説明

表示装置

【課題】低温になると、表示領域を含む基板間に保持されたシリコーンオイルが収縮等することにより、気泡が発生する場合があり、結果として画質が低下する。
【解決手段】表示装置であって、マトリクス状に配置された複数の開口部を有するアパーチャ基板と、第1の基板と第2の基板との間に、前記複数の開口部に対応して配置されるとともに、前記アパーチャ基板に対して水平方向に移動することにより、前記複数の開口部から出射された光の量を制御する複数のシャッタ部と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に液体を保持するとともに、前記複数のシャッタ部を含んで形成される表示領域を囲むように配置された液体保持壁と、前記液体保持壁の一部に、前記液体中に発生する気泡が案内され、該気泡を保持する少なくとも1の気泡保持部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、より具体的には微小電子機械システム、つまり、MEMS(Micro Electro Mechanical System)シャッタ方式を使用した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等に代わる表示装置として、MEMSシャッタ方式を使用した表示装置が注目されている。当該ディスプレイは、偏光を利用した液晶シャッタ方式とは異なり、その名のとおり、光源からの光を、機械的シャッタを開閉することにより明暗を表示する方式である(下記特許文献1参照)。
【0003】
当該表示装置は、通常の液晶ディスプレイと比較して、バックライトの光の利用効率が非常に高くなるとともに、消費電力も少ないだけでなく、色の再現性にも優れるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該機械的シャッタは、例えば、当該機械的シャッタの両側に延伸するように配置された極板と、当該極板に対応して配置された電源極板との間に電圧を付加し、極板及び電源極板の間に静電引力を発生させることにより、動作させる。ここで、例えば、当該機械的シャッタが動作するセル内を、例えばシリコーンオイルの誘電率を上げる液体で満たすことによって、当該機械的シャッタを駆動させる電圧を低下させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、低温、例えば、氷点下以下の温度になると、当該シリコーンオイル等の液体が収縮等することにより、上記セル内に気泡が発生し、結果として画質が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、機械的シャッタが動作するセル内の液体中に気泡が発生した場合でも、気泡による影響を防止し、より高画質な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の表示装置は、マトリクス状に配置された複数の開口部を有するアパーチャ基板と、第1の基板と第2の基板との間に、前記複数の開口部に対応して配置されるとともに、前記アパーチャ基板に対して水平方向に移動することにより、前記複数の開口部から出射された光の量を制御する複数のシャッタ部と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に液体を保持するとともに、前記複数のシャッタ部を含んで形成される表示領域を囲むように配置された液体保持壁と、前記液体保持壁の一部に、前記液体中に発生する気泡が案内され、該気泡を保持する少なくとも1の気泡保持部と、を有することを特徴とする。
【0009】
(2)上記(1)に記載の表示装置において、前記気泡保持部は、前記表示領域の外側に配置されることを特徴とする。
【0010】
(3)上記(1)または(2)に記載の表示装置において、前記少なくとも1の気泡保持部は、4の気泡保持部であって、前記液体保持壁の端部に連なるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の表示装置において、前記少なくとも1の気泡保持部は、前記気泡保持部の内部に前記気泡を案内する案内壁を有することを特徴とする。
【0012】
(5)上記(4)に記載の表示装置において、前記案内壁は、前記表示領域の外側に向かって、幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする。
【0013】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の表示装置において、前記少なくとも1の気泡保持部は、前記気泡が前記気泡保持部から前記表示領域へ移動することを防止する移動防止壁を有することを特徴とする。
【0014】
(7)上記(6)に記載の表示装置において、前記移動防止壁は、L字形状に形成され、前記案内壁から案内された前記気泡が、気泡保持部の外側に向かって移動するように配置されたことを特徴とする。
【0015】
(8)上記(6)または(7)に記載の表示装置において、前記液体保持壁、前記気泡保持壁、前記案内壁、前記移動防止壁は、同一のシール材で形成されていることを特徴とする。
【0016】
