説明

表示装置

【課題】本発明は、簡便で製造コストを低減可能な構造で、効果的に画像の漏洩を低減することができる表示装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明にかかる表示装置は、サブ画素が第1方向に繰り返し配列された各サブ画素が、画像aまたは画像bを提示するよう交互に割り当てられた画像素子10と、サブ画素からの光を斜めに出射させる光学素子11とを備え、光学素子11は、色材膜4、色材膜5、色材膜6を備え、色材膜4、色材膜5、色材膜6のうち、画素組の各サブ画素から出射されるいずれかの光を吸収する各色材膜は、当該画素組の各サブ画素の間に対応する位置において開口部をそれぞれ備え、同一位置にある2つの開口部は、互いに、当該開口部が備わった色材膜が吸収する光が当該開口部を通じて出射される側に、それぞれずれて重なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特に同時に異なる画像を異なる方向に提示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の目が物を見る際には、右の眼の網膜と左の眼の網膜とに、見る角度が異なる画像(視差画像)が結像され、それらが脳内で合成されることによって、見た物の前後の位置関係の情報を得ることができる。
【0003】
近年、この生理現象を用いて、通常の1つの平面的な画面に表示される画像で、観察者に前後の位置関係を知覚させることのできる表示装置が普及し始めた(特許文献1参照)。
【0004】
この技術の応用として、観察者の右の眼および左の眼の代わりに、左右方向に適当な距離で離れた2人の観察者に、別々の異なる画像を提示する表示装置を実現することができる。例えば、ゲーム機で2人の遊戯者に対して、それぞれの遊戯者の視点の画像を必要なときに提示するような用途が想定される(特許文献2参照)。
【0005】
これらの指向性の表示装置は、1つの画面が相異なる2つの画像aおよび画像bを表示し、対象Aには画像aを、対象Aとは異なる対象Bには画像bを、それぞれ別々に振り分けて提示することができる。以下、単に表示装置と記述する。
【0006】
画像aと画像bとを同じ画像とすれば、単一の画像のみを表示する表示装置としても使用できるので、通常の単一の画像のみを表示する表示装置は、「通常の表示装置」と区別して記述する。
【0007】
画像を2つの対象に振り分けて提示する具体的な方法の、代表的なものとしては以下の方法がある。
【0008】
まず、画面を構成する画素それぞれを、相異なる2つの画像aおよび画像bのどちらか一方に帰属させる。あるいは複数の画素をまとめた画素群で区分し、その画素群それぞれを相異なる2つの画像aと画像bのどちらか一方に帰属させる。
【0009】
画像a(あるいは画像b)に帰属された画素(または画素群)は、画像a(あるいは画像b)を構成する光を発するように画像素子によって制御され、当該光によって画像が画面に表示される。
【0010】
次に、画像a(あるいは画像b)に帰属された画素(または画素群)が配光する角度範囲を、遮光性の膜を周期的に開口した光学素子により、画像a(あるいは画像b)が提示される対象A(あるいは対象B)が存在する角度範囲に制限する。このように制御することで、画像a(あるいは画像b)を対象A(あるいは対象B)に提示することができる。このような方法で、異なる画像の振り分けが可能な表示装置が具体化される。
【0011】
このように表示装置は、画面を構成する画素を制御する画像素子と、画素からの光の配光角度範囲を制御する光学素子とから構成される。
【0012】
画像素子としては、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)、EL(Electro−Luminescence)などの既存の素子が使用できるので、専用の画素制御手段と光学素子とを追加するだけで、異なる画像の振り分けが可能な表示装置が実現できる。
【0013】
表示装置の画像素子として、PDP、ELなどの自発光型の画像素子を使用する場合は、光学素子は画像素子と対象との間に配置される。
【0014】
表示装置の画像素子として、LCDのような非発光型の、光源と光源からの光を変調する変調素子とからなる画像素子を使用する場合は、光学素子は、画像素子と対象との間に配置される場合と、画像素子の光源と変調素子の間に配置される場合とがある。
【0015】
上記のように、光学素子を、画像素子と対象との間に配置する場合の方が、自発光型の画像素子にも適用でき、汎用性が高い。
【0016】
表示装置には、1つの画面から、相異なる2つの画像のそれぞれを2つの相異なる対象に対し別々に提示するという基本特性に加え、一方の対象に提示される画像を構成する光が他方の対象から見えない、あるいは他方の対象が不快に感じない程度にしか他方の対象に届かないという特性が必要とされる。
【0017】
後者の特性の実現を阻害する、一方の対象の画像を構成する光が他方の対象に届いてしまう現象(以下、画像の漏洩と記述する)の要因として、大きく2つの機構が挙げられる。
【0018】
まず機構1について述べる。
【0019】
画像aに帰属された画素(または画素群)からの光が、光学素子の開口部を通して対象Aに届くように、光学素子は配置される。言い換えると対象Aは、光学素子の開口部を通して、画像aに帰属された画素(または画素群)を見ることができる。ただし、通常の表示装置のように、人の目の分解能では識別できない程度の大きさの画素や画素群を使用する。
【0020】
