説明

表示装置

【課題】 表示像に遠近感を付与し、視覚的演出効果のある表示装置を提供する。
【解決手段】 表示画像を示す表示光Lを出射するプロジェクタ40と、表示光Lが投射され表示画像を表示するスクリーン50とを備え、スクリーン50に表示された表示画像を第1、第2の反射部材80、90を用いてフロントガラス100に投影し、表示像(虚像)Vを表示する表示装置において、スクリーン50として、第1のスクリーン51とこの第1のスクリーン51と非平行状態をなす第2のスクリーン52とを有し、第1のスクリーン51には表示画像の一部となる第1の表示画像S1が表示されるとともに第2のスクリーン52には第1の表示画像S1とは表示形態が異なる第2の表示画像S2が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画像を示す表示光を出射する投射型表示器と、表示光が投射される被投射部材とを備え、被投射部材に表示された表示画像を反射手段を用いて所定の投影部材に投影し、虚像を表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の表示装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の表示装置は、車両に搭載されたヘッドアップディスプレイからなり、所定の表示画像を示す表示光を出射する投射型表示器等からなる表示器と、この表示器から出射される表示光が投射され前記表示画像を表示する透過型スクリーン(被投射部材)とを備え、この透過型スクリーンに表示された前記表示画像を反射手段である2つの反射鏡を用いてウインドシールド(所定の投影部材)に投影し、車両を運転する運転者に対し表示像(虚像)を表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−126226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置の場合、透過型スクリーンの形状が平坦形状となっていることに起因して、透過型ウインドシールドの前方に表示される(運転者が視認可能な)表示像は、遠近感に乏しい表示像となってしまい、視覚的演出効果の低いものであった。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、表示像に遠近感を付与し、視覚的演出効果のある表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表示画像を示す表示光を出射する投射型表示器と、前記表示光が投射され前記表示画像を表示する被投射部材とを備え、前記被投射部材に表示された前記表示画像を反射手段を用いて所定の投影部材に投影し、虚像を表示する表示装置において、前記被投射部材として、第1の被投射部材とこの第1の被投射部材と非平行状態をなす第2の被投射部材とを有し、前記第1の被投射部材には前記表示画像の一部となる第1の表示画像が表示されるとともに前記第2の被投射部材には前記第1の表示画像とは表示形態が異なる第2の表示画像が表示されてなることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、表示画像を示す表示光を出射する投射型表示器と、前記表示光が投射され前記表示画像を表示する被投射部材とを備え、前記被投射部材に表示された前記表示画像を反射手段を用いて所定の投影部材に投影し、虚像を表示する表示装置において、前記被投射部材から前記反射手段に至る前記表示光の光路中には、前記被投射部材の所定箇所に表示される第1の表示画像を反射させるとともに前記所定箇所とは異なる前記被投射部材の他の箇所に表示される第2の表示画像を透過させる透過反射部材が配設されてなることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記被投射部材から前記反射手段へと至る前記表示光の光路中には、光路変更部材が配設されてなることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記被投射部材から前記透過反射部材へと至る前記表示光の光路中には、光路変更部材が配設されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、表示像に遠近感を付与し、視覚的演出効果のある表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態による表示装置の断面図。
