説明

表示装置

【課題】 従来の表示装置では、例えば所定の列が暗くなるという問題があった。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、第1発光素子と、第1発光素子と同じ行に配置された第2発光素子と、第1発光素子と同じ列に配置された第3発光素子と、第3発光素子と同じ行に配置された第4発光素子と、を備える。当該表示装置は、第1発光素子及び第2発光素子に接続された第1コモンラインと第3発光素子及び第4発光素子に接続された第2コモンラインとを走査可能な走査部と、第1発光素子及び第4発光素子に接続され第1発光素子及び第4発光素子を駆動可能な第1駆動部と第2発光素子及び第3発光素子に接続され第2発光素子及び第3発光素子を駆動可能な第2駆動部とを有する駆動ICと、を更に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は複数の発光素子を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、発光素子としてLED(発光ダイオード)を用いたディスプレイが使用されている。一般的には、LEDを用いたディスプレイは、設置場所に合わせて複数の表示装置を組み合わせることにより構成される。
【0003】
表示装置には、単数又は複数の発光素子からなる1画素が多数配置されている(例えば特許文献1)。例えば、1つの表示装置において1画素がm行×n列で行列配置される場合、各行に位置する各発光素子のアノード端子が1つのコモンラインに共通に接続され、各列に位置する各発光素子のカソード端子が1つのセグメントラインに共通に接続される。各セグメントラインには、入力データに応じて発光素子を所定のタイミングで所定の時間だけ駆動させるための駆動ICが接続されている。駆動IC内部には例えばn個の駆動部が設けられており、各セグメントラインがそれぞれの駆動部に接続されている。そして、m行のコモンラインが順次選択され、選択されたコモンラインに接続された発光素子を駆動IC内部に設けられた各駆動部にて駆動することにより、全体として任意の画像を表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−306659
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の表示装置では、例えば、各列に配置された全ての発光素子が駆動IC内部に設けられた共通の駆動部にて駆動されるため、m行×n行で配置された全ての発光素子を同じ明るさで表示させようとしても所定の列が暗くなったり明るくなったりするという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、第1発光素子と、第1発光素子と同じ行に配置された第2発光素子と、第1発光素子と同じ列に配置された第3発光素子と、第3発光素子と同じ行に配置された第4発光素子と、を備える。当該表示装置は、第1発光素子及び第2発光素子に接続された第1コモンラインと第3発光素子及び第4発光素子に接続された第2コモンラインとを走査可能な走査部と、第1発光素子及び第4発光素子に接続され第1発光素子及び第4発光素子を駆動可能な第1駆動部と第2発光素子及び第3発光素子に接続され第2発光素子及び第3発光素子を駆動可能な第2駆動部とを有する駆動ICと、を更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施の形態1に係る表示装置を説明するためのブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態2に係る表示装置を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための表示装置を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。
【0009】
<実施の形態1>
図1に、実施の形態1に係る表示装置100のブロック図を示す。表示装置100は、第1発光素子1−1と、第1発光素子1−1と同じ行(図の横方向)に配置された第2発光素子1−2と、第1発光素子1−1と同じ列(図の縦方向)に配置された第3発光素子1−3と、第3発光素子1−3と同じ行に配置された第4発光素子1−4と、を備える(説明の便宜上、発光素子1が設けられた領域を表示部10とする。)。更に、表示装置100は、第1発光素子1−1及び第2発光素子1−2に接続された第1コモンラインC1と第3発光素子1−3及び第4発光素子1−4に接続された第2コモンラインC2とを走査可能な走査部20と、第1発光素子1−1及び第4発光素子1−4に接続され第1発光素子1−1及び第4発光素子1−4を駆動可能な第1駆動部31−1と第2発光素子1−2及び第3発光素子1−3に接続され第2発光素子1−2及び第3発光素子1−3を駆動可能な第2駆動部31−2とを有する駆動IC30と、を更に備える。