しかし、対象Aが移動した場合、画像aに帰属された画素(または画素群)に隣接する、画像bに帰属された画素(または画素群)が、光学素子における同じ開口部を通して見えてしまうことがある。よって、適切な画像を見るために対象Aが存在できる許容範囲は、この現象が起こらない範囲に制限される。画像aと対象Aとの組み合わせを、画像bと対象Bとの組み合わせに読み替えても、同様の問題が生じる。
【0021】
次に機構2について述べる。
【0022】
画像aに帰属された画素(または画素群)からの光が、光学素子の開口部を通して対象Aに届くように、光学素子は配置される。
【0023】
しかし、光学素子の開口部における開口幅は有限であるため、開口部を通過する光の一部が回折され、この回折光が、画像bに帰属された画素(または画素群)を見るべき他方の対象Bへ届いてしまう。画像aと対象Aとの組み合わせを、画像bと対象Bとの組み合わせに読み替えても、同様の問題が生じる。
【0024】
これらの機構1および機構2による画像の漏洩の問題に対して、個別に対策方法が開示されている。
【0025】
特許文献3には、機構1に対する対策が開示されている。
【0026】
画像素子の画面を赤(R)、緑(G)、青(B)の光を発する画素の繰り返しで構成し、隣接する2つの画素を組にして(画素組)、一方の画素を画像aに、他方の画素を画像bにそれぞれ帰属させる。色がRで、画像aに帰属された画素を、Raと記述する(同様に、画像aに帰属された画素は、Ga、Baと記述される)。この帰属の組も繰り返しとなるように配置させる。
【0027】
そして画素組1つに対して、光学素子の開口部が1つ割り当てられるように光学素子を配置する。
【0028】
1つの光学素子の開口部に割り当てられた、すなわち、この開口部を通して、対象Aからは画像aに帰属された画素が見え、対象Bからは画像bに帰属された画素が見えるように割り当てられた画素組を配列順に(画素、画素)で記述すると、・・・(Ra、Gb)(Ba、Rb)(Ga、Bb)(Ra、Gb)(Ba、Rb)・・・となる。
【0029】
このように配列した場合に、1つの光学素子の開口部に割り当てられた画素組として例えば(Ra、Gb)についてみると、画素組の各画素に隣接する画素の色は両側ともにBとなる。このBの画素が、対象が移動した場合に、前述の画素組に対応する開口部を通して見えてしまうのが機構1である。
【0030】
よって、RおよびGの光を透過し、Bの光を吸収する黄色の色材で当該開口部を埋めると、(Ra、Gb)の両側に隣接するBの色の画素の光が吸収され、開口部を透過しなくなるので、機構1の対策となる。
【0031】
特許文献4には、機構2に対する対策が開示されている。画素の色、画像aおよび画像bの帰属の方式は特許文献3と同様である。光学素子の開口部の配置も特許文献3と同様である。
【0032】
光学素子の、開口部と開口部との間の遮光性膜は、画素2つに跨ることになる。特許文献3での記述方法に従うと、・・・(Ra、Gb)(Ba、Rb)・・・の2つの開口部の間の遮光性膜の下にはGbとBaの画素がある。この遮光性膜の上に、下の2つ画素と異なる色であるRの色材を、遮光性膜からすこし外側にはみ出すように形成する。こうすることで、開口部の端部で分散された光がブロックされ、機構2の対策となる。
【0033】
ちなみに、特許文献4の「開口のエッジで分散された光がブロックされる」とは、「分散」が回折を意味するのであれば誤解である。回折は開口部の縁で起こるのではなく、光で照明される開口部全面からの光が干渉した結果、直進以外の方向に0でない回折効率で光が届く現象である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特許第2896073号公報
【特許文献2】特開2008−242055号公報
【特許文献3】特開2006−235332号公報
【特許文献4】特表2009−500672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
機構1および機構2による、画像a(画像b)を構成する光が、対象B(対象A)側に届いてしまう画像の漏洩が生じる。この現象は、機構1および機構2どちらによる場合も表示装置の特性を悪化させるものであり、どちらの機構に対しても同時に対策することが望ましい。
【0036】
しかし、例えば特許文献3と特許文献4とを両立させようとする場合、特許文献3記載の、遮光性膜の開口部内にシアン(C)、マゼンタ(M)、黄(Y)の色材を配置した上、特許文献4記載の、開口部以外の部分にR、G、Bの色材を形成する必要がある。
【0037】
よって、遮光性膜の形成と、遮光性膜の開口部への色材の配置と、開口部以外の部分への色材の塗布形成とが必要となるので、製造が非常に複雑となり、製造コストも高くなるという問題があった。
【0038】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、簡便で製造コストを低減可能な構造で、効果的に画像の漏洩を低減することができる表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明にかかる表示装置は、第1の光を出射する第1サブ画素と、第2の光を出射する第2サブ画素と、第3の光を出射する第3サブ画素とが、その順番で第1方向に繰り返し配列され、配列された各前記サブ画素が、第1画像または第2画像を提示するよう交互に割り当てられた画像素子と、前記画像素子に対し、前記画像素子の光出射方向であって前記第1方向に直交する第2方向の側に配置され、前記画像素子における、前記第1画像の提示を割り当てられた前記サブ画素からの光を、前記第1方向の正方向側へ斜めに出射させ、前記画像素子における、前記第2画像の提示を割り当てられた前記サブ画素からの光を、前記第1方向の負方向側へ斜めに出射させる光学素子とを備え、前記光学素子は、前記第1の光および前記第2の光を透過し、前記第3の光を吸収する第1色材膜と、前記第1の光