(9)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の表示装置において、前記各シャッタ部は、前記シャッタ部に極板を有し、前記表示装置は、更に、前記極板に対向して配置された電源極板を有し、前記シャッタ部は、前記極板と前記電源極板との間に電圧を印加することにより移動し、前記液体は、前記液体が封入されない場合に比べ、前記極板と前記電源極板との間の誘電率を上げる液体であることを特徴とする。
【0017】
(10)上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の表示装置において、前記液体は、シリコーンオイルであることを特徴とする。
【0018】
(11)上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の表示装置において、前記表示領域は、更に、光源部を有し、前記シャッタ部は、前記光源部から前記アパーチャ基板の複数の開口部を介して出射された光の量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
機械的シャッタが動作するセル内の液体中に気泡が発生した場合でも、気泡による影響を防止し、より高画質な表示装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における表示装置の概要について説明するための図である。
【図2】シャッタ部の構成について説明するための図である。
【図3】シャッタ部の構成について説明するための図である。
【図4】TFT基板の概略について説明するための図である。
【図5】表示領域に含まれる各画素の構成の一例について説明するための図である。
【図6】本実施の形態におけるシール材について説明するための図である。
【図7】図6に示した気泡保持部周辺を拡大した図である。
【図8A】本発明の変形例について説明するための図である。
【図8B】本発明の変形例について説明するための図である。
【図8C】本発明の変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態における表示装置の概要について説明するための図である。具体的には、図1は、当該表示装置の断面の概要を示す。図1に示すように、表示装置100は、例えば、バックライト101、ガラス基板102、複数の開口部111を有するアパーチャ基板103、複数のシャッタ部104、TFT(Thin Film Transistor)基板105、背面板106を含む。
【0023】
バックライト101は、例えば、RGBそれぞれのLED等で構成される光源107と、当該光源107からの光を案内する導光板108と、導光板の下部に設置された反射シート109と、を有する。導光板108は、当該光源107からの光を当該導光板108の上面及び下面で反射するとともに、下面に所定のパターンで配置された光散乱部110を有し、当該光源からの光を散乱する。これにより、光源107からの光は、均一化され、当該導光板108から上方に照射される。なお、当該導光板108の詳細については公知であるため、詳細な説明については説明を省略する。また、バックライト101上には、ガラス基板102が積層される。
【0024】
アパーチャ基板103は、後述する、ガラス基板102上に積層された反射層及び当該反射層に積層された反射防止層を有し、また、バックライト101からの光を透過する複数の開口部111を有する。これにより、例えば、図1に示すように、バックライト101からの光は、ガラス基板102を介して、そのまま、または、上記反射層で反射し、再度導光板108の下部で反射した後、開口部111を通過する。なお、反射層としては、例えば、Ag、Al等を用い、反射防止層としては、例えば、黒クロム等を用いればよい。
【0025】
シャッタ部104は、一対のガラス基板、例えば、TFT基板105と、アパーチャ基板103が積層されたガラス基板102との間に配置される。シャッタ部104は、アパーチャ基板103に対して水平方向に移動することにより、上記開口部111からの光のうちTFT基板105側へ通過する光量を制御する。具体的には、シャッタ部104の位置が閉状態にある場合には、当該開口部111からの光を遮断し、シャッタ部104の位置が開状態にある場合には、開口部111からの光は、矢印Aで示すようにTFT基板105側へ通過する。例えば、図1において、左から1、3番目のシャッタ部は閉状態であり、左から2、4番目のシャッタ部は開状態である。なお、シャッタ部104の詳細な構成については後述する。
【0026】
TFT基板105は、各シャッタ部104の移動を制御するためのTFT112等を含む。当該TFT基板105と、アパーチャ基板103が積層されたガラス基板102との間に、例えば、シール材113等で囲んだ領域を設け、当該領域に、例えばシリコーンオイル等の液体を保持する。また、TFT基板105の上部には、例えば、TFT基板105等を保護するための透明基板である背面板106が設置される。
【0027】