【0010】
これにより、列間における発光素子の明るさのばらつきを軽減することができる。以下、詳細に説明する。
【0011】
従来の表示装置は、行方向に配置された複数の発光素子が共通のコモンラインに接続され、列方向に配置された複数の発光素子が共通のセグメントラインを介して1つの駆動部に接続されている。コモンラインは走査部により順に走査され、選択されたコモンラインに対応する発光素子を駆動部にて時分割で駆動することにより、全体として所定の画像を表示することができる。ここで、各セグメントラインに対応する複数の駆動部は、1つの駆動ICに組み込まれているのが通常である。つまり、一列に配置された複数のLEDの全部又は一部は、駆動ICに組み込まれた1つの駆動部にて共通して駆動される。
【0012】
ところが、1つの駆動ICにおいて、各駆動部による発光素子の駆動は一定ではない。つまり、1つの駆動ICにおいて、各駆動部に同じ階調データが入力された場合、各駆動部に接続された全ての発光素子が同じ明るさで発光するのが理想ではあるが、一部の駆動部で駆動時間や波形にばらつきが生じる場合があった。詳細は明らかでないが、市販されている同じ型番の駆動ICでは駆動部の位置により明るさのばらつきに一定の傾向があることから、駆動IC内部で生じる熱の偏在が主な要因として考えられる。駆動ICの特性による明るさのばらつきは僅かではあるが、表示品質の更なる向上が求められている昨今においては決して無視できない問題である(特に、低輝度(短い駆動時間)で各発光素子1を駆動する場合に明るさのばらつきは目立ち易い。)。
【0013】
そこで、実施の形態1では、第1発光素子1−1を第1駆動部31−1で、第1発光素子1−1と同じ列に配置された第3発光素子1−3を第1発光素子1−1と同じ行で異なる列に配置された第2発光素子1−2を駆動可能な第2駆動部31−2で、それぞれ駆動可能としている。つまり、同じ列に配置された発光素子1−1、1−3を駆動IC30の異なる駆動部31−1、31−2にて駆動することにより、駆動ICの特性に起因する明るさのばらつきを軽減することができる。
【0014】
さらに、第1発光素子1−1と同じ行で異なる列に配置された第2発光素子1−2を第3発光素子1−3を駆動可能な第2駆動部31−2で、第3発光素子1−3と同じ行に配置された第4発光素子1−4を第1発光素子1−1を駆動可能な第1駆動部31−1で、それぞれ駆動可能としている。つまり、列数だけの駆動部31を用いて(列数以上の駆動部を用いることなく)各発光素子1を駆動することができるので、回路構成を複雑にすることなく、列間における明るさのばらつきを軽減することができる。
【0015】
第1発光素子1−1及び第3発光素子1−3が配置された列において、第1発光素子1−1と第3発光素子1−3とが繰り返し配置されていることが好ましい(つまり、第1発光素子1−1、第3発光素子1−3、第1発光素子1−1及び第3発光素子1−3が順に配置されていることが好ましい。)。特に、図1のように、第1発光素子と第3発光素子とが交互に繰り返し配置されていることが好ましい(図1では、3列目のラインにおいて、上から順に、第1発光素子1−1、第3発光素子1−3、第1発光素子、第3発光素子、第1発光素子及び第3発光素子が交互に繰り返し配置されている)。これにより、列間における明るさのばらつきをより軽減することができると共に、第1発光素子1−1及び第3発光素子1−3が配置された一列における明るさのばらつきを軽減することができる。
【0016】
ここでは、実施の形態2と異なり、第4発光素子1−4を第2発光素子1−2と同じ列に配置させている。これにより、従来と異なる配線パターンが必要とされる列を最小の2つとすることができるので、よりシンプルな回路構成で上記効果を得ることができる。
【0017】
すでに述べたように、市販されている同じ型番の駆動ICであれば、明るさのばらつきには一定の傾向がある。したがって、例えば、評価用の表示装置を作製し、どの列が暗いかを評価した上で、その列に配置された発光素子の一部を他の列に対応する駆動部にて駆動するようにすることが好ましい。
【0018】
以下、実施の形態1に係る表示装置100の主な構成要素について簡単に説明する。
【0019】
(表示部10)
表示部10は、行方向(図の横方向)にC1、C2を含む6つのコモンラインCを互いに平行に配置し、これと交差する列方向(図の縦方向)に6つのセグメントラインSを互いに平行に配置して碁盤目状に構成している。各コモンラインCと各セグメントラインSとの間には発光素子1が接続されており、6×6の計36個の発光素子1が行列配置されている。ここでは、各列の発光素子1のカソード端子がそれぞれセグメントラインSに接続され、各行の発光素子1のアノード端子がそれぞれコモンラインCに接続されている。