【図2】図1中、A部を拡大して示す拡大断面図。
【図3】図2中、矢印B方向から見たときの第1の被投影部材を示す図。
【図4】図2中、矢印C方向から見たときの第2の被投影部材を示す図。
【図5】同実施形態による第1の光路変更部材を示す図。
【図6】同実施形態による第2の光路変更部材を示す図。
【図7】同第実施形態による投影部材の要部正面図。
【図8】本発明の第2実施形態による表示装置の断面図。
【図9】図8中、F部を拡大して示す拡大断面図。
【図10】図9中、矢印G方向から見たときの被投影部材を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)以下、添付図面に基づいて、本発明を車両用のヘッドアップディスプレイに適用した一実施形態を説明する。
【0012】
図1において、本実施形態によるヘッドアップディスプレイからなる表示装置Dは、例えば自動車等の車両に搭載されるもので、制御手段10と、記憶手段20と、ハウジング30と、プロジェクタ(投射型表示器)40と、スクリーン(被投射部材)50と、プリズムシート(光路変更部材)60と、円偏光板70と、第1の反射部材80と、第2の反射部材90とを備え、プロジェクタ40から出射される後述する2つの表示画像を示す表示光Lは、スクリーン50、プリズムシート60及び円偏光板70を経て第1の反射部材80側へと導かれ、その後、第1、第2の反射部材80、90を通じて(用いて)所定の投影部材である車両のフロントガラス100側へと照射(投影)される。
【0013】
そして、このように表示光Lがフロントガラス100へと照射されることで、車両を運転する運転者(利用者)Pは、フロントガラス100の前方側(車両運転席の正面前方)に風景と重畳した後述する第1の表示像と第2の表示像とでなる表示像(虚像)Vを視認することができる。
【0014】
制御手段10は、CPU、ROM、RAM及び入出力インターフェイス等を有するマイクロコンピュータから構成される。かかる制御手段10は、外部信号の入力や操作手段(図示せず)からの操作信号の入力等に応じて記憶手段20から画像データを取得し、この画像データに応じた駆動信号を所定周期でプロジェクタ40へ出力してスクリーン50に表示画像を示す表示光Lを出射させるべく発光表示駆動制御をするものである。
【0015】
なお、本例の場合、制御手段10は、記憶手段20から自車両画像データ及び走路画像データからなる画像データを取得しているものとし、これに伴い表示画像には、自車両画像データに基づく自車両表示画像と、走路画像データに基づく走路形状表示画像とが含まれることになる。
【0016】
つまり、この場合、プロジェクタ40からスクリーン50へと出射される表示光Lには、自車両画像データに基づく自車両表示画像を示す第1の表示光L1と、走路画像データに基づく走路形状表示画像を示す第2の表示光L2とが含まれることになる。
【0017】
記憶手段20は、EEPROM等の不揮発性メモリからなり、表示装置Dにて表示する表示画像を示す画像データを記憶する。
【0018】
ハウジング30は、例えば黒色の合成樹脂からなり、プロジェクタ40と、スクリーン50と、プリズムシート60と、円偏光板70と、第1の反射部材80と、第2の反射部材90とを内部に収容する他、フロントガラス100に対向する側には、表示光Lをフロントガラス100に向けて出射させる開口窓からなる出射部31が形成され、この出射部31は透光性カバー32にて覆われている(塞がれている)。
【0019】
プロジェクタ40は、表示画像を示す表示光L(つまり自車両表示画像を示す第1の表示光L1及び走路形状表示画像を示す第2の表示光L2)をスクリーン50に向けて出射する投射型表示器であり、例えば光源からの光を液晶パネルを透過させて表示光を形成する液晶プロジェクタからなる。
【0020】
なお、この場合、プロジェクタ40は、第1の表示光L1をスクリーン50の後述する第1のスクリーンに向けて出射するとともに、第2の表示光L2をスクリーン50の後述する第2のスクリーンに向けて出射するようになっている。
【0021】