なお、上記表示装置100の構成は一例であって、これに限定されるものではなく、上記構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。例えば、上記においては、表示装置100が、いわゆる透過型の表示装置100である場合の構成について説明したが、その他、いわゆる半透過型または反射型の構成であってもよい。なお、反射型の構成を用いる場合はLED等の光源107は不要となることはいうまでもない。また、上記については、光源107としてLEDを用いる場合について説明したが、その他蛍光管等その他の発光素子を用いてもよい。更に、上記においては、シャッタ部104がTFT基板105に支持されている構成について説明したが、アパーチャ基板103等に支持されてもよい。
【0028】
図2及び図3は、シャッタ部104の構成について説明するための図である。具体的には、図2は、主にシャッタ部の斜視図を示し、図3は、主にシャッタ部の正面図を示す。
【0029】
図2及び図3に示すように、シャッタ部104は、当該シャッタ部104における複数の開口部である複数のシャッタ開口部201を有するシャッタ本体202と、当該シャッタ本体202からその両側に延伸する電極板203を有する。一方、当該電極板203に対応する位置に、電源電極板204がそれぞれ配置される。また、電極板203及び電源電極板204は、例えば、TFT基板105またはアパーチャ基板103に設けられたシャッタ支持部205、電源電極板指示部206により保持される。なお、シャッタ本体202は、例えば、略矩形形状を有し、シャッタ本体202の縦横の幅は、例えば、100μm程度以下、厚さは数μm程度である。
【0030】
電極板203及び電源電極板204は、図2及び図3に示すようなばね等のように作用するような形状を有し、シャッタ本体202が移動する際に、弾性的に変形可能である。具体的には、例えば、一方の電源電極板204と電極板203との間に電圧が印加されると、当該電源電極板204と電極板203との間に静電引力が発生し、シャッタ本体202は当該電源電極板204側に引き寄せられて移動するが、当該電圧がオフされた場合には、電極板203及び当該電源電極板204の弾性力により、当該移動の方向と反対方向に移動する方向に力が働く。なお、電源電極板204と電極板203には、それぞれ、例えば、25V、0Vの電圧が印加される。
【0031】
上記のように、反対方向に移動させる場合には、他方の電源電極板204と電極板203との間に電圧を印加し、上記弾性力により力とともに、当該他方の電源電極板204と電極板203との間の静電引力を利用してもよい。
【0032】
なお、ここで、図3は、図中左側の電源電極板204と電極板203との間に電圧が印加され、シャッタ本体202が左側に移動した場合を示す。また、当該電極板203及び電源電極板204は、例えば、aSiで形成されるとともに、絶縁膜で覆われる。
【0033】
また、当該シャッタ部104のシャッタ開口部201に対応して、アパーチャ基板103には、前述のように開口部111が設けられる。上記のように電極板203と一方の電源電極板204との間に電圧が印加されることにより、電極板203と一方の電源電極板204との間に静電引力が生じる。これにより、シャッタ部104は、一方の電源電極板204から他方の電源電極板204側に向かって移動する。
【0034】
このとき、例えば、シャッタ開口部201とアパーチャ基板103の開口部111が重なる状態となり、シャッタ部104は開状態となる。一方、例えば、電圧が印加されていない場合(または、電極板203と他方の電源電極板204に電圧が印加される場合)には、シャッタ開口部201とアパーチャ基板103の開口部111は重ならず、シャッタ部104は閉状態となる。なお、図2、3においては、各画素毎に、アパーチャ基板103に2の開口部111、及び、シャッタ部104に2のシャッタ開口部201が設けられる構成を開示しているが、異なる数の開口部111及びシャッタ開口部201が設けられてもよい。
【0035】
上記のように、シャッタ部104が開状態または閉状態となることにより、バックライト101から順次照射されるRGBの各色の光を通過または遮断する時間を制御することにより、画像の表示が実現される。この点については、具体的には、後述する。
【0036】
なお、上記構成は一例であってこれに限定されるものではない。具体的には、例えば、上記については、主に、シャッタ部104が有する電極板203に対して、2の電源電極板204が配置される構成について説明したが、シャッタ部104が有する電極板203に対して、1の電源電極板204が配置される構成であってもよい。
【0037】
図4は、図1に示したTFT基板の概略について説明するための図である。図4に示すように、TFT基板105は、表示画面を表示する表示領域401、データ線制御部402、走査線制御部403、表示制御部404、バックライト制御部405を有する。なお、図4においては、表示制御部404、データ線制御部402、走査線制御部403等を別々のユニットとして記載しているが、1つのユニットとして形成してもよいし、また、一部のユニットがTFT基板105とは異なる基板上に設けられてもよい。
【0038】
表示領域401は、後述するマトリクス状に配置された複数の画素(図示せず)を有し、当該複数の画素は、それぞれ対応するデータ線406及び走査線407に接続される。なお、各データ線406は、データ線制御部402に接続され、また、各走査線407は、走査線制御部403に接続される。なお、当該複数の画素は、それぞれ上述したシャッタ部104と対応するアパーチャ基板103の開口部111を含む。