【0020】
(発光素子1)
発光素子1には、半導体発光素子が利用でき、特に発光ダイオード(LED)が好適に利用できる。ただ、本発明は発光素子1をLEDに限定するものでなく、半導体レーザなどの他の発光素子においても同様に適用することができる。この例では、発光素子1としてLEDを用いている。発光素子1は基板に配置される。
【0021】
(走査部20)
走査部20は、コモンラインCにそれぞれ接続された6個のスイッチ(図示せず)を備える。スイッチは各種トランジスタ等で構成される。走査部21は、外部から入力されるデータに基づいて、例えば、それぞれのスイッチを列方向に順次ON/OFF制御してコモンラインCをC1からC6に順に電圧源と接続することにより、時分割で全てのコモンラインC1〜C6に所定の電圧(例えば5V)をかけることができる。
【0022】
(駆動IC30)
駆動IC30は、セグメントラインSにそれぞれ接続される複数の駆動部31を備え、外部から入力されるデータに基づいて発光素子1を駆動するための集積回路である。駆動IC30内部に設けられた駆動部31により、各発光素子1は、入力データに基づいて所定のタイミングで所定の期間だけ定電流駆動される。


<実施の形態2>
図2に、実施の形態2に係る表示装置200のブロック図を示す。発光装置200は、第2発光素子1−2と第4発光素子1−4とが異なる列に配置されている点で実施の形態1に係る発光装置100と異なる。
【0023】
つまり、実施の形態1では2つの列において駆動部を部分的に入れ替えているが、実施の形態2では3つの列において駆動部を部分的に入れ替えている。具体的には、実施の形態1の構成に加えて、第1発光素子1−1と同じ行で第4発光素子1−4と同じ列に第5発光素子1−5が配置され、第3発光素子1−3と同じ行で第2発光素子1−2と同じ列に第6発光素子1−6が配置されている。第5発光素子1−5及び第6発光素子1−6には第3駆動部31−3が接続されている。本実施の形態では、3列の発光素子を駆動する駆動部を互いに混在させているので、2列の発光素子を駆動する駆動部を混在させた実施の形態1に比較して、列間の明るさのばらつきをより軽減させることができる。なお、4以上の列において駆動部を入れ駆ることもできることは言うまでもない。
【0024】
ここでは、発光素子1が6行×6列で配置された構成としたが、列数及び行数は任意に設定することができる。また、本明細書において「行」と「列」との関係は相対的なものであり、必ずしも「行」が水平方向で「列」が鉛直方向を示すものではない。例えば、図1及び図2を90度回転させた態様であっても、本発明の範囲内とする。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る表示装置を用いれば、様々なアプリケーションに柔軟に対応できる。例えば、ビルの側壁に配置される大型ディスプレイ、駅構内の案内表示板に利用できる。
【符号の説明】
【0026】
100、200…表示装置
1…発光素子
10…表示部
20…走査部
30…駆動IC
31…駆動部
C…コモンライン
S…セグメントライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発光素子と、前記第1発光素子と同じ行に配置された第2発光素子と、前記第1発光素子と同じ列に配置された第3発光素子と、前記第3発光素子と同じ行に配置された第4発光素子と、を備える表示装置であって、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子に接続された第1コモンラインと、前記第3発光素子及び前記第4発光素子に接続された第2コモンラインと、を走査可能な走査部と、
前記第1発光素子及び前記第4発光素子に接続され前記第1発光素子及び前記第4発光素子を駆動可能な第1駆動部と、前記第2発光素子及び前記第3発光素子に接続され前記第2発光素子及び前記第3発光素子を駆動可能な第2駆動部と、を有する駆動ICと、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1発光素子及び前記第3発光素子が配置された列において、
前記第1発光素子と前記第3発光素子とが繰り返し配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第4発光素子は、前記第2発光素子と同じ列に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−155066(P2012−155066A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12929(P2011−12929)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】