説明

表面加工装置

【課題】被処理物に対して所望のエッチング処理を行うことができる表面加工装置を提供すること。
【解決手段】表面加工装置1は、ワーク10の被処理面101にエッチング液を供給することにより被処理面101を加工する装置である。表面加工装置1は、ワーク10を支持するチャッキングプレート21と、ワーク1の被処理面101に対してエッチング液を送出するノズル4と、シャッターブレード51とを有している。シャッターブレード51は、被処理面101とノズル4との間に位置し、ノズル4から被処理面101へのエッチング液の供給を遮断する第1の状態と、被処理面101とノズル4との間から退避し、ノズル4から被処理面101へのエッチング液の供給を許可する第2の状態とを選択できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被処理物(ガラス、水晶、シリコンウエハ等)の表面を加工する方法の1つとして、被処理物の被処理面にノズルから送出するエッチング液を局所的に供給し、ノズルと被処理物とを相対的に移動させることにより、被処理物の被処理面の全域に対してエッチング処理を行う、いわゆるローカルウエットエッチングが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の表面加工装置は、1列に並んだ複数のノズルを有するノズル集合体を有しており、このノズル集合体は、被処理物の被処理面に沿って、複数のノズルの配列方向に直交する方向に移動可能となっている。また、各ノズルにはヒーターが設置されており、各ノズルから送出するエッチング液の温度を制御できる。このような装置では、各ノズルから送出するエッチング液の温度を調節することにより、被処理面のノズル集合体と対向する各点(微少領域)でエッチングレートを異ならせ、それにより、所定のプロファイルが得られるようになっている。
【0004】
しかしながら、このような装置では、ノズル集合体(各ノズル)からエッチング液を送出してからエッチング液の送出が安定するまで一定時間かかり、その間はエッチングレートが安定せず、所望のエッチングレートからずれてしまう。そのため、特許文献1の表面加工装置では、被処理面のエッチング処理開始から一定時間内にエッチングされた領域に対して所望のエッチング処理を行うことができない。
【0005】
ここで、上記のような問題を解決するために、ノズル集合体を被処理物の横側(被処理面と対向しない位置)に移動させた状態で各ノズルからエッチング液を送出し、エッチング液の送出が安定した後に、ノズル集合体を被処理面と対向する位置に移動させてエッチング処理を開始するという方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、ノズル集合体が被処理面の縁を横切る際に、ノズル集合体から送出されたエッチング液が被処理物の側面を伝って被処理面と反対側の面に侵入し、被処理物の必要のない部位までエッチング処理されてしまうという問題が発生する。
このように、特許文献1の表面加工装置では、被処理物に対して所望のエッチング処理を行うことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−200954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、被処理物に対して所望のエッチング処理を行うことができる表面加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の表面加工装置は、被処理物の被処理面にエッチング液を供給することにより前記被処理面を加工する表面加工装置であって、
前記被処理物を支持する支持台と、
前記支持台に対して移動可能に設けられ、前記支持台に支持された前記被処理物の前記被処理面に対して前記エッチング液を送出する送出口および前記送出口から送出された前記エッチング液を吸引する吸引口を有するノズルと、
シャッター部を有するシャッター装置とを有し、
前記シャッター装置は、前記シャッター部が前記支持台に支持された前記被処理物の前記被処理面と前記送出口との間に位置し、前記送出口から前記被処理面への前記エッチング液の供給を遮断する第1の状態と、前記シャッター部が前記被処理面と前記送出口との間から退避し、前記送出口から前記被処理面への前記エッチング液の供給を許可する第2の状態とを選択できることを特徴とする。
これにより、被処理物に対して所望のエッチング処理を行うことができる表面加工装置を提供することができる。
【0009】
[適用例2]
本発明の表面加工装置では、前記送出口からの前記エッチング液の送出が開始されてから、前記送出口から送出される前記エッチング液の単位時間当たりの流量が所定値に維持されるまでは、前記シャッター部を前記第1の状態とすることが好ましい。
これにより、被処理面の全域を所定のエッチングレートにて加工することができるため、被処理物に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
【0010】
[適用例3]
本発明の表面加工装置では、前記送出口からの前記エッチング液の送出が開始されてから、前記送出口から送出される前記エッチング液の温度が所定値に維持されるまでは、前記シャッター部を前記第1の状態とすることが好ましい。
これにより、被処理面の全域を所定のエッチングレートにて加工することができるため、被処理物に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
【0011】
[適用例4]
本発明の表面加工装置では、前記ノズルが前記被処理面の縁部を跨ぐ際には、前記シャッター部を前記第1の状態とすることが好ましい。
これにより、被処理物に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
[適用例5]
