説明

表示装置

【課題】建物の壁面等に設置した任意サイズの表示画面とその表示制御部とを離間して設け、更に周囲の明るさを検出する照度センサと装置内部の温度センサとを任意の位置に取り付け可能にした大型の表示装置において、両センサの取り付け作業を軽減すると同時に、コストの上昇を抑えた装置を提供する。
【解決手段】表示画面を構成する複数の表示パネルを所定枚数毎に直列接続して複数の表示パネル群を形成し、この表示パネル群のそれぞれに対して、表示制御部からの表示制御信号を受ける為の受信回路を設け、表示画面近傍の任意の位置に取り付けた照度センサから延出される照度信号線を、表示パネル群の数と同数だけ備える受信回路の何れにも接続可能にする。複数の受信回路の内の照度センサが接続された受信回路は、照度センサから入力される照度検出結果を受けると他の受信回路に伝達し、全ての受信回路において照度検出結果に関する情報を共有して各表示パネル群の発光表示輝度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)等の発光体をプリント基板上に複数配列し、各発光体を選択的に発光させることで文字、図形、記号、画像等を発光表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDをプリント基板上に複数配置し、選択的に点滅駆動することで文字・画像等を発光表示する表示装置が知られており、店舗施設やビルの壁面等に設置され、公衆へ向けての集客メッセージや文字ニュース等の表示が行われている。こうした表示装置の中でも建物の壁面や商業・娯楽施設の入口といった屋外に設置される装置では、太陽光や周囲に設置された照明器具による光の影響を受けて、表示画面の見易さが変化する場合がある。例えば、表示画面に日光の照射を受けている場合には発光輝度が相対的に不足して表示が見え難くなり、反対に天候の変化により曇天や雨・雪で周囲が暗くなった場合には、表示画面が明るく見えすぎてギラつきを引き起こして表示が見え難くなる。そこで、このような問題に対処して特許文献1に開示される提案がなされている。特許文献1の装置によれば、照度センサが検出したセンサ信号を基にして、西日などの強い直射日光が当ったような場合にLEDユニットの発光色を見えやすい発光色に変更し、更に発光輝度を上げる調節を行うことにより、周囲の明るさ変化に対応した見やすい表示を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−297554号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような周囲の明るさを検出して表示画面の発光輝度を調節する表示装置では、その多くが表示画面の正面位置に照度センサを備えており、表示画面を照らす光を検出して輝度調節を行うようにしている。また照度センサが取り付けられる位置も固定されている場合が多く、表示画面を形成するプリント基板上の特定位置に光センサ素子が実装されていたり、あるいは表示画面の周縁部に形成される周縁フレームの一部に設けた開口部に照度センサユニットを組み込んでいる。
【0005】
ところで、表示装置が設置される立地条件は様々であり、表示画面が一様に同じ明るさのもとに置かれるとは限らない。例えば、周囲の樹木や建造物により表示画面の一部が影で覆われたり、周囲に設置された照明設備の光により表示画面の一部分が強く照らされたりすることがあり、このように表示画面を照らす明るさが部分的に異なる状況では、照度センサの取付位置が表示画面の見やすさを大きく左右することになる。表示画面のごく一部に強い光が当たっているだけであるにもかかわらずその位置に照度センサが存在すると、表示装置は発光輝度を高める調節を行い、結果として表示画面のほとんどを占める暗い部分が明るくなり過ぎて視認性が低下することになる。またその反対の状況も発生することがある。
【0006】
こうした問題への解決策としては、照度センサを表示画面から分離して単独ユニット化し、表示画面から照度センサを延長して任意の位置に取り付け可能にする構造が考えられる。それにより、表示装置を設置する場所の個々の条件に対応して照度センサの取付位置を調節することが可能になる。しかしながら、従来のこうした構造では、設置作業の過分な増加と製品コストの上昇を招くことがあった。表示画面の所定位置に形成された照度センサ接続部と任意の位置に取り付けた照度センサとの間を照度信号線により接続し、更に見栄えを考慮しながら照度信号線を引き回して固定する作業を行う為、照度センサの取付位置と照度センサ接続部との位置関係によっては長い距離にわたって照度信号線が必要になることがあり、その分の照度信号線に要するコストと敷設作業が発生するのである。
【0007】