および前記第3の光を透過し、前記第2の光を吸収する第2色材膜と、前記第2の光および前記第3の光を透過し、前記第1の光を吸収する第3色材膜とを備え、前記第1〜3色材膜は、前記第2方向に互いに積層され、前記第1画像の提示を割り当てられた前記サブ画素と、前記第2画像の提示を割り当てられた前記サブ画素とからなる組を画素組とし、前記第1〜3色材膜のうち、前記画素組の各前記サブ画素から出射されるいずれかの光を吸収する各前記色材膜は、当該画素組の各前記サブ画素の間に対応する位置において開口部をそれぞれ備え、前記第2方向から平面視した場合、同一位置にある2つの前記開口部は、互いに、当該開口部が備わった前記色材膜が吸収する光が当該開口部を通じて出射される側に、それぞれずれて重なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明にかかる表示装置によれば、第1の光を出射する第1サブ画素と、第2の光を出射する第2サブ画素と、第3の光を出射する第3サブ画素とが、その順番で第1方向に繰り返し配列され、配列された各前記サブ画素が、第1画像または第2画像を提示するよう交互に割り当てられた画像素子と、前記画像素子に対し、前記画像素子の光出射方向であって前記第1方向に直交する第2方向の側に配置され、前記画像素子における、前記第1画像の提示を割り当てられた前記サブ画素からの光を、前記第1方向の正方向側へ斜めに出射させ、前記画像素子における、前記第2画像の提示を割り当てられた前記サブ画素からの光を、前記第1方向の負方向側へ斜めに出射させる光学素子とを備え、前記光学素子は、前記第1の光および前記第2の光を透過し、前記第3の光を吸収する第1色材膜と、前記第1の光および前記第3の光を透過し、前記第2の光を吸収する第2色材膜と、前記第2の光および前記第3の光を透過し、前記第1の光を吸収する第3色材膜とを備え、前記第1〜3色材膜は、前記第2方向に互いに積層され、前記第1画像の提示を割り当てられた前記サブ画素と、前記第2画像の提示を割り当てられた前記サブ画素とからなる組を画素組とし、前記第1〜3色材膜のうち、前記画素組の各前記サブ画素から出射されるいずれかの光を吸収する各前記色材膜は、当該画素組の各前記サブ画素の間に対応する位置において開口部をそれぞれ備え、前記第2方向から平面視した場合、同一位置にある2つの前記開口部は、互いに、当該開口部が備わった前記色材膜が吸収する光が当該開口部を通じて出射される側に、それぞれずれて重なることにより、3層の色材膜を備える光学素子で、効果的に画像の漏洩を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施の形態1にかかる表示装置の断面模式図である。
【図2】実施の形態1にかかる表示装置の斜視模式図である。
【図3】実施の形態1にかかる表示装置の、開口部とサブ画素との位置対応を説明する模式図である。
【図4】実施の形態1にかかる表示装置の、サブ画素から出射される光線の角度範囲を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
以下の実施の形態において、画像単位とは、画像信号上で画像を構成する最小単位を示すものとし、画素とは、画像単位を画面に表示するために画像信号によって光の出射状態が制御される、画面上の表示単位を示すものとする。
【0043】
本発明はまず、3種のサブ画素を備える。ここでサブ画素とは、画像情報に含まれる色を表現するために1つの色の光を担当する光出射領域と、光の出射状態を制御するための制御回路からなる、最小表示単位を示すものとする。
【0044】
図1は、本実施の形態にかかる表示装置の断面模式図である。
【0045】
図1に示すように表示装置12は、画像素子10と、光学素子11とを備える。
【0046】
画像素子10は、第1の色(R:赤)の光を担当する、第1サブ画素としてのサブ画素1aおよびサブ画素1bと、第2の色(G:緑)の光を担当する、第2サブ画素としてのサブ画素2aおよびサブ画素2bと、第3の色(B:青)の光を担当する、第3サブ画素としてのサブ画素3aおよびサブ画素3bとを備える。
【0047】
図1に示すようにこれらは、サブ画素1a、サブ画素2b、サブ画素3a、サブ画素1b、サブ画素2a、サブ画素3bの順で第1方向に配列している。ここで第1方向とは、表示装置12が画像を提示する2つの対象(図示せず)を結ぶ線分の、表示装置の画面上へ射影した方向である。一般的には、画像を提示する2つの対象は水平方向の左右に並ぶことが多いので、本実施の形態での第1方向は、表示装置の画面上の左右方向とする。
【0048】
隣接する2つのサブ画素を組にして(画素組)、一方を第1画像としての画像aに、他方を第2画像としての画像bにそれぞれ割り当てる(帰属させる)。この画素組を左右方向(第1方向)に繰り返し配置する。すなわち、各サブ画素は、画像aまたは画像bを提示するように交互に割り当てられる。
【0049】
ここで、図1のサブ画素1a、サブ画素2b等と図示してある矩形は、サブ画素の光出射領域を模式的に示したものである。
【0050】
光学素子11はその断面で見ると、サブ画素1a、サブ画素1b、サブ画素2a、サブ画素2bからの光を透過し、サブ画素3a、サブ画素3bから光を吸収する第4の色(Y:黄色)の色材膜4L(長成膜部)および色材膜4S(短成膜部)と、サブ画素1a、サブ画素1b、サブ画素3a、サブ画素3bからの光を透過し、サブ画素2a、サブ画素2bから光を吸収する第5の色(M:マゼンタ)の色材膜5L(長成膜部)および色材膜5S(短成膜部)と、サブ画素2a、サブ画素2b、サブ画素3a、サブ画素3bからの光を透過し、サブ画素1a、サブ画素1bから光を吸収する第6の色(C:シアン)の色材膜6L(長成膜部)および色材膜6S(短成膜部)とを、透明基板7に対し、重ねて成膜したものである。光学素子11は、サブ画素が配列された第1方向と直交する方向(第2方向)に、画像素子10からの光を受けるようにその出射方向に配置され、色材膜4、色材膜5、色材膜6の積層方向も第2方向である。