本発明の表面加工装置では、前記ノズルが前記被処理面の縁部を跨ぐ際には、前記送出口から前記エッチング液を送出させた状態を維持したまま、前記シャッター部を前記第1の状態とすることが好ましい。
これにより、被処理物に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
【0012】
[適用例6]
本発明の表面加工装置では、前記被処理面への前記エッチング液の供給を終了する際には、前記シャッター部を前記第2の状態から前記第1の状態とすることが好ましい。
これにより、被処理物に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
[適用例7]
本発明の表面加工装置では、前記被処理面への前記エッチング液の供給を終了する際には、前記シャッター部を前記第2の状態から前記第1の状態とした後に、前記送出口からの前記エッチング液の送出を停止することが好ましい。
これにより、被処理物に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
【0013】
[適用例8]
本発明の表面加工装置では、前記被処理面への前記エッチング液の供給を一時的に停止する際には、前記シャッター部を前記第2の状態から前記第1の状態とすることが好ましい。
これにより、被処理物に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
【0014】
[適用例9]
本発明の表面加工装置では、前記被処理面への前記エッチング液の供給を一時的に停止する際には、前記送出口から前記エッチング液を送出させた状態を維持したまま、前記シャッター部を前記第2の状態から前記第1の状態とすることが好ましい。
これにより、被処理物に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
【0015】
[適用例10]
本発明の表面加工装置では、前記シャッター部は、前記ノズルと一体的に移動するように設けられていることが好ましい。
これにより、確実かつ迅速に、シャッターを第1の状態または第2の状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の表面加工装置の第1実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す表面加工装置が有する温度制御部の構成を示す図である。
【図3】図1に示す表面加工装置が有するシャッターを示す平面図および断面図である。
【図4】図3に示すシャッターの機能を説明する断面図である。
【図5】ワークに対するノズルの移動ルートを示す平面図である。
【図6】図1に示す表面加工装置が有する制御部のブロック図である。
【図7】本願発明の第2実施形態にかかる表面加工装置が備えるノズルの平面図である。
【図8】図7に示すノズルの変形例を示す平面図である。
【図9】本願発明の第3実施形態にかかる表面加工装置が備えるシャッターの平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の表面加工装置を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の表面加工装置の第1実施形態の概略構成を示す図、図2は、図1に示す表面加工装置が有する温度制御部の構成を示す図、図3は、図1に示す表面加工装置が有するシャッターを示す平面図および断面図、図4は、図3に示すシャッターの機能を説明する断面図、図5は、ワークに対するノズルの移動ルートを示す平面図、図6は、図1に示す表面加工装置が有する制御部のブロック図である。なお、以下の説明では、図1および図4中の上側を「上」、下側を「下」と言い、図4中の左側を「左」、右側を「右」と言う。
【0018】
表面加工装置1は、ローカルウエットエッチングにより、ワーク(被処理物)10に対して所望のエッチング処理を行う装置である。
エッチング処理が施されるワーク10の構成材料は、特に限定されず、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス、水晶等の結晶性材料、アルミナ、シリカ、チタニア等の各種セラミックス、シリコン、ガリウム−ヒ素等の各種半導体材料、ダイヤモンド、黒鉛等の炭素系材料、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、フェノール樹脂、アクリル樹脂等各種プラスチック(樹脂材料)のような誘電体材料で構成されたもの、その他、例えば、アルミニウム、銅、鉄系金属のような各種金属材料が挙げられる。
また、ワーク10の形状は、特に限定されず、例えば、板状、ブロック状等であってもよい。また、ワーク10の平面視形状としても特に限定されず、例えば、正方形、長方形、円形等であってもよい。なお、以下では、説明の便宜上、ワーク10として、平面視形状が矩形の板状をなすものについて代表して説明する。
【0019】
図1に示す表面加工装置1は、ワーク10を支持する支持装置2と、ワーク10の被処理面101にエッチング液を供給するエッチング液供給装置3とを有し、支持装置2に支持されたワーク10の被処理面101に、エッチング液供給装置3によってエッチング液を供給することにより、ワーク10に対して所望のエッチング処理を行うように構成されている。
【0020】
以下、支持装置2およびエッチング液供給装置3について、順次詳細に説明する。
[支持装置]
図1に示すように、支持装置2は、チャッキングプレート(支持台)21と、固定手段22とを有している。
(チャッキングプレート)
チャッキングプレート21は、ワーク10を支持する機能を有する。このような機能を有するチャッキングプレート21は、本実施形態では、板状をなしている。ただし、チャッキングプレート21の形状は、ワーク10を支持することができれば、特に限定されず、板状でなくてもよい。
【0021】