また、表示画面を構成する単位パネルを縦横それぞれ任意の枚数で組み合わせ、設置箇所に応じて所望サイズの表示画面を構築する大型表示タイプの場合には、表示画面の大きさや縦横方向のパネル枚数が一様では無く、表示画面自体に照度センサ接続部を備えることは困難である。その為、表示画面と別体で設置される表示制御部に照度センサ接続部を備えることにより、設置物件毎に異なる表示画面の構成に対応していた。パソコン等からなる表示制御部は、屋外用収納ラックに収められて表示画面から離れた位置に設置される構成となっており、その機器構成は設置箇所の条件に左右されることなく一定である。そこで、表示制御部に照度センサ接続部を設けて照度センサの検出結果を取り込み、表示制御部から表示画面の輝度調節を行うようにしているのである。その為、表示画面に近い位置に設けた照度センサから表示制御部まで照度信号線を敷設する必要があり、コストの上昇と作業の増加が避けられなかった。
【0008】
そして、表示装置における発光輝度調節動作には、上記のように周囲の明るさが変化する中での見易さを目的としたものの他に、表示装置の内部温度が上昇した場合に表示用の発光素子や電子部品を熱の影響から保護することを目的としたものがある。内部温度が完全に異常レベルまで達して電子部品が破壊に至るのを防ぐ為、温度センサで内部温度の上昇を検出すると表示発光輝度を低下させ、それ以上熱が発生するのを防ぐのである。これは表示装置の過熱保護機能として、例示するまでもなくこの種の表示装置に備えられていた機能であるが、表示画面において過熱しやすい箇所は設置物件毎に差がある為、上記照度センサと同様にこの温度センサについても表示画面内部の任意の位置に取り付けられる構造とすることが望ましい。しかも大型表示タイプの装置では温度センサを複数箇所に備えることが求められることから、複数の温度センサと表示制御部とを温度信号線で接続する必要があり、やはりコストの上昇と作業の増加を招いていた。
【0009】
本発明は上記のような問題点に対処してなされたものであり、建物の壁面等に設置した任意サイズの表示画面とその表示制御部とを離間して設け、更に周囲の明るさを検出する照度センサと装置内部の温度センサとを任意の位置に取り付け可能にした大型の表示装置において、両センサの取り付け作業を軽減すると同時に、コストの上昇を抑えた装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明は、プリント基板上に発光体を配列した表示パネルを複数備え、表示パネルの発光体を選択的に点滅することで文字や映像を発光表示する表示部と、前記発光体の点滅制御を行う表示制御手段とを備える表示装置において、前記表示部近傍の照度を測定する照度検出手段と、前記表示制御手段の内部に備えられ、前記表示部の発光体を点滅制御するための表示制御信号を前記表示部に出力する表示制御信号送出回路と、前記表示部に備える複数の表示パネルを所定数毎に直列接続して構成する表示パネル群と、前記表示パネル群毎に設けられ、前記表示制御信号送出回路から出力される表示制御信号を受信する受信回路と、前記受信回路で受信した表示制御信号に基づいて表示パネルに備える発光体を点滅駆動する点滅駆動回路とを備え、前記表示パネル群毎に備える複数の前記受信回路を信号線により直列接続すると共に、前記照度検出手段を複数の前記受信回路の何れにも接続可能に構成し、照度検出手段が接続された受信回路に入力される照度検出結果に関する情報を全ての受信回路に伝達し、伝達した照度に基づいて各表示パネル群の発光表示輝度を一括で切り換えることを特徴とする表示装置を提案する。
【0011】
上記提案の表示装置は、前記受信回路同士を接続する信号線を、前記表示制御信号送出回路から入力された表示制御信号を前段の受信回路から後段の受信回路へ向けて転送する表示制御信号ラインと、受信回路同士の間で前段から後段へ向けて信号を送る下り信号ラインと、受信回路同士の間で後段から前段へ向けて信号を送る上り信号ラインとで構成し、前記照度検出手段が接続された受信回路は、前記照度検出手段による検出結果を下り信号ライン及び上り信号ラインを用いて他の受信回路に伝達することが望ましい。
【0012】
また、表示部の内部温度を検出する温度検出手段を設けると共にこの温度検出手段を複数の前記受信回路の何れにも接続可能に構成し、温度検出手段が接続された受信回路に入力される検出温度が予め設定した所定温度を超える異常状態にあるか、あるいは所定温度以下の正常状態にあるかを判断して、判断した表示部温度状態に関する情報を全ての受信回路に伝達し、伝達した表示部温度状態に基づいて各表示パネル群の発光表示輝度を切り換えることが望ましい。
【0013】