被投影部材であるスクリーン50は、プロジェクタ40から出射された表示光Lが投射されて表示画像を映し出す(表示する)透過型スクリーンからなる。そして、本例の場合、スクリーン50は、図2に示すように第1の被投射部材としての第1のスクリーン51と、この第1のスクリーン51と非平行状態をなす第2の被投射部材としての第2のスクリーン52とを有し、両スクリーン51、52の位置関係は、第2のスクリーン52の下方側に第1のスクリーン51が位置している。
【0022】
第1のスクリーン51は、傾斜した状態でハウジング30内に配設され、プロジェクタ40から出射される表示光Lのうち第1の表示光L1が投射されて例えば自車両表示画像である第1の表示画像S1を映し出す(表示する)ものである(図3参照)。
【0023】
ここで、プロジェクタ40から運転者Pの視点へと至る第1の表示光L1の光路に着目すると、第1の表示光L1は、奇数回(つまり第1の反射部材80と第2の反射部材90とフロントガラス100にて)反射されて運転者Pに到達するため、図2中、矢印B方向から第1のスクリーン51を見たとき(正視したとき)、第1のスクリーン51に表示される自車両表示画像からなる第1の表示画像S1は、その表示意匠が上下反転した表示意匠となっている。
【0024】
一方、第2のスクリーン52は、第1のスクリーン51の傾斜角度とは異なる傾斜角度を有するように傾斜した状態でハウジング30内に配設され、プロジェクタ40から出射される表示光Lのうち第2の表示光L2が投射されて、第1の表示画像S1とは表示形態が異なる走路形状表示画像である第2の表示画像S2を映し出す(表示する)ものである(図4参照)。
【0025】
ここで、プロジェクタ40から運転者Pの視点へと至る第2の表示光L2の光路に着目すると、第2の表示光L2は、第1の表示光L1と同様に奇数回反射されて運転者Pに到達するため、図2中、矢印C方向から第2のスクリーン52を見たとき(正視したとき)、第2のスクリーン52に表示される走路形状表示画像からなる第2の表示画像S2は、その表示意匠が第1の表示画像S1と同様に上下反転した表示意匠となっている。
【0026】
プリズムシート60は、第1の光路変更部材としての第1のプリズムシート61と、第2の光路変更部材としての第2のプリズムシート61とを有し、第1のプリズムシート61は、第1のスクリーン51(スクリーン50)から円偏光板70(反射部材80)へと至る第1の表示光L1(表示光L)の光路中に配設される。具体的には、第1のプリズムシート61は、円偏光板70側となる第1のスクリーン51の表面に配置(固着)され、母材となる第1透光性基材61aの前面に複数の微細な第1プリズム部61bが設けられた構成となっている。
【0027】
そして、第1のスクリーン51を透過した第1の表示光L1は、第1のプリズムシート61の第1背面部61cから第1透光性基材61a内へと入射し、第1プリズム部61bによって円偏光板70側へ向けて反射される。なお、第1のプリズムシート61の第1背面部61cは、第1のスクリーン51と平行になっている(図5参照)。
【0028】
また、第2のプリズムシート62は、第2のスクリーン52(スクリーン50)から円偏光板70(反射部材80)へと至る第2の表示光L2(表示光L)の光路中に配設される。具体的には、第2のプリズムシート62は、円偏光板70側となる第2のスクリーン52の表面に配置(固着)され、母材となる第2透光性基材62aの前面に複数の微細な第2プリズム部62bが設けられた構成となっている。
【0029】
そして、第2のスクリーン52を透過した第2の表示光L2は、第2のプリズムシート62の第2背面部62cから第2透光性基材62a内へと入射し、第2プリズム部62bによって円偏光板70側へ向けて反射される。なお、第2のプリズムシート62の第2背面部62cは、第2のスクリーン52と平行になっている(図6参照)。
【0030】
円偏光板70は、直線偏光板71とλ/4板72を積層一体化して構成されている。このような積層一体化を行うには、例えばアクリル系粘着剤のような透明で光学的に等方性の粘着剤73を用いて直線偏光板71とλ/4板72とを貼り合わせればよい。
【0031】
また、直線偏光板71とλ/4板72の積層の順番は、スクリーン50側から、λ/4板72、直線偏光板71となるが、例えば円偏光板70は透明な支持体(図示せず)に積層されていてもよい。また、第1の反射部材80側に位置する直線偏光板71とスクリーン50側に位置するλ/4板72は、直線偏光板71の透過軸とλ/4板72の光軸とが略45度の角度をなすように積層することで、円偏光板として機能させることができる。