チャッキングプレート21の下面は、ワーク10を支持するチャッキング面211を構成する。チャッキング面211は、例えば平坦面で構成されている。これにより、ワーク10をチャッキング面211に支持したとき、ワーク10がチャッキング面211の形状に倣って変形するのを防止することができる。また、ワーク10をチャッキング面211に支持したときに、チャッキング面211とワーク10との間に隙間が形成され難いため、エアチャッキングを用いる固定手段22によって、確実かつ簡単に、ワーク10をチャッキング面211に固定することができる。
【0022】
(固定手段)
固定手段22は、チャッキング面211にワーク10を固定する機能を有する。ワーク10をチャッキング面211に固定することにより、チャッキングプレート21に対するワーク10の姿勢および位置をエッチング処理中一定に保つことができるため、ワーク10に対して所望のエッチング処理を行うことができる。特に、本実施形態のような表面加工装置1では、ワーク10をチャッキングプレート21に吊り下げるように支持するため、固定手段22により、ワーク10のチャッキングプレート21からの落下を防止することができる。
【0023】
図1に示すように、固定手段22は、チャッキングプレート21に形成され、チャッキング面211に開放する複数の吸気孔221と、各吸気孔221に接続された吸引ポンプ222とを有している。各吸気孔221の開口は、ワーク10をチャッキング面211に支持した状態にて、ワーク10によって塞がれる。このような固定手段22は、チャッキング面211にワーク10を支持した状態にて、吸引ポンプ222を作動し、各吸気孔221内を減圧することにより、ワーク10をチャッキング面211に吸着固定する。このような構成の固定手段22によれば、簡単に、ワーク10をチャッキング面211に固定することができる。また、吸気孔221内を常圧に復帰させるだけで、ワーク10をチャッキング面211から簡単に取り外すことができる。
【0024】
[エッチング液供給装置]
エッチング液供給装置3は、チャッキングプレート21に固定されたワーク10の被処理面(下面)101にエッチング液を供給し、ワーク10に対して所望のエッチング処理を行う機能を有する。
図1に示すように、エッチング液供給装置3は、ワーク10の被処理面101(チャッキング面211)に沿って移動可能に設けられたノズル4と、ノズルとワーク10との間に設けられたシャッター装置5と、ノズル4およびシャッター装置5の駆動を制御する制御部6と、エッチング液をノズル4から送出し、回収するエッチング液循環装置7とを有している。
【0025】
(ノズル)
図1に示すように、ノズル4は、チャッキングプレート21に固定されたワーク10(被処理面101)の下方に位置するように設けられている。また、ノズル4は、外管41と、外管41の内側に設けられた内管42とを有している。なお、外管41および内管42の横断面形状としては、特に限定されず、例えば、正方形、円形等とすることができる。
【0026】
このようなノズル4では、エッチング液が、内管42を通ってノズル4の上端から送出され、内管42と外管41の間の隙間43を通って吸引(回収)される。すなわち、ノズル4では、内管42の上部開口がエッチング液の送出口4aを構成し、隙間43の上部開口がエッチング液の吸引口4bを構成する。なお、ノズル4の構成としては、エッチング液を送出し吸引することができれば、特に限定されず、例えば本実施形態とは逆に、エッチング液が、内管42と外管41の間の隙間43を通って送出され、内管42を通って回収される構成であってもよい。
【0027】
(エッチング液循環装置)
エッチング液循環装置7は、エッチング液をノズル4の送出口4aから送出する送出管71と、エッチング液をノズル4の吸引口4bから回収する回収管72と、エッチング液を貯留する貯留タンク73と、貯留タンク73から送出管71へエッチング液を送出する送液ポンプ74と、送出管71へ送出するエッチング液の流量を調節する流量調節バルブ75および流量計76と、ワーク10の被処理面101に付着したエッチング液(エッチング処理の用に供されたエッチング液)を吸引して回収するための吸引ポンプ77と、ノズル4から送出するエッチング液の温度を調節(制御)する温度制御部78とを有している。
【0028】
これら各装置は、貯留タンク73、送液ポンプ74、流量調節バルブ75、流量計76、送出管71、回収管72の順に接続され、回収管72と貯留タンク73が接続されることにより、循環経路79が形成されている。吸引ポンプ77は、貯留タンク73内を減圧することにより、吸引口4bからエッチング液を吸引する。なお、送出管71および回収管72には、ノズル4の移動に追従可能なように可撓性があるものを用いるのが好ましい。また、エッチング液が接触する部分は全て、エッチング液により腐食することのない材料で構成されている。
【0029】
温度制御部78は、貯留タンク73内のエッチング液を所定温度に維持する機能を有している。これにより、送出口4aから送出されるエッチング液を所定温度に維持することができる。ここで、ワーク10に対するエッチングレート(単位時間当たりのエッチング深さ)は、エッチング液の温度によって変化し、一般にエッチング液の温度の上昇に伴って、エッチングレートが高くなる。そのため、温度制御部78を設けて、送出口4aから送出されるエッチング液の温度を所望の温度に維持することにより、ワーク10に対してより高精度なエッチング処理を施すことができる。
【0030】
このような温度制御部78の構成としては、特に限定されないが、例えば図2に示すような構成を用いることができる。図2に示す構成では、温度制御部78は、貯留タンク73内に設けられ、貯留タンク73内のエッチング液の温度を検知する温度検知素子781と、貯留タンク73内に設けられ、貯留タンク73内のエッチング液を加熱するヒーター782と、温度検知素子781の検知結果に基づいてヒーター782の駆動(ON/OFF、出力値)を制御する駆動制御部783とを有している。このような構成によれば、温度制御部78の構成を簡単なものとすることができるとともに、より確実に貯留タンク73内のエッチング液を所定温度とすることができる。なお、温度制御部78は、さらに貯留タンク73内のエチング液を冷却する冷却手段を有していてもよい。ヒーター782と冷却手段とを組み合わせることにより、貯留タンク73内のエッチング液をより正確に所定温度に維持することができる。