【0039】
表示制御部404は、データ線制御部402、走査線制御部403、バックライト制御部405に接続される。表示制御部404には制御信号群等(図示せず)が入力され、当該制御信号群に応じて、データ線制御信号、走査線制御信号、バックライト制御信号を、それぞれデータ線制御部402、走査線制御部403、及びバックライト制御部405に出力する。
【0040】
データ線制御部402は、表示制御部404からのデータ線制御信号に応じて、各データ線406を介して、シャッタ部104の開状態または閉状態にする電圧信号を各画素に出力する。
【0041】
走査線制御部403は、表示制御部404からの走査線制御信号に応じて、各走査線407を介して、各画素に配置されたTFTスイッチ(図示せず)を制御するための走査信号を出力する。
【0042】
バックライト制御部405は、RGB各色の光源107に接続され、表示制御部404からのバックライト制御信号に応じて、RGB各色の光源107を順次点灯させる。
【0043】
図5は、表示領域に含まれる各画素の構成の一例について説明するための図である。図5に示すように、表示領域401における各画素501は、シャッタ部104、それに対応するアパーチャ基板103の開口部111、TFT502、保持容量503を有する。また、上述のように当該各画素501は、それぞれ対応するデータ線406及び走査線407に接続される。
【0044】
TFT502のゲートは、走査線407に接続され、ソースは、データ線406に、ドレインは、対応するシャッタ部104の電源電極板204に接続される。また、保持容量503の一端は、TFT502のドレインに、他端は、接地される。シャッタ部104の電極板203は、接地される。
【0045】
次に、各画素501の動作について説明する。走査線制御部403は、各走査線407に順次走査信号を印加する。走査信号が印加されると、当該走査線407に対応する画素501は、当該画素501のTFT502がオンし、当該画素501への書き込みが許可される。当該書き込み許可された画素501に、データ線制御部402は、対応するデータ線406を介して、データ信号を印加する。
【0046】
このとき、当該画素501のTFT502はオンするので、当該データ信号に応じた電圧信号が、対応するシャッタ部104の電源電極板204に印加される。これにより、当該画素501のシャッタ部104が、例えば、開状態となる。印加されたデータ信号は、走査後も当該画素501の保持容量503に保持され、これにより、当該画素501のTFT502のオン状態を、次の書き込み許可があるまで保持することができる。
【0047】
ここで、表示制御部404は、走査線制御部403、データ線制御部402を介して、各画素501に含まれるシャッタ部104の開状態を維持する各フレーム期間内における時間を、階調値に応じて制御する。これにより、各画素501を所望の階調値で駆動される。このとき、バックライト制御部405は、各画素501にRGBの各色を順次照射し、当該各色の照射に応じて、各画素501の階調値を制御する。これにより画像を表示することができる。つまり、当該表示装置100は、いわゆる時分割グレースケール(time division gray scale)及びフィールド色順次方式(Field Sequential color method)という表示方式を用いて、画像を表示する。
【0048】
なお、上記各画素501の構成及び動作は一例であって、これに限定されるものではなく、上記で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。例えば、上記においては、TFT502がオンの場合にシャッタ部104を開状態となるとして説明したが、オフの場合にシャッタ部104を開状態とし、その他の場合にはオンするように構成してもよいし、または、2のTFTを設け、一方のTFTがオンの場合にはシャッタ部104を開状態とし、他方のTFTがオンの場合に閉状態となるように構成する等、シャッタ部104の開状態または閉状態を制御できる限り、その他の構成であってもよい。
【0049】
図6は、本実施の形態におけるシール材について説明するための図である。前述のように、シャッタ部104が設けられる、一対のガラス基板(例えば、アパーチャ基板103が積層されたガラス基板102とTFT基板105)との間には、シール材113で囲んだ領域が設けられ、当該領域に、例えばシリコーンオイル等の誘電率を上げる液体の液体が保持される。なお、当該一対のガラス基板が、例えば特許請求項範囲に記載の第1の基板及び第2の基板に相当する。
【0050】
図6に示すように、シール材113は、例えば、液体保持壁601と、4の気泡保持部602を形成する。液体保持壁601は、当該一対のガラス基板の各辺に沿って、複数の画素501で構成される表示領域401の外側に配置される。気泡保持部602は、液体保持壁601の端部に配置される。なお、気泡保持部602についても表示領域401の外側に配置されることはいうまでもない。
【0051】