【0032】
ここで、太陽光等の外光が透光性カバー32を通じてハウジング30内部に入射し、その後、所定の光路(例えば第2の反射部材90及び第1の反射部材80)を経て直線偏光板71へと照射されることが考えられるが、この場合、直線偏光板71へと照射される外光は、直線偏光板71を通ることで直線偏光に変換され、さらにその直線偏光がλ/4板72を通ることで円偏光に変換され、それが第1のプリズムシート61を経て第1のスクリーン51で反射するかもしくは第2のプリズムシート62を経て第2のスクリーン52で反射する際、光の進む側から見た円偏光の向きが逆になり、その反射円偏光がλ/4板72を通って直線偏光になると、その反射直線偏光(反射光)は、入射時の直線偏光と直交する方向のものとなるので、直線偏光板71を通過できない。
【0033】
このように円偏光板70で前記反射光を遮ることにより表示像Vの表示エリアにスクリーン50が見えてしまうという不具合が解消され、表示像Vの視認性を向上させることが可能となる。
【0034】
第1の反射部材80は、例えばポリカーボネート等の樹脂材料に例えばアルミニウムなどの金属を蒸着させて反射面を形成してなる平面鏡である。
【0035】
第2の反射部材90は、例えばポリカーボネート等の樹脂材料に例えばアルミニウムなどの金属を蒸着させて反射面を形成してなる凹面鏡である。なお、本実施形態では、第1の反射部材80と第2の反射部材90とで反射手段Mが構成されている。
【0036】
以上の各部により表示装置Dが構成されている。このような構成において、プロジェクタ40から出射される表示光Lのうち自車両表示画像(第1の表示画像S1)を示す第1の表示光L1は、第1のスクリーン51を透過した後、第1のスクリーン51上に固着されている第1のプリズムシート61(第1プリズム部61b)によって円偏光板70側へと導かれる。そして、円偏光板70へと至る第1の表示光L1は円偏光板70から出射される際にλ/4板72を通じて円偏光となり、その後、各反射部材80、90並びに透光性カバー32を通じてフロントガラス100へと照射される。
【0037】
このように第1の表示光L1がフロントガラス100へと照射されることで、運転者Pは、フロントガラス100の前方側にて、自車両表示像である第1の表示像(第1の虚像)V1を視認することができる(図7参照)。
【0038】
ここで、プロジェクタ40から運転者Pへと至る第1の表示光L1の光路において、図3中、自車両のタイヤ51a側となる第1のスクリーン51箇所からフロントガラス100までの光路長と図3中、自車両の天井51b側となる第1のスクリーン51箇所からフロントガラス100までの光路長とはほぼ同じ光路長となっているため、運転者P側からフロントガラス100を見たとき、自車両表示像である第1の表示像V1は略平面的に表示される。
【0039】
一方、プロジェクタ40から出射される表示光Lのうち走路形状表示画像(第2の表示画像S2)示す第2の表示光L2は、第2のスクリーン52を透過した後、第2のスクリーン52上に固着されている第2のプリズムシート62(第2プリズム部62b)によって円偏光板70側へと導かれる。そして、円偏光板70へと至る第2の表示光L2は円偏光板70から出射される際にλ/4板72を通じて円偏光となり、その後、各反射部材80、90並びに透光性カバー32を通じてフロントガラス100へと照射される。
【0040】
このように第2の表示光L2がフロントガラス100へと照射されることで、運転者Pは、第1の表示像V1の直下(真下)に走路形状表示像である第2の表示像(第2の虚像)V2を視認することができる(図7参照)。
【0041】
また、この場合、自車両表示像である第1の表示像V1と、走路形状表示像である第2の表示像V2とが、上下に並設された状態でフロントガラス100の前方に表示されるとともに、プロジェクタ40から運転者Pへと至る第2の表示光L2の光路において、図3中、走路形状の一端側52aとなる第2のスクリーン52箇所からフロントガラス100までの光路長が図3中、走路形状の他端側52bとなる第2のスクリーン52箇所からフロントガラス100までの光路長よりも短く設定されていることに起因して、運転者P側からフロントガラス100を見たとき、走路形状表示像である第2の表示像V2は、あたかも手前側から遠方側に向けて傾斜しているかのごとき奥行き感を有して立体的に表示される。