【0051】
各色材膜には、開口部がそれぞれ備えられており、第1色材膜としての色材膜4においては、色材膜4L(長成膜部)と色材膜4S(短成膜部)との間に形成される開口部400、開口部401、開口部402が備えられ、第2色材膜としての色材膜5においては、色材膜5L(長成膜部)と色材膜5S(短成膜部)との間に形成される開口部500、開口部501、開口部502が備えられ、第3色材膜としての色材膜6においては、色材膜6L(長成膜部)と色材膜6S(短成膜部)との間に形成される開口部600、開口部601が備えられる。
【0052】
図示はしていないが、画像aまたは画像bが提示される対象Aおよび対象Bは、透明基板7のさらに上方に配置され、光学素子11は、画像素子10のサブ画素が配置されている画面と対象との間に配置されている。
【0053】
光学素子11の各色材膜には、図に示すような開口部がそれぞれ設けられており、先ほどの画像aと画像bとに割り当てられたサブ画素の画素組1つに対して、以下に述べる法則に則った位置に、1つの開口部が配置されている。
【0054】
図2は、本実施の形態にかかる表示装置の斜視模式図である。なお、図1における透明基板7は図示を省略する。また画像素子10も、画面上のサブ画素の配列のみを示している。
【0055】
3層重ねられた色材膜4(色材膜4Lおよび色材膜4S)、色材膜5(色材膜5Lおよび色材膜5S)、色材膜6(色材膜6Lおよび色材膜6S)は、それぞれ画面全面を覆うように成膜されており、その一部に開口部がそれぞれ設けられている。画像aに割り当てられたサブ画素と、画像bに割り当てられたサブ画素との画素組1つに対して、開口部が1つの割合で設けられる。なお、画面を垂直に見たときのサブ画素の光出射領域の位置を、それぞれの色材膜上に破線(矩形)で模式的に示している。
【0056】
ここで、色材膜の1つのみを見ると、割合的には開口部が設けられるべき部分に開口部が設けられていない箇所があるが、その分他の色材膜に開口部が空いているので、3層の色材膜全体としては上記の割合となっている。すなわち、画素組1つに対して、3層の色材膜のうちの2層が、対応する開口部を備えている。
【0057】
図1の断面模式図を参照すると、例えば、画像aに割り当てられた第1の色(R:赤)の光を担当するサブ画素1aと、画像bに割り当てられた第2の色(G:緑)の光を担当するサブ画素2bとが隣接しており、この組に対して、第5の色(M:マゼンタ)の色材膜5Lと色材膜5Sとの間の開口部501が、第6の色(C:シアン)の色材膜6Lと色材膜6Sとの間の開口部600が、それぞれ設けられている。一方、第4の色(Y:黄色)の色材膜には、対応する開口部は設けられていない。
【0058】
第1の色(R:赤)の光を担当するサブ画素1aからの光と、第2の色(G:緑)の光を担当するサブ画素2bからの光は、色材膜4Lを透過する。一方、サブ画素1aおよびサブ画素2bの両側に隣接する第3の色(B:青)の光を担当するサブ画素3aとサブ画素3bとからの光は、ともに第3の色(B:青)であり色材膜4Lで吸収される。
【0059】
以上より、機構1による画像の漏洩を防ぐことができる。
【0060】
この色材膜の開口部の設け方を一般化する。画像素子の画面上で、第1方向に画像aに割り当てられたサブ画素と、画像bに割り当てられたサブ画素との画素組が繰り返されており、この方向でサブ画素の出射光の色が・・・第1の色、第2の色、第3の色、第1の色・・・と繰り返されている。つまり、サブ画素は・・・1a、2b、3a、1b、2a、3b、1a・・・の繰り返しとなる(図1参照)。
【0061】
1つのサブ画素の画素組に注目すると、画像aに割り当てられたサブ画素が、第1〜3の色のうちの1色(色X)であり、隣接する画像bに割り当てられたサブ画素が、第1〜3の色のうちの画像aに割り当てられたサブ画素とは異なる1色(色Y)となる。
【0062】
このサブ画素Xaとサブ画素Ybの組に対して、色材膜に開口部を設ける。「画素の組に対して開口部を設ける」とは、図3のように、色材膜5Sの縁と色材膜5Lの縁との間である開口部501を画像素子10の画面に射影したとき、サブ画素Xaの光出射領域、サブ画素Ybの光出射領域それぞれの中心位置(出射中心1000、出射中心1001)の中間位置、すなわち画素組全体の画素中心1003が、開口部501の射影内に対応することである。ここで、図3においては、開口部501の開口中心と開口部600の開口中心との中間位置、すなわち開口部全体の開口中心1002と、画素中心1003とはずれているが、開口中心1002と画素中心1003とが重なっていてもよい。
【0063】
ここで、画素中心1003を2つの画素の画素境界とし、光学素子11を通して画面を見たときに、この画素境界が色材膜の開口部から見える状態を、「開口部と画素境界とが重なる」と記述する。また、複数の開口部(例えば開口部501と開口部600)の射影に互いに重なり合う状態を、「2つの開口部が重なる」と記述する。
【0064】
3層(3色)ある色材膜のうち、1つの色材膜には開口部を設けない。この開口部を設けない色材膜は、注目したサブ画素の組(Xa、Yb)の、サブ画素Xaおよびサブ画素Ybからの光(色X、色Y)は透過し、画素組の両側に隣接する2つのサブ画素からの光、すなわち、色Xおよび色Yとは異なる、第1〜3の色の残りの1色(色Z)は吸収する色材膜である。
【0065】