前記照度検出手段が接続された前記受信回路は前記照度検出手段による検出結果を基に表示部近傍の明るさが昼間状態であるか夜間状態であるかを判断し、昼間状態と夜間状態とに応じて連続したハイレベルの電位または連続したローレベルの電位を前記下り信号ライン及び上り信号ラインに出力し、同時に、前記温度検出手段による検出結果を基に判断した表示部内部温度が正常状態の時は前記電位の連続ハイレベルまたは連続ローレベルを維持し、表示部内部温度状態が異常状態の時は前記電位の連続ハイレベルまたは連続ローレベルから、前記表示制御信号送出回路から出力される表示制御信号に含まれる基準パルス信号に同期して反転するパルスを前記下り信号ライン及び上り信号ラインに出力することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示画面を構成する複数の表示パネルを所定枚数毎に直列接続して複数の表示パネル群を形成し、この表示パネル群のそれぞれに対して、表示制御部からの表示制御信号を受ける為の受信回路を設け、表示画面近傍の任意の位置に取り付けた照度センサから延出される照度信号線を、表示パネル群の数と同数だけ備える受信回路の何れにも接続可能にしている。複数の受信回路の内の照度センサが接続された受信回路は、照度センサから入力される照度検出結果を受けると他の受信回路に伝達し、全ての受信回路において照度検出結果に関する情報を共有して各表示パネル群の発光表示輝度を調整するようにしている。これにより、表示画面の近くに取り付けた照度センサから延びる照度信号線を表示画面の内部に備える最も近い位置の受信回路に接続するだけで結線作業を完了させることができ、引き回す照度信号線の長さを短縮化することが可能になる。同時に、照度信号線の敷設作業も軽減することが可能になる。
【0015】
また、表示画面の内部に備える複数の受信回路同士を直列接続する信号線を、表示制御部から入力される表示制御信号を転送する表示制御信号ラインと、受信回路同士で前段から後段へ向けて信号を送る下り信号ラインと、後段から前段へ向けて信号を送る上り信号ラインとで構成しており、照度センサから入力される照度検出結果を下り信号ラインと上り信号ラインを用いて他の受信回路に伝達するようにしている。これにより、複雑な回路構成を必要とすることなく、表示制御信号の転送と受信回路間における照度検出結果の伝達を行うことが出来る。
【0016】
また、表示画面の温度を検出する温度センサを備え、表示画面内部の任意の位置に取り付けた温度センサから延出される温度信号線を前記複数の受信回路の何れにも接続可能にしており、温度センサが接続された受信回路は、温度センサから入力される温度検出結果を受けると他の受信回路に伝達し、全ての受信回路において温度検出結果に関する情報を共有して各表示パネルの発光輝度を調整するようにしている。これにより、表示画面内部において、任意の位置に取り付けた温度センサから延びる温度信号線をそこから最も近い位置にある受信回路に接続するだけで結線作業を完了させることができ、引き回す温度信号線の長さを短縮化できると共に温度信号線の敷設作業を軽減することができる。
【0017】
また、照度センサが接続された受信回路は照度センサの検出結果を基にして周囲が昼間状態であるか夜間状態であるかを判断し、判断した結果としての2種類の状態を連続したハイレベルの電位または連続したローレベルの電位によって表し、これらの電位を下り信号ラインと上り信号ラインに出力するようにしている。従って、複数の受信回路は、下り信号ラインと上り信号ラインを通じて伝達される連続ハイレベル電位または連続ローレベル電位によって周囲の明るさを認識することができる。そして、照度センサと並行して温度センサが表示画面内部の温度を検出しており、検出結果が正常温度範囲内にあれば下り信号ラインと上り信号ラインを通じて伝達している照度検出結果に関する電位の連続ハイレベルまたは連続ローレベルを維持し、万一異常温度を検出した場合には、下り信号ラインと上り信号ラインを通じて伝達している電位を、表示制御部から表示制御信号ラインを通じて入力される表示制御信号に含まれる基準パルス信号に同期して反転させて下り信号ライン及び上り信号ラインに出力するようにしている。これにより、複数の受信回路の間で複雑なプロトコルを必要とするデータ通信を行うことなく、簡単な回路構成で照度検出結果と温度検出結果に関する情報の共有を行うことができる。また、複雑なプロトコルを必要とするデータ通信が不要であることにより、複数の受信回路同士で情報の共有を行う際に時間差が発生することが無く、ほぼ同時に一括で情報共有を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明実施例に係る表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明実施例に係る受信回路と信号線の詳細を示す説明図である。
