説明

表示部及び遊技機

【課題】表示部において、光源の点灯時は照射光を分散でき、光源を消灯しても表示が輝いて見えるようにして、豪華さを向上させて商品性を高める。
【解決手段】正面パネル10のパネル図柄13の少なくとも一部には、塗料の硬化時に表面に凹凸を形成させた特殊印刷部50が設けられ、特殊印刷部50に用いられる塗料には、印刷面の裏側からの光を透過可能であるとともに、印刷面の表側からの光を反射する形状に形成された光輝性顔料が混入されている。特殊印刷部50には、LED43の点灯時にはLED43の発光色に応じた発光表示がなされ、消灯時には光輝性顔料の色彩に応じた反射表示がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光表示される表示部及びこの表示部を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンなどの遊技機においては、遊技に付随する演出を行わせるための表示部に、様々な工夫が凝らされている。例えば、特許文献1には、回転リールの図柄の一部を、いわゆるチヂミと呼ばれる特殊印刷層で形成し、バックライトの点灯時と消灯時とで、趣の異なる表示が行われるようにした遊技機が開示されている。また、特許文献2には、リール図柄にチヂミ印刷部分を設けることにより、バックライトの光が拡散され、外側から内部構造が目視されない効果がある旨の記載がある。さらに、特許文献3には、透光性パネルに透光性の模様と不透光性の模様を形成し、光源の点灯、消灯によりパネルの文字色や図柄を変化させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−170244号公報
【特許文献2】特開2007−37579号公報
【特許文献3】特開2005−342117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1をはじめとして、パネルやリールテープにチヂミ印刷を施し、光源の光を拡散させ、表示される絵柄等の視認効果を高めることは、広く行われている。
しかし、従来のチヂミ印刷は、光源の点灯時には上記したような効果を奏するものの、消灯時にはその部分が暗くなってしまうので、派手さがなく、物足りなさを感じさせるものとなっていた。
そこで、本願発明は、光源の点灯時は照射光を分散でき、光源を消灯しても表示が輝いて見え、豪華さを向上させて商品性を高めることができる表示部を提供することを目的とする。また、かかる表示部を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項に記載された発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、本発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(特徴点)
(請求項1)
請求項1記載の発明は、光源(LED43,26)から照射される光を透過可能な表示部であって、表示部の少なくとも一部には印刷部(ベース印刷部11)が設けられ、前記印刷部(11)の少なくとも一部には、塗料の硬化時に表面に凹凸を形成させた特殊印刷部(ラメチヂミ印刷層50)が設けられ、前記特殊印刷部(50)に用いられる塗料は透光性を有し、この塗料には、印刷面の裏側からの光を透過可能であるとともに、印刷面の表側からの光を反射する形状に形成された光輝性顔料が混入されていることを特徴とする。
【0006】
本発明は、光源(43,26)の点灯によって発光表示される表示部であって、例えば遊技機に設けられる表示パネル(正面パネル10)や複数の図柄を表示した回転リール(20)の他、ランプ(31)などを含む。さらに、遊技機やその他の装置の作動状況を知らせるための表示部も含む。作動状況を知らせるための表示部には、遊技機などを作動させるための操作スイッチ類に光源を内蔵させ、点灯、消灯により状態報知を可能としたものも含まれる。
前記「印刷部」は、例えばスクリーン印刷により所定の塗料を塗布した部分であり、表示部全体が印刷部(11)であってもよいし、表示部の一部に印刷が施されているのでもよい。印刷部(11)は、印刷によって所定の標章を形成するものであってもよい。
【0007】
前記「特殊印刷部」は、いわゆるチヂミと呼ばれる印刷部分であり、紫外線照射等によって硬化可能なチヂミインクを用いて印刷された部分である。また、「光輝性顔料」は、いわゆるラメと呼ばれるもので、金属片又は金属を蒸着させたフィルム片である。
ここで、「印刷面の裏側からの光を透過可能であるとともに、印刷面の表側からの光を反射する形状に形成された光輝性顔料」とは、光輝性顔料の形状が、上記した光透過、光反射を可能とする厚み及び形状に形成されているという意味である。例えば、平均粒子径5〜30μm、厚み0.03〜2μm、比表面積が1〜30m2/g程度の薄い鱗片状に形成されたものとすることができる。