【0031】
温度検知素子781としては、貯留タンク73内のエッチング液の温度を検知することができれば特に限定されず、例えば、白金測温抵抗体やサーミスタのような接触式の温度センサーや、放射温度計(サーモパイル)のような非接触式の温度センサーを用いることができる。
また、ヒーター782としては、貯留タンク73内のエッチング液を加熱することができれば特に限定されず、例えば、ニクロム線等の線状発熱体を用いてもよいし、シリコンラバーヒーター等の面状発熱体を用いてもよい。また、ヒーター782の配置は、貯留タンク73内のエッチング液を加熱することができれば特に限定されず、貯留タンク73の外周付近に設置されていてもよい。
【0032】
なお、本実施形態の温度制御部78は、貯留タンク73内のエッチング液を所定温度とする構成であるが、送出口4aから送出されるエッチング液の温度を所定温度に維持することができれば、これに限定されない。例えば、温度制御部78は、送出管71の途中に設けられ、送出管71内を流れるエッチング液の温度を制御してもよいし、回収管72の途中に設けられ、回収管72内を流れるエッチング液の温度制御してもよい。
【0033】
(シャッター)
シャッター装置5は、主に(1)送出口4aから送出されるエッチング液の流量(単位時間に送出口4aから送出される量)および温度が共に所定値となるまで、エッチング液をワーク10の被処理面101に供給させない機能と、(2)送出口4aから被処理面101へのエッチング液の供給を停止(終了または一時停止)する機能とを有している。このようなシャッター装置5を有することにより、後述するように、ワーク10に対して高精度なエッチング処理を行うことができる。
【0034】
図3(a)は、シャッター装置5を示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)中のA−A線断面図である。同図に示すように、このシャッター装置5は、ノズル4に固定された支持部52と、支持部52に摺動可能に設けられたシャッターブレード(シャッター部)51とを有している。シャッターブレード51のシャッターブレード51および支持部52は、エッチング液により腐食することのない材料で構成されている。
【0035】
支持部52は、底部に形成された孔521内にノズル4が嵌入することにより、ノズル4に固定されている。これにより、シャッター装置5(シャッターブレード51)を、ノズル4との相対的位置関係を維持したまま、ノズル4の移動とともに移動することができる。そのため、確実かつ迅速にシャッター装置5を後述する第1の状態または第2の状態にすることができる。
【0036】
また、支持部52には、図3中横方向に延びる一対のガイド溝522が形成されており、このガイド溝522に沿ってシャッターブレード51が摺動可能となっている。このように、シャッターブレード51をワーク10の被処理面101の面方向に移動させる構成とすることにより、ノズル4と被処理面101との離間距離を小さくすることができるため、ノズル4から送出されたエッチング液を効率的に被処理面101に供給することができるとともに、被処理面101の所望の部位(微少領域)に正確にエッチング液を供給することができる。
【0037】
シャッターブレード51は、板状をなしており、図3中右側の縁部には、ノズル4の外形に沿った略半円状の切り欠きが形成れている。このように、シャッターブレード51を板状とすることにより、ノズル4と被処理面101との離間距離を小さくすることができるため、ノズル4から送出されたエッチング液を効率的に被処理面101に供給することができるとともに、被処理面101の所望の部位(微少領域)に正確にエッチング液を供給することができる。
このようなシャッター装置5は、図4(a)に示すように、シャッターブレード51がノズル4とワーク10(チャッキングプレート21に固定されたワーク10、以下同様)との間に位置する第1の状態と、図4(b)に示すように、シャッターブレード51がノズル4とワーク10との間から退避する第2の状態とを取ることができる。
【0038】
図4(a)に示すように、第1の状態では、ノズル4とワーク10との間にシャッターブレード51が位置しているため、送出口4aから被処理面101へ向けて送出されたエッチング液は、シャッターブレード51によって遮断される。そのため、送出口4aから送出されたエッチング液は、シャッターブレード51の下面に付着し、その後、速やかに吸引口4bから吸引される。以上のように、第1の状態では、送出口4aから送出されたエッチング液が被処理面101に供給されるのを防止することができる。なお、図4(a)に示すように、シャッターブレード51が最も右側に移動した位置にて第1の状態となるのが好ましい。これにより、より確実にシャッター装置5を第1の状態とすることができる。
【0039】
一方、図4(b)に示すように、第2の状態では、ノズル4とワーク10との間からシャッターブレード51が退避している。そのため、送出口4aから送出されたエッチング液は、被処理面101に供給され、被処理面101のエッチングの用に供された後、吸引口4bから吸引される。以上のように、第2の状態では、送出口4aから送出されたエッチング液が被処理面101に供給される。なお、図4(b)に示すように、シャッターブレード51が最も右側に移動した位置にて第2の状態となるのが好ましい。これにより、より確実にシャッター装置5を第2の状態とすることができる。
【0040】