【図3】本発明実施例の動作に係るパルス信号を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明実施例に係る表示装置の全体構成を示すブロック図である。1は表示画面であり(特許請求の範囲に記載の表示部)、LEDをドットマトリクス配列した表示面を備え、配列したLEDを選択的に点滅することで文字や映像を発光表示する。3はプリント基板上にLEDをドットマトリクス状に実装して構成する表示パネルであり、本実施例では、1枚の表示パネルあたり縦横方向へそれぞれLEDを16個ずつ配列し、合計256個のLEDによるドットマトリクス面を形成している。この表示パネルには全角サイズのフォントデータを1文字分発光表示することが可能であり、表示装置の設置場所に応じて所望サイズの表示画面を構築する場合に、表示画面を構成する最小単位の要素となる。図1ではこの表示パネルを横方向へ4枚、縦方向へ4枚それぞれ配列し、合計16枚の表示パネルによる16文字分の表示面積を持つ表示画面を構成している。
【0020】
4は点滅駆動回路であり、後述する表示制御部から出力される表示制御信号を受けて表示パネル3に配列したLEDを1ドット単位で点滅駆動を行う。5−1は表示パネル3を複数枚直列接続した表示パネル群であり、図1では4枚の表示パネルを横方向に直列接続している。これにより、合計16枚の表示パネルからなる表示画面の最上段に位置する横1行分を表示パネル群5−1で構成し、同様にして表示画面の2段目を表示パネル群5−2、3段目を表示パネル群5−3、4段目を表示パネル群5−4としてそれぞれ構成している。
【0021】
6−1から6−4は表示パネル群5−1から5−4にそれぞれ接続する受信回路であり、後述する表示制御部から出力される表示制御信号を受けて表示パネル群5−1から5−4の点滅駆動回路4に点滅制御信号を供給する。この受信回路6−1から6−4は信号線7により直列接続されており、表示制御部からの表示制御信号を受信回路6−4で受けて順次6−3、6−2、6−1に転送し、それぞれの受信回路が接続された表示パネル群の表示パネルが点滅駆動されて表示画面全体として文字や映像が表示される。
【0022】
8は照度センサであり(特許請求の範囲に記載の照度検出手段)、表示画面に近い任意の場所に取り付けられて周囲の明るさを検出する。この照度センサ8は図1中では受信回路6−1に照度信号線9を介して接続されているが、照度センサを接続するためのインターフェース(図示しない)は他の受信回路6−2から6−4にも具備されており、何れの受信回路にも接続可能な構成となっている。図1では表示画面の上方位置に照度センサ8が取り付けられ、その取付位置から最も近い位置関係にある受信回路6−1に接続した接続した状態を示しており、もし照度センサ8の取付位置が変わればその取付位置から最も近い受信回路に照度信号線9を接続すれば良い。10は温度センサであり(特許請求の範囲に記載の温度検出手段)、表示画面内部の任意の位置に取り付けられて内部温度を検出する。図1では2つの温度センサ10を表示画面内部の2ヶ所に取り付け、温度信号線11を介して受信回路6−1と6−3に接続しているが、照度センサ8と同様に温度センサを接続するためのインターフェース(図示しない)は全ての受信回路6−1から6−4に具備されており、何れの受信回路にも接続可能な構成となっている。表示画面1の表示パネル構成に応じて温度センサ10の取付位置を適宜調整し、取り付けた位置から最も近い位置にある受信回路に温度信号線11を接続すれば良い。
【0023】
2は表示制御部であり(特許請求の範囲に記載の表示制御手段)、パソコン12及び表示制御信号送出回路13を備えている。パソコン12には表示画面1に表示コンテンツを表示するための表示制御プログラムがインストールされており、この表示制御プログラムが実行されることでパソコンから表示用のデータ(DVI信号)が出力される。出力された表示用のデータは表示制御信号送出回路13に入力され、この表示制御信号送出回路13において表示画面1で表示を行う為の表示制御信号に変換され、表示画面1の内部に備えられる受信回路6−1から6−4に向けて送出されるのである。
【0024】
次に、本発明実施例に係る受信回路とそれを接続する信号線について図2を基に詳細に説明する。受信回路6−1から6−4を接続する信号線7は、表示制御信号ライン7aと、下り信号ライン7bと、上り信号ライン7cとで構成されている。表示制御信号ライン7aは、表示制御部2の表示制御信号送出回路13から送出されてきた表示制御信号を受信回路6−4から後段の受信回路に向けて転送する信号線である。下り信号ライン7bと上り信号ライン7cは、表示制御信号とは別に受信回路6−1から6−4の間で信号を送受信するための信号線であり、下り信号ラインは受信回路6−4から6−1の間で信号を送受信するための信号線である。図1で説明したように受信回路6−1から6−4には照度センサ8と温度センサ10が接続可能になっており、照度センサで検出した昼夜の区別を示す電位信号と、温度センサで検出した温度異常有無を示す検出信号との2種類の信号が下り信号ライン7bと上り信号ライン7cを通じて受信回路間に伝達される。