【0008】
(作用)
本発明においては、印刷部の印刷面を表面側にした表示部の、反印刷部側つまり裏側に光源(43,26)を配置した場合、光源(43,26)が点灯すると、特殊印刷部(50)の塗料及び光輝性顔料が照射光を透過するため、特殊印刷部(50)には、光源の発光色に応じた発光表示がなされる。「光源の発光色に応じた発光表示」とは、特殊印刷部(50)の塗料が透明であって、他の印刷層が重複していない場合には光源の発光色で発光表示され、特殊印刷部(50)の塗料が着色してある場合や特殊印刷部(50)の一部又は全部が透過着色印刷で被覆してあれば光源の発光色とその部分の色との混合色で発光表示されることである。また、特殊印刷部(50)の凹凸により、光源(43,26)の照射光が分散され、表示部の表面側からは、内部の光源(43,26)がはっきり見えることがない。
【0009】
そして、上記した状態で光源(43,26)を消灯すると、表示部の表面側が裏面側よりも明るい場合には、特殊印刷部(50)に混入されている光輝性顔料が、表示部の表面からの光を反射するので、特殊印刷部(50)は、光輝性顔料の色彩(例えば金色、銀色など)に応じて反射表示される。つまり、特殊印刷部(50)が、光輝性顔料の色彩(例えば金色や銀色)に輝いて見える。また、光源(43,26)が消灯した状態で表示部の表面側が裏面側よりも暗い場合には、表示部を表面側から視認すると、特殊印刷部(50)の塗料及び光輝性顔料が裏面側からの光を透過して、特殊印刷部(50)が裏面側の光の色に応じた色で表示されているものとなる。ちなみに、この状態で、表示部を裏面側から視認すると、特殊印刷部(50)は、光輝性顔料の色彩に応じて反射表示されていることとなる。
【0010】
本発明によれば、光源(43,26)の点灯時には光源(43,26)の色彩に応じて発光表示され、光源(43,26)の消灯時には光輝性顔料の色彩で輝いて見える表示部を提供することができる。また、特殊印刷部(50)の製法は、塗料に光輝性顔料を混入させる以外は、従来のチヂミ印刷製法と変わらないため、特殊印刷によるコストアップを避けることができる。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、請求項1記載の表示部を備えた遊技機に係る。
本発明に係る「遊技機」は、遊技場に設置される遊技機であって、例えばスロットマシンやパチンコ遊技機などとすることができる。
【0011】
本発明に係る遊技機は、前記表示部として、複数の図柄(リール図柄23)が印刷されたリールテープ(21)を備える回転リール(20)を備え、前記光源として、前記リールテープ(21)の図柄(23)を回転リール(20)の内側から照射する発光体(LED26)を備えている。そして、前記図柄(23)の少なくとも一部が、前記特殊印刷部(50)となっていることを特徴とする。
前記回転リール(20)は、リールモータ(27)に軸着されたリールドラム(24)にリールテープ(21)を貼付したものとすることができる。遊技機は、回転リール(20)を複数有していてもよい。
【0012】
本発明においては、発光体(26)が点灯しているときには、特殊印刷部(50)で形成された図柄(23)又は図柄(23)に設けられた特殊印刷部(50)が発光体(26)の照射光を透過して、発光体(26)の発光色に応じた色彩で発光表示される。また、発光体(26)が消灯しているときには、光輝性顔料が回転リール(20)の外側からの光(例えば遊技場の照明)を反射して、特殊印刷部(50)が光輝性顔料の色彩で輝いて見える。
例えば、回転リール(20)の回転中は発光体(26)を点灯させ、回転リール(20)が停止したら発光体(26)を消灯するように形成すると、回転リール(20)の回転中は特殊印刷部(50)が反射表示されないので図柄の視認を妨げず、回転リール(20)が停止すると特殊印刷部(50)が輝いて見え、遊技者を驚かせることができる。
【0013】
また、一定時間遊技が行われていない場合に遊技機が省電力モード(あるいはデモ画面)となり、回転リール(20)の発光体(26)が消灯されるように形成されている場合には、省電力モード等に移行しても、回転リール(20)の特殊印刷部(50)が輝いて見え、豪華さを強調できる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、請求項1記載の表示部を備えた遊技機であって、前記表示部として、遊技機の前面に設けられるパネル部材(正面パネル10)を備え、前記光源として、前記パネル部材(10)を遊技機内部側から照射可能な発光体(LED43)を備えている。そして、前記パネル部材(10)の少なくとも一部が、前記特殊印刷部(50)となっていることを特徴とする。