このような構成のシャッター装置5を有することにより、次のような効果を発揮することができる。
・第1の効果
前述したように、エッチング液のワーク10に対するエッチングレートは、エッチング液の温度によって異なる(一般に、エッチング液の温度が上がるに連れてエッチングレートが高くなる)。そのため、ワーク10に対して高精度なエッチング処理を施すためには、送出口4aから送出されるエッチング液の温度をエッチング開始時から終了時まで一定に保つことにより、エッチングレートを一定に保つことが重要となる。
【0041】
そこで、表面加工装置1では、貯留タンク73内のエッチング液の温度を所定温度に維持する温度制御部78を設けているが、貯留タンク73内のエッチング液を所定温度とするのに、ある程度の時間が必要である。また、所定温度となった貯留タンク73内のエッチング液を循環経路79内で循環させ、循環経路79内のエッチング液をムラなく所定温度とするのに、さらに時間が必要である。なお、以下では、説明の便宜上、循環経路79内でのエッチング液の循環を開始してから、循環経路79内のエッチング液がムラなく所定温度に維持されるまでを「準備期間T1」とも言う。
【0042】
このように、準備期間T1として、ある程度の時間(通常、20〜30秒程度)が必要であり、この準備期間T1中にノズル4の送出口4aから送出されるエッチング液は、時刻によって温度ばらつきが生じていたり、同一時刻であっても各部で温度ばらつきが生じていたりする。そのため、準備期間T1中では、エッチング液のワーク10に対するエッチングレートが所定値からずれており、この準備期間T1中に、ワーク10のエッチング処理が開始されてしまうと(すなわち、被処理面101にエッチング液が供給されてしまうと)、ワーク10に対して所望のエッチング処理を行うことができない。
【0043】
そこで、表面加工装置1では、ノズル4とワーク10との間に位置することのできるシャッター装置5を設け、準備期間T1中は、シャッター装置5を第1の状態とすることにより、準備期間T1中に被処理面101にエッチング液が供給されるのを防止している。そして、準備期間T1が終了後、シャッター装置5を第1の状態から第2の状態とし、ワーク10に対するエッチング処理を開始する。これにより、被処理面101の全域に所定のエッチングレートに維持されたエッチング液を供給することができるため、ワーク10に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
【0044】
・第2の効果
エッチング液のワーク10に対するエッチングレートは、第1の効果で述べたエッチング液の温度の他、送出口4aから送出されるエッチング液の流量(単位時間に送出口4aから送出される量)によっても異なる。一般に、エッチング液の流量が多くなるに連れてエッチングレートが高くなる。そのため、ワーク10に対して高精度なエッチング処理を施すためには、送出口4aから送出されるエッチング液の流量をエッチング開始時から終了時まで一定に保ち、エッチングレートを一定に保つことが重要となる。
【0045】
そこで、表面加工装置1では、送出口4aから送出されるエッチング液の流量を調節する流量調節バルブ75および流量計76を設けているが、送出口4aから送出されるエッチング液を所定流量とするのに、ある程度の時間(例えば、1〜10秒程度)が必要である。これは、例えば、循環経路79内を循環することかく止まっているエッチング液を瞬時に所定流速で循環させることが困難であることに起因する。なお、以下では、説明の便宜上、循環経路79内でのエッチング液の循環を開始してから、送出口4aから送出されるエッチング液の流量が所定値に維持されるまでを「準備期間T2」とも言う。
【0046】
このように、準備期間T2として、ある程度の時間が必要であり、この準備期間T2中にノズル4の送出口4aから送出されるエッチング液は、その流量が時刻によって異なっている。そのため、準備期間T2中では、エッチング液のワーク10に対するエッチングレートが所定値からずれており、この準備期間T2中に、ワーク10のエッチング処理が開始されてしまうと(すなわち、被処理面101にエッチング液が供給されてしまうと)、ワーク10に対して所望のエッチング処理を行うことができない。
【0047】
そこで、表面加工装置1では、ノズル4とワーク10との間に位置することのできるシャッター装置5を設け、準備期間T2中は、シャッター装置5を第1の状態とすることにより、準備期間T2中に被処理面101にエッチング液が供給されるのを防止している。そして、準備期間T2が終了した後、シャッター装置5を第1の状態から第2の状態とし、エッチング液を被処理面101に供給し、ワーク10に対するエッチング処理を開始する。これにより、被処理面101の全域を所定のエッチングレートにて加工することができるため、ワーク10に対して高精度のエッチング処理を施すことができる。
【0048】
・第3の効果
本実施形態の表面加工装置1では、ノズル4(送出口4a)が、被処理面101に対して小さく設定されているため、ノズル4からエッチング液を送出させながら、ノズル4を被処理面101に対して移動させることにより、被処理面101の全域にエッチング液を供給し、ワーク10に対してエッチング処理を行う。ここで、被処理面101に対するノズル4の移動ルートとしては、特に限定されないが、例えば、図5に示すように、図5中横方向に往復しながら、図5中縦方向に移動するルートRを用いることができる。このようなルートRを採用することにより、効率的に被処理面101の全域にエッチング液を供給することができる。
【0049】