【0042】
すなわち、走路形状表示像(第2の表示像V2)は、前述した一端側52aが手前側に表示されるとともに、一端側52aとは反対側に位置する前述した他端側52bが遠方側に表示されるため、あたかも傾斜しているかのごとき立体表示される構成となる。
【0043】
以上のように本実施形態では、各表示画像S1、S2を示す各表示光L1、L2を出射するプロジェクタ40と、各表示光L1、L2が投射され各表示画像S1、S2を表示するスクリーン50とを備え、スクリーン50に表示された各表示画像S1、S2を第1、第2の反射部材80、90を用いてフロントガラス100に投影し、各表示像V1、V2を表示する表示装置Dにおいて、スクリーン50として、第1のスクリーン51とこの第1のスクリーン51と非平行状態をなすように傾斜配置される第2のスクリーン52とを有し、第1のスクリーン51には自車両表示画像(表示画像の一部)となる第1の表示画像S1が表示されるとともに第2のスクリーン52には自車両表示画像とは表示形態が異なる走路形状表示画像である第2の表示画像S2が表示されるものである。
【0044】
従って、運転者Pが自車両表示像である第1の表示像V1と走路形状表示像である第2の表示像V2の双方を視認するにあたって、両表示像V1、V2のうち第2の表示像V2は、奥行き感を有して立体的に表示されることから、第1の表示像V1と第2の表示像V2とでなる表示像Vに遠近感が付与され、視覚的演出効果のある表示装置を提供することができる。
【0045】
また本実施形態では、第1のスクリーン51から円偏光板70(第1の反射部材80)へと至る表示光L(第1の表示光L1)の光路中には第1のプリズムシート61が配設されているとともに、第2のスクリーン52から円偏光板70(第1の反射部材80)へと至る表示光L(第2の表示光L2)の光路中には第2のプリズムシート62が配設されていることにより、第1のプリズムシート61(第1プリズム部61b)から出射される第1の表示光L1の光路を円偏光板70側へと変更させ、且つ、第2のプリズムシート62(第2プリズム部62b)から出射される第2の表示光L2の光路を円偏光板70側へと変更させる構成となることから、各表示像V1、V2の輝度低下を極力抑制することができるというメリットがある。
【0046】
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態を図8〜図10に基づいて説明するが、前述の第1実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。この第2実施形態においては、第1のスクリーン51と第2のスクリーン52とでなるスクリーン50に代えて単一のスクリーンからなるスクリーン110が被投射部材として採用され、このスクリーン110から円偏光板70へと至る表示光Lの光路中に透過反射部材であるハーフミラー120が配置(配設)された構成となっている(図8、図9参照)。
【0047】
スクリーン110は、プロジェクタ40から出射された表示光Lが投射されて表示画像を映し出す(表示する)透過型スクリーンからなり、傾斜した状態でハウジング30内に配設されてなる。
【0048】
具体的には、スクリーン110は、プロジェクタ40から出射される表示光L(前記第1実施形態にて採用した第1、第2の表示光L1、L2)が投射されて自車両表示画像からなる第1の表示画像S1及び走路形状表示画像からなる第2の表示画像S2を映し出すものである。
【0049】
なお、本第2実施形態の場合、図10中、スクリーン110の上方側(つまりスクリーン110における円偏光板70側)となるスクリーン110の所定箇所には、第1の表示画像S1が前記第1実施形態と同様に反転した表示意匠として表示されるとともに、図10中、スクリーン110の下方側(つまり円偏光板70の配設位置とは反対側となるスクリーン110箇所)には、第2の表示画像S2が前記第1実施形態と同様に反転した表示意匠として表示される構成となっているものとする。
【0050】