【0014】
前記特殊印刷部(50)は、パネル部材(10)に表示される標章とすることができる。
本発明においては、発光体(43)が点灯しているときには、パネル部材(10)に設けられた特殊印刷部(50)が発光体(43)の照射光を透過して、発光体(43)の発光色に応じた色彩で発光表示される。また、発光体(43)が消灯しているときには、光輝性顔料が遊技機の外側からの光を反射して、特殊印刷部(50)が光輝性顔料の色彩で輝いて見える。
本発明では、パネル部材(10)が発光表示されていない場合でも、特殊印刷部(50)が輝いて見え、豪華さを強調できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のように構成されているので、請求項1記載の発明によれば、光源の点灯時は照射光を分散でき、光源を消灯しても表示が輝いて見え、豪華さを向上させて商品性を高めることができる表示部を提供することができる。また、請求項2、3記載の発明によれば、請求項1記載の表示部を備えた遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの内部を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態であって、上扉の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態であって、正面パネルの部分拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態であって、パネル図柄の構成を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態であって、パネル図柄を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態であって、回転リールの斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態であって、リールテープの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。なお、本明細書において、特に指定しない場合には、遊技機の構成部材の上、下、左、右、前及び後を示す方向は、それぞれ、各部材を遊技機に取り付けた状態で遊技機の正面に正対した場合の、遊技機の上側、下側、右側、左側、手前側、奥側となる方向をいうものとする。
(スロットマシンS)
本実施の形態におけるスロットマシンSは、図1及び図2に示すように、大きく分けて、正面側に開口部を有する筐体1と、筐体1の開口部を開閉可能に塞ぐ前扉3とから構成されている。そして、この前扉3は、筐体1の開口上部を開閉可能に塞ぐ上扉3Aと、筐体1の開口下部を開閉可能に塞ぐ下扉3Bとに分割されている。
【0018】
筐体1は、図2に示すように、前面(遊技者と対峙する正面)側に開口する箱体である。そして、筐体1の開口上部の内部には、3個の回転リール20を備えたリールユニット2と、制御装置4が収納されており、開口下部の内部には、電源ユニットとホッパーユニット5が設置されている。
ここで、リールユニット2は、筐体1に着脱自在に形成されており、制御装置4はリールユニット2の枠体に固定されている。制御装置4は、CPU、ROMなど種々の電子部品を装着した制御基板を、基板ケースに収納したものであり、スロットマシンSの作動を制御するためのものである。前記制御基板としては、主として遊技を制御するためのメイン基板と、主として遊技に付随する演出を制御するためのサブ基板とが設けられている。メイン基板とサブ基板は、別々の基板ケースに収納されていてもよい。ホッパーユニット5はメダルを貯留するとともに入賞時等にはメダルを払い出す払い出し装置である。
【0019】
前扉3のうち、上扉3Aは、筐体1の側板にヒンジを介して回転自在に軸支された板状の扉であり、図1に示すように、略中央部に回転リール20を正面側から見ることができる図柄表示窓12を有している。また、図柄表示窓12の上方には液晶表示装置やドットマトリックスなどの画像表示部30が設けられ、画像表示部30の側方にはランプ31が設けられているとともに、ランプ31の下方には上部スピーカ32が設けられている。