図5に示すように、ノズル4は、ルートRの途中に位置する地点R1にて被処理面101の内側から外側へ向けて被処理面101の輪郭(縁部)を跨ぎ、地点R2にて被処理面101の外側から内側向けて被処理面101の輪郭(縁部)を跨ぐように移動する。ここで、被処理面101へのエッチング液の供給を続けたままノズル4が地点R1、R2を通過すると、エッチング液が被処理面101に加えてワーク10の側面にまで供給されてしまう。そして、ワーク10の側面に供給されたエッチング液は、毛細管現象によって、ワーク10とチャッキングプレート21の間に侵入し、これにより、ワーク10の上面(被処理面101と反対側の面)が不本意にエッチングされてしまう。このように、被処理面101へのエッチング液の供給を続けたままノズル4が地点R1、R2を通過すると、ワーク10に対して所望のエッチング処理を施すことができない。
【0050】
このような問題を解消するために、例えば、ノズル4がルートR上の地点R1から直近の地点R2を通過するまでは、ノズル4からのエッチング液の送出を一時的に停止すればよい。しかしながら、地点R2を超えた時点でノズル4からのエッチング液の送出を再開すると、前述したように、ノズル4から送出されるエッチング液の流量が所定値に維持されていない状態で被処理面101にエッチング液が供給されるため、被処理面101の一部が所定値と異なるエッチングレートでエッチングされてしまう。このように、地点R1から地点R2を通過するまでの間ノズル4からのエッチング液の送出を一時的に停止する方法によっても、やはり、ワーク10に対して所望のエッチング処理を施すことができない。
【0051】
そこで、表面加工装置1では、シャッター装置5を設け、ノズル4が地点R1、R2を通過するとき、好ましくはノズル4が地点R1から直近の地点R2まで移動している間、ノズル4からエッチング液を所定温度および所定流量で送出させた状態を維持しつつ、シャッター装置5を第1の状態とするように構成されている。これにより、上述したような2つの問題、すなわち、ワーク10の上面が不本意にエッチングされてしまう問題および被処理面101の一部が所定値と異なるエッチングレートでエッチングされてしまう問題を同時に解消することができる。すなわち、表面加工装置1によれば、ワーク10に対して高精度なエッチング処理を施すことができる。
【0052】
・第4の効果
前述したように表面加工装置1では、ノズル4をルートRに沿って移動させることにより、被処理面101の全域にエッチング液を供給することができるようになっている。しかしながら、ワーク10の厚さや被処理面101の面形状によっては、被処理面101内にエッチング処理を必要としない領域(以下、「非エッチング領域」と言う)が存在する場合もある。そのため、このような非エッチング領域の直下をノズル4が通過する際には、被処理面101へのエッチング液の供給を一時的に停止する必要がある。しかしながら、ノズル4からのエッチング液の送出自体を停止すると、前述したように、ノズル4からのエッチング液の送出を再開してから所定時間内は、ノズル4から送出されるエッチング液の流量が所定値に維持されていない状態で被処理面101にエッチング液が供給されるため、被処理面101の一部が所定値と異なるエッチングレートでエッチングされてしまう。
【0053】
そこで、表面加工装置1では、シャッター装置5を設け、ノズル4が非エッチング領域の直下を通過するとき、ノズル4からエッチング液を所定温度および所定流量で送出させた状態を維持しつつ、シャッター装置5を第2の状態から第1の状態とするように構成されている。これにより、上述したような問題、すなわち、被処理面101の一部が所定値と異なるエッチングレートでエッチングされてしまう問題を解消することができる。すなわち、表面加工装置1によれば、ワーク10に対して高精度なエッチング処理を施すことができる。
【0054】
・第5の効果
被処理面101の全域へのエッチング液を供給を終え、ノズル4からのエッチング液の送出を終了する場合には、例えば送液ポンプ74を停止したり、流量調節バルブ75を閉じたり、この両方を行ったりすればよい。なお、以下、説明の便宜上、送液ポンプ74を停止する場合について代表して説明する。
【0055】
しかしながら、循環経路79内では、送液ポンプ74を停止する直前までエッチング液が循環(流動)していたため、送液ポンプ74を停止しても、それと同時にノズル4からのエッチング液の送出が停止されず、送液ポンプ74を停止してからしばらくの間はノズル4からエッチング液が送出されてしまう。このように、送液ポンプ74を止めた時刻とノズル4からのエッチング液の送出が停止する時刻の間に時間差が生じると、この際にノズル4と対向している被処理面101の部位では、エッチング液が供給される時間が所定時間よりも長くなり、エッチング深さが所定値よりも深くなる。送液ポンプ74を停止することによりノズル4からのエッチング液の送出を停止する方法では、ワーク10に対して高精度なエッチング処理を施すことができない。
【0056】
そこで、表面加工装置1では、シャッター装置5を設け、ノズル4からのエッチング液の送出を終了する場合には、まず、シャッター装置5を第2の状態から第1の状態とし、被処理面101へのエッチング液の供給を遮断する。そして、その後に、送液ポンプ74を停止し、ノズル4からのエッチング液の送出を停止する。このような構成によれば、上記のような問題、すなわち、被処理面101の所定部位に所定時間よりも長くエッチング液が供給されてしまう問題が解消され、ワーク10に対して高精度なエッチング処理を施すことができる。なお、シャッター装置5を第1の状態とした後に、送液ポンプ74を停止する順序について述べたが、例えば、シャッター装置5を第1の状態とすると同時に、送液ポンプ74を停止してもよい。
【0057】
(制御部)
図6に示すように、制御部6は、ノズル4をシャッター装置5と共に平面内(被処理面101上)で移動させるノズル移動装置61と、加工前および目標とする加工後のワーク10の表面のプロファイルを記憶する記憶部62と、これら2つのプロファイルおよびエッチング液の単位時間当たりのエッチング量(エッチング深さ)から、ノズル4の移動速度を算出する演算部63と、その演算結果に基づきノズル4の移動速度を制御するとともにノズル4とワーク10の離間距離を一定に保つようにノズル移動装置61を制御する移動制御部64と、演算部63の演算結果に基づきシャッター装置5を第1状態および第2の状態のいずれか一方とするシャッター制御部65とを有している。