【0025】
次に、受信回路間に伝達される照度と温度に関する信号について図3を基に説明する。図1に示す照度センサ8で表示画面周囲の明るさを検出した結果が受信回路6−1に入力されると、受信回路6−1は、検出結果の値が予め設定された閾値より高い場合を昼間状態、閾値より低い場合を夜間状態と判断し、判断結果が昼間状態であれば連続したハイレベルの電位を上り信号ライン7cを通じて前段側の受信回路6−2に出力する。受信回路6−2では、上り信号ライン7cにより入力された連続ハイレベルの電位を認識して、前段の受信回路6−3へ連続ハイレベルの電位を転送し、同様にして受信回路6−4まで連続ハイレベルの電位が伝達される。このようにして、照度センサ8の検出結果に基づく昼夜の区別を表す情報が全ての受信回路に伝達される。この時、照度センサ8の検出結果が受信回路6−1で夜間状態と判断されると、連続したローレベルの電位が上り信号ライン7cを通じて前段側の受信回路6−2から6−4へと出力される。各受信回路では、昼夜の区別に応じて昼間状態であればそれぞれに接続された表示パネル群を高い発光輝度で表示を行い、夜間状態であれば低い発光輝度で表示を行う。なお、ここでは昼間状態を連続ハイレベルの電位とし、夜間状態を連続ローレベルの電位としているが、この関係を反対にして昼間状態を連続ローレベルの電位、夜間状態を連続ハイレベルの電位としても良い。
【0026】
照度センサ8に基づく昼夜の区別を示す電位が全ての受信回路に伝達されている状態にあって、温度センサ10による検出結果も受信回路6−1及び受信回路6−3に入力されており、受信回路6−1と受信回路6−3では表示画面内部の温度に関する異常発生有無を監視している。受信回路6−1及び受信回路6−3では入力されてくる温度検出結果と予め設定された閾値とを比較し、温度検出結果が閾値より低い場合を温度正常状態、閾値より高い場合を温度異常状態と判断し、温度異常状態の場合に図3に示す反転パルス信号を出力する。この反転パルス信号は、表示制御信号ライン7aを通じて伝送される表示信号の中に含まれる基準パルス信号FM(表示用のフレーム信号)に同期して反転させるもので(図3(c))、表示画面周囲が昼間状態の時には連続ハイレベルの電位に対して基準パルス信号FMに同期した立ち下がりパルス(図3(a))を出力する。一方、表示画面周囲が夜間状態の時には連続ローレベルの電位に対して基準パルス信号FMに同期した立ち上がりパルス(図3(b))を出力する。ちなみに、温度検出結果が正常状態であれば反転パルス信号の出力は行われない。そして、温度異常状態が受信回路6−1で検出された場合には上り信号ライン7cを通じて前段側の受信回路6−2から6−4へと反転パルスが出力されて全ての受信回路に伝達される。もし、温度異常状態が受信回路6−3で検出された場合には、下り信号ライン7bと上り信号ライン7cの両方に反転パルスが出力される。下り信号ライン7bに出力された反転パルスは後段側の受信回路6−2及び6−1に伝達され、上り信号ライン7cに出力された反転パルスは前段側の受信回路6−4に伝達される。このようにして、温度異常が発生した場合には異常を検出した受信回路から全ての受信回路に対して反転パルス信号が出力され、異常の発生を認識した各受信回路ではそれぞれに接続された表示パネル群を昼夜の区別に関係なく低い発光輝度で表示を行うよう輝度切り換えを行い、熱の発生を抑制する。
【0027】
以上のように、複数の受信回路を接続している下り信号ラインと上り信号ラインに出力されているパルス信号がハイまたはローの連続したパルス信号であれば、表示画面内部の温度が正常な状態にあって、周囲の明るさが昼間状態または夜間状態の何れかであることを表し、一方、下り信号ラインと上り信号ラインに出力されているパルス信号が、連続ハイ状態から周期的に反転したロー状態を示す場合、又は連続ロー状態から周期的に反転したハイ状態を示す場合には、周囲の明るさを表しながら同時に表示画面内部の温度が異常状態であることを表す。そしてこの場合に、温度センサが接続された受信回路は、温度センサの検出温度が正常範囲である時は前段または後段から伝達されてくる連続ハイ状態または連続ロー状態のパルス信号をそのままの状態で再び前段または後段に出力し、検出温度が異常状態である時には前段または後段から伝達されてくる連続ハイ状態または連続ロー状態のパルス信号を表示制御信号に含まれる基準パルス信号FMに同期して反転させ、反転させたパルス信号を前段または後段へ出力することで異常状態の発生を全ての受信回路に伝達するのである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る表示装置の活用例としては、店舗施設やビルの壁面等に設置され、公衆へ向けての集客メッセージや文字ニュース等の表示を行う大型表示装置に用いることができ、表示素子としてはLEDに限定されること無くプラズマ等他の発光素子を用いた表示装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 表示画面(表示部)