ここで、上扉3Aは、図3に示すように、上扉23Aの外観を成す上扉枠40と、上扉枠40の内側に設けられる基体41と、基体41の正面側に配置される正面パネル10とを備えている。上扉枠40は、図1及び図3に示すように、下側が前後に貫通する開口部40Aとなっている枠部材である。開口部40Aの上方には、画像表示部30、ランプ31、上部スピーカ32が取り付けられている。基体41は、略中央部に、前後に貫通する開口部41Aが形成された板部材である。開口部41Aの両側には、正面パネル10を後方から照射するための発光体ユニット42,45が設けてあり、開口部41Aの下側には、7セグメント表示器等により遊技回数や払い出しメダル数、クレジット数などを表示させるための数値表示部44が設けてある。
【0020】
正面パネル10は、スクリーン印刷により透明なアクリル板に種々の絵柄を印刷した表示部である。正面パネル10は、中央部に透明な可視部を設けて、図柄表示窓12を形成してある。また、図柄表示窓12の下方には、数値表示部44の表示を視認可能とするための透明な可視部である数値表示窓14が設けられている。さらに、図柄表示窓12の側方には、所定の標章が印刷されたパネル図柄13,15が設けられている。そして、本実施の形態においては、パネル図柄13には、後方からの照射光を透過するとともに前方からの光を反射可能な特殊印刷が用いられているが、この詳細については後述する。正面パネル10は、基体41の正面側に配置され、正面パネル10を固定した基体41を上扉枠40に収納固定することにより、正面パネル10が基体41の開口部41Aを正面側から塞ぎ上扉枠40の開口部40Aを裏面側から塞ぐようになっている。そして、上扉3Aを閉めた状態で、筐体1の内部に収納されているリールユニット2の回転リール20が、図柄表示窓12から視認できるようになっている。
【0021】
前扉3のうち、下扉3Bは、図1及び図2に示すように、筐体1の側板にヒンジを介して回転自在に軸支された上扉3Aよりも幅厚の扉であり、下扉3Bの上部は、スロットマシンSを作動させるためのカウンター状の操作部となっている。また、下扉3Bの下部には、ホッパーユニット5から払い出されたメダルを貯めておくことができる下皿36が形成されており、下皿36の奥側の壁には、下部スピーカ38が設けられている。
前記操作部には、遊技メダルを投入するためのメダル投入口33、回転リール20の回転を開始及び停止させるためのスタートスイッチ34及びストップスイッチ35などが設けられている。操作部と下皿36の間には、下パネル37が設けられている。さらに、図2に示すように、下扉3Bの裏面側には、前記メダル投入口33から投入されたメダルを誘導しながらメダルの真贋を判定するためのメダルセレクター39が設けられている。メダルセレクター39を通過したメダルは、ホッパーユニット5に転送され、メダルセレクター39によりキャンセルされたメダルは、図1に示す下皿36に排出される。
【0022】
なおスロットマシンSは、メイン基板により行われる当選判定の抽選結果が所定の当選役に当選し、前記ストップスイッチ35の操作により当選図柄が入賞の態様となるように回転リール20を停止させることができると入賞となり、ホッパーユニット5からメダルが払い出されたり、ボーナスゲームなどの有利な遊技が開始されたりするようになっている。
(パネル図柄13)
次に、正面パネル10に印刷されているパネル図柄13について詳述する。パネル図柄13は、図3に示すように、図柄表示窓12の正面左側に設けられた印刷図柄であり、例えば図4に示すように、数字の1、2、3が複数の色彩を用いて印刷されているものである。
【0023】
ここで、正面パネル10は、下地となるベース印刷部11の印刷過程において、パネル面の一部を遮蔽して塗料を載せないことにより、ベース印刷部11に、図柄表示窓12や数値表示窓14やパネル図柄13に該当する透明の部位を形成してある。パネル図柄13は、そのように形成された透明部位に、さらに印刷を施すことにより形成されている。
具体的には、パネル図柄13は、図5に示すように、正面パネル10の表面に、特殊なインクを用いたラメチヂミ印刷層50を形成し、その上(印刷面側)に色彩印刷層60、輪郭線70及び輪郭線70を囲むように中抜きに形成された箔80を重ねた構成となっている。なお、図5は説明のための概念図であって、実際には、各印刷部分は、図4に示すような形状となっている。
【0024】
ここで、ラメチヂミ印刷層50は、従来のチヂミインク、例えば紫外線の照射により硬化可能なインクに、一般にラメと呼ばれるメタリック顔料(光輝性顔料)を混入させたチヂミインク(ラメチヂミインク)を用いて形成された印刷層である。
チヂミインクは、スクリーン印刷装置で塗布した後に紫外線を照射することにより、表面と内部の硬化不均一が生じて、表面に凹凸が生成される。この凹凸を表面(印刷面)側からの光が通過するとベース(アクリル板)で反射し「ちりめん」のようなチヂミ模様が現れる。本実施の形態では、チヂミインクとして、透明又は薄い乳白色のものを用いる。