以上、表面加工装置1について説明した。
【0058】
次いで、表面加工装置1の動作について説明する。
[テスト工程]
まず、表面加工装置1を使用する前に、予備実験として、ワーク10と同じ材料から成る試料(テストピース)を用いて、ノズル4(送出口4a)から所定温度かつ所定流量に維持されたエッチング液を試料表面に送出し、その場合の単位時間当たりのエッチング量(エッチング深さ)を実験的に求めておく。また、このエッチング深さの測定をノズル4を一定の速度で移動させながら行う。この測定を複数の速度で行うことにより、ノズル4の移動速度とエッチング深さの関係を求めることができる。ワーク10の被処理面101上の各点におけるエッチングすべき加工深さが決まれば、ここで求めたノズル4の移動速度と加工深さの関係から、ノズル4の移動速度を定めることができる。
【0059】
[エッチング前のワーク10の形状測定工程]
次に、ワーク10の被処理面101の加工前のプロファイルを測定する。この測定は、既存の表面形状測定装置や表面粗さ測定装置等を用いて行うことができる。得られた測定結果を制御部6の記憶部62に記憶させる。次に、演算部63は、記憶部62に記憶されたワーク10の被処理面101の加工前および目標とする加工後のワーク10の被処理面101のプロファイルとの差から、ワーク10の被処理面101上の各位置において加工すべきエッチング深さを算出する。演算部63は更に、前述のノズル4の移動速度とエッチング深さの関係から、被処理面101上の各位置におけるノズル4の移動速度を算出する。また、演算部63は、記憶部62に記憶された被処理面101の平面視形状とノズル4の移動ルート(前述したルートR)および移動速度とから、ノズル4がルートR上の地点R1、R2を通過する時刻(タイミング)を算出する。
【0060】
[エッチング工程]
まず、移動制御部64により制御されたノズル移動装置61によって、ノズル4をルートRのエッチング開始地点Rsに位置させると共に、シャッター制御部65によって、シャッター装置5を第1の状態とする。
次いで、送液ポンプ74を作動させて流量調節バルブ75を調節することにより貯留タンク73からノズル4を通してエッチング液を送出すると共に、温度制御部78を駆動しエッチング液を加熱する。この状態で、ノズル4から送出されるエッチング液が所定流量に維持されるとともに、エッチング液が所定温度に維持されるまで(すなわち、前述した準備期間T1、T2が共に終了するまで)待機する。
【0061】
次いで、シャッター制御部65によってシャッター装置5の第1の状態から第2の状態とすると同時に、ノズル移動装置61によって、ノズル4を上述のように定めた速度で、ワーク10の被処理面101の全域を通過するように、ルートRに沿って移動させる。それとともに、吸引ポンプ77を作動させてワーク10の被処理面101からエッチング液を貯留タンク73に吸引する。また、シャッター制御部65は、ノズル4がルートR上の地点R1を通過する時から直近の地点R2を通過する時まで、シャッター装置5を第2の状態から第1の状態とし、ノズル4がエッチング終了地点Reに到達した時もシャッター装置5を第2の状態から第1の状態とする。
これにより、ワーク10の被処理面101の各点において、前述の算出された加工すべき深さにエッチングがなされ、所望のプロファイルが得られる。
【0062】
<第2実施形態>
次に、本発明の表面加工装置の第2実施形態について説明する。
図7は、本願発明の第2実施形態にかかる表面加工装置が備えるノズルの平面図、図8は、図7に示すノズルの変形例を示す平面図である。
以下、第2実施形態の表面加工装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる表面加工装置では、ノズル4Aの構成が異なる以外は、前述した第1実施形態の表面加工装置1と同様である。なお、図7および図8にて、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0063】
図7(a)に示すように、本実施形態のノズル4Aは、一方向に並んで設けられた複数の送出口4aと、各送出口4aの周囲を囲むようにして設けられた複数の吸引口4bとを有している。このようなノズル4Aでは、各送出口4aからエッチング液が送出され、そのエッチング液が吸引口4bから吸引されるようになっている。
図7(b)に示すように、このようなノズル4Aは、被処理面101の平面視にて、制御部6の制御により送出口4aの配列方向に直交する方向(図7(b)中の矢印方向)に移動する。これにより、より短時間で被処理面101の全域へエッチング液を供給することができる。
【0064】
なお、図7に示す構成では、各送出口4aに対して1つの吸引口4bが形成されているが、ノズル4Aの構成としては、これに限定されない。例えば、ノズル4Aとしては、図8(a)に示すように、一方向に並んで形成された複数の送出口4aと、全ての送出口4aの周囲を覆うように形成された1つの吸引口4bとが形成された構成であってもよいし、図8(b)に示すように、一方向に延在する長孔状の送出口4aと、この送出口4aを覆うように形成された吸引口4bとが形成された構成であってもよい。
以上のような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0065】
<第3実施形態>
次に、本発明の表面加工装置の第3実施形態について説明する。
図9は、本願発明の第3実施形態にかかる表面加工装置が備えるシャッターの平面図である。
以下、第3実施形態の表面加工装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる表面加工装置では、シャッター装置5Bの構成が異なる以外は、前述した第1実施形態の表面加工装置1と同様である。なお、図9にて、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0066】