図7は、図6に示した気泡保持部周辺を拡大した図である。具体的には、図7は、図6のVIIで示した領域を拡大した図である。図7に示すように、気泡保持部602は、表示領域401における液体中に生じた気泡を案内する案内壁701と、当該案内壁701により案内された気泡を保持するための保持壁702を有する。
【0052】
案内壁701は、表示領域401から保持壁702に向かう方向に、その幅が狭くなるように形成される。これにより、表示領域401から案内壁701に気泡が進入しやすくなるとともに、一度保持壁702で囲まれた領域に進入した気泡が案内壁701を通過して再度表示領域401へ移動しにくくなる。また、案内壁701の幅は、具体的には、例えば、0.1mm乃至0.5mm程度とすればよい。
【0053】
保持壁702は、例えば、図7に示すように、案内壁701が当該保持壁702で接続される部分を除き、保持壁702で囲まれた略矩形形状の領域を形成する。具体的には、当該矩形部分の各辺の長さは、縦横ともに約1mm程度とすればよい。また、案内壁701は、当該保持壁702の中央付近にまで、表示領域401側から延伸して形成されている。なお、当該保持壁702で形成される領域の形状は、例示であって、気泡を保持できる限り、略三角形、略円形状等その他の形状であってもよい。
【0054】
また、気泡保持部602は、保持壁702で囲まれる領域に保持された気泡が表示領域401へ再度移動することを防止する移動防止壁703を、保持壁702で囲まれた領域内に有してもよい。移動防止壁703は、図7に示すように、L字形状を有し、当該L字形状の頂点部分から表示領域401の外側へ向かって、広がるような形状を有する。
【0055】
これにより、案内壁701により案内された気泡は、当該移動防止壁703により、保持壁702で囲まれた領域の中央部から、保持壁702へ向かって移動し、そして移動防止壁703の裏側(移動防止壁703に対して案内壁701と反対側)へ案内される。したがって、当該移動防止壁703を有しない場合に比べ、気泡保持部602は、保持した気泡が再度表示領域401へ移動することをより効果的に防止することができる。
【0056】
ここで、気泡保持部602が、表示領域401に封止されたシリコーンオイル等の液体中に発生した気泡を保持する動作について説明する。当該表示装置100が、例えば、携帯端末等に用いられる場合であると、当該携帯端末は、ユーザーの動作や移動の際に、様々な角度に傾けられる。
【0057】
これにより、例えば、表示領域401に発生した気泡は、例えば、ユーザーの動作等に起因する表示装置100に動きに応じて、移動することにより、表示領域401から気泡保持部602の案内壁701に案内され、案内壁701を介して、保持壁702で囲まれる領域(気泡保持部602内部)に移動する。当該気泡は、主に表示領域401の端部で発生する傾向にあることから、表示領域401端部に発生した気泡は、上述のように表示領域401の4隅の外側に配置された気泡保持部602に案内されやすい。
【0058】
本実施の形態によれば、例えば、低温下において、表示領域401に封止された液体、例えばシリコーンオイル等、で気泡が発生した場合であっても、当該気泡を気泡保持部602に保持することにより、気泡を表示領域401外に設けられた気泡保持部602に保持することができる。したがって、表示領域401における、気泡による影響を防止し、結果として、より高画質な表示装置100を提供できる。
【0059】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。例えば、上記実施形態においては、液体保持壁601、及び、気泡保持部602における移動防止壁703、案内壁701、及び保持壁702等を同一のシール材113で形成する構成としたが、これに限られず、異なる材料で形成してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態においては、液体が保持される基板の各端部に、4の気泡保持部602を有する構成としたが、これに限られず、異なる数の、または、異なる位置に、気泡保持部602を設けてもよい。具体的には、例えば、図8(A)に示すように、液体が保持される基板の4の端部のうちの2の端部に気泡保持部602を設けてもよい。
【0061】
この場合、例えば、当該表示装置100が、当該気泡保持部602が設けられた側を上にして保持される場合が多い表示装置100(例えばノートパソコン等)に実装される場合等においては、発生した気泡は上方に向かうことから、当該2の気泡保持部602により気泡を効果的に保持できる。また、この場合、更に、下記のように液体保持壁601が角度を有するようにし、液体保持壁601を介して、発生した気泡が気泡保持部602に向かうようにしてもよい。
【0062】
また、例えば、上記実施の形態においては、液体保持壁601は、ガラス基板の各辺に沿って略平行に形成される場合について説明したが、これに限られず、例えば、図8(B)または図8(C)に示すように、例えば、液体保持壁601が気泡保持部602に向かってガラス基板の各辺に対して角度を有するように形成してもよい。
【0063】