また、チヂミインクに混入させるメタリック顔料は、アルミニウムなどの金属粉、又は金属を蒸着させた樹脂フィルムを鱗片状に加工したものであり、平均粒子径5〜30μm、厚み0.03〜2μm、比表面積が1〜30m2/g程度のものとなっている。金属片であるため光反射性を有し、非常に薄い片であるため、光透過性をも有している。すなわち、印刷面の裏側からの光を透過可能であるとともに、印刷面の表側からの光を反射することが可能である。メタリック顔料の種類としては、金色をした金ラメ、銀色をした銀ラメ、虹色に見えるホロラメなどを使用することができる。
【0025】
色彩印刷層60は、ラメチヂミ印刷層50に重ねて、通常のインクを塗布(印刷)したものである。色彩印刷層60に用いるインクは、透光性であっても不透光性であってもよい。輪郭線70は例えば黒色のインクを絵柄の輪郭に沿って塗布したものである。箔80は、フィルムに金属や顔料をコーティングしたものを、熱転写等で印刷層の上(印刷面側)に付着させたものである。
(パネル図柄13の表示)
上記構成を有するパネル図柄13の発光表示について説明する。
前述したように、正面パネル10を装着する上扉3Aの基体41には、図3に示すように、パネル図柄13の後側となる位置に、発光体ユニット42が設けられている。発光体ユニット42は、3つのパネル図柄13に対応した区切りを有するリフレクタと、特に図示しない発光体基板とから構成されており、発光体基板には、光源としてのLED43が、リフレクタの区切りの中に配置されている。また、3つのパネル図柄13に対応したLED43は、制御装置4(サブ基板)により、遊技状態や演出状態に応じて、それぞれ別個に点灯消灯が制御される。LED43としてRGBLEDを用い、状態に応じて発光色を変化させることもできる。
【0026】
なお、図柄表示窓12の正面右側のパネル図柄15の後側となる位置に設けられている発光体ユニット45も同様の構成を有しているが、説明は省略する。
まず、パネル図柄13は、LED43の消灯時においては、図6(A)に示すように、ラメチヂミ印刷層50の部分が、メタリック顔料の色彩で表示される。これは、スロットマシンSの外部側からの光(ホールの照明等)を、メタリック顔料が反射することによる。 そして、LED43が点灯すると、パネル図柄13は後方から照射されて、図6(B)に示すように、ラメチヂミ印刷層50の部分はLED43の発光色で発光表示される。これは、ラメチヂミ印刷層50に用いたチヂミインクが透明又は薄い乳白色であるため、LED43の光線の色が合成されずに透明部分を透過するか、乳白色と合成されても色彩が大幅に変化することはないからである。そして、前述したように、メタリック顔料を構成する金属片は、印刷面の裏側からの光を透過するので、LED43の照射光の透過の妨げにならない。さらに、ラメチヂミ印刷層50の部分は、後方からの照射光がチヂミの凹凸によって乱反射するため、LED43の照射光が分散され、光源の位置があからさまになることがないとともに、視認する者に眩しさを感じさせることもない。なお、色彩印刷層60は、不透光性である場合にはLED43の消灯時と同じ色彩で発光表示されるが、透光性である場合にはLED43の発光色と混合した色彩で発光表示される。
【0027】
このように、パネル図柄13にラメチヂミ印刷層50を設けることにより、LED43の点灯時には、ラメチヂミ印刷層50を透してパネル図柄13にLED43の発光色が発光表示され、LED43の消灯時には、ラメチヂミ印刷層50が外部光によって反射表示される。すなわち、パネル図柄13を、LED43の点灯によって種々の発光色で発光表示させることができ、通常時とは異なる特別状態(例えばボーナスゲーム等の有利遊技への移行確定や移行可能性の示唆)の演出効果を高めることができるのみならず、LED43が点灯していない場合であっても、パネル図柄13のラメチヂミ印刷層50の部分がきらきら輝いて見え、通常時においても豪華さを演出することができるものである。
【0028】
また、上記とは逆に、通常時においてLED43が点灯している場合には、特別状態となってLED43が消灯することにより、ラメチヂミ印刷層50の光輝状態が視認可能となり、遊技者に驚きを与えることができる。
ここで、LED43の点灯時にLED43の発光色と異なる発光色を表示させたい場合には、ラメチヂミ印刷層50の下層又は上層に、別途、着色透過印刷層(光透過性の着色インクを用いた印刷層)を設けてもよい。このようにすれば、ラメチヂミインクを着色するための顔料の調整などを行う手間を省くことができ、コスト的に好ましい。着色透過印刷層を設けた場合には、LED43の点灯時に、ラメチヂミ印刷層50の部分に、LED43の発光色と着色透過印刷層の色彩とが混合された発光表示がなされることとなる。