上記のことはすなわち、色Zを吸収する色材膜が、色Zが出射されるサブ画素と、当該光が出射される側に配列されるサブ画素との間に対応する位置に開口部を設け、色Yを吸収する色材膜が、色Yが出射されるサブ画素と、当該光が出射される側に配列されるサブ画素との間に対応する位置に開口部を設け、色Xを吸収する色材膜が、色Xが出射されるサブ画素と、当該光が出射される側に配列されるサブ画素との間に対応する位置に開口部を設けることに対応する。
【0066】
この一般則に基づいて色材膜に開口部を設けると、図1のように第1方向(左右方向)のサブ画素の光出射領域を含む断面で、色材膜が、・・・4画素に跨る長成膜部、開口部、2画素に跨る短成膜部、開口部・・・の繰り返しとなって形成されることになる。例えば色材膜4を例に挙げると、4画素に跨る色材膜4L、開口部401、2画素に跨る色材膜4S、開口部402と繰り返されていく。
【0067】
このように、透明基板7に色材膜を重ねて成膜し、色材膜の開口部を設ける上記の一般則を適用する構成で、機構1による画像の漏洩を防ぐことができる。
【0068】
さらに、本実施の形態にかかる表示装置では、機構1による画像の漏洩と同時に、下記の構成により機構2による画像の漏洩を低減することができる。
【0069】
図1の断面模式図を参照すると、2つの色材膜の開口部が部分的に重なって設けられている。2つの色材膜の開口部は部分的に重なっているが、それぞれの開口部の画面への射影は、第1方向(左右方向)にずれるように設けられている。
【0070】
例えば、画像aに割り当てられた、第1の色(R:赤)の光を担当するサブ画素1aと、画像bに割り当てられた、第2の色(G:緑)の光を担当するサブ画素2bとが隣接している。
【0071】
この画素組に対して、第5の色(M:マゼンタ)の色材膜5Lと色材膜5Sとの間には開口部501と、第6の色(C:シアン)の色材膜6Lと色材膜6Sとの間には開口部600とが、それぞれ設けられている。
【0072】
図1では、開口部501の幅は開口部600の幅と同じであるが、それらの形成位置は第1方向に互いにずれているので、色材膜5Sより色材膜6Lの方が開口部501に張り出し、色材膜6Sより色材膜5Lの方が開口部600に張り出している。つまり、サブ画素1aからの光を吸収する開口部600は、開口部501より相対的に図面右側(対象Aへ提示する光、すなわち色材膜6が吸収する光が出射される側である、第1方向の正方向側)に、サブ画素2bからの光を吸収する開口部501は、開口部600より相対的に図面左側(対象Bへ提示する光、すなわち色材膜5が吸収する光が出射される側である、第1方向の負方向側)に配置されている。
【0073】
ここで、第1方向の正方向側とは、第1方向の正方向成分を含む方向全てを示す概念であり、図1において図面右側を第1方向の正方向とすると、図面上下方向より右側に傾く方向(例えば右斜め方向)を示す。第1方向の負方向側とはその逆であり、図1において図面左側を第1方向の負方向とすると、図面上下方向より左側に傾く方向(例えば左斜め方向)を示す。
【0074】
仮に全てのサブ画素から光が出射している状態の画像素子10と、光学素子11との間に、拡散性を有する素子を配置したとする。この場合に、画像素子10を光源として光学素子11を照らし、光学素子11をみた場合、断面に沿って・・・黒、第2の色(G:緑)、第1の色(R:赤)と第2の色(G:緑)の混色、第1の色(R:赤)、黒、第1の色(R:赤)、第3の色(B:青)と第1の色(R:赤)の混色、第3の色(B:青)、黒、第3の色(B:青)、第2の色(G:緑)と第3の色(B:青)の混色、第2の色(G:緑)、黒・・・の繰り返しに見える。
【0075】
3層の色材膜が重なった部分は、第1〜3の色の光のそれぞれを吸収するので黒に見え、2層の色材膜の開口部が重なっている部分は、残り1つの色材を通して第1〜3の色のうち2つが透過して混色に見え、開口部の縁の近傍は、1つの色材の開口部と残り2つの色材を通して第1〜3の色のうち1つの色に見える。よって、上記のような色の繰り返しが見える。
【0076】
なお、上記の説明はあくまで、色材膜の色とサブ画素から出射される光の色との関係を例示したものであり、表示装置としての構成では、このようには見えない場合がある。
【0077】
このような構成とすることにより、従来の構成を用いた場合と比較して、開口部600および開口部501を通して画像aを提示するサブ画素1aはより図面右側(第1方向の正方向側)に、開口部600および開口部501を通して画像bを提示するサブ画素2bはより図面左側(第1方向の負方向側)に、それぞれ画像を提示することができる。ほかの開口部についても同様の効果がある。
【0078】
図4に具体例を示す。サブ画素1aからの光は、開口部600の縁を通る光線15aおよび光線15bの間を通って図面右側(第1方向の正方向側)へ画像aを提示する(図4(a)参照)。
【0079】
一方、上記のように第1方向にずれた開口部を持たない遮光性膜20を用いて、サブ画素からの光を振り分ける場合、遮光性膜20に設けられた開口部700の縁を通る光線15aおよび光線15cの間を通って、図面右側(第1方向の正方向側)へ画像aを提示することになる(図4(b)参照)。
【0080】
光線15cよりも光線15bの方が図面右側(第1方向の正方向側)に進むので、本発明の方が、その逆方向である図面左側(第1方向の負方向側)へ直進する光は少なくなる。
【0081】
機構2による画像の漏洩は、光の回折に起因するわけであるが、一般的に直進光(回折角度が0°)を中心に、高角側へ回折するほど回折効率は小さくなる(正確には、包絡線がこの形状で、回折効率が極小になる特定の回折角が存在する)。
【0082】
よって、回折の主な寄与は、画像を提示する対象とは反対側の縁寄りに進む光(すなわち、光線15bや光線15c)の回折である。
【0083】