図9(a)、(b)に示すように、本実施形態のシャッター装置5Bは、ノズル4に固定された支持部52Bと、支持部52Bに軸53Bを中心として回動可能に設けられたシャッターブレード51Bとを有している。このようなシャッター装置5Bは、図9(a)に示すように、シャッターブレード51Bがノズル4とワーク(図示せず)との間に位置する第1の状態と、シャッターブレード51Bがノズル4とワークとの間から退避する第2の状態とをとることができる。
以上のような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0067】
以上、本発明の表面加工装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。また、前述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、本発明の表面加工装置が有するシャッターとして、第1実施形態の構成や、第3実施形態の構成について説明したが、シャッターの構成としては、前述した第1の状態と第2の状態とをとることができれば、特に限定されず、例えば、シャッターブレードを複数枚有していてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1……表面加工装置 10……ワーク 101……被処理面 2……支持装置 21……チャッキングプレート 211……チャッキング面 22……固定手段 221……吸気孔 222……吸引ポンプ 3……エッチング液供給装置 4、4A……ノズル 4a……送出口 4b……吸引口 41……外管 42……内管 43……隙間 5、5B……シャッター装置 51、51B……シャッターブレード 52、52B……支持部 521……孔 522……ガイド溝 53B……軸 6……制御部 61……ノズル移動装置 62……記憶部 63……演算部 64……移動制御部 65……シャッター制御部
7……エッチング液循環装置 71……送出管 72……回収管 73……貯留タンク
74……送液ポンプ 75……流量調節バルブ 76……流量計 77……吸引ポンプ
78……温度制御部 781……温度検知素子 782……ヒーター 783……駆動制御部 79……循環経路 R1、R2……地点 Rs……エッチング開始地点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物の被処理面にエッチング液を供給することにより前記被処理面を加工する表面加工装置であって、
前記被処理物を支持する支持台と、
前記支持台に対して移動可能に設けられ、前記支持台に支持された前記被処理物の前記被処理面に対して前記エッチング液を送出する送出口および前記送出口から送出された前記エッチング液を吸引する吸引口を有するノズルと、
シャッター部を有するシャッター装置とを有し、
前記シャッター装置は、前記シャッター部が前記支持台に支持された前記被処理物の前記被処理面と前記送出口との間に位置し、前記送出口から前記被処理面への前記エッチング液の供給を遮断する第1の状態と、前記シャッター部が前記被処理面と前記送出口との間から退避し、前記送出口から前記被処理面への前記エッチング液の供給を許可する第2の状態とを選択できることを特徴とする表面加工装置。
【請求項2】
前記送出口からの前記エッチング液の送出が開始されてから、前記送出口から送出される前記エッチング液の単位時間当たりの流量が所定値に維持されるまでは、前記シャッター部を前記第1の状態とする請求項1に記載の表面加工装置。
【請求項3】
前記送出口からの前記エッチング液の送出が開始されてから、前記送出口から送出される前記エッチング液の温度が所定値に維持されるまでは、前記シャッター部を前記第1の状態とする請求項1または2に記載の表面加工装置。
【請求項4】
前記ノズルが前記被処理面の縁部を跨ぐ際には、前記シャッター部を前記第1の状態とする請求項1ないし3のいずれかに記載の表面加工装置。
【請求項5】
前記ノズルが前記被処理面の縁部を跨ぐ際には、前記送出口から前記エッチング液を送出させた状態を維持したまま、前記シャッター部を前記第1の状態とする請求項4に記載の表面加工装置。
【請求項6】
前記被処理面への前記エッチング液の供給を終了する際には、前記シャッター部を前記第2の状態から前記第1の状態とする請求項1ないし5のいずれかに記載の表面加工装置。
【請求項7】
前記被処理面への前記エッチング液の供給を終了する際には、前記シャッター部を前記第2の状態から前記第1の状態とした後に、前記送出口からの前記エッチング液の送出を停止する請求項6に記載の表面加工装置。
【請求項8】
前記被処理面への前記エッチング液の供給を一時的に停止する際には、前記シャッター部を前記第2の状態から前記第1の状態とする請求項1ないし7のいずれかに記載の表面加工装置。
【請求項9】
前記被処理面への前記エッチング液の供給を一時的に停止する際には、前記送出口から前記エッチング液を送出させた状態を維持したまま、前記シャッター部を前記第2の状態から前記第1の状態とする請求項8に記載の表面加工装置。
【請求項10】
前記シャッター部は、前記ノズルと一体的に移動するように設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載の表面加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−222795(P2011−222795A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91163(P2010−91163)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】