【0029】
なお、パネル図柄15を、上記パネル図柄13と同様に、ラメチヂミ印刷層50を備えたものとしてもよい。また、パネル図柄13,15以外の部分をラメチヂミ印刷層50としてもよい。ラメチヂミ印刷層50は、正面パネル10の一部に限らず、全てに形成してもよく、下パネル37の一部や全部に用いてもよい。さらに、画像表示部30としての液晶表示装置を設ける場合、液晶画面を覆うガラス部分の一部や全部に、ラメチヂミ印刷層50を設けてもよい。
(変形例)
上記した実施の形態では、表示パネルなどの、遊技機の主たる遊技装置としては位置づけられていない表示部(主として演出表示に用いられる表示部)に、ラメチヂミ印刷層50を設けたものであったが、本発明に係るラメチヂミ印刷層50は、かかる演出表示部の表示を行うものについて使用されるものに限られない。すなわち、スロットマシンSの主たる遊技装置であるリールユニット2の回転リール20の図柄に用いてもよいものである。
【0030】
ここで、回転リール20は、図7に示すように、リールモータ27に軸着された円筒形のリールドラム24に、複数のリール図柄23が印刷されたリールテープ21を貼付したものであり、リールドラム24の筒内側には、リール図柄23を内側から照射するためのバックライトユニット25が設けられている。リールモータ27は、リールユニット2の枠体に固定されている。バックライトユニット25は、リールユニット2の正面側に位置するように設けられ、図柄表示窓12から視認可能となる3つのリール図柄23に対応した区切りを有するリフレクタと、特に図示しない発光体基板とから構成されており、発光体基板には、光源としてのLED26が、リフレクタの区切りの中に配置されている。LED26は単色でもRGBでもよい。
【0031】
リールテープ21は、透明なプラスチックフィルムに所定の色彩、例えば白色のベース印刷部22を印刷してあり(図8参照)、前述した正面パネルと同様に、ベース印刷部22の印刷過程において、リール図柄23に該当する透明の部位を形成してある。リール図柄23は、そのように形成された透明部位に、さらに印刷を施すことにより形成されている。
リールテープ21に印刷されているリール図柄23は、図8に示すように、主として色彩印刷層60及び輪郭線70により形成されているが、さらに箔80が設けられていてもよい。そして、複数のリール図柄23のうち、少なくとも1種類のリール図柄23(例えば7図柄)は、その一部にラメチヂミ印刷層50を設けたものとなっている。各印刷層の印刷方法は正面パネル10の場合と同様である。
【0032】
さて、リールユニット2は、遊技中すなわち回転リール20の回転中においては、バックライトユニット25のLED26が点灯状態となるように制御される。従って、回転リール20の回転中は、リール図柄23のラメチヂミ印刷層50はLED26の発光色を透過し、ラメは表示されない。このため、ラメの光輝がリール図柄23の視認性を妨げることはない。一方、1回の遊技が終了した場合(ここでは全ての回転リール20が回転停止したとき)において、所定の場合(サブ基板により遊技状態に応じた消灯演出の実行が決定された場合)には、LED26が消灯される。そうすると、ラメチヂミ印刷層50が外部光により反射表示され、ラメチヂミ印刷層50を有するリール図柄23が際だって、興趣が増すものとなる。例えば、図8に示すように、「7」図柄に星印のラメチヂミ印刷層50が設けてある場合に、図柄表示窓12に「7・7・7」が揃って消灯演出が行われると、輝く星が3個現れるものとなる。
【0033】
このように、回転リール20のリール図柄23にラメチヂミ印刷層50を設けることにより、消灯演出とあわせて新たな演出効果を生み出すことができる。
なお、図示した例では、リール図柄23の一部にラメチヂミ印刷層50を設けてあったが、所定のリール図柄23の全部をラメチヂミ印刷層50で形成してもよい。あるいは、リール図柄23を遮光性の着色印刷層で形成し、ベース印刷部22をラメチヂミ印刷層50で形成してもよい。
(総括)
以上のように、本実施の形態によれば、発光表示部の消灯時、あるいは消灯演出が豪華になり、発光体の点灯時も消灯時も、看者の注意を引くことができる。このため、遊技機の商品性を高めることができる。そして、このような効果を奏しながら、ラメチヂミ印刷層50は、通常のチヂミ印刷製法と同様に製造可能であるため、余分な経費がかからず、コストパフォーマンスにも優れている。
【0034】
(他の実施の形態)