従って、本発明のような構成とすれば、回折による寄与を抑制することができ、機構2よる画像の漏洩を低減することができる。
【0084】
このような構成により、機構1による画像の漏洩に加え、機構2による画像の漏洩を低減することができる。
【0085】
本発明にかかる表示装置の構成は、透明基板7に3色の色材膜を重ねて成膜するという、LCD用カラーフィルタなどで使用されている製造技術と同じ技術で提供できる。
【0086】
以上の説明では、色という単語について一般的な概念で使用してきたが、本発明でのサブ画素から出射光の色である第1、第2、第3の色と、色材膜の色である第4、第5、第6の色とは、下記のような区別をしておく。
【0087】
本発明におけるサブ画素から出射光の色である第1、第2、第3の色は、表示装置に望まれる色の再現性が保たれるということ、第1、第2、第3の色が相異なるということが要求される。光の色は例えば、JIS Z8724で測定できる。色が異なるかどうかの判定は例えば、マクアダムの楕円が利用できる。
【0088】
一方、色材膜の色である第4、第5、第6の色は、サブ画素から出射光を吸収または透過するという機能が要求される。この機能さえ満たせば色はなんでも構わない。
【0089】
第1、第2、第3の色は、LCDやPDPなどで広く用いられているサブ画素に対する色の割り当てとなる、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかとすることができる。画像素子としては、3つのサブ画素により画像単位の色と輝度とを表現する画素を構成するものであればよく、LCD方式やPDP方式、EL方式などの画像素子が挙げられる。
【0090】
サブ画素の第1、第2、第3の色がそれぞれR、G、Bである場合、色材膜の色は白色光で見たときの色を、第4の色は黄(Y)、第5の色はマゼンタ(M)、第6の色はシアン(C)とすればよい。
【0091】
ただし、色の組み合わせは上記のものに限らない。各サブ画素からの光がレーザーのような単色光に近い場合、第4〜6の色は、対応するサブ画素からの光を透過あるいは吸収し、表示装置に望まれる色の再現性が実現するように色材が調整されていれば、Y、M、Cからかけ離れた色であっても構わない。第1〜3の色も、表示装置に望まれる色の再現性が保たれれば、R、G、Bの組み合わせ以外を選択しても構わない。
【0092】
また、本実施の形態においては、図1のような断面を考える際の断面のとり方を規定していない。サブ画素の光出射領域の形状が、第1方向と第1方向に直交する第2方向(第1方向が左右方向なら、第2方向は上下方向となる)におおよそ平行な辺を持つ矩形であれば、断面の取り方に依存しない。
【0093】
光出射領域の形状を矩形に限定するものではない。ただ、光出射領域の第1方向に沿った長さが最も長い部分での断面を考えると、機構1および機構2の寄与が最も大きくなる。
【0094】
例えば、図1でサブ画素1aとサブ画素2bとの画素組を考える。光出射領域の第1方向に沿った長さが長くなると、組の両側に隣接するサブ画素3aとサブ画素3bとが画素組の方へ寄ってくるようになる。よって、画面に垂直な方向により近い角度で、開口部501および開口部600を通して、隣接するサブ画素3a(またはサブ画素3b)が見え始めるようになる。よって、機構1による寄与が大きくなる。
【0095】
また、サブ画素1aおよびサブ画素2bの光出射領域それぞれの出射中心1000および出射中心1001が、画素中心1003の方へ寄ってくるようになるので(図3参照)、開口部600の縁を通る光線15bが、より図面左側(第1方向の負方向側)へ寄ってくる(図4参照)。
【0096】
例えば図1で、サブ画素1aからの光は図面右側(第1方向の正方向側)へ出射させたいが、開口部600の直下まで光出射領域の端が伸びているために、画面正面(画面に垂直な方向、図面上方向)へ光が出射するようになる。さらに光出射領域の端が開口部600に重なるようになると、図面左側(第1方向の負方向側)へも光が出射するようになる。よって、機構2による寄与が大きくなる。
【0097】
以上のように、光出射領域の第1方向に沿った長さが最も長い部分が、機構1および機構2の寄与が最も大きくなるので、その部分の断面で上記の構成を取ることが、発明の効果が最も大きくなることになる。従って、そのような断面で上記の構成となるようにすればよい。光出射領域の形状が矩形以外の、角を欠いた矩形、平行四辺形、それらの組み合わせ等であっても同様に考えることができる。
【0098】
光出射領域の第1方向に沿ったサブ画素の長さが最も長い部分での断面が連続しない場合は、各サブ画素の光出射領域の第1方向に沿った長さが最も長い部分での断面を繋ぎ合わせて、図1のような1枚の断面図を作成し、その断面図で上記の構成となるようにすればよい。なお、光出射領域の第1方向に沿ったサブ画素の長さが最も長い部分での断面は、断面に色材の開口部がある断面で考える。
【0099】
また図1では、各サブ画素の光出射領域の幅は等しく描画されている。各色材の開口部の幅も相等しく描画されている。2つの色材膜が重なる開口部全体の開口中心(例えば図3のような、開口部501および開口部600のそれぞれの開口中心の中間位置である開口中心1002)が、開口部に対応する画像aおよび画像bが割り当てられたサブ画素の画素組の画素中心1003と重なり(図3参照)、画像素子10が第1方向に対して対称な特性を示すのであれば、表示装置は第1方向に対して対称な特性を示す。
【0100】
逆に、画像aおよび画像bが割り当てられたサブ画素の画素組の、それぞれの光出射領域の幅を異なるものとすることで、第1方向に対して非対称な特性を示すようにすることもできる。画像が提示される2つの対象に優位順がある場合(例えば、操縦士と副操縦士で、操縦士優先等)には、このような構成が有利である。
【0101】