具体的には、例えば、図8(B)及び図8(C)は、図中上部が上方として保持される表示装置100を想定しているが、この場合、気泡保持部602に向かって、液体保持壁601が角度を有する、つまり、気泡が当該液体保持壁601により気泡保持部602に案内されるように形成してもよい。この場合、発生した気泡は当該角度を有する液体保持壁601に沿って、気泡保持部602に向かう。よって、気泡保持部602はより効果的に気泡を保持できる。
【0064】
なお、以上説明した本実施形態における表示装置100は、パソコン用ディスプレイ、TV放送受信用ディスプレイ、公告表示用ディスプレイ等の各種の情報表示用の表示装置として採用できる。また、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーションシステム、カーオーディオ、ゲーム機器、携帯情報端末など、各種の電子機器の表示部として利用することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
100 表示装置、101 バックライト、102 ガラス基板、103 アパーチャ基板、104 シャッタ部、105 TFT基板、106 背面板、107 光源、108 導光板、109 反射シート、110 光散乱部、111 開口部、113 シール材、201 シャッタ開口部、202 シャッタ本体、203 電極板、204 電源電極板、205 シャッタ支持部、206 電源電極板指示部 401 表示領域、402 データ線制御部、403 走査線制御部、404 表示制御部、405 バックライト制御部、406 データ線、407 走査線、501 画素、502 TFT、503 保持容量、601 液体保持壁、602 気泡保持部、701 案内壁、702 保持壁、703 移動防止壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の開口部を有するアパーチャ基板と、
第1の基板と第2の基板との間に、前記複数の開口部に対応して配置されるとともに、前記アパーチャ基板に対して水平方向に移動することにより、前記複数の開口部から出射された光の量を制御する複数のシャッタ部と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に液体を保持するとともに、前記複数のシャッタ部を含んで形成される表示領域を囲むように配置された液体保持壁と、
前記液体保持壁の一部に、前記液体中に発生する気泡が案内され、該気泡を保持する少なくとも1の気泡保持部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記気泡保持部は、前記表示領域の外側に配置されることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記少なくとも1の気泡保持部は、4の気泡保持部であって、前記液体保持壁の端部に連なるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記少なくとも1の気泡保持部は、前記気泡保持部の内部に前記気泡を案内する案内壁を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記案内壁は、前記表示領域の外側に向かって、幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記少なくとも1の気泡保持部は、前記気泡が前記気泡保持部から前記表示領域へ移動することを防止する移動防止壁を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記移動防止壁は、L字形状に形成され、前記案内壁から案内された前記気泡が、気泡保持部の外側に向かって移動するように配置されたことを特徴とする請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記液体保持壁、前記気泡保持壁、前記案内壁、前記移動防止壁は、同一のシール材で形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記各シャッタ部は、前記シャッタ部に極板を有し、
前記表示装置は、更に、前記極板に対向して配置された電源極板を有し、
前記シャッタ部は、前記極板と前記電源極板との間に電圧を印加することにより移動し、
前記液体は、前記液体が封入されない場合に比べ、前記極板と前記電源極板との間の誘電率を上げる液体であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記液体は、シリコーンオイルであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示領域は、更に、光源部を有し、前記シャッタ部は、前記光源部から前記アパーチャ基板の複数の開口部を介して出射された光の量を制御することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2012−252188(P2012−252188A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125146(P2011−125146)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】