プリズムシート120は、前記第1実施形態にて採用したプリズムシート60(つまり第1のプリズムシート61または第2のプリズムシート62)と同一の機能を有するものであり、スクリーン110からハーフミラー130へと至る各表示光L1、L2の光路中に配設されている。
【0051】
かかる光路変更部材としてのプリズムシート120は、スクリーン110の表面全体を覆うようにスクリーン110上に配置(固着)され、母材となる透光性基材121の前面に複数の微細なプリズム部122が設けられた構成となっている。
【0052】
ハーフミラー130は、スクリーン110から円偏光板70(第1の反射部材80)へと至る各表示光L1、L2の光路中に配設され、スクリーン110の前記所定箇所(図10中、スクリーン110の上方側)に表示される第1の表示画像S1を反射させるとともに、前記所定箇所とは異なるスクリーン110の他の箇所(図10中、スクリーン110の下方側)に表示される第2の表示画像S2を透過させる透過反射部材からなる。
【0053】
この第2実施形態の構成において、プロジェクタ40から出射される表示光Lのうち自車両表示画像(第1の表示画像S1)示す第1の表示光L1は、スクリーン110を透過した後、スクリーン110上に固着されているプリズムシート120(プリズム部122)によってハーフミラー130側へと導かれ、ハーフミラー130によって円偏光板70側に反射光として反射される。
【0054】
そして、円偏光板70へと至る前記反射光である第1の表示光L1は円偏光板70から出射される際にλ/4板72を通じて円偏光となり、その後、各反射部材80、90並びに透光性カバー32を通じてフロントガラス100へと照射される。このように第1の表示光L1がフロントガラス100へと照射されることで、運転者Pは、前記第1実施形態と同様に自車両表示像である第1の表示像V1を視認することができる。
【0055】
一方、プロジェクタ40から出射される表示光Lのうち走路形状表示画像(第2の表示画像S2)を示す第2の表示光L2は、スクリーン110を透過した後、スクリーン110上に固着されているプリズムシート120(プリズム部122)によってハーフミラー130側へと導かれる。
【0056】
そして、ハーフミラー130側へと導かれた第2の表示光L2は、ハーフミラー130を透過して透過光となって円偏光板70へと至る。さらに、円偏光板70へと至る前記透過光である第2の表示光L2は円偏光板70から出射される際にλ/4板72を通じて円偏光となり、その後、各反射部材80、90並びに透光性カバー32を通じてフロントガラス100へと照射される。このように第2の表示光L2がフロントガラス100へと照射されることで、運転者Pは、走路形状表示像である第2の表示像V2を視認することができる。
【0057】
以上のように、スクリーン110から円偏光板70へと至る各表示光L1、L2の光路中にハーフミラー130が配設される本第2実施形態の構成においても、運転者Pはフロントガラス100の前方側に第1、第2の表示像V1、V2を視認することになるが、この場合、ハーフミラー130を用いて第1の表示光L1を反射させ、且つハーフミラー130を用いて第2の表示光L2を透過させる構成としていることから、詳細図示は省略するが運転者Pが視認する自車両表示像である第1の表示像V1と走路形状表示像である第2の表示像V2とは、重なった状態で表示される。
【0058】
しかも、前記第1実施形態と同様に、図10中、走路形状の一端側111となるスクリーン110箇所からフロントガラス100までの光路長が図10中、走路形状の他端側112となるスクリーン110箇所からフロントガラス100までの光路長よりも短く設定されていることに起因して、運転者P側からフロントガラス100を見たとき、第2の表示像V2は、前述した一端側111が手前側に表示されるとともに、一端側111とは反対側に位置する前述した他端側112が遠方側に表示されるため、あたかも傾斜しているかのごとき立体表示され、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、この場合、詳細説明は省略するが、第1の表示像V1は前記第1実施形態と同様に略平面的に表示されるようになっている。
【0059】