また、サブ画素の画素組に対応する、各色材膜の開口部の幅を相異なるように構成してもよい。
【0102】
また、2つの色材膜の重なる開口部全体の開口中心1002(図3参照)と、開口部に対応する画像aおよび画像bが割り当てられたサブ画素の画素組の画素中心1003(図3参照)とをずらして、開口部を設けても良い。
【0103】
本実施の形態では、光学素子11の透明基板7については、とくに言及しなかった。光学素子11の透明基板7は、画像素子10とは別に用意しても良いし、画像素子10に使用される透明基板を兼ねて、部材点数が削減してもよい。
【0104】
例えば、光学素子11の透明基板7は、光学素子11と画像素子10との間に配置することで、LCD方式やPDP方式の画像素子のカラーフィルタ基板(対象側の基板)を兼ねることができる。EL方式の画像素子の対象側の保護基板を兼ねることもできる。
【0105】
本実施の形態では、透明基板7に3層の色材膜を重ねて光学素子11を構成してきたが、加えて、3層の色材膜が重なる部分に遮光性膜を成膜しても構わない。
【0106】
3層の色材膜が重なる部分を透過する光があり、その光を遮光したい場合に、当該構成が有効である。LCD用カラーフィルタにも3色に加えてブラックマトリクスという遮光性膜を成膜するので、既存の製作技術で作成できるという、本発明の簡便さは変わらない。
【0107】
遮光性膜で本発明に必要な性能を実現できるのであれば、当該遮光性膜を成膜した部分は、必要に応じて色材膜を成膜しなくてもよい。この場合、使用する色材膜の量を減量することができる。
【0108】
ただし、本発明の構成上、3層の色材膜が重なって形成されるはずの部分にのみ、上記の遮光性膜が成膜できることに注意が必要である。具体的には、短成膜部である色材膜4S、色材膜5S、色材膜6Sと、長成膜部の開口部への張り出し部を除く部分が、遮光性膜への置き換えが可能な部分である(図1参照)。
【0109】
<A−2.効果>
本発明にかかる実施の形態によれば、表示装置において、第1の光(R)を出射する第1サブ画素としてのサブ画素1aおよびサブ画素1bと、第2の光(G)を出射する第2サブ画素としてのサブ画素2aおよびサブ画素2bと、第3の光(B)を出射する第3サブ画素としてのサブ画素3aおよびサブ画素3bとが、その順番で第1方向に繰り返し配列され、配列された各サブ画素が、第1画像としての画像aまたは第2画像としての画像bを提示するよう交互に割り当てられた画像素子10を備える。
【0110】
また表示装置において、画像素子10に対し、画像素子10の光出射方向であって第1方向に直交する第2方向の側に配置され、画像素子10における、画像aの提示を割り当てられたサブ画素からの光を、第1方向の正方向側へ斜めに出射させ、画像素子10における、画像bの提示を割り当てられたサブ画素からの光を、第1方向の負方向側へ斜めに出射させる光学素子11を備える。
【0111】
光学素子11は、第1の光(R)および第2の光(G)を透過し、第3の光(B)を吸収する色材膜4と、第1の光(R)および第3の光(B)を透過し、第2の光(G)を吸収する色材膜5と、第2の光(G)および第3の光(B)を透過し、第1の光(R)を吸収する色材膜6とを備え、色材膜4、色材膜5、色材膜6それぞれは、第2方向に互いに積層される。
【0112】
本発明にかかる実施の形態によれば、画像aの提示を割り当てられたサブ画素と、画像bの提示を割り当てられたサブ画素とからなる組を画素組とし、色材膜4、色材膜5、色材膜6のうち、画素組の各サブ画素から出射されるいずれかの光を吸収する各色材膜は、当該画素組の各サブ画素の間に対応する位置において開口部をそれぞれ備え、第2方向から平面視した場合、同一位置にある2つの開口部は、互いに、当該開口部が備わった色材膜が吸収する光が当該開口部を通じて出射される側に、それぞれずれて重なることで、3層の色材膜を備える光学素子11を用いて、効果的に画像の漏洩を低減することができる。当該光学素子は、例えば液晶用RGB3色カラーフィルタと同様の製法で製造でき、簡便な構造である。
【0113】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、表示装置において、第1の光、第2の光、第3の光が、それぞれ赤色の光、緑色の光、青色の光のいずれかであることで、赤、緑、青の加法混色により、白を含む広い色域をカバーできる表示装置を実現することができる。
【0114】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、表示装置において、色材膜4、色材膜5、色材膜6の開口部のうち少なくとも2つが、第1方向の開口幅がそれぞれ異なることで、画像aの特性と画像bの特性とが非対称となり、どちらかに優位性を与えたい場合に有利である。
【0115】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、表示装置において、第2方向から平面視した場合、ずれて重なった開口部全体の開口中心1002と、画素組全体の画素中心1003とがずれていることで、第1方向の開口幅がそれぞれ異なることで、画像aの特性と画像bの特性とが非対称となり、どちらかに優位性を与えたい場合に有利である。
【0116】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、表示装置において、画素組の、各サブ画素の光出射領域の面積が、互いに異なることで、第1方向の開口幅がそれぞれ異なることで、画像aの特性と画像bの特性とが非対称となり、どちらかに優位性を与えたい場合に有利である。