2 表示制御部(表示制御手段)
3 表示パネル
4 点滅駆動回路
5−1〜5−4 表示パネル群
6−1〜6−4 受信回路
7 信号線
7a 表示制御信号ライン
7b 下り信号ライン
7c 上り信号ライン
8 照度センサ(照度検出手段)
10 温度センサ(温度検出手段)
13 表示制御信号送出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板上に発光体を配列した表示パネルを複数備え、表示パネルの発光体を選択的に点滅することで文字や映像を発光表示する表示部と、前記発光体の点滅制御を行う表示制御手段とを備える表示装置において、
前記表示部近傍の照度を測定する照度検出手段と、
前記表示制御手段の内部に備えられ、前記表示部の発光体を点滅制御するための表示制御信号を前記表示部に出力する表示制御信号送出回路と、
前記表示部に備える複数の表示パネルを所定数毎に直列接続して構成する表示パネル群と、
前記表示パネル群毎に設けられ、前記表示制御信号送出回路から出力される表示制御信号を受信する受信回路と、
前記受信回路で受信した表示制御信号に基づいて表示パネルに備える発光体を点滅駆動する点滅駆動回路とを備え、
前記表示パネル群毎に備える複数の前記受信回路を信号線により直列接続すると共に、前記照度検出手段を複数の前記受信回路の何れにも接続可能に構成し、照度検出手段が接続された受信回路に入力される照度検出結果に関する情報を全ての受信回路に伝達し、伝達した照度に基づいて各表示パネル群の発光表示輝度を切り換えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、前記受信回路同士を接続する信号線を、前記表示制御信号送出回路から入力された表示制御信号を前段の受信回路から後段の受信回路へ向けて転送する表示制御信号ラインと、受信回路同士の間で前段から後段へ向けて信号を送る下り信号ラインと、受信回路同士の間で後段から前段へ向けて信号を送る上り信号ラインとで構成し、前記照度検出手段が接続された受信回路は、前記照度検出手段による検出結果を下り信号ライン及び上り信号ラインを用いて他の受信回路に伝達することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または2何れか記載の表示装置において、表示部の内部温度を検出する温度検出手段を設けると共にこの温度検出手段を複数の前記受信回路の何れにも接続可能に構成し、温度検出手段が接続された受信回路に入力される検出温度が予め設定した所定温度を超える異常状態にあるか、あるいは所定温度以下の正常状態にあるかを判断して、判断した表示部温度状態に関する情報を全ての受信回路に伝達し、伝達した表示部温度状態に基づいて各表示パネル群の発光表示輝度を切り換えることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の表示装置において、前記照度検出手段が接続された前記受信回路は前記照度検出手段による検出結果を基に表示部近傍の明るさが昼間状態であるか夜間状態であるかを判断し、昼間状態と夜間状態とに応じて連続したハイレベルの電位または連続したローレベルの電位を前記下り信号ライン及び上り信号ラインに出力し、同時に、前記温度検出手段による検出結果を基に判断した表示部内部温度が正常状態の時は前記電位の連続ハイレベルまたは連続ローレベルを維持し、表示部内部温度状態が異常状態の時は前記電位の連続ハイレベルまたは連続ローレベルから、前記表示制御信号送出回路から出力される表示制御信号に含まれる基準パルス信号に同期して反転するパルスを前記下り信号ライン及び上り信号ラインに出力することを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−103328(P2012−103328A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249670(P2010−249670)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】