本発明に係るラメチヂミ印刷層50は、上記した正面パネル10やリールテープ21のような、本来的に何らかの印刷を施すことが前提となっている表示部のみならず、印刷を施さなくてもその機能を果たすことが可能な表示部にも利用できるものである。例えば、ランプ31や、上下スピーカ32,38などの演出装置の表面に、ラメチヂミ印刷層50を設けることができる。あるいは、図示しないが、上記以外の演出用表示部、例えば回転灯や発光表示可能な可動役物などに用いてもよい。上下スピーカ32,38に設ける場合には、スピーカグリルの内部に発光体を配置するのが好ましい。ランプ31や上下スピーカ32,38やその他の表示部にラメチヂミ印刷層50を設ける場合には、ランプカバーやスピーカグリルや回転灯のレンズなどを透明部材で形成して、それらにラメチヂミインクを用いてスクリーン印刷装置で印刷を施せばよい。
【0035】
さらに、スロットマシンSを作動させるための操作スイッチ類に、ラメチヂミ印刷層50を設けることができる。例えば、スタートスイッチ34の握り部やストップスイッチ35や、クレジットを投入メダルに替えるためのベットスイッチB(図1参照)の押しボタン内部に発光体を設置するとともに、それらの表面に、ラメチヂミ印刷層50を設けてもよい。ラメチヂミ印刷層50は、スイッチ類の表面の一部に設けてもよいし、全体に設けてもよい。この場合も、上記と同様に、スタートスイッチ34の握り部やストップスイッチ35等の押しボタンを透明部材で形成する。このように形成すれば、内部の発光体を所定の発光色で点灯させることにより、操作スイッチは、その操作が有効になったことや遊技状態が変化したことを知らせる表示部として機能するものとなり、単なる発光体の点灯、消灯による表示態様に加え、消灯時にはラメが表示されて、豪華さが増すものである。なお、このような操作スイッチにラメチヂミ印刷層50を設ける場合には、人が手で触れる表面を透明な樹脂などでコーティングして、チヂミ部分の摩耗を防ぐようにするのが好ましい。
【0036】
本発明は、スロットマシン以外の遊技機にも応用できる。例えば、パチンコ遊技機や、遊技媒体として遊技球を用いスロットマシンと同様の遊技を行わせるパロット遊技機に応用することができる。これ以外の遊技機においても、あるいは遊技機以外の装置又は設備であっても、光源の照射光を透過可能な表示部を有するものであれば、本願発明を用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 正面パネル(表示部) 11 ベース印刷部(印刷部)
12 図柄表示窓 13 パネル図柄
14 数値表示窓 15 パネル図柄
20 回転リール(表示部) 21 リールテープ
22 ベース印刷部 23 リール図柄
24 リールドラム 25 バックライトユニット
26 LED(発光体・光源) 27 リールモータ
30 画像表示部 31 ランプ
32 上スピーカ 33 メダル投入口
34 スタートスイッチ 35 ストップスイッチ
36 下皿 37 下パネル
38 下スピーカ 39 メダルセレクター
40 上扉枠 41 基体
42 発光体ユニット 43 LED(発光体・光源)
44 数値表示器 45 発光体ユニット
50 ラメチヂミ印刷層(特殊印刷部分)60 色彩印刷層
70 輪郭線 80 箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から照射される光を透過可能な表示部であって、
表示部の少なくとも一部には印刷部が設けられ、
前記印刷部の少なくとも一部には、塗料の硬化時に表面に凹凸を形成させた特殊印刷部が設けられ、
前記特殊印刷部に用いられる塗料は透光性を有し、この塗料には、印刷面の裏側からの光を透過可能であるとともに、印刷面の表側からの光を反射する形状に形成された光輝性顔料が混入されていることを特徴とする表示部。
【請求項2】
請求項1記載の表示部を備えた遊技機であって、
前記表示部として、複数の図柄が印刷されたリールテープを備える回転リールを備え、
前記光源として、前記リールテープの図柄を回転リールの内側から照射する発光体を備え、
前記図柄の少なくとも一部が、前記特殊印刷部となっていることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1記載の表示部を備えた遊技機であって、
前記表示部として、遊技機の前面に設けられるパネル部材を備え、
前記光源として、前記パネル部材を遊技機内部側から照射可能な発光体を備え、
前記パネル部材の少なくとも一部が、前記特殊印刷部となっていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−75002(P2013−75002A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216416(P2011−216416)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】