【0117】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、表示装置において、光学素子11が、第2方向から平面視した場合、色材膜4、色材膜5、色材膜6のいずれの開口部も形成されない領域に遮光性膜をさらに備えることで、表示装置の遮光性を向上させることができる。
【0118】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、表示装置において、光学素子11が、第2方向から平面視した場合、色材膜4、色材膜5、色材膜6のいずれの開口部も形成されない領域に、色材膜4、色材膜5、色材膜6に代えて遮光性膜を備えることで、表示装置の遮光性を向上させることができ、また必要となる色材膜の量を減量することができる。
【0119】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、表示装置において、光学素子11は、色材膜4、色材膜5、色材膜6がそれぞれ積層される透明基板7をさらに備え、透明基板7は、画像素子10のカラーフィルタ基板または保護基板を兼ねることで、構成部品を減らすことができる。
【符号の説明】
【0120】
1a,1b,2a,2b,3a,3b サブ画素、4,4L,4S,5,5L,5S,6,6L,6S 色材膜、7 透明基板、10 画像素子、11 光学素子、12 表示装置、15a〜15c 光線、20 遮光性膜、400〜402,500〜502,600,601,700 開口部、1000,1001 出射中心、1002 開口中心、1003 画素中心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を出射する第1サブ画素と、第2の光を出射する第2サブ画素と、第3の光を出射する第3サブ画素とが、その順番で第1方向に繰り返し配列され、
配列された各前記サブ画素が、第1画像または第2画像を提示するよう交互に割り当てられた画像素子と、
前記画像素子に対し、前記画像素子の光出射方向であって前記第1方向に直交する第2方向の側に配置され、
前記画像素子における、前記第1画像の提示を割り当てられた前記サブ画素からの光を、前記第1方向の正方向側へ斜めに出射させ、
前記画像素子における、前記第2画像の提示を割り当てられた前記サブ画素からの光を、前記第1方向の負方向側へ斜めに出射させる光学素子とを備え、
前記光学素子は、
前記第1の光および前記第2の光を透過し、前記第3の光を吸収する第1色材膜と、
前記第1の光および前記第3の光を透過し、前記第2の光を吸収する第2色材膜と、
前記第2の光および前記第3の光を透過し、前記第1の光を吸収する第3色材膜とを備え、
前記第1〜3色材膜は、前記第2方向に互いに積層され、
前記第1画像の提示を割り当てられた前記サブ画素と、前記第2画像の提示を割り当てられた前記サブ画素とからなる組を画素組とし、
前記第1〜3色材膜のうち、前記画素組の各前記サブ画素から出射されるいずれかの光を吸収する各前記色材膜は、当該画素組の各前記サブ画素の間に対応する位置において開口部をそれぞれ備え、
前記第2方向から平面視した場合、同一位置にある2つの前記開口部は、互いに、当該開口部が備わった前記色材膜が吸収する光が当該開口部を通じて出射される側に、それぞれずれて重なることを特徴とする、
表示装置。
【請求項2】
前記第1の光、前記第2の光、前記第3の光が、それぞれ赤色の光、緑色の光、青色の光のいずれかであることを特徴とする、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1画像の提示を割り当てられた、前記第1方向に連続する3つの前記サブ画素が、前記第1画像の画像単位を構成し、
前記第2画像の提示を割り当てられた、前記第1方向に連続する3つの前記サブ画素が、前記第2画像の画像単位を構成することを特徴とする、
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1〜3色材膜の開口部のうち少なくとも2つが、前記第1方向の開口幅がそれぞれ異なることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2方向から平面視した場合、ずれて重なった前記開口部全体の開口中心と、前記画素組全体の画素中心とがずれていることを特徴とする、
請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記画素組の、各前記サブ画素の光出射領域の面積が、互いに異なることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記光学素子が、前記第2方向から平面視した場合、前記第1〜3色材膜のいずれの前記開口部も形成されない領域に遮光性膜をさらに備えることを特徴とする、
請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記光学素子が、前記第2方向から平面視した場合、前記第1〜3色材膜のいずれの前記開口部も形成されない領域に、前記第1〜3色材膜に代えて遮光性膜を備えることを特徴とする、
請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記光学素子は、前記第1〜3色材膜が積層される透明基板をさらに備え、
前記透明基板は、前記画像素子のカラーフィルタ基板または保護基板を兼ねることを特徴とする、
請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44981(P2013−44981A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183345(P2011−183345)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】