また本第2実施形態では、スクリーン110からハーフミラー130へと至る各表示光L1、L2の光路中にはプリズムシート120が配設されてなることにより、プリズムシート120(プリズム部122)から出射される各表示光L1、L2をハーフミラー130側へと変更させる構成となることから、各表示像V1、V2の輝度低下を極力抑制することができるというメリットがある。
【0060】
また本第2実施形態では、プリズムシート120がスクリーン110の表面全体を覆うように構成されている例について説明したが、例えばプリズムシート120を2つのプリズムシートに分割し、この2つのプリズムシートのうち一方のプリズムシートを自車両表示画像側(第1の表示画像S1側)となるスクリーン110の表面箇所に配置するとともに、他方のプリズムシートを走路形状表示画像側(第2の表示画像S1側)となるスクリーン110の表面箇所に配置してもよい。なお、この場合、必要に応じて、前記一方のプリズムシートのプリズム部の形状と前記他方のプリズムシートのプリズム部の形状とを異ならせるようにしてもよい。
【0061】
なお、前記各実施形態では、第1の表示画像S1が自車両表示画像からなるとともに、第2の表示画像S2が走路形状表示画像からなる例について説明したが、第1の表示画像S1と第2の表示画像S2とは互いに表示形態が異なる(つまり異種の)表示画像であればあらゆる表示画像を採用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
10 制御手段
20 記憶手段
30 ハウジング
32 透光性カバー
40 プロジェクタ(投射型表示器)
50、110 スクリーン(被投射部材)
51 第1のスクリーン(第1の被投射部材)
52 第2のスクリーン(第2の被投射部材)
60、120 プリズムシート(光路変更部材)
61 第1のプリズムシート(第1の光路変更部材)
62 第2のプリズムシート(第2の光路変更部材)
70 円偏光板
71 直線偏光板
72 λ/4板
80 第1の反射部材
90 第2の反射部材
100 フロントガラス(投影部材)
130 ハーフミラー(透過反射部材)
M 反射手段
S1 第1の表示画像
S2 第2の表示画像
V 表示像(虚像)
V1 第1の表示像
V2 第2の表示像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画像を示す表示光を出射する投射型表示器と、
前記表示光が投射され前記表示画像を表示する被投射部材とを備え、
前記被投射部材に表示された前記表示画像を反射手段を用いて所定の投影部材に投影し、虚像を表示する表示装置において、
前記被投射部材として、第1の被投射部材とこの第1の被投射部材と非平行状態をなす第2の被投射部材とを有し、
前記第1の被投射部材には前記表示画像の一部となる第1の表示画像が表示されるとともに前記第2の被投射部材には前記第1の表示画像とは表示形態が異なる第2の表示画像が表示されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
表示画像を示す表示光を出射する投射型表示器と、
前記表示光が投射され前記表示画像を表示する被投射部材とを備え、
前記被投射部材に表示された前記表示画像を反射手段を用いて所定の投影部材に投影し、虚像を表示する表示装置において、
前記被投射部材から前記反射手段に至る前記表示光の光路中には、前記被投射部材の所定箇所に表示される第1の表示画像を反射させるとともに前記所定箇所とは異なる前記被投射部材の他の箇所に表示される第2の表示画像を透過させる透過反射部材が配設されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記被投射部材から前記反射手段へと至る前記表示光の光路中には、光路変更部材が配設されてなることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記被投射部材から前記透過反射部材へと至る前記表示光の光路中には、光路変更部材が配設されてなることを特徴とする請求項2記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−83675(P2013−83675A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221448(P2011−221448)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】