065】
(変形例8)
図9又は図10で説明した表示例は、横スライド形態においてではなく、縦スライド形態において行われてもよいものである。また、これらの表示例は、例えば、横スライド形態においては図9の例のように動作し、縦スライド形態においては図10の例のように動作する、というように、形態に応じて異なる動作となってもよい。
【0066】
(変形例9)
本発明に係る表示装置は、無線通信端末に限定されない。本発明に係る表示装置は、例えば、無線通信ではなく有線通信を行う情報処理装置であってもよいし、さらには通信手段を有しない情報処理装置であってもよい。本発明は、例えば、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、デジタルオーディオプレーヤなど、表示部を有するさまざまな情報処理装置に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
10、20、30、40…表示装置、110…第1ユニット、111…第1ディスプレイ、120…第2ユニット、121…第2ディスプレイ、100…制御部、101…モード判定部、102…表示制御部、103…アプリケーション実行部、104…ユーザ認識部、200…記憶部、300…表示部、400…操作部、500…通信部、600…音声入出力部、700…第1検知部、800…第2検知部、900…カメラ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する第1ディスプレイを有する第1ユニットと、
画像を表示する透過型の第2ディスプレイを有する第2ユニットと、
前記第1ユニット及び前記第2ユニットの位置をスライドによって相対的に移動させ、当該表示装置の形態を変化させる移動機構とを備え、
前記移動機構が、当該表示装置の形態を、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの少なくとも一部の領域が重なる第1形態と、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの重なる領域が前記第1形態よりも少ない第2形態とに変化させる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1形態において、重ねられたときに組合せ画像を構成する部分画像を前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイにそれぞれ表示させ、前記第2形態において、前記第1形態における態様と異なる態様で前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに画像を表示させる表示制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1形態において、第1画像を前記第1ディスプレイに表示させ、当該第1形態から前記第2形態に変化する場合に、前記第1画像に関連する第2画像を前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1形態から前記第2形態に変化する期間に、前記第2ユニットの移動に応じて変化する画像を前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記移動機構が、当該表示装置の形態を、前記第2ディスプレイの位置を前記第1形態における位置から前記第2形態と異なる方向にスライドさせた第3形態に変化させる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2ディスプレイの状態を、光を透過させる第1状態と、前記第1状態よりも光の透過を妨げる第2状態とに切り替えるための切替手段を備える
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記形態の変化に応じて異なる動作で処理を実行する実行部を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記実行部が、実行するアプリケーションを前記形態の変化に応じて切り替えることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項1】
画像を表示する第1ディスプレイを有する第1ユニットと、
画像を表示する透過型の第2ディスプレイを有する第2ユニットと、
前記第1ユニット及び前記第2ユニットの位置をスライドによって相対的に移動させ、当該表示装置の形態を変化させる移動機構とを備え、
前記移動機構が、当該表示装置の形態を、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの少なくとも一部の領域が重なる第1形態と、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの重なる領域が前記第1形態よりも少ない第2形態とに変化させる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1形態において、重ねられたときに組合せ画像を構成する部分画像を前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイにそれぞれ表示させ、前記第2形態において、前記第1形態における態様と異なる態様で前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに画像を表示させる表示制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1形態において、第1画像を前記第1ディスプレイに表示させ、当該第1形態から前記第2形態に変化する場合に、前記第1画像に関連する第2画像を前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1形態から前記第2形態に変化する期間に、前記第2ユニットの移動に応じて変化する画像を前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記移動機構が、当該表示装置の形態を、前記第2ディスプレイの位置を前記第1形態における位置から前記第2形態と異なる方向にスライドさせた第3形態に変化させる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2ディスプレイの状態を、光を透過させる第1状態と、前記第1状態よりも光の透過を妨げる第2状態とに切り替えるための切替手段を備える
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記形態の変化に応じて異なる動作で処理を実行する実行部を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記実行部が、実行するアプリケーションを前記形態の変化に応じて切り替えることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図7】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図7】
【図10】
【公開番号】特開2011−248208(P2011−248208A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122833(P2010